(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132813
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
A47F 3/04 20060101AFI20240920BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A47F3/04 H
F25D17/08 320A
F25D17/08 320B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167534
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2023043410
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健
(72)【発明者】
【氏名】木下 卓
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110BA05
3B110CA16
(57)【要約】
【課題】エアカーテンを良好に形成することにより、温度調整の負荷の低減化を図ること。
【解決手段】ケース本体10の内部にケース本体10の前面開口10aを臨む態様で設けられた収納室11と、収納室11に上下方向に沿って複数段設けられた商品載置棚12と、収納室11の前方下部に開口する吸込口23より収納室11の空気を吸い込み、収納室11の前方上部に開口する吹出口24から収納室11に空気を吹き出す態様で、収納室11の内部と外部との間で空気を循環させる空気循環手段20と、空気循環手段20により循環させられる空気を冷却する蒸発器25とを備え、商品載置棚12に載置された商品を所望の温度状態に保持するショーケース1であって、吹出口24を閉塞する態様で配設され、吹出口24から吹き出される空気の流れを整える整流部材30と、整流部材30の下端部より下方に向けて延在する態様で設けられたカーテン部材40とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体の内部に該ケース本体の前面開口を臨む態様で設けられた収納室と、
前記収納室に上下方向に沿って複数段設けられた商品載置棚と、
前記収納室の前方下部に開口する吸込口より前記収納室の空気を吸い込み、かつ前記収納室の前方上部に開口する吹出口から前記収納室に空気を吹き出す態様で、前記収納室の内部と外部との間で空気を循環させる空気循環手段と、
前記空気循環手段により循環させられる空気を所定の温度に調整する温度調整手段と
を備え、前記商品載置棚に載置された商品を所望の温度状態に保持するショーケースであって、
前記吹出口を閉塞する態様で配設され、かつ該吹出口から吹き出される空気の流れを整える整流部材と、
前記整流部材の下端部より下方に向けて延在する態様で設けられたカーテン部材と
を備えたことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記カーテン部材は、前記整流部材の下端部より鉛直方向下向きに延在していることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記カーテン部材は、前記整流部材の左右方向の全域に亘って延在していることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項4】
前記カーテン部材は、上端部分が前記整流部材に進入するとともに、下端部分が前記整流部材の下端部より下方に向けて延在する態様で設けられたことを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項5】
前記整流部材は、前記吹出口が前側吹出口と後側吹出口とを有する場合、該前側吹出口及び該後側吹出口を閉塞する共通のものであり、
前記カーテン部材は、前記上端部分が前記前側吹出口と前記後側吹出口との境界部分に連続する態様で設けられたことを特徴とする請求項4に記載のショーケース。
【請求項6】
前記カーテン部材は、前記上端部分が硬質材料により形成され、かつ前記下端部分が該上端部分よりも軟質な軟質材料により形成されたことを特徴とする請求項5に記載のショーケース。
【請求項7】
前記カーテン部材は、少なくとも前記整流部材の下端部より下方に向けて延在する部分が可撓性及び透光性を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載のショーケース。
【請求項8】
前記カーテン部材の前方側において、前記整流部材の下端部より下方に向けて延在する態様で設けられた補助カーテン部材を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のショーケース。
【請求項9】
前記補助カーテン部材は、前記整流部材の下端部より鉛直方向下向きに延在していることを特徴とする請求項8に記載のショーケース。
