(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132805
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】歯車及び歯車の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16H 55/06 20060101AFI20240920BHJP
F16H 55/17 20060101ALI20240920BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F16H55/06
F16H55/17 Z
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158230
(22)【出願日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2023040915
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】中島 慎治
(72)【発明者】
【氏名】栗谷川 瑞枝
(72)【発明者】
【氏名】冨永 高広
(72)【発明者】
【氏名】土屋 翔
(72)【発明者】
【氏名】井上 悟郎
【テーマコード(参考)】
3J030
4F206
【Fターム(参考)】
3J030AC10
3J030BA01
3J030BB16
3J030BC01
3J030BC08
4F206AD05
4F206AH12
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB20
4F206JL02
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】歯を樹脂で形成した歯車において、歯の寸法精度を低下しにくくする。
【解決手段】歯車10は、第1のプレート20、樹脂層30、及び第2のプレート40を備えている。第1のプレート20と第2のプレート40は互いに対向している。樹脂層30は、第1のプレート20及び第2のプレート40の間に位置するとともに、第1のプレート20及び第2のプレート40に固定されている。そして、樹脂層30の側面に歯34が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプレートと、
前記第1のプレートと対向している第2のプレートと、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの間に位置するとともに、前記第1のプレート及び前記第2のプレートに固定されている樹脂層と、
を備え、
前記樹脂層の側面に歯が設けられている歯車。
【請求項2】
請求項1に記載の歯車において、
前記第1のプレートは第1の貫通孔を備えており、
前記樹脂層は、前記第1の貫通孔に繋がる第2の貫通孔を有する、歯車。
【請求項3】
請求項2に記載の歯車において、
前記第2の貫通孔の少なくとも一部は、前記第2のプレートに近づくにつれて断面積が小さくなっており、
前記第2の貫通孔は、前記第2のプレートに近づくにつれて断面積が大きくなる部分を有していない、歯車。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の歯車において、
前記第2のプレートは、前記第2の貫通孔に繋がる凹部又は第3の貫通孔を有する、歯車。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレートに直角な方向の断面において、前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方は凹部を備えており、
前記第1のプレートに直角な方向から見た場合において、前記凹部の面積は、前記第1のプレート及び前記第2のプレートの前記少なくとも一方の面積の30%以上である、歯車。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートを構成する材質の引張強度は、前記樹脂層を構成する樹脂の引張強度よりも高い、歯車。
【請求項7】
請求項6に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートを構成する材質の引張強度は70MPa以上である、歯車。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートを構成する材質の熱伝導率は、前記樹脂層を構成する樹脂の熱伝導率よりも高い、歯車。
【請求項9】
請求項8に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートを構成する材質の熱伝導率は5W/mK以上である、歯車。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の歯車において、
前記樹脂層に埋め込まれており、前記第1のプレートと前記第2のプレートを繋ぐ柱部を有する歯車。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレートに直角な方向から見た場合、前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方は、前記樹脂層のうち前記歯となる部分の少なくとも一部と重なる複数の第1凸部を有している、歯車。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方において、
少なくとも一部は前記樹脂層に埋め込まれており、
当該埋め込まれている部分の少なくとも一部は、前記樹脂層に入り込むにつれて幅広になっている、歯車。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方は、他方に向けて突出している第2凸部を有しており、
前記第2凸部の高さは、前記樹脂層のうち前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に位置している部分の厚さの5%以上45%以下である、歯車。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方は、他方に向けて突出していて高さが0.5mm以上の凸部を有する、歯車。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートはリング形状を有しており、
前記第2凸部は少なくとも2つ設けられており、
前記リング形状の幅をwとした場合、
第1の前記第2凸部の少なくとも一部は、前記リング形状の内周側の端からw×0.4以内の領域に位置しており、かつ、
第2の前記第2凸部の少なくとも一部は、前記リング形状の外周の端からw×0.4以内の領域に位置している、歯車。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方において、
少なくとも一部は前記樹脂層に埋め込まれており、
当該埋め込まれている部分は、第1凹部又は第1切り欠きを有しており、
当該第1凹部又は第1切り欠きには前記樹脂層の一部が入り込んでいる、歯車。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方は金属である、歯車。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方は樹脂である、歯車。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方は、
金属からなる第1部材と、
前記第1部材に固定されていて樹脂からなる第2部材と、
