(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132834
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】内視鏡システム及び内視鏡システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189263
(22)【出願日】2023-11-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-03
(31)【優先権主張番号】63/452,536
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 原理
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼澤 直裕
(72)【発明者】
【氏名】小川 量平
(72)【発明者】
【氏名】翠川 匡道
(72)【発明者】
【氏名】西村 英敏
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン ミルフォード
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 大和
(72)【発明者】
【氏名】美濃 宏行
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE09
4C601EE11
4C601FE01
4C601FF03
4C601GA19
4C601GA21
4C601JC06
4C601KK24
4C601KK31
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】生検針の可動範囲を考慮し、生検針をどの角度に調整するかを支援する内視鏡システム等の提供。
【解決手段】内視鏡システム1は、プロセッサ10を含む。プロセッサ10は、生検針410を有する超音波内視鏡100の超音波画像に対して病変部の領域マーカー情報が設定された画像を取得し、生検針410の可動範囲と領域マーカー情報に基づいて、病変部に生検針410を刺すための生検針410の角度を算出する。これにより、ユーザは、超音波画像を見ながら生検針410を刺す作業を容易に行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
生検針を有する超音波内視鏡の超音波画像に対して病変部の領域マーカー情報が設定された画像を取得し、
前記生検針の可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度を算出することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
算出された前記生検針の角度に基づいて前記生検針を電動により前記病変部に刺す制御を行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項3】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
算出された前記生検針の角度に基づいてユーザに対して前記超音波内視鏡の操作支援情報の提示処理を行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項4】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記生検針の前記可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度と深さを算出することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項5】
請求項4に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
算出された前記生検針の角度と深さに基づいて前記生検針を電動により前記病変部に刺す制御を行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項6】
請求項4に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
算出された前記生検針の角度と深さに基づいてユーザに対して前記超音波内視鏡の操作支援情報の提示処理を行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項7】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記可動範囲に前記病変部が含まれるか否かを判定し、
前記可動範囲に前記病変部が含まれない場合、前記超音波内視鏡のプローブの角度を変更する指示情報を出力することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項8】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記可動範囲に前記病変部と重要組織が含まれるか否かを判定し、
前記可動範囲内に前記病変部が含まれ、かつ、可動範囲内に前記重要組織に含まれない場合、前記生検針を前記病変部に刺す制御を行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項9】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記生検針の突出位置と前記病変部の間に重要組織が含まれるか否かを判定し、
前記生検針の前記突出位置と前記病変部の間に前記重要組織が含まれる場合、前記超音波内視鏡のプローブの位置を変更する指示情報を出力することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項10】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記領域マーカー情報は、
前記病変部の領域に対応するマーカー情報と、重要組織の領域に対応するマーカー情報を含むことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項11】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記超音波内視鏡により撮像される前記超音波画像に対して、前記超音波画像における検出対象の前記領域マーカー情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶するメモリを含み、
前記プロセッサは、
前記超音波画像と前記学習済みモデルに基づいて、前記領域マーカー情報を検出することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項12】
生検針を有する超音波内視鏡の超音波画像に対して病変部の領域マーカー情報が設定された画像を取得し、
前記生検針の可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度を算出することを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理方法において、
算出された前記生検針の角度に基づいてユーザに対して前記超音波内視鏡の操作支援情報を提示することを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
請求項12に記載の情報処理方法において、
前記生検針の前記可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度と深さを算出することを特徴とする情報処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理方法において、
算出された前記生検針の角度と深さに基づいてユーザに対して前記超音波内視鏡の操作支援情報を提示することを特徴とする情報処理方法。
【請求項16】
請求項12に記載の情報処理方法において、
前記可動範囲に前記病変部が含まれるか否かを判定し、
前記可動範囲に前記病変部が含まれない場合、前記超音波内視鏡のプローブの角度を変更する指示情報を出力することを特徴とする情報処理方法。
【請求項17】
請求項12に記載の情報処理方法において、
前記可動範囲に前記病変部と重要組織が含まれるか否かを判定し、
前記可動範囲内に前記病変部が含まれ、かつ、可動範囲内に前記重要組織が含まれない場合、前記生検針を前記病変部に刺すための情報を出力することを特徴とする情報処理方法。
【請求項18】
請求項12に記載の情報処理方法において、
前記生検針の突出位置と前記病変部の間に重要組織が含まれるか否かを判定し、
前記生検針の前記突出位置と前記病変部の間に前記重要組織が含まれる場合、前記超音波内視鏡のプローブの位置を変更する指示情報を出力することを特徴とする情報処理方法。
【請求項19】
請求項12に記載の情報処理方法において、
前記領域マーカー情報は、
前記病変部の領域に対応するマーカー情報と、重要組織の領域に対応するマーカー情報とを含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項20】
請求項12に記載の情報処理方法において、
前記超音波内視鏡により撮像される前記超音波画像に対して、前記超音波画像における検出対象の前記領域マーカー情報を出力するように学習された学習済みモデルと、前記超音波画像とに基づいて、前記領域マーカー情報を検出することを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システム及び情報処理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を用いる手技において、内視鏡により撮像された画像に基づいて診断支援情報を生成し、ユーザを支援する内視鏡システムが知られている。特許文献1には、超音波内視鏡により撮像された超音波画像に表示された組織等を認識し、認識した組織の情報を超音波画像に重畳して表示する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0247127号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、生検針の可動範囲を考慮し、生検針をどの角度に調整するかを支援することを開示しているものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、プロセッサを含み、前記プロセッサは、生検針を有する超音波内視鏡の超音波画像に対して病変部の領域マーカー情報が設定された画像を取得し、前記生検針の可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度を算出する内視鏡システムに関係する。
【0006】
本開示の他の態様は、生検針を有する超音波内視鏡の超音波画像に対して病変部の領域マーカー情報が設定された画像を取得し、前記生検針の可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度を算出する情報処理方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】プローブ及び処置具起上台の例を説明する図。
【
図6】超音波画像と可動範囲画像の例を説明する図。
【
図7】本実施形態に係る手技の例を説明するフローチャート。
【
図8】生検針の角度を算出する手法の例を説明する図。
【
図10】内視鏡システムの別の構成例を説明する図。
【
図11】ニューラルネットワークの例を説明する図。
【
図12】ニューラルネットワークの別の例と領域マーカー情報の例を説明する図。
【
図17】内視鏡システムの別の構成例を説明する図。
【
図18】生検において行われる処理例を説明するフローチャート。
【
図19】判定処理の処理例を説明するフローチャート。
【
図20】適正圧力であるか否かを判断する手法を説明する図。
【
図21】電動化された内視鏡システムの構成例を説明する図。
【
図25】ロール駆動装置を含む連結部の構成例を説明する図。
【
図28】先端部の位置情報及び方向情報の例を説明する図。
【
図31】操作支援情報の提示処理の処理例を説明するフローチャート。
【
図32】第1報知の処理例を説明するフローチャート。
【
図34】第2報知の処理例を説明するフローチャート。
【
図36】第3報知の処理例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の開示において、提示された主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態や実施例を提供する。もちろんこれらは単なる例であり、限定的であることを意図するものではない。さらに、本開示では、様々な例において参照番号および/または文字を反復している場合がある。このように反復するのは、簡潔明瞭にするためであり、それ自体が様々な実施形態および/または説明されている構成との間に関係があることを必要とするものではない。さらに、第1の要素が第2の要素に「接続されている」または「連結されている」と記述するとき、そのような記述は、第1の要素と第2の要素とが互いに直接的に接続または連結されている実施形態を含むとともに、第1の要素と第2の要素とが、その間に介在する1以上の他の要素を有して互いに間接的に接続または連結されている実施形態も含む。
【0009】
図1を用いて本実施形態の内視鏡システム1の構成例について説明する。なお、以降詳細に説明するように、本実施形態において、超音波内視鏡100を用いて被検体内の超音波診断を行う、医療用超音波内視鏡システムとして機能する内視鏡システム1について例示しているが、例えば超音波診断機能を有さない内視鏡、工業用内視鏡等に本実施形態の手法の全部または一部を適用してもよい。また、被検体とは例えば患者であるが、本実施形態では超音波診断を受ける主体を被検体で統一して表記する。また、以降の説明において、超音波診断に用いる超音波収束ビームを単に超音波または単にビームということがある。また、本実施形態の手法を適用する超音波内視鏡100の種類は、ビームを凸面に沿って走査させる走査方式に基づくコンベックス型を例示するが、セクタ型、リニア型及びラジアル型等の超音波内視鏡100に本実施形態の手法の適用を妨げるものではない。なお、コンベックス型の超音波内視鏡100については
図4、
図5で後述する。
【0010】
本実施形態の内視鏡システム1は、プロセッサ10を含む。本実施形態のプロセッサ10は、下記のハードウェアにより構成される。ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、ハードウェアは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子で構成することができる。1又は複数の回路装置は例えばIC等である。1又は複数の回路素子は例えば抵抗、キャパシタ等である。
【0011】
また、例えば本実施形態の内視鏡システム1は、
図1に不図示のメモリ12と、メモリ12に記憶された情報に基づいて動作するプロセッサ10を含んでもよい。これにより、プロセッサ10は処理部20として機能できる。情報は、例えばプログラムと各種のデータ等である。プログラムは、例えば
