(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132896
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240920BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240920BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240920BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240920BHJP
H10B 41/50 20230101ALI20240920BHJP
H10B 43/40 20230101ALI20240920BHJP
H10B 41/40 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L27/088 E
H01L27/088 D
H01L29/78 371
H10B43/50
H10B41/27
H10B41/50
H10B43/40
H10B41/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022609
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2023039346
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】小池 豪
(72)【発明者】
【氏名】山部 和治
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA19
5F048BA20
5F048BC18
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF03
5F048BF07
5F048BF12
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER22
5F083GA10
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA56
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F083ZA21
5F083ZA28
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BF05
(57)【要約】
【課題】各セルチップのそれぞれのソース線のシート抵抗を均一化し易くすることが可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1セルチップと、第2セルチップと、を備える。第1セルチップは、第1積層体と、第1ソース線として用いられる第1導電体層と、第1導電体層に電気的に接続される第2導電体層と、複数の第1ボンディングパッドと、を備える。第2セルチップは、第2積層体と、第2ソース線として用いられる第3導電体層と、複数の第1ボンディングパッドにそれぞれ接合される複数の第2ボンディングパッドと、複数の第2ボンディングパッドを連結するように設けられるとともに、第3導電体層に電気的に接続される第4導電体層と、を備える。第2導電体層及び第4導電体層は電気的に接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1方向側に設けられる第1セルチップと、
前記第1セルチップと前記基板との間に設けられ、前記第1セルチップに貼合される第2セルチップと、を備え、
前記第1セルチップは、
複数の第1メモリセルトランジスタを含む第1積層体と、
前記第1積層体の前記第1方向側に設けられ、第1ソース線として用いられる第1導電体層と、
前記第1導電体層の前記第1方向側に設けられ、前記第1導電体層に電気的に接続される第2導電体層と、
前記第2セルチップと貼合される第1面に設けられる複数の第1ボンディングパッドと、を備え、
前記第2セルチップは、
複数の第2メモリセルトランジスタを含む第2積層体と、
前記第2積層体の前記第1方向側に設けられ、第2ソース線として用いられる第3導電体層と、
前記第1セルチップと貼合される第2面に配置され、複数の前記第1ボンディングパッドにそれぞれ接合される複数の第2ボンディングパッドと、
前記第1方向と交差する第2方向に延びるように形成され、複数の前記第2ボンディングパッドを連結するように設けられるとともに、前記第3導電体層に電気的に接続される第4導電体層と、を備え、
前記第2導電体層及び前記第4導電体層は電気的に接続されている
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2導電体層及び前記第4導電体層は、互いに異なる導電性材料を含む
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2導電体層は、アルミニウムを含み、
前記第4導電体層は、銅をむ
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
複数の前記第1ボンディングパッド及び複数の第2ボンディングパッドは、前記第1方向から見たときにハニカム状に配置されている
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2セルチップは、
前記第3導電体層と前記第4導電体層との間に設けられる第5導電体層と、
前記第3導電体層と前記第5導電体層とを電気的に接続する第1コンタクトと、
前記第4導電体層と前記第5導電体層とを電気的に接続する第2コンタクトと、を更に備え、
前記第2導電体層は、前記第1導電体層と接触する接触部と、前記第1導電体層との間に絶縁層を挟んで前記第1導電体層に接合しない非接触部と、を有し、
前記第1方向から見たときに前記接触部と重なる前記第5導電体層の部分には、前記第2導電体層の前記接触部に似た形状を有する模擬形状部が形成されている
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第5導電体層には、
前記第2方向に延びるように形成されるとともに、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に間隔を開けて配置される複数の第1配線と、
複数の前記配線を前記第3方向に連結するように設けられ、前記第2方向に間隔を開けて配置される複数の第2配線と、が設けられ、
前記模擬形状部は、複数の前記第1配線及び複数の前記第2配線を含む
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第5導電体層には、複数の前記模擬形状部が前記第2方向に並べて形成されている
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第5導電体層は、前記模擬形状部が独立して複数配置された形状を有している
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2セルチップは、前記第3導電体層と前記第4導電体層とを電気的に接続する第1コンタクトを更に備える
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1セルチップは、
前記第1面に沿って前記第2方向に延びるように形成され、複数の前記第1ボンディングパッドを連結するように設けられる第6導電体層を更に備え、
前記第6導電体層は、前記第2導電体層及び前記第4導電体層に電気的に接続されている
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
基板と、
前記基板の第1方向側に設けられる第1セルチップと、
前記第1セルチップと前記基板との間に設けられ、前記第1セルチップに貼合される第2セルチップと、を備え、
前記第1セルチップは、
複数の第1メモリセルトランジスタを含む第1積層体と、
前記第1積層体の前記第1方向側に設けられ、第1ソース線として用いられる第1導電体層と、
前記第1導電体層の前記第1方向側に設けられ、前記第1導電体層に電気的に接続される第2導電体層と、
前記第2セルチップと貼合される第1面に設けられる複数の第1ボンディングパッドと、を備え、
前記第2セルチップは、
複数の第2メモリセルトランジスタを含む第2積層体と、
前記第2積層体の前記第1方向側に設けられ、第2ソース線として用いられる第3導電体層と、
前記第1セルチップと貼合される第2面に配置され、複数の前記第1ボンディングパッドに接合される複数の第2ボンディングパッドと、
複数の前記第2ボンディングパッドと前記第3導電体層との間に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延びるように形成される第4導電体層と、
前記第3導電体層と前記第4導電体層とを電気的に接続する第1コンタクトと、
