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特開2024-132797ハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132797
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 7/18 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B62D7/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132731
(22)【出願日】2023-08-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-28
(31)【優先権主張番号】202310250654.9
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522374113
【氏名又は名称】艾徳斯汽車電机無錫有限公司
【氏名又は名称原語表記】AUTO ELECTRIC DRIVE SYSTEM WUXI CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】601, Taihu Bay Information Technology Park, Wuxi Economic Development Zone, Jiangsu 214125, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】賈▲ジェ▼
(72)【発明者】
【氏名】尤衛建
【テーマコード(参考)】
3D034
【Fターム(参考)】
3D034BA03
3D034BA05
3D034BA07
3D034BC01
3D034BC02
3D034BC14
3D034BC15
3D034BC25
3D034BC26
3D034BC28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両キングピンのオフセットを小さくする。
【解決手段】ハブモーター2が搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造にて、リムにはタイヤが取り付けられ、ハブモーターはリムの内部に位置し、リムはハブモーターのロータに連結され、ナックルはハブモーターのステータ上の車両内側に近い位置に連結され、スイングアームアセンブリは、ナックルと自動車サブフレームとの間に連結される上部スイングアームと、ハブモーターのステータと自動車サブフレームとの間に連結される下部スイングアームとを含み、下部スイングアームがハブモーターのステータにボール連結されて、第1のヒンジ点71が形成され、上部スイングアームがナックルにボール連結されて、第2のヒンジ点72が形成され、第1のヒンジ点と第2のヒンジ点との連結線は、仮想キングピン軸線73を形成し、仮想キングピン軸線の先端は、車両内側に向いて傾斜する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム(1)、ハブモーター(2)、ナックル(3)及びスイングアームアセンブリを含み、前記リム(1)にはタイヤ(11)が取り付けられ、前記ハブモーター(2)は前記リム(1)の内部に位置し、前記リム(1)は前記ハブモーター(2)のロータに連結され、前記ナックル(3)は、前記ハブモーター(2)のステータ(21)上の車両内側に近い位置に固定連結され、前記スイングアームアセンブリは、ナックル(3)と自動車サブフレームとの間に連結されている上部スイングアーム(4)と、前記ハブモーター(2)のステータ(21)と自動車サブフレームとの間に連結されている下部スイングアーム(5)とを含み、前記下部スイングアーム(5)が前記ハブモーター(2)のステータ(21)にボール連結されて、第1のヒンジ点(71)が形成され、前記上部スイングアーム(4)が前記ナックル(3)にボール連結されて、第2のヒンジ点(72)が形成され、前記第1のヒンジ点(71)と前記第2のヒンジ点(72)との連結線が仮想キングピン軸線(73)を構成し、前記仮想キングピン軸線(73)の先端が車両内側に向いて傾斜する、
ことを特徴とするハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項2】
前記第1のヒンジ点(71)と前記第2のヒンジ点(72)との連結線は、前記タイヤ(11)の接地中心と重なる、
ことを特徴とする請求項1に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項3】
