(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132778
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/16 20060101AFI20240920BHJP
H10B 61/00 20230101ALI20240920BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20240920BHJP
H10N 50/20 20230101ALI20240920BHJP
H10N 70/00 20230101ALI20240920BHJP
H10N 97/00 20230101ALI20240920BHJP
H10N 70/20 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
G11C11/16 230
H10B61/00
H10N50/10 A
H10N50/20
H10N70/00 Z
H10N97/00
H10N70/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103230
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2023042075
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 明
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD17
4M119DD31
4M119DD42
4M119EE22
4M119EE27
4M119HH01
4M119HH04
4M119HH07
4M119HH17
5F092AB06
5F092AC12
5F092AD03
5F092AD23
5F092AD25
5F092BB23
5F092BB36
5F092BB43
5F092BB55
5F092BC04
5F092DA04
(57)【要約】
【課題】 動作速度の高い記憶装置を提供する。
【解決手段】 記憶装置は、メモリセルと、第1配線と、第1スイッチと、第2配線と、第2スイッチと、第3配線と、第3スイッチと、を含む。メモリセルは、第1端及び第2端を有する。第1配線は、第1端と接続されている。第1スイッチは、第1配線と第1電圧を受ける第1ノードとの間に接続されている。第2配線は、第2端と接続されている。第2スイッチは、第2配線と接続された第3端と、第4端と、を有する。第3配線は、第4端と接続されている。第3スイッチは、第3配線と、第1電圧と異なる低い第2電圧を受ける第2ノードとの間に接続されている。第1配線及び第2配線に第2電圧と第1電圧の間の第3電圧が印加される。第3スイッチがオンされた後かつ第3電圧の印加の後に、第3スイッチがオフされるとともに第2スイッチがオンされる。第3電圧の上記印加の後に、上記第1スイッチがオフされる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端及び第2端を有するメモリセルと、
前記第1端と接続された第1配線と、
前記第1配線と第1電圧を受ける第1ノードとの間に接続された第1スイッチと、
前記第2端と接続された第2配線と、
前記第2配線と接続された第3端と、第4端と、を有する第2スイッチと、
前記第4端と接続された第3配線と、
前記第3配線と、前記第1電圧と異なる第2電圧を受ける第2ノードとの間に接続された第3スイッチと、
を備え、
前記第1配線及び前記第2配線に前記第2電圧と前記第1電圧の間の第3電圧が印加され、
前記第3スイッチがオンされた後かつ前記第3電圧の前記印加の後に、前記第3スイッチがオフされるとともに前記第2スイッチがオンされ、
前記第3電圧の前記印加の後に、前記第1スイッチがオフされる、
記憶装置。
【請求項2】
前記第1スイッチがオフされている間、前記第1配線は電気的にフローティングしている、
請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記第3スイッチがオフされているとともに前記第2スイッチがオンされている間、前記第2配線は電気的にフローティングしている、
請求項2に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記第3スイッチがオフされているとともに前記第2スイッチがオンされている間、前記第2配線は電気的にフローティングしている、
請求項1に記載の記憶装置。
【請求項5】
第1期間の間、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはオフに維持され、
前記第1期間の後の第2期間の間、前記第2スイッチはオフに維持され、前記第1スイッチはオンに維持され、
前記第2期間の後の第3期間の間、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはオフに維持され、
前記第3期間の終わりまで、前記第3スイッチはオンに維持され、
前記第3期間の後の第4期間の間、前記第1スイッチ及び前記第3スイッチはオフに維持され、前記第2スイッチはオンに維持される、
請求項1に記載の記憶装置。
【請求項6】
前記第1配線と前記第3電圧を受ける第3ノードとの間に接続された第4スイッチと、
前記第2配線と前記第3ノードとの間に接続された第5スイッチと、
をさらに備え、
前記第1期間の間、前記第4スイッチ及び前記第5スイッチはオンに維持され、
前記第2期間の間及び前記第3期間の間、前記第4スイッチはオフに維持され、前記第5スイッチはオンに維持され、
前記第4期間の間、前記第4スイッチ及び前記第5スイッチはオフに維持される、
請求項5に記載の記憶装置。
【請求項7】
前記第2配線と、前記第2電圧を受けるノードとの間に接続された第6スイッチをさらに備え、
前記第1期間、前記第2期間、及び前記第3期間の間、前記第6スイッチは、オフに維持され、
前記第4期間の間、前記第6スイッチはオンに維持される、
請求項5に記載の記憶装置。
【請求項8】
前記第1ノードと前記第1スイッチとの間に接続された第4配線と、
前記第4配線と前記第1ノードとの間に接続された第7スイッチと、
をさらに備え、
前記第1期間の前の第5期間の間、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはオフに維持され、前記第7スイッチはオンに維持され、
前記第1期間の間、前記第7スイッチはオンに維持され、
前記第2期間、前記第3期間、及び前記第4期間の間、前記第7スイッチはオフに維持される、
請求項5に記載の記憶装置。
【請求項9】
前記メモリセルは、可変抵抗材料を含み、
前記可変抵抗材料は、第5端と第6端とを含み、前記第5端から前記第6端に向かって正の第5電圧を受けると前記第5端と前記第6端との間に第1抵抗を有し、前記第5端から前記第6端に向かって前記第5電圧より低い正の第6電圧を受けると前記第5端と前記第6端との間に前記第1抵抗より低い第2抵抗を有し、前記第6端から前記第5端に向かって正の第7電圧を受けると前記第5端と前記第6端との間に第3抵抗を有し、前記第6端から前記第5端に向かって前記第7電圧より低い正の第8電圧を受けると前記第5端と前記第6端との間に前記第3抵抗より低い第4抵抗を有する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の記憶装置。
【請求項10】
前記メモリセルは、
第1強磁性層と、
第2強磁性層と、
前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間の絶縁層と、
をさらに含む、
請求項9に記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、概して記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗効果素子を用いた記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動作速度の高い記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態による記憶装置は、メモリセルと、第1配線と、第1スイッチと、第2配線と、第2スイッチと、第3配線と、第3スイッチと、を含む。上記メモリセルは、第1端及び第2端を有する。上記第1配線は、上記第1端と接続されている。上記第1スイッチは、上記第1配線と第1電圧を受ける第1ノードとの間に接続されている。上記第2配線は、上記第2端と接続されている。上記第2スイッチは、上記第2配線と接続された第3端と、第4端と、を有する。上記第3配線は、上記第4端と接続されている。上記第3スイッチは、上記第3配線と、上記第1電圧と異なる低い第2電圧を受ける第2ノードとの間に接続されている。上記第1配線及び上記第2配線に上記第2電圧と上記第1電圧の間の第3電圧が印加される。上記第3スイッチがオンされた後かつ上記第3電圧の上記印加の後に、上記第3スイッチがオフされるとともに上記第2スイッチがオンされる。上記第3電圧の上記印加の後に、上記第1スイッチがオフされる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態の記憶装置の機能ブロックを示す。
【
図2】
図2は、第1実施形態の記憶装置のメモリセルアレイの回路図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の記憶装置のメモリセルアレイの一部の斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の記憶装置のメモリセルの構造の例の断面を示す。
【
図5】
図5は、第1実施形態の記憶装置のメモリセルの電圧と電流の特性の曲線の例を示す。
【
図6】
図6は、第1実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
【
図7】
図7は、第1実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
【
図8】
図8は、第1実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間の一状態を示す。
【
図9】
図9は、第1実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間の一状態を示す。
【
図10】
図10は、参考用の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
【
図11】
図11は、第2実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
【
図12】
図12は、第2実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
【
図13】
図13は、第3実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
【
図14】
図14は、第3実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
【
図15】
図15は、第4実施形態のメモリセルアレイの回路図である。
【
図16】
図16は、第4実施形態の記憶装置の一部の斜視図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
【
図18】
図18は、第4実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
【
図19】
図19は、第5実施形態の記憶装置の機能ブロックを示す。
【
図20】
図20は、第5実施形態の記憶装置のコア回路の機能ブロックを示す。
【
図21】
図21は、第5実施形態の記憶装置のセレクタの構成要素及び構成要素の接続を示す。
【
図22】
図22は、第5実施形態の記憶装置のサブコア回路セットの機能ブロックを示す。
【
図23】
図23は、第5実施形態の記憶装置のセレクタの構成要素及び構成要素の接続を示す。
【
図24】
図24は、第5実施形態の記憶装置のサブコア回路の機能ブロックを示す。
【
図25】
図25は、第5実施形態の記憶装置のセレクタの構成要素及び構成要素の接続を示す。
【
図26】
図26は、第5実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
【
図27】
