IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中汽研汽車検験中心(天津)有限公司の特許一覧 ▶ 中国汽車技術研究中心有限公司の特許一覧

特開2024-132782走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法
<>
  • 特開-走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法 図1
  • 特開-走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法 図2
  • 特開-走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132782
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240920BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0968
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111236
(22)【出願日】2023-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】202310239627.1
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522108459
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(天津)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519320446
【氏名又は名称】中国汽車技術研究中心有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 菁元
(72)【発明者】
【氏名】梁 永凱
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲ハン▼正男
(72)【発明者】
【氏名】楊 正軍
(72)【発明者】
【氏名】安 暁▲プァン▼
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129CC20
2F129DD02
2F129DD20
2F129DD21
2F129DD29
2F129DD47
2F129DD62
2F129EE52
2F129EE62
5H181AA01
5H181BB08
5H181FF01
5H181FF03
5H181FF21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を提供する。
【解決手段】旅行ニーズに応じて道路パスをプランニングするステップ、道路パスについてルートコンディション特徴を計算するステップ、補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディションを構築し、コンディション特徴、補正係数及び標準エネルギー消費を計算するステップ、上記ステップで得られたデータを使用して、走行ルートのコンディションをマッチングするステップ、上記ステップで得られたデータを使用して、電費及び/又は水素費を計算するステップ、及び各ルートの車両の電費及び水素費を計算し、エネルギー消費量が最も少ないルートを出力するステップを含む走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法であって、
S1、旅行ニーズに応じて道路パスをプランニングして、少なくとも1つの道路パスを得るステップ、
S2、前記ステップS1でプランニングされた道路パスのコンディション特徴を計算するステップ、
S3、補助幹線道路、幹線道路、高速道路(フリーウェイを含む)のコンディションを構築し、コンディション特徴、補正係数及び標準エネルギー消費量を計算するステップ、
S4、前記ステップS2及びS3で得られたデータを使用して、ステップS1でプランニングされた道路パスのコンディションをマッチングするステップ、
S5、前記ステップS3及びS4で得られたデータを使用して、電費及び/又は水素費を計算するステップ、及び
S6、前記ステップS1における各ルートの車両の電費及び水素費をそれぞれ計算し、エネルギー消費量が最も少ないルートを出力するステップを含み、
前記ステップS2における具体的なステップは、次の通りであり、
A1、過去の道路の平均速度に従い、長・短期記憶ネットワークモデルを使用して、対応する時刻の各道路の平均速度を予測し、
A2、前記ステップS1で得られた車両ルート計画結果及びステップA1で予測された各道路の平均速度を使用して、各道路の平均走行速度及び対応する所要時間を得、
A3、前記ステップA2で得られた結果に基づいて、道路の平均旅行速度分布の所要時間の占める割合を統計し、今回の平均旅行速度を計算し、
A4、車両の実走行情報を収集し、実走行データをセグメントに分割し、セグメントの最高速度特性パラメータを計算し、対応する時刻における地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度と照合し、線形回帰を使用して、地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度-単一車両セグメント最高速度の関係式を得、
A5、前記ステップA4で得られた平均速度-最高速度の関係式を用いて、道路の平均旅行速度分布を最高速度分布に換算し、パスを補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3つのコンディション区間に分割し、3種の速度区間比率を計算し、
前記ステップS4において、
C1、分散標準化手法を用いて補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション及び今回の旅行のコンディション特徴を正規化するステップ(前記コンディション特徴には平均速度及びステップB1で得られた3種の速度区間比率が含まれる)、及び
C2、遺伝的アルゴリズムでk、k、k(k+k+k=1)の重み係数の最適解を探索し、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション特徴を重み係数に従い重み付けさせ、3種のコンディションの組み合わせ特徴と旅行コンディション特徴の誤差の絶対値の和が最小になり、この過程中で、4つの特徴の重要度に応じて異なる重みを設定して、2次の重み付けを行うことができるステップを含む、