前記ナックル(3)は、前記ハブモーター(2)に固定連結される連結リング(31)と、連結リング(31)に設置される延長アーム(32)とを含み、前記延長アーム(32)の前記上部スイングアーム(4)に近い側は、上向きに傾斜し、且つ水平の第1の連結部(33)が設置され、前記第1の連結部(33)には、上部ボールヘッド(34)が設置され、前記上部スイングアーム(4)の前記ナックル(3)に近い一端は前記上部ボールヘッド(34)にボール連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項4】
前記連結リング(31)、前記延長アーム(32)及び前記第1の連結部(33)の三者は、一体成形で設置される、
ことを特徴とする請求項3に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項5】
前記上部スイングアーム(4)は、車両の短手方向に沿って設置された第1の連結アーム(41)と、第1の連結アーム(41)と前記ナックル(3)とを連結する第2の連結アーム(42)とを含み、前記第1の連結アーム(41)は、車両の長手方向に沿って平行に2つ設置され、全ての前記第1の連結アーム(41)は、前記ナックル(3)の車両の頭部又は尾部に近い側に位置し、前記第1の連結アーム(41)と前記第2の連結アーム(42)とは、鈍角を呈するように設置され、前記下部スイングアーム(5)と前記上部スイングアーム(4)とは、構造が一致する、
ことを特徴とする請求項1に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項6】
前記第1の連結アーム(41)と前記第2の連結アーム(42)とは一体成形で設置され、前記第1の連結アーム(41)と前記第2の連結アーム(42)との連結箇所は、円弧状遷移を呈する。
ことを特徴とする請求項5に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項7】
前記ハブモーター(2)の車両内側に近い側に、ブレーキディスク(6)が設置され、前記ブレーキディスク(6)は、前記ハブモーター(2)のロータに同軸に連結され、前記ブレーキディスク(6)は、前記上部スイングアーム(4)と前記下部スイングアーム(5)との間に位置し、前記下部スイングアーム(5)の端部には、垂直に設置されるスイングアーム連結部(51)がさらに設置され、前記ハブモーター(2)のステータ(21)には下部ボールヘッド(22)が設置され、前記スイングアーム連結部(51)の先端は、前記下部ボールヘッド(22)にボール連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項8】
前記スイングアーム連結部(51)は、前記下部スイングアーム(5)と一体成形で設置される、
ことを特徴とする請求項7に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、自動車シャーシ構造の分野に関し、特に、ハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、エネルギーと環境問題が人間社会の発展を制約する重要な要素となっており、省エネと環境配慮の電気自動車の登場と発展は避けられない状況となっている。自動車の電動化はトレンドであり、その中核部品であるモータは、主要な駆動方法として、新規エネルギー自動車の発展過程で重要な役割を果たしている。
【0003】
従来のハブモーターは、例えば、CN207241307Uに開示されたように、その多くの利点により、将来の電気自動車の主要な駆動形態として考えられている。ハブモーターは、車両の動力システム、トランスミッションシステム、ブレーキシステムを一体に集積して、リムに統合的に取り付けられたものである。しかし、ハブモーターをリムに取り付けると、輪内の一部のスペースを占めることになることにより、リム内の元々ある軸方向スペースが小さくなり、従来の自動車サスペンション構造を維持する必要がある場合、サスペンションシステム全体を車両内側に並進させるしかなく、したがって、キングピンのオフセットが大きくなり、即ち、キングピン(即ち、操舵軸線)と地面との交点からタイヤの接地中心までの距離が大きくなる。
【0004】