図27は、第5実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
【
図28】
図28は、第5実施形態の変形例の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
【
図29】
図29は、第5実施形態の変形例の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。或る実施形態又は相違する実施形態での略同一の機能及び構成を有する複数の構成要素は、互いに区別されるために、参照符号の末尾にさらなる数字又は文字が付加される場合がある。或る実施形態についての記述は全て、明示的に又は自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。
【0008】
図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なり得る。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、或る第1要素が別の第2要素に「接続されている」とは、第1要素が直接的又は常時或いは選択的に導電性となる要素を介して第2要素に接続されていることを含む。
【0010】
以下、xyz直交座標系が用いられて、実施形態が記述される。以下の記述において、「下」との記述及びそれから派生する語及びそれに関連する語は、z軸上のより小さい座標の位置を指し、「上」との記述及びそれから派生する語及びそれに関連する語は、z軸上のより大きい座標の位置を指す。
【0011】
1.第1実施形態
1.1.構造(構成)
1.1.1.全体の構造
図1は、第1実施形態の記憶装置の機能ブロックを示す。記憶装置1は、データを記憶する装置である。記憶装置1は、可変な抵抗を示す磁性体の積層体を用いてデータを記憶する。
図1に示されるように、記憶装置1は、メモリセルアレイ11、入出力回路12、制御回路13、ロウ選択回路14、カラム選択回路15、書込み回路16、読出し回路17、及び電圧生成回路18を含む。
【0012】
メモリセルアレイ11は、配列された複数のメモリセルMCの集合である。メモリセルMCは、データを不揮発に記憶することができる。メモリセルアレイ11中には、複数の第1配線及び第2配線が位置している。以下の記述において、第1配線及び第2配線の一方は、ワード線WLと称され、他方はビット線BLと称される。以下の記述は、ワード線WLが行(ロウ)と関連付けられているとともにビット線BLが列(カラム)と関連付けられている例に基づく。各メモリセルMCは、1つのワード線WL及び1つのビット線BLと接続されている。1つの行の選択及び1つの列の選択により、1つのメモリセルMCが特定される。
【0013】
入出力回路12は、データ及び信号の入出力を行う回路である。入出力回路12は、記憶装置1の外部から、例えばメモリコントローラから、制御信号CNT、コマンドCMD、アドレス情報ADD、及びデータDATを受け取る。入出力回路12は、データDATを出力する。
【0014】
電圧生成回路18は、記憶装置1の外部から受ける電圧から、種々の大きさの電圧を生成する回路である。電圧生成回路18は、データ読出しに使用される一定の大きさの1以上の電圧を出力する。電圧生成回路18は、データ書込みに使用される一定の大きさの電圧及び可変の大きさの電圧を出力する。
【0015】
書込み回路16は、メモリセルMCへのデータの書込みを制御する回路である。入出力回路12から書込みデータDATを受け取り、電圧生成回路18からデータ書込みのための電圧を受ける。書込み回路16は、制御回路13の制御及び書込みデータDATに基づいて、データ書込みに使用される電圧及び電流を出力する。
【0016】
読出し回路17は、メモリセルMCからのデータの読出しを制御する回路である。読出し回路17は、電圧生成回路18からデータ読出しのために使用される電圧を受ける。読出し回路17は、制御回路13の制御に基づいて、データ読出しに使用される電圧を使用して、メモリセルMCに記憶されているデータを決定する。決定されたデータは、読出しデータDATとして、入出力回路12に供給される。読出し回路17は、複数のセンスアンプ回路SACを含む。センスアンプ回路SACは、データ読出し対象のメモリセルMCに記憶されているデータに基づく電圧を使用して、データ読出し対象のメモリセルMCに記憶されていると判断されるデータを出力する回路である。センスアンプ回路SACの詳細については後述される。
【0017】
ロウ選択回路14は、メモリセルMCの行を選択する回路である。ロウ選択回路14は、入出力回路12からアドレス情報ADDを受け取る。ロウ選択回路14は、書込み回路16からデータ書込みのための電圧を受ける。ロウ選択回路14は、読出し回路17からデータ読出しのための電圧を受ける。ロウ選択回路14は、データ書込みの間、データ書込みのための電圧を使用して、受け取られたアドレス情報ADDにより特定される行と関連付けられた1つ又は複数のワード線WLを選択された状態にする。ロウ選択回路14は、データ読出しの間、データ読出しのための電圧を使用して、受け取られたアドレス情報ADDにより特定される行と関連付けられた1つ又は複数のワード線WLを選択された状態にする。
【0018】
カラム選択回路15は、メモリセルMCの列を選択する回路である。カラム選択回路15は、入出力回路12からアドレス情報ADDを受け取る。カラム選択回路15は、書込み回路16からデータ書込みのための電圧を受ける。カラム選択回路15は、読出し回路17からデータ読出しのための電圧を受ける。カラム選択回路15は、データ書込みの間、データ書込みのための電圧を使用して、受け取られたアドレス情報ADDにより特定される列と関連付けられた1つ又は複数のビット線BLを選択された状態にする。カラム選択回路15は、データ読出しの間、データ読出しのための電圧を使用して、受け取られたアドレス情報ADDにより特定される列と関連付けられた1つ又は複数のビット線BLを選択された状態にする。
【0019】
制御回路13は、記憶装置1の動作を制御する回路である。制御回路13は、入出力回路12から制御信号CNT及びコマンドCMDを受け取る。制御回路13は、制御信号CNTによって指示される制御及びコマンドCMDに基づいて、書込み回路16及び読出し回路17を制御する。具体的には、制御回路13は、書込み回路16を制御して、メモリセルMCへのデータの書込みの間、書込み回路16が電圧生成回路18から受けた電圧をロウ選択回路14及びカラム選択回路15に供給する。制御回路13は、読出し回路17を制御して、メモリセルMCからのデータの読出しの間、読出し回路17が電圧生成回路18から受けた電圧をロウ選択回路14及びカラム選択回路15に供給する。
【0020】
1.1.2.メモリセルアレイの回路構成
図2は、第1実施形態の記憶装置のメモリセルアレイの回路図である。
図2に示されるように、メモリセルアレイ11中には、M+1本のワード線WL(WL_0、WL_1、…、WL_M)、及びN+1本のビット線BL(BL_0、BL_1、…、BL_N)が位置している。M及びNは、各々、正の整数である。
【0021】
各メモリセルMCは、1つのワード線WL及び1つのビット線BLと接続されている。各メモリセルMCは、1つのMTJ素子MTJ及び1つのスイッチング素子SEを含む。各メモリセルMCにおいて、MTJ素子MTJとスイッチング素子SEは直列に接続されている。各メモリセルMCのスイッチング素子SEは、1つのワード線WLと接続されている。各メモリセルMCのMTJ素子MTJは、1つのビット線BLと接続されている。
【0022】
MTJ素子MTJは、トンネル磁気抵抗効果を示し、例えば、磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction; MTJ)を含む素子である。MTJ素子MTJは、磁気抵抗効果素子MTJとも称される。MTJ素子MTJは、低抵抗の状態と高抵抗の状態との間を切り替ることができる可変抵抗素子である。MTJ素子MTJは、2つの抵抗状態の違いを利用して、1ビットのデータを記憶することができる。一例において、MTJ素子MTJは、低抵抗状態によって“0”データを記憶し、高抵抗状態によって“1”データを記憶する。
【0023】
スイッチング素子SEは、2つの端子を有し、2つの端子の間の電気的接続又は切断を行う素子である。スイッチング素子SEは、2端子間に第1方向に印加される電圧が或る閾値電圧未満の場合、高抵抗状態、例えば電気的に非導通状態(オフ状態)である。2端子間に印加される電圧が上昇して、閾値電圧以上になると、スイッチング素子SEは低抵抗状態、例えば電気的に導通状態(オン状態)になる。低抵抗状態のスイッチング素子SEの2端子間に印加される電圧が低下して、閾値電圧未満になると、スイッチング素子SEは高抵抗状態になる。スイッチング素子SEは、このような第1方向に印加される電圧の大きさに基づく高抵抗状態及び低抵抗状態の間の切替わりの機能と同じ機能を、第1方向と反対の第2方向についても有する。すなわち、スイッチング素子SEは、双方向スイッチング素子である。スイッチング素子SEのオン又はオフにより、このスイッチング素子SEと接続されたMTJ素子MTJへの電流の供給の有無、すなわちMTJ素子MTJの選択又は非選択が制御されることが可能である。
【0024】
1.1.3.メモリセルアレイの構造
図3は、第1実施形態の記憶装置のメモリセルアレイの一部の斜視図である。
図3に示されるように、複数の導電体21及び複数の導電体22が設けられている。
【0025】
導電体21は、直線の形状を有し、或る方向に延びる。導電体21が延びる方向は、以下、x方向と称される。導電体21は、x方向と交わる又は直交する方向に並ぶ。導電体21が並ぶ方向は、以下、y方向と称される。各導電体21は、1つのワード線WLとして機能する。
【0026】
導電体22は、導電体21が位置する層と異なる層に位置する。導電体21から導電体22に向かう方向は、以下、z方向と称される。導電体22は、直線の形状を有し、y方向に延び、x方向に並ぶ。各導電体22は、1つのビット線BLとして機能する。
【0027】
導電体21と導電体22の交点の各々に1つのメモリセルMCが設けられている。メモリセルMCは、x方向とy方向からなるxy平面に沿って行列状に配列されている。各メモリセルMCは、スイッチング素子SEとして機能する構造と、MTJ素子MTJとして機能する構造を含む。スイッチング素子SEとして機能する構造及びMTJ素子MTJとして機能する構造は、各々、1又は複数の層を含む。例えば、MTJ素子MTJとして機能する構造は、スイッチング素子SEとして機能する構造の上面上に位置する。メモリセルMCの下面は、1つの導電体21の上面と接している。メモリセルMCの上面は、1つの導電体22の下面と接している。
【0028】
1.1.4.メモリセル
図4は、第1実施形態の記憶装置のメモリセルの構造の例の断面を示す。
【0029】
スイッチング素子SEは、可変抵抗材料32を含む。可変抵抗材料32は、動的に可変な抵抗を示す材料であり、例えば層の形状を有する。可変抵抗材料32は、2端子間スイッチング素子であり、2端子のうちの第1端子は可変抵抗材料32の上面及び下面の一方であり、2端子のうちの第2端子は可変抵抗材料32の上面及び下面の他方である。2端子間に印加される電圧が或る閾値電圧未満の場合、可変抵抗材料は“高抵抗”状態、例えば電気的に非導通状態である。2端子間に印加される電圧が上昇し、閾値電圧以上になると、可変抵抗材料は“低抵抗”状態、例えば電気的に導通状態になる。低抵抗状態の可変抵抗材料32の2端子間に印加される電圧が低下し、閾値電圧未満になると、可変抵抗材料は高抵抗状態になる。
【0030】
一例において、可変抵抗材料32は、絶縁体と、絶縁体にイオン注入により導入されたドーパントを含む。絶縁体は、例えば、酸化物を含み、SiO2或いはSiO2から実質的になる材料を含む。ドーパントは、一例において、ヒ素(As)、ゲルマニウム(Ge)を含む。「実質的になる(又は、構成される)」という記載及び同種の記載は、「実質的になる」構成要素が意図せぬ不純物を含有することを許容することを意味する。
【0031】
スイッチング素子SEは、下部電極31及び上部電極33をさらに含み得る。
図4は、そのような例を示す。可変抵抗材料32は下部電極31の上面上に位置し、上部電極33は可変抵抗材料32の上面上に位置する。
【0032】
MTJ素子MTJは、強磁性層35、絶縁層36、及び強磁性層37を含む。例として、
図4に示されるように、絶縁層36は強磁性層35の上面上に位置し、強磁性層37は絶縁層36の上面上に位置する。
【0033】
