IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ナカショウの特許一覧

<>
  • 特開-園芸用防虫ネット 図1
  • 特開-園芸用防虫ネット 図2
  • 特開-園芸用防虫ネット 図3
  • 特開-園芸用防虫ネット 図4
  • 特開-園芸用防虫ネット 図5
  • 特開-園芸用防虫ネット 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132754
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】園芸用防虫ネット
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/34 20110101AFI20240920BHJP
   A01G 13/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01M29/34
A01G13/02 G
A01G13/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023059294
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】504217041
【氏名又は名称】株式会社ナカショウ
(72)【発明者】
【氏名】中山 貴基
【テーマコード(参考)】
2B024
2B121
【Fターム(参考)】
2B024EB02
2B024EC01
2B024EC02
2B024EC05
2B121AA12
2B121BB27
2B121BB32
2B121EA12
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】設置が容易で防虫効果を長く維持できるようにする
【解決手段】 透光性および通気性を有するシート状のネット材により、一端側が閉口され、他端側が開口された筒状に形成されたネット本体21を有し、そのネット本体21の開口された他端側が植物栽培用の栽培土壌に接する状態で立てられて、栽培土壌に植えられた植物に有害な虫のネット本体内への侵入をネット材の目地の大きさにより防ぐ園芸用防虫ネット20であって、ネット本体21の側面外部には、閉口された一端側から開口された他端側に向かって直線状の支柱を挿通させる複数の支柱通し31~34が所定間隔で形成されており、その複数の支柱通し31~34を通過して栽培土壌に立てられる支柱により、展張されて栽培土壌上の所定位置に筒状の姿勢を保持して立設される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性および通気性を有するシート状のネット材により、一端側が閉口され、他端側が開口された筒状に形成されたネット本体を有し、該ネット本体の前記開口された他端側が植物栽培用の栽培土壌に接する状態で立てられて、該栽培土壌に植えられた植物に有害な虫の前記ネット本体内への侵入を前記ネット材の目地の大きさにより防ぐ園芸用防虫ネットであって、
前記ネット本体の側面外部には、前記閉口された一端側から前記開口された他端側に向かって直線状の支柱を挿通させる複数の支柱通しが所定間隔で形成されており、該複数の支柱通しを通過し前記栽培土壌に立てられた前記支柱により、前記栽培土壌上で前記ネット本体が前記筒状に展張された状態で立設されることを特徴とする園芸用防虫ネット。
【請求項2】
前記ネット本体の前記開口側の側面部の通気性が他の部分より低く形成されていることを特徴とする請求項1記載の園芸用防虫ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培土壌に植えられた植物に対して有害な虫の外部からの侵入を防ぐために用いる園芸用防虫ネットにおいて、特に、自宅の庭やプランタン等のように小規模な栽培土壌上への設置を容易にし、長期間の防虫効果の維持を可能にするための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
栽培土壌に植えられた植物(野菜等の苗)に有害な虫の外部からの侵入を防ぐために用いる園芸用品として、従来から、植物の育成に必要な太陽光や空気を通過させる透光性と通気性を有し、且つ有害な虫の通過を阻止できる程度の隙間(例えば1ミリ四方程度)の目地を持つシート状のネット材が用いられている。
【0003】
このネット材の一般的な使用方法としては、図6の(a)に示しているように、予め栽培土壌1に並べて植えられた植物2、2、……を跨ぐようにアーチ状に曲げられた支柱3、3、……の両端を栽培土壌1に突き刺しておき、その上から栽培土壌1の広さをカバーする大きさにカットされたネット材10を被せ、そのネット材10の周縁に土や重石(図示せず)等を乗せて、図6の(b)のように、植物2、2を囲むトンネル状(またはドーム状)の育成空間を設ける方法が知られている。
【0004】
なお、上記したような、防虫用のシート状のネット材は、例えば次の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-095617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなシート状のネット材10は、広さが異なる栽培土壌に対応できるように利用者が必要な長さにカットして用いることを前提としているため、自宅の庭先の極限られた広さしかない栽培土壌や、プランタン、鉢等の中の栽培土壌に植物の苗を1本~数本程度しか植えないような場合でも、その広さに応じた長さにネット材10をカットし、またその広さに応じた幅のアーチ状の支柱3を用意しなければならず、栽培土壌の狭さに比べて作業が面倒であった。
