(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013285
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】シールド受け部材およびシールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/58 20060101AFI20240125BHJP
H01R 13/6593 20110101ALI20240125BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H01R13/58
H01R13/6593
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115241
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 龍
(72)【発明者】
【氏名】松田 英一
【テーマコード(参考)】
5E021
5E085
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC02
5E021FC40
5E021GB20
5E021LA09
5E021LA15
5E021LA21
5E085BB02
5E085BB12
5E085CC01
5E085DD14
5E085EE07
5E085FF01
5E085GG02
5E085GG16
5E085JJ35
(57)【要約】
【課題】電線保持力の向上を図ることができるシールド受け部材およびシールドコネクタを提供する。
【解決手段】シールド受け部材10は、周方向に延び、前記周方向の両端部を対向させる本体部11を備える。本体部11の周方向の両端部のうち、一方の端部には周方向に凹む凹部12が形成され、他方の端部には周方向に突出して凹部12の内側に配置される凸部13が形成されている。本体部11は、外周面側から内周面側に屈曲する第1係止部23および第2係止部24を有し、第1係止部23および第2係止部24は、それぞれ一方端23A,24Aから他方端23B,24Bにかけて周方向に延び、周方向と交差する軸方向に並んで配置される。第1係止部23の他方端23Bは、凸部13の先端側に位置し、第2係止部24の一方端24Aは、第1係止部23の一方端23Aより凹部12の開口端15寄りに位置している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に延び、前記周方向の両端部を対向させる板状の本体部を備え、前記本体部は、電線のシールド部に接する外周面と、前記電線の外被に接する内周面と、を有し、前記本体部の前記周方向の両端部のうち、一方の端部には前記周方向に凹む凹部が形成され、他方の端部には前記周方向に突出して前記凹部の内側に配置される凸部が形成され、前記本体部は、前記外周面側から前記内周面側に屈曲する第1係止部および第2係止部を有し、前記第1係止部および前記第2係止部は、それぞれ前記一方の端部側である一方端から前記他方の端部側である他方端にかけて前記周方向に延び、前記周方向と交差する軸方向に並んで配置され、前記第1係止部の一方端は、前記凹部の底側に位置し、前記第1係止部の他方端は、前記凸部の先端側に位置しており、前記第2係止部の一方端は、前記第1係止部の一方端より前記凹部の開口端寄りに位置し、前記第2係止部の他方端は、前記第1係止部の他方端より前記凸部の基端寄りに位置している、シールド受け部材。
【請求項2】
前記第2係止部は、前記軸方向に関して前記第1係止部の両側に配置されている、請求項1に記載のシールド受け部材。
【請求項3】
前記第2係止部は、前記内周面側に、前記軸方向に沿った平坦面を有し、前記第1係止部は、前記内周面側に、先鋭状または湾曲状の突面を有している、請求項2に記載のシールド受け部材。
【請求項4】
前記第1係止部の前記軸方向の幅寸法は、前記第2係止部の前記軸方向の幅寸法より小さい、請求項3に記載のシールド受け部材。
【請求項5】
前記凹部は、前記本体部の前記一方の端部における前記軸方向の中央部に前記底を有し、前記本体部の前記一方の端部における前記軸方向の両端部に前記開口端を有し、前記底と前記開口端との間を凹斜面でつなぐ形状であり、
前記凸部は、前記本体部の前記他方の端部における前記軸方向の中央部に前記先端を有し、前記本体部の前記他方の端部における前記軸方向の両端部に前記基端を有し、前記先端と前記基端との間を凸斜面でつなぐ形状であり、