【請求項10】
前記補助カーテン部材は、前記整流部材の左右方向の全域に亘って延在していることを特徴とする請求項8に記載のショーケース。
【請求項11】
前記整流部材は、2つの整流構成部を前後に組み合わせて構成され、
前記整流構成部は、
通過する空気を整流させるハニカム構造の整流部と、
前記整流部よりも硬質な材料に形成され、該整流部を挟み込むように構成された補強部と
を備え、
前記カーテン部材は、後方側の整流構成部を構成する補強部を下方に延設させて形成され、
前記補助カーテン部材は、前方側の整流構成部を構成する補強部下方に延設させて形成されたことを特徴とする請求項8に記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースに関し、より詳細には、商品を所望の温度状態に保持するショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケース本体の前面開口を臨む収納室に収納された商品を所望の温度状態に保持するショーケースが特許文献1に提案されている。かかるショーケースでは、収納室の前方下部に開口する吸込口を通じて吸い込んだ空気を蒸発器にて冷却し、収納室の前方上部に開口する吹出口より吹き出させることにより、収納室における各段の商品載置棚に載置された商品を冷却していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に提案されているショーケースでは、吹出口からの吹出方向にバラツキが生じてしまい、吸込口には外気も比較的多く吸い込まれることとなっていた。そのため、吹出口から吹き出された空気が吸込口に吸い込まれることによるエアカーテンの形成が不十分なものとなり、温度調整の負荷の増大化を招来していた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、エアカーテンを良好に形成することにより、温度調整の負荷の低減化を図ることができるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るショーケースは、ケース本体の内部に該ケース本体の前面開口を臨む態様で設けられた収納室と、前記収納室に上下方向に沿って複数段設けられた商品載置棚と、前記収納室の前方下部に開口する吸込口より前記収納室の空気を吸い込み、かつ前記収納室の前方上部に開口する吹出口から前記収納室に空気を吹き出す態様で、前記収納室の内部と外部との間で空気を循環させる空気循環手段と、前記空気循環手段により循環させられる空気を所定の温度に調整する温度調整手段とを備え、前記商品載置棚に載置された商品を所望の温度状態に保持するショーケースであって、前記吹出口を閉塞する態様で配設され、かつ該吹出口から吹き出される空気の流れを整える整流部材と、前記整流部材の下端部より下方に向けて延在する態様で設けられたカーテン部材とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記カーテン部材は、前記整流部材の下端部より鉛直方向下向きに延在していることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記カーテン部材は、前記整流部材の左右方向の全域に亘って延在していることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記カーテン部材は、上端部分が前記整流部材に進入するとともに、下端部分が前記整流部材の下端部より下方に向けて延在する態様で設けられたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記整流部材は、前記吹出口が前側吹出口と後側吹出口とを有する場合、該前側吹出口及び該後側吹出口を閉塞する共通のものであり、前記カーテン部材は、前記上端部分が前記前側吹出口と前記後側吹出口との境界部分に連続する態様で設けられたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記カーテン部材は、前記上端部分が硬質材料により形成され、かつ前記下端部分が該上端部分よりも軟質な軟質材料により形成されたことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記カーテン部材は、少なくとも前記整流部材の下端部より下方に向けて延在する部分が可撓性及び透光性を有することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記カーテン部材の前方側において、前記整流部材の下端部より下方に向けて延在する態様で設けられた補助カーテン部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記補助カーテン部材は、前記整流部材の下端部より鉛直方向下向きに延在していることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