発明者らは、本願の実現過程において、当該技術に次のような問題が少なくとも存在することを見出した。自動車を操舵しる時、操舵輪は操舵軸の周りを回転するため、操舵に対する地面の抵抗モーメントは、キングピンのオフセットの大きさと比例し、キングピンのオフセットが小さくなるほど、操舵抵抗モーメントも小さくなる。キングピンのオフセットが大きくなる場合、操舵抵抗モーメントが大きくなり、旋回半径が大きく、車両がバウンス時に四輪の位置決めパラメータの変化が大きいなどの一連の不良影響が車両に与えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、車両のキングピンのオフセットを小さくするために、ハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願にて提供されるハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造には、下記のような技術案が採用される。
【0007】
ハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造であって、リム、ハブモーター、ナックル及びスイングアームアセンブリを含み、前記リムにはタイヤが取り付けられ、前記ハブモーターは前記リムの内部に位置し、前記リムは、前記ハブモーターのロータに連結され、前記ナックルは、前記ハブモーターのステータ上の車両内側に近い位置に固定連結され、前記スイングアームアセンブリは、ナックルと自動車サブフレームとの間に連結される上部スイングアームと、前記ハブモーターのステータと自動車サブフレームとの間に連結されている下部スイングアームとを含み、前記下部スイングアームが前記ハブモーターのステータにボール連結されて、第1のヒンジ点が形成され、前記上部スイングアームが前記ナックルにボール連結されて、第2のヒンジ点が形成され、前記第1のヒンジ点と前記第2のヒンジ点との連結線が仮想キングピン軸線を構成し、前記仮想キングピン軸線の先端が車両内側に傾斜する。
【0008】
上記技術案を採用することにより、下部スイングアームとハブモーターのステータとがボール連結され、上部スイングアームとナックルとがボール連結されることにより、第1のヒンジ点と第2のヒンジ点との連結線が仮想キングピン軸線を構成し、仮想キングピン軸線の先端が車両内側へ傾斜し、それにより、仮想キングピン軸線と地面との交点をタイヤの接地中心に近寄せ、キングピンのオフセットを大幅に小さくし、操舵抵抗モーメントを低減させ、タイヤの摩耗を効果的に低減することができる。電気自動車のハブモーターによる駆動に適用される場合、車両の操舵半径の変化が大きすぎることがなく、タイヤがバウンス時にサスペンション位置決めパラメータの変化も小さく、最終的に、車全体の動的応答性能、ブレーキ性能、操縦性及びタイヤ走行軌跡の安定性を向上させる。
【0009】
さらに、本願の配置形態に十分な操舵スペースを合わせると、ハブモーターが搭載されている電気自動車の大きな角度での操舵を実現でき、干渉も生じにくい。
【0010】
本願の配置形態により、仮想キングピン軸線の傾斜角度が大きな調整可能範囲を有し、第1のヒンジ点及び第2のヒンジ点の位置を微調整して、仮想キングピン軸線が地面と交差する交点とタイヤの中心との間の距離を変化させることにより、キングピンのオフセットの調整を実現し、即ち、異なる車両の要件に応じて、適応的に変更して、異なる車両のシャーシの調整要件を満たすことができる。
【0011】
選択可能に、前記第1のヒンジ点と前記第2のヒンジ点との連結線は、前記タイヤの接地中心と重なる。
【0012】
上記技術案の採用により、第1のヒンジ点と第2のヒンジ点との連結線がタイヤの接地中心と重なると、キングピンのオフセットがゼロであり、車両の操舵抵抗モーメントが最小であり、タイヤの摩耗をさらに低減し、車全体の動的応答能力、ブレーキ性能、操縦性及びタイヤ走行軌跡の安定性をさらに向上させる。
【0013】
選択可能に、前記ナックルは、前記ハブモーターに固定連結される連結リング及び連結リングに設置される延長アームを含み、前記延長アームの前記上部スイングアームに近い側は、上向きに傾斜し、且つ水平の第1の連結部が設置され、前記第1の連結部には上部ボールヘッドが設置され、前記上部スイングアームの前記ナックルに近い一端は、前記上部ボールヘッドにボール連結される。
【0014】
上記技術案の採用により、ナックルに水平の第1の連結部が設置され、それにより上部ボールヘッドを第1の連結部に安定して連結するとともに、上部スイングアームと上部ボールヘッドとのボール連結を容易にする。
【0015】
選択可能に、前記連結リング、前記延長アーム及び前記第1の連結部の三者が一体成形で設置される。
【0016】
上記技術案の採用により、ナックル全体が一体成形で設置され、ナックル自体の構造強度を向上させ、ナックルの作動安定性を向上させる。
【0017】