複数の前記第2ボンディングパッドと前記第4導電体層とを電気的に接続する第2コンタクトと、を備え、
前記第2導電体層及び前記第4導電体層は電気的に接続されている
半導体記憶装置。
【請求項12】
基板と、
前記基板の第1方向側に設けられる第1セルチップと、
前記第1セルチップと前記基板との間に設けられ、前記第1セルチップに貼合される第2セルチップと、を備え、
前記第1セルチップは、
複数の第1メモリセルトランジスタを含む第1積層体と、
前記第1積層体の前記第1方向側に設けられ、第1ソース線として用いられる第1導電体層と、
前記第1導電体層の前記第1方向側に設けられ、前記第1導電体層に電気的に接続される第2導電体層と、を備え、
前記第2セルチップは、
複数の第2メモリセルトランジスタを含む第2積層体と、
前記第2積層体の前記第1方向側に設けられ、第2ソース線として用いられる第3導電体層と、
前記第1セルチップと貼合される第2面に配置される複数のボンディングパッドと、
前記第1方向と交差する第2方向に延びるように形成され、複数の前記ボンディングパッドを連結するように設けられる第4導電体層と、
前記第3導電体層と前記第4導電体層との間に設けられる第5導電体層と、
前記第3導電体層と前記第5導電体層とを電気的に接続する第1コンタクトと、
前記第4導電体層と前記第5導電体層とを電気的に接続する第2コンタクトと、を備え、
前記第2導電体層、前記第3導電体層、前記第4導電体層、及び前記第5導電体層は電気的に接続されている
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルトランジスタが3次元状に配置されたNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示された実施形態によれば、各セルチップのそれぞれのソース線のシート抵抗を均一化し易くすることが可能な半導体記憶装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、基板と、基板の第1方向側に設けられる第1セルチップと、第1セルチップと基板との間に設けられ、第1セルチップに貼合される第2セルチップと、を備える。第1セルチップは、複数の第1メモリセルトランジスタを含む第1積層体と、第1積層体の第1方向側に設けられ、第1ソース線として用いられる第1導電体層と、第1導電体層の第1方向側に設けられ、第1導電体層に電気的に接続される第2導電体層と、第2セルチップと貼合される第1面に設けられる複数の第1ボンディングパッドと、を備える。第2セルチップは、複数の第2メモリセルトランジスタを含む第2積層体と、第2積層体の第1方向側に設けられ、第2ソース線として用いられる第3導電体層と、第1セルチップと貼合される第2面に配置され、複数の第1ボンディングパッドにそれぞれ接合される複数の第2ボンディングパッドと、第1方向と交差する第2方向に延びるように形成され、複数の第2ボンディングパッドを連結するように設けられるとともに、第3導電体層に電気的に接続される第4導電体層と、を備える。第2導電体層及び第4導電体層は電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のメモリシステムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態の半導体記憶装置の等価回路を示す回路図。
【
図3】第1実施形態の半導体記憶装置の断面構造を示す断面図。
【
図4】第1実施形態の上部セルチップの導電体層の平面構造を示す平面図。
【
図5】
図4のV-V線に沿った断面構造を示す断面図。
【
図6】第1実施形態の下部セルチップの導電体層の平面構造を示す平面図。
【
図7】第1実施形態の下部セルチップの導電体層の平面構造を示す平面図。
【
図8】第1実施形態の下部セルチップの平面構造を示す平面図。
【
図9】
図8のIX-IX線に沿った断面構造を示す断面図。
【
図10】第1実施形態の下部セルチップの拡大平面構造を示す断面図。
【
図11】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図12】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図13】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図14】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図15】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図16】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図17】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図18】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図19】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図20】第1実施形態の半導体記憶装置の製造工程の一部を示す断面図。
【
図21】比較例の半導体記憶装置の断面構造を示す断面図。
【
図22】第1実施形態の第1変形例の半導体記憶装置における下部セルチップの導電体層周辺の平面構造を示す平面図。
【
図23】
図22のXXIII-XXIII線に沿った断面構造を示す断面図。
【
図24】第1実施形態の第2変形例の下部セルチップの平面構造を示す平面図。
【
図25】第2実施形態の下部セルチップの平面構造を示す平面図。
【
図26】第2実施形態の下部セルチップの拡大平面構造を示す平面図。
【
図27】
図26のXXVII-XXVII線に沿った断面構造を示す断面図。
【
図28】第2実施形態の変形例の下部セルチップの導電体層周辺の平面構造を示す平面図。
【
図29】第3実施形態の下部セルチップの平面構造を示す平面図。
【
図30】第3実施形態の下部セルチップの拡大平面構造を示す平面図。
【
図31】第3実施形態の変形例の下部セルチップの導電体層周辺の平面構造を示す平面図。
【
図32】第4実施形態の半導体記憶装置の断面構造を示す断面図。
【
図33】第4実施形態の下部セルチップの平面構造を示す平面図。
【
図34】第4実施形態の下部セルチップの拡大平面構造を示す平面図。
【
図35】第4実施形態の変形例の下部セルチップの導電体層周辺の平面構造を示す平面図。
【
図36】第5実施形態の半導体記憶装置の断面構造を示す断面図。
【
図37】第6実施形態の半導体記憶装置の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
1 第1実施形態
第1実施形態の半導体記憶装置について説明する。本実施形態の半導体記憶装置は、NAND型フラッシュメモリとして構成された不揮発性の記憶装置である。
【0008】
1.1 半導体記憶装置の構成
図1は、第1実施形態の半導体記憶装置1の構成の一例を示すブロック図である。半導体記憶装置1は、外部のメモリコントローラ2により制御される。半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との組み合わせは、メモリシステム3を構成し得る。メモリシステム3は、例えばSDTMカードのようなメモリカード、又はSSD(Solid State Drive)等である。
【0009】
半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信は例えばNANDインタフェース規格をサポートしている。半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信では、例えばコマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、リードイネーブル信号REn、レディビジー信号RBn、及び入出力信号I/Oが使用される。
【0010】
入出力信号I/Oは、例えば8ビットの信号であり、コマンドCMD、アドレス情報ADD、及びデータDAT等を含み得る。以下、書込みデータ及び読出しデータのいずれにも参照符号DATを付して説明を行う。半導体記憶装置1は、入出力信号I/Oを介してメモリコントローラ2からコマンドCMD、アドレス情報ADD、及び書込みデータDATを受信する。
【0011】
コマンドラッチイネーブル信号CLEは、信号I/Oを介してコマンドCMDが送信される期間を半導体記憶装置1に通知するために使用される。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、信号I/Oを介してアドレス情報ADDが送信される期間を半導体記憶装置1に通知するために使用される。ライトイネーブル信号WEnは、半導体記憶装置1による信号I/Oの入力を可能にするために使用される。リードイネーブル信号REnは、半導体記憶装置1による信号I/Oの出力を可能にするために使用される。レディビジー信号RBnは、半導体記憶装置1がレディ状態及びビジー状態のいずれにあるかをメモリコントローラ2に通知するために使用される。レディ状態では、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2からのコマンドを受け付け可能である。ビジー状態では、半導体記憶装置1は、メモリコントローラ2からのコマンドを、例外を除いて受け付けない。
