(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132833
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】植物生育促進剤
(51)【国際特許分類】
A01N 43/08 20060101AFI20240920BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20240920BHJP
A01P 21/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01N43/08 H
A01N25/02
A01P21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186010
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2023041163
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 春香
(72)【発明者】
【氏名】大西 厚輝
(72)【発明者】
【氏名】藤松 輝久
(72)【発明者】
【氏名】川崎 彰子
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB03
4H011BA01
4H011BB08
4H011BC03
4H011BC07
4H011BC08
4H011BC09
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA13
4H011DA15
4H011DH03
(57)【要約】
【課題】植物の生育を促進するための方法及び素材を提供する。
【解決手段】(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合が10~3,000,000である、剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合が10~3,000,000である、剤。
【請求項2】
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合が4~100,000である、剤。
【請求項3】
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、剤。
【請求項4】
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合4~100,000である、剤。
【請求項5】
(A)アスコルビン酸又はその塩及び(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、成分(A)が10~3,000,000であり、成分(C)が4~100,000である、請求項1~4のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
(B)酸化防止剤が、さらに亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、グルタチオン及び尿酸から選ばれる1種以上を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の剤。
【請求項7】
(C)有機溶剤がイソブチルアルコール、ジメチルスルホキシド及びグリセリンから選ばれる1種以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の剤。
【請求項8】
さらに、(D)界面活性剤を組み合わせてなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の剤。
【請求項9】
(D)界面活性剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~300,000である、請求項8に記載の剤。
【請求項10】
(D)界面活性剤が少なくとも非イオン系界面活性剤を含む、請求項8又は9に記載の剤。
【請求項11】
(D)非イオン系界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上である、請求項10に記載の剤。
【請求項12】
(D)界面活性剤がさらに陰イオン系界面活性剤又は両性界面活性剤を含む、請求項10に記載の剤。
【請求項13】
(D)非イオン系界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上であり、陰イオン系界面活性剤が脂肪酸塩、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキル硫酸塩から選ばれる1種以上であり、両性界面活性剤が2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインである、請求項12に記載の剤。
【請求項14】
さらに、(E)キレート剤を組み合わせてなる、請求項1~13のいずれか1項に記載の剤。
【請求項15】
(A)アスコルビン酸又はその塩、(C)有機溶剤、(D)界面活性剤及び(E)キレート剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、成分(A)が10~3,000,000であり、成分(C)が4~100,000であり、成分(D)が10~300,000であり、成分(E)が0.01~100である、請求項14に記載の剤。
【請求項16】
(E)キレート剤がエチレンジアミン四酢酸又はその塩及びエチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸から選ばれる1種以上である、請求項14又は15に記載の剤。
【請求項17】
さらに、(F)担体を組み合わせてなる、請求項1~16のいずれか1項に記載の剤。
【請求項18】
(F)担体の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合50~1,000である、請求項17に記載の剤。
【請求項19】
(F)担体がゼオライト、シリカ、ベントナイト及び芒硝から選ばれる1種以上である、請求項17又は18に記載の剤。
【請求項20】
前記成分(A)を含有する第1剤と、前記成分(B)及び(C)を含有する第2剤からなり、用時両者が組み合わされる、請求項1~7のいずれか1項に記載の剤。
【請求項21】
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤と、水を組み合わせて土壌又は植物に施用する工程を含む果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進方法であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、方法。
【請求項22】
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤と、水を組み合わせて土壌又は植物に施用する工程を含む果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収方法であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、方法。
【請求項23】
前記成分(A)を含有する第1剤と、前記成分(B)及び(C)を含有する第2剤を用意し、用時両者を組み合わせて土壌又は植物に施用される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
第1剤の重量比率が第2剤を1とした場合、1~100である請求項20に記載の剤。
【請求項25】
第1剤及び第2剤を水に溶解して使用する請求項23に記載の方法。
【請求項26】
第1剤の水溶液中の濃度が100質量ppm以上、300,000質量ppm以下、第2剤の濃度が10質量ppm以上、100,000質量ppm以下である、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物の生育を促進するための方法及び素材に関する。
【背景技術】
【0002】
地球上における陸地の約3分の1は乾燥地に属し、今後の温暖化からさらなる乾燥地の増加が予想される。また人口増加による深刻な食糧不足対策として、果菜類、葉茎菜類、根菜類、禾穀類等の植物にとって乾燥地域、塩類集積地域、高温、低温とされる地域、すなわち生育が困難であるか、或いは生育が悪化し収量が低下する地域において、収量を改善、維持、増加する技術開発が急務となっている。
【0003】
多くの動植物にとって酸素は生存のために不可欠な物質であるが、一方で酸素は動植物の細胞内で反応性の高い、活性酸素を発生し、生体に遺伝子の損傷や酵素の失活などによる重大なダメージを与える。そのために植物体内にはL-アスコルビン酸を含む多くの抗酸化物質が蓄えられ、細胞のさまざまな場でこの抗酸化物質を用いて活性酸素を消去する複雑な酵素系が働いている。
【0004】
このような観点から、植物に施用して成長を促す素材には、アスコルビン酸を含む抗酸化剤を配合することがしばしば行われている。例えば、非特許文献1には、オリーブやサトウキビ、コムギなどでアスコルビン酸の施用による生育促進や収量増加効果が開示されている。また、非特許文献2では、マメ科作物に蒸留水で溶解した一定濃度のアスコルビン酸水溶液を計3回、栄養成長期または生殖成長期に葉面散布処理した場合に最大30%の増収効果を発揮できることが開示されている。また、特許文献1には、鉄(II)化合物及びL-アスコルビン酸を含有する水性組成物を用いて植物の生育を促進すること、特許文献2にはグリチルリチンとL-アスコルビン酸を含む水溶液を用いて植物の生育を促進することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60-202805号公報
【特許文献2】特開平08-143406号公報
【0006】
【非特許文献1】Akram et al., (2017) Ascorbic Acid-A Potential Oxidant Scavenger and Its Role in Plant Development and Abiotic Stress Tolerance. Frontiers in Plant Science,8:613
【非特許文献2】Zarghamnejad et al.,(2014)Chickpea response to ascorbic acid foliar application at vegetative and reproductive stages. International Journal of Biosciences, 5:166-170
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、植物の生育を促進するための方法及び素材を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、アスコルビン酸を用いた植物の生育促進について検討した結果、アスコルビン酸を有機溶剤に溶解させた特定の酸化防止剤を組み合わせて用いることにより、果菜類、葉茎菜類、根菜類又は禾穀類の生育促進効果が発揮されることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の1)~6)に係るものである。
1)(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、剤。
2)(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合4~100,000である、剤。
3)(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、剤。
4)(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合4~100,000である、剤。
5)(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤と、水を組み合わせて土壌又は植物に施用する工程を含む果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進方法であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、方法。
6)(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤と、水を組み合わせて土壌又は植物に施用する工程を含む果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収方法であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によれば、果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育量を増加させることができる。すなわち本発明によれば、果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類の如き植物の作物の収量増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】葉面散布7日後のホウレンソウ地上部生鮮重量。
【
図10】葉面散布処理後のトマト1果実あたりの生鮮重量。
【
図11】葉面散布処理後のトマト1果実あたりの生鮮重量。
【
図12】葉面散布処理後のキュウリ1株あたりの果実数。
【
図16】葉面散布7日後のハツカダイコン地下部生鮮重量。
【
図17】葉面散布7日後のサラダバーネット地上部乾燥重量。
【
図23】葉面散布62日後までのワイルドストロベリー合計着花数。
【
図25】葉面散布7日後のコマツナ地上部生鮮重量。
【
図26】葉面散布7日後のコマツナ地上部生鮮重量。
【
図27】葉面散布7日後のコマツナ地上部生鮮重量。
【
図28】葉面散布7日後のコマツナ地上部生鮮重量。
【
図29】葉面散布7日後のコマツナ地上部生鮮重量。
【
図33】葉面散布7日後のシュンギク地上部生鮮重量。
【
図34】葉面散布6日後のカボチャ地上部生鮮重量。
【
図35】葉面散布6日後のハツカダイコン地下部生鮮重量。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の植物生育促進剤において、「生育促進」とは、果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育量(生重量、伸長量等)を増加させ、収量を増大することを意味する。本発明の植物生育促進剤が専ら子実収量の増大を意図する場合、これを「植物の増収剤」と称する。
本発明において、植物は果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物である。果菜類としては、例えばキュウリ(ウリ科)、スイカ(ウリ科)、メロン(ウリ科)、カボチャ(ウリ科)、ズッキーニ(ウリ科)、ゴーヤ(ウリ科)、トマト(ナス科)、ナス(ナス科)、ピーマン(ナス科)、イチゴ(バラ科)、ワイルドストロベリー(バラ科)、オクラ(アオイ科)等のマメ類を除く果菜類が挙げられる。葉茎菜類としては、例えばキャベツ(アブラナ科)、ハクサイ(アブラナ科)、チンゲンサイ(アブラナ科)、コマツナ(アブラナ科)、カリフラワー(アブラナ科)、ブロッコリー(アブラナ科)、レタス(キク科)、シュンギク(キク科)、ホウレンソウ(ヒユ科)、ミツバ(セリ科)、パクチー(セリ科)、ネギ(ヒガンバナ科)、タマネギ(ヒガンバナ科)、ニラ(ヒガンバナ科)、サラダバーネット(バラ科)、シソ(シソ科)、モロヘイヤ(アオイ科)等が挙げられる。根菜類としては、例えばジャガイモ(ナス科)、ニンジン(セリ科)、ダイコン(アブラナ科)、ハツカダイコン(アブラナ科)、カブ(アブラナ科)、ゴボウ(キク科)、テンサイ(ヒユ科)、ビーツ(ヒユ科)、サツマイモ(ヒルガオ科)、サトイモ(サトイモ科)、ヤマイモ(ヤマノイモ科)等が挙げられる。禾穀類(イネ科の穀物)としては、例えばイネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ等が挙げられる。
このうち、生育促進効果の点から、果菜類は、好ましくはウリ科、ナス科、バラ科、アオイ科又はイネ科の果菜類であり、葉茎菜類は、好ましくはアブラナ科、キク科、ヒユ科、セリ科、ヒガンバナ科、バラ科又はシソ科の葉茎菜類であり、根菜類は、好ましくはナス科、セリ科、アブラナ科、キク科、ヒユ科又はヒルガオ科の根菜類である。
また、果菜類としては、好ましくはキュウリ(ウリ科)、ゴーヤ(ウリ科)、メロン(ウリ科)、カボチャ(ウリ科)、トマト(ナス科)、イチゴ(バラ科)、ワイルドストロベリー(バラ科)、オクラ(アオイ科)であり、葉茎菜類としては、好ましくはキャベツ(アブラナ科)、コマツナ(アブラナ科)、レタス(キク科)、シュンギク(キク科)、ホウレンソウ(アカザ科)、ミツバ(セリ科)、ネギ(ヒガンバナ科)、ニラ(ヒガンバナ科)、サラダバーネット(バラ科)、シソ(シソ科)であり、根菜類としては、好ましくはジャガイモ(ナス科)、ニンジン(セリ科)、ハツカダイコン(アブラナ科)、ゴボウ(キク科)、ビーツ(ヒユ科)である。禾穀類としては、好ましくはイネ、コムギ、トウモロコシである。
【0013】
本発明の植物生育促進剤は、(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなるものである。
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤の組み合わせは、成分(A)、(B)及び(C)を適当な質量比で、予め混合或いは使用時に混合することにより行われる。一態様として、成分(A)、(B)及び(C)を組み合わせて単一の製剤(組成物)とすることが挙げられ、別の態様としては、例えば成分(A)を含有する製剤と、成分(B)及び(C)を含有する製剤を別々に調製して使用時に両者を組み合わせる2剤型製剤(キット)とすること等が挙げられる。
