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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132886
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】軸受ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/78 20060101AFI20240920BHJP
   F16C 23/08 20060101ALI20240920BHJP
   F16J 15/3232 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
F16C33/78 E
F16C23/08
F16C33/78 Z
F16J15/3232 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014243
(22)【出願日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2023043334
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏規
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅樹
【テーマコード(参考)】
3J006
3J012
3J216
【Fターム(参考)】
3J006AB05
3J006AE16
3J006AE38
3J006AE39
3J006AE42
3J006CA01
3J012AB01
3J012BB01
3J012CB08
3J012FB10
3J216AA02
3J216AA12
3J216AB01
3J216AB31
3J216BA30
3J216CA01
3J216CA05
3J216CB04
3J216CB13
3J216CB18
3J216CC03
3J216CC14
3J216CC33
3J216DA01
3J216DA03
3J216DA11
(57)【要約】
【課題】従来構造に比べて、密封性の向上を図ると共に許容調心角の自由度を高め、さらに構造等を簡単化することができる軸受ユニットを提供する。
【解決手段】軸受ユニット1は、軸受箱2と、この軸受箱2に調心可能に設けられる軸受3と、この軸受3と軸4との間の定められた環状空間Sを密封する密封装置5とを備える。軸受3の外輪外径部6に凹み部7が設けられ、この凹み部7に密封装置5が圧入されている。軸受箱2の球面内径部2aには、密封装置5との干渉を防ぐ逃がし部8が設けられている。密封装置5は、凹み部7に圧入されるカバー17と、このカバー17の軸方向先端部に設けられ軸4に接触するシール18とを含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受箱と、この軸受箱に調心可能に設けられる軸受と、この軸受と軸との間の環状空間を密封する密封装置と、を備えた軸受ユニットであって、
前記軸受の外輪外径部に凹み部が設けられ、この凹み部に前記密封装置が圧入されている軸受ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受ユニットにおいて、前記軸受箱の球面内径部には、前記密封装置との干渉を防ぐ逃がし部が設けられている軸受ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の軸受ユニットにおいて、前記密封装置は、前記凹み部に圧入されるカバーと、このカバーの軸方向先端部に設けられ前記軸に接触するシールとを含む軸受ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の軸受ユニットにおいて、前記カバーの外径面に、段付部が設けられている軸受ユニット。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の軸受ユニットにおいて、前記密封装置における、前記凹み部への圧入部に、弾性体を介在させた軸受ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の軸受ユニットにおいて、前記密封装置は、前記凹み部に圧入されるカバーを含み、このカバーの軸方向基端部における内径面、外径面および基端縁部が、前記弾性体に覆われている軸受ユニット。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の軸受ユニットにおいて、前記凹み部の外径面は、軸方向外側に向かうに従って外径側に傾斜する傾斜面から成る軸受ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調心性を有する軸受を備えた軸受ユニットに関し、例えば、鋼板製カバー付きの軸受ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来の鋼板カバー付きの軸受ユニットの縦断面図である。この軸受ユニットでは、軸受箱50に鋼板カバー用取付溝50aが設けられている。カバー用ゴムシール51を取り付けた鋼板製カバー52を、鋼板カバー用取付溝50aに嵌め込むことにより、カバー用ゴムシール51のリップ部が軸53に対して密着して密封性を有している。