ことを特徴とする、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項2】
前記ステップS1では、ユーザーの起点・終点のキーワード及び旅行戦略に応じて、起点と終点間のドライブルートプランニング結果(各ルートの道路名、長さ、方向などの詳細情報を含む)を地図ナビゲーションシステムから取得することを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項3】
前記ステップS3における具体的なステップは、次の通りであり、
B1、補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディション構築:大量の車両の実道路上の走行速度データを短いセグメントの形式で切り出し、次に異常な短いセグメントを除去し、短いセグメントを最高速度50、70km/hにより補助幹線道路、幹線道路、高速道路の短いセグメントライブラリに分けて、各セグメントライブラリのコンディション特徴をそれぞれ計算し、これを基準として、灰色関連度分析を使用して最適な短いセグメントの組み合わせを選択して補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディションとし、
B2、純粋な電気自動車又は水素エネルギー自動車を周囲温度20℃の実験室の回転ドラム上で暖機した後、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディションのエネルギー消費試験を順次実施し、この試験を3回繰り返し、周囲温度20℃下での3種のコンディションにおける100kmあたりの平均エネルギー消費量E、E、Eを計算し、
B3、-20℃~40℃の間、10℃間隔で暖機した後3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、異なる温度下での3種のコンディションの周囲温度補正係数ktemp,1、ktemp,2、ktemp,3を計算し、次にこれらのデータに対して曲線スプライン補間を実行して、各コンディション下で異なる周囲温度補正係数曲線を得、
B4、周囲温度-7℃において、3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、コンディション開始後5分間と始動後5分間の100kmあたりの平均エネルギー消費量データを計算し、3種のコンディションのコールドスタート補正係数平均値を車両のコールドスタート補正係数kcoldとする
ことを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項4】
前記ステップS5における具体的なステップは、次の通りであり、
現在の周囲温度に応じて、温度補正係数ktemp,1 、ktemp,2、ktemp,3を得、周囲温度が30℃を超える場合、kcold=1となり、今回旅行ルートにおける車両の電費及び水素費の計算式は、次のように表されることを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【数1】
[式中、
Eは、走行ルートのエネルギー消費量であり、
は、i種目のコンディションの100kmあたりのエネルギー消費量であり、
は、i種目のコンディションの重みであり、
temp,iは、i種目のコンディションの周囲温度補正係数であり、
coldは、コールドスタート補正係数であり、
tは、旅行時間(単位:分)であり、
Lは、走行ルートの走行距離である。]
【請求項5】
前記ステップS5における具体的なステップは、次の通りであり、
前記ステップS1では、道路パスプランニングにおける異なるルートの車両の電費及び水素費を別々に計算し、エネルギー消費量が最も少ないルートをユーザーに出力することを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項6】
プロセッサと、前記プロセッサに通信接続され、前記プロセッサによって実行可能な命令を格納するためのメモリとを備えた電子機器であって、前記プロセッサは、請求項1~5のいずれか一項に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を実行するために用いられることを特徴とする、電子機器。
【請求項7】
サーバであって、少なくとも1つのプロセッサと、前記プロセッサに通信接続されたメモリとを備え、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を格納し、前記命令が前記プロセッサによって実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~5のいずれか一項に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を実行させることを特徴とする、サーバ。
【請求項8】
コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行された場合、請求項1~5のいずれか一項に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法が実現されることを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通輸送分野に属し、特に、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー及び水素エネルギーは、自動車の従来のエネルギー源の代替として、大気汚染が少なく、コストが低いという利点がある。しかし、航続距離が短く、水素ステーションが少ないため、ドライバーは航続距離の制約による心理的不安を生じることがよくある。航続距離不安により、ユーザーは旅行時に現在の残り航続可能距離が旅行ニーズを満たしているかどうかを事前に考える必要があり、ユーザーエクスペリエンスに大きな影響を与えるだけでなく、電気自動車及び水素エネルギー自動車の普及と発展にもある程度の影響を及ぼしている。
【0003】
車両の航続距離に対するユーザーのニーズは、車両のエネルギー供給量を増やすことと、エネルギー消費をできるだけ正確に予測することの2つの側面をまとめることができる。駆動用バッテリーの材料の限界及び水素エネルギー貯蔵方法の影響により、車両の航続距離が短いという問題は長期にわたって存在することは避けられない。したがって、外部環境、道路状況、コールドスタートなどのエネルギー消費に影響を与える要因を総合的に考慮して、車両のエネルギー消費を正確に予測することで、航続距離に対するユーザー不安をある程度軽減して、ユーザーエクスペリエンスを最適化し、電気自動車及び水素エネルギー自動車の普及と発展を促進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を提出することを目的とする。回転ドラムによるエネルギー消費の試験データを利用し、ユーザーの旅行コース、周囲温度、コールドスタートなどの様々な影響要因を総合的に考慮して、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を確立する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は次のような技術的手段を採用する。
