(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132863
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ホウ素錯体含有凍結乾燥粉末及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/69 20060101AFI20240920BHJP
C07F 5/04 20060101ALI20240920BHJP
C07F 5/02 20060101ALI20240920BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240920BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
A61K31/69
C07F5/04 C
C07F5/02 Z
A61K9/19
A61K47/26
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217018
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】63/490,004
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】112142943
(32)【優先日】2023-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518296517
【氏名又は名称】禾榮科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HERON NEUTRON MEDICAL CORP.
【住所又は居所原語表記】No.66-2, Shengyi 5th Rd., Zhubei City, Hsinchu County, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】游 於後
(72)【発明者】
【氏名】▲兪▼ 鐘山
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H048
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076CC27
4C076DD43
4C076FF01
4C076GG06
4C086DA43
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA44
4C086NA02
4C086ZB26
4H048AA01
4H048AA02
4H048AB28
4H048AC43
4H048VA77
4H048VB10
(57)【要約】
【課題】ホウ素錯体含有凍結乾燥粉末及びその形成方法を提供する。
【解決手段】糖酸と、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体と、を含むホウ素錯体含有凍結乾燥粉末。また、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとを混合して、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体を含む混合物を形成する工程と、混合物を液体窒素に浸漬して、混合物を凍結させて予備凍結体を形成する工程と、真空乾燥プロセスを行って、予備凍結体中の水分を揮発させて凍結乾燥粉末を形成する工程と、を含むホウ素錯体含有凍結乾燥粉末の形成方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖酸と、
ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体と、
を含むホウ素錯体含有凍結乾燥粉末。
【請求項2】
前記糖酸は、シアル酸、ノイラミン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、又はそれらの組み合わせを含む請求項1に記載の凍結乾燥粉末。
【請求項3】
前記糖アルコールは、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、又はそれらの組み合わせを含む請求項1に記載の凍結乾燥粉末。
【請求項4】
前記錯体は、第1の錯体及び第2の錯体を含み、前記第1の錯体は、前記ジヒドロキシボリル化合物とソルビトールにより形成され、前記第2の錯体は、前記ジヒドロキシボリル化合物とマンニトール又はキシリトールにより形成される請求項1に記載の凍結乾燥粉末。
【請求項5】
非錯体のジヒドロキシボリル化合物を更に含み、プロトン核磁気共鳴スペクトルにおいて前記錯体と前記非錯体のジヒドロキシボリル化合物との水素積分比は5~25である請求項1に記載の凍結乾燥粉末。
【請求項6】
水に溶解した前記凍結乾燥粉末のpH値は、7.4~7.8である請求項1に記載の凍結乾燥粉末。
