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特開2024-132864多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132864
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/08 20060101AFI20240920BHJP
   G01F 1/78 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01N15/08 C
G01F1/78
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217063
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】202310257044.1
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】鐘 偉
(72)【発明者】
【氏名】胡 雲天
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035JA01
(57)【要約】
【課題】簡単で便利であり、所要時間が短く、多孔質媒体の透過係数および慣性係数を同時に測定することができる、多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置および方法を提供する。
【解決手段】前記測定装置は多孔質媒体固定装置、小容器タンクおよび大容器タンクから構成され、多孔質媒体固定装置は両端を貫通する密閉収容空洞を備え、密閉収容空洞内に多孔質媒体が収容され、密閉収容空洞の両端は、それぞれ開閉弁を介して小容器タンクおよび大容器タンクに接続され、小容器タンクに圧力を測定するための第1圧力センサが取り付けられ、大容器タンクに圧力を測定するための第2圧力センサが取り付けられている。2つの容器タンク間に圧力差が発生して小容器タンク内のガスが大容器タンクに向かって流れるように、小容器タンクおよび大容器タンクのそれぞれに異なるガス源および/または異なる真空発生器が接続されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質媒体固定装置(1)、小容器タンク(3)および大容器タンク(12)から構成され、
多孔質媒体固定装置(1)は両端を貫通する密閉収容空洞を備え、密閉収容空洞内に多孔質媒体(1-3)が収容され、密閉収容空洞の両端は、それぞれ開閉弁を介して小容器タンク(3)および大容器タンク(12)に接続され、
小容器タンク(3)に圧力を測定するための第1圧力センサ(7)が取り付けられ、大容器タンク(12)に圧力を測定するための第2圧力センサ(9)が取り付けられ、
2つの容器タンク間に圧力差が発生し、小容器タンク(3)内のガスが大容器タンク(12)に向かって流れるように、容器タンク(3)および大容器タンク(12)のそれぞれに異なるガス源および/または異なる真空発生器が接続されている、ことを特徴とする多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置。
【請求項2】
大容器タンク(12)の容積は、小容器タンク(3)の容積の10~15倍である、ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置。
【請求項3】
多孔質媒体固定装置(1)は、中空ゴム(1-2)および2つのエンドキャップ(1-1)を有しており、中空ゴム(1-2)の内部空洞は、2つのエンドキャップ(1-1)に予め設けられた孔とともに密閉収容空洞を形成しており、多孔質媒体(1-3)は中空ゴム(1-2)に包囲され、2つのエンドキャップ(1-1)は中空ゴム(1-2)に圧力を加えて密閉を達成する、ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置を使用する、多孔質媒体の流量特性パラメータの測定方法であって、
(1)小容器タンク(3)と大容器タンク(12)が連通した後でガスが流れなくなったとき、2つの容器タンク内部の圧力平衡点を[数1]に基づいて計算するステップと、
[数1]
(P’:2つの容器タンク平衡時の圧力、P:小容器タンク(3)の初期圧力、V:小容器タンク(3)の容積、P:大容器タンク(12)の初期圧力、V:大容器タンク(12)の容積)
