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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013278
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】掘削攪拌装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115230
(22)【出願日】2022-07-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その1) 提出日 2022年2月15日 試験機関 一般財団法人日本建築総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】522212745
【氏名又は名称】有限会社宮本土木
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 武
(72)【発明者】
【氏名】宮本 一貴
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AB03
2D040CB03
2D040EA17
2D040EB01
(57)【要約】
【課題】共回り防止翼が敷地境界からはみ出るリスクを軽減することと、共回り防止翼による土砂の共回り防止効果を高めることとを両立することに適した掘削攪拌装置を提供する。
【解決手段】本発明の掘削攪拌装置2は、回転軸20と、掘削翼21と、共回り防止機構22と、攪拌翼23と、一対の共回り防止翼41A,41Bとを備える。掘削翼21及び攪拌翼23は、回転軸20と共に回転する。一対の共回り防止翼41A,41Bは、回転軸20に対して相対回転可能である。回転軸20の軸心Cから掘削翼21の先端までの第一長さL1は、軸心Cから攪拌翼23の先端までの第二長さL2と同一であり、軸心Cから共回り防止翼41Aの先端までの第三長さL3と、軸心Cから他方の共回り防止翼41Bの先端までの第四長さL4とは、それぞれ第一長さL1よりも大きく、第三長さL3は、第四長さL4よりも大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌改良剤の吐出口を有して、上下方向に延びるように配置される回転軸と、
前記回転軸の下端部において前記回転軸の外周から突出するように設けられて、前記回転軸と共に回転する掘削翼と、
前記掘削翼よりも上側において前記回転軸に取り付けられる共回り防止機構と、
前記共回り防止機構よりも上側において前記回転軸の外周から突出するように設けられて、前記回転軸と共に回転する攪拌翼とを備え、
前記共回り防止機構は、前記回転軸が内側に通される筒体と、前記筒体の外周から反対向きに突出する一対の共回り防止翼とを備えて、前記回転軸に対して相対回転可能であり、
前記回転軸の径方向における前記回転軸の軸心から前記掘削翼の先端までの第一長さは、前記径方向における前記軸心から前記攪拌翼の先端までの第二長さと同一、或いは前記第二長さよりも大きく、
前記径方向における前記軸心から一方の共回り防止翼の先端までの第三長さと、前記径方向における前記軸心から他方の前記共回り防止翼の先端までの第四長さとは、それぞれ、前記第一長さよりも大きく、
前記第三長さは、前記第四長さよりも大きい掘削攪拌装置。
【請求項2】
前記一対の共回り防止翼は、それぞれ、前記筒体の外周から突出するアーム部と、前記アーム部の先端に設けられる先端部とを備え、
前記先端部は、前記回転軸の軸方向と平行に延びる請求項1に記載の掘削攪拌装置。
【請求項3】
前記第三長さは前記第一長さの1.04倍以上であり、前記第四長さは前記第一長さの1.35倍以下である請求項1又は2に記載の掘削攪拌装置。
【請求項4】
前記第一長さは250mm以上1250mm以下であり、