を有している、歯車。
【請求項20】
請求項19に記載の歯車において、
前記第1部材のうち前記第2部材が接する領域の少なくとも一部は、樹脂金属接合を目的とした表面処理が施されている歯車。
【請求項21】
請求項20に記載の歯車において、
前記表面処理は、複数の第3凸部を形成する処理である、歯車。
【請求項22】
請求項19~21のいずれか一項に記載の歯車において、
前記第1部材は第2凹部又は第2切り欠きを有しており、
当該第2凹部又は第2切り欠きには前記第2部材の一部が入り込んでいる、歯車。
【請求項23】
樹脂製の歯車を形成するための第1金型内に、第1のプレートと第2のプレートとを互いに離れた状態で対向して配置する第1工程と、
樹脂を前記第1金型内に導入して前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に前記樹脂を充填させ、当該樹脂を固めることにより、前記第1のプレート及び前記第2のプレートに固定された樹脂層を形成する第2工程と、
その後前記第1金型から前記第1のプレート、第2のプレート、及び前記樹脂層を取り外す第3工程と、
を備える歯車の製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の歯車の製造方法において、
前記第1のプレートは第1の貫通孔を備えており、
前記第1工程において、棒状の治具を前記第1の貫通孔に挿入するとともに、前記治具の先端部により前記第2のプレートを支持させ、
前記第3工程において、前記第1のプレート及び前記樹脂層から前記治具を抜く、歯車の製造方法。
【請求項25】
請求項24に記載の歯車の製造方法において、
前記治具のうち前記第1のプレートよりも前記第2のプレート側に位置する部分は、
少なくとも一部は、前記第2のプレートに近づくにつれて断面積が小さくなっており、
第2のプレートに近づくにつれて断面積が大きくなる部分を有していない、歯車の製造方法。
【請求項26】
請求項23~25のいずれか一項に記載の歯車の製造方法において、
前記第1工程の前に、
金属からなる第1部材を第2金型内に配置し、前記第2金型内に樹脂を導入して当該樹脂を固めることにより、前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方を形成する準備工程を備える、歯車の製造方法。
【請求項27】
請求項23~26のいずれか一項に記載の歯車の製造方法において、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの少なくとも一方は、
金属からなる第1部材と、
前記第1部材に固定されていて樹脂からなる第2部材と、
を有しており、
前記第1部材の表面のうち前記第2部材が固定されている領域の少なくとも一部は、樹脂金属接合を目的とした表面処理が施されている歯車の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車及び歯車の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、歯車の歯を樹脂で形成することが検討されている。例えば特許文献1には、芯材の内周面又は外周面に、歯を有する樹脂製の部材を接合することにより歯車を形成することが記載されている。特許文献1には、芯材を構成する材質の一例として、アルミ合金、マグネシウム合金、及び鉄合金などの金属が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯車の歯を樹脂で形成する場合、ひずみが生じ、歯の寸法精度が低下する可能性がある。本発明の目的の一例は、歯を樹脂で形成した歯車において、歯の寸法精度を低下しにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、第1のプレートと、
前記第1のプレートと対向している第2のプレートと、
前記第1のプレート及び前記第2のプレートの間に位置するとともに、前記第1のプレート及び前記第2のプレートに固定されている樹脂層と、
を備え、
前記樹脂層の側面に歯が設けられている歯車が提供される。
【0006】
本発明の一態様によれば、樹脂製の歯車を形成するための金型内に、第1のプレートと第2のプレートとを互いに離れた状態で対向して配置する第1工程と、
樹脂を前記金型内に導入して前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に前記樹脂を充填させ、当該樹脂を固めることにより、前記第1のプレート及び前記第2のプレートに固定された樹脂層を形成する第2工程と、
その後前記金型から前記第1のプレート、第2のプレート、及び前記樹脂層を取り外す第3工程と、
を備える歯車の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、歯を樹脂で形成した歯車において、歯の寸法精度は低下しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る歯車を一面側から見た斜視図である。
【
図9】第1の変形例に係る歯車の構成を示す断面図である。
【
図10】第2の変形例に係る歯車の構成を示す断面図である。
【
図11】第3の変形例に係る歯車の構成を示す斜視図である。
【
図13】第4の変形例に係る歯車の構成を示す断面図である。
【
図14】第5の変形例に係る歯車の構成を示す断面図である。
【
図15】第6の変形例に係る歯車の構成を示す断面図である。
【
図16】第6の変形例に係る歯車の構成を示す断面図である。
【
図18】第2の実施形態に係る歯車の構成を示す斜視図である。
【
図19】第3の実施形態に係る歯車の構成を示す斜視図である。
【
図21】第4の実施形態に係る歯車の構成を示す断面図である。
【
図25】第5の実施形態に係る歯車の構成を示す断面図である。
【
図27】第6の実施形態に係る歯車の構成を示す斜視図である。
【
図31】第7の実施形態に係る歯車の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る歯車10を一面側から見た斜視図である。
図2は
図1のA-A断面図であり、
図3は
図1のB-B断面図である。歯車10は、第1のプレート20、樹脂層30、及び第2のプレート40を備えている。第1のプレート20と第2のプレート40は互いに対向している。樹脂層30は、第1のプレート20及び第2のプレート40の間に位置するとともに、第1のプレート20及び第2のプレート40に固定されている。そして、樹脂層30の側面に歯34が設けられている。以下、歯車10について詳細に説明する。
【0011】
図1に示す歯車10は、いわゆる内歯車である。このため、第1のプレート20、樹脂層30、及び第2のプレート40は、いずれもリング形状を有している。そして歯34は、樹脂層30の内側の側面に形成されている。また、第1のプレート20のうち樹脂層30とは逆側の面、及び第2のプレート40のうち樹脂層30とは逆側の面は、樹脂層30に覆われておらず、樹脂層30から露出している。
【0012】
第1のプレート20及び第2のプレート40は、いずれも歯車10の寸法精度を高め、かつ、歯車10の強度を高めるために設けられている。第1のプレート20及び第2のプレート40を構成する材質の強度は、樹脂層30を構成する材質の強度より高い。ここでの強度は、例えば引張強度で示されるが、ヤング率で示されてもよい。第1のプレート20及び第2のプレート40を構成する材質の引張強度は、例えば70MPa以上であるが、さらに好ましくは150MPa以上、さらに好ましくは200MPa以上である。
【0013】
