(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132839
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/02 20060101AFI20240920BHJP
B41J 11/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65H5/02 T
B41J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194854
(22)【出願日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2023039769
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】辻野 直人
(72)【発明者】
【氏名】窪田 裕人
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕也
【テーマコード(参考)】
2C058
3F049
【Fターム(参考)】
2C058AB06
2C058AC07
2C058AE02
2C058AE04
2C058AF27
2C058DA11
2C058DA13
2C058DA38
3F049AA03
3F049BA05
3F049DA03
3F049DA13
3F049LA07
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】搬送ベルトの厚みの増加を抑えつつ、搬送ベルトの折れを発生しにくくする。
【解決手段】区画された吸引部31と、複数のベルト穴21aを有し、用紙の搬送方向と直交する一方向に寄せられた状態で吸引部31上を搬送方向(左右方向)に駆動されて用紙を搬送する搬送ベルト21と、を有する搬送装置において、複数のベルト穴21aが、搬送方向に対して一列に並ばないように、隣り合うベルト穴21aが搬送方向と直交する方向(前後方向)にずれた状態で配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画された吸引部と、
複数のベルト穴を有し、シートの搬送方向と直交する一方向に寄せられた状態で前記吸引部上を前記搬送方向に駆動されてシートを搬送する搬送ベルトと、を有する搬送装置において、
前記複数のベルト穴が、前記搬送方向に対して一列に並ばないように、隣り合う前記ベルト穴が前記搬送方向と直交する方向に互いにずれた状態で配置されている
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記複数のベルト穴が、前記搬送方向において隣り合うベルト穴が前記搬送方向と直交する方向に交互にずれるように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記複数のベルト穴が、前記搬送方向において連続する3つ以上の所定数のベルト穴ごとに、それぞれのベルト穴の前記搬送方向と直交する方向における位置が異なるように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送する搬送装置として、エア吸引方式の搬送装置が知られている。例えば、用紙を搬送しつつ、インクジェットヘッドから用紙へインクを吐出して印刷するライン型のインクジェット印刷装置において、搬送ベルトを回転させながらエア吸引により用紙を搬送ベルトに吸着保持して搬送する搬送装置が用いられている。
【0003】
上記のような用紙を搬送ベルトに吸着保持して搬送する搬送装置を用いたインクジェット印刷装置では、軸のアライメントや搬送ベルトの周長差によって搬送ベルトが蛇行したり、片側に寄ってしまったりする。
【0004】
特許文献1には、斜行量情報に基づいて、2個のステアリングローラを同位相に傾動させることで、寄り位置を変化させずに斜行を補正すると共に、位置情報に基づいて、2個のステアリングローラを逆位相で傾動させることで、斜行量を変化させずに寄りを補正する自動調整機構を有する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、制御タイミングと印刷タイミングによっては画像影響が発生する可能性があり、装置が大型化してしまう、コストがかかってしまうという課題がある。
【0007】
一方、蛇行を自動で調整する機構が付いていない搬送装置では、搬送ベルトを主走査方向のどちらか一端に突き当てた状態を維持して蛇行を抑制しているものがある。このような、突き当てによって蛇行を抑制している装置では、見かけ上蛇行はしていないが、蛇行しようとする力は働いている為、突き当てている力が経時で増減することがある。搬送ベルトの剛性が突き当てている力よりも強い状態であれば問題はないが、搬送ベルトの剛性よりも寄りの力が強くなってしまうと、最悪の場合、搬送ベルトの折れが発生し部品交換となってしまう。
【0008】
搬送ベルトの折れを抑制する為には、搬送ベルトの剛性を上げることが必要だが、吸引搬送に用いる搬送ベルトでは多くの穴を開ける必要があり、剛性が弱くなってしまう。搬送ベルトの厚みを増やして剛性を高めることも考えられるが、厚みを増加させてしまうと、搬送面の平面度が出し辛くなり、平面度が要求される箇所での採用が難しく、対策が困難となっている。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、搬送ベルトの厚みの増加を抑えつつ、搬送ベルトの折れを発生しにくくする搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の搬送装置は、