【0006】
走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法であって、
S1、旅行ニーズに応じて道路パスをプランニングするステップ、
S2、ステップS1でプランニングされた道路パスについてルートコンディション特徴を計算するステップ、
S3、補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディションを構築し、コンディション特徴、補正係数及び標準エネルギー消費量を計算するステップ、
S4、ステップS2及びS3で得られたデータを使用して、走行ルートのコンディションをマッチングするステップ、
S5、ステップS3及びS4で得られたデータを使用して、電費及び/又は水素費を計算するステップ、及び
S6、ステップS1における各ルートの車両の電費及び水素費を計算し、エネルギー消費量が最も少ないルートを出力するステップを含む。
【0007】
さらに、ステップS1では、ユーザーの起点・終点のキーワード及び旅行ニーズに応じて、異なる旅行戦略(最短ルート、最短時間、大通りの多さなど)の下での起点と終点間のドライブルートプランニング結果を地図プラットフォームから取得し、各ルートには、道路の名前、長さ、方向などの詳細情報が含まれている。
【0008】
さらに、ステップS2における具体的なステップは、次の通りであり、
A1、過去の道路の平均速度に従い、長・短期記憶ネットワークモデルを使用して、対応する時刻の各道路の平均速度を予測し、
A2、ステップS1で得られた車両ルート計画結果及びステップA1で予測された各道路の平均速度を使用して、各道路の平均走行速度及び対応する所要時間を得、
A3、ステップA2で得られた結果に基づいて、道路の平均旅行速度分布の所要時間の占める割合を統計し、今回の平均旅行速度を計算し、
A4、車両の実走行情報を収集し、実走行データをセグメントに分割し、セグメントの最高速度特性パラメータを計算し、対応する時刻における地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度と照合し、線形回帰を使用して、地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度-単一車両セグメント最高速度の関係式を得、
A5、ステップA4で得られた平均速度-最高速度の関係式を用いて、道路の平均旅行速度分布を最高速度分布に換算し、パスを補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3つのコンディション区間に分割し、3種の速度区間比率を計算する。
【0009】
さらに、ステップS3における具体的なステップは、次の通りであり、
B1、補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディション構築:大量の車両の実道路上の走行速度データを短いセグメントの形式で切り出し、次に異常な短いセグメントを除去し、短いセグメントを最高速度50、70km/hにより補助幹線道路、幹線道路、高速道路の短いセグメントライブラリに分けて、各セグメントライブラリのコンディション特徴をそれぞれ計算し、これを基準として、灰色関連度分析を使用して最適な短いセグメントの組み合わせを選択して補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディションとし、
B2、純粋な電気自動車又は水素エネルギー自動車を周囲温度20℃の実験室の回転ドラム上で暖機した後、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディションのエネルギー消費試験を順次実施し、この試験を3回繰り返し、周囲温度20℃下での3種のコンディションにおける100kmあたりの平均エネルギー消費量E、E、Eを計算し、
B3、-20℃~40℃の間、10℃間隔で暖機した後3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、異なる温度下での3種のコンディションの周囲温度補正係数ktemp,1、ktemp,2、ktemp,3を計算し、次にこれらのデータに対して曲線スプライン補間を実行して、各コンディション下で異なる周囲温度補正係数曲線を得、
B4、周囲温度-7℃において、3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、コンディション開始後5分間と始動後5分間の100kmあたりの平均エネルギー消費量データを計算し、3種のコンディションのコールドスタート補正係数平均値を車両のコールドスタート補正係数kcoldとする。
【0010】
さらに、ステップS4における具体的なステップは、次の通りであり、
C1、分散標準化手法を用いて補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション及び今回の旅行のコンディション特徴を正規化し、前記コンディション特徴には平均速度及びステップB1で得られた速度区間比率が含まれ、
C2、遺伝的アルゴリズムでk、k、k(k+k+k=1)の重み係数の最適解を探索し、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション特徴を重み係数に従い重み付けさせ、3種のコンディションの組み合わせ特徴と旅行コンディション特徴の誤差の絶対値の和が最小になり、この過程中で、4つの特徴の重要度に応じて異なる重みを設定して、2次の重み付けを行うことができる。
【0011】
さらに、ステップS5における具体的なステップは、次の通りであり、
現在の周囲温度に応じて、温度補正係数ktemp,1 、ktemp,2、ktemp,3を得、周囲温度が30℃を超える場合、kcold=1となり、今回旅行ルートにおける車両の電費及び水素費の計算式は、次のように表される。
【0012】
【数1】
[式中、
Eは、走行ルートのエネルギー消費量であり、
は、i種目のコンディションの100kmあたりのエネルギー消費量であり、
は、i種目のコンディションの重みであり、
temp,iは、i種目のコンディションの周囲温度補正係数であり、
coldは、コールドスタート補正係数であり、
tは、旅行時間(単位:分)であり、