(2)2つの容器タンクが設定圧力に達し、小容器タンク(3)の初期圧力が大容器タンク(12)の初期圧力よりも高くなるように、小容器タンク(3)に接続されたガス源を使用してガスを供給し、大容器タンク(12)に接続されたガス源または真空発生器を使用してガス供給/ガス吸引を行い、
小容器タンク(3)内のガスが大容器タンク(12)に向かって流れるように、前記開閉弁を操作し、第1圧力センサ(7)の圧力測定値がP、第2圧力センサ(9)の測定値がPであり、
温度の影響が無視される条件下で、ガス状態方程式および2つの容器タンクの圧力変化曲線に従って、小容器タンク(3)から流出するガス質量流量Gおよび大容器タンク(12)に流入するガス質量流量Gを[数2]及び[数3]に基づいてそれぞれ求めるステップと、
[数2]
(G:小容器タンク(3)から流出するガス質量流量、T:小容器タンク(3)の内部温度)
[数3]
(G:大容器タンク(12)に流入するガス質量流量、T:大容器タンク(12)の内部温度)
(3)多孔質媒体(1-3)の両端の圧力差が0~2kPaであるとき、透過係数Kを計算するステップであって、
圧力平衡点に基づいて圧力差0~2kPaの範囲内の各点の圧力差を計算し、透過係数Kの計算式が、
[数4]
であるステップと、
(K:透過係数、μ:空気粘度、R:ガス定数、L:多孔質媒体(1-3)の長さ、φ:多孔質媒体(1-3)の気孔率、A:多孔質媒体(1-3)の表面積、P:圧力差0~2kPaの範囲内の各圧力差点)
(4)多孔質媒体(1-3)の両端の圧力差が10~300kPaであるとき、慣性係数βを計算するステップであって、
2つの容器タンクの温度および圧力変化の影響を総合的に考慮し、圧力差範囲10kPa<Pa-Pb<300kPaの場合、まず複数の同じ圧力差の時点に対応するGとGの比率処理を行って得られた比率の圧力差変化曲線を
[数5]
とし、(ΔP:多孔質媒体の両端の圧力差、a,b,z:比率曲線フィッティング係数)
次に、f(ΔP)を平滑化処理して曲線f’(ΔP)を得て、曲線f’(ΔP)をG(ΔP)/G(ΔP)の新しい比率曲線とし、
最後に、G(ΔP)f’(ΔP)を、圧力差10~300kPaの範囲内で慣性係数βを計算するための質量流量Gとして使用し、[数6]に基づいて慣性係数βを計算するステップと、
[数6]
を含む、ことを特徴とする多孔質媒体の流量特性パラメータの測定方法。
【請求項5】
[数7]
を満たす場合、多孔質媒体(1-3)の両端の圧力差が0~2kPaの範囲内であると見なす、ことを特徴とする請求項4に記載の多孔質媒体の流量特性パラメータの測定方法。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置を使用する、多孔質媒体の流量特性パラメータの測定方法であって、
(1)小容器タンク(3)および大容器タンク(12)を連通した後でガスが流れなくなったとき、2つの容器タンク内部圧力の平衡点を[数1]に基づいて計算するステップと、
[数1]
(P’:2つの容器タンク平衡時の圧力、P:小容器タンク(3)の初期圧力、V:小容器タンク(3)の容積、P:大容器タンク(12)の初期圧力、V:大容器タンク(12)の容積)
(2)2つの容器タンクが設定圧力に達し、小容器タンク(3)の初期圧力が大容器タンク(12)の初期圧力よりも高くなるように、小容器タンク(3)に接続された真空発生器を使用してガス吸引し、大容器タンク(12)に接続された真空発生器を使用してガス吸引し、
小容器タンク(3)内のガスが大容器タンク(12)に向かって流れるように、前記開閉弁を操作し、第1圧力センサ(7)の圧力測定値がP、第2圧力センサ(9)の測定値がPであり、
温度の影響が無視される条件下で、ガス状態方程式および2つの容器タンクの圧力変化曲線に従って、小容器タンク(3)から流出するガス質量流量Gおよび大容器タンク(12)に流入するガス質量流量Gを[数2]及び[数3]に基づいてそれぞれ求めるステップと、
[数2]
(G:小容器タンク(3)から流出するガス質量流量、T:小容器タンク(3)の内部温度)
[数3]
(G:大容器タンク(12)に流入するガス質量流量、T:大容器タンク(12)の内部温度)
(3)多孔質媒体(1-3)の両端の圧力差が0~2kPaであるとき、透過係数Kを計算するステップであって、
圧力平衡点に基づいて圧力差0~2kPaの範囲内の各点の圧力差を計算し、透過係数Kの計算式が、
[数4]
であるステップと、
(K:透過係数、μ:空気粘度、R:ガス定数、L:多孔質媒体(1-3)の長さ、φ:多孔質媒体(1-3)の気孔率、A:多孔質媒体(1-3)の表面積、P:圧力差0~2kPaの範囲内の各圧力差点)