【0014】
本発明において、成分(A)であるアスコルビン酸のIUPAC系統名は(R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((S)-1,2-ジヒドロキシエチル)フラン-2(5H)-オンである。アスコルビン酸は、D体、L体、及びDL体のいずれであってもよいが、L体(所謂、L-アスコルビン酸)であることが好ましい。
アスコルビン酸としては、各種グレードの市販品を用いることができる。
アスコルビン酸の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジエチルアミンなどの含窒素有機塩基との塩等を挙げることができる。
【0015】
本発明の植物生育促進剤を植物に施用する際の組成物中の(A)アスコルビン酸又はその塩の濃度は、例えば、100質量ppm以上、300,000質量ppm以下の範囲で、供給方法に応じて適宜調整可能である。
例えば、散布機(例えば、ブームスプレーヤ)等を用いて散布する場合は、散布液中100質量ppm以上が好ましく、300質量ppm以上がより好ましく、更に500質量ppm以上が好ましく、且つ20,000質量ppm以下が好ましく、10,000質量ppm以下がより好ましく、更に4,500質量ppm以下がより好ましい。また、100~20,000質量ppmが好ましく、300~10,000質量ppmがより好ましく、更に500~4,500質量ppmがより好ましい。
また、空中散布する場合は、散布液中20,000質量ppm以上が好ましく、80,000質量ppm以上がより好ましく、更に150,000質量ppm以上が好ましく、且つ300,000質量ppm以下が好ましく、250,000質量ppm以下がより好ましく、更に200,000質量ppm以下がより好ましい。また、20,000~300,000質量ppmが好ましく、80,000~250,000質量ppmがより好ましく、更に150,000~200,000質量ppmがより好ましい。
【0016】
本発明において、成分(B)である酸化防止剤は、具体的には、少なくともトコフェロール(ビタミンE)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)から選ばれる1種以上である。このうち、好ましくはフェノール系酸化防止剤であるBHT及びBHAであり、さらに好ましくはBHTである。
なお、本発明においては、酸化防止剤として、トコフェロール、BHT及びBHA以外の酸化防止剤、例えばエリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、クロロゲン酸、カテキン、グルタチオン、尿酸等、好ましくは亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、クロロゲン酸、カテキン、グルタチオン及び尿酸から選ばれる1種以上を併せて使用することもできる。
したがって、成分(B)である酸化防止剤として、BHT及びBHAから選ばれるフェノール系酸化防止剤の1種以上を用い、当該フェノール系酸化防止剤に加えて、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、グルタチオン及び尿酸から選ばれる1種以上を組み合わせて使用することも好適な態様として挙げられる。
【0017】
アスコルビン酸を水道水等の金属イオンを含む水に溶解すると、金属イオンとアスコルビン酸が反応して過酸化水素が発生し、さらに過酸化水素は金属イオンとフェントン反応を起こしてヒドロキシラジカルを生成する。そして、ヒドロキシラジカルが植物体内に侵入すると、細胞膜などに存在する脂質と反応する連続的脂質過酸化反応が引き起こされ、脂質ラジカルや脂質ペルオキシラジカルを生成する。酸化防止剤を使用することによって、斯かるラジカルを補足することが可能となる。
【0018】
本発明において、(B)酸化防止剤は、(C)有機溶剤に溶解した溶液状態で使用されることで、アスコルビン酸による植物生育促進効果が効果的に発揮される。
したがって、本発明の植物生育促進剤においては、成分(A)を含有する製剤(第1剤)と、成分(B)及び(C)を含有する製剤(第2剤)を別々に調製して組み合わせた2剤型製剤(キット)とし、用時両者が混合される態様で使用されるのが好ましい。2剤型とすることにより、成分(A)、成分(B)及び(C)をすべて含有する製剤を保存した場合に生ずる変色を抑制することができる。
この場合、成分(A)を含有する第1剤には、トコフェロール、BHT及びBHAとは異なる酸化防止剤、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、クロロゲン酸、カテキン、グルタチオン及び尿酸から選ばれる1種以上を含有させることができる。
【0019】
本発明の植物生育促進剤を植物に施用する際の組成物中の(B)酸化防止剤の濃度は、0.001質量ppm以上が好ましく、0.01質量ppm以上がより好ましく、更に0.1質量ppm以上が好ましく、且つ100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、更に5質量ppm以下がより好ましい。また、0.001~100質量ppmが好ましく、0.01~20質量ppmがより好ましく、更に0.1~5質量ppmがより好ましい。
【0020】
成分(C)である有機溶剤は、(B)酸化防止剤を溶解するために用いられる溶剤であり、具体的には、炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びポリオールから選ばれる1種以上である。
ここで、炭素数5以下のアルコールとしては、好ましくは、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル2-プロパノール、イソブチルアルコール、1-ペンタノール、3-メチル1-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール等が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等の3価以上のアルコール;エリスリトール、ペンタエリスリトール、マルチトール、キシリトール、ソルビタン、ソルビトール等の糖又は糖アルコールなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンであり、より好ましくはジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンが挙げられる。
(C)有機溶剤として、より好ましくはイソブチルアルコール、DMSO及びグリセリンである。
【0021】
(B)酸化防止剤として、BHT及びBHAから選ばれる1種以上を用いる場合には、(C)有機溶剤としては、DMSO、イソブチルアルコール又はこれらの混合物を用いるのが好ましい。
【0022】
本発明の植物生育促進剤を植物に施用する際の組成物中の(C)有機溶剤の濃度は、質量1ppm以上、質量100,000ppm以下の範囲で、供給方法に応じて適宜調整可能である。
例えば、散布機(例えば、ブームスプレーヤ)等を用いて散布する場合は、散布液中1質量ppm以上が好ましく、10質量ppm以上がより好ましく、更に50質量ppm以上が好ましく、且つ10,000質量ppm以下が好ましく、5,000質量ppm以下がより好ましく、更に1,000質量ppm以下がより好ましい。また、1~10,000質量ppmが好ましく、10~5,000質量ppmがより好ましく、更に50~1,000質量ppmがより好ましい。
また、空中散布する場合は、散布液中100質量ppm以上が好ましく、1,000質量ppm以上がより好ましく、更に5,000質量ppm以上が好ましく、且つ100,000質量ppm以下が好ましく、50,000質量ppm以下がより好ましく、更に10,000質量ppm以下がより好ましい。また、100~100,000質量ppmが好ましく、1,000~50,000質量ppmがより好ましく、更に5,000~10,000質量ppmがより好ましい。
【0023】
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤の組み合わせの割合(質量比)は、成分(B)を1とした場合、成分(A)は、好ましくは10以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは500以上であり、そして、好ましくは3,000,000以下、より好ましくは2,000,000以下、更に好ましくは200,000以下である。また、好ましくは10~3,000,000、より好ましくは100~2,000,000、更に好ましくは500~200,000である。このうち、散布機による散布の場合には500~45,000が好ましく、空中散布による散布の場合には150,000~2,000,000が好ましく、更に、散布機による散布の場合には500~4,500がより好ましく、空中散布で散布の場合には150,000~200,000が好ましい。
また、成分(B)を1とした場合、成分(C)は、好ましくは4以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは20以上、更に好ましくは50以上であり、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは20,000以下、更に好ましくは10,000以下である。また、好ましくは4~100,000、より好ましくは10~50,000、更に好ましくは20~20,000、更に好ましくは50~10,000である。このうち、散布機による散布の場合には20~10,000が好ましく、空中散布による散布の場合には2,000~100,000が好ましい。更に、散布機による散布の場合には50~1,000がより好ましく、空中散布で散布の場合には5,000~10,000がより好ましい。
【0024】
本発明においては、(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤と共に、(D)界面活性剤を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤を用いることで、植物表面への(A)アスコルビン酸又はその塩の濡れ性、付着性、浸透性を向上し、(A)アスコルビン酸又はその塩の効果を増強させ、あるいは効率よく効果を発揮することができる。
上述したように、本発明の植物生育促進剤を、成分(A)を含有する製剤(第1剤)と、成分(B)及び(C)を含有する製剤(第2剤)を組み合わせた2剤型製剤(キット)とする場合には、(D)界面活性剤は成分(B)及び(C)を含有する第2剤に含有するのが好ましい。
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて使用することができるが、少なくとも非イオン界面活性剤を含むのが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグリコシド及びショ糖脂肪酸エステル等から選ばれる1種以上が挙げられ、
陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、脂肪酸塩、ピロリン酸塩、ラウリルリン酸、ポリカルボン酸型高分子、ポリオキシエチレンアルキレンアルキル酢酸、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンジスチレン化エーテル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等から選ばれる1種以上が挙げられ、
両性界面活性剤としては、例えば2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキル酸アミドプロピルベタイン等から選ばれる1種以上が挙げられる。
このうち、過剰施用の際の植物に対する薬害防止の観点から、非イオン界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルポリグリコシド及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上が好ましく、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、陰イオン界面活性剤としてはアルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等)、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物及び脂肪酸塩から選ばれる1種以上が好ましく、両性界面活性剤としては2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが好ましい。
【0025】
本発明の植物生育促進剤を植物に施用する際の組成物中の(D)界面活性剤の濃度は、10質量ppm以上、30,000質量ppm以下の範囲で、供給方法に応じて適宜調整可能である。
例えば、散布機(例えば、ブームスプレーヤ)等を用いて散布する場合は、散布液中10質量ppm以上が好ましく、100質量ppm以上がより好ましく、更に200質量ppm以上が好ましく、且つ5,000質量ppm以下が好ましく、1,000質量ppm以下がより好ましく、更に500質量ppm以下がより好ましい。また、10~5,000質量ppmが好ましく、10~1,000質量ppmがより好ましく、更に100~500質量ppmがより好ましい。
また、空中散布する場合は、散布液中100質量ppm以上が好ましく、500質量ppm以上がより好ましく、更に1,000質量ppm以上が好ましく、且つ10,000質量ppm以下が好ましく、8,000質量ppm以下がより好ましく、更に5,000質量ppm以下がより好ましい。また、100~10,000質量ppmが好ましく、500~8,000質量ppmがより好ましく、更に1,000~5,000質量ppmがより好ましい。
また、(D)界面活性剤を組み合わせる場合の割合(質量比)は、成分(B)を1とした場合、成分(D)は、好ましくは10以上、より好ましくは50以上、更に好ましくは100以上であり、そして、好ましくは300,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは5,000以下である。また、好ましくは10~300,000、より好ましくは50~100,000、更に好ましくは100~5,000である。このうち散布機による散布の場合には100~5,000が好ましく、空中散布による散布の場合には1,000~50,000が好ましい。更に、散布機による散布の場合には100~500がより好ましく、空中散布による散布の場合には1,000~5,000がより好ましい。
【0026】
また、本発明においては、(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤と共に、(E)キレート剤を組み合わせて用いることができる。
キレート剤を用いることで、(A)アスコルビン酸又はその塩の安定性を向上でき、その結果、アスコルビン酸又はその塩の効果を安定させることができる。
上述したように、本発明の植物生育促進剤を、成分(A)を含有する製剤(第1剤)と、成分(B)及び(C)を含有する製剤(第2剤)を組み合わせた2剤型製剤(キット)とする場合には、(E)キレート剤は成分(A)を含有する第1剤に含有するのが好ましい。
キレート剤としては、例えばアミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤、多価カルボン酸系キレート剤等が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)及びこれらの塩等が挙げられる。 ホスホン酸系キレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)及びこれらの塩等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸系キレート剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、乳酸及びこれらの塩等が挙げられる。
多価カルボン酸系キレート剤としては、コハク酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マロン酸及びこれらの塩等が挙げられる。
【0027】
本発明の植物生育促進剤を植物に施用する際の組成物中の(E)キレート剤の濃度は、0.01質量ppm以上が好ましく、0.1質量ppm以上がより好ましく、更に1質量ppm以上が好ましく、且つ100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、更に10質量ppm以下がより好ましい。また、0.01~100質量ppmが好ましく、0.1~50質量ppmがより好ましく、更に1~10質量ppmがより好ましい。
また、(E)キレート剤を組み合わせる場合の割合(質量比)は、成分(B)を1とした場合、成分(E)は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは1以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは10以下である。また、好ましくは0.01~100、より好ましくは0.1~100、より好ましくは1~100、更に好ましくは、1~10である。
【0028】
(A)アスコルビン酸と共に使用される、(B)酸化防止剤、(C)有機溶剤、(D)界面活性剤の好適な組み合わせとしては、例えば以下のものが挙げられる。
・成分(B)がBHT及びBHAから選ばれる1種以上を含む酸化防止剤であり、成分(C)がイソブチルアルコール又はDMSOを含む有機溶剤であり、成分(D)がソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上、及び所望によりさらに脂肪酸塩、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキル硫酸塩から選ばれる1種以上を含む界面活性剤である組み合わせ。