【請求項7】
ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとを混合して、前記ジヒドロキシボリル化合物と前記糖類又は前記糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体を含む混合物を形成する工程と、
前記混合物を液体窒素に浸漬して、前記混合物を凍結させて予備凍結体を形成する工程と、
真空乾燥プロセスを行って、前記予備凍結体中の水分を揮発させて凍結乾燥粉末を形成する工程と、
を含むホウ素錯体含有凍結乾燥粉末の形成方法。
【請求項8】
前記ジヒドロキシボリル化合物と前記糖類又は前記糖アルコールとを混合する場合、シアル酸、ノイラミン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、又はそれらの組み合わせを含む糖酸を混合して前記混合物を形成する工程を更に含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ジヒドロキシボリル化合物と前記糖類又は前記糖アルコールと前記糖酸とを混合する場合、前記糖類又は前記糖アルコールの添加量と前記ジヒドロキシボリル化合物の添加量との当量比は、1.0~1.5である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ジヒドロキシボリル化合物と前記糖アルコールと前記糖酸とを混合し、且つ前記糖アルコールがソルビトール及びマンニトールを含む場合、前記ソルビトールの添加量と前記マンニトールの添加量との重量比は、1:0.25~1:1.5であり、前記ジヒドロキシボリル化合物と前記糖アルコールと前記糖酸とを混合し、且つ前記糖アルコールがソルビトール及びキシリトールを含む場合、前記ソルビトールの添加量と前記キシリトールの添加量との重量比は、1:0.25~1:1.5である請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物のpH値は、7.0~7.6である請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記真空乾燥プロセスは、室温で、圧力が1Pa以下である環境下で行われる請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホウ素錯体含有凍結乾燥粉末及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホウ素含有薬物は、ホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy;BNCT)によって脳腫瘍等の悪性腫瘍を治療することができる。詳細には、この技術は、ホウ素含有薬物を腫瘍に局在化させ、腫瘍に中性子を照射してホウ素含有薬物の10Bと反応させ、放射物を生成することにより腫瘍細胞を殺す。細胞内の他の元素と比較して、10Bは中性子の吸収断面積(neutron cross section)が大きいため、周囲の細胞を傷つけることなく、ホウ素含有薬物で局在化された細胞をより選択的に殺すことができる。しかしながら、有効なホウ素中性子捕捉療法は、十分な数のホウ素含有薬物が局在化対象の悪性腫瘍に到達するように確保する必要がある。現在、ホウ素含有薬物は一般に不溶性であるため、使用の有効性が制限されており、また溶液から析出しやすいため保管も容易ではない。したがって、ホウ素含有薬物の溶解性を効果的に改善するための新しい形態のホウ素含有薬物及びその形成方法を開発する必要があり、その形成方法は、簡単且つ迅速であり、ホウ素含有薬物に害を及ぼさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、糖酸と、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体と、を含むホウ素錯体含有凍結乾燥粉末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの実施形態において、糖酸は、シアル酸、ノイラミン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、又はそれらの組み合わせを含む。
【0005】
幾つかの実施形態において、糖アルコールは、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、又はそれらの組み合わせを含む。
【0006】
幾つかの実施形態において、錯体は、第1の錯体及び第2の錯体を含み、第1の錯体は、ジヒドロキシボリル化合物とソルビトールにより形成され、第2の錯体は、ジヒドロキシボリル化合物とマンニトール又はキシリトールにより形成される。
【0007】
幾つかの実施形態において、凍結乾燥粉末は、非錯体のジヒドロキシボリル化合物を更に含み、プロトン核磁気共鳴スペクトルにおいて錯体と非錯体のジヒドロキシボリル化合物との水素積分比は5~25である。
