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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132771
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20220101AFI20240920BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20240920BHJP
   D06F 58/00 20200101ALI20240920BHJP
【FI】
F24H3/04 302
B01D53/26 100
D06F58/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076986
(22)【出願日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2023041544
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕香
(72)【発明者】
【氏名】花島 翔大
(72)【発明者】
【氏名】野口 翔
【テーマコード(参考)】
3B168
3L028
4D052
【Fターム(参考)】
3B168AA24
3B168AE04
3B168AE05
3B168BA83
3L028AA03
3L028BA03
3L028BD01
4D052AA08
4D052AA10
4D052BA04
4D052BB00
4D052BB02
4D052BB04
4D052BB06
4D052BB09
4D052FA01
4D052FA02
4D052FA03
4D052GA01
4D052GA02
4D052GA03
4D052GB02
4D052GB03
4D052GB07
4D052GB08
4D052GB09
(57)【要約】
【課題】連動運転時に除湿ユニット側でサーキュレータ側の駆動部の動作有無が判断可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】除湿ユニット側制御部70は、一体での連動運転時にサーキュレータ3側の駆動部の動作有無で変動する所定の検出値に基づき、サーキュレータ3側の駆動部の動作有無を判断することで、サーキュレータ3側の駆動部が正常に動作しているか判断できるので、除湿ユニット2とサーキュレータ3とに制御信号を双方向通信可能な構成を設置するといったコストアップを伴う手段の必要がなくなるため、除湿機1の製品性が向上する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ユニットと、
当該空調ユニットに載置され、前記空調ユニットと連動する連動運転を行う送風ユニットと、を備える空気調和機であって、
前記空調ユニットは、
筐体と、
前記筐体に収容され、指示を受けて動作する空調側駆動部と、
前記連動運転の制御信号を送信する送信部と、
前記連動運転時における前記空調側駆動部の動作を制御する空調側制御部と、を有し、
前記送風ユニットは、
送風部と、
当該送風部に収容され、指示を受けて動作する送風側駆動部と、
前記送信部から送信された前記制御信号を受信する受信部と、
当該受信部で受信した前記制御信号に基づき前記送風側駆動部の動作を制御する送風側制御部と、を有し、
前記空調側制御部は、前記連動運転時に前記送風側駆動部の動作有無で変動する所定の検出値に基づき、前記送風側駆動部の動作有無を判断することを特徴とした空気調和機。
【請求項2】
前記空調側駆動部は、前記筐体に形成された吸込口から吸い込んだ空気を吹出口へ送風する空調側ファンと、前記吹出口から送風される空気を加熱する加熱ヒータと、を含み、
前記送風側駆動部は、前記吹出口から送風される空気を吸い込んで送風する送風側ファンを含み、
前記空調ユニットは、前記吹出口から送風される空気の温度を検出する送風温度センサを有し、
前記所定の検出値は、前記連動運転時における前記送風温度センサで検出される温度であり、
前記空調側制御部は、前記連動運転時に前記空調側ファン、及び前記加熱ヒータを駆動させ、前記送信部から前記送風側ファンを駆動させることを含む前記制御信号を送信した後、前記送風温度センサでの検知値である第1の温度の記憶、及び前記加熱ヒータが駆動した時点からの経過時間のカウントを開始し、前記経過時間のカウントが所定時間以上になったと判断したら、前記送風温度センサでの検知値である第2の温度を記憶し、前記第1の温度と前記第2の温度との温度差が所定値以上だと判断したら、前記送風側ファンが駆動していないと判断すると共に前記加熱ヒータの駆動を停止することを特徴とした請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記送風部は、前記送風側駆動部に含まれ所定方向に沿う首振り軸と接続し所定範囲内で首振りする首振りモータを収容し、
前記送風側制御部は、前記送風側ファンの駆動状態を検知するファン駆動検知手段を有し、
前記送風側制御部は、前記連動運転で前記加熱ヒータが駆動するとき、前記送信部から送信された前記送風側ファンを駆動させることを含む前記制御信号を前記受信部で受信した後、前記ファン駆動検知手段で前記送風側ファンが所定の回転数以上で駆動していることを検知できなければ、前記空調ユニットからの送風の圧損が大きくなる位置に前記送風部を首振りするよう、前記首振りモータを制御することを特徴とした請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記空調側制御部は、前記温度差が所定値以上だと判断し、前記加熱ヒータの駆動を停止した後、所定の冷却時間だけ前記空調側ファンを駆動することを特徴とした請求項2又は3記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空調ユニットは、前記空調ユニットから前記送風ユニットへの電源供給ラインに配置された抵抗成分の両端の電圧値を検出する電圧値検出手段を有し、
前記所定の検出値は、前記連動運転時における前記電圧値検出手段で検出される電圧値であり、
前記空調側制御部は、前記連動運転時に前記送信部から前記送風側駆動部を動作させることを含む前記制御信号を送信した後、前記抵抗成分の両端の電圧値の変動が所定値以下だと判断したら、前記送風側駆動部が動作していないと判断することを特徴とした請求項1記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ユニットに対して連動して運転する送風ユニットを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空調ユニットに載置される送風ユニットを備え、空調ユニットと送風ユニットのそれぞれが有する駆動部が動作し連動する連動運転を実施する空気調和機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61-25536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、連動運転の実施時、送風ユニット側の駆動部の動作を含む制御信号を空調ユニットから送風ユニットに対して一方向に送信する構成の場合、送風ユニット側で制御信号が受信できなければ前記送風ユニット側の駆動部が動作せず連動運転が成立しない。このとき、空調ユニットは送風ユニットに対して一方向に制御信号を送信する構成なので、送風ユニット側の駆動部が動作していないことを把握することができず、連動運転が成立していないことについて何ら対応できない。
【0005】
空調ユニットと送風ユニットとが双方向に制御信号を通信可能な構成にすれば、連動運転時に送風ユニット側の駆動部が動作していない場合、送風ユニット側から空調ユニット側へ送風ユニット側の駆動部の動作不良を含む制御信号を送信することができるため、送風ユニット側の駆動部の動作有無を空調ユニット側だけで判断できる。
しかし、双方向通信が可能な構成は製品のコストアップ要因となり好ましくないことから、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、空調ユニットと、
当該空調ユニットに載置され、前記空調ユニットと連動する連動運転を行う送風ユニットと、を備える空気調和機であって、
前記空調ユニットは、
筐体と、
前記筐体に収容され、指示を受けて動作する空調側駆動部と、
前記連動運転の制御信号を送信する送信部と、
前記連動運転時における前記空調側駆動部の動作を制御する空調側制御部と、を有し、
前記送風ユニットは、
送風部と、
当該送風部に収容され、指示を受けて動作する送風側駆動部と、
前記送信部から送信された前記制御信号を受信する受信部と、
当該受信部で受信した前記制御信号に基づき前記送風側駆動部の動作を制御する送風側制御部と、を有し、
前記空調側制御部は、前記連動運転時に前記送風側駆動部の動作有無で変動する所定の検出値に基づき、前記送風側駆動部の動作有無を判断することを特徴とした。
【0007】
また、請求項2では、前記空調側駆動部は、前記筐体に形成された吸込口から吸い込んだ空気を吹出口へ送風する空調側ファンと、前記吹出口から送風される空気を加熱する加熱ヒータと、を含み、
前記送風側駆動部は、前記吹出口から送風される空気を吸い込んで送風する送風側ファンを含み、
前記空調ユニットは、前記吹出口から送風される空気の温度を検出する送風温度センサを有し、
前記所定の検出値は、前記連動運転時における前記送風温度センサで検出される温度であり、