強磁性層35は、強磁性を示す材料の層である。強磁性層35は、強磁性層35、絶縁層36、及び強磁性層37の界面を貫く方向に沿った磁化容易軸を有し、一例において、界面に対して45°以上90°以下の角度の磁化容易軸を有し、一例において、界面と直交する方向に沿う磁化容易軸を有する。強磁性層35の磁化の向きはメモリセルMCでのデータの読出し及び書込みによっても不変であることを意図されている。強磁性層35は、いわゆる参照層として機能することができる。強磁性層35は、複数の層を含んでいてもよい。以下、強磁性層35は、参照層RLと称される場合がある。
【0034】
絶縁層36は、絶縁体の層である。絶縁層36は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)を含むか、MgOから実質的に構成され、いわゆるトンネルバリア(TB)として機能する。
【0035】
強磁性層37は、強磁性を示す材料の層である。強磁性層37は、例えば、コバルト鉄ボロン(CoFeB)又はホウ化鉄(FeB)を含むか、CoFeB又はFeBから実質的に構成される。強磁性層37は、強磁性層35、絶縁層36、及び強磁性層37の界面を貫く方向に沿う磁化容易軸を有し、一例において、界面に対して45°以上90°以下の角度の磁化容易軸を有し、一例において、界面と直交する方向に沿う磁化容易軸を有する。強磁性層37の磁化の向きはメモリセルMCへのデータ書込みによって可変であり、強磁性層37は、いわゆる記憶層(SL)として機能することができる。以下、強磁性層37は、記憶層SLと称される場合がある。
【0036】
記憶層SLの磁化の向きが参照層RLの磁化の向きと平行であると、MTJ素子MTJは、或る低い抵抗を有する。記憶層SLの磁化の向きが参照層RLの磁化の向きと反平行であると、MTJ素子MTJは、記憶層SLの磁化の向きと参照層RLの磁化の向きが反平行である場合の抵抗よりも高い抵抗を有する。
【0037】
記憶層SLから参照層RLに向かって或る大きさの電流Icp以上の大きさの電流が流れると、記憶層SLの磁化の向きは参照層RLの磁化の向きと平行になる。参照層RLから記憶層SLに向かって或る大きさの電流Icap以上の大きさの電流が流れると、記憶層SLの磁化の向きは参照層RLの磁化の向きと反平行になる。
【0038】
MTJ素子MTJは、さらなる層を含んでいてもよい。
【0039】
図5は、第1実施形態の記憶装置のメモリセルの電圧と電流の特性の曲線の例を示す。グラフの横軸は、メモリセルMCの端子電圧(すなわち、両端の電位の差)の大きさを示す。グラフの縦軸は、メモリセルMCを流れる電流の大きさを対数スケールで示す。
図5は、実際には現れない仮想的な特性を破線によって示す。
図5は、メモリセルMCが低抵抗状態にある場合と高抵抗状態にある場合を示す。
【0040】
電圧が0から大きくされると、閾値電圧Vthに達するまで、電流は増加し続ける。電圧が閾値電圧Vthに達するまでは、メモリセルMCのスイッチング素子SEはオフしており、すなわち、非導通である。
【0041】
電圧がさらに大きくされて、電圧が閾値電圧Vthに達すると、すなわち、A点に達すると、電圧と電流の関係は、不連続な変化を示し、点B1及び点B2に示される特性を示すようになる。点B1及び点B2での電流の大きさは、点Aでの電流の大きさより大幅に大きい。この電流の急激な変化は、メモリセルMCのスイッチング素子SEがオンしたことに基づく。点B1及び点B2における電流の大きさは、メモリセルMCのMTJ素子MTJの抵抗状態に依存する。
【0042】
スイッチング素子SEがオンしている状態、例えば、電圧と電流が点B1又は点B2及びそれらよりも高電圧の点に示される関係を示す状態から、電圧が小さくされると、電流は減少し続ける。
【0043】
電圧がさらに小さくされて、或る大きさに達すると、電圧と電流の関係は不連続な変化を示す。電圧と電流の関係が不連続性を示し始めるときの電圧は、メモリセルMCのMTJ素子MTJの端子電圧に依存し、すなわち、MTJ素子MTJが高抵抗状態にあるか、低抵抗状態にあるかに依存する。MTJ素子MTJが低抵抗状態である場合、電圧と電流の関係は、点C1から不連続性を示す。MTJ素子MTJが高抵抗状態である場合、電圧と電流の関係は、点C2から不連続性を示す。電圧と電流の関係は、点C1及び点C2に達すると、それぞれ点D1及びD2に示される特性を示すようになる。点D1及び点D2での電流の大きさは、それぞれ、点C1及び点C2での電流の大きさより大幅に小さい。この電流の急激な変化は、メモリセルMCのスイッチング素子SEがオフしたことに基づく。
【0044】
低抵抗状態のMTJ素子MTJを含んだメモリセルMCの点D1での端子電圧は、低ホールド電圧VhdLと称される。高抵抗状態のMTJ素子MTJを含んだメモリセルMCの点D2での端子電圧は、高ホールド電圧VhdHと称される。
【0045】
1.1.5.読出し回路
図6は、第1実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
図6は、代表として、或る1つのメモリセルMCが選択されている状態を示す。すなわち、
図1を参照して上記されているように、ロウ選択回路14によって1つのワード線WLが選択されている状態にされるとともに、カラム選択回路15によって1つのビット線BLが選択されている状態にされる。1つの選択されている状態のワード線WLと1つの選択されている状態のビット線BLと接続されている1つのメモリセルMCが選択されている状態になり、選択されている状態のメモリセルMCからデータが読み出される。そして、
図6に示されるワード線WL、ビット線BL、及びメモリセルMCは、選択されている状態にある。以下、選択されている状態のワード線WLは、選択ワード線WLと称される場合がある。選択されている状態のビット線BLは、選択ビット線BLと称される場合がある。選択されている状態のメモリセルMCは、選択メモリセルMCと称される場合がある。
【0046】
図6に示されるように、読出し回路17は、ロウ選択回路14を介してワード線WLと接続されている。ロウ選択回路14は、スイッチSW1を含む。
【0047】
スイッチSW1は、一例において、p型又はn型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。又は、スイッチSW1は、並列接続されているとともに、それぞれのゲートにおいて互いに反対の論理の(又は、相補の)信号を受け取るp型のMOSFETとn型のMOSFETである。スイッチSW1は、信号S1を受け取る。スイッチSW1は、ハイレベル又は“H”レベルの信号S1を受け取っている間、オン状態にあり、スイッチSW1の一端と他端とが電気的に接続されている状態を維持する。スイッチSW1は、ローレベル又は“L”レベルの信号S1を受け取っている間、オフ状態にあり、スイッチSW1の一端と他端とが電気的に切断されている状態を維持する。
【0048】
nを2以上の整数として、後述のスイッチSWn及び信号Snについても同様である。すなわち、スイッチSWnに対して、スイッチSW1についての記述がスイッチSWnに置き換えらえた記述が当てはまり、信号Snに対して、信号S1についての記述が信号Snに置き換えらえた記述が当てはまる。
【0049】
読出し回路17は、また、カラム選択回路15を介してビット線BLと接続されている。カラム選択回路15は、スイッチSW2を含む。
【0050】
読出し回路17は、センスアンプ回路SAC、スイッチSW3~SW7、容量CP1、配線L1及びL2、ダミービット線BLdmy、並びに読出し制御回路RCCを含む。
【0051】
配線L1は、スイッチSW1の一端と接続されている。スイッチSW1は、他端においてワード線WLと接続されている。
【0052】
スイッチSW3は、一定の大きさのプリチャージ電圧VPRCHを受けるノードと、配線L1と、の間に接続されている。プリチャージ電圧VPRCHを受けるノードは、プリチャージ電圧VPRCHを供給するノードとして機能する。プリチャージ電圧VPRCHは、一例において、電圧生成回路18から供給される。プリチャージ電圧VPRCHは、接地電圧VSSより高い。
【0053】
スイッチSW4は、配線L1と、一定の大きさの非選択電圧VUSELを受けるノードと、の間に接続されている。非選択電圧VUSELを受けるノードは、非選択電圧VUSELを供給するノードとして機能する。非選択電圧VUSELは、一例において、電圧生成回路18から供給される。非選択電圧VUSELは、接地電圧VSSの大きさとプリチャージ電圧VPRCHの大きさとの間の大きさを有する。一例において、非選択電圧VUSELは、プリチャージ電圧VPRCHの大きさの半分の大きさを有する。
【0054】
センスアンプ回路SACは、供給される電圧に基づいて、データ読み出し対象の選択メモリセルMCに記憶されているデータを出力する。一例において、センスアンプ回路SACは、オペアンプOP及び抵抗R1を含む。オペアンプOPの非反転入力は、配線L1と接続されている。オペアンプOPの反転入力は、抵抗R1の一端と接続されている。抵抗R1の他端は、接地電圧VSSのノードと接続されている。オペアンプOPの反転入力は、一例において、高ホールド電圧VhdHの大きさと低ホールド電圧VhdLの大きさとの間の大きさの電位を有する。抵抗R1は、オペアンプOPの反転入力がそのような電位を有することを可能にする大きさを有する。
【0055】
配線L2は、スイッチSW2の一端と接続されている。スイッチSW2は、他端においてビット線BLと接続されている。スイッチSW5は、配線L2と非選択電圧VUSELを受けるノードとの間に接続されている。
【0056】
スイッチSW6は、配線L2とダミービット線BLdmyとの間に接続されている。容量CP1は、ダミービット線BLdmyと接地電圧VSSを受けるノードとの間に形成されている。容量CP1は、容量素子であってもよいし、ダミービット線BLdmyと、接地電圧VSSを受けるノードとの間の寄生容量であってもよい。容量素子は、2つの導電体と間の絶縁体を含む。導電体は、金属であってもよいし、不純物を導入された半導体であってもよい。
【0057】
スイッチSW7は、ダミービット線BLdmyと読出し電圧RD1を受けるノードとの間に接続されている。読出し電圧RD1は、非選択電圧VUSELより低い。一例において、読出し電圧RD1は、接地電圧VSSである。
【0058】
読出し制御回路RCCは、信号S1~S7を出力する。
【0059】
1.2.動作
図7は、第1実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
図7は、
図6に示されるように或る1つのデータ読出し対象のメモリセルMCが選択されている状態について示す。すなわち、
図6に示される選択メモリセルMCと接続されたスイッチSW1及びSW2はともにオンしている。また、
図6に示されるワード線WL及びビット線BLは、それぞれ、選択ワード線WL及び選択ビット線BLである。
図7に示される期間における動作は、データ読出し対象のメモリセルMCが選択されている状態で、データ読出しが開始すると、開始する。
【0060】
時刻t1において、各信号、ノードの電圧、及び電流は、以下の状態を有する。信号S3及びS6は、ローレベルを有し、信号S4、S5、及びS7は、ハイレベルを有する。このため、スイッチSW3~SW7は、以下に記述される状態にある。すなわち、スイッチSW3及びSW6は、オフしており、スイッチSW4、SW5、及びSW7は、オンしている。
【0061】
スイッチSW3がオフしているとともにスイッチSW4がオンしていることに基づいて、選択ワード線WLは、非選択電圧VUSELを受けており、よって、選択ワード線WLの電位VWL(選択ワード線電位VWL)は、非選択電位VUSELを有する。非選択電位VUSELは、配線が非選択電圧VUSELを印加されることによって有する大きさの電位であり、一例において、非選択電圧VUSELの大きさと実質的に同じ大きさを有する。スイッチSW5がオンしているとともにスイッチSW6がオフしていることに基づいて、選択ビット線BLは、非選択電圧VUSELを受けており、よって、選択ビット線BLの電位VBL(選択ビット線電位VBL)は、非選択電位VUSELを有する。スイッチSW6がオフしているとともにスイッチSW7がオンしていることに基づいて、ダミービット線BLdmyは、読出し電圧VRD1を受けており、よって、ダミービット線BLdmyの電位(ダミービット線電位VBLdmy)は、読出し電位VRD1を有する。読出し電位VRD1は、配線が読出し電圧VRD1を印加されることによって有する大きさの電位であり、一例において、読出し電圧VRD1の大きさと実質的に同じ大きさを有する。
【0062】