(4)多孔質媒体(1-3)の両端の圧力差が10~100kPaであるとき、慣性係数βを計算するステップであって、
2つの容器タンク温度および圧力変化影響を総合的に考慮し、圧力差範囲10kPa<Pa-Pb<100kPaの場合、まず複数の同じ圧力差の時点に対応するGとGの比率処理を行って得られた比率の圧力差変化曲線を、
[数5]
とし、(ΔP:多孔質媒体両端の圧力差、a,b,z:比率曲線フィッティング係数)
次に、f(ΔP)を平滑化処理して曲線f’(ΔP)を得て、曲線f’(ΔP)をG(ΔP)/G(ΔP)の新しい比率曲線とし、
最後に、G(ΔP)f’(ΔP)を、圧力差10~100kPaの範囲内で慣性係数βを計算するための質量流量Gとして使用し、[数6]に基づいて慣性係数βを計算するステップと、
[数6]
を含む、ことを特徴とする多孔質媒体の流量特性パラメータの測定方法。
【請求項7】
[数7]
を満たす場合、多孔質媒体(1-3)の両端の圧力差が0~2kPaの範囲内であると見なす、ことを特徴とする請求項6に記載の多孔質媒体の流量特性パラメータの測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質媒体の流量特性パラメータの測定に関し、具体的に、多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質媒体(例えば、バグフィルタ、活性炭、マイクロポーラスフィルタ等)は、多数の微小孔を有し、空気の濾過や吸入ウイルス粒子の低減等の目的で一般的に使用されている。疫病が流行した現代では、人々は健康に気を配るようになり、病気の蔓延を防いだり、アレルゲンの侵入に対抗したりするために、呼吸用ろ過マスクを着用する人の割合が急激に増加している。濾過コアは呼吸用マスクの核心部品で、本質的に多孔質媒体であり、有害物質をろ過する役割を果たすことができるが、マスクの多孔質媒体を通過する呼吸気体の流れは圧力損失を生じ、もし通気性の設計に問題があれば、長時間の着用は心肺疾患を患う人々に深刻な影響を与えるので、多孔質媒体の流動特性を正確に把握することは非常に重要である。多孔質体内を流れる気体の圧力損失と流量の関係は、流量が少ないとき、Darcy-Forchheimer法則で表され、流量が多くなるとき、Forchheimer法則で表される。透過係数と慣性係数はそれぞれ内部流動過程における2つの法則の重要なパラメータであり、特定の流量測定方法によって求める必要がある。既存の測定装置および方法は、CN212228680U、CN106932327Aなど、多孔質媒体の透過係数を測定するものがほとんどであり、慣性係数の測定が伴っておらず、さらに、透過係数測定方法は定常測定に基づいており、所要時間が長く、ガス消費量が大きい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、多孔質媒体の透過係数および慣性係数を同時かつ迅速に測定することができる装置および方法を提供することである。
【0004】
技術的解決策:多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置は、多孔質媒体固定装置、小容器タンクおよび大容器タンクから構成され、多孔質媒体固定装置は両端を貫通する密閉収容空洞を備え、密閉収容空洞内に多孔質媒体が収容され、密閉収容空洞の両端は、それぞれ開閉弁を介して小容器タンクおよび大容器タンクに接続され、小容器タンクに圧力を測定するための第1圧力センサが取り付けられ、大容器タンクに圧力を測定するための第2圧力センサが取り付けられ、2つの容器タンク間に圧力差が発生し、小容器タンク内のガスが大容器タンクに向かって流れるように、小容器タンクおよび大容器タンクのそれぞれに異なるガス源および/または異なる真空発生器が接続されている。
【0005】
さらに、大容器タンク容積は小容器タンク容積の10~15倍である。
【0006】
さらに、多孔質媒体固定装置は中空ゴムおよび2つのエンドキャップを有しており、中空ゴムの内部空洞は2つのエンドキャップに予め設けられた孔とともに密閉収容空洞を形成し、多孔質媒体は中空ゴムに包囲され、2つのエンドキャップは中空ゴム圧力を加えて密閉を達成する。
【0007】
多孔質媒体の流量特性パラメータの測定方法は、上記の多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置を使用する。
前記方法は、以下の複数のステップ(1)~(4)を含む。
【0008】