【0012】
半導体記憶装置1はメモリセルアレイ11及び周辺回路PRCを含む。周辺回路PRCは、ロウデコーダ12、センスアンプ13、及びシーケンサ14を含む。メモリセルアレイ11はブロックBLK0~BLK(n-1)(nは1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、ビット線及びワード線に関連付けられた複数の不揮発性メモリセルを含み、例えばデータの消去単位である。
【0013】
シーケンサ14は、受信されたコマンドCMDに基づいて半導体記憶装置1全体の動作を制御する。例えばシーケンサ14はロウデコーダ12及びセンスアンプ13等を制御して、書込み動作及び読出し動作等の各種動作を実行する。書込み動作では、受信された書込みデータDATがメモリセルアレイ11に記憶される。読出し動作では、メモリセルアレイ11から読出しデータDATが読み出される。
【0014】
ロウデコーダ12は、受信されたアドレス情報ADDに基づいて、読出し動作及び書込み動作等の各種動作を実行する対象の所定のブロックBLKを選択する。ロウデコーダ12は、選択したブロックBLKのワード線に電圧を転送する。
【0015】
センスアンプ13は、受信されたアドレス情報ADDに基づいて、メモリコントローラ2とメモリセルアレイ11との間でのデータDATの転送動作を実行する。すなわち、センスアンプ13は、書込み動作において、受信された書込みデータDATを保持し、書込みデータDATに基づいてビット線に電圧を印加する。センスアンプ13は、読出し動作において、ビット線に電圧を印加して、メモリセルアレイ11に記憶されるデータを読出しデータDATとして読み出し、読出しデータDATをメモリコントローラ2に出力する。
【0016】
1.2 メモリセルアレイ11の構成
図2は、第1実施形態の半導体記憶装置1のメモリセルアレイ11の回路構成の一例を示す。メモリセルアレイ11の回路構成の一例として、メモリセルアレイ11の所定のブロックBLKの回路構成の一例が示されている。メモリセルアレイ11の他のブロックBLKはそれぞれ、例えば
図2に示されるものと同様の回路構成を有する。
【0017】
ブロックBLKは例えば4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。各ストリングユニットSUは複数のNANDストリングNSを含む。複数のNANDストリングNSは、m本のビット線BL0~BL(m-1)(mは1以上の整数)に1対1で対応付けられている。各NANDストリングNSは、対応付けられたビット線BLに接続され、例えばメモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。各メモリセルトランジスタMTは制御ゲート(以下、ゲートとも称する。)及び電荷蓄積層を含んでおり、データを不揮発に記憶する。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれは、各種動作時における、選択トランジスタST1及びST2を含むNANDストリングNSの選択に使用される。
【0018】
各NANDストリングNSの選択トランジスタST1のドレインは、NANDストリングNSに対応付けられたビット線BLに接続されている。選択トランジスタST1のソースと、選択トランジスタST2のドレインとの間に、メモリセルトランジスタMT0~MT7が直列接続されている。選択トランジスタST2のソースはソース線SLに接続されている。
【0019】
ストリングユニットSU0~SU3に含まれるNANDストリングNSのそれぞれの選択トランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD0~SGD3に共通して接続されている。ブロックBLKに含まれるNANDストリングNSのそれぞれの選択トランジスタST2のゲートはセレクトゲート線SGSに共通して接続されている。ブロックBLKに含まれるNANDストリングNSのそれぞれのメモリセルトランジスタMT0~MT7のゲートはワード線WL0~WL7に共通して接続されている。
【0020】
各ビット線BLは、ブロックBLKのストリングユニットSUのそれぞれに含まれる対応付けられたNANDストリングNSの選択トランジスタST1のドレインに接続されている。ソース線SLは、ブロックBLKに含まれるNANDストリングNSのそれぞれの選択トランジスタST2のソースに共通して接続されることにより、ブロックBLKのストリングユニットSU間で共有される。ソース線SLは、例えば異なるブロックBLKにおいても同様に接続されることにより、ブロックBLK間で共有される。
【0021】
1つのストリングユニットSUの中の、1つのワード線WLに共通して接続されるメモリセルトランジスタMTの集合は例えばセルユニットCUと称される。例えばセルユニットCU内のメモリセルトランジスタMTのそれぞれに保持される同位の1ビットのデータの集合を「1ページデータ」と称する。例えばMLC方式等により各メモリセルに複数ビットのデータが保持される場合には、1つのセルユニットCUには「1ページデータ」が複数保持され得る。
【0022】
以上、メモリセルアレイ11の回路構成について説明したが、メモリセルアレイ11の回路構成は上述したものに限定されない。例えば、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数を任意の個数に設計することも可能である。また、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT、並びに選択トランジスタST1及びST2のそれぞれの個数は任意の個数に設計することが可能である。ワード線WL、並びにセレクトゲート線SGD及びSGSのそれぞれの本数は、NANDストリングNS中のメモリセルトランジスタMT、並びに選択トランジスタST1及びST2の個数に基づいて変更することが可能である。
【0023】
1.3 半導体記憶装置1の構造
図3は、第1実施形態の半導体記憶装置1の断面構造の一例を示したものである。
半導体記憶装置1は、周辺回路チップ30、下部セルチップ40、及び上部セルチップ50が貼り合わされた構造を有している。周辺回路チップ30には周辺回路PRCが設けられている。下部セルチップ40及び上部セルチップ50のそれぞれにはメモリセルアレイ11の一部が設けられている。本実施形態では、上部セルチップ50が第1セルチップに相当し、下部セルチップ40が第2セルチップに相当する。
【0024】
以下では、便宜上、周辺回路チップ30が含む半導体基板SB11を基準に方向を定義する。半導体基板SB11の所定の面に平行な例えば互いに直交する2方向をX方向及びY方向として定義する。半導体基板SB11の所定の面に交わり当該面を基準に周辺回路素子が形成される方向をZ方向として定義する。Z方向は、X方向及びY方向に直交するものとして説明するが、必ずしもこれに限定されない。以下、Z方向を「上」とし、Z方向と反対の方向を「下」として説明を行うが、この表記は便宜的なものに過ぎず、例えば重力の方向とは無関係である。本実施形態では、Z方向が第1方向に相当し、X方向が、第1方向に交差する第2方向に相当し、Y方向が、第1方向及び第2方向の両方に直交する第3方向に相当する。
【0025】
周辺回路チップ30、下部セルチップ40、及び上部セルチップ50は、Z方向に沿って、その順で隣り合うように設けられている。周辺回路チップ30の半導体基板SB11は例えばシリコン(Si)を含む。半導体基板SB11の上面上に、周辺回路PRCに含まれる周辺回路素子としてのMOS(Meta l Oxide Semiconductor)トランジスタTr11,Tr12,Tr13が設けられている。各トランジスタTr11,Tr12,Tr13は、半導体基板SB11の上面に設けられるゲート絶縁体、ゲート絶縁体の上面に設けられるゲート電極、半導体基板SB11のうちのゲート絶縁体の下方の領域を挟む1対のソース/ドレイン領域を含む。
【0026】
トランジスタTr11,Tr12,Tr13の上方には導電体層D11,D12,D13,D14が設けられている。各導電体層は、互いに絶縁された複数の配線を含む。このような配線を介して、トランジスタTr11,Tr12,Tr13のそれぞれのソース、ドレイン、及びゲートをそれぞれ他の構成要素に電気的に接続することが可能となっている。
図3では、導電体層が4層設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0027】