・成分(B)がBHT、亜硫酸ナトリウム、グルタチオン及び尿酸を含む酸化防止剤であり、成分(C)がイソブチルアルコール又はDMSOを含む有機溶剤であり、成分(D)がソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上、及び所望によりさらにアルキル硫酸塩を含む界面活性剤である組み合わせ。
【0029】
後記実施例に示すように、果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類を栽培する場合において、アスコルビン酸に、BHTのような酸化防止剤と有機溶剤を組み合わせて添加すると当該植物の生育が促進することが示された。
したがって、アスコルビン酸と、特定の酸化防止剤及び有機溶剤の組み合わせは、果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤となり得、当該植物の生育促進のために使用することができ、また、果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤を製造するために使用できる。
【0030】
上記の植物生育促進剤は、果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育を促進するための組成物(例えば、各種農業または園芸資材等)、或いは土壌、培地、養液栽培用溶液等の植物を栽培するための栽培基材に添加・配合するための素材(単体)又は製剤となり得る。
上記組成物の形態は、液状又はゲル状組成物であってもよく、また固体状態(ブロック状、粉末状、顆粒状等)の組成物であってもよい。
ここで、当該組成物は、成分(A)、(B)及び(C)を予め混合した組成物である他に、成分(A)を含有する製剤と、成分(B)及び(C)を含有する製剤を別々に調製し、用時両者を混合した組成物であり得る。
【0031】
上記組成物には、本発明において使用される上記成分(A)~(C)、更には(D)、(E)の他に、任意の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、溶媒(例えば、水、緩衝液、培地、養液栽培用溶液等)、担体(珪藻土やバーミキュライト、パーライト、ピートモス、活性炭、ヒューマス、タルク、ゼオライト、クレー、カーボンブラック、パルプ、藁、大豆かす、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト、アルミナ等)、前記化合物の溶解を促すためのpH調整剤、植物体又は土壌への展着力を高めるための展着剤、肥効を高めるための肥料成分、農薬成分、バインダー、増量剤、根粒菌や菌根菌等の植物生育促進微生物、植物の必須栄養素、フラボノイド、有機酸、アミノ酸、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸塩基、糖、1価アルコール、食品添加物、微生物抽出物、植物ホルモン、nod因子すなわちリポ-キトオリゴ糖、合成リポ-キトオリゴ糖、キトオリゴ糖、キチン性化合物、リノール酸又はその誘導体類、リノレン酸又はその誘導体類、カリキン、アシル-ホモセリンラクトン誘導体、ベタイン化合物、フェノール類化合物等が挙げられる。
【0032】
本発明の生育促進剤を1剤型製剤として使用する場合には、ゼオライト、シリカ、ベントナイト及び芒硝から選ばれる1種以上の担体を配合するのが製剤の保存安定性又は褐変を抑制する点で好ましく、保存安定性及び褐変抑制の観点からシリカを配合するのがより好ましい。この場合、組成物中の担体(成分(F))の濃度は、50質量ppm以上が好ましく、100質量ppm以上がより好ましく、更に250質量ppm以上が好ましく、且つ1,000質量ppm以下が好ましく、750質量ppm以下がより好ましく、更に650質量ppm以下がより好ましい。また、50~1,000質量ppmが好ましく、100~750質量ppmがより好ましく、更に250~650質量ppmがより好ましい。
また、(F)担体を組み合わせる場合の割合(質量比)は、成分(B)を1とした場合、成分(F)は、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは250以上であり、そして、好ましくは1,000以下、より好ましくは750以下、更に好ましくは650以下である。また、好ましくは50~1,000、より好ましくは100~750、更に好ましくは250~650である。
【0033】
また、空中散布のための組成物においては、ポリオキシエチレン酸脂肪酸エステル等の乳化剤、デシルアルコール等の油剤を含有することができる。
【0034】
上記組成物の例としては、例えば、本発明の成分(A)~(C)を少なくとも含む栽培基材(例えば、農業用もしくは園芸用の土壌、培土、培地、養液栽培用溶液、水等)、肥料、水やり用の水、根粒菌資材等の微生物資材、土壌改良剤、農薬、播種用資材、植物用サプリメント(例えば、活性化剤、栄養剤等)、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
当該肥料、微生物資材、土壌改良剤、播種用資材、植物用サプリメントは、植物を栽培する土壌の改良に資するため好ましい。該肥料、微生物資材、土壌改良剤、播種用資材、植物用サプリメントは、固体であっても液体であってもよく、固体の場合はブロック状、粉末状、顆粒状等であり得るが、粉末もしくは顆粒であることが好ましい。該肥料、微生物資材、土壌改良剤、播種用資材、植物用サプリメントは、成分(A)~(C)を有効成分として含む以外に、通常、植物の栽培に使用される肥料、微生物資材、土壌改良剤、播種用資材、植物用サプリメントの成分を含み得る。
【0036】
当該栽培基材、肥料、根粒菌資材等の微生物資材、土壌改良剤、農薬、播種用資材、植物用サプリメントは、通常の栽培基材(例えば、農業用もしくは園芸用の土壌、培土、培地、養液栽培用溶液、水等)、肥料、根粒菌資材等の微生物資材、土壌改良剤、農薬、播種用資材、植物用サプリメント(例えば、活性化剤、栄養剤等)などに、本発明の成分(A)~(C)を添加することによって調製されてもよい。
【0037】
成分(A)を含有する製剤と、成分(B)及び(C)を含有する製剤を別々に調製し、用時両者を混合した組成物であり得る。成分(A)を含有する製剤(第1剤)と、成分(B)及び(C)を含有する製剤(第2剤)とし、用時両者を混合する2剤型製剤とする場合は、第1剤の重量比率が第2剤を1とした場合、1~100、好ましくは1~50、より好ましくは1~25である。
第1剤及び第2剤をそれぞれ水に溶解して調製する場合、第1剤の水溶液中の濃度は100質量ppm以上、300,000質量ppm以下とするのが好ましく、第2剤の水溶液中の濃度は10質量ppm以上、100,000質量ppm以下とするのが好ましい。
【0038】
本発明の植物生育促進剤の供給方法としては、本発明の効果を発揮できるように植物に施用すれば、その態様は特に限定されない。
すなわち、果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の植物体又は植物の根圏の土壌に上記組成物が接触するか、又は送達される限り特に制限されず、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、植物への葉面散布、肥料に混合しての施用、水耕溶液への添加、又は、播種前の種子への塗布もしくは塗抹(例えば種子粉衣)等が挙げられるが、本発明の成分が水で希釈された散布液の状態にて適用されるのが好ましく、特に葉面散布が好適に用いられる。
なお、散布液は、施用時に調製されても良く、この場合に使用される希釈水は、農業用水、井戸水、地下水、河川水、湖沼、水道水等のいずれであっても良い。
【0039】
散布する方法としては特に限定されないが、例えば、スプレー法すなわち噴霧することにより散布液を霧状に散布する方法が挙げられる。斯かる方法によれば、本発明の植物生育促進剤が植物に付着した後、植物上で展着性が良好に発現される。
スプレー法により散布する方法として、具体的には、霧吹き、噴霧器、散布機(例えば、ブームスプレーヤ)等を用いて人手により散布する方法や、飛行機、ヘリコプター、ドローンなどを用いて空中散布する方法などが挙げられる。
【0040】
本発明の植物生育促進剤の施用量は、施用する際の組成物中に含まれる成分(A)~(C)の濃度に依存する。例えば、散布液中に含まれる成分(A)の濃度が100~300,000質量ppmである場合、該組成物のうち、成分(A)の植物1株あたりの使用量は、好ましくは1mg以上、より好ましくは5mg以上、より好ましくは10mg以上であり、且つ好ましくは150mg以下、より好ましくは100mg以下、より好ましくは50mg以下である。また、好ましくは1~150mg、より好ましくは5~100mg、より好ましくは10~50mgである。植物の生育促進剤は、一度に前記範囲の量を施用してもよく、複数回に分けて施用してもよい。
【0041】
施用の時期及び回数は、植物の種類等によっても異なり得るが、通常、土壌等の栽培基材への表面散布、潅注、鋤込み、若しくは種子粉衣により施用する場合は播種前若しくは播種と同時に1回又は1~3回施用することが好ましく、また播種後に施用する場合には、生殖生長期から栄養成長期初期の間が好ましい。
【0042】
上述した実施形態に関し、本発明においてはさらに以下の態様が開示される。
<1>(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、剤。
<2>(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合4~100,000である、剤。
<3>(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、剤。
<4>(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせてなる果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収剤であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合4~100,000である、剤。
<5>(A)アスコルビン酸又はその塩及び(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、成分(A)が10~3,000,000、好ましくは100~2,000,000、より好ましくは500~200,000で、成分(C)が4~100,000、好ましくは10~50,000、より好ましくは20~20,000、更に好ましくは50~10,000である、<1>~<4>のいずれかに記載の剤。
<6>(B)酸化防止剤が、さらに亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、グルタチオン及び尿酸から選ばれる1種以上を含む、<1>~<5>のいずれかに記載の剤。
<7>(C)有機溶剤がイソブチルアルコール、ジメチルスルホキシド及びグリセリンから選ばれる1種以上である、<1>~<6>のいずれかに記載の剤。
<8>さらに、(D)界面活性剤を組み合わせてなる、<1>~<7>のいずれかに記載の剤。
<9>(D)界面活性剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、好ましくは10~300,000、より好ましくは50~100,000、更に好ましくは100~5,000である、<8>に記載の剤。
<10>(D)界面活性剤が少なくとも非イオン系界面活性剤を含む、<8>又は<9>に記載の剤。
<11>(D)非イオン系界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上である、<10>に記載の剤。
<12>(D)界面活性剤がさらに陰イオン系界面活性剤又は両性界面活性剤を含む、<10>に記載の剤。
<13>(D)非イオン系界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上であり、陰イオン系界面活性剤が脂肪酸塩、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキル硫酸塩から選ばれる1種以上であり、両性界面活性剤が2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインである、<12>に記載の剤。
<14>さらに、(E)キレート剤を組み合わせてなる、<1>~<13>のいずれかに記載の剤。
<15>(A)アスコルビン酸又はその塩、(C)有機溶剤、(D)界面活性剤及び(E)キレート剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、成分(A)が10~3,000,000、好ましくは100~2,000,000、より好ましくは500~200,000で、成分(C)が4~100,000、好ましくは10~50,000、より好ましくは20~20,000、更に好ましくは50~10,000であり、成分(D)が好ましくは10~300,000、より好ましくは50~100,000、更に好ましくは100~5,000であり、成分(E)が好ましくは0.01~100、より好ましくは0.1~100、より好ましくは1~100、更に好ましくは、1~10である、<14>に記載の剤。
<16>(E)キレート剤がエチレンジアミン四酢酸又はその塩及びエチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸から選ばれる1種以上である、<14>又は<15>に記載の剤。
<17>さらに、(F)担体を組み合わせてなる、<1>~<16>のいずれかに記載の剤。
<18>(F)担体の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは250以上であり、そして、好ましくは1,000以下、より好ましくは750以下、更に好ましくは650以下であるか、または、好ましくは50~1,000、より好ましくは100~750、更に好ましくは250~650である、<17>に記載の剤。
<19>(F)担体がゼオライト、シリカ、ベントナイト及び芒硝から選ばれる1種以上である、<17>又は<18>に記載の剤。
<20>前記成分(A)を含有する第1剤と、前記成分(B)及び(C)を含有する第2剤からなり、用時両者が組み合わされる、<1>~<7>のいずれかに記載の剤。
<21>(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤と、水を組み合わせて土壌又は植物に施用する工程を含む果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進方法であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、方法。
<22>(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤と、水を組み合わせて土壌又は植物に施用する工程を含む果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収方法であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、方法。
<23>前記成分(A)を含有する第1剤と、前記成分(B)及び(C)を含有する第2剤を用意し、用時両者を組み合わせて土壌又は植物に施用される、<21>又は<22>に記載の方法。
<24>第1剤の重量比率が第2剤を1とした場合、1~100である<20>に記載の剤。
<25>第1剤及び第2剤を水に溶解して使用する<23>に記載の方法。
<26>第1剤の水溶液中の濃度が100質量ppm以上、300,000質量ppm以下、第2剤の濃度が10質量ppm以上、100,000質量ppm以下である、<25>に記載の方法。
<27>果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤を製造するための、(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせの使用であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、使用。
<28>果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の生育促進剤を製造するための、(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせの使用であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合4~100,000である、使用。
<29>果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収剤を製造するための、(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせの使用であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(A)アスコルビン酸又はその塩の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合10~3,000,000である、使用。
<30>果菜類、葉茎菜類、根菜類及び禾穀類から選ばれる植物の増収剤を製造するための、(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)酸化防止剤及び(C)有機溶剤を組み合わせの使用であって、(B)酸化防止剤が少なくともトコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤が炭素数5以下のアルコール、ジメチルスルホキシド及びポリオールから選ばれる1種以上であり、(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合4~100,000である、使用。
