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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132820
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20240920BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20240920BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20240920BHJP
【FI】
F24F11/32
F24F11/58
F24F11/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170347
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2023041453
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】小西 健之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅弘
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260AB07
3L260AB15
3L260BA54
3L260BA64
3L260CB70
3L260EA07
3L260GA17
3L260JA18
3L260JA22
(57)【要約】
【課題】全館空調装置に発生した異常を検知できる監視システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る監視システムは、少なくとも一つの機能を提供するユニットの組み合わせで構成され、それぞれ異なる機能をもった複数のユニットを有する全館空調装置を監視する監視システムであって、複数のユニットの運転に関する情報である運転情報を取得する運転情報取得部と、運転情報取得部によって複数のユニットのうち少なくとも二種類のユニットの運転情報に基づいて全館空調装置の異常を検知する異常検知部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの機能を提供するユニットの組み合わせで構成され、それぞれ異なる前記機能をもった複数のユニットを有する全館空調装置を監視する監視システムであって、
前記複数のユニットの運転に関する情報である運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記運転情報取得部によって前記複数のユニットのうち少なくとも二種類のユニットの前記運転情報に基づいて前記全館空調装置の異常を検知する異常検知部と、を備えた監視システム。
【請求項2】
前記異常検知部は、
前記全館空調装置の使用者に保有される使用者端末装置または前記全館空調装置の保守管理者に保有される監視サーバに対して前記異常検知部が検知した異常を通知する通知部と、
前記異常検知部が検知した異常のレベルを判定する異常レベル判定部と、と備え、
前記通知部は、
前記異常のレベルが所定の閾値以上ならば前記監視サーバに対して異常を通知し、
前記異常のレベルが所定の閾値未満ならば前記使用者端末装置に対して異常を通知する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記全館空調装置は、
前記複数のユニットを制御する制御装置を備え、
前記運転情報取得部および前記異常検知部は、
前記制御装置に設けられる、請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記監視サーバは、
前記複数のユニットのうち少なくとも二種類のユニットに通信可能に接続し、
前記運転情報取得部および前記異常検知部は、
前記監視サーバに設けられる、請求項2に記載の監視システム。
【請求項5】
前記全館空調装置の施工時の情報を初期情報として記憶する初期情報記憶部を備え、
前記異常検知部は、
前記初期情報記憶部に記憶された前記初期情報と前記運転情報取得部によって取得された前記運転情報とに基づいて前記全館空調装置の異常を検知する、請求項1に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の劣化、故障などの診断を行う装置として特許文献1に示した装置が知られている。
【0003】
特許文献1では、故障診断結果に基づいて、1または複数の故障因子における劣化の度合が、劣化所定値を超えていると判定すると、空気調和機に異常があることを表示装置によって報知させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/220760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では建物の高気密化や高断熱化が進んでいる。そのような建物では内部に設けられた空調室にて空気の温度や湿度を調整し、空調された空気を空調室から各居室に搬送することで建物全体を空調する全館空調装置が採用される場合がある。
【0006】
全館空調装置は、空調室の空気を空調するための空調ユニットや、空調室から各居室へ空気を搬送するための送風ユニットといった、種類の異なる機能をもった様々なユニットを複数組み合わせることで構成されている。このように複数のユニットを組み合わせると、各ユニット単体では正常に動いているように見えても全館空調装置全体としては動作が異常となる場合があり、異常を検知することが困難であった。
