(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132764
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ファンブレード逆吹き型送風機用モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/14 20060101AFI20240920BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02K7/14 A
F04D29/66 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069963
(22)【出願日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】202310289670.9
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523151643
【氏名又は名称】深▲せん▼市若▲騰▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN RUOTENG TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】6th Floor, Building 3, Hengchangrong High tech Industrial Park, Hongtian Shangnan East Road, Shajing Street, Bao’an District, Shenzhen City, Guangdong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100216150
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 良樹
(72)【発明者】
【氏名】李祥▲勝▼
(72)【発明者】
【氏名】李▲麗▼▲敏▼
【テーマコード(参考)】
3H130
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC30
3H130BA13G
3H130CA13
3H130CA26
3H130DA02Z
3H130DD01X
3H130EA02G
5H607AA04
5H607DD01
5H607DD08
5H607FF04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】騒音を低減させたファンブレード逆吹き型送風機用モータを提供する。
【解決手段】送風機用モータは、外側ケースと、前記外側ケース内に設けられてキャビティを有する内側ケースと、径方向に沿って前記外側ケースと前記内側ケースとの間に設けられる複数のエアダクトプレートと、を含み、隣接する2つの前記エアダクトプレートの間に空気が流れるエアダクトが形成されており、前記エアダクトの一端部に吸い込み口、他端部に吹き出し口が形成されているケース1と、前記内側ケースにより画定されたキャビティに設けられるステータユニット2と、前記ステータユニット2の中心に部分的に設けられ、回転軸が前記ステータユニットから張り出すロータユニット3と、前記ロータユニット3の前記回転軸に接続され、前記吹き出し口に近い側に位置するファンブレード4と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ケース(11)と、前記外側ケース(11)内に設けられてキャビティを有する内側ケース(12)と、径方向に沿って前記外側ケース(11)と前記内側ケース(12)との間に設けられる複数のエアダクトプレート(13)と、を含み、隣接する2つの前記エアダクトプレート(13)の間に空気が流れるエアダクトが形成されており、前記エアダクトの一端部に吸い込み口(a)、他端部に吹き出し口(b)が形成されているケース(1)と、
前記内側ケース(12)により画定されたキャビティに設けられるステータユニット(2)と、
前記ステータユニット(2)の中心に部分的に設けられ、回転軸(31)が前記ステータユニット(2)から張り出すロータユニット(3)と、
前記ロータユニット(3)の前記回転軸(31)に接続され、前記吹き出し口(b)に近い側に位置するファンブレード(4)と、を含み、
気体が前記吸い込み口(a)から前記エアダクトに入り、前記エアダクトを経て前記ファンブレード(4)と前記外側ケース(11)との間の隙間から送り出されることを特徴とするファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【請求項2】
前記ファンブレード(4)は、
円柱形状を呈しているハブ(41)と、
