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特開2024-132795自動運転制御装置及び自動運転制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132795
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】自動運転制御装置及び自動運転制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240920BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240920BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240920BHJP
   B60W 50/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/09 F
G08G1/16 F
B60W60/00
B60W50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130447
(22)【出願日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2023041197
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241CE02
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】ドライバレス車両での緊急対応の発生時において、搭乗者の好ましくない行動を抑制することが可能な自動運転制御装置等の提供。
【解決手段】自動運転ECU50は、自動運転制御装置として機能し、自車両Amから遠隔に存在する遠隔側システム130を用いた遠隔監視のもと、自車両Amをドライバレス車両ADVとして自律走行させる。自動運転ECU50は、自律走行中の自車両Amに緊急対応を要するイベントが発生した場合、車両側システムIVSによってイベントに対応可能か否かを判定する。そして、車両側システムIVSによる対応が可能な場合、自車両Amに設けられた車内操作部110への搭乗者PSによる運転操作の入力が制限される。一方、車両側システムIVSよる対応が可能でない場合、車内操作部110への搭乗者PSによる運転操作の入力が許可される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御装置であって、
前記自律走行中の前記自車両に緊急対応を要するイベントが発生した場合、前記自車両の車載システム(IVS)によって前記イベントに対応可能か否かを判定する対応判定部(76)と、
前記車載システムによる対応が可能と判定された場合、前記自車両に設けられた車内操作部(110)への搭乗者(PS)による運転操作の入力を制限し、前記車載システムによる対応が可能でないと判定された場合、前記車内操作部への前記搭乗者による前記運転操作の入力を許可する操作制限部(77)と、
を備える自動運転制御装置。
【請求項2】
前記運転操作の入力が制限されている状態で前記搭乗者による操作が前記車内操作部に入力された場合、前記運行監視装置と連携し、前記運行監視装置から前記自車両の車室内に設けられた車内報知機(22)への通報を実施する報知実施部(72)、をさらに備える請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項3】
前記車内操作部には、アクセル操作部(112)、ブレーキ操作部(113)、及びステア操作部(114)が少なくとも含まれており、
前記操作制限部は、前記車内操作部への前記運転操作の入力を許可した場合、前記アクセル操作部、前記ブレーキ操作部、及び前記ステア操作部に対して異なる操作可能量を設定する請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項4】
前記操作制限部は、前記アクセル操作部の前記操作可能量を、前記ブレーキ操作部及び前記ステア操作部の各前記操作可能量よりも少なく設定する請求項3に記載の自動運転制御装置。
【請求項5】
前記操作制限部によって前記車内操作部への入力が許可され、かつ、前記車内操作部に含まれるステア操作部(114)に前記搭乗者が操舵操作を入力した場合、前記自車両を減速させる走行制御部(78)、をさらに備える請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項6】
前記イベントへの対応が開始される前に前記搭乗者が周辺監視を開始していたか否かを把握する車内把握部(71)、をさらに備え、
前記操作制限部は、
前記イベントへの対応が開始される前に前記搭乗者が周辺監視を開始していなかった場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を制限し、
前記イベントへの対応が開始される前に前記搭乗者が周辺監視を開始していた場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を許可する請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項7】
前記対応判定部は、前記イベントの種別に応じて前記車載システムによる対応が可能か否かを判断する請求項6に記載の自動運転制御装置。
【請求項8】
前記搭乗者がシートベルトを着用しているか否かを把握する車内把握部(71)と、
前記イベントの発生後に前記搭乗者が前記シートベルトを外した場合、前記自車両を停止させる走行制御部(78)と、をさらに備える請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項9】
前記操作制限部は、前記走行制御部が前記自車両を停止させた後、前記搭乗者による前記シートベルトの着用が前記車内把握部によって把握された場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を許可する請求項8に記載の自動運転制御装置。
【請求項10】
前記操作制限部は、
前記運転操作の入力を許可した前記車内操作部に入力される前記搭乗者の前記運転操作の内容に基づき、前記搭乗者がパニック状態であるか否かを推定し、
前記搭乗者が前記パニック状態であると推定した場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を制限する請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項11】
前記操作制限部は、前記車内操作部に前記自車両を加速させる前記運転操作が入力された場合に前記搭乗者が前記パニック状態にあると推定し、前記車内操作部への前記運転操作の入力を制限する請求項10に記載の自動運転制御装置。
【請求項12】
前記操作制限部によって前記運転操作の入力が制限されていることを前記搭乗者に報知する報知実施部(72)、をさらに備え、
前記報知実施部は、前記運転操作の入力が制限されている場合、前記車載システムが正常に作動していることを示す報知と、前記搭乗者に求める対応を示す報知とをさらに実施する請求項10に記載の自動運転制御装置。
【請求項13】
前記緊急対応を要する前記イベントが発生した場合、前記運行監視装置によって提供される遠隔監視者(RO)の映像を、前記自車両の車室内に設けられた車内表示器(21)に表示させる報知実施部(72)、をさらに備える請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項14】
前記操作制限部は、前記車載システムによって対応可能と判定された場合、前記車内操作部の物理的な可動を制限せず、前記車内操作部へ入力された前記運転操作を前記自車両の挙動に反映させないことで、前記搭乗者による前記運転操作を禁止する請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項15】
前記自律走行から前記搭乗者による手動運転に前記自車両の制御状態が移行する場合、前記操作制限部は、前記手動運転への移行前に入力が開始された前記運転操作を受け付けず、前記手動運転への移行後に入力が開始される前記運転操作を受け付ける請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項16】
前記自律走行から前記搭乗者による手動運転に前記自車両の制御状態が移行する場合、前記操作制限部は、前記手動運転への移行前に入力が開始された前記運転操作の操作量に対する前記自車両の制御量を、前記手動運転への移行後に入力が開始される前記運転操作の前記操作量に対する前記制御量よりも少なくする請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項17】
前記操作制限部は、前記自車両の車室内に設けられた複数の停止指示部(117)が前記搭乗者によって操作された場合、前記搭乗者による前記運転操作を禁止する請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項18】
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行中の前記自車両に緊急対応を要するイベントが発生した場合、前記自車両の車載システム(IVS)によって前記イベントに対応可能か否かを判定し(S15,S215)、
前記車載システムによる対応が可能と判定した場合、前記自車両に設けられた車内操作部(110)への搭乗者(PS)による運転操作の入力を制限し(S16,S216)、
前記車載システムによる対応が可能でないと判定した場合、前記車内操作部への前記搭乗者による前記運転操作の入力を許可する(S17,S219)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項19】
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御装置であって、
前記自律走行中の前記自車両において、緊急対応を要するイベントの発生を検知する発生検知部(76)と、
前記イベントの発生が検知された場合、前記自車両に設けられたドアを車室内から開けることのできない施錠状態とする施錠制御部(65)と、
を備える自動運転制御装置。
【請求項20】
前記施錠制御部は、前記ドアを前記施錠状態とした場合、前記運行監視装置から取得する解錠指示に基づき、前記施錠状態を解除する請求項19に記載の自動運転制御装置。
【請求項21】
前記施錠制御部は、前記ドアを前記施錠状態とした場合、前記車室内に設けられた解錠指示部(118)が前記自車両の搭乗者によって操作されたことに基づき、前記施錠状態を解除する請求項19に記載の自動運転制御装置。
【請求項22】
前記自車両の走行する道路が一般道か否かを判定する道路判定部(74)、をさらに備え、
前記施錠制御部は、前記自車両が前記一般道を走行している場合、前記ドアを前記施錠状態とする制御を中止する請求項19に記載の自動運転制御装置。
【請求項23】
前記施錠制御部は、
前記イベントの発生が検知されていない場合、前記ドアを前記車室内から開けられる内解錠状態としつつ、前記ドアを車外から開けることのできない外施錠状態とし、
前記イベントの発生が検知された場合、前記ドアを前記車室内から開けることのできない内施錠状態としつつ、前記外施錠状態を解除する請求項19に記載の自動運転制御装置。
【請求項24】
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行中の前記自車両において、緊急対応を要するイベントの発生を検知し(S11)、
前記イベントの発生を検知した場合、前記自車両に設けられたドアを車室内から開けることのできない施錠状態とする(S19)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書による開示は、自車両を自律走行させる自動運転制御の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の自動運転制御ユニットは、遠隔に存在する操作管理設備から受信した制御情報に基づき、遠隔運転によって走行させる。自動運転制御ユニットは、操作管理設備との通信に異常が発生した場合、遠隔操作者による遠隔運転から、第1制御部による自動運転又は乗員による手動運転への切り替えを実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/087880号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、遠隔に存在する運行監視装置を用いた遠隔監視のもと、特定のドライバが搭乗していない車両(以下、ドライバレス車両)を自律走行させる自動運転制御装置の開発が進められている。こうしたドライバレス車両では、緊急対応を要するイベントが発生した場合、運行監視装置に紐づく遠隔監視者等による状況の確認が実施される。その際、例えば状況の確認に時間を要した場合、状況の確認が完了する以前に、ドライバレス車両に搭乗する搭乗者が好ましくない行動を開始してしまう虞があった。
【0005】
本開示は、ドライバレス車両等の自動運転車両における緊急対応の発生時において、搭乗者の好ましくない行動を抑制することが可能な自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、自車両を自律走行させる自動運転制御装置であって、自律走行中の自車両に緊急対応を要するイベントが発生した場合、自車両の車載システム(IVS)によってイベントに対応可能か否かを判定する対応判定部(76)と、車載システムによる対応が可能と判定された場合、自車両に設けられた車内操作部(110)への搭乗者(PS)による運転操作の入力を制限し、車載システムによる対応が可能でないと判定された場合、車内操作部への搭乗者による運転操作の入力を許可する操作制限部(77)と、を備える自動運転制御装置とされる。
【0007】
また開示された一つの態様は、自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、自車両を自律走行させる自動運転制御プログラムであって、自律走行中の自車両に緊急対応を要するイベントが発生した場合、自車両の車載システム(IVS)によってイベントに対応可能か否かを判定し(S15,S215)、車載システムによる対応が可能と判定した場合、自車両に設けられた車内操作部(110)への搭乗者(PS)による運転操作の入力を制限し(S16,S216)、車載システムによる対応が可能でないと判定した場合、車内操作部への搭乗者による運転操作の入力を許可する(S17,S219)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0008】
