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特開2024-132877p型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物、およびそれを用いた太陽電池の製造方法
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  • 特開-p型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物、およびそれを用いた太陽電池の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132877
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】p型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物、およびそれを用いた太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/225 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/225 D
H01L31/04 440
H01L21/225 R
H01L21/22 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006487
(22)【出願日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2023039385
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田邉 脩平
(72)【発明者】
【氏名】弓場 智之
(72)【発明者】
【氏名】橘 邦彦
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251CB20
(57)【要約】
【課題】不純物拡散層における残渣を抑制し、太陽電池のキャリア寿命を向上させることができる不純物拡散組成物を提供すること。
【解決手段】(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物、および、(C)界面活性剤を含有するp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物であって、(C)界面活性剤が(メタ)アクリル酸化合物の重合体を含むp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物、および、(C)界面活性剤を含有するp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物であって、(C)界面活性剤が(メタ)アクリル酸化合物の重合体を含むp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
【請求項2】
(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物が第13族元素を含む化合物を含む請求項1に記載のp型不純物拡散組成物。
【請求項3】
さらに(B)水酸基含有高分子を含む請求項2に記載のp型不純物拡散組成物。
【請求項4】
(B)水酸基含有高分子がポリビニルアルコールを含む請求項3に記載のp型不純物拡散組成物。
【請求項5】
前記ポリビニルアルコールのケン化度が20モル%以上70モル%以下である請求項4に記載のp型不純物拡散組成物。
【請求項6】
(メタ)アクリル酸化合物の重合体が下記一般式(1)で表される構造単位を50モル%以上含む請求項1~3のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
【化1】
(上記一般式(1)中、Aはエーテル基またはNR基を表す。Rは炭素数4~8の1価の有機基を表す。Rは水素またはメチル基を表す。Rは水素または炭素数1~3の1価の有機基を表す。)
【請求項7】
前記一般式(1)におけるRが炭素数4~8の1価の脂肪族炭化水素基である請求項6に記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
【請求項8】
前記一般式(1)におけるRがn-ブチル基である請求項7に記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
【請求項9】
さらにポリシロキサンを含む請求項1~3のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
【請求項10】
さらに1,3-プロパンジオールを含む請求項1~3のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
【請求項11】
さらにフィラーを含む請求項1~3のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
【請求項12】
2水準以上の異なる不純物濃度で不純物拡散層を形成する工程を含む太陽電池の製造方法であって、少なくとも1水準以上の不純物拡散層を形成する工程が、
請求項1~3のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物を半導体基板に塗布して部分的に不純物拡散組成物膜(a)を形成する工程と、
得られた不純物拡散組成物膜(a)を加熱して不純物を半導体基板に拡散させて不純物拡散層(b)を形成する工程と、
を含む太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記請求項1~3のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物を半導体基板に塗布する方法が、スクリーン印刷法である請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
不純物拡散組成物膜(a)をマスクとして不純物拡散組成物膜(a)未形成部分に不純物を拡散させる工程を含む請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記不純物拡散組成物膜(a)未形成部分に不純物を拡散させる工程が、不純物拡散成分を含む雰囲気中で加熱する工程である請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物、およびそれを用いた太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の製造において、p型またはn型の不純物拡散成分を含有した組成物(不純物拡散組成物)を基板上に塗布し、熱により拡散することによって不純物拡散層を形成する方法などが検討されている。かかる方法に適する不純物拡散組成物として、例えば、(メタ)アクリル系樹脂およびポリビニルアルコール系樹脂を含有してなるバインダー、ドーパントおよび溶媒を含むことを特徴とするドーパント拡散用塗布液(例えば、特許文献1参照)、ポリシロキサンと、不純物拡散成分と、を含有し、前記ポリシロキサンは、カルボキシル基およびジカルボン酸無水物構造のうち少なくとも一つを含有することを特徴とする不純物拡散組成物(例えば、特許文献2参照)、ポリビニルアルコールおよびポリエチレンオキサイドから選ばれる少なくとも1つの樹脂、溶媒、および第13族元素を含む化合物を含むp型不純物拡散組成物であって、組成物のpHが4~6.5であり、溶媒が、沸点110℃以上、210℃以下の有機溶媒と水とを含み、水の量が溶媒中の10~50質量%であることを特徴とするp型不純物拡散組成物(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-134558号公報