【0007】
そこで本発明では、全館空調装置に発生した異常を検知できる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、上記目的を達成するために、本発明に係る監視システムは、少なくとも一つの機能を提供するユニットの組み合わせで構成され、それぞれ異なる機能をもった複数のユニットを有する全館空調装置を監視する監視システムであって、複数のユニットの運転に関する情報である運転情報を取得する運転情報取得部と、運転情報取得部によって複数のユニットのうち少なくとも二種類のユニットの運転情報に基づいて全館空調装置の異常を検知する異常検知部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、全館空調装置に発生した異常や劣化を検知できる監視システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る監視システムが監視する全館空調装置の構成を示す図。
図2】本発明に係る監視システムの構成を示す図。
図3】本発明に係る監視システムで空調ユニットの異常を検知する場合のフローチャート。
図4】本発明に係る監視システムでフィルタユニットの異常を検知する場合のフローチャート。
図5】本発明に係る監視システムの別の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して二度目以降の説明を省略している。さらに、各図面において、本発明に直接には関係しない各部の詳細については説明を省略している。
(実施の形態1)
まず、本発明に係る監視システムが監視する全館空調装置について、図1を参照しながら説明する。図1は監視システム2が監視する全館空調装置1の構成を示す概略図である。全館空調装置1は、領域10や空調領域30といった空間を有する建物を空調する装置である。
【0012】
ここで領域10は、例えば、部屋、リビングルーム、ダイニングルーム、キッチンといった居室であり、建物において人が生活するための空間である。図1では一例として第一領域10a、第二領域10bを示しているが建物に含まれる領域10の数は「2」に限定されず必要に応じて3以上の複数の領域が設けられる。領域10は、複数の領域それぞれに、居室温度センサ11と、居室湿度センサ12と、給気風量センサ13と、を備える。
【0013】
居室温度センサ11は、領域10に配置され、領域10の温度を検出する。居室温度センサ11は、後述の制御装置40に通信可能に接続され、検出した領域10の温度を制御装置40に出力する。居室温度センサ11は、後述の空調ユニット31に属する。ここで属するとはセンサとユニットとが通信可能に接続されることである。センサとユニットとは直接接続されてもよいし、例えば制御装置40を介して間接的に接続されてもよい。居室温度センサ11は、第一領域10aに対応する居室温度センサ11aと第二領域10bに対応する居室温度センサ11bとを有する。
【0014】
居室湿度センサ12は、領域10に配置され、領域10の湿度を検出する。居室湿度センサ12は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した領域10の湿度を制御装置40に出力する。居室湿度センサ12は、後述の加湿ユニット34に属する。居室湿度センサ12は、第一領域10aに対応する居室湿度センサ12aと第二領域10bに対応する居室湿度センサ12bとを有する。
【0015】
給気風量センサ13は、領域10に配置され、領域10に供給される空気(給気66)の風量を検出する。給気風量センサ13は、例えば領域10にて給気66を供給する給気口の近傍に設けられる。なお、給気口が複数ある場合には給気風量センサ13も複数設けてもよい。給気風量センサ13は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した給気66の風量を制御装置40に出力する。給気風量センサ13は、後述の給気分配ユニット70に属する。給気風量センサ13は、第一領域10aに対応する給気風量センサ13aと第二領域10bに対応する給気風量センサ13bとを有する。
【0016】
また、空調領域30は、領域10とは独立した空間であり、領域10へ供給する空気の温度や湿度を調整するための空間である。空調領域30は、空調領域温度センサ37と、空調領域湿度センサ38と、送風量センサ39とを備える。
【0017】
空調領域温度センサ37は、空調領域30に配置され、空調領域30の温度を検出する。空調領域温度センサ37は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した空調領域3
0の温度を制御装置40に出力する。空調領域温度センサ37は、後述の空調ユニット31に属する。
【0018】
空調領域湿度センサ38は、空調領域30に配置され、空調領域30の湿度を検出する。空調領域湿度センサ38は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した空調領域30の湿度を制御装置40に出力する。空調領域湿度センサ38は、後述の加湿ユニット34に属する。
【0019】
送風量センサ39は、空調領域30に配置され、空調領域30から領域10へ搬送される空気の送風量を検出する。空調領域湿度センサ38は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した空調領域30から領域10へ搬送される空気の送風量を制御装置40に出力する。なお、送風量センサ39は、送風量を直接検出してもよいし、後述の送風ユニット35におけるファンの回転数を検出することで間接的に検出してもよい。送風量センサ39は、送風ユニット35に属する。