【0008】
幾つかの実施形態において、水に溶解した凍結乾燥粉末のpH値は、7.4~7.8である。
【0009】
本開示はまた、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとを混合して、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体を含む混合物を形成する工程と、混合物を液体窒素に浸漬して、混合物を凍結させて予備凍結体を形成する工程と、真空乾燥プロセスを行って、予備凍結体中の水分を揮発させて凍結乾燥粉末を形成する工程と、を含むホウ素錯体含有凍結乾燥粉末の形成方法を提供する。
【0010】
幾つかの実施形態において、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとを混合する場合、シアル酸、ノイラミン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、又はそれらの組み合わせを含む糖酸を混合して混合物を形成する工程を更に含む。
【0011】
幾つかの実施形態において、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールと糖酸とを混合する場合、糖類又は糖アルコールの添加量とジヒドロキシボリル化合物の添加量との当量比は、1.0~1.5である。
【0012】
幾つかの実施形態において、ジヒドロキシボリル化合物と糖アルコールと糖酸とを混合し、且つ糖アルコールがソルビトール及びマンニトールを含む場合、ソルビトールの添加量とマンニトールの添加量との重量比は、1:0.25~1:1.5であり、ジヒドロキシボリル化合物と糖アルコールと糖酸とを混合し、且つ糖アルコールがソルビトール及びキシリトールを含む場合、ソルビトールの添加量とキシリトールの添加量との重量比は、1:0.25~1:1.5である。
【0013】
幾つかの実施形態において、混合物のpH値は、7.0~7.6である。
【0014】
幾つかの実施形態において、真空乾燥プロセスは、室温で、圧力が1Pa以下である環境下で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の添付図面を読む際には、以下の詳細な説明から本開示の様々な態様を理解することが推奨される。
【
図1】本開示の幾つかの実施形態によるホウ素錯体含有凍結乾燥粉末の形成方法のフローチャートである。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態によるホウ素錯体含有凍結乾燥粉末のプロトン核磁気共鳴スペクトル図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施形態によるホウ素錯体含有凍結乾燥粉末のプロトン核磁気共鳴スペクトル図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態によるホウ素錯体含有凍結乾燥粉末のプロトン核磁気共鳴スペクトル図である。
【
図5】本開示の幾つかの実施形態によるホウ素錯体含有凍結乾燥粉末のプロトン核磁気共鳴スペクトル図である。
【
図6A】本開示の幾つかの実施形態によるホウ素錯体含有凍結乾燥粉末の高速液体クロマトグラフィー図である。
【
図6B】本開示の幾つかの実施形態によるホウ素錯体含有凍結乾燥粉末の高速液体クロマトグラフィー図である。
【
図6C】本開示の幾つかの実施形態によるホウ素錯体含有凍結乾燥粉末の高速液体クロマトグラフィー図である。
【
図6D】本開示の幾つかの実施形態によるホウ素錯体含有凍結乾燥粉末の高速液体クロマトグラフィー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の説明をより詳細且つ完全にするために、以下、実施形態の態様及び具体的な実施形態について説明する。それは、本発明の実施形態を唯一の形式に制限するものではない。本開示の実施形態は、有益な場合、互いに結合又は置換することができ、更なる説明がない場合に他の実施形態を付加することができる。
【0017】
本開示において使用される「約」、「近似」、「近い」、「基本的に」又は「実質的に」等の前述の数値及び特徴は、当業者に理解できる数値及び特徴の偏差範囲を含む。例えば、数値及び特徴の誤差等を考慮して、前述の用語は、前述の数値の1つ又は複数の標準偏差内の値(例えば、±30%、±20%、±15%、±10%、又は±5%内の値)を表してもよいし、前述の特徴が実際の工程においてカバーする偏差を表してもよい(例えば、「実質的に平行」という記載は、理想的な意味での完全な平行ではなく、実際には平行に近いことを表してもよい)。また、全ての数値や特徴を1つの偏差範囲に適用するのではなく、測定性質や他の性質等に応じて許容できる偏差範囲を選択してよい。
【0018】