【特許文献2】国際公開第2018/21121号
【特許文献3】国際公開第2020/116270号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不純物拡散層を均一に形成するためには、スクリーン印刷法により不純物拡散組成物を塗布することが好ましい。しかしながら、従来公知の不純物拡散組成物をスクリーン印刷法により塗布すると、マスクのメッシュを通過する際に噛みこんだ泡に起因して、不純物拡散層において泡跡が炭素成分を主体とした残渣となり、太陽電池のキャリア寿命を低下させる課題があった。
【0005】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、不純物拡散層における残渣を抑制し、太陽電池のキャリア寿命を向上させることができるp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は主として以下の構成を有する。
<1>(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物、および、(C)界面活性剤を含有するp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物であって、(C)界面活性剤が(メタ)アクリル酸化合物の重合体を含むp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
<2>(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物が第13族元素を含む化合物を含む<1>に記載のp型不純物拡散組成物。
<3>さらに(B)水酸基含有高分子を含む<2>に記載のp型不純物拡散組成物。
<4>(B)水酸基含有高分子がポリビニルアルコールを含む<3>に記載のp型不純物拡散組成物。
<5>前記ポリビニルアルコールのケン化度が20モル%以上70モル%以下である<4>に記載のp型不純物拡散組成物。
<6>(メタ)アクリル酸化合物の重合体が下記一般式(1)で表される構造単位を50モル%以上含む<1>~<5>のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
【0007】
【化1】
【0008】
(上記一般式(1)中、Aはエーテル基またはNR基を表す。Rは炭素数4~8の1価の有機基を表す。Rは水素またはメチル基を表す。Rは水素または炭素数1~3の1価の有機基を表す。)
<7>前記一般式(1)におけるRが炭素数4~8の1価の脂肪族炭化水素基である<6>に記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
<8>前記一般式(1)におけるRがn-ブチル基である<7>に記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
<9>さらにポリシロキサンを含む<1>~<8>のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
<10>さらに1,3-プロパンジオールを含む<1>~<9>のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
<11>さらにフィラーを含む<1>~<10>のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物。
<12>2水準以上の異なる不純物濃度で不純物拡散層を形成する工程を含む太陽電池の製造方法であって、少なくとも1水準以上の不純物拡散層を形成する工程が、
<1>~<11>のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物を半導体基板に塗布して部分的に不純物拡散組成物膜(a)を形成する工程と、
得られた不純物拡散組成物膜(a)を加熱して不純物を半導体基板に拡散させて不純物拡散層(b)を形成する工程と、
を含む太陽電池の製造方法。
<13>前記<1>~<11>のいずれかに記載のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物を半導体基板に塗布する方法が、スクリーン印刷法である<12>に記載の太陽電池の製造方法。
<14>不純物拡散組成物膜(a)をマスクとして不純物拡散組成物膜(a)未形成部分に不純物を拡散させる工程を含む<12>または<13>に記載の太陽電池の製造方法。
<15>前記不純物拡散組成物膜(a)未形成部分に不純物を拡散させる工程が、不純物拡散成分を含む雰囲気中で加熱する工程である<14>に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物により、不純物拡散層における残渣を抑制し、太陽電池のキャリア寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の太陽電池の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物、およびこれを用いた太陽電池の製造方法の好適な実施形態を、必要に応じて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施形態により限定されるものではない。
【0012】
本発明のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物(以下、総称して「不純物拡散組成物」と記載する場合がある)は、(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物、および、(C)界面活性剤を含有する。(A)第13族元素を含む化合物または第15族元素を含む化合物は、不純物拡散層を形成するための成分であり、第13族元素を含む化合物はp型不純物拡散組成物に、第15族元素を含む化合物はn型不純物拡散組成物に用いられる。(C)界面活性剤は、不純物拡散組成物の塗布ムラを抑制する作用を有する一方、発泡しやすい傾向にあるものが多い。前述のとおり、不純物拡散組成物をスクリーン印刷法により塗布すると、マスクのメッシュを通過する際に噛みこんだ泡に起因して、不純物拡散層において泡跡が炭素成分を主体とした残渣となり、太陽電池のキャリア寿命を低下させる課題があった。本発明者らの検討によれば、かかる不純物拡散層における泡跡は、発生した泡が、(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物の影響により安定化され、不純物拡散層から抜けにくくなることに起因することが分かった。そこで、本発明においては、泡噛み抑制や泡抜け促進の観点から、(C)界面活性剤として(メタ)アクリル酸化合物の重合体を選択することを特徴とするものであり、(メタ)アクリル酸化合物の重合体を選択することにより、前述の泡の安定化を抑制し、印刷時の泡噛みの抑制や印刷後の泡抜けを促進し、不純物拡散層における炭素成分を主体とした残渣を抑制して太陽電池のキャリア寿命を向上させることができる。
【0013】
((A)第13族元素または第15族元素を含む化合物)
第13族元素を含む化合物としては、例えば、ホウ素化合物、アルミニウム化合物、ガリウム化合物などが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。これらの中でも、キャリアの生成しやすさの観点から、ホウ素化合物が好ましい。
【0014】
ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、三酸化二ホウ素、メチルボロン酸、フェニルボロン酸、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリフェニル等が挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。これらの中でも、ドーピング性の点から、ホウ酸、三酸化二ホウ素が好ましい。