【0020】
領域10と空調領域30とは例えばダクトなどによって通風可能に接続される。図1では循環風路54及び給気風路56によって領域10と空調領域30とが接続される。以下では説明のために給気風路56によって空調領域30から領域10へ搬送される空気を給気66とし、循環風路54によって領域10から空調領域30へ搬送される空気を環気64と称する。
【0021】
全館空調装置1は、少なくとも一つの機能を提供するユニット、すなわちここでは換気ユニット20と、空調ユニット31と、加湿ユニット34と、送風ユニット35と、フィルタユニット85と、給気分配ユニット70と、制御装置40と、を組み合わせて構成される。なお、組み合わせて構成されるとは、それぞれ異なる機能をもった複数のユニットを機能的に接続することで、システムとして全館空調装置を実現することを指す。
【0022】
ここでユニットは、ユーザが生活する空間である領域10の空気質を調整する機能を少なくとも一つ有する。例えば換気ユニット20は、領域10の空気を排気して建物の外部から空気を給気する。また、空調ユニット31は、換気ユニット20が給気した外気の温度を空調領域30にて調節する。また、加湿ユニット34は、換気ユニット20が給気した外気の湿度を空調領域30にて調節する。また、フィルタユニット85は、送風ユニット35に吸い込まれる空気に含まれる塵を捕集して空気を浄化する。また、送風ユニット35は、空調領域30にて温度や湿度が調整された空調空気を領域10へ搬送する。また、給気分配ユニット70は、第一領域10aおよび第二領域10bへ搬送される空調空気の量をそれぞれ独立して調節する。以上のように領域10の空気質を調整するためにそれぞれ異なる機能をもった複数のユニットを機能的に接続して全館空調装置1を実現する。
【0023】
ところで、全館空調装置1はユニットとは別に各ユニットが機能を発揮するための情報である運転情報を取得するセンサも複数備える。ここで運転情報とは例えば領域10の温度や湿度、各ユニットに流入した塵の量や臭気の量といった空気質に関する情報などが該当する。
【0024】
各センサはそれぞれ一つのユニットに属し、所属するユニットの機能を実現するための運転情報を取得する。言い換えると、一のユニットに属するセンサと他のユニットに属するセンサとに基づく異常判断は異なる2つのユニットの運転情報に基づく異常判断となる。このような2種類以上のユニットの運転情報に基づく異常判断では1種類の運転情報では検知が困難な異常を検知できる(詳しくは後述する)。なお、センサのみでは、領域10の空気質を調整する機能を有しないため、単独のセンサはユニットには該当しない。
【0025】
また、各センサは、運転情報として空気質以外の情報を取得してもよい。言い換えると、運転情報は、各ユニットが機能を発揮するための情報であれば空気質に関する情報に限らずどのような情報でもよい。例えば、空調領域30から搬送される空調空気の量を間接的に取得するために送風ユニット35に設けられたファンの回転数を取得してもよいし、第一領域10aおよび第二領域10bへ搬送される空調空気の量を間接的に取得するために給気分配ユニット70に設けられたダンパの開度を取得してもよい。
【0026】
以下では図1を参照して各ユニットについて詳しく説明する。
【0027】
換気ユニット20は、建物の内部の空気と外部の空気とを入れ替える装置である。換気ユニット20は、例えば建物の外壁に接続され、ファンの回転によって建物の外部から外気60を取り込む。換気ユニット20は、外気風路50及び循環風路54を介して外気60を空調領域30へ導く。言い換えると、換気ユニット20は、外気60を循環風路54に流入させる。また、換気ユニット20は、ファンの回転によって領域10の空気を排気62として排出する。換気ユニット20は、排気風路52を介して排気62を建物の外部へ導く。このような構成によって建物の内部の空気と外部の空気とを入れ替える。なお、換気ユニット20において外気60と排気62との間で熱交換がなされる構成にしてもよい。換気ユニット20は、外気温度センサ21と、外気湿度センサ22と、換気ユニット塵センサ88と、換気ユニット臭気センサ93と、を備える。
【0028】
外気温度センサ21は、換気ユニット20に配置され、外気60の温度を検出する。言い換えると、外気温度センサ21は、換気ユニット20に属し、建物の外部の温度を検出する。外気温度センサ21は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した外気60の温度を制御装置40に出力する。
【0029】
外気湿度センサ22は、換気ユニット20に配置され、外気60の湿度を検出する。言い換えると、外気湿度センサ22は、換気ユニット20に属し、建物の外部の湿度を検出する。外気湿度センサ22は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した外気60の湿度を制御装置40に出力する。
【0030】
換気ユニット塵センサ88は、換気ユニット20に配置され、外気60に含まれる塵の量を検出する。言い換えると、換気ユニット塵センサ88は、換気ユニット20に属し、換気ユニット20に流入した塵の量を検出する。換気ユニット塵センサ88は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した外気60に含まれる塵の量を制御装置40に出力する。例えば、換気ユニット塵センサ88によって検出された塵の量が所定の閾値以上であれば換気ユニット20によって取り込む外気60の量を減らすといった処理を行う。
