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特開2024-132857直接空気回収システムから得られた二酸化炭素の地球温暖化係数の低い自動車用及び産業用の冷媒としての使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132857
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】直接空気回収システムから得られた二酸化炭素の地球温暖化係数の低い自動車用及び産業用の冷媒としての使用
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20240920BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20240920BHJP
   F25J 1/00 20060101ALI20240920BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240920BHJP
   F25B 45/00 20060101ALI20240920BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B01D53/14 210
B01D53/18
F25J1/00 A
C01B32/50
F25B45/00 B
F25B1/00 396D
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023209994
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】18/121,464
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523470278
【氏名又は名称】エアマイン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レッグ,フリン コリガン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スケルプビール,バート ルード
(72)【発明者】
【氏名】ファム,ゴク ザ
(72)【発明者】
【氏名】ディエク,レ-シュアン
(72)【発明者】
【氏名】シフカ,マーク パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ムコーパデャイ,サディプ
【テーマコード(参考)】
4D020
4D047
4G146
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BA01
4D020BA03
4D020BA08
4D020BA09
4D020BA11
4D020BA30
4D020BB03
4D020BC01
4D020CB08
4D020CD10
4D020DA02
4D020DB07
4D020DB20
4D047AA05
4D047BA03
4G146JA02
4G146JB10
4G146JC08
4G146JC29
4G146JC36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】直接空気回収システムから得られた二酸化炭素の地球温暖化係数の低い自動車用及び産業用の冷媒としての使用を提供する。
【解決手段】装置が、回収された二酸化炭素23の流入口を備える。回収された二酸化炭素23の流入口は、直接空気回収システム10から得られた、回収された二酸化炭素23を受け入れるように結合される。本装置は、回収された二酸化炭素23を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、自動車用、商用、及び産業用の用途、又は地球温暖化係数の低い冷媒が関与する他の動作において冷却の機能を提供する冷却装置又はヒートポンプ装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
直接空気回収システムから得られた、回収された二酸化炭素を受け入れるように結合された回収された二酸化炭素の流入口であって、前記直接空気回収システムが気液接触から二酸化炭素を回収し、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供する、回収された二酸化炭素の流入口
を備える、装置。
【請求項2】
前記装置が、移動式及び産業用の冷却装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
装置であって、
直接空気回収システムから得られた、回収された二酸化炭素を受け入れるように結合された回収された二酸化炭素の流入口であって、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供し、前記装置がヒートポンプ装置である、回収された二酸化炭素の流入口
を備える、装置。
【請求項4】
前記装置の動作及び安全性を監視するセンサ及び読出デバイス
を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記回収された二酸化炭素の純度が91%~100%である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記直接空気回収システムのための塩基性媒体が、
相間移動触媒又はその混合物であって、前記相間移動触媒が、ラジカルカチオン及びラジカルアニオンを有し、前記ラジカルカチオンが、第四級アンモニウムカチオン(NR )を含み、前記ラジカルアニオンが、水酸化物アニオン(OH)、フッ化物アニオン(F)、ヨウ化物アニオン(I)、炭酸アニオン(CO 2-)又は重炭酸アニオン(HCO )のうちの少なくとも1種を含む、相間移動触媒又はその混合物と、
遊離アミノ酸若しくはアミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩のいずれか又はその混合物と、
の共通構造を有する塩基又はその混合物であって、Bは、カリウム、アンモニウム、ナトリウム、カルシウム、バナジウム、チタン、リチウム、ホウ素、又は第四級アンモニウムのカチオンであり、Yは、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、及びチタン酸塩のアニオンである、Bの共通構造を有する塩基又はその混合物と、
任意の第一級、第二級、及び第四級アミンの遊離形態若しくは塩又はその混合物と、
空気から二酸化炭素を71%~100%の純度で回収する、水、又は水/グリセロール、水/グリコール、水/ポリオール、水/アルコールの混合物を含む溶媒系と
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
装置であって、
直接空気回収システムから得られた、回収された二酸化炭素を受け入れるように結合された回収された二酸化炭素の流入口であって、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供し、二酸化炭素が複数の段において圧縮されて、移動式及び商用の地球温暖化係数の低い冷媒の用途全体を通して可変温度要件に対応し、前記回収された二酸化炭素の純度が97%~100%である、回収された二酸化炭素の流入口
を備える、装置。
【請求項8】
装置であって、
直接空気回収システムから得られた、回収された二酸化炭素を受け入れるように結合された回収された二酸化炭素の流入口であって、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供し、追加のマルチエジェクタシステム設計が、冷却剤流を制御し、効率を最適化し、圧縮機負荷を緩和して、異常気象条件において動作できるようにするために採用される、回収された二酸化炭素の流入口
を備える、装置。
【請求項9】
装置であって、
直接空気回収システムから得られた、回収された二酸化炭素を受け入れるように結合された回収された二酸化炭素の流入口であって、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供し、前記直接空気回収システムが、前記回収された二酸化炭素を、前記装置によって地球温暖化係数の低い冷媒として使用可能な超臨界状態又は亜臨界状態に圧縮する、回収された二酸化炭素の流入口
を備える、装置。
【請求項10】
直接空気回収システムから得られた、回収されて圧縮された二酸化炭素を装置に注入することであって、前記直接空気回収システムが気液接触を介して二酸化炭素を回収し、前記装置が、回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、加熱又は冷却を提供する、注入すること
を含む、方法。
【請求項11】
センサ又は読出デバイスを介して前記装置の動作及び安全性を監視すること
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
直接空気回収システムから得られた、回収されて圧縮された二酸化炭素を装置に注入することであって、前記装置が、回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、加熱又は冷却を提供し、前記装置が冷却装置であり、前記直接空気回収システムから得られた、前記回収された二酸化炭素が、超臨界二酸化炭素又は液体二酸化炭素に圧縮され、地球温暖化係数の低い冷媒として前記冷却装置に注入される、注入すること