前記空調側制御部は、前記連動運転時に前記空調側ファン、及び前記加熱ヒータを駆動させ、前記送信部から前記送風側ファンを駆動させることを含む前記制御信号を送信した後、前記送風温度センサでの検知値である第1の温度の記憶、及び前記加熱ヒータが駆動した時点からの経過時間のカウントを開始し、前記経過時間のカウントが所定時間以上になったと判断したら、前記送風温度センサでの検知値である第2の温度を記憶し、前記第1の温度と前記第2の温度との温度差が所定値以上だと判断したら、前記送風側ファンが駆動していないと判断すると共に前記加熱ヒータの駆動を停止することを特徴とした。
【0008】
また、請求項3では、前記送風部は、前記送風側駆動部に含まれ所定方向に沿う首振り軸と接続し所定範囲内で首振りする首振りモータを収容し、
前記送風側制御部は、前記送風側ファンの駆動状態を検知するファン駆動検知手段を有し、
前記送風側制御部は、前記連動運転で前記加熱ヒータが駆動するとき、前記送信部から送信された前記送風側ファンを駆動させることを含む前記制御信号を前記受信部で受信した後、前記ファン駆動検知手段で前記送風側ファンが所定の回転数以上で駆動していることを検知できなければ、前記空調ユニットからの送風の圧損が大きくなる位置に前記送風部を首振りするよう、前記首振りモータを制御することを特徴とした。
【0009】
また、請求項4では、前記空調側制御部は、前記温度差が所定値以上だと判断し、前記加熱ヒータの駆動を停止した後、所定の冷却時間だけ前記空調側ファンを駆動することを特徴とした。
【0010】
また、請求項5では、前記空調ユニットは、前記空調ユニットから前記送風ユニットへの電源供給ラインに配置された抵抗成分の両端の電圧値を検出する電圧値検出手段を有し、
前記所定の検出値は、前記連動運転時における前記電圧値検出手段で検出される電圧値であり、
前記空調側制御部は、前記連動運転時に前記送信部から前記送風側駆動部を動作させることを含む前記制御信号を送信した後、前記抵抗成分の両端の電圧値の変動が所定値以下だと判断したら、前記送風側駆動部が動作していないと判断することを特徴とした。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、連動運転時に送風側駆動部の動作有無で変動する所定の検出値に基づき、送風側駆動部の動作有無を判断するので、連動運転時に空調ユニットから送風ユニットへ連動運転時における送風ユニット側の駆動部の動作指示を含む制御信号を一方向に送信する構成であっても、連動運転時における送風ユニット側の駆動部の動作有無が除湿ユニット側だけで判断できるため、製品のコストアップが阻止でき製品性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における除湿機の一体時における正面から見た外観斜視図。
図2】本実施形態における除湿機の一体時における背面から見た外観斜視図。
図3】サーキュレータ付除湿機の一体時における縦断面図。
図4】サーキュレータ付除湿機の一体時における分解斜視図。
図5】サーキュレータ付除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図6図5の機能ブロックのうち、各電源部を特に説明するための概略的な機能ブロック図。
図7】分離時におけるサーキュレータの正面から見た外観斜視図。
図8】分離時におけるサーキュレータの背面から見た外観斜視図。
図9】分離時における除湿機の使用状態の一例を示す外観斜視図。
図10】サーキュレータにおいてサーキュレータ側制御部により実行される制御信号無効処理を説明するフローチャート。
図11図10の処理に対応する除湿機で実行されるシーケンス図。
図12】本実施形態の除湿ユニット側における一体での連動運転で加熱ヒータが駆動した場合の動作を説明するフローチャート。
図13】本実施形態のサーキュレータ側における一体での連動運転で加熱ヒータが駆動した場合の動作を説明するフローチャート。
図14】他の実施形態におけるサーキュレータ付除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図15図14の機能ブロックのうち、各電源部を特に説明するための概略的な機能ブロック図。
図16】他の実施形態の除湿ユニット側における一体での連動運転でサーキュレータ側の駆動部の動作有無判断を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿し、送風するサーキュレータ付除湿機に適用して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における正面から見た外観斜視図である。
図2は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における背面から見た外観斜視図である。
図3は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における縦断面図である。
図4は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における分解斜視図である。
図5は、サーキュレータ付除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
図6は、図5の機能ブロックのうち、各電源部83、183を特に説明するための概略的な機能ブロック図である。
図7は、分離時におけるサーキュレータ3の正面から見た外観斜視図である。
図8は、分離時におけるサーキュレータ3の背面から見た外観斜視図である。
図9は、分離時における除湿機1の使用状態の一例を示す外観斜視図である。
【0015】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。除湿ユニット側操作部74が設けられている前方を向く面を正面、後方を向く正面と反対の面を背面という場合がある。また、前後左右方向に沿う方向を、水平方向とする。サーキュレータ3の前後上下左右の定義は、サーキュレータ3が除湿ユニット2へ取り付けられた場合(以下単に「一体時」という。)と、除湿ユニット2から分離された場合(以下単に「分離時」という。)とで、異なる場合があり、一体時においては図1から4の定義に従い、分離時においては図7及び8に従う場合がある。
【0016】
サーキュレータ付除湿機1(以下単に「除湿機1」という。)は、除湿(調和)した空気を吹き出す除湿ユニット2(空調ユニット)と、除湿ユニット2の上方に配置され、周囲の空気を吸い込んで送風するサーキュレータ3(送風ユニット)と、を有する。サーキュレータ3は、図4に示すように、除湿ユニット2(筐体10)に対して着脱可能であり、除湿ユニット2と連動又は独立して送風可能である。また、サーキュレータ3は、除湿ユニット2に対して一体又は分離して運転可能である。
【0017】
除湿ユニット2は、除湿ユニット2の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0018】
前枠11及び後枠12は、筐体10の前後方向のほぼ中央位置において上下方向に延びる接続線13を介して組み合わされ、筐体10の上面21及び底面22を繋ぐ、四面を有するほぼ角柱状の側面23をなす。前枠11及び後枠12は、それぞれ上端から水平方向内側に折れ曲がり形成される上面枠部24を有する。また、右側面23c、左側面23dとしての前枠11及び後枠12は、取っ手43が配置されるための取っ手切欠25を有する。取っ手切欠25は、右側面23c、左側面23dの上端かつ前後方向ほぼ中央位置に形成される。前枠11の前方を向く面は、側面23のうちの正面23aとなる。
【0019】
図2及び3に示すように、後枠12(背面23b)は、吸込口31と、タンク挿入口32と、電源コード口34と、を有する。吸込口31は、複数のスリット36を有し、外表面にフィルタ37及びフィルタケース38を有する。フィルタ37は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース38は、フィルタ37を吸込口31に固定する。タンク挿入口32は、吸込口31の下方に配置され、ここからドレンタンク69が挿入され、また取り出される。電源コード口34は、後枠12の右下方に配置され、除湿ユニット側制御部70に接続された電源コード4が電源コード口34から筐体10外部に引き回される。
【0020】
上面板14は、上方に面する基部14aと、基部14aの周縁から下方に延びる周壁部14bと、を有する。上面板14は、上面枠部24の内縁が形成する開口24a(図3)を覆うように配置される。基部14aは、上述した上面枠部24と共に、筐体10の上方に面する面である上面21をなす。上面21においては、周壁部14bが上面枠部24に対する段差を形成することにより、基部14aが上面枠部24に対して上方に凸となる上面側凸部90(図4)として機能する。
【0021】
また、上面板14は、吹出口41と、導風壁42と、取っ手43と、左右吸込口凹部45と、を有する。
【0022】
図3及び4に示すように、吹出口41は、基部14aのほぼ中央位置に矩形状に形成される。吹出口41には、乾燥空気の吹出方向を制御可能なルーバ48と、ルーバ48を駆動するルーバモータ49(図5)と、が配置される。
【0023】
導風壁42は、上方視における吹出口41の外側で吹出口41を囲むようにして、基部14aに対して上方に所定量立ち上がる壁である。導風壁42は、吹出口41から吹き出される空気を上方のサーキュレータ3方向に導く。導風壁42は、筐体10の内部と接続された、吹出口41から吹き出される空気の通り道となる空間を形成する。