【0031】
換気ユニット臭気センサ93は、換気ユニット20に配置され、外気60に含まれる臭気の量を検出する。言い換えると、換気ユニット臭気センサ93は、換気ユニット20に属し、換気ユニット20に流入した臭気の量を検出する。換気ユニット臭気センサ93は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した外気60に含まれる臭気の量を制御装置40に出力する。例えば、換気ユニット臭気センサ93によって検出された臭気の量が所定の閾値以上であれば換気ユニット20によって取り込む外気60の量を減らすといった処理を行う。
【0032】
空調ユニット31は、空調領域30における空気の温度を調整する装置である。空調ユニット31は、室外機33と、室内機32と、空調ユニット塵センサ86と、空調ユニット臭気センサ91と、を備える。
【0033】
室外機33は、屋外に配置され、冷媒を圧縮または膨張させる。室外機33は、室内機
32との間で冷媒を循環させる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルには、例えば冷媒として代替フロン(HFC134a)が利用される。室外機33は、室内機32が空調領域30を暖房する場合には建物の外部へ冷気を放出し、室内機32が空調領域30を冷房する場合には物の外部へ熱気を放出する。室外機33は、室外機温度センサ36を備える。
【0034】
室外機温度センサ36は、室外機33に配置され、建物の外部の温度を検出する。言い換えると、室外機温度センサ36は、空調ユニット31に属する。室外機温度センサ36は、制御装置40に通信可能に接続され、検出した建物の外部の温度を制御装置40に出力する。
【0035】
室内機32は、空調領域30に配置され、空調領域30の空気を吸い込み、温度を調節して空調領域30へ吹き出す。
【0036】
空調ユニット塵センサ86は、室内機32に配置され、室内機32に流入した塵の量を検出する。言い換えると、空調ユニット塵センサ86は、空調ユニット31に属し、空調ユニット31に流入した塵の量を検出する。空調ユニット塵センサ86は、制御装置40に通信可能に接続され、室内機32に流入した塵の量を制御装置40に出力する。例えば、空調ユニット塵センサ86によって検出された塵の量が所定の閾値以上であれば制御装置40を介して全館空調装置1のユーザに対して室内機32のメンテナンスを促す通知を行う。
【0037】
空調ユニット臭気センサ91は、室内機32に配置され、室内機32に流入した臭気の量を検出する。言い換えると、空調ユニット臭気センサ91は、空調ユニット31に属し、空調ユニット31に流入した臭気の量を検出する。空調ユニット臭気センサ91は、制御装置40に通信可能に接続され、室内機32に流入した臭気の量を制御装置40に出力する。例えば、空調ユニット臭気センサ91によって検出された臭気の量が所定の閾値以上であれば制御装置40を介して全館空調装置1のユーザに対して室内機32のメンテナンスを促す通知を行う。
【0038】
加湿ユニット34は、空調領域30に配置され、空調領域30における空気の湿度を調整する。加湿ユニット34は、例えば室内機32の下流側に設けられる。加湿ユニット34は、例えば遠心水破砕によって外部から供給された水を微細化し、空調領域30に散布することで空調領域30の空気を加湿する。なお、遠心水破砕による加湿方式に限らず、空調領域30の空気を加湿できる機能を有していれば加湿する手段はどのような方式でもよい。加湿ユニット34は、加湿ユニット塵センサ90と、加湿ユニット臭気センサ95と、を備える。
【0039】
加湿ユニット塵センサ90は、加湿ユニット34に配置され、加湿ユニット34に流入した塵の量を検出する。言い換えると、加湿ユニット塵センサ90は、加湿ユニット34に属する。加湿ユニット塵センサ90は、制御装置40に通信可能に接続され、加湿ユニット34に流入した塵の量を制御装置40に出力する。例えば加湿ユニット塵センサ90によって検出された塵の量が所定の閾値以上であれば制御装置40を介して全館空調装置1のユーザに対して加湿ユニット34のメンテナンスを促す通知を行う。また、加湿ユニット34による加湿の量を減らすといった処理を行う。
【0040】
加湿ユニット臭気センサ95は、加湿ユニット34に配置され、加湿ユニット34に流入した臭気の量を検出する。言い換えると、加湿ユニット臭気センサ95は、加湿ユニット34に属する。空調ユニット臭気センサ91は、制御装置40に通信可能に接続され、加湿ユニット34に流入した臭気の量を制御装置40に出力する。例えば、加湿ユニット
臭気センサ95によって検出された臭気の量が所定の閾値以上であれば制御装置40を介して全館空調装置1のユーザに対して加湿ユニット34のメンテナンスを促す通知を行う。また、加湿ユニット34による加湿の量を減らすといった処理を行う。
【0041】
送風ユニット35は、空調領域30に配置され、室内機32及び加湿ユニット34によって空調された空気を給気66として領域10へ搬送するファンである。送風ユニット35は、送風ユニット塵センサ87と、送風ユニット臭気センサ92と、を備える。
【0042】