図2で後述する学習済みモデル22を含む。プロセッサ10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を用いることができる。メモリ12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリであってもよいし、レジスタであってもよいし、ハードディスク装置等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリ12はコンピューターにより読み取り可能な命令を格納しており、当該命令がプロセッサ10により実行されることで、処理部20の各部の機能が処理として実現されることになる。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサ10のハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。また、メモリ12は記憶装置とも呼ぶ。なお、説明の便宜上、本実施形態の手法に係る処理等の主体は、断りが無い限り内視鏡システム1で統一しているが、当該主体はハードウェアとしてのプロセッサ10に適宜読み替えることができるし、ソフトウェアとしての処理部20または処理部20に含まれる各部に適宜読み替えることもできる。
【0012】
超音波内視鏡100は、挿入部110と、操作装置300と、操作装置300の側部から延出するユニバーサルケーブル90と、コネクタ部92とを含む。なお、以降の説明において、被検体の管腔内に挿入部110が挿入される側を「先端側」と呼び、挿入部110が操作装置300に装着される側を「基端側」と呼ぶ。なお、
図21等で後述する電動化された内視鏡システム1の場合、挿入部110が後述の制御装置600に装着される側を「基端側」と呼ぶ。また、後述する生検針410の場合、挿入口190から
図4で後述する先端開口部134に向かう側を「先端側」と呼び、先端開口部134から挿入口190に向かう側を「基端側」と呼ぶ。また、挿入部110を先端側に移動させることを「前進」と呼び、挿入部110を基端側に移動させることを「後退」と呼び、前進後退を単に「進退」と簡略して呼ぶことがある。生検針410についても同様である。
【0013】
挿入部110は、被検体内に挿入される部分である。挿入部110は先端側に設けられ、後述する超音波振動子ユニット152を保持する硬性の先端部130と、先端部130の基端側に連結され湾曲可能とする湾曲部102と、湾曲部102の基端側に連結され可撓性を有する軟性部104を含む。なお、湾曲部102は電動で湾曲させてもよく、詳細は
図21等で後述する。また、挿入部110の内部には、電気信号等を伝達する複数の信号線、照明光用の光ファイバーケーブル束、送気吸引チューブ或いは
図5で後述する超音波ケーブル159等が引き回されているとともに、処置具挿通路等が形成されている。なお、ここでの挿入部110の内部は、
図21で後述する内部経路101に対応する。
【0014】
操作装置300は、後述する挿入口190の他、複数の操作部材を含む。操作部材は例えば後述する起上台操作ワイヤ136を牽引する起上台操作部、湾曲部102の湾曲角度を制御する一対のアングルノブ、送気送水ボタン及び吸引ボタン等である。
【0015】
ユニバーサルケーブル90は、その内部に電気信号等を伝達する複数の信号線、照明光用の光ファイバーケーブル束、送気吸引チューブ或いは
図5で後述する超音波ケーブル159等が挿通されている。ユニバーサルケーブル90の端部には、コネクタ部92が設けられている。コネクタ部92は、不図示の内視鏡観察装置、超音波観測装置、光源装置、送気送水装置等と接続する。つまり、
図1において内視鏡システム1は、不図示の内視鏡観察装置、超音波観測装置、光源装置、送気送水装置等を含む。なお、例えばこれらの装置のうち少なくとも1つは内視鏡システム1の外部に存在してもよく、コネクタ部92は複数有ってもよい。
【0016】
超音波内視鏡100は、後述する先端部130に設けられたプローブ150によって、不図示の超音波観測装置から受信した電気的なパルス型の信号をパルス型の超音波に変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波を、電圧変化で表現された電気的な信号であるエコー信号に変換して出力する。例えば超音波内視鏡100は、消化管または呼吸器の周囲の組織に対して超音波を送信し、該組織で反射した超音波を受信する。消化管は、例えば食道、胃、十二指腸または大腸等である。呼吸器は、例えば気管、気管支等である。組織は例えば膵臓、胆嚢、胆管、胆道、リンパ節、縦隔臓器または血管等である。不図示の超音波観測装置は、プローブ150から受信したエコー信号に所定の処理を施して超音波画像データを生成する。所定の処理とは例えばバンドパスフィルタ、包絡線検波、対数変換等である。
【0017】
また、本実施形態の超音波内視鏡100は、
図4で後述する撮像光学系をさらに有してもよい。このようにすることで、被検体の消化管または呼吸器へ挿入され、消化管または呼吸器等を撮像できる。
【0018】
また、本実施形態の内視鏡システム1は、
図2に示す構成例のようにしてもよい。つまり、本実施形態の内視鏡システム1は、学習済みモデル22を記憶するメモリ12をさらに含んでもよい。本実施形態の学習済みモデル22は、詳細は後述するが、超音波内視鏡100により撮像される超音波画像に対して、超音波画像における検出対象の領域マーカー情報を出力するように学習されている。
【0019】
本実施形態における学習とは、例えば教師あり学習としての機械学習である。教師あり学習において、学習済みモデル22は入力データと正解ラベルとを対応付けたデータセットに基づいた教師あり学習によって生成されている。つまり本実施形態の学習済みモデル22は、例えば超音波画像からなる入力データと、領域マーカー情報からなる正解ラベルを対応づけたデータセットに基づいた教師あり学習によって生成されている。なお、データセットの例はこれに限らず、詳細は後述する。
【0020】
また、本実施形態の内視鏡システム1は、
図3に示す構成例のようにしてもよい。つまり、本実施形態の内視鏡システム1に接続する超音波内視鏡100は、処置具400としての生検針410を含んでもよい。なお、以降の説明において、生検針410を例示するが、本実施形態の内視鏡システム1に対し他の処置具400の適用を妨げるものではない。前述のように挿入部110の内部には処置具挿通路が設けられており、挿入口190は処置具挿通路と接続されている。これにより、挿入口190から挿入された生検針410は、処置具挿通路及び後述の先端開口部134を介して、先端部130から導出される。なお生検針410の詳細は
図4で後述する。また、本実施形態の内視鏡システム1は、
図2の構成例と
図3の構成例を組み合わせることもできる。
【0021】
図4、
図5、
図6を用いて超音波内視鏡100の先端部130の構成例について説明する。なお本実施形態の先端部130における各部の構成は以下に説明するものに限らず、種々の変形実施が可能である。また、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸及びZ軸を、
図4以降、適宜図示している。X軸に沿った方向をX軸方向といい、先端部130の長手方向に沿った方向であり、先端側が+X方向で基端側が-X方向とする。また、Y軸に沿った方向をY軸方向といい、Z軸に沿った方向をZ軸方向という。また、
図5で例示する、一次元配列からなる超音波振動子アレイ155によって超音波診断を行う場合、
図4、
図5のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は各々走査方向、スライス方向、距離方向とも呼ぶことができる。また「直交」は、90°で交わっているものの他、90°から若干傾いた角度で交わっている場合も含むものとする。
【0022】
図4の斜視図に示すように、先端部130は、本体部131と、本体部131の先端側に突出するプローブ150を含む。本体部131は、対物レンズ132、照明レンズ133、先端開口部134を含む。対物レンズ132は、撮像光学系の一部をなし、外部からの光を取り込む。ここでの撮像光学系とは、CCD(Charge-Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)センサ等からなる撮像センサ、光学部材等を含む撮像モジュールであり、イメージャ、イメージセンサ、或いはカメラモジュールとも呼ぶことができる。また、本実施形態において、当該撮像光学系により撮像された内視鏡画像を生体画像とも呼ぶことができる。照明レンズ133は、照明光を集光して外部に出射する。先端開口部134は、処置具挿通路の導出口である。なお、
図4では図示していないが、先端部130は他に送気送水ノズル等を含んでもよい。
【0023】
図5を用いて、プローブ150と起上台135について説明する。なお
図5は、説明の便宜上、先端部130のY軸方向の中央における断面図に対し、説明に必要な構成を適宜追加し、説明に不要な構成を適宜削除している。
図5に示すように、本体部131における先端開口部134には起上台135が配設されている。なお、
図5では、起上台135の基本位置において、起上台135の長手方向は、先端部130の長手方向と一致せず、先端部130の長手軸に対してR1に示す角度だけ傾斜しているように図示しているが、例えば起上台135の基本位置において、起上台135の長手方向と先端部130の長手方向は平行であってもよい。ここでの平行は略平行を含み、以降も同様である。先端部130の長手軸とは、先端部130の長手方向に沿った軸であり、
図4等に示すX軸に平行な軸である。また、本実施形態において、生検針410の突出方向は、起上台135の長手方向と平行として扱えるものとする。つまり、
図5において、起上台135の基本位置に基づいて生検針410が突出する方向は、先端部130の長手軸に対してR1に示す角度だけ傾斜している。また、以降の説明において、起上台135の長手方向と先端部130の長手方向のなす角を、起上台135の傾倒角度と呼ぶ。また、先端部130の長手方向を基準に、生検針410の突出方向の角度を、単に生検針410の角度と呼ぶ。つまり、生検針410の角度は、起上台135の傾倒角度と同じであることから、内視鏡システム1は、起上台135の傾倒角度を測定等することで、生検針410の角度を把握することができる。
【0024】
起上台135には、起上台操作ワイヤ136が接続されている。ユーザが不図示の起上台操作部を操作することよって、起上台操作ワイヤ136は、B11に示す方向に牽引される。その結果、起上台135の傾倒角度がB12に示す方向に変化する。このようにすることで、ユーザは生検針410の導出角度を調整できる。不図示の起上台操作部は、例えば操作装置300等に含まれる。なお、以降の説明において、操作装置300等を操作する主体である術者等をユーザと統一して表記する。
図5の場合、ユーザが不図示の起上台操作部を操作することよって、起上台135の傾倒角度はR1に示す角度よりも大きい角度に変化する。
【0025】
また、本実施形態の内視鏡システム1は、起上台135の傾倒角度を把握できるようにしてもよい。例えば不図示の角度センサにより起上台135の傾倒角度を測定することで起上台135の傾倒角度を把握できる。また、不図示の位置センサを用いて起上台操作ワイヤ136の操作量を測定し、起上台操作ワイヤ136の操作量と起上台135の傾倒角度を対応付けた第1テーブルを用いて起上台135の傾倒角度を把握してもよい。なお、不図示の起上台操作部は、起上台操作ワイヤ136を牽引するステッピングモータを制御するように構成し、当該ステッピングモータのステップ数と起上台135の傾倒角度を対応付けたテーブルを第1テーブルとしてもよい。このようにすることで、内視鏡システム1は、起上台操作ワイヤ136の制御に関連づけて起上台135の傾倒角度すなわち生検針410の角度を把握できる。
【0026】
プローブ150は、
図5に示すように、ハウジング151と超音波振動子ユニット152を含む。超音波振動子ユニット152は、ハウジング151に嵌合して固定されている。超音波振動子ユニット152は、配線基板153と、バッキング材154と、超音波振動子アレイ155と、音響整合層157と、音響レンズ158を含む。超音波振動子アレイ155は、複数の超音波振動子156を含む。このように構成された超音波振動子ユニット152は、プローブ150として機能する。なお、図示はしていないが、ハウジング151内に内部空間が有る場合は、当該内部空間を埋める充填部をさらに含んでもよい。当該充填部は例えばバッキング材154と同じ材料を用いてもよいし、放熱性を有する他の部材を用いてもよい。
【0027】
配線基板153は、不図示の超音波観測装置と超音波振動子アレイ155の間を中継する中継基板として機能する。つまり、配線基板153は、超音波ケーブル159に含まれるそれぞれの配線と不図示の電極を介して電気的に接続されているとともに、それぞれの超音波振動子156と不図示の電極、信号線等を介して電気的に接続されている。配線基板153は、リジット基板であってもよいし、フレキシブル基板であってもよい。
【0028】
バッキング材154は、超音波振動子アレイ155を機械的に支持するとともに、超音波振動子アレイ155からプローブ150の内側に伝播した超音波を減衰させる。バッキング材154は、例えば硬質ゴムなどの剛性を有する材料から形成されるが、例えばフェライト、セラミックス等をさらに含んでバッキング材154を形成してもよい。これにより、プローブ150の内側に伝播する超音波をより効率的に減衰させることができる。
【0029】
超音波振動子アレイ155は、X軸方向に沿って凸湾曲状に、複数の超音波振動子156を一次元アレイ状に等間隔で配列させることにより構成されている。超音波振動子アレイ155を構成する超音波振動子156は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(Lead Titanate Zirconate;PZT)に代表される圧電セラミックや、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene Di Fluoride;PVDF)に代表される高分子圧電材料等からなる圧電素子によって実現できる。それぞれの超音波振動子156には、不図示の第1電極と第2電極が形成されている。第1電極は配線基板153上の不図示の信号線等を介して、対応する超音波ケーブル159の配線と電気的に接続されている。また、第2電極は配線基板153上の不図示のグランド電極と接続されている。このようにすることで、マルチプレクサ等の電子スイッチで入力される駆動信号に基づいて超音波振動子156を順次駆動させることができる。これにより、超音波振動子156を構成する圧電素子が振動して超音波を順次発生させることができる。なお、超音波振動子アレイ155は、例えば複数の超音波振動子156を二次元アレイ状等に配列させてもよく、種々の変形実施が可能である。
【0030】
音響整合層157は、超音波振動子アレイ155の外側に積層される。音響整合層157の音響インピーダンスの値は、超音波振動子156の音響インピーダンスの値と被検体の音響インピーダンスの値との間の範囲内である。これにより、被検体に効率よく超音波を透過させることができる。音響整合層157は、例えばエポキシ系樹脂、シリコンゴム、ポリイミド又はポリエチレン等の有機材料により形成される。なお、音響整合層157は、
図5では便宜的に1層で示しているが、複数の層で構成してもよい。
【0031】