【0024】
取っ手43は、上面板14の左方及び右方の、前枠11及び後枠12の取っ手切欠25に対応する位置であって、右側面23c、左側面23dの上方に形成される。取っ手43は、右側面23c、左側面23dから左右方向内側に凹んだ取っ手凹部51及び指掛部52を有し、ユーザが除湿機1を運搬する際に利用される。
【0025】
左右吸込口凹部45は、後述する左右吸込口121を形成するための凹部である。左右吸込口凹部45は、指掛部52に関して取っ手凹部51(取っ手43)と左右方向において重なり合う位置に形成される。
【0026】
図3に示すように、ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12が下方に形成する開口22aを覆うように配置される。ベース15は、除湿機1の土台となり、床などの設置面に直接、又は脚部などを有する場合には間隙を介して面して設置される底面22となる。
【0027】
除湿ユニット2は、筐体10に収容される主な内部部品として、図3に示すように、ファンケース61と、シロッコファン62と、送風モータ63と、圧縮機65と、熱交換器66と、加熱ヒータ67と、ドレンパン68と、ドレンタンク69と、を有する。
【0028】
ファンケース61は、ベース15上に配置され、主にシロッコファン62、送風モータ63、及びドレンタンク69を支持したり位置決めしたりする。
【0029】
空調側ファンとしてのシロッコファン62は、空調側駆動部としての送風モータ63の回転により回転し、吸込口31から空気を吸い込み、吹出口41から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン62及び送風モータ63は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース61に取り付けられている。
【0030】
空調側駆動部としての圧縮機65は、ベース15上に固定されており、配管65a及び減圧装置を介して熱交換器66に接続される。
【0031】
熱交換器66は、吸込口31から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器66は、吸込口31に近い位置に配置される蒸発器66aと、蒸発器66aよりも前方に配置される凝縮器66bと、を有する。蒸発器66a及び凝縮器66bは、U字状の冷媒管66cにフィン66dが取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器である。冷媒管66cは、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部と、上下方向にU字に曲り2本の直線部をつなげる曲げ部と、を有し、この直線部と曲げ部とが冷媒管66cの長さ方向に渡って連続して現われる。
【0032】
圧縮機65、配管65a、減圧装置及び熱交換器66は、冷媒が流れる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機65、凝縮器66b、減圧装置、蒸発器66aを有する。冷媒は、蒸発器66aを流れる際に、蒸発器66aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器66bを流れる際に、凝縮器66bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口31から吸い込まれた空気は、フィルタ37で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器66aで冷却、除湿され、次いで凝縮器66bで加熱されて、低湿度の空気となる。
【0033】
空調側駆動部としての加熱ヒータ67は、凝縮器66bを通過した低湿度の空気を、吹出口41の前段で加熱する。
【0034】
ドレンパン68は、排水口を有し、蒸発器66aで発生し落下するドレン水を受け、この排水口から排出する。ドレンパン68は、熱交換器66を下方で支持し、固定する。
【0035】
ドレンタンク69は、ドレンパン68の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク69は、タンク挿入口32から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク69は、ファンケース61により形成されたタンク室に配置される。
【0036】
ドレンタンク69は、タンク蓋69aと、浮き収容部69bと、を有する。タンク蓋69aは、ドレンパン68の排水口からのドレン水をドレンタンク69内に落下させる。浮き収容部69bは、ドレンタンク69内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮きを収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、除湿ユニット側制御部70などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)などの水位センサ69cにより検出され、ドレンタンク69の満水をユーザに通知する。
【0037】
除湿ユニット2は、図5に示すように、さらに除湿ユニット側制御部70と、吸込温度センサ71と、湿度センサ72と、報知部73と、除湿ユニット側操作部74と、表示部75と、送風温度センサ88と、を有する。
【0038】
空調側制御部である除湿ユニット側制御部70は、ファンケース61の前方に、所要のケースに支持されて配置される制御基板である。
【0039】
除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側操作部74からの指示や予め記憶されたプログラムの入力信号に基づいて制御信号を出力し、ルーバモータ49、送風モータ63や圧縮機65、加熱ヒータ67、表示部75などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。除湿ユニット側制御部70は、一体時及び分離時において、サーキュレータ3の首振りモータ138などの各部も赤外線信号の送信により制御する。これにより、本実施形態においては、除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット2及びサーキュレータ3の連動運転を制御する。
【0040】
除湿ユニット側制御部70は、記憶部77、タイマ78、及び算出部79を有する。記憶部77は、各部の動作プログラムなどを記憶する。一方側計時手段としてのタイマ78は、ユーザが任意に設定した運転時間や予め設定された上限となる所定時間(例えば24時間)だけサーキュレータ3との連動運転の経過時間をカウントする。一方側残り時間算出手段としての算出部79は、タイマ78でカウントしたタイマ運転の経過時間をタイマ運転の所定時間から減じてタイマ運転の残り時間を算出する。
【0041】
吸込温度センサ71及び湿度センサ72は、除湿ユニット2の吸込口31に設けられ、除湿ユニット2の周囲温度及び湿度を計測する。除湿ユニット側制御部70は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。報知部73は、除湿ユニット側制御部70の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音などを出力する。
【0042】
除湿ユニット側操作部74及び表示部75は、筐体10の正面23a(側面23、前枠11)側における上方であって、左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。除湿ユニット側操作部74及び表示部75は、除湿ユニット側操作部74、表示部75及び除湿ユニット側通信部82用の、正面23aにほぼ平行に配置される制御基板70a上に配置される。除湿ユニット側操作部74は、例えば、運転スイッチ、タイマスイッチ、運転モード選択スイッチ、サーキュレータ3の動作を設定するためのスイッチ、などを実現する複数の入力ボタンを有する。表示部75は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0043】
送風温度センサ88は、除湿ユニット2の吹出口41に設けられ、除湿ユニット2から送風される空気の温度を検知する。除湿ユニット側制御部70は、送風温度センサ88での検知値に基づき加熱ヒータ67の駆動を制御する。詳細は後述する。
【0044】
除湿ユニット2は、さらに、サーキュレータ検出センサ81と、除湿ユニット側通信部82と、除湿ユニット側電源部83と、電源切替部84と、を有する。
【0045】
サーキュレータ検出センサ81は、除湿ユニット2(除湿ユニット2及びサーキュレータ3の一方)に配置され、除湿ユニット2及びサーキュレータ3が一体であるか又は分離しているかを示す着脱状態を検出する。サーキュレータ検出センサ81は、例えばサーキュレータ3の所定位置に配置された磁石の磁界を検出することによりサーキュレータ3の近接の有無を検出するリードスイッチ(近接センサ)である。
【0046】
サーキュレータ検出センサ81は、磁界の検出の有無を除湿ユニット側制御部70に出力する。除湿ユニット側制御部70は、取得した検出結果に基づいて、磁界の検出がある場合にはサーキュレータ3は一体となっており、検出がない場合には分離しているとして着脱状態を取得する。
【0047】
