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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132808
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】半導体装置、検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01R31/28 V
G01R31/28 R
H01L27/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023162419
(22)【出願日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2023041529
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉村 宗高
(72)【発明者】
【氏名】古賀 一矢
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】片岡 祐熙
【テーマコード(参考)】
2G132
5F038
【Fターム(参考)】
2G132AA12
2G132AD01
2G132AK15
2G132AK22
2G132AL11
5F038BE05
5F038BE07
5F038DT15
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】外部端子数を増やすことなくケルビン接続による測定をテスト時に行うことができ、かつ電圧を正確に測定することができる半導体装置の提供。
【解決手段】半導体装置100は、半導体チップ110、リード120a及びリード120bを有し、半導体チップ110は、出力電流Io1及び出力電圧Vo1を供給するための内部配線111aと接続され、かつリード120aと電気的に接続されているパッドP1と、内部配線112aと接続され、かつリード120bと電気的に接続されているパッドP2と、内部配線112aと接続されている内部配線113aと、内部配線113aと接続され、かつリード120aとワイヤにより接続されているパッドP3と、内部配線112aにおいて内部配線113aとの接続点よりも前段の導通をオンオフするMOSトランジスタM1と、内部配線113aの導通をオンオフするMOSトランジスタM2と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップが電気的に接続されている複数のリードの一部が外部端子として封止樹脂からそれぞれ露出する半導体装置であって、
第1のリード及び第2のリードを有し、
前記半導体チップは、
第1の被測定電圧を供給するための第1の内部配線と、
前記第1の内部配線と接続され、かつ前記第1のリードと電気的に接続されている第1のボンディングパッドと、
第2の内部配線と接続され、かつ前記第2のリードと電気的に接続されている第2のボンディングパッドと、
前記第2の内部配線と接続されている第3の内部配線と、
前記第3の内部配線と接続され、かつ前記第1のリードと電気的に接続されている第3のボンディングパッドと、
前記第2の内部配線において前記第3の内部配線との接続点よりも前段の導通をオンオフする第1のスイッチング素子と、
前記第3の内部配線の導通をオンオフする第2のスイッチング素子と、
を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップは、
前記第1の被測定電圧を測定する際に、前記第1のスイッチング素子をオフにし、かつ前記第2のスイッチング素子をオンにする制御部を更に備えている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップは、
前記第2の内部配線が第2の被測定電圧を供給するとともに、
前記第1の内部配線と接続されている第4の内部配線と、
前記第4の内部配線と接続され、かつ前記第2のリードと電気的に接続されている第4のボンディングパッドと、
前記第1の内部配線において前記第4の内部配線との接続点よりも前段の導通をオンオフする第3のスイッチング素子と、
前記第4の内部配線の導通をオンオフする第4のスイッチング素子と、
を更に備えている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップは、