また、第1のプレート20及び第2のプレート40を構成する材質の熱伝導率は、樹脂層30を構成する材質の熱伝導率より高いのが好ましい。第1のプレート20及び第2のプレート40を構成する材質の熱伝導率は、例えば5W/mK以上、好ましくは10W/mK以上、さらに好ましくは50W/mK以上である。
【0014】
第1のプレート20及び第2のプレート40を構成する材質の一例は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ステンレス合金、銅合金、鉄系合金、チタン合金、及びタングステン合金などの金属であるが、これらに限定されない。第1のプレート20及び樹脂層30が金属で形成される場合、これらはプレス又は切削により製造される。
【0015】
ただし、第1のプレート20及び第2のプレート40の少なくとも一方は、樹脂やセラミックを用いて形成されていてもよい。ここで用いられる樹脂の一例は、Carbon Fiber Reinforced Plastics(CFRP)及びCarbon Fiber Reinforced Thermo Plastics(CFRTP)であるが、低収縮性の樹脂であってもよい。第1のプレート20及び第2のプレート40がCFRPで形成されている場合、これらは、例えば切削により製造される。また、第1のプレート20及び第2のプレート40がCFRTP又は低収縮性の樹脂で形成されている場合、これらは射出成形法により製造される。
【0016】
なお、第1のプレート20のうち樹脂層30が固定される領域の少なくとも一部は、微細な凹凸が形成されていてもよい。この場合、この凹凸の内部に樹脂層30が入り込むため、樹脂層30と第1のプレート20の接合強度は高まる。なお、この凹凸は、例えば、間隔周期が0.1nm以上500μm以下である凸部(第1凸部)が林立した微細凹凸構造である。この上記間隔周期は、好ましくは0.5nm以上300μm以下、より好ましくは1nm以上200μm以下である。
【0017】
ここで、微細凹凸構造の間隔周期は凸部から隣接する凸部までの距離の平均値であり、電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡で撮影した写真、あるいは表面粗さ測定装置を用いて求めることができる。電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡により測定される間隔周期は通常500nm未満の間隔周期であり、具体的には金属部材(M)のうち熱可塑性樹脂部材301との接合部の表面を撮影する。その写真から、任意の凸部を50個選択し、それらの凸部から隣接する凸部までの距離をそれぞれ測定する。凸部から隣接する凸部までの距離の全てを積算して50で除したものを間隔周期とする。一方、500nmを超える間隔周期は通常、表面粗さ測定装置を用いて求められる。
【0018】
樹脂層30を構成する樹脂としては、低収縮樹脂であるポリイミド(PI)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(PA6T)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の少なくとも一つであるが、これ以外の樹脂、例えばポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、液晶ポリマー(LCP)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラメチレンアジパミド(PA46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA66)、ポリノナメチレンテレフタラミド(PA9T)、ポリデカメチレンテレフタラミド(PA10T)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(PA12T)などの少なくとも一つであってもよい。
またこの樹脂は、汎用樹脂(ポリアミド(PA)、ポリカプロラクタム(PA6)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA等))であってもよい。この場合においても、樹脂単体で歯車10を形成する場合と比較して精度が向上する。
【0019】
平面視、すなわち第2のプレート40に直角な方向から見た場合、第1のプレート20と第2のプレート40の形状(ただし孔の数、位置、及び大きさは除く)はほぼ同一である。ただし、第1のプレート20の形状と第2のプレート40の形状は異なっていてもよい。
【0020】
また、
図2に示すように、第1のプレート20及び第2のプレート40の幅は、樹脂層30のうち歯34を除いた部分の幅よりも小さい。このため、第2のプレート40に直角な方向から見た場合、樹脂層30の外周側の端部、及び樹脂層30の内周側の端部、及び歯34は、いずれも第2のプレート40に覆われていない。ただし、樹脂層30の外側の端部のうち第2のプレート40で覆われていない部分の幅a、及び、樹脂層30の内周側の端部のうち第2のプレート40で覆われていない部分の幅bは、いずれも第1のプレート20の幅及び第2のプレート40の幅よりも小さい。
【0021】
また、
図2に示すように、第1のプレート20の厚さt
1と第2のプレート40の厚さt
3の合計値は、樹脂層30のうち第1のプレート20と第2のプレート40の間に位置する部分の厚さt
2よりも小さい。このようにすると、歯車10のうち樹脂層30の体積比率が大きくなるため、歯車10を軽くすることができる。
【0022】
また、
図3に示すように、第1のプレート20は第1の貫通孔22を有しており、樹脂層30は、第1の貫通孔22と重なる位置に第2の貫通孔32を有している。第1の貫通孔22の内部には樹脂層30を構成する樹脂は入り込んでいないか、入っていたとしても第1の貫通孔22の縁の部分のみである。このため、第2の貫通孔32は第1の貫通孔22に繋がっている。本図に示す例において、第2の貫通孔32の下端すなわち第1の貫通孔22に接する部分は、第1の貫通孔22の上端とほぼ同じ形状を有している。ただし、これらの形状はこの例に限定されない。一例として、第2の貫通孔32の下端の形状(例えば直径)は、第1の貫通孔22の上端の形状(例えば直径)より小さくてもよい。
【0023】
また、
図3に示すように、第2のプレート40は第3の貫通孔42を有している。第3の貫通孔42は第2の貫通孔32及び第1の貫通孔22に繋がっている。本図に示す例において、第3の貫通孔42の断面積は第2の貫通孔32の断面積及び第1の貫通孔22の断面積よりも小さい。例えば第1の貫通孔22、第2の貫通孔32、及び第3の貫通孔42の断面形状が円形の場合、第3の貫通孔42の直径は、第2の貫通孔32の直径及び第1の貫通孔22の直径よりも小さい。また、第1の貫通孔22の中心軸、第2の貫通孔32の中心軸、及び第3の貫通孔42の中心軸は互いに同一である。
【0024】
なお、第3の貫通孔42の代わりに凹部が設けられていてもよい。この場合の凹部は、第2のプレート40のうち樹脂層30に接する側の面に設けられている。
【0025】
歯車10の厚み方向すなわち
図3の上下方向において、第2の貫通孔32の少なくとも一部は第2のプレート40に近づくにつれて断面積が小さくなっており、かつ、第2の貫通孔32は、第2のプレート40に近づくにつれて断面積が大きくなる部分を有していない。言い換えると、歯車10の厚み方向において、第2の貫通孔32は、第2のプレート40に近づくにつれて断面積が小さくなっている部分を有しているとともに、このようになっていない部分は断面形状が同一となっている。本図に示す例において、第2の貫通孔32は、第2のプレート40に近づくにつれて断面積が小さくなっている。第2の貫通孔32の断面形状が円形の場合、第2の貫通孔32の直径は、第2のプレート40に近づくにつれて小さくなっている。