これらの態様では、自律走行中の自車両に緊急対応を要するイベントが発生し、そのイベントが車載システムによって対応可能である場合、自車両に設けられた車内操作部への搭乗者による運転操作の入力は、制限される。故に、遠隔監視者等による状況の確認が完了する以前に搭乗者が勝手に運転操作を行い、自車両を動かしてしまう事態は回避され得る。したがって、自動運転車両での緊急対応の発生時において、搭乗者の好ましくない行動を抑制することが可能になる。
【0009】
また開示された一つの態様は、自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、自車両を自律走行させる自動運転制御装置であって、自律走行中の自車両において、緊急対応を要するイベントの発生を検知する発生検知部(76)と、イベントの発生が検知された場合、自車両に設けられたドアを車室内から開けることのできない施錠状態とする施錠制御部(65)と、を備える自動運転制御装置とされる。
【0010】
また開示された一つの態様は、自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、自車両を自律走行させる自動運転制御プログラムであって、自律走行中の自車両において、緊急対応を要するイベントの発生を検知し(S11)、イベントの発生を検知した場合、自車両に設けられたドアを車室内から開けることのできない施錠状態とする(S19)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0011】
これらの態様では、自律走行中の自車両において、緊急対応を要するイベントの発生が検知された場合、自車両に設けられたドアは、車室内から開けることのできない施錠状態とされる。故に、遠隔監視者等による状況の確認が完了する以前に搭乗者が勝手にドアを開けてしまい、車外に出てしまう事態は回避され得る。したがって、自動運転車両での緊急対応の発生時において、搭乗者の好ましくない行動を抑制することが可能になる。
【0012】
尚、上記及び特許請求の範囲等における括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、特許請求の範囲において明示していない請求項同士の組み合せも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第一実施形態による自動運転ECUを含む自動運行システムの全体像を示す図である。
図2】遠隔側システムの詳細を示すブロック図である。
図3】車両側システムの詳細を示すブロック図である。
図4】自動運転ECUにて実施される緊急対応処理の詳細を示すフローチャートである。
図5】遠隔制御装置にて実施されるセンタ判断処理の詳細を示すフローチャートである。
図6】自動運転ECUにて実施される緊急通報処理の詳細を示すフローチャートである。
図7】自動運転ECUにて実施される停止支援処理の詳細を示すフローチャートである。
図8】自動運転ECUにて実施される制御切替処理の詳細を示すフローチャートである。
図9】自動運転ECUにて実施される緊急停止処理の詳細を示すフローチャートである。
図10】第二実施形態による緊急対応処理の詳細を示すフローチャートである。
図11】自動運転ECUにて実施される緊急停止処理の詳細を示すフローチャートである。
図12】自動運転ECUにて実施される再始動処理の詳細を示すフローチャートである。
図13】自動運転ECUにて実施される緊急制限処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0015】
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態による自動運転制御装置の機能は、図1に示す自動運転ECU(Electronic Control Unit)50によって実現されている。自動運転ECU50は、車両(以下、自車両Am)に搭載されている。自動運転ECU50の搭載により、自車両Amは、自動運転機能を備えた自動運転車両又は自律走行車両となる。自車両Amは、レベル4の自動運転機能により、ドライバが運転席DSに搭乗しないドライバレス車両ADVとして走行可能となる。本開示における自動運転レベルは、米国自動車技術会(Society of Automotive Engineers)によって規定された基準に基づいている。
【0016】
[ドライバレス車両の特定自動運行]
自車両Amを含む複数のドライバレス車両ADVの運行は、遠隔監視施設CNTによって遠隔監視される。遠隔監視施設CNTは、レベル4の自動運転移動サービス(以下、特定自動運行)を行う事業者(以下、特定自動運行実施者)等によって運営されている。遠隔監視施設CNTには、遠隔監視者RO及び運行管理者OM等が常駐している。遠隔監視者RO及び運行管理者OMは、特定自動運行実施者に所属する職員(以下、特定自動運行業務従事者)である。特定自動運行業務従事者には、ドライバレス車両ADVに異常が発生した場合に、その現場に急行し、適切な処置を行う現場措置業務実施者等も含まれる。
【0017】
遠隔監視者ROは、特定自動運行を担当する責任者(特定自動運行主任者)である。遠隔監視施設CNTには、主監視者ROm及び副監視者ROs等、複数の遠隔監視者ROが配置されていてもよい。遠隔監視者ROは、後述する自動運行システム100の作動状態を監視し、自動運行システム100が正常に作動していないことを認めたときは、ドライバレス車両ADVの運行を終了させる。遠隔監視者ROは、ドライバレス車両ADVの運行を終了させたとき、警察官の現場における指示等が行われている場合、緊急車両等が接近している場合、及びドライバレス車両ADVが違法駐車になってしまっている場合等に、適切な措置を実施する。さらに、遠隔監視者ROは、交通事故が発生した場合、警察官への報告等の適切な措置を実施する。
【0018】
運行管理者OMは、遠隔監視者ROを管理する。運行管理者OMは、遠隔監視者ROに異常が生じた場合、及び複数のドライバレス車両ADVに異常が生じた場合等にて、上述した遠隔監視者ROの業務の少なくとも一部を代行可能である。尚、遠隔監視施設CNTが小規模である場合、又は複数の遠隔監視者ROが常駐している場合、運行管理者OMの配置は、省略されてもよい。言い替えれば、遠隔監視者ROが運行管理者OMを兼ねていてもよい。
【0019】
上述の特定自動運行を可能にする自動運行システム100は、遠隔側システム130、インフラ側システム160、及び車両側システムIVS等によって構成されている。以下、これらの構成の詳細を順に説明する。
【0020】
[遠隔側システム]
図1及び図2に示す遠隔側システム130は、自車両Amを含む複数台のドライバレス車両ADVの遠隔監視者ROによる運行管理を可能にする。遠隔側システム130は、複数台のドライバレス車両ADVから遠隔に存在している。遠隔側システム130は、ドライバレス車両ADVに異常が生じた場合に、遠隔監視者ROによる遠隔での状況確認を可能にする。遠隔側システム130は、ドライバレス車両ADVの自動運転が継続困難な場合、動的な運転タスク(Dynamic Driving Task)を自動運転ECU50から遠隔監視者ROに引き継がせる。これにより、遠隔監視者ROは、ドライバレス車両ADVを遠隔で操縦可能となる。遠隔側システム130は、センタ通信機131、複数の遠隔者インターフェース132、及び遠隔制御装置140等によって構成されている。
【0021】
センタ通信機131は、公衆通信回線網を介してインフラ側システム160及び車両側システムIVSと通信可能である。センタ通信機131は、インフラ側システム160によって収集されたインフラ情報を受信する。センタ通信機131は、車両側システムIVSによって収集された車両情報(後述のイベント関連情報等)を受信すると共に、遠隔側システム130の取得する入力情報、遠隔運転情報、及び監視者カメラ映像等を車両側システムIVSへ向けて送信する。
【0022】
遠隔者インターフェース132は、遠隔監視施設CNTに配置された遠隔監視者RO及び運行管理者OM等の遠隔者に対して1つずつ設けられている。遠隔者インターフェース132には、入力デバイス133、遠隔者カメラ134、遠隔操作部135、遠隔側表示器136、及び遠隔側スピーカ137等が含まれている。
【0023】
入力デバイス133は、キーボード及びマウス等である。入力デバイス133には、遠隔者による端末操作が入力される。遠隔者カメラ134は、遠隔者の顔部及びその周辺を撮影するように設置されている。遠隔者カメラ134は、遠隔者の顔部を含む監視者カメラ映像を生成する。遠隔者カメラ134には、遠隔者の声を集音するマイクが設けられている。監視者カメラ映像には、マイクによって集音された音声が付属している。
【0024】
遠隔操作部135は、アクセルペダル112、ブレーキペダル113、及びステアリングホイール114等である。遠隔操作部135には、特定のドライバレス車両ADVを遠隔操縦するための運転操作が、遠隔者によって入力される。遠隔側表示器136及び遠隔側スピーカ137は、ドライバレス車両ADVの遠隔監視に関連する情報であって、センタ通信機131によって受信されるインフラ情報及び車両情報等を遠隔者に提示する。
【0025】
遠隔制御装置140は、処理部151、RAM152、記憶部153、入出力インターフェース154、及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部151は、RAM152へのアクセスにより、本開示の遠隔管理制御方法を実現するための種々の処理(インストラクション)を実行する。記憶部153には、処理部151によって実行される種々のプログラム(遠隔管理プログラム等)が格納されている。処理部151によるプログラムの実行により、遠隔制御装置140には、情報取得部141、操作取得部142、提示制御部143、及び運行管理部144等が構築される(図2参照)。
【0026】
情報取得部141は、入力デバイス133に入力される端末操作の入力情報、及び遠隔者カメラ134によって生成される監視者カメラ映像等を取得する。情報取得部141によって取得される入力情報及び監視者カメラ映像は、ドライバレス車両ADVに異常が発生した場合等に、運行管理部144及びセンタ通信機131を介して、ドライバレス車両ADVの車両側システムIVSに送信される。
【0027】
操作取得部142は、ドライバレス車両ADVの自動運転が継続できなくなった場合に、遠隔操作部135に入力される運転操作を示す遠隔運転情報を取得する。遠隔操作情報は、一例として、アクセル操作量、ブレーキ操作量、ステアリング操作量をそれぞれ示す複数の運転指示値を含んでなる。操作取得部142によって取得される遠隔運転情報は、運行管理部144及びセンタ通信機131を介して、自動運転が継続できなくなったドライバレス車両ADVの車両側システムIVSに送信される。
【0028】
提示制御部143は、センタ通信機131及び運行管理部144によって取得されるインフラ情報及び車両情報を、遠隔側表示器136及び遠隔側スピーカ137を用いて遠隔者に提示する。一例として、ドライバレス車両ADVの車室内の映像及び音声、並びにドライバレス車両ADVの走行経路の映像及び音声等が、遠隔側表示器136及び遠隔側スピーカ137によって遠隔者に提示される。遠隔者は、遠隔側表示器136及び遠隔側スピーカ137から提供される情報に基づき、ドライバレス車両ADVの状況を把握する。
【0029】
運行管理部144は、センタ通信機131を介して自動運転ECU50と連携し、ドライバレス車両ADVの運行を管理する。運行管理部144は、管理下にあるドライバレス車両ADVの目的地及び経由地を設定し、設定した地点情報を自動運転ECU50に送信する。運行管理部144は、ドライバレス車両ADVの走行経路を設定し、設定した走行経路を自動運転ECU50に送信してもよい。加えて、運行管理部144は、ドライバレス車両ADVの自動運転が継続できなくなった場合に、自動運転ECU50による自動運転から、遠隔監視者ROによる遠隔運転への切り替えを実施する。
【0030】
[インフラ側システム]
図1に示すインフラ側システム160は、監視カメラ161を備えている。インフラ側システム160は、ドライバレス車両ADVの走行経路に設置されている。インフラ側システム160は、ドライバレス車両ADVの走行経路全体を漏れなく撮影できるように多数設置されてもよく、又は走行経路にある停留所及び交差点等の特定の地点のみに設置されていてもよい。
【0031】
インフラ側システム160は、公衆通信回線網を介して遠隔側システム130と通信可能である。インフラ側システム160は、監視カメラ161によって撮影された走行経路の監視映像を、インフラ情報として遠隔側システム130へ向けて送信する。インフラ側システム160は、監視カメラ161と異なるインフラセンサを備えていてもよい。こうした形態では、インフラセンサの検出情報が、インフラ側システム160から遠隔側システム130にインフラ情報として送信される。
【0032】
[車両側システム]
図1及び図3に示す車両側システムIVSを搭載する自車両Amは、車室内に搭乗者PSを搭乗させた状態で、遠隔側システム130の管理に従って運行される。搭乗者PSは、ドライバレス車両ADVを用いたモビリティサービスの利用者である。自車両Amは、運転席DSにドライバが着座していない状態でも、自動運転ECU50の制御によって自律走行可能である。自動運転ECU50によって実施される自動運転は、上述のレベル4の自動運転であってもよく、遠隔監視者ROによる遠隔での常時周辺監視を前提としたレベル3の自動運転であってもよい。
【0033】
自車両Amには、搭乗者PSによる手動運転(以下、車内運転)を行うための車内操作部110が設けられている。車内操作部110は、アクセルペダル112、ブレーキペダル113、及びステアリングホイール114等である。車内操作部110は、運転席DSの前方に設けられており、運転席DSに着座するドライバによって操作可能である。自動運転ECU50又は遠隔制御装置140によって車内運転が許可された場合、運転席DSに着座した搭乗者PSがドライバとなり、車内操作部110に入力される運転操作が受け付けられる。
【0034】
車両側システムIVSは、自動運転ECU50を主体に構成されている。自動運転ECU50は、自車両Amに搭載された車載ネットワークの通信バスに通信可能に接続されている。通信バスには、車内モニタ装置29、周辺監視センサ30、ロケータ35、ナビゲーションECU38、車載通信機39、走行制御ECU40、ボディECU43、及びHMI(Human Machine Interface)制御装置10等が接続されている。これらの機器及びECU等のうち、特定のノード同士は、相互に直接的に電気接続され、通信バスを介することなく通信可能であってもよい。
【0035】
車内モニタ装置29は、自車両Amの車室内を撮影する複数の車室内カメラと、複数の車室内カメラを制御する制御ユニットと備えている。車室内カメラは、可視光カメラであってもよく、又は近赤外光源と組み合わされた近赤外カメラであってもよい。複数の車室内カメラのうち少なくとも1つは、運転席DSに着座する搭乗者PS(ドライバ)を撮影可能に設置されており、ドライバモニタとして機能する。車内モニタ装置29は、車室内カメラによる撮像画像、又は撮像画像を画像解析した解析結果を、車内モニタ情報として自動運転ECU50等に提供する。