を含む、方法。
【請求項13】
直接空気回収システムから得られた、回収されて圧縮された二酸化炭素を装置に注入することであって、前記装置が、回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、加熱又は冷却を提供し、前記装置がヒートポンプ装置であり、前記直接空気回収システムから得られた、前記回収された二酸化炭素が、地球温暖化係数の低い冷媒として前記ヒートポンプ装置に注入され、前記回収された二酸化炭素の純度が91%~100%である、注入すること
を含む、方法。
【請求項14】
直接空気回収システムから得られた、回収されて圧縮された二酸化炭素を装置に注入することであって、前記装置が、回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、加熱又は冷却を提供し、二酸化炭素が複数の段において圧縮されて、移動式及び商用の地球温暖化係数の低い冷媒の用途全体を通して可変温度要件に対応する、注入すること
を含む、方法。
【請求項15】
直接空気回収システムから得られた、回収されて圧縮された二酸化炭素を装置に注入することであって、前記装置が、回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、加熱又は冷却を提供し、追加のマルチエジェクタシステム設計が、冷却剤流を制御し、効率を最適化し、圧縮機負荷を緩和して、異常気象条件において動作できるようにするために採用される、注入すること
を含む、方法。
【請求項16】
直接空気回収システムから得られた、回収されて圧縮された二酸化炭素を装置に注入することであって、前記装置が、回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、加熱又は冷却を提供し、前記直接空気回収システムが、前記回収された二酸化炭素を、前記装置によって地球温暖化係数の低い冷媒として使用可能な超臨界状態又は亜臨界状態に圧縮する、注入すること
を含む、方法。
【請求項17】
直接空気回収システムから得られた、回収された二酸化炭素を受け入れるように結合された回収された二酸化炭素の流入口であって、前記直接空気回収システムが気液接触を通して二酸化炭素を回収する、回収された二酸化炭素の流入口と、
前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、加熱又は冷却を提供するための手段と
を備える、システム。
【請求項18】
前記手段が冷却装置である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
直接空気回収システムと、
二酸化炭素ガスを亜臨界及び超臨界の二酸化炭素流体に変える多段圧縮システムと、
直接空気回収による二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用する移動式又は定置式の冷却システムと
を備える、システム。
【請求項20】
結果として得られる、純度91~100%を有する地球温暖化係数の低い流体の二酸化炭素が、PC/MAC、コールドチェーン/食品小売/噴射冷凍機、ヒートポンプ、データセンタにおける用途に関係し、また遷移臨界ブースター、カスケードシステムの一部、又は二次冷却剤としての実装にも関係する、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2023年1月24日に出願された「Using Carbon Dioxide From A Direct Air Capture System As A Low Global Warming Car And Industrial Refrigerant」と題する米国非仮特許出願第18/101,068号の継続出願であり、米国特許法第120条に基づく利益を主張するものである。米国非仮特許出願第18/101,068号は、2022年12月29日に出願された「Efficient And Fully Automated Catalytic Direct Carbon Dioxide Capture From Air System」と題する米国非仮特許出願第18/091,315号の一部継続出願であり、米国特許法第120条に基づく利益を主張するものである。米国非仮特許出願第18/091,315号は、2022年9月20日に出願された「Fully Automated Direct Air Capture Carbon Dioxide Processing System」と題する米国非仮特許出願第17/948,492号の一部継続出願であり、米国特許法第120条に基づく利益を主張するものである。米国非仮特許出願第18/101,068号はまた、2022年9月20日に出願された「Fully Automated Direct Air Capture Carbon Dioxide Processing System」と題する米国非仮特許出願第17/948,492号の一部継続出願であり、米国特許法第120条に基づく利益を主張するものである。また、米国非仮特許出願第18/091,315号及び米国非仮特許出願第17/948,492号は、2022年1月2日に出願された「Fully Automated Direct Air Capture Carbon Dioxide Processing System」と題する米国仮特許出願第63/295,942号の米国特許法第119条に基づく利益を主張するものである。上記の米国非仮特許出願及び米国仮特許出願のそれぞれの主題は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
[0002] 本発明は、直接空気回収による二酸化炭素の、移動式又は定置式の冷却用途又はヒートポンプ用途における地球温暖化係数の低い流体としてのスケーラブルで大規模な産業用の適用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景情報
[0003] 地球温暖化係数の低い自動車用の冷媒であるHFO-1234yfすなわちCFCF=CHは、自動車産業における優れたドロップイン冷媒である。しかしながら、HFO-1234yf(CFCF=CH)のような分子の製造に関連するサプライチェーン全体では、話はまったく別になる。炭化水素から塩素化炭化水素に、そして次にフッ素化炭化水素に、そして最終的にHFO-1234yfのようなハイドロフルオロオレフィンに変化することに付随して、かなりのカーボンフットプリントがあり、多くのエネルギーが必要となる。更に、プロセスのあらゆる工程を取り巻く、毒性があり生命を脅かす作業環境が避けられない。結局、HFO-1234yfの地球温暖化効果が低いことは、その製造プロセスにおいて既に多くの二酸化炭素が大気中に放出されているため、供給時点ではほとんど期待できない。100年間の場合の分子の地球温暖化係数の定義は、100年間の場合の二酸化炭素の地球温暖化効果に対する特定の分子の地球温暖化効果の比率である。100年間の場合の二酸化炭素の地球温暖化係数が1であるため、冷媒としての二酸化炭素自体よりも地球温暖化係数を下げられる冷媒は存在しない。超臨界及び亜臨界の二酸化炭素は良好な冷却効率を示すが、二酸化炭素の調達は、現在使用されているHFO-1234yfと同じくらい劣悪にカーボンフットプリントを悪化させる可能性がある。そのため、本発明者らは、真の地球温暖化係数の低い自動車用及び産業用の冷媒として、本発明者らの直接空気回収による二酸化炭素を使用して、上記を改善することを目的としている。
【0004】
[0004] 化学製造プラント及び下流の精製プロセスでは、HS及び二酸化炭素を含む酸性ガスが、天然ガススウィートニングプロセスで使用されるようなアミン水溶液若しくはアミノアルコール又は金属炭酸塩を使用して、15~50wt%の濃度の排ガスの混合物から除去されることが非常に多い。アミン又は炭酸塩は、二酸化炭素ガスと反応して塩を形成し、形成された塩は、軽度に上昇させた温度で出発アミン又は炭酸塩と酸性ガスとに可逆的に分解することができる。しかしながら、5~50wt%の範囲にある任意の二酸化炭素濃度を有する排ガスにおいて機能するプロセスと同じプロセスが、二酸化炭素濃度が400~700ppmの範囲にしかないことが多い空気を原料として使用する直接空気回収では機能しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
[0005] 装置が、回収された二酸化炭素の流入口を備える。回収された二酸化炭素の流入口は、直接空気回収システムから得られた、回収された二酸化炭素を受け入れるように結合される。本装置は、回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、自動車用、商用、及び産業用の用途、又は冷媒が関与する他の動作において加熱又は冷却の機能を提供する。様々な実施形態において、本装置は冷却装置又はヒートポンプ装置である。
【0006】
[0006] 二酸化炭素冷媒は、直接空気回収システムから得られる場合、地球温暖化係数が低く、天然であり、毒性がなく、不燃性であり、且つ豊富である。更に、二酸化炭素冷媒は、熱伝達率が大きく、地球温暖化係数(GWP)は1である。二酸化炭素冷媒は、R22、R404a、R152、又は更にはR1234yfといった冷媒などの一般的な冷媒よりも、より持続可能で効率的な冷却剤の選択肢である。
【0007】