音響レンズ158は、音響整合層157の外側に設けられる。音響レンズ158は、プローブ150が押し当たる胃壁等との摩擦を小さくさせる他、超音波振動子アレイ155から送信されたビームのY軸方向のビーム径を収束させる。これにより、超音波画像をより鮮明に表示させることができる。音響レンズ158は、例えばシリコン系樹脂、ブタジエン系樹脂又はポリウレタン系樹脂によって形成されるが、酸化チタン、アルミナ又はシリカ等の粉末をさらに含んで音響レンズ158を形成してもよい。また、音響レンズ158の音響インピーダンスの値は、音響整合層157の音響インピーダンスの値と被検体の音響インピーダンスの値との間の範囲内であることが望ましい。
【0032】
生検針410は、シース部411と、シース部411の内部を挿通する針部412を含む。シース部411は、例えばコイル状のシースから構成され、柔軟性を有する。シース部411の長さは、挿入部110の長さに応じて適宜調整できる。針部412は例えばニッケル-チタン合金等から形成され、先端が鋭利に加工されている。このようにすることで、固い病変部に対して針部412を刺すことができる。また、針部412の表面に対してサンドブラスト処理、ディンプル加工等の表面処理を行ってもよい。このようにすることで、針部412の表面で超音波をより反射させることができる。これにより、後述の超音波画像において針部412をより明確に表示させることができる。
【0033】
なお、図示は省略するが、針部412は種々の構成が提案されており、本実施形態の内視鏡システム1に用いられる生検針410はいずれの構成を適用してもよい。例えば針部412は円筒状のニードルと当該ニードルの円筒内部を挿通するスタイレットで構成され、ニードルとスタイレットの少なくとも一方の先端は鋭利な形状をしているが、例えば1本の針で針部412を構成してもよい。なお、ニードルは外針等ということがある。また、スタイレットは内針等ということがある。針部412はいずれの構成においても、病変に係る細胞組織を採取するための所定のスペースを作ることができる。そして例えば
図7で後述する生検(ステップS5)によって、病変に係る細胞組織は当該所定のスペースに取り込まれる。
【0034】
例えばユーザは、針部412をシース部411に収納した状態で、生検針410を挿入口190から挿入させる。ユーザが挿入を進めていくと、先端開口部134よりも基端側の所定位置に位置する不図示の第1ストッパー機構と、シース部411の先端とが接触する。これによりシース部411は、当該所定位置より先端側への移動できなくなる。或いは、挿入口190より基端側にシース部411の前進を止める機構を設けることで第1ストッパー機構としてもよい。シース部411をこの状態においてユーザは、不図示の第1スライダを用いて、針部412のみをシース部411の先端側から突出させる。なお、針部412がニードルとスタイレットを含む場合、ユーザはニードルとスタイレットを一体化させた状態で、針部412を突出できるようにしてもよい。このようにすることで、
図4に示すように、針部412が先端開口部134から突出される。また、例えば不図示の第2スライダを用いて、ニードルの位置を変えないままにスタイレットのみを後退させてもよい。このようにすることで、ニードルとスタイレットの間に後述のスペースを形成することができる。
【0035】
なお、前述の針部スライダ機構は第2ストッパー機構をさらに含み、針部412の最大ストローク量を調節できるようにしてもよい。針部412の最大ストローク量とは、シース部411から針部412が突出できる最大の長さである。このようにすることで、針部412がシース部411から過度に突出することを防止できる。
【0036】
また、
図7で後述する生検(ステップS5)の作業では、生検針410を構成する各部を、ユーザが手動により進退させることができるが、電動で生検針410を進退できるようにしてもよく、詳細は
図21等で後述する。
【0037】
このように構成された先端部130を含む超音波内視鏡100をユーザが用いることにより、内視鏡システム1は超音波画像を取得する。なお以降の説明において、Bモード(Brightness mode)による超音波画像を例示するが、本実施形態の内視鏡システム1が他のモードによる超音波画像の表示を更にできることを妨げるものではない。他のモードとは例えばAモード(Amplitude mode)、Cモード(coronal mode)、Mモード(Motion mode)等である。
【0038】
Bモードとは、超音波の振幅を輝度に変換して断層画像を表示する表示モードである。超音波画像の中央上部はプローブ150に対応する領域である。例えば
図6の上段図に示すようにプローブ150の曲面に沿った走査範囲、例えば当該曲面の曲率中心から所定距離の範囲で超音波が走査される。また、当該走査範囲に、突出した生検針410が含まれている場合、例えばC0に示すように、生検針410に対応した画像を含むように超音波画像が描出される。
【0039】
なお、実際の超音波画像はグレースケール画像であるが、
図6では説明の便宜上、生検針410に対応する画像と後述する領域マーカー情報に係る画像を模式的に図示し、他を省略している。また、
図6の超音波画像は画像左側が先端側で、画像右側が基端側であり、画像上側中央がプローブ150の曲面となるように表示される。以降に図示する超音波画像についても同様である。
【0040】
また、
図5で前述したように、生検針410長手方向が先端部130の長手方向と一致しないことから、超音波画像において、生検針410に対応する画像は、超音波画像の上辺の右側からR2に示す角度だけ傾いて表示される。
図6のR2に示す角度は、
図5で前述したR1に示す角度、すなわち生検針410の角度に対応する。言い換えれば、
図6のR2に示す角度は、超音波画像上における生検針410の角度である。
図6のR2に示す角度は、画像処理を行っているため、
図5のR1に示す起上台135の傾倒角度と一致するとは限らない。そこで、例えば
図5のR1に示す角度と、
図6のR2に示す角度の対応関係を示す第2テーブルをメモリ12に記憶させ、R2に示す超音波画像上の生検針410の角度を、第2テーブルを用いて変換する手法等を用いることで、超音波画像上の生検針410の角度を、実際の生検針410の角度として扱うことができる。
【0041】
また、本実施形態においては、例えば超音波画像上に生検針410が描出可能な範囲を図示してもよい。先端部130を構成する各部の構造、起上台135の傾倒角度の範囲は
図6のR3に示すように設計上決まっている。また、プローブ150と先端開口部134の位置関係が変わることは無い。そのため、超音波画像において生検針410が表示される領域の範囲は
図6のR4に示すように予め求めることができる。そこで当該範囲を示す可動範囲画像を予めメモリ12に記憶させ、超音波内視鏡100から取得した超音波画像と当該可動範囲画像を重畳表示する画像処理を行うことで、
図6のC3、C4に示すような可動範囲画像の表示が実現できる。
図6のC3の点線とC4の点線との間が、超音波画像上に生検針410が表示され得る範囲である。言い換えれば、可動範囲画像は、超音波画像上に表示され得る生検針410の画像の集合からなる領域の外郭を示した画像である。
【0042】
なお、内視鏡システム1は、当該可動範囲画像の表示位置を調整できるようにしてもよい。このようにすることで、所定の誤差を修正し、可動範囲画像に対応する生検針410の可動範囲と、実際の生検針410の可動範囲を精度よく一致させることができる。所定の誤差は、例えば先端部130の加工上の公差に基づく誤差、生検針410のシース部411の湾曲の仕方に基づく誤差等である。例えば以下の手法により、可動範囲画像の表示位置を調整が実現できる。
【0043】
例えばユーザがタッチパネルのドローイング機能等を用いて、
図6のC1に示すように表示されている生検針410の画像に重畳するように直線をドローイングする等によって、内視鏡システム1は、
図6のC2に示すように超音波画像上の座標に基づく第1直線の情報を取得する。そして内視鏡システム1は、当該第1直線の傾きと前述の第2テーブルに基づいて得られる生検針410の角度と、前述の角度センサまたは起上台操作ワイヤ136に基づいて把握している生検針410の角度を比較し、これらの角度が一致するよう、第2テーブルの値を補完する処理等を行う。これにより、可動範囲画像をより正確に表示することができる。なお、C2に示す第1直線は画像として表示できるようにしてもよい。また、例えば第1直線の画像が超音波画像上に表示されているときに起上台135の傾倒角度を調整した場合、当該調整に連動するように、第1直線の画像を回転移動してもよい。また、以降の説明において、可動範囲画像は正確に表示されているものとする。
【0044】
図7は、本実施形態の内視鏡システム1を用いた手技の例を説明するフローチャートである。
図7のフローに関する手技は、EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診)とも呼ばれる。なお、EUS-FNAは、Endoscopic UltraSound-guided Fine Needle Aspirationの略である。なお、
図7のフローは、ユーザが超音波内視鏡100の各器具を手動で動作させることを想定しているが、例えば後述する電動化された内視鏡システム1によって超音波内視鏡100の各器具を動作させてもよい。電動とは、器具動作を制御するための電気信号に基づいてアクチュエータ等により医療器具が駆動されることをいう。より具体的には、例えば超音波内視鏡100の挿入部110等の進退、湾曲部102の湾曲及びロール回転のうち少なくとも1つを電動駆動により動作させてもよい。生検針410を代表とする処置具400の進退、ロール回転等についても同様である。
【0045】
先ずユーザは超音波内視鏡100を挿入する(ステップS1)。具体的には例えばユーザは、挿入部110を例えば所定の部位まで挿入する。所定の部位は胃または十二指腸等であるが、検査対象となる部位に応じて適宜決定される。なお、図示等は省略するが、例えばユーザは、挿入部110がオーバーチューブ内に挿入された状態で、挿入部110とオーバーチューブを一緒に所定の部位まで挿入することで、ステップS1を実現してもよい。このようにすることで、オーバーチューブ内に、挿入部110以外に他の処置具400を挿入させることができる。
【0046】
その後ユーザは、気腹を行う(ステップS2)。具体的には例えばユーザは、超音波内視鏡100を不図示の気腹装置と接続し、所定の気体を所定の部位内に供給する。所定の気体は例えば空気であるが、例えば炭酸ガスであってもよい。ここでの空気は大気と同等の成分割合からなる気体である。炭酸ガスは空気に比べて生体内に早く吸収されるため、被検者に対する手技後の負担を軽減できる。なお、所定の気体は、例えば先端部130の不図示の送気ノズルから供給されるが、例えば上記したオーバーチューブ内に挿入した送気用チューブから供給してもよい。これにより、詳細は後述するが、供給された所定の気体により、萎縮している胃壁等が伸展すること等により、超音波内視鏡100を用いた検査に適した状態となる。なお超音波内視鏡100を用いた検査に適した状態についての詳細は後述する。
【0047】
その後ユーザは、プローブ150を走査させる(ステップS3)。例えばユーザはプローブ150を胃壁等に当接させ、所望の観察対象部位に向かって超音波を送信する。プローブ150は当該超音波の反射波を受信し、内視鏡システム1はその受信信号に基づいて超音波画像を生成する。ユーザはこの状態を維持しながらプローブ150を所定の範囲で動かし、当該観察対象部位において病変の有無を確認する。
【0048】
その後ユーザは、病変が認識できたか否かを判断する(ステップS4)。具体的には、ステップS3で得られた超音波画像の輝度情報等から、観察対象部位に病変が存在するかを判断する。ユーザが病変を認識できなかった場合(ステップS4でNO)、フローを終了する。一方、ユーザは、病変を認識できた場合(ステップS4でYES)、生検(ステップS5)を行う。なお、以降の説明では、吸引により採取する吸引生検(fine-needle aspiration biopsy)に生検針410が用いられる場合について例示するが、生検針410を他の生検に用いることを妨げるものではない。
【0049】
生検(ステップS5)において、ユーザは、生検針410の種類に応じた吸引生検を行う。なお、以降の説明は全ての生検針410に対して適用されるものではなく、あくまで一例である。例えばユーザは、図示は省略するが、超音波画像を観察しながら、ニードルとスタイレットを一体化した針部412が病変に係る細胞組織に十分刺さるまで、針部412を先端側へ移動させる。そして針部412が当該細胞組織に刺さっている状態でスタイレットだけを基端側へ引く動作を行うことで、所定のスペースを形成するとともに、陰圧した状態を作る。これにより、当該細胞組織は所定のスペースに吸い込まれる。その後ユーザは、生検針410全体を基端側へ引き抜くことで、所望の量の細胞組織を採取することができる。
【0050】
本実施形態の内視鏡システム1は、生検(ステップS5)において、病変部の領域マーカー情報が設定された画像を取得することができる。例えばユーザはC10に示す超音波画像を観察し、C11に示す生検針410に対応する画像付近に可動範囲内と予想される範囲内に病変部を発見する。そしてユーザは、タッチパネルのドローイング機能等を用いて、当該病変部を示す領域に対応するように、C12に示すランドマークを画面上に描く。つまり内視鏡システム1は、タッチパネルのセンサ等を介して当該ランドマークに対応した領域に含まれる各座標情報を領域マーカー情報として取得する。
【0051】
また、本実施形態の内視鏡システム1は、病変部の領域マーカー情報に基づいて、生検針410の角度を算出する。例えば以下の手法を用いることで、生検針410の角度の算出が実現できるが、他の手法で実現してもよい。先ず内視鏡システム1は、当該ランドマーク上で、生検針410を刺すための特定位置を算出する。特定位置は、例えばランドマークの重心であるが、中心、縁端等であってもよいし、ユーザがタッチパネル等によって指示した位置であってもよい。C20に示す超音波画像において、内視鏡システム1は、C21に示す目印に係る位置を特定位置として算出したものとする。
【0052】
そして内視鏡システム1は病変部に生検針410を刺すための生検針410の角度を算出する。例えば前述のように、可動範囲画像は設計上決まった領域であるから、生検針410の角度を決めると、超音波画像上に表示される生検針410の画像に含まれる座標の集合は一義的に決まる。そこで、例えば内視鏡システム1は、生検針410の角度と、生検針410の画像の座標を関連付けた第3テーブルを参照し、特定位置の座標に対応する生検針410の角度を探索する処理を行う。これにより、例えば内視鏡システム1は、C23に示すように、特定位置を通過する第2直線と、当該第2直線に基づいてR22に示す生検針410の角度を算出する。
【0053】
以上のことから、本実施形態の内視鏡システム1は、プロセッサ10を含む。プロセッサ10は、生検針410を有する超音波内視鏡100の超音波画像に対して病変部の領域マーカー情報が設定された画像を取得し、生検針410の可動範囲と領域マーカー情報に基づいて、病変部に生検針410を刺すための生検針410の角度を算出する。
【0054】
生検(ステップS5)等においては病変部の所望の位置に生検針410を確実に刺すことが望まれる。しかし実際に超音波画像を見ながら生検針410を所望の位置に刺すには、病変部が生検針410の可動範囲内であることを考慮しながら生検針410の角度を調整する等の配慮を要することから、習熟性が求められる。
【0055】