【0036】
車内モニタ装置29は、着座センサ及びシートベルトセンサをさらに備えている。着座センサ及びシートベルトセンサは、自車両Amの客室内に設けられた複数の座席のそれぞれに1つずつ設けられている。車内モニタ装置29は、着座センサの検知結果に基づき、各座席に搭乗者PSが着座しているか否かを把握する。車内モニタ装置29は、搭乗者PSが着座している座席について、シートベルトセンサの検知結果に基づき、搭乗者PSがシートベルトを着用しているか否かを判定する。車内モニタ装置29は、各座席について、搭乗者PSの着座の有無及びシートベルト着用の有無を示す把握結果を、車内モニタ情報として自動運転ECU50等に提供する。尚、車内モニタ装置29は、車室内カメラの撮像画像の解析結果に基づき、着座の有無及びシートベルト着用の有無を把握してもよい。さらに、車内モニタ装置29は、着座センサ及びシートベルトセンサの検知結果と、撮像画像の解析結果とを組み合わせて、着座の有無及びシートベルト着用の有無を把握してもよい。
【0037】
周辺監視センサ30は、自車両Amの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30には、例えばカメラユニット、ミリ波レーダ、ライダ、及びソナーのうちの1つ又は複数が含まれている。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から移動物体及び静止物体を検出可能である。周辺監視センサ30は、自車周囲の物体の検出情報を自動運転ECU50等に提供する。
【0038】
ロケータ35は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサ等を含む構成である。ロケータ35は、GNSS受信機で複数の測位衛星から受信する測位信号、慣性センサの計測結果、及び通信バスに出力される車速情報等を組み合わせ、自車両Amの自車位置及び進行方向等を逐次測位する。ロケータ35は、測位結果に基づく自車両Amの位置情報及び方角情報を、ロケータ情報として通信バスに逐次出力する。
【0039】
ロケータ35は、地図データを格納した地図データベース(以下、地図DB)をさらに有している。地図DBは、多数の3次元地図データ及び2次元地図データを格納した大容量の記憶媒体を主体とする構成である。3次元地図データは、いわゆるHD(High Definition)マップであり、自動運転に必要な道路情報を含んでいる。ロケータ35は、現在位置周辺の地図データを地図DBから読み出し、自動運転ECU50等にロケータ情報と共に提供する。
【0040】
ナビゲーションECU38は、ロケータ情報に基づく現在位置の地点情報と、遠隔側システム130にて決定された目的地及び経由地等の地点情報とに基づき、現在位置から目的地へ向かう走行経路を設定する。ナビゲーションECU38は、遠隔側システム130にて設定された走行経路を利用してもよい。ナビゲーションECU38は、目的地までの走行経路を示す経路情報を、自動運転ECU50等に提供する。
【0041】
車載通信機39は、自車両Amに搭載された車外通信ユニットであり、V2X(Vehicle to Everything)通信機として機能する。車載通信機39は、道路脇に設置された路側機及び自車周囲の他車両等との間で無線通信(V2I通信及びV2V通信等)によって情報を送受信する。車載通信機39は、交差点に設置された交通信号機の点灯パターンを示す信号情報、及び交差点の周囲の物体、例えば、停止車両、駐車車両、歩行者、及びサイクリスト等の検出情報を、路側機及び他車両から受信可能であってよい。
【0042】
車載通信機39は、公衆通信回線網を介したセンタ通信機131との通信(V2N通信)により、自動運転ECU50及び遠隔制御装置140間での情報の共有を可能にする。具体的に、車載通信機39は、自車両Amの状態を示す車両情報を遠隔側システム130に送信する。車載通信機39は、周辺監視センサ30のカメラユニットにて撮影される車外カメラ映像、及び車内モニタ装置29によって撮影される車内カメラ映像等を、遠隔側システム130に転送可能であってよい。車載通信機39は、入力情報、遠隔運転情報、及び監視者カメラ映像等を遠隔側システム130から受信する。車載通信機39は、路側機及び他車両、並びに遠隔側システム130から受信した情報を、HMI制御装置10及び自動運転ECU50等に提供する。
【0043】
走行制御ECU40は、マイクロコントローラを主体として含む電子制御装置である。走行制御ECU40は、ブレーキ制御ECU、駆動制御ECU、及び操舵制御ECUの機能を少なくとも有している。走行制御ECU40は、操作量検出センサ115と電気的に接続されている。操作量検出センサ115は、車内操作部110に入力された運転操作に基づく車内運転情報を走行制御ECU40へ向けて出力する。走行制御ECU40は、車内操作部110に入力されたアクセル操作量、ブレーキ操作量、ステアリング操作量をそれぞれ示す複数の運転指示値を、車内運転情報として操作量検出センサ115から取得する。
【0044】
走行制御ECU40は、自動運転ECU50が自動運転を行っている場合、自動運転ECU50の制御指令に基づき、各輪のブレーキ力制御、車載動力源の出力制御、及び操舵角制御を継続的に実施する。一方、自車両Amが遠隔運転の状態にある場合、走行制御ECU40は、車載通信機39から入力される遠隔運転情報(運転指示値)に従い、各輪のブレーキ力制御、車載動力源の出力制御、及び操舵角制御を継続的に実施する。さらに、搭乗者PSによる車内運転が許可された場合、走行制御ECU40は、操作量検出センサ115から取得する車内運転情報(運転指示値)に従い、各輪のブレーキ力制御、車載動力源の出力制御、及び操舵角制御を継続的に実施する。
【0045】
ボディECU43は、マイクロコントローラを主体として含む電子制御装置である。ボディECU43は、自車両Amに搭載されたドアロックアクチュエータ45を制御する。ドアロックアクチュエータ45は、ボディECU43の指令信号に基づき、自車両Amに設けられたドアのロック機構の状態を、解錠状態及び施錠状態のうちで切り替える。ドアロックアクチュエータ45は、車室内及び車外のそれぞれついて、ロック機構の状態を個別に切り替え可能であってよい。
【0046】
HMI制御装置10は、処理部、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。HMI制御装置10は、提示制御装置として機能し、車内表示器21、車内スピーカ22、車内マイク23、車外表示器24、及び車外スピーカ25等を用いた車室内及び車外への情報提示を統合的に制御する。HMI制御装置10は、自動運転ECU50から取得する報知の実施要求に基づき、例えば自動運転機能の動作状態を示す報知を、車室内及び車外へ向けて実施する。
【0047】
車内表示器21は、自車両Amの車室内に設けられており、車室内の搭乗者PSへ向けて情報を表示する。全ての搭乗者PSが車内表示器21を視認できるように、自車両Amの車室内には、複数の車内表示器21が設置されている。車内表示器21には、種々の情報をカラー表示可能なカラーディスプレイが採用されている。車内スピーカ22は、報知音又は音声メッセージ等を車室内に再生させる。車内マイク23は、車室内の音を集音する。車室内には、複数の車内マイク23が設けられていてもよい。複数の車内マイク23のうちの少なくとも1つは、運転席DSに着座する搭乗者PSの発話を集音可能に設けられている。
【0048】
車外表示器24は、自車両Amの外側面に設けられており、車外へ向けて情報を表示する。車外表示器24は、文字表示可能なディスプレイであってもよく、発光態様の変化によって情報を示す発光デバイスであってもよい。自車両Amには、フロント表示器、サイド表示器、及びリヤ表示器等の少なくとも1つが車外表示器24として設けられている。車外スピーカ25は、車外へ向けて報知音又は音声メッセージ等を再生する。車外表示器24及び車外スピーカ25は、自車両Amにおける現在の自動運転機能の動作状態を、自車周囲の歩行者、サイクリスト、及び他車両のドライバ等に通知する。尚、車外の音を集音する車外マイクが、さらに設けられていてもよい。
【0049】
[自動運転ECU]
自動運転ECU50は、処理部51、RAM52、記憶部53、入出力インターフェース54、及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部51は、RAM52へのアクセスにより、本開示の自動運転制御方法を実現するための種々の処理(インストラクション)を実行する。記憶部53には、処理部51によって実行される種々のプログラム(自動運転制御プログラム等)が格納されている。処理部51によるプログラムの実行により、自動運転ECU50には、自動運転機能を実現するための複数の機能部として、情報連携部61、環境認識部62、行動判断部63、制御実行部64、及び機器制御部65等が構築される(図3参照)。
【0050】
情報連携部61は、HMI制御装置10への情報提供と、HMI制御装置10及び車内モニタ装置29等からの情報取得とを実施する。情報連携部61は、HMI制御装置10及び車内モニタ装置29との情報連携のためのサブ機能部として、状態把握部71及び報知要求部72を有する。
【0051】
状態把握部71は、車内モニタ装置29から取得する車内モニタ情報に基づき、車室内における搭乗者PSの状況を把握する。状態把握部71は、車内モニタ情報を参照し、各座席における搭乗者PSの着座の有無、及びシートベルトの着用状態を把握する。加えて、状態把握部71は、車内モニタ情報に基づき、例えば車室内での怪我人及び急病人の発生、並びに車室内での搭乗者PS同士のトラブルの発生等の定性的な情報を把握する。また、状態把握部71は、運転席DS等に搭乗者PSが着座しているか否か、運転席DSに着座している搭乗者PSは運転操作可能な状態か否か等を継続的に把握する。
【0052】
状態把握部71は、緊急停止釦117及び解錠操作部118に入力される操作の操作情報を取得する。緊急停止釦117及び解錠操作部118は、自車両Amの車室内に複数設けられている。緊急停止釦117は、一例として、搭乗者PSの着座する各シートの近傍に、搭乗者PSによって直ちに操作され易いように設けられている。搭乗者PSは、自車両Amの走行を停止させたい場合に、緊急停止釦117に押圧操作を入力する。解錠操作部118は、ドアの近傍に設けられている。解錠操作部118は、押し釦等であってもよく、又はレバー状の操作部であってもよい。搭乗者PSは、施錠状態のドアを車室側から開ける必要がある場合に、解錠操作部118を操作して、ドアを解錠状態にする。
【0053】
報知要求部72は、HMI制御装置10へ向けた報知の実施要求の出力により、自動運転機能の動作状態に同期したHMI制御装置10による報知を可能にする。報知要求部72は、自動運転機能の動作状態を示す制御状態情報を行動判断部63から取得し、制御状態情報に基づく実施要求をHMI制御装置10に出力する。これにより、報知要求部72は、車室内及び車外に向けて自動運転機能の動作状態を示す報知を、HMI制御装置10に実施させる。
【0054】
報知要求部72は、自車両Amに異常等が生じた場合、HMI制御装置10と連携し、遠隔制御装置140によって提供される監視者カメラ映像を、車内表示器21に表示させる(図8 S62参照)。このとき報知要求部72は、監視者カメラ映像に付属する遠隔監視者ROの発話音声を、車内スピーカ22によって車室内に再生させる。
【0055】
報知要求部72は、車内運転が許可されていない状態で搭乗者PSによる操作が車内操作部110に入力された場合、HMI制御装置10と連携し、遠隔側システム130から車内表示器21及び車内スピーカ22への緊急通報を実施する(図6 S32参照)。こうした緊急通報によれば、遠隔監視者ROと搭乗者PSとが通話可能な状態となる。この場合も、監視者カメラ映像が、車内表示器21に表示されてよい。即ち、車内表示器21が車内スピーカ22と共に「車内報知機」として緊急通報に用いられてもよい。
【0056】
環境認識部62は、ロケータ35より取得するロケータ情報及び地図データと、周辺監視センサ30より取得する検出情報とを組み合わせ、自車両Amの走行環境を認識する。環境認識部62は、車載通信機39にて受信される検出情報を、走行環境の認識に用いることも可能である。環境認識部62は、ナビゲーションECU38から経路情報を取得し、取得した経路情報を行動判断部63に提供する。
【0057】
環境認識部62は、走行環境認識のためのサブ機能部として、他車両把握部73及び道路把握部74を有する。他車両把握部73は、自車両Amの周囲を走行する他車両等、自車周囲の動的な物標の相対位置及び相対速度等を把握する。道路把握部74は、自車両Amの走行する道路又は走行予定の道路に関連した情報(以下、道路情報)を取得する。道路把握部74は、道路情報に基づき、自車両Amの走行する道路が一般道か否かを判定する。尚、自車両Amが高速道路又は自動車専用道路を走行している場合、道路把握部74は、自車両Amの走行する道路が一般道でないと判定する。
【0058】
行動判断部63は、自動運転ECU50に運転操作の制御権がある場合、環境認識部62による走行環境の認識結果と、ナビゲーションECU38によって生成される経路情報とに基づき、自車両Amを走行させる予定走行ラインを生成する。行動判断部63は、生成した予定走行ラインを制御実行部64に出力する。
【0059】
制御実行部64は、自動運転ECU50に運転操作の制御権がある場合、走行制御ECU40との連携により、行動判断部63にて生成された予定走行ラインに従って、自車両Amの加減速制御及び操舵制御等を実行する。具体的に、制御実行部64は、予定走行ラインに基づく制御指令を生成し、生成した制御指令を走行制御ECU40へ向けて逐次出力する。
【0060】
機器制御部65は、ボディECU43へ向けた制御指令の出力により、自車両Amに搭載された種々の車載機器の作動を制御する。機器制御部65は、ボディECU43と連携し、ドアロックアクチュエータ45を制御することで、自車両Amのドアのロック機構の状態を切り替える。一例として、機器制御部65は、目的地及び経由地以外において、自車両Amのドアを車外から開けることができない外施錠状態とする。
【0061】
[車両側システムによる緊急対応]
自動運転ECU50は、遠隔側システム130を用いた遠隔監視のもと、自車両Amを自律走行させる。こうした特定自動運行の実施期間において、自車両Amには、緊急対応を要するイベントが発生し得る。緊急対応を要するイベントは、例えば、自車両Amの故障、緊急車両の接近、自車両Am又は周辺車両に関連した接触事故、搭乗者PSの怪我又は急病、及び搭乗者PS同士のトラブルの発生等である。これらのイベントは、複合的に発生し得る。これらのイベントが発生した場合、自動運転ECU50は、自動退避制御を実施する(図4 S12参照)。
【0062】