記補助カーテン部材は、前記整流部材の左右方向の全域に亘って延在していることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記整流部材は、2つの整流構成部を前後に組み合わせて構成され、前記整流構成部は、通過する空気を整流させるハニカム構造の整流部と、前記整流部よりも硬質な材料に形成され、該整流部を挟み込むように構成された補強部とを備え、前記カーテン部材は、後方側の整流構成部を構成する補強部を下方に延設させて形成され、前記補助カーテン部材は、前方側の整流構成部を構成する補強部下方に延設させて形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、吹出口を閉塞する態様で配設された整流部材が、該吹出口から吹き出される空気の流れを整え、カーテン部材が、整流部材の下端部より下方に向けて延在する態様で設けられているので、整流部材の下端部から吹き出される空気は、コアンダ効果によりカーテン部材の下端部分の前面及び後面に沿って流れることで、カーテン部材の延在方向に誘導されて吸込口に吸い込まれ、エアカーテンを良好に形成することができる。このようにして形成されるエアカーテンにより、前面開口からの外気の進入を遮断するとともに、収納室の内部にある商品、すなわち商品載置棚に載置された商品を冷却して所望の温度に保持することができる。従って、エアカーテンを良好に形成することにより、温度調整の負荷の低減化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1であるショーケースの内部構造を模式的に示す断面側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したショーケースの要部を拡大して示す拡大断面図である。
【
図3】
図3の(a)は、
図2に示したカーテン部材の装着例を示した断面図であり、
図3の(b)及び
図3の(c)は、カーテン部材の変形例を示した断面図である。
【
図4】
図4は、商品載置棚に通風孔部が形成された場合におけるカーテン部材の空気の誘導例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態2であるショーケースの内部構造を模式的に示す断面側面図である。
【
図6】
図6の(a)は、
図5に示した整流部材等を模式的に示す断面図であり、
図6の(b)は、整流部材等を分解した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るショーケースの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1であるショーケースの内部構造を模式的に示す断面側面図である。ここで例示するショーケース1は、ケース本体10を備えている。
【0021】
ケース本体10は、前面に開口(以下、前面開口ともいう)10aを有した断熱筐体であり、その内部には収納室11が画成されているとともに、空気循環手段20が設けられている。
【0022】
収納室11は、上記前面開口10aを臨む態様で画成された室であり、複数(図示の例では8つ)の商品載置棚12が上下方向に沿って複数段並べて配設されている。商品載置棚12は、それぞれ商品を載置するためのものである。かかる収納室11の底部にはデッキ13が配設されている。このデッキ13は、上記商品載置棚12と同様に、商品を載置するためのものである。
【0023】
空気循環手段20は、空気通路21と循環ファン22とを備えて構成されている。空気通路21は、吸込口23から吹出口24に至る空気の通路である。ここに吸込口23は、収納室11の内部の空気を吸い込むためのものであり、収納室11の左右方向に沿って延設されている。この吸込口23は、収納室11の前方下部に開口している。
【0024】
吹出口24は、図示の例では2つ設けられており、収納室11の内部に空気を吹き出すための開口である。これら吹出口24は、それぞれが収納室11の左右方向に延設されており、収納室11の上側前方縁部、すなわちケース本体10の前面開口10a近傍の上部に前後に並設されている。つまり、吹出口24は、収納室11の前方上部に開口している。
【0025】
このような空気通路21は、収納室11外であってその下方にある下方ダクト21aと、収納室11外であってその背面側にある背面ダクト21bと、収納室11外であってその上方にある上方ダクト21cとを互いに連通した態様で構成されている。また、空気通路21は、下方ダクト21aの途中から2つに分かれており、外方通路211が一方の吹出口24(以下、前側吹出口24aともいう)に通じ、内方通路212が他方の吹出口24(以下、後側吹出口24bともいう)に通じている。
【0026】