前記第2係止部の一方端は、前記軸方向から見て前記凹斜面と重なる位置に配置され、前記第2係止部の他方端は、前記軸方向から見て前記凸斜面と重なる位置に配置されている、請求項2に記載のシールド受け部材。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシールド受け部材と、
前記電線の芯線に接続される内導体端子と、
前記内導体端子を収容する誘電体と、
前記誘電体の外周側に配置される外導体端子と、を備え、
前記外導体端子は、前記シールド受け部材との間に前記シールド部を挟んで圧着する圧着部を有し、
前記第1係止部および前記第2係止部は、前記圧着部によって覆われている、シールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールド受け部材およびシールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたコネクタは、シールド電線のシールド部(特許文献1ではシールド線と称される)と接するシールド受け部材(特許文献1では結線部と称される)を備えている。シールド受け部材は、圧着部材との間にシールド部を挟み込み、圧着部材の固着力を受け止める。このシールド受け部材は、筒状をなし、外周面に凹部を有している。シールド部は、圧着部材の圧着によって凹部に入り込む。なお、この種のシールド受け部材は、特許文献2-6にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-66149号公報
【特許文献2】特開2008-282556号公報
【特許文献3】特開2010-182632号公報
【特許文献4】特開2014-137941号公報
【特許文献5】特開2014-154530号公報
【特許文献6】特開2020-140788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、仮に、シールド受け部材が全周に亘って連続せず、周方向の両端部が対向するように曲げ形成される場合、周方向の両端部間で、凹部が周方向に大きく途切れてしまう懸念がある。こうして凹部が周方向に大きく途切れると、凹部にシールド部が入り込むことによって期待された電線保持力の向上を図ることができないおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、電線保持力の向上を図ることができるシールド受け部材およびシールドコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシールド受け部材は、周方向に延び、前記周方向の両端部を対向させる板状の本体部を備え、前記本体部は、電線のシールド部に接する外周面と、前記電線の外被に接する内周面と、を有し、前記本体部の前記周方向の両端部のうち、一方の端部には前記周方向に凹む凹部が形成され、他方の端部には前記周方向に突出して前記凹部の内側に配置される凸部が形成され、前記本体部は、前記外周面側から前記内周面側に屈曲する第1係止部および第2係止部を有し、前記第1係止部および前記第2係止部は、それぞれ前記一方の端部側である一方端から前記他方の端部側である他方端にかけて前記周方向に延び、前記周方向と交差する軸方向に並んで配置され、前記第1係止部の一方端は、前記凹部の底側に位置し、前記第1係止部の他方端は、前記凸部の先端側に位置しており、前記第2係止部の一方端は、前記第1係止部の一方端より前記凹部の開口端寄りに位置し、前記第2係止部の他方端は、前記第1係止部の他方端より前記凸部の基端寄りに位置している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電線保持力の向上を図ることができるシールド受け部材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1のシールドコネクタの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるシールド受け部材とシールド部との接触部分を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図4は、シールド受け部材が外被の外周側に配置され、シールド部の先端部がシールド受け部材の外周側に折り返される前の状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、シールド受け部材の周方向の両端部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のシールド受け部材は、