トランジスタTr11のソース/ドレイン領域の上面にはコンタクトプラグC11が設けられている。コンタクトプラグC11の上面は導電体層D11中の所定の配線に接合されている。導電体層D11中の所定の配線の上面にはコンタクトプラグC12が設けられている。コンタクトプラグC12の上面は導電体層D12中の所定の配線に接合されている。導電体層D12中の所定の配線の上面にはコンタクトプラグC13が設けられている。コンタクトプラグC13の上面は導電体層D13中の所定の配線に接合されている。導電体層D13中の所定の配線の上面にはコンタクトプラグC14が設けられている。コンタクトプラグC14の上面は導電体層D14中の所定の配線に接合されている。導電体層D14中の所定の配線の上面にはコンタクトプラグC15が設けられている。コンタクトプラグC15の上面には導電体層PD11が設けられている。
【0028】
導電体層PD11は例えば銅(Cu)等の金属材料を含む。導電体層PD11の上面は、周辺回路チップ30の上面の一部を構成しており、周辺回路チップ30の上面とZ方向で実質的に同じ位置にある。導電体層PD11は、他のチップとの電気的な接続に用いられる電極パッドとして機能する。以下、周辺回路チップ30の上面に設けられて電極パッドとして機能する導電体のことをボンディングパッドPD11と称する。また、このように電極パッドとして機能する導電体には符号PDを付する。
【0029】
周辺回路チップ30の上面には、ボンディングパッドPD11の他、別のトランジスタTr12,Tr13に電気的にそれぞれ接続されるボンディングパッドPD12,PD13が設けられている。なお、本明細書では、例えばコンタクトプラグC13と導電体層D13中の配線とを区別しているが、互いに接合されて示されているコンタクトプラグC13と導電体層D13中の配線は一体化されていてもよい。他のコンタクトプラグ及び導電体層に関しても同様である。
【0030】
導電体層D11,D12,D13,D14の中の配線を介した接続は一例に過ぎない。周辺回路チップ30では、上記で説明したような各種コンタクトプラグ、導電体層D11,D12,D13,D14の中の配線、並びにボンディングパッドPD11が他にも設けられている。
図3では、便宜上、このような各種コンタクトプラグ、導電体層D11,D12,D13,D14の中の配線、並びにボンディングパッドPD11,PD12,PD13の全てが必ずしも示されてはいない。
【0031】
半導体基板SB11と周辺回路チップ30の上面との間には、トランジスタTr11,Tr12,Tr13、各種コンタクトプラグ、導電体層D11,D12,D13,D14の中の配線、並びにボンディングパッドPD11,PD12,PD13が設けられていない部分には絶縁層31が設けられている。絶縁層31は例えば酸素とシリコンと(例えばSiO2)を含む。また、絶縁層31は、さらに窒素または炭素を含んでもよい。
【0032】
下部セルチップ40の底面401は周辺回路チップ30の上面300に貼合されている。下部セルチップ40は、メモリセルアレイ11の一部として機能する積層体MS1を含む。より具体的には、積層体MS1に含まれるメモリピラーの各々が、例えば1つのNANDストリングNSとして機能する。本実施形態では、積層体MS1が第2積層体に相当し、積層体MS1に設けられるメモリセルトランジスタMTが第2メモリセルトランジスタに相当する。
【0033】
下部セルチップ40の底面にはボンディングパッドPD21,PD22,PD23が設けられている。ボンディングパッドPD21,PD22,PD23は周辺回路チップ30のボンディングパッドPD11,PD12,PD13のそれぞれの上面に接合されている。ボンディングパッドPD21,PD22,PD23のそれぞれの底面は、下部セルチップ40の底面の一部を構成しており、下部セルチップ40の底面とZ方向で実質的に同じ位置にある。ボンディングパッドPD21,PD22,PD23は例えば銅(Cu)等の金属材料を含む。
【0034】
ボンディングパッドPD21の上面にはコンタクトプラグC21が設けられている。コンタクトプラグC21の上面は導電体層D21の中の所定の配線に接合されている。導電体層D21の中の所定の配線の上面にはコンタクトプラグC22が設けられている。コンタクトプラグC22の上面は導電体層D22の中の所定の配線に接合されている。導電体層D22の中の所定の配線の上面にはコンタクトプラグC23が設けられている。コンタクトプラグC23の上面は導電体層D23の中の所定の配線に接続されている。導電体層D23の中の所定の配線の上面にはコンタクトプラグC24が設けられている。コンタクトプラグC24の上面はボンディングパッドPD41に接合されている。このような構造により、下部セルチップ40の底面401に配置されるボンディングパッドPD21は、下部セルチップ40の上面400に配置されるボンディングパッドPD41に電気的に接続されている。ボンディングパッドPD41は例えば銅(Cu)等の金属材料を含む。
【0035】
他のボンディングパッドPD22,PD23も同様にコンタクトプラグC21、導電体層D21、コンタクトプラグC22、導電体層D22、コンタクトプラグC23、導電体層D23、及びコンタクトプラグC24を介してボンディングパッドPD42,PD43にそれぞれ接続されている。ボンディングパッドPD42,PD43も例えば銅(Cu)等の金属材料を含む。
【0036】
導電体層D21のうち、ボンディングパッドPD21,PD41に接続される所定の配線は、金属配線層群ILG2の最も下方の金属配線層の中の所定の配線に電気的に接続されている。当該配線は、金属配線層群ILG2の最も上方の金属配線層の中の所定の配線に電気的に接続されている。当該配線は、金属配線層群ILG2の上方の所定のコンタクトプラグCH21に電気的に接続されている。したがって、ボンディングパッドPD21がコンタクトプラグCH21に電気的に接続されている。コンタクトプラグCH21の上面は積層体MS1の所定のメモリピラーの下端に接触する。金属配線層群ILG2の中の配線のうち、このようにコンタクトプラグCH21に電気的に接続される配線はビット線BLの一部として機能する。
【0037】
積層体MS1の上面には導電体層41が設けられている。導電体層41は、例えば半導体材料または金属を含み、例えばポリシリコン(Si)タングステン(W),またはシリコンとタングステンとを含む。導電体層41は、X方向及びY方向に平行な平面状に広がるように形成されている。導電体層41は、ソース線SLの一部として機能する。本実施形態では、導電体層41が、第2ソース線として用いられる第3導電体層に相当する。以下では、導電体層41をソース層41とも称する。
【0038】
導電体層41の上面には複数のコンタクトプラグC41が設けられている。コンタクトプラグC41の上面には導電体層42が設けられている。導電体層42は例えば銅(Cu)等の金属材料を含む。導電体層42はX方向に延びるように形成されている。導電体層42の一端部は、導電体層D23の中の所定の配線、具体的にはボンディングパッドPD22,PD42に対応する配線に電気的に接続されている。導電体層42は、下部セルチップ40のソース線SLとして機能する導電体層41のソース線SLの裏打ち配線として機能する。本実施形態では、導電体層42が第5導電体層に相当し、コンタクトプラグC41が第1コンタクトに相当する。
【0039】
導電体層42の上面には複数のコンタクトプラグC42が設けられている。コンタクトプラグC42の上面には複数のボンディングパッドPD44が設けられている。本実施形態では、コンタクトプラグC42が第2コンタクトに相当する。
【0040】
複数のボンディングパッドPD44は導電体層43により互いに連結されている。ボンディングパッドPD44及び導電体層43は例えば銅(Cu)等の導電性材料を含む。導電体層43はX方向に延びるように形成されている。導電体層43の一端部はボンディングパッドPD42に電気的に接続されている。導電体層43は、導電体層42と同様に、下部セルチップ40のソース線SLとして機能する導電体層41の裏打ち配線として機能する。本実施形態では、ボンディングパッドPD44が第2ボンディングパッドに相当し、導電体層43が第4導電体層に相当する。
【0041】
ボンディングパッドPD41,PD42,PD43,PD44及び導電体層43のそれぞれの上面は、下部セルチップ40の上面の一部を構成し、下部セルチップ40の上面とZ方向で実質的に同じ位置にある。ボンディングパッドPD41,PD42,PD43,PD44は、上部セルチップ50との電気的な接続に用いられる電極パッドとして機能する。
【0042】
下部セルチップ40において、各ボンディングパッド、各コンタクトプラグ、各導電体層、金属配線層群ILG2の各配線層の中の配線、及び積層体MS1等が設けられていない部分には絶縁層44が設けられている。絶縁層44は例えば酸素とシリコンを含む。また、絶縁層44は、さらに窒素または炭素を含んでもよい。
【0043】
上部セルチップ50の底面501は下部セルチップ40の上面400に貼合されている。上部セルチップ50は、下部セルチップ40に類似の構造を有している。そのため、以下では、上部セルチップ50の構造に関しては可能な限り簡略化して説明する。