Lは、走行ルートの走行距離である。]
【0013】
さらに、ステップS5における具体的なステップは、次の通りであり、
ステップS1では、道路パスプランニングにおける異なるルートの車両の電費及び水素費を別々に計算し、エネルギー消費量が最も少ないルートをユーザーに出力する。
【0014】
さらに、本発明は、プロセッサと、プロセッサに通信接続され、前記プロセッサによって実行可能な命令を格納するためのメモリとを備えた電子機器を開示し、前記プロセッサは、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を実行するために用いられる。
【0015】
さらに、本発明は、少なくとも1つのプロセッサと、前記プロセッサに通信接続されたメモリとを備えたサーバを開示し、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を格納し、前記命令が前記プロセッサによって実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサに走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を実行させる。
【0016】
さらに、本発明は、コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体を開示し、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行された場合、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法が実現される。
【0017】
従来技術と比較して、本発明に係る走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法及び装置は、次の有利な効果を有し、
本発明に係る走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法及び装置は、回転ドラムによるエネルギー消費量試験データを使用し、ユーザーの旅行ルート、周囲温度、コールドスタートなどの様々な影響要因を総合的に考慮し、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法及び装置を確立し、該方法は予測精度が高く、汎用性が良いなどの利点を有し、航続距離に対するユーザーの不安を効果的に軽減できる。
【0018】
本発明の一部を構成する図面は、本発明をさらに理解するためものであり、本発明の概略的に示した実施形態及びその説明が本発明を解釈するために用いられ、本発明を不当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る平均速度と最高速度との関係を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る周囲温度補正係数曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
矛盾しない限りにおいて、本発明の実施形態及び実施形態における特徴を互いに組み合わせることができることに留意されたい。
【0021】
以下、図面を参照しつつ、発明の方法をさらに詳細に説明する。図1は、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法の全体フローを示している。純粋な電気自動車のエネルギー消費量を例にすると、予測方法は次の通りである。
【0022】
1.道路パスプランニング
ユーザーの起点・終点のキーワード及び旅行ニーズに応じて、異なる旅行戦略(最短ルート、最短時間、大通りの多さなど)の下での起点と終点間のドライブルートプランニング結果を地図プラットフォームから取得し、各ルートには、道路の名前、長さ、方向などの詳細情報が含まれている。
【0023】
2.走行ルートのコンディション特徴の計算
(1)道路の平均速度分布の予測:5分間隔で、過去1年間のルート道路のGIS交通データを訓練セットとする。次元の影響を避けるため、分散標準化手法を用いてデータを正規化し、結果を[0,1]にマッピングする。長・短期記憶(Long short-term memory,LSTM)ネットワークモデルを用いてルート道路の将来時刻の道路速度を予測し、t時刻のデータを入力として時刻t+Δtにおける出力を予測する。LSTMモデルのタイムステップは5、初期学習率は0.001、損失関数は平均二乗誤差で、Adamオプティマイザーを使用した。
【0024】
(2)車両速度-スケジュール統計:取得された車両ルートプランニング結果及び各道路の平均速度を使用して各道路の平均走行速度及び対応する所要時間を得た。車両が8時40分に天津市二経通りから出発し、天津市空港に到着することを例にし、計算結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
(3)走行ルートの速度分布の統計:該道路の平均旅行速度分布の所要時間の占める割合を統計し、今回の平均旅行速度を計算する。
【0027】
(4)平均速度と最高速度の関係の探索:車両の実走行情報を収集し、実走行データをセグメントに分割し、セグメントの最高速度特性パラメータを計算し、対応する時刻における地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度と照合し、線形回帰を使用して、地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度-単一車両セグメント最高速度の関係式を得、関係を図2に示す。
【0028】
(5)速度区間比率の計算:平均速度-最高速度の関係式により、道路の平均旅行速度分布を最高速度分布に換算し、50/70km/hを速度区間閾値としての区間ついてパスを補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3つのコンディション区間に分割し、3種の速度区間比率を計算する。
【0029】
3.補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディションを構築し、コンディション特徴、補正係数及び標準エネルギー消費量を計算
(1)補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディション構築:大量の車両の実道路上の走行速度データを短いセグメントの形式で切り出し、次に異常な短いセグメントを除去し、短いセグメントを最高速度50、70km/hにより補助幹線道路、幹線道路、高速道路の短いセグメントライブラリに分けて、各セグメントライブラリのコンディション特徴をそれぞれ計算し、これを基準として、灰色関連度分析を使用して最適な短いセグメントの組み合わせを選択して補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディションとする。