自動退避制御と並行して、遠隔監視施設CNTでは、自動運転ECU50から送信される車両情報等を用いて、遠隔監視者ROによる自車両Amの状況確認が実施される。遠隔監視者ROは、ドライバレス車両ADVの運行を継続させるか否かを判断する。遠隔監視者ROによって運行継続が判断された場合、自動運転ECU50は、ドライバレス車両ADVの運行を再開させる。一方、遠隔監視者ROによって運行停止が判断された場合、搭乗者PSを乗せ替えるための代行車両の配車等が行われる。
【0063】
上記のような遠隔監視者ROによる状況の確認には、ある程度の時間が必要となる。故に、遠隔監視者ROによる確認が完了するまでの間に、搭乗者PSが好ましくない行動を起こし得る。具体的には、車内操作部110を操作してドライバレス車両ADVを勝手に動かしてしまう、及び自車周囲の状況を確認しないまま車外に飛び出してしまう等の行動が、搭乗者PSの好ましくない行動として想定される。
【0064】
自動運転ECU50は、緊急対応にて、搭乗者PSが好ましくない行動をとらないようにしつつ、発生した事象を解消するための処置を実施する。こうした緊急対応を実現するため、自動運転ECU50の行動判断部63には、対応判定部76、制御切替部77、及び緊急制御部78等のサブ機能部がさらに構築される。加えて、機器制御部65は、イベントへの緊急対応に合わせて、ロック機構の状態制御を実施する。以下、これら機能部の詳細を順に説明する。
【0065】
対応判定部76は、状態把握部71にて把握される搭乗者PSの状況、他車両把握部73にて把握される自車周囲の物体の状況、及び通信バスを流れる情報等に基づき、自律走行中の自車両Amに緊急対応を要するイベントが発生したことを検知する。対応判定部76は、予め規定されたイベント(異常)の発生を検知した場合、自車両Amの車両側システムIVSによってイベントに対応可能か否かを判定する。車両側システムIVSによる車両制御により緊急対応が完遂される場合、又は短時間の待機によってイベントが終息し得る場合、対応判定部76は、発生したイベントが許容範囲のイベントであると判定する。車両側システムIVSによる車両制御には、自動運転ECU50による走行制御に加えて、HMI制御装置10による車室内又は車外へのアナウンス、及び車載空調装置を用いた空調制御等が含まれていてもよい。
【0066】
一方、車両側システムIVSによる車両制御等では緊急対応が完遂困難であり、かつ、短時間の待機では終息する見込みもない場合、対応判定部76は、発生したイベントが許容範囲のイベントではない、即ち、許容範囲外のイベントであると判定する。対応判定部76には、イベントとして想定された事象と、その事象に紐づく判断基準とが、予め登録されている。対応判定部76は、予め登録された事象毎の判断基準を参照し、自車両Amに発生したイベントが許容範囲内であるか否かを判定する。発生した事象の緊急度及び深刻度が高いほど、対応判定部76は、許容範囲外のイベントであると判定し易くなる。
【0067】
具体的に、自車両Amに故障が発生した場合、対応判定部76は、発生した故障が自動運転に影響するか否かを判定する。空調系又は表示系のみの故障であり、自車両Amの故障が自動運転に実質的に影響しない場合、対応判定部76は、許容範囲のイベントであると判定する。一方、走行系に故障が発生しており、自車両Amの故障が自動運転に影響し得る場合、対応判定部76は、許容範囲外のイベントであると判定する。
【0068】
また、緊急車両が自車両Amに接近する場合、対応判定部76は、接近中の緊急車両を、自車両Amの走行制御によって回避可能か否かを判定する。路肩への移動等で緊急車両を容易に回避できる場合、対応判定部76は、許容範囲のイベントであると判定する。一方、自車両Amを退避させる場所が近傍に存在せず、緊急車両の回避が難しい場合、対応判定部76は、許容範囲外のイベントであると判定する。
【0069】
また、自車周囲で接触事故が発生した場合、対応判定部76は、接触事故に自車両Amが関係しているか否かを判定する。自車周囲の他車両のみが関係する接触事故であり、事故現場を回避する走行制御が実施できる場合、対応判定部76は、許容範囲のイベントであると判定する。一方、自車両Amが接触に巻き込まれた場合、対応判定部76は、許容範囲外のイベントであると判定する。
【0070】
また、怪我人又は急病人が発生した場合、対応判定部76は、怪我又は病気の程度を推定する。怪我又は病気が軽度であり、救護処置が実質的に不要な場合、対応判定部76は、許容範囲のイベントであると判定する。一方、救護処置を要する怪我人又は病気人が発生した場合、対応判定部76は、許容範囲外のイベントであると判定する。
【0071】
また、搭乗者PS同士のトラブルが発生した場合、報知要求部72は、HMI制御装置10と連携し、注意喚起のアナウンスを車室内に再生させる。対応判定部76は、アナウンスによってトラブルが終息したか否かを判定する。アナウンスの実施によってトラブルが終息した場合、対応判定部76は、許容範囲のイベントであると判定する。一方、アナウンスの実施後もトラブルが継続した場合、対応判定部76は、許容範囲外のイベントであると判定する。
【0072】
対応判定部76は、車載通信機39と連携し、発生したイベントの内容を示す通知を遠隔側システム130に送信する。加えて、対応判定部76にて車室内での異常発生が把握された場合、車内カメラ映像が、車載通信機39から遠隔側システム130に車両情報として転送される。また、対応判定部76によって車外での異常発生が把握された場合、車外カメラ映像が、車載通信機39から遠隔側システム130に車両情報として転送される。
【0073】
制御切替部77は、走行制御ECU40と連携し、自動運転、遠隔運転、及び車内運転のうちで、自車両Amの制御状態を切り替える。制御切替部77は、遠隔監視施設CNTの遠隔監視者ROによって遠隔運転への移行が判断された場合、遠隔制御装置140と連携し、自動運転から遠隔運転に自車両Amの制御状態を遷移させる。遠隔運転への移行により、走行制御ECU40は、車載通信機39を通じて遠隔側システム130から受信する運転指示値に基づき、自車両Amを走行させる。制御切替部77は、自動運転及び遠隔運転の間で自車両Amの制御状態を切り替える場合、自車両Amを必ず一時停止させる。
【0074】
制御切替部77は、対応判定部76にて緊急対応を要するイベントの発生が検知されると、自動運転を中断するか否かを判定する。制御切替部77は、検知されたイベントについて、許容範囲のイベントであって車両側システムIVSによる対応が可能と判定された場合、自動運転の継続を決定する。この場合、制御切替部77は、自車両Amに設けられた車内操作部110への搭乗者PSによる運転操作の入力を制限(禁止)する。
【0075】
制御切替部77は、車内操作部110への入力を制限した場合でも、車内操作部110の物理的な可動を制限しない。制御切替部77は、操作量検出センサ115からの運転指示値を無視するように、走行制御ECU40を設定する。制御切替部77は、走行制御ECU40にて、車内操作部110へ入力された運転操作を自車両Amの挙動に反映させないことで、搭乗者PSによる運転操作を禁止する。
【0076】
制御切替部77は、検知されたイベントについて、対応判定部76にて許容範囲外のイベントであり、車両側システムIVSによる対応が不可能であると判定された場合、車内操作部110への搭乗者PSによる運転操作の入力を許可する(図4 S17参照)。加えて、遠隔監視者ROによって車内運転への移行が容認された場合も、制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力を許可する(図8 S69参照)。遠隔監視者ROの判断により車内運転が許可された場合、制御切替部77は、運転席DSに搭乗者PSが着座しており、かつ、運転操作が可能な状態(姿勢)であることを確認したうえで、自動運転から車内運転に自車両Amの制御状態を遷移させる。
【0077】
制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力を許可した場合、走行制御ECU40と連携し、アクセルペダル112、ブレーキペダル113、及びステアリングホイール114に対して、異なる操作可能量を設定する。操作可能量は、一例として、特定の値(例えば、100)を最大値とし、その割合として設定される。操作可能量が最大値に設定された場合、自車両Amの走行機能は、通常通り全て使用可能となる。一方、操作可能量が最大値よりも低い値(例えば、50)に設定された場合、自車両Amの走行機能は、一部のみ使用可能になる。
【0078】
制御切替部77は、一例として、アクセルペダル112の操作可能量を、ブレーキペダル113及びステアリングホイール114の各操作可能量よりも少なく設定する。以上によれば、ドライバとなった搭乗者PSは、ブレーキ操作及び操舵操作を通常通り行うことができる。一方で、アクセル操作によって出せる自車両Amの最高速度が、所定の上限速度以下に制限される。
【0079】
制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力が継続している状態下、遠隔監視者ROの許可判断によって自律走行(自動運転)から手動運転(車内運転)に制御状態を移行させる場合、移行前から継続する運転操作をキャンセルする。詳記すると、制御切替部77は、自動運転から車内運転への移行後であっても、車内運転への移行前に入力が開始された運転操作を受け付けず、車両制御に反映させない。制御切替部77は、搭乗者PSに制御権が引き渡された後、車内操作部110の操作量がゼロに戻された場合に、この車内操作部110に入力される運転操作の受け付けを開始し、運転操作を車両制御に反映させる。
【0080】
制御切替部77は、車内運転への移行前から継続する運転操作をキャンセルする処理に替えて、移行前から継続する運転操作を小さく補正する処理を実施してもよい。詳記すると、制御切替部77は、運転操作の操作量に対する自車両Amの制御量(以下、操作ゲイン)を、車内運転への移行の前後で変更する。具体的に、制御切替部77は、車内運転への移行前に入力が開始された運転操作の操作ゲインを、車内運転への移行後に入力が開始される運転操作の操作ゲインよりも少なくする。以上により、車内運転への移行前から継続する運転操作は、車内運転への移行後において自車両Amの挙動に反映され難くなる。
【0081】
制御切替部77は、自動運転ECU50又は遠隔監視者ROによって車内運転が許可されても、複数の緊急停止釦117が搭乗者PSによって操作された場合、車内操作部110への運転操作の入力を禁止する(図9 S82参照)。以上により、自動運転ECU50及び遠隔監視者ROの判断よりも、複数の搭乗者PSの判断が優先される。こうした処理は、遠隔監視者ROが車内運転の許可判断を誤った場合のフェールセーフとして機能する。
【0082】
緊急制御部78は、上述の自動退避制御を実行する。自動退避制御は、走行中のレーン内又は走行中の道路の路肩(道路脇)等を退避場所に設定し、設定した退避場所に自車両Amを停止させる車両制御である。緊急制御部78は、対応判定部76によってイベントの発生が検知された場合に、自動退避制御を開始する。加えて、緊急制御部78は、制御切替部77によって車内操作部110の入力が許可され、かつ、ステアリングホイール114への操舵操作が入力された場合、ブレーキペダル113の操作が行われていなくても、自車両Amを減速させる。即ち、緊急制御部78は、操舵操作の入力をトリガとして、自動ブレーキを作動させる(図7 S42参照)。
【0083】
機器制御部65は、自律走行中の自車両Amにおいて、緊急対応を要するイベントの発生が検知された場合、ドアロック制御を実施する。機器制御部65は、自動運転による運行中であって、イベントの発生が検知されていない場合、車室内からドアを開けられる内解錠状態としている。このとき機器制御部65は、車外からドアを開けることのできない外施錠状態としている。そして、自動運転による運行中にイベントの発生が検知されると、機器制御部65は、上記の内解錠状態から、車室内からドアを開けることのできない内施錠状態に切り替える。加えて機器制御部65は、上記の外施錠状態を解除し、車外からドアを開けることのできる外解錠状態に切り替える。
【0084】
機器制御部65は、自車両Amが一般道を走行している場合、イベントの発生が検知された場合でも、上記のドアロック制御を実施しない。即ち、自車両Amが一般道を走行する場合、機器制御部65は、イベントの発生直後でも、ドアの解錠状態を維持する。
【0085】
機器制御部65は、ドアを施錠状態とした場合、遠隔側システム130から取得する解錠指示に基づき、施錠状態を解除する。加えて機器制御部65は、ドアを施錠状態とした場合、解錠操作部118が車室内の搭乗者PSによって操作されたことに基づき、施錠状態を解除する。これらによれば、搭乗者PSは、ドアを開けて、車室内から車外に退避可能となる。
【0086】
[緊急対応に関連する各処理]
次に、ここまで説明した緊急対応を実現するため、自動運転ECU50及び遠隔制御装置140にて実施される各処理の詳細を、図4図9に基づき、図1図3を参照しつつ、さらに説明する。
【0087】
図4に示す緊急対応処理は、自動運転による自車両Am(ドライバレス車両ADV)の運行が開始されたことに基づき、自動運転ECU50によって開始される。緊急対応処理のS11では、対応判定部76が、自律走行中の自車両Amにおいて、緊急対応を要するイベントの発生を検知する。対応判定部76は、自車両Amの運行中、緊急対応を要するイベントの発生を待機した状態を維持する。対応判定部76にて、緊急対応を要するイベントの発生が検知された場合(S11:YES)、S12にて、緊急制御部78が、自動退避制御を開始する。
【0088】
S13では、対応判定部76により、自車両Amに発生している事象と、当該事象に対処するための緊急対応の内容が、ドライバレス車両ADVの現在位置情報等と共に把握される。S14では、S13にて把握された緊急対応に関連する情報(以下、イベント関連情報)が、自車両Amを識別する識別情報等と共に車載通信機39から遠隔監視施設CNTの遠隔側システム130に送信される。
【0089】
S15では、S11にて発生が検知されたイベントについて、自車両Amの車両側システムIVSによって対応可能な許容範囲のイベントか否かを判定する。許容範囲内のイベントであり、車両側システムIVSによる対応が可能と判定した場合(S15:YES)、制御切替部77は、S16にて、車内操作部110への搭乗者PSによる運転操作の入力を制限(禁止)する。より詳細には、車内操作部110への運転操作の入力を禁止した状態が維持される。
【0090】
一方、許容範囲外のイベントであり、車両側システムIVSによる対応が可能でないと判定した場合(S15:NO)、制御切替部77は、S17にて、自動運行システム100への搭乗者PSによる運転操作の入力を許可する。より詳細には、車内操作部110への搭乗者PSによる運転操作の入力を禁止した状態から、運転操作の入力を許可する状態へのステータス変更が実施される。この場合、報知要求部72は、HMI制御装置10と連携し、車内運転が許可されたことを、車内表示器21及び車内スピーカ22を用いて搭乗者PSに報知する。