選択可能に、前記上部スイングアームは、車両の短手方向に沿って設置された第1の連結アーム及び第1の連結アームと前記ナックルとを連結する第2の連結アームを含み、前記第1の連結アームは車両の長手方向に沿って平行に2つ設置され、全ての前記第1の連結アームは、前記ナックルの車両の頭部又は尾部に近い側に位置し、前記第1の連結アームと前記第2の連結アームとは鈍角を呈するように設置され、前記下部スイングアームは、前記上部スイングアームと構造が一致するスイングアーム本体を含む。
【0018】
上記技術案の採用により、全ての第1の連結アームをナックルの車両の頭部又は尾部に近い側に配置し、第2の連結アームと第2の連結アームとの間に鈍角を形成することにより、上部スイングアームとナックルとの連結点が上部スイングアームの車両の頭部又は尾部から最も遠い位置に位置し、ナックルが自体及び上部スイングアームの連結点の周りを回転する時、タイヤは上部スイングアームと干渉し難く、車両の操舵角度を最大限に大きくして、様々な運転モードの分散駆動、例えばUターン、横行及び正常走行等の様々な運転モードの操舵ニーズを満たす。
【0019】
選択可能に、前記第1の連結アームと前記第2の連結アームとは一体成形で設置され、前記第1の連結アームと前記第2の連結アームとの連結箇所は、円弧状遷移を呈する。
【0020】
上記技術案の採用により、上部スイングアームが一体成形で設置され、第1の連結アームと第2の連結アームとの連結箇所が円弧状遷移を呈することにより、上部スイングアーム全体の強度を大幅に向上させ、シャーシの剛性の向上に役立ち、作動が安定し、故障率が低いだけでなく、車両の操縦性能も向上させた。
【0021】
選択可能に、前記ハブモーターの車両内側に近い側にブレーキディスクが設置され、前記ブレーキディスクは、前記ハブモーターのロータに同軸に連結され、前記ブレーキディスクは、前記上部スイングアームと前記下部スイングアームとの間に位置し、前記下部スイングアームの端部に、垂直に設置されるスイングアーム連結部がさらに連結され、前記ハブモーターのステータには、下部ボールヘッドが設置され、前記スイングアーム連結部の先端は前記下部ボールヘッドにボール連結される。
【0022】
上記技術案の採用により、下部スイングアームに垂直スイングアーム連結部を設置することにより、下部スイングアームのハブモーターに近い一端を「L」字状に設置し、それにより、下部スイングアームをブレーキディスクから効果的に退避させ、下部スイングアームとブレーキアセンブリとが干渉する可能性を低減した。また、ブレーキディスクの直径に応じて、長手方向高さが異なるスイングアーム連結部をマッチングして、異なるユーザの使用ニーズを満たす。
【0023】
選択可能に、前記スイングアーム連結部は前記下部スイングアームと一体成形で設置される。
【0024】
上記技術案の採用により、スイングアーム連結部が下部スイングアームと一体成形で設置され、スイングアーム連結部と下部スイングアームとの連結強度を大幅に向上させることにより、スイングアーム連結部の作動安定性を向上させる。
【発明の効果】
【0025】
上記を纏めると、本願は、少なくとも1つの下記のような有益な技術効果を有する。
【0026】
1.本願は、仮想キングピン軸線と地面との交点をタイヤの接地中心に近寄せ、キングピンのオフセットを大幅に小さくし、操舵抵抗モーメントを低減させ、タイヤの摩耗効果的に低減することができる。電気自動車のハブモーターによる駆動に適用される場合、操舵時の操舵半径の変化が大きすぎることがなく、キングピンのオフセットの低減により、タイヤがバウンス時にサスペンション位置決めパラメータの変化が小さく、最終的に、車全体の動的応答能力、ブレーキ性能、操縦性及びタイヤ走行軌跡の安定性を向上させる。本願の配置形態により、さらに、仮想キングピン軸線の傾斜角度が大きな調整可能範囲を有し、第1のヒンジ点及び第2のヒンジ点の位置を微調整して、仮想キングピン軸線が地面と交差する交点と、タイヤの中心との間の距離を変化させることにより、キングピンのオフセット調整を実現し、即ち、異なる車両の要件に応じて、適応的に変更して、異なる車両のシャーシの調整要件を満たすことができる。
【0027】
2.全ての第1の連結アームをナックルの車両の頭部又は尾部に近い側に配置し、第2の連結アームと第2の連結アームとの間に鈍角を形成することにより、上部スイングアームとナックルとの連結点が上部スイングアームの車両の頭部又は尾部から最も遠い位置に位置し、ナックルが自体及び上部スイングアームの連結点の周りを回転する時、タイヤは上部スイングアームと干渉し難く、車両の操舵角度を最大限に大きくして、様々な運転モードの分散駆動、例えばUターン、横行及び正常走行等の様々な運転モードの操舵ニーズを満たす。
【0028】