【0030】
(2)標準電費及び水素費の計算:周囲温度20℃にて実験室の回転ドラム上で補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディションのエネルギー消費試験をそれぞれ実施し、この試験を3回繰り返し、周囲温度20℃下での3種のコンディションにおける100kmあたりの平均エネルギー消費量E、E、Eを計算する。
【0031】
(3)周囲温度補正係数の計算:-20℃~40℃の間、10℃間隔で3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、異なる温度下での3種のコンディションの周囲温度補正係数ktemp,1 ,ktemp,2,ktemp,3を計算し、次にこれらのデータに対して曲線スプライン補間を実行して、各コンディション下で異なる周囲温度補正係数曲線を得、周囲温度補正係数曲線を図3に示す。
【0032】
(4)コールドスタート補正係数の計算:周囲温度-7℃において、3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、コンディション開始後5分間と始動後5分間の100kmあたりの平均エネルギー消費量データを計算し、3種のコンディションのコールドスタート補正係数平均値を車両のコールドスタート補正係数kcoldとする。
【0033】
4.走行ルートコンディションのマッチング
(1)特徴パラメータの正規化:都市部と近郊部の高速道路の3種のコンディション及び今回の平均旅行速度、速度区間比率を分散標準化する。
【0034】
(2)最適な組み合わせパラメータ:遺伝的アルゴリズムでk、k、k(k+k+k=1)の重み係数の最適解を探索し、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション特徴を重み係数に従い重み付けさせ、3種のコンディションの組み合わせ特徴と旅行コンディション特徴の誤差の絶対値の和が最小になり、この過程中で、4つの特徴の重要度に応じて異なる重みを設定して、2次の重み付けを行うことができる。この例では、4つのモーション特徴重み係数が等しい値に設定されている。組み合わせコンディション特徴の計算を以下に示す。旅行コンディション特徴の平均速度は50.74km/hで、3種の速度区間重みはそれぞれ10.97%、18.93%、70.10%であった。
【0035】
【数2】
【0036】
遺伝的アルゴリズムパラメータの最適解探索過程中で、パラメータk、k、kをコードして遺伝子で構成される個体に変換し、0と1を範囲の上限と下限とし、3種のコンディション組み合わせ特徴と旅行コンディション特徴誤差の絶対値の和が適応度関数であり、母集団の個体数は50、最大反復回数は100、突然変異率は0.01、交叉率は0.7を取った。ランダムに生成した個体を用いて選択、交叉、突然変異などの遺伝操作を継続的に行い、優秀な子孫を獲得した。アルゴリズムは、最適な個体が指定されたしきい値に達するか、設定された反復回数に達するまで停止した。この時、k、k、kが最適なパラメータとなる。
【0037】
5.電費及び水素費の計算
(1)補正係数の計算:現在の周囲温度により温度補正係数ktemp,1 ,ktemp,2,ktemp,3を得、周囲温度が30℃を超える場合、kcold=1。
【0038】
(2)車両の電費及び水素費の計算式は、以下の通りである。
【0039】
【数3】
式中、Eは、走行ルートのエネルギー消費量(単位:kw*h)、Eは、i種目のコンディションの100kmあたりのエネルギー消費量(単位:kw*h/100km)、kは、i種目のコンディションの重み、k temp,iは、i種目のコンディションの周囲温度補正係数、kcoldは、コールドスタート補正係数、tは、今回の旅行の所要時間(単位:分)、Lは、今回の旅行の走行距離(単位:km)である。
【0040】
ユーザーは、8時40分に天津市二経通りから天津市空港へ出発し、周囲温度は26℃、車両の電費は2.73kw×hである。
【0041】
6.エネルギー消費量が最も少ないルートを出力する。
ステップ1の道路パスプランニングにおいて異なるルートの車両の電費及び水素費を計算して、エネルギー消費量が最も少ないルートをユーザーに出力する。
【0042】
本明細書に開示される実施形態で記載される各例のユニット及び方法・ステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、或いはこの二者の組み合わせによって達成できることは、当業者によって理解されるだろう。ハードウェアとソフトウェアの互換性を明確に示すため、上記説明では、各例の構成及びステップを機能の観点から一般的に描写した。これらの機能がハードウェアで実行されるかソフトウェアで実行されるかは、技術的手段の特定の応用及び設計の制約条件によって決まる。当業者は、特定の応用の各々について異なる方法で描写された機能を達成することができるが、このような達成は本発明の範囲を超えるものとみなされるべきではない。
【0043】
本出願で提供されるいくつかの実施形態において、開示された方法及びびシステムは他の方法で達成できることは理解されるだろう。例えば上記のユニットの分割は論理的な機能分割のみであって、実際に達成する時は、複数のユニット又はコンポーネントを組み合わせるか、別のシステムに統合する又は一部の特徴を無視するか、或いは実行しないなど、他の分割方法があり得る。上記のユニットは物理的に分離されている場合と分離されていない場合があり、ユニットとして示されている部品は物理的なユニットである場合とそうでない場合があり、すなわち、1箇所に位置されている場合もあれば、複数のネットワークユニットに分散されている場合もある。実際のニーズに応じてユニットの一部又は全てを選択して本発明の実施形態の解決手段の目的を達成することができる。
【0044】
最後に、上記の各実施形態は、あくまでも本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような実施形態にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではないことに留意されたい。本発明は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されたが、前述の各実施形態に記載された技術的手段を依然として修正するか、このうちの一部の技術的特徴を均等物により置き換えることができることは、当業者によって理解されるだろう。かかる修正又は置換は、対応する技術的手段の本質を本発明の各実施形態の技術的手段の範囲から逸脱させるものではなく、本発明の特許請求の範囲及び明細書の範囲に含まれるべきである。