[0007] 直接空気回収システムは、第1段及び第2段において動作可能な連続流反応器を備える。第1段では、充填材及び気液分配器の存在下で、空気が塩基性溶液と反応して、二酸化炭素を有する塩基性溶液を生成し、また反応器から放出される排気を生成する。充填材は、空気と塩基性溶液との間の接触を最大化するように設計される。排気は、連続流反応器に受け入れられた空気よりも二酸化炭素が少ない、「清浄な空気」である。第2段では、二酸化炭素を有する塩基性溶液が加熱されて、触媒の存在下で二酸化炭素を生成し、また二酸化炭素のない塩基性溶液を生成する。塩基性溶液は第1段内に再循環され、それにより、連続的な炭素処理機能を提供する。二酸化炭素は、装置への注入のために更に処理され、地球温暖化係数の低い冷媒として使用可能である。
【0008】
[0008] 以下の詳細な説明において、更なる詳細並びに実施形態及び方法を説明する。上記の概要は、本発明を定義することを意図したものではない。本発明は特許請求の範囲によって定義される。
【0009】
図面の簡単な説明
[0009] 添付の図面では、本発明の実施形態が示されており、数字が同様の構成要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]炭素処理システムの図である。
図2】[0011]炭素処理システムの第1段(吸収段)の機能図である。
図3】[0012]炭素処理システムの第2段(脱離段)の機能図である。
図4】[0013]炭素処理システムの詳細な実施形態である。
図5】[0014]炭素処理システムの1つの実施形態による二酸化炭素を処理する方法のフローチャートである。
図6】[0015]炭素処理システムの実施形態によって生成された二酸化炭素を利用するように構成された冷却装置の一実施形態を示す。
図7】[0016]炭素処理システムの実施形態によって生成された二酸化炭素を利用するように構成された冷却装置の一実施形態を示す。
図8】[0017]炭素処理システムの実施形態によって生成された二酸化炭素を利用するように構成されたヒートポンプ装置の一実施形態を示す。
図9】[0018]炭素処理システムの実施形態によって生成された二酸化炭素を利用して、加熱及び冷却を提供する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
[0019] ここで、本発明のいくつかの実施形態について詳細に述べる。実施形態の例を添付の図面に示す。
【0012】
[0020] 図1は、炭素処理システム10の図である。炭素処理システム10は、エアムーバ27と、第1段11及び第2段19を有する多段反応器とを備える。第1段11は、分配器12と、充填材13と、捕集リザーバ15と、ポンプ17とを備える。第2段19は、リザーバ21と、補充システム22とを備える。システム10はまた、様々なセンサからの入力を受信し、バルブ及び他の制御機構に出力を提供して、第1段11及び第2段19の動作及び処理を制御するコントローラ26を備える。
【0013】
[0021] 1つの実施形態では、炭素処理システム10は、直接空気回収技法を採用する(そのため、本明細書では、「直接空気回収システム」とも呼ばれる)。例えば、炭素処理システム10は、エアムーバ27を使用して、空気14を処理のためにシステム10に提供する。エアムーバ27は、圧縮機、送風機、ファン、ターボファン、ポンプ、ダイヤフラムポンプ、エアコンタクタ、流下膜式蒸発器、又はアブソーバのうちの少なくとも1つを備える。多段反応器は、多段機能を提供する単一の容器又は2つ以上の容器を含む。様々な実施形態において、エアムーバ27は、空気をシステムに入力し、システムから排気などの空気を除去又は処理するために使用可能である。
【0014】
[0022] 多段直接空気回収反応器は塩基性媒体25を備える。塩基性媒体は、Qの溶解した塩基性混合物を含む水、アルコール類、グリコール類、及び他のポリオール類を含む。この一般化学式における記号Qは、第四級アンモニウムであり、Xは、水酸化物及び弱塩基M 2+CO 2-である。この一般化学式における記号Mは、K、Na、Li、NH、又はN(CH、N(エチルメチル)、N(ブチル)、若しくはこれらの混合物からなる群から選択される第四級アンモニウムである。
【0015】
[0023] 他の実施形態では、塩基性媒体25は触媒又は促進剤を含む。グリシン、プロリン、アルギニン、システイン、アスパラギン、グアニジンなどのアミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、又は第四級アンモニウム塩が促進剤として使用されて、塩基性媒体における二酸化炭素の吸収反応の速度を2倍、場合によっては3倍にする。これらの促進剤の重量濃度は0.1~5重量%で十分である。ただし、30~60%のこれらの水溶液自体を、炭酸塩を含まない塩基として使用する。
【0016】
[0024] 動作中、エアムーバ27は、800PPM未満の二酸化炭素を有する空気14を充填材13にわたって移動させる。ポンプ17は、塩基性媒体25を捕集リザーバ15から分配器12までポンプで送り、分配器12は、塩基性媒体25を充填材13上に均等に分配する。充填材13上の余分な塩基性媒体25は、再び捕集リザーバ15に流れる。このように、ポンプ17は、塩基性媒体25を捕集リザーバ15から分配器12まで、そして充填材13上に連続的に循環させる。
【0017】
[0025] 塩基性媒体25が充填材13上に分配されるため、空気流14が充填材13にわたって流れることによって、空気流14から二酸化炭素が除去される。その結果、二酸化炭素は塩基性媒体25内に回収される。捕集リザーバ15内の塩基性媒体25の二酸化炭素濃度は上昇し始め、排気空気18の二酸化炭素濃度は低下する。
【0018】
[0026] 1つの実施形態では、二酸化炭素検出器16が塩基性媒体25内の二酸化炭素濃度を検出する。二酸化炭素濃度が閾値レベルに到達すると、捕集リザーバ15内の塩基性媒体25は第2段19のリザーバ21に移動される。1つの実施形態では、次いで、追加の塩基性媒体が捕集リザーバ15に加えられる。
【0019】
[0027] 第2段19において、二酸化炭素を多く含む塩基性媒体20に熱24が加えられて、二酸化炭素23を抽出する。脱離プロセスを促進するために触媒が使用される。リザーバ21の出力は、二酸化炭素を含まない塩基性媒体25を再生する補充システム22を通って流れ、二酸化炭素を含まない塩基性媒体25は、再び捕集リザーバ15に流れる。二酸化炭素を含まない塩基性媒体25は、新たな空気を処理する際に再利用可能である。そして、抽出された二酸化炭素23は、第2段19から出力される。第1段11の吸収反応及び第2段19の脱離反応は可逆反応であり、その結果、塩基性媒体は空気と接触する前の形態に再生される。
【0020】
[0028] 炭素処理システム10は高度にスケーラブルであり、その消費される処理量は、多くの従来のカーボン処理技法で必要とされる処理量よりも少ない。
【0021】
[0029] 図2は、炭素処理システム10の第1段11(吸収段)の機能図である。動作中、空気14は塩基性媒体と接触し、塩基性媒体は二酸化炭素を抽出して、高濃度の二酸化炭素を有する塩基性媒体20を形成する。二酸化炭素のレベルが低下した排気空気18が排出される。高濃度の二酸化炭素を有する塩基性媒体20は、反応器の第2段19に移動される。
【0022】
[0030] 図3は、炭素処理システム10の第2段19(脱離段)の機能図である。動作中、高濃度の二酸化炭素を有する塩基性媒体20に熱24が加えられて、二酸化炭素23を抽出する。塩基性媒体は、二酸化炭素を含まない元の状態25に戻され、第1段11に戻される。
【0023】
[0031] 図4は、炭素処理システム10の詳細な実施形態である。図4は、炭素処理システム10の第1段の反応器11及び第2段の反応器19を示している。第1段の反応器11は、ファン27と、分配器12と、充填材13と、凝縮器402と、ミスト除去器404と、捕集リザーバ15と、ポンプ17とを備える。第2段の反応器19は、リザーバ21と、補充システム22とを備える。
【0024】
[0032] 様々な実施形態において、充填材13は、拡散限界をなくし、最大の反応接触時間をもたらすために、可能な限り多くの塩基性媒体の表面積を、可能な限り多くの空気と可能な限り長時間接触させるように設計されたフィルム充填材(film fill)を含む。フィルム充填材によって、塩基性媒体は薄く流れるシートを形成して、相互作用する空気流に対して可能な限り多くの塩基性媒体の表面積を曝露することができる。様々な市販のフィルム充填材製品が、炭素処理システム10の実施形態で使用するのに適する。
【0025】
[0033] 様々な実施形態において、塩基性媒体は、1つ以上の異なる構成で形成され、二酸化炭素の吸収を促進するための1種以上の触媒を含む。コントローラ26は、第1段11及び第2段19の様々な動作を制御するために使用される制御信号を出力するように動作する。コントローラ26はまた、第1段11及び第2段19の動作を監視するために使用される様々なセンサ(例えば、二酸化炭素センサ、温度センサなど)及び検出器からのセンサ入力を受信する。
【0026】
[0034] 動作中、ポンプ17は、捕集リザーバ15から二酸化炭素濃度の低い塩基性媒体25を引き出し、塩基性媒体25を分配器12に供給し、分配器12は、塩基性媒体25を充填材13上に均等に分配する。ファン27は、充填材13にわたって空気を移動させて、空気中の二酸化炭素が充填材13の上を流れる塩基性媒体25によって回収されるようにする。空気流が充填材13から離れると、空気流は、空気中に媒体があれば、これを凝縮して捕集リザーバ15に戻す凝縮器402を通過する。ミスト除去器404は、空気流に依然として存在し得る塩基性媒体のミストがあれば、これを除去する。排気空気18は、二酸化炭素が少ない又は無い状態で放出される。