【0091】
S18では、道路把握部74が、把握されている道路情報に基づき、自車両Amの走行する道路が一般道であるか否かを判定する。自車両Amが自動車専用道路を含む高速道路を走行している場合(S18:NO)、S19にて、機器制御部65が、ボディECU43及びドアロックアクチュエータ45と連携し、自車両Amに設けられたドアを施錠状態とするドアロック制御を実施する。一方、自車両Amが一般道を走行している場合(S18:YES)、ドアロック制御は中止される。
【0092】
S19にて、機器制御部65は、自車両Amに設けられたドアを車室内から開けることのできない施錠状態とする。具体的に、機器制御部65は、S19にて、内解錠状態から内施錠状態に切り替えと、外施錠状態の解除による外解錠状態への切り替えとを実施する。S20では、制御切替部77が、遠隔監視者ROによる判断(以下、センタ判断)の受信の待機を開始する。
【0093】
図5に示すセンタ判断処理は、緊急対応処理にて送信されるイベント関連情報(図4 S14参照)の受信に基づき、遠隔制御装置140によって開始される。センタ判断処理のS101では、遠隔側システム130にて受信されるイベント関連情報に基づき、提示制御部143が、イベントの発生したドライバレス車両ADVの識別情報、発生している事象、及び緊急対応の内容等を遠隔側表示器136に表示させる。提示制御部143は、ドライバレス車両ADVの現在位置、及びドライバレス車両ADVの車内カメラ映像又は車外カメラ映像等を遠隔側表示器136に表示させてもよい。
【0094】
遠隔監視者ROは、S101にて提示された各種の情報に基づき、ドライバレス車両ADVの運行を継続させるか否か、及び搭乗者PSに車内運転を許可するか否かを判断する。加えて、遠隔監視者ROは、ドライバレス車両ADVの運行を終了させる場合、遠隔運転に切り替えるか、車内運転での移動を搭乗者PSに依頼するか、又は退避場所での停止状態を継続させるか等を判断する。さらに、遠隔監視者ROは、ドライバレス車両ADVの退避場所に代行車両を向かわせるか否かを判断する。遠隔監視者ROは、これらの判断結果を入力デバイス133を用いて遠隔制御装置140に入力する。
【0095】
S102では、遠隔監視者ROによる判断結果の入力が待機される。情報取得部141は、S102にて、判断結果の入力情報を取得したか否かを判定する。判断結果の入力情報が情報取得部141にて取得されると(S102:YES)、運行管理部144は、S103にて、センタ通信機131からドライバレス車両ADVの車載通信機39に、遠隔監視者ROによる判断結果を、センタ判断として送信する。
【0096】
S104にて、運行管理部144は、ドライバレス車両ADVの搭乗者PSへ向けたアナウンスが必要か否かを判定する。運行管理部144は、遠隔監視者RO又は運行管理者OMの判断に従ってアナウンスの要否を判定してもよく、或いはイベント関連情報又は入力情報に基づき、アナウンスの要否を自動判定してもよい。
【0097】
運行管理部144は、アナウンスが必要と判定した場合(S104:YES)、S105にて、ドライバレス車両ADVに監視車カメラ映像を送信できるように、車両側システムIVSに対して通話接続処理を実施する。尚、アナウンスが不要と判定された場合(S104:NO)、通話接続処理は省略される。
【0098】
S106にて、運行管理部144は、S102にて取得した遠隔監視者ROの入力情報に基づき、代行車両の要否を判定する。代行車両が必要な場合(S106:YES)、運行管理部144は、S107にて、配車処理を実施する。配車処理では、ドライバレス車両ADVに搭乗している搭乗者PSの人数に応じて、代行車両の条件及び台数等が決定される。運行管理部144は、決定した条件に合致し、かつ、ドライバレス車両ADVの現在位置の近くに存在する他のドライバレス車両ADVを、代行車両として選定する。運行管理部144は、代行車両の候補を抽出する処理のみを実施し、代行車両の決定は、遠隔監視者RO又は運行管理者OMによって実施されてもよい。緊急性が高い場合、運行中のドライバレス車両ADVが、代行車両として選定されてもよい。尚、代行車両が不要と判定された場合(S106:NO)、配車処理は省略される。
【0099】
図6に示す緊急通報処理は、緊急対応処理にて車内操作部110への入力が禁止された場合(図4 S16参照)に、自動運転ECU50によって開始される。緊急通報処理は、車内運転が許可されるまで、継続的に実施される。緊急通報処理は、緊急対応を要するイベントの発生時に限定されず、ドライバレス車両ADVの特定自動運行中に継続的に実施されてもよい。
【0100】
緊急通報処理のS31では、行動判断部63が、走行制御ECU40と連携し、運転操作の入力が制限されている状態で、搭乗者PSによる操作が車内操作部110に入力されたか否かを判定する。搭乗者PSによる操作が車内操作部110に入力された場合(S31:YES)、S32にて、遠隔側システム130から車内表示器21及び車内スピーカ22等への緊急通報が実施される。
【0101】
具体的に、S32では、行動判断部63が、車載通信機39と連携し、制限されている運転操作の入力があったことを遠隔側システム130に通知する。そして、遠隔側システム130からの応答があると、報知要求部72は、HMI制御装置10と連携し、遠隔側システム130と、車室内の車内表示器21、車内スピーカ22及び車内マイク23とを接続する。以上により、運転席DSに着座する搭乗者PSと、遠隔監視施設CNTの遠隔監視者ROとが通話可能となる。故に、遠隔監視者ROは、運転操作を入力した搭乗者PSに対して、直接的に状況を確認できる。
【0102】
図7に示す停止支援処理は、緊急対応処理にて車内操作部110への入力が許可された場合(図4 S17参照)に、自動運転ECU50によって開始される。停止支援処理のS41では、行動判断部63が、走行制御ECU40と連携し、搭乗者PSによる操舵操作がステアリングホイール114に入力されたか否かを判定する。搭乗者PSによる操舵操作がステアリングホイール114に入力された場合(S41:YES)、S42にて、緊急制御部78が、自動ブレーキを作動させ、自車両Amを減速させる。緊急制御部78は、自動ブレーキの作動により、自動退避制御よりも大きい減速度を自車両Amに発生させる。以上によれば、緊急時にて、操舵操作の入力開始に合わせて、自車両Amの急制動が開始される。その結果、自車両Amを迅速に停止させることが可能となる。
【0103】
S43では、自動退避制御による退避が完了したか否かを判定する。退避の完了前である場合(S43:NO)、S41での操舵操作の入力判定が継続される。一方、退避が完了した場合(S43:YES)、停止支援処理は終了される。
【0104】
図8に示す制御切替処理は、緊急対応処理にてセンタ判断の受信待機が開始されたことに基づき(図4 S20参照)、自動運転ECU50によって開始される。制御切替処理のS61では、制御切替部77が、センタ判断を受信によって取得したか否かを判定する。センタ判断を取得していない場合(S61:NO)、遠隔側システム130からのセンタ判断の受信が待機される。
【0105】
一方、センタ判断を取得した場合(S61:YES)、報知要求部72は、S62にて、HMI制御装置10と連携し、遠隔側システム130によって提供される監視者カメラ映像を車内表示器21に表示させる。加えて、監視者カメラ映像に付属する音声が、車内スピーカ22によって再生される。以上により、遠隔監視者ROの映像が車内表示器21に表示された状態で、遠隔監視者ROによる直接的な状況が搭乗者PSに対して説明される。尚、センタ判断処理にて搭乗者PSへのアナウンスが不要と判定された場合(図5 S104:NO 参照)、遠隔監視者ROの映像表示は省略される。
【0106】
S63にて、制御切替部77は、S61にて取得したセンタ判断を参照する。自動運転(特定自動運行)を継続するセンタ判断が行われていた場合(S63:YES)、制御切替部77は、S64にて、実施中の自動退避制御をキャンセルし、自動運転による自車両Amの走行を再開させる。尚、自動運転による走行は、自動退避制御によって自車両Amが停止した後に再開されてもよい。
【0107】
S65では、機器制御部65が、ボディECU43及びドアロックアクチュエータ45と連携し、ドアのアンロック制御を実施する。機器制御部65は、アンロック制御にて、自車両Amのドアを車室内から開けることのできる解錠状態とする。具体的に、機器制御部65は、自動運転に再開に基づき、内解錠状態を解除し、内解錠状態に切り替える。加えて機器制御部65は、自動運転の再開に基づき、外解錠状態から外施錠状態に切り替える。
【0108】
一方、自動運転を中断するセンタ判断が行われていた場合(S63:NO)、制御切替部77は、S66にて、遠隔運転に切り替えるセンタ判断が行われていたか否かを判定する。遠隔運転に切り替えるセンタ判断が行われていた場合(S66:YES)、制御切替部77は、S68にて、遠隔側システム130と連携し、自動運転から遠隔運転への切り替えを実施する。遠隔運転への切り替えは、自動退避制御によって自車両Amが停止した状態で実施される。
【0109】
遠隔運転に切り替えるセンタ判断が行われていなかった場合(S66:NO)、制御切替部77は、S67にて、センタ判断にて車内運転への切り替えが許可されたか否かを判定する。車内運転への切り替えが許可されていない場合(S67:NO)、制御切替部77は、S70にて、自動退避制御の継続を決定する。この場合、自車両Amは、退避場所への移動後、停止状態を継続する。機器制御部65は、遠隔側システム130から解錠指示を取得した場合、ドアの施錠状態を解除する。
【0110】
一方、センタ判断にて車内運転への切り替えが許可されている場合(S67:YES)、制御切替部77は、S69にて、報知要求部72及びHMI制御装置10と連携し、自動運転から車内運転に自車両Amの制御状態を切り替える。制御切替部77は、S69にて、運転席DSに着座する搭乗者PSの状態を確認し、車内運転への切り替えが可能か否かを判定する。車内運転への切り替えが可能と判定した場合、制御切替部77は、運転席DSに着座する搭乗者PSに自車両Amの制御権を移譲する。
【0111】
図9に示す緊急停止処理は、制御切替処理にて車内運転への切り替えが行われた場合(図8 S69参照)に、自動運転ECU50によって開始される。緊急停止処理は、車内運転への切り替え後、所定時間(例えば、数十秒から1分程度)が経過したタイミングで終了されてよい。
【0112】
緊急停止処理のS81では、状態把握部71が、緊急停止釦117への押圧操作の入力を把握する。状態把握部71は、複数(例えば、2つ以上)の緊急停止釦117に対して押圧操作が入力されたか否かを判定する。複数の緊急停止釦117に押圧操作が入力された場合(S81:YES)、制御切替部77は、S82にて、搭乗者PSによる運転操作を禁止する。具体的に、制御切替部77は、走行制御ECU40による運転操作の受け付けを中止し、搭乗者PSによる車内運転を中止させる。車内運転の中止後、S83にて、緊急制御部78による自動退避制御が再開される。
【0113】
S84では、行動判断部63が、車載通信機39と連携し、遠隔側システム130へ向けたセンタ通報を実施する。行動判断部63は、複数の緊急停止釦117に押圧操作が入力されたことを、遠隔側システム130に送信する。これにより、ドライバレス車両ADVの状況が遠隔監視者ROによって確認される。遠隔監視者ROは、遠隔運転への制御状態の切り替え、及び車内運転を行う搭乗者PSの交代等の対応策を判断する。
【0114】
(第一実施形態まとめ)
ここまで説明した第一実施形態では、自律走行中の自車両Amに緊急対応を要するイベントが発生し、そのイベントが車両側システムIVSによって対応可能である場合、自車両Amに設けられた車内操作部110への搭乗者PSによる運転操作の入力は制限される。故に、遠隔監視者RO等による状況の確認が完了する以前に搭乗者PSが勝手に運転操作を行い、自車両Amを動かしてしまう事態は回避され得る。したがって、ドライバレス車両ADV等の自動運転車両での緊急対応の発生時において、搭乗者PSの好ましくない行動を抑制することが可能になる。
【0115】
加えて第一実施形態では、運転操作の入力が制限されている状態で搭乗者PSによる操作が車内操作部110に入力された場合、遠隔側システム130から自車両Amの車室内に設けられた車内表示器21及び車内スピーカ22への通報が実施される。こうした緊急通報によれば、運転席DSに着座する搭乗者PSと、遠隔監視施設CNTの遠隔監視者ROとが通話可能となる。その結果、遠隔監視者ROは、運転操作を入力した搭乗者PSに対して、直接的に状況を確認することができる。
【0116】
また第一実施形態の車内操作部110には、アクセルペダル112、ブレーキペダル113、及びステアリングホイール114が少なくとも含まれている。そして、制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力を許可した場合、アクセルペダル112、ブレーキペダル113、及びステアリングホイール114に対して異なる操作可能量を設定する。故に、自動運転から車内運転に自車両Amの制御状態を切り替えた後、急な挙動変化が発生し難くなる。
【0117】
さらに第一実施形態では、アクセルペダル112の操作可能量は、ブレーキペダル113及びステアリングホイール114の各操作可能量よりも少なく設定される。故に、自動運転から車内運転に制御状態が移行した直後に、搭乗者PSの不適切なアクセル操作によって自車両Amが急加速する事態は、回避され得る。
【0118】
加えて第一実施形態では、制御切替部77によって車内操作部110への入力が許可され、かつ、車内操作部110に含まれるステアリングホイール114に搭乗者PSが操舵操作を入力した場合、緊急制御部78は、自車両Amを減速させる。こうした自動ブレーキの作動によれば、操舵操作の入力開始に合わせて、自車両Amの制動が開始される。故に、緊急時にて、運転席DSに着座していなかった搭乗者PSが、運転席DSへ移動しつつ、ステアリングホイール114への入力を急遽開始するようなシーンにて、自車両Amの減速が早期に開始され得る。その結果、緊急時において、自車両Amをより早く停止させることが可能になる。
【0119】
また第一実施形態では、緊急対応を要するイベントが発生した場合、報知要求部72は、遠隔側システム130によって提供される遠隔監視者ROの映像(監視者カメラ映像)を、自車両Amの車室内に設けられた車内表示器21に表示させる。以上のように、遠隔監視者ROの顔部が車内表示器21に表示されれば、緊急対応を要するイベントが発生した場合でも、ドライバレス車両ADVの搭乗者PSに安心感を与えることが可能になる。
【0120】