軸受ユニット54は、特徴として調心性があり、図9のように、軸53が調心角α傾いた状態で使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-24129号公報
【特許文献2】実開昭55-37774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、鋼板カバー付きの軸受ユニットに対し軸53が傾いた状態で使用する場合がある。この場合、軸53の傾きとシール51の締め代の関係によっては、図10のように、カバー用ゴムシール51と軸53の間にすきまδが生じる箇所と、カバー用ゴムシール51と軸53の過接触する箇所が発生する。それにより鋼板製カバー52の密封性の低下と軸回転のトルクが増大する。
上記により、鋼板カバー付きの軸受ユニットの許容調心角は、カバー無しの軸受ユニットに対して制限を受ける等の課題があった。
【0005】
特許文献1では、軸受の外輪に、カバーを取り付けるためのボルト孔を加工する必要があるため、外輪の強度低下が考えられる。またボルトを使用することによる部品点数の増加およびボルトの締め付けトルクの管理が必要となる。特許文献2では、鋼板製カバーの取付仕様が不明瞭である。
【0006】
本発明の目的は、従来構造に比べて、密封性の向上を図ると共に許容調心角の自由度を高め、さらに構造等を簡単化することができる軸受ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の軸受ユニットは、軸受箱と、この軸受箱に調心可能に設けられる軸受と、この軸受と軸との間の環状空間を密封する密封装置と、を備えた軸受ユニットであって、
前記軸受の外輪外径部に凹み部が設けられ、この凹み部に前記密封装置が圧入されている。
前記環状空間は、設計等によって任意に定める環状空間である。
【0008】
この構成によると、軸受の外輪外径部に設けられた凹み部に密封装置が圧入されている。このため、軸受を軸受箱に対して調心させて使用する際、軸受の傾きに追従して密封装置も同様に傾く。よって、軸受箱にカバーを取り付けた従来構造に比べて、密封性の向上を図ると共に許容調心角の自由度を高めることができる。外輪外径部の凹み部に密封装置を圧入するため、ボルト等を使用する従来構造よりも部品点数の低減を図り軸受ユニット全体の構造を簡単化することができる。
【0009】
前記軸受箱の球面内径部には、前記密封装置との干渉を防ぐ逃がし部が設けられていてもよい。例えば、球面内径部における軸方向の一部を円筒孔状に加工することで、逃がし部を容易に設けることが可能となる。この逃がし部により軸受箱と密封装置との干渉を防ぎ、許容調心角の自由度をより確実に高めることができるうえ、外輪にボルト孔を加工する従来構造等に比べて製造コストを低減することができる。
【0010】
前記密封装置は、前記凹み部に圧入されるカバーと、このカバーの軸方向先端部に設けられ前記軸に接触するシールとを含んでもよい。この場合、軸受を軸受箱に対して調心させて使用する際、軸受の傾きに追従して密封装置も同様に傾く。よって、密封装置のシールの全周が軸に対して均一に接触して密封性が保持される。
【0011】
前記カバーの外径面に、段付部が設けられていてもよい。この場合、カバーの段付部を軸受に対して軸方向外方および径方向内方に押圧することで、カバーを容易に取り外すことができる。
【0012】
前記密封装置における、前記凹み部への圧入部に、弾性体を介在させてもよい。
外輪外径部の凹み部に、密封装置を的確に圧入するためには、軸受に装着された、例えば、鋼板製等のカバーの全周をハンマー等の工具で叩く必要がある。その際に、軸受に与えられる衝撃を原因として軸受の軌道面または転動体に異常が発生する懸念がある。
この構成によると、密封装置を凹み部に圧入する際、弾性体により軸受への衝撃を緩和することができる。これにより所望の軸受寿命を確保することが可能となる。
【0013】
前記密封装置は、前記凹み部に圧入されるカバーを含み、このカバーの軸方向基端部における内径面、外径面および基端縁部が、前記弾性体に覆われていてもよい。この場合、密封装置の圧入時に、弾性体がカバーから不所望に外れることを防止できるうえ、密封装置の圧入部の密封性をさらに高めることができる。
【0014】
前記凹み部の外径面は、軸方向外側に向かうに従って外径側に傾斜する傾斜面から成るものでもよい。この場合、密封装置に、軸受から離反する軸方向一方の荷重が加わったとき、密封装置の軸方向基端部における内径面が、凹み部の前記傾斜面に押さえ付けられる。これにより、密封装置が凹み部から脱落することを予防することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の軸受ユニットは、軸受の外輪外径部に凹み部が設けられ、この凹み部に密封装置が圧入されている。このため、従来構造に比べて、密封性の向上を図ると共に許容調心角の自由度を高め、さらに構造等を簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る軸受ユニットの縦断面図である。