(1)小容器タンクおよび大容器タンクを連通した後でガスが流れなくなったとき、2つの容器タンク内部圧力の平衡点を[数1]に基づいて計算する。
[数1]
ここで、P’は2つの容器タンク平衡時の圧力を示し、Pは小容器タンクの初期圧力を示し、Vは小容器タンクの容積を示し、Pは大容器タンクの初期圧力を示し、Vは大容器タンクの容積を示す。
【0009】
(2)2つの容器タンクが設定圧力に達し、小容器タンクの初期圧力が大容器タンクの初期圧力よりも高くなるように、小容器タンクに接続されたガス源を使用してガスを供給し、大容器タンクに接続されたガス源または真空発生器を使用してガス供給/ガス吸引を行い、
小容器タンク内のガスが大容器タンクに向かって流れるように、開閉弁を操作し、第1圧力センサの圧力測定値がP、第2圧力センサの測定値がPであり、
温度の影響が無視される条件下で、ガス状態方程式および2つの容器タンクの圧力変化曲線に従って、小容器タンクから流出するガス質量流量Gおよび大容器タンクに流入するガス質量流量Gを[数2]及び[数3]に基づいてそれぞれ求める。
[数2]
[数3]
ここで、Gは小容器タンクから流出するガス質量流量を示し、Tは小容器タンク内部温度を示し、Gは大容器タンクに流入するガス質量流量を示し、Tは大容器タンクの内部温度を示す。
【0010】
(3)多孔質媒体両端の圧力差が0~2kPaであるとき、透過係数Kを計算する。
圧力平衡点に基づいて圧力差0~2kPaの範囲内の各点の圧力差を計算する。透過係数Kの計算式は、
[数4]
である。ここで、Kは透過係数を示し、μは空気粘度を示し、Lは多孔質媒体の長さを示し、Rはガス定数を示し、φは多孔質媒体の気孔率を示し、Aは多孔質媒体の表面積を示し、Pは圧力差0~2kPaの範囲内の各圧力差点を示す。
【0011】
(4)多孔質媒体両端の圧力差が10~300kPaであるとき、慣性係数βを計算する。
2つの容器タンク温度および圧力変化の影響を総合的に考慮し、圧力差範囲10kPa<P-P<300kPaの場合、まず複数の同じ圧力差の時点に対応するGとGの比率処理を行って得られた比率の圧力差変化曲線を、
[数5]
とする。ここで、ΔPは多孔質媒体両端の圧力差であり、a、b、zは比率曲線フィッティング係数である。
次に、f(ΔP)を平滑化処理して曲線f’(ΔP)を得て、曲線f’(ΔP)をG(ΔP)/G(ΔP)の新しい比率曲線とする。
最後に、G(ΔP)f’(ΔP)を、圧力差10~300kPaの範囲内で慣性係数βを計算する質量流量Gとして使用し、[数6]に基づいて慣性係数βを計算する。
[数6]
【0012】
さらに、
[数7]
を満たす場合、多孔質媒体両端の圧力差が0~2kPaであると見なす。
【0013】
別の観点において、多孔質媒体の流量特性パラメータの測定方法は、上記の多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置を使用する。
前記方法は、以下の複数のステップ(1)~(4)を含む。
【0014】
(1)小容器タンクおよび大容器タンクを連通した後でガスが流れなくなったとき、2つの容器タンク内部圧力の平衡点を[数1]に基づいて計算する。
[数1]
ここで、P’は2つの容器タンク平衡時の圧力を示し、Pは小容器タンクの初期圧力を示し、Vは小容器タンクの容積を示し、Pは大容器タンクの初期圧力を示し、Vは大容器タンクの容積を示す。
【0015】
(2)2つの容器タンクが設定圧力に達し、小容器タンクの初期圧力が大容器タンクの初期圧力よりも高くなるように、小容器タンクに接続された真空発生器を使用してガス吸引し、大容器タンクに接続された真空発生器を使用してガス吸引し、
小容器タンク内のガスが大容器タンクに向かって流れるように、開閉弁を操作し、第1圧力センサの圧力測定値がP、第2圧力センサの測定値がPであり、
温度の影響が無視される条件下で、ガス状態方程式および2つの容器タンクの圧力変化曲線に従って、小容器タンクから流出するガス質量流量Gおよび大容器タンクに流入するガス質量流量Gを[数2]及び[数3]に基づいてそれぞれ求める。
[数2]
[数3]
ここで、Gは小容器タンクから流出するガス質量流量を示し、Tは小容器タンクの内部温度を示し、Gは大容器タンクに流入するガス質量流量を示し、Tは大容器タンクの内部温度を示す。
【0016】
(3)多孔質媒体両端の圧力差が0~2kPaであるとき、透過係数Kを計算する。
圧力平衡点に基づいて圧力差0~2kPaの範囲内の各点の圧力差を計算し、透過係数Kの計算式は、
[数4]