【0027】
[0035] 塩基性媒体25の二酸化炭素濃度が閾値レベルを満たすと、二酸化炭素濃度の高い塩基性媒体20は第2段の反応器19のリザーバ21に移動される。二酸化炭素の吸収を促進するために、リザーバ21に触媒も添加される。リザーバ21に熱24を加えて、塩基性媒体の二酸化炭素濃度の低い部分25と二酸化炭素を多く含む塩基性媒体406とを抽出する。補充システム22は、塩基性媒体25から二酸化炭素410を分離し、塩基性媒体25は第1段の反応器11に戻される。補充システム22はまた、二酸化炭素濃度の低い塩基性媒体25に液体媒体を加えることにより、液体体積の損失を補う。次いで、塩基性媒体25から抽出された二酸化炭素410は、圧縮システム450において超臨界二酸化炭素又は液体二酸化炭素23に段階的に圧縮される。二酸化炭素23は、隔離システムに供給されたり、地球温暖化係数の低い冷媒として使用されたり、又は任意の適切な用途に使用するために出力されたりする。
【0028】
[0036] 図5は、炭素処理システムの1つの実施形態による二酸化炭素を処理する方法500のフローチャートである。方法500は、第1段(吸収)11によって実行される動作と、第2段(脱離)19によって実行される動作とを含む。1つの実施形態では、方法500は、炭素処理システム10によって実行される。
【0029】
[0037] ブロック502において、塩基性媒体が生成され、炭素処理システムの第1段の捕集リザーバ内に配置される。例えば、塩基性媒体25は、本明細書に開示された実施形態のいずれかにしたがって生成され、第1段の反応器11の捕集リザーバ15に配置される。
【0030】
[0038] ブロック504において、ポンプが塩基性媒体を捕集リザーバから、充填材にわたって塩基性媒体を分配する分配器に循環させる。例えば、ポンプ17は、塩基性媒体25を分配器12に分配し、分配器12は、塩基性媒体25を充填材13上に分配する。
【0031】
[0039] ブロック506において、エアムーバが作動されて、充填材上に空気を移動させる。例えば、ファンが、ある二酸化炭素濃度を有する空気を、塩基性媒体25で覆われた充填材13上に移動させる。
【0032】
[0040] ブロック508において、空気が塩基性媒体に接触して、ある濃度の二酸化炭素を有する塩基性媒体を生成し、また排気空気を生成する。例えば、空気は充填材13上で塩基性媒体25に接触し、空気中の二酸化炭素が塩基性媒体25によって回収される。
【0033】
[0041] ブロック510において、排気空気が凝縮されて、塩基性媒体を回収する。例えば、充填材13から流れてきた空気は凝縮器402に流れ、凝縮器402が受け取った塩基性媒体20は捕集リザーバ15に戻される。
【0034】
[0042] ブロック512において、排気空気がミスト除去されて、放出される。例えば、凝縮器402から流れてきた空気は、ミスト除去器404によってミスト除去される。二酸化炭素濃度が無い又は低下した排気空気18は放出される。
【0035】
[0043] ブロック514において、塩基性媒体の二酸化炭素濃度が閾値レベルを満たすか否かについて判定がなされる。例えば、コントローラ26は、様々なセンサ入力を受信し、塩基性媒体中の二酸化炭素濃度が閾値レベルを満たすときを判定する。閾値レベルは任意の適切なレベルに設定され得る。例えば、コントローラ26は、捕集リザーバ15、入力空気流、及び排気空気流18における二酸化炭素検出レベルを受信する。コントローラ26は、検出された二酸化炭素レベルを用いて、塩基性媒体が閾値レベルを満たす二酸化炭素濃度を有するか否かを判定する。コントローラ26はまた、温度センサ、液面センサ、及び他のセンサの入力など、様々なセンサ入力を受信し、これらの入力を用いて、システムの動作を判定し、また塩基性媒体が二酸化炭素濃度の閾値レベルを満たすときを判定する。塩基性媒体の二酸化炭素濃度が閾値レベルを超えない場合、方法はブロック504に進む。塩基性媒体の二酸化炭素濃度が閾値レベルを超える場合、方法はブロック516に進む。
【0036】
[0044] ブロック516において、閾値レベルを超える二酸化炭素濃度を有する塩基性媒体が触媒と共に加熱されて、二酸化炭素を多く含む媒体を生成する。例えば、リザーバ21に熱24を加えて、塩基性媒体の二酸化炭素濃度の低い部分25と二酸化炭素を多く含む塩基性媒体406とを抽出する。
【0037】
[0045] ブロック518において、二酸化炭素を多く含む媒体から二酸化炭素と塩基性媒体とが分離される。例えば、補充システム22は、二酸化炭素を多く含む媒体406から二酸化炭素23と塩基性媒体25とを分離する。
【0038】
[0046] ブロック520において、回収された塩基性媒体が第1段に戻される。例えば、二酸化炭素濃度の低い塩基性媒体25は第1段11に戻される。
【0039】
[0047] ブロック522において、二酸化炭素が捕集され、任意の適切な目的に利用される。例えば、二酸化炭素23が更に使用されるために捕集される。
【0040】
[0048] このように、方法500は、空気から二酸化炭素を除去する二酸化炭素処理を提供するように動作する。方法500の動作は例示的なものであること、及び動作は、実施形態の範囲内で追加、削除、再構成、又は他の修正が可能であることに留意されたい。
【0041】
[0049] 図6は、本明細書で開示される炭素処理システム10の実施形態によって生成された二酸化炭素を利用するように構成された冷却装置600の一実施形態を示している。例えば、1つの実施形態では、装置600が、圧縮システム450からの二酸化炭素出力を、地球温暖化係数の低い冷媒/冷却剤として利用して、自動車用の用途における冷却を提供する。冷媒として使用される二酸化炭素は、天然であり、毒性がなく、不燃性であり、豊富であり、熱伝達率が大きく、地球温暖化係数(GWP)がちょうど1である。そのため、二酸化炭素冷媒は、R22、R152、R404a、及びR1234yfといった冷媒などの一般的な冷媒よりも、より持続可能で効率的な冷却剤の選択肢である。
【0042】
[0050] 1つの実施形態では、冷却装置600は、自動車用の用途での使用のために、快適なキャビン温度を経済的且つ持続的に維持するために、二酸化炭素を冷却剤として利用するように構成される。本明細書に開示される炭素処理システム10の実施形態によって提供されるような直接空気回収による二酸化炭素を使用することにより、冷却装置600は、持続可能且つ優位性のある冷却剤ソリューションとして二酸化炭素を使用する自動車用の冷却を提供する。
【0043】
[0051] 1つの実施形態では、冷却装置600は、低圧側シュレーダーバルブ602と、圧縮機604と、凝縮器606と、受器/乾燥機608と、高圧側シュレーダーバルブ610と、温度自動膨張弁612と、蒸発器614とを備える。
【0044】
[0052] 1つの実施形態では、炭素処理システム10によって実行される直接空気回収によって生成された二酸化炭素23が冷却装置600に入力される。例えば、二酸化炭素23は圧縮システム450から出力される。二酸化炭素23は低圧側シュレーダーバルブ602によって受け取られ、低圧側シュレーダーバルブ602によって、二酸化炭素23を冷却装置600に充填することができる。バルブ602はまた、高圧側シュレーダーバルブ610と連携して、装置600内で適切な圧力差が維持されることを確保するためのテストポートとしても機能する。
【0045】
[0053] 二酸化炭素は、バルブ602から圧縮機604に流れ、圧縮機604は二酸化炭素23を加圧し、加熱する。高圧高温の二酸化炭素は凝縮器606に流れ、凝縮器606は二酸化炭素を冷却して液化する。次いで、受器/乾燥機608は液化した二酸化炭素から水を除去する。
【0046】
[0054] 高圧側シュレーダーバルブ610によって、液体二酸化炭素を温度自動膨張弁612に流すことができる。高圧側シュレーダーバルブ610はまた、低圧側シュレーダーバルブ602と連携して、装置600内で適切な圧力差が維持されることを確保するためのテストポートとしても機能する。
【0047】
[0055] 温度自動膨張弁612は二酸化炭素を膨張させ、それにより二酸化炭素の圧力を低下させる。蒸発器614は、液化二酸化炭素を再び気体状態に変化させる。自動車キャビンにあるファンがキャビン空気616を蒸発器614にわたって吹くと、二酸化炭素が熱を吸収し、それにより低温の乾燥した空気がもたらされる。次いで、二酸化炭素は再びバルブ602に流れて、サイクルが完了する。
【0048】
[0056] 図7は、本明細書で開示される炭素処理システム10の実施形態によって生成された二酸化炭素を利用するように構成された冷却装置700の一実施形態を示している。例えば、1つの実施形態では、装置700が、圧縮システム450からの二酸化炭素出力を、地球温暖化係数の低い冷媒/冷却剤として利用して、産業用の用途における冷却を提供する。例えば、スーパーマーケット及び他の供給業者が、装置700を使用して、安価且つ持続的に生鮮食品を適切な温度に保つことができる。
【0049】
[0057] 1つの実施形態では、冷却装置700は、第1の圧縮機702と、凝縮器704と、制御弁706と、受器/乾燥機708と、バイパス弁710と、第1の膨張弁712と、第1の蒸発器714と、第2の膨張弁716と、第2の蒸発器718と、第2の圧縮機720とを備える。装置700はまた、本明細書で説明されるように冷媒として二酸化炭素を使用して冷却を提供する装置700の構成要素の動作を制御するように動作するコントローラ722を備える。