循環ファン22は、空気を循環させるものであり、下方ダクト21aの所定部位に配設されている。本実施の形態1においては、循環ファン22は下方ダクト21aの所定部位に配設されているが、本発明では、循環ファン22の配設位置は特に限定されるものではなく、後述する循環ファン22の機能を発揮することができる個所であればどこに配設しても構わない。
【0027】
このような空気循環手段20においては、循環ファン22が駆動することにより吸込口23を通じて空気を吸い込み、吸い込んだ空気が空気通路21を通過する態様で吹出口24まで送出し、吹出口24を通じて送出した空気を収納室11の内部に吹き出すことにより、吹き出された空気が再び吸込口23に吸い込まれるようにして収納室11の内部と外部との間で空気を循環させるものである。
【0028】
上記空気通路21の内方通路212には、蒸発器25が設けられている。蒸発器25は、図示せぬ圧縮機、凝縮器及び膨張機構とともに冷媒を循環させる冷媒循環手段を構成する。ここに圧縮機は、冷媒を圧縮するものであり、凝縮器は、圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させるものである。膨張機構は、凝縮器で凝縮された冷媒を断熱膨張させて低温低圧の状態にさせるものである。
【0029】
蒸発器25は、循環ファン22が駆動することにより内方通路212を下方から上方に向けて通過する空気と、膨張機構で断熱膨張させた冷媒とを熱交換させるもの、より詳細には、冷媒を蒸発させることにより内方通路212を通過する空気を冷却するものである。この蒸発器25で蒸発した冷媒は、再び圧縮機に戻り圧縮されることになる。
【0030】
上記ケース本体10においては、
図2に示すように、整流部材30及びカーテン部材40が設けられている。
【0031】
整流部材30は、前側吹出口24a及び後側吹出口24bを閉塞する態様で配設された共通のものであり、図には明示しないがハニカム構造を有している。この整流部材30は、前側吹出口24a及び後側吹出口24bから吹き出される空気の流れを整えるためのものである。
【0032】
カーテン部材40は、透光性を有するとともに可撓性を有する材料から形成されたシート状のものである。このカーテン部材40は、上端部分41が整流部材30に進入しつつ下端部分42が整流部材30の下端部から鉛直方向下向きに延在する態様で配設されている。
【0033】
かかるカーテン部材40は、左右寸法が整流部材30の左右寸法に略等しく、整流部材30の左右方向の全域に亘って延在している。また、カーテン部材40の下端部分42の上下寸法、すなわち整流部材30の下端部からの延在長さは、例えば100~150mm程度である。更に、カーテン部材40の上端部分41は、前側吹出口24aと後側吹出口24bとの境界部分24cに連続していることが好ましい。
【0034】
そのような整流部材30及びカーテン部材40は、
図3の(a)に示すように、整流部材30を構成する2つの構成要素31,32でカーテン部材40の上端部分41を挟み込むようにして互いに接着させて構成されている。
【0035】
以上のような構成を有するショーケース1においては、循環ファン22及び圧縮機が駆動することにより、吸込口23を通じて吸い込まれた空気が、下方ダクト21aを通過し、その途中から外方通路211及び内方通路212のいずれかに進入する。
【0036】
外方通路211に進入した空気は、背面ダクト21b及び上方ダクト21cを通じて前側吹出口24aに至る。一方、下方ダクト21aの途中から内方通路212に進入した空気は、蒸発器25を通過して冷却され、冷気となって背面ダクト21b及び上方ダクト21cを通過し、後側吹出口24bに至る。
【0037】
前側吹出口24a及び後側吹出口24bは、整流部材30に閉塞されているので、前側吹出口24aに至った空気及び後側吹出口24bに至った空気は、該整流部材30を通過してその下端部より下方に吹き出される。
【0038】
上述したように、カーテン部材40が、上端部分41が整流部材30に進入しつつ下端部分42が整流部材30の下端部から鉛直方向下向きに延在する態様で配設されているので、整流部材30の下端部から吹き出される空気は、コアンダ効果によりカーテン部材40の下端部分42の前面及び後面に沿って流れることで、カーテン部材40の延在方向(鉛直方向下向き)に誘導されて吸込口23に吸い込まれ、エアカーテンを良好に形成することができる。このようにして形成されるエアカーテンにより、前面開口10aからの外気の進入を遮断するとともに、収納室11の内部にある商品、すなわち商品載置棚12及びデッキ13に載置された商品を冷却して所望の温度に保持することができる。
【0039】
従って、本発明の実施の形態1であるショーケース1によれば、エアカーテンを良好に形成することにより、温度調整の負荷の低減化を図ることができる。
【0040】
上記ショーケース1によれば、カーテン部材40が、整流部材30の左右方向の全域に亘って延在しているので、整流部材30の下端部から吹き出される空気を良好に誘導することができる。
【0041】