【0044】
上部セルチップ50は、メモリセルアレイ11の一部として機能する積層体MS2を含む。本実施形態では、積層体MS2が第1積層体に相当し、積層体MS2に設けられるメモリセルトランジスタMTが第1メモリセルトランジスタに相当する。上部セルチップ50の底面501にはボンディングパッドPD31,PD32,PD33,PD34が設けられている。ボンディングパッドPD31,PD32,PD33,PD34は下部セルチップ40のボンディングパッドPD41,PD42,PD43,PD44にそれぞれ接合されている。本実施形態では、ボンディングパッドPD34が第1ボンディングパッドに相当する。
【0045】
ボンディングパッドPD31は、コンタクトプラグC31、導電体層D31の中の所定の配線、金属配線層群ILG3、及びコンタクトプラグCH31を介して積層体MS2に接続されている。積層体MS2の上面には導電体層51が設けられている。導電体層51はソース線SLの一部として機能する。本実施形態では、導電体層51が、第1ソース線として用いられる第1導電体層に相当する。以下では、導電体層51をソース層51とも称する。
【0046】
導電体層51の上面には導電体層52が設けられている。導電体層52は例えばアルミニウム(AL)等の導電性材料を含む。導電体層51と導電体層52とは、電気的に接続されている。導電体層52は、上部セルチップ50のソース線SLの裏打ち配線として機能する。本実施形態では、導電体層52が第2導電体層に相当する。
【0047】
ボンディングパッドPD32は、コンタクトプラグC31、導電体層D31の中の所定の配線、コンタクトプラグC32、導電体層D32の中の所定の配線、及びコンタクトプラグC33を介して導電体層52に接続されている。
【0048】
ボンディングパッドPD33は、コンタクトプラグC31、導電体層D31の中の所定の配線、コンタクトプラグC32、導電体層D32の中の所定の配線、及びコンタクトプラグC33を介して導電体層53に接続されている。導電体層53は例えばアルミニウム(AL)を含む。
【0049】
上部セルチップ50において、各ボンディングパッド、各コンタクトプラグ、各導電体層、金属配線層群ILG3の各配線層の中の配線、及び積層体MS2等が設けられていない部分には絶縁層54が設けられている。絶縁層54は例えば酸素とシリコンを含む。また、絶縁層54は、さらに窒素または炭素を含んでもよい。導電体層53の一部は、絶縁層54から外部に露出することにより電極パッドPDとして機能する。電極パッドPDは、ボンディングワイヤ、はんだボール、金属バンプ等により実装基板や外部機器等に接続可能な部分である。
【0050】
次に、上部セルチップ50の導電体層52の構造について詳細に説明する。
図4は、導電体層52の平面構造の一部を示したものである。
図5は、
図4のV-V線に沿った断面構造を示したものである。
【0051】
図4に示されるように、導電体層52には、X方向に延びる複数の配線520が形成されている。上部セルチップ50では、複数の配線520がY方向に所定の隙間Ga11を有して並べて配置されている。各配線520には、複数の接触部521がX方向に所定の間隔で形成されている。Z方向から見たとき、接触部521は矩形状に形成されている。
図5に示されるように、接触部521は、ソース層51に向かって凹状に凹むように形成されている。接触部521の底面はソース層51の上面に接触しているため、ソース層51と導電体層52とが電気的に接続されている。
【0052】
なお、
図4に示されるように、Y方向における配線520の幅W10は例えば4μmに設定され、Y方向における隙間Ga11のW11は例えば1.5μmに設定される。また、Z方向から見た接触部521のX方向及びY方向のそれぞれの長さL11,L12は例えば3.5μmに設定される。
【0053】
図5に示されるように、配線520において接触部521を除く部分522とソース層51との間には、絶縁層54の一部を構成する絶縁層540が設けられている。絶縁層540は例えば酸素とシリコンとを含む。したがって、この部分522は、ソース層51に接触していない部分となっている。以下では、この部分522を非接触部522とも称する。
【0054】
配線520の上面には、絶縁層54の一部をそれぞれ構成する絶縁層541及び絶縁層542が順に積層されている。絶縁層541は例えば窒素とシリコンとを含む。絶縁層542は例えばポリイミドを含む。
【0055】
図4に示されるように、上部セルチップ50では、二点鎖線で囲われる領域A11、すなわち配線520及び隙間Ga11を含む矩形状の領域A11の開口率が30%~40%となっている。領域A11の開口率は、Z方向から見た領域A11の全面積に対して、配線520が配置されていない領域が占める面積の割合を百分率で示したものである。
【0056】
次に、下部セルチップ40の導電体層42,43について詳細に説明する。
図6は、導電体層42の平面構造を示したものである。
図7は、導電体層43の平面構造を示したものである。
【0057】
図6に示されるように、導電体層42では、X方向に延びるように形成される3つの配線420a~420cを一組として、複数組の配線420a~420cがY方向に所定の隙間Ga21を有して並べて配置されている。本実施形態では、配線420a~420cが第1配線に相当する。
【0058】
導電体層42には、配線420a~420cをY方向に連結する複数の架設部421が更に設けられている。各架設部421は、X方向に隙間Ga22を有して配置される3つの架設配線421a~421cを含む。本実施形態では、架設配線421a~421cが第2配線に相当する。これらの3つの架設配線421a~421cをそれぞれ含む3つの架設部421が、隙間Ga22よりも大きい隙間Ga23を有してX方向に並べて配置されている。導電体層42において一つの架設部421が設けられる部分、すなわち
図6に一点鎖線で示される部分60は、
図4に示される導電体層52の接触部521の形状と似た略矩形状に形成されている。以下では、当該部分を模擬形状部60と称する。模擬形状部60のX方向及びY方向のそれぞれの長さL21,L22は例えば3μmに設定される。すなわち、Z方向からみたとき、部分60の大きさは、
図4に示される接触部521の大きさよりも若干小さい。
【0059】
図7に示されるように、導電体層43では、X方向に延びるように形成される3つの配線430a~430cを一組として、配線430a~430cがY方向に所定の隙間Ga31を有して並べて配置されている。また、3つの配線430a~430cの組が、Y方向に所定の隙間Ga32を有して並べて配置されている。各配線430a~430cは、複数のボンディングパッドPD44をX方向に貫通するように設けられている。
【0060】
詳しくは、複数のボンディングパッドPD44は、Z方向から見たときに千鳥状に配置されている。図中に一点鎖線で示されるように、複数のボンディングパッドPD44は、ボンディングパッドPD44の幾何中心を結ぶ線がハニカム状となる位置に配置されている。各配線430a~430cは、X方向において一列に配置される複数のボンディングパッドPD44を貫通するように配置されている。以下では、複数のボンディングパッドPD44のうち、配線430a上に配置されるものをボンディングパッドPD44aと称し、配線430b上に配置されるものをボンディングパッドPD44bと称し、配線430c上に配置されるものをボンディングパッドPD44cと称する。
【0061】
なお、配線430aと配線430cとの間に形成される隙間Ga32にも、X方向に一列に並ぶボンディングパッドPD44が配置されている。以下では、このボンディングパッドPD44、すなわち隙間Ga32に配置され、かつ配線430a~430cのいずれにも電気的に接続されていないものをボンディングパッドPD44dと称する。
【0062】
図8は、下部セルチップ40の平面構造を示したものである。また、
図9は、
図8のIX-IX線に沿った断面構造を示したものである。また、
図10は、
図8の領域A21を拡大した平面構造を示したものである。なお、
図8では、絶縁層44の図示を省略している。
図9に示されるように、導電体層42の底面は、Z方向において複数のコンタクトプラグC41を介してソース層41に電気的に接続されている。コンタクトプラグC41は例えばタングステン(W)又は銅(Cu)を用いて形成されている。
図10に示されるように、コンタクトプラグC41は、導電体層42の配線420a~420c及び架設配線421a~421cに沿って配置されている。より具体的には、コンタクトプラグC41は、配線420a~420cのそれぞれにおいて模擬形状部60の領域内に位置している部分に対してX方向に所定の間隔で配置されている。また、コンタクトプラグC41は、架設配線421a~421cのそれぞれに対してもY方向に所定の間隔で並べて配置されている。
【0063】
図9に示されるように、導電体層43の底面は、Z方向において複数のコンタクトプラグC42を介して導電体層42の上面に電気的に接続されている。コンタクトプラグC42は例えばタングステン(W)又は銅(Cu)を用いて形成されている。