<31>(A)アスコルビン酸又はその塩及び(C)有機溶剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、成分(A)が10~3,000,000、好ましくは100~2,000,000、より好ましくは500~200,000であり、成分(C)が4~100,000、好ましくは10~50,000、より好ましくは20~20,000、更に好ましくは50~10,000である、<27>~<30>のいずれかに記載の使用。
<32>(B)酸化防止剤が、さらに亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、グルタチオン及び尿酸から選ばれる1種以上を含む、<27>~<30>のいずれかに記載の使用。
<33>(C)有機溶剤がイソブチルアルコール、ジメチルスルホキシド及びグリセリンから選ばれる1種以上である、<27>~<30>のいずれかに記載の使用。
<34>さらに、(D)界面活性剤を組み合わせてなる、<27>~<30>のいずれかに記載の使用。
<35>(D)界面活性剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、好ましくは10~300,000、より好ましくは50~100,000、更に好ましくは100~5,000である、<34>に記載の使用。
<36>(D)界面活性剤が少なくとも非イオン系界面活性剤を含む、<34>又は<35>に記載の使用。
<37>(D)非イオン系界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上である、<36>に記載の使用。
<38>(D)界面活性剤がさらに陰イオン系界面活性剤又は両性界面活性剤を含む、<36>に記載の使用。
<39>(D)非イオン系界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上であり、陰イオン系界面活性剤が脂肪酸塩、芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキル硫酸塩から選ばれる1種以上であり、両性界面活性剤が2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインである<38>に記載の使用。
<40>さらに、(E)キレート剤を組み合わせてなる、<27>~<39>のいずれかに記載の使用。
<41>(A)アスコルビン酸又はその塩、(C)有機溶剤、(D)界面活性剤及び(E)キレート剤の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、成分(A)が10~3,000,000、好ましくは100~2,000,000、より好ましくは500~200,000であり、成分(C)が4~100,000、好ましくは10~50,000、より好ましくは20~20,000、更に好ましくは50~10,000であり、成分(D)が好ましくは10~300,000、より好ましくは50~100,000、更に好ましくは100~5,000であり、成分(E)が好ましくは0.01~100、より好ましくは0.1~100、より好ましくは1~100、更に好ましくは、1~10である、<40>に記載の使用。
<42>(E)キレート剤がエチレンジアミン四酢酸又はその塩及びエチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸から選ばれる1種以上である、<40>又は<41>に記載の使用。
<43>さらに、(F)担体を組み合わせてなる、<27>~<42>のいずれかに記載の使用。
<44>(F)担体の割合(質量比)が、成分(B)を1とした場合、好ましくは50~1,000、より好ましくは100~750、更に好ましくは250~650である、<43>に記載の使用。
<45>(F)担体がゼオライト、シリカ、ベントナイト及び芒硝から選ばれる1種以上である、<43>又は<44>に記載の使用。
<46>前記成分(A)を含有する第1剤と、前記成分(B)及び(C)を含有する第2剤からなり、用時両者が組み合わされる、<27>~<30>のいずれかに記載の使用。
<47><1>、<2>、<3>、<4>、<21>、<22>、<27>、<28>、<29>及び<30>において、果菜類は好ましくはウリ科、ナス科、バラ科、アオイ科又はイネ科の果菜類であり、葉茎菜類は好ましくはアブラナ科、キク科、ヒユ科、セリ科、ヒガンバナ科、バラ科又はシソ科の葉茎菜類であり、根菜類は好ましくはナス科、セリ科、アブラナ科、キク科、ヒユ科又はヒルガオ科の根菜類である。
<48><1>、<2>、<3>、<4>、<21>、<22>、<27>、<28>、<29>及び<30>において、果菜類は好ましくはキュウリ、ゴーヤ、メロン、カボチャ、トマト、イチゴ、ワイルドストロベリー又はオクラであり、葉茎菜類は好ましくはキャベツ、コマツナ、レタス、シュンギク、ホウレンソウ、ミツバ、ネギ、ニラ、サラダバーネット又はシソであり、根菜類は好ましくはジャガイモ、ニンジン、ハツカダイコン、ゴボウ又はビーツであり、禾穀類は好ましくはイネ、コムギ又はトウモロコシである。
【実施例0043】
実施例1 アスコルビン酸組成物がキャベツの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり200mL給水させた後、ホームセンターで購入したキャベツ苗を移植した。なお、各試験区の反復数は4とした(n=4)。
【0044】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった
後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0045】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、移植10日目に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。
ここで、アスコルビン酸は扶桑化学工業株式会社製「食品添加物グレード ビタミンC(L-アスコルビン酸)ファインメッシュTypeSSS」を用いた。BHT及びイソブチルアルコールは富士フィルム和光純薬株式会社製を使用した。ノニオン系界面活性剤として、ソルビタンモノラウレートを使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
移植18日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。
【0046】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0047】
(4)結果
地上部生鮮重量の測定結果を
図1に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。キャベツにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地上部生鮮重量が平均9%増加した。
【0048】
実施例2 アスコルビン酸組成物がコマツナの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、コマツナ種子(品種:みすぎ、株式会社サカタのタネ)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0049】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった
後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0050】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種21日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、6種類の試験区を検討した。試験区1~4は1株あたり6.7mL散布を行い、試験区5及び6は1株あたり0.125mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類及びイソプロピルアルコール(富士フィルム和光純薬株式会社製)、ジメチルスルホキシド(富士フィルム和光純薬株式会社製)、ポリオキシレン樹脂酸エステル、脂肪酸石けんカリウム塩、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、グリセリン脂肪酸エステルを使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
播種28日目に、植物体を90℃で24時間乾燥させたのち、植物体の地上部乾燥重量を測定した。
【0051】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール100質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+ポリオキシレン樹脂酸エステル28ppm+脂肪酸石けんカリウム塩質量22ppm葉面散布(水道水で溶解)
・4区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソプロピルアルコール115質量ppm+ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート258質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・5区画:アスコルビン酸150,000質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・6区画:アスコルビン酸150,000質量ppm+BHT1質量ppm+ジメチルスルホキシド8,000質量ppm+ポリエチレングリコールモノラウレート24,000質量ppm+グリセリン脂肪酸エステル16,000質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0052】
(4)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図2に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。コマツナにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地上部乾燥重量が平均3%、試験区4では平均12%、試験区6では、平均3%増加した。これらの結果から、散布に使用する成分(C)はイソブチルアルコールの他に、イソプロピルアルコール及びジメチルスルホキシドを使用した場合においても、生育促進効果が得られることが示された。また、成分(D)はソルビタンモノラウレートの他に、ポリオキシレン樹脂酸エステル、脂肪酸石けんカリウム塩、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート及びグリセリン脂肪酸エステルを使用した場合においても、生育促進効果が得られることが示された。さらに、試験区6の結果から、高濃度・少水量での散布においても、生育促進効果が得られることが確認された。
【0053】
実施例3 アスコルビン酸組成物がホウレンソウの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり200mL給水させた後、ホームセンターで購入したホウレンソウ苗(品種:スーパーアリーナ7、株式会社トーホク)を移植した。なお、各試験区の反復数は4とした(n=4)。
【0054】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期12時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった
後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0055】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、移植18日目に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例1と同じである。評価した試験区1~3は以下の通りである。
移植25日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。
【0056】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0057】
(4)結果
地上部生鮮重量の測定結果を
図3に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。ホウレンソウにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地上部生鮮重量が平均5%増加した。
【0058】
実施例4 アスコルビン酸組成物がイチゴの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
プランター(幅65.3cm、奥行24.5cm、高さ18.5cm)に鉢底石(鉢底に入れる石ネット分包、自然応用科学株式会社)を2L充填した後、中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)を9L充填した。水道水を1つのプランターあたり2L給水させた後、ホームセンターで購入したイチゴ苗(品種:ドルチェベリー、サントリーフラワーズ株式会社)を移植した。なお、各試験区の反復数は3とした(n=3)。
【0059】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、水道水1Lを週3回程度行った。
【0060】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、移植17日目に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例1と同じである。試薬類は実施例1と同じである。評価した試験区1~3は以下の通りである。
移植49日目に、植物体の地上部乾燥重量を測定した。
【0061】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0062】
(4)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図4に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地上部生鮮重量が平均8%増加した。
【0063】
実施例5 アスコルビン酸組成物がレタスの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備と栽培条件
初期肥効型培土(タキイセル培土TM-1、タキイ種苗株式会社)をポリポット(直径7.5cm、高さ6.5cm)に充填した。レタス種子は「グレートレーク」(株式会社アタリヤ農園)を使用した。水道水を1ポットあたり100mL給水させた後、あらかじめ2日間吸水させておいた種子を各ポットに4粒、種子がわずかに隠れる程度の深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。播種後28日目に植物体を中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合した土壌を充填したポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に水道水を1ポットあたり250mL給水させた後に移植した。
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、水道水600mLを週2回程度行った。
なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0064】
(2)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、移植2日目(播種後30日目)に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例1と同じである。評価した試験区1~3は以下の通りである。
移植9日目(播種後37日目)に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。
【0065】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(脱イオン水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0066】
(3)結果
地上部生鮮重量の測定結果を
図5に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、レタスにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区4では地上部生鮮重量が平均2.7%増加した。
【0067】
実施例6 アスコルビン酸組成物がネギの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備と栽培条件
初期肥効型培土(タキイセル培土TM-1、タキイ種苗株式会社)をポリポット(直径7.5cm、高さ6.5cm)に充填した。ネギ種子は「九条葱」(株式会社アタリヤ農園)を使用した。水道水を1ポットあたり100mL給水させた後、種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。播種後34日目に植物体を中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合した土壌を充填したポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に水道水を1ポットあたり250mL給水させた後に移植した。