前記ハブ(41)の周壁に間隔を空けて傾斜して設けられ、前記ハブ(41)の径方向外方に延びており、前記吹き出し口(b)に面する面が凹面(421)、前記吹き込み口に面する面が凸面(422)であるブレード(42)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【請求項3】
前記凹面(421)は、中間部が両側へ反った第1円弧状凹面(4211)と、それぞれ前記第1円弧状凹面(4211)の両側に位置し、前記凸面(422)に向かって折り曲げられた2つの円弧状エッジ(4212)と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【請求項4】
前記ブレード(42)の枚数は奇数個であることを特徴とする請求項2に記載のファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【請求項5】
前記ブレード(42)は13枚であることを特徴とする請求項4に記載のファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【請求項6】
前記エアダクトプレート(13)は直板で、前記吸い込み口(a)及び前記吹き出し口(b)に垂直であることを特徴とする請求項1に記載のファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【請求項7】
前記エアダクトプレート(13)は5枚であり、前記外側ケース(11)と前記内側ケース(12)との間において周方向に均等に分布していることを特徴とする請求項6に記載のファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【請求項8】
前記ステータユニット(2)は、プラスチック被覆鉄心(21)と、前記プラスチック被覆鉄心(21)の端部にキャッピングされるPCBユニット(22)と、を含み、
前記プラスチック被覆鉄心(21)は、プラスチックハウジングと、その内部にある鉄心及びコイルユニットと、を含み、前記PCBユニット(22)は電源に接続され、前記プラスチック被覆鉄心(21)に通電することを特徴とする請求項1に記載のファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【請求項9】
前記ロータユニット(3)は、前記回転軸(31)と、前記回転軸(31)に固定嵌合する磁気リング(32)と、第1軸受け(33)と、第2軸受け(34)と、弾性部材と、を含み、前記弾性部材は前記第1軸受け(33)と前記第2軸受けとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載のファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【請求項10】
前記弾性部材は、一端が前記第1軸受け(33)に当接し、他端が前記第2軸受け(34)に当接する圧縮ばねであることを特徴とする請求項9に記載のファンブレード逆吹き型送風機用モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高速モータの技術分野に関し、具体的には、ファンブレード逆吹き型送風機用モータに関する。
【背景技術】
【0002】
中国のモータ業界の急速な発展に伴い、モータ機器の使用者は、安定したモータ機器だけではなく、モータの騒音をより重視化しており、人々に更に快適な生活環境をつくることができるため、モータの騒音もモータの性能指標を評価する重要な要素の1つになっている。モータのロータはファンを備えており、回転するとモータの内部に空気の乱流が形成され、その一部だけが吹出口から吹き出され、吹き出される空気も乱流状態となるため、モータ効率が低く、モータの内部の乱流空気がシュラウドと送風共鳴を形成するため、騒音が極めて大きく、また、換気騒音もモータ回転速度の上昇に伴って増加する。
【0003】
公開番号CN111456956Aの中国発明特許出願に開示されている送風装置は、騒音が比較的小さいが、そのファンブレードが吸い込み口の一端に設置されており、空気は吸い込み口を経てエアダクトを通って吹き出し口から送り出されており、このため、そのファンブレードはやはりモータのエアダクトシステム全体に干渉をもたらしており、なお更なる改良が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の欠点及び欠陥に対して、ファンブレードの作動がモータエアダクトシステム全体に与える干渉を回避し、エアダクト利用システム全体のインピーダンスを低下させ、モータの高周波ハウリングを改善し、騒音を低減させ、人間の聴覚の快適性を向上させ、製品のユーザーエクスペリエンスを向上させるという利点があるファンブレード逆吹き型送風機用モータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成させるために、本発明が採用する技術的解決手段は以下のとおりである。ファンブレード逆吹き型送風機用モータであって、