(1)周方向に延び、前記周方向の両端部を対向させる板状の本体部を備え、前記本体部は、電線のシールド部に接する外周面と、前記電線の外被に接する内周面と、を有し、前記本体部の前記周方向の両端部のうち、一方の端部には前記周方向に凹む凹部が形成され、他方の端部には前記周方向に突出して前記凹部の内側に配置される凸部が形成され、前記本体部は、前記外周面側から前記内周面側に屈曲する第1係止部および第2係止部を有し、前記第1係止部および前記第2係止部は、それぞれ前記一方の端部側である一方端から前記他方の端部側である他方端にかけて前記周方向に延び、前記周方向と交差する軸方向に並んで配置され、前記第1係止部の一方端は、前記凹部の底側に位置し、前記第1係止部の他方端は、前記凸部の先端側に位置しており、前記第2係止部の一方端は、前記第1係止部の一方端より前記凹部の開口端寄りに位置し、前記第2係止部の他方端は、前記第1係止部の他方端より前記凸部の基端寄りに位置している、シールド受け部材である。
【0010】
上記構成によれば、電線のシールド部が第1係止部および第2係止部にそれぞれ入り込むことができる。また、第1係止部および第2係止部がそれぞれ電線の外被に食い込むことができる。これにより、シールド受け部材は電線を保持することができる。
さらに、上記構成によれば、本体部の周方向の両端部間において、凹部の内側に凸部が配置されたときに、軸方向から見て、第1係止部の他方端と第2係止部の一方端との間を周方向に大きく途切れることなく断続または連続させることができる。したがって、上記構成は、本体部の軸方向の両端部間における電線保持力の断絶を小さくまたは無くすことができ、電線保持力の向上を図ることができる。
【0011】
(2)前記第2係止部は、前記軸方向に関して前記第1係止部の両側に配置されていることが好ましい。
上記構成によれば、第1係止部と各第2係止部とが電線を強固且つ安定に保持することができる。
【0012】
(3)前記第2係止部は、前記内周面側に、前記軸方向に沿った平坦面を有し、前記第1係止部は、前記内周面側に、先鋭状または湾曲状の突面を有していると良い。
上記構成によれば、第2係止部にシールド部が入り込み易くなるのに加え、第2係止部が軸方向に関して第1係止部の両側に配置されていることによって、シールド部が第2係止部に安定して保持される。また、第1係止部の突面が外被に強固に食い込むことができるので、シールド受け部材に対する外被(電線)の位置ずれが規制される。
【0013】
(4)前記第1係止部の前記軸方向の幅寸法は、前記第2係止部の前記軸方向の幅寸法より小さいと良い。
上記構成によれば、本体部が軸方向に小型になっても、本体部の軸方向の幅内に、第1係止部と第2係止部との間の離間スペースを十分に確保することができ、スペース効率に優れる。
【0014】
(5)前記凹部は、前記本体部の前記一方の端部における前記軸方向の中央部に前記底を有し、前記本体部の前記一方の端部における前記軸方向の両端部に前記開口端を有し、前記底と前記開口端との間を凹斜面でつなぐ形状であり、前記凸部は、前記本体部の前記他方の端部における前記軸方向の中央部に前記先端を有し、前記本体部の前記他方の端部における前記軸方向の両端部に前記基端を有し、前記先端と前記基端との間を凸斜面でつなぐ形状であり、前記第2係止部の一方端は、前記軸方向から見て前記凹斜面と重なる位置に配置され、前記第2係止部の他方端は、前記軸方向から見て前記凸斜面と重なる位置に配置されていると良い。
上記構成によれば、本体部の軸方向の幅内に、第1係止部と各第2係止部とがスペース効率良く配置されるため、本体部の軸方向の小型化に寄与することができる。
【0015】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載のシールド受け部材と、前記電線の芯線に接続される内導体端子と、前記内導体端子を収容する誘電体と、前記誘電体の外周側に配置される外導体端子と、を備え、前記外導体端子は、前記シールド受け部材との間に前記シールド部を挟んで圧着する圧着部を有し、前記第1係止部および前記第2係止部は、前記圧着部によって覆われている、シールドコネクタであると良い。