【0050】
[0058] 1つの実施形態では、炭素処理システム10によって実行される直接空気回収によって生成された二酸化炭素23が冷却装置700に入力される。例えば、二酸化炭素23は圧縮システム450から出力され、装置700内にポンプで送られる。二酸化炭素23は第1の圧縮機702によって受け取られ、第1の圧縮機702は二酸化炭素を圧縮して気体冷却器/凝縮器704に送る。凝縮器704は、気体状の二酸化炭素(例えば、超臨界であり相変化できないもの)を冷却し、冷却された二酸化炭素ガスを制御弁706に送る。
【0051】
[0059] 制御弁706は、二酸化炭素ガス冷媒の圧力を調整し、圧力調整されたガスを受器/乾燥機708に出力する。受器/乾燥機708は、圧力調整された二酸化炭素ガスを受け取り、相(気体又は液体)に応じて二酸化炭素を分離する。二酸化炭素ガスは、受器/乾燥機708からバイパス弁710に流れる。二酸化炭素の液体は、ラインAに沿って第1の膨張弁712に、またラインBに沿って第2の膨張弁716に流れる。
【0052】
[0060] 1つの実施形態では、バイパス弁710が、気体状の二酸化炭素を第1の圧縮機702の入力ラインに供給する。第1の膨張弁712により、第1の蒸発器714に入る前に液体二酸化炭素を膨張させることができ、第1の蒸発器714は、不要な熱を除去し、二酸化炭素を第1の圧縮機702に向け直す。
【0053】
[0061] 第2の膨張弁716により、第2の蒸発器718に入る前に液体二酸化炭素を膨張させることができ、第2の蒸発器718は、不要な熱を除去し、二酸化炭素を第2の圧縮機720に向け直す。第2の圧縮機720は、第1の圧縮機702への入力前に二酸化炭素の圧力を更に上昇させる。
【0054】
[0062] 様々な例示的な実施形態において、装置700のより効率的なバージョンが実施され得る。1つの実施形態では、制御弁706が複合マルチエジェクタに置き換えられ、第1の圧縮機702に並列して圧縮機が追加される。これらの修正は、特に高温環境において、個々の圧縮機、特に多くの作業を行う第1の圧縮機702の作業負荷を減らすことによって、全体的な効率を高めるのに役立つ。
【0055】
[0063] 装置700では、ラインAは中温ライン(例えば、冷蔵庫で使用するためのもの)であり、ラインBは低温ライン(例えば、冷凍庫で使用するためのもの)である。したがって、ラインBからの二酸化炭素は、更なる圧縮を受けなければならない。現実世界の用途では、より多くのラインが存在する可能性があり、それぞれに特定の温度要件があり、必要に応じて更なる圧縮機が設けられる。
【0056】
[0064] 図8は、本明細書で開示される炭素処理システム10の実施形態によって生成された二酸化炭素を利用するように構成されたヒートポンプ装置800の一実施形態を示している。例えば、1つの実施形態では、装置800が、圧縮システム450からの二酸化炭素出力を、地球温暖化係数の低い冷媒/冷却剤として利用して、産業用の用途におけるヒートポンプ動作(例えば、加熱及び冷却)を提供する。
【0057】
[0065] 1つの実施形態では、ヒートポンプ装置800は、第1の膨張弁802と、第1の逆流防止弁804と、屋外熱交換器806と、逆転弁808と、圧縮機810と、屋内熱交換器812と、第2の膨張弁814と、第2の逆流防止弁816と、二方向フィルタ/乾燥機818と、点検窓820とを備える。装置800はまた、本明細書で説明されるように地球温暖化係数の低い冷媒として二酸化炭素を使用して加熱及び冷却を提供する装置800の構成要素の動作を制御するように動作するコントローラ822を備える。
【0058】
[0066] 1つの実施形態では、炭素処理システム10によって実行される直接空気回収によって生成された二酸化炭素23がヒートポンプ装置800に入力される。例えば、二酸化炭素23は圧縮システム450から出力され、装置800内にポンプで送られる。
【0059】
[0067] 装置800は、冷却流の方向を示す矢印826が示すように、二酸化炭素が装置800の周りを略時計回りに流れる冷却モードで動作する。装置800は、加熱流の方向を示す矢印824が示すように、二酸化炭素が装置800の周りを略反時計回りに流れる加熱モードで動作する。
【0060】
[0068] 動作中、二酸化炭素23は第1の膨張弁802によって受け取られ、第1の膨張弁802によって、冷却モード中に二酸化炭素の圧力及び温度を下げることができる。第1の逆流防止弁804によって、二酸化炭素が加熱モード中に流れることができる。点検窓820により視覚的な検査が可能になる。二方向フィルタ/乾燥機818は、二酸化炭素流から水及び他の微粒子を除去する。第2の膨張弁814により、加熱モード中に二酸化炭素の圧力及び温度を下げることができる。第2の逆流防止弁816によって、二酸化炭素が冷却モード中に流れることができる。
【0061】
[0069] 屋内熱交換器812は、二酸化炭素と屋内空気との間で熱を伝達する。逆転弁808は、加熱と冷却とで変化する二酸化炭素流の方向を制御する。圧縮機810は必要に応じて二酸化炭素を圧縮する。屋外熱交換器は、二酸化炭素と屋外空気との間で熱を伝達する。
【0062】
[0070] コントローラ822は、システム中のセンサからデータを取得して、指定された加熱モード又は冷却モードを監視及び制御する。
【0063】
[0071] 図9は、炭素処理システム10によって生成された二酸化炭素を利用して、自動車用、商用、及び産業用の用途において加熱及び冷却を提供する方法900のフローチャートである。
【0064】
[0072] ブロック902において、炭素処理システムが動作されて、空気から二酸化炭素を直接回収する。例えば、炭素処理システム10は、実施形態のいずれかで開示された塩基性媒体を用いて動作されて、空気から二酸化炭素を直接回収する。
【0065】
[0073] ブロック904において、回収された二酸化炭素が炭素処理システムから出力される。例えば、回収された二酸化炭素は炭素処理システム10の圧縮システム450から出力される。
【0066】
[0074] ブロック906において、回収された二酸化炭素が冷却装置又はヒートポンプ装置に注入される。例えば、回収された二酸化炭素23は、冷却装置600、冷却装置700、又はヒートポンプ装置800に注入される。
【0067】
[0075] ブロック908において、直接回収された二酸化炭素を受け入れる装置が動作されて、自動車用、商用、又は産業用の用途において加熱又は冷却を提供する。
【0068】
[0076] このように、方法900は、炭素処理システム10によって生成された二酸化炭素を利用して、自動車用、商用、及び産業用の用途において加熱及び冷却を提供するように動作する。方法900の動作は、例示的なものであって限定するものではなく、実施形態の範囲内で追加、削除、再構成、又は他の修正が可能であることに留意されたい。
【0069】
[0077] 新規な炭素処理システムによって使用される塩基性媒体及び触媒を生成するための様々な実施形態を以下に論じる。直接空気回収デバイスにおいて使用される化学物質に関する、実施形態の範囲内での若干の変更又は調整が存在することを理解されたい。
【0070】
実施形態#1
[0078] 第1の実施形態では、塩基性媒体は、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るように水と混合された、1kgモルのM 2+CO 2-(Mは、Na、K、Li、NH、又は第四級アンモニウムである)塩基を含む。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。アルギニン、アスパラギン、システイン、グリシン、プロリン、又はグアニジンのアミノ酸又はより好ましくはアミノ酸塩を含む0.1~5wt%の触媒を溶液に添加する。
【0071】
[0079] 1kgモルの純粋な二酸化炭素(純度99.9%)を、オートクレーブ中で5℃~110℃の温度で攪拌しながら水溶液と接触させる。より具体的には、温度は、10℃~60℃又は40~70℃である。二酸化炭素の大部分が溶液に吸収されたとき、オートクレーブの塔頂圧力を解放する。0.1~5wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0072】
[0080] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~130℃又は70~125℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は100%であり、選択率は100%であり、脱離工程における転化率は約90~100%であり、選択率は99.99%である。
【0073】
実施形態#2
[0081] 第2の実施形態では、塩基性媒体は、M2+CO 2-を含み、Mは、Na、K、Li、NH、又は第四級アンモニウムである。塩基性媒体は、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るように水と混合される。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。グリシン、プロリン、アルギニン、システイン、アスパラギン、グアニジン、又はそれらのカルボン酸塩のアミノ酸を含む0.1~5wt%の触媒を溶液中に添加する。
【0074】