上記ショーケース1によれば、整流部材30が、前側吹出口24a及び後側吹出口24bを閉塞する共通のものであり、カーテン部材40が、上端部分41が前側吹出口24aと後側吹出口24bとの境界部分24cに連続する態様で設けられているので、前側吹出口24aから吹き出されて整流部材30を通過した空気をカーテン部材40の前面に沿って下方に向けて流すことができるとともに、後側吹出口24bから吹き出されて整流部材30を通過した空気をカーテン部材40の後面に沿って下方に向けて流すことができ、前側吹出口24aから吹き出された空気と後側吹出口24bから吹き出された空気とが早期に混合されてしまうことを抑制することができる。
【0042】
上記ショーケース1によれば、カーテン部材40が可撓性及び透光性を有する材料から形成されているので、最上段の商品載置棚12に載置された商品の視認性を確保しつつ、商品の取り出しを容易なものとすることができる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施の形態1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0044】
図3の(b)に示すように、カーテン部材43は、上端部分431が硬質材料により形成され、下端部分432が軟質材料により形成されていてもよい。またカーテン部材43は、上端部分431の一部が整流部材30を突出して前側吹出口24aと後側吹出口24bとの境界部分24cに連続してもよい。
【0045】
図3の(c)に示すように、カーテン部材44は、整流部材30に進入するものではなく、該整流部材30を貫通する態様で取り付けられた支持部材45により吊り下げ支持されるものであってもよい。これによれば、既存のショーケースに設置されている整流部材にも後付けでカーテン部材44を設置することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0046】
図4に示すように、商品載置棚12の前端部分に空気を通過させるための通風孔部121が形成されている場合、カーテン部材40に沿って流れる空気を通風孔部121に誘導するようにすることが好ましい。これによれば、吹出口24(前側吹出口24a及び後側吹出口24b)から吹き出される空気の大部分が通風孔部121を通過することで整流効果を向上させることができ、最上段の商品載置棚12の上方域での気流の乱れの発生を抑制することができ、収納室11の商品を良好に冷却することができる。
【0047】
上述した実施の形態1では、カーテン部材40は、下端部分42が鉛直方向下向きに延在していたが、本発明においては、カーテン部材は、整流部材の下端部より下方に向けて延在していればよい。
【0048】
上述した実施の形態1では、カーテン部材40は1つであったが、本発明においては、カーテン部材が整流部材に対して複数設けられていてもよい。
【0049】
上述した実施の形態1では、空気通路21は、外方通路211と内方通路212とを有していたが、本発明においては、空気通路は1つであってもよく、これにより吹出口も1つであってもよい。
【0050】
上述した実施の形態1では、温度調整手段として蒸発器25を例示したが、本発明では、商品を加熱するために空気循環手段により循環させられる空気を加熱する加熱手段を温度調整手段としてもよい。
【0051】
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施の形態2であるショーケースの内部構造を模式的に示す断面側面図である。尚、上述した実施の形態1であるショーケース1と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0052】
ここで例示するショーケース2は、ケース本体10を備えており、該ケース本体10には、整流部材50、カーテン部材61及び補助カーテン部材62が設けられている。
【0053】
整流部材50は、前側吹出口24a及び後側吹出口24bを閉塞する態様で配設されており、前側吹出口24a及び後側吹出口24bから吹き出される空気の流れを整えるためのものである。
【0054】
上記整流部材50は、
図6の(a)に示すように、2つの整流構成部51,52を前後に並ぶよう組み合わされて構成されている。より詳細に説明すると、整流部材50は、一方の整流構成部51が前方側で他方の整流構成部52が後方側となる態様で取付支持部材53に取り付けられて構成されている。
【0055】
整流構成部51は、通過する空気を整流するハニカム構造の整流部51aと、この整流部51aを前後に挟み込む補強部51b,51cとを備えている。補強部51b,51cは、整流部51aよりも硬質な材料により形成されている。
【0056】
整流構成部52は、通過する空気を整流するハニカム構造の整流部52aと、この整流部52aを前後に挟み込む補強部52b,52cとを備えている。補強部52b,52cは、整流部52aよりも硬質な材料により形成されている。
【0057】