図2A】同軸受ユニットの軸受の断面図である。
図2B】同軸受ユニットの要部の拡大断面図である。
図3】同軸受ユニットの軸受を調心させた図である。
図4図3のIV部の拡大断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る軸受ユニットの縦断面図である。
図6図8のVI部の部分拡大図である。
図7】同軸受ユニットから軸受箱および密封装置を離脱した状態を示す断面図である。
図8】従来例の軸受ユニットの縦断面図である。
図9】同軸受ユニットの軸受を調心させた図である。
図10】同軸受を調心させた際に生じる軸とシール間の隙間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施形態]
本発明の実施形態に係る軸受ユニットを図1ないし図4と共に説明する。
<軸受ユニットの概略構造>
図1のように、実施形態に係る軸受ユニット1は、軸受箱2と、軸受箱2に調心可能に設けられる軸受3と、軸受3と軸4との間の定められた環状空間Sを密封する密封装置5とを備える。この明細書において、「軸方向」は、軸受3の軸心AXに沿った方向または軸心AXに平行な方向を言う。「径方向」は、前記「軸方向」を成す直線に対して直交する方向を言う。
【0018】
ピロー形の軸受箱2の内周には、凹球面状の球面内径部2aが設けられている。軸受ユニット1は、軸受箱2の球面内径部2aに、軸受3における凸球面状の外輪外径部6である外周面が摺動自在に嵌合することで、調心機能を有する。軸受3の外輪外径部6のうち軸方向外側部分に環状の凹み部7が設けられ、凹み部7に密封装置5が圧入されている。軸受箱2の球面内径部2aには、密封装置5との干渉を防ぐ逃がし部8(図2B)が設けられている。
【0019】
<軸受>
図2Aのように、軸受3は、内外輪9,10と、複数のボール等の転動体11と、保持器12と、シール13と、スリンガ14とを有する玉軸受である。内輪9は、外輪10よりも幅広で、且つ、同図左側の軸方向一端部が、軸方向他端部よりも軸方向に長く形成されている。内輪9の軸方向一端部における円周方向一箇所に、径方向に貫通する雌ねじ15が形成されている。内輪9は、雌ねじ15に止めねじ16が螺合され、且つ、止めねじ16により軸4に相対移動不能に強固に固定される。
【0020】
複数の転動体11は内外輪9,10の軌道面9a,10a間に介在し、保持器12はこれら転動体11を保持する。内外輪9,10の軸受空間の両端は、例えば、接触式のシール13,13で密封されている。前記軸受空間には、潤滑剤であるグリースが封入されている。
各シール13の軸方向の直ぐ外側には、軸受空間の密封性をさらに高めるためのスリンガ14がそれぞれ設けられている。各スリンガ14は、内輪外周面に嵌合固定される円筒部14aと、この円筒部14aの軸方向内側端から径方向外方に延びる立板部14bとで断面L字形状に形成されている。立板部14bの外径端は、外輪内周面10b(図2B)に所定の径方向隙間を介して対向する。
【0021】
<密封装置等について>
密封装置5は、外輪10の凹み部7に圧入される鋼板製のカバー17と、カバー17の軸方向先端部17aに設けられ軸4に接触するシール18とを含む。図2Bは、図1および図2AのIIB部の部分拡大図である。図2Bのように、カバー17の軸方向基端部17bにおける内径面17baが、外輪10の凹み部7に圧入嵌合されると共に、カバー17の基端縁部17bbが凹み部7の段差面に当接するように位置決めされる。
軸受箱2の球面内径部2aには、密封装置のカバー17との干渉を防ぐ逃がし部8が設けられている。逃がし部8は、球面内径部2aにおける軸方向の一部を円筒孔状に加工することで形成し得る。図3のように、軸受3を軸受箱2に対して所定角度α調心させた場合においても、図4のように、カバー17が軸受箱2に干渉しないように逃がし部8が形成されている。
【0022】
図2Aのように、カバー17の外径面のうち、軸箱2よりも軸方向外側に所定距離離れた位置には、段付部19が設けられている。カバー17の軸方向基端部17bに、段付部19を介して、軸方向中間部17c、軸方向先端部17aが順次繋がる。カバー17の軸方向中間部17cのうち段付部19に繋がる部分は、軸方向基端部17bよりも大径に形成されている。
【0023】
<シール>
シール18は、合成ゴム等の弾性体であり、シール基部18aと複数のリップ部18bとを含む。シール基部18aは、カバー17の軸方向先端部17aに固定され、複数のリップ部18bは、シール基部18aの内径側部分に二股状に繋がる。
【0024】
<作用効果>
以上説明した軸受ユニット1によると、軸受3の外輪外径部6に設けられた凹み部7に密封装置5が圧入されている。このため、軸受3を軸受箱2に対して調心させて使用する際、軸受3の傾きに追従して密封装置5も同様に傾く。よって、軸受箱にカバーを取り付けた従来構造に比べて、密封性の向上を図ると共に許容調心角の自由度を高めることができる。これにより軸4の角度の調節も簡潔・容易になり、密封装置5の密封性を向上することができる。外輪外径部6の凹み部7に密封装置5を圧入するため、ボルト等を使用する従来構造よりも部品点数の低減を図り軸受ユニット全体の構造を簡単化することができる。