前記第三長さから前記第一長さを引いた値が60mm以上であり、前記第四長さから前記第一長さを引いた値が150mm以下である請求項3に記載の掘削攪拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削翼及び攪拌軸が回転軸と共に回転し、一対の共回り防止翼が回転軸に対して相対回転可能に設けられる掘削攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、深層混合処理と称される地盤改良工法で使用される掘削攪拌装置が使用されている。この種の一般的な装置は、土壌改良剤の吐出口を有する回転軸と、回転軸の下端部において回転軸の外周から突出する掘削翼と、掘削翼よりも上側において回転軸の外周から突出する撹拌翼とを備える。この装置によれば、吐出口から土壌改良剤を吐き出し、且つ回転軸と共に掘削翼及び攪拌翼を回転させながら、装置を下降させることで、掘削翼によって地盤を掘削しながら、攪拌翼によって掘削孔内の土砂と土壌改良剤とを撹拌混合して、コラムと称される柱状の地盤改良体を構築する。
【0003】
しかしながら上記従来の一般的な掘削攪拌装置では、掘削孔内の土砂が掘削翼及び攪拌翼と共回りすることで、土砂と土壌改良剤とを均質に混合できない問題が生じていた。そこで特許文献1には、上記の掘削翼と攪拌翼との間において、一対の共回り防止翼100,100が回転軸101に相対回転可能に設けられる掘削攪拌装置が開示されている(図7)。当該特許文献1の装置では、一対の共回り防止翼100,100によって土砂Sの共回りを規制すべく、一対の共回り防止翼100,100を掘削翼及び攪拌翼よりも長くして、一対の共回り防止翼100,100が掘削孔Hの孔壁Wに突き刺される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3215453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1の掘削攪拌装置では、一対の共回り防止翼100,100の長さが同一とされる。このため特許文献1の掘削攪拌装置は、共回り防止翼100,100が敷地境界Bからはみ出るリスクを軽減することと、土砂Sの共回り防止効果を高めることとを両立することに適していない(上記の敷地境界Bは、施工が許容される領域と施工が許容されない領域との境界である)。
【0006】
つまり共回り防止翼100,100が敷地境界Bからはみ出ないようにすべく、図7(A)に示すように共回り防止翼100,100の長さを短くする場合には、共回り防止翼100,100が掘削孔Hの孔壁Wに突き刺さる長さが短くなる。このため共回りする土砂Sから受ける力によって共回り防止翼100,100が回転しやすいものとなり、土砂Sの共回り防止効果を高めることができない。
【0007】
また土砂Sの共回り防止効果を高めるべく、図7(B)に示すように一対の共回り防止翼100,100を長くする場合には、共回り防止翼100,100の許容回転角度が小さくなり、共回り防止翼100,100が敷地境界Bからはみ出るリスクが高まる(上記の許容回転角度とは、共回り防止翼が初期位置から敷地境界Bをはみ出る位置に達するまでの共回り防止翼の回転角度である)。
【0008】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、共回り防止翼が敷地境界からはみ出るリスクを軽減することと、共回り防止翼による土砂の共回り防止効果を高めることとを両立することに適した掘削攪拌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0010】
項1.土壌改良剤の吐出口を有して、上下方向に延びるように配置される回転軸と、
前記回転軸の下端部において前記回転軸の外周から突出するように設けられて、前記回転軸と共に回転する掘削翼と、
前記掘削翼よりも上側において前記回転軸に取り付けられる共回り防止機構と、
前記共回り防止機構よりも上側において前記回転軸の外周から突出するように設けられて、前記回転軸と共に回転する攪拌翼とを備え、
前記共回り防止機構は、前記回転軸が内側に通される筒体と、前記筒体の外周から反対向きに突出する一対の共回り防止翼とを備えて、前記回転軸に対して相対回転可能であり、
前記回転軸の径方向における前記回転軸の軸心から前記掘削翼の先端までの第一長さは、前記径方向における前記軸心から前記攪拌翼の先端までの第二長さと同一、或いは前記第二長さよりも大きく、