【0007】
また、上記のように、アーチ状の支柱3、3の上にネット材10を被せただけの構造では、風に煽られてネット材10がめくれやすく、防虫効果を長期間に渡って維持できなくなることが多い。
【0008】
本発明は、この課題を解決して、狭い栽培土壌であっても簡単な作業で、その栽培土壌に植えられた植物に対する周囲からの虫の侵入を防止でき、しかも、その防虫効果を長期間に渡って維持できる園芸用防虫ネットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の園芸用防虫ネットは、
透光性および通気性を有するシート状のネット材により、一端側が閉口され、他端側が開口された筒状に形成されたネット本体を有し、該ネット本体の前記開口された他端側が植物栽培用の栽培土壌に接する状態で立てられて、該栽培土壌に植えられた植物に有害な虫の前記ネット本体内への侵入を前記ネット材の目地の大きさにより防ぐ園芸用防虫ネットであって、
前記ネット本体の側面外部には、前記閉口された一端側から前記開口された他端側に向かって直線状の支柱を挿通させる複数の支柱通しが所定間隔で形成されており、該複数の支柱通しを通過し前記栽培土壌に立てられた前記支柱により、前記栽培土壌上で前記ネット本体が前記筒状に展張された状態で立設されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2記載の園芸用防虫ネットは、請求項1記載の園芸用防虫ネットにおいて、
前記ネット本体の前記開口側の側面部の通気性が他の部分より低く形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明の請求項1の園芸用防虫ネットは、透光性および通気性を有するシート状のネット材により、一端側が閉口され、他端側が開口された筒状に形成されたネット本体を有しており、そのネット本体の側面外部に設けられた複数の支柱通しに直線状の支柱を通して栽培土壌に立てることで、ネット本体を栽培土壌上に筒状に展帳された状態に保持することができ、しかも、各支柱がネット本体の側面外周に予め形成された支柱通しに通されていて、その互いの連結が堅固となるから、風によるネット本体部の立設位置や立設姿勢の変化を未然に防ぐことができ、長期にわたって安定な防虫効果が期待できる。
【0012】
また、請求項2のように、ネット本体の開口側面部の通気性を他の部分より低く形成したものでは、栽培土壌に植えたばかりで根付きが十分でない背丈の低い植物への強風による被害を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】 本発明の実施形態の外観図
図2】 実施形態の展開図の一例を示す図
図3】 実施形態の使用方法を示す図
図4】 本発明の他の実施形態を示す図
図5】 本発明の他の実施形態を示す図
図6】 従来のネット材を用いた防虫方法の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用した園芸用防虫ネット(以下、単に防虫ネットと記す)20の外観を示す図である。
【0015】
図1に示すように、実施形態の防虫ネット20は、ネット本体21と、その側面外周部に所定間隔に設けられた複数(この例では4つ)の支柱通し31~34によって構成されている。
【0016】
ネット本体21は、野菜の苗等の植物の生育に必要な太陽光や空気等を通過させる透光性および通気性を有し、且つ植物の生育に有害な虫の通過を阻止できる程度の隙間(例えば1ミリ四方程度)の目地を有するシート状のネット材の接合加工(シート材の縁同士の縫い合わせ加工や熱接合処理など)により、一端側が閉じたほぼ四角筒状に形成されている。
【0017】
ネット本体21の一端側は長さが例えば30cm程度のほぼ正方形の上面部21aにより閉口され、その上面部21aの外縁から下方に延びた側面部21b~21eは、長さが例えば60cm程度の長方形となっている。ネット本体21の他端側である下面側は開口しており、ネット本体21は、その開口された下端側を栽培土壌面に接する向きに立てられ、栽培土壌に植えられた植物の周りに透光性、通気性を有し、有害な虫の侵入を目地の大きさで防ぐ生育空間を形成する。
【0018】
この四角筒状のネット本体21の側面外周部、この例では、側面部21b~21e同士が接する4つの角部には、ネット本体21の栽培土壌面に対する立設位置およびほぼ四角筒状の姿勢を保持するための所定太さ(例えば8mm程度)、所定長(例えば1m程度)の直線状の支柱を、上面部21a側から開口された下端側に向かって直線状に挿通案内する所定内径(例えば12mm程度)の細長い円筒状の複数の支柱通し31~34がそれぞれ形成されている。なお、この防虫ネット20に用いる支柱としては、園芸用に一般的に用いられている汎用のものが使用できる。また、図1では、実施形態の防虫ネット20の構造が理解しやすいように支柱通し31~34の太さを誇張して示しているが、前記した数値例からわかるように、一般的な太さの支柱を無理なく通過させる程度の内径であればよい。