【0015】
第15族元素を含む化合物としては、例えば、リン化合物、ヒ素化合物、アンチモン化合物などが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。これらの中でも、キャリアの生成しやすさの観点から、リン化合物が好ましい。
【0016】
リン化合物としては、例えば、五酸化二リン、リン酸、ポリリン酸、リン酸メチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸トリエチル、リン酸プロピル、リン酸ジプロピル、リン酸トリプロピル、リン酸ブチル、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、リン酸トリフェニルなどのリン酸エステルや、亜リン酸メチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸エチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸プロピル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸トリプロピル、亜リン酸ブチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸エステルなどが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。これらの中でも、ドーピング性の点から、リン酸、五酸化二リン、ポリリン酸が好ましい。
【0017】
キャリア寿命をより向上させる観点から、(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物として、第13族元素を含む化合物を含むことが好ましい。この場合、不純物拡散組成物はp型不純物拡散組成物となる。
【0018】
不純物拡散組成物中における(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物の含有量は、半導体基板の抵抗値を低減する観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。一方、不純物拡散組成物中における(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物の含有量は、太陽電池のキャリア寿命をより向上させる観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。(A)第13族元素を含む化合物の含有量は、5質量%以下がさらに好ましい。
【0019】
((B)水酸基含有高分子)
本発明の不純物拡散組成物が(A)第13族元素を含む化合物を有するp型不純物拡散組成物の場合は、さらに(B)水酸基含有高分子を含むことが好ましい。(B)水酸基含有高分子は、(A)第13族元素を含む化合物と錯体を形成し安定化することにより、均一な不純物拡散層を形成するとともに、後述する太陽電池の製造方法においては、p型不純物拡散組成物膜形成時の(A)第13族元素を含む化合物の析出を抑制し、不純物拡散層における残渣をより抑制する作用を有する。
【0020】
(B)水酸基含有高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリヒドロキシメチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシプロピルアクリレートなどのポリヒドロキシアクリルアクリレート類などが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。これらの中でも、(A)第13族元素を含む化合物、特に好ましくはホウ素化合物との錯体の形成性および形成した錯体の安定性、p型不純物拡散組成物の保存安定性の観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0021】
ポリビニルアルコールのケン化度は、20モル%以上70モル%以下が好ましい。ケン化度を20モル%以上とすることにより、(A)第13族元素を含む化合との錯体の安定性を向上させ、抵抗値をより低減し、抵抗値の均一性を向上させることができる。また、太陽電池のキャリア寿命をより向上させることができる。p型不純物拡散組成物の保存安定性を向上させる観点から、30モル%以上がより好ましい。一方、ケン化度を70モル%以下とすることにより、有機溶媒への溶解性を高め、(A)第13族元素を含む化合物との錯体の安定性を向上させることができる。また、スクリーン印刷時のパターンのかすれを抑制するとともに、連続印刷性や印刷膜厚の均一性を向上させることができる。また、p型不純物拡散組成物の保存安定性を向上させることができる。
【0022】
ここで、ポリビニルアルコールのケン化度は、JIS K 6726(1994)に記載の逆滴定法によって測定することができる。なお、ポリビニルアルコールを2種以上含む場合は、2種以上のポリビニルアルコール全体としてのケン化度を意味する。
【0023】
ポリビニルアルコールの平均重合度は、(A)第13族元素を含む化合物との錯体安定性をより向上させる観点から、150以上が好ましく、溶解性を向上させる観点から、1,000以下が好ましい。
【0024】
ここで、ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K 6726(1994)に従って測定することができる。なお、ポリビニルアルコールを2種以上含む場合は、2種以上のポリビニルアルコール全体としての平均重合度を意味する。
【0025】
p型不純物拡散組成物中における(B)水酸基含有高分子の含有量は、(A)第13族元素を含む化合物との錯体安定性をより向上させる観点から1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、p型不純物拡散組成物中における(B)水酸基含有高分子の含有量は、不純物拡散層における残渣をより抑制する観点から20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0026】
また、拡散均一性を向上させる観点から、(A)第13族元素を含む化合物の含有量に対する(B)水酸基含有高分子の含有量の質量比((B)/(A))は、1以上が好ましく、3以上がより好ましい。一方、保存安定性を向上させる観点から、質量比((B)/(A))は、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。
【0027】
((C)界面活性剤)
本発明の不純物拡散組成物は(C)界面活性剤を含み、(C)界面活性剤が(メタ)アクリル酸化合物の重合体を含む。(メタ)アクリル酸の重合体とともに、他の界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0028】
(メタ)アクリル酸化合物の重合体は、下記一般式(1)で表される構造単位を50モル%以上含むことが好ましく、泡噛みをより抑制し、不純物拡散層における残渣をより抑制することができる。
【0029】
【化2】
【0030】
上記一般式(1)中、Aはエーテル基またはNR基を表し、Rは水素または炭素数1~3の1価の有機基を表す。これらの中でも、不純物拡散組成物中の他成分との相溶性の観点から、エーテル基が好ましい。1価の有機基としては、1価の脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。これらは、置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、水酸基などが挙げられる。
【0031】
