(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132861
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】RC-IGBT
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20240920BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240920BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240920BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240920BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/8249 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L29/78 655F
H01L29/78 655G
H01L29/78 657D
H01L29/78 657F
H01L29/78 657A
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 655B
H01L29/78 652M
H01L29/91 C
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/06 301S
H01L29/06 301F
H01L29/44 Y
H01L29/78 301D
H01L27/06 102A
H01L27/06 321A
H01L29/78 301P
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215473
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2023039756
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】曽根田 真也
(72)【発明者】
【氏名】西 康一
(72)【発明者】
【氏名】小西 和也
(72)【発明者】
【氏名】海老原 洪平
【テーマコード(参考)】
4M104
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
4M104FF10
5F048AA09
5F048AC06
5F048AC10
5F048BA01
5F048BB05
5F048BB19
5F048BC03
5F048BC07
5F048BC12
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF06
5F048BF07
5F140AA40
5F140AB06
5F140AC24
5F140BA01
5F140BB04
5F140BC15
5F140BD05
5F140BF04
5F140BF43
5F140BF53
5F140BG28
5F140BH03
5F140BH30
5F140BJ05
5F140BJ07
5F140BJ10
5F140BJ15
5F140BJ17
5F140CA03
5F140CC02
5F140CF04
(57)【要約】
【課題】本開示は、RC-IGBTの製造コストを低減することを目的とする。
【解決手段】RC-IGBT201は、セル領域、配線領域302および終端領域301を有する半導体基板50を備える。半導体基板50は、IGBT領域10、ダイオード領域20、配線領域302および終端領域301においてドリフト層1の第1主面S1側に設けられた第2導電型の拡散層を備える。拡散層は、IGBT領域10におけるベース層15と、ダイオード領域20におけるアノード層25と、配線領域302における配線ウェル層35と、終端領域301における終端ウェル層31とを含む。ベース層15の深さは、複数のトレンチゲート11,21,36の深さ未満であり、かつアノード層25、配線ウェル層35および終端ウェル層31の深さ以上である。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IGBT領域およびダイオード領域を含むセル領域と、前記セル領域を囲む終端領域と、前記セル領域と前記終端領域との間に設けられる配線領域と、を有する半導体基板を備えるRC-IGBTであって、
前記半導体基板は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の主面である第2主面とを有し、
前記半導体基板は、
前記セル領域、前記配線領域および前記終端領域に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記IGBT領域、前記ダイオード領域、前記配線領域および前記終端領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられた第2導電型の拡散層を備え、
前記拡散層は、前記IGBT領域におけるベース層と、前記ダイオード領域におけるアノード層と、前記配線領域における配線ウェル層と、前記終端領域における終端ウェル層とを含み、
前記半導体基板には、前記第1主面から前記拡散層を貫通して前記ドリフト層に達する複数のトレンチゲートが形成され、
前記複数のトレンチゲートは、前記IGBT領域における複数のアクティブトレンチゲートと、前記ダイオード領域における複数のダイオードトレンチゲートと、前記配線領域における複数の配線トレンチゲートと、を含み、
前記ベース層の深さは、前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満であり、かつ前記アノード層、前記配線ウェル層および前記終端ウェル層の深さ以上である、
RC-IGBT。
【請求項2】
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つの配線トレンチゲートの深さは前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満である、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項3】
前記複数の配線トレンチゲートの深さは、前記半導体基板の外周に向かって徐々に浅くなる、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項4】
前記複数の配線トレンチゲートは、第1配線トレンチゲートと、前記第1配線トレンチゲートより深い第2配線トレンチゲートとを含み、
前記第1配線トレンチゲートの幅は前記第2配線トレンチゲートの幅より小さい、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項5】
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つのピッチは、前記複数のアクティブトレンチゲートのピッチよりも狭い、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項6】
前記複数の配線トレンチゲートのピッチは、前記半導体基板の外周に向かって狭くなる、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項7】
前記半導体基板は、前記IGBT領域においてのみ、前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられるキャリア蓄積層をさらに備える、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項8】
前記半導体基板は、前記IGBT領域、前記ダイオード領域および前記配線領域における前記複数のトレンチゲートのそれぞれから1μm内において、前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられるキャリア蓄積層をさらに備える、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項9】
前記アノード層の不純物濃度の平面視における単位面積あたりの積分値である積分濃度は、前記ベース層の前記積分濃度よりも低い、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項10】
前記半導体基板は、
前記IGBT領域において前記ドリフト層の前記第2主面側に第2導電型のコレクタ層を備え、
前記ダイオード領域と、前記配線領域の少なくとも一部とにおいて、前記ドリフト層の前記第2主面側に第1導電型のカソード層を備える、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項11】
前記半導体基板は、前記複数のトレンチゲートの底部に第2導電型のトレンチボトム層を備える、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項12】
前記複数の配線トレンチゲートのうち前記終端領域に最も近い配線トレンチゲートと前記終端領域との距離は、前記半導体基板の周方向全体において一定である、
請求項1に記載のRC-IGBT。
【請求項13】
IGBT領域およびダイオード領域を含むセル領域と、前記セル領域を囲む終端領域と、前記セル領域と前記終端領域との間に設けられる配線領域と、を有する半導体基板を備えるRC-IGBTであって、
前記半導体基板は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の主面である第2主面とを有し、
前記半導体基板は、
前記セル領域、前記配線領域および前記終端領域に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記IGBT領域、前記ダイオード領域、前記配線領域および前記終端領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられた第2導電型の拡散層と、
前記IGBT領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられたキャリア蓄積層とを備え、
前記拡散層は、前記IGBT領域におけるベース層と、前記ダイオード領域におけるアノード層と、前記配線領域における配線ウェル層と、前記終端領域における終端ウェル層とを含み、
前記半導体基板には、前記第1主面から前記拡散層を貫通して前記ドリフト層に達する複数のトレンチゲートが形成され、
前記複数のトレンチゲートは、前記IGBT領域における複数のアクティブトレンチゲートと、前記ダイオード領域における複数のダイオードトレンチゲートと、前記配線領域における複数の配線トレンチゲートと、を含み、
前記配線ウェル層の深さは、前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満であり、かつ、前記ベース層の深さ以上である、
RC-IGBT。
【請求項14】