カーテン部材61は、後方側の整流構成部52における前方側の補強部52bが整流部52aや補強部52cよりも下方に延設することにより形成されている。補助カーテン部材62は、前方側の整流構成部51における前方側の補強部51bが整流部51aや補強部51cよりも下方に延設することにより形成されている。これにより、補助カーテン部材62は、カーテン部材61よりも前方側に配置されている。
【0058】
そのようなカーテン部材61及び補助カーテン部材62は、鉛直方向下向きに延在しており、左右寸法が整流部材50の左右寸法に略等しく、整流部材50の左右方向の全域に亘って延在している。また、カーテン部材61及び補助カーテン部材62の上下寸法、すなわち整流部材50の下端部からの延在長さは、例えば100~150mm程度である。
【0059】
以上のような構成を有するショーケース2においては、循環ファン22及び圧縮機が駆動することにより、吸込口23を通じて吸い込まれた空気が、下方ダクト21aを通過し、その途中から外方通路211及び内方通路212のいずれかに進入する。
【0060】
外方通路211に進入した空気は、背面ダクト21b及び上方ダクト21cを通じて前側吹出口24aに至る。一方、下方ダクト21aの途中から内方通路212に進入した空気は、蒸発器25を通過して冷却され、冷気となって背面ダクト21b及び上方ダクト21cを通過し、後側吹出口24bに至る。
【0061】
前側吹出口24a及び後側吹出口24bは、整流部材50に閉塞されているので、前側吹出口24aに至った空気及び後側吹出口24bに至った空気は、該整流部材50を通過してその下端部より下方に吹き出される。
【0062】
上述したように、カーテン部材61が、整流部材50の下端部から鉛直方向下向きに延在しているので、整流部材50の下端部から吹き出される空気は、コアンダ効果によりカーテン部材61の前面及び後面に沿って流れることで、カーテン部材61の延在方向(鉛直方向下向き)に誘導されて吸込口に吸い込まれ、エアカーテンを良好に形成することができる。
【0063】
また補助カーテン部材62が、カーテン部材61の前方において、整流部材50の下端部から鉛直方向下向きに延在しているので、カーテン部材61の前面に沿って流れる空気に対して、外気が混合することを抑制し、コアンダ効果によりカーテン部材61の前面及び後面に沿って流れる空気の直進性を向上させることができる。このようにして形成されるエアカーテンにより、前面開口10aからの外気の進入を遮断するとともに、収納室11の内部にある商品、すなわち商品載置棚12及びデッキ13に載置された商品を冷却して所望の温度に保持することができる。
【0064】
従って、本発明の実施の形態2であるショーケース2によれば、エアカーテンを良好に形成することにより、温度調整の負荷の低減化を図ることができる。
【0065】
上記ショーケース2によれば、カーテン部材61及び補助カーテン部材62が、整流部材50の左右方向の全域に亘って延在しているので、整流部材50の下端部から吹き出される空気を良好に誘導することができる。
【0066】
上記ショーケース2によれば、整流部材50が2つの整流構成部51,52を取付支持部材53に取り付けられて構成されているので、整流部材50を前側吹出口24a及び後側吹出口24bを閉塞する個所から離脱させた後に、
図6の(b)に示すように、取付支持部材53を取り外すことで2つの整流構成部51,52に分解することができ、各整流構成部51,52を容易に清掃することができる。
【0067】
以上、本発明の好適な実施の形態2について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0068】
上述した実施の形態2では、カーテン部材61及び補助カーテン部材62は、整流構成部51,52における補強部51b,52bを下方に延設させて形成されていたが、本発明においては、カーテン部材及び補助カーテン部材は、整流部材より下方に延設されていれば、接着等により整流部材に形成されていてもよい。
【0069】
上述した実施の形態2では、カーテン部材61及び補助カーテン部材62は、それぞれ1つであったが、本発明においては、カーテン部材61が整流部材50に対して複数設けられていてもよい。
【0070】
上述した実施の形態2では、空気通路21は、外方通路211と内方通路212とを有していたが、本発明においては、空気通路は1つであってもよく、これにより吹出口も1つであってもよい。
【0071】
上述した実施の形態2では、温度調整手段として蒸発器25を例示したが、本発明では、商品を加熱するために空気循環手段により循環させられる空気を加熱する加熱手段を温度調整手段としてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…ショーケース、10…ケース本体、10a…前面開口、11…収納室、12…商品載置棚、13…デッキ、20…空気循環手段、21…空気通路、22…循環ファン、23…吸込口、24…吹出口、25…蒸発器、30…整流部材、40…カーテン部材。