除湿ユニット側通信部82は、除湿ユニット側制御部70の制御に基づいてサーキュレータ3のサーキュレータ側通信部182に所要の赤外線信号(無線信号)を送信する赤外線アンテナである。除湿ユニット側通信部82は、図1に示すように、除湿ユニット側操作部74が形成されるパネル76内に設けられた赤外線を透過させる除湿ユニット側透過窓86から赤外線を送信する。
【0048】
除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側通信部82を介して、所要の情報をサーキュレータ3に送信する。具体的には、除湿ユニット側制御部70は、サーキュレータ検出センサ81の検出結果から取得した着脱状態に関する情報や、サーキュレータ3の運転を除湿ユニット2の運転に連動させるために必要な運転制御に関する情報を除湿ユニット側通信部82に送信させる。このため、本実施形態においては、除湿ユニット側通信部82は、連動運転を制御するための制御信号をサーキュレータ3に送信する送信部として機能する。
【0049】
図6に示すように、除湿ユニット側電源部83は、商用電源と接続された電源コード4から供給される交流電流を直流電流に変換し、除湿ユニット2の各部に供給する。
【0050】
電源切替部84は、商用電源から供給される交流電流を、電源出力端子87に供給するか否かを切り替える。電源出力端子87は、図4に示すように、サーキュレータ3の取付箇所となる上面21から上方に露出している。除湿ユニット側制御部70は、一体時においては、電源切替部84を閉じて電源出力端子87からサーキュレータ3の電源入力端子187に電源を供給する。一方、除湿ユニット側制御部70は、分離時においては、電源切替部84を開き、電源出力端子87に電源を供給しない。
【0051】
サーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、また分離時においては、周囲の空気を吸い込み、これらの空気を送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。
【0052】
サーキュレータ3は、台座部110と、送風部130と、を有する。送風部130は、台座部110に対して一体時における左右方向に沿う軸周りに首振り可能に支持されている。
【0053】
台座部110は、図1、7及び8などに示すように、台座部110内側に送風部130を収容可能な空間(一体時における上下方向に貫通する貫通孔)を形成する筒状のケーシングである。台座部110は、台座部底面111と、台座部側面112と、台座部上面113と、を有する。台座部側面112は、外側面及び内側面からなり、台座部底面111、台座部側面112及び台座部上面113で閉じて形成される内部空間115は、図3に示すように一部又は全てが中空である。
【0054】
台座部底面111は、上面枠部24が形成する上面21とほぼ同一の形状を有する枠状面である。台座部底面111は、一体時においては、上面枠部24に設置され上面枠部24に接触する面となる。
【0055】
また、台座部底面111は、図3及び8に示すように、台座部底面111の内周縁111aより内側に、サーキュレータ側凹部190を有する。サーキュレータ側凹部190は、上面板14の周壁部14bの上下方向長さに対応し、かつ上面側凸部90の形状に対応して、上方に凹んだ凹空間である。サーキュレータ側凹部190は、上面側凸部90の形状に対応しているため、一体時においては上面側凸部90と掛かり合う。この結果、台座部110は、上面側凸部90により設置面に平行な水平方向の移動、すなわち上面21上での移動が規制される。また、サーキュレータ3は単純な凹凸の掛かり合いにより筐体10に支持されているため、上方に持ち上げることにより簡単に取り外される。
【0056】
台座部側面112は、外周面の形状が筐体10の側面23の外周面の形状とほぼ同一である。すなわち、サーキュレータ3の台座部側面112は、一体時においては、除湿ユニット2の側面23と面一になり、筐体10と一体であるような外観を有する。台座部側面112は、左右吸込口121と、後吸込口122と、を有する。
【0057】
左右吸込口121は、台座部左右側面112cの、前後方向ほぼ中央位置に配置され、台座部左右側面112cの台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。左右吸込口121は、図2などに示すように、筐体10の側面23の取っ手43に対して、指掛部52に関して、又は上面枠部24と台座部底面111との境界線5に関してほぼ上下対称となる形状を有する。上述したように、上面板14には左右吸込口凹部45が形成されており、この左右吸込口凹部45に形成された空間と、左右吸込口121とが作用して、左右吸込口121を介して除湿機1の周囲と台座部110(台座部側面112)の内側とを接続する。
【0058】
台座部側面112は、図1に示すように、一体時において正面23aと同方向である前方に面し、台座部110の正面となる台座部正面112aを有する。また、一体時において後方に面し、台座部110の背面となる台座部背面112bを有する。
【0059】
後吸込口122は、台座部背面112bの、左右方向におけるほぼ中央位置に配置され、台座部背面112bの台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。後吸込口122は、筐体10の上面21の形状と作用して、後吸込口122を介して周囲と台座部110の内側とを接続する。
【0060】
台座部上面113は、前後方向において、後方からほぼ中央位置まで水平方向に平行な面113aと、ほぼ中央位置から前方にかけて下方に曲線的に傾斜する面113bと、からなる。台座部上面113は、このような構成から、一体時において台座部底面111の上方に位置し、上方(ほぼ上方)に面する面となる。台座部上面113は、後方に、曲線的な凹部113cを有する。凹部113cは、一体時におけるサーキュレータ3からの送風を台座部110が妨げることなく、送風路を形成するために形成される。
【0061】
送風部130は、カバー131と、ファンモータ135と、ファン136と、を有する。
【0062】
カバー131は、ユーザの指などをファン136から保護するための骨状の部材である。カバー131は、ファン136の吸込側(上流側)を覆い吸込面となる、例えばほぼ半球状の吸込側カバー131aと、ファン136の吹出側(下流側)を覆い吹出面となる平面状の吹出側カバー131bと、を有する。吸込側カバー131a及び吹出側カバー131bは、組み合わされて一体となる。一体時において吹出側カバー131bがほぼ水平方向に沿う送風部130の姿勢であって、ファン136の回転軸が上下方向に沿う姿勢である図3の姿勢(以下単に「停止姿勢という」。)において、吸込側カバー131aは、下方に面する中心位置に上方に凹となり形成されるモータ支持部131cを有する。
【0063】
送風側駆動部としてのファンモータ135及び送風側ファンとしてのファン136は、停止姿勢において、ファンモータ135(ファン136)の回転軸が上下方向に沿い、カバー131をなす球体の中心を通るようにカバー131の内部に収容される。ファンモータ135は、回転軸周りにファン136を回転させる。ファン136は、吸込側カバー131aから吸い込まれた吹出口41から吹き出される空気や除湿機1の外側から吸込側カバー131aに吸い込まれた空気を吹出側カバー131bから送風する。
【0064】
送風部130は、台座部110に対して、ファン136からの吹出方向が吹出口41から吹き出された空気の吹出方向であるほぼ上方にほぼ一致する、停止姿勢で支持される。また、送風部130は、首振りモータ138により一体時の停止姿勢から左右方向(所定方向)に沿う首振り軸周りに所定範囲内の角度で首振り可能なように、台座部110に支持されている。送風側駆動部としての首振りモータ138は、台座部110の内部空間115に配置される。首振りモータ138は、首振り軸をサーキュレータ3の前後方向のほぼ中央位置に配置する。また首振り軸は、半球状の吸込側カバー131aをなす球体の中心を通る。また、首振り軸は、ファン136の回転軸に直交する。
【0065】
サーキュレータ3は、さらに、サーキュレータ側制御部170と、サーキュレータ側操作部174と、サーキュレータ側通信部182と、サーキュレータ側電源部183と、を有する。
【0066】
送風側制御部としてのサーキュレータ側制御部170は、台座部110の内部空間115に配置される制御基板(図3)である。サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70又はサーキュレータ側操作部174からの入力信号に基づいてファンモータ135及び首振りモータ138を電気的に制御する。本実施形態においては、サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70(除湿ユニット側通信部82)から受信した制御信号に基づいてサーキュレータ3を制御する送風側制御部として機能する。
【0067】
サーキュレータ側操作部174は、台座部正面112aの左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。サーキュレータ側操作部174は、除湿ユニット側操作部74同様に、台座部正面112aにほぼ平行に配置される制御基板170a上に配置される。制御基板170aは、サーキュレータ側操作部174及びサーキュレータ側通信部182用の制御基板である。サーキュレータ側操作部174の制御基板170aは、除湿ユニット側操作部74の制御基板70aに対して上方視においてほぼ重なり合う位置又は可能な限り近い位置に配置される。サーキュレータ側操作部174は、例えば、運転スイッチ及び首振りスイッチなどを実現する複数の入力ボタンを有する。特に、本実施形態においては、サーキュレータ側操作部174は、サーキュレータ側制御部170にサーキュレータ3の運転の停止又は開始のユーザ指示を入力する送風側操作部として機能する。