前記キャリア蓄積層は前記配線領域において前記ドリフト層の前記第1主面側にも設けられる、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項15】
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つの配線トレンチゲートの深さは前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満である、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項16】
前記複数の配線トレンチゲートの深さは、前記半導体基板の外周に向かって徐々に浅くなる、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項17】
前記複数の配線トレンチゲートは、第1配線トレンチゲートと、前記第1配線トレンチゲートより深い第2配線トレンチゲートとを含み、
前記第1配線トレンチゲートの幅は前記第2配線トレンチゲートの幅より小さい、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項18】
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つのピッチは、前記複数のアクティブトレンチゲートのピッチよりも狭い、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項19】
前記複数の配線トレンチゲートのピッチは、前記半導体基板の外周に向かって狭くなる、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項20】
前記アノード層の不純物濃度の平面視における単位面積あたりの積分値である積分濃度は、前記ベース層の前記積分濃度よりも低い、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項21】
前記半導体基板は、
前記IGBT領域において前記ドリフト層の前記第2主面側に第2導電型のコレクタ層を備え、
前記ダイオード領域と、前記配線領域の少なくとも一部とにおいて、前記ドリフト層の前記第2主面側に第1導電型のカソード層を備える、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項22】
前記半導体基板は、前記複数のトレンチゲートの底部に第2導電型のトレンチボトム層を備える、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項23】
前記複数の配線トレンチゲートのうち前記終端領域に最も近い配線トレンチゲートと前記終端領域との距離は、前記半導体基板の周方向全体において一定である、
請求項13に記載のRC-IGBT。
【請求項24】
IGBT領域およびダイオード領域を含むセル領域と、前記セル領域を囲む終端領域と、前記セル領域と前記終端領域との間に設けられる配線領域と、を有する半導体基板を備えるRC-IGBTであって、
前記半導体基板は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の主面である第2主面とを有し、
前記半導体基板は、
前記セル領域、前記配線領域および前記終端領域に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記IGBT領域、前記ダイオード領域、前記配線領域および前記終端領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられた第2導電型の拡散層と、
前記IGBT領域および前記配線領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられたキャリア蓄積層とを備え、
前記拡散層は、前記IGBT領域におけるベース層と、前記ダイオード領域におけるアノード層と、前記配線領域における配線ウェル層と、前記終端領域における終端ウェル層とを含み、
前記半導体基板には、前記第1主面から前記拡散層を貫通して前記ドリフト層に達する複数のトレンチゲートが形成され、
前記複数のトレンチゲートは、前記IGBT領域における複数のアクティブトレンチゲートと、前記ダイオード領域における複数のダイオードトレンチゲートと、前記配線領域における複数の配線トレンチゲートと、を含み、
前記終端ウェル層の最も深い箇所の深さは、前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満であり、かつ、前記ベース層および前記配線ウェル層の深さ以上である、
RC-IGBT。
【請求項25】
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つの配線トレンチゲートの深さは前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満である、
請求項24に記載のRC-IGBT。
【請求項26】
前記複数の配線トレンチゲートの深さは、前記半導体基板の外周に向かって徐々に浅くなる、
請求項24に記載のRC-IGBT。
【請求項27】
前記複数の配線トレンチゲートは、第1配線トレンチゲートと、前記第1配線トレンチゲートより深い第2配線トレンチゲートとを含み、
前記第1配線トレンチゲートの幅は前記第2配線トレンチゲートの幅より小さい、
請求項24に記載のRC-IGBT。
【請求項28】
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つのピッチは、前記複数のアクティブトレンチゲートのピッチよりも狭い、
請求項24に記載のRC-IGBT。
【請求項29】
前記複数の配線トレンチゲートのピッチは、前記半導体基板の外周に向かって狭くなる、
請求項24に記載のRC-IGBT。
【請求項30】
前記アノード層の不純物濃度の平面視における単位面積あたりの積分値である積分濃度は、前記ベース層の前記積分濃度よりも低い、
請求項24に記載のRC-IGBT。
【請求項31】
前記半導体基板は、
前記IGBT領域において前記ドリフト層の前記第2主面側に第2導電型のコレクタ層を備え、
前記ダイオード領域と、前記配線領域の少なくとも一部とにおいて、前記ドリフト層の前記第2主面側に第1導電型のカソード層を備える、
請求項24に記載のRC-IGBT。
【請求項32】
前記半導体基板は、前記複数のトレンチゲートの底部に第2導電型のトレンチボトム層を備える、
請求項24に記載のRC-IGBT。
【請求項33】
前記複数の配線トレンチゲートのうち前記終端領域に最も近い配線トレンチゲートと前記終端領域との距離は、前記半導体基板の周方向全体において一定である、
請求項24に記載のRC-IGBT。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、逆導通IGBT(RC-IGBT:Reverse Conducting IGBT)に関する。
【背景技術】
【0002】
RC-IGBTは、一つの半導体基板にIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)領域とダイオード領域とが設けられた半導体装置である。特許文献1には、IGBT領域、ダイオード領域、配線領域および終端領域を有し、終端領域のp型ウェル層がIGBT領域のp型ベース層およびトレンチより深く、逆耐圧保持の際に電界を緩和するように作用するRC-IGBTが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のRC-IGBTでは、終端領域のp型ウェル層がIGBT領域のp型ベース層より深い。そのため、深さの異なる複数のp型拡散層を一つずつ形成する製造工程が必要となり、製造コストがかかるという問題があった。
【0005】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、RC-IGBTの製造コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のRC-IGBTは、IGBT領域およびダイオード領域を含むセル領域と、セル領域を囲む終端領域と、セル領域と終端領域との間に設けられる配線領域と、を有する半導体基板を備えるRC-IGBTであって、半導体基板は、第1主面と、第1主面とは反対側の主面である第2主面とを有し、半導体基板は、セル領域、配線領域および終端領域に設けられた第1導電型のドリフト層と、IGBT領域、ダイオード領域、配線領域および終端領域においてドリフト層の第1主面側に設けられた第2導電型の拡散層を備え、拡散層は、IGBT領域におけるベース層と、ダイオード領域におけるアノード層と、配線領域における配線ウェル層と、終端領域における終端ウェル層とを含み、半導体基板には、第1主面から拡散層を貫通してドリフト層に達する複数のトレンチゲートが形成され、複数のトレンチゲートは、IGBT領域における複数のアクティブトレンチゲートと、ダイオード領域における複数のダイオードトレンチゲートと、配線領域における複数の配線トレンチゲートと、を含み、ベース層の深さは、複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満であり、かつアノード層、配線ウェル層および終端ウェル層の深さ以上である。
【発明の効果】
【0007】
本開示のRC-IGBTによれば、IGBT領域、ダイオード領域、配線領域および終端領域における第2導電型の拡散層を同時に形成することが出来るため、製造コストを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ストライプ型のRC-IGBTの平面図である。
【
図2】アイランド型のRC-IGBTの平面図である。
【
図3】RC-IGBTのIGBT領域の平面図である。
【
図4】
図3のA-A線に沿ったRC-IGBTのIGBT領域の断面図である。
【
図5】
図3のB-B線に沿ったRC-IGBTのIGBT領域の断面図である。
【
図6】RC-IGBTのダイオード領域の平面図である。
【
図7】
図6のC-C線に沿ったRC-IGBTのダイオード領域の断面図である。
【
図8】
図6のD-D線に沿ったRC-IGBTのダイオード領域の断面図である。
【
図9】
図1のG-G線に沿ったIGBT領域とダイオード領域との境界の構成を示すRC-IGBTの断面図である。
【
図10】
図1のE-E線に沿ったRC-IGBTのIGBT領域および終端領域の断面図である。
【
図11】
図1のF-F線に沿ったRC-IGBTのダイオード領域および終端領域の断面図である。
【
図12】実施の形態1-8,10に係るRC-IGBTの平面図である。
【
図13】
図12のH-H線に沿った実施の形態1に係るRC-IGBTの断面図である。
【
図14】
図12のH-H線に沿った実施の形態2に係るRC-IGBTの断面図である。
【
図15】
図12のH-H線に沿った実施の形態3に係るRC-IGBTの断面図である。
【
図16】
図12のH-H線に沿った実施の形態4に係るRC-IGBTの断面図である。
【
図17】
図12のH-H線に沿った実施の形態5に係るRC-IGBTの断面図である。