3.下部スイングアームに垂直スイングアーム連結部を設置することにより、下部スイングアームのハブモーターに近い一端を「L」字状に設置することにより、ブレーキディスクから効果的に退避させ、下部スイングアームとブレーキアセンブリとが互いに干渉する可能性を低減した。また、ブレーキディスクの直径に応じて、長手方向高さが異なるスイングアーム連結部をマッチングして、異なるユーザの使用ニーズを満たす。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本願の実施例の全体構造の模式図である。
図2】本願の実施例の全体構造の平面図である。
図3図2のA-A方向の断面図である。
図4】本願の実施例のタイヤが90°回転した状態での模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図1~4を参照して、本願についてさらに詳細に説明する。
【0031】
本願の実施例は、ハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造を開示する。図1を参照すると、ハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造は、リム1、ハブモーター2、ナックル3、ブレーキディスク6及びスイングアームアセンブリを含み、リム1にはタイヤ11が取り付けられ、ハブモーター2はリム1の内部に位置し、リム1は、ボルトを介してハブモーター2のロータに固定連結され、ナックル3は、ハブモーター2のステータ21に固定連結され、ナックル3は、ハブモーター2の車両内側に近い位置に位置する。
【0032】
図1図2及び図3を参照すると、スイングアームアセンブリは、上部スイングアーム4及び下部スイングアーム5を含み、下部スイングアーム5は、一端が自動車サブフレームに連結され、他端がハブモーター2のステータ21にボール連結されて、第1のヒンジ点71を形成する。上部スイングアーム4は、一端が自動車サブフレームに連結され、他端がナックル3にボール連結されて、第2のヒンジ点72を形成する。第1のヒンジ点71及び第2のヒンジ点72は、同じ垂直平面内に位置し、第1のヒンジ点71と第2のヒンジ点72との連結線は、仮想キングピン軸線73を構成し、仮想キングピン軸線73は、ハブの軸線と交差し、仮想キングピン軸線73と地面との交点は、タイヤ11の接地中心と重なる。
【0033】
図2及び図3を参照すると、第1のヒンジ点71と第2のヒンジ点72との連結線がタイヤ11の接地中心と重なると、キングピンのオフセットがゼロであり、車両の操舵抵抗モーメントが最小であり、タイヤ11の摩耗を効果的に低減することができる。キングピンのオフセットの減少により、タイヤ11がバウンスする時にサスペンション位置決めパラメータの変化が小さく、最終的に、車全体の動的応答能力、ブレーキ性能、操縦性及びタイヤ11の走行軌跡の安定性を向上させる。
【0034】
図3を参照すると、本願の配置形態により、さらに、第1のヒンジ点71及び第2のヒンジ点72の位置を微調整して、仮想キングピン軸線73が地面と交差する交点とタイヤ11の中心との間の距離を変化させることにより、キングピンのオフセットの調整を実現し、異なる車両の要件応じて、適応的に変更して、異なる車両のシャーシの調整要件を満たすことができる。
【0035】
図1及び図3を参照すると、ナックル3は、一体成形された連結リング31及び延長アーム32を含み、連結リング31は、ハブモーター2に固定連結され、連結リング31はリム1と同軸に設置される。延長アーム32は、連結リング31の軸線の真上に位置し、延長アーム32の一端は、連結リング31に連結され、延長アーム32の他端は上向きに傾斜し、且つ第1の連結部33が一体成形されており、第1の連結部33は水平に設置され、第1の連結部33には上部ボールヘッド34が固定設置され、上部スイングアーム4のナックル3に近い一端は上部ボールヘッド34にボール連結される。
【0036】
図1を参照すると、上部スイングアーム4は、一体成形された第1の連結アーム41及び第2の連結アーム42を含み、第1の連結アーム41は、車両の短手方向に沿って設置され、第1の連結アーム41は、車両の長手方向に沿って平行に2つ設置され、2つの第1の連結アーム41は、同じ水平面内に位置し、全ての第1の連結アーム41は、ナックル3の車両の頭部又は尾部に近い側に位置し、本実施例の全ての第1の連結アーム41は、ナックル3の車両の頭部に近い側に位置し、第1の連結アーム41と第2の連結アーム42とは、鈍角を呈するように設置され、第1の連結アーム41と第2の連結アーム42との連結箇所は、円弧状遷移を呈する。下部スイングアーム5及び上部スイングアーム4は構造が一致し、下部スイングアーム5は、上部スイングアーム4の下方に位置する。