外側ケースと、前記外側ケース内に設けられてキャビティを有する内側ケースと、径方向に沿って前記外側ケースと前記内側ケースとの間に設けられる複数のエアダクトプレートと、を含み、隣接する2つの前記エアダクトプレートの間に空気が流れるエアダクトが形成されており、前記エアダクトの一端部に吸い込み口、他端部に吹き出し口が形成されているケースと、
前記内側ケースにより画定されたキャビティに設けられるステータユニットと、
前記ステータユニットの中心に部分的に設けられ、回転軸が前記ステータユニットから張り出すロータユニットと、
前記ロータユニットの前記回転軸に接続され、前記吹き出し口に近い側に位置するファンブレードと、を含み、
気体が前記吸い込み口から前記エアダクトに入り、前記エアダクトを経て前記ファンブレードと前記外側ケースとの間の隙間から送り出される。
【0006】
本発明の更なる形態として、前記ファンブレードは、
円柱形状を呈しているハブと、
前記ハブの周壁に間隔を空けて傾斜して設けられ、前記ハブの径方向外方に延びており、前記吹き出し口に面する面が凹面、前記吹き込み口に面する面が凸面であるブレードと、を含む。
【0007】
本発明の更なる形態として、前記凹面は、中間部が両側へ反った第1円弧状凹面と、それぞれ前記第1円弧状凹面の両側に位置し、前記凸面に向かって折り曲げられた2つの円弧状エッジと、を含む。
【0008】
本発明の更なる形態として、前記ブレードの枚数は奇数個である。
【0009】
本発明の更なる形態として、前記ブレードは13枚である。
【0010】
本発明の更なる形態として、前記エアダクトプレートは直板で、前記吸い込み口及び前記吹き出し口に垂直である。
【0011】
本発明の更なる形態として、前記エアダクトプレートは5枚であり、前記外側ケースと前記内側ケースとの間において周方向に均等に分布している。
【0012】
本発明の更なる形態として、前記ステータユニットは、プラスチック被覆鉄心と、前記プラスチック被覆鉄心の端部にキャッピングされるPCBユニットと、を含み、
前記プラスチック被覆鉄心は、プラスチックハウジングと、その内部にある鉄心及びコイルユニットと、を含み、前記PCBユニットは電源に接続され、前記プラスチック被覆鉄心に通電する。
【0013】
本発明の更なる形態として、前記ロータユニットは、前記回転軸と、前記回転軸に固定嵌合する磁気リングと、第1軸受けと、第2軸受けと、弾性部材と、を含み、前記弾性部材は前記第1軸受けと前記第2軸受けとの間に位置する。
【0014】
本発明の更なる形態として、前記弾性部材は、一端が前記第1軸受けに当接し、他端が前記第2軸受けに当接する圧縮ばねである。
【発明の効果】
【0015】
上記の技術的解決手段によれば、本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明では、ファンブレードが吹き出し口に近い側に設けられることにより、この送風機用モータが作動するときに、気体は吸い込み口からエアダクトに入り、エアダクトを経てファンブレードと外側ケースとの間の隙間から送り出され、ファンブレード逆吹きのようなデザインにより、ファンブレードの作動がモータエアダクトシステム全体に与える干渉を回避し、エアダクト利用システム全体のインピーダンスを低下させ、モータの高周波ハウリングを改善し、騒音を低減させ、人間の聴覚の快適性を向上させ、製品のユーザーエクスペリエンスを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0018】
この特定実施例は本発明を解釈するものに過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者は、本明細書に基づいて必要に応じて本実施例に創造的に寄与しない修正を行うことができ、これらの修正は本発明の特許請求の範囲に含まれるものである限り、特許法により保護される。
【0019】
本実施例は、
図1~
図6に示すように、ケース1と、ステータユニット2と、ロータユニット3と、ファンブレード4とを含むファンブレード逆吹き型送風機用モータに関する。
【0020】
ケース1は、外側ケース11、外側ケース11内に設けられてキャビティを有する内側ケース12と、径方向に沿って外側ケース11と内側ケース12との間に設けられる複数のエアダクトプレート13と、を含む。隣接する2つのエアダクトプレート13の間に空気が流れるエアダクトが形成されており、エアダクトの一端部には吸い込み口a、他端部には吹き出し口bが形成されている。ステータユニット2は内側ケース12により画定されたキャビティに設けられる。ロータユニット3はステータユニット2の中心に部分的に設けられ、ロータユニット3の回転軸31はステータユニット2から張り出す。ファンブレード4はロータユニット3の回転軸31に接続され、吹き出し口bに近い側に位置する。