前記径方向における前記軸心から一方の共回り防止翼の先端までの第三長さと、前記径方向における前記軸心から他方の前記共回り防止翼の先端までの第四長さとは、それぞれ、前記第一長さよりも大きく、
前記第三長さは、前記第四長さよりも大きい掘削攪拌装置。
【0011】
項2.前記一対の共回り防止翼は、それぞれ、前記筒体の外周から突出するアーム部と、前記アーム部の先端に設けられる先端部とを備え、
前記先端部は、前記回転軸の軸方向と平行に延びる項1に記載の掘削攪拌装置。
【0012】
項3.前記第三長さは前記第一長さの1.04倍以上であり、前記第四長さは前記第一長さの1.35倍以下である項1又は2に記載の掘削攪拌装置。
【0013】
項4.前記第一長さは250mm以上1250mm以下であり、
前記第三長さから前記第一長さを引いた値が60mm以上であり、前記第四長さから前記第一長さを引いた値が150mm以下である項3に記載の掘削攪拌装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の掘削攪拌装置は、共回り防止翼が敷地境界からはみ出るリスクを軽減することと、共回り防止翼による土砂の共回り防止効果を高めることとを両立することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る掘削攪拌装置を備える地盤改良システムの斜視図である。
図2】(A)は、掘削攪拌装置の側面図でり、(B)は、掘削攪拌装置が備える先端部の正面図である。
図3】掘削攪拌装置の使用時の状態を示す側面図である。
図4】掘削攪拌装置の使用時における共回り防止機構の状態を示す平面図である。
図5】回転軸から共回り防止機構を取り外した状態を示す側面図である。
図6】共回り防止機構を回転軸に取り付ける手順を示す平面図であり、(A)は共回り防止機構を回転軸に取り付ける直前の状態を示し、(B)共回り防止機構を回転軸に取り付けた後の状態を示す。
図7】従来の掘削攪拌装置の使用時における共回り防止翼の状態を示す平面図であり、(A)は共回り防止翼が長い場合を示し。(B)は共回り防止翼が短い場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る掘削攪拌装置を備える地盤改良システム1の斜視図である。
【0017】
地盤改良システム1は、コラムと称される柱状の地盤改良体を構築するために使用される。当該地盤改良システム1は、本実施形態に係る掘削攪拌装置2を搭載する自走台車3と、土壌改良剤を生成するための改良剤生成手段4と、改良剤生成手段4で生成された土壌改良剤を掘削攪拌装置2に供給するための改良剤供給手段5とを備える。
【0018】
本実施形態では、土壌改良剤はセメントミルクとされる。改良剤生成手段4は、セメントを貯留するサイロ6と、水を貯留するタンク7と、サイロ6から供給されるセメントとタンク7から供給される水とを混合してセメントミルクを生成するミキシングプラント8とを備える。
【0019】
改良剤供給手段5は、ミキシングプラント8と掘削攪拌装置2とを繋ぐ管路10と、ミキシングプラント8で生成されたセメントミルク(土壌改良剤)を管路10を介して掘削攪拌装置2に圧送するためのポンプ11とを備える。管路10の下流端は、自走台車3に支持される管体12によって構成される。管体12は、上下方向に延びるように支持されており、自走台車3に設けられる駆動装置13の駆動によって上下動及び回転が可能とされる。
【0020】
なお本発明は、土壌改良剤をセメントミルクに限定するものではない。改良剤生成手段4及び改良剤供給手段5が備える構成は、土壌改良剤の種類等に応じて適宜変更され得る。
【0021】
図2(A)は、掘削攪拌装置2の側面図である。図2(B)は、掘削攪拌装置2が備える先端部44の正面図である。図3は、掘削攪拌装置2の使用時の状態を示す側面図である。図4は、掘削攪拌装置2の使用時における共回り防止機構22の状態を示す平面図である。
【0022】
掘削攪拌装置2は、上下方向に延びるように配置される回転軸20と、回転軸20の下端部において回転軸20の外周から突出するように設けられる掘削翼21と、掘削翼21よりも上側において回転軸20に取り付けられる共回り防止機構22と、共回り防止機構22よりも上側において回転軸20の外周から突出するように設けられる攪拌翼23とを備える。