区画された吸引部と、
複数のベルト穴を有し、シートの搬送方向と直交する一方向に寄せられた状態で前記吸引部上を前記搬送方向に駆動されてシートを搬送する搬送ベルトと、を有する搬送装置において、
前記複数のベルト穴が、前記搬送方向に対して一列に並ばないように、隣り合う前記ベルト穴が前記搬送方向と直交する方向に互いにずれた状態で配置されている
ことを特徴とする搬送装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の搬送装置によれば、搬送ベルトの厚みの増加を抑えつつ、搬送ベルトの折れを発生しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示すインクジェット印刷装置の平面図である。
【
図3】
図1に示すインクジェット印刷装置の搬送部の部分拡大平面図である。
【
図4】
図3のA-A線に沿った搬送部の部分拡大断面図である。
【
図5】(a)は、比較のため、従来技術における吸引状態を示した図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る搬送装置における吸引状態を示した図であり、(c)は、本発明の変形例に係る搬送装置における吸引状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0014】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送装置が設けられたインクジェット印刷装置の概略構成図である。
図2は、
図1に示すインクジェット印刷装置の平面図である。
図3は、
図1に示すインクジェット印刷装置の搬送部の部分拡大平面図である。
図4は、
図3のA-A線に沿った搬送部の部分拡大断面図である。以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
図1において、左から右へ向かう方向が用紙の搬送方向である。以下の説明における上流、下流は、用紙の搬送方向における上流、下流を意味する。
【0016】
図1、
図2に示すように、本実施の形態に係るインクジェット印刷装置1は、印刷部2と、搬送部(搬送装置に相当)3とを備える。
【0017】
印刷部2は、搬送部3により搬送される用紙Pに画像を印刷する。印刷部2は、複数のラインヘッド11を備える。本実施の形態では、印刷部2は、4つのラインヘッド11を備える。
【0018】
ラインヘッド11は、用紙Pにインクを吐出して画像を印刷する。4つのラインヘッド11は、それぞれ異なる色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。4つのラインヘッド11は、搬送部3の上方において、用紙Pの搬送方向(左右方向)に沿って並列して配置されている。各ラインヘッド11は、それぞれ複数のインクジェットヘッド12を有する。本実施の形態では、各ラインヘッド11は、それぞれ6個のインクジェットヘッド12を有する。
【0019】
ラインヘッド11において、インクジェットヘッド12は、前後方向に沿って千鳥状に配置されている。すなわち、各ラインヘッド11において、前後方向に沿って配列された6個のインクジェットヘッド12が、左右方向における位置を交互にずらして配置されている。
【0020】
インクジェットヘッド12は、後述する搬送ベルト21の搬送面21bに対向する下面である吐出面12aに開口する複数のノズル(図示せず)を有し、ノズルからインクを吐出する。
【0021】
搬送部3は、給紙部(図示せず)から給紙された用紙Pを、エア吸引により吸着保持しつつ搬送する。
【0022】
搬送部3は、搬送ベルト21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23~25と、プラテン26と、プラテンプレート27と、吸着機構28と、複数の紙押さえローラ29とを備える。
【0023】
なお、搬送部3は、搬送ベルト21を主走査方向(前後方向)の一方向に突き当てて搬送ベルト21の蛇行を抑制する公知の機構を有しているが、その機構の図示および説明は省略する。
【0024】
搬送ベルト21は、用紙Pを吸着保持して搬送する。搬送ベルト21は、駆動ローラ22および従動ローラ23~25に掛け渡された環状のベルトである。搬送ベルト21には、多数のベルト穴21aが形成されている。
【0025】
搬送ベルト21は、吸着機構28のファン38の駆動によりベルト穴21aに発生する吸着力により、搬送面21b上に用紙Pを吸着保持する。搬送面21bは、搬送ベルト21の用紙Pが載置される面であり、駆動ローラ22と従動ローラ23との間の搬送ベルト21の水平部分の上面である。搬送ベルト21は、上述した蛇行を抑制する機構により、前後方向の一方向に寄せられた状態で、
図1における時計回り方向に回転(無端移動)することで、吸着保持した用紙Pを左から右へ向かう搬送方向に搬送する。
【0026】
ベルト穴21aは、搬送方向(左右方向)に対して一列に並ばないように、隣り合うベルト穴が搬送方向と直交する方向(前後方向)にずれた状態で配置されている。