さらに第一実施形態では、車両側システムIVSよって対応可能な許容範囲のイベントと判定された場合、制御切替部77は、車内操作部110の物理的な可動を制限しない。制御切替部77は、車内操作部110へ入力された運転操作を自車両Amの挙動に反映させないことで、搭乗者PSによる運転操作を禁止する。仮に、運転操作ができないように車内操作部110を物理的に固定した場合、イベントの発生によってパニックとなった搭乗者PSが、車内操作部110を無理に動かそうとし、車内操作部110を壊してしまう虞がある。こうした事態の発生を回避するため、運転操作の入力が制限されても、車内操作部110は、固定されないことが望ましい。
【0121】
加えて第一実施形態では、自動運転から搭乗者PSによる車内運転に自車両Amの制御状態が移行する場合、制御切替部77は、車内運転への移行前に入力が開始された運転操作を受け付けない。制御切替部77は、車内運転への移行後に入力が開始される運転操作、言い替えれば、移行後に再入力される運転操作のみを受け付ける。こうした移行時の制御によれば、運転操作の入力中に車内運転が許可された場合(図8 S69参照)でも、搭乗者PSによって行われていた運転操作は、自車両Amの挙動に反映されない。以上によれば、車内運転への移行直後に急加速、急制動、及び急旋回等が生じてしまう事態は、回避可能となる。
【0122】
また第一実施形態では、自動運転から車内運転に自車両Amの制御状態が移行する場合、制御切替部77は、車内運転への移行前に入力が開始された運転操作の操作ゲインを、車内運転への移行後に入力が開始される運転操作の操作ゲインよりも少なくする。こうした移行時の制御によれば、運転操作の入力中に車内運転が許可された場合でも、搭乗者PSによって行われていた運転操作は、実際よりも緩い操作として受け付けられ、自車両Amの挙動に反映され難くなる。以上によっても、車内運転への移行直後に急加速、急制動、及び急旋回等が生じてしまう事態は、回避可能となる。
【0123】
さらに第一実施形態では、自車両Amの車室内に設けられた複数の緊急停止釦117が搭乗者PSによって操作された場合、制御切替部77は、搭乗者PSによる運転操作を禁止する。故に、遠隔監視者ROが誤って車内運転を許可してしまった場合でも、複数の搭乗者PSの判断によって車内運転による走行を中断させることが可能になる。
【0124】
加えて第一実施形態では、自律走行中の自車両Amにおいて、緊急対応を要するイベントの発生が検知された場合、自車両Amに設けられたドアは、車室内から開けることのできない施錠状態とされる。故に、遠隔監視者RO等による状況の確認が完了する以前に搭乗者PSが勝手にドアを開けてしまい、車外に出てしまう事態は回避され得る。したがって、ドライバレス車両ADV等の自動運転車両での緊急対応の発生時において、搭乗者PSの好ましくない行動を抑制することが可能になる。
【0125】
また第一実施形態の機器制御部65は、ドアを施錠状態とした場合、遠隔側システム130から取得する解錠指示に基づき、施錠状態を解除する。以上によれば、一旦施錠状態としたドアを、遠隔監視者ROの判断により、適切なタイミングで解錠状態に戻すことが可能になる。その結果、搭乗者PSは、落ち着いた状態で車外に退避できるようになる。
【0126】
さらに第一実施形態の機器制御部65は、ドアを施錠状態とした場合、車室内に設けられた解錠操作部118が自車両Amの搭乗者PSによって操作されたことに基づき、施錠状態を解除する。以上によれば、車外への退避が必要な場合、搭乗者PSは、自らの判断によってドアのロック機構を解錠状態とし、ドアを開けることができる。以上によれば、慌てた搭乗者PSが車外に飛び出ないようにしつつ、搭乗者PSの車室内への閉じ込めが回避される。
【0127】
加えて第一実施形態の道路把握部74は、自車両Amの走行する道路が一般道か否かを判定する。そして、機器制御部65は、自車両Amが一般道を走行している場合、ドアを施錠状態とするドアロック制御を中止する。以上によれば、車外への飛び出しによるリスクが低い一般道において、搭乗者PSの早急な車外退避が可能になる。
【0128】
また第一実施形態では、緊急対応を要するイベントの発生が検知されていない場合、機器制御部65は、ドアを車室内から開けられる内解錠状態としつつ、ドアを車外から開けることのできない外施錠状態とする。以上によれば、車外からの不適切な侵入が防止され得るため、ドライバレス車両ADVのセキュリティが確保され得る。一方、緊急対応を要するイベントの発生が検知された場合、機器制御部65は、ドアを車室内から開けることのできない内施錠状態としつつ、外施錠状態を解除する。以上によれば、例えば車外の救護者は、ドライバレス車両ADVのドアを速やかに開けることができる。その結果、車室内で発生した怪我人又は急病人の迅速な救護が可能になる。
【0129】
尚、上記実施形態では、車両側システムIVSが「車載システム」に相当し、車内スピーカ22が「車内報知機」に相当し、自動運転ECU50が「自動運転制御装置」に相当する。加えて、機器制御部65が「施錠制御部」に相当し、報知要求部72が「報知実施部」に相当し、道路把握部74が「道路判定部」に相当し、対応判定部76が「発生検知部」にも相当する。また、制御切替部77が「操作制限部」に相当し、緊急制御部78が「走行制御部」に相当する。さらに、アクセルペダル112が「アクセル操作部」に相当し、ブレーキペダル113が「ブレーキ操作部」に相当し、ステアリングホイール114が「ステア操作部」に相当する。そして、緊急停止釦117が「停止指示部」に相当し、解錠操作部118が「解錠指示部」に相当し、遠隔側システム130が「運行監視装置」に相当する。
【0130】
(第二実施形態)
本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態では、自動運転ECU50によって実施される緊急対応の内容が第一実施形態とは異なっている。以下、第二実施形態の状態把握部71、報知要求部72、対応判定部76、制御切替部77、及び緊急制御部78の機能の詳細を、図1図3に基づき説明する。
【0131】
状態把握部71は、車内モニタ装置29から取得する車内モニタ情報を参照し、運転席DSにドライバとなり得る搭乗者PSが着座しているか否かを把握する。状態把握部71は、運転席DSに搭乗者PSが着座している場合、運転席DSの搭乗者PSが自車両Amの周囲を監視する行動を行っているか否かを継続的に把握する。状態把握部71は、運転席DSに搭乗者PSが着座している状態下、特定自動運行中の自車両Amに緊急対応を要するイベントが発生した場合、このイベントへの対応が開始される前に搭乗者PSが周辺監視を開始していたか否かを把握する。加えて、状態把握部71は、車内モニタ情報に基づき、運転席DSを含む各座席に着座している搭乗者PSがシートベルトを着用しているか否かを把握する。
【0132】
報知要求部72は、制御切替部77によって車内操作部110への運転操作の入力が制限された場合、HMI制御装置10と連携し、入力制限報知、正常作動報知、及び対応要請報知を実施する。入力制限報知は、運転操作の入力が制限されていることを搭乗者PSに示す報知である。報知要求部72は、運転席DSの近傍(正面)に位置する車内表示器21に入力制限画像を表示させ、運転操作の入力が制限されていることを示す。加えて、報知要求部72は、「運転操作の入力が制限されています」等の音声メッセージを、車内スピーカ22を用いて再生してもよい。
【0133】
正常作動報知は、車両側システムIVSによる車両制御が正常に作動していることを示す報知である。報知要求部72は、緊急対応を要するイベントが発生し、車両側システムIVSが発生したイベントに正常に対応している場合、正常作動報知を実施する。報知要求部72は、車両制御の正常作動を示すステータス画像を入力制限画像と共に車内表示器21に表示させる。加えて、報知要求部72は、車両制御が正常に動作していることを、車内スピーカ22の音声メッセージによって搭乗者PSに報知してもよい。
【0134】
対応要請報知は、搭乗者PSに求める対応を示す報知である。報知要求部72は、緊急対応を要するイベントの発生により、搭乗者PSに何らかの対応を求める必要がある場合、対応要請報知を実施する。報知要求部72は、車内表示器21による表示及び車内スピーカ22による音声メッセージの再生等により、対応要請報知を実施する。報知要求部72は、入力制限報知及び正常作動報知よりも後に、対応要請報知を開始してもよい。報知要求部72は、例えば、座席に正しく座ること、シートベルトを外さないようにすること、座席から立ち上がらないようにすること、運転操作を引き継ぐこと、到着時刻に遅延が生じること等を搭乗者PSに報知する。
【0135】
対応判定部76は、発生を検知した緊急対応を要するイベントの種別を把握する。対応判定部76には、イベントの種別として、例えば、自車両Amの故障、緊急車両の回避、自車両Amに関連する事故、及び搭乗者PSに関するトラブルが予め規定されている。対応判定部76は、イベントの種別に応じて車両側システムIVSによる対応が可能か否かを判断する。具体的には、自車両Amの故障又は自車両Amに関連する事故が発生した場合、対応判定部76は、車両側システムIVSによって対応可能でないと判断する。対して、緊急車両の回避又は搭乗者PSのトラブルが発生した場合、対応判定部76は、車両側システムIVSによって対応可能と判断する。
【0136】
制御切替部77は、対応判定部76による対応可否判断に基づき、自動運転を中断するか否かを判定する。制御切替部77は、緊急車両の回避又は搭乗者PSのトラブル等のイベントが発生した場合、対応判定部76の対応可能判断に基づき、自動運転の継続を決定する。この場合、制御切替部77は、搭乗者PSによる車内操作部110への運転操作の入力を制限(禁止)する。
【0137】
一方、自車両Amの故障又は事故等のイベントが発生し、対応判定部76にて対応不可能と判断された場合、制御切替部77は、運転席DSの搭乗者PSの状態を把握する。制御切替部77は、イベントに対応するための自動退避制御が開始される前に、運転席DSの搭乗者PSが周辺監視を開始していたか否かに基づき、運転操作の入力を制限するか否かを切り替える。制御切替部77は、自動退避制御の開始前に運転席DSの搭乗者PSが周辺監視を開始していた場合、車内操作部110への運転操作の入力を許可する。対して、運転席DSに搭乗者PSが着座していない場合、又は自動退避制御の開始前に運転席DSの搭乗者PSが周辺監視を開始していなかった場合、制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力を制限する。この場合、制御切替部77は、遠隔制御装置140と連携し、自動運転から遠隔運転に自車両Amの制御状態を遷移させる。
【0138】
制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力を許可した後、車内操作部110に入力される運転操作の内容を継続的に監視する。制御切替部77は、運転操作の入力を許可した車内操作部110に入力される搭乗者PSの運転操作の内容に基づき、搭乗者PSがパニック状態であるか否かを推定する。制御切替部77は、搭乗者PSの運転操作に基づき、搭乗者PSがパニック状態であると推定した場合、車内操作部110への運転操作の入力を制限する。
【0139】
制御切替部77は、アクセルペダル112に自車両Amを加速させる運転操作が入力された場合に、搭乗者PSがパニック状態にあると推定し、車内操作部110への運転操作の入力を制限する。具体的に、ブレーキペダル113及びステアリングホイール114に運転操作が入力されるよりも前に、アクセルペダル112の運転操作(ペダル操作)が行われた場合に、制御切替部77は、運転操作を行う搭乗者PSがパニック状態にあると推定する。加えて、予め設定した閾値よりも操作量の大きい運転操作がアクセルペダル112に入力された場合にも、制御切替部77は、運転操作を行う搭乗者PSがパニック状態にあると推定する。
【0140】
緊急制御部78は、緊急対応を要するイベントの発生後に、シートベルトを外す搭乗者PSの行動が状態把握部71によって把握された場合、自動退避制御の緊急度を引き上げて、自車両Amの緊急停止させる制動制御を実施する。緊急制御部78は、各座席に着座する複数の搭乗者PSのうちで少なくとも1人がシートベルトを外した場合、自車両Amを緊急停止させる。こうした自車両Amの緊急停止によれば、自車両Amの運転に適した搭乗者PSが、運転席DS以外の座席から運転席DSに速やかに移動可能になる。そして、緊急停止後、各座席に着座する全ての搭乗者PSのシートベルトの着用が把握されると、制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力を許可し、自車両Amの制御状態を車内運転に切り替える。これにより、運転席DSに着座する搭乗者PS(ドライバ)の運転操作により、自車両Amが移動可能になる。尚、車内操作部110への運転操作の入力が許可された後も、自動運転制御又は運転支援制御による退避場所のへ移動が継続(再開)されてもよい。
【0141】
[緊急対応に関連する各処理]
次に、第二実施形態の緊急対応を実現するため、自動運転ECU50にて実施される緊急対応処理、緊急停止処理、再始動処理、及び緊急制限処理の各詳細を、図10図13に基づき、図1図3を参照しつつ説明する。
【0142】
図10に示す緊急対応処理のS211~S214,S220では、第一実施形態のS11~S14,S20(図4参照)と実質的に同一の処理が実施される。そして、S215では、S211にて発生が検知されたイベントについて、S213にて把握した内容に基づき、自車両Amの車両側システムIVSによって対応可能な許容範囲のイベントか否かが、イベントの種別に応じて判断される。具体的に、緊急車両の回避又は搭乗者PSのトラブル等のイベントが発生している場合、対応判定部76は、許容範囲内のイベントであり、車両側システムIVSによる対応が可能と判定する(S215:YES)。この場合、制御切替部77は、S216にて、車内操作部110への搭乗者PSによる運転操作の入力を制限(禁止)する。
【0143】
一方、自車両Amの故障又は自車両Amに関連する事故が発生した場合、対応判定部76は、許容範囲外のイベントであり、車両側システムIVSによる対応が不可能と判定する(S215:NO)。この場合、S217にて、状態把握部71は、車内モニタ装置29から取得する車内モニタ情報を参照する。状態把握部71は、S218にて、緊急イベントに対応するための自動退避制御(S212)が開始される前に運転席DSの搭乗者PSが周辺監視を開始していたか否かを把握する。
【0144】
運転席DSの搭乗者PSが自動退避制御の開始前に周辺監視を開始していた場合(S218:YES)、制御切替部77は、S219にて、車内操作部110への運転操作の入力を許可する。対して、運転席DSの搭乗者PSが自動退避制御の開始前に周辺監視を開始していなかった場合(S218:NO)、制御切替部77は、S216にて、車内操作部110への運転操作の入力を制限する。
【0145】
図11に示す緊急停止処理は、緊急対応処理のS211にて緊急対応を要するイベントの発生が検知された場合に開始される。緊急停止処理のS231では、状態把握部71が、車内モニタ情報を参照し、搭乗者PSがシートベルトを着用しているか否かを把握する。シートベルトを着用しているか否かの監視は、自動退避制御による退避が完了するまで継続される。