【0016】
上記構成によれば、圧着部の固着力を受けて、シールド部が第1係止部および第2係止部にそれぞれ入り込むとともに、第1係止部および第2係止部が外被に食い込むことができる。よって、本体部が軸方向に小型になっても、電線保持力の向上を図ることができ、ひいては外導体端子の軸方向の小型化に寄与することができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態1>
本開示の実施形態1のシールド受け部材10は、電線90のシールド部92を受けて支持する筒状の部材であって、慣用的に「スリーブ」と称される部材である。シールド受け部材10は、シールドコネクタ60の一部を構成している。なお、以下の説明において、前後方向については、
図5を除く各図の左側を前側とする。前後方向は、電線90の長さ方向に相当し、軸方向と称することもある。上下方向は、
図1-
図4の上下方向を基準とする。この上下方向は、車両等へのシールドコネクタ60の搭載状態における鉛直方向とは必ずしも一致しない。周方向は、軸方向と交差(詳細には直交)する方向であって、特に断りのない限り、シールド受け部材10の周方向のことを言う。図において、符号「X」は、前後方向(軸方向)を示し、符号「Y」は、周方向を示す。
【0019】
(電線)
電線90は、シールド電線であって、
図1に示すように、複数の導線91と、各導線91を一括して包囲するシールド部92と、シールド部92の外周を覆う絶縁性の外被93と、を備えている。各導線91とシールド部92との間には、絶縁部材94が配置されている。本実施形態1の場合、2本の導線91が互いに撚り合わされてツイストペア線を構成している。各導線91は、芯線95を絶縁被覆96で覆った被覆電線である。
【0020】
各導線91の前端側の部分は、シールド部92、外被93および絶縁部材94で覆われずに露出している。各導線91の前端部においては、絶縁被覆96が剥ぎ取られ、芯線95が露出している。
【0021】
本実施形態1の場合、シールド部92は、導電性の素線を筒状に編み込んだ編組線である。シールド部92の前端側の部分は、外被93の外周側に折り返されたシールド先端部97になっている。
図2に示すように、シールド先端部97と外被93との間には、シールド受け部材10が介在するようになっている。
【0022】
(シールドコネクタ)
シールドコネクタ60は、
図1に示すように、シールド受け部材10と、内導体端子50と、誘電体40と、外導体端子30と、を備えている。シールド受け部材10の構造は、後に詳述する。
【0023】
内導体端子50は、導電金属製であって、2本の導線91にそれぞれ対応して一対設けられている。内導体端子50は、導線91の芯線95に電気的に接続され、且つ導線91の絶縁被覆96に機械的に接続される。また、内導体端子50は、図示しない相手内導体端子に電気的に接続される角筒状の箱部51を有している。
【0024】
誘電体40は、合成樹脂製であって、着脱可能な第1誘電体41と第2誘電体42とにより構成されている。第1誘電体41は、第2誘電体42の上側に配置され、左右両側にそれぞれ内導体端子50を収容する図示しないキャビティを有している。第2誘電体42は、下方に開放された各キャビティを閉塞する蓋状の部材である。誘電体40は、内導体端子50と外導体端子30とを絶縁状態に維持する役割を有している。
【0025】
外導体端子30は、導電金属製であって、第1外導体端子31と、第1外導体端子31の下方に配置される第2外導体端子32と、により構成されている。第2外導体端子32は、誘電体40の外周を包囲する包囲部33と、包囲部33の下壁後端から後方に延びる帯状の延出部34と、を有している。包囲部33は、図示しない相手シールドコネクタの相手外導体端子に電気的に接続される。
図3に示すように、延出部34は、シールド先端部97の外周側に配置される。
【0026】
第1外導体端子31は、
図2に示すように、第2外導体端子32の後部に取り付けられる取付部35と、取付部35の後方に連なる圧着部36と、を有している。圧着部36は、取付部35から連続して延びる基部37と、基部37の左右両側からそれぞれ突出する複数のバレル片38と、を有している。
図3に示すように、各バレル片38は、基部37の左右両端のそれぞれに、前後方向に交互に3つ並んで配置されている。圧着部36は、圧着工程で円筒状に曲げられる。各バレル片38は、圧着工程でシールド先端部97および延出部34のそれぞれの外周面に巻き付けられる。