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、水道水600mLを週2回程度行った。
なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0068】
(2)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、移植2日目(播種後36日目)に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例1と同じである。評価した試験区1~3は以下の通りである。
移植9日目(播種後43日目)に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。
【0069】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0070】
(3)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図6に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、ネギにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地上部生鮮重量が平均9.3%増加した。
【0071】
実施例7 アスコルビン酸組成物がネギの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、ネギ種子(品種:石倉ネギ、カネコ種苗株式会社)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり3植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は12とした(n=12)。
【0072】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった
後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0073】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、葉面散布を行った。5種類の試験区を検討した。試験区1~4は播種21日目に1回のみ葉面散布を行い、1ポット(3株)あたり6.7mL散布を行った。試験区5は播種21日目及び播種26日目の2回、1回1ポット当たり6.7mL散布を行った。散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例2と同じである。
播種28日目に植物体の地上部生鮮重量を測定した。
【0074】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール100質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+ポリオキシレン樹脂酸エステル28ppm+脂肪酸石けんカリウム塩質量22ppm葉面散布(水道水で溶解)
・4区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソプロピルアルコール115質量ppm+ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート258質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・5区画: アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチル
アルコール100質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+ポリオキシレン樹脂酸エステル28ppm+脂肪酸石けんカリウム塩質量22ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0075】
(4)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図7に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、ネギにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地上部生鮮重量が平均3.5%増加した。
【0076】
実施例8 アスコルビン酸組成物がニンジンの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備と栽培条件
初期肥効型培土(タキイセル培土TM-1、タキイ種苗株式会社)をポリポット(直径7.5cm、高さ6.5cm)に充填した。ニンジン種子は「向陽二号」(タキイ種苗株式会社)を使用した。水道水を1ポットあたり100mL給水させた後、種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。播種後34日目に植物体を中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合した土壌を充填したポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に水道水を1ポットあたり250mL給水させた後に移植した。
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、水道水600mLを週2回程度行った。
なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0077】
(2)葉面散布処理
散布液を調製し、移植2日目(播種後36日目)に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例1と同じである。評価した試験区1~3は以下の通りである。
移植9日目(播種後43日目)に、植物体の地下部生鮮重量を測定した。
【0078】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0079】
(3)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図8に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、ニンジンにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地下部生鮮重量が平均6.7%増加した。
【0080】
実施例9 アスコルビン酸組成物がジャガイモの収量に及ぼす影響
(1)土壌の準備と栽培条件
プランター(幅65.3cm、奥行24.5cm、高さ18.5cm)に中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)を6L充填した。水道水を1つのプランターあたり500mL給水させた後、種イモ(品種:男爵)を植え付けた。なお、各試験区の反復数は3とした(n=3)。栽培は屋外で行った。
【0081】
(2)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、種イモの植え付けから72日目に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例1と同じである。評価した試験区1~3は以下の通りである。
種イモの植え付けから84日目に1株あたりのイモの生鮮重量を測定した。
【0082】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0083】
(3)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図9に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、ジャガイモにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い収量が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地上部生鮮重量が平均7%増加した。
【0084】
実施例10 アスコルビン酸組成物がトマトの収量に及ぼす影響
(1)土壌の準備
プランター(幅65.3cm、奥行24.5cm、高さ18.5cm)に鉢底石を2L充填した後、中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)を9L充填した。水道水を1つのプランターあたり2L給水させた後、ホームセンターで購入したトマト苗(品種:ホーム桃太郎、タキイ種苗株式会社)を移植した。なお、各試験区の反復数は3とした(n=3)。
【0085】
(2)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、トマト苗の植え付けから22日目に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例1と同じである。評価した試験区1~3は以下の通りである。
トマト苗の植え付けから35日目から78日目にかけて収穫を行い、1株あたりのトマトの生鮮重量を測定した。
【0086】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0087】
(3)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図10に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、トマトにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも1果実あたりの重量が大きい果実が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3ではトマト1果実あたりの生鮮重量が平均40%増加した。
【0088】
実施例11 アスコルビン酸組成物がトマトの収量に及ぼす影響
(1)土壌の準備と栽培条件
初期肥効型培土(タキイセル培土TM-1、タキイ種苗株式会社)をポリポット(直径7.5cm、高さ6.5cm)に充填した。トマト種子は「マイクロトム」を使用した。水道水を1ポットあたり100mL給水させた後、種子を各ポットに2粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。播種後32日目に植物体を中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合した土壌を充填したポリポット(直径13.5cm、高さ11cm)に水道水を1ポットあたり375mL給水させた後に移植した。
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、水道水600mLを週2回程度行った。なお
、各試験区の反復数は4とした(n=4)。
【0089】
(2)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、移植2日目(播種後34日目)に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例1と同じである。評価した試験区1~3は以下の通りである。
移植46日目(播種後80日目)から移植73日目(播種後107日目)にかけて収穫を行い、果実生鮮重量を測定した。
【0090】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0091】
(3)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図11に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、トマトにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも1果実あたりの重量が大きい果実が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3ではトマト1果実あたりの生鮮重量が平均3.4%増加した。
【0092】
実施例12 アスコルビン酸組成物がキュウリの収量に及ぼす影響
(1)土壌の準備
プランター(幅65.3cm、奥行24.5cm、高さ18.5cm)に鉢底石を2L充填した後、中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)を9L充填した。水道水を1つのプランターあたり2L給水させた後、ホームセンターで購入したキュウリ苗(品種:病気に強い夏植えきゅうり、日光種苗株式会社)を移植した。なお、各試験区の反復数は3とした(n=3)。
【0093】
(2)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、キュウリ苗の植え付けから22日目に、霧吹きを用いて1株あたり6.7mL散布した。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例1と同じである。評価した試験区1~3は以下の通りである。
キュウリ苗の植え付けから28日目から63日目にかけて収穫を行い、1株あたりのキュウリの果実数を測定した。
【0094】
<散布液>
・1区画:コントロール(施用なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0095】
(3)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図12に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、キュウリにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも1株あたり多数の果実が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3ではキュウリ1株あたりの果実数が1.5倍に増加した。
【0096】
実施例13 アスコルビン酸組成物がイネの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、イネ種子(品種:コシヒカリ)を播種した。種子を各ポットに5粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり2植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は12とした(n=12)。
【0097】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった
後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0098】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、葉面散布を行った。3種類の試験区を検討した。播種21日目に1回のみ葉面散布を行い、1ポット当たり6.7mL散布を行った。散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例2と同じである。 播種28日目に植物体の地上部乾燥重量を測定した。
【0099】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール100質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+ポリオキシレン樹脂酸エステル28ppm+脂肪酸石けんカリウム塩質量22ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0100】
(4)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図13に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、イネにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地上部乾燥重量が平均2.7%増加した。
【0101】
実施例14 アスコルビン酸組成物がコムギの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、コムギ種子(品種:農林61号)を播種した。種子を各ポットに5粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり2植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は12とした(n=12)。
【0102】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった
後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0103】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、葉面散布を行った。3種類の試験区を検討した。播種21日目に1回のみ葉面散布を行い、1ポット当たり6.7mL散布を行った。散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。試薬類は実施例2と同じである。
播種28日目に植物体の地上部乾燥重量を測定した。
【0104】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール100質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+ポリオキシレン樹脂酸エステル28ppm+脂肪酸石けんカリウム塩質量22ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0105】