前記第1の被測定電圧を測定する際に、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子をオフ、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子をオンとし、
前記第2の被測定電圧を測定する際に、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子をオン、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子をオフにする制御部を更に備えている、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のリードと前記第1のボンディングパッド及び前記第3のボンディングパッド、並びに、前記第2のリードと前記第2のボンディングパッド及び前記第4のボンディングパッドは、ワイヤによって電気的に接続されている、
請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1のリードと前記第1のボンディングパッド及び前記第3のボンディングパッド、並びに、前記第2のリードと前記第2のボンディングパッド及び前記第4のボンディングパッドは、バンプによって電気的に接続されている、
請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置を検査する検査装置であって、
前記第1のリードと接触する第1のコンタクタと、
前記第2のリードと接触する第2のコンタクタと、
を有し、
前記第1のスイッチング素子をオフ、前記第2のスイッチング素子をオンにし、前記第1の被測定電圧を前記第2のコンタクタで測定する、
ことを特徴とする検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の検査装置が半導体装置を検査する検査方法であって、
前記第1のリードに第1のコンタクタを接触させ、
前記第2のリードに第2のコンタクタを接触させ、
前記第1のスイッチング素子をオフにし、前記第2のスイッチング素子をオンにし、
前記第1の被測定電圧を前記第2のコンタクタで測定する、
ことを含むことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージには、ダイパッド及び複数のリードが形成されているリードフレームに半導体チップが搭載され、複数のリードの一部が外部端子として封止樹脂からそれぞれ露出する樹脂封止型のパッケージを用いることが多い。
【0003】
このような半導体パッケージの半導体装置が、例えば、スイッチングレギュレータなどの電源用IC(Integrated Circuit)であると、製造時の検査工程でコンタクタ(接触子)を外部端子に接触させ、出力電流、出力電圧などを正確に測定する必要がある。この検査工程において、1つの外部端子に1つのコンタクタを接触させて出力電圧を測定すると、この外部端子とコンタクタとの接触部に生じる抵抗成分により電圧降下が生じる場合がある。このため、出力電流が大きいと電圧降下が大きくなってしまい、出力電圧を正確に測定できないときがある。
【0004】
これに対し、1つの外部端子に2つのコンタクタを接触させ、いわゆる「ケルビン接続」を用いて、一方のコンタクタに出力電流を流し、他方のコンタクタの後段に入力インピーダンスが高い電圧計を接続して出力電圧を測定する技術がある。この技術によれば、他方のコンタクタの接触部に生じる抵抗成分の影響を小さくして出力電圧を正確に測定することができる。
【0005】
このケルビン接続を応用した半導体装置が多く提案されている。例えば、半導体装置の小型化に伴い外部端子の狭面積化が進んでおり、特にBGA(Ball Grid Array)などでは1つの外部端子に2つのコンタクタを接触させることが困難になっている。そこで、ケルビン接続のために外部端子を新たに設けることをせずに、半導体チップの回路内のスイッチ群により出力経路を分岐させ別の外部端子とのケルビン接続を行うようにした半導体装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-133166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの側面では、外部端子数を増やすことなくケルビン接続による測定をテスト時に行うことができ、かつ電圧を正確に測定することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態における半導体装置は、
半導体チップが電気的に接続されている複数のリードの一部が外部端子として封止樹脂からそれぞれ露出する半導体装置であって、