【0026】
上記した第1の貫通孔22、第2の貫通孔32、及び第3の貫通孔42に係る構造は、後述する歯車10の製造方法に起因している。
【0027】
また、第2のプレート40は導入孔44を有している。後述するように、歯車10は射出成形法を用いて形成されている。導入孔44は、射出成形を行う際に樹脂層30となる樹脂を導入するために設けられている。
【0028】
図4、
図5、
図6、
図7、及び
図8は、歯車10の製造方法を説明するための図である。歯車10は、射出成形金型100を用いて製造される。
【0029】
まず、
図4、
図5、及び
図6を用いて射出成形金型100の構成を説明する。
図4は射出成形金型100の斜視図であり、
図5は
図4のB-B断面図である。
図6は
図5の枠線Cで囲んだ領域を拡大した図である。
【0030】
射出成形金型100は、金型本体110、棒状の支持部材120、管状の押出部材130、及び樹脂導入流路140を備えている。支持部材120は、押出部材130の中を通っており、かつ、押出部材130の先端から飛び出すことができる。
【0031】
金型本体110は、歯車10を形成するための凹部112を有している。樹脂層30が形成される前に、第1のプレート20及び第2のプレート40は凹部112の中に配置される。
【0032】
詳細には、第1のプレート20は凹部112の底面に載置される。一方、金型本体110には、金型本体110の底面から凹部112の底部に繋がる貫通孔114が少なくとも1つ、好ましくは複数形成されている。本図に示す例において、貫通孔114は、120°間隔で3つ形成されている。なお、貫通孔114の数は、3つに限定されず、2つでもよいし4つ以上でもよい。
【0033】
特に
図6に示すように、貫通孔114は、第1のプレート20の第1の貫通孔22と重なる。ただし、貫通孔114の断面は、第1の貫通孔22の断面よりも大きい。そして、押出部材130は、貫通孔114を通るが第1の貫通孔22を通らない。このため、樹脂層30を形成する際、押出部材130の先端は、第1のプレート20のうち第1の貫通孔22の周囲に位置する部分に接することになる。
【0034】
一方、支持部材120は、押出部材130及び第1の貫通孔22を通る。そして支持部材120の先端部には、テーパ部122及び差込部124が設けられている。テーパ部122は、樹脂層30の第2の貫通孔32に沿った形状を有している。すなわち、支持部材120のうち第1のプレート20よりも第2のプレート40側に位置する部分の少なくとも一部は、第2のプレート40に近づくにつれて断面積が小さくなっている。また、当該部分は、第2のプレート40に近づくにつれて断面積が大きくなる部分を有していない。これは、歯車10から支持部材120を引き抜きやすくするためである。
【0035】
本図に示す例において、テーパ部122は、先に向かうにつれて断面が小さくなる形状を有している。そして、差込部124はテーパ部122の先端に位置している。差込部124はテーパ部122の先端よりも断面が小さい。また、差込部124の断面は第2のプレート40の第3の貫通孔42の断面よりも小さい。このため、差込部124は第3の貫通孔42に差し込まれる。一方、テーパ部122の先端の面積は第3の貫通孔42よりも大きい。このため、テーパ部122の先端は第3の貫通孔42に差し込まれず、第2のプレート40のうち樹脂層30側の面に当接する。すなわち、第2のプレート40は、テーパ部122と差込部124により構成される段差により、第1のプレート20から離れた状態で支持される。
【0036】
次に、歯車10の製造方法について説明する。まず、
図4、
図5、及び
図6に示すように、支持部材120を押出部材130の内穴に組み込んだ上、併せて金型本体110の貫通孔114に通し、凹部112の底面から突出させる。次いで、第1のプレート20の第1の貫通孔22に支持部材120を通しつつ、第1のプレート20を凹部112の底面上に配置する。次いで、支持部材120の先端部に第2のプレート40を配置する。この状態において、第1のプレート20と第2のプレート40は互いに離れた状態で対向している(第1工程)。
【0037】
このとき、押出部材130の先端は第1のプレート20に当接している。
【0038】
次いで、樹脂導入流路140を第2のプレート40の導入孔44に重ね、樹脂導入流路140及び導入孔44を介して金型本体110の凹部112内に樹脂を導入する。これにより、第1のプレート20と第2のプレート40の間の空間には樹脂が充填される。その後、凹部112内の樹脂を固める。これにより樹脂層30が形成される。また、支持部材120の存在により、樹脂層30内に第2の貫通孔32が形成される(第2工程)。
【0039】
次いで、
図7及び
図8に示すように、樹脂導入流路140を第2のプレート40から離す。その後、押出部材130を上方に移動させる。これにより、支持部材120は、第1のプレート20、樹脂層30、及び第2のプレート40から引き抜かれる。このようにして、歯車10は金型本体110及び支持部材120から取り外される(第3工程)。
【0040】
この際、支持部材120のうち樹脂層30と接している部分はテーパ部122となっている。言い換えると、歯車10の厚み方向において、支持部材120のうち樹脂層30の中に位置している部分は、第2のプレート40に近づくにつれて断面積が小さくなっている部分を有している。このため、支持部材120は容易に樹脂層30から離れる。
【0041】
なお、支持部材120のうち樹脂層30と接している部分の一部がテーパ部122となっていてもよい。この場合、テーパ部122となっていない部分は、支持部材120が延在する方向において断面形状は変化しない。このようにしても、支持部材120は容易に樹脂層30から離れる。
【0042】
その後、歯車10を支持部材120から取り外す。
【0043】
以上、本実施形態によれば、歯車10は、歯34を有する樹脂層30の他に第1のプレート20及び第2のプレート40を備えている。このため、樹脂層30を成形する際に歯34などの樹脂層30にひずみは生じにくくなる。この効果は、第1のプレート20及び第2のプレート40を構成する材質の強度(例えば引張強度)が樹脂層30を構成する材質の強度よりも高い場合、特に大きくなる。
【0044】
また、第1のプレート20及び第2のプレート40を構成する材質の熱伝導率が樹脂層30を構成する材質の熱伝導率よりも高い場合、第1のプレート20及び第2のプレート40を設けない場合と比較して、歯車10に生じた熱は歯車10から放出されやすくなる。これにより、歯車10を射出成形する時の樹脂固化時間を短縮できる。また、歯車10が稼働している時に発生する摩擦熱は放出されやすくなる。
【0045】
(第1の変形例)
図9は、第1の変形例に係る歯車10の構成を示す断面図であり、第1の実施形態の
図2に対応している。本変形例に係る歯車10は、第1のプレート20の厚さt
1と第2のプレート40の厚さt
3の合計値が、樹脂層30のうち第1のプレート20と第2のプレート40の間に位置する部分の厚さt
2よりも大きいことを除いて、第1の実施形態に係る歯車10と同様の構成である。
【0046】
本変形例によっても、第1の実施形態に係る歯車10と同様の効果が得られる。また、第1のプレート20及び第2のプレート40の厚さt1が、樹脂層30のうち第1のプレート20と第2のプレート40の間に位置する部分の厚さt2よりも大きいため、樹脂層30に必要な樹脂の量を減らせる。また、第1のプレート20及び第2のプレート40が厚いため、これらの材質を金属とした場合、歯車10の剛性は増加する。さらに、歯車10に生じた熱は歯車10からより放出されやすくなるため、歯車10を射出成形する時の樹脂固化時間を短縮できるとともに、歯車10が稼働している時に発生する摩擦熱は放出されやすくなる。