図10に示されるように、コンタクトプラグC42は、導電体層43の配線430a~430cに沿って配置されている。より具体的には、コンタクトプラグC42は、配線430a~430cのそれぞれで模擬形状部60の領域内に位置している部分において、隣り合うコンタクトプラグC41の間に位置するようにX方向に所定の間隔で並べて配置されている。このような構造により、導電体層43の配線430a~430c及びボンディングパッドPD44a~44c、並びに当該ボンディングパッドPD44a~44cに接合される上部セルチップ50のボンディングパッドPD34は、コンタクトプラグC42、導電体層42、及びコンタクトプラグC41を介してソース層41に電気的に接続されており、ソース層41の裏打ち配線として機能する。
【0064】
一方、導電体層43のボンディングパッドPD44d、並びに当該ボンディングパッドPD44dに接合される上部セルチップ50のボンディングパッドPD34は、配線としての機能を有していない、いわゆるダミーパッドとなっている。
なお、
図9に示される、Z方向における導電体層42の厚さH11は約250~450nmに設定されている。また、Z方向における導電体層43の厚さH12は、導電体層42と同様に約250~450nmに設定されている。
【0065】
図8に示されるように、下部セルチップ40では、二点鎖線で囲われる領域A21、すなわち、配線420a~420c、架設配線421a~421c、配線430a~430c、ボンディングパッドPD44a~44d、及び隙間Ga21,Ga22,Ga23を含む矩形状の領域A21の開口率は35%~45%である。領域A21の開口率は、Z方向から見た領域A21の全面積に対して、配線420a~420c、架設配線421a~421c、配線430a~430c、及びボンディングパッドPD44a~44dが配置されていない領域が占める面積の割合を百分率で示したものである。
【0066】
1.4 半導体記憶装置1の製造方法
次に、半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
半導体記憶装置1を製造する際には、まず、
図11に示される周辺回路チップ30が製造される。
【0067】
次に、
図12に示される成形品40aが製造される。
図12に示される成形品40aを製造する際には、まず、半導体基板SB2の上面に導電体層41aが形成される。半導体基板SB2は例えばシリコン(Si)を含む。シリコンには、例えばP型の不純物を含む。半導体基板SB2の上面には、例えばシリコンの酸化膜等の絶縁膜が設けられる。導電体層41aは例えば半導体材料を含み、例えばポリシリコン(Si)を含む。その後、導電体層41aの上面に積層体MS1及び絶縁層44aが形成される。絶縁層44aは例えば酸素とシリコンと(例えばSiO
2)を含む。次に、RIE(Reactive Ion Etching)法等の異方性エッチング及びダマシン加工等により、コンタクトプラグC23,CH21、導電体層D22、金属配線層群ILG2、コンタクトプラグC22、導電体層D21、コンタクトプラグC21、及びボンディングパッドPD21,PD22,PD23が形成されることにより、成形品40aが形成される。
【0068】
続いて、
図11に示される周辺回路チップ30の上面に、
図12に示される成形品40aの上面が貼合されることにより、
図13に示されるような貼合品70aが形成される。貼合品70aでは、
図12に示される成形品40aの上下が逆転されている。この貼合品70aに対して、
図14に示されるように、半導体基板SB2のシリコン部分が例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去される。半導体基板SB2のシリコン部分を除去した後、半導体基板SB2の絶縁膜部分と導電体層41aの一部が除去される。これにより、ソース線SLとして機能する導電体層41が形成される。続いて、
図15に示されるように導電体層41の上方まで絶縁層が形成される。
図15では、このように形成された絶縁層が符号44bで示されている。絶縁層44bは例えば酸素とシリコンと(例えばSiO
2)を含む。
【0069】
次に、
図16に示されるように、RIE法等の異方性エッチング及びダマシン加工等により、導電体層41の上面にコンタクトプラグC41、導電体層42、コンタクトプラグC42、ボンディングパッドPD44、及び導電体層43が形成される。また、コンタクトプラグC23の上面に導電体層D23、コンタクトプラグC24、及びボンディングパッドPD41,PD42,PD43が形成される。以上により、
図16に示される貼合品70aが形成される。貼合品70aにおいて、絶縁層44a及び絶縁層44bの組み合わせは、
図3に示される絶縁層44に相当する。また、周辺回路チップ30の上方に貼合される構造物は、
図3に示される下部セルチップ40に相当する。
【0070】
次に、
図17に示される成形品50aが製造される。
図17に示される成形品50aを製造する際には、まず、半導体基板SB3の上面に導電体層51aが形成される。半導体基板SB3は例えばシリコン(Si)を含む。シリコンには、例えばP型の不純物を含む。半導体基板SB2の上面には、例えばシリコンの酸化膜等の絶縁膜が設けられる。導電体層51aは例えば半導体材料を含み、例えばポリシリコン(Si)を含む。その後、導電体層51aの上面に積層体MS2及び絶縁層54aが形成される。絶縁層54aは例えば酸素とシリコンと(例えばSiO
2)を含む。次に、RIE法等の異方性エッチング及びダマシン加工等により、コンタクトプラグC33,CH31、導電体層D32、金属配線層群ILG3、コンタクトプラグC32、導電体層D31、コンタクトプラグC31、及びボンディングパッドPD31,PD32,PD33,PD34が形成されることにより、成形品50aが形成される。
【0071】
続いて、
図16に示される貼合品70aの上面に、
図17に示される成形品40bの上面が貼合されることにより、
図18に示されるような貼合品80aが形成される。貼合品80aでは、
図17に示される成形品40bの上下が逆転されている。
図18に示される貼合品80aの上面に対して、
図14及び
図15に示される貼合品70aの上面に対して行った処理と同様の処理を施すことにより、半導体基板SB3及び導電体層51aの一部が除去される。これにより、
図19に示されるようにソース線SLとして機能する導電体層51が形成される。続いて、
図20に示されるように導電体層52,53及び絶縁層54bが形成される。絶縁層54bは例えば酸素とシリコンと(例えばSiO
2)を含む。貼合品80aにおいて、絶縁層54a及び絶縁層54bの組み合わせは、
図3に示される絶縁層54に相当する。また、下部セルチップ40の上方に貼合される構造物は、
図3に示される上部セルチップ50に相当する。以上により、
図3に示される半導体記憶装置1が製造される。
【0072】
1.5 作用及び効果
本実施形態の半導体記憶装置1では、上部セルチップ50が、積層体MS2と、導電体層51,52と、ボンディングパッドPD34とを備える。積層体MS2は、複数のメモリセルトランジスタMTを含むメモリセルアレイ11の一部として機能する。導電体層51は、積層体MS2の上方に設けられ、ソース線SLとして用いられる。導電体層52は、導電体層51の上方に設けられるとともに、導電体層51に接合されている。ボンディングパッドPD34は、下部セルチップ40との貼合面である底面501に配置されている。本実施形態では、底面501が第1面に相当する。
【0073】
また、下部セルチップ40は、積層体MS1と、導電体層41~43と、ボンディングパッドPD44とを備える。積層体MS1は、複数のメモリセルトランジスタMTを含むメモリセルアレイ11の一部として機能する。導電体層41は、積層体MS1の上方に設けられ、ソース線SLとして用いられる。ボンディングパッドPD44は、上部セルチップ50との貼合面である上面400に配置され、複数のボンディングパッドPD34にそれぞれ接合されている。導電体層43は、X方向に延びるように形成され、複数のボンディングパッドPD44を連結するように設けられるとともに、導電体層41に電気的に接続されている。本実施形態では、上面400が第2面に相当する。
【0074】
具体的には、下部セルチップ40は、導電体層41と導電体層43との間に設けられる導電体層42と、導電体層41と導電体層42とを電気的に接続するコンタクトプラグC41と、導電体層42と導電体層43とを電気的に接続するコンタクトプラグC42とを更に備えている。導電体層52及び導電体層43は電気的に接続されている。
【0075】
上記の構成によれば、上部セルチップ50では、ソース線SLとして用いられる導電体層51に対して、導電体層52が裏打ち配線として機能する。したがって、上部セルチップ50では、導電体層52の抵抗によりソース線SLのシート抵抗が定まる。これに対して、下部セルチップ40では、ソース線SLとして用いられる導電体層41に対して、導電体層42,43が裏打ち配線として機能する。したがって、下部セルチップ40では、導電体層42,43の抵抗、並びに導電体層43に連結される複数のボンディングパッドPD44によりソース線SLのシート抵抗が定まる。