(4)結果
地上部乾燥重量の測定結果を
図14に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。試験区2と3の比較から、イネにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地上部乾燥重量が平均0.6%増加した。
【0106】
実施例15 アスコルビン酸組成物がニラの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、ニラ種子(品種:大葉にら、株式会社アタリヤ農園)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0107】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0108】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種52日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0109】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0110】
(4)結果
播種57日目に、植物体を90℃で48時間乾燥させたのち、植物体の地上部乾燥重量を測定した。地上部乾燥重量の測定結果を
図15に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。ニラにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部乾燥重量が平均約15.1%、試験区3では平均約35.6%増加した。
【0111】
実施例16 アスコルビン酸組成物がハツカダイコンの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ12cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、ハツカダイコン種子(品種:イザベル、カネコ種苗株式会社)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約1cmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0112】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0113】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種20日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0114】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0115】
(4)結果
播種27日目に、植物体の地下部生鮮重量を測定した。地下部生鮮重量の測定結果を
図16に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。ハツカダイコンにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部乾燥重量が平均約2.3%、試験区3では平均約15.6%増加した。
【0116】
実施例17 アスコルビン酸組成物がサラダバーネットの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、サラダバーネット種子(日光種苗株式会社)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0117】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0118】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種21日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0119】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0120】
(4)結果
播種28日目に、植物体を90℃で48時間乾燥させたのち、植物体の地上部乾燥重量を測定した。地上部乾燥重量の測定結果を
図17に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。サラダバーネットにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部乾燥重量が平均約7.6%、試験区3では平均約58.1%増加した。
【0121】
実施例18 アスコルビン酸組成物がゴーヤの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、ゴーヤ種子(沖縄ゴーヤ、日光種苗株式会社)を播種した。種子を各ポットに2粒、土壌表面から約1cmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は3とした(n=3)。
【0122】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0123】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種22日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0124】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0125】
(4)結果
播種29日目に、植物体を90℃で48時間乾燥させたのち、植物体の地下部乾燥重量を測定した。地下部乾燥重量の測定結果を
図18に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。ゴーヤにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸単独使用時は生育促進効果が確認されなかったが、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地下部乾燥重量が平均約22.6%増加した。
【0126】
実施例19 アスコルビン酸組成物がシソの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、シソ種子(赤シソ、日光種苗株式会社)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0127】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0128】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種29日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0129】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0130】
(4)結果
播種36日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部生鮮重量の測定結果を
図19に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。シソにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約52.4%、試験区3では平均約77.5%増加した。
【0131】
実施例20 アスコルビン酸組成物がミツバの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、ミツバ種子(白茎みつば、カネコ種苗株式会社)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0132】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0133】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種29日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0134】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(イオン交換水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0135】
(4)結果
播種36日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部生鮮重量の測定結果を
図20に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。ミツバにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約38.2%、試験区3では平均約49.6%増加した。
【0136】
実施例21 アスコルビン酸組成物がゴボウの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ12cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、ゴボウ種子(品種:コバルト極早生短型、株式会社ウタネ)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0137】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0138】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種27日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0139】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0140】
(4)結果
播種34日目に、植物体の地下部生鮮重量を測定した。地下部生鮮重量の測定結果を
図21に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。ゴボウにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地下部生鮮重量が平均約6.9%、試験区3では平均約38.8%増加した。
【0141】
実施例22 アスコルビン酸組成物がビーツの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ12cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、ビーツ種子(品種:デトロイトダークレッド、株式会社トーホク)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約1cmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0142】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0143】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種27日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0144】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0145】
(4)結果
播種34日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地下部生鮮重量の測定結果を
図22に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。ビーツにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸単独使用時は生育促進効果が確認されなかったが、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地下部生鮮重量が平均約35.3%増加した。
【0146】
実施例23 アスコルビン酸組成物がワイルドストロベリーの着花数に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径13.5cm、高さ11cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、ワイルドストロベリー種子(四季なりイチゴ、株式会社サカタのタネ)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約3mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は4とした(n=4)。
【0147】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0148】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種63日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0149】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0150】
(4)結果
播種63日目の葉面散布後から播種125日目までの各植物体の合計着花数を測定した。着花数の測定結果を
図23に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。ワイルドストロベリーにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い着花数増加効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では着花数が平均約63.4%増加した。
【0151】
実施例24 アスコルビン酸組成物がコムギの収量に及ぼす影響
(1)土壌の準備
1/5000ワグネルポットに壌土を充填し、N:P:K=6:6:6(kg/10a)となるようにAGマックス(N:P:K=10:10:10、アイアグリ株式会社)を1ポット当たり1.2g施用した後、コムギ種子(農林61号、有限会社つる新種苗)を8粒×2条播種した。発芽後に1ポットあたり4植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は10とした(n=10)。
【0152】
(2)栽培条件
栽培はビニールハウス内で行った。水やりは、壌土が乾燥した際に適宜行った。播種106日目と126日目にそれぞれNK化成(N:P:K=15:0:15)をN:P:K=3:0:3(kg/10a)となるように1ポット当たり0.4g追肥した。また、防除として播種113日目に1000倍希釈したチルト乳剤25(シンジェンタジャパン株式会社)を、播種132日目に2000倍希釈したシルバキュアフロアブル(バイエルクロップサイエンス株式会社)をそれぞれ150L/10aとなるように1ポット当たり3mL散布した。
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種133日目に、スプレーガン(充電式エアブラシver.2.5、口径0.4mm、株式会社aurochs)を用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、2種類の試験区を検討した。1ポットあたり2mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区は以下の通りである。
【0153】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール100質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0154】
(4)結果
播種180日目に収穫を実施し、脱穀後のコムギを90℃で48時間乾燥させたのち、1ポット4株当たりのコムギ粒重を測定した。粒重の測定結果を
図24に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。コムギにおいて、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加した組成物を施用することで、増収効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2ではコムギ4株当たりの粒重が平均約2.2%増加した。
【0155】
実施例25 アスコルビン酸組成物がコマツナの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、コマツナ種子(品種:みすぎ、株式会社サカタのタネ)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0156】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0157】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種27日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、8種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~8は以下の通りである。