【0068】
サーキュレータ側制御部170は、記憶部177、タイマ178、算出部179、及び回転数検知部180を有する。記憶部177は、各部を制御するために必要なプログラムや情報などを記憶する。他方側計時手段としてのタイマ178は、ユーザが任意に設定した運転時間や予め設定された上限となる所定時間(例えば24時間)だけ除湿ユニット2との連動運転の経過時間をカウントする。他方側残り時間算出手段としての算出部179は、タイマ178でカウントしたタイマ運転の経過時間をタイマ運転の所定時間から減じてタイマ運転の残り時間を算出する。ファン駆動検知手段としての回転数検知部180は、ファンモータ135駆動時における回転数のフィードバック値と、除湿ユニット2の吹出口41から十分な量の空気を吸い上げて送風可能な所定の回転数とを比較し、ファンモータ135が正常に駆動しているかを検知する。
【0069】
サーキュレータ側通信部182は、サーキュレータ側制御部170の制御に基づいて除湿ユニット側通信部82から送信される所要の赤外線信号(無線信号)を受信する赤外線アンテナである。本実施形態においては、サーキュレータ側通信部182は、送信部としての除湿ユニット側通信部82から送信された制御信号を受信する受信部として機能する。サーキュレータ側通信部182は、例えば台座部110の台座部上面113に設けられた赤外線を透過させるサーキュレータ側透過窓186から赤外線を受信する。サーキュレータ側透過窓186及び除湿ユニット側透過窓86は、例えば台座部上面113及び前枠11のサーキュレータ側透過窓186及び除湿ユニット側透過窓86が形成される領域を薄肉にする又は赤外線の透過率の高い材料で形成することなどにより実現される。
【0070】
図6に示すように、サーキュレータ側電源部183は、電源入力端子187から供給される交流電流を直流電流に変換し、サーキュレータ3の各部に供給する。電源入力端子187は、図8に示すように、一体時において除湿ユニット2の上面21から露出した電源出力端子87に直接接続可能な位置に配置される。
【0071】
サーキュレータ側電源部183は、一体時においては、除湿ユニット2の電源出力端子87と直接接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。また、分離時においては、商用電源に接続された電源コード8(図9)と接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。電源入力端子187への電源出力端子87及び電源コード8の端子の接続は、例えば磁力を利用して引き合うことによりユーザの端子接続動作を容易にすることができる。
【0072】
このようなサーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、これらの空気を上方に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。また、サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸周りに交互に前後方向に吹出面を向けるように首振りしながら運転する。
【0073】
また、サーキュレータ3は、分離時においては、除湿ユニット2に対して所定距離を隔てて配置される(図9)。その際、サーキュレータ3は、台座部背面112bが床などの設置面に面し(設置され)、台座部正面112aが上方に面し、また台座部上面113が除湿ユニット2に面するように、一体時から90度起立させて配置され使用される。このように配置されたサーキュレータ3は、周囲の空気を背面となる台座部底面111側から吸い込み、これらの空気を正面となる台座部上面113側に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。また、サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸周りに上下方向に首振りしながら運転する。
【0074】
このような除湿機1は、サーキュレータ3を一体にして運転することにより、除湿ユニット2で除湿されたほとんどの空気をサーキュレータ3が吸い込み、除湿空気を好適に送風することができることから、除湿効率を向上させることができる。また、除湿機1は、サーキュレータ3を分離して運転することにより、例えば以下のような用途において好適に使用される。
【0075】
室内に干された洗濯物を乾燥させるために除湿機1が使用される場合、除湿機1を洗濯物の直下において使用することにより洗濯物を効率的に乾燥させることができる。その際、除湿機1と洗濯物が重なり合わないように除湿機1を配置することが好ましい。しかしながら、物干しの高さの都合や洗濯物の種類によっては、除湿機1を洗濯物の直下に配置することが困難となる場合があり、洗濯物に重なり合わないように洗濯物から離れた位置に除湿機1を配置しなければならない。これに対し本実施形態における除湿機1は、除湿機1の上方に配置されたサーキュレータ3を取り外し、設置面に別途配置することができる。このため、除湿機1が洗濯物と重なり合う場合には、サーキュレータ3を分離し、除湿機1の高さを低くしての使用が可能であり、状況に応じて使い勝手のよい除湿機1を実現できる。
【0076】
ここで、本実施形態における除湿機1は、上述したように、除湿ユニット2及びサーキュレータ3が物理的に分離した分離時においても、除湿ユニット側制御部70が除湿ユニット側通信部82及びサーキュレータ側通信部182を介してサーキュレータ側制御部170に制御信号を送信することにより、周囲の環境に適した運転を行うことができる。
【0077】
具体的には、除湿ユニット側制御部70が取得した、吸込温度センサ71や湿度センサ72から得られる周囲の温度や湿度に基づいて、除湿ユニット2からの除湿空気の送風量(送風モータ63の回転数)や温度、サーキュレータ3の送風量、除湿機1の運転時間などを決定し、これに適した制御を除湿ユニット2及びサーキュレータ3を連動させて実行することができる。
【0078】
これら温度や湿度の取得、周囲の環境に応じた好適な制御内容の決定を除湿ユニット側制御部70及びサーキュレータ側制御部170が個別に行うこともできるが、除湿ユニット側制御部70及びサーキュレータ側制御部170の双方に高性能な制御基板を用いる必要が生じたり、相互に連携を図るための処理の複雑化を招いたりするおそれもある。そこで、本実施形態における除湿機1は、連動運転時においては、除湿ユニット側制御部70が除湿機1を全体的に制御すべくサーキュレータ3の制御も除湿ユニット側制御部70が行うことにより、上記課題に対応した。以下、除湿ユニット側制御部70が、除湿ユニット2及びサーキュレータ3を連動させて運転するために、サーキュレータ側制御部170に制御信号を送信しサーキュレータ側制御部170がこの制御信号に基づいて運転することを「連動運転」という。
【0079】
ここで、除湿機1は、サーキュレータ3にも運転の停止や開始の指示を入力するためのサーキュレータ側操作部174を、除湿ユニット側操作部74とは別に設けた。これにより、除湿機1は、分離時において、除湿ユニット2から離れたサーキュレータ3に対する操作の入力についてのユーザの使用性も担保することができる。しかしながら、連動運転の実行中にサーキュレータ側操作部174からサーキュレータ3の運転を停止する指示が入力された場合、除湿ユニット2との連携が図れなくなってしまい、不具合が生じるおそれがある。例えば、除湿機1の運転の停止に所定時間のタイマが設定されている場合、サーキュレータ側操作部174を介してサーキュレータ3の運転が停止されてしまうと、その後、サーキュレータ側操作部174を介してサーキュレータ3の運転が開始された場合には、タイマ満了までの時間が共有できず、除湿ユニット2が停止したにもかかわらずサーキュレータ3が運転を継続してしまうおそれがある。
【0080】
また、連動運転中に、サーキュレータ側操作部174を介してサーキュレータ3の運転の停止及び再開が順次行われると、本来であれば除湿ユニット側制御部70の制御に基づいた連動運転により、好適な空調が可能であるにもかかわらず、除湿ユニット2からの指示が反映されないまま、サーキュレータ3が独立して運転されてしまうおそれもある。
【0081】
そこで、本実施形態における除湿機1は、一層の空調効率の向上を目的として、好適に連動運転を行うために、連動運転中にサーキュレータ側操作部174からサーキュレータ3の運転の停止の指示が入力された場合、サーキュレータ側制御部170によって制御信号を無効とする処理を実行した。
【0082】
図10は、サーキュレータ3においてサーキュレータ側制御部170により実行される制御信号無効処理を説明するフローチャートである。
【0083】
図11は、図10の処理に対応する除湿機1で実行されるシーケンス図である。
【0084】
この制御信号無効処理は、サーキュレータ3が除湿ユニット2から分離され、除湿ユニット側制御部70の制御に基づく連動運転を開始した(図11のステップS21)場合に実行される。また、除湿ユニット側制御部70は、連動運転のための制御信号を、制御内容に変更があった場合、及び所定周期(例えば1時間)で送信するものとする。送信内容は、例えば送風量や首振り角度などの各部の制御値や運転の停止、タイマ運転の残り時間である。