【0076】
一方、
図21に示される比較例の半導体記憶装置100のように、例えば導電体層41に導電体層42のみが接続されている場合、下部セルチップ40において導電体層42のみがソース線SLの裏打ち配線として用いられることになる。上述の通り、上部セルチップ50の導電体層52はアルミニウムを含むものであるのに対して、下部セルチップ40の導電体層42は銅を含むものである。そのため、例えば下部セルチップ40において導電体層42のみをソース線SLの裏打ち配線として用いた場合、上部セルチップ50の導電体層52及び下部セルチップ40の導電体層42のそれぞれの材質の相違により、セルチップ40,50のそれぞれのソース線SLのシート抵抗を一致させることが困難となる。
【0077】
この点、本実施形態の下部セルチップ40では、上述の通り、導電体層42,43の抵抗、並びに導電体層43に連結される複数のボンディングパッドPD44によりソース線SLのシート抵抗が定まるため、そのシート抵抗を上部セルチップ50のソース線SLのシート抵抗に近づけることが可能となる。よって、各セルチップ40,50のソース線SLのシート抵抗を均一化し易くなる。
【0078】
本実施形態の半導体記憶装置1では、上部セルチップ50の導電体層52が、導電体層51と接合する接触部521と、導電体層51との間に絶縁層540を挟んで導電体層51に接触しない非接触部522とを有する。Z方向から見たときに接触部521と重なる導電体層42の模擬形状部60は、導電体層52の接触部521に模した矩形状に形成されている。
【0079】
このような半導体記憶装置1では、例えば
図3に示される上面500から内部に向けてレーザを照射することにより半導体記憶装置1の内部の構造的な不良を検出するオバーク解析等の不良解析が行われることがある。このような不良解析では、半導体記憶装置1の解析上の目印として、上部セルチップ50の導電体層52において規則的に配置される接触部521が用いられる。接触部521を目印として用いれば、上部セルチップ50の不良解析に関しては適切に行うことが可能である。但し、下部セルチップ40には、接触部521のような明確な目印が存在しない。これが、下部セルチップ40の不良解析を困難にさせる要因となっている。
【0080】
この点、本実施形態の半導体記憶装置1では、上述の通り、下部セルチップ40の導電体層42に、導電体層52の接触部521と似た形状を有する模擬形状部60が形成されているため、この模擬形状部60の不良解析を行う際の目印として用いることができる。結果的に、下部セルチップ40の不良解析の精度を向上させることが可能である。
【0081】
本実施形態の半導体記憶装置1では、下部セルチップ40の導電体層42に、配線420a~420cと、架設配線421a~421cとが設けられている。配線420a~420cは、X方向に延びるように形成されるとともに、Y方向に間隔を開けて配置されている。架設配線421a~421cは、配線420a~420cをY方向に連結するように設けられ、X方向に間隔を開けて配置されている。模擬形状部60は、配線420a~420cと架設配線421a~421cとの組み合わせの一部分を含む。
【0082】
この構成によれば、配線420a~420cのそれぞれの間、並びに架設配線421a~421cのそれぞれの間に隙間を形成することができる。これにより、下部セルチップ40の開口率を上部セルチップ50の開口率に近づけることができるため、オバーク解析等の不良解析を行う際に半導体記憶装置1の内部までレーザが達し易くなる。そのため、より高い精度で不良解析を行うことが可能となる。
【0083】
導電体層43のボンディングパッドPD44d、並びに当該ボンディングパッドPD44dに接合される上部セルチップ50のボンディングパッドPD34は、互いに接合されてダミーパッドとして機能する。
この構成によれば、こうしたダミーパッドが存在しない構造と比較すると、下部セルチップ40及び上部セルチップ50の位置ずれを抑制することが可能である。
【0084】
下部セルチップ40のボンディングパッドPD44及び上部セルチップ50のボンディングパッドPD34は、Z方向から見たときにハニカム状に配置されている。
この構成によれば、ボンディングパッドPD44及び上部セルチップ50のボンディングパッドPD34のそれぞれの数を維持しつつ、それらをより高密度に配置することが可能である。これにより、半導体記憶装置1の小型化をすることが可能となる。
【0085】
1.5 第1変形例
図22は、本変形例の下部セルチップ40の導電体層42,43周辺の平面構造を示したものである。また、
図23は、
図22のXXIII-XXIII線に沿った断面構造を示したものである。なお、
図22では絶縁層44が省略されている。
【0086】
図22及び
図23に示されるように、本変形例の導電体層42は、X方向に所定の間隔で配置される複数の模擬形状部422と、複数の模擬形状部422をX方向に接続するように設けられる配線423とを備えている。模擬形状部422は、X方向から見たときに矩形状に形成されており、上部セルチップ50の導電体層52の接触部521と似た形状を有している。模擬形状部422のX方向及びY方向のそれぞれの長さL21,L22は例えば3μmに設定される。模擬形状部422の底面には、その外周に沿って複数のコンタクトプラグC41が所定の間隔で接合されている。模擬形状部422はコンタクトプラグC41を介してソース層41に電気的に接続されている。
【0087】
導電体層42の模擬形状部422の上方にはボンディングパッドPD44が配置されている。導電体層42の配線423の上方には導電体層43の配線430が配置されている。模擬形状部422及びボンディングパッドPD44、並びに導電体層42の配線423及び導電体層43の配線430は、X方向に所定の間隔で配置されるコンタクトプラグC42を介して電気的に接続されている。
【0088】
本変形例のような構造を用いれば、より簡素な構造で模擬形状部422を実現することが可能である。
1.6 第2変形例
図24に示されるように、ボンディングパッドPD44は円柱状に形成されていてもよい。他のボンディングパッドも同様である。
【0089】
2 第2実施形態
次に、半導体記憶装置1の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態の半導体記憶装置1との相違点を中心に説明する。
2.1 半導体記憶装置1の構造
図25及び
図26に示されるように、本実施形態の導電体層42は、
図8に示される導電体層42と比較すると、配線420a~420cに代えて架設配線424a~424cが設けられる点で異なる。架設配線424aは、Y方向における架設配線421a~421cのそれぞれの一端部を連結するように配置されている。架設配線424aは、Y方向における架設配線421a~421cのそれぞれの他端部を連結するように配置されている。架設配線424bは、Y方向における架設配線421aと421cとのそれぞれの間に位置する部分を連結するように配置されている。このような構造により、架設配線424a,424c及び架設配線421a,421cにより矩形状の枠が形成されるとともに、その矩形状の枠内に架設配線424b及び架設配線424bが十字状に配置されている。本実施形態では、これらの架設配線421a~421c及び架設配線424a~424cにより模擬形状部60が形成されている。模擬形状部60のX方向及びY方向のそれぞれの長さL21,L22は例えば3μmに設定される。
【0090】
図27は、
図26のXXVII-XXVII線に沿った断面構造を示したものである。
図27に示されるように、本実施形態の半導体記憶装置1では、Z方向における導電体層42の厚さH11は690nmに設定されており、Z方向における導電体層43の厚さH12は1000nmに設定されている。すなわち、第1実施形態の半導体装置1に対して導電体層43が厚膜化されている。
【0091】
2.2 作用及び効果
このように、本実施形態の導電体層42は、
図8に示される第1実施形態の導電体層42と比較すると、模擬形状部60を構成している部分が配線を介して互いに接続されていない点で異なる。すなわち、導電体層42は、模擬形状部60を形成する架設配線421a~421c及び架設配線424a~424cが独立して複数配置された形状を有している。このような下部セルチップ40の構造によれば、配線420a~420cが存在しない分だけ、第1実施形態の下部セルチップ40よりも開口率を大きくすることが可能である。具体的には、本実施形態の下部セルチップ40では、
図25に示される二点鎖線で囲われる領域A21の開口率が45%~55%となる。
【0092】
また、架設配線421a~421c及び架設配線424a~424cにより、導電体層52の接触部521の形状をより的確に再現することが可能であるため、下部セルチップ40の不良解析の精度を更に向上させることが可能である。