【0045】
以上に説明するものは、本発明の好ましい実施例であって、これらは決して本発明を限定することを意図するものではなく、本発明の精神及び原則の範囲で行われる修正、均等物による置き換え、改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法であって、
S1、旅行ニーズに応じて道路パスをプランニングして、少なくとも1つの道路パスを得るステップ、
S2、前記ステップS1でプランニングされた道路パスのコンディション特徴を計算するステップ、
S3、補助幹線道路、幹線道路、高速道路(フリーウェイを含む)のコンディションを構築し、コンディション特徴、補正係数及び標準エネルギー消費量を計算するステップ、
S4、前記ステップS2及びS3で得られたデータを使用して、ステップS1でプランニングされた道路パスのコンディションをマッチングするステップ、
S5、前記ステップS3及びS4で得られたデータを使用して、電費及び/又は水素費を計算するステップ、及び
S6、前記ステップS1における各ルートの車両の電費及び水素費をそれぞれ計算し、エネルギー消費量が最も少ないルートを出力するステップを含み、
前記ステップS2における具体的なステップは、次の通りであり、
A1、過去の道路の平均速度に従い、長・短期記憶ネットワークモデルを使用して、対応する時刻の各道路の平均速度を予測し、
A2、前記ステップS1で得られた車両ルート計画結果及びステップA1で予測された各道路の平均速度を使用して、各道路の平均走行速度及び対応する所要時間を得、
A3、前記ステップA2で得られた結果に基づいて、道路の平均旅行速度分布の所要時間の占める割合を統計し、今回の平均旅行速度を計算し、
A4、車両の実走行情報を収集し、実走行データをセグメントに分割し、セグメントの最高速度特性パラメータを計算し、対応する時刻における地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度と照合し、線形回帰を使用して、地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度-単一車両セグメント最高速度の関係式を得、
A5、前記ステップA4で得られた平均速度-最高速度の関係式を用いて、道路の平均旅行速度分布を最高速度分布に換算し、パスを補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3つのコンディション区間に分割し、3種の速度区間比率を計算し、
前記ステップS4において、
C1、分散標準化手法を用いて補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション及び今回の旅行のコンディション特徴を正規化するステップ(前記コンディション特徴には平均速度及びステップB1で得られた3種の速度区間比率が含まれる)、及び
C2、遺伝的アルゴリズムでk、k、k(k+k+k=1)の重み係数の最適解を探索し、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション特徴を重み係数に従い重み付けさせ、3種のコンディションの組み合わせ特徴と旅行コンディション特徴の誤差の絶対値の和が最小になり、この過程中で、4つの特徴の重要度に応じて異なる重みを設定して、2次の重み付けを行うことができるステップを含み、
前記ステップS5における具体的なステップは、次の通りであり、
現在の周囲温度に応じて、温度補正係数k temp,1 、k temp,2 、k temp,3 を得、周囲温度が30℃を超える場合、k cold =1となり、今回旅行ルートにおける車両の電費及び水素費の計算式は、次のように表される、
【数1】
[式中、
Eは、走行ルートのエネルギー消費量であり、
は、i種目のコンディションの100kmあたりのエネルギー消費量であり、
は、i種目のコンディションの重みであり、
temp,i は、i種目のコンディションの周囲温度補正係数であり、
cold は、コールドスタート補正係数であり、
tは、旅行時間(単位:分)であり、
Lは、走行ルートの走行距離である。]
ことを特徴とする、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項2】
前記ステップS1では、ユーザーの起点・終点のキーワード及び旅行戦略に応じて、起点と終点間のドライブルートプランニング結果(各ルートの道路名、長さ、方向などの詳細情報を含む)を地図ナビゲーションシステムから取得することを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項3】
前記ステップS3における具体的なステップは、次の通りであり、
B1、補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディション構築:大量の車両の実道路上の走行速度データを短いセグメントの形式で切り出し、次に異常な短いセグメントを除去し、短いセグメントを最高速度50、70km/hにより補助幹線道路、幹線道路、高速道路の短いセグメントライブラリに分けて、各セグメントライブラリのコンディション特徴をそれぞれ計算し、これを基準として、灰色関連度分析を使用して最適な短いセグメントの組み合わせを選択して補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディションとし、
B2、純粋な電気自動車又は水素エネルギー自動車を周囲温度20℃の実験室の回転ドラム上で暖機した後、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディションのエネルギー消費試験を順次実施し、この試験を3回繰り返し、周囲温度20℃下での3種のコンディションにおける100kmあたりの平均エネルギー消費量E、E、Eを計算し、
B3、-20℃~40℃の間、10℃間隔で暖機した後3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、異なる温度下での3種のコンディションの周囲温度補正係数ktemp,1、ktemp,2、ktemp,3を計算し、次にこれらのデータに対して曲線スプライン補間を実行して、各コンディション下で異なる周囲温度補正係数曲線を得、
B4、周囲温度-7℃において、3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、コンディション開始後5分間と始動後5分間の100kmあたりの平均エネルギー消費量データを計算し、3種のコンディションのコールドスタート補正係数平均値を車両のコールドスタート補正係数kcoldとする