【0085】
ステップS1において、サーキュレータ側制御部170は、サーキュレータ側操作部174よりサーキュレータ3の運転を停止する指示を受け付けたか否かを判定する。サーキュレータ側制御部170は、運転を停止する指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS1のNO)、運転の停止の指示を受け付けるまで待機する。
【0086】
一方、サーキュレータ側制御部170は、運転を停止する指示を受け付けたと判定した場合(ステップS1のYES、ステップS22)、ステップS2において、サーキュレータ3の運転を停止する(ステップS23)。ステップS3において、サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70から受け付ける連動運転のための制御信号を無効とする(ステップS24)。上述したとおり、サーキュレータ側通信部182は、除湿ユニット側通信部82からの制御信号を受信するのみで送信はしないため、サーキュレータ3の運転が停止したことは除湿ユニット側制御部70は把握していない。また、除湿ユニット側制御部70は、サーキュレータ3が停止中においても、制御内容に変更があった場合、又は所定周期で、制御信号をサーキュレータ側制御部170に繰り返し送信している(ステップS25)。
【0087】
ステップS4において、サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70からの制御信号をサーキュレータ側通信部182において受信したか否かを判定する。サーキュレータ側制御部170は、制御信号を受信したと判定した場合(ステップS4のYES、ステップS25)、ステップS5において、受信した制御信号が、除湿ユニット2の停止に伴いサーキュレータ3を停止する指示に関するものであるか否かを判定する。サーキュレータ側制御部170は、サーキュレータ3を停止する指示に関するものではないと判定した場合(ステップS5のNO)、ステップS6において、受信した制御信号を記憶部177に記憶する(ステップS26)。
【0088】
受信判定ステップS4で制御信号を受信していないと判定した場合(ステップS4のNO)及び制御信号記憶ステップS6の後、ステップS7において、サーキュレータ側制御部170は、サーキュレータ側操作部174よりサーキュレータ3の運転を開始する指示を受け付けたか否かを判定する。サーキュレータ側制御部170は、運転を開始する指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS7のNO)、受信判定ステップS4に戻り以降の処理を繰り返す。
【0089】
一方、サーキュレータ側制御部170は、運転を開始する指示を受け付けたと判定した場合(ステップS7のYES、ステップS27)、ステップS8において、サーキュレータ側制御部170はサーキュレータ3の運転を開始する。このとき、サーキュレータ側制御部170は、記憶部177に記憶した、運転の停止中に受信した制御信号に基づいて運転を開始する(ステップS28)。
運転開始ステップS8の後、ステップS9において、サーキュレータ側制御部170は、制御信号の無効を解除する(ステップS29)。これにより、サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70から送信される制御信号に基づいて、連動運転を行う。
また、停止判定ステップS5で受信した制御信号が除湿ユニット2の停止に伴うサーキュレータ3を停止する指示に関するものであると判定した場合(ステップS5のYES、ステップS25′)においても、ステップS9において、サーキュレータ側制御部170は、制御信号の無効を解除する(ステップS29′)。これにより、除湿ユニット2及びサーキュレータ3が停止した状態となり、連動運転を両者が終えた状態となると同時に、制御信号に基づく制御の無効が解除される。すなわち、サーキュレータ3は、受信した制御信号に基づいて運転可能となるため、次回の連動運転を不具合なくなく開始できる。
【0090】
このような除湿機1は、除湿ユニット2及びサーキュレータ3を好適に連動運転することができると共に、連動運転に伴い生じる課題をも好適に対応することができ、ユーザにとって使用性に優れている。すなわち、除湿機1は、連動運転を行う場合においては、除湿ユニット側制御部70の制御に基づいてサーキュレータ3も運転を行うが、サーキュレータ3側でサーキュレータ3の運転が停止された場合においては、除湿ユニット側制御部70からの制御信号は受信しつつもその制御信号に基づく制御は無効とした。これにより、除湿機1は、サーキュレータ3の運転が再開された場合であっても、受信した制御信号を参照できる。
【0091】
また、除湿機1は、サーキュレータ3の運転が再開された場合には、制御信号に基づく制御の無効を解除すると同時に、停止中に受信した制御信号に基づいて速やかに連動運転を再開できる。
【0092】
また、除湿機1は、除湿ユニット側制御部70が所定周期で制御信号を送信するため、除湿ユニット2及びサーキュレータ3の間の障害物の存在などに起因して、特に分離時において通信が不安定になりがちな状況においても制御信号が受信できないという事態を低減できる。
【0093】
次に、本実施形態における除湿機1の連動運転時、除湿ユニット2側でサーキュレータ3の駆動部の動作有無を判断する制御について説明する。
【0094】
除湿ユニット2とサーキュレータ3とで連動運転を開始する場合、ユーザが除湿ユニット側操作部74にある図示しない連動運転の開始スイッチを操作すると、除湿ユニット側通信部82から制御信号が送信され、当該制御信号をサーキュレータ側通信部182が受信することで、除湿ユニット2とサーキュレータ3の連動運転を実施する。
このとき、除湿ユニット側通信部82とサーキュレータ側通信部182との間に塵埃が挟まる等で、除湿ユニット側通信部82から送信された制御信号をサーキュレータ側通信部182が受信できず、サーキュレータ3側が連動運転の開始を認識できなかった場合、ファンモータ135及び首振りモータ138といったサーキュレータ3の駆動部が所定の動作をしない状態となる。
つまり、連動運転の開始指示がされ除湿ユニット2側の駆動部は所定の動作を実施するがサーキュレータ3側の駆動部は所定の動作を実施しないという、動作アンマッチが生じる。
【0095】
除湿ユニット2とサーキュレータ3とが一体で連動運転をするとき、洗濯物を乾燥させる等で加熱ヒータ67が駆動する場合、除湿ユニット2とサーキュレータ3とで駆動部の前記動作アンマッチが生じると問題がある。
すなわち、加熱ヒータ67により加熱された空気が除湿ユニット2側の吹出口41から送風されるが、連動運転時にサーキュレータ3側のファン136が駆動しないと、除湿ユニット2側の吹出口41から送風された空気を吸い上げて吹き出すことができず、サーキュレータ3側のファン136が駆動する場合と比較し除湿ユニット2側の吹出口41からの送風量が減少する。これにより、加熱ヒータ67で加熱され高温となった空気の除湿ユニット2内からの排出量が減り、加熱ヒータ67付近にある除湿ユニット2内の構成部材が高温状態に晒され、熱損傷が発生する虞がある。
さらに、除湿ユニット2の吹出口41の上方にサーキュレータ3が位置していることで、ファン136が駆動しなければ送風部130が吹出口41から送風する空気の圧損となってしまい、吹出口41からの送風量が減少することで加熱ヒータ67付近の除湿ユニット2内の構成部材の温度が高まりやすくなり、熱損傷が発生する可能性を高めてしまう。
【0096】
対して、除湿ユニット2とサーキュレータ3とを分離で連動運転させるとき、加熱ヒータ67が駆動した状態で除湿ユニット2とサーキュレータ3とで駆動部の前記動作アンマッチが生じても、加熱ヒータ67による構成部材の熱損傷は発生しない。
すなわち、分離時は除湿ユニット2上にサーキュレータ3は設置されておらず、吹出口41からの送風に対して送風部130による圧損がないため、シロッコファン62の駆動により加熱ヒータ67により高温となった空気を、除湿ユニット2内が高温状態とならない程度に排出することができる。よって、連動運転時における除湿ユニット2とサーキュレータ3との駆動部の前記動作アンマッチについて、加熱ヒータ67による構成部材の熱損傷発生について対応が必要なのは一体時のみである。
【0097】
連動運転時に加熱ヒータ67が駆動した場合における除湿ユニット2とサーキュレータ3との駆動部の前記動作アンマッチへの対策として、除湿ユニット2側がサーキュレータ3側の駆動部の駆動状態を把握する方法が考えられる。しかし、サーキュレータ3側の駆動部の駆動状態を把握するためには、サーキュレータ3側から駆動部の駆動状態を含む制御信号を送信し、除湿ユニット2側が制御信号を受信する必要がある。この構成を実現するためには、除湿ユニット側通信部82とサーキュレータ側通信部182とが制御信号を送受信可能とする双方向通信の構成が必要であり、除湿ユニット側通信部82からサーキュレータ側通信部182への一方向通信のみ行うものと比較し、高価な部品の搭載が求められることから製品コストアップの要因となる。製品コストアップは好ましくないため、除湿ユニット側通信部82とサーキュレータ側通信部182とを双方向通信可能な構成にするという方法は最適とはいえない。
【0098】