その点、本実施形態の内視鏡システム1は、病変部の領域マーカー情報が設定された画像を取得することから、超音波画像上で病変部を視覚的に把握することができる。また、生検針410の可動範囲と領域マーカー情報に基づいて生検針410の角度を算出することから、生検針410を刺したい位置が生検針410の可動範囲内であることを確認できていることを前提に、生検針410を所望の位置に向けることができる。これにより、ユーザは、超音波画像を見ながら生検針410を刺す作業を容易に行うことができる。上記した米国特許出願公開第2019/0247127号明細書には、病変部等をマーキングする手法は開示されているが、生検針410の可動範囲を考慮し、生検針410をどの角度に調整するかを支援することを開示しているものではない。
【0056】
また、本実施形態の手法は算出方法によって実現してもよい。つまり、本実施形態の算出方法は、生検針410を有する超音波内視鏡100の超音波画像に対して病変部の領域マーカー情報が設定された画像を取得し、生検針410の可動範囲と領域マーカー情報とに基づいて、病変部に生検針410を刺すための生検針410の角度を算出する。このようにすることで、上記と同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、内視鏡システム1は、C21に示す目印、C23に示す第2直線を画像として表示し、ユーザに対する操作支援情報として表示してもよい。また、C22に示す第1直線を画像として表示し、第1直線の画像を第2直線の画像に合わせるように指示する表示を操作支援情報として表示してもよい。つまり、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、算出された生検針410の角度に基づいてユーザに対して超音波内視鏡100の操作支援情報の提示処理を行う。このようにすることで、ユーザは、超音波画像のみを観察する場合と比較して、生検針410の角度の調整を容易に行うことができる。これにより、ユーザは、病変部の所望の位置に生検針410を容易に向けることができる。なお、本実施形態の操作支援情報はこれに限らず、詳細は
図31等で後述する。
【0058】
なお上記は生検針410の角度のみを算出する手法についての説明であるが、本実施形態の手法はこれに限らず、例えば生検針410の深さをさらに算出できるようにしてもよい。生検針410の深さとは、例えばシース部411の先端から針部412が突出できる長さである。前述のように、シース部411の先端が固定される位置、針部412の最大ストローク量は予め分かること等から、生検針410の角度の場合と同様に、針部412の最大ストローク量に基づき超音波画像上で表示される針部412の最大の長さを併せて求めることができる。これにより、C30に示す超音波画像において、C31に示すように可動範囲画像が、円弧状の図形の一部として表示される。なお当該円弧の中心は超音波画像上には表示されない。当該円弧の中心は先端開口部134の位置に対応し、当該位置に超音波が及ばないからである。
【0059】
例えば図示は省略するが、ユーザは超音波画像を観察し、
図9のC31の可動範囲画像の内側に病変部が存在していることを確認した後に
図8で前述した手法を適用し、前述の特定位置を求める。そして内視鏡システム1は、前述の第3テーブルから第1直線に対応する生検針410の角度を選択する処理と、特定位置の座標から第1直線の長さを求める処理と、当該第1直線の長さに基づいて、病変部に生検針410を刺すために必要な針部412のストローク長を求める処理を行う。以上のことから、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、生検針410の可動範囲と領域マーカー情報とに基づいて、病変部に生検針410を刺すための生検針410の角度と深さを算出する。このようにすることで、生検針410を所望の位置に向け、かつ生検針410を刺す為に必要な深さを把握することができる。これにより、ユーザは、超音波画像を見ながら前述のシリンダー等を操作し、生検針410を適切な深さで刺す作業を容易に行うことができる。
【0060】
なお、上記はユーザの入力作業によって内視鏡システム1が領域マーカー情報を取得する例についての説明であるが、本実施形態の手法はこれに限定されない。例えば、
図2で前述した学習済みモデル22を用いて領域マーカー情報を取得できるようにしてもよい。具体的には例えば、本実施形態の内視鏡システム1を、
図10に示す構成例のようにすることで、学習済みモデル22を用いた領域マーカー情報の検出を実現できる。
図10において、学習済みモデル22は、学習済みモデル22を記憶するメモリ12と、入力部14と、処理部20を含むプロセッサ10と、出力部16を含む内視鏡システム1に用いられる。
【0061】
また、
図10において、処理部20は推論部30を含む。具体的には例えば、処理部20は、メモリ12から学習済みモデル22を読み出し、学習済みモデル22に係るプログラムを実行することによって、推論部30として機能する。
【0062】
入力部14は、外部から入力データを受信するインターフェースである。具体的には、超音波画像を処理対象画像として受信する画像データインターフェースである。例えば入力部14は、受信した超音波画像を、学習済みモデル22への入力データとし、推論部30が
図18で後述する推論処理(ステップS70)等を行うことで、入力部14としての機能が果たされる。
【0063】
出力部16は推論部30が推定したデータを外部に送信するインターフェースである。例えば学習済みモデル22からの出力データを、
図10のC40に示す超音波画像を出力することで、出力部16としての機能を果たす。C40に示す超音波画像において、C41に示す領域マーカー情報が重畳して表示されている。つまり
図8で前述した場合と異なり、ユーザが入力作業を行うことなく、C41に示す領域マーカー情報が自動的に表示される。出力データの出力先は、例えば内視鏡システム1に接続された所定の表示装置であり、例えば出力部16を当該所定の表示装置と接続可能なインターフェースとすることで、当該所定の表示装置に超音波画像と領域マーカー情報を重畳した画像が表示され、出力部16としての機能が果たされる。なお、
図21等で後述するように、内視鏡システム1が電動化されている場合は、表示装置900が所定の表示装置に対応する。
【0064】
領域マーカー情報の取得方法としては、例えばセマンティックセグメンテーションにより超音波画像を複数の領域にセグメンテーションし、セグメンテーション結果に基づき病変と読み取れる領域を領域マーカー情報とする手法などを用いることができる。また、例えば物体検知により超音波画像から読み取れる病変等を検知したバウンディングボックスを領域マーカー情報としてもよい。
【0065】
本実施形態の学習済みモデル22において、モデルの少なくとも一部にニューラルネットワークNNが含まれている。ニューラルネットワークNNは、
図11に図示するように、データが入力される入力層と、入力層からの出力に基づいて演算を行う中間層と、中間層からの出力に基づいてデータを出力する出力層を有する。
図11においては、中間層が2層であるネットワークを例示するが、中間層は1層であってもよいし、3層以上であってもよい。また各層に含まれるノードの数は
図11の例に限定されない。
図11に示すように、所与の層に含まれるノードは、隣接する層のノードと結合される。各結合には重み付け係数が設定されている。各ノードは、前段のノードの出力と重み付け係数を乗算し、乗算結果の合計値を求める。さらに各ノードは、合計値に対してバイアスを加算し、加算結果に活性化関数を適用することによって当該ノードの出力を求める。この処理を、入力層から出力層へ向けて順次実行することによって、ニューラルネットワークNNの出力が求められる。なお活性化関数としては、シグモイド関数やReLU関数等の種々の関数が知られており、本実施形態ではそれらを広く適用可能である。
【0066】
ニューラルネットワークNNには種々の構成のモデルが知られており、本実施形態ではそれらを広く適用可能である。例えばニューラルネットワークNNは、画像認識分野で用いられるCNN(Convolutional Neural Network)であってもよいし、RNN(Recurrent Neural Network)等の他のモデルであってもよい。CNNは、例えば
図12に示すように、中間層は、畳み込み層とプーリング層とを1セットとする複数セットと、全結合層を含む。畳み込み層は、前の層で近くにあるノードに対してフィルタを使用した畳み込み演算を行い、入力データである超音波画像からのエッジ抽出等の特徴抽出を行い、特徴マップを取得する。プーリング層は、畳み込み層から出力された特徴マップを縮小して新たな特徴マップとするとともに、抽出された特徴にロバスト性を与える。全結合層は、直前の層のノードの全てを結合する。このようなモデルからなる学習済みモデル22を用いることで、最終的にC50に示すような超音波画像が出力される。C50に示す超音波画像において、セグメンテーションによりC51に示す領域と、C52に示す領域とC53に示す領域が検出され、これらは領域マーカー情報として超音波画像に重畳して表示される。
【0067】
なお、
図12のC50に示す超音波画像において、C51に示す領域と、C52に示す領域と、C53に示す領域に対し、それぞれ異なる色によるセグメンテーションを行ったように表示しているが、出力される画像の例はこれに限られない。例えば
図12のC50に示す超音波画像に代えて、
図13のC60に示す超音波画像が出力されてもよい。C60に示す超音波画像において、C61に示す領域と、C62に示す領域と、C63に示す領域が、それぞれセグメンテーションされるとともに、名称が付されている。これらの名称は、例えば
図15で後述する出力データに関連付けられたクラスの名称である。
【0068】
また、例えば
図14のC70に示す超音波画像が出力されてもよい。C70に示す超音波画像において、セグメンテーションした領域が等高線状に表示されている。このようにすることで、検出された領域の特徴を段階的に示すことができる。例えばC71に示す領域は、腫瘍であることが極めて高い領域であり、C72に示す領域は、腫瘍の可能性が中程度であることを示す領域であり、C73に示す領域は、腫瘍であることが疑われる領域である。
【0069】
また、本実施形態のニューラルネットワークNNは、CNNをさらに発展させたモデルであってもよい。例えばセグメンテーション用のモデルとしてはSegNet(Segmentation Network)、FCN(Fully Convolutional Network)、U-Net(U-Shaped Network)、PSPNet(Pyramid Scene Parsing Network)等が挙げられる。また、物体検出用のモデルとしてはYOLO(You Only Look Once)、SSD(Single Shot Multi-Box Detector)等が挙げられる。これらの詳細な図示は省略するが、ニューラルネットワークNNの中間層はこれらのモデルに応じた変形実施が行われる。例えば中間層において畳み込み層が連続してもよいし、中間層は他の層をさらに含んでもよい。他の層とは、逆プーリング層、転置畳み込み層等である。これらのモデルを採用することで、セグメンテーションの精度を向上させることができる。
【0070】
学習済みモデル22の機械学習は例えば学習装置3によって行われる。
図15は、学習装置3の構成例を示すブロック図である。学習装置3は、例えばプロセッサ70とメモリ72と通信部74を含み、プロセッサ70は機械学習部80を含む。
【0071】
通信部74は内視鏡システム1と所定の通信方式で通信可能な通信インターフェースである。所定の通信方式は例えばWi-Fi(登録商標)等の無線通信規格に準拠した通信方式であるが、これに限らずUSB等の有線通信規格に準拠した通信方式であってもよい。これにより、学習装置3は、機械学習した学習済みモデル22を内視鏡システム1に送信し、内視鏡システム1は学習済みモデル22を更新することができる。なお、
図15は、学習装置3と内視鏡システム1を別々にした例であるが、内視鏡システム1が学習装置3に相当する学習サーバを含む構成例にすることを妨げるものではない。
【0072】
プロセッサ70は、メモリ72、通信部74等の各機能部との間でデータの入出力制御を行う。プロセッサ70は、
図1で前述したプロセッサ10と同様のハードウェア等で実現できる。プロセッサ70は、メモリ72から読みだした所定のプログラム、
図15に不図示の操作部からの操作入力信号等に基づいて、各種の演算処理を実行し、内視鏡システム1へのデータ出力動作等を制御する。ここでの所定のプログラムは、不図示の機械学習プログラムを含む。つまり、プロセッサ70は、メモリ72から機械学習プログラムと必要なデータ等を適宜読み出して実行することで、機械学習部80として機能する。
【0073】
メモリ72には、不図示の機械学習プログラムのほか、訓練モデル82、訓練データ84が記憶されている。メモリ72は、前述のメモリ12と同様の半導体メモリ等により実現できる。訓練データ84は、例えば超音波画像であるが、他のデータを含んでもよく、詳細は都度後述する。メモリ72には、入力データとなり得る被写体の種類の数だけ、訓練データ84としての超音波画像が記憶されている。
【0074】
学習装置3は、訓練データ84のうちの入力データを訓練モデル82に入力し、そのときの重み付け係数を用いてモデル構成に従った順方向演算を行うことによって出力を求める。当該出力と、正解ラベルとに基づいて誤差関数が算出され、当該誤差関数を小さくするように、重み付け係数の更新が行われる。
【0075】
訓練モデル82の出力層は、例えばN個のノードを有する。Nは、領域マーカー情報となりえる領域の種類の数である。第1ノードは、入力となったデータが、第1クラスに属する確率を表す情報である。同様に、第Nノードは、入力となったデータが、第Nクラスに属する確率を表す情報である。第1クラス~第Nクラスは、少なくとも重要組織、病変部に基づくクラスを含む。ここでの重要組織は例えば肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胆嚢等の臓器または血管等、生検針410が触れることを避けるべき組織であって、外観上正常な状態と思われる部分をいう。また、ここでの病変部とは、外観上正常な状態とは異なる状態と思われる部分をいい、必ずしも病気が原因のものに限定されない。つまり病変部は例えば腫瘍であるが、これに限らずポリープ、炎症、憩室等であってもよい。また、病変部は腫瘍性であるか否かは問わず、腫瘍性の病変部である場合、良性であるか悪性であるかは問わない。これらを考慮して、重要組織と病変部のカテゴリが適宜決定される。
【0076】
このように構成された訓練モデル82により、例えばセマンティックセグメンテーションの場合、超音波画像のある1ドットが入力データとして入力されると、第1クラスとしての肝臓が出力データとして出力される。そして、別の1ドットが入力データとして入力されると、第Nクラスとしての悪性腫瘍が出力データとして出力される等の処理が、超音波画像を構成するドットの数だけ行われる。その結果、肝臓、悪性腫瘍等がセグメンテーションされた超音波画像が最終的に出力される。これにより、領域マーカー情報の検出が実現される。なお、全てのクラスにおいてセグメンテーションを行わなくてもよい。生検針410が触れて問題無い組織についてセグメンテーションを行う必要は無いからである。
【0077】
このように、本実施形態の内視鏡システム1は、超音波内視鏡100により撮像される超音波画像に対して、超音波画像における検出対象の領域マーカー情報を出力するように学習された学習済みモデル22を記憶するメモリ12を含み、プロセッサ10は、超音波画像と学習済みモデル22に基づいて、領域マーカー情報を検出する。このようにすることで、超音波内視鏡100より撮像された超音波画像に対して、自動的に領域マーカー情報を重畳した表示を行うことができる。
【0078】