【0047】
(第2の変形例)
図10は、第2の変形例に係る歯車10の構成を示す断面図であり、第1の実施形態の
図2に対応している。本変形例に係る歯車10は、第1のプレート20の厚さt
1と第2のプレート40の厚さt
3が異なる点を除いて、第1の実施形態に係る歯車10と同様の構成である。本図に示す例において、第1のプレート20の厚さt
1は第2のプレート40の厚さt
3よりも大きい。ただし、第1のプレート20の厚さt
1は第2のプレート40の厚さt
3よりも小さくてもよい。
【0048】
本変形例によっても、第1の実施形態に係る歯車10と同様の効果が得られる。また、第1の実施形態に係る歯車10よりも、樹脂層30に必要な樹脂の量を減らせる。
また、第1の変形例に係る歯車10と比較して歯車10全体を軽量でき、かつ、第1の実施形態に係る歯車10と比較して剛性は増加する。
【0049】
(第3の変形例)
図11は、第3の変形例に係る歯車10の構成を示す斜視図であり、
図12は
図11のA-A断面図である。本変形例に係る歯車10は、第1のプレート20及び第2のプレート40の断面形状を除いて、第1の実施形態に係る歯車10と同様の構成である。
【0050】
本変形例において、第1のプレート20は凹部26を有しており、かつ、第2のプレート40は凹部46を有している。言い換えると、第1のプレート20及び第2のプレート40は、断面視において、リング状の板状の部材の両端それぞれを同一方向に折り曲げた形状を有している。本変形例において、凹部26及び凹部46は樹脂層30とは逆側の方向すなわち歯車10の外側を向いている。このため、凹部26及び凹部46は露出している。
【0051】
本図に示す例において、凹部26は第1のプレート20の全周に渡って設けられている。ただし、凹部26は第1のプレート20の周方向において複数に分かれていてもよい。言い換えると、第1のプレート20の周方向において、凹部26が設けられていない領域が存在していてもよい。
また凹部46においても同様に第2のプレート40の全周に渡って設けられている。ただし、凹部46は第2のプレート40の周方向において複数に分かれていてもよい。言い換えると、第2のプレート40の周方向において、凹部46が設けられていない領域が存在していてもよい。
【0052】
第1のプレート20に直角な方向から見た場合において、すなわち平面視において、凹部26の面積は、凹部26を有さない場合の第1のプレート20の面積の30%以上、好ましくは50%以上であるが、これらに限定されない。
【0053】
また、第1のプレート20に直角な方向の断面において、凹部26の面積は、凹部26を有さない場合の第1のプレート20の面積の30%以上、好ましくは50%以上である、これらに限定されない。
【0054】
第2のプレート40の凹部46についても、上記した第1のプレート20の凹部26と同様である。
【0055】
本変形例によっても、第1の実施形態に係る歯車10と同様の効果が得られる。また、第1の実施形態に係る歯車10よりも、樹脂層30に必要な樹脂の量を減らせる。また、第1の変形例及び第2の変形例と比較して、第1のプレート20及び第2のプレート40の合計の体積を減らすことができるため、歯車10を軽量化できる。
【0056】
(第4の変形例)
図13は、第4の変形例に係る歯車10の構成を示す断面図であり、第3の変形例の
図12に対応している。本変形例に係る歯車10は、第1のプレート20の凹部26の厚さ方向の向き、及び第2のプレート40の凹部46の厚さ方向の向きを除いて、第3の変形例に係る歯車10と同様の構成である。
【0057】
本図に示す例において、凹部26及び凹部46はいずれも樹脂層30に対向している。このため、樹脂層30は、凹部26及び凹部46の内部にも形成されている。また、第1のプレート20及び第2のプレート40のうち歯車10の表面に露出している部分は平面となっている。
【0058】
本変形例によっても、第1の実施形態に係る歯車10と同様の効果が得られる。
【0059】
(第5の変形例)
図14は、第5の変形例に係る歯車10の構成を示す断面図であり、第3の変形例の
図12に対応している。本変形例に係る歯車10は、第1のプレート20の凹部26の厚さ方向の向き及び第2のプレート40の凹部46の厚さ方向の向きの一方が第4の変形例と同様である点を除いて、第3の変形例に係る歯車10と同様の構成である。
【0060】
本変形例によっても、第1の実施形態に係る歯車10と同様の効果が得られる。
【0061】
(第6の変形例)
図15は、第6の変形例に係る歯車10の構成を示す断面図であり、第3の変形例の
図12に対応している。本変形例に係る歯車10は、第1のプレート20及び第2のプレート40の一方の構成が第1の実施形態と同様である点を除いて、第3の変形例に係る歯車10と同様の構成である。なお、本変形例において、第1のプレート20及び第2のプレート40のうち凹部(26又は46)が設けられているプレート(本図においては第1のプレート20)の向きは、第4の変形例と同様であってもよい。
【0062】
(第7の変形例)
図16は、第6の変形例に係る歯車10の構成を示す断面図であり、第1の実施形態の
図2に対応している。本変形例に係る歯車10は、以下の点を除いて第1の実施形態に係る歯車10と同様の構成である。
【0063】
まず、第1のプレート20と第2のプレート40の間にはこれらを繋ぐ柱部50が設けられている。第2のプレート40は、第2のプレート40を第1のプレート20の上に支持するために設けられている。すなわち第2のプレート40は、柱部50を介して第1のプレート20の上方に支持されている。
【0064】
柱部50は、第1のプレート20に沿って複数設けられている。ただし、柱部50は第1のプレート20に沿って連続的すなわちリング状に設けられていてもよい。いずれの場合も、柱部50の幅は第1のプレート20の幅及び第2のプレート40の幅よりも狭い。このようにすると、金型本体110の凹部112内に隙間なく樹脂層30となる樹脂を流し込むことができる。
【0065】
歯車10が柱部50を有している場合、歯車10を製造する際に支持部材120を用いなくてもよい。このため、本変形例に係る歯車10は、第1の貫通孔22、第2の貫通孔32、及び第3の貫通孔42を有している場合もあれば、これらを有していない場合もある。
【0066】
本図に示す例において柱部50は第1のプレート20と一体になっている。ただし、柱部50は第2のプレート40と一体になっていてもよいし、第1のプレート20及び第2のプレート40の双方と一体になっていてもよい。
【0067】
本変形例によっても、第1の実施形態に係る歯車10と同様の効果が得られる。また、樹脂層30に第2の貫通孔32が形成されないため、歯車10の強度は向上する。
【0068】
(第8の変形例)
図17は、第8の変形例に係る歯車10の斜視図である。本変形例に係る歯車10は、第1のプレート20及び第2のプレート40の平面形状を除いて、第1の実施形態、又は第1~第7の変形例のいずれかと同様である。
【0069】
本変形例において、第2のプレート40の歯34側の縁は、樹脂層30の歯34に沿った凹凸を有している。言い換えると、平面視、すなわち第2のプレート40に直角な方向から見た場合、第2のプレート40の縁の一部は樹脂層30のうち歯34となる部分に入り込んでいる。ここで、第2のプレート40の歯34側の縁は、歯34の縁(すなわち樹脂層30の内面側の縁)と重なっていてもよいし、歯34の縁から離れていてもよい。後者の場合、平面視において、樹脂層30は、歯34となる部分の一部に、第2のプレート40によって覆われていない部分が全周にわたって残る。