【0158】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT0.001質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・4区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT0.01質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・5区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT0.1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・6区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・7区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT5質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・8区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT10質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0159】
(4)結果
播種34日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部乾燥重量の測定結果を
図25に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。コマツナにおいて、試験区2と3~8の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約32.3%増加したのに対し、試験区3では地上部生鮮重量が平均約87.1%、試験区4では平均約81.1%、試験区5では、平均約37.4%、試験区6では平均約56.7%、試験区7では平均約71.2%、試験区8では平均約70.8%増加した。これらの結果から、成分(B)のBHTの濃度を0.001質量ppm~10質量ppmとした場合においても、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、溶解に水道水を使用したアスコルビン酸を単独で散布した場合よりも高い生育促進効果が得られることが示された。
【0160】
実施例26 アスコルビン酸組成物がコマツナの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、コマツナ種子(品種:みすぎ、株式会社サカタのタネ)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0161】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0162】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種25日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、6種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め60℃に加熱した成分(D)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類及びグリセリン(富士フィルム和光純薬株式会社製)、ジエチレングリコール(富士フィルム和光純薬株式会社製)、プロピレングリコール(富士フィルム和光純薬株式会社製)を使用した。評価した試験区1~6は以下の通りである。
【0163】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・4区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+グリセリン50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・5区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+ジエチレングリコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・6区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+プロピレングリコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0164】
(4)結果
播種32日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部乾燥重量の測定結果を
図26に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。コマツナにおいて、試験区2と3~6の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約8.4%増加したのに対し、試験区3では地上部生鮮重量が平均約21.9%、試験区4では平均19.0%、試験区5では、平均18.7%、試験区6では平均22.4%、増加した。これらの結果から、成分(C)はグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコールを用いた場合においても、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、溶解に水道水を使用したアスコルビン酸を単独で散布した場合よりも高い生育促進効果が得られることが示された。
【0165】
実施例27 1剤型製剤の保存安定性
(1)1剤型組成物の調製
成分(A)としてアスコルビン酸300g、成分(B)としてBHT0.2g、成分(C)としてイソブチルアルコール10mL、成分(D)としてソルビタンモノラウレート70mLをそれぞれ使用して、下記の方法により1剤型組成物を作製した。成分(B)を成分(C)に溶解後、さらに成分(D)を混合したものと成分(A)を混和することによって、1剤型組成物を作製した。試薬類は実施例1と同じである。
【0166】
(2)粉状組成物の調製
成分(F)として以下に示す担体を使用し、1剤型組成物と混合して粉状組成物を作製した。得られた粉状組成物における各成分の含有量は表1に示す通りである。
ゼオライト(ZEOBUILDER CO.,LTD 製、ZEOLITE(POWDER))、シリカ(Oriental Silicas Corporation 製、トクシールNP)、ベントナイト(黒崎白土工業株式会社製、オドゾルブK-400)、芒硝(China-Salt Huaian Hongyun Salt Chemical Co.,Ltd.製、無水芒硝を乾式粉砕した、平均粒径25μmのサンプル)。
【0167】
(3)保存安定性試験
製造した各粉状組成物を、室温条件下で1日保存した後、この組成物を目開き2.0mm、9.5mmの2段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の9.5mmの篩の上から30gの組成物を添加し、蓋をしてミニふるい振とう機(アズワン株式会社製、振とうスピード3)に取り付け、10分間振動させたあと、それぞれの篩及び受け皿上に残留した該粒子の質量を測定した。2.0mmの篩を通過した質量を全質量で割ることにより篩通過率を求めた。
篩通過率=(篩を通過した質量/全質量)×100
結果を表1に示す。表1の結果によれば、各粉状組成物は、比較例よりも、ふるい透過率が高い、つまり、保存時に生じる表面粘着による大粒径化が抑制されており、そのため保存安定性が優れることが分かる。
【0168】
(4)褐変防止試験
製造した各粉状組成物を5gずつ透明ガラス瓶に分注した。設定温度50℃の保管庫に2週間保存した。2週間後、外観の褐変度を4段階で評価した。(0:褐変無し、1:わずかに褐変が見られる、2:褐変が見られる、3:著しい褐変が見られる)
結果を表1に示す。表1の結果から、シリカを添加した組成物で保存後の褐変が抑制された。一方、それ以外の組成物は外観の褐変がみられた。検討結果から、外観の安定性の観点からシリカの添加が優れていることが示唆された。
【0169】
【0170】
実施例28 アスコルビン酸組成物がコマツナの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、コマツナ種子(品種:みすぎ、株式会社サカタのタネ)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0171】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0172】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種21日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、7種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
試験区3の散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。
試験区4~7の散布液は、以下の操作で調製した。まず、成分(B)のBHTと成分(C)のイソブチルアルコール又はグリセリン又はジエチレングリコール又はプロピレングリコールを予め混合した後、成分(D)のソルビタンモノラウレートを加えて60℃に加熱し、混合した。さらに成分(A)のアスコルビン酸及び成分(F)のシリカを加え混合することで、粉末状の製剤を調製した。この製剤を水道水に分散させて散布液を調製した。実施例26及び27と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~7は以下の通りである。
【0173】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・4区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+シリカ300質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・5区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+グリセリン50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+シリカ300質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・6区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+ジエチレングリコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+シリカ300質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・7区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+プロピレングリコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+シリカ300質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0174】
(4)結果
播種28日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部乾燥重量の測定結果を
図27に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。コマツナにおいて、試験区2と3~7の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約8.6%増加したのに対し、試験区3では地上部生鮮重量が平均約17.3%、試験区4では平均31.9%、試験区5では、平均17.3%、試験区6では平均36.4%、試験区7では平均23.5%増加した。これらの結果から、成分(C)はグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコールを用いた場合においても、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、溶解に水道水を使用したアスコルビン酸を単独で散布した場合よりも高い生育促進効果が得られることが示された。また、さらに成分(F)のシリカを添加した場合でも生育促進効果が得られることが示された。
【0175】
実施例29 アスコルビン酸組成物がコマツナの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、コマツナ種子(品種:みすぎ、株式会社サカタのタネ)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0176】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0177】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種21日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、7種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
試験区3の散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。
試験区4~7の散布液は、以下の操作で調製した。まず、成分(B)のBHTと成分(C)のイソブチルアルコール又はグリセリン又はジエチレングリコール又はプロピレングリコールを予め混合した後、成分(D)のソルビタンモノラウレートを加えて60℃に加熱し、混合した。さらに成分(A)のアスコルビン酸及びシリカを加え混合することで、粉末状の製剤を調製した。この製剤を水道水に分散させて散布液を調製した。実施例28と同じ試薬類及びラウリル硫酸トリエタノールアミン、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩を使用した。評価した試験区1~7は以下の通りである。
【0178】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・4区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+グリセリン50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+シリカ300質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・5区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+グリセリン50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+シリカ300質量ppm+ラウリル硫酸トリエタノールアミン100質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・6区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+ジエチレングリコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+シリカ300質量ppm+β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩100質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・7区画:アスコルビン酸15,000質量ppm+BHT10質量ppm+グリセリン500質量ppm+ソルビタンモノラウレート3,500質量ppm+シリカ3,000質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0179】
(4)結果
播種28日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部乾燥重量の測定結果を
図28に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。コマツナにおいて、試験区2と3~7の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約15.3%増加したのに対し、試験区3では地上部生鮮重量が平均約33.7%、試験区4では平均約36.0%、試験区5では、平均約52.4%、試験区6では平均約53.0%、試験区7では平均約35.0%増加した。これらの結果から、成分(D)においてソルビタンモノラウレートに加えてラウリル硫酸トリエタノールアミンやβ-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩を用いた場合においても、生育促進効果が得られることが示された。また、シリカを添加した場合の高濃度、低用量散布でも生育促進効果が得られることが示された。
【0180】