【
図18】
図12のH-H線に沿った実施の形態6に係るRC-IGBTの断面図である。
【
図19】
図12のH-H線に沿った実施の形態7に係るRC-IGBTの断面図である。
【
図20】実施の形態8に係るRC-IGBTの平面図にトレンチゲートを付加した図である。
【
図21】実施の形態9に係るRC-IGBTの平面図である。
【
図22】実施の形態9に係るRC-IGBTの平面図にトレンチゲートを付加した図である。
【
図23】
図12のH-H線に沿った実施の形態10に係るRC-IGBTの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、nおよびpは半導体の導電型を示す。本開示においては、第1導電型をn型、第2導電型をp型として説明するが、第1導電型をp型、第2導電型をn型としてもよい。また、n-はn型不純物濃度がnよりも低いことを示し、n+はn型不純物濃度がnよりも高いことを示す。同様に、p-はp型不純物濃度がpよりも低いことを示し、p+はp型不純物濃度がpよりも高いことを示す。
【0010】
<A.前提技術>
図1は、前提技術に係る半導体装置であるRC-IGBT101を示す平面図である。また、
図2は、前提技術に係る他の構成の半導体装置であるRC-IGBT102を示す平面図である。
図1に示されるRC-IGBT101は、IGBT領域10とダイオード領域20とがストライプ状に並んで設けられたものであり、単に「ストライプ型」とも呼ばれる。
図2に示されるRC-IGBT102は、ダイオード領域20が縦方向と横方向に複数設けられ、ダイオード領域20の周囲にIGBT領域10が設けられたものであり、単に「アイランド型」とも呼ばれる。
【0011】
(1)ストライプ型
図1に示されるように、RC-IGBT101はIGBT領域10とダイオード領域20とを備える。IGBT領域10およびダイオード領域20は、RC-IGBT101の一端側から他端側に延伸する。IGBT領域10およびダイオード領域20は、それぞれの延伸方向と直交する方向に交互に、すなわちストライプ状に設けられている。
図1において、RC-IGBT101は3個のIGBT領域10と2個のダイオード領域20とを備える。また、各ダイオード領域20はIGBT領域10で挟まれている。しかし、RC-IGBT101が備えるIGBT領域10およびダイオード領域20の数は
図1の例に限らない。IGBT領域10の数は3個より大きくても小さくてもよく、ダイオード領域20の数は2個より大きくても小さくてもよい。また、IGBT領域10とダイオード領域20の配置を入れ替えてもよい。その場合、各IGBT領域10がダイオード領域20に挟まれる。また、IGBT領域10とダイオード領域20とがそれぞれ1つずつ互いに隣り合って設けられていてもよい。
【0012】
図1に示されるように、紙面下側のIGBT領域10に隣接してパッド領域40が設けられている。パッド領域40にはRC-IGBT101を制御するための複数の制御パッド41が設けられる。IGBT領域10およびダイオード領域20を合わせてセル領域と呼ぶ。セル領域およびパッド領域40を合わせた領域の周囲には、RC-IGBT101の耐圧保持のために終端領域30が設けられている。終端領域30には、周知の耐圧保持構造が適宜選択されて設けられる。耐圧保持構造として、RC-IGBT101のおもて面側に、p型半導体のp型終端ウェル層でセル領域を囲ったFLR(Field Limiting Ring)が設けられてもよい。あるいは、耐圧保持構造として、RC-IGBT101のおもて面側に、濃度勾配をつけたp型ウェル層でセル領域を囲ったVLD(Variation of Lateral Doping)が設けられてもよい。FLRに用いられるリング状のp型終端ウェル層の数、またはVLDに用いられる濃度分布は、RC-IGBT101の耐圧設計によって適宜選択されてもよい。また、パッド領域40のほぼ全域に亘ってp型終端ウェル層が設けられてもよい。また、パッド領域40にIGBTセルまたはダイオードセルが設けられてもよい。
【0013】
制御パッド41は、例えば、電流センスパッド41a、ケルビンエミッタパッド41b、ゲートパッド41c、および温度センスダイオードパッド41d、41eである。電流センスパッド41aは、RC-IGBT101のセル領域に流れる電流を検知するための制御パッドであり、RC-IGBT101のセル領域に電流が流れる際に、セル領域全体に流れる電流の数分の1から数万分の1の電流が流れるようにセル領域の一部のIGBTセルまたはダイオードセルに電気的に接続された制御パッドである。ケルビンエミッタパッド41bおよびゲートパッド41cは、RC-IGBT101をオンオフ制御するためのゲート駆動電圧が印加される制御パッドである。ケルビンエミッタパッド41bはIGBTセルのp型ベース層に電気的に接続され、ゲートパッド41cはIGBTセルのゲートトレンチ電極に電気的に接続される。ケルビンエミッタパッド41bとp型ベース層とはp+型コンタクト層を介して電気的に接続されてもよい。温度センスダイオードパッド41d、41eは、RC-IGBT101に設けられた温度センスダイオードのアノードおよびカソードに電気的に接続された制御パッドである。セル領域内に設けられた図示しない温度センスダイオードのアノードとカソードとの間の電圧を測定して、RC-IGBT101の温度を測定する。
【0014】
(2)アイランド型
図2において、RC-IGBT102は、IGBT領域10と複数のダイオード領域20とを備えている。複数のダイオード領域20は、縦方向および横方向に配列されており、周囲をIGBT領域10に取り囲まれている。つまり、IGBT領域10内に複数のダイオード領域20がアイランド状に設けられている。
図2において、ダイオード領域20は紙面左右方向(横方向)に4列、紙面上下方向(縦方向)に2行のマトリクス状に設けられているが、ダイオード領域20の個数および配置はこれに限らない。IGBT領域10内に1つまたは複数のダイオード領域20が点在して設けられ、それぞれのダイオード領域20が周囲をIGBT領域10に囲まれた構成であればよい。
【0015】
図2に示されるように、IGBT領域10の紙面下側に隣接してパッド領域40が設けられている。RC-IGBT102におけるパッド領域40および終端領域30の構成は、RC-IGBT101におけるものと同様である。
【0016】
(3)IGBT領域
図3は、RC-IGBT101,102のIGBT領域10のうち
図1,2の破線82で囲まれた領域を示す部分拡大平面図である。
図4は、
図3のA-A線に沿ったIGBT領域10の断面図である。
図5は、
図3のB-B線に沿ったIGBT領域10の断面図である。
【0017】
図3に示されるように、IGBT領域10にはアクティブトレンチゲート11とダミートレンチゲート12とがストライプ状に設けられている。RC-IGBT101において、アクティブトレンチゲート11およびダミートレンチゲート12はIGBT領域10の長手方向に延伸する。すなわち、IGBT領域10の長手方向がアクティブトレンチゲート11およびダミートレンチゲート12の長手方向である。一方、RC-IGBT102では、IGBT領域10に長手方向と短手方向の区別が特段にない。
図2の紙面左右方向をアクティブトレンチゲート11およびダミートレンチゲート12の長手方向としてもよく、
図2の紙面上下方向をアクティブトレンチゲート11およびダミートレンチゲート12の長手方向としてもよい。
【0018】
アクティブトレンチゲート11は、半導体基板50に形成されたトレンチ内にゲートトレンチ絶縁膜11bを介してゲートトレンチ電極11aが設けられた構成である。ダミートレンチゲート12は、半導体基板50に形成されたトレンチ内にダミートレンチ絶縁膜12bを介してダミートレンチ電極12aが設けられた構成である。アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ電極11aは、ゲートパッド41cに電気的に接続される。ダミートレンチゲート12のダミートレンチ電極12aは、RC-IGBT101,102のおもて面側のエミッタ電極6に電気的に接続される。
【0019】
n+型ソース層13が、アクティブトレンチゲート11の幅方向の両側にゲートトレンチ絶縁膜11bに接して設けられる。n+型ソース層13は、n型不純物として例えばヒ素またはリン等を有する半導体層であり、n型不純物の濃度は1.0×1017/cm3以上1.0×1020/cm3以下である。n+型ソース層13は、アクティブトレンチゲート11の延伸方向に沿って、p+型コンタクト層14と交互に設けられる。なお、n+型ソース層はn+型エミッタ層とも呼ばれる。p+型コンタクト層14は、隣り合った2つのダミートレンチゲート12の間にも設けられる。p+型コンタクト層14は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミ等を有する半導体層であり、p型不純物の濃度は1.0×1015/cm3以上1.0×1020/cm3以下である。
【0020】
図3では、アクティブトレンチゲート11とダミートレンチゲート12とが3本ずつ交互に配置されている。言い換えれば、3本のアクティブトレンチゲート11からなるアクティブトレンチゲート11の組と、3本のダミートレンチゲート12からなるダミートレンチゲート12の組とが交互に配置されている。しかし、アクティブトレンチゲート11の組を構成するアクティブトレンチゲート11の数は3に限らず、1以上であればよい。また、ダミートレンチゲート12の組を構成するダミートレンチゲート12の数は3に限らず、1以上の任意の数を取ることが可能である。さらに、IGBT領域10にダミートレンチゲート12は設けられなくてもよい。すなわち、IGBT領域10に設けられるトレンチの全てがアクティブトレンチゲート11であってもよい。
【0021】
図4に示されるように、RC-IGBT101,102は、IGBT領域10において、半導体基板50により構成されるn-型ドリフト層1を有している。n-型ドリフト層1は、n型不純物として例えばヒ素またはリン等を有する半導体層であり、n型不純物の濃度は1.0×10
12/cm
3以上1.0×10
15/cm
3以下である。
図4において、n+型ソース層13およびp+型コンタクト層14からp型コレクタ層16までの範囲が半導体基板50である。
図4におけるn+型ソース層13およびp+型コンタクト層14の紙面上端が半導体基板50の第1主面S1であり、p型コレクタ層16の紙面下端が半導体基板50の第2主面S2である。半導体基板50の第1主面S1は、RC-IGBT101,102のおもて面側の主面であり、半導体基板50の第2主面S2は、RC-IGBT101,102の裏面側の主面である。RC-IGBT101,102は、セル領域であるIGBT領域10において、第1主面S1と第1主面S1に対向する第2主面S2との間にn-型ドリフト層1を有している。
【0022】
IGBT領域10におけるn-型ドリフト層1の第1主面S1側には、n-型ドリフト層1よりもn型不純物の濃度が高いn型キャリア蓄積層2が設けられている。n型キャリア蓄積層2は、n型不純物として例えばヒ素またはリン等を有する半導体層であり、n型不純物の濃度は1.0×10