である。ここで、Kは透過係数を示し、μは空気粘度を示し、Lは多孔質媒体の長さを示し、Rはガス定数を示し、φは多孔質媒体の気孔率を示し、Aは多孔質媒体の表面積を示し、Pは圧力差0~2kPaの範囲内の各圧力差点を示す。
【0017】
(4)多孔質媒体両端の圧力差が10~100kPaであるとき、慣性係数βを計算する。
2つの容器タンク温度および圧力変化影響を総合的に考慮し、圧力差範囲10kPa<P-P<100kPaの場合、まず複数の同じ圧力差の時点に対応するGとGの比率処理を行って得られた比率の圧力差変化曲線を、
[数5]
とする。ここで、ΔPは多孔質媒体両端の圧力差であり、a、b、zは比率曲線フィッティング係数である。
次に、f(ΔP)を平滑化処理して曲線f’(ΔP)を得て、曲線f’(ΔP)をG(ΔP)/G(ΔP)の新しい比率曲線とする。
最後に、G(ΔP)f’(ΔP)を圧力差10~100kPaの範囲内で慣性係数βを計算する質量流量Gとして使用し、[数6]に基づいて慣性係数βを計算する。
[数6]
【0018】
さらに、
[数7]
を満たす場合、多孔質媒体両端の圧力差が0~2kPaであると見なす。
【0019】
有益な効果:先行技術と比較すると、本発明は以下の顕著な利点を有する。
(1)測定操作が簡単で便利であり、所要時間が短く、1回の実験で多孔質媒体の透過係数および慣性係数を同時に測定することができる。
(2)2つの容器タンクを使用してガス供給/ガス吸引を行うことにより、多孔質媒体の両端で異なる圧力試験条件を調整することができる。
(3)大容器タンクと小容器タンクを組み合わせて使用することにより、小容器タンクおよび大容器タンクの流出流入ガスの質量流量を処理した後、多孔質媒体を通過するガスの質量流量をより正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施例の技術的解決策をより明確に説明するために、以下、本発明の実施例で使用される必要のある添付図面を簡単に説明するが、明らかに、以下で説明される添付図面は本発明の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、これらの添付図面に基づいて他の添付図面を得ることができる。
【0021】
図1】本願の実施例1における多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置の構造概略図である。
図2】本願の実施例における多孔質媒体固定装置の構造概略図である。
図3図2のA-A方向断面図である。
図4】本願の実施例1における2つの容器タンク圧力の時間変化曲線図である。
図5】本願の実施例2における多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置の構造概略図である。
図6】本願の実施例2における2つの容器タンク圧力の時間変化曲線図である。
図7】本願の実施例3における多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置の構造概略図である。
図8】本願の実施例3における2つの容器タンク圧力の時間変化曲線図である。
図9】本願の実施例における2つの容器タンク流量と圧力差の関係の概略図である。
図10】透過係数と慣性係数を計算するための圧力差領域分割の概略図である。
図11】本願の実施例における多孔質媒体の流量特性パラメータの測定方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 多孔質媒体固定装置
1-1 エンドキャップ
1-2 中空ゴム
1-3 多孔質媒体
2 第1開閉弁
3 小容器タンク
4 第2開閉弁
5 第1ガス源
6 PCコンピュータ
7 第1圧力センサ
8 16ビットA/D収集ボード
9 第2圧力センサ
10 第3開閉弁
11 第2ガス源
12 大容器タンク
13 第4開閉弁
14 第1マフラー
15 第1真空発生器
16 第1減圧弁
17 第2減圧弁
18 第2真空発生器
19 第2マフラー
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例の添付図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決策を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明される実施例はすべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をすることなく得られた他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【0024】