本開示は、ホウ素錯体含有凍結乾燥粉末を提供する。凍結乾燥粉末は、糖酸と、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体と、を含む。糖酸は、シアル酸(sialic acid)、ノイラミン酸(neuraminic acid)、グルクロン酸(glucuronic acid)、マンヌロン酸(mannuronic acid)、又はそれらの組み合わせを含む。本開示の凍結乾燥粉末中のホウ素含有錯体は、ホウ素含有薬物として、例えばホウ素中性子捕捉療法に適用でき、また、凍結乾燥粉末の溶解性がよく、例えば、凍結乾燥粉末の形態は、例えば少なくとも-20℃~25℃の温度で保存でき、例えば水で再溶解する際に1分間以内にすぐに溶解し、且つ清澄な溶液の状態を少なくとも5日間維持できる。また、本開示の凍結乾燥粉末中のホウ素含有錯体は、保存中に安定で変質しない。例えば、高速液体クロマトグラフィーで再溶解した凍結乾燥粉末のホウ素含有錯体を検出すると、純度が99%以上に達する。また、本開示の凍結乾燥粉末の再溶解後のpH値は生理学的適用範囲に適合し、例えばpH値が7.4~7.8であるため、例えば点滴液として、他の追加工程を必要とせずに直ちに使用することができる。次に、幾つかの実施形態に基づいて本開示のホウ素錯体含有凍結乾燥粉末を詳細に説明する。
【0019】
まず、ホウ素含有錯体について説明する。ホウ素含有錯体は、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体を含む。ホウ素含有錯体は、ジヒドロキシボリル化合物のジヒドロキシボリル基(dihydroxyboryl group、borono group又はホウ酸基、即ち、
【化1】
*は結合基である)と、糖類又は糖アルコールのヒドロキシル基とが脱水縮合反応により形成された錯体である。糖類及び糖アルコールは、ジヒドロキシボリル化合物に結合した1個以上(例えば、3個であるが、本開示では、糖類及び糖アルコールにおけるジヒドロキシボリル化合物に結合するヒドロキシル基の数は制限されない。即ち、本開示の錯体は、糖類又は糖アルコールが1個、2個、3個、又はそれらの組み合わせのヒドロキシル基の数でジヒドロキシボリル化合物に結合する場合を含む)のヒドロキシル基を有してよいため、形成される錯体の三次元構造は水分子を良好に被覆するか、又は水分子に被覆されることにより、ホウ素含有錯体の溶解性が向上する。幾つかの実施形態において、それらの錯体のプロトン核磁気共鳴スペクトルにおける第1の化学シフトは、ピーク値が7.30ppm~7.55ppm、例えば7.30ppm、7.35ppm、7.40ppm、7.45ppm、7.50ppm、又は7.55ppm等にあるものを含み、この間にあるピークの数は実質的に2つ又は4つを含んでよい。幾つかの実施形態において、それらの錯体のプロトン核磁気共鳴スペクトルにおける第2の化学シフトは、ピーク値が7.00ppm~7.19ppm、例えば7.00ppm、7.05ppm、7.10ppm、7.15ppm又は7.19ppm等にあるものを含み、この間にあるピークの数は実質的に2つを含んでよい。
【0020】
次に、ジヒドロキシボリル化合物について説明する。ジヒドロキシボリル化合物は、錯体を形成することにより凍結乾燥粉末の溶解性を向上させるためのジヒドロキシボリル基を有するほか、例えばホウ素含有薬物とした場合に病巣への親和性を向上させるための、例えばベンゼン環、アミノ基等の構造を有する。幾つかの実施形態において、好ましいジヒドロキシボリル化合物は、ジヒドロキシボリルフェニルアラニン(boronophenylalanine;BPA)、ジヒドロキシボリルトリプトファン(boronotryptophan;BT)、4-(ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)フェニルボロン酸(4-(benzo[d]thiazol-2-yl) phenylboronic acid;BTPB)、又はそれらの組み合わせを含む。ジヒドロキシボリルフェニルアラニンは、下記式(1)(即ち、4-BPA)、又は(2)(即ち、3-BPA)のような構造を有する。
【化2】
ジヒドロキシボリルトリプトファンは、下記式(3)(即ち6-BT)、又は(4)(即ち5-BT)のような構造を有する。
【化3】
4-(ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)フェニルボロン酸は、下記式(5)のような構造を有する。
【化4】