【0027】
具体的には、
図3に示すように、ベルト穴21aは、プラテン26のセル範囲W内において、搬送方向(左右方向)に所定のピッチ(間隔)K1で配置されている。また、ベルト穴21a2は、隣接するベルト穴21a1と一列に並ばないように、搬送方向と直交する方向(前方向)にXだけずれた状態で配置されている。ベルト穴21a3は、隣接するベルト穴21a2と一列に並ばないように、搬送方向と直交する方向(後方向)にXだけずれた状態で配置されている。
【0028】
すなわち、ベルト穴21a1とベルト穴21a3とは、搬送方向(左右方向)の仮想直線L1上に配置されており、ベルト穴21a2は、仮想直線L1に対して搬送方向(左右方向)にXだけずれた仮想直線L2上に配置されている。
【0029】
この搬送方向(左右方向)へのずらし量Xは、プラテン26のセル範囲W内でずらし、隣接するベルト穴21aとの重なりが最も少なくなるように設定されている。
【0030】
これにより、仮想直線L2,L2上における隣接するベルト穴21aのピッチ(間隔)K2は、ピッチ(間隔)K1より長くなるので、搬送ベルト21の搬送方向(左右方向)に連続する面積が確保され、搬送ベルト21の剛性が強くなる。
【0031】
駆動ローラ22は、搬送ベルト21を回転させる。駆動ローラ22は、図示しないモータにより回転駆動される。従動ローラ23~25は、駆動ローラ22とともに搬送ベルト21を支持する。従動ローラ23~25は、搬送ベルト21に従動回転する。従動ローラ23は、駆動ローラ22と同じ高さで、駆動ローラ22の左方に配置されている。従動ローラ24,25は、駆動ローラ22および従動ローラ23の下方において、互いに左右方向に離間して、同じ高さに配置されている。
【0032】
プラテン26は、駆動ローラ22と従動ローラ23との間において搬送ベルト21の下側(搬送面21b側とは反対側)に配置され、搬送ベルト21を摺動可能に支持する板状の部材である。プラテン26は、複数の吸引部31を有する。
【0033】
複数の吸引部31は、プラテン26の搬送ベルト21側の面である表面(上面)が複数の領域に区画されて形成され、それぞれの領域において用紙Pを搬送ベルト21に吸着させるための空気の吸引を行うものである。吸引部31は、凹部32と、吸引穴33とを有する。
【0034】
凹部32は、プラテン26の表面(上面)において、裏面(下面)に向かって掘り下げて形成されている。凹部32は、ファン38の駆動により空気が吸引されて負圧が生成される部分である。凹部32は、左右方向に平行な辺および左右方向に直交する辺(前後方向に平行な辺)を有する平面視矩形状に形成されている。
【0035】
吸引穴33は、凹部32から空気を吸引するための穴である。吸引穴33は、凹部32の底面の一部からプラテン26の裏面に貫通するように形成されている。吸引穴33は、各凹部32の底面に1つずつ開口するように形成されている。吸引穴33は、ベルト穴21aより平面視面積が小さくなるように形成されている。
【0036】
プラテンプレート27は、プラテン26の下方に配置され、複数のスペーサ36を介してプラテン26を支持する板状の部材である。プラテンプレート27には、ファン38が吸引する空気を通過させるための複数の貫通穴27aが形成されている。
【0037】
吸着機構28は、吸引穴33およびベルト穴21aを介して空気を吸引して用紙Pを搬送ベルト21に吸着させる。吸着機構28は、チャンバ37と、ファン38とを備える。
【0038】
チャンバ37は、搬送ベルト21のベルト穴21aに吸着力を発生させるための負圧室を形成するものである。チャンバ37は、駆動ローラ22と従動ローラ23との間において、プラテンプレート27の裏面側に設けられている。
【0039】
ファン38は、チャンバ37から排気する。これにより、ファン38は、吸引穴33およびベルト穴21aを介して空気を吸引してベルト穴21aに吸着力を発生させ、用紙Pを搬送ベルト21に吸着させる。
【0040】
紙押さえローラ29は、搬送ベルト21により搬送される用紙Pを搬送面21bに押さえるものである。紙押さえローラ29は、回転する搬送ベルト21に従動して回転する。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態に係る搬送装置の効果を説明した説明図である。
図5(a)は、比較のため、従来技術における吸引状態を示した図であり、
図5(b)は、本発明の実施の形態に係る搬送装置における吸引状態を示した図であり、
図5(c)は、本発明の変形例に係る搬送装置における吸引状態を示した図である。
【0042】
図5(a)に示すように、従来技術では、それぞれ隣接するベルト穴121a1と、ベルト穴121a2と、ベルト穴121a3とが、搬送方向(左右方向)に一直線に配置されている。
【0043】
ベルト穴121a付近は、吸引による負圧が逃げていくため、搬送ベルト21を吸着させる力が弱くなる。ベルト穴121a付近では、吸着力が弱い領域A101が形成され、ベルト穴121aから遠い領域では、吸着力が強い領域A102が形成される。
【0044】
図5(a)に示す従来技術では、ベルト穴121aが搬送方向(左右方向)に一直線に配置されているので、吸着力が弱い領域A101が搬送方向(左右方向)に一直線に形成されることになるので、吸着力が弱い領域A101に沿って、すなわち吸着力が弱い領域A101を折り曲げ線として搬送ベルト21が折れ易くなる。