13/cm
3以上1.0×10
17/cm
3以下である。なお、RC-IGBT101,102は、n型キャリア蓄積層2を備えなくてもよい。その場合、
図4で示されたn型キャリア蓄積層2の領域にもn-型ドリフト層1が設けられた構成となる。
【0023】
RC-IGBT101,102は、n型キャリア蓄積層2を備えることにより、IGBT領域10に電流が流れた際の通電損失を低減することができる。n型キャリア蓄積層2とn-型ドリフト層1とを合わせてドリフト層と呼んでもよい。n型キャリア蓄積層2は、n-型ドリフト層1を構成する半導体基板50にn型不純物をイオン注入し、その後アニールによって、注入したn型不純物をn-型ドリフト層1である半導体基板50内に拡散させることで形成される。
【0024】
IGBT領域10におけるn型キャリア蓄積層2の第1主面S1側には、p型拡散層としてp型ベース層15が設けられている。p型ベース層15は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミ等を有する半導体層であり、p型不純物の濃度は1.0×1012/cm3以上1.0×1019/cm3以下である。p型ベース層15はアクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ絶縁膜11bに接している。IGBT領域10におけるp型ベース層15の第1主面S1側には、アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ絶縁膜11bに接してn+型ソース層13が設けられ、残りの領域にp+型コンタクト層14が設けられている。n+型ソース層13およびp+型コンタクト層14は半導体基板50の第1主面S1を構成している。なお、p+型コンタクト層14は、p型ベース層15よりもp型不純物濃度が高い領域である。p+型コンタクト層14とp型ベース層15とを区別する必要がある場合にはそれぞれを個別に呼称してよい。p+型コンタクト層14とp型ベース層15とを合わせてp型ベース層と呼んでもよい。
【0025】
IGBT領域10におけるn-型ドリフト層1の第2主面S2側には、n-型ドリフト層1よりもn型不純物の濃度が高いn型バッファ層3が設けられる。n型バッファ層3は、RC-IGBT101,102がオフ状態のときにp型ベース層15から第2主面S2側に伸びる空乏層がパンチスルーするのを抑制する。n型バッファ層3は、例えば、リン(P)またはプロトン(H+)のいずれかまたは両方を注入して形成される。n型バッファ層3のn型不純物の濃度は1.0×10
12/cm
3以上1.0×10
18/cm
3以下である。なお、RC-IGBT101,102は、n型バッファ層3を備えなくてもよい。その場合、
図4で示されたn型バッファ層3の領域にもn-型ドリフト層1が設けられた構成となる。n型バッファ層3とn-型ドリフト層1とを合わせてドリフト層と呼んでもよい。
【0026】
IGBT領域10におけるn型バッファ層3の第2主面S2側には、p型コレクタ層16が設けられる。すなわち、n-型ドリフト層1と第2主面S2との間に、p型コレクタ層16が設けられている。p型コレクタ層16は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミ等を有する半導体層であり、p型不純物の濃度は1.0×10
16/cm
3以上1.0×10
20/cm
3以下である。p型コレクタ層16は半導体基板50の第2主面S2を構成している。p型コレクタ層16は、IGBT領域10だけでなく終端領域30にも設けられており、p型コレクタ層16のうち終端領域30に設けられた部分はp型終端コレクタ層16aを構成している(
図10および
図11参照)。また、p型コレクタ層16は、IGBT領域10からダイオード領域20に一部がはみ出して設けられてもよい(
図9参照)。
【0027】
IGBT領域10には、半導体基板50の第1主面S1からp型ベース層15を貫通し、n-型ドリフト層1に達するトレンチが形成されている。トレンチ内にゲートトレンチ絶縁膜11bを介してゲートトレンチ電極11aが設けられることでアクティブトレンチゲート11が構成されている。ゲートトレンチ電極11aは、ゲートトレンチ絶縁膜11bを介してn-型ドリフト層1に対向している。また、トレンチ内にダミートレンチ絶縁膜12bを介してダミートレンチ電極12aが設けられることでダミートレンチゲート12が構成されている。ダミートレンチ電極12aは、ダミートレンチ絶縁膜12bを介してn-型ドリフト層1に対向している。アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ絶縁膜11bは、p型ベース層15およびn+型ソース層13に接している。ゲートトレンチ電極11aにゲート駆動電圧が印加されると、アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ絶縁膜11bに接するp型ベース層15にチャネルが形成される。
【0028】
アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ電極11aの上には層間絶縁膜4が設けられている。半導体基板50の第1主面S1の層間絶縁膜4が設けられていない領域の上、および層間絶縁膜4の上にはバリアメタル5が形成されている。バリアメタル5は、例えば、チタン(Ti)を含む導電体であってもよいし、窒化チタンであってもよいし、チタンとシリコン(Si)を合金化させたTiSiであってもよい。バリアメタル5は、n+型ソース層13、p+型コンタクト層14およびダミートレンチ電極12aにオーミック接触し、n+型ソース層13、p+型コンタクト層14およびダミートレンチ電極12aと電気的に接続されている。
【0029】
IGBT領域10におけるバリアメタル5の上には、エミッタ電極6が設けられる。エミッタ電極6は、例えば、アルミニウムシリコン合金(Al―Si系合金)などのアルミ合金で形成されてもよい。あるいは、エミッタ電極6は、アルミ合金で形成された電極上に、無電解めっきまたは電解めっきでめっき膜が形成された構成であってもよい。ここで、めっき膜は、例えば、ニッケル(Ni)めっき膜であってよい。また、隣接する層間絶縁膜4間等の微細な領域であって、エミッタ電極6では良好な埋め込みが得られない領域がある場合には、当該領域にエミッタ電極6よりも埋込性が良好なタングステンが配置され、タングステンの上にエミッタ電極6が設けられていてもよい。
【0030】
なお、IGBT領域10にはバリアメタル5が設けられなくてもよい。その場合、n+型ソース層13、p+型コンタクト層14およびダミートレンチ電極12aの上に直接エミッタ電極6が設けられる。また、バリアメタル5はn+型ソース層13などのn型の半導体層の上のみに設けられてもよい。バリアメタル5とエミッタ電極6とを合わせてエミッタ電極と呼んでよい。
図4では、ダミートレンチゲート12のダミートレンチ電極12aの上に層間絶縁膜4が設けられない構成が示された。しかし、層間絶縁膜4がダミートレンチゲート12のダミートレンチ電極12a上に形成されても良い。その場合、エミッタ電極6とダミートレンチ電極12aとは、
図4に示される断面とは別の断面において電気的に接続されれば良い。
【0031】
IGBT領域10におけるp型コレクタ層16の第2主面S2側には、コレクタ電極7が設けられる。コレクタ電極7は、エミッタ電極6と同様、アルミ合金、またはアルミ合金とめっき膜とで構成されていてもよい。また、コレクタ電極7はエミッタ電極6と異なる構成であってもよい。コレクタ電極7は、p型コレクタ層16にオーミック接触し、p型コレクタ層16と電気的に接続されている。
【0032】
図5に示すIGBT領域10の断面構成は、半導体基板50の第1主面S1側にn+型ソース層13が設けられない点で、
図4に示すIGBT領域10の断面構成と異なる。すなわち、
図3に示されたように、n+型ソース層13は、p型ベース層の第1主面S1側に選択的に設けられている。なお、ここで言うp型ベース層とは、p型ベース層15とp+型コンタクト層14とを合わせたものである。
【0033】
(4)ダイオード領域
図6は、RC-IGBT101,102のダイオード領域20のうち
図1の破線83で囲われた領域の構成を示す部分拡大平面図である。
図7は、
図6のC-C線に沿ったRC-IGBT101,102のダイオード領域20の断面図である。
図8は、
図6のD-D線に沿ったRC-IGBT101,102のダイオード領域20の断面図である。
【0034】
図6に示されるように、ダイオードトレンチゲート21は、RC-IGBT101,102のおもて面に沿ってセル領域であるダイオード領域20の一端側から対向する他端側に向かって延伸している。ダイオードトレンチゲート21は、ダイオード領域20の半導体基板50に形成されたトレンチ内にダイオードトレンチ絶縁膜21bを介してダイオードトレンチ電極21aが設けられることで構成される。ダイオードトレンチ電極21aはダイオードトレンチ絶縁膜21bを介してn-型ドリフト層1に対向している。隣接する2つのダイオードトレンチゲート21の間には、p+型コンタクト層24およびp型アノード層25が設けられている。p型アノード層25はp型拡散層である。p+型コンタクト層24は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミ等を有する半導体層であり、p型不純物の濃度は1.0×10
15/cm
3以上1.0×10
20/cm
3以下である。p型アノード層25は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミ等を有する半導体層であり、p型不純物の濃度は1.0×10
12/cm
3以上1.0×10
19/cm
3以下である。p+型コンタクト層24およびp型アノード層25はダイオードトレンチゲート21の長手方向に交互に設けられている。
【0035】
図7に示されるように、RC-IGBT101,102は、ダイオード領域20においてもIGBT領域10と同じく半導体基板50により構成されるn-型ドリフト層1を備えている。ダイオード領域20のn-型ドリフト層1は、IGBT領域10のn-型ドリフト層1と連続して一体的に構成されたものであり、両者は同一の半導体基板50によって構成されている。
図7において、p+型コンタクト層24からn+型カソード層26までの範囲が半導体基板50である。
図7において、p+型コンタクト層24の上端を半導体基板50の第1主面S1と呼び、n+型カソード層26の下端を半導体基板50の第2主面S2と呼ぶ。ダイオード領域20の第1主面S1とIGBT領域10の第1主面S1は同一面であり、ダイオード領域20の第2主面S2とIGBT領域10の第2主面S2は同一面である。
【0036】