[0082] 400ppmの二酸化炭素濃度を有する空気の流れに由来する1kgモル当量の二酸化炭素を、連続流反応器において5℃~110℃の温度で一定時間かけて水溶液と接触させる。より具体的には、温度は、10℃~60℃又は15~50℃である。二酸化炭素の大部分が溶液に吸収されたとき、塔頂圧力を解放する。0.1~5wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0075】
[0083] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~130℃又は70~125℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は30~70%であり、選択率は99%であり、脱離工程における転化率は約70~100%であり、選択率は99%である。
【0076】
実施形態#3
[0084] 第3の実施形態では、塩基性媒体は、1kgモルのM 2+CO 2-を含み、Mは、Na、K、Li、NH、又は第四級アンモニウムである。塩基性媒体は、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るように水と混合される。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。グリシン、プロリン、システイン、アルギニン、アスパラギン、グアニジン、及びメラミンのアミノ酸又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩、若しくはアンモニウム塩を含む0.1~5wt%の触媒を溶液に添加する。
【0077】
[0085] 10~35重量%の二酸化炭素濃度を有する排ガスの流れにおける1.5kgモル当量の二酸化炭素を、連続流反応器において5℃~110℃の温度で時間をかけて水溶液と接触させる。より具体的には、温度は、10℃~60℃又は40~70℃である。二酸化炭素の大部分が溶液に吸収されたとき、塔頂圧力を解放する。0.1~5wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0078】
[0086] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~130℃又は70~125℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は30~70%であり、選択率は99%であり、脱離工程における転化率は約70~100%であり、選択率は99%である。
【0079】
実施形態#4
[0087] 第4の実施形態では、構成は実施形態#2と同じであるが、空気-液体コンタクタを使用する代わりに、気泡塔反応器を使用して、85~90%の転化率及び99%の選択率を達成する。
【0080】
実施形態#5
[0088] 第5の実施形態では、構成は実施形態#2と同じであるが、ただし、100%の水ではなく、水とグリコールとの50重量%-50重量%混合物を溶媒として使用する。二酸化炭素への転化率及び選択率は、実施形態#2と同様である。しかしながら、水分損失は通常の5~7%ではなく、1~3%に最小限にされる。
【0081】
実施形態#6
[0089] 第6の実施形態では、構成は実施形態#2と同じであるが、ただし、100%の水ではなく、水とアルコールとの50重量%-50重量%混合物を溶媒として使用する。二酸化炭素への転化率及び選択率は、実施形態#2と同様である。
【0082】
実施形態#7
[0090] 第7の実施形態では、構成は実施形態#2と同じであるが、ただし、100%の水ではなく、水とPGMEAとの50重量%-50重量%混合物を溶媒として使用する。二酸化炭素への転化率及び選択率は、実施形態#2と同様であるが、水分損失は3%に制限される。
【0083】
実施形態#8
[0091] 第8の実施形態では、塩基性媒体は、1kgモルのQを含み、「Q」は、テトラメチル第四級アンモニウム、テトラエチル第四級アンモニウム、エチルトリメチル第四級アンモニウム、テトラブチル第四級アンモニウム、メチルトリブチル第四級アンモニウム、又はメチルエチルジブチル第四級アンモニウムであり、「X」はOHである。塩基性媒体は、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るように水と混合される。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。グリシンなどのアミノ酸塩を含む0.1~5wt%の触媒を溶液中に添加する。
【0084】
[0092] 400ppmの二酸化炭素濃度を有する空気の流れにおける1kgモルの二酸化炭素当量を、連続流反応器において5℃~110℃の温度で時間をかけて水溶液と接触させる。より具体的には、温度は、10℃~60℃又は40~50℃である。二酸化炭素の大部分が溶液に吸収されたとき、塔頂圧力を解放する。0.1~5wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0085】
[0093] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~130℃又は70~120℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は50~90%であり、選択率は99%であり、脱離工程における転化率は約70~90%であり、選択率は99%である。
【0086】
実施形態#9
[0094] 第9の実施形態では、塩基性媒体は、1kgモルのQを含み、「Q」は、テトラメチル第四級アンモニウム、テトラエチル第四級アンモニウム、エチルトリメチル第四級アンモニウム、テトラブチル第四級アンモニウム、メチルトリブチル第四級アンモニウム、又はメチルエチルジブチル第四級アンモニウムであり、「X」はOHである。塩基性媒体は、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るように水及びグリセロールと混合される。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。グリシン、プロリン、又はグアニジンなどのアミノ酸塩を含む0.1~5wt%の触媒を溶液中に添加する。
【0087】
[0095] 5~35wt%の二酸化炭素濃度を有する排ガスの流れにおける1.1kgモルの二酸化炭素当量を、連続流反応器において5℃~110℃の温度で時間をかけて水溶液と接触させる。より具体的には、温度は、10℃~60℃又は50~75℃である。二酸化炭素の大部分が溶液に吸収されたとき、塔頂圧力を解放する。0.1~5wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0088】
[0096] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~130℃又は70~130℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は80~100%であり、選択率は99%であり、脱離工程における転化率は約90~100%であり、選択率は99.9%である。
【0089】
実施形態#10
[0097] 第10の実施形態では、構成は実施形態#8と同じであるが、空気-液体コンタクタの代わりに、気泡塔反応器を使用して、85~90%の転化率及び99%の選択率を達成する。
【0090】
実施形態#11
[0098] 第11の実施形態では、構成は実施形態#8と同じであるが、ただし、100%の水ではなく、水とグリコールとの50重量%-50重量%混合物を溶媒として使用する。二酸化炭素への転化率及び選択率は、実施形態#8と同様である。しかしながら、水分損失は通常の5~7%ではなく、1~3%に最小限にされる。
【0091】
実施形態#12
[0099] 第12の実施形態では、構成は実施形態#8と同じであるが、ただし、100%の水ではなく、水とアルコールとの50重量%-50重量%混合物を溶媒として使用する。二酸化炭素への転化率及び選択率は、実施形態#8と同様である。
【0092】
実施形態#13
[0100] 第13の実施形態では、構成は実施形態#8と同じであるが、ただし、100%の水ではなく、水とPGMEAとの50重量%-50重量%混合物を溶媒として使用する。二酸化炭素への転化率及び選択率は、実施形態#8と同様であるが、水分損失は3%に制限される。
【0093】
実施形態#14
[0101] 第14の実施形態では、塩基性媒体は、1kgモルのM 2+CO 2-を含み、「M」は、Na、K、Li、NH、又は第四級アンモニウムである。塩基性媒体は、0.1~1wt%のグリシン及び0.1~1wt%のテトラブチルアンモニウムヒドロキシドであり、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るように水-グリセロール溶媒混合物と混合される。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。
【0094】
[0102] 400ppmの二酸化炭素濃度を有する空気の流れにおける1kgモルの二酸化炭素を、連続流反応器において5℃~110℃の温度で時間をかけて水溶液と接触させる。より具体的には、温度は、10~75℃又は50~70℃である。二酸化炭素の大部分が溶液に吸収されたとき、塔頂圧力を解放する。0.1~5wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0095】