ことを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項4】
前記ステップS5における具体的なステップは、次の通りであり、
前記ステップS1では、道路パスプランニングにおける異なるルートの車両の電費及び水素費を別々に計算し、エネルギー消費量が最も少ないルートをユーザーに出力することを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項5】
プロセッサと、前記プロセッサに通信接続され、前記プロセッサによって実行可能な命令を格納するためのメモリとを備えた電子機器であって、前記プロセッサは、請求項1~4のいずれか一項に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を実行するために用いられることを特徴とする、電子機器。
【請求項6】
サーバであって、少なくとも1つのプロセッサと、前記プロセッサに通信接続されたメモリとを備え、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を格納し、前記命令が前記プロセッサによって実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~4のいずれか一項に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を実行させることを特徴とする、サーバ。
【請求項7】
コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行された場合、請求項1~4のいずれか一項に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法が実現されることを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【手続補正書】
【提出日】2023-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法であって、
S1、旅行ニーズに応じて道路パスをプランニングして、少なくとも1つの道路パスを得るステップ、
S2、前記ステップS1でプランニングされた道路パスのコンディション特徴を計算するステップ、
S3、補助幹線道路、幹線道路、高速道路(フリーウェイを含む)のコンディションを構築し、コンディション特徴、補正係数及び標準エネルギー消費量を計算するステップ、
S4、前記ステップS2及びS3で得られたデータを使用して、ステップS1でプランニングされた道路パスのコンディションをマッチングするステップ、
S5、前記ステップS3及びS4で得られたデータを使用して、電費及び/又は水素費を計算するステップ、及び
S6、前記ステップS1における各ルートの車両の電費及び水素費をそれぞれ計算し、エネルギー消費量が最も少ないルートを出力するステップを含み、
前記ステップS2における具体的なステップは、次の通りであり、
A1、過去の道路の平均速度に従い、長・短期記憶ネットワークモデルを使用して、対応する時刻の各道路の平均速度を予測し、
A2、前記ステップS1で得られた車両ルート計画結果及びステップA1で予測された各道路の平均速度を使用して、各道路の平均走行速度及び対応する所要時間を得、
A3、前記ステップA2で得られた結果に基づいて、道路の平均旅行速度分布の所要時間の占める割合を統計し、今回の平均旅行速度を計算し、
A4、車両の実走行情報を収集し、実走行データをセグメントに分割し、セグメントの最高速度特性パラメータを計算し、対応する時刻における地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度と照合し、線形回帰を使用して、地理情報システムの道路上の複数車両の平均速度-単一車両セグメント最高速度の関係式を得、
A5、前記ステップA4で得られた平均速度-最高速度の関係式を用いて、道路の平均旅行速度分布を最高速度分布に換算し、パスを補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3つのコンディション区間に分割し、3種の速度区間比率を計算し、
前記ステップS4において、
C1、分散標準化手法を用いて補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション及び今回の旅行のコンディション特徴を正規化するステップ(前記コンディション特徴には平均速度及びステップA5で得られた3種の速度区間比率が含まれる)、及び
C2、遺伝的アルゴリズムでk、k、k(k+k+k=1)の重み係数の最適解を探索し、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション特徴を重み係数に従い重み付けさせ、3種のコンディションの組み合わせ特徴と旅行コンディション特徴の誤差の絶対値の和が最小になり、この過程中で、前記3種のコンディションの組み合わせ特徴と前記旅行コンディション特徴の4つの特徴の重要度に応じて異なる重みを設定して、2次の重み付けを行うことができるステップを含み、
前記ステップS5における具体的なステップは、次の通りであり、
現在の周囲温度に応じて、温度補正係数ktemp,1 、ktemp,2、ktemp,3を得、周囲温度が30℃を超える場合、kcold=1となり、今回旅行ルートにおける車両の電費及び水素費の計算式は、次のように表される、
【数1】
[式中、
Eは、走行ルートのエネルギー消費量であり、
は、i種目のコンディションの100kmあたりのエネルギー消費量であり、
は、i種目のコンディションの重みであり、
temp,iは、i種目のコンディションの周囲温度補正係数であり、
coldは、コールドスタート補正係数であり、
tは、旅行時間(単位:分)であり、
Lは、走行ルートの走行距離である。]
ことを特徴とする、走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項2】
前記ステップS1では、ユーザーの起点・終点のキーワード及び旅行戦略に応じて、起点と終点間のドライブルートプランニング結果(各ルートの道路名、長さ、方向などの詳細情報を含む)を地図ナビゲーションシステムから取得することを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項3】
前記ステップS3における具体的なステップは、次の通りであり、