時刻t2において、信号S3がハイレベルとされるとともに、信号S4がローレベルとされる。このときの読出し回路17中の構成要素の状態が
図8に示されている。
図8に示されるように、スイッチSW3がオンしているとともに、スイッチSW4がオフしている。よって、選択ワード線WLは、プリチャージ電圧VPRCHを受けるノードに接続されている。これに基づいて、
図7に示されるように、時刻t2から、選択ワード線電位VWLは上昇し、プリチャージ電位VPRCHに到達する。プリチャージ電位VPRCHは、配線がプリチャージ電圧VPRCHを印加されることによって有する大きさの電位であり、一例において、プリチャージ電圧VPRCHの大きさと実質的に同じ大きさを有する。
【0063】
時刻t3において、信号S3がローレベルとされる。これにより、スイッチSW3はオフし、選択ワード線WLは、電気的にフローティングする。選択ワード線電位VWLは、時刻t3以降も、プリチャージ電位VPRCHに留まる。
【0064】
時刻t4において、信号S5がローレベルとされ、信号S6がハイレベルとされ、信号S7がローレベルとされる。このときの読出し回路17中の構成要素の状態が
図9に示されている。
図9に示されるように、スイッチSW5がオフしていることにより、配線L2は、非選択電圧VUSELを受けない。また、スイッチSW7がオフしていることにより、ダミービット線BLdmyは読出し電圧VRD1を受けない。そして、スイッチSW6がオンしていることにより、配線L2とダミービット線BLdmyは接続されている。よって、選択ビット線BL及びダミービット線BLdmyは、互いに接続されているとともに、電気的にフローティングしている。このため、選択ビット線BLとダミービット線BLdmyとの間でチャージシェアが起こる。このことに基づいて、
図7に示されるように、選択ビット線電位VBLは下降するとともに、ダミービット線電位VBLdmyは上昇する。チャージシェアによる電位の変化は素早く、よって、選択ビット線電位VBLは素早く下降する。
【0065】
時刻t5において、選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLとの差が、閾値電圧Vthに達する。これにより、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEは、オンする。よって、選択ワード線WLは、選択メモリセルMC中のオンしているスイッチング素子SEを介して、選択ビット線BLと電気的に接続される。これにより、選択ワード線WLは、放電する。選択ワード線WLの放電によって、選択ワード線WLから選択ビット線BLに向かってセル電流が流れる。
【0066】
選択ワード線WL及び選択ビット線BLは、電気的にフローティングしている。このため、選択ワード線電位VWLは、セル電流が流れることによる放電によって、時間の経過とともに下降する。同様に、選択ビット線電位VBLは、セル電流による充電によって、時間の経過とともに上昇する。このとき、選択ワード線電位VWLの下降は、選択メモリセルMCのMTJ素子MTJの状態に基づいて、異なる速度で下降する。選択メモリセルMCのMTJ素子MTJが高抵抗状態である場合の選択ワード線電位VWLは、選択メモリセルMCのMTJ素子MTJが低抵抗状態である場合の選択ワード線電位VWLの下降より緩やかに下降する。
【0067】
時刻t6において、選択ワード線電位VWLは、選択メモリセルMCのMTJ素子MTJの抵抗状態に基づく大きさになる。すなわち、選択ワード線電位VWLの下降と選択ビット線電位VBLの上昇により、選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLの差が低下する。これにより、選択メモリセルMCの端子電圧が、或る大きさになると、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEがオフする。この結果、選択ワード線電位VWLの下降及び選択ビット線電位VBLの上昇が停止し、或る大きさを有するようになる。具体的には、以下の通りである。
【0068】
選択メモリセルMCのMTJ素子MTJが低抵抗状態である場合、選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLの差が低ホールド電圧VhdLとなると、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEはオフする。また、選択ビット線電位VBLの上昇は停止し、選択ビット線電位VBLは或る大きさを有するようになる。選択メモリセルMCのスイッチング素子SEのオフにより、選択ワード線電位VWLの下降は停止し、選択ワード線電位VWLは或る大きさの電位V1を有するようになる。
【0069】
一方、選択メモリセルMCのMTJ素子MTJが高抵抗状態である場合、選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLの差が高ホールド電圧VhdHとなると、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEはオフする。また、選択ビット線電位VBLの上昇は停止し、選択ビット線電位VBLは或る大きさを有するようになる。選択メモリセルMCのスイッチング素子SEのオフにより、選択ワード線電位VWLの下降は停止し、選択ワード線電位VWLは或る大きさの電位V2を有するようになる。電位V2は、電位V1より高い。
【0070】
ダミービット線BLdmyは、選択ビット線BLと接続されているため、ダミービット線電位VBLdmyは、選択ビット線電位VBLの大きさと同じ大きさを有する。
【0071】
時刻t6において、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEがオフすることに基づいて、セル電流は、0になる。
【0072】
時刻t6以降、センスアンプ回路SACから、選択ワード線電位VWLに基づいて定まる、選択メモリセルMCが記憶していたと判断されるデータが出力される。一例において、選択ワード線電位VWLが電位V2である場合、すなわち、選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLとの差が高ホールド電圧VhdHである場合、センスアンプ回路SACは、ハイレベルの信号を出力する。選択ワード線電位VWLが電位V1である場合、すなわち、選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLとの差が低ホールド電圧VhdLである場合、センスアンプ回路SACは、ローレベルの信号を出力する。
【0073】
1.3.利点(効果)
第1実施形態によれば、以下に記述されるように、高速で動作するとともに余分な電流の消費を抑制できる記憶装置が提供されることができる。
【0074】
図10は、参考用の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。参考用の記憶装置1rの読出し回路17rは、第1実施形態の記憶装置1の読出し回路17の容量CP1、ダミービット線BLdmy、及びスイッチSW6を有しない点で、読出し回路17と異なる。
図10及び以下の記述は、選択メモリセルMCのMTJ素子MTJが高抵抗状態にある例に基づく。しかしながら、低抵抗状態のケースについても、高抵抗状態のケースと言及される電圧が異なるのみで、同じ現象が生じる。
【0075】
図10に示されるように、時刻t4において、信号S7がハイレベルとされる。これにより、スイッチSW7がオンし、記憶装置1rの選択ビット線電位VBLrは、読出し電圧VRD1を受けるノードからの電圧の印加によって低下する。しかしながら、配線L2は、配線L1と異なり、大きな容量が付加されており、よって、選択ビット線電位VBLrの下降は遅い。このため、時刻t4から、選択ワード線電位VWLrと選択ビット線電位VBLrの差が閾値電圧Vthとなる時刻t11までの期間が長く、ひいては、選択ワード線電位VWLrと選択ビット線電位VBLrの差が高ホールド電圧VhdHになる時刻t12までの期間が長い。これは、記憶装置1rの高速なデータ読出しを妨げる。
【0076】
また、選択ビット線電位VBLrの下降が遅いことに基づいて、以下の現象が起き得る。まず、時刻t11において、選択ワード線電位VWLrと選択ビット線電位VBLrの差が閾値電圧Vthになり、選択ワード線電位VWLrが急速に下降する。時刻t12において、選択ワード線電位VWLrと選択ビット線電位VBLrの差が高ホールド電圧VhdHとなり、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEはオフする。これにより、選択ワード線電位VWLrの低下は停止し、一方、選択ビット線電位VBLrの低下は継続する。このため、時刻t13で、選択ワード線電位VWLrと選択ビット線電位VBLrの差が、再び、閾値電圧Vthとなる。このため、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEが意図せずにオンする。以下、このようなスイッチング素子SEの意図しないオンは、再オンと称される場合がある。再オンによって、意図せずにセル電流が流れる。このセル電流は、記憶装置1rの消費電流を増加させる。
【0077】
再オンを回避するために、時刻t11の後に、スイッチSW7をオフするとともにスイッチSW5をオンすることが考えられる。こうすることにより、選択ビット線BLrに非選択電圧VUSELが印加され、これにより、選択ビット線電位VBLrは、上昇する。しかしながら、制御が複雑である。
【0078】
第1実施形態によれば、読出し回路17は、配線L2と接続されることができるとともに読出し電圧VRD1を受けることができるダミービット線BLdmyを含む。そして、選択ビット線BLが電気的にフローティングしている間に、選択ビット線BLが読出し電位VRD1を有するダミービット線BLdmyと接続される。これにより、選択ビット線電位VBLの下降は、選択ビット線BLとダミービット線BLdmyとの間のチャージシェアによって行われる。一般に、配線の電位のチャージシェアによる変化は、配線に電圧生成回路及びドライバなどの回路からの電圧を印加することによって配線の電位が変化する速度より速い。このため、第1実施形態の記憶装置1において選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLの差が高ホールド電圧VhdH又は低ホールド電圧VhdLとなる時刻t6は、記憶装置1rにおいて選択ワード線電位VWLrと選択ビット線電位VBLrの差が高ホールド電圧VhdH又は低ホールド電圧VhdLとなる時刻t12より早く到来する。よって、記憶装置1は、高速にデータを読み出すことができる。
【0079】
また、選択ビット線電位VBLの下降が選択ビット線BLとダミービット線BLdmyとのチャージシェアによって行われるため、時刻t5において選択メモリセルMCのスイッチング素子SEがオフすると、選択ビット線電位VBLは、上昇する。よって、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEの再オンは回避される。このため、余分な電流の消費が回避される。
【0080】
また、選択ビット線電位VBLの下降が選択ビット線BLとダミービット線BLdmyとのチャージシェアによって行われるため、選択ビット線電位VBLは、時刻t5から、外部からの操作なしに、上昇する。すなわち、例えば、選択ビット線BLを非選択電圧VUSELを受けるノードに接続するような動作は不要である。よって、再オンの抑制が簡易に行われることが可能である。
【0081】
1.4.変形例
信号S7が時刻t1から時刻t4までHであることは必須ではない。時刻t4までに、ダミービット線BLdmyの電位が読出し電圧VRD1となっていればよい。よって、信号S7は、時刻t1において、ローレベルとされているとともに時刻t4までにハイレベルとされることができる。
【0082】
2.第2実施形態
第2実施形態は、選択ビット線電位VBLの制御の点で、第1実施形態と異なる。
【0083】
図11は、第2実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
図11は、代表として、第1実施形態の
図6と同じく、或る1つのメモリセルMCが選択されている状態を示す。
【0084】
第2実施形態の記憶装置1bの読出し回路17bは、第1実施形態の記憶装置1の読出し回路17に含まれる構成要素に加えて、スイッチSW8を含む。スイッチSW8は、配線L2と読出し電圧VRD1を受けるノードとの間に接続されている。スイッチSW8は、信号S8を受け取る。信号S8は、読出し制御回路RCCbから供給される。