[0103] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~130℃又は70~120℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は30~70%であり、選択率は99%であり、脱離工程における転化率は約70~100%であり、選択率は99%である。
【0096】
実施形態#15
[0104] 第15の実施形態では、塩基性媒体は、1kgモルのQを含み、Qは、テトラメチル第四級アンモニウムカチオン、テトラエチル第四級アンモニウムカチオン、エチルトリメチル第四級アンモニウムカチオン、テトラブチル第四級アンモニウムカチオン、メチルトリブチル第四級アンモニウムカチオン、メチルエチルジブチル第四級アンモニウムカチオン、又はアンモニウムカチオンであり、Xは水酸化物アニオンである。塩基性媒体は、0.1~1wt%のアルギニン及び0.1~1wt%のKOHであり、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るように水-グリセロール溶媒混合物と混合される。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。
【0097】
[0105] 400ppmの二酸化炭素濃度を有する空気の流れにおける1kgモルの二酸化炭素を、連続流反応器において5~110℃の温度で時間をかけて水溶液と接触させる。より具体的には、温度は、10~75℃又は50~70℃である。二酸化炭素の大部分が溶液に吸収されたとき、塔頂圧力を解放する。0.1~2wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0098】
[0106] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~130℃又は70~120℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は30~70%であり、選択率は99%であり、脱離工程における転化率は約70~100%であり、選択率は99%である。
【0099】
実施形態#16
[0107] 第16の実施形態では、塩基性媒体は、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るために、水又は水-グリセロール溶媒混合物中に、グリシン、プロリン、アルギニン、システイン、アスパラギン、グアニジン、又はこれらの混合物のナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩又は遊離形態を1kgモル含む。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。
【0100】
[0108] 400ppmの二酸化炭素濃度を有する空気の流れにおける1kgモル当量の二酸化炭素を、連続流反応器において5~110℃の温度で時間をかけて水溶液と接触させる。より具体的には、温度は、10~75℃又は50~70℃である。二酸化炭素の大部分が溶液に吸収されたとき、塔頂圧力を解放する。0.1~2wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0101】
[0109] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~150℃又は70~135℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は60~70%であり、選択率は99%であり、脱離工程における転化率は約90~100%であり、選択率は99%である。
【0102】
実施形態#17
[0110] 第17の実施形態では、ゼオライト、分子ふるい、及び金属有機構造体(metal-organic framework、MOF)などの、高湿度条件下で安定な高表面積を有する固体材料を、炭酸カリウム若しくは炭酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、又はグリシン、プロリン、及びグアニジンのようなアミノ酸の塩のいずれか1つを含む塩基性水溶液に浸漬し、乾燥させ、前処理する。塩基を含浸させた固体表面を連続流反応器中で空気に曝露して、二酸化炭素を回収し、二酸化炭素は、吸着後、温度スイングプロセスによって脱着されて、純粋な二酸化炭素ガスを生成物として得る。
【0103】
実施形態#18
[0111] 第18の実施形態では、塩基性媒体は、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るために水及び高沸点ポリオールと混合された、限定されるものではないが、100ppm~100wt%のエチル-メチル-ジブチルアンモニウムヒドロキシド、10~80wt%のKCO又はNaCOなどの弱塩基、0.01~10wt%のグリシン、アスパラギン、アルギニンなどのアミノ酸のカリウム塩又はナトリウム塩を含む相間移動剤の混合物を含む。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。
【0104】
[0112] 炭素処理システム10は、4℃~70℃において二酸化炭素で溶液を飽和させるために空気を溶液上に通す。0.1~5wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を二酸化炭素飽和溶液に添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0105】
[0113] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50℃~150℃に加熱する。より具体的には、60~140℃又は70~135℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を圧縮してボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は73%であり、選択率は98%であり、脱離工程における転化率は約94~100%であり、選択率は99.99%である。
【0106】
実施形態#19
[0114] 第19の実施形態では、塩基性媒体は、1kgモルのQを含み、カチオンQは、テトラメチル第四級アンモニウム、テトラエチル第四級アンモニウム、エチルトリメチル第四級アンモニウム、テトラブチル第四級アンモニウム、メチルトリブチル第四級アンモニウム、又はメチルエチルジブチル第四級アンモニウムであり、アニオンXは水酸化物である。塩基性媒体は、10重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るように水と混合される。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~40重量%である。グリシン、プロリン、アルギニン、システイン、アスパラギン、及びグアニジンのいずれか1種又は混合物の1種又は複数種のアミノ酸塩を含む0.1~5wt%の触媒を溶液に添加する。
【0107】
[0115] 炭素処理システム10は、400~700ppmの二酸化炭素濃度を有する空気の流れを吹いて、連続流反応器において5~110℃の温度で時間をかけて水溶液と接触させる。より具体的には、温度は、10~60℃又は40~50℃である。二酸化炭素の大部分が溶液に吸収されたとき、二酸化炭素を多く含む溶液は脱離反応器にポンプで送り込まれる。0.1~5wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0108】
[0116] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~150℃又は90~135℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は52~93%であり、選択率は99%であり、脱離工程における転化率は約70~98%であり、選択率は99%である。
【0109】
実施形態#20
[0117] 第20の実施形態では、アミノ酸又はそのナトリウム塩若しくはカリウム塩の10~60wt%溶液を含む塩基性媒体が、100~500ppmのQの相間移動剤と共に二酸化炭素吸収化学物質として使用され、「Q」は、テトラメチル第四級アンモニウム、テトラエチル第四級アンモニウム、エチルトリメチル第四級アンモニウム、テトラブチル第四級アンモニウム、メチルトリブチル第四級アンモニウム、又はメチルエチルジブチル第四級アンモニウムであり、「X」はOHである。水及びグリセロールの混合物が、1重量%~100重量%の範囲にある任意の濃度を有する水溶液を作るための溶媒として使用される。より具体的には、濃度は20~80重量%又は20~60重量%である。次に、塩基性媒体に、サルコシン、グリシン、プロリン、グアニジン、システイン、アルギニン、又はアスパラギンの遊離アミノ酸又はそのナトリウム塩若しくはカリウム塩を含む0.01~20wt%の触媒を添加する。
【0110】
[0118] 炭素処理システム10が化学物質中の二酸化炭素を完全に吸収した後、二酸化炭素を多く含む溶液は高圧脱離器にポンプで送られる。0.1~5wt%の新たに調製した、一般式M-O-(OH)の触媒を添加し、「M」は、Cr、V、Ti、及び/又はMoであり、「n」は、1~6の整数である。
【0111】