【0027】
図1に示すように、圧着部36の後端には、複数の爪部39が周方向に並んで形成されている。
図2に示すように、各爪部39は、基部37の後端から径方向内側に屈曲する形状であって、シールド受け部材10に後方から対向して配置される。
【0028】
(シールド受け部材)
シールド受け部材10は、導電金属製であって、円筒状に曲げ加工された本体部11(
図4を参照)を有している。本体部11は、帯板状をなし、前後方向に一定の幅寸法を有している。本体部11の周方向(展開状態では左右長さ方向)の両端部のうち、一方の端部には、径方向から見て三角凹状をなす凹部12が形成され、他方の端部には、径方向から見て三角凸状をなす凸部13が形成されている。
【0029】
本体部11が円筒状に曲げ加工された状態では、
図4に示すように、周方向の両端部が互いに対向し、凹部12の内側に凸部13が配置される。
図3に示すように、本体部11の内周面は、電線90の外被93に沿って配置され、外被93に接することが可能とされる。本体部11の外周面は、電線90のシールド先端部97に沿って配置され、シールド先端部97に接することが可能とされる。
【0030】
図5に示すように、凹部12は、本体部11の一方の端部における前後方向(軸方向であって、本体部11の幅方向)の中央部に底14を有し、本体部11の一方の端部における前後方向の両端部にそれぞれ開口端15を有している。そして、凹部12は、それぞれの開口端15から底14にかけてテーパ状に延びる一対の凹斜面16を有している。
【0031】
凸部13は、本体部11の他方の端部における前後方向の中央部に先端17を有し、本体部11の他方の端部における前後方向の両端部にそれぞれ基端18を有している。そして、凸部13は、それぞれの基端18から先端17にかけてテーパ状に延びる一対の凸斜面19を有している。各凸斜面19の開き角度と各凹斜面16の開き角度とは、同一となるように設定されている。
【0032】
図4に示すように、本体部11は、凸部13の先端17側の外周面に、先端17に向けて肉厚を減ずる方向に傾斜した先端叩き面21を有している。また、本体部11は、凹部12のそれぞれの開口端15側の外周面に、開口端15に向けて肉厚を減ずる方向に傾斜した開口端叩き面22を有している。本体部11が開口端叩き面22および先端叩き面21を有することにより、本体部11の一方の端部および他方の端部の弾性反力が抑えられ、本体部11の筒形状を維持し易くなる。
【0033】
本体部11は、前後方向に並んで配置される第1係止部23および第2係止部24を有している。第2係止部24は、本体部11において、第1係止部23の前後両側に対をなして配置されている。
第1係止部23は、周方向に延び、且つ、
図3に示すように、本体部11の外周面側から内周面側(径方向内側)に屈曲するセレーション形状(リブ形状)をなしている。
図5に示すように、第1係止部23は、本体部11の周方向の一方の端部側における凹部12の底14と近接する位置に、閉塞端としての一方端23Aを有している。
図4に示すように、第1係止部23の一方端23Aは、本体部11の外周面において、先端叩き面21と周方向に隣接して配置されている。
第1係止部23は、本体部11の周方向の他方の端部側における凸部13の先端17と近接する位置に、閉塞端としての他方端23Bを有している。
図5に示すように、第1係止部23の他方端23Bは、本体部11の内周面側において、凸部13の先端17と対応するように径方向から見て三角凸状をなしている。第1係止部23は、一方端23Aから他方端23Bにかけて周方向に切れ目なく連続して延びている。
図3に示すように、第1係止部23は、三角形状(V字形状)の断面形状を呈し、本体部11の内周面に、径方向内側に先鋭に突出する突面25を有している。
【0034】
第2係止部24は、第1係止部23と同様、周方向に延び、且つ、
図3に示すように、本体部11の外周面側から内周面側に屈曲するセレーション形状(リブ形状)をなしている。
図5に示すように、第2係止部24は、第1係止部23の一方端23Aより本体部11の一方の端部側における凹部12の開口端15寄りの位置に、閉塞端としての一方端24Aを有している。
図4に示すように、第2係止部24の一方端24Aは、軸方向から見て凹斜面16と重なる位置に配置されている。