また、本実施形態の内視鏡システム1は、領域マーカー情報の精度を保証する適正圧力が生体に対して加えられているときの超音波画像と、上記のように学習された学習済みモデル22に基づいて、領域マーカー情報を検出してもよい。例えばユーザは、前述のプローブ走査(ステップS3)を実際に行う前に、以下に述べる手法で適正圧力が生体に加えられているときの超音波画像であることを確認する。
【0079】
例えば、
図7で前述したように、胃壁等はもともと萎縮していること、胃壁にひだ等が存在していることから、
図7のプローブ走査(ステップS3)において、
図16のD1に示すように、超音波内視鏡100のプローブ150を胃壁に対して十分に押し付けていない状況が生じ得る。このような状況においては、プローブ150と胃壁との間に空隙ができ、当該空隙が、プローブ150から送信された超音波を反射することになる。このため、プローブ150は本来得られる筈の反射波と異なる反射波を受信する可能性が有る。これにより内視鏡システム1は、本来得られる筈の超音波画像と異なる超音波画像を取得する可能性が有る。このような超音波画像を学習済みモデル22に入力した場合、本来得られる筈の超音波画像を学習済みモデル22に入力した場合と比べて、検出される領域マーカー情報が異なる可能性がある。このように、プローブ150を胃壁に対して十分に押し付けていないと、領域マーカー情報の精度は保証されない。領域マーカー情報の精度とは、領域マーカー情報の真の検出対象領域と、実際に領域マーカー情報として検出された領域との間のばらつきの尺度の大きさをいう。ここでの尺度は、例えば分散等である。具体的には例えば、病変部の領域マーカー情報の精度が保証されないとは、真の病変部の領域と、実際に病変部の領域マーカー情報として検出された領域とのばらつきに関する分散値が、一定の基準を満たしていないことをいう。
【0080】
そこで、本実施形態の内視鏡システム1は、後述する手法によって押し付け圧力が適正であるか否かを判断している。適正な押し付け圧力でプローブ150が胃壁等を押し付けているときは、
図16のD2に示すように、プローブ150と胃壁等の間に空隙ができないことから、内視鏡システム1は適切な超音波画像を取得することができる。これにより、領域マーカー情報の精度を保証することができる。
【0081】
なお、プローブ150の押し付け圧力が適正であるか否かを判断するには、例えばハウジング151の所定の位置に不図示の第1圧力センサを配設し、当該第1圧力センサの測定値から判断する手法が挙げられる。当該第1圧力センサは例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサ等により実現できる。また、超音波振動子アレイ155を構成する複数の超音波振動子156のうちの一部を、第1圧力センサとして用いてもよい。超音波振動子156を構成する圧電素子は、第1圧力センサとしても利用可能だからである。
【0082】
また、本実施形態の内視鏡システム1は、
図7で前述した気腹(ステップS2)において、管腔内圧力が適正であるか否かを判断してもよい。管腔内圧力が適正であるか否かは、例えば先端部130の所定の位置にMEMSセンサ等から第2圧力センサを配設し、当該第2圧力センサの測定値から判断する手法が挙げられる。
【0083】
また、内視鏡システム1は、先端部130の撮像センサで撮像された生体画像をさらに用いて適正圧力であるか否かを判断してもよい。例えば胃は、前述の所定の気体の供給に伴い、萎縮していた胃が膨らむ第1状態と、胃が膨らみかつ胃壁を伸展するように張力が加わる第2状態と、胃が膨らみかつ胃壁がこれ以上伸展できなくなる第3状態を経る。この第3状態がプローブ150を当接するのに適した状態と考えられる。そこで、例えば所定の気体を供給しながら管腔内を撮像センサで撮像し、撮像した生体画像と第2圧力センサの測定値を対応づけ、生体画像から第3状態であることを確認できた時点の第2圧力センサの測定値を適正圧力として判断する。
【0084】
また、例えば生体画像を観察することで適正圧力であるか否かを判断してもよい。例えば気腹(ステップS2)において、所定の気体を供給しながら撮像される生体画像を比較することで、前述の第1状態、第2状態及び第3状態における生体画像を予め取得する。そして、プローブ走査(ステップS3)において、ユーザは撮像される生体画像が第3状態における生体画像であることを確認しながらプローブ150を操作する。なお、このように取得した生体画像は、前述したプローブ150の押し付け圧力が適正であるか否かを判断するために使用してもよい。
【0085】
このように、本実施形態の内視鏡システム1は、超音波内視鏡100により撮像される超音波画像に対して、超音波画像における検出対象の領域マーカー情報を出力するように学習された学習済みモデル22を記憶するメモリ12と、プロセッサ10と、を含む。プロセッサ10は、領域マーカー情報の精度を保証する適正圧力が生体に対して加えられているときの超音波画像と学習済みモデル22に基づいて検出された領域マーカー情報を、超音波画像に重畳して出力する。
【0086】
超音波画像はエコー信号に基づく画像であるから、プローブ150が胃壁に密着していないと、プローブ150が正確なエコーを受信できず、例えば本来病変部等が存在する箇所に病変部等に対応する輝度で表示されていない超音波画像が描出される可能性が有る。このため、上記した米国特許出願公開第2019/0247127号明細書に開示された手法を適用しても、重要組織、病変部等が精度良くマーキングされない可能性が有る。
【0087】
その点、本実施形態の手法を適用することで、適正圧力が加えられているときの超音波画像と学習済みモデル22を用いて領域マーカー情報を検出していることから、領域マーカー情報を精度よく検出することができる。これにより、より適切に病変部等の領域マーカー情報が重畳した超音波画像を取得することができる。上記した米国特許出願公開第2019/0247127号明細書には、生体に適正圧力が加えられていることにより領域マーカー情報の検出精度が保証されていることについては開示されていない。
【0088】
また、本実施形態の手法は、情報出力方法として実現してもよい。つまり、本実施形態の情報出力方法は、超音波内視鏡100により撮像される超音波画像に対して、超音波画像における検出対象の領域マーカー情報を出力するように学習された学習済みモデル22に基づく。学習済みモデル22は、領域マーカー情報の精度を保証する適正圧力が生体に対して加えられているときの超音波画像と学習済みモデル22に基づいて検出された領域マーカー情報を、超音波画像に重畳して出力する。このようにすることで、上記と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、適正圧力は、超音波内視鏡100のプローブ150の押し付け圧力に基づいて設定される圧力であってもよい。このようにすることで、内視鏡システム1は、プローブ150の押し付け圧力に基づいて適正圧力が生体に加えられているときの超音波画像を取得できる。
【0090】
また、適正圧力は、圧力センサとしての第2圧力センサにより検出される管腔内圧力に基づいて設定される圧力であってもよい。このようにすることで、内視鏡システム1は、管腔内圧力に基づいて適正圧力が生体に加えられているときの超音波画像を取得できる。
【0091】
また、プロセッサ10は、超音波内視鏡100の撮像センサにより撮像された生体画像に基づく推定処理によって、適正圧力であるか否かを推定してもよい。このようにすることで、内視鏡システム1は、生体画像に基づいて、適正圧力が生体に加えられているときの超音波画像が取得できているか否かを判断できる。
【0092】
また、領域マーカー情報は、病変部の領域に対応するマーカー情報と、重要組織の領域に対応するマーカー情報を含んでもよい。このようにすることで、内視鏡システム1は、入力データである超音波画像に対して、病変部の領域と重要組織の領域に対応する領域マーカー情報を検出して表示することができる。これにより、ユーザは超音波画像を見ながら生検針410の操作について適切に判断することができる。
【0093】
また、本実施形態の内視鏡システム1は、適正圧力であるかをリアルタイムに判定しながら、超音波画像を取得してもよい。また、適正圧力でないことをユーザ等にフィードバックできるようにしてもよい。この場合、例えば内視鏡システム1を
図17に示す構成例とし、例えば
図18のフローチャートに示す処理例を生検(ステップS5)と併せて実行することで実現できる。
図17の構成例は、
図10の構成例と比較して、制御部18をさらに含む点、処理部20が圧力判定部32をさらに含む点で異なる。
【0094】
制御部18は、後述する圧力判定部32の判定結果に対応する制御を、超音波内視鏡100に対して行う。制御部18は、プロセッサ10と同様のハードウェアで実現できる。例えば内視鏡システム1が電動化されている場合は、
図21等で後述する駆動制御装置200に対応する。また、例えば内視鏡システム1が電動化されていない場合は、制御部18は、プロセッサ10からの指示に基づき、所定の表示装置に適正圧力であるか否かを示す表示を行う表示制御部として機能してもよく、詳細は
図20で後述する。なお、
図17では制御部18はプロセッサ10と別々に示しているが、プロセッサ10と同一のハードウェアで実現してもよい。
【0095】
図18のフローチャートについて説明する。内視鏡システム1は、判定処理(ステップS50)を行う。判定処理(ステップS50)は、具体的には例えば
図19のフローチャートに示すように、生体に対して適正圧力が加えられているか否かを判定(ステップS52)している。つまり、内視鏡システム1は、前述の圧力判定部32を機能させることで、ステップS52を実行している。以上のことから、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、生体に対して領域マーカー情報の精度を保証する適正圧力が加えられているか否かの判定処理を行う(ステップS50)。
【0096】
そして内視鏡システム1は、判定処理(ステップS50)の判定結果がOKの場合(ステップS60でYES)、推論処理(ステップS70)を行う。推論処理(ステップS70)は、例えば
図10等で前述したように、推論部30が、入力データである超音波画像と学習済みモデル22に基づいて、検出した領域マーカー情報を超音波画像に重畳した画像を出力する処理である。つまり、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、判定処理(ステップS50)により適正圧力が生体に対して加えられていると判定されたとき(ステップS60でYESのとき)の超音波画像と学習済みモデルに基づいて検出された領域マーカー情報を、超音波画像に重畳して出力する(ステップS70)。
【0097】
一方、内視鏡システム1は、判定処理(ステップS50)の判定結果がNGの場合(ステップS60でNO)、圧力適正化処理(ステップS80)を行う。例えば、超音波内視鏡100によって
図7のフローに係る手技が開始されると、
図4で前述した対物レンズ132を通じて撮像センサによる撮像が開始される。そして例えば
図20のE10に示す画面が所定の表示装置に表示されたとする。このとき内視鏡システム1は、圧力判定部32を機能させ、E11に示す撮像画像に基づき、適正圧力が生体に加えられているか否かを判断する。圧力判定部32は、E11に示す撮像画像からは胃壁がまだ十分伸展していないと判断するため、判定処理(ステップS50)の結果はNGとなる。
【0098】
そして内視鏡システム1は圧力適正化処理(ステップS80)を行う。例えば内視鏡システム1が電動化されていない場合、内視鏡システム1は制御部18を機能させ、プロセッサ10からの指示に基づいて、例えば
図20のE12に示すように、生体により圧力を加えることを促す表示を行う。つまりこの場合における制御部18は、所定の表示装置を制御する表示制御部として機能する。また、図示は省略するが例えば内視鏡システム1が電動化されている場合は、制御部18は例えば不図示の気腹装置に対して気体の流量を上げるフィードバック制御等を行う。このように、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、適正圧力が加えられるように、超音波内視鏡100の電動制御を行う。
【0099】
その後、例えば
図20のE20に示す画面が所定の表示装置に表示されたとする。圧力判定部32は、再度の判定処理(ステップS50)でE21に示す撮像画像からは胃壁が十分伸展していると判断する。これにより、判定処理(ステップS50)の結果はOKとなる。この場合、内視鏡システム1は、制御部18を前述と同様に機能させ、例えば
図20のE22に示すように、生体に適正圧力が加わっていることを示す表示を行う。以上のことから、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、判定処理の結果をユーザに提示する提示処理を行う。このようにすることで、ユーザは、生体に適正圧力が加わっているか否かを判断できる。
【0100】
また、本実施形態の手法は、電動化された内視鏡システム1に対して適用してもよい。言い換えれば、前述した手法において超音波内視鏡100の各部、生検針410等の操作を電動で行ってもよい。
図21に、電動化された内視鏡システム1の構成例を示す。内視鏡システム1は、手術台Tに横たわる被検者の体内を観察又は処置するためのシステムである。内視鏡システム1は、超音波内視鏡100と制御装置600と操作装置300と進退駆動装置800と処置具用進退駆動装置460と表示装置900を含む。制御装置600は、駆動制御装置200と映像制御装置500とを含む。
【0101】
超音波内視鏡100は、前述の挿入部110、連結部125、体外軟性部145の他に、コネクタ201及び202を含む。挿入部110と、連結部125と、体外軟性部145と、コネクタ201及び202とは、その順に先端側から接続されている。
【0102】
挿入部110は、
図1等と同様に被検者の管腔内に挿入される部分であり、軟性で細長い形状に構成されている。
図21の挿入部110は、湾曲部102と、湾曲部102の基端と連結部125を接続する体内軟性部119と、湾曲部102の先端に設けられる先端部130とを含む。挿入部110と連結部125と体外軟性部145の内部には内部経路101が設けられており、当該内部経路101を後述の湾曲ワイヤ160が通り湾曲部102に接続される。駆動制御装置200がコネクタ201を介して湾曲ワイヤ160を駆動することで、湾曲部102が湾曲動作する。また
図5で前述の起上台操作ワイヤ136が内部経路101を通ってコネクタ201に接続される。つまり、駆動制御装置200が起上台操作ワイヤ136を駆動することで、起上台135の傾倒角度が変わる。
【0103】
また、先端部130に含まれる不図示の撮像装置とコネクタ202を接続する画像信号線が内部経路101を通り、当該画像信号線を介して当該撮像装置から映像制御装置500に画像信号が伝送される。映像制御装置500は、当該画像信号から生成した生体画像を表示装置900に表示する。また、
図5で前述した超音波ケーブル159が内部経路101を通り、当該超音波ケーブル159を介してプローブ150から映像制御装置500にエコー信号が伝送される。映像制御装置500は、前述の超音波観測装置として機能し、当該エコー信号に基づき生成した超音波画像を表示装置900に表示する。なお、表示装置900は複数有ってもよく、生体画像と超音波画像を別々の表示装置900に表示してもよい。
【0104】
また、