図7に示されるように、ダイオード領域20においてもIGBT領域10と同様に、n-型ドリフト層1の第1主面S1側にn型キャリア蓄積層2が設けられ、n-型ドリフト層1の第2主面S2側にn型バッファ層3が設けられている。ダイオード領域20に設けられるn型キャリア蓄積層2およびn型バッファ層3は、IGBT領域10に設けられるn型キャリア蓄積層2およびn型バッファ層3と同一の構成である。なお、n型キャリア蓄積層2はIGBT領域10およびダイオード領域20に必ずしも設けられる必要はない。また、n型キャリア蓄積層2はIGBT領域10にのみ設けられてもよい。ダイオード領域20においてもIGBT領域10と同じく、n-型ドリフト層1、n型キャリア蓄積層2およびn型バッファ層3を合わせてドリフト層と呼んでもよい。
【0037】
ダイオード領域20におけるn型キャリア蓄積層2の第1主面S1側には、p型アノード層25が設けられている。p型アノード層25は、n-型ドリフト層1と半導体基板50の第1主面S1との間に設けられている。p型アノード層25のp型不純物濃度は、IGBT領域10におけるp型ベース層15のp型不純物濃度と同じであってもよい。その場合、p型アノード層25とp型ベース層15とを同時に形成することが可能である。あるいは、p型アノード層25のp型不純物濃度は、IGBT領域10におけるp型ベース層15のp型不純物濃度より低くてもよい。これにより、RC-IGBT101,102のダイオード動作時にダイオード領域20に注入される正孔の量が減少するため、ダイオード動作時のリカバリ損失が低減する。
【0038】
p型アノード層25の第1主面S1側には、p+型コンタクト層24が設けられている。p+型コンタクト層24のp型不純物濃度は、IGBT領域10におけるp+型コンタクト層14のp型不純物濃度と同じでも異なっていてもよい。p+型コンタクト層24は半導体基板50の第1主面S1を構成している。p+型コンタクト層24は、p型アノード層25よりもp型不純物の濃度が高い。p+型コンタクト層24とp型アノード層25とを区別する必要がある場合にはそれぞれを個別に呼称してよい。p+型コンタクト層24とp型アノード層25とを合わせてp型アノード層と呼んでもよい。
【0039】
ダイオード領域20におけるn型バッファ層3の第2主面S2側には、n+型カソード層26が設けられている。n+型カソード層26は、n-型ドリフト層1と半導体基板50の第2主面S2との間に設けられている。n+型カソード層26は、n型不純物として例えばヒ素またはリン等を有する半導体層であり、n型不純物の濃度は1.0×1016/cm3以上1.0×1021/cm3以下である。n+型カソード層26は、ダイオード領域20の一部または全部に設けられる。n+型カソード層26は半導体基板50の第2主面S2を構成している。なお、図示していないが、上記のようにn+型カソード層26が形成された領域に、さらにp型不純物が選択的に注入されることにより、n+型カソード層26が形成された領域の一部をp型半導体としてp型カソード層が設けられてもよい。
【0040】
図7に示されるように、RC-IGBT101,102のダイオード領域20には、半導体基板50の第1主面S1からp型アノード層25を貫通し、n-型ドリフト層1に達するトレンチが形成されている。ダイオード領域20のトレンチ内にダイオードトレンチ絶縁膜21bを介してダイオードトレンチ電極21aが設けられることでダイオードトレンチゲート21が構成されている。ダイオードトレンチ電極21aはダイオードトレンチ絶縁膜21bを介してn-型ドリフト層1に対向している。
【0041】
図7に示すように、ダイオードトレンチ電極21aおよびp+型コンタクト層24の上にはバリアメタル5が設けられている。バリアメタル5は、ダイオードトレンチ電極21aおよびp+型コンタクト層24とオーミック接触し、ダイオードトレンチ電極およびp+型コンタクト層24に電気的に接続されている。ダイオード領域20のバリアメタル5はIGBT領域10のバリアメタル5と同一の構成であってよい。
【0042】
ダイオード領域20におけるバリアメタル5の上には、エミッタ電極6が設けられる。ダイオード領域20のエミッタ電極6は、IGBT領域10のエミッタ電極6と連続して形成されている。なお、ダイオード領域20においてもIGBT領域10におけると同様、バリアメタル5が設けられなくてもよい。その場合、ダイオードトレンチ電極21aおよびp+型コンタクト層24とエミッタ電極6とがオーミック接触する。また、バリアメタル5が設けられない場合、p+型コンタクト層24も設けられず、p型アノード層25とエミッタ電極6とがオーミック接触する構成であってもよい。
【0043】
なお、
図7では、ダイオードトレンチゲート21のダイオードトレンチ電極21aの上に層間絶縁膜4が設けられない構成が示された。しかし、層間絶縁膜4がダイオードトレンチゲート21のダイオードトレンチ電極21aの上に形成されても良い。その場合、エミッタ電極6とダイオードトレンチ電極21aとは
図7に示す断面とは別の断面において電気的に接続されれば良い。
【0044】
n+型カソード層26の第2主面S2側には、コレクタ電極7が設けられる。エミッタ電極6と同様、ダイオード領域20のコレクタ電極7はIGBT領域10のコレクタ電極7と連続して形成されている。コレクタ電極7は、n+型カソード層26にオーミック接触し、n+型カソード層26に電気的に接続されている。
【0045】
図8の断面構成は、p型アノード層25とバリアメタル5との間にp+型コンタクト層24が設けられず、p型アノード層25が半導体基板50の第1主面S1を構成している点で、
図7の断面構成と異なる。すなわち、
図6に示されるように、p+型コンタクト層24はp型アノード層25の第1主面S1側に選択的に設けられている。
【0046】
(5)IGBT領域とダイオード領域との境界
図9は、
図1または
図2のG-G線に沿ったRC-IGBT101,102の断面図であり、IGBT領域10とダイオード領域20との境界領域の構成を示している。
図9に示されるように、IGBT領域10の第2主面S2側に設けられたp型コレクタ層16は、IGBT領域10とダイオード領域20との境界から距離U1だけダイオード領域20側にはみ出している。これにより、IGBT領域10のアクティブトレンチゲート11とダイオード領域20のn+型カソード層26との距離を大きくすることができる。その結果、RC-IGBT101,102の還流ダイオード動作時にゲートトレンチ電極11aにゲート駆動電圧が印加されても、IGBT領域10のアクティブトレンチゲート11に隣接して形成されるチャネルからn+型カソード層26に電流が流れるのを抑制することができる。距離U1は、例えば100μmである。なお、RC-IGBT101,102の用途によっては、距離U1は100μmより小さくてもよいし、0でもよい。
【0047】
(6)終端構造
図10は、
図1または
図2のE-E線に沿ったRC-IGBT101,102の断面図であり、IGBT領域10から終端領域30にかけての構成を示している。
図11は、
図1のF-F線に沿ったRC-IGBT101の断面図であり、ダイオード領域20から終端領域30にかけての構成を示している。
【0048】
図10および
図11に示されるように、終端領域30は、半導体基板50の第1主面S1と第2主面S2との間にn-型ドリフト層1を有している。終端領域30における半導体基板50の第1主面S1および第2主面S2は、それぞれIGBT領域10およびダイオード領域20における半導体基板50の第1主面S1および第2主面S2と同一面である。また、終端領域30のn-型ドリフト層1は、IGBT領域10およびダイオード領域20のn-型ドリフト層1と同一の構成であり、これらと連続して一体的に形成されている。
【0049】
終端領域30におけるn-型ドリフト層1の第1主面S1側、すなわち半導体基板50の第1主面S1とn-型ドリフト層1との間には、p型終端ウェル層31が設けられている。p型終端ウェル層31は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミ等を有する半導体層であり、p型不純物の濃度は1.0×1014/cm3以上1.0×1019/cm3以下である。p型終端ウェル層31は、IGBT領域10およびダイオード領域20が含まれるセル領域を取り囲んで設けられている。p型終端ウェル層31は複数のリング状に設けられており、p型終端ウェル層31の数は、RC-IGBT101,102の耐圧設計に応じて適宜選択される。p型終端ウェル層31のさらに外縁側には、半導体基板50の第1主面S1とn-型ドリフト層1との間にn+型チャネルストッパ層32が設けられている。n+型チャネルストッパ層32はp型終端ウェル層31を取り囲んでいる。
【0050】
終端領域30におけるn-型ドリフト層1と半導体基板50の第2主面S2との間には、p型終端コレクタ層16aが設けられている。p型終端コレクタ層16aは、セル領域に設けられるp型コレクタ層16と連続して一体的に形成されている。従って、p型終端コレクタ層16aをp型コレクタ層16と呼んでもよい。
図1のRC-IGBT101のように、ダイオード領域20が終端領域30と隣接して設けられる構成では、
図11に示されるように、p型終端コレクタ層16aは、ダイオード領域20側の端部が距離U2だけダイオード領域20にはみ出して設けられている。これにより、ダイオード領域20のn+型カソード層26と終端領域30のp型終端ウェル層31との距離を大きくすることができる。その結果、p型終端ウェル層31がダイオードのアノードとして動作することが抑制される。距離U2は、例えば100μmである。
【0051】
終端領域30における半導体基板50の第2主面S2上にはコレクタ電極7が設けられている。コレクタ電極7は、IGBT領域10およびダイオード領域20を含むセル領域から終端領域30まで連続して一体的に形成されている。一方、終端領域30における半導体基板50の第1主面S1上には、セル領域から連続しているエミッタ電極6と、エミッタ電極6とは分離された終端電極6aとが設けられる。
【0052】
エミッタ電極6と終端電極6aとは、半絶縁性膜33を介して電気的に接続されている。半絶縁性膜33は、例えばsinSiN(semi-insulating Silicon Nitride:半絶縁性シリコン窒化膜)である。終端電極6aとp型終端ウェル層31およびn+型チャネルストッパ層32とは、半導体基板50の第1主面S1上に設けられた層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホールを介して電気的に接続されている。また、終端領域30には、エミッタ電極6、終端電極6aおよび半絶縁性膜33を覆って終端保護膜34が設けられている。終端保護膜34は、例えばポリイミドで形成される。
【0053】
<B.実施の形態1>
図12は、実施の形態1に係る半導体装置であるRC-IGBT201の上面図である。
図13は、
図12のH-H線に沿ったRC-IGBT201の断面図である。RC-IGBT201は、前提技術のRC-IGBT101と比較すると、終端領域30に代えて配線領域302および終端領域301を備えている。また、RC-IGBT201は制御パッド41に代えて信号パッド領域42を備えている。
【0054】
図12に示されるように、RC-IGBT201は、ダイオード領域20、IGBT領域10、配線領域302、および終端領域301を備えて構成される。RC-IGBT201におけるIGBT領域10およびダイオード領域20の構成は、RC-IGBT101におけるIGBT領域10およびダイオード領域20の構成と同様である。配線領域302および終端領域301が、