【0070】
また、第1のプレート20の歯34側の縁も、樹脂層30のうち歯34となる部分の少なくとも一部と重なっている。本図に示す例において、第1のプレート20の歯34側の縁は、歯34に沿った凹凸を有している。
【0071】
なお、第1のプレート20及び第2のプレート40の一方は、上記した凹凸を有していなくてもよい。
【0072】
本変形例によっても、第1の実施形態に係る歯車10と同様の効果が得られる。また、歯車10の歯34の強度は高くなる。
【0073】
(第2の実施形態)
図18は、第2の実施形態に係る歯車10の構成を示す斜視図である。本実施形態に係る歯車10は、いわゆる外歯車である点を除いて、第1の実施形態及びその変形例に係る歯車10と同様の構成である。
【0074】
具体的には、歯車10の平面形状は円板状である。そしてこの円板の中心には、歯車10の回転軸を通すための貫通孔48が設けられている。そして樹脂層30の外側面に歯34が形成されている。
【0075】
本実施形態に係る歯車10によっても、第1の実施形態に係る歯車10と同様の効果が得られる。
【0076】
なお、本実施形態において、歯車10を内外歯車にしてもよい。
【0077】
(第3の実施形態)
図19は、第3の実施形態に係る歯車10の構成を示す斜視図である。
図20は、
図19に示した歯車10の断面図である。
図19において、歯車10の一部は破断されている。本図に示す歯車10は、以下の点を除いて、
図17に示した歯車10と同様の構成を有している。
【0078】
まず、第1のプレート20は凹部26を有している。凹部26の構造の一例は、例えば
図11及び
図12を用いて説明した通りである。ただし、本図に示す例において、凹部26は、第1のプレート20のうち歯34となる部分にも設けられている。
【0079】
また、第2のプレート40は凹部46を有している。凹部46の構造の一例も、例えば
図11及び
図12を用いて説明した通りである。ただし、本図に示す例において、凹部46は、第2のプレート40のうち歯34となる部分にも設けられている。
【0080】
なお、本図に示す例において、第1のプレート20及び第2のプレート40は、樹脂により形成されているのが好ましい。このようにすると、例えば射出成形法を用いることにより、凹部26,46が歯34となる部分にも設けられていても、第1のプレート20及び第2のプレート40を容易に製造することができる。なお、金型に樹脂を注入して第1のプレート20を形成する場合、第1のプレート20には、樹脂注入のためのゲートに起因した凸部221が形成されることもある。第2のプレート40についても同様に、凸部421が形成されることもある。凸部221,421の平面形状は、例えば円形である。
【0081】
また、第1のプレート20は、少なくとも一部、好ましくは全部が樹脂層30に埋め込まれている。ただし、第1のプレート20の一面(
図20では下側の面)は樹脂層30から露出している。
【0082】
そして、第1のプレート20の内周側の側面210及び外周側の側面220のうち樹脂層30に埋め込まれている部分は、第1のプレート20のうち樹脂層30から露出している面に対して傾斜している。この傾斜の方向は、第1のプレート20の幅が、樹脂層30に入り込むにつれて幅広になる方向である。このようにすると、第1のプレート20は樹脂層30から外れにくくなる。
【0083】
側面210,220のうち傾斜している部分は、樹脂層30に埋め込まれている部分の一部であってもよい。本図に示す例において、第1のプレート20の全部が樹脂層30に埋め込まれており、かつ、側面210及び側面220の全面が傾斜している。
【0084】
また、第2のプレート40も、少なくとも一部、好ましくは全部が樹脂層30に埋め込まれている。ただし、第2のプレート40の一面(
図20では下側の面)は樹脂層30から露出している。そして、第2のプレート40のうち内周側の側面410及び外周側の側面420のうち樹脂層30に埋め込まれている部分は、第2のプレート40のうち樹脂層30から露出している面(
図20では上側の面)に対して傾斜している。この傾斜の方向は、第2のプレート40の幅が、樹脂層30に入り込むにつれて幅広になる方向である。このようにすると、第2のプレート40は樹脂層30から外れにくくなる。
【0085】
側面410,420のうち傾斜している部分は、樹脂層30に埋め込まれている部分の一部であってもよい。本図に示す例において、第2のプレート40の全部が樹脂層30に埋め込まれており、かつ、側面410及び側面420の全面が傾斜している。
【0086】
樹脂層30のうち歯34が形成されていない側の側面(
図20においては左側の側面)に対する側面210,220,410,420の角度は、例えば0°超5°以下であり、好ましくは0°超3°以下である。側面210,220,410,420の角度は、互いに同一であってもよいし、少なくとも一つが他とは異なっていてもよい。
【0087】
なお、側面210及び側面220の一方は傾斜していなくてもよい。また、側面420及び側面420の一方は傾斜していなくてもよい。また、第1のプレート20及び第2のプレート40の一方において、側面は本実施形態に示した傾斜を有していなくてもよい。
【0088】
本実施形態に係る歯車10によっても、第1の実施形態に係る歯車10と同様の効果が得られる。また、歯車10の歯34にも第1のプレート20及び第2のプレート40が位置しているため、歯34の強度は高くなる。また、歯車10は凹部26,凹部46を有しているため、歯車10の体積は少なくなるため、歯車10を軽量化できる。さらに、第1のプレート20の側面210,220及び第2のプレート40の側面410,420は傾斜している。したがって、第1のプレート20及び第2のプレート40は樹脂層30から外れにくい。
【0089】
なお、第2の実施形態に示した歯車10において、本実施形態と同様にしても良い。これは、後述する各実施形態においても同様である。
【0090】
(第4の実施形態)
図21は、第4の実施形態に係る歯車10の構成を示す断面図であり、第3の実施形態における
図20に対応している。本図に示す歯車10は、以下の点を除いて、第3の実施形態に係る歯車10と同様の構成を有している。
【0091】
まず、第1のプレート20は凸部212,222を有している。凸部212,222は第2のプレート40に向けて突出している。凸部212,222の高さt5は、樹脂層30のうち第1のプレート20と第2のプレート40の間に位置している部分の厚さt4の5%以上45%以下である。また、高さt5は、例えば0.5mm以上であるが、0.7mm以上であってもよいし、1.0mm以上であってもよい。
【0092】
第1のプレート20の幅をwとした場合、凸部212の少なくとも一部(本図に示す例では全部)は、第1のプレート20の内周側の端からw×0.4以内の領域に位置しているのが好ましく、また、凸部222の少なくとも一部(本図に示す例では全部)は、第1のプレート20の外周側の端からw×0.4以内の領域に位置しているのが好ましい。本図に示す例において、凸部212(第1の凸部の一例)は、第1のプレート20のうち第2のプレート40に対向する面の内周側の縁すなわち歯34側の縁に沿って設けられている。また、凸部222(第2の凸部の一例)は、第1のプレート20のうち第2のプレート40に対向する面の外周側の縁に沿って設けられている。凸部212の外周側の側面及び内周側の側面の少なくとも一方は、側面210と同様の方向の傾斜を有していてもよい。また、凸部222の外周側の側面及び内周側の側面の少なくとも一方は、側面220と同様の方向の傾斜を有していてもよい。