図5で前述したように、角度センサ、位置センサ、圧力センサ等からなる各種センサが先端部130に設けられる場合、当該各種センサとコネクタ201を接続する各種信号線が内部経路101に設けられ、当該各種信号線を介して各種センサから駆動制御装置200に各種検出信号が伝送される。
【0105】
連結部125には、挿入口190と、ロール操作部121とが設けられる。ロール操作部121は、挿入部110の軸線方向を中心に回転可能に連結部125に取り付けられており、ロール操作部121が回転操作されることで、挿入部110がロール回転する。また、後述するように、ロール操作部121は電動駆動可能である。
【0106】
進退駆動装置800は、詳細は
図24で後述するが、挿入部110を電動駆動により進退させる駆動装置である。体外軟性部145が進退駆動装置800に着脱可能になっており、体外軟性部145が進退駆動装置800に装着された状態で進退駆動装置800が体外軟性部145を軸線方向にスライドさせることで、挿入部110が進退する。なお、後述する
図24では体外軟性部145と進退駆動装置800が着脱可能な例を示すが、これに限定されず、連結部125と進退駆動装置800が着脱可能に構成されてもよい。
【0107】
処置具用進退駆動装置460は、生検針410等の処置具400を電動駆動により進退させる駆動装置であり、例えば前述の進退駆動装置800と同様に構成される。つまり、例えば生検針410のシース部411が処置具用進退駆動装置460に対して着脱可能になっており、当該シース部411が処置具用進退駆動装置460に装着された状態で処置具用進退駆動装置460がシース部411を軸線方向にスライドさせることで、シース部411が前進後退する。
【0108】
操作装置300は、操作ケーブル301を経由して駆動制御装置200と着脱可能に接続される。操作装置300は、有線通信ではなく無線通信により駆動制御装置200と通信してもよい。ユーザは操作装置300を操作すると、その操作入力の信号が操作ケーブル301を介して駆動制御装置200に伝送され、駆動制御装置200が操作入力の信号に基づいて操作入力に応じた動作が行われるように超音波内視鏡100を電動駆動する。操作装置300は、超音波内視鏡100の進退、2方向の湾曲動作及びロール回転と、起上台135の動作等に対応した操作入力部を有する。なお、これらのうち電動化されない動作がある場合には、その操作入力部が省略されてもよい。
【0109】
駆動制御装置200は、操作装置300に入力された操作に基づき、内蔵するモータ等のアクチュエータを駆動して超音波内視鏡100を電動駆動する。或いは、アクチュエータが駆動制御装置200の外部にある場合には、駆動制御装置200は、操作装置300に入力された操作に基づき、外部のアクチュエータに制御信号を送信して電動駆動を制御する。また、駆動制御装置200は、操作装置300に入力された操作に基づき、内蔵するポンプ等を駆動して超音波内視鏡100に送気吸引を実施させてもよい。送気吸引は、内部経路101を通る送気吸引チューブを介して行われる。送気吸引チューブの一端は超音波内視鏡100の先端部130に開口し、他端はコネクタ201を介して駆動制御装置200に接続される。
【0110】
図22に、駆動制御装置200の詳細構成例を示す。駆動制御装置200は、アダプタ210と操作受信部220と送気吸引駆動部230と通信部240とワイヤ駆動部250と駆動コントローラ260と画像取得部270と記憶部280とセンサ検出部290を含む。
【0111】
アダプタ210は、操作ケーブル301が着脱可能に接続される操作装置用アダプタ211と、超音波内視鏡100のコネクタ201が着脱可能に接続される内視鏡用アダプタ212を有する。
【0112】
ワイヤ駆動部250は、駆動コントローラ260からの制御信号に基づいて、超音波内視鏡100の湾曲部102の湾曲動作、又は起上台135の動作を駆動する。ワイヤ駆動部250は、超音波内視鏡100の湾曲部102を駆動する湾曲動作用モータユニットと、起上台135を駆動する起上台用モータユニットとを含む。内視鏡用アダプタ212は、超音波内視鏡100側の湾曲ワイヤにカップリングするための湾曲動作用カップリング機構を有し、湾曲動作用モータユニットがカップリング機構を駆動することで、その駆動力が超音波内視鏡100側の湾曲ワイヤに伝達される。また、内視鏡用アダプタ212は、超音波内視鏡100側の起上台操作ワイヤ136にカップリングするための起上台用カップリング機構を有し、起上台用モータユニットがカップリング機構を駆動することで、その駆動力が超音波内視鏡100側の起上台操作ワイヤ136に伝達される。
【0113】
送気吸引駆動部230は、駆動コントローラ260からの制御信号に基づいて、超音波内視鏡100の送気吸引を駆動する。送気吸引駆動部230は、内視鏡用アダプタ212を介して超音波内視鏡100の送気吸引チューブに接続される。送気吸引駆動部230は、気腹装置等を含み、送気吸引チューブに空気を送気したり、送気吸引チューブから空気を吸引したりする。
【0114】
通信部240は、駆動制御装置200の外部に設けられる駆動装置との通信を行う。通信は無線通信又は有線通信のいずれでもよい。外部に設けられる駆動装置は、進退を行う進退駆動装置800、
図25で後述する、ロール回転を行うロール駆動装置850等である。
【0115】
駆動コントローラ260は、超音波内視鏡100の進退、湾曲動作及びロール回転と、起上台135による生検針410の傾倒角度と、超音波内視鏡100による送気吸引とを制御する。駆動コントローラ260は、
図1等のプロセッサ10に対応するハードウェアである。
【0116】
また、駆動コントローラ260は、操作受信部220からの操作入力の信号に基づいて電動駆動を制御する。具体的には、湾曲部102の湾曲操作が行われたとき、駆動コントローラ260は、湾曲方向又は湾曲角度を示す制御信号をワイヤ駆動部250に出力し、ワイヤ駆動部250は、その湾曲方向又は湾曲角度で湾曲部102が湾曲するように湾曲ワイヤ160を駆動する。また、進退操作が行われたとき、駆動コントローラ260は、進退方向又は進退移動量を示す制御信号を、通信部240を介して進退駆動装置800に送信し、進退駆動装置800は、その進退方向又は進退移動量で超音波内視鏡100が進退するように体外軟性部145を進退させる。また、ロール回転操作が行われたとき、駆動コントローラ260は、ロール回転方向又はロール回転角度を示す制御信号を、通信部240を介して後述のロール駆動装置850に送信し、当該ロール駆動装置850は、そのロール回転方向又はロール回転角度で挿入部110をロール回転させる。他の電動駆動についても同様な制御が行われる。
【0117】
センサ検出部290は、例えば前述した角度センサ、位置センサ、圧力センサ等の各種センサからの出力信号から前述の適正圧力か否かを判断するための信号を検出する。センサ検出部290は、例えば、各種センサ等の出力信号を増幅するアンプ回路と、アンプ回路の出力信号をA/D変換して検出データを駆動コントローラ260へ出力するA/D変換器とを含む。駆動コントローラ260は、検出データに基づいて、例えば
図5で前述した起上台135の傾倒角度の制御を行う。
【0118】
また、駆動コントローラ260は、画像取得部270から取得した超音波画像と操作受信部220からの操作入力の信号に基づいて、前述した生検針410の制御を行う。また、前述の機械学習を用いる場合には、前述の学習済みモデル22は記憶部280に記憶される。つまり、
図22の記憶部280は
図2等のメモリ12に対応する。
【0119】
図23に、湾曲部102とその駆動機構を含む超音波内視鏡100を模式的に示す。超音波内視鏡100は、前述の湾曲部102と軟性部104とコネクタ201を含む。なお、軟性部104は前述の体内軟性部119と体外軟性部145に対応し、
図23では連結部125の図示を省略している。
【0120】
湾曲部102と軟性部104はアウターシース111に覆われる。このアウターシース111のチューブ内が
図21の内部経路101に相当する。湾曲部102は、複数の湾曲駒112と、湾曲駒112の先端に連結された先端部130と、を含む。複数の湾曲駒112と先端部130は、各々、回動可能な連結部114によって基端側から先端側に直列的に連結されており、多関節構造となっている。コネクタ201には、駆動制御装置200側のカップリング機構に接続される内視鏡側のカップリング機構162が設けられる。このコネクタ201が駆動制御装置200に装着されることで、湾曲動作の電動駆動が可能になる。またアウターシース111内には湾曲ワイヤ160が設けられる。湾曲ワイヤ160の一端は先端部130に接続され、湾曲ワイヤ160は複数の湾曲駒112を貫通して軟性部104を通り、カップリング機構162内で折り返して再び軟性部104を通り、複数の湾曲駒112を貫通し、湾曲ワイヤ160の他端が先端部130に接続される。ワイヤ駆動部250からの駆動力はカップリング機構162を介して湾曲ワイヤ160の牽引力として湾曲ワイヤ160に伝達される。
【0121】
B2の実線矢印に示すように図面上の上側ワイヤが牽引されると下側ワイヤが押され、それにより湾曲駒112の多関節が図面上の上方向に屈曲する。これにより、A2の実線矢印に示すように、図面上の上方向に湾曲部102が湾曲する。B2の点線矢印に示すように図面上の下側ワイヤが牽引された場合、同様にして、A2の点線矢印に示すように、図面上の下方向に湾曲部102が湾曲する。なお、湾曲部102は直交する2方向に独立に湾曲可能である。
図23には1方向分の湾曲機構を示しているが、実際には湾曲ワイヤが2組設けられ、各湾曲ワイヤが独立にカップリング機構162により牽引されることで、2方向に独立に湾曲可能となっている。
【0122】
なお、湾曲を電動化する機構は上記に限らない。例えば、カップリング機構162に変えてモータユニットを設けてもよい。具体的には、駆動制御装置200がコネクタ201を介してモータユニットに制御信号を送信し、モータユニットが制御信号に基づいて湾曲ワイヤ160を牽引又は弛緩することで湾曲動作を駆動してもよい。
図24に、進退駆動装置800の構成例を示す。進退駆動装置800は、モータユニット816とベース818とスライダ819とを含む。
【0123】
上段図と中段図に示すように、超音波内視鏡100の体外軟性部145には、モータユニット816に着脱可能なアタッチメント802が設けられる。中段図に示すように、アタッチメント802がモータユニット816に装着されることで、進退の電動駆動が可能になる。下段図に示すように、スライダ819は、ベース818に対して直線移動可能にモータユニット816を支持する。このスライダ819は、
図21の手術台Tに固定されている。B1に示すように、駆動制御装置200がモータユニット816に対して無線通信により前進又は後退の制御信号を送信し、その制御信号に基づいてモータユニット816とアタッチメント802がスライダ819上を直線移動する。これにより、挿入部110の進退が実現できる。なお、駆動制御装置200とモータユニット816は有線接続されてもよい。
【0124】
また、図示は省略するが、処置具用進退駆動装置460についても同様に、モータユニット、ベース、スライダを含むように構成してもよい。また、生検針410のシース部411に当該モータユニットに着脱可能なアタッチメントを設けてもよい。また、図示は省略するが、生検針410に含まれる針部412のニードル、スタイレットをそれぞれ電動で制御してもよい。例えば前述ニードル、スタイレットをそれぞれ電動シリンダーと接続し、そして駆動制御装置200が当該電動シリンダーに対して所定の制御信号を送信し、当該制御信号に基づき、ニードルとスタイレットが動作する。なお、ニードル、スタイレットのいずれか一方を電動で制御してもよい。
【0125】
このように電動で制御された超音波内視鏡100、生検針410に対し、例えば
図8で前述した手法を組み合わせてもよい。これにより、例えば
図8のC20に示す超音波画像における、C21に示した位置に対応する病変部の位置に向かって、生検針410の針部412を電動で刺すことができる。つまり、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、算出された生検針410の角度に基づいて生検針410を電動により病変部に刺す制御を行う。このようにすることで、病変部に対して生検針410を最適な角度に向けつつ、電動により生検針410を病変部に刺すシステムを構築できる。
【0126】
また、同様に、電動で制御された超音波内視鏡100、生検針410に対し、例えば
図9で前述した手法を組み合わせてもよい。つまり、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、算出された生検針410の角度と深さに基づいて生検針410を電動により病変部に刺す制御を行う。このようにすることで、病変部に対して生検針410を最適な角度に向けつつ、適切なストローク量で生検針410を病変部に電動で刺すシステムを構築できる。
【0127】
図25に、ロール駆動装置850を含む連結部125の斜視図を示す。連結部125は、連結部本体124とロール駆動装置850とを含む。挿入口190は連結部本体124に設けられており、連結部本体124の内部で
図25に不図示の処置具挿通路に接続されている。連結部本体124は円筒状であり、その円筒と同軸の円筒部材が連結部本体124の内部に回転可能に設けられている。その円筒部材の外側に体内軟性部119の基端部が固定されており、その基端部がロール操作部121となっている。これにより、体内軟性部119と円筒部材が、体内軟性部119の軸線方向を中心として連結部本体124に対して回転可能となっている。ロール駆動装置850は、連結部本体124の内部に設けられたモータユニットである。B3に示すように、駆動制御装置200がロール駆動装置850に対して無線通信によりロール回転の制御信号を送信し、その制御信号に基づいてロール駆動装置850が体内軟性部119の基端部を連結部本体124に対して回転させることで、体内軟性部119がロール回転する。なお、ロール駆動装置850がクラッチ機構を含み、クラッチ機構によりロール回転の非電動と電動が切り替えられてもよい。また、駆動制御装置200とロール駆動装置850は、内部経路101を通る信号線により有線接続されてもよい。
【0128】
また、本実施形態の手法は、上記に限らず、例えば超音波画像と他のデータを入力データとして、領域マーカー情報を検出してもよい。より具体的には例えば、
図10等で前述した推論部30は、
図26に示す構成例としてもよい。推論部30は、先端部情報推定部40と、領域マーカー情報推定部60を含む。なお、
図26の説明において、処理の主体は、
図26に示す各部が行うものとしているが、当該主体は内視鏡システム1またはプロセッサ10が行うものとして適宜読み替えることができる。
図27、
図29等についても同様である。
【0129】
先端部情報推定部40は、先端部130の姿勢情報を受信し、当該姿勢情報に基づいて取得した、先端部130の位置情報及び方向情報を領域マーカー情報推定部60へ送信する。先端部130の姿勢情報とは、例えば先端部130の所定位置に配設したIMU(Inertial Measurement Unit)による測定データである。IMUは、速度センサ及びジャイロセンサを有する慣性センサユニットである。速度センサ及びジャイロセンサは例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサ等により実現できる。先端部情報推定部40は、例えばIMUによる測定データに基づき、先端部130の位置情報及び方向情報としての6DoF(six degrees of freedom)情報を取得する。また、例えば先端部130を含む挿入部110等に対して所定の位置関係で配設させたコイルから発生した磁界を、不図示のアンテナにより検出し、当該アンテナからの検出信号に基づく情報を先端部130の姿勢情報としてもよい。例えば先端部情報推定部40はUPD装置として機能し、当該検出信号の振幅、位相等から、挿入部110等の位置情報及び方向情報としての、先端部130を含む挿入部110等の姿勢情報を取得する。なお、UPD装置は内視鏡挿入形状観測装置ともいう。