【0085】
図12は、第2実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
図12は、
図11に示されるように或る1つの読出し対象のメモリセルMCが選択されている状態について示す。すなわち、
図11に示される選択メモリセルMCと接続されたスイッチSW1及びSW2はともにオンしている。また、
図11に示されるワード線WL及びビット線BLは、それぞれ、選択ワード線WL及び選択ビット線BLである。
図12に示される期間における動作は、データ読出し対象のメモリセルMCが選択されている状態で、データ読出しが開始すると、開始する。
【0086】
図12に示されるように、信号S8は、信号S6と同じ論理レベルを有する。このため、時刻t1から時刻t4まで、信号S8は、ローレベルを有する。よって、スイッチSW8はオフしており、選択ビット線BLは、読出し電圧VRD1を受けていない。
【0087】
時刻t4において、信号S8はハイレベルとされる。これにより、スイッチSW8はオンし、選択ビット線BLは、読出し電圧VRD1を受ける。このため、時刻t5において選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLの差が閾値電圧Vthに達するとともに選択メモリセルMCを介して選択ビット線BLに電流が流入し始める後も、選択ビット線電位VBLは下降する。選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLの差は、選択メモリセルMCのMTJ素子MTJが高抵抗状態のケースにおいて、時刻t21において、高ホールド電圧VhdHに達する。また、選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLの差は、選択メモリセルMCのMTJ素子MTJが低抵抗状態のケースにおいて、時刻t21において、低ホールド電圧VhdLに達する。
【0088】
時刻t22において、信号S5及びS7がハイレベルとされるとともに、信号S6及びS8がローレベルとされる。これにより、選択ビット線電位VBLは、非選択電位VUSELとなる。
【0089】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同じく、読出し回路17bは、配線L2と接続されることができるとともに読出し電圧VRD1を受けることができるダミービット線BLdmyを含む。そして、選択ビット線BLが電気的にフローティングしている間に、選択ビット線BLが読出し電位VRD1を有するダミービット線BLdmyと接続される。よって、第1実施形態と同じ利点を得られる。
【0090】
また、第2実施形態によれば、選択ビット線BLは、チャージシェアの開始とともに、読出し電圧VRD1を受ける。よって、選択ビット線電位VBLは、読出し電圧VRD1へと制御されることができる。このことは、選択ビット線BLを電気的にフローティングに維持することによって選択ビット線電位VBLの変動を自然な振る舞いのままとする場合よりも、選択ビット線電位VBLを状況によらずにより安定させることを可能にする。
【0091】
3.第3実施形態
第3実施形態は、第1実施形態に付加的に実施され、選択ワード線電位VWLの制御に関する。
【0092】
図13は、第3実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
図13は、代表として、第1実施形態の
図6と同じく、或る1つのメモリセルMCが選択されている状態を示す。
【0093】
第3実施形態の記憶装置1cの読出し回路17cは、第1実施形態の記憶装置1に含まれる構成要素に加えて、スイッチSW11、容量CP2、並びにダミーワード線WLdmyを含む。スイッチSW3は、第1実施形態でのプリチャージ電圧VPRCHを受けるノードに代えて、ダミーワード線WLdmyと接続されている。
【0094】
スイッチSW11は、プリチャージ電圧VPRCHを受けるノードとダミーワード線WLdmyとの間に接続されている。スイッチSW11は、信号S11を受け取る。信号S11は、読出し制御回路RCCcから供給される。
【0095】
容量CP2は、ダミーワード線WLdmyと接地電圧VSSのノードとの間に形成されている。容量CP2は、容量素子であってもよいし、ダミービット線BLdmyと、接地電圧VSSを受けるノードとの間の寄生容量であってもよい。
【0096】
図14は、第3実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
図14は、
図13に示されるように或る1つの読出し対象のメモリセルMCが選択されている状態について示す。すなわち、
図13に示される選択メモリセルMCと接続されたスイッチSW1及びSW2はともにオンしている。また、
図14に示されるワード線WL及びビット線BLは、それぞれ、選択ワード線WL及び選択ビット線BLである。
図14に示される期間における動作は、データ読出し対象のメモリセルMCが選択されている状態で、データ読出しが開始すると、開始する。
【0097】
図14に示されるように、時刻t1において、信号S11はハイレベルを有する。このため、ダミーワード線WLdmyは、プリチャージ電圧VPRCHを受けるノードと接続されており、プリチャージ電位VPRCHを有する。
【0098】
時刻t2において、信号S11がローレベルとされるとともに、信号S3がハイレベルとされる。これにより、配線L1とダミーワード線WLdmyとの間でチャージシェアが起こる。よって、配線L1の電位は、時刻t2から速やかにプリチャージ電位VPRCHまで上昇する。
【0099】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同じく、読出し回路17cは、配線L2と接続されることができるとともに読出し電圧VRD1を受けることができるダミービット線BLdmyを含む。そして、選択ビット線BLが電気的にフローティングしている間に、選択ビット線BLが読出し電位VRD1を有するダミービット線BLdmyと接続される。よって、第1実施形態と同じ利点を得られる。
【0100】
また、第3実施形態によれば、読出し回路17cは、配線L1と接続されることができるとともにプリチャージ電圧VPRCHを受けることができるダミーワード線WLdmyを含む。そして、選択ワード線WLがプリチャージされるタイミングで、選択ワード線WLとダミーワード線WLdmyが接続される。これにより、選択ワード線WLが速やかにプリチャージされることが可能である。
【0101】
第3実施形態は、第2実施形態と組み合わせられてもよい。
【0102】
4.第4実施形態
第4実施形態は、第1乃至第3実施形態に適用され、メモリセルの配列の構造及びこれに関連する点において、第1乃至第3実施形態と異なる。
【0103】
4.1.構成
図15は、第4実施形態のメモリセルアレイ11の回路図である。
図15に示されるように、メモリセルアレイ11中には、M+1本のワード線WLA(WLA_0、WLA_1、…、WLA_M)及びM+1本のワード線WLB(WLB_0、WLB_1、…、WLB_M)が位置している。メモリセルアレイ11にはまた、N+1本のビット線BL(BL_0、BL_1、…、BL_N)が位置している。
【0104】
各メモリセルMCAは、1つのビット線BLと1つのワード線WLAとに接続されている。すなわち、各ビット線BLと、1つのワード線WLAとの間に、1つのメモリセルMCAが接続されている。各メモリセルMCAは、1つのMTJ素子MTJA及び1つのスイッチング素子SEAを含む。各メモリセルMCAにおいて、1つのMTJ素子MTJAと1つのスイッチング素子SEAは、直列に接続されている。各MTJ素子MTJAは、1つのビット線BLと接続されている。各スイッチング素子SEAは、1つのワード線WLAと接続されている。
【0105】
同様に、各メモリセルMCBは、1つのビット線BLと1つのワード線WLBとに接続されている。すなわち、各ビット線BLと、1つのワード線WLBとの間に、1つのメモリセルMCBが接続されている。各メモリセルMCBは、1つのMTJ素子MTJB及び1つのスイッチング素子SEBを含む。各メモリセルMCBにおいて、1つのMTJ素子MTJBと1つのスイッチング素子SEBは、直列に接続されている。各MTJ素子MTJBは、1つのビット線BLと接続されている。各スイッチング素子SEBは、1つのワード線WLBと接続されている。
【0106】
図16は、第4実施形態の記憶装置の一部の斜視図である。
図16に示されるように、メモリセルアレイ11は、第1実施形態の
図3に示される構造に加えて、導電体23及びメモリセルMCBを含む。導電体21と導電体22の間のメモリセルMCは、メモリセルMCAとして機能する。メモリセルMCAのMTJ素子MTJは、MTJ素子MTJAとして機能する。メモリセルMCAのスイッチング素子SEは、スイッチング素子SEAとして機能する。
【0107】
導電体23は、直線の形状を有し、x方向に延び、y方向に並ぶ。各導電体23は、1つのワード線WLBとして機能する。導電体23は、導電体22よりz方向に位置する。
【0108】
導電体23と導電体22の交点の各々に1つのメモリセルMCBが設けられている。メモリセルMCBは、xy平面に沿って行列状に配列されている。各メモリセルMCBは、スイッチング素子SEBとして機能する構造と、MTJ素子MTJBとして機能する構造を含む。スイッチング素子SEBとして機能する構造及びMTJ素子MTJBとして機能する構造は、各々、1又は複数の層を含む。例えば、MTJ素子MTJBとして機能する構造は、スイッチング素子SEBとして機能する構造の上面上に位置する。メモリセルMCBの下面は、1つの導電体23の上面と接している。メモリセルMCBの上面は、1つの導電体22の下面と接している。
【0109】
図17は、第4実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
図17は、第1実施形態の
図6と同じく、代表として、或る1つのメモリセルMCBが選択されている状態を示す。
【0110】
第4実施形態の記憶装置1dの読出し回路17dは、
図6に示されるように第1実施形態の読出し回路17に含まれる構成要素に加えて、センスアンプ回路SAC2、並びにスイッチSW23及びSW27をさらに含む。
【0111】
読出し回路17dの中の構成要素のうち、
図6に示される構成要素は、メモリセルMCAからデータを読み出すために使用される。すなわち、第4実施形態では、第1実施形態において
図6を参照して上記されているメモリセルMC及びワード線WLは、それぞれ、メモリセルMCA及びワード線WLAである。
【0112】
一方、
図17に示される構成要素は、メモリセルMCBからデータを読み出すために使用される。
図17に示されるメモリセルMCB及びワード線WLBは、それぞれ、メモリセルMCB及びワード線WLBである。
【0113】
図17に示されるように、読出し回路17dは、ロウ選択回路14を介してワード線WLBと接続されている。
【0114】
スイッチSW23は、読出し電圧VRD1を受けるノードと、配線L1と、の間に接続されている。
【0115】
センスアンプ回路SAC2は、第1実施形態のセンスアンプ回路SACと同様に、オペアンプOPを含み、一方、センスアンプ回路SACでの抵抗R1に代えて抵抗R2を含む。センスアンプ回路SAC2は、オペアンプOPの非反転入力において、配線L1と接続されている。
【0116】
スイッチSW27は、ダミービット線BLdmyと、プリチャージ電圧VPRCHを受けるノードとの間に接続されている。
【0117】
読出し制御回路RCCdは、第1実施形態の読出し制御回路RCCの機能に加えて、信号S23及びS27を出力する。
【0118】
4.2.動作
メモリセルMCBからのデータ読出しの概要は、メモリセルMCAからのデータ読出し、すなわち、第1実施形態において
図7を参照して上記されている動作の概要と、ワード線WL及びビット線BLの電位の逆転を除いて、同じである。
【0119】
図18は、第4実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
図18は、
図17に示されるように或る1つのデータ読出し対象のメモリセルMCBが選択されている状態について示す。すなわち、
図6に示される選択メモリセルMCBと接続されているスイッチSW1及びSW2はともにオンしている。また、
図17に示されるワード線WLB及びビット線BLは、それぞれ、選択ワード線WLB及び選択ビット線BLである。