図5に示すように、第2係止部24は、第1係止部23の他方端23Bより本体部11の他方の端部側における凸部13の基端18寄りの位置に、閉塞端としての他方端24Bを有している。
図4に示すように、第2係止部24の他方端24Bは、軸方向から見て凸斜面19と重なる位置に配置されている。
図5に示すように、第2係止部24の一方端24Aおよび他方端24Bは、本体部11の内周面において、それぞれ凹斜面16および凸斜面19と平行となるように前後方向に対して傾斜している。第2係止部24は、一方端24Aから他方端24Bにかけて周方向に切れ目なく連続して延びている。
図3に示すように、第2係止部24は、台形状(角U字形状)の断面形状を呈し、本体部11の内周面に、前後方向に沿って水平な平坦面26を有している。
【0035】
図5に示すように、第1係止部23の前後幅は、第2係止部24の前後幅よりも小さくなるように設定されている。本体部11の前後幅内において、第1係止部23と第2係止部24との間および本体部11の前後端部と第2係止部24との間には、第2係止部24の前後幅を超える均一間隔または均一間隔に近い間隔の離間スペース27が形成されている。
【0036】
(シールド受け部材およびシールドコネクタの作用)
シールドコネクタ60の組み付けに際し、シールド受け部材10の本体部11は、
図4に示すように、外被93の外周側に配置される。本体部11は、筒状に曲げ加工され、凹部12の内側に凸部13が嵌合するように配置される。筒状の本体部11において、凹部12の底14と凸部13の先端17とが互いに突き合わされるように対向し、凹斜面16と凸斜面19とが軸方向と交差する斜め方向に沿って接触するように配置される。
図6に示すように、第1係止部23の一方端23Aと他方端23Bとの間は、周方向に距離L1を置いて配置される。また、第2係止部24の一方端24Aと他方端24Bとの間は、周方向に距離L2を置いて配置される。他方、第1係止部23の他方端23Bと第2係止部24の一方端24Aとは、軸方向から見たときに周方向に関して上記距離L1,L2よりも十分小さい距離L3を置いて配置される。
【0037】
図4に示す状態から、シールド部92の前端側の部分が折り返され、本体部11の外周面上にシールド先端部97が配置される。さらに、第1外導体端子31の圧着部36がシールド先端部97の外周面に圧着される。
図3に示すように、シールドコネクタ60の下端側では、第2外導体端子32の延出部34がシールド先端部97の外周面上に配置され、圧着部36の各バレル片38が延出部34の外周面に圧着される。
【0038】
図3に示すように、第1係止部23および各第2係止部24のそれぞれにおける本体部11の外周面に開口する凹み内には、圧着部36に圧着されたシールド先端部97が入り込む。特に、各第2係止部24は、平坦面26の前後幅と対応して、第1係止部23より開口幅が大きいため、シールド先端部97の進入量が多くなる。このため、シールド先端部97に後方への引っ張り力等が作用しても、圧着部36とシールド受け部材10との間からのシールド先端部97の抜け出しが規制される。
【0039】
また、第1係止部23の突面25および各第2係止部24の平坦面26は、電線90の外被93に食い込むように配置される。特に、本体部11の前後方向の中央部に配置された第1係止部23の突面25は、その突出形状によって外被93に強固に食い込むことができる。このため、外被93に後方への引っ張り力等が作用しても、本体部11の内側からの外被93(電線90)の抜け出しが規制される。
【0040】
前述したように、本体部11が筒状に曲げ加工され、凹部12の内側に凸部13が配置された状態で、軸方向から見たときに、第1係止部23の他方端23Bと第2係止部24の一方端24Aとの間の周方向の距離L3は、第1係止部23の周方向両端部間の距離L1および第2係止部24の周方向の両端部間の距離L2のそれぞれよりも十分に小さくされている(
図6を参照)。このため、第1係止部23および各第2係止部24によるセレーション形状は、全体として周方向に断続的ではあるものの、見掛け上は大きく途切れることなく連続することができる。
【0041】
仮に、凹部12と凹斜面16と凸部13の凸斜面19との間に隙間が生じていても、上記セレーション形状が周方向にほぼ連続して形成されていることにより、シールドコネクタ60からの電線90の抜け出しを信頼性良く規制でき、電線保持力の向上を図ることができる。
【0042】