【0130】
領域マーカー情報推定部60は、メモリ12から学習済みモデル22を読み出し、超音波画像と、先端部130の位置情報及び方向情報を入力データとし、
図18の推論処理(ステップS70)を行うことで領域マーカー情報を検出し、検出した領域マーカー情報を重畳した超音波画像を出力する。つまり、先端部130の位置情報及び方向情報は推論の精度を上げるためのメタデータである。このように、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、超音波内視鏡100のプローブ150の位置情報及び方向情報と、超音波画像と、学習済みモデル22に基づいて、領域マーカー情報を検出する。このようにすることで、プローブ150の位置情報及び方向情報に基づき領域マーカー情報を検出する内視鏡システム1を構築することができる。これにより、領域マーカー情報の検出の精度を向上させることができる。
【0131】
なお、本実施形態では超音波内視鏡100を用いていることから、上記の説明において先端部130の姿勢情報等は、プローブ150の姿勢情報等と言い換えることができる。以降においても同様である。
【0132】
また、これらの入力データは、学習段階に用いてもよい。つまり
図26の推論部30によって推論処理(ステップS70)を行う場合、
図15の学習装置3における訓練データ84は、プローブ150の位置情報及び方向情報と、超音波画像である。
【0133】
また、例えば推論部30は、
図27に示す構成例としてもよい。
図27における先端部情報推定部40は、先端部姿勢推定部52と、3次元再構築部54を含む点で、
図25の構成例と異なる。なお、
図27において、
図26と重複する構成、処理等の説明は適宜省略する。
図27の先端部姿勢推定部52は、
図26で前述したIMU等を用いて先端部130の姿勢情報に基づいて先端部130の位置情報及び方向情報を取得する。
【0134】
3次元再構築部54は、3次元画像情報に基づき3次元再構築データを取得する。3次元画像情報とは、各画素の位置が3次元座標系によって定義されている画像情報をいい、例えばCT(Computerized Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)或いはPET(Positron Emission Tomography)等の手法により撮影、取得した画像情報である。3次元画像情報は被検体である生体に対して上記の手法等で予め取得されている。3次元画像情報は、例えばメモリ12に記憶されていてもよいし、例えば外部装置のデータベース等に記憶されていてもよい。3次元再構築部54は、ボリュームレンダリング等の手法により3次元画像情報から生体の3次元形状情報を再構築する。
【0135】
なお、先端部姿勢推定部52と3次元再構築部54によって統合した先端部130の位置情報及び方向情報を用いて、例えば
図28のD10に示すようなモデルを構築してもよい。また、
図28のD10に示すモデルを、所定の表示装置に超音波画像と並べて表示してもよい。このようにすることで、例えば
図28のD11に示す対象物を含む箇所に対して超音波診断を行っているとユーザが想定しているときに、D12に示す位置に先端部130が位置していること、プローブ150がD11に示す対象物に向かう方向等を向いていること等をユーザは確認できる。これにより、ユーザは、表示されている超音波画像が所望の部位を描出していることを確信できる。これにより、ユーザの心理的負担を軽減できる。
【0136】
このように、
図27の先端部情報推定部40は、先端部130の姿勢情報と3次元画像情報に基づいて先端部130の位置情報及び方向情報を領域マーカー情報推定部60に送信する。つまり、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、生体の3次元形状情報と、超音波内視鏡100のプローブ150の姿勢情報に基づいて超音波内視鏡100の位置情報及び方向情報を求める。 このようにすることで、生体の3次元画像情報とプローブ150の姿勢情報に基づいて、プローブ150の位置情報及び方向情報を取得するシステムを構築できる。これにより、領域マーカー情報の検出の精度を向上させることができる。
【0137】
また、例えば推論部30は、
図29に示す構成例としてもよい。
図29における先端部情報推定部40は、部位認識部56をさらに含む点で、
図27の構成例と異なる。なお、
図29において、
図26、
図27と重複する構成、処理等の説明は適宜省略する。
【0138】
図29の部位認識部56は、生体画像に基づいて先端部130の位置、先端部130が向いている方向に関する情報を取得する。生体画像は、被検体である生体の管腔内を、先端部130に含まれる撮像装置によって撮像された画像である。撮像される部位によって管腔内壁のテクスチャが異なることから、先端部130の位置、方向に関する情報となる。このように、
図29の先端部情報推定部40は、先端部130の姿勢情報と3次元画像情報と生体情報に基づいて、先端部130の位置情報及び方向情報を取得し、領域マーカー情報推定部60に送信する。以上のことから、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、生体の3次元形状情報と、超音波内視鏡100のプローブ150の姿勢情報と、超音波内視鏡100の撮像センサにより撮像された生体画像に基づいて超音波内視鏡100の位置情報及び方向情報を求める。このようにすることで、プローブ150の姿勢情報、生体の3次元形状情報及び生体画像に基づきプローブ150の位置情報及び方向情報を求めるシステムを構築できる。そして領域マーカー情報推定部60は、取得した先端部130の位置情報及び方向情報と超音波画像を入力データセットとし、
図25、
図26と同様の手法により領域マーカー情報を検出し、検出した領域マーカー情報を重畳した超音波画像を出力する。
【0139】
また、本実施形態の推論部30は、
図30の構成例のようにしてもよい。
図30の構成例は、
図26の構成例と比較すると、
図29で前述した生体画像が領域マーカー情報推定部60にさらに入力されるメタデータとなっている特徴を有する点で、
図26と異なる。なお、この特徴は、
図27の構成例に追加してもよいし、
図29の構成例に追加してもよい。このように、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、超音波内視鏡100のプローブ150の位置情報及び方向情報と、超音波画像と、超音波内視鏡100の撮像センサにより撮像された生体画像と、学習済みモデル22に基づいて、領域マーカー情報を検出する。このようにすることで、プローブ150の位置情報及び方向情報、超音波画像及び生体画像に基づき領域マーカー情報を検出する内視鏡システム1を構築することができる。これにより、領域マーカー情報の検出の精度を向上させることができる。
【0140】
また、これらの入力データは、学習段階に用いてもよい。つまり
図30の推論部30によって推論処理(ステップS70)を行う場合、
図15の学習装置3における訓練データ84は、プローブ150の位置情報及び方向情報と、超音波画像と、生体画像である。
【0141】
なお、推論部30の構成例の図示等は省略するが、本実施形態の内視鏡システム1は、超音波画像とメタデータとしての生体画像を入力データセットして、推論処理(ステップS70)等を行ってもよい。この場合、学習段階における訓練データ84は超音波画像と、生体画像である。つまり本実施形態の内視鏡システム1において、学習済みモデル22は、超音波画像と、超音波内視鏡100の撮像センサにより撮像された生体画像が入力され、領域マーカー情報を出力するように学習される。このようにすることで、超音波画像及び生体画像に基づき領域マーカー情報を検出する学習済みモデル22を構築できる。これにより、領域マーカー情報の検出の精度を向上させることができる。
【0142】
また、本実施形態の内視鏡システム1は、生検針410を刺すために必要な操作の支援情報を提示できるようにしてもよい。つまり、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、算出された生検針410の角度と深さに基づいて、ユーザに対して超音波内視鏡100の操作支援情報の提示処理を行う。このようにすることで、ユーザが病変部に生検針410を刺す作業負担を軽減することができる。
【0143】
図31は、超音波内視鏡100の操作支援情報の提示処理の処理例に係るフローチャートである。内視鏡システム1は、病変部、重要組織を認識出来たか否かを判断する(ステップS10)。内視鏡システム1は、病変部、重要組織を認識出来た場合(ステップS10でYES)はステップS20以降の処理を行う。一方、内視鏡システム1は、病変部、重要組織を認識出来ない場合(ステップS10でNO)はステップS10を再度行う。具体的には例えば内視鏡システム1は、領域マーカー情報が超音波画像に重畳されたか否かを判断し、領域マーカー情報が超音波画像に重畳されたタイミングで、ステップS10でYESと判断する。
【0144】
内視鏡システム1は、ステップS10でYESと判断した後、病変部、重要組織の位置と、生検針410の可動範囲を比較する(ステップS20)。内視鏡システム1は、当該可動範囲内に病変部が存在しないと判断した場合(ステップS30でNO)、第1報知(ステップS110)を行い、フローを終了する。一方、内視鏡システム1は、当該可動範囲内に病変部が存在すると判断した場合(ステップS30でYES)、当該可動範囲内に重要組織が存在するか否かを判断する(ステップS40)。内視鏡システム1は、当該可動範囲内に重要組織が存在すると判断した場合(ステップS40でYES)、第2報知(ステップS120)を行い、フローを終了する。一方、内視鏡システム1は、当該可動範囲内に重要組織が存在しないと判断した場合(ステップS40でNO)、第3報知(ステップS130)を行い、フローを終了する。
【0145】
第1報知(ステップS110)は、具体的には
図32のフローチャートに示すように、プローブ150の角度を変更する指示を報知する(ステップS112)。例えば
図33のF10に示す画面に、F11に示す超音波画像が表示されたものとする。F11に示す超音波画像において、F12に示す可動範囲画像とF13に示す領域マーカー情報が表示されている。ここで、F13に示す領域マーカー情報は病変部に対応する領域マーカー情報であるものとする。
【0146】
F12に示す可動範囲画像は、F13に示す領域マーカー情報と重畳していないことから、内視鏡システム1は、ステップS112を実行する。これにより、例えばF10に示す画面において、F14に示すメッセージが表示される。この場合、例えばユーザは湾曲部102を紙面上方向に湾曲させる操作を行うことで、F12に示す可動範囲画像がF13に示す病変部の領域マーカー情報と重畳するようになる。このように、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、生検針410の可動範囲に病変部が含まれるか否かを判定し、当該可動範囲に病変部が含まれない場合、超音波内視鏡100のプローブ150の角度を変更する指示情報を出力する。このようにすることで、ユーザは、生検針410の可動範囲に病変部が含まれていない場合に、プローブ150の角度を変更することで適切な対処ができることを認識できる。
【0147】
第2報知(ステップS120)は、具体的には
図34のフローに示すように、プローブ150の位置の変更指示を報知する(ステップS122)。例えば
図35のF20に示す画面に、F21に示す超音波画像が表示されたものとする。F21に示す超音波画像において、F22に示す可動範囲画像と、F23に示す領域マーカー情報と、F24に示す領域マーカー情報と、F25に示す領域マーカー情報が表示されている。ここで、F23に示す領域マーカー情報は、病変部に対応する領域マーカー情報であり、F24に示す領域マーカー情報と、F25に示す領域マーカー情報は、重要組織に対応する領域マーカー情報であるものとする。
【0148】
F22に示す可動範囲画像は、F23に示す領域マーカー情報と重畳していることから、生検針410を突出させることで、生検針410を病変部に刺すことが可能な状況である。しかし、F22に示す可動範囲画像は、F24に示す領域マーカー情報及びF25に示す領域マーカー情報とも重畳している。特に、F24に示す領域マーカー情報は、生検針410の突出位置とF23に示す領域マーカー情報の間に位置している。このような状況で生検針410を突出させると、重要組織に生検針410を刺すことになり、重要組織が損傷する可能性がある。
【0149】
このような状況においては、内視鏡システム1はステップS122を実行する。これにより、例えばF20に示す画面において、F26に示すメッセージが表示される。
図35の状況においては、
図33の状況と異なり、プローブ150の角度を変更させても、病変部に対応する領域マーカー情報のみを可動範囲画像と重畳させるようにできない場合がある。そこで、ユーザに対し、挿入部110を一旦後退させ、病変部に対するアプローチ方法を変更させることを促すように、F26に示す報知が行われる。以上のことから、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、生検針410の突出位置と病変部の間に重要組織が含まれるか否かを判定し、生検針410の突出位置と病変部の間に重要組織が含まれる場合、超音波内視鏡100の位置を変更する指示情報を出力する。このようにすることで、ユーザは、生検針410の突出位置と病変部の間に重要組織が含まれる場合は、病変部に対するプローブ150のアプローチの仕方を変更しないと、生検針410を突出させることが難しい状況であることを認識できる。これにより、生検針410を用いる処置をより適切に行うことができる。
【0150】
第3報知(ステップS130)は、具体的には
図36のフローチャートに示すように、生検針410を刺す角度の決定を促すことをユーザに報知する(ステップS132)。例えば
図37のF30に示す画面に、F31に示す超音波画像が表示されたものとする。F31に示す超音波画像において、F32に示す可動範囲画像と、F33に示す領域マーカー情報とが表示されている。ここで、F33に示す領域マーカー情報は病変部に対応する領域マーカー情報であるものとする。
【0151】
F32に示す可動範囲画像は、F33に示す領域マーカー情報と重畳していることから、生検針410を突出させることで、生検針410を病変部に刺すことが可能な状況である。また、
図37における状況は、
図35における状況と異なり、F32に示す可動範囲画像と、重要組織に対応する領域マーカー情報は重畳していない。したがって、生検針410を突出させれば、重要組織を損傷させることなく、病変部に生検針410が刺さる状況にある。このような状況においては、内視鏡システム1はステップS132を実行する。これにより、例えばF30に示す画面において、F34に示すように、生検針410の角度を決定する旨のメッセージが表示される。その後ユーザは、
図8、