図18に示される期間における動作は、データ読出し対象のメモリセルMCBが選択されている状態で、データ読出しが開始すると、開始する。
【0120】
信号S23、S4、S5、S6、及びS27のレベルの変化は、
図7に示される第1実施形態での信号S3、S4、S5、S6、及びS7のレベルの変化と、それぞれ、同じである。
【0121】
時刻t31において、信号S23はローレベルであり、信号S4はハイレベルである。このため、スイッチSW23は、オフしており、スイッチSW4は、オンしている。よって、選択ワード線WLBは、非選択電圧VUSELを受けており、よって、選択ワード線WLBの電位VWLB(選択ワード線電位VWLB)は、非選択電位VUSELを有する。
【0122】
信号S5はハイレベルであり、信号S6はローレベルである。このため、スイッチSW5はオンしており、スイッチSW6はオフしている。よって、選択ビット線BLは、非選択電位VUSELを有する。
【0123】
信号S27がハイレベルであることに基づいて、スイッチSW27がオンしている。よって、ダミービット線BLdmyは、プリチャージ電圧VPRCHを受けており、よって、ダミービット線電位VBLdmyは、プリチャージ電位VPRCHを有する。
【0124】
時刻t32において、信号S23がハイレベルとされるとともに、信号S4がローレベルとされる。これにより、スイッチSW23はオンし、スイッチSW4はオフする。よって、選択ワード線WLBは、読出し電圧VRD1を受けるノードに接続される。これに基づいて、時刻t32から、選択ワード線電位VWLBは下降し、読出し電位VRD1に到達する。
【0125】
時刻t33において、信号S23がローレベルとされる。これにより、スイッチSW23はオフし、選択ワード線WLBは、電気的にフローティングする。選択ワード線電位VWLBは、時刻t33以降も、読出し電位VRD1に留まる。
【0126】
時刻t34において、信号S5がローレベルとされ、信号S6がハイレベルとされ、信号S27がローレベルとされる。これにより、スイッチSW5はオフし、スイッチSW6はオンし、スイッチSW27はオフする。スイッチSW5がオフすることにより、配線L2は、非選択電圧VUSELを受けない。また、スイッチSW27がオフすることにより、ダミービット線BLdmyはプリチャージ電圧VPRCHを受けない。そして、スイッチSW6がオンすることにより、配線L2とダミービット線BLdmyは接続されている。よって、選択ビット線BL及びダミービット線BLdmyは、互いに接続されているとともに、電気的にフローティングしている。このため、選択ビット線BLとダミービット線BLdmyとの間でチャージシェアが起こる。このことに基づいて、
図18に示されるように、選択ビット線電位VBLは上昇するとともに、ダミービット線電位VBLdmyは下降する。
【0127】
時刻t35において、選択ワード線電位VWLBと選択ビット線電位VBLとの差が、閾値電圧Vthに達する。これにより、選択メモリセルMCBのスイッチング素子SEBはオンし、選択ワード線WLBは充電される。選択ワード線WLBの充電によって、選択ビット線BLから選択ワード線WLBに向かってセル電流が流れる。
【0128】
選択ワード線WLB及び選択ビット線BLは、電気的にフローティングしている。このため、選択ワード線電位VWLBは、セル電流が流れることによる充電によって、時間の経過とともに上昇する。同様に、選択ビット線電位VBLは、セル電流による放電によって、時間の経過とともに下降する。このとき、選択メモリセルMCBのMTJ素子MTJBが高抵抗状態である場合の選択ワード線電位VWLBは、選択メモリセルMCBのMTJ素子MTJBが低抵抗状態である場合の選択ワード線電位VWLBの上昇より緩やかに上昇する。
【0129】
時刻t36において、選択メモリセルMCBのMTJ素子MTJBが低抵抗状態である場合、選択ワード線電位VWLBと選択ビット線電位VBLの差が低ホールド電圧VhdLとなると、選択メモリセルMCBのスイッチング素子SEBはオフする。これにより、選択ビット線電位VBLの下降は停止するとともに選択ワード線電位VWLBの上昇は停止する。この結果、選択ワード線電位VWLBは或る大きさの電位V3を有するようになる。
【0130】
一方、選択メモリセルMCBのMTJ素子MTJBが高抵抗状態である場合、選択ワード線電位VWLBと選択ビット線電位VBLの差が高ホールド電圧VhdHとなると、選択メモリセルMCBのスイッチング素子SEBはオフする。これにより、選択ビット線電位VBLの下降は停止するとともに選択ワード線電位VWLBの上昇は停止する。この結果、選択ワード線電位VWLBは或る大きさの電位V4を有するようになる。電位V4は、電位V3より低い。
【0131】
ダミービット線BLdmyは、選択ビット線BLと接続されているため、ダミービット線電位VBLdmyは、選択ビット線電位VBLの大きさと同じ大きさを有する。
【0132】
時刻t36において、選択メモリセルMCBのスイッチング素子SEBがオフすることに基づいて、セル電流は、0になる。
【0133】
時刻t36以降、センスアンプ回路SAC2から、選択ワード線電位VWLBに基づいて定まる、選択メモリセルMCBが記憶していたと判断されるデータが出力される。
【0134】
4.3.利点
第4実施形態によれば、第1実施形態と同じく、読出し回路17dは、配線L2と接続されることができるとともに読出し電圧VRD1を受けることができるダミービット線BLdmyを含む。そして、選択ビット線BLが電気的にフローティングしている間に、選択ビット線BLが読出し電位VRD1を有するダミービット線BLdmyと接続される。よって、第1実施形態と同じ利点を得られる。
【0135】
また、第4実施形態によれば、読出し回路17dは、配線L2と接続されることができるとともにプリチャージ電圧VPRCHを受けることができるダミービット線BLdmyを含む。そして、選択ビット線BLが電気的にフローティングしている間に、選択ビット線BLがプリチャージ電位VPRCHを有するダミービット線BLdmyと接続される。これにより、選択ワード線電位VWLの下降は、選択ビット線BLとダミービット線BLdmyとの間のチャージシェアによって行われる。このため、ワード線電位VWLとビット線電位VBLの大きさの関係が第1実施形態での関係と逆の場合であっても、第1実施形態において上記されている機序と同じ機序により高速にデータが読み出されることができる。
【0136】
4.4.変形例
第4実施形態は、第2実施形態でのメモリセルMCAからのデータ読出しのため構成に相当する構成をさらに含んでいてもよい。すなわち、
図17に示されるメモリセルMCBからのデータ読出しのための構成は、さらに、配線L2と接続されているスイッチSW28を含む。スイッチSW28は、メモリセルMCAからのデータ読出しに関する第2実施形態でのスイッチSW8に相当する。一方、メモリセルMCBからのデータ読出しの場合、配線L2がプリチャージ電圧VPRCHに制御されため、配線L2は、スイッチSW28を介して、プリチャージ電圧VPRCHを受けるノードと接続されている。
【0137】
第4実施形態は、第3実施形態でのメモリセルMCAからのデータ読出しのため構成に相当する構成をさらに含んでいてもよい。すなわち、スイッチSW23は、読出し電圧VRD1を受けるノードに代えて、ダミーワード線WLdmyと接続されている。ダミーワード線WLdmyは、スイッチSW11に相当するスイッチを介して読出し電圧VRD1を受けるノードに接続されている。また、ダミーワード線WLdmyと、接地電圧VSSを受けるノードとの間に、容量CP2に相当する容量が形成されている。
【0138】
5.第5実施形態
第5実施形態は、第1実施形態に基づき、第1実施形態のより具体的な形態に関する。
【0139】
5.1.構造
5.1.1.全体の構成
図19は、第5実施形態の記憶装置の機能ブロックを示す。第5実施形態の記憶装置1eは、コア回路41、入出力回路12、制御回路13e、デコード回路42、ページバッファ43、及び電圧生成回路18を含む。
【0140】
コア回路41は、複数のメモリセルMC、並びにメモリセルMCにアクセスするための配線及び回路を含む回路である。
【0141】
制御回路13eは、入出力回路12からコマンドCMD及び制御信号CNTを受け取る。制御回路13eは、コマンドCMD及び制御信号CNTによって指示される制御に基づいて、コア回路41を制御し、メモリセルMCからのデータの読出し及びメモリセルMCへのデータの書込みを制御する。制御回路13eは、コマンドCMD及び制御信号CNTによって指示される制御に基づいて、電圧生成回路18を制御する。
【0142】
デコード回路42は、アドレス情報ADDをデコードする回路である。デコード回路42は、入出力回路12からアドレス情報ADDを受け取る。デコード回路42は、アドレス情報ADDをデコードし、デコードの結果に基づいて、データの読出し又はデータの書込みの対象のメモリセルMCを選択するための信号を生成する。生成された信号は、コア回路41に送信される。
【0143】
ページバッファ43は、或る大きさのデータを一時的に記憶する回路である。ページバッファ43は、入出力回路12から、メモリセルMCに書き込まれるデータDATを受け取り、データを一時的に記憶し、データをコア回路41に転送する。ページバッファ43は、メモリセルMCから読み出されたデータを受け取り、読み出されたデータを一時的に記憶し、データDATを入出力回路12に転送する。
【0144】
電圧生成回路18は、メモリセルMCへのデータの書込みの間、データ書込みに使用される電圧をコア回路41に供給する。電圧生成回路18は、メモリセルMCからのデータの読出しの間、データ読出しに使用される電圧をコア回路41に供給する。
【0145】
5.1.2.コア回路の構成
図20は、第5実施形態の記憶装置のコア回路の機能ブロックを示す。
図20に示されるように、コア回路41は、複数のサブコア回路セットFCSC、複数の配線FWL(FWL_0、FWL_1、…)、複数の配線FBL(FBL_0、FBL_1、…)、FWLセレクタFWS、FBLセレクタFBS、配線EWL、配線EBL、及び読出し回路45を含む。
【0146】
各サブコア回路セットFCSCは、複数の構成要素の組であり、複数のメモリセルMC、複数のセレクタ、及び複数の配線を含む。各サブコア回路セットFCSCは、1つの配線FWL及び1つ配線FBLのと接続されている。
【0147】
各配線FWLは、複数のサブコア回路セットFCSCと接続されている。各配線FBLは、複数のサブコア回路セットFCSCと接続されている。
【0148】
各FWLセレクタFWSは、複数の配線FWLのうちの1つを選択する回路である。各FWLセレクタFWSは、アドレス情報ADDを受け取り、複数の配線FWLのうちの受け取られたアドレス情報ADDによって特定される1つの配線FWLを、配線EWLに接続する。
【0149】
各FBLセレクタFBSは、複数の配線FBLのうちの1つを選択する回路である。各FBLセレクタFBSは、アドレス情報ADDを受け取り、複数の配線FBLのうちの受け取られたアドレス情報ADDによって特定される1つの配線FBLを、配線EBLに接続する。
【0150】
読出し回路45は、配線EWL及びEBLと接続されている。
【0151】
図21は、第5実施形態の記憶装置のFWLセレクタ及びFBLセレクタの構成要素及び構成要素の接続を示す。
図21に示されるように、FWLセレクタFWSは、各配線FBLと接続されているサブコア回路セットFCSCの数と同じ数のスイッチFWSWを含む。各スイッチFWSWは、一端において1つの配線FWLと接続されており、他端において配線EWLと接続されている。各スイッチFWSWは、p型又はn型のMOSFETであり、或いは、並列接続されているとともにそれぞれのゲートにおいて相補の信号を受け取るp型及びn型のMOSFETである。各スイッチFWSWは、アドレス情報ADDに基づく読出し回路45の制御によって、オン又はオフされる。このスイッチFWSWについての記述は、後述の、コア回路41に含まれるスイッチFBSW、GWSW、GBSW、WSW、及びBSWについても当てはまる。
【0152】
FBLセレクタFBSは、各配線FWLと接続されているサブコア回路セットFCSCの数と同じ数のスイッチFBSWを含む。各スイッチFBSWは、一端において1つの配線FBLと接続されており、他端において配線EBLと接続されている。
【0153】
図22は、第5実施形態の記憶装置のサブコア回路セットの機能ブロックを示す。
図22に示されるように、各サブコア回路セットFCSCは、複数のサブコア回路SCC、複数のグローバルワード線GWL(GWL_0、GWL_1、…)、複数のグローバルビット線GBL(GBL_0、GBL_1、…)、GWLセレクタGWS、GBLセレクタGBS、配線FWL、及び配線FBLを含む。