<実施例1>
図1は、本願の実施例1が提供する多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置の構造概略図であり、該測定装置は、多孔質媒体固定装置1、小容器(小容量)タンク3、大容器(大容量)タンク12、PCコンピュータ6および16ビットA/D収集ボード8から構成される。
【0025】
図2および図3に示すように、多孔質媒体固定装置1は、中空ゴム1-2および2つのエンドキャップ1-1を有しており、中空ゴム1-2の内部空洞は、2つのエンドキャップ1-1に予め設けられた孔とともに両端を貫通する密閉収容空洞を形成している。多孔質媒体1-3は中空ゴム1-2に包囲され、2つのエンドキャップ1-1がボルトを介して接続されており、ボルトを用いて中空ゴム1-2圧力を加えて密閉を達成する。
【0026】
小容器タンク3および大容器タンク12は2つの容積が既知の容器タンクであり、大容器タンク12の容積は小容器タンク3の容積の10~15倍である。密閉収容空洞の一端が第1開閉弁2を介して小容器タンク3に接続され、他端が第4開閉弁13を介して大容器タンク12に接続されている。小容器タンク3に圧力を測定するためのレンジが大きい第1圧力センサ7が取り付けられ、大容器タンク12に圧力を測定するためのレンジが小さい第2圧力センサ9が取り付けられている。第1圧力センサ7および第2圧力センサ9はそれぞれ16ビットA/D収集ボード8を介してPCコンピュータ6に接続されている。
【0027】
小容器タンク3は第2開閉弁4を介して第1ガス源5に接続され、大容器タンク12は第3開閉弁10を介して第2ガス源11に接続されている。
【0028】
本実施例1では、第1圧力センサ7のレンジが0~300kPaであり、第2圧力センサ9のレンジが0~100kPaである。
【0029】
以下、実施例1に記載の測定装置を使用して多孔質媒体の流量特性パラメータを測定する方法を説明する。この方法は、図11に示すように、以下のステップを含む。
【0030】
(1)図4中の圧力平衡点を計算する。
圧力平衡点は、ガス状態方程式に従って導出できる。小容器タンク3内のガスの初期理想状態方程式は、
[数8]
である。ここで、Pは小容器タンク3の初期圧力を示し、Vは小容器タンク3の容積を示し、mは小容器タンク3の初期ガス質量を示し、Rはガス定数を示し、Tは小容器タンク3の初期温度を示す。
【0031】
大容器タンク12内のガスの初期理想状態方程式は、
[数9]
である。ここで、Pは大容器タンク12の初期圧力を示し、Vは大容器タンク12の容積を示し、mは大容器タンク12の初期ガス質量を示し、Tは大容器タンク12の初期温度を示す。
【0032】
2つの容器タンクの平衡時のガスの理想状態方程式は、
[数10]
である。ここで、P’は2つの容器タンク平衡時の圧力を示し、T’は2つの容器タンクの平衡時の温度を示す。そして、温度の影響が無視できる条件下では、以下の平衡圧力値P’が得られる。
[数1]
【0033】
(2)第2開閉弁4および第3開閉弁10を開いて第1ガス源5および第2ガス源11を使用し、2つの容器タンクが設定圧力に達するように小容器タンク3および大容器タンク12にそれぞれガスを供給する。このとき、小容器タンク3の初期圧力が大容器タンク12よりも高い必要があり、且つ、大、小容器タンクの圧力が対応する圧力センサのレンジ以下である必要がある。
【0034】
2つのガス源のガス供給を停止させ、多孔質媒体固定装置1の両端の第1開閉弁2および第4開閉弁13を開き、小容器タンク3内のガスが大容器タンク12に流れる。このとき、第1圧力センサ7と第2圧力センサ9を用いて、それぞれ16ビットA/D収集ボード8を介して小容器タンク3および大容器タンク12の圧力変化状況をPCコンピュータ6に記録する。第1圧力センサ7の検出圧力がP、第2圧力センサ12の検出圧力がPである。圧力変化曲線が図8に示される。
【0035】
温度の影響を無視できる条件下において、ガス状態方程式および2つの容器タンクの圧力変化曲線に従って、小容器タンク3から流出するガス質量流量および大容器タンク12に流入するガス質量流量をそれぞれ求める。その結果が図9に示される。
小容器タンク3から流出するガスの質量流量は、
[数2]
である。ここで、Gは小容器タンク3から流出するガス質量流量を示し、Tは小容器タンク3の内部温度を示す。
大容器タンク12に流入するガスの質量流量は、
[数3]
である。ここで、Gは大容器タンク12に流入するガス質量流量を示し、Tは大容器タンク12の内部温度を示す。