【0037】
図1及び図4を参照すると、本実施例は、全ての第1の連結アーム41がナックル3の車両の頭部に近い側に配置され、第2の連結アーム42と第2の連結アーム42とは鈍角を形成し、このように上部スイングアーム4を設置すると、上部スイングアーム4とナックル3との連結点を上部スイングアーム4の車両の頭部から最も遠い位置に位置させることができ、ナックル3が上部ボールヘッド34の周りを回転する時、タイヤ11は、上部スイングアーム4と干渉し難く、車両の操舵角度を最大限に大きくする。タイヤ11により、90°操舵が実現でき、それにより、様々な運転モードの分散駆動、例えばUターン、横行及び正常走行等の様々な運転モードの操舵ニーズを満たす。
【0038】
図1及び図4を参照すると、ハブモーター2の車両内側に近い側にはブレーキディスク6が設置されており、ブレーキディスク6には、連結軸61が同軸に固定連結され、連結軸61は、ハブモーター2のロータに同軸に固定連結され、ブレーキディスク6は、上部スイングアーム4と下部スイングアーム5との間に位置する。下部スイングアーム5がハブモーター2のステータ21に連結されているため、下部スイングアーム5とブレーキディスク6との間の距離が短く、下部スイングアーム5とブレーキディスク6との干渉をし難くするために、下部スイングアーム5の端部にスイングアーム連結部51が一体成形されており、スイングアーム連結部51は垂直に設置され、ハブモーター2のステータ21には下部ボールヘッド22が固定設置され、下部ボールヘッド22はハブモーター2軸線の真下に位置し、スイングアーム連結部51の先端は下部ボールヘッド22にボール連結される。
【0039】
図1及び図4を参照すると、垂直に設置されたスイングアーム連結部51を、下部スイングアーム5のハブモーター2に近い一端が「L」字状を呈するように設置することにより、下部スイングアーム5とブレーキディスク6との間の長手方向の距離が大きくなり、下部スイングアーム5とブレーキアセンブリとに干渉が生じる可能性を低減する。ブレーキディスク6の直径に応じて、長手方向高さが異なるスイングアーム連結部51をマッチングして、異なるユーザの使用ニーズを満たすことができる。
【0040】
本願の実施例のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造の実施原理は、下記のとおりである。ナックル3の上方に上部ボールヘッド34を固定設置し、上部スイングアーム4が上部ボールヘッド34にボール連結されて、第2のヒンジ点72を形成する。ハブモーター2のステータ21に下部ボールヘッド22を固定設置し、下部スイングアーム5が下部ボールヘッド22にボール連結されて、第1のヒンジ点71を形成する。第1のヒンジ点71が第2のヒンジ点72よりも低く、第1のヒンジ点71が第2のヒンジ点72の車両内側に近い側に位置するため、第1のヒンジ点71と第2のヒンジ点72との連結線が仮想キングピン軸線73を構成し、仮想キングピン軸線73と地面との交点がタイヤ11の中心平面と重なり、それにより、キングピンのオフセットを大幅に小さくした。
【0041】
キングピンのオフセットを小さくすると、操舵抵抗モーメントが小さくなり、タイヤ11の摩耗を効果的に低減することができる。また、キングピンのオフセットの低減により、車輪がバウンスする時にサスペンション位置決めパラメータの変化が小さく、最終的に、車全体の動的応答能力、ブレーキ性能、操縦性及び車輪の走行軌跡の安定性を向上させる。
【0042】
さらに、本願の上部スイングアーム4及び下部スイングアーム5の配置形態に、十分な操舵スペースを合わせると、ハブモーター2が搭載された電気自動車の大角度操舵を実現でき、干渉も生じにくく、様々な運転モードの分散駆動の操舵要件を満たす。
【0043】
以上は、いずれも本願の好適な実施例であり、本願の保護範囲を限定するものではなく、そのため、本願の構造、形状、原理にしたがって行われた等価変化は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0044】