【0154】
各サブコア回路SCCは、複数の構成要素の組であり、複数のメモリセルMC、複数のセレクタ、及び複数の配線を含む。各サブコア回路SCCは、1つのグローバルワード線GWL及び1つのグローバルビット線GBLと接続されている。
【0155】
各グローバルワード線GWLは、複数のサブコア回路SCCと接続されている。各グローバルビット線GBLは、複数のサブコア回路SCCと接続されている。
【0156】
各GWLセレクタGWSは、複数のグローバルワード線GWLのうちの1つを選択する回路である。各GWLセレクタGWSは、アドレス情報ADDを受け取り、複数のグローバルワード線GWLのうちの受け取られたアドレス情報ADDによって特定される1つのグローバルワード線GWLを、1つの配線FWLに接続する。
【0157】
各GBLセレクタGBSは、複数のグローバルビット線GBLのうちの1つを選択する回路である。各GBLセレクタGBSは、アドレス情報ADDを受け取り、複数のグローバルビット線GBLのうちの受け取られたアドレス情報ADDによって特定される1つのグローバルビット線GBLを、1つの配線FBLに接続する。
【0158】
図23は、第5実施形態の記憶装置のGWLセレクタ及びGBLセレクタの構成要素及び構成要素の接続を示す。
図23に示されるように、GWLセレクタGWSは、各グローバルビット線GBLと接続されているサブコア回路SCCの数と同じ数のスイッチGWSWを含む。各スイッチGWSWは、一端において1つのグローバルワード線GWLと接続されており、他端において1つの配線FWLと接続されている。各スイッチGWSWは、アドレス情報ADDに基づく読出し回路45の制御によって、オン又はオフされる。
【0159】
GBLセレクタGBSは、各グローバルワード線GWLと接続されているサブコア回路SCCの数と同じ数のスイッチGBSWを含む。各スイッチGBSWは、一端において1つのグローバルビット線GBLと接続されており、他端において配線FBLと接続されている。各スイッチGBSWは、アドレス情報ADDに基づく読出し回路45の制御によって、オン又はオフされる。
【0160】
図24は、第5実施形態の記憶装置のサブコア回路の機能ブロックを示す。
図24に示されるように、各サブコア回路SCCは、複数のメモリセルMC、複数のワード線WL(WL_0、WL_1、…)、複数のビット線BL(BL_0、BL_1、…)、WLセレクタWS、BLセレクタBS、グローバルワード線GWL、及びグローバルビット線GBLを含む。
【0161】
各メモリセルMCは、1つのワード線WL及び1つのビット線BLと接続されている。各ワード線WLは、複数のメモリセルMCと接続されている。各ビット線BLは、複数のメモリセルMCと接続されている。メモリセルMCのアレイ、ワード線WL、及びビット線BLは、第1実施形態の
図3に示される構造によって実現されることができる。
【0162】
各WLセレクタWSは、複数のワード線WLのうちの1つを選択する回路である。各WLセレクタWSは、アドレス情報ADDを受け取り、複数のワード線WLのうちの受け取られたアドレス情報ADDによって特定される1つのワード線WLを、1つのグローバルワード線GWLに接続する。
【0163】
各BLセレクタBSは、複数のビット線BLのうちの1つを選択する回路である。各BLセレクタBSは、アドレス情報ADDを受け取り、複数のビット線BLのうちの受け取られたアドレス情報ADDによって特定される1つのビット線BLを、1つのグローバルビット線GBLに接続する。
【0164】
図25は、第5実施形態の記憶装置のWLセレクタ及びBLセレクタの構成要素及び構成要素の接続を示す。
図25に示されるように、WLセレクタWSは、各ビット線BLと接続されているメモリセルMCの数と同じ数のスイッチWSWを含む。各スイッチWSWは、一端において1つのグローバルワード線GWLと接続されており、他端において1つのワード線WLと接続されている。各スイッチWSWは、アドレス情報ADDに基づく読出し回路45の制御によって、オン又はオフされる。
【0165】
BLセレクタBSは、各ワード線WLと接続されているメモリセルMCの数と同じ数のスイッチBSWを含む。各スイッチBSWは、一端において1つのビット線BLと接続されており、他端においてグローバルビット線GBLと接続されている。各スイッチBSWは、アドレス情報ADDに基づく読出し回路45の制御によって、オン又はオフされる。
【0166】
図20~
図25の例では、コア回路41は、3つの階層を有する。最下の第1階層は、
図24に示される構成、すなわち、メモリセルMC、ワード線WL、ビット線BL、WLセレクタWS、及びBLセレクタBSの組を含む。第2階層は、
図22に示される構成、すなわち、サブコア回路SCC、グローバルワード線GWL、グローバルビット線GBL、GWLセレクタGWS、及びGBLセレクタGBSの組を含む。第3階層は、
図20に示される構成、すなわち、サブコア回路セットFCSC、配線FWL、配線FBL、FWLセレクタFWS、及びFBLセレクタFBSの組を含む。
【0167】
コア回路41は、4つ以上の階層を有していてもよい。4つの階層の例の場合、コア回路41は、第1階層~第3階層と同じく、複数の第4階層のサブコア回路セットECSC、複数の配線EWL、複数の配線EBL、EWLセレクタEWS、EBLセレクタEBS、配線DWL、及びDBL(いずれも図示せず)を含む。
【0168】
各サブコア回路セットECSCは、複数の構成要素の組であり、複数のメモリセルアレイ、複数のセレクタ、及び複数の配線を含む。各サブコア回路セットECSCは、1つの配線EWL及び1つの配線EBLと接続されている。
【0169】
各配線EWLは、複数のサブコア回路セットECSCと接続されている。各配線EBLは、複数のサブコア回路セットECSCと接続されている。
【0170】
各EWLセレクタEWSは、複数の配線EWLのうちの1つを選択する回路である。各EWLセレクタEWSは、アドレス情報ADDを受け取り、複数の配線EWLのうちの受け取られたアドレス情報ADDによって特定される1つの配線EWLを、配線DWLに接続する。
【0171】
各EBLセレクタEBSは、複数の配線EBLのうちの1つを選択する回路である。各EBLセレクタEBSは、アドレス情報ADDを受け取り、複数の配線EBLのうちの受け取られたアドレス情報ADDによって特定される1つの配線EBLを、配線DBLに接続する。
【0172】
配線DWL及び配線DBLは、読出し回路45に接続されている。
【0173】
同様の構造によって、第5階層及びそれより高い階層が設けられていてもよい。
【0174】
各階層におけるセレクタのスイッチがオンされることにより、選択ワード線WLは、読出し回路45に接続される。同様に、各階層におけるセレクタのスイッチがオンされることにより、選択ビット線BLは、読出し回路45に接続される。
【0175】
5.2.2.読出し回路
図26は、第5実施形態の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
図26は、代表として、或る1つのメモリセルMCが選択されるときの状態を示す。すなわち、
図20~
図25を参照して上記されているように、各階層におけるセレクタのスイッチがオンされることにより、選択ワード線WLは及び選択ビット線BLは、読出し回路45に接続される。
図26は、選択ワード線WLから読出し回路45までの電気的接続の経路、及び選択ビット線BLから読出し回路45までの電気的接続の経路を、簡略化された形態で示す。具体的には、以下の通りである。
【0176】
選択ワード線WLは、実際には、各階層の1つのオンしているスイッチ及び各階層の1つの配線を介して読出し回路45に接続されている。
図20~
図25を参照して上記されている3階層の例では、選択ワード線WLは、1つのオンしているスイッチWSW、1つのオンしているスイッチGWSW、1つのオンしているスイッチFWSW、1つのグローバルワード線GWL、1つの配線FWL、及び1つの配線EWLを介して読出し回路45に接続されている。しかしながら、スイッチWSWと読出し回路45との間の全てのスイッチは、同じ、又は実質的に同じタイミングでオン又はオフされる。よって、
図26は、スイッチWSWと読出し回路45との間の電気的接続の経路を、直列に接続されたグローバルワード線GWL、スイッチSW41、及び配線RWIとして示す。配線RWIは、読出し回路45と直接接続されている配線である。
【0177】
選択ビット線BLは、実際には、各階層の1つのオンしているスイッチ及び各階層の1つの配線を介して読出し回路45に接続されている。
図20~
図25を参照して上記されている3階層の例では、選択ビット線BLは、1つのオンしているスイッチBSW、1つのオンしているスイッチGBSW、1つのオンしているスイッチFBSW、1つのグローバルビット線GBL、1つの配線FBL、及び1つの配線EBLを介して読出し回路45に接続されている。しかしながら、スイッチBSWと読出し回路45との間の全てのスイッチは、同じ、又は実質的に同じタイミングでオン又はオフされる。よって、
図26は、スイッチWSWと読出し回路45との間の電気的接続の経路を、直列に接続されたグローバルビット線GBL、スイッチSW42、及び配線RBIとして示す。配線RBIは、読出し回路45と直接接続されている配線である。
【0178】
図26に示されるように、読出し回路45は、選択メモリセルMCが選択されている間、選択ワード線WLと接続されているスイッチ(選択スイッチ)WSW、選択スイッチWSWと接続されているグローバルワード線(選択グローバルワード線)GWL、及び選択グローバルワード線GWLと接続されているスイッチSW41を介して、選択ワード線WLと接続されている。
【0179】
読出し回路45は、選択メモリセルMCが選択されている間、選択ビット線BLと接続されている選択スイッチBSW、選択スイッチBSWと接続されているグローバルビット線(選択グローバルビット線)GBL、及び選択グローバルビット線GBLと接続されているスイッチSW42を介して、選択ビット線BLと接続されている。
【0180】
スイッチWSWは、信号S31を受け取る。スイッチWSWは、ハイレベル又は“H”レベルの信号S31を受け取っている間、オン状態にあり、スイッチWSWの一端と他端とが電気的に接続されている状態を維持する。スイッチWSWは、ローレベル又は“L”レベルの信号S31を受け取っている間、オフ状態にあり、スイッチWSWの一端と他端とが電気的に切断されている状態を維持する。
【0181】
スイッチBSWは、信号S32を受け取る。スイッチBSWは、ハイレベル又は“H”レベルの信号S32を受け取っている間、オン状態にあり、スイッチBSWの一端と他端とが電気的に接続されている状態を維持する。スイッチBSWは、ローレベル又は“L”レベルの信号S32を受け取っている間、オフ状態にあり、スイッチBSWの一端と他端とが電気的に切断されている状態を維持する。
【0182】
読出し回路45は、センスアンプ回路SAC、スイッチSW43~SW47、配線RWI及びRBI、並びに読出し制御回路RCCeを含む。
【0183】
スイッチSW43は、ビット線BLと、非選択電圧VUSELを受けるノードと、の間に接続されている。スイッチSW44は、プリチャージ電圧VPRCHを受けるノードと、配線RWIと、の間に接続されている。スイッチSW45は、配線RWIと、非選択電圧VUSELを受けるノードと、の間に接続されている。
【0184】
センスアンプ回路SACは、オペアンプOPの非反転入力において、配線RWIと接続されている。
【0185】
スイッチSW46は、読出し電圧RD1を受けるノードと、配線RBIと、の間に接続されている。スイッチSW47は、配線RBIと、非選択電圧VUSELを受けるノードと、の間に接続されている。
【0186】
読出し制御回路RCCeは、信号S31、S32、及びS41~S47を出力する。
【0187】
5.2.動作
図27は、第5実施形態の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
図27は、
図26に示されるように或る1つのデータ読出し対象のメモリセルMCが選択されるときの状態について示す。すなわち、信号S41は選択メモリセルMCと配線RWIとを接続できるスイッチSW41を制御し、信号S42は選択メモリセルMCと配線RBIとを接続できるスイッチSW42を制御する。
図27に示される期間における動作は、データ読出し対象のメモリセルMCが選択されている状態で、データ読出しが開始すると、開始する。