【0036】
(3)図10に示す小圧力差ΔPa(0~2kPa)の領域範囲内で、多孔質媒体ガスの質量流量から透過係数Kを計算する。
第1圧力センサ7の精度が低く(レンジが大きく、精度が低い)、Gが正確でないので、多孔質媒体を通過するガスのガス質量流量としてGを透過係数Kの計算に使用する。
[数7]
を満たす場合、多孔質媒体1-3の両端の圧力差が小圧力差0~2kPaの範囲内であると見なす。
圧力平衡点に基づいて小圧力差範囲内の各点の圧力差を計算する。透過係数Kの計算式は、
[数4]
である。ここで、Kは透過係数を示し、μは空気粘度を示し、Rはガス定数を示し、Lは多孔質媒体の長さを示し、φは多孔質媒体の気孔率を示し、Aは多孔質媒体の表面積を示し、Pは圧力差0~2kPaの範囲内の各圧力差点を示す。
【0037】
(4)図10に示すΔPb(10~300kPa)の大圧力差範囲内で、多孔質媒体を通過するガスの質量流量から慣性係数βを計算する。
大容器タンク12の体積が大きいため、ガスが流れるとき、温度変化が小さく、圧力変化が小さい。圧力変化が小さいと、第2圧力センサ9によって測定された圧力曲線が滑らかであるが、該圧力曲線変化範囲が小さく、計算されたGが正確でない。一方、小容器タンク3の体積が小さいため、温度および圧力変化が大きい。圧力変化が大きいと、第1圧力センサ7によって測定された圧力曲線が荒くなり、温度変化が大きいため、Gに対してGがより不正確である。したがって、温度および圧力変化影響を総合的に考慮し、大圧力差範囲10kPa<P-P<300kPaの場合、まず複数の同じ圧力差の時点に対応するGとGの比率処理を行う。得られた比率の圧力差変化曲線は、
[数5]
である。ここで、ΔPは多孔質媒体両端の圧力差であり、a、b、zは比率曲線フィッティング係数である。
次に、f(ΔP)を平滑化処理して曲線f’(ΔP)を得て、曲線f’(ΔP)をG(ΔP)/G(ΔP)の比率曲線とする。
最後に、G(ΔP)f’(ΔP)を、大圧力差範囲で慣性係数βを計算するための質量流量Gとして使用し、[数6]に基づいて慣性係数βを計算する。
[数6]
【0038】
<実施例2>
図5は、本願の実施例2が提供する多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置の構造概略図であり、実施例1に基づいて、第3開閉弁10と第2ガス源11間に第1真空発生器15および第1減圧弁16が追加され、第1真空発生器15に第1マフラー14が接続されている。第1真空発生器15は、大容器タンク12内で負圧を発生させるために使用される。
本実施例2では、第1圧力センサ7のレンジは0~300kPaであり、第2圧力センサ9のレンジは-100~0kPaである。図6は実施例2の2つの容器タンクの圧力変化曲線を示す。
【0039】
測定するとき、実施例1のステップ(2)では、小容器タンク3の内部に正圧を発生させ、大容器タンク12の内部に負圧を発生させた後、実施例1における以降のステップの操作を行い、以降のステップは実施例1と同様である。
【0040】
<実施例3>
図7は、本願の実施例3が提供する多孔質媒体の流量特性パラメータの測定装置の構造概略図であり、実施例2に基づいて、第2開閉弁4と第1ガス源5間に第2減圧弁17および第2真空発生器18が追加され、第2真空発生器18に第2マフラー19が接続されている。第2真空発生器18は小容器タンク3に負圧を発生させるために使用される。
【0041】
本実施例3では、第1圧力センサ7はレンジが-100~0kPaの圧力センサであり、第2圧力センサ9のレンジは-100~-50kPaである。図8は実施例3の2つの容器タンクの圧力変化曲線である。
【0042】
測定するとき、実施例1のステップ(2)では、2つの容器タンクの両端の真空発生器に負圧を発生させた後、実施例1の以降のステップの操作を行う。また、本実施例3で決定された大圧力差領域範囲は実施例と異なり、本実施例3では、慣性係数βを計算するとき、大圧力差範囲が10kPa<Pa-Pb<100kPaであると決定される。本実施例3の他のステップは実施例1と同様である。
【0043】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明の保護範囲はこれに限定されなく、本発明が開示する技術的範囲内で、当業者が容易に想到した変更や置換方式は、すべて本発明の保護範囲内に含まれる。したがって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11