そこで、除湿ユニット2とサーキュレータ3とが一体での連動運転時、加熱ヒータ67が駆動した場合に除湿ユニット2内側の駆動部は動作するがサーキュレータ3側の駆動部は動作しない動作アンマッチが生じることに対し、除湿ユニット2側だけでサーキュレータ3側の駆動部の動作有無について判断可能とする方法について、図12のフローチャートに基づき説明する。
【0099】
除湿ユニット側制御部70は、連動運転時に加熱ヒータ67の駆動を開始したら除湿ユニット2とサーキュレータ3とが一体かサーキュレータ検出センサ81での検出値に基づいて判断し(ステップS31)、一体であると判断したら、連動運転時におけるファンモータ135、及び首振りモータ138の駆動指示を含む制御信号を除湿ユニット側通信部82から送信し(ステップS32)、その後、所定の検出値である送風温度センサ88での検知値を確認して記憶部77で第1の温度として記憶すると共に、経過時間のカウントをタイマ78で開始する(ステップS33)。除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS31で一体ではないと判断したら前記ステップS31の判断を繰り返す。
【0100】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS33の処理が完了したら、タイマ78でカウントした経過時間が所定時間(例えば、10分)になったか判断し(ステップS34)、所定時間が経過していれば、所定の検出値である送風温度センサ88での検知値を確認して記憶部77で第2の温度として記憶すると共に、当該第2の温度と所定時間経過前の検知値である第1の温度との温度差を確認する(ステップS35)。除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS34で所定時間が経過していないと判断したら、ステップS34の判断を繰り返す。
【0101】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS35の処理が完了したら、第1の温度と第2の温度との温度差が所定値(例えば、10℃)以上か判断し(ステップS36)、所定値以上だと判断したら、サーキュレータ3のファン136が駆動していないことで除湿ユニット2内の加熱ヒータ67付近が高温でありサーキュレータ3のファン136が異常だと判断し、加熱ヒータ67の駆動を停止させ所定の警告音を報知部73で鳴らしてエラー報知し、加熱ヒータ67付近の冷却動作のためシロッコファン62の駆動時間カウントをタイマ78で開始する(ステップS37)。
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS36で温度差が所定値以上ではないと判断したらステップS33の処理に戻り、ステップS35で確認した第2の温度を第1の温度に上書きして記憶すると共に、ここまででカウントした所定時間をクリアして経過時間のカウントを再度開始する。
【0102】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS37の処理が完了したら、タイマ78でカウントした経過時間が所定の冷却時間(例えば、5分)になったか判断し(ステップS38)、所定の冷却時間が経過していれば、シロッコファン62の駆動を停止させて制御を終了し、所定の冷却時間が経過していなければ、前記ステップS38の判断を繰り返す。
【0103】
このように、除湿ユニット2とサーキュレータ3とが一体での連動運転時、加熱ヒータ67が駆動した場合に所定時間前後の送風温度差に基づきサーキュレータ3側のファン136の駆動状態を判断し、ファン136が駆動していなければ加熱ヒータ67の駆動を停止するので、除湿ユニット側通信部82から送信した制御信号がサーキュレータ側通信部182で受信されない等でサーキュレータ3側のファン136が駆動しない状態が発生しても、除湿ユニット2側だけでサーキュレータ3側の駆動部が動作していないと判断することができ、除湿ユニット2とサーキュレータ3とを双方向通信可能な構成にすることでのコストアップを阻止しつつ、除湿ユニット2内の加熱ヒータ67付近の構成部材について、熱損傷が発生する虞を阻止できる。
【0104】
なお、本実施形態では前記ステップS37で加熱ヒータ67の駆動を停止した後、シロッコファン62を所定の冷却時間だけ駆動させる冷却動作を実施しているが、冷却動作は必須ではない。例えば、前記ステップS37時点での吸込温度センサ71での検知値により室内温度が低い環境であり自然放熱だけで十分に加熱ヒータ67付近が冷却されるとし、シロッコファン62を駆動させる冷却動作を実施せずに制御を終了してもよい。
【0105】
次に、除湿ユニット2及びサーキュレータ3での連動運転時、加熱ヒータ67の駆動を開始した場合のサーキュレータ3側の制御内容について、図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0106】
サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット2とサーキュレータ3とが一体での連動運転時に加熱ヒータ67の駆動が開始され、ファンモータ135及び首振りモータ138を駆動させることを含む制御信号をサーキュレータ側通信部182で受信したか判断し(ステップS41)、サーキュレータ側通信部182で制御信号を受信したと判断したら、駆動したファンモータ135の回転数のフィードバック値(FB値)を確認する(ステップS42)。サーキュレータ側制御部170は、前記ステップS41で制御信号を受信していないと判断したら、前記ステップS41の判断を繰り返す。
【0107】
サーキュレータ側制御部170は、前記ステップS42の処理が完了したら、駆動したファンモータ135の回転数のFB値と所定の回転数とを回転数検知部180で比較して回転数のFB値が吹出口41から送風される空気を十分に吸い上げ可能な所定の回転数より低いか判断し(ステップS43)、回転数のFB値が所定の回転数より低いと判断したら、送風部130を吹出口41からの送風に対して圧損が最も高まる位置で静止するよう首振りモータ138を駆動させ(ステップS44)、制御を終了する。サーキュレータ側制御部170は、前記ステップS43でファンモータ135の回転数のFB値が所定の回転数以上だと判断したら、ファンモータ135の停止指示を含む制御信号を受信するまで前記ステップS42に戻り、ファンモータ135の回転数のフFB値を確認する処理を繰り返す。
【0108】
このように、除湿ユニット2とサーキュレータ3とが一体での連動運転時に加熱ヒータ67が駆動し、サーキュレータ3側の駆動部を動作させることを含む制御信号について、サーキュレータ側通信部182が受信しても、ファンモータ135が故障している等で連動運転時に必要となる回転数での駆動がされず、吹出口41から吸い上げる空気量が十分でない場合、吹出口41からの送風について圧損が高まる位置に送風部130を位置させることで、カバー131やファンモータ135といった送風部130の構成部材が吹出口41からの送風の圧損となって送風量が低下し、加熱ヒータ67付近の空気が吹出口41から容易に送風されず、送風温度センサ88での検知値が高まりやすい環境となるため、前記ステップS36で送風温度センサ88での温度差が所定値以上になるタイミングが早まり、除湿ユニット2内の構成部材の熱損傷を好適に阻止することができる。
【0109】
なお、前記ステップS41から前記ステップS44までの制御は、除湿ユニット側通信部82から送信された制御信号をサーキュレータ側通信部182が受信できた場合にのみ実施する内容であり、サーキュレータ側通信部182で制御信号が受信できなければ実施されない。サーキュレータ側通信部182で制御信号が受信されず、前記ステップS41から前記ステップS44までの制御が実施されなくても、一体での連動運転時にファン136が駆動しなければ、送風部130の構成部材が吹出口41からの送風に対する圧損になり、吹出口41から送風する空気の温度が上昇するため、前記ステップS37で加熱ヒータ67の駆動を停止させることができ、除湿ユニット2内の構成部材の熱損傷を阻止することができる。
【0110】
次に、他の実施形態における除湿機1の連動運転時、除湿ユニット2側でサーキュレータ3の駆動部の動作有無を判断する制御について説明する。
なお、他の実施形態の構成要素について、既に説明した実施形態と同一のものについては説明を省略し、他の実施形態でのみ発生する構成要素を中心に説明する。
【0111】
図14、及び図15で示すように、商用電源と接続された電源コード4と電源切替部84との間である電源供給ラインに抵抗成分としての抵抗器85が設置される。当該抵抗器85は、所定の抵抗値を持ち電源入力端子187へ供給される電源の電流値を制御する。抵抗器85は、電圧値検出手段である電圧計89により抵抗器85の両端の電圧値が検出される。一体での連動運転時に電圧計89で検出される電圧値は、一体での連動運転時にサーキュレータ3の送風側駆動部の動作有無で変動する所定の検出値であり、検出される電圧値によりサーキュレータ3側の駆動部が正常に動作しているかが判断可能である。詳細は後述する。
【0112】
次に、他の実施形態において連動運転時、除湿ユニット2側だけでサーキュレータ3側の駆動部の動作有無を判断する方法について、図16のフローチャートに基づいて説明する。
【0113】