【0188】
図27に示される期間に亘って、信号S31はハイレベルを維持し、よって、選択ワード線WLは、選択グローバルワード線GWLと接続されている。このため、
図27に示される期間に亘って、選択ワード線WLと選択グローバルワード線GWLは、同様の電位の変化を有する。
【0189】
図27に示される期間に亘って、信号S41はハイレベルを維持し、よって、選択グローバルワード線GWLは配線RWIと接続されている。
図27に示される期間に亘って、信号S42はハイレベルを維持し、よって、選択ビット線BL及び選択グローバルビット線GBLは、配線RBIと接続されている。
【0190】
時刻t41において、残りの信号、ノードの電圧、及び電流は、以下の状態を有する。信号S32、S44、及びS46は、ローレベルを有し、信号S43、S45、及びS47は、ハイレベルを有する。このため、スイッチBSW、SW44、及びSW46はオフしており、スイッチSW43、SW45、及びSW47はオンしている。
【0191】
スイッチSW43がオンしているとともにスイッチBSWがオフしていることに基づいて、選択ビット線BLは、非選択電圧VUSELを受けている。よって、選択ビット線電位VBLは、非選択電位VUSELを有する。
【0192】
スイッチSW44がオフしているとともにスイッチSW45がオンしていることに基づいて、選択ワード線WLは、非選択電圧VUSELを受けている。よって、選択ワード線電位VWLは、非選択電位VUSELを有する。
【0193】
スイッチSW46がオフしているとともにスイッチSW47がオンしていることに基づいて、選択グローバルビット線GBLは、非選択電圧VUSELを受けている。よって、選択グローバルビット線GBLの電位VGBL(選択グローバルビット線電位VGBL)は、非選択電位VUSELを有する。
【0194】
時刻t42において、信号S44がハイレベルとされるとともに、信号S45がローレベルとされる。これにより、スイッチSW44がオンするとともに、スイッチSW45がオフする。よって、時刻t42から、選択ワード線電位VWLは上昇し、プリチャージ電位VPRCHに到達する。
【0195】
時刻t42において、信号S46がハイレベルとされるとともに、信号S47がローレベルとされる。これにより、スイッチSW46がオンするとともに、スイッチSW47がオフする。よって、時刻t42から、選択グローバルビット線電位VGBLは下降し、読出し電位VRD1に到達する。
【0196】
時刻t42において、信号S43がローレベルとされる。これにより、スイッチSW43はオフし、選択ビット線BLは、電気的にフローティングする。選択ビット線電位VBLは、時刻t42以降も、非選択電位VUSELに留まる。
【0197】
時刻t43において、信号S43がローレベルとされる。これにより、スイッチSW44はオフし、選択ワード線WLは、電気的にフローティングする。選択ワード線電位VWLは、時刻t43以降も、プリチャージ電位VPRCHに留まる。
【0198】
時刻t44において、信号S32がハイレベルとされる。これにより、スイッチBSWは、オンする。このため、選択ビット線BLと選択グローバルビット線GBLとの間でチャージシェアが起こる。このことに基づいて、
図27に示されるように、選択ビット線電位VBLは下降するとともに、選択グローバルビット線電位VGBLは上昇する。チャージシェアによる電位の変化は素早く、よって、選択ビット線電位VBLは素早く下降する。
【0199】
時刻t45において、選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLとの差が、閾値電圧Vthに達する。これにより、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEは、オンする。これ以降の現象については、第1実施形態の時刻t5以降での現象と同じである。
【0200】
5.3.利点
第5実施形態によれば、選択グローバルビット線GBLは、第1実施形態でのダミービット線BLDmyの機能を担い、記憶装置1eは、選択グローバルビット線GBLを使用して、第1実施形態と同じ動作を行う。すなわち、選択ビット線BLは、データ読出しの初期の間、選択グローバルビット線GBLから切断されて電気的にフローティングしており、その後、読出し電位VRD1を有する選択グローバルビット線GBLと接続される。これにより、選択ビット線電位VBLの下降は、選択ビット線BLと選択グローバルビット線GBLとの間のチャージシェアによって行われる。よって、第1実施形態と同じ利点を得られる。
【0201】
5.4.変形例
図27を参照して上記されている制御では、選択ワード線WLの充電と選択グローバルビット線GBLの放電が、ともに時刻t42で開始される。しかしながら、選択ワード線WLの充電と選択グローバルビット線GBLの放電は、異なるタイミングで開始されてもよい。
【0202】
図27を参照して上記されている制御では、信号S41はハイレベルを維持している。しかしながら、第5実施形態はこの制御に限られない。
図20~
図25を参照して上記されているように、配線RWIと選択グローバルワード線GWLとの間には、複数のスイッチ(スイッチGWSW及びFWSW等)を含み得る。これらのスイッチが、同じタイミングでオン及びオフすることは必須ではない。少なくとも、時刻t42からグローバルワード線GWLにプリチャージ電圧VPRCHを印加できれば足りる。例えば、配線RWIと選択グローバルワード線GWLの接続は、時刻t41の後かつ時刻t42の間に行われてもよい。さらに、複数のスイッチが相違するタイミングでオンされてもよい。
【0203】
同様に、配線RBIと選択グローバルビット線GBLとの間の複数のスイッチ(スイッチGBSW及びFBSW等)が、同じタイミングでオン及びオフすることは必須ではない。少なくとも、時刻t42からグローバルビット線GBLに読出し電圧VRD1を印加できれば足りる。例えば、配線RBIと選択グローバルビット線GBLの接続は、時刻t41の後かつ時刻t42の間に行われてもよい。さらに、複数のスイッチが相違するタイミングでオンされてもよい。
【0204】
第5実施形態は、第2実施形態及び(又は)第3実施形態と組み合わせられてもよい。
【0205】
第5実施形態は、第4実施形態と組み合わせられてもよい。すなわち、メモリセルMCのアレイ、ワード線WL、及びビット線BLは、第4実施形態の
図16に示される構造によって実現される。そして、第4実施形態と同じく、読出し回路45は、さらに、選択ビット線BLから選択ワード線WLに電流を供給できるように構成されている。
図28は、そのような例を示し、第5実施形態の変形例の記憶装置の読出し回路の構成要素及び構成要素の接続の例を示す。
図28は、
図26と同様に、代表として、或る1つのメモリセルMCBが選択されるときの状態を示す。
【0206】
読出し回路45は、さらに
図28に示される構成を含む。読出し回路45の中の構成要素のうち、
図26に示される構成要素は、メモリセルMCAからデータを読み出すために使用される。すなわち、
図26に示されているメモリセルMC及びワード線WLは、それぞれ、メモリセルMCA及びワード線WLAである。
【0207】
一方、
図28に示される構成要素は、メモリセルMCBからデータを読み出すために使用される。
図28に示されるメモリセルMCB及びワード線WLBは、それぞれ、メモリセルMCB及びワード線WLBである。
【0208】
読出し回路45は、センスアンプ回路SAC2、並びにスイッチSW54及びSW56をさらに含む。
【0209】
スイッチSW54は、読出し電圧VRD1を受けるノードと、配線RWIと、の間に接続されている。
【0210】
センスアンプ回路SAC2は、オペアンプOPの非反転入力において、配線RWIと接続されている。
【0211】
スイッチSW56は、配線RBIと、プリチャージ電圧VPRCHを受けるノードとの間に接続されている。
【0212】
読出し制御回路RCCeは、さらに、信号S54及びS56を出力する。
【0213】
メモリセルMCBからのデータ読出しの概要は、メモリセルMCAからのデータ読出し、すなわち、
図27を参照して上記されている動作の概要と、ワード線WL及びビット線BLの電位の逆転を除いて、同じである。
【0214】
図29は、第5実施形態の変形例の記憶装置のデータ読み出しの間のいくつかの信号の状態を時間に沿って示す。
図29は、
図28に示されるように或る1つのデータ読出し対象のメモリセルMCが選択されるときの状態について示す。
図29に示される期間における動作は、データ読出し対象のメモリセルMCが選択されている状態で、データ読出しが開始すると、開始する。
【0215】
図29に示される期間に亘って、信号S31はハイレベルを維持し、よって、選択ワード線WLは、選択グローバルワード線GWLと接続されている。
図29に示される期間に亘って、信号S41はハイレベルを維持し、よって、選択グローバルワード線GWLは配線RWIと接続されている。
図29に示される期間に亘って、信号S42はハイレベルを維持し、よって、選択グローバルビット線GBLは配線RBIと接続されている。
【0216】
時刻t51において、残りの信号、ノードの電圧、及び電流は、以下の状態を有する。信号S32、S54、及びS56は、ローレベルを有し、信号S43、S45、及びS47は、ハイレベルを有する。このため、スイッチBSW、SW54、及びSW56はオフしており、スイッチSW43、SW45、及びSW47はオンしている。
【0217】
スイッチSW43がオンしているとともにスイッチBSWがオフしていることに基づいて、選択ビット線電位VBLは、非選択電位VUSELを有する。
【0218】
スイッチSW54がオフしているとともにスイッチSW45がオンしていることに基づいて、選択ワード線電位VWLは、非選択電位VUSELを有する。
【0219】
スイッチSW56がオフしているとともにスイッチSW47がオンしていることに基づいて、選択グローバルビット線電位VGBLは、非選択電位VUSELを有する。
【0220】
時刻t52において、信号S54がハイレベルとされるとともに、信号S45がローレベルとされる。これにより、スイッチSW54がオンするとともに、スイッチSW45がオフする。よって、時刻t52から、選択ワード線電位VWLは下降し、読出し電位VRD1に到達する。
【0221】
時刻t52において、信号S56がハイレベルとされるとともに、信号S47がローレベルとされる。これにより、スイッチSW56がオンするとともに、スイッチSW47がオフする。よって、時刻t52から、選択グローバルビット線電位VGBLは上昇し、プリチャージ電位VPRCHに到達する。
【0222】
時刻t52において、信号S43がローレベルとされる。これにより、スイッチSW43はオフし、選択ビット線BLは、電気的にフローティングする。
【0223】
時刻t53において、信号S54がローレベルとされる。これにより、スイッチSW54はオフし、選択ワード線WLは、電気的にフローティングする。
【0224】
時刻t54において、信号S32がハイレベルとされる。これにより、スイッチSW43は、オンする。このため、選択ビット線BLと選択グローバルビット線GBLとの間でチャージシェアが起こる。このことに基づいて、
図27に示されるように、選択ビット線電位VBLは上昇するとともに、選択グローバルビット線電位VGBLは下降する。
【0225】
時刻t55において、選択ワード線電位VWLと選択ビット線電位VBLとの差が、閾値電圧Vthに達する。これにより、選択メモリセルMCのスイッチング素子SEは、オンする。これ以降の現象については、第4実施形態の時刻t35以降での現象と同じである。
【0226】
変形例によれば、ワード線WLの電位とビット線BLの電位の関係が第4実施形態の基本の形態の関係と逆の場合であっても、高速にデータが読み出されることができる。
【0227】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0228】
1…記憶装置、11…メモリセルアレイ、12…入出力回路、13…制御回路、14…ロウ選択回路、15…カラム選択回路、16…書込み回路、17…読出し回路、18…電圧生成回路、WL…ワード線、BL…ビット線、MC…メモリセル、MTJ…MTJ素子、SE…スイッチング素子、21…導電体、22…導電体、31…下部電極、32…可変抵抗材料、33…上部電極、35…強磁性層、36…絶縁層、Vth…閾値電圧、VhdH…高ホールド電圧、VhdL…低ホールド電圧、L1…配線、L2…配線、BLdmy…ダミービット線、VWL…選択ワード線電位、VBL…選択ビット線電位