図1の終端領域30に相当する。配線領域302は、IGBT領域10およびダイオード領域20を含むセル領域を囲んで設けられる。終端領域301は、配線領域302を囲んで設けられる。
【0055】
RC-IGBT201は、配線領域302において、半導体基板50により構成されるn-型ドリフト層1を有している。配線領域302における半導体基板50の第1主面S1および第2主面S2は、それぞれIGBT領域10およびダイオード領域20における半導体基板50の第1主面S1および第2主面S2と同一である。配線領域302のn-型ドリフト層1は、IGBT領域10およびダイオード領域20のn-型ドリフト層1と同一構成であり、これらと連続して一体的に形成されている。
【0056】
配線領域302におけるn-型ドリフト層1の第1主面S1側、すなわち半導体基板50の第1主面S1とn-型ドリフト層1との間には、p型配線ウェル層35が設けられている。配線領域302におけるn-型ドリフト層1の第2主面S2側の構成は、IGBT領域10におけるn-型ドリフト層1の第2主面S2側の構成と同様である。
【0057】
配線領域302には、半導体基板50の第1主面S1からp型配線ウェル層35を貫通し、n-型ドリフト層1に達するトレンチが形成されている。このトレンチ内に配線トレンチ酸化膜36bを介して配線トレンチ電極36aが設けられることで配線トレンチゲート36が構成されている。配線トレンチゲート36はIGBT領域10におけるp型ベース層15よりも深い。配線トレンチ電極36aは、配線トレンチ酸化膜36bを介してn-型ドリフト層1に対向している。配線トレンチ酸化膜36bは、p型配線ウェル層35およびn-型ドリフト層1に接している。
【0058】
配線領域302において半導体基板50の第1主面S1上には層間絶縁膜4が設けられている。また、配線領域302の層間絶縁膜4上には配線電極6cが設けられている。配線電極6cとセル領域におけるエミッタ電極6とは、半絶縁性膜33を介して電気的に接続されている。なお、配線トレンチゲート36、アクティブトレンチゲート11、ダミートレンチゲート12、ダイオードトレンチゲート21を総称してトレンチゲートとも称する。
【0059】
RC-IGBT201は、終端領域301において、半導体基板50により構成されるn-型ドリフト層1を有している。終端領域301における半導体基板50の第1主面S1および第2主面S2は、それぞれセル領域および配線領域302における半導体基板50の第1主面S1および第2主面S2と同一である。終端領域301のn-型ドリフト層1は、セル領域のn-型ドリフト層1と同一構成であり、これらと連続して一体的に形成されている。
【0060】
終端領域301におけるn-型ドリフト層1の第1主面S1側、すなわち半導体基板50の第1主面S1とn-型ドリフト層1との間には、p型終端ウェル層31が設けられている。終端領域301におけるp型終端ウェル層31は、配線領域302におけるp型配線ウェル層35と連続して形成される。終端領域301におけるp型終端ウェル層31のさらに外縁側には、半導体基板50の第1主面S1とn-型ドリフト層1との間にn+型チャネルストッパ層32が設けられている。n+型チャネルストッパ層32はp型終端ウェル層31を取り囲んでいる。終端領域301におけるn-型ドリフト層1の第2主面S2側の構成は、IGBT領域10および配線領域302におけるn-型ドリフト層1の第2主面S2側の構成と同様である。
【0061】
終端領域301における半導体基板50の第1主面S1上には、層間絶縁膜4を介して終端電極6aおよびチャネルストッパ電極6bが設けられる。チャネルストッパ電極6bはチャネルストッパ層と電気的に接続される。セル領域のエミッタ電極6、配線領域302の配線電極6c、終端領域301の終端電極6aおよびチャネルストッパ電極6bは、半絶縁性膜33を介して電気的に接続されている。
図12には終端保護膜34が図示されていないが、終端保護膜34が形成されていてもいなくてもよい。
【0062】
RC-IGBT201において、p型アノード層25、p型配線ウェル層35、およびp型終端ウェル層31の最大深さは、p型ベース層15の深さと同等以下である。すなわち、p型ベース層15の深さは、アクティブトレンチゲート11、ダミートレンチゲート12、ダイオードトレンチゲート21および配線トレンチゲート36の深さ未満であり、かつp型アノード層25、p型配線ウェル層35およびp型終端ウェル層31の深さ以上である。これにより、p型アノード層25、p型ベース層15、p型配線ウェル層35、およびp型終端ウェル層31を同時に形成することができ、RC-IGBT201の製造コストが大幅に低減される。
【0063】
RC-IGBT201では、p型アノード層25のp型不純物濃度の、チップ上面から見た平面視における単位面積当たりの積分値である積分濃度が、p型ベース層15の積分濃度より低くてもよい。p型アノード層25のp型不純物濃度を下げることで、耐圧特性には影響なくダイオードのリカバリ電流とそれによるエネルギー損失を抑制できる。
【0064】
RC-IGBT201では、エミッタ電極6とコレクタ電極7との間に高電圧の逆バイアスを印加した場合に生じる電界が、配線領域302において最も高くなるようにしてもよい。これにより、最も耐圧が低くなりやすい配線領域302で耐圧を設計し、コントロールすることができる。
【0065】
<C.実施の形態2>
図14は、実施の形態2に係る半導体装置であるRC-IGBT202の断面図である。RC-IGBT202の上面図は、
図12に示された通りである。
図14は、
図12のH-H線に沿ったRC-IGBT202の断面図である。以下、実施の形態1に係るRC-IGBT201に対するRC-IGBT202の相違点を説明する。
【0066】
RC-IGBT202において、少なくとも1つの配線トレンチゲート36のトレンチ深さは、ダイオードトレンチゲート21およびアクティブトレンチゲートのトレンチ深さより浅い。配線トレンチゲート36の底部の電界でRC-IGBT202の耐圧が決まる。従って、配線トレンチゲート36のトレンチ深さを浅くすることで、配線領域302での電界が緩和され、耐圧が確保される。
【0067】
RC-IGBT202において、配線トレンチゲート36のトレンチ深さは、半導体基板50の中心から外周に向かって徐々に浅くなる。これにより、配線領域302での電界が緩和される。
【0068】
RC-IGBT202において、配線トレンチゲート36は、トレンチ深さが浅いものほどトレンチ幅が狭く形成される。言い換えれば、配線トレンチゲート36は、第1配線トレンチゲートと、第1配線トレンチゲートより深い第2配線トレンチゲートとを含み、第1配線トレンチゲートの幅は第2配線トレンチゲートの幅より小さい。このような構成により、エッチングのローディング効果を用いて、配線トレンチゲート36のトレンチ深さを容易にコントロールすることができる。従って、配線トレンチゲート36のトレンチ深さを半導体基板50の外周に向かって徐々に浅くする構成を、追加プロセスによるコストアップなく実現することができる。
【0069】
<D.実施の形態3>
図15は、実施の形態3に係る半導体装置であるRC-IGBT203の断面図である。RC-IGBT203の上面図は、
図12に示された通りである。
図15は、
図12のH-H線に沿ったRC-IGBT203の断面図である。以下、実施の形態1に係るRC-IGBT201に対するRC-IGBT203の相違点を説明する。
【0070】
RC-IGBT203では、配線トレンチゲート36の少なくとも1つのピッチがIGBT領域10におけるアクティブトレンチゲート11のピッチよりも狭い。RC-IGBT203の耐圧は配線トレンチゲート36の底部における電界で決まるため、配線トレンチゲート36の少なくとも一部のピッチを狭くすることで、配線領域302での電界が緩和され、RC-IGBT203の耐圧が確保される。
【0071】
RC-IGBT203では、配線トレンチゲート36のピッチが、RC-IGBT203の中心から外周に向かって徐々に狭くなっている。配線トレンチゲート36のピッチを徐々に狭くすることで、配線領域302での電界を緩和することができる。
【0072】
<E.実施の形態4>
図16は、実施の形態4に係る半導体装置であるRC-IGBT204の断面図である。RC-IGBT204の上面図は、
図12に示された通りである。
図16は、
図12のH-H線に沿ったRC-IGBT204の断面図である。以下、実施の形態1に係るRC-IGBT201に対するRC-IGBT204の相違点を説明する。
【0073】
RC-IGBT204では、IGBT領域10にのみ、n型キャリア蓄積層2がn-型ドリフト層1の第1主面S1側に設けられる。これにより、n型キャリア蓄積層2による耐圧低下を抑制しながら、IGBTの損失を改善することができる。この場合、p型ベース層15の深さはp型配線ウェル層35の深さ以下であってもよい。すなわち、p型配線ウェル層35の深さは、複数のアクティブトレンチゲート11の深さ未満であり、かつ、p型ベース層15の深さ以上であってもよい。このような構成であっても、p型アノード層25、p型ベース層15、p型配線ウェル層35、およびp型終端ウェル層31を同時に形成することができ、RC-IGBT201の製造コストが大幅に低減される。なお、RC-IGBT204において、n型キャリア蓄積層2はダイオード領域20の一部または全部に形成されていてもよい。
【0074】
<F.実施の形態5>
図17は、実施の形態5に係る半導体装置であるRC-IGBT205の断面図である。RC-IGBT205の上面図は、
図12に示された通りである。
図17は、
図12のH-H線に沿ったRC-IGBT204の断面図である。以下、実施の形態4に係るRC-IGBT204に対するRC-IGBT205の相違点を説明する。
【0075】
RC-IGBT205では、IGBT領域10、ダイオード領域20および配線領域302において、n型キャリア蓄積層2がアクティブトレンチゲート11、ダイオードトレンチゲート21、配線トレンチゲート36のそれぞれから1μm以内に配置されている。
図17には、ダイオード領域20および配線領域302にn型キャリア蓄積層2が形成されているが、n型キャリア蓄積層2はダイオード領域20および配線領域302の一部または全部に形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。これにより、n型キャリア蓄積層2による耐圧低下を抑制しながら、IGBTの損失を改善することができる。n型キャリア蓄積層2がダイオード領域20および配線領域302の一部に形成される場合、p型配線ウェル層35の最大の深さは、複数のアクティブトレンチゲート11の深さ未満であり、かつ、p型ベース層15の深さ以上であってもよい。また、n型キャリア蓄積層2がダイオード領域20および配線領域302の全部に形成される場合、p型ベース層15およびp型配線ウェル層35の深さは、p型終端ウェル層31の最大深さ未満であってもよい。すなわち、p型終端ウェル層31の最も深い箇所の深さは、複数のアクティブトレンチゲート11の深さ未満であり、かつ、p型ベース層15およびp型配線ウェル層35の深さ以上であってもよい。このような構成であっても、p型アノード層25、p型ベース層15、p型配線ウェル層35、およびp型終端ウェル層31を同時に形成することができ、RC-IGBT201の製造コストが大幅に低減される。なお、