第1のリード及び第2のリードを有し、
前記半導体チップは、
第1の被測定電圧を供給するための第1の内部配線と、
前記第1の内部配線と接続され、かつ前記第1のリードと電気的に接続されている第1のボンディングパッドと、
第2の内部配線と接続され、かつ前記第2のリードと電気的に接続されている第2のボンディングパッドと、
前記第2の内部配線と接続されている第3の内部配線と、
前記第3の内部配線と接続され、かつ前記第1のリードと電気的に接続されている第3のボンディングパッドと、
前記第2の内部配線において前記第3の内部配線との接続点よりも前段の導通をオンオフする第1のスイッチング素子と、
前記第3の内部配線の導通をオンオフする第2のスイッチング素子と、
を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの側面によれば、外部端子数を増やすことなくケルビン接続による測定をテスト時に行うことができ、かつ電圧を正確に測定することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態における半導体装置を示す説明図である。
図2図2は、第1の実施形態における半導体装置の出力電圧をICテスタで測定する状態を示す説明図である。
図3図3は、第2の実施形態における半導体装置を示す説明図である。
図4A図4Aは、第2の実施形態における半導体装置の出力電圧をICテスタで測定する状態を示す説明図である。
図4B図4Bは、第2の実施形態における半導体装置の出力電圧をICテスタで測定する状態を示す説明図である。
図5図5は、第3の実施形態における半導体装置を示す説明図である。
図6図6は、図5のVI-VI線における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、特許文献1に記載の発明では、半導体チップ内で分岐してケルビン接続を行うことからその分岐での電圧を測定してしまい、本来測定すべき外部端子での電圧を正確に測定できていない、という知見に基づくものである。
【0012】
まず、ケルビン接続を用いる理由を詳細に説明すると、以下のとおりである。
【0013】
製造時の検査工程において半導体装置の外部端子とICテスタのコンタクタとの間には、例えば、接触圧不足、異物介在などにより意図しない抵抗成分が生じる場合がある。具体的には、この抵抗成分が0.1Ωであるとして、1つの外部端子に1つのコンタクタを接触させて出力電圧を測定すると、電源用ICが1Vの電圧で1Aの電流を供給するときには、この抵抗成分により0.1Vの電圧降下が生じる。このため、出力電圧が0.9Vと測定されてしまい、出力電圧規格が±5%未満であると、この電源用ICは良品にもかかわらず不良判定となる。
【0014】
このように、検査工程での良否判定においてこの抵抗成分を無視することができない場合には、いわゆるケルビン接続を用いた測定を行うことがある。このケルビン接続を用いた測定では、半導体装置の外部端子からICテスタのコンタクタに出力電流をシンクする端子(以下、「フォース端子」と称する場合がある)と出力電圧を測定する端子(以下、「センス端子」と称する場合がある)の2端子を接触させる。外部端子とコンタクタとの間に抵抗成分が生じるが、フォース端子に出力電流をシンクする際は、シンクしたい電流に達するまでICテスタが自動的に電位を下げることで調整する。センス端子の後段に接続されているICテスタの電圧計は入力インピーダンスが高いため、出力電圧の測定誤差を少なくすることができる。具体的には、前述のように抵抗成分が0.1Ωである場合には、入力インピーダンスが1MΩの電圧計を用いると抵抗成分による電圧降下は、次式、1V×{0.1Ω/(1MΩ+0.1Ω)}≒0.0001mV、となり極めて小さいことから、良否判定を正確に行うことができる。
【0015】
このように、ケルビン接続を用いた測定は、接触抵抗の影響を考慮して出力電圧を正確に測定する際に有用であるが、小型化が進んでいる半導体装置に対しては不向きな面がある。
【0016】
半導体装置の小型化に伴い、その外部端子も小さくなっておりノンリード型も存在するようになった。具体的には、外部端子のサイズとしては、0.2mm角程度のものが存在する。このくらいのサイズの外部端子に2つのコンタクタでケルビン接続を行うと、コンタクタが外部端子に接触しなかったり、2つのコンタクタが異物などで電気的に短絡したりする可能性が高くなる。また、コンタクタを用いない方法としては、例えば、1つの外部端子に2つのコンタクタを接続できるようなソケットを作製する方法があるが、この方法では多額の費用がかかる。さらに、別の方法としては、互いに電気的に接続されている複数の外部端子を半導体装置に設ける方法があるが、複数の外部端子を設けると端子数が増えてしまい小型化できなくなる。