送風ユニット塵センサ87は、送風ユニット35に配置され、送風ユニット35に流入した塵の量を検出する。言い換えると、送風ユニット塵センサ87は、送風ユニット35に属する。送風ユニット塵センサ87は、制御装置40に通信可能に接続され、送風ユニット35に流入した塵の量を制御装置40に出力する。例えば送風ユニット塵センサ87によって検出された塵の量が所定の閾値以上であれば制御装置40を介して全館空調装置1のユーザに対して送風ユニット35のメンテナンスを促す通知を行う。また、送風ユニット35によって領域10へ供給される給気66の量を減らすといった処理を行う。
【0043】
送風ユニット臭気センサ92は、送風ユニット35に配置され、送風ユニット35に流入した臭気の量を検出する。言い換えると、送風ユニット臭気センサ92は、送風ユニット35に属する。送風ユニット臭気センサ92は、制御装置40に通信可能に接続され、送風ユニット35に流入した臭気の量を制御装置40に出力する。例えば、送風ユニット臭気センサ92によって検出された臭気の量が所定の閾値以上であれば制御装置40を介して全館空調装置1のユーザに対して送風ユニット35のメンテナンスを促す通知を行う。また、送風ユニット35によって領域10へ供給される給気66の量を減らすといった処理を行う。
【0044】
フィルタユニット85は、空調領域30にて加湿ユニット34と送風ユニット35との間に配置される。図1では加湿ユニット34は室内機32の下流側に設けられるので、フィルタユニット85は、室内機32と送風ユニット35との間に配置されると言い換えられる。フィルタユニット85は、送風ユニット35によって空調領域30から領域10へ空気を搬送する前に空気中からゴミ、塵埃などを取り除く。フィルタユニット85を通すことによって、送風ユニット35は、領域10へ清浄された空気を搬送できる。
【0045】
図1では、空調領域30において室内機32、加湿ユニット34、フィルタユニット85、送風ユニット35の順に空気を通過させているがこの順番に限定されない。例えば加湿ユニット34、室内機32、フィルタユニット85、送風ユニット35の順に通過する構成としてもよい。
【0046】
給気分配ユニット70は、空調領域30から吹き出された給気66を複数の領域10へ分岐させる。図1において給気分配ユニット70は、給気風路56に設けられ、第一領域10aに接続する給気風路56aと第二領域10bに接続する給気風路56bとに分岐させる。給気分配ユニット70は、ダンパ71と、ダンパ開度センサ72と、給気分配ユニット塵センサ89と、給気分配ユニット臭気センサ94と、を備える。
【0047】
ダンパ71は、領域10へ搬送する給気66の風量を調整する。ダンパ71は、例えばモータによって板状の部材を回転させることで全開から全閉まで開度を変更し、給気66の風量を調整する。ダンパ71は、第一領域10aに対応するダンパ71aと第二領域10bに対応するダンパ71bとを有し、ダンパ71aの開度とダンパ71bの開度とはそれぞれ個別に調整可能である。ダンパ71aの開度とダンパ71bの開度とを調整することで、給気66を第一領域10aと第二領域10bとに分配できる。
【0048】
ダンパ開度センサ72は、ダンパ71の開度を検出する。言い換えると、ダンパ開度センサ72は、給気分配ユニット70に属する。ダンパ開度センサ72は、制御装置40に通信可能に接続され、検出したダンパ71の開度に関する情報を制御装置40に出力する。
【0049】
給気分配ユニット塵センサ89は、給気分配ユニット70に配置され、給気分配ユニット70に流入した塵の量を検出する。言い換えると、給気分配ユニット塵センサ89は、給気分配ユニット70に属する。給気分配ユニット塵センサ89は、制御装置40に通信可能に接続され、給気分配ユニット70に流入した塵の量を制御装置40に出力する。例えば、給気分配ユニット塵センサ89によって検出された塵の量が所定の閾値以上であればダンパ71の開度を調整して領域10へ搬送する給気66の量を減らすといった処理を行う。
【0050】
給気分配ユニット臭気センサ94は、給気分配ユニット70に配置され、給気分配ユニット70に流入した臭気の量を検出する。言い換えると、給気分配ユニット臭気センサ94は、給気分配ユニット70に属する。給気分配ユニット臭気センサ94は、制御装置40に通信可能に接続され、給気分配ユニット70に流入した臭気の量を制御装置40に出力する。例えば、給気分配ユニット臭気センサ94によって検出された臭気の量が所定の閾値以上であればダンパ71の開度を調整して領域10へ搬送する給気66の量を減らすといった処理を行う。
【0051】
制御装置40は、全館空調装置1全体を制御するコントローラであり、全館空調装置1を構成する複数のユニット(換気ユニット20、空調ユニット31、加湿ユニット34、送風ユニット35、給気分配ユニット70など)に通信可能に接続される。制御装置40は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部として機能する。なお、制御装置40は、メモリカード等の不揮発性記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0052】
制御装置40は、例えば第一領域10aに設置され、ユーザが入力設定した設定情報や居室温度センサ11aなどの各種センサから制御装置40へ送られてきたユニットの運転情報に基づいて機器の動作をそれぞれ制御する。なお、制御装置40は、各ユニットの動作をそれぞれ制御可能であればどこに設置してもよい。
【0053】