上記一般式(1)中、Rは炭素数4~8の1価の有機基を表す。1価の有機基としては、例えば、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。これらの中でも、1価の脂肪族炭化水素基が好ましい。Rとして1価の脂肪族炭化水素基を選択することにより、不純物拡散組成物膜を平滑化し、不純物拡散層における泡噛みや残渣をより抑制することができる。これらは置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、水酸基、アミノ基などが挙げられる。Rは炭素数4~8の1価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、isо-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基がより好ましく、n-ブチル基がさらに好ましい。
【0032】
は水素またはメチル基を表す。
【0033】
本発明の不純物拡散組成物中における(メタ)アクリル酸化合物の重合体の含有量は、残渣をより抑制する観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。一方、(メタ)アクリル酸化合物の重合体の含有量は、不純物拡散層における残渣をより抑制する観点から、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0034】
(ポリシロキサン)
不純物拡散組成物を半導体基板に塗布・加熱して不純物を半導体基板に拡散させる際の拡散安定性、および、加熱環境など外部からの物質混入を低減する(以下「バリア性」と記載する場合がある)観点から、本発明の不純物拡散組成物は、さらにポリシロキサンを含むことが好ましい。
【0035】
ポリシロキサンとしては、オルガノシランの縮重合により得られるポリシロキサンが好ましく、下記一般式(2)で表されるポリシロキサンがより好ましい。かかるポリシロキサンは、ブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。
【0036】
【化3】
【0037】
上記一般式(2)中、Rは炭素数6~15のアリール基を表し、n個のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0038】
は水酸基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基、炭素数2~10のアルケニル基または炭素数6~15のアリール基を表し、n個のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に水酸基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基または炭素数2~10のアルケニル基を表し、m個のRおよびRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。ただし、R~Rにおける水酸基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基は、別のR~Rにおける水酸基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基のいずれかと縮合した架橋構造を形成してもよい。
【0039】
Xは水酸基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基、炭素数2~10のアルケニル基または炭素数6~15のアリール基を表し、Yは水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数1~6のアシル基を表す。
【0040】
nおよびmは一般式(2)中の各括弧内の成分の構成比率(%)を示し、1~99の範囲を表す。ただし、n+m=100である。n:mは、95:5~25:75が好ましい。
【0041】
nが25以上、すなわち、ポリシロキサン中に炭素数6~15のアリール基を含有するユニットがSi原子換算で25モル%以上含まれることにより、ポリシロキサン骨格同士の架橋密度が高くなりすぎず、厚膜でもクラックが抑制される。これにより、焼成、熱拡散工程でクラックが入りにくくなるため、バリア性を向上させることができるとともに不純物拡散の安定性を向上させることができる。nは35以上がより好ましく、40以上がさらに好ましい。
【0042】
一方、nが95以下、すなわち、ポリシロキサン中の炭素数6~15のアリール基を含有するユニットがSi原子換算で95モル%以下であることにより、残渣をより抑制することができる。nは80以下がより好ましい。
【0043】
一般式(2)で表されるポリシロキサンの構成ユニットが4官能性または3官能性のオルガノシランを縮重合して得られる構造を有する場合、R~Rにおける水酸基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基は、別のR~Rにおける水酸基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基のいずれかと架橋構造を形成してもよい。
【0044】
よりバリア性の高い膜を形成するためには、RおよびRは水酸基、炭素数1~6のアルコキシ基または炭素数1~6のアシルオキシ基が好ましく、Rは炭素数1~4のアルキル基または炭素数2~4のアルケニル基が好ましい。すなわち、ポリシロキサンの構成ユニットがすべて3官能性のオルガノシランを縮重合して得られる構造からなることが好ましい。
【0045】
一般式(2)のRおよびRにおける炭素数6~15のアリール基は無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。炭素数6~15のアリール基のとしては、例えば、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、p-ヒドロキシフェニル基、p-スチリル基、p-メトキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられるる。これらの中でも、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基が好ましい。
【0046】
一般式(2)のR~Rにおける炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基および炭素数2~10のアルケニル基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。
【0047】
炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などが挙げられる。炭素数1~6のアルキル基の置換体としては、炭素に結合した水素がアルコキシ基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基、アクリロキシ基などに置換されているものが好ましく、例えば、3-メトキシ-n-プロピル基、グリシジル基、3-グリシドキシプロピル基、3-アミノプロピル基、3-メルカプトプロピル基などが挙げられる。これらの中でも、残渣をより抑制する観点から、炭素数4以下のメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基が好ましい。
【0048】
炭素数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基などが挙げられる。
【0049】
炭素数1~6のアシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
【0050】