図17では、n型キャリア蓄積層2が配線領域302の一部に形成されているが、配線領域302の全部に形成されていてもよい。
【0076】
<G.実施の形態6>
図18は、実施の形態6に係る半導体装置であるRC-IGBT206の断面図である。RC-IGBT206の上面図は、
図12に示された通りである。
図18は、
図12のH-H線に沿ったRC-IGBT206の断面図である。以下、実施の形態5に係るRC-IGBT205に対するRC-IGBT206の相違点を説明する。
【0077】
RC-IGBT206では、配線領域302の少なくとも一部においてn-型ドリフト層1の第2主面S2側、すなわちn型バッファ層3とコレクタ電極7との間にn+型カソード層26が設けられる。最も耐圧が低くなる配線領域302にn+型カソード層26が設けられることで、配線領域302における縦方向のpnp構造による2次降伏が抑制される。これにより、配線領域302の耐圧向上と、アバランシェ動作時の破壊抑制が得られる。
【0078】
<H.実施の形態7>
図19は、実施の形態7に係る半導体装置であるRC-IGBT207の断面図である。RC-IGBT207の上面図は、
図12に示された通りである。
図19は、
図12のH-H線に沿ったRC-IGBT207の断面図である。以下、実施の形態5に係るRC-IGBT205に対するRC-IGBT207の相違点を説明する。
【0079】
RC-IGBT207は、アクティブトレンチゲート11、ダミートレンチゲート12および配線トレンチゲート36の底部にp型トレンチボトム層37を備えている。これにより、アクティブトレンチゲート11、ダミートレンチゲート12および配線トレンチゲート36の底部の電界が緩和される。その結果、配線領域302での電界が緩和され、RC-IGBT207の耐圧が確保される。
【0080】
<I.実施の形態8>
実施の形態8に係る半導体装置であるRC-IGBT208の上面図は、
図12に示した通りである。
図20は、
図12にIGBT領域10におけるアクティブトレンチゲート11またはダミートレンチゲート12、ダイオード領域20におけるダイオードトレンチゲート21、および配線領域302における配線トレンチゲート36の図示を追加したものである。
【0081】
RC-IGBT208では、チップ上面から見たときに、配線トレンチゲート36が終端領域301からの距離を一定に保って配置される。すなわち、終端領域301に最も近い配線トレンチゲート36と終端領域301との距離は、半導体基板50の周方向全体において一定である。このように、終端領域301から配線トレンチゲート36までの距離を均等に保つことで、空乏層の伸び方が均等になり、耐圧が向上する。
【0082】
RC-IGBT208において、信号パッド領域42には、アクティブトレンチゲート11、ダミートレンチゲート12またはダイオードトレンチゲート21が設けられてもよい。
【0083】
<J.実施の形態9>
図21は、実施の形態9に係る半導体装置であるRC-IGBT209の上面図である。
図22は、
図21にIGBT領域10におけるアクティブトレンチゲート11またはダミートレンチゲート12、ダイオード領域20におけるダイオードトレンチゲート21、および配線領域302における配線トレンチゲート36の図示を追加したものである。
【0084】
RC-IGBT209では、IGBT領域10とダイオード領域20とを跨ぐようにセル内配線領域43が設けられる。セル内配線領域43の構成は、配線領域302の構成と同様である。IGBT領域10におけるアクティブトレンチゲート11またはダミートレンチゲート12、もしくはダイオード領域20におけるダイオードトレンチゲート21がセル内配線領域43に延長されて配置されてもよい。また、セル内配線領域43では、アクティブトレンチゲート11またはダミートレンチゲート12、もしくはダイオードトレンチゲート21の延伸方向と垂直な方向に延伸して配線トレンチゲート36が設けられてもよい。
【0085】
<K.実施の形態10>
図23は、実施の形態10に係る半導体装置であるRC-IGBT210の断面図である。RC-IGBT210の上面図は、
図12に示された通りである。
図23は、
図12のH-H線に沿ったRC-IGBT210の断面図である。以下、実施の形態5に係るRC-IGBT205に対するRC-IGBT210の相違点を説明する。
【0086】
RC-IGBT210では、ダイオード領域20の少なくとも一部において、n型バッファ層3とコレクタ電極7との間にp型コレクタ層16が設けられている。
【0087】
RC-IGBT210では、配線領域302における配線電極6cと、終端領域301における終端電極6aとが接続されている。
【0088】
RC-IGBT210では、終端領域301における終端電極6aとチャネルストッパ電極6bとの間にフィールドプレート(Field Plate:FP)電極6dが設けられていてもよい。フィールドプレート電極6dは層間絶縁膜4を介してp型終端ウェル層31に対向する。フィールドプレート電極6dは、半絶縁性膜33を介して終端電極6aおよびチャネルストッパ電極6bと電気的に接続される。半絶縁性膜33は、半絶縁性の単層膜でも積層膜でもよい。
【0089】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上記の実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上記の実施の形態等に種々の変形および置換を加えることができる。
【0090】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0091】
(付記1)
IGBT領域およびダイオード領域を含むセル領域と、前記セル領域を囲む終端領域と、前記セル領域と前記終端領域との間に設けられる配線領域と、を有する半導体基板を備えるRC-IGBTであって、
前記半導体基板は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の主面である第2主面とを有し、
前記半導体基板は、
前記セル領域、前記配線領域および前記終端領域に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記IGBT領域、前記ダイオード領域、前記配線領域および前記終端領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられた第2導電型の拡散層を備え、
前記拡散層は、前記IGBT領域におけるベース層と、前記ダイオード領域におけるアノード層と、前記配線領域における配線ウェル層と、前記終端領域における終端ウェル層とを含み、
前記半導体基板には、前記第1主面から前記拡散層を貫通して前記ドリフト層に達する複数のトレンチゲートが形成され、
前記複数のトレンチゲートは、前記IGBT領域における複数のアクティブトレンチゲートと、前記ダイオード領域における複数のダイオードトレンチゲートと、前記配線領域における複数の配線トレンチゲートと、を含み、
前記ベース層の深さは、前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満であり、かつ前記アノード層、前記配線ウェル層および前記終端ウェル層の深さ以上である、
RC-IGBT。
【0092】
(付記2)
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つの配線トレンチゲートの深さは前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満である、
付記1に記載のRC-IGBT。
【0093】
(付記3)
前記複数の配線トレンチゲートの深さは、前記半導体基板の外周に向かって徐々に浅くなる、
付記1または付記2に記載のRC-IGBT。
【0094】
(付記4)
前記複数の配線トレンチゲートは、第1配線トレンチゲートと、前記第1配線トレンチゲートより深い第2配線トレンチゲートとを含み、
前記第1配線トレンチゲートの幅は前記第2配線トレンチゲートの幅より小さい、
付記1から付記3のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0095】
(付記5)
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つのピッチは、前記複数のアクティブトレンチゲートのピッチよりも狭い、
付記1から付記4のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0096】
(付記6)
前記複数の配線トレンチゲートのピッチは、前記半導体基板の外周に向かって狭くなる、
付記1から付記5のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0097】
(付記7)
前記半導体基板は、前記IGBT領域においてのみ、前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられるキャリア蓄積層をさらに備える、
付記1から付記6のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0098】
(付記8)
前記半導体基板は、前記IGBT領域、前記ダイオード領域および前記配線領域における前記複数のトレンチゲートのそれぞれから1μm内において、前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられるキャリア蓄積層をさらに備える、
付記1から付記6のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0099】
(付記9)
前記アノード層の不純物濃度の平面視における単位面積あたりの積分値である積分濃度は、前記ベース層の前記積分濃度よりも低い、
付記1から付記8のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0100】
(付記10)
前記半導体基板は、
前記IGBT領域において前記ドリフト層の前記第2主面側に第2導電型のコレクタ層を備え、
前記ダイオード領域と、前記配線領域の少なくとも一部とにおいて、前記ドリフト層の前記第2主面側に第1導電型のカソード層を備える、
付記1から付記9のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0101】
(付記11)
前記半導体基板は、前記複数のトレンチゲートの底部に第2導電型のトレンチボトム層を備える、
付記1から付記10のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0102】
(付記12)
前記複数の配線トレンチゲートのうち前記終端領域に最も近い配線トレンチゲートと前記終端領域との距離は、前記半導体基板の周方向全体において一定である、