実施例30 アスコルビン酸組成物がコマツナの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、コマツナ種子(品種:みすぎ、株式会社サカタのタネ)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0181】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0182】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種19日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、4種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)、成分(C)と成分(D)、試験区4ではさらに成分(E)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類及びトコフェロール((±)-α-トコフェロール、富士フィルム和光純薬株式会社製)、亜硫酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)、グルタチオン(グルタチオン(還元型)、富士フィルム和光純薬株式会社製)、尿酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(2NA(EDTA・2Na)、株式会社同仁化学研究所製)を使用した。評価した試験区1~4は以下の通りである。
【0183】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸500質量ppm+トコフェロール10質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+亜硫酸ナトリウム1質量ppm+グルタチオン100質量ppm+尿酸100質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・4区画:アスコルビン酸500質量ppm+トコフェロール10質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm+亜硫酸ナトリウム1質量ppm+グルタチオン100質量ppm+尿酸100質量ppm+エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム5質量ppm葉面散布
【0184】
(4)結果
播種26日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部乾燥重量の測定結果を
図29に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。コマツナにおいて、試験区2と3、4の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られること、また、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)を添加することでもアスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約9.1%増加したのに対し、試験区3では地上部生鮮重量が平均約22.4%、試験区4では平均約36.4%増加した。試験区3の結果から、成分(B)としてトコフェロールに加えて亜硫酸ナトリウム、グルタチオン、尿酸を使用した場合においても、溶解に水道水を使用したアスコルビン酸を単独で散布した場合よりも高い生育促進効果が得られることが示された。また、試験区4の結果から、さらに成分(E)としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを使用した場合においても、溶解に水道水を使用したアスコルビン酸を単独で散布した場合よりも高い生育促進効果が得られることが示された。
【0185】
実施例31 アスコルビン酸組成物がトウモロコシの収量に及ぼす影響
(1)栽培条件
栽培は茨城県内の圃場で行った。基肥として圃場にN:P:K=20:20:20(kg/10a)となるようにAGマックス(N:P:K=10:10:10、アイアグリ株式会社)を施用した。基肥施用10日後にセルトレイにて15日間生育させたトウモロコシ苗(品種:SK4-117、株式会社サカタのタネ)を畝間1.8m、株間0.3m、条間0.45mとなるように2条植えで定植した。定植後18日目と35日目にそれぞれNK化成15(N:P:K=15:0:15)をN:P:K=5:0:5(kg/10a)となるように追肥した。また、防除として定植後29日目と52日目に2000倍希釈したベネビアOD(エフエムシー・ケミカルズ株式会社)を、定植後42日目に2000倍希釈したプレバソンフロアブル5(エフエムシー・ケミカルズ株式会社)とアルバリン顆粒水溶剤(アグロカネショウ株式会社)をそれぞれ200L/10aとなるように散布した。
【0186】
(2)葉面散布処理
定植後37日目に、バッテリー噴霧器(ADB150Li、株式会社丸山製作所)を用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、処理なしのコントロールを含む3種類の試験区を検討した。圃場の2.4m×1.8mの範囲、トウモロコシ16株を1試験区とし、散布液を100L/10aとなるように散布を行った。なお、各試験区の反復数は3とした(n=3)。
試験区3の散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区は以下の通りである。
【0187】
<散布液>
・1区画:コントロール(処理なし)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm(井戸水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(井戸水で溶解)
【0188】
(3)結果
定植52日目に1番穂の収穫、定植57日目に2番穂の収穫を実施し、1番穂と2番穂のトウモロコシ重量を測定した。1株当たりの1番穂と2番穂の合計のトウモロコシ収量の測定結果を
図30に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。トウモロコシにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加した組成物を施用することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い増収効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2ではトウモロコシ1株当たりの収量が平均約0.2%、試験区3では平均約5%増加した。
【0189】
実施例32 アスコルビン酸組成物がメロンの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、メロン種子(品種:アールスロイヤル夏系、株式会社神田育種農場)を各ポットに1粒、土壌表面から約1cmの深さに播種した。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0190】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0191】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種22日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0192】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0193】
(4)結果
播種29日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部生鮮重量の測定結果を
図31に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。メロンにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約0.5%、試験区3では平均約17.7%増加した。
【0194】
実施例33 アスコルビン酸組成物がオクラの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、オクラ種子(品種:ピークファイブ、株式会社サカタのタネ)を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0195】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0196】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種22日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0197】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0198】
(4)結果
播種29日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部生鮮重量の測定結果を
図32に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。オクラにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約5.3%、試験区3では平均約14.2%増加した。
【0199】
実施例34 アスコルビン酸組成物がシュンギクの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、シュンギク種子(中葉しゅんぎく、株式会社アタリヤ農園)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約5mmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0200】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0201】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種25日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、6種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め60℃に加熱した成分(D)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例29と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~6は以下の通りである。
【0202】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール10質量ppm+ソルビタンモノラウレート100質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・4区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・5区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ラウリル硫酸トリエタノールアミン350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・6区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0203】
(4)結果
播種32日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部乾燥重量の測定結果を
図33に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。シュンギクにおいて、試験区2と3~6の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約13.4%増加したのに対し、試験区3では地上部生鮮重量が平均約29.2%、試験区4では平均41.6%、試験区5では、平均23.3%、試験区6では平均29.6%、増加した。これらの結果から、成分(D)はラウリル硫酸トリエタノールアミン、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩を用いた場合においても、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、溶解に水道水を使用したアスコルビン酸を単独で散布した場合よりも高い生育促進効果が得られることが示された。
【0204】
実施例35 アスコルビン酸組成物がカボチャの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、カボチャ種子(品種:雲竜1号改良R型、株式会社久留米原種育成会)を各ポット2粒、土壌表面から約1cmの深さに播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0205】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0206】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種19日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、3種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)のうち、BHTを予め成分(C)に溶解後、成分(C)と成分(D)を混合して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例1と同じ試薬類を使用した。評価した試験区1~3は以下の通りである。
【0207】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+ソルビタンモノラウレート350質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0208】
(4)結果
播種25日目に、植物体の地上部生鮮重量を測定した。地上部生鮮重量の測定結果を
図34に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。カボチャにおいて、試験区2と3の比較から、アスコルビン酸に成分(B)、成分(C)及び成分(D)を添加することで、アスコルビン酸単独使用時よりも高い生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区2では地上部生鮮重量が平均約0.7%、試験区3では平均約4.4%増加した。
【0209】
実施例36 アスコルビン酸組成物がハツカダイコンの生育に及ぼす影響
(1)土壌の準備
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗株式会社)とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸株式会社)を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。水道水を1ポットあたり250mL給水させた後、ハツカダイコン種子(品種:イザベル、カネコ種苗株式会社)を播種した。種子を各ポットに4粒、土壌表面から約1cmの深さに1粒ずつ播種した。発芽後に1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。なお、各試験区の反復数は6とした(n=6)。
【0210】
(2)栽培条件
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。
【0211】
(3)葉面散布処理
以下に示す散布液を調製し、播種19日目に、霧吹きを用いて葉面散布を行った。葉面散布は1回のみとし、6種類の試験区を検討した。1株あたり6.7mL散布を行った。
散布液の調製は、成分(B)を予め成分(C)に溶解して、剤1を調製した。成分(A)を剤2とした。剤1を使用水に溶解させたのち、更に剤2を溶解させることによって、散布液を調製した。実施例30と同じ試薬類及びアスコルビン酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)、亜硫酸カリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)を使用した。評価した試験区1~6は以下の通りである。
【0212】
<散布液>
・1区画:コントロール(水道水のみを施用)
・2区画:アスコルビン酸1,500質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・3区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・4区画:アスコルビン酸1,500質量ppm+BHT1質量ppm+ジメチルスルホキシド50質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・5区画:アスコルビン酸ナトリウム1,500質量ppm+トコフェロール10質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
・6区画:アスコルビン酸ナトリウム1,500質量ppm+トコフェロール10質量ppm+イソブチルアルコール50質量ppm+亜硫酸ナトリウム1質量ppm+亜硫酸カリウム1質量ppm+グルタチオン100質量ppm+尿酸100質量ppm葉面散布(水道水で溶解)
【0213】
(4)結果
播種25日目に、植物体の地下部生鮮重量を測定した。地下部生鮮重量の測定結果を
図35に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。ハツカダイコンにおいて、試験区2と3~6の比較から、アスコルビン酸単独使用時は生育促進効果が確認されなかったが、アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムに成分(B)及び成分(C)を添加することで生育促進効果が得られることが示された。試験区1と比較して、試験区3では地下部生鮮重量が平均約3.3%、試験区4では平均約17.6%、試験区5では平均約13.9%、試験区5では平均約21.8%増加した。