また、本実施形態1によれば、第2係止部24が第1係止部23の前後両側に対をなして配置されているため、電線90を強固且つ安定に保持することができる。
【0043】
また、各第2係止部24が内周面に前後方向に沿った平坦面26を有しているので、シールド先端部97が第2係止部24に安定して保持される。さらに、第1係止部23が内周面に先鋭状の突面25を有し、この突面25が外被93に食い込むことができるので、シールド受け部材10に対する外被93(電線90)の位置ずれが信頼性良く規制される。
【0044】
また、第1係止部23の前後幅が第2係止部24の前後幅よりも小さいため、本体部11の前後幅が小さくなっても、本体部11の前後幅内に十分な離間スペース27を確保することができる。
【0045】
さらに、第1係止部23の他方端23Bが軸方向から見て凸斜面19と重なる位置に配置され、第2係止部24の一方端24Aが軸方向から見て凹斜面16と重なる位置に配置されるため、本体部11の前後幅内に、第1係止部23と各第2係止部24とがスペース効率良く配置され、本体部11の小型化に寄与することができる。本体部11の小型化が実現できれば、第1外導体端子31の小型化も可能であるので、材料コストを低減することができ、汎用性に優れる。
【0046】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1の場合、第1係止部が本体部の前後中央部に1つ配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、第1係止部が本体部の前後中央部に複数配置されていても良い。
上記実施形態1の場合、第2係止部が本体部において第1係止部の前後両側に一対配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、第2係止部が本体部において第1係止部の前後両側に複数対配置されていても良い。
上記実施形態1の場合、凸部が径方向から見て三角凸状に形成され、凹部が径方向から見て三角凹状に形成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、凸部が径方向から見て四角凸状または湾曲凸状に形成され、凹部が径方向から見て四角凹状または湾曲凹状に形成されていても良い。
上記実施形態1の場合、凸部の突面が先鋭状に形成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、凸部の突面が湾曲状に形成されていても良い。
上記実施形態1の場合、凹部が本体部の一方の端部に1つ配置され、凸部が本体部の他方の端部に1つ配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、凹部が本体部の一方の端部に複数並んで配置され、凸部が本体部の他方の端部に複数並んで配置されていても良い。
上記実施形態1の場合、第1係止部の他方端と第2係止部の一方端との間に周方向の距離L3が形成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、上記距離L3が形成されず、第1係止部の他方端側の部分と第2係止部の一方端側の部分とが軸方向から見て重なる位置に配置されていても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…シールド受け部材
11…本体部
12…凹部
13…凸部
14…底
15…開口端
16…凹斜面
17…先端
18…基端
19…凸斜面
21…先端叩き面
22…開口端叩き面
23…第1係止部
23A…第1係止部の一方端
23B…第1係止部の他方端
24…第2係止部
24A…第2係止部の一方端
24B…第2係止部の他方端
25…突面
26…平坦面
27…離間スペース
30…外導体端子
31…第1外導体端子
32…第2外導体端子
33…包囲部
34…延出部
35…取付部
36…圧着部
37…基部
38…バレル片
39…爪部
40…誘電体
41…第1誘電体
42…第2誘電体
50…内導体端子
51…箱部
60…シールドコネクタ
90…電線
91…導線
92…シールド部
93…外被
94…絶縁部材
95…芯線
96…絶縁被覆
97…シールド先端部
L1…第1係止部の一方端と他方端との間の周方向の距離
L2…第2係止部の一方端と他方端との間の周方向の距離
L3…第1係止部の他方端と第2係止部の一方端との間の周方向の距離