炭素数2~10のアルケニル基のとしては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、1,3-ブタンジエニル基、3-メトキシ-1-プロペニル基、3-アクリロキシプロピル基、3-メタクリロキシプロピル基が挙げられる。これらの中でも、残渣をより抑制する観点から、炭素数4以下のビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、1,3-ブタンジエニル基、3-メトキシ-1-プロペニル基が好ましい。
【0051】
一般式(2)のRおよびRを有するユニットの原料となるオルガノシランの好適な具体例としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、p-トリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、p-メトキシフェニルトリメトキシシラン、1-ナフチルトリメトキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシラン、1-ナフチルトリエトキシシラン、2-ナフチルトリエトキシシランが挙げられる。中でも、フェニルトリメトキシシラン、p-トリルトリメトキシシラン、p-メトキシフェニルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0052】
一般式(2)のRおよびRを有するユニットの原料となるオルガノシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシランなどの4官能性オルガノシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn-ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn-ブトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、グリシジルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどの3官能性オルガノシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジ(n-ブチル)ジメトキシシランなどの2官能性オルガノシランなどが挙げられる。これらを2種以上もちいてもよい。これらのオルガノシランの中でも、膜の緻密性、耐クラック性、残渣および硬化速度の点から3官能性オルガノシランが好ましく用いられる。
【0053】
一般式(2)で表されるポリシロキサンは、好ましくは、RSi(ORで表されるオルガノシランとRSi(ORで表されるオルガノシランとを加水分解および縮重合することにより得ることができる。ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数1~6のアシル基である。
【0054】
炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基などが挙げられる。炭素数1~6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
【0055】
一般式(2)で表されるポリシロキサンの各ユニットのモル比は、加水分解・縮合反応時のオルガノシランの種類と仕込み量により調整することができる。
【0056】
本発明の不純物拡散組成物中におけるポリシロキサンの含有量は、バリア性と不純物の拡散安定性を向上させる観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、ポリシロキサンの含有量は、残渣をより抑制する観点から、25質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0057】
本発明の不純物拡散組成物中における一般式(2)で表されるポリシロキサンの含有量は、バリア性と不純物の拡散安定性を向上させる観点から、全ポリシロキサン中、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
【0058】
ポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は、焼成時の膜の収縮が抑えられ、より緻密な膜が得られる観点から、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。一方、剥離性の点からMwは50,000未満が好ましく、20,000未満がより好ましい。
【0059】
ここで、ポリシロキサンのMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算分子量を言う。なお、ポリシロキサンを2種以上含む場合は、2種以上のポリシロキサン全体としての重量平均分子量を意味する。
【0060】
(溶媒)
本発明の不純物拡散組成物は、さらに溶媒を含むことが好ましい。溶媒は、常圧、23℃において液体であり、本発明の不純物拡散組成物が(B)水酸基含有高分子を含有する場合は、(B)水酸基含有高分子を溶解できることが好ましい。
【0061】
本発明の不純物拡散組成物をスクリーン印刷法やスピンコート印刷法などにより塗布する場合、印刷性を向上させる観点から、溶媒の沸点は100℃以上が好ましい。沸点が100℃以上であると、例えば、スクリーン印刷法により不純物拡散組成物を印刷する際に、不純物拡散組成物が印刷版上で乾燥し固着することを抑制することができる。溶媒の沸点は、160℃以上がより好ましく、180℃以上がさらに好ましい。
【0062】
沸点100℃以上の溶媒としては、例えば、乳酸エチル(沸点155℃)、ジアセトンアルコール(沸点169℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点145℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(沸点174℃)、γ-ブチロラクトン(沸点204℃)、N-メチル-2-ピロリドン(沸点204℃)、N、N-ジメチルイミダゾリジノン(沸点226℃)、テルピネオール(沸点219℃)、1,3-プロパンジオール(214℃)などが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。
【0063】
これらの中でも、1,3-プロパンジオールを含むことがより好ましい。1,3-プロパンジオールが含むことにより、(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物の不純物拡散組成物中における安定性をより向上させることができ、抵抗値の均一性を向上させ、パターン精細性を向上させることができる。また、経時の増粘やゲル状異物の発生を抑制し、不純物拡散組成物の保存安定性を向上させ、抵抗値の経時安定性を向上させることができる。
【0064】
溶媒を2種以上含む場合、沸点が100℃以上の溶媒を、溶媒全量中に20質量%以上含むことが好ましい。
【0065】
本発明の不純物拡散組成物中における溶媒の含有量は、10~90質量%が好ましい。
【0066】
(フィラー)
本発明の不純物拡散組成物は、さらにフィラーを含むことが好ましく、不純物拡散組成物にチクソ性を付与し、スクリーン印刷などによる不純物拡散組成物の塗布において、パターン精細性を向上させることができる。ここで、チクソ性を付与するとは、低せん断応力時の粘度(η)と高せん断応力時の粘度(η)の比(η/η)を大きくすることである。チクソ性を高くすることにより、スクリーン印刷のパターン精度を高めることができる。それは以下のような理由による。チクソ性が高い不純物拡散組成物は、高せん断応力時には粘度が低いため、スクリーン印刷時にスクリーンの目詰まりが起こりにくく、低せん断応力時には粘度が高いため、印刷直後の滲みやパターン線幅の太りが起きにくくなる。