例えば、空調ユニット31の制御について、制御装置40は、利用者が全館空調装置1を稼働させると、ユーザによって設定された室内目標温度を設定情報として取得する。ここで、室内目標温度とは、ユーザが心地よいと感じる温度である。さらに、制御装置40は、居室温度センサ11a(11b)、室外機温度センサ36及び空調領域温度センサ37から空調ユニット31の運転に関する情報である運転情報として各領域における温度を取得する。具体的には居室温度センサ11a(11b)によって領域10の温度を、室外機温度センサ36によって建物外部の温度を、空調領域温度センサ37によって空調領域30の温度を取得する。制御装置40は、室内目標温度と各領域における温度とに基づいて、空調ユニット31の制御条件を決定する。
【0054】
また、換気ユニット20の制御について、制御装置40は、外気温度センサ21、外気湿度センサ22及び換気ユニット塵センサ88から換気ユニット20の運転情報を取得する。具体的には、外気温度センサ21によって外気60の温度を、外気湿度センサ22によって外気60の湿度を、換気ユニット塵センサ88によって外気60に含まれる塵の量を取得する。制御装置40は、これらの運転情報に基づいて換気ユニット20における外
気60に関する制御条件を決定する。なお、追加で領域10の塵の量を検出して排気62に関する制御をおこなってもよい。
【0055】
このように、全館空調装置1を構成する複数のユニットはユーザが入力設定した設定情報や居室温度センサ11aなどの各種センサから取得した運転情報に基づいて制御される。
【0056】
ところで、全館空調装置1において、各ユニット単体では正常に動いているように見えても全体としては動作が異常となることがある。例えば室内機32を冷房として稼働する際に室外機33の近傍に遮蔽物が存在すると、遮蔽物によって室外機33からの放熱が妨げられる。放熱が妨げられたことで、室外機温度センサ36が建物の外部の温度を本来よりも高い温度として検出し、室内機32が必要以上に空調領域30を冷房する場合がある。空調ユニット31単体では、建物の外部の温度を検出する手段が室外機温度センサ36のみのため、検出した温度が本来よりも高くなっていることを判断することが困難であった。
【0057】
そこで以下では図2を参照して、複数の機器の運転に関する情報である運転情報を取得することでこのような異常を検知するための監視システム2について詳しく説明する。
【0058】
図2は監視システム2の構成を示す図である。なお、本実施の形態では制御装置40に監視システム2が構成されているが、一部の機能を外部(例えば制御装置40と通信可能な監視サーバ83など)に設ける構成としてもよい。図2では、室外機温度センサ36から空調ユニット31の運転情報を取得し、外気温度センサ21から換気ユニット20の運転情報を取得する場合を一例として説明する。
【0059】
監視システム2は、運転情報取得部41と、初期情報記憶部42と、異常検知部43と、異常レベル判定部44と、通知部45と、を備える。
【0060】
運転情報取得部41は、ユニットの運転に関する情報である運転情報を取得する。運転情報取得部41は、例えば制御装置40に設けられ全館空調装置1を構成する複数のユニットのうち少なくとも二種類のユニットの運転情報を取得する。図2では、外気温度センサ21から換気ユニット20の運転情報として建物外部の温度Xを取得し、室外機温度センサ36から空調ユニット31の運転情報として建物外部の温度Yを取得する。
【0061】
初期情報記憶部42は、例えば制御装置40に設けられ全館空調装置1を施工した際の情報を初期情報として記憶する。ここで、初期情報とは、例えば全館空調装置1を初めて運転した際の運転情報が該当する。このほかにも例えば全館空調装置1を施工した時点での建物の地域、階数(階層)、容積率、窓の位置、電気配線図、建物の施工図(平面図、立面図)といった情報も初期情報として記憶してもよい。
【0062】
異常検知部43は、例えば制御装置40に設けられ運転情報取得部41が取得した少なくとも二種類のユニットの運転情報に基づいて、全館空調装置1の異常を検知する。なお、少なくとも二種類のユニットの運転情報に加えてさらに初期情報記憶部42に記憶された初期情報も参照して、全館空調装置1の異常を検知してもよい。
【0063】
異常レベル判定部44は、例えば制御装置40に設けられ異常検知部43によって検知された異常のレベルを判定する。言い換えると、異常レベル判定部44は、検知された異常がユーザのみで対処可能かを判定する。例えば、異常レベル0であれば正常、異常レベル1であれば軽度の異常、異常レベル2であれば重度の異常といったように異常に対して重みづけを行う。なお、異常レベル判定部44は、外部の監視サーバ83と通信可能に接
続し、監視サーバ83に蓄積された過去の事例を参照して異常のレベルを判定してもよい。また、異常のレベルは0、1、2に限らずさらに細かく分けてもよい。
【0064】
通知部45は、異常検知部43が検知した異常をユーザに保有される使用者端末装置82や保守管理者に保有される監視サーバ83に対して通知する。ここで使用者端末装置82は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)であり、通信機能を有する。使用者端末装置82は、全館空調装置1を設置した建物の居住者(ユーザ)に使用される装置である。なお、使用者端末装置82は、監視サーバ83と通信可能に構成されてもよい。また、保守管理者が管理者端末装置81としてスマートフォン、タブレット端末、PCなどを所有している場合には、監視サーバ83と管理者端末装置81とを通信可能に接続してよい。このような構成であれば、通知部45は、監視サーバ83を介して管理者端末装置81に異常検知部43が検知した異常を通知できる。なお、管理者端末装置81と通知部45とは監視サーバ83を介することなく通信可能に接続されてもよい。