1...リム、11...タイヤ、2...ハブモーター、21...ステータ、22...下部ボールヘッド、3...ナックル、31...連結リング、32...延長アーム、33...第1の連結部、34...上部ボールヘッド、4...上部スイングアーム、41...第1の連結アーム、42...第2の連結アーム、5...下部スイングアーム、51...スイングアーム連結部、6...ブレーキディスク、61...連結軸、71...第1のヒンジ点、72...第2のヒンジ点、73...仮想キングピン軸線。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム(1)、ハブモーター(2)、ナックル(3)及びスイングアームアセンブリを含み、前記リム(1)にはタイヤ(11)が取り付けられ、前記ハブモーター(2)は前記リム(1)の内部に位置し、前記リム(1)は前記ハブモーター(2)のロータに連結され、前記ナックル(3)は、前記ハブモーター(2)のステータ(21)上の車両内側に近い位置に固定連結され、前記スイングアームアセンブリは、ナックル(3)と自動車サブフレームとの間に連結されている上部スイングアーム(4)と、前記ハブモーター(2)のステータ(21)と自動車サブフレームとの間に連結されている下部スイングアーム(5)とを含み、前記下部スイングアーム(5)が前記ハブモーター(2)のステータ(21)にボール連結されて、第1のヒンジ点(71)が形成され、前記上部スイングアーム(4)が前記ナックル(3)にボール連結されて、第2のヒンジ点(72)が形成され、前記第1のヒンジ点(71)と前記第2のヒンジ点(72)との連結線が仮想キングピン軸線(73)を構成し、前記仮想キングピン軸線(73)は、前記第2のヒンジ点(72)が前記第1のヒンジ点(71)に対して車両内側に位置するように傾斜し、
前記上部スイングアーム(4)は、車両の短手方向に沿って設置された第1の連結アーム(41)と、第1の連結アーム(41)と前記ナックル(3)とを連結する第2の連結アーム(42)とを含み、前記第1の連結アーム(41)は、車両の長手方向に沿って平行に2つ設置され、全ての前記第1の連結アーム(41)は、前記ナックル(3)の車両の頭部又は尾部に近い側に位置し、前記第1の連結アーム(41)と前記第2の連結アーム(42)とは、鈍角を呈するように設置され、前記下部スイングアーム(5)と前記上部スイングアーム(4)とは、構造が一致する、
ことを特徴とするハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項2】
前記第1のヒンジ点(71)と前記第2のヒンジ点(72)との連結線は、前記タイヤ(11)の接地中心と重なる、
ことを特徴とする請求項1に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項3】
前記ナックル(3)は、前記ハブモーター(2)に固定連結される連結リング(31)と、連結リング(31)に設置される延長アーム(32)とを含み、前記延長アーム(32)の前記上部スイングアーム(4)に近い側は、上向きに傾斜し、且つ水平の第1の連結部(33)が設置され、前記第1の連結部(33)には、上部ボールヘッド(34)が設置され、前記上部スイングアーム(4)の前記ナックル(3)に近い一端は前記上部ボールヘッド(34)にボール連結され、前記連結リング(31)は、リング状であり且つ前記リム(1)と同軸に設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項4】
前記連結リング(31)、前記延長アーム(32)及び前記第1の連結部(33)の三者は、一体成形で設置される、
ことを特徴とする請求項3に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項5】
前記第1の連結アーム(41)と前記第2の連結アーム(42)とは一体成形で設置され、前記第1の連結アーム(41)と前記第2の連結アーム(42)との連結箇所は、円弧状遷移を呈する。
ことを特徴とする請求項1に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項6】
前記ハブモーター(2)の車両内側に近い側に、ブレーキディスク(6)が設置され、前記ブレーキディスク(6)は、前記ハブモーター(2)のロータに同軸に連結され、前記ブレーキディスク(6)は、前記上部スイングアーム(4)と前記下部スイングアーム(5)との間に位置し、前記下部スイングアーム(5)の端部には、前記下部スイングアーム(5)に対して垂直に設置されるスイングアーム連結部(51)がさらに設置され、前記下部スイングアーム(5)と前記スイングアーム連結部(51)がL字形状に設置され、前記ハブモーター(2)のステータ(21)には下部ボールヘッド(22)が設置され、前記スイングアーム連結部(51)の先端は、前記下部ボールヘッド(22)にボール連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。
【請求項7】
前記スイングアーム連結部(51)は、前記下部スイングアーム(5)と一体成形で設置される、
ことを特徴とする請求項6に記載のハブモーターが搭載されているスイングアームアセンブリの配置構造。