【0017】
また、特許文献1に記載の発明では、端子数を増やすことなくケルビン接続による測定を行うことができるが、半導体チップ内で出力経路を分岐させていることから、その分岐での電圧を測定することになり、本来測定すべき外部端子での電圧ではない。このため、製造時における半導体装置の検査として測定すべき外部端子での出力電圧を正確に測定できないことがある。
【0018】
そこで、本発明の一実施形態では、特許文献1に記載の発明のように半導体チップ内で出力経路を分岐させるのではなく、出力経路に接続されている外部端子からワイヤ又はバンプによりケルビン接続して分岐させ、半導体チップ内を通じて別の外部端子に接続可能にした。検査では、半導体チップ内の分岐経路に設けられているスイッチング素子を切り替えて別の外部端子から出力電圧を測定するようにした。
【0019】
これにより、本発明の一実施形態は、外部端子数を増やすことなくケルビン接続による測定をテスト時に行うことができ、かつ電圧を正確に測定することができる。
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための一形態について詳細に説明する。
【0021】
なお、図面においては、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における半導体装置を示す説明図である。
【0022】
図1に示すように、半導体装置100は、半導体チップ110並びに第1及び第2のリードとしてのリード120a、120bを封止樹脂130で覆うことにより保護されている樹脂封止型のパッケージである。リード120a、120bの一部は、封止樹脂130から露出している。リード120a、120bの露出している部分は、それぞれ外部端子として機能する。
【0023】
この半導体装置100は、例えば、電源用ICであり、1A以上の比較的大きな電流をリード120aから供給するほか、例えば、リード120bに入力される電圧により動作を停止できるイネーブル機能などの他の機能を有する。
【0024】
半導体チップ110は、電源用ICとしての機能を動作させるための内部回路を備えている。この内部回路は、リード120aと接続されている出力段111と、リード120bと接続されている入力段112とをその一部として備えている。また、半導体チップ110は、制御部113と、第1及び第2のスイッチング素子としてのMOSトランジスタM1、M2と、第1、第2及び第3のボンディングパッドとしてのパッドP1、P2、P3とを更に備えている。
【0025】
出力段111は、所定の出力電流及び出力電圧を供給するために機能する内部回路の出力段である。出力段111は、第1の内部配線としての内部配線111aを通じてパッドP1に接続されている。この出力段111は、パッドP1に接続されたワイヤW1を通じて出力電流及び出力電圧をリード120aに供給する。
【0026】
入力段112は、半導体装置100の他の機能を動作させるための内部回路の入力段である。入力段112は、第2の内部配線としての内部配線112aを通じて、パッドP2に接続されている。この入力段112は、パッドP2に接続されたワイヤW2を介し、他の機能を動作させる制御信号がリード120bから入力される。
【0027】
検査工程での出力電圧の測定では、内部配線112aに配置されているMOSトランジスタM1がオフになることにより、入力段112とパッドP2が導通しないようにする。
【0028】
制御部113は、検査工程での出力電圧の測定において、出力電圧を測定するための制御信号を他のリードから入力されることにより、MOSトランジスタM1、M2をそれぞれオンオフする。
【0029】
具体的には、検査工程ではリード120aにおける出力電圧をケルビン接続により測定できるように、制御部113は、MOSトランジスタM1をオフに切り替え、MOSトランジスタM2をオンに切り替える。このように制御することにより、リード120aにICテスタのフォース端子を接触させて出力電流を流せる状態にするとともに、リード120bにICテスタのセンス端子を接触させて出力電圧を測定できる状態にする。
【0030】
この検査以外では、制御部113は、MOSトランジスタM1をオンに切り替え、MOSトランジスタM2をオフに切り替える。このように制御することにより、半導体装置100が通常の動作をできるように、出力段111が出力電流及び出力電圧をリード120aに供給できるようにし、入力段112がリード120bから他の機能を動作させるための制御信号を受け付ける状態にする。