幾つかの実施形態において、凍結乾燥粉末は、糖類及び糖アルコールと錯体を形成しない、非錯体のジヒドロキシボリル化合物を更に含む。幾つかの実施形態において、非錯体のジヒドロキシボリル化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルにおける第3の化学シフトは、ピーク値が7.56ppm~7.75ppm、例えば7.56ppm、7.60ppm、7.65ppm、7.70ppm又は7.75ppm等にあるものを含み、且つその間にあるピークの数は実質的に2つを含んでよい。幾つかの実施形態において、非錯体のジヒドロキシボリル化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルにおける第4の化学シフトは、ピーク値が7.20ppm~7.29ppm、例えば7.20ppm、7.25ppm又は7.29ppm等にあるものを含み、この間にあるピークの数は実質的に2つを含んでよい。幾つかの実施形態において、プロトン核磁気共鳴スペクトルにおいて、錯体の第1の化学シフトと非錯体のジヒドロキシボリル化合物の第3の化学シフトとの水素積分比は5~25であり、例えば、5、8、10、12、15、18、21、又は25等である。水素積分比は、凍結乾燥粉末中の全ての錯体の水素数と錯体を形成していない全てのジヒドロキシボリル化合物の水素数との比に相当する。水素積分比が前述の範囲にあると、凍結乾燥粉末が良好な溶解性を有し、且つホウ素含有薬物としても良好な有効性を有する。幾つかの実施形態において、ジヒドロキシボリル化合物及びその形成された錯体において、少なくとも20%以上のホウ素は
10Bである。
【0021】
次に、糖類及び糖アルコールについて説明する。幾つかの実施形態において、糖類は、フルクトース(fructose)、マンノース(mannose)、又はそれらの組み合わせを含む。4-BPAを例として、4-BPAとフルクトースにより形成される錯体は、以下の式(6)のような構造を有することができる。
【化5】
幾つかの実施形態において、糖アルコールは、ソルビトール(sorbitol)、キシリトール(xylitol)、マンニトール(mannitol)、又はそれらの組み合わせを含む。4-BPAを例として、4-BPAとソルビトールにより形成される錯体は、以下の式(7)のような構造を有することができる。
【化6】
OとHとの間の破線は水素結合を示す。
4-BPAを例として、4-BPAとキシリトールからなる錯体は、下記式(8)のような構造を有することができる。
【化7】
OとHとの間の破線は水素結合を示す。
幾つかの実施形態において、好ましくは、糖アルコールは、ソルビトールとキシリトールとの組み合わせを含み、それにより錯体は、ジヒドロキシボリル化合物とソルビトールにより形成される第1の錯体(例えば、上記式(7)を含む)と、ジヒドロキシボリル化合物とキシリトールにより形成される第2の錯体(例えば、上記式(8)を含む)とを含み、凍結乾燥粉末は、より速く清澄状態に再溶解し、且つ溶液をより長い時間で清澄状態に維持することができる。幾つかの実施形態において、凍結乾燥粉末における第1の錯体と第2の錯体とのモル比は、好ましくは1:0.29~1:1.8、例えば、1:0.29、1:0.6、1:0.9、1:1.2、1:1.5、又は1:1.8等である。幾つかの実施形態において、好ましくは、糖アルコールは、ソルビトールとマンニトールとの組み合わせを含み、それにより錯体は、ジヒドロキシボリル化合物とソルビトールにより形成される第1の錯体(例えば、上記式(7)を含む)と、ジヒドロキシボリル化合物とマンニトールにより形成される第3の錯体(別途図示せず)とを含み、凍結乾燥粉末は、より速く清澄状態に再溶解し、且つ溶液をより長い時間で清澄状態に維持することができる。幾つかの実施形態において、凍結乾燥粉末における第1の錯体と第3の錯体とのモル比は、好ましくは1:0.25~1:1.5、例えば、1:0.25、1:0.5、1:0.75、1:1、1:1.25、又は1:1.5等である。
【0022】
次に、糖酸について説明する。糖酸は、シアル酸(例えば、N-アセチルノイラミン酸、2-ケト-3-デオキシノヌロン酸、又はそれらの類似体及びそれらの組み合わせ等)、ノイラミン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、又はそれらの組み合わせを含み、それは糖類に由来し、カルボキシル基を有する化合物である。糖酸は、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールにより形成される錯体及び/又は非錯体のジヒドロキシボリル化合物との間で水素結合を有することができるため、凍結乾燥粉末の溶解性が更に向上する。4-BPAを例として、4-BPAとシアル酸との間の水素結合は、理論計算により以下の式(9)のような構造を有することが証明される。
【化8】
また、糖酸は、凍結乾燥粉末のpH値を調整することもできる。幾つかの実施形態において、水に溶解した凍結乾燥粉末のpH値は、好ましくは7.4~7.8であり、例えば、7.4、7.5、7.6、7.7、又は7.8等である。
【0023】
本開示の凍結乾燥粉末は、凍結及び昇華乾燥により形成される(詳細は後述の方法を参照)ため、ある程度の結晶形態を有する。幾つかの実施形態において、凍結乾燥粉末は、嵩高な固体であり、粒子はふっくらしていて崩壊しない。幾つかの実施形態において、凍結乾燥粉末の粒子径(高解像度熱電界放出走査型電子顕微鏡による測定)は、好ましくは50μm~140μm、例えば50μm、80μm、110μm、又は140μm等である。
【0024】