【0093】
また、第2のプレート40は凸部412,422を有している。凸部412,422は第1のプレート20に向けて突出している。凸部412,422の高さt6は、上記した厚さt4の5%以上45%以下である。
【0094】
第2のプレート40の幅をwとした場合、凸部412の少なくとも一部(本図に示す例では全部)は、第2のプレート40の内周側の端からw×0.4以内の領域に位置しているのが好ましく、また、凸部422の少なくとも一部(本図に示す例では全部)は、第2のプレート40の外周側の端からw×0.4以内の領域に位置しているのが好ましい。本図に示す例において、凸部412(第1の凸部の一例)は、第2のプレート40のうち第1のプレート20に対向する面の内周側の縁すなわち歯34側の縁に沿って設けられている。また、凸部422(第2の凸部の一例)は、第2のプレート40のうち第1のプレート20に対向する面の外周側の縁に沿って設けられている。凸部412の外周側の側面及び内周側の側面の少なくとも一方は、側面410と同様の方向の傾斜を有していてもよい。また、凸部422の外周側の側面及び内周側の側面の少なくとも一方は、側面420と同様の方向の傾斜を有していてもよい。
【0095】
なお、第1のプレート20は、凸部212,222の一方を有していなくてもよい。また、第2のプレート40は、凸部412,422の一方を有していなくてもよい。
【0096】
本実施形態において、樹脂層30を形成する際、樹脂層30となる樹脂は、まず、第1のプレート20と第2のプレート40の間に注入される。第1のプレート20は凸部212,222を有している。このため、樹脂層30を成形する際、樹脂層30となる樹脂を金型本体110に注入するときの圧力によって、第1のプレート20は金型本体110に押し付けられる。したがって、射出成形金型100に、第1のプレート20の移動を抑制するための構造を設けなくてもよい。この効果は、第2のプレート40に対しても得られる。
【0097】
また、凸部212,222,412,422があることにより、樹脂層30を形成する際、第1のプレート20と第2のプレート40の間に入った樹脂は、これらの間から流出した後、逆戻りもしづらくなる。したがって、樹脂層30を成形する際の収縮(ヒケ)が抑制され、樹脂層30の寸法精度は向上し、また、歯車10の外観もよくなる。
【0098】
さらに、凸部212,222,412,422があることにより、樹脂層30を形成する際、第1のプレート20と第2のプレート40の間に入った樹脂は、第1のプレート20の周方向に回り、その後、第1のプレート20の外側に向けて流動する。したがって、歯車10の幅方向で見た場合に、樹脂の配向方向は一定になりやすい。
【0099】
なお、凸部212,222,412,422の断面形状は、
図22に示すように三角形であってもよい。また、この断面形状は台形であってもよい。
【0100】
また、
図23に示すように、第1のプレート20のうち第2のプレート40に対向する面は、第1のプレート20の幅方向において、なだらかな凹みを有していてもよい。同様に、第2のプレート40のうち第1のプレート20に対向する面は、第2のプレート40の幅方向において、なだらかな凹みを有していてもよい。
【0101】
また、
図24に示すように、本実施形態においても、第1のプレート20は凹部26を有していてもよいし、第2のプレート40は凹部46を有していてもよい。
【0102】
(第5の実施形態)
図25は、第5の実施形態に係る歯車10の構成を示す断面図であり、第3の実施形態における
図20に対応している。本図に示す歯車10は、以下の点を除いて、第4の実施形態に係る歯車10と同様の構成を有している。
【0103】
まず、第1のプレート20は凹部214,224を有している。凹部214は第1のプレート20の内周側の側面に設けられており、凹部224は第1のプレート20の外周側の側面に設けられている。凹部214,224は、第1のプレート20の側面のうち樹脂層30に埋め込まれている部分に位置している。そして凹部214,224の中には樹脂層30の一部が入り込んでいる。このため、第1のプレート20は樹脂層30から抜けにくい。
【0104】
本図に示す例において、凹部214,224は第1のプレート20の側面のうち歯車10の表面側の端に設けられているため、凹部214,224のうち第2のプレート40とは逆側の面は開放されている。このようにすると、凹部214,224の中に樹脂層30は入り込みやすくなる。
【0105】
また、第2のプレート40は凹部414,424を有している。凹部414は第2のプレート40の内周側の側面に設けられており、凹部424は第2のプレート40の外周側の側面に設けられている。凹部414,424は、第2のプレート40の側面のうち樹脂層30に埋め込まれている部分に位置している。そして凹部414,424の中には樹脂層30の一部が入り込んでいる。このため、第2のプレート40は樹脂層30から抜けにくい。
【0106】
本図に示す例において、凹部414,424は第2のプレート40の側面のうち歯車10の表面側の端に設けられているため、凹部414,424のうち第1のプレート20とは逆側の面は開放されている。このようにすると、凹部414,424の中に樹脂層30は入り込みやすくなる。
【0107】
なお、本実施形態において、
図26に示すように、第1のプレート20は凹部26を有していてもよいし、第2のプレート40は凹部46を有していてもよい。
【0108】
また、凹部214,224,414,424は切り欠きであってもよい。
【0109】
(第6の実施形態)
図27は、第6の実施形態に係る歯車10の構成を示す斜視図である。
図28は、
図27に示した歯車10の断面図である。
図27及び
図28は、それぞれ第3の実施形態における
図19及び
図20に対応している。本図に示す歯車10は、以下の点を除いて、
図19及び
図20に示した歯車10と同様の構成を有している。
【0110】
まず、第1のプレート20は凹部26を有していない。その代わりに、第1のプレート20は第1部材60及び第2部材70を有している。
【0111】
また、第2のプレート40は凹部46を有していない。その代わりに、第2のプレート40は第1部材80及び第2部材90を有している。
【0112】
第2部材70,90は樹脂を用いて形成されており、第1部材60,80に固定されている。第2部材70,90を構成する樹脂としては、低収縮樹脂であるポリイミド(PI)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(PA6T)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の少なくとも一つであるが、これ以外の樹脂、例えばポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、液晶ポリマー(LCP)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラメチレンアジパミド(PA46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA66)、ポリノナメチレンテレフタラミド(PA9T)、ポリデカメチレンテレフタラミド(PA10T)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(PA12T)などの少なくとも一つであってもよい。
またこの樹脂は、汎用樹脂(ポリアミド(PA)、ポリカプロラクタム(PA6)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA等))であってもよい。