【0031】
MOSトランジスタM1は、入力段112とパッドP2との間の内部配線112aに接続されている。このMOSトランジスタM1は、制御部113から出力される制御信号s1に従い、内部配線112aの導通をオンオフする。
【0032】
MOSトランジスタM2は、内部配線112aとパッドP3との間の内部配線113aに接続されている。このMOSトランジスタM2は、制御部113から出力される制御信号s2に従い、内部配線113aの導通をオンオフする。
【0033】
パッドP1、P2、P3は、半導体チップ110の表面に形成されている。パッドP1、P2、P3の表面は、アルミニウム合金などで覆われており、ワイヤボンディングなどによる接続が可能になっている。
【0034】
パッドP1は、内部配線111aを通じて出力段111と接続されている。また、パッドP1は、ワイヤW1を通じてリード120aと接続されている。
【0035】
パッドP2は、内部配線112aを通じて入力段112と接続されている。また、パッドP2は、ワイヤW2を通じてリード120bと接続されている。
【0036】
パッドP3は、内部配線113aを通じて内部配線112aと接続されている。また、パッドP3は、ワイヤW3を通じてリード120aと接続されている。
【0037】
リード120a、120bは、例えば、エッチング加工、プレス加工、曲げ加工などがなされた銅合金などにより形成されている。リード120a、120bの一部は、封止樹脂130から露出しており、外部端子として機能する。
【0038】
リード120aは、ワイヤW1、パッドP1及び内部配線111aを通じて出力段111と電気的に接続されており、出力段111からの出力電流及び出力電圧を供給する。また、検査工程での出力電圧の測定では、リード120aの露出部分である外部端子にICテスタのフォース端子が接触する。
【0039】
リード120bは、ワイヤW2、パッドP2、内部配線112a及びMOSトランジスタM1を通じて入力段112と電気的に接続されており、他の機能を動作させる制御信号が入力される。また、検査工程での出力電圧の測定では、リード120bの露出部分である外部端子にICテスタのセンス端子が接触する。
【0040】
封止樹脂130は、リード120a、120bの一部、半導体チップ110及びワイヤW1、W2、W3を保護するとともに、半導体装置100の外形を形成する。
【0041】
封止樹脂130の材質としては、特に制限することなく適宜選択することができ、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0042】
図2は、第1の実施形態における半導体装置をICテスタで出力電圧を測定する状態を示す説明図である。
【0043】
図2に示すように、検査装置としてのICテスタ10は、半導体装置100の電気的特性を検査するために、フォース端子であるコンタクタ11aと、センス端子であるコンタクタ11bと、電流計12と、電圧計13とを備えている。
【0044】
ICテスタ10は、半導体装置100の出力電圧Vo1を測定する際に、その測定のための制御信号を半導体装置100の他のリードから制御部113に入力する。これにより、制御部113は、MOSトランジスタM1をオフに切り替え、MOSトランジスタM2をオンに切り替える。
【0045】
次に、ICテスタ10は、リード120a、120bにコンタクタ11a、11bをそれぞれ接触させ、コンタクタ11aから出力電流Io1を電流計12で測定して電位を調整すると、コンタクタ11bから出力電圧Vo1を電圧計13で測定する。
【0046】
なお、コンタクタ11a、11bとリード120a、120bとの各接触部にはそれぞれ抵抗成分CRが生じる。リード120aから電圧計13までの経路においては、この抵抗成分CRのほか、ワイヤW2,W3などのmΩ単位の抵抗成分が生じるが、電圧計13の入力インピーダンスがMΩ単位と高いため、これらの抵抗成分の影響は極めて少ない。
【0047】
このように、ICテスタ10は、半導体チップ110でのスイッチングによりケルビン接続を用いた測定を実現でき、「リード120a」における出力電圧Vo1の測定を「リード120b」を通じて正確に行うことができる。
【0048】