また、本開示は、ホウ素錯体含有凍結乾燥粉末の形成方法を提供する。方法は、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとを混合して、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体を含む混合物を形成する工程と、混合物を液体窒素に浸漬して、混合物を凍結させて予備凍結体を形成する工程と、真空乾燥プロセスを行って、予備凍結体中の水分を揮発させて凍結乾燥粉末を形成する工程と、を含む。本開示の方法により形成された凍結乾燥粉末の利点は、上記を参照してよい。これに加えて、本開示の方法は、簡単、迅速、且つ実行が容易であり、それによりコストが削減され、収率が向上する。以下、幾つかの実施形態に基づいて本開示の方法を詳細に説明する。
【0025】
図1の方法100における工程101を参照し、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとを混合して、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとの脱水縮合反応により形成された錯体を含む混合物を形成する。幾つかの実施形態において、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとを混合する場合、糖酸を混合する工程を更に含み、糖酸は、シアル酸、ノイラミン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、又はそれらの組み合わせを含み、糖アルコールの添加量と糖酸の添加量との重量比は、2:1~7:1、例えば2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、又は7:1等であってよい。ジヒドロキシボリル化合物、糖類、糖アルコール及び糖酸に関する記述については、上記を参照されたい。幾つかの実施形態において、アルカリ性の水溶液中でジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとを混合してから、アルカリ性の水溶液に例えば糖酸を含む酸性物質等を加えて混合を行うため、ジヒドロキシボリル化合物のジヒドロキシボリル基のホウ素は、アルカリ性の水溶液中のOH
-と先に結合してマイナスに帯電し、それにより、このような構造で錯体を形成しやすく、且つ錯体を形成した後に酸性物質を加えることで溶液を所望のpH値を有する混合液に調整することができる。例えば、4-BPAは、アルカリ性の水溶液中で、以下の反応式により、ホウ素がマイナスに帯電した構造(反応式の右側の構造)を形成し、この構造により、本開示の錯体(例えば、上記式(6)、式(7)、又は式(8)等を有する構造)を更に形成することができる。
【化9】
幾つかの実施形態において、アルカリ性の水溶液のpH値は、好ましくは8.3~8.7、例えば、8.3、8.4、8.5、8.6、又は8.7等である。幾つかの実施形態において、アルカリ性の水溶液は水酸化ナトリウム水溶液である。幾つかの実施形態において、酸性物質は、糖酸に加えて、塩酸、例えば1N塩酸、3N塩酸、6N塩酸、又はそれらの組み合わせを更に含んでよい。幾つかの実施形態において、高濃度(例えば6N)の塩酸を加えてから、糖酸又は糖酸と低濃度(例えば3N)の塩酸との組み合わせを加えることで、混合物のpH値をより正確に調整する。幾つかの実施形態において、混合物のpH値は、好ましくは7.0~7.6、例えば、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、又は7.6等である。幾つかの実施形態において、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコール(又は糖酸を更に含む)とを混合する際に、ボルテックスシェーカーを用いて混合を補助することができる。
【0026】
工程101の説明を続ける。幾つかの実施形態において、ジヒドロキシボリル化合物と糖類又は糖アルコールとを混合する場合、糖類又は糖アルコールの添加量とジヒドロキシボリル化合物の添加量との当量比は、好ましくは1.0~1.5、例えば1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、又は1.5等である。幾つかの実施形態において、ジヒドロキシボリル化合物と糖アルコールとを混合し、且つ糖アルコールがソルビトール及びキシリトールを含む(よって、凍結乾燥粉末がソルビトールとキシリトールにより形成される錯体を含む)場合、ソルビトールの添加量とキシリトールの添加量との重量比は、好ましくは1:0.25~1:1.5、例えば、1:0.5、1:0.75、1:1、1:1.25、又は1:1.5等であり、それにより最終的に形成された凍結乾燥粉末は、より速く清澄状態に再溶解し、且つ溶液をより長い時間で清澄状態に維持することができる。幾つかの実施形態において、ジヒドロキシボリル化合物と糖アルコールとを混合し、且つ糖アルコールがソルビトール及びマンニトールを含む(よって、凍結乾燥粉末がソルビトールとマンニトールにより形成される錯体を含む)場合、ソルビトールの添加量とマンニトールの添加量との重量比は、好ましくは1:0.25~1:1.5、例えば、1:0.5、1:0.75、1:1、1:1.25、又は1:1.5等であり、それにより最終的に形成された凍結乾燥粉末は、より速く清澄状態に再溶解し、且つ溶液をより長い時間で清澄状態に維持することができる。幾つかの実施形態において、工程101は、混合物を形成した後、細孔径が約0.22μmの濾過膜で混合物を濾過することで除菌(例えば、エンドトキシン等)の作用を達成することを更に含む。