2.3 変形例
図28は、本変形例の下部セルチップ40の導電体層42,43周辺の平面構造を示したものである。
図28に示されるように、本変形例の導電体層42,43は、
図22に示される導電体層42,43と比較すると、配線423が設けられていない点で相違するが、それ以外の点は一致している。このような構造によれば、模擬形状部60が配線を介して互いに接続されていない構造を容易に実現することが可能である。
【0093】
3 第3実施形態
次に、半導体記憶装置1の第3実施形態について説明する。以下、第1実施形態の半導体記憶装置1との相違点を中心に説明する。
3.1 半導体記憶装置1の構造
図29及び
図30に示されるように、本実施形態の導電体層43は、
図8に示される導電体層43と比較すると、配線430a~430cが設けられていない点で異なる。
図30に示されるように、複数のボンディングパッドPD44のうち、導電体層43の配線420bの上方に設けられるボンディングパッドPD44の底面はコンタクトプラグC42を介して導電体層43の配線420bに電気的に接続されている。本実施形態では、導電体層43が第4導電体層に相当する。
【0094】
3.2 作用及び効果
下部セルチップ40は、複数のボンディングパッドPD44と導電体層41の間に設けられる導電体層43と、導電体層41と導電体層41とを電気的に接続するコンタクトプラグC41と、複数のボンディングパッドPD44と導電体層43とを電気的に接続するコンタクトプラグC42とを備える。本実施形態では、コンタクトプラグC41が第1コンタクトに相当し、コンタクトプラグC42が第2コンタクトに相当する。
【0095】
この構成によれば、配線430a~430cが存在しない分だけ、第1実施形態の下部セルチップ40よりも開口率を大きくすることができる。具体的には、本実施形態の下部セルチップ40では、
図29に示される二点鎖線で囲われる領域A21の開口率が45%~55%となる。
【0096】
また、導電体層43に配線430a~430cを設けないのであれば、ボンディングパッドPD44の形状や配置をより自由に変更することが可能であるため、設計の自由度を向上させることが可能である。
3.3 変形例
図31は、本変形例の下部セルチップ40の導電体層42,43周辺の平面構造を示したものである。
図31に示されるように、本変形例の導電体層42,43は、
図28に示される導電体層43と比較すると、配線430が設けられていない点、及びコンタクトプラグC42がボンディングパッドPD44の底面にのみ設けられている点で相違するが、それ以外の点は一致している。このような構造であっても、第3実施形態の半導体記憶装置1と同一又は類似の作用及び効果を得ることができる。
【0097】
4 第4実施形態
次に、半導体記憶装置1の第4実施形態について説明する。以下、第1実施形態の半導体記憶装置1との相違点を中心に説明する。
4.1 半導体記憶装置1の構造
図32に示されるように、本実施形態の半導体記憶装置1では、
図3に示される第1実施形態の半導体記憶装置1と比較すると、導電体層42が設けられていない点で異なる。
【0098】
具体的には、
図33及び
図34に示されるように、下部セルチップ40では、導電体層43の底面がコンタクトプラグC42を介して導電体層41に電気的に接続されている。本実施形態では、コンタクトプラグC42が第1コンタクトに相当する。
図33に示されるように、本実施形態の導電体層43は、
図8に示される第1実施形態の導電体層42に類似の構造を有している。すなわち、導電体層43では、X方向に延びるように形成される3つの配線431a~431cを一組として、複数組の配線431a~431cがY方向に所定の隙間Ga21を有して並べて配置されている。各配線431a~431cは、X方向に一列に配置されるボンディングパッドPD44を貫通するように設けられている。
【0099】
導電体層43には、配線431a~431cをY方向に連通するように複数の架設部432が設けられている。各架設部432は、X方向に隙間Ga22を有して配置される3つの架設配線432a~432cを含む。これらの3つの架設配線432a~432cを含む3つの架設部432が、隙間Ga22よりも大きい隙間Ga23を有してX方向に並べて配置されている。
【0100】
導電体層43において一つの架設部432が設けられる部分、すなわち
図33に一点鎖線で示される部分は、
図4に示される導電体層52の接触部521の形状を模した矩形状の模擬形状部60を形成している。模擬形状部60のX方向及びY方向のそれぞれの長さL21,L22は例えば3μmに設定される。
【0101】
図34に示されるように、コンタクトプラグC42は、配線431a~431cのそれぞれにおいて模擬形状部60の領域内に位置している部分にX方向に所定の間隔で配置されている。また、コンタクトプラグC42は、架設配線432a~432cのそれぞれに対してY方向に所定の間隔で並べて配置されている。
【0102】
4.2 作用及び効果
以上のように、本実施形態の下部セルチップ40は、導電体層41と導電体層43とを電気的に接続するコンタクトプラグC42を備える。この構造によれば、
図3に示される第1実施形態の半導体記憶装置1と比較すると、導電体層42及びコンタクトプラグC41を省略することが可能であるため、構造を簡素化することが可能である。
【0103】
4.3 変形例
図35は、本変形例の下部セルチップ40の導電体層43周辺の平面構造を示したものである。
図35に示されるように、本実施形態の導電体層43では、
図22に示される導電体層42,43と比較すると、導電体層42が設けられていない。また、ボンディングパッドPD44が、
図22に示される模擬形状部422と同等の大きさに形成されている。すなわち、ボンディングパッドPD44のX方向及びY方向のそれぞれの長さL23,L24は例えば3μmに設定されている。これにより、本変形例では、ボンディングパッドPD44が模擬形状部を形成している。このような構造であっても、第4実施形態の半導体記憶装置1と同一又は類似の作用及び効果を得ることができる。
【0104】
5 第5実施形態
次に、半導体記憶装置1の第5実施形態について説明する。以下、第1実施形態の半導体記憶装置1との相違点を中心に説明する。
5.1 半導体記憶装置1の構造
図36に示されるように、本実施形態の半導体記憶装置1では、
図3に示される第1実施形態の半導体記憶装置1と比較すると、上部セルチップ50にボンディングパッドPD31,PD32,PD33,PD34が設けられていない点で異なる。本実施形態の半導体記憶装置1では、上部セルチップ50のコンタクトプラグC31が、下部セルチップ40のボンディングパッドPD41,PD42,PD43に接合されている。
【0105】
5.2 作用及び効果
本実施形態の半導体記憶装置1のような構造であっても、第1実施形態の半導体記憶装置1と同一又は類似の作用及び効果を得ることが可能である。
6 第6実施形態
次に、半導体記憶装置1の第6実施形態について説明する。以下、第1実施形態の半導体記憶装置1との相違点を中心に説明する。
【0106】
6.1 半導体記憶装置1の構造
図37に示されるように、本実施形態の半導体記憶装置1では、
図3に示される第1実施形態の半導体記憶装置1と比較すると、上部セルチップ50に、複数のボンディングパッドPD34をX方向に連結するように導電体層D51が更に形成されている。導電体層D51の一端部はボンディングパッドPD32に電気的に接続されている。本実施形態では、導電体層D51が第6導電体層に相当する。
【0107】
6.2 作用及び効果
本実施形態の半導体記憶装置1のような構造であっても、第1実施形態の半導体記憶装置1と同一又は類似の作用及び効果を得ることが可能である。
7 他の実施形態
本開示は上記の具体例に限定されるものではない。
【0108】
例えば半導体記憶装置1は、2つのセルチップが積層される構造に限らず、3つ以上のセルチップが積層される構造であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれ、かつ特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
C41:コンタクトプラグ(第1コンタクト)、C42:コンタクトプラグ(第1コンタクト、第2コンタクト)、D51:導電体層(第6導電体層)、MS1:積層体(第2積層体)、MS2:積層体(第1積層体)、PD34:ボンディングパッド(第1ボンディングパッド)、PD44:ボンディングパッド(第2ボンディングパッド)、SB11:基板、1:半導体記憶装置、40:下部セルチップ(第2セルチップ)、41:導電体層(第3導電体層、ソース層)、42:導電体層(第5導電体層)、43:導電体層(第4導電体層)、50:上部セルチップ(第1セルチップ)、51:導電体層(第1導電体層、ソース層)、52:導電体層(第2導電体層)、60,422:模擬形状部、420a~420c:配線(第1配線)、421a~421c:架設配線(第2配線)、521:接触部、522:非接触部。