なお、本実施形態では、リード120bに接続されている内部回路の一部を入力段112としたが、これに限ることなく、半導体装置100における通常の動作では出力段111と接続しない内部回路の一部などであればよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、1つの出力に対し、他の機能を動作させるための外部端子を含めた2つの外部端子でケルビン接続による測定を可能としたが、第2の実施形態では、2つの出力に対し2つの外部端子でケルビン接続による測定を可能とした。
【0049】
図3は、第2の実施形態における半導体装置を示す説明図である。
【0050】
図3に示すように、第2の実施形態における半導体装置200は、第1の実施形態の半導体装置100における入力段112を出力段115に置き換えたものである。この出力段115からの出力電圧をケルビン接続により測定できるように、半導体装置200は、半導体装置100の構成に加え、内部配線114a、MOSトランジスタM3、M4、パッドP4及びワイヤW4を更に備えている。
【0051】
このため、以下では半導体装置100と同じ構成については説明を省略し、出力段115、内部配線114a、MOSトランジスタM3、M4、パッドP4及びワイヤW4についての詳細を説明する。
【0052】
出力段115は、出力段111と同様に、所定の出力電流及び出力電圧を供給するために機能する内部回路の出力段である。出力段115は、内部配線112aを通じてパッドP2に接続されている。この出力段115は、パッドP2に接続されたワイヤW2を通じて出力電流及び出力電圧をリード120bに供給する。
【0053】
MOSトランジスタM3は、出力段111とパッドP1との間の内部配線111aに接続されている。このMOSトランジスタM3は、制御部113から出力される制御信号s3に従い、内部配線111aの導通をオンオフする。
【0054】
MOSトランジスタM4は、内部配線111aとパッドP4との間の内部配線114aに接続されている。このMOSトランジスタM4は、制御部113から出力される制御信号s4に従い、内部配線114aの導通をオンオフする。
【0055】
パッドP4は、パッドP1、P2、P3と同様に、半導体チップ110の表面に形成されている。パッドP4の表面は、アルミニウム合金などで覆われており、ワイヤボンディングなどによる接続が可能になっている。
【0056】
パッドP4は、内部配線114aを通じて内部配線111aと接続されている。また、パッドP4は、ワイヤW4を通じてリード120bと接続されている。
【0057】
図4A及び図4Bは、第2の実施形態における半導体装置の出力電圧をICテスタで測定する状態を示す説明図である。図4Aは、出力段111の出力電圧Vo1を測定する際の状態を示す。図4Bは、出力段115の出力電圧Vo2を測定する際の状態を示す。
【0058】
なお、第2の実施形態におけるICテスタ10は、第1の実施形態におけるICテスタ10と同様であるため、その説明を省略する。
【0059】
ICテスタ10は、出力段111の出力電圧Vo1を測定する際に、その測定のための制御信号を他のリードから制御部113に入力する。これにより、制御部113は、MOSトランジスタM1をオフに切り替え、MOSトランジスタM2をオンに切り替える。また、制御部113は、MOSトランジスタM3をオンで維持し、MOSトランジスタM4をオフで維持する。
【0060】
次に、ICテスタ10は、第1の実施形態と同様に、リード120a、120bにコンタクタ11a、11bをそれぞれ接触させ、コンタクタ11aから出力電流Io1を電流計12で測定して電位を調整するとコンタクタ11bから出力電圧Vo1を電圧計13で測定する。
【0061】
次に、ICテスタ10は、出力段115の出力電圧Vo2を測定する際に、その測定のための制御信号を他のリードから制御部113に入力する。これにより、制御部113は、MOSトランジスタM1をオンに切り替え、MOSトランジスタM2をオフに切り替える。また、制御部113は、MOSトランジスタM3をオフに切り替え、MOSトランジスタM4をオンに切り替える。
【0062】
次に、ICテスタ10は、その内部のスイッチングにより、コンタクタ11aを電圧計13と接続させ、コンタクタ11bを電流計12と接続する。接続を切り替えた後、ICテスタ10は、リード120a、120bにコンタクタ11a、11bをそれぞれ接触させ、コンタクタ11bから出力電流Io2を電流計12で測定して電位を調整すると、コンタクタ11aから出力電圧Vo2を電圧計13で測定する。
【0063】
出力電圧Vo2の測定においても、リード120bから電圧計13までの経路では、接触部の抵抗成分CRのほか、ワイヤW1、W4などのmΩ単位の抵抗成分が生じるが、電圧計13の入力インピーダンスがMΩ単位と高いため、これらの抵抗成分の影響は極めて少ない。