【0045】
一方、
図5(b)に示すように、本発明の実施の形態に係る搬送装置では、複数のベルト穴21aは、搬送方向(左右方向)において隣り合うベルト穴21aが搬送方向と直交する方向(前後方向)に交互にずれるように配置されている。このようにして、搬送方向(左右方向)に対して一列に並ばないようなベルト穴21aの配置を実現している。これにより、吸着力が弱い領域A101が搬送方向(左右方向)に一直線に形成されることがないため、搬送ベルト21の厚みの増加によらずに、前後方向の搬送ベルト21の剛性を高めることができる。この結果、搬送ベルト21の厚みの増加を抑えつつ、搬送ベルト21の折れを発生しにくくすることができる。
【0046】
なお、
図5(b)に示した例では、複数のベルト穴21aが、搬送方向(左右方向)において隣り合うベルト穴21aが搬送方向と直交する方向(前後方向)に交互にずれるように配置された例について説明したが、これに限らない。複数のベルト穴21aが搬送方向に対して一列に並ばないように、搬送方向において隣り合うベルト穴21aが搬送方向と直交する方向(前後方向)に互いにずれた状態で配置されていればよい。
【0047】
例えば、
図5(c)に示す変形例のように、複数のベルト穴21aが、搬送方向において連続する3つのベルト穴21aごとに、それぞれのベルト穴21aの搬送方向と直交する方向(前後方向)における位置が異なるように配置されていてもよい。
【0048】
図5(c)において、ベルト穴21a6は、隣接するベルト穴21a5と一列に並ばないように、搬送方向と直交する方向(後方向)にずれた状態で配置されている。また、ベルト穴21a7は、隣接するベルト穴21a6と一列に並ばないように、搬送方向と直交する方向(後方向)にずれた状態で配置されている。また、ベルト穴21a5~21a7の右側に隣接して連続する3つのベルト穴21a(図示せず)の前後方向における位置は、左側のベルト穴21aからそれぞれベルト穴21a5,21a6,21a7と同じ位置になっている。このようにして、複数のベルト穴21aが、搬送方向において連続する3つのベルト穴21aごとに、それぞれのベルト穴21aの前後方向における位置が異なるように配置されている。
【0049】
このように配置された場合においても、吸着力が弱い領域A101が搬送方向(左右方向)に一直線に形成されることがなく、搬送ベルト21の厚みの増加によらずに、搬送方向と直交する方向(前後方向)の搬送ベルト21の剛性を高め、搬送ベルト21の折れを発生しにくくすることができる。また、前後方向において同じ位置に配置されるベルト穴21aをより少なくすることができるので、搬送ベルト21の折れをより発生しにくくすることができる。
【0050】
なお、
図5(c)には、搬送方向において連続する3つのベルト穴21aごとにそれぞれのベルト穴21aの前後方向における位置が異なるように配置されている構成を示した。しかし、これに限らず、搬送方向において連続する3つ以上の所定数のベルト穴21aごとに、それぞれのベルト穴21aの前後方向における位置が異なるように配置されているものとすればよい。
【0051】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0052】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0053】
(付記1)
区画された吸引部と、
複数のベルト穴を有し、シートの搬送方向と直交する一方向に寄せられた状態で前記吸引部上を前記搬送方向に駆動されてシートを搬送する搬送ベルトと、を有する搬送装置において、
前記複数のベルト穴が、前記搬送方向に対して一列に並ばないように、隣り合う前記ベルト穴が前記搬送方向と直交する方向に互いにずれた状態で配置されている
ことを特徴とする搬送装置。
【0054】
これにより、搬送装置において搬送ベルトの搬送方向と直交する方向のベルト穴間距離を長くすることができるので、搬送ベルトの厚みの増加によらずに、搬送方向と直交する方向の搬送ベルトの剛性を高めることができる。このため、搬送ベルトの厚みの増加を抑えつつ、搬送ベルトの折れを発生しにくくすることができる。
【0055】
(付記2)
前記複数のベルト穴が、前記搬送方向において隣り合うベルト穴が前記搬送方向と直交する方向に交互にずれるように配置されている
ことを特徴とする付記1に記載の搬送装置。
【0056】
これにより、搬送方向に対して一列に並ばないようなベルト穴の配置を実現して、搬送ベルトの折れを発生しにくくすることができる。
【0057】
(付記3)
前記複数のベルト穴が、前記搬送方向において連続する3つ以上の所定数のベルト穴ごとに、それぞれのベルト穴の前記搬送方向と直交する方向における位置が異なるように配置されている
ことを特徴とする付記1に記載の搬送装置。
【0058】
これにより、搬送方向と直交する方向において同じ位置に配置されるベルト穴をより少なくすることができるので、搬送ベルトの折れをより発生しにくくすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 インクジェット印刷装置
2 印刷部
3 搬送部(搬送装置)
12 インクジェットヘッド
21 搬送ベルト
21a ベルト穴
21b 搬送面
26 プラテン
27 プラテンプレート
28 吸着機構
31 吸引部
32 凹部
33 吸引穴