【0027】
図1の方法100における工程102を参照し、工程101で得られた混合物を液体窒素に浸漬して混合物を急速に凍結し、混合物を工程103で使用される予備凍結体として準備する。幾つかの実施形態において、液体窒素が約-196℃の極めて低い温度を有するため、工程102で浸漬を行うのに必要な時間は、5分間~10分間だけ、例えば、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、又は10分間等である。工程102を完了して得られた予備凍結体の組成は混合物の組成と実質的に同じであり、予備凍結体は結晶の形態であり、且つ予備凍結体自体の温度は少なくとも-170℃以下である。工程102の実行は、混合物及び予備凍結体の組成を汚染することがなく、混合物及び予備凍結体を損傷して分解及び/又は他の組成に転化することもない。例えば、高速液体クロマトグラフィーで凍結乾燥粉末を検出する時に錯体の純度が高く(例えば、99%に達する)、錯体の分解及び/又は他の物質への転化から生じる可能性のあるフェニルアラニン、チロシン等の対応するピークも検出されない。
【0028】
図1の方法100における工程103を参照し、真空乾燥プロセスを行い、工程102で得られた予備凍結体中の水分を揮発させ、予備凍結体から水分を完全に脱着させて凍結乾燥粉末を形成する。凍結乾燥粉末の詳細な説明は、上記に開示されている。幾つかの実施形態において、工程103は、追加の工程と待ち時間を必要とせずに、工程102を完了した後に直接行われ、即ち、工程102と工程103との間の間隔時間は、実際の工程による時間差を除いて実質的にゼロに等しい。幾つかの実施形態において、真空乾燥プロセスは、圧力が1Pa以下且つ0Paより大きい、例えば0.05Pa~1Pa、例えば0.05Pa、0.1Pa、0.11Pa、0.5Pa、又は1Pa等のプロセス環境で行われる。幾つかの実施形態において、真空乾燥プロセスは、例えば20℃~30℃、例えば20℃、22℃、24℃、26℃、28℃、又は30℃等の室温で行われる。幾つかの実施形態において、真空乾燥プロセスの総プロセス時間は、18時間~26時間、例えば、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、24時間、又は26時間である。幾つかの実施形態において、真空乾燥プロセスを行って形成された凍結乾燥粉末の収率は50%~80%である。幾つかの実施形態において、凍結乾燥粉末を形成する真空乾燥プロセスは、連続的で中断のないプロセスである。工程103では水分を揮発させるだけでなく、水分を予備凍結体から完全に脱着させるため、本開示は、工程103が完了した後、脱着に関する追加の乾燥プロセスを行う必要がない。幾つかの実施形態において、工程103は、真空乾燥プロセスにより形成された凍結乾燥粉末に対して研磨プロセスを行って、所望の粒子径に適合する凍結乾燥粉末を形成することを更に含む。工程103が完了した後、凍結乾燥粉末を、他の工程を必要とせずに、少なくとも-20℃~25℃(例えば、-20℃、-10℃、0℃、4℃、10℃、20℃、又は25℃等)の温度で直接保存してよく、それは変質しにくく、更に、少なくとも-20℃~20℃の温度で少なくとも3年保存しても変質しない。
【0029】
次に、幾つかの詳細な実施例に基づいて本開示の凍結乾燥粉末及び方法を説明する。なお、以下の詳細な実施例は、当業者に本開示をより理解させるためのものであり、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例0030】
実施例E1、実施例E2、実施例E3、実施例E4、実施例E5、実施例E6、実施例E7、実施例E8、及び実施例E9において、1mLの0.15N水酸化ナトリウム水溶液を5mLのEppendorf Tube(登録商標)に吸引管で2回吸引し、Eppendorf Tube(登録商標)に60mgの4-BPA及び64mgの糖類又は糖アルコールを加え(各実施例で実際に加える種類は表1を参照)、続いて、ボルテックスシェーカーを10分間使用して4-BPAと糖類又は糖アルコールとの混合を補助し、清澄な溶液を形成し、更に、Eppendorf Tube(登録商標)に5μL~8μLの6N塩酸と2μL~5μLのシアル酸と3N塩酸との組み合わせを加えることで、必要に応じて各実施例の混合物のpH値を調整する(各実施例の混合物の実際のpH値は表1を参照)。