【0064】
このように、ICテスタ10は、半導体チップ210でのスイッチングによりケルビン接続を用いた測定を実現でき、「リード120a」における出力電圧Vo1及び「リード120b」における出力電圧Vo2の測定を正確に行うことができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、パッドP1、P2、P3とリード120a、120bとをワイヤW1、W2、W3でそれぞれ電気的に接続したが、第3の実施形態では、フリップチップ工法によりAuバンプで電気的に接続するようにした。
【0065】
図5は、第3の実施形態における半導体装置を示す説明図である。図6は、図5のVI-VI線における概略断面図である。
【0066】
図5及び図6に示すように、第3の実施形態における半導体装置300は、フリップチップ工法によりパッドP1、P2、P3とリード320a、320bとがAuバンプB1、B2、B3でそれぞれ電気的に接続されている。
【0067】
これにより、フリップチップ工法を用いた半導体装置300は、ワイヤのループ高さに合わせて製品を高くする必要がなくなるため、ワイヤボンディングを用いた半導体装置100よりも低背化することができる。また、半導体装置300がスイッチングレギュレータなどの場合には、パッドからリードまでの経路が短いため、出力電流が大きくてもノイズが発生しにくくなる。
【0068】
なお、本実施形態ではバンプの材質をAuとしたが、これに限ることはなく、例えばCu、はんだなどとしてもよい。
【0069】
以上説明したように、本発明の一実施形態における半導体装置は、半導体チップが電気的に接続されている複数のリードの一部が外部端子として封止樹脂からそれぞれ露出する半導体装置であって、第1のリード及び第2のリードを有する。この半導体チップは、第1~第3のボンディングパッドを備えている。第1のボンディングパッドは、第1の被測定電流及び第1の被測定電圧を供給するための第1の内部配線と接続され、かつ第1のリードと電気的に接続されている。第2のボンディングパッドは、第2の内部配線と接続され、かつ第2のリードと電気的に接続されている。第3のボンディングパッドは、第2の内部配線と接続されている第3の内部配線と接続され、かつ第1のリードと電気的に接続されている。さらに、半導体チップは、第2の内部配線において第3の内部配線との接続点よりも前段の導通をオンオフする第1のスイッチング素子と、第3の内部配線の導通をオンオフする第2のスイッチング素子と、を備えている。
【0070】
これにより、この半導体装置は、外部端子数を増やすことなくケルビン接続による測定をテスト時に行うことができ、かつ電圧を正確に測定することができる。
【0071】
なお、上記の実施形態では、電源用ICの出力電圧を測定対象としたが、これに限ることなく、測定対象が電圧であればよい。
【0072】
また、上記の実施形態では、制御部が半導体チップに設けられている態様としたが、これに限ることなく、制御部が半導体チップ外に設けられていてもよく、例えば、ICテスタ側に制御部が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 ICテスタ(検査装置)
11a コンタクタ(第1のコンタクタ)
11b コンタクタ(第2のコンタクタ)
12 電流計
13 電圧計
100、200、300 半導体装置
110、210 半導体チップ
111 出力段
111a 内部配線(第1の内部配線)
112 入力段
112a 内部配線(第2の内部配線)
113 制御部
113a 内部配線(第3の内部配線)
114a 内部配線(第4の内部配線)
120a、320a リード(第1のリード)
120b、320b リード(第2のリード)
130 封止樹脂
CR 接触抵抗
B1、B2、B3 Auバンプ
Io1 出力電流(第1の被測定電流)
Io2 出力電流(第2の被測定電流)
M1 MOSトランジスタ(第1のスイッチング素子)
M2 MOSトランジスタ(第2のスイッチング素子)
M3 MOSトランジスタ(第3のスイッチング素子)
M4 MOSトランジスタ(第4のスイッチング素子)
P1 パッド(第1のボンディングパッド)
P2 パッド(第2のボンディングパッド)
P3 パッド(第3のボンディングパッド)
P4 パッド(第4のボンディングパッド)
Vo1 出力電圧(第1の被測定電圧)
Vo2 出力電圧(第2の被測定電圧)
W1、W2、W3、W4 ワイヤ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6