【0023】
回転軸20は、土壌改良剤の吐出口24を有する管体によって構成されており、例えば、S45C機械構造用炭素鋼鋼材、SS400一般構造用圧延鋼材等の金属から形成される。当該回転軸20は、管体12の下端部に連結されることで、管体12と共に上下動及び回転する。回転軸20の内部は管体12の内部と連通しており、ポンプ11の駆動によって管路10を通過した土壌改良剤が、回転軸20の内部に供給されて、吐出口24から吐出される。図示例では、吐出口24は、回転軸20の下端部に形成されているが、回転軸20の任意の位置に形成され得る。
【0024】
掘削翼21は、回転軸20の外周から延びる掘削板30と、掘削板30から下方に延びる複数の掘削爪31とを有する。掘削板30及び各掘削爪31は金属から形成される。掘削板30を形成するための金属として、例えば、SS400一般構造用圧延鋼材、S45C機械構造用炭素鋼鋼材を使用でき、掘削爪31を形成するための金属として、例えば、S45C機械構造用炭素鋼鋼材、タングステン系超硬合金、ダイヤモンド粉末を使用できる。掘削翼21は、掘削板30が回転軸20と一体に設けられることで、回転軸20と共に上下動及び回転する。なお本発明は、掘削翼21及び掘削爪31の数や、掘削翼21及び掘削爪31が延びる方向を限定するものではなく、上記の数や方向は、任意に設定され得る。
【0025】
攪拌翼23は、回転軸20の外周から延びる板材によって構成されており、SS400一般構造用圧延鋼材等の金属を用いて形成される。当該攪拌翼23は、回転軸20と一体に設けられることで、回転軸20と共に上下動及び回転する。回転軸20の径方向における回転軸20の軸心Cから掘削翼21の先端までの第一長さL1と、回転軸20の径方向における回転軸20の軸心Cから攪拌翼23の先端までの第二長さL2とを同一にすることが好ましい。このようにすれば、掘削翼21によって掘削される孔Hの全径で、攪拌翼23によって土砂Sと土壌改良剤とを攪拌混合することができる。なお掘削翼21を掘削孔H内で円滑に降下させるべく、第一長さL1を第二長さL2よりも大きくしてもよい。
【0026】
また掘削孔H内の土砂を十分攪拌するために、攪拌翼23の上面23aが、掘削時の回転軸20の回転方向に向けて、下向きに傾斜していることが好ましい。掘削の対象土が礫、礫質土、砂、砂質土、シルト、粘性土、有機質土、火山灰質粘性土、高有機質土である場合には、攪拌翼23の上面23aを、回転軸20の径方向平面に対して、5度以上30度以下の角度で傾斜させることが好ましい。上記の「回転軸20の径方向平面」とは、「回転軸20の径方向に延びて、回転軸20の軸心Cに直交する平面」である。以下、「回転軸20の径方向」を「径方向」と略し、「回転軸20の軸心C」を「軸心C」と略す。
【0027】
図示例の掘削攪拌装置2では、回転軸20から反対向きに突出する一対の攪拌翼23,23が2組設けられている。一方の攪拌翼23,23の組23Aは、他方の攪拌翼23,23の組23Bよりも上側に設けられており、一方の組23Aの攪拌翼23が延びる方向は、掘削翼21が延びる方向と平行とされる(組23Bの一方の攪拌翼23については図示せず)。他方の組23Bの攪拌翼23が延びる方向は、一方の組23Aの攪拌翼23及び掘削翼21が延びる方向に対して垂直とされる。なお本発明は、攪拌翼23の数や攪拌翼23が回転軸20から延びる方向を限定するものではなく、攪拌翼23の数や、攪拌翼23が延びる方向は任意に設定され得る。
【0028】
共回り防止機構22は、筒体40と、筒体40の外周から反対向きに突出する一対の共回り防止翼41A,41Bとを備える。
【0029】
回転軸20には、筒体40を取り付けるための一対の環状唾部42,42が設けられる。一対の環状唾部42,42は、それぞれ回転軸20の外周から突出するものであり、筒体40の高さほどの間隔を上下にあけて設けられる。共回り防止機構22は、一対の環状唾部42,42の間に筒体40が配置され、且つ筒体40の内側に回転軸20が通された状態とされることで、回転軸20に対して相対回転可能に回転軸20に取り付けられる。
【0030】