【0113】
第1部材60,80は、第2部材70よりも固い材料、例えばアルミニウム合金、マグネシウム合金、ステンレス合金、銅合金、鉄系合金、チタン合金、及びタングステン合金などの金属であるが、これらに限定されない。また、第1部材60は、樹脂やセラミックを用いて形成されていてもよい。ここで用いられる樹脂の一例は、Carbon Fiber Reinforced Plastics(CFRP)及びCarbon Fiber Reinforced Thermo Plastics(CFRTP)であるが、低収縮性の樹脂であってもよい。なお、第1部材60,80は同一の形状を有していてもよい。このようにすると、歯車10の製造コストが低くなる。
【0114】
そして、
図27に示すように、第1部材80には樹脂注入用の貫通孔86が設けられている。さらに、第2部材70のうち貫通孔86と重なる位置には、樹脂注入用の貫通孔が設けられている。貫通孔86が設けられることにより、第2部材70をインサート成形することができる。また、貫通孔86が設けられるとともに第2部材70に上記した貫通孔が設けられることにより、樹脂層30をインサート成形することができる。なお、これら樹脂注入用の貫通孔は、少なくとも部分的に、樹脂層30と同一の樹脂によって埋められていてもよい。
【0115】
第1部材60にも樹脂注入用の貫通孔が設けられている。また、第1部材80のうちこの貫通孔と重なる位置にも、樹脂注入用の貫通孔が設けられている。これら貫通孔の機能も、貫通孔86等と同様である。
【0116】
また、
図27及び
図28に示すように、第1部材60には位置固定用の貫通孔62が設けられている。貫通孔62は、後述する第2部材70のインサート形成時において、金型内の定位置に第1部材60を保持する際に使用される。また、貫通孔62は、樹脂層30を形成する際にも、金型内の定位置に第1部材80を保持するために使用される。
【0117】
また、第1部材80には位置固定用の貫通孔82が設けられている。貫通孔82の機能は、上述した貫通孔62の機能と同様である。
【0118】
なお、貫通孔62の側面は、第2部材90と同じ樹脂により覆われていてもよい。また、貫通孔82の側面は、第2部材90と同じ樹脂により覆われていてもよい。
【0119】
なお、本図に示す例において、第1部材60,80は、歯34に入り込んでいない。例えば第1部材60,80の内周側の縁及び外周側の縁は、いずれも円形である。すなわち第1のプレート20のうち歯34と重なる部分は第2部材70のみで形成されており、第2のプレート40のうち歯34と重なる部分は第2部材90のみで形成されている。このようにすると、第1のプレート20及び第2のプレート40を容易に製造できる。ただし、第1部材60,80は歯34に入り込んでいてもよい。
【0120】
そして第1のプレート20及び第2のプレート40は、いわゆるインサート成形法を用いて製造される。具体的には、第1のプレート20は、第1部材60を金型(第2金型の一例)内に配置し、この金型内に、第2部材70となる樹脂を貫通孔62を介して導入し、当該樹脂を固めることにより、成形される。第2のプレート40も同様の方法により成形される。
【0121】
ここで、第1部材60のうち第2部材70と接する領域の少なくとも一部(好ましくは全部)、及び、第1部材80のうち第2部材90と接する領域の少なくとも一部(好ましくは全部)は、樹脂金属接合を目的とした表面処理が施されているのが好ましい。この表面処理の一例は、微細な凹凸を形成する処理である。この場合、この凹凸の内部に第2部材70,90が入り込むため、第1部材60及び第2部材70の接合強度は高まり、また、第1部材80及び第2部材90の接合強度は高まる。なお、この凹凸は、例えば、間隔周期が0.1nm以上500μm以下である凸部(第3凸部)が林立した微細凹凸構造である。この上記間隔周期は、好ましくは0.5nm以上300μm以下、より好ましくは1nm以上200μm以下である。
【0122】
本実施形態によれば、第1のプレート20は第1部材60を有しており、また、第2のプレート40は第1部材80を有している。したがって、第1のプレート20及び第2のプレート40の強度は高まる。また、第1のプレート20が樹脂製の第2部材70を有していても、樹脂収縮が第1部材60及び第2部材70によって抑制される為、第1のプレート20の形状精度及び寸法精度は低下しにくい。第2のプレート40の形状精度及び寸法精度も、同様に低下しにくい。
【0123】
また、第1のプレート20は第2部材70を有している。第1のプレート20の外面は、第1のプレート20の上面を除いて第2部材70により形成されている。したがって、第1のプレート20の形状が複雑になっても、第1のプレート20を容易に製造できる。第2のプレート40についても同様である。
【0124】
なお、本実施形態において、
図29及び
図30に示すように、第2部材70に、第4の実施形態に示した凸部212,222を設けてもよい。また第2部材90に、第4の実施形態に示した凸部412,422を設けてもよい。
【0125】
(第7の実施形態)
図31は、第7の実施形態に係る歯車10の断面図である。本実施形態に係る歯車10は、以下の点を除いて、第6の実施形態に係る歯車10と同様である。
【0126】
まず、歯車10は、第5の実施形態に示した凹部214,224,414,424を有している。詳細には、凹部214,224は第2部材70に設けられており、凹部414,424は第2部材90に設けられている。
【0127】
また、第1部材60は凹部64(第2凹部)を有している。凹部64は第1部材60の側面に設けられている。本図に示す例において、凹部64は、第1部材60の内周側の側面及び外周側の側面の双方に設けられている。そして凹部64の中には第2部材70の一部が入り込んでいる。このため、第1部材60は第2部材70から抜けにくい。
【0128】
また、第1部材80は凹部84(第2凹部)を有している。凹部84は第1部材80の側面に設けられている。本図に示す例において、凹部84は、第1部材80の内周側の側面及び外周側の側面の双方に設けられている。そして凹部84の中には第2部材90の一部が入り込んでいる。このため、第1部材80は第2部材90から抜けにくい。
【0129】
本図に示す例において、凹部64は第1部材60の側面のうち歯車10の表面側の端に設けられているため、凹部64のうち第2のプレート40とは逆側の面は開放されている。このようにすると、凹部64の中に第2部材70は入り込みやすくなる。
【0130】
また、凹部84は第1部材80の側面のうち歯車10の表面側の端に設けられているため、凹部84のうち第1のプレート20とは逆側の面は開放されている。このようにすると、凹部84の中に第2部材90は入り込みやすくなる。
【0131】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0132】
10 歯車
20 第1のプレート
22 第1の貫通孔
26 凹部
30 樹脂層
34 歯
40 第2のプレート
42 第3の貫通孔
44 導入孔
46 凹部
48 貫通孔
60 第1部材
62 貫通孔
64 凹部
70 第2部材
71 側面
72 側面
80 第1部材
82 貫通孔
84 凹部
90 第2部材
91 側面
92 側面
100 射出成形金型
110 金型本体
112 凹部
120 支持部材
122 テーパ部
124 差込部
130 押出部材
140 樹脂導入流路
210 側面
212 凸部
214 凹部
220 側面
222 凸部
224 凹部
410 側面
412 凸部
414 凹部
420 側面
422 凸部
424 凹部