B1、補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディション構築:大量の車両の実道路上の走行速度データを短いセグメントの形式で切り出し、次に異常な短いセグメントを除去し、短いセグメントを補助幹線道路と幹線道路とは最高速度50km/hで分け、幹線道路と高速道路とは最高速度70km/hで分け、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の短いセグメントライブラリに分けて、各セグメントライブラリのコンディション特徴をそれぞれ計算し、これを基準として、灰色関連度分析を使用して最適な短いセグメントの組み合わせを選択して補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディションとし、
B2、純粋な電気自動車又は水素エネルギー自動車を周囲温度20℃の実験室の回転ドラム上で暖機した後、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディションのエネルギー消費試験を順次実施し、この試験を3回繰り返し、周囲温度20℃下での3種のコンディションにおける100kmあたりの平均エネルギー消費量E、E、Eを計算し、
B3、-20℃~40℃の間、10℃間隔で暖機した後3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、異なる温度下での3種のコンディションの周囲温度補正係数ktemp,1、ktemp,2、ktemp,3を計算し、次にこれらのデータに対して曲線スプライン補間を実行して、各コンディション下で異なる周囲温度補正係数曲線を得、
B4、周囲温度-7℃において、3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、コンディション開始後5分間と始動後5分間の100kmあたりの平均エネルギー消費量データを計算し、3種のコンディションのコールドスタート補正係数平均値を車両のコールドスタート補正係数kcoldとする
ことを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項4】
前記ステップS5における具体的なステップは、次の通りであり、
前記ステップS1では、道路パスプランニングにおける異なるルートの車両の電費及び水素費を別々に計算し、エネルギー消費量が最も少ないルートをユーザーに出力することを特徴とする、請求項1に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法。
【請求項5】
プロセッサと、前記プロセッサに通信接続され、前記プロセッサによって実行可能な命令を格納するためのメモリとを備えた電子機器であって、前記プロセッサは、請求項1~4のいずれか一項に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を実行するために用いられることを特徴とする、電子機器。
【請求項6】
サーバであって、少なくとも1つのプロセッサと、前記プロセッサに通信接続されたメモリとを備え、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を格納し、前記命令が前記プロセッサによって実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~4のいずれか一項に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法を実行させることを特徴とする、サーバ。
【請求項7】
コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行された場合、請求項1~4のいずれか一項に記載の走行ルートに基づく車両の電費及び水素費の予測方法が実現されることを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
さらに、ステップS3における具体的なステップは、次の通りであり、
B1、補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディション構築:大量の車両の実道路上の走行速度データを短いセグメントの形式で切り出し、次に異常な短いセグメントを除去し、短いセグメントを補助幹線道路と幹線道路とは最高速度50km/hで分け、幹線道路と高速道路とは最高速度70km/hで分け、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の短いセグメントライブラリに分けて、各セグメントライブラリのコンディション特徴をそれぞれ計算し、これを基準として、灰色関連度分析を使用して最適な短いセグメントの組み合わせを選択して補助幹線道路、幹線道路、高速道路のコンディションとし、
B2、純粋な電気自動車又は水素エネルギー自動車を周囲温度20℃の実験室の回転ドラム上で暖機した後、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディションのエネルギー消費試験を順次実施し、この試験を3回繰り返し、周囲温度20℃下での3種のコンディションにおける100kmあたりの平均エネルギー消費量E、E、E3を計算し、
B3、-20℃~40℃の間、10℃間隔で暖機した後3種のコンディションのエネ
ルギー消費試験を実施し、異なる温度下での3種のコンディションの周囲温度補正係数
ktemp,1、ktemp,2、ktemp,3を計算し、次にこれらのデータに対して曲線スプライン補間を実行して、各コンディション下で異なる周囲温度補正係数曲線を得、
B4、周囲温度-7℃において、3種のコンディションのエネルギー消費試験を実施し、コンディション開始後5分間と始動後5分間の100kmあたりの平均エネルギー消費量データを計算し、3種のコンディションのコールドスタート補正係数平均値を車
両のコールドスタート補正係数kcoldとする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
さらに、ステップS4における具体的なステップは、次の通りであり、
C1、分散標準化手法を用いて補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション及び今回の旅行のコンディション特徴を正規化し、前記コンディション特徴には平均速度及びステップA5で得られた速度区間比率が含まれ、
C2、遺伝的アルゴリズムでk、k、k(k+k+k=1)の重み係数の最適解を探索し、補助幹線道路、幹線道路、高速道路の3種のコンディション特徴を重み係数に従い重み付けさせ、3種のコンディションの組み合わせ特徴と旅行コンディション特徴の誤差の絶対値の和が最小になり、この過程中で、前記3種のコンディションの組み合わせ特徴と前記旅行コンディション特徴の4つの特徴の重要度に応じて異なる重みを設定して、2次の重み付けを行うことができる。