共回り防止翼41Aは、筒体40の外周から突出するアーム部43Aと、アーム部43Aの先端に設けられる先端部44Aとを備える。また同様に、共回り防止翼41Bは、筒体40の外周から突出するアーム部43Bと、アーム部43Bの先端に設けられる先端部44Bとを備える。先端部44A,44Bはそれぞれ回転軸20の軸方向と平行に延びる。図示例では、先端部44A,44Bは、当該先端部44A,44Bの正面視で上下方向に長い六角形の形状を呈しているが、先端部44A,44Bは、図示例の形状に限定されず、例えば上記の正面視で上下方向に長い四角形を呈するものとされてもよい。
【0031】
一対の共回り防止翼41A,41Bを掘削孔Hの孔壁Wに突き刺して土砂Sの共回りを規制するために、径方向における軸心Cから一方の共回り防止翼41Aの先端までの第三長さL3と、径方向における軸心Cから他方の共回り防止翼41Bの先端までの第四長さL4とは、それぞれ第一長さL1よりも大きくされる。
【0032】
さらに共回り防止翼41A,41Bが敷地境界B(図4)からはみ出るリスクを軽減することと、土砂Sの共回り防止効果を高めることとを両立すべく、第三長さL3は第四長さL4よりも長くされる。
【0033】
図5は、回転軸20から共回り防止機構22を取り外した状態を示す側面図である。図6(A)及び(B)は、共回り防止機構22を回転軸20に取り付ける手順を示す平面図である。
【0034】
本実施形態では、共回り防止機構22は、分割部材50A,50Bによって構成される。分割部材50Aは、第一プレート部51Aと、第一ボス部52Aと、一方の共回り防止翼41Aとを備える。分割部材50Bは、第二プレート部51Bと、第二ボス部52Bと、他方の共回り防止翼41Bとを備える。第一及び第二ボス部52A,52Bは、筒体40を構成するものであり、平面視で半円状を呈する。第一プレート部51Aは第一ボス部52Aの一端53から延びる。共回り防止翼41Aのアーム部43Aは第一ボス部52Aの他端54から延びる。第二プレート部51Bは第二ボス部52Bの一端55から延びる。共回り防止翼41Bのアーム部43Bは第二ボス部52Bの他端56から延びる。第一プレート部51A、第二プレート部51B、アーム部43A,43Bの基端側には、それぞれボルト60を通すための貫通孔61が形成される。
【0035】
回転軸20に共回り防止機構22を取り付ける際には、図6(B)に示すように第一プレート部51Aとアーム部43Bの基端側とが突き合い、第二プレート部51Bとアーム部43Aの基端側とが突き合うように、第一及び第二ボス部52A,52Bを環状唾部42,42の間に配置して、回転軸20を第一及び第二ボス部52A,52Bで挟み込んだ状態とされる。そして第一プレート部51A及びアーム部43Bの貫通孔61,61同士にボルト60を通し、第二プレート部51B及びアーム部43Aの貫通孔61,61同士にボルト60を通して、各ボルト60にナット62を締結することが行われる。以上の作業が行われることで、第一及び第二ボス部52A,52Bによって構成された筒体40が環状唾部42,42の間に配置されて、筒体40の内側に回転軸20が通された状態となる(つまり共回り防止機構22が回転軸20に取り付けられた状態となる)。
【0036】
掘削攪拌装置2の使用時には、ポンプ11の駆動により吐出口24から土壌改良剤(図示せず)を吐き出しながら、駆動装置13の駆動により、回転軸20と共に掘削翼21及び攪拌翼23を回転させて、装置2を下降させることが行われる。これにより、掘削翼21によって地盤が掘削されながら、攪拌翼23によって掘削孔H内の土砂Sと土壌改良剤とが撹拌混合されて、柱状の地盤改良体が構築される。また共回り防止翼41A,41Bが掘削孔Hの孔壁Wに突き刺さって回転しにくいものとなることで、掘削孔H内の土砂Sの共回りが防止されて、土砂S及び土壌改良剤が均質に混合される。
【0037】
本実施形態に係る掘削攪拌装置2によれば、第三長さL3が大きいことで、共回り防止翼41Aが孔壁Wに突き刺さる長さを大きく確保できる。このため共回り防止機構22が回転に抗する力を高めることができるので、共回り防止翼41A,41Bによる土砂Sの共回り防止効果を高めることができる。また第四長さL4が第三長さL3よりも短いことで、共回り防止翼41A,41Bの許容回転角度を大きくして、共回り防止翼41A,41Bが敷地境界Bからはみ出るリスクを低減できる。
【0038】