除湿ユニット側制御部70は、連動運転時に加熱ヒータ67の駆動を開始したら、除湿ユニット2とサーキュレータ3とが一体かサーキュレータ検出センサ81での検出値に基づいて判断し(ステップS51)、一体であると判断したら、電圧計89で検出される電圧値V0を確認して記憶部77で記憶すると共に、連動運転時におけるファンモータ135、及び首振りモータ138の駆動指示を含む制御信号を除湿ユニット側通信部82から送信する(ステップS52)。除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS31で一体ではないと判断したら前記ステップS51の判断を繰り返す。
【0114】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS52の処理が完了したら、電圧計89で検出される電圧値V1を確認して記憶部77で記憶する(ステップS53)。
一体での連動運転時にサーキュレータ3側の駆動部であるファンモータ135、及び首振りモータ138が正常に動作していれば、電源入力端子187へ供給される電源の電流値が変化するため、抵抗器85の両端における電圧値がサーキュレータ3側の駆動部が待機状態のときと比較して大きくなる。サーキュレータ3側の駆動部が待機状態のときに検出される電圧値V0とし、連動運転開始の制御信号が出されサーキュレータ3側の駆動部の動作指示があったときに検出される電圧値V1として、V0とV1の差を確認することで、サーキュレータ3側の駆動部が正常に動作しているか判断する。
【0115】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS53の処理が完了したら、記憶部77で記憶した電圧値V0とV1の差であるV1-V0が所定値であるd以下か判断し(ステップS54)、d以下であると判断したら、抵抗器85の両端における電圧値の変動が所定値以下であり、サーキュレータ3側の駆動部であるファンモータ135、及び首振りモータ138が正常に動作していないとしてサーキュレータ3側での異常発生を判断し、所定の警告音を報知部73で鳴らすエラー報知をして(ステップS55)、制御を終了する。
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS54で確認したV1-V0がdより高いと判断したら、一体での連動運転時にサーキュレータ3側の駆動部であるファンモータ135、及び首振りモータ138が正常に動作していると判断して制御を終了する。
【0116】
このように、一体での連動運転時、抵抗器85の両端の電圧値の変動に基づきサーキュレータ3側の駆動部の動作有無を判断するので、除湿ユニット側通信部82から送信した制御信号がサーキュレータ側通信部182で受信されない等でサーキュレータ3側のファン136が駆動しない状態が発生しても、除湿ユニット2側だけでサーキュレータ3側の駆動部が動作していないと判断することができ、除湿ユニット2とサーキュレータ3とに双方向通信する通信部を設置するといったコストアップを伴う手段を必要とせず、製品性が向上する。
【0117】
次に、本発明の効果を説明する。
【0118】
除湿ユニット側制御部70は、一体での連動運転時にサーキュレータ3側の駆動部の動作有無で変動する所定の検出値に基づき、サーキュレータ3側の駆動部の動作有無を判断する。一体での連動運転時、除湿ユニット2側から送信された制御信号がサーキュレータ3側で受信できなかった等で、除湿ユニット2側の駆動部は動作しているにも関わらずサーキュレータ3側の駆動部が動作していないアンマッチ状態が生じる虞がある。一体での連動運転時にサーキュレータ3側の駆動部の動作により変動する所定の検出値を確認することで除湿ユニット2側だけでサーキュレータ3側の駆動部の動作有無が判断できるので、除湿ユニット2とサーキュレータ3とに制御信号を双方向通信可能な構成を設置するといったコストアップを伴う手段の必要がなくなるため、除湿機1の製品性が向上する。
【0119】
除湿ユニット側制御部70は、一体での連動運転でファン136、及び加熱ヒータ67を駆動させ、除湿ユニット側通信部82からファン136を駆動させることを含む制御信号を送信した後、送風温度センサ88での検知値である第1の温度の記憶、及び加熱ヒータ67が駆動した時点からの経過時間のカウントを開始し、経過時間のカウントが所定時間以上になったと判断したら、送風温度センサ88での検知値である第2の温度を記憶し、第1の温度と第2の温度との温度差を確認し、温度差が所定値以上だと判断したら、加熱ヒータ67の駆動を停止する。一体での連動運転時に加熱ヒータ67を駆動する場合、除湿ユニット側通信部82から送信した制御信号がサーキュレータ側通信部182で受信されず、サーキュレータ3のファン136が駆動しないことにより加熱ヒータ67で加熱された高温の空気の送風量が減少し、除湿ユニット2内の加熱ヒータ67付近の温度が高まり構成部材の熱損傷が発生する虞がある。吹出口41から送風される空気の温度を所定時間毎に送風温度センサ88で検知して温度差を確認し、温度差が所定値以上であれば加熱ヒータ67の駆動を停止するので、加熱ヒータ67付近にある除湿ユニット2の構成部材が高温状態に晒されて熱損傷することを阻止でき、製品性が向上する。
【0120】
また、サーキュレータ側制御部170は、一体での連動運転で加熱ヒータ67が駆動するとき、除湿ユニット側通信部82から送信されたファン136を駆動させることを含む制御信号をサーキュレータ側通信部182で受信した後、回転数検知部180でファン136が所定の回転数以上で駆動していることを検知できなければ、吹出口41からの送風の圧損が大きくなる位置に送風部130を首振りする。連動運転の実施により除湿ユニット2側からサーキュレータ3側のファン136を駆動させる制御信号を受信したが、ファンモータ135が連動運転における所定の回転数以上で駆動せず、吹出口41から十分な空気を送風できない場合、首振りモータ138により送風部130を吹出口41からの送風に対して圧損が高まる位置に首振りすることで、吹出口41からの送風量が減少し加熱ヒータ67付近の温度が高まりやすくなり、送風温度センサ88で検知する所定時間前後での温度差が所定値以上になりやすい状態にし、早期に加熱ヒータ67を停止させることができるため、加熱ヒータ67付近にある除湿ユニット2の構成部材が高温状態に晒されて熱損傷することを阻止でき、製品性が向上する。
【0121】
また、除湿ユニット側制御部70は、温度差が所定値以上だと判断して加熱ヒータ67の駆動を停止した後、所定の冷却時間だけシロッコファン62を駆動する。除湿ユニット2内の構成部材について熱損傷が発生する虞があるとして加熱ヒータ67の駆動を停止した後、加熱ヒータ67付近に溜まった高温の空気を積極的に除湿ユニット2外へ排出するので、除湿ユニット2内の加熱ヒータ67付近の温度を早期に低下させることができるため、製品性が向上する。
【0122】
また、除湿ユニット側制御部70は、一体での連動運転時に除湿ユニット側通信部82からサーキュレータ3側の駆動部を動作させることを含む制御信号を送信した後、抵抗器85の両端の電圧値の変動が所定値以下だと判断したら、サーキュレータ3側の駆動部が動作していないと判断する。これにより、除湿ユニット側通信部82から送信した制御信号がサーキュレータ側通信部182で受信されない等でサーキュレータ3側のファン136が駆動しない状態が発生しても、除湿ユニット2側だけでサーキュレータ3側の駆動部が動作していないと判断することができ、除湿ユニット2とサーキュレータ3とに制御信号を双方向通信可能な構成を設置するといったコストアップを伴う手段の必要がなくなるため、除湿機1の製品性が向上する。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0124】
例えば、本発明に係る空気調和機は、空調ユニットが除湿機1である例を用いて説明したが、除湿機1以外にも空気の湿度、温度、清浄度などを調整可能な加湿機、乾燥機、冷暖房装置、空気清浄機などの、他の空調機器にも適用することができる。
【0125】
除湿ユニット2が着脱状態を検出するためのサーキュレータ検出センサ81を有する例を用いて説明した。しかしながら、除湿ユニット2及びサーキュレータ3がそれぞれ着脱状態を検出してもよいし、サーキュレータ3が検出した着脱状態を除湿ユニット2に共有してもよい。例えば、サーキュレータ3が一体時の姿勢(台座部底面111が下方を向く姿勢)であるか、分離時の姿勢であるか(台座部背面112bが下方を向く(設置面に設置される)姿勢)であるかを検出するための姿勢センサを有することにより、着脱状態を検出してもよい。
【0126】
また、一体での連動運転時にサーキュレータ3側の駆動部の動作有無で変動する所定の検出値について、送風温度センサ88で検出される温度と電圧計89で検出される電圧値を用いた実施形態で説明したが、これに限られない。例えば、一体での連動運転開始時、サーキュレータ3側の駆動部の動作有無で有意差が出る程に変動することが確認できれば、吸込温度センサ71や湿度センサ72といった、除湿ユニット2側で検出可能な要素を用いてサーキュレータ3側の駆動部の動作有無を判断する方法であっても、本発明の範疇に入る。
【符号の説明】
【0127】
1 サーキュレータ付除湿機(除湿機)
2 除湿ユニット
3 サーキュレータ
10 筐体
41 吹出口
62 シロッコファン
63 送風モータ
67 加熱ヒータ
70 除湿ユニット側制御部
82 除湿ユニット側通信部
85 抵抗器
88 送風温度センサ
89 電圧計
130 送風部
135 ファンモータ
136 ファン
138 首振りモータ
170 サーキュレータ側制御部
180 回転数検知部
182 サーキュレータ側通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
図16