付記1から付記11のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0103】
(付記13)
IGBT領域およびダイオード領域を含むセル領域と、前記セル領域を囲む終端領域と、前記セル領域と前記終端領域との間に設けられる配線領域と、を有する半導体基板を備えるRC-IGBTであって、
前記半導体基板は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の主面である第2主面とを有し、
前記半導体基板は、
前記セル領域、前記配線領域および前記終端領域に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記IGBT領域、前記ダイオード領域、前記配線領域および前記終端領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられた第2導電型の拡散層と、
前記IGBT領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられたキャリア蓄積層とを備え、
前記拡散層は、前記IGBT領域におけるベース層と、前記ダイオード領域におけるアノード層と、前記配線領域における配線ウェル層と、前記終端領域における終端ウェル層とを含み、
前記半導体基板には、前記第1主面から前記拡散層を貫通して前記ドリフト層に達する複数のトレンチゲートが形成され、
前記複数のトレンチゲートは、前記IGBT領域における複数のアクティブトレンチゲートと、前記ダイオード領域における複数のダイオードトレンチゲートと、前記配線領域における複数の配線トレンチゲートと、を含み、
前記配線ウェル層の深さは、前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満であり、かつ、前記ベース層の深さ以上である、
RC-IGBT。
【0104】
(付記14)
前記キャリア蓄積層は前記配線領域において前記ドリフト層の前記第1主面側にも設けられる、
付記13に記載のRC-IGBT。
【0105】
(付記15)
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つの配線トレンチゲートの深さは前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満である、
付記13または付記14に記載のRC-IGBT。
【0106】
(付記16)
前記複数の配線トレンチゲートの深さは、前記半導体基板の外周に向かって徐々に浅くなる、
付記13から付記15のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0107】
(付記17)
前記複数の配線トレンチゲートは、第1配線トレンチゲートと、前記第1配線トレンチゲートより深い第2配線トレンチゲートとを含み、
前記第1配線トレンチゲートの幅は前記第2配線トレンチゲートの幅より小さい、
付記13から付記16のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0108】
(付記18)
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つのピッチは、前記複数のアクティブトレンチゲートのピッチよりも狭い、
付記13から付記17のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0109】
(付記19)
前記複数の配線トレンチゲートのピッチは、前記半導体基板の外周に向かって狭くなる、
付記13から付記18のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0110】
(付記20)
前記アノード層の不純物濃度の平面視における単位面積あたりの積分値である積分濃度は、前記ベース層の前記積分濃度よりも低い、
付記13から付記19のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0111】
(付記21)
前記半導体基板は、
前記IGBT領域において前記ドリフト層の前記第2主面側に第2導電型のコレクタ層を備え、
前記ダイオード領域と、前記配線領域の少なくとも一部とにおいて、前記ドリフト層の前記第2主面側に第1導電型のカソード層を備える、
付記13から付記20のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0112】
(付記22)
前記半導体基板は、前記複数のトレンチゲートの底部に第2導電型のトレンチボトム層を備える、
付記13から付記21のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0113】
(付記23)
前記複数の配線トレンチゲートのうち前記終端領域に最も近い配線トレンチゲートと前記終端領域との距離は、前記半導体基板の周方向全体において一定である、
付記13から付記22のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0114】
(付記24)
IGBT領域およびダイオード領域を含むセル領域と、前記セル領域を囲む終端領域と、前記セル領域と前記終端領域との間に設けられる配線領域と、を有する半導体基板を備えるRC-IGBTであって、
前記半導体基板は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の主面である第2主面とを有し、
前記半導体基板は、
前記セル領域、前記配線領域および前記終端領域に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記IGBT領域、前記ダイオード領域、前記配線領域および前記終端領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられた第2導電型の拡散層と、
前記IGBT領域および前記配線領域において前記ドリフト層の前記第1主面側に設けられたキャリア蓄積層とを備え、
前記拡散層は、前記IGBT領域におけるベース層と、前記ダイオード領域におけるアノード層と、前記配線領域における配線ウェル層と、前記終端領域における終端ウェル層とを含み、
前記半導体基板には、前記第1主面から前記拡散層を貫通して前記ドリフト層に達する複数のトレンチゲートが形成され、
前記複数のトレンチゲートは、前記IGBT領域における複数のアクティブトレンチゲートと、前記ダイオード領域における複数のダイオードトレンチゲートと、前記配線領域における複数の配線トレンチゲートと、を含み、
前記終端ウェル層の最も深い箇所の深さは、前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満であり、かつ、前記ベース層および前記配線ウェル層の深さ以上である、
RC-IGBT。
【0115】
(付記25)
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つの配線トレンチゲートの深さは前記複数のアクティブトレンチゲートの深さ未満である、
付記24に記載のRC-IGBT。
【0116】
(付記26)
前記複数の配線トレンチゲートの深さは、前記半導体基板の外周に向かって徐々に浅くなる、
付記24または付記25に記載のRC-IGBT。
【0117】
(付記27)
前記複数の配線トレンチゲートは、第1配線トレンチゲートと、前記第1配線トレンチゲートより深い第2配線トレンチゲートとを含み、
前記第1配線トレンチゲートの幅は前記第2配線トレンチゲートの幅より小さい、
付記24から付記26のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0118】
(付記28)
前記複数の配線トレンチゲートの少なくとも1つのピッチは、前記複数のアクティブトレンチゲートのピッチよりも狭い、
付記24から付記27のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0119】
(付記29)
前記複数の配線トレンチゲートのピッチは、前記半導体基板の外周に向かって狭くなる、
付記24から付記28のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0120】
(付記30)
前記アノード層の不純物濃度の平面視における単位面積あたりの積分値である積分濃度は、前記ベース層の前記積分濃度よりも低い、
付記24から付記29のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0121】
(付記31)
前記半導体基板は、
前記IGBT領域において前記ドリフト層の前記第2主面側に第2導電型のコレクタ層を備え、
前記ダイオード領域と、前記配線領域の少なくとも一部とにおいて、前記ドリフト層の前記第2主面側に第1導電型のカソード層を備える、
付記24から付記30のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0122】
(付記32)
前記半導体基板は、前記複数のトレンチゲートの底部に第2導電型のトレンチボトム層を備える、
付記24から付記31のいずれかに記載のRC-IGBT。
【0123】
(付記33)
前記複数の配線トレンチゲートのうち前記終端領域に最も近い配線トレンチゲートと前記終端領域との距離は、前記半導体基板の周方向全体において一定である、
付記24から付記32のいずれかに記載のRC-IGBT。
【符号の説明】
【0124】
1 n-型ドリフト層、2 n型キャリア蓄積層、3 n型バッファ層、4 層間絶縁膜、5 バリアメタル、6 エミッタ電極、6a 終端電極、6b チャネルストッパ電極、6c 配線電極、6d フィールドプレート電極、7 コレクタ電極、10 IGBT領域、11 アクティブトレンチゲート、11a ゲートトレンチ電極、11b ゲートトレンチ絶縁膜、12 ダミートレンチゲート、12a ダミートレンチ電極、12b ダミートレンチ絶縁膜、13 n型ソース層、14 p+型コンタクト層、15 p型ベース層、16 p型コレクタ層、16a p型終端コレクタ層、20 ダイオード領域、21 ダイオードトレンチゲート、21a ダイオードトレンチ電極、21b ダイオードトレンチ絶縁膜、24 p+型コンタクト層、25 p型アノード層、26 n+型カソード層、30 終端領域、31 p型終端ウェル層、32 n+型チャネルストッパ層、33 半絶縁性膜、34 終端保護膜、35 p型配線ウェル層、36 配線トレンチゲート、36a 配線トレンチ電極、36b 配線トレンチ酸化膜、37 p型トレンチボトム層、40 パッド領域、41 制御パッド、41a 電流センスパッド、41b ケルビンエミッタパッド、41c ゲートパッド、41d 温度センスダイオードパッド、41e 温度センスダイオードパッド、42 信号パッド領域、43 セル内配線領域、50 半導体基板、82 破線、83 破線、301 終端領域、302 配線領域、IGBT 逆導通、S1 第1主面、S2 第2主面。