また本実施形態に係る掘削攪拌装置2によれば、共回り防止翼41A,41Bの各々の先端部44が回転軸20の軸方向と平行に延びているため、これら先端部44が孔壁Wに突き刺さることで、共回り防止機構の回転に抗する力を強固に高めることができる。
【0039】
なお本発明は、共回り防止翼が敷地境界Bからはみ出るリスクを軽減することと、共回り防止翼による土砂Sの共回り防止効果を高めることとを両立することに適した掘削攪拌装置2の構造を提供するものであり、掘削攪拌装置2の具体的な寸法は、掘削の対象土や、掘削孔Hと隣接境界Bとの間の最短距離D等に応じて適宜定められる。例えば、掘削の対象土が、礫、礫質土、砂、砂質土、シルト、粘性土、有機質土、火山灰質粘性土、高有機質土である場合には、上記の効果を得るために、第三長さL3を第一長さL1の1.04倍以上、第四長さL4を第一長さL1の1.35倍以下にすることが好ましい。例えば第一長さL1が250mm以上1250mm以下とされる場合には、第三長さL3から第一長さL1を引いた値P1が60mm以上になり、第四長さL4から第一長さL1を引いた値P2が150mm以下になり(後述の表1参照)、且つ、第三長さL3を第一長さL1の1.04倍以上、第四長さL4が第一長さL1の1.35倍以下となるように、第三及び第四長さL3,L4が設定されることが好ましい。また共回り防止翼41A,41Bのうち少なくとも共回り防止翼41Aによっては共回り防止翼41A,41Bの許容回転角度が制限されないようにするために、第四長さL4から第一長さL1を引いた値P2を、掘削孔Hと敷地境界Bとの間の最短距離D以下とすることが好ましい。
【0040】
掘削の対象土が、礫、礫質土、砂、砂質土、シルト、粘性土、有機質土、火山灰質粘性土、高有機質土である場合、掘削攪拌装置2の寸法は、例えば以下の表1に示す関係とされる。なお本発明は掘削攪拌装置2の寸法を下記の表1に示す寸法に限定するものではない。
【0041】
【表1】
【0042】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変できる。
【0043】
例えば、共回り防止機構22を構成する分割部材50A,50Bの構造は、図5及び図6に示す構造に限定されない。図示を省略するが、例えば、分割部材50A,50Bを、一対の第一プレート部51Aが第一ボス部52Aの両端から延び、一方の共回り防止翼41A,41Bのアーム部43が第一ボス部52Aの幅中央から延びるものとし、分割部材50A,50Bを、一対の第二プレート部51Bが第二ボス部52Bの両端から延び、他方の共回り防止翼41A,41Bのアーム部43が第二ボス部52Bの幅中央から延びるものとしてもよい。この場合、一方の第一プレート部51Aと一方の第二プレート部51Bとが突き合い、他方の第一プレート部51Aと他方の第二プレート部51Bとが突き合うように、環状唾部42,42の間に第一及び第二ボス部52A,52Bを差し込んで、第一及び第二ボス部52A,52Bによって回転軸20を挟み込んだ状態とされる。そして、突き合わせた第一及び第二プレートの貫通孔61にボルト60を通して、各ボルト60にナット62を締結することで、第一及び第二ボス部52A,52Bによって構成された筒体40が環状唾部42,42の間に配置されて、筒体40の内側に回転軸20が通された状態とされる(つまり共回り防止機構22が回転軸20に取り付けられた状態となる)。
【0044】
また環状唾部42,42の間に筒体40を配置することの代わりに、回転軸20の外周に形成された凹みに筒体40を配置してもよい。
【0045】
また共回り防止翼41A,41Bの先端部44は、必ずしも必要ではなく、省略されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
2 掘削攪拌装置
20 回転軸
21 掘削翼
22 共回り防止機構
23 攪拌翼
24 吐出口
40 筒体
41A,41B 共回り防止翼
43 アーム部
44 先端部
L1 第一長さ
L2 第二長さ
L3 第三長さ
L4 第四長さ
P1 第三長さから第一長さを引いた値
P2 第四長さから第一長さを引いた値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7