【0065】
通知部45は、異常のレベルが所定の閾値以上ならば監視サーバ83に対して異常を通知し、異常のレベルが所定の閾値未満ならば使用者端末装置82に対して異常を通知する。例えば、異常レベル2以上の重度の異常であれば、監視サーバ83に対して異常を通知し、異常レベル2未満であれば使用者端末装置82に対して異常を通知する。このような制御であれば、ユーザのみで対処可能な異常については保守管理者に通知されないため保守管理者の負担を軽減できる。
【0066】
次に図3を参照して監視システムの処理の流れについて説明する。図3は監視システム2による監視手順を示すフローチャートである。図3でも室外機温度センサ36から空調ユニット31の運転情報を取得し、外気温度センサ21から換気ユニット20の運転情報を取得する場合を一例として説明する。ここで、フローチャートにおける各ステップにはSを頭文字にして番号を割り振った。例えばS01などは処理ステップを指す。なお、処理ステップを示す数値の大小と処理の順序は関係しない。
【0067】
全館空調装置1の運転が開始することで、監視システム2も全館空調装置1の監視を開始する(S001)。
【0068】
運転情報取得部41は、外気温度センサ21により検出された建物外部の温度Xを取得する(S002)。
【0069】
運転情報取得部41は、室外機温度センサ36により検出された建物外部の温度Yを取得する(S003)。
【0070】
異常検知部43は、建物外部の温度Xと建物外部の温度Yとの温度差が、所定の閾値A未満か否かを判定する(S004)。
【0071】
建物外部の温度Xと建物外部の温度Yとの温度差が所定の閾値A未満の場合(S004:YES)、異常はないとして処理を終了する。
【0072】
建物外部の温度Xと建物外部の温度Yとの温度差が所定の閾値A以上の場合(S004:NO)、異常があるとして異常レベル判定部44によって異常のレベルを判定する(S005)。
【0073】
通知部45は、異常レベル判定部44が判定した異常のレベルに応じて監視サーバ83または使用者端末装置82へ異常を通知して終了する(S006)。
【0074】
このような処理によって、室外機33で放熱が妨げられた場合に空調ユニット31に発生した異常を検知できる。言い換えると、各機器単体では正常に動いているように見えても全体としては異常となる動作を検知してユーザや保守管理者に通知することができる。
【0075】
なお、異常検知部43は、複数の機器の運転情報だけではなく、初期情報記憶部42から全館空調装置1を施工した際の初期情報を追加で取得して異常や劣化を検知してもよい。初期情報を取得することによって、全館空調装置1を施工した時点ですでに異常が発生していたのかといった点も確認でき、ユーザと保守管理者とのトラブルを回避できる。
【0076】
図2及び図3では室外機温度センサ36から空調ユニット31の運転情報を取得し、外気温度センサ21から換気ユニット20の運転情報を取得する場合を一例として説明したがこの形態に限定されない。例えば、給気風量センサ13a(13b)から給気分配ユニット70の運転情報である領域10への給気66a(66b)の風量を取得し、送風量センサ39から送風ユニット35の運転情報である送風量を取得することで、給気風路56の詰まりを検知するといったことも可能である。このように、全館空調装置1を構成する複数の機器のうち少なくとも二種類の機器から運転情報を取得して、全館空調装置1の異常や劣化を検知することができればよい。
【0077】
次に、図4を参照して図3とは異なる運転情報の組み合わせによってフィルタユニット85の異常を検知する場合のフローチャートを説明する。例えばフィルタユニット85に穴が開いていた場合、空気中からゴミ、塵埃などが取り除かれることなく空調領域30から領域10へ空気が搬送される。そこで、このような異常を検知するために図4では、空調ユニット塵センサ86から空調ユニット31の運転情報を取得し、送風ユニット塵センサ87から送風ユニット35の運転情報を取得する場合を一例として説明する。なお、ここでは図1のように換気ユニット20から取り入れた空気は室内機32、加湿ユニット34、フィルタユニット85、送風ユニット35、給気分配ユニット70の順に通過する。
【0078】
全館空調装置1の運転が開始することで、監視システム2も全館空調装置1の監視を開始する(S101)。
【0079】
運転情報取得部41は、空調ユニット塵センサ86により検出された室内機32に流入した塵の量Xを取得する(S102)。
【0080】
運転情報取得部41は、送風ユニット塵センサ87により検出された送風ユニット35に流入した塵の量Yを取得する(S103)。
【0081】
異常検知部43は、室内機32に流入した塵の量Xが所定の閾値B未満か否かを判定する(S104)
室内機32に流入した塵の量Xが所定の閾値B未満の場合(S104:YES)、異常はないとして処理を終了する。
【0082】
室内機32に流入した塵の量Xが所定の閾値B以上の場合(S104:NO)、室内機32に流入した塵の量Xと送風ユニット35に流入した塵の量Yとの差が所定の閾値C以上か否かを判定する(S105)。
【0083】
室内機32に流入した塵の量Xと送風ユニット35に流入した塵の量Yとの差が所定の閾値C以上の場合(S105:YES)、異常はないとして処理を終了する。
【0084】
室内機32に流入した塵の量Xと送風ユニット35に流入した塵の量Yとの差が所定の
閾値C未満の場合(S105:NO)、異常があるとして異常レベル判定部44によって異常のレベルを判定する(S106)。
【0085】