【0067】
フィラーとしては、例えば、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、多糖類、ベントナイト、モンモリロン石、酸化ケイ素、コロイダルアルミナ、炭酸カルシウムなどの微粒子が挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。これらの中でも、不純物拡散組成物中の他成分との相溶性や残渣低減の点から、酸化ケイ素の微粒子が好ましい。
【0068】
本発明の不純物拡散組成物中におけるフィラーの含有量は、不純物拡散組成物に十分なチクソ性を付与する観点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。一方、不純物拡散組成物中におけるフィラーの含有量は、拡散均一性を向上させる観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0069】
本発明の不純物拡散組成物の固形分濃度は、1質量%以上90質量%以下が好ましい。
【0070】
本発明の不純物拡散組成物は、例えば、(A)第13族元素または第15族元素を含む化合物、(C)界面活性剤、必要に応じて(B)水酸基含有高分子、溶媒、フィラーおよびその他成分を混合、混練することにより得ることができる。混合方法としては、撹拌混合が好ましく、撹拌装置としては、例えば、メカニカルスターラーや、遊星式撹拌脱泡装置などが挙げられる。混練装置としては、例えば、プラネタリーミキサー、三本ロール、ボールミル、ホモジナイザーなどが挙げられる。混合や混練の時間、温度および圧力は、均一な不純物拡散組成物が得られるように適宜設定することができる。
【0071】
また、混合・混練後の不純物拡散組成物を、目開き0.01μm~100μmのフィルターにより濾過し、異物を除去してもよい。不純物拡散組成物がフィラーを含む場合、フィラーの粒子径より大きな孔径の濾過フィルターを用いることが好ましい。濾過フィルターの材質としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(NY)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
【0072】
本発明の不純物拡散組成物は、例えば、太陽電池などの光起電力素子や、半導体表面に不純物拡散領域をパターン形成する半導体デバイス、例えば、トランジスターアレイやダイオードアレイ、フォトダイオードアレイ、トランスデューサーなどに用いることができる。これらの中でも、太陽電池に好適に用いることができる。
【0073】
<太陽電池の製造方法>
本発明の太陽電池の製造方法は、2水準以上の異なる不純物濃度で不純物拡散層を形成する工程を含む太陽電池の製造方法であって、
少なくとも1水準以上の不純物拡散層を形成する工程が、本発明のp型不純物拡散組成物またはn型不純物拡散組成物を半導体基板に塗布して部分的に不純物拡散組成物膜(a)を形成する工程と、
得られた不純物拡散組成物膜(a)を加熱して不純物を半導体基板に拡散させて不純物拡散層(b)を形成する工程と
を含む。ここでいう異なる不純物濃度とは、不純物濃度差で1×1017atoms/cm以上であり、不純物拡散層を形成した部分の基板表面のシート抵抗値の差が10Ω/□以上であることを指す。以下、本実施形態について詳述する。
【0074】
図1に、本発明の太陽電池の製造方法の一例の工程断面図を示す。まず、図1(i)に示すように、半導体基板1の上に本発明の不純物拡散組成物を部分的に塗布し、不純物拡散組成物膜(a)のパターン2を形成する。
【0075】
半導体基板としては、例えば、不純物濃度が1015~1016atoms/cmであるn型単結晶シリコン、多結晶シリコン、ゲルマニウムや炭素などの他の元素が混合されている結晶シリコン基板、シリコン以外の半導体基板などが挙げられる。結晶シリコン基板としては、p型単結晶シリコンなども挙げられる。
【0076】
半導体基板の厚さは50~300μmが好ましく、形状は、外形が一辺100~250mmの概略四角形が好ましい。また、フッ酸溶液やアルカリ溶液などにより表面がエッチングされていることが好ましく、スライスダメージや自然酸化膜を除去することができる。この際、半導体基板の表面には、典型的な幅が40~100μm、深さ3~4μm程度の無数の凹凸テクスチャー形状が形成される。
【0077】
不純物拡散組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、スリット塗布法、スプレー塗布法、凸版印刷法、凹版印刷法などが挙げられる。これらの中でも、パターン精細性の観点から、スクリーン印刷法が好ましい。
【0078】
不純物拡散組成物を部分的に塗布した後、不純物拡散組成物が塗布された半導体基板1を乾燥することが好ましく、不純物拡散組成物に含まれる溶媒を除去することができる。乾燥装置としては、例えば、ホットプレート、オーブンなどが挙げられる。乾燥温度は50~300℃が好ましく、乾燥時間は30秒間~30分間が好ましい。
【0079】
不純物拡散組成物膜(a)の膜厚は、不純物の拡散性を向上させる観点から、100nm以上が好ましく、エッチング後の残渣をより抑制する観点から、7μm以下が好ましい。
【0080】
次に、図1(ii)に示すように、不純物拡散組成物膜(a)を加熱して半導体基板1に不純物を拡散させ、不純物拡散層(b)を形成する。不純物の拡散方法としては、例えば、電気加熱、赤外加熱、レーザー加熱、マイクロ波加熱などの熱拡散方法が挙げられる。
【0081】
加熱温度および加熱時間は、不純物濃度、拡散深さなど所望の拡散特性が得られるように適宜選択することができる。例えば、800℃以上1200℃以下で1~120分間加熱するにより、表面不純物濃度が1019~1021atoms/cmの不純物拡散層を形成することができる。
【0082】
熱拡散は、大気中で行ってもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを用いて雰囲気中の酸素量等を適宜調整してもよい。熱拡散時間短縮の観点から、雰囲気中の酸素濃度を3%以下にすることが好ましい。また、必要に応じて拡散前に200℃~850℃の範囲で焼成し、不純物拡散組成物膜(a)中の有機物の分解除去を行ってもよい。
【0083】
次に、図1(iii)に示すように、不純物拡散組成物膜(a)のパターン2をマスクとして、パターン未形成部分に不純物濃度の異なる不純物拡散層(c)を形成する。本工程においては、不純物拡散組成物膜(a)未形成部分の半導体基板表面の酸化によって、不純物がp型の場合はボロンシリケートガラス、不純物がn型の場合はリンシリケートガラスといった、酸化シリコンを含む層(d)が形成される。
【0084】
不純物拡散組成物膜(a)未形成部分に不純物を拡散させる方法としては、例えば、不純物拡散組成物膜(a)のパターン2付き半導体基板1に不純物拡散成分を含むイオンを注入後アニーリングする方法、不純物拡散組成物膜(a)のパターン2付き半導体基板1を不純物拡散成分を含む雰囲気中で加熱する方法、不純物拡散組成物膜(a)のパターン2付き半導体基板1に不純物濃度の異なる別の不純物拡散組成物を不純物拡散組成物膜(a)未形成部分に塗布し、不純物拡散組成物膜を形成した後、不純物拡散層(b)形成と同様に熱拡散する方法等が挙げられる。これらの中でも、不純物拡散成分を含む雰囲気中で加熱する工程が好ましい。
【0085】
不純物拡散成分を含む雰囲気中で加熱する場合、例えばp型の場合は、臭化ホウ素(BBr)、n型の場合はオキシ塩化リン(POCl)をバブリングして、Nで流すことによって不純物拡散成分を含む雰囲気とした中で、不純物拡散組成物膜(a)のパターン2付き半導体基板1を800~1000℃で加熱し、不純物拡散層(c)を形成することができる。ガス圧、加熱条件設定により、不純物拡散層(c)の不純物濃度を不純物拡散層(b)の不純物濃度よりも高く設定することも、低く設定することもできる。