【0025】
軸受箱2の球面内径部2aには、密封装置5との干渉を防ぐ逃がし部8が設けられている。球面内径部2aにおける軸方向の一部を円筒孔状に加工することで、逃がし部8を容易に設けることが可能となる。この逃がし部8により軸受箱2と密封装置5との干渉を防ぎ、許容調心角の自由度をより確実に高めることができるうえ、外輪にボルト孔を加工する従来構造等に比べて製造コストを低減することができる。許容調心角の自由度の向上は、軸受ユニット1のより幅広いアプリケーションへの適用を可能とし得る。
【0026】
密封装置5は、凹み部7に圧入されるカバー17と、カバー17の軸方向先端部17aに設けられ軸4に接触するシール18とを含む。この場合、軸受3を軸受箱2に対して調心させて使用する際、軸受3の傾きに追従して密封装置5も同様に傾く。よって、密封装置5のシール18の全周が軸4に対して均一に接触して密封性が保持される。
カバー17の外径面に、段付部19が設けられているため、カバー17の段付部19を軸受3に対して軸方向外方および径方向内方に押圧することで、カバー17を容易に取り外すことができる。
【0027】
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している実施形態と同様とする。同一の構成は同一の作用効果を奏する。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0028】
[第2の実施形態:弾性体]
図5のように、第2の実施形態に係る軸受ユニット1Aは、密封装置5Aにおける、凹み部7への圧入部に、弾性体20を介在させている。図6のように、密封装置5Aは、凹み部7に圧入される鋼板製のカバー17を含み、このカバー17の軸方向基端部17bにおける内径面17ba、外径面17bcおよび基端縁部17bbが、環状の弾性体20に覆われている。弾性体20は、タイプAデュロメ-タ硬さ70前後の合成ゴム材から成り、カバー17の軸方向基端部17bに、例えば、射出成形等により一体成形されている。合成ゴムの材質は一般的に、軸受ユニットの防塵性を保つために用いられるシールに採用されるニトリルゴムを使用できるが、周囲環境や周囲温度にあわせて耐熱性に優れたシリコーンゴムやふっ素ゴムに変えることができる。
【0029】
軸受箱2の球面内径部2aには、前述の実施形態と同様に、逃がし部8が設けられている。逃がし部8は、例えば、球面内径部2aにおける軸方向の一部を円筒孔状に加工することで形成し得る。
<傾斜面>
図7のように、凹み部7の外径面7aは、軸方向外側AX1に向かうに従って外径側に所定角度A°傾斜する傾斜面から成る。この場合、図5の密封装置5Aに、軸受3から離反する軸方向一方の荷重が加わったとき、密封装置5Aの軸方向基端部における内径面が、凹み部7の傾斜面に押さえ付けられる。これにより、密封装置5Aが凹み部7から脱落することを予防することができる。前記所定角度は、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な角度を求めて定められる。
【0030】
図5の軸受ユニット1Aによると、密封装置5Aを凹み部7に圧入する際、弾性体20により軸受3の軌道面10a,9aおよび転動体11への衝撃を緩和することができる。これにより所望の軸受寿命を確保することが可能となる。密封装置5Aは、カバー17の軸方向基端部17bにおける17ba、外径面17bcおよび基端縁部17bbが、弾性体20に覆われている。このため、カバー17の圧入時に、弾性体20がカバー17から不所望に外れることを防止できるうえ、密封装置5Aの圧入部の密封性をさらに高めることができる。
弾性体20を含む密封装置5Aを備えた軸受ユニット1Aにおいて、凹み部7の外径面を、図2Bのような、軸方向に平行な円筒面とすることも可能である。
【0031】
密封装置5は、軸受3の軸方向両側に設けられてもよい。
軸受3のシール13を非接触式のシールとすることも可能である。
スリンガ14を省略することも可能である。
内輪9の軸方向一端部および他端部の軸方向長さを同一にしてもよい。
図6の弾性体20を、カバー17の軸方向基端部17bだけでなく、カバー17の軸方向中間部または軸方向先端部にわたって設けてもよい。
【0032】
以上、本発明の実施形態を説明したが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0033】
1,1A…軸受ユニット、2…軸受箱、2a…球面内径部、3…軸受、4…軸、5,5A…密封装置、7…凹み部、7a…外径面(傾斜面)、8…逃がし部、17…カバー、17b…軸方向基端部、17ba…内径面、17bb…基端縁部、17bc…外径面、18…シール、19…段付部、20…弾性体、S…環状空間
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10