【0019】
上記構造の防虫ネット20は、例えば図2の展開図に示すシート材50の接合加工により製造可能である。
【0020】
図2に示すシート材50には、ネット本体21の上面部21aを形成する上面部シート51a、各側面部21b~21eを形成する側面部シート51b~51e、支柱通し31~34を形成する支柱通しシート51f~51iが同一平面上に連結されていて、上面部シート51aの外周4辺が、各側面部シート51b~51eの各上辺とそれぞれ接合され、隣り合う側面部シート51b~51eの両側辺同士が接合されて四角筒状のネット本体21となり、支柱通しシート51f~51iそれぞれの左右の両側辺同士が接合されて、それぞれ細長い円筒状に連続した支柱通し31~34となる。
【0021】
次にこの防虫ネット20の使用方法について説明する。
図3の(a)の側面図に示すように、家庭の庭等やプランタンに設けた栽培土壌1の所定位置に育成したい植物2を植えておく。そして、防虫ネット20の少なくとも隣り合う二つの支柱通し31、32に支柱5、6を通しておき、図3の(b)の平面図のように、防虫ネット20を植物2の上方に位置させ、隣り合う支柱5、6の間隔が最大となるように拡げた状態で、その下端側を植物2の外側の栽培土壌1に差し込む。そして、図3の(c)の平面図のように、残りの2本の支柱7、8を支柱通し33、34に通し、それぞれの間隔および支柱5、6からの距離が最大となるように拡げた状態で、その下端側を植物2の外側の栽培土壌1に差し込む。
【0022】
これにより、各支柱5~8は、互いの間隔が最も広くなる状態で栽培土壌1面に対してほぼ直立し、その支柱5~8が挿通されている支柱通し31~34を介して、防虫ネット20は、植物2の上方位置で、ネット本体21が4角筒状の形状に展帳された状態で栽培土壌1の上方に立設されることになる。
【0023】
そして、この状態から図3の(d)の側面図のように、防虫ネット20の下縁を栽培土壌1に接する位置まで引き下げ、その縁部に土を被せたり重石を乗せる(共に図示せず)ことで、図3の(e)の側面図のように、栽培土壌1に植えた植物2の周りに、その植物2の生育に必要な透光性と通気性を有し、生育に害を与える虫の侵入をシート材の目地の大きさにより防ぐ育成空間を形成することができる。
【0024】
このように、実施形態の防虫ネット20であれば、予め支柱通し31~34に通した支柱5~8の間隔を拡げた状態で栽培土壌1に差し込むという簡単な作業を行なうだけで、栽培土壌に植えた植物の周りに防虫効果のある空間を形成することができる。
【0025】
しかも、各支柱5~8がネット本体21の側面外周部に形成された支柱通し31~34に通されていて、その互いの連結が堅固な状態で展帳されるから、風によるネット本体部21の立設位置や立設姿勢の変化を未然に防ぐことができ、長期にわたって安定な防虫効果が期待できる。
【0026】
なお、前記実施形態の支柱通し31~34は、ネット本体21の上面部21aから開口端まで連続しているが、これは本発明を限定するものではなく、各支柱通しを、上面部21aと開口端までの長さより短く形成してもよく、例えば、図4の防虫ネット20′のように、一直線状に同心配置した複数(この例では3つ)の分割式の支柱通し31a~31c、32a~32c、33a~33c(33b、33cは図示せず)、34a~34cによって各支柱5~8をそれぞれ挿通案内してもよい。
【0027】
また、図5に示す防虫ネット20″のように、ネット本体21′の側面部の下部側(開口面側)に、上部側より通気性の低い低通気性シート材21b′~21e′(例えば目地が無く通気性がない透明ビニールシート材や、上部側のシート材より目地の隙間が小さく透光性を有するネット材等)を用いてもよい。
【0028】
このように、ネット本体21の側面部の開口面側の通気性を他の部分(側面上部や上面部)より低くしたものであれば、例えば栽培土壌に植えたばかりで根付きが十分でなく背丈の低い植物への強風による被害を未然に防ぐことができる。なお、図5では、支柱通し31~34をネット本体21′の側面外周の上部側だけに設けていたが、図5の点線で示すように、通気性の低い開口側側面の外周部にも支柱通し31′~34′(33′は図示せず)を、支柱通し31~34とほぼ同心の位置に離れて形成してもよく、また支柱通し31′~34′を支柱通し31~34と連続するように形成してもよい。
【0029】
なお、図示していないが、前記したネット本体21、21′の開口面側の下端部外縁に、栽培土壌面に広い面で接触する方向に延びる固定補助片を設けておき、その固定補助片上に土や重石を乗せれば、栽培土壌に対して防虫ネット20をより確実に固定できる。
【0030】
また、上記したネット本体21、21′の形状、大きさ、支柱通し31~34の数、内径等は一例であり、本発明を限定するものではない。例えば、ネット本体21、21′の形状を、円筒状や3角筒状、5~8角筒状等にしてもよく、支柱通しの数や位置についても、ネット本体の側面外周部の角部だけでなく、その間の位置に設けてもよく、その内径も支柱を挿通案内できる大きさであれば任意である。
【符号の説明】
【0031】
1……栽培土壌、2……植物、5~8……支柱、20、20′、20″……園芸用防虫ネット、21、21′……ネット本体、21a……上面部、21b~21e……側面部、21b′~21e′……低通気性シート材、31~34……支柱通し
図1
図2
図3
図4
図5
図6