【0086】
また、不純物拡散層(b)、不純物拡散層(c)を同時に形成してもよく、不純物拡散組成物膜(a)のパターンを形成した後、不純物拡散成分を含む雰囲気中で加熱することにより、不純物拡散層(b)、不純物拡散層(c)を同時に形成することができる。
【0087】
また、不純物拡散組成物膜(a)のパターンを形成した後、加熱炉に投入し、まずは不活性ガスのみで加熱して不純物拡散層(b)を形成し、そのまま炉内に不純物拡散成分を含むガスを追加導入して、不活性ガスのみの加熱条件とは異なる条件で加熱することにより、不純物拡散層(b)とは不純物濃度の異なる不純物拡散層(c)を形成してもよい。
【0088】
2水準以上の異なる不純物濃度で不純物拡散層を形成した後、図1(iv)に示すように、不純物拡散組成物膜(a)のパターン2や表面に形成された酸化シリコンを含む層(d)を除去することが好ましい。不純物拡散組成物膜(a)のパターンおよび酸化シリコンを含む層(d)の除去方法としては、例えば、公知のエッチング法が挙げられる。
【0089】
エッチングに用いる材料としては、例えば、エッチング成分と、水や有機溶媒を含むものが好ましい。エッチング成分としては、例えば、フッ化水素、アンモニウム、リン酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。
【0090】
本発明の太陽電池の製造方法は、裏面形成工程を含んでもよい。裏面形成の方法としては、例えば、国際公開第2018/180227号に記載の高不純物領域形成方法などが挙げられる。
【0091】
本発明の太陽電池の製造方法は、エッチング工程後、裏面形成工程がある場合はその後に、パッシベーション膜を半導体基板の表面と裏面に設けることが好ましく、表面再結合を抑制し、光反射を抑制することができる。例えば、p型拡散層のパッシベーション膜の形成方法としては、国際公開第2018/180227号に記載のパッシベーション層の形成方法などが挙げられる。
【0092】
ついで、パッシベーション膜を有する場合はその上から、2水準の不純物拡散層のうち、高濃度の不純物拡散層上にくるよう、スクリーン印刷法により金属ペーストを印刷し、乾燥し、電極を形成することが好ましい。金属ペーストは、金属粒子とガラス粒子とを有することが好ましく、さらに樹脂バインダー、その他の添加剤等を含んでもよい。金属粒子としては、Ag、Alなどの粒子が好ましく用いられる。
【0093】
ついで電極を熱処理(焼成)することが好ましい。600℃~900℃の範囲で数秒~数分間熱処理(焼成)すると、受光面側では金属ペーストに含まれるガラス粒子によって絶縁膜である反射防止膜が溶融し、更にシリコン表面も一部溶融して、金属ペースト中の金属粒子(例えば銀粒子)が半導体基板と接触部を形成し凝固する。これにより、形成した受光面電極と半導体基板とが導通される。これはファイヤースルーと称されている。
【0094】
受光面電極は、一般に、バスバー電極、及び該バスバー電極と交差しているフィンガ電極で構成される。このような受光面電極は、上述の金属ペーストのスクリーン印刷、又は電極材料のメッキ、高真空中における電子ビーム加熱による電極材料の蒸着等の手段により形成することができる。バスバー電極及びフィンガ電極は、公知の方法により形成することができる。
【0095】
本発明の太陽電池の製造方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれるものである。
【実施例0096】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0097】
(1)不純物拡散組成物膜の泡噛み評価
一辺156mmのn型単結晶シリコンからなる半導体基板(シリコンウェハー)を用意し、スライスダメージや自然酸化物を除去するために、両表面をアルカリエッチングした。この際、半導体基板の両面には典型的な幅が40~100μm、深さ3~4μm程度の無数の凹凸(テクスチャー)が形成され、これを不純物拡散組成物1~14の塗布基板とした。
【0098】
一辺156mmのn型単結晶シリコンのかわりに一辺156mmのp型単結晶シリコンを用いた以外は上記と同様の方法で半導体基板の両面にテクスチャーを形成し、これを不純物拡散組成物15の塗布基板とした。
【0099】
スクリーン印刷機(MT-14064:マイクロ・テック(株)製)を用い、塗布基板と同じ大きさの開口部を形成したスクリーンマスクとしては(中沼アートスクリーン(株)製、SUS400メッシュ、線径23μm)を用い、塗布基板全面に、各実施例および比較例において得られた不純物拡散組成物1~15をスクリーン印刷により塗布した。塗膜表面を目視観察し、泡噛みの有無を観察した。その後、各基板を空気中において200℃で10分間加熱し、厚さ約1.5μmの不純物拡散組成物膜を形成した。不純物拡散組成物膜表面を目視観察し、泡噛みの跡の有無を観察した。塗布膜に泡噛みが確認でき、不純物拡散組成物膜にその跡が残っているものをC、塗布膜に泡噛みが確認できるが不純物拡散組成物膜にその跡が残っていないものをB、塗布膜に泡噛みが確認できないものをAとし、B以上を合格とした。
【0100】
(2)不純物拡散層の残渣評価
上記(1)不純物拡散組成物膜の泡噛み評価において作製した不純物拡散組成物を形成した各基板を電気炉(MT-10×8-A:光洋サーモシステム(株)製)内に配置し、窒素:酸素=99:1(体積比)の雰囲気下、不純物拡散組成物1~14は950℃で60分間、不純物拡散組成物15は900℃で60分間加熱して不純物を熱拡散させ、不純物拡散層を形成した。
【0101】
熱拡散後の各基板を、5重量%のフッ酸水溶液に23℃で1分間浸浸し、不純物拡散組成物膜を除去しながら、表面を目視観察して付着物(残渣)の有無を観察した。フッ酸水溶液浸漬後、塗布基板を純水に浸漬して洗浄した。フッ酸水溶液1分間浸漬後、目視で表面付着物が確認できるが、純水で洗浄後、ウエスでこすることにより除去できるものをC、フッ酸水溶液に浸漬して30秒を上回り1分以内で表面付着物が目視確認できなくなったものをB、フッ酸水溶液に浸漬して30秒以内で表面付着物が目視確認できなくなったものをAとし、B以上を合格とした。
【0102】
(3)抵抗値評価
上記(2)不純物拡散層の残渣評価において作製した不純物拡散層を形成した基板に対して、p/n判定機(K-706TS:(株)共和理研製)を用いてp/n判定し、四探針式表面抵抗測定装置(RT-70V:ナプソン(株)製)を用いて、表面抵抗を測定した。この測定は、正方形の基板の中心から、縦・横に20mm間隔で合計13点のデータについて行った。それらの平均値、最大値、最小値を求め、平均値をシート抵抗値、{(最大値-最小値)/平均値}×100の値(%)をバラツキとした。シート抵抗値は不純物拡散性の指標となるものであり、値が小さいほど不純物拡散量が大きいことを意味する。抵抗値均一性を示す値のバラツキは値が小さいほど良く、平均値に対して上下20%以内を合格とした。
【0103】
(4)パターン精細性(最小パターン)評価
上記(1)不純物拡散組成物膜の泡噛み評価において作製した塗布基板に、スクリーン印刷機(MT-14064:マイクロ・テック(株)製)を用い、幅70μm、長さ13.5cmの開口部を基板の中心線(基板の辺と平行)上に1本、それを挟むようにして平行に1cm間隔で両外側に3本ずつ、計7本形成したスクリーンマスク(中沼アートスクリーン(株)製、SUS400メッシュ、線径23μm)を用い、各実施例および比較例において得られた不純物拡散組成物1~15をスクリーン印刷し、ストライプ状の平行パターンを7本形成した。その後、空気中において基板を200℃で10分間加熱し、厚さ約1.5μmのパターンを形成した。
【0104】
幅70μmのスクリーンマスク開口部に対応するパターンの幅を、顕微鏡(MX61L:オリンパス(株)製)を用いて測定し、その最小値を求めた。70μmのマスク幅に対するパターンの広がり量から、パターン精細性を評価した。