【0021】
ファンブレード4が吹き出し口bに近い側に設けられることにより、この送風機用モータが作動するときに、気体は吸い込み口aからエアダクトに入り、エアダクトを経てファンブレード4と外側ケース11との間の隙間から送り出され、ファンブレード4の逆吹きのようなデザインにより、ファンブレード4の作動がモータエアダクトシステム全体に与える干渉を回避し、エアダクト利用システム全体のインピーダンスを低下させ、モータの高周波ハウリングを改善し、騒音を低減させ、人間の聴覚の快適性を向上させ、製品のユーザーエクスペリエンスを向上させる。
【0022】
具体的には、本実施例では、
図3に示すように、ファンブレード4は、ハブ41とブレード42を含む。ハブ41は円柱形状を呈している。ブレード42は、ハブ41の周壁に間隔を空けて傾斜して設けられ、ハブ41の径方向外方に延びている。ブレード42の吹き出し口bに面する面は凹面421であり、ブレード42の前記吹き込み口に面する面は凸面422である。凹面421は吹き出しを行い、凸面422は吹き込みを行う。
【0023】
より具体的には、凹面421は、中間部が両側へ反った第1円弧状凹面4211と、それぞれ第1円弧状凹面4211の両側に位置し、凸面422に向かって折り曲げられた2つの円弧状エッジ4212と、を含む。
【0024】
本実施例では、ブレード42は13枚であり、奇数枚のブレード42を採用することにより、共鳴が起こりにくい。
【0025】
具体的には、本実施例では、
図6に示すように、エアダクトプレート13は、吸い込み口a及び吹き出し口bに垂直な直板である。エアダクトプレート13は5つであり、外側ケース11と前記内側ケース12との間において周方向に均等に分布している。エアダクトプレート13は直板であるため、第1吹き込み口と第2吹き込み口との間のエアダクトはストレートなリブとして設計され、これにより、吹き込み側のシステムインピーダンスによる干渉を低減させ、エアダクトインピーダンスを低下させることにより騒音低減を図る。
【0026】
本実施例では、
図4に示すように、ステータユニット2は、プラスチック被覆鉄心21と、プラスチック被覆鉄心21の端部にキャッピングされるPCBユニット22と、を含み、プラスチック被覆鉄心21はプラスチックハウジングと、その内部にある鉄心及びコイルユニットと、を含み、PCBユニット22は電源に接続され、プラスチック被覆鉄心21に通電する。
【0027】
本実施例では、
図5に示すように、ロータユニット3は、回転軸31と、回転軸31に固定嵌合する磁気リング32と、第1軸受け33と、第2軸受け34と、弾性部材と、を含む。弾性部材は第1軸受け33と第2軸受けとの間に位置する。好ましい形態として、弾性部材は、一端が第1軸受け33に当接し、他端が第2軸受け34に当接する圧縮ばねである。もちろん、別のいくつかの実施例では、弾性部材は、ゴムリングなど、弾性ポテンシャルエネルギーが圧縮・復元可能な要素であってもよい。
【0028】
本発明の動作原理はおおよそ次のとおりである。PCBユニット22は電源に接続されることにより、プラスチック被覆鉄心21に通電し、電磁効果により、ステータユニット2は回転駆動され、ファンブレード4を回転させる。回転中、気体は吸い込み口aからエアダクトに入り、エアダクトを経てファンブレード4と外側ケース11との間の隙間から送り出される。ファンブレード4の逆吹きのようなデザインにより、ファンブレード4の作動がモータエアダクトシステム全体に与える干渉を回避し、エアダクト利用システム全体のインピーダンスを低下させ、モータの高周波ハウリングを改善し、騒音を低減させ、人間の聴覚の快適性を向上させ、製品のユーザーエクスペリエンスを向上させる。
【0029】
以上は限定的ではなく、本発明の技術的解決手段を説明するものであり、当業者が本発明の技術的解決手段について行うすべての他の修正又は均等な置換は、本発明の技術的解決手段の精神及び範囲を逸脱しない限り、本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0030】
1、ケース
11、外側ケース
12、内側ケース
13、エアダクトプレート
a、吸い込み口
b、吹き出し口
2、ステータユニット
21、プラスチック被覆鉄心
22、PCBユニット
3、ロータユニット
31、回転軸
32、磁気リング
33、第1軸受け
34、第2軸受け
4、ファンブレード
41、ハブ
42、ブレード
421、凹面
422、凸面
4211、第1円弧状凹面
4212、円弧状エッジ
a、吸い込み口
b、吹き出し口