図9等で前述した手法等により、生検針410の角度を決定すればよい。つまり、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、生検針410の可動範囲に病変部と重要組織が含まれるか否かを判定し、可動範囲内に病変部が含まれ、かつ、可動範囲内に重要組織に含まれない場合、生検針410を病変部に刺す制御を行う。このようにすることで、ユーザは、生検針410を突出させて問題無い状況であることを認識できる。
【0152】
また、本実施形態の内視鏡システム1は、他の操作支援情報を表示してもよい。他の操作支援情報は、例えば生検針410を複数回刺すための操作支援情報である。操作支援情報の変形例として例えば、病変部の所定の箇所に生検針410を刺し、病変部の異なる箇所に生検針410を再度刺す場合、
図38のF40に示すような画面を表示してもよい。F40の画面には、F41に示す超音波画像と、F45に示す凡例が表示されている。F41に示す超音波画像において、F42に示す領域マーカー情報と、F43に示すアイコンと、F44に示す点線状のアイコンが表示されている。ユーザは1回目の生検(ステップS5)において、F43に示すアイコンに対応する位置に生検針410を刺したことを示し、F44に示すアイコンは生検針410が通った経路を示している。これにより、ユーザは、F44に示す点線に基づく生検針410の角度と異なるように、生検針410の角度を決定すればよいことを認識できる。なお、F43に示すアイコンは例えば
図8で前述した特定位置の座標に基づき作成する処理により実現できる。同様に、F44に示すアイコンは、
図8で前述した第2直線に基づくアイコンを作成する処理等により実現できる。
【0153】
また、図示は省略するが、例えば内視鏡システム1は、生検針410が病変部に刺さったか否かについて判断してもよい。例えば内視鏡システム1は、病変部に対応する領域マーカー情報の他に、生検針410に対応する領域マーカー情報を検出する処理を行う。そして内視鏡システム1は、生検針410に対応する領域マーカー情報と、病変部に対応する領域マーカー情報が重畳しているか否かを判断する処理を行うことで、画像処理により生検針410が病変部に刺さったか否かを判断できる。なお、生検針410に対応する領域マーカー情報の代わりに、前述の第1直線を針部412が突出する長さの分だけ画像化して表示してもよく、当該画像化した第1直線を、針部412のストローク量に連動して移動するように表示しても同様の効果を得ることができる。
【0154】
以上、本開示を適用した実施形態およびその変形例について説明したが、本開示は、各実施形態やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、開示の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の開示を形成することができる。例えば、各実施形態や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、開示の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0155】
1…内視鏡システム、3…学習装置、10…プロセッサ、12…メモリ、14…入力部、16…出力部、18…制御部、20…処理部、22…モデル、30…推論部、32…圧力判定部、40…先端部情報推定部、52…先端部姿勢推定部、54…3次元再構築部、56…部位認識部、60…領域マーカー情報推定部、70…プロセッサ、72…メモリ、74…通信部、80…機械学習部、82…訓練モデル、84…訓練データ、90…ユニバーサルケーブル、92…コネクタ部、100…超音波内視鏡、101…内部経路、102…湾曲部、104…軟性部、110…挿入部、111…アウターシース、112…湾曲駒、114…連結部、119…体内軟性部、121…ロール操作部、124…連結部本体、125…連結部、130…先端部、131…本体部、132…対物レンズ、133…照明レンズ、134…先端開口部、135…起上台、136…起上台操作ワイヤ、145…体外軟性部、150…プローブ、151…ハウジング、152…超音波振動子ユニット、153…配線基板、154…バッキング材、155…超音波振動子アレイ、156…超音波振動子、157…音響整合層、158…音響レンズ、159…超音波ケーブル、160…湾曲ワイヤ、162…カップリング機構、190…挿入口、200…駆動制御装置、201…コネクタ、202…コネクタ、210…アダプタ、211…操作装置用アダプタ、212…内視鏡用アダプタ、220…操作受信部、230…送気吸引駆動部、240…通信部、250…ワイヤ駆動部、260…駆動コントローラ、270…画像取得部、280…記憶部、290…センサ検出部、300…操作装置、301…操作ケーブル、400…処置具、410…生検針、411…シース部、412…針部、460…処置具用進退駆動装置、500…映像制御装置、600…制御装置、800…進退駆動装置、802…アタッチメント、816…モータユニット、818…ベース、819…スライダ、850…ロール駆動装置、900…表示装置、NN…ニューラルネットワーク、T…手術台
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
生検針を有する超音波内視鏡の超音波画像に対して、病変部の領域に対応するマーカー情報と重要組織の領域に対応するマーカー情報を含む領域マーカー情報が設定された画像を取得し、
前記生検針の可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すことができるか否かの判断を支援する第1操作支援情報をユーザに提示し、
前記第1操作支援情報として前記病変部に前記生検針を刺すことが可能な情報が提示された場合、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度を算出することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記可動範囲に前記病変部が含まれるか否かを判定し、
前記可動範囲に前記病変部が含まれないと判定した場合、前記第1操作支援情報として前記超音波内視鏡のプローブの角度を変更する指示情報をユーザに提示することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項3】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記生検針の突出位置と前記病変部の間に前記重要組織が含まれるか否かを判定し、
前記生検針の突出位置と前記病変部の間に前記重要組織が含まれると判定した場合、前記第1操作支援情報として前記超音波内視鏡のプローブの位置を変更する指示情報をユーザに提示することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項4】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
算出された前記生検針の角度に基づいて前記生検針を電動により前記病変部に刺す制御を行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項5】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
算出された前記生検針の角度に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すために必要な操作の支援情報である第2操作支援情報の提示処理を、ユーザに対して行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項6】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記生検針の前記可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度と深さを算出することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
算出された前記生検針の角度と深さに基づいて前記生検針を電動により前記病変部に刺す制御を行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項8】
請求項6に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
算出された前記生検針の角度と深さに基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すために必要な操作の支援情報である第2操作支援情報の提示処理を、ユーザに対して行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項9】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサは、
前記可動範囲に前記病変部と前記重要組織が含まれるか否かを判定し、
前記可動範囲内に前記病変部が含まれ、かつ、可動範囲内に前記重要組織に含まれない場合、前記第1操作支援情報として前記病変部に前記生検針を刺すことが可能な情報をユーザに提示し、前記生検針を前記病変部に刺す制御を行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項10】
請求項1に記載の内視鏡システムにおいて、
前記超音波内視鏡により撮像される前記超音波画像に対して、前記超音波画像における検出対象の前記領域マーカー情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶するメモリを含み、
前記プロセッサは、
前記超音波画像と前記学習済みモデルに基づいて、前記領域マーカー情報を検出することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項11】
超音波内視鏡から取得された超音波画像に基づいて生検針の角度を算出する内視鏡システムの作動方法であって、
前記内視鏡システムが、前記生検針を有する前記超音波内視鏡の前記超音波画像に対して、病変部の領域に対応するマーカー情報と重要組織の領域に対応するマーカー情報を含む領域マーカー情報が設定された画像を取得し、
前記内視鏡システムが、前記生検針の可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すことができるか否かの判断を支援する第1操作支援情報をユーザに提示し、
前記内視鏡システムが、前記第1操作支援情報として前記病変部に前記生検針を刺すことが可能な情報が提示された場合、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度を算出することを特徴とする内視鏡システムの作動方法。
【請求項12】
請求項11に記載の内視鏡システムの作動方法において、
前記内視鏡システムが、前記可動範囲に前記病変部が含まれるか否かを判定し、
前記内視鏡システムが、前記可動範囲に前記病変部が含まれないと判定した場合、前記第1操作支援情報として前記超音波内視鏡のプローブの角度を変更する指示情報をユーザに提示することを特徴とする内視鏡システムの作動方法。
【請求項13】
請求項11に記載の内視鏡システムの作動方法において、
前記内視鏡システムが、前記生検針の突出位置と前記病変部の間に前記重要組織が含まれるか否かを判定し、
前記内視鏡システムが、前記生検針の突出位置と前記病変部の間に前記重要組織が含まれると判定した場合、前記第1操作支援情報として前記超音波内視鏡のプローブの位置を変更する指示情報をユーザに提示することを特徴とする内視鏡システムの作動方法。
【請求項14】
請求項11に記載の内視鏡システムの作動方法において、
前記内視鏡システムが、算出された前記生検針の角度に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すために必要な操作の支援情報である第2操作支援情報の提示処理を、ユーザに対して行うことを特徴とする内視鏡システムの作動方法。
【請求項15】
請求項11に記載の内視鏡システムの作動方法において、
前記内視鏡システムが、前記生検針の前記可動範囲と前記領域マーカー情報に基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すための前記生検針の角度と深さを算出することを特徴とする内視鏡システムの作動方法。
【請求項16】
請求項15に記載の内視鏡システムの作動方法において、
前記内視鏡システムが、算出された前記生検針の角度と深さに基づいて、前記病変部に前記生検針を刺すために必要な操作の支援情報である第2操作支援情報の提示処理を、ユーザに対して行うことを特徴とする内視鏡システムの作動方法。
【請求項17】
請求項11に記載の内視鏡システムの作動方法において、
前記内視鏡システムが、前記可動範囲に前記病変部と前記重要組織が含まれるか否かを判定し、
前記内視鏡システムが、前記可動範囲内に前記病変部が含まれ、かつ、可動範囲内に前記重要組織に含まれない場合に前記第1操作支援情報として前記病変部に前記生検針を刺すことが可能な情報をユーザに提示し、前記生検針を前記病変部に刺す制御を行うことを特徴とする内視鏡システムの作動方法。
【請求項18】
請求項11に記載の内視鏡システムの作動方法において、
前記超音波内視鏡により撮像される前記超音波画像に対して、前記超音波画像における検出対象の前記領域マーカー情報を出力するように学習された学習済みモデルと、前記超音波画像とに基づいて、前記領域マーカー情報を検出することを特徴とする内視鏡システムの作動方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、内視鏡システム及び内視鏡システムの作動方法等に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
そして内視鏡システム1は病変部に生検針410を刺すための生検針410の角度を算出する。例えば前述のように、可動範囲画像は設計上決まった領域であるから、生検針410の角度を決めると、超音波画像上に表示される生検針410の画像に含まれる座標の集合は一義的に決まる。そこで、例えば内視鏡システム1は、生検針410の角度と、生検針410の画像の座標を関連付けた第3テーブルを参照し、特定位置の座標に対応する生検針410の角度を探索する処理を行う。これにより、例えば内視鏡システム1は、C23に示すように、特定位置を通過する第2直線を算出する。また、内視鏡システム1は、当該第2直線に基づいてR22に示すように、生検針410の角度を算出する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
例えば図示は省略するが、ユーザは超音波画像を観察し、
図9のC31の可動範囲画像の内側に病変部が存在していることを確認した後に
図8で前述した手法を適用し、前述の特定位置を求める。そして内視鏡システム1は、前述の第3テーブルから第1直線に対応する生検針410の角度を選択する処理と、特定位置の座標から第1直線の長さを求める処理と、当該第1直線の長さに基づいて、病変部に生検針410を刺すために必要な針部412のストローク長を求める処理を行う。以上のことから、本実施形態の内視鏡システム1において、プロセッサ10は、生検針410の可動範囲と領域マーカー情報とに基づいて、病変部に生検針410を刺すための生検針410の角度と深さを算出する。このようにすることで、生検針410を所望の位置に向け、かつ生検針410を刺す為に必要な深さを把握することができる。これにより、ユーザは、超音波画像を見ながら
電動シリンダー等を操作し、生検針410を適切な深さで刺す作業を容易に行うことができる。