[0119] 次いで、蒸気ジャケット付き脱離器を50~150℃に加熱する。より具体的には、60~130℃又は70~130℃に脱離器を加熱して、二酸化炭素を脱離させる。塔頂の純粋な二酸化炭素を注入用にボトルに詰める。それぞれ、吸収工程における転化率は55~85%であり、選択率は99%であり、脱離工程における転化率は約95~100%であり、選択率は99.9%である。
【0112】
実施形態#21
[0120] 第21の実施形態では、実施形態#20で使用されるのと同じ塩基性媒体が使用されるが、空気-液体コンタクタを使用する代わりに、気泡塔反応器を使用して、85~90%の転化率及び99%の選択率を達成する。
【0113】
実施形態#22
[0121] 第22の実施形態では、実施形態#20が、100%の水ではなく、水とグリコールとの50重量%-50重量%混合物を溶媒として実行される。二酸化炭素への転化率及び選択率は、実施形態#19と同様であるが、水分損失は通常の5~7%ではなく、1~3%に最小限にされる。
【0114】
実施形態#23
[0122] 第23の実施形態では、実施形態#20が、100%の水ではなく、水とアルコールとの50重量%-50重量%混合物を溶媒として実行するように修正される。二酸化炭素への転化率及び選択率は、実施形態#19と同様である。
【0115】
実施形態#24
[0123] 第24の実施形態では、実施形態#20が、100%の水ではなく、水とPGMEAとの50重量%-50重量%混合物を溶媒として実行するように修正される。二酸化炭素への転化率及び選択率は、実施形態#19と同様であるが、水分損失は3%に制限される。
【0116】
実施形態#25
[0124] 第25の実施形態では、ゼオライト、分子ふるい、及びMOFなどの、高湿度条件下で安定な高表面積を有する固体材料を、炭酸カリウム若しくは炭酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、又はグリシン、プロリン、グアニジン、システイン、アルギニン、及びアスパラギンのようなアミノ酸の塩のいずれか1種を含む塩基性水溶液に浸漬し、乾燥させ、前処理する。濾紙上の塩基を含浸させた固体表面を連続流反応器中で空気に曝露して、二酸化炭素を回収し、二酸化炭素は、吸着後、真空の有無を問わず温度スイングプロセスによって脱着されて、純粋な二酸化炭素ガスを生成物として得る。
【0117】
[0125] 以上、説明の目的で特定の具体的な実施形態を説明してきたが、本明細書の教示は一般的な適用可能性を有し、上記の具体的な実施形態に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態の様々な特徴の様々な修正、適合、及び組み合わせを実施することができる。
【符号の説明】
【0118】
10 直接空気回収システム
11 第1段の反応器
12 分配器
13 充填材
14 空気
15 捕集リザーバ
16 二酸化炭素検出器
17 ポンプ
18 排気空気
19 第2段の反応器
20、25、406 塩基性媒体
21 リザーバ
22 補充システム
23、410 二酸化炭素
24 熱
26、822 コントローラ
27 エアムーバ
402、606、704 凝縮器
404 ミスト除去器
450 圧縮システム
500、900 方法
502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、902、904、906、908 ブロック
600、700 冷却装置
602 低圧側シュレーダーバルブ
604、702、720、810 圧縮機
608、708 受器/乾燥機
610 高圧側シュレーダーバルブ
612 温度自動膨張弁
614、714、718 蒸発器
616 キャビン空気
706 制御弁
710 バイパス弁
712、716、802、814 膨張弁
800 ヒートポンプ装置
804、816 逆流防止弁
806 屋外熱交換器
808 逆転弁
812 屋内熱交換器
818 二方向フィルタ/乾燥機
820 点検窓
824、826 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-09-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
直接空気回収システムに結合され、前記直接空気回収システムら回収された二酸化炭素を受け入れるように構成された流入口を備え、前記直接空気回収システムが気液接触に基づき二酸化炭素を回収し、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供するように構成された、装置。
【請求項2】
前記装置が、移動式及び産業用の冷却装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
装置であって、
直接空気回収システムに結合され、前記直接空気回収システムら回収された二酸化炭素を受け入れるように構成された流入口を備え、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供するように構成され、前記装置がヒートポンプ装置である、装置。
【請求項4】
前記装置の動作及び安全性を監視するセンサ及び読出デバイス
を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記回収された二酸化炭素の純度が91%~100%である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記直接空気回収システムのための塩基性媒体が、
相間移動触媒又はその混合物であって、前記相間移動触媒が、ラジカルカチオン及びラジカルアニオンを有し、前記ラジカルカチオンが、第四級アンモニウムカチオン(NR )を含み、前記ラジカルアニオンが、水酸化物アニオン(OH)、フッ化物アニオン(F)、ヨウ化物アニオン(I)、炭酸アニオン(CO 2-)又は重炭酸アニオン(HCO )のうちの少なくとも1種を含む、相間移動触媒又はその混合物と、
遊離アミノ酸若しくはアミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩のいずれか又はその混合物と、
の共通構造を有する塩基又はその混合物であって、Bは、カリウム、アンモニウム、ナトリウム、カルシウム、バナジウム、チタン、リチウム、ホウ素、又は第四級アンモニウムのカチオンであり、Yは、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、及びチタン酸塩のアニオンである、Bの共通構造を有する塩基又はその混合物と、
一級、第二級、又は第四級アミンの少なくとも1つの遊離形態若しくは塩又はその混合物と、
、又は水/グリセロール、水/グリコール、水/ポリオール、水/アルコールの混合物を含む溶媒系と
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
装置であって、
直接空気回収システムに結合され、前記直接空気回収システムら回収された二酸化炭素を受け入れるように構成された流入口を備え、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供するように構成され前記回収された二酸化炭素が複数の段において圧縮されて、移動式及び商用の地球温暖化係数の低い冷媒の用途全体を通して可変温度要件に対応し、前記回収された二酸化炭素の純度が97%~100%である、装置。
【請求項8】
装置であって、
直接空気回収システムに結合され、前記直接空気回収システムら回収された二酸化炭素を受け入れるように構成された流入口を備え、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供するように構成され、マルチエジェクタシステムが、冷却剤流を制御し、効率を最適化し、圧縮機負荷を緩和するように構成され、異常気象条件において動作できるようにするために採用される、装置。
【請求項9】
装置であって、
直接空気回収システムに結合され、前記直接空気回収システムら回収された二酸化炭素を受け入れるように構成された流入口を備え、前記装置が、前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、冷却及び加熱を提供するように構成され、前記回収された二酸化炭素が、前記直接空気回収システムの動作により超臨界状態又は亜臨界状態に圧縮され装置。
【請求項10】
直接空気回収システムに結合され、前記直接空気回収システムら回収された二酸化炭素を受け入れるように構成された流入口であって、前記直接空気回収システムが気液接触に基づき二酸化炭素を回収する、流入口と、
前記回収された二酸化炭素を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、加熱及び冷却を提供する手段と
を備える、システム。
【請求項11】
前記手段が冷却装置である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
空気から二酸化炭素を回収するように構成された直接空気回収モジュールと、
前記回収された二酸化炭素ガスを亜臨界及び超臨界の二酸化炭素流体に変える多段圧縮モジュールと、
前記超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素流体を地球温暖化係数の低い冷媒として使用して、加熱及び冷却を提供る冷モジュール
を備える、システム。
【請求項13】
前記回収された二酸化炭素の純度91~100%である、請求項12に記載のシステム。
【外国語明細書】