【0146】
少なくとも1人の搭乗者PSがシートベルトを外す行動をした場合(S231:NO)、緊急制御部78は、S232にて、自車両Amを緊急停止させる自動退避制御を実施する。加えて、制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力を許可していた場合、S233にて、車内操作部110への運転操作の入力を制限する。
【0147】
S234では、行動判断部63が、車載通信機39と連携し、遠隔側システム130へ向けたセンタ通報を実施する。センタ通報により、搭乗者PSのシートベルトを外す行動の発生が、遠隔側システム130に通知される。遠隔監視施設CNTでは、ドライバレス車両ADVの車室内の状況が遠隔監視者ROによって確認される。
【0148】
上述のセンタ通報が実施された場合又は全ての搭乗者PSのシートベルトの着用が確認された場合(S231:YES)、行動判断部63は、S235にて、自動退避制御による退避が完了したか否かを判定する。退避の完了前である場合(S235:NO)、S231~S234の処理が繰り返される。一方、退避が完了した場合(S235:YES)、緊急停止処理は終了される。
【0149】
図12に示す再始動処理は、緊急停止処理のS232によって自車両Amが緊急停止した場合に開始される。再始動処理のS241では、状態把握部71が、車内モニタ情報を参照し、全ての搭乗者PSがシートベルトを着用しているか否かを把握する。シートベルトを着用していない搭乗者PSがいる場合(S241:NO)、この搭乗者PSのシートベルトの着用が待機される。そして、全ての搭乗者PSがシートベルトを着用した場合(S241:YES)、制御切替部77は、S242にて、車内操作部110への運転操作の入力を許可する。これにより、運転席DSに着座した搭乗者PSの運転操作によってドライバレス車両ADVの退避が継続され得る。
【0150】
図13に示す緊急制限処理は、緊急対応処理のS219にて運転操作の入力が許可された場合に開始される。緊急制限処理のS251では、制御切替部77が、運転操作の入力を許可した車内操作部110に入力される搭乗者PSの運転操作の内容に基づき、搭乗者PSがパニック状態であるか否かを推定する。制御切替部77は、車内操作部110に自車両Amを加速させる運転操作(アクセル操作)が入力された場合に、搭乗者PSがパニック状態にあると推定する。
【0151】
アクセル操作に基づき搭乗者PSがパニック状態にあると推定した場合(S251:YES)、制御切替部77は、S252にて、車内操作部110への運転操作の入力を制限する。そして、報知要求部72は、HMI制御装置10と連携し、入力制限報知(S253)、正常作動報知(S254)、及び対応要請報知(S255)を実施する。これら報知の実施タイミングは、適宜変更されてよい。例えば、入力制限報知及び正常作動報知は、同時に開始されてもよい。また、入力制限報知及び正常作動報知の開始後、所定の時間を空けて対応要請報知が実施されてもよい。さらに、搭乗者PSに求める対応がない場合、対応要請報知は、省略されてもよい。
【0152】
上述の各報知の実施後、又はS251にて運転席DSの搭乗者PSがパニック状態でないと推定された場合(S251:NO)、行動判断部63は、S256にて、自動退避制御による退避が完了したか否かを判定する。退避の完了前である場合(S256:NO)、S251~S255の処理が繰り返される。一方、退避が完了した場合(S256:YES)、緊急制限処理は終了される。尚、緊急制限処理では、搭乗者PSにおけるパニック状態の発生を遠隔側システム130に通知するセンタ通報が実施されてもよい。
【0153】
(第二実施形態まとめ)
ここまで説明した第二実施形態でも、自車両Amに設けられた車内操作部110への搭乗者PSによる運転操作の入力が制限される。故に、搭乗者PSの勝手な運転操作により、自車両Amが動いてしまう事態は回避され得る。以上によれば、第二実施形態でも第一実施形態と同様の効果を奏し、緊急対応の発生時において、搭乗者PSの好ましくない行動を抑制することが可能になる。
【0154】
加えて第二実施形態では、状態把握部71により、イベントへの対応が開始される前に搭乗者PSが周辺監視を開始していたか否かが把握される。そして、イベントへの対応が開始される前に搭乗者PSが周辺監視を開始していなかった場合、車内操作部110への運転操作の入力は制限される。故に、自車周囲の状況を把握できていない搭乗者PSの運転操作が受け付けられる事態は、回避され得る。一方、イベントへの対応が開始される前に搭乗者PSが周辺監視を開始していた場合、車内操作部110への運転操作の入力が許可される。故に、自車周囲の状況を把握できている搭乗者PSの運転操作を受け付けて、自車両Amを円滑に退避させることが可能になる。
【0155】
また第二実施形態では、車両側システムIVSによる対応の可否が、イベントの種別に応じて判断される。故に、車両側システムIVSによる対応が不可能なイベント発生時にて、搭乗者PSによる運転操作の入力が確実に許可され得る。その結果、搭乗者PSの判断による迅速な退避が実施可能になる。
【0156】
さらに第二実施形態では、状態把握部71により、搭乗者PSがシートベルトを着用しているか否かが把握される。そして、イベントの発生後に搭乗者PSがシートベルトを外した場合、緊急制御部78は、自車両Amを停止させる。これにより、自車両Amの走行中に搭乗者PSが移動を開始する事態は、回避され得る。即ち、緊急対応の発生時において、走行中の移動という搭乗者PSの好ましくない行動が抑制可能になる。
【0157】
加えて第二実施形態では、自車両Amの停止後、搭乗者PSによるシートベルトの着用が把握された場合、制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力を許可する。以上によれば、運転に適した搭乗者PSの運転席DSへの移動を、自車両Amを停止させた状態で待機し、運転準備が整った状態で、この搭乗者PSに運転操作を許可することが可能になる。その結果、自車両Amは、運転席DSに移動した搭乗者PSの運転操作によって適切な退避場所に移動し得る。
【0158】
また第二実施形態では、車内操作部110に入力される搭乗者PSの運転操作の内容に基づき、この搭乗者PSがパニック状態であるか否かが推定される。そして、搭乗者PSがパニック状態であると推定された場合、車内操作部110への運転操作の入力は制限される。以上によれば、正しい運転操作が困難な状態の搭乗者PSの入力は、受け付けられない。その結果、イベントへの緊急対応が不適切な運転操作によって妨げられる事態は、回避され得る。
【0159】
さらに第二実施形態では、車内操作部110に自車両Amを加速させる運転操作が入力された場合、搭乗者PSがパニック状態にあると推定される。そして、車内操作部110への運転操作の入力が制限される。こうしたパニック状態の推定手法によれば、搭乗者PSによる不適切な運転操作を受け付けてしまう事態は、より確実に回避可能となる。
【0160】
加えて第二実施形態では、運転操作の入力制限を搭乗者PSに報知する報知要求部72が、車両側システムIVSの正常作動を示す報知と、搭乗者PSに求める対応を示す報知とをさらに実施する。故に、車内操作部110への運転操作の入力が制限された状況下でも、搭乗者PSは、ドライバレス車両ADVの状況を適切に把握し、好ましい行動を選択可能になる。尚、上記実施形態では、状態把握部71が「車内把握部」に相当する。
【0161】
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0162】
上記実施形態の変形例1では、車両側システムIVSによる緊急対応が可能と判定された場合(図4 S15:YES参照)、制御切替部77は、車内操作部110への運転操作の入力を禁止せず、入力制限のみを適用する。変形例1では、許容範囲内のイベント発生時、車内操作部110への運転操作の入力制限は、許容範囲外のイベント発生時の入力制限(操作可能量の調整)よりも、強く設定される。
【0163】
一例として、許容範囲内のイベント(緊急対応)が発生した場合、アクセルペダル112への運転操作は、受け付けられない。一方で、ブレーキペダル113及びステアリングホイール114への運転操作は、全部又は一部が受け付けられる。また別の一例として、許容範囲内のイベント(緊急対応)が発生した場合、アクセルペダル112及びステアリングホイール114への運転操作は、受け付けられない。一方で、ブレーキペダル113への運転操作のみ、全部又は一部が受け付けられる。
【0164】
上記実施形態の変形例2では、許容範囲外のイベント(緊急対応)が発生した場合の各操作可能量の設定が、上記実施形態とは異なっている。変形例2にて、制御切替部77は、アクセルペダル112の操作可能量をステアリングホイール114の操作可能量よりも少なく設定し、ステアリングホイール114の操作可能量をブレーキペダル113の操作可能量よりも少なく設定する。こうした変形例2のように、各操作部に設定される操作可能量は、適宜変更されてよい。
【0165】
上記実施形態の変形例3では、リアルタイムの管理者カメラ映像(図8 S62参照)に替えて、予め登録された遠隔監視者RO等の顔画像が車内表示器21に表示される。また、上記実施形態の変形例4では、遠隔監視者ROのアバターの映像が車内表示器21に表示される。以上の変形例3,4のように、遠隔監視者ROの映像は、遠隔者カメラ134によって撮影されるリアルタイムの映像に限定されない。
【0166】
上記実施形態の変形例5では、アクセルペダル112、ブレーキペダル113、及びステアリングホイール114の少なくとも1つが、固定機構によって物理的に固定される。即ち、変形例5では、車内操作部110への運転操作の入力は、電気的には禁止されず、物理的に禁止される。
【0167】
上記実施形態の変形例6では、少なくとも1つの緊急停止釦117に押圧操作が入力された場合、制御切替部77は、搭乗者PSによる運転操作を禁止する。また、上記実施形態の変形例7では、3つ以上の緊急停止釦117に押圧操作が入力された場合、制御切替部77は、搭乗者PSによる運転操作を禁止する。
【0168】
上記実施形態の変形例8では、車室内及び車外に対するロック機構の状態が一体的に切り替えられる。即ち、ドアロック制御(図4 S19参照)では、ドアは、車室内及び車外の両側に対して施錠された状態となる。同様に、アンロック制御(図8 S65参照)では、ドアは、車室内及び車外の両側に対して解錠された状態となる。また、一般道においてドアロック制御を中止する処理(図4 S18参照)は、省略されてよい。
【0169】
上記実施形態の変形例9では、緊急対応処理にて許容範囲(図10 S215:YES)とする種別のイベントが上記実施形態と異なっている。具体的に、変形例9では、搭乗者PSに関するトラブルが発生した場合、許容範囲外と判断され、運転操作が許可される。一方、自車両Amの故障が発生した場合、許容範囲内と判断され、運転操作の入力が制限される。以上の変形例9のように、許可範囲とされるイベントの種別は、適宜変更されてよい。さらに、緊急対応を要するイベントの種別も、適宜変更されてよい。
【0170】
上記実施形態の変形例10では、シートベルトを外したことによる緊急停止後、全ての搭乗者PSがシートベルトを着用していない状態でも、車内操作部110への運転操作の入力が許可される。以上により、運転席DSに着座した搭乗者PSのアクセル操作により、自車両Amが発進可能となる。その結果、より迅速な退避の再開が可能になる。また、シートベルトの着用の判定対象となる搭乗者PSは、運転席DSに着座する搭乗者PSに限定されてもよい。
【0171】
上記実施形態の変形例11では、パニック状態と推定する条件が、上記実施形態と異なっている。変形例11の制御切替部77は、所定の閾値を超える操作量のアクセル操作又は操舵操作が入力された場合に、搭乗者PSがパニック状態であると推定する。また、制御切替部77は、アクセル操作又は操舵操作が不安定な場合、搭乗者PSがパニック状態であると推定する。さらに、制御切替部77は、パニック状態か否かの推定に、車内モニタ情報や、運転席DSに着座する搭乗者PSの生体情報を利用してもよい。
【0172】
上記実施形態の変形例12では、アクセルペダル112、ブレーキペダル113、及びステアリングホイール114等に替えて、十字キー、ジョイスティック、及び押しボタン等を備えるコントローラ(ゲームパッド)が車内操作部110として設けられている。こうした変形例12のように、車内操作部110の構成は、適宜変更されてよい。さらに、上記のコントローラは、遠隔操作部135として利用されてもよい。
【0173】
上記実施形態では、緊急対応処理(図4参照)及び制御切替処理(図8参照)が、ドライバレス車両ADVに搭載された自動運転ECU50によって実施されていた。一方、上記実施形態の変形例13では、これらの処理の一部が、遠隔制御装置140によって実施される。さらに、上記実施形態の変形例14では、これらの処理が全て遠隔制御装置140によって実施される。
【0174】
以上のように、自動運転ECU50の少なくとも一部の機能は、遠隔制御装置140に実装されていてもよい。変形例13では、自動運転ECU50及び遠隔制御装置140が「自動運転制御装置」に相当する。また、変形例14では、遠隔制御装置140が「自動運転制御装置」に相当する。
【0175】
上記実施形態の変形例15では、HMI制御装置10の機能が自動運転ECU50に統合されている。また、上記実施形態の変形例16では、走行制御ECU40の機能が自動運転ECU50に統合されている。これら変形例15,16でも、他のECUと統合された自動運転ECU50が「自動運転制御装置」に相当する。
【0176】
上記実施形態にて、自動運転ECU及び遠隔制御装置によって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
【0177】
上述実施形態の各処理部は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural network Processing Unit)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。処理部は、プリント基板に個別に実装された構成であってもよく、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、SoC(System on Chip)及びFPGA等に実装された構成であってよい。
【0178】
各種プログラム等を記憶する記憶媒体(持続的有形コンピュータ読み取り媒体,non-transitory tangible storage medium)の形態は、適宜変更されてよい。さらに、記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、自動運転ECU又は遠隔制御装置等の制御回路に電気的に接続される構成であってよい。また、記憶媒体は、自動運転ECU又は遠隔制御装置へのプログラムのコピー元又は配信元となる光学ディスク、ハードディスクドライブ、及びソリッドステートドライブ等であってもよい。