【0105】
(5)キャリア寿命測定
上記(2)不純物拡散層の残渣評価において作製した不純物拡散層を形成した基板をシリコンウエハライフタイム測定器(WCT-120、Siston社製)に設置し、開放電圧(Voltage Open Circuit)VOCを測定した。VOCが高いほど、キャリア寿命が長いと言える。
【0106】
(6)経時安定性評価
各実施例および比較例において得られた不純物拡散組成物1~15を25℃で14日間静置後、上記(3)抵抗値評価と同様にして抵抗値のバラツキを算出し、平均値に対して上下20%以内を合格とした。
【0107】
(合成例1)
<(C)界面活性剤Aの合成>
500mlのフラスコに2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)(東京化成工業(株)製)を3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(昭和電工(株)製)を50g仕込んだ。その後、アクリル酸ブチル(東京化成工業(株)製)を76.9g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間撹拌し、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を真空乾燥機(AVO-450NB:アズワン(株)製)を用いて85℃で5時間乾燥し、前記一般式(1)中のAがエーテル基であり、Rがn-ブチル基であり、Rが水素である界面活性剤Aを粘稠な液体として得た。
【0108】
(合成例2)
<(C)界面活性剤Bの合成>
アクリル酸ブチル76.9gのかわりにアクリル酸4-ヒドロキシブチル(東京化成工業(株)製)86.5gを用いた以外は合成例1と同様にして、前記一般式(1)中のAがエーテル基であり、Rが4-ヒドロキシブチル基であり、Rが水素である界面活性剤Bを得た。
【0109】
(合成例3)
<(C)界面活性剤Cの合成>
アクリル酸ブチル76.9gのかわりにアクリル酸ヘキシル(東京化成工業(株)製)94.7gを用いた以外は合成例1と同様にして前記一般式(1)中のAがエーテル基であり、Rがn-ヘキシル基であり、Rが水素である界面活性剤Cを得た。
【0110】
(合成例4)
<ポリシロキサンの合成>
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを164.93g(1.21mol)、フェニルトリメトキシシランを204.07g(1.21mol)、GBLを363.03g仕込み、40℃で攪拌しながら水130.76gにリン酸1.215gを溶かしたリン酸水溶液を30分間かけて添加した。滴下終了後、40℃で1時間撹拌した後、70℃に昇温し、30分間撹拌した。その後、オイルバスを115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1時間加熱撹拌した(内温は100~110℃)。得られた溶液を氷浴にて冷却し、ポリシロキサン溶液を得た。ポリシロキサン溶液の固形分濃度は39.8重量%であった。
【0111】
(実施例1)
ホウ酸(富士フイルム和光純薬(株)製)3.0gと、ケン化度80モル%のポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール(株)製、平均重合度250)(以下、PVA(80)と表す)10.0gと、γ-ブチロラクトン(三菱化学(株)製)(以下、GBLと表す)52.0gと、水34.5gと、合成例1により得られた界面活性剤A0.5gを混合し、均一になるように十分撹拌し、p型不純物拡散組成物1を得た。
【0112】
(実施例2)
界面活性剤Aのかわりに前記一般式(1)中のAがエーテル基であり、RとRがともにメチル基であるポリメタクリル酸メチル(シグマ-アルドリッチ(株)製)(以下、PMMAと表す)を用いた以外は実施例1と同様にしてp型不純物拡散組成物2を得た。
【0113】
(実施例3)
界面活性剤Aのかわりに合成例2により得られた界面活性剤Bを用いた以外は実施例1と同様にしてp型不純物拡散組成物3を得た。
【0114】
(実施例4)
界面活性剤Aのかわりに合成例3により得られた界面活性剤Cを用いた以外は実施例1と同様にしてp型不純物拡散組成物4を得た。
【0115】
(比較例1)
界面活性剤Aのかわりにシリコーン系界面活性剤(“BYK(登録商標)”333:ビックケミー(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にしてp型不純物拡散組成物5を得た。
【0116】
(比較例2)
界面活性剤Aのかわりにフッ素系界面活性剤(“メガファック(登録商標)”F444:DIC(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にしてp型不純物拡散組成物6を得た。
【0117】
(比較例3)
界面活性剤Aを用いない以外は実施例1と同様にしてp型不純物拡散組成物7を得た。
【0118】
(実施例5)
PVA(80)10.0gのかわりにケン化度10モル%のポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール(株)製、平均重合度250)(以下PVA(10)と表す)25.0g、GBL52.0gと水34.5gのかわりにテルピネオール(東京化成(株)製)(以下TPと表す)32.0gとGBL48.0gを用いた以外は実施例1と同様にしてp型不純物拡散組成物8を得た。
【0119】
(実施例6)
PVA(10)25.0gのかわりにケン化度49モル%のポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール(株)製、平均重合度800)(以下PVA(49)と表す)13.5gを用いた以外は実施例5と同様にしてp型不純物拡散組成物9を得た。
【0120】
(実施例7)
PVA(80)10.0gのかわりにPVA(49)13.5g、GBL52.0gと水34.5gのかわりにTP48.0gと1,3-プロパンジオール(富士フイルム和光純薬(株)製)(以下1,3-PDと表す)24.0gと水8.0gを用いた以外は実施例1と同様にしてp型不純物拡散組成物10を得た。
【0121】
(実施例8)
p型不純物拡散組成物3にシリカ微粒子(“アエロジル(登録商標)”200:日本アエロジル(株)製)を3.9g混合し、均一になるように十分撹拌し、p型不純物拡散組成物11を得た。
【0122】
(実施例9)
p型不純物拡散組成物3のかわりにp型不純物拡散組成物4を用いた以外は実施例8と同様にしてp型不純物拡散組成物12を得た。
【0123】
(実施例10)
p型不純物拡散組成物8にシリカ微粒子(“アエロジル(登録商標)”VPNKC130:日本アエロジル(株)製)を3.9g混合し、均一になるように十分撹拌し、p型不純物拡散組成物13を得た。
【0124】
(実施例11)
p型不純物拡散組成物8のかわりにp型不純物拡散組成物10を用いた以外は実施例10と同様にしてp型不純物拡散組成物14を得た。
【0125】
(実施例12)
合成例4により得られた固形分濃度39.8重量%のポリシロキサン溶液4.39gと、リン酸1.47gと、GBL12.55gと、界面活性剤A0.0925gを混合し、均一になるように十分撹拌して、n型不純物拡散組成物15を得た。
【0126】
得られた実施例1~12、比較例1~3の不純物拡散組成物について、(1)~(6)の評価を行った。これらの組成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【符号の説明】
【0129】
1 半導体基板
2 不純物拡散組成物膜(a)のパターン
3 不純物拡散成分含有ガス
(b)、(c)不純物拡散層
(d)酸化シリコンを含む層
図1