混合物を細孔径0.22μmの濾過膜で濾過した後、Eppendorf Tube(登録商標)に入れ、液体窒素の入ったデュワー瓶に5分間~10分間浸漬して予備凍結体を得る。予備凍結体に、圧力0.1Pa温度20℃で18時間、及び温度25℃で6時間の真空乾燥プロセスを行って凍結乾燥粉末を形成する。次に、凍結乾燥粉末は、約-20℃の温度で約1ヶ月保存した後、水で再溶解したら、実施例E1~実施例E9ではいずれも清澄状態に速く再溶解し、且つ溶液を長い時間で清澄状態に維持することができることが分かり、また、プロトン核磁気共鳴スペクトル測定により、錯体の第1の化学シフトと錯体を形成していない4-BPAの第3の化学シフトの水素積分比がいずれもかなり高いことが見られ、凍結乾燥粉末の良好な溶解性表現に対応する。実施例E1~実施例E9の錯体の第1の化学シフト及びその水素積分、錯体を形成していない4-BPAの第3の化学シフト及びその水素積分、並びに第1の化学シフトと第3の化学シフトとの水素積分比は表1にまとめている。実施例E1、実施例E4、実施例E8、及び実施例E9のプロトン核磁気共鳴スペクトル図はそれぞれ、
図2、
図3、
図4及び
図5に示され、その他の実施例のプロトン核磁気共鳴スペクトル図は、本開示を簡略化するために別途示されない。また、実施例E1~実施例E9で再溶解した凍結乾燥粉末は、高速液体クロマトグラフィーで検出した時にも錯体のピークに分裂や不純物等が見られず、それは凍結乾燥粉末の安定性が高く、長い時間保存しても変質しないことを示す。実施例E3、実施例E8及び実施例E9の高速液体クロマトグラフィーの図はそれぞれ、
図6A、
図6B及び
図6Cに示され、その他の実施例の高速液体クロマトグラフィーの図は、本開示を簡略化するために別途示されない。
【0031】
【0032】
実施例E10、実施例E11、実施例E12及び実施例E13の工程は実施例E1~実施例E9と実質的に同じであるが、凍結乾燥粉末は25℃の温度で約1ヶ月保存した後に水で再溶解する。また、実施例E10~実施例E13の対応パラメータは表2に示す。実施例E10~実施例E13の凍結乾燥粉末も、清澄状態に速く再溶解し、且つ溶液を長い時間で清澄状態に維持することができ、また、プロトン核磁気共鳴スペクトル測定により、錯体の第1の化学シフトと錯体を形成していない4-BPAの第3の化学シフトの水素積分比もかなり高いことが見られ、凍結乾燥粉末の良好な溶解性表現に対応する。実施例E10~実施例E13のプロトン核磁気共鳴スペクトル図は、本開示を簡略化するために別途示されない。また、実施例E10~実施例E13で再溶解した凍結乾燥粉末は、高速液体クロマトグラフィーで検出した時にも錯体のピークに分裂や不純物等が見られず、それは凍結乾燥粉末の安定性が高く、長い時間保存しても変質しないことを示す。実施例E12の高速液体クロマトグラフィー図は
図6Dに示され、その他の実施例の高速液体クロマトグラフィー図は、本開示を簡略化するために別途示されない。
【0033】
【0034】
上記実施例E1~実施例E13も、より多くの凍結乾燥粉末を製造するように工程を繰り返し、同様に良好な溶解性及び安定性を有する凍結乾燥粉末を得る。詳細には、より多くの凍結乾燥粉末を製造するために、2mLの0.15N水酸化ナトリウム水溶液を34mLの0.15N水酸化ナトリウム水溶液に変更し、5mLのEppendorf Tube(登録商標)を50mLのビーカーに変更し、60mgの4-BPAを1.2gの4-BPAに変更し、表1及び表2に対応する64mgの糖類又は糖アルコールを表1及び表2に対応する1.28gの糖類又は糖アルコールに変更し、6N塩酸及びシアル酸と3N塩酸との組み合わせを必要に応じて表1及び表2に対応するpH値に調整するが、その他の工程は上記実施例E1~実施例E13と実質的に同じである。
【0035】
本開示の凍結乾燥粉末は、乾燥粉末の形態であるため、包装重量及び体積を減少させ、凍結乾燥粉末の保存、輸送及び管理をより容易に実施することができる。本開示の凍結乾燥粉末は更に、良好な溶解性及び安定性を有し、例えば、凍結乾燥粉末の形態は、低温から室温まで長期間保存しても変質せず、また、例えば水で再溶解する時に速く溶解し、且つ溶液の清澄状態を長期間維持することができる。本開示の凍結乾燥粉末は更に、再溶解したら溶液のpH値を生理学的適用範囲に適合するため、凍結乾燥粉末はホウ素含有薬物としてより使用しやすい。また、本開示の方法は、簡単、迅速、且つ実行が容易であり、収率が高く、純度が高く、大量に製造できるため、関連コストが削減される。
【0036】
本開示は、幾つかの実施形態で詳細に説明されたが、他の実施形態も実施可能であり、よって、本開示に含まれる実施形態の説明で添付の特許請求の範囲の範囲及び精神を制限すべきではない。当業者にとって、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、本開示に対して修正や変更を行うことができる。それら修正や変更は、特許請求の範囲の範囲及び精神に含まれる限り、本開示の内容に含まれる。