【0179】
上記の自動運転ECUを搭載する車両は、モビリティサービス用の車両に限定されず、一般的な自家用の乗用車、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。さらに、自動運転ECUを搭載する自動運転車両は、公共の交通機関として利用可能なドライバレス車両に限定されず、個人所有される車両(Personally Owned Vehicle)であってもよい。また、自動運転ECUを搭載する車両は、右ハンドル車両であってもよく、又は左ハンドル車両であってもよい。さらに、車両が走行する交通環境は、左側通行を前提とした交通環境であってもよく、右側通行を前提とした交通環境であってもよい。本開示による自動運転制御は、それぞれの国及び地域の道路交通法、さらに車両のハンドル位置等に応じて適宜最適化されてよい。
【0180】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0181】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0182】
(技術的思想1)
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御装置であって、
前記自律走行中の前記自車両に緊急対応を要するイベントが発生した場合、前記自車両の車載システム(IVS)によって前記イベントに対応可能か否かを判定する対応判定部(76)と、
前記車載システムによる対応が可能と判定された場合、前記自車両に設けられた車内操作部(110)への搭乗者(PS)による運転操作の入力を制限し、前記車載システムによる対応が可能でないと判定された場合、前記車内操作部への前記搭乗者による前記運転操作の入力を許可する操作制限部(77)と、
を備える自動運転制御装置。
(技術的思想2)
前記運転操作の入力が制限されている状態で前記搭乗者による操作が前記車内操作部に入力された場合、前記運行監視装置から前記自車両の車室内に設けられた車内報知機(22)への通報を実施する報知実施部(72)、をさらに備える技術的思想1に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想3)
前記車内操作部には、アクセル操作部(112)、ブレーキ操作部(113)、及びステア操作部(114)が少なくとも含まれており、
前記操作制限部は、前記車内操作部への前記運転操作の入力を許可した場合、前記アクセル操作部、前記ブレーキ操作部、及び前記ステア操作部に対して異なる操作可能量を設定する技術的思想1又は2に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想4)
前記操作制限部は、前記アクセル操作部の前記操作可能量を、前記ブレーキ操作部及び前記ステア操作部の各前記操作可能量よりも少なく設定する技術的思想3に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想5)
前記操作制限部によって前記車内操作部への入力が許可され、かつ、前記車内操作部に含まれるステア操作部(114)に前記搭乗者が操舵操作を入力した場合、前記自車両を減速させる走行制御部(78)、をさらに備える技術的思想1~4のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想6)
前記イベントへの対応が開始される前に前記搭乗者が周辺監視を開始していたか否かを把握する車内把握部(71)、をさらに備え、
前記操作制限部は、
前記イベントへの対応が開始される前に前記搭乗者が周辺監視を開始していなかった場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を制限し、
前記イベントへの対応が開始される前に前記搭乗者が周辺監視を開始していた場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を許可する技術的思想1~5のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想7)
前記対応判定部は、前記イベントの種別に応じて前記車載システムによる対応が可能か否かを判断する技術的思想6に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想8)
前記搭乗者がシートベルトを着用しているか否かを把握する車内把握部(71)と、
前記イベントの発生後に前記搭乗者が前記シートベルトを外した場合、前記自車両を停止させる走行制御部(78)と、をさらに備える技術的思想1~7のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想9)
前記操作制限部は、前記走行制御部が前記自車両を停止させた後、前記搭乗者による前記シートベルトの着用が前記車内把握部によって把握された場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を許可する技術的思想8に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想10)
前記操作制限部は、
前記運転操作の入力を許可した前記車内操作部に入力される前記搭乗者の前記運転操作の内容に基づき、前記搭乗者がパニック状態であるか否かを推定し、
前記搭乗者が前記パニック状態であると推定した場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を制限する技術的思想1~9のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想11)
前記操作制限部は、前記車内操作部に前記自車両を加速させる前記運転操作が入力された場合に前記搭乗者が前記パニック状態にあると推定し、前記車内操作部への前記運転操作の入力を制限する技術的思想10に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想12)
前記操作制限部によって前記運転操作の入力が制限されていることを前記搭乗者に報知する報知実施部(72)、をさらに備え、
前記報知実施部は、前記運転操作の入力が制限されている場合、前記車載システムが正常に作動していることを示す報知と、前記搭乗者に求める対応を示す報知とをさらに実施する技術的思想10又は11に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想13)
前記緊急対応を要する前記イベントが発生した場合、前記運行監視装置によって提供される遠隔監視者(RO)の映像を、前記自車両の車室内に設けられた車内表示器(21)に表示させる報知実施部(72)、をさらに備える技術的思想1~12のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想14)
前記操作制限部は、前記車載システムによって対応可能と判定された場合、前記車内操作部の物理的な可動を制限せず、前記車内操作部へ入力された前記運転操作を前記自車両の挙動に反映させないことで、前記搭乗者による前記運転操作を禁止する技術的思想1~13のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想15)
前記自律走行から前記搭乗者による手動運転に前記自車両の制御状態が移行する場合、前記操作制限部は、前記手動運転への移行前に入力が開始された前記運転操作を受け付けず、前記手動運転への移行後に入力が開始される前記運転操作を受け付ける技術的思想1~14のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想16)
前記自律走行から前記搭乗者による手動運転に前記自車両の制御状態が移行する場合、前記操作制限部は、前記手動運転への移行前に入力が開始された前記運転操作の操作量に対する前記自車両の制御量を、前記手動運転への移行後に入力が開始される前記運転操作の前記操作量に対する前記制御量よりも少なくする技術的思想1~14のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想17)
前記操作制限部は、前記自車両の車室内に設けられた複数の停止指示部(117)が前記搭乗者によって操作された場合、前記搭乗者による前記運転操作を禁止する技術的思想1~16のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想18)
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御方法であって、
前記自律走行中の前記自車両に緊急対応を要するイベントが発生した場合、前記自車両の車載システム(IVS)によって前記イベントに対応可能か否かを判定し(S15,S215)、
前記車載システムによる対応が可能と判定した場合、前記自車両に設けられた車内操作部(110)への搭乗者(PS)による運転操作の入力を制限し(S16,S216)、
前記車載システムによる対応が可能でないと判定した場合、前記車内操作部への前記搭乗者による前記運転操作の入力を許可する(S17,S219)、
というステップを、少なくとも一つの処理部(51)にて実施される処理に含む自動運転制御方法。
(技術的思想19)
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御装置であって、
前記自律走行中の前記自車両において、緊急対応を要するイベントの発生を検知する発生検知部(76)と、
前記イベントの発生が検知された場合、前記自車両に設けられたドアを車室内から開けることのできない施錠状態とする施錠制御部(65)と、
を備える自動運転制御装置。
(技術的思想20)
前記施錠制御部は、前記ドアを前記施錠状態とした場合、前記運行監視装置から取得する解錠指示に基づき、前記施錠状態を解除する技術的思想19に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想21)
前記施錠制御部は、前記ドアを前記施錠状態とした場合、前記車室内に設けられた解錠指示部(118)が前記自車両の搭乗者によって操作されたことに基づき、前記施錠状態を解除する技術的思想19又は20に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想22)
前記自車両の走行する道路が一般道か否かを判定する道路判定部(74)、をさらに備え、
前記施錠制御部は、前記自車両が前記一般道を走行している場合、前記ドアを前記施錠状態とする制御を中止する技術的思想19~21のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想23)
前記施錠制御部は、
前記イベントの発生が検知されていない場合、前記ドアを前記車室内から開けられる内解錠状態としつつ、前記ドアを車外から開けることのできない外施錠状態とし、
前記イベントの発生が検知された場合、前記ドアを前記車室内から開けることのできない内施錠状態としつつ、前記外施錠状態を解除する技術的思想19~22のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想24)
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御方法であって、
前記自律走行中の前記自車両において、緊急対応を要するイベントの発生を検知し(S11)、
前記イベントの発生を検知した場合、前記自車両に設けられたドアを車室内から開けることのできない施錠状態とする(S19)、
というステップを、少なくとも一つの処理部(51)にて実施される処理に含む自動運転制御方法。
【0183】
(技術的思想6A)
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御装置であって、
前記自律走行中の前記自車両において、緊急対応を要するイベントの発生を検知する発生検知部(76)と、
前記イベントへの対応が開始される前に前記自車両の搭乗者(PS)が周辺監視を開始していたか否かを把握する車内把握部(71)と、
前記イベントへの対応が開始される前に前記搭乗者が周辺監視を開始してなかった場合、前記自車両に設けられた車内操作部(110)への運転操作の入力を制限し、前記イベントへの対応が開始される前に前記搭乗者が周辺監視を開始していた場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を許可する操作制限部(77)と、
を備える自動運転制御装置。
(技術的思想8A)
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御装置であって、
前記自律走行中の前記自車両において、緊急対応を要するイベントの発生を検知する発生検知部(76)と、
前記自車両の搭乗者(PS)がシートベルトを着用しているか否かを把握する車内把握部(71)と、
前記イベントの発生後に前記搭乗者が前記シートベルトを外した場合、前記自車両を停止させる走行制御部(78)と、
を備える自動運転制御装置。
(技術的思想10A)
自車両(Am)から遠隔に存在する運行監視装置(130)を用いた遠隔監視のもと、前記自車両を自律走行させる自動運転制御装置であって、
前記自律走行中の前記自車両において、緊急対応を要するイベントの発生を検知する発生検知部(76)と、
前記イベントの発生後に前記自車両に設けられた車内操作部(110)への搭乗者(PS)による運転操作の入力を許可する操作制限部(77)と、
を備え、
前記操作制限部は、
前記運転操作の入力を許可した前記車内操作部に入力される前記搭乗者の前記運転操作の内容に基づき、前記搭乗者がパニック状態であるか否かを推定し、
前記搭乗者が前記パニック状態であると推定した場合、前記車内操作部への前記運転操作の入力を制限する自動運転制御装置。
【符号の説明】
【0184】
Am 自車両、IVS 車両側システム(車載システム)、PS 搭乗者、RO 遠隔監視者、21 車内表示器(車内報知機)、22 車内スピーカ(車内報知機)、50 自動運転ECU(自動運転制御装置)、51,151 処理部、65 機器制御部(施錠制御部)、71 状態把握部(車内把握部)、72 報知要求部(報知実施部)、74 道路把握部(道路判定部)、76 対応判定部(発生検知部)、77 制御切替部(操作制限部)、78 緊急制御部(走行制御部)、110 車内操作部、112 アクセルペダル(アクセル操作部)、113 ブレーキペダル(ブレーキ操作部)、114 ステアリングホイール(ステア操作部)、117 緊急停止釦(停止指示部)、118 解錠操作部(解錠指示部)、130 遠隔側システム(運行監視装置)
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