通知部45は、異常レベル判定部44が判定した異常のレベルに応じて監視サーバ83または使用者端末装置82へ異常を通知して終了する(S107)。
【0086】
このような処理によって、フィルタユニット85を直接監視することなくフィルタユニット85の異常を検知できる。なお、フィルタユニット85の異常を検知するうえで運転情報の組み合わせは空調ユニット31の運転情報と送風ユニット35の運転情報との組み合わせに限定されない。言い換えると、この異常を検知するためにはフィルタユニット85よりも上流側に位置する装置から得られる塵の量Xと、フィルタユニット85よりも下流側に位置する装置から得られる塵の量Yとを取得できればよい。
【0087】
ここでは、換気ユニット20から取り入れた空気は室内機32、加湿ユニット34、フィルタユニット85、送風ユニット35、給気分配ユニット70の順に通過する。すなわち、フィルタユニット85よりも上流側に位置する装置から得られる塵の量Xは、換気ユニット20に流入した塵の量Xと、室内機32に流入した塵の量Xと、加湿ユニット34に流入した塵の量Xと、に対応する。また、フィルタユニット85よりも下流側に位置する装置から得られる塵の量Yは、送風ユニット35に流入した塵の量Yと、給気分配ユニット70に流入した塵の量Yと、に対応する。
【0088】
したがって監視システム2は、以下の6通りの任意の組み合わせの情報を取得することでフィルタユニット85の異常を検知できる。
・換気ユニット20に流入した塵の量X及び送風ユニット35に流入した塵の量Y
・換気ユニット20に流入した塵の量X及び給気分配ユニット70に流入した塵の量Y
・室内機32に流入した塵の量X及び送風ユニット35に流入した塵の量Y
・室内機32に流入した塵の量X及び給気分配ユニット70に流入した塵の量Y
・加湿ユニット34に流入した塵の量X及び送風ユニット35に流入した塵の量Y
・加湿ユニット34に流入した塵の量X及び給気分配ユニット70に流入した塵の量Y
なお、これらは必要最小限の運転情報での組み合わせである。したがって、これら6通りに加えてさらに運転情報を追加してフィルタユニット85の異常を検知してもよい。また、取得する運転情報は塵の量に関する情報に限定されない。例えば追加で臭気センサから臭気に関する情報を取得してもよい。
(実施の形態2)
次に図5を参照して実施の形態2を説明する。実施の形態2では、実施の形態1とは異なり、監視システム2aは制御装置40ではなく監視サーバ83に構築される。
【0089】
監視システム2aは、運転情報取得部41aと、初期情報記憶部42aと、異常検知部43aと、異常レベル判定部44aと、通知部45aと、を備える。
【0090】
運転情報取得部41aは、監視サーバ83に設けられ全館空調装置1を構成する複数のユニットのうち少なくとも二種類のユニットの運転情報を取得する。運転情報取得部41aは、全館空調装置1を構成する複数のユニットと直接通信可能に接続されてもよいし、制御装置40を介して間接的に通信可能に接続されてもよい。
【0091】
初期情報記憶部42aは、監視サーバ83に設けられ全館空調装置1を施工した際の情報を初期情報として記憶する。
【0092】
異常検知部43aは、監視サーバ83に設けられ運転情報取得部41aが取得した少なくとも二種類のユニットの運転情報に基づいて、全館空調装置1の異常を検知する。
【0093】
異常レベル判定部44aは、監視サーバ83に設けられ異常検知部43aによって検知された異常のレベルを判定する。
【0094】
通知部45aは、異常検知部43aが検知した異常をユーザに保有される使用者端末装置82や保守管理者に保有される管理者端末装置81に対して通知する。
【0095】
このような構成であれば、監視システム2aは、ユーザが保有する制御装置40ではなく保守管理者が保有する監視サーバ83にて構築されるため、ユーザのもとへ訪れなくても監視システム2aのメンテナンスが容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明にかかる監視システムは、全館空調装置などの複数の機器で構成された装置に対して適用できる。
【符号の説明】
【0097】
1 全館空調装置
2、2a 監視システム
10 領域
10a 第一領域
10b 第二領域
11、11a、11b 居室温度センサ
12、12a、12b 居室湿度センサ
13、13a、13b 給気風量センサ
20 換気ユニット
21 外気温度センサ
22 外気湿度センサ
30 空調領域
31 空調ユニット
32 室内機
33 室外機
34 加湿ユニット
35 送風ユニット
36 室外機温度センサ
37 空調領域温度センサ
38 空調領域湿度センサ
39 送風量センサ
40 制御装置
41、41a 運転情報取得部
42、42a 初期情報記憶部
43、43a 異常検知部
44、44a 異常レベル判定部
45、45a 通知部
50 外気風路
52 排気風路
54 循環風路
56、56a、56b 給気風路
60 外気
62 排気
64 環気
66、66a、66b 給気
70 給気分配ユニット
71、71a、71b ダンパ
72 ダンパ開度センサ
81 管理者端末装置
82 使用者端末装置
83 監視サーバ
85 フィルタユニット
86 空調ユニット塵センサ
87 送風ユニット塵センサ
88 換気ユニット塵センサ
89 給気分配ユニット塵センサ
90 加湿ユニット塵センサ
91 空調ユニット臭気センサ
92 送風ユニット臭気センサ
93 換気ユニット臭気センサ
94 給気分配ユニット臭気センサ
95 加湿ユニット臭気センサ

図1
図2
図3
図4
図5