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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132899
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】内視鏡的縫合装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20240920BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20240920BHJP
【ＦＩ】
A61B17/04
A61B17/94
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2024022850
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2023039497
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】ＳＢカワスミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 偉師
(72)【発明者】
【氏名】大塚 渉
(72)【発明者】
【氏名】浅野 励音
【テーマコード（参考）】
4C160
【Ｆターム（参考）】
4C160BB01
4C160NN01
(57)【要約】
【課題】簡易な操作で高い縫合力を生じさせることができる内視鏡的縫合装置を提供する。
【解決手段】内視鏡の管状挿入部の遠位端に設けられる内視鏡的縫合装置は、アーム一端側にて縫合針の保持部をそれぞれ有する一対のアーム部を有し、アーム一端側を開閉させて組織を縫合する際に縫合針を保持するアーム部を交互に切り替え可能に構成される。内視鏡的縫合装置は、管状挿入部に沿って配置される操作線と、装置本体部に対する操作線の近位側への牽引で管状挿入部の長手方向に相対的に変位する原動節を有し、原動節の変位をアーム部の一端側の開閉動作に変換するリンク機構と、を備える。
【選択図】図６
【解決手段】内視鏡の管状挿入部の遠位端に設けられる内視鏡的縫合装置は、アーム一端側にて縫合針の保持部をそれぞれ有する一対のアーム部を有し、アーム一端側を開閉させて組織を縫合する際に縫合針を保持するアーム部を交互に切り替え可能に構成される。内視鏡的縫合装置は、管状挿入部に沿って配置される操作線と、装置本体部に対する操作線の近位側への牽引で管状挿入部の長手方向に相対的に変位する原動節を有し、原動節の変位をアーム部の一端側の開閉動作に変換するリンク機構と、を備える。
【選択図】図６
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の管状挿入部の遠位端に設けられる内視鏡的縫合装置であって、
アーム一端側にて縫合針の保持部をそれぞれ有する一対のアーム部を有し、前記アーム一端側を開閉させて組織を縫合する際に前記縫合針を保持するアーム部を交互に切り替え可能に構成され、
前記管状挿入部に沿って配置される操作線と、
装置本体部に対する前記操作線の近位側への牽引で前記管状挿入部の長手方向に相対的に変位する原動節を有し、前記原動節の前記変位を前記アーム部の前記一端側の開閉動作に変換するリンク機構と、を備える
内視鏡的縫合装置
アーム一端側にて縫合針の保持部をそれぞれ有する一対のアーム部を有し、前記アーム一端側を開閉させて組織を縫合する際に前記縫合針を保持するアーム部を交互に切り替え可能に構成され、
前記管状挿入部に沿って配置される操作線と、
装置本体部に対する前記操作線の近位側への牽引で前記管状挿入部の長手方向に相対的に変位する原動節を有し、前記原動節の前記変位を前記アーム部の前記一端側の開閉動作に変換するリンク機構と、を備える
内視鏡的縫合装置
【請求項2】
前記リンク機構は、それぞれの他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節をさらに有し、
前記アーム部は、前記第１中間節と連結される第１アーム部と、前記第２中間節と連結される第２アーム部と、を有し、
前記第１アーム部は、アーム他端側に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム一端側と前記第１支軸の間の位置で第１のピンを介して前記第１中間節の一端側と回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、アーム他端側に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム一端側と前記第２支軸の間の位置で第２のピンを介して前記第２中間節の一端側と回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置。
前記アーム部は、前記第１中間節と連結される第１アーム部と、前記第２中間節と連結される第２アーム部と、を有し、
前記第１アーム部は、アーム他端側に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム一端側と前記第１支軸の間の位置で第１のピンを介して前記第１中間節の一端側と回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、アーム他端側に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム一端側と前記第２支軸の間の位置で第２のピンを介して前記第２中間節の一端側と回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置。
【請求項3】
前記アーム部は、それぞれ前記原動節と回動自在に連結される第１アーム部および第２アーム部と、を有し、
前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置。
前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置。
【請求項4】
前記原動節は、
前記第１アーム部のアーム他端側と連結される第１のピンを受け、アーム部の開閉時に前記第１のピンを移動可能に案内する第１ガイド部と、
前記第２アーム部のアーム他端側と連結される第２のピンを受け、アーム部の開閉時に前記第２のピンを移動可能に案内する第２ガイド部と、を有する
請求項３に記載の内視鏡的縫合装置。
前記第１アーム部のアーム他端側と連結される第１のピンを受け、アーム部の開閉時に前記第１のピンを移動可能に案内する第１ガイド部と、
前記第２アーム部のアーム他端側と連結される第２のピンを受け、アーム部の開閉時に前記第２のピンを移動可能に案内する第２ガイド部と、を有する
請求項３に記載の内視鏡的縫合装置。
【請求項5】
前記リンク機構は、それぞれの他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節をさらに有し、
前記アーム部は、前記第１中間節と連結される第１アーム部と、前記第２中間節と連結される第２アーム部と、を有し、
前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記第１中間節の一端側と第１のピンで回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記第２中間節の一端側と第２のピンで回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置。
前記アーム部は、前記第１中間節と連結される第１アーム部と、前記第２中間節と連結される第２アーム部と、を有し、
前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記第１中間節の一端側と第１のピンで回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記第２中間節の一端側と第２のピンで回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置。
【請求項6】
前記リンク機構は、それぞれの他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節をさらに有し、
前記アーム部は、共通の支軸を中心に回動し、互いに交差する第１アーム部および第２アーム部を有し、
前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に前記支軸が位置し、前記アーム他端側が前記第１中間節の一端側と第１のピンで回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に前記支軸が位置し、前記アーム他端側が前記第２中間節の一端側と第２のピンで回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置
前記アーム部は、共通の支軸を中心に回動し、互いに交差する第１アーム部および第２アーム部を有し、
前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に前記支軸が位置し、前記アーム他端側が前記第１中間節の一端側と第１のピンで回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に前記支軸が位置し、前記アーム他端側が前記第２中間節の一端側と第２のピンで回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置
【請求項7】
前記リンク機構は、他端側が互いに前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節と、
前記第１中間節と前記第２中間節の連結部分を受け、前記原動節とともに変位する前記連結部分を前記長手方向に案内するガイド部と、をさらに有し、
前記アーム部は、共通の支軸を中心に回動する第１アーム部および第２アーム部を有し、
前記第１アーム部は、アーム他端側に前記支軸が位置し、前記アーム一端側と前記支軸の間の位置で第１のピンを介して前記第１中間節の一端側と回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、アーム他端側に前記支軸が位置し、前記アーム一端側と前記支軸の間の位置で第２のピンを介して前記第２中間節の一端側と回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置。
前記第１中間節と前記第２中間節の連結部分を受け、前記原動節とともに変位する前記連結部分を前記長手方向に案内するガイド部と、をさらに有し、
前記アーム部は、共通の支軸を中心に回動する第１アーム部および第２アーム部を有し、
前記第１アーム部は、アーム他端側に前記支軸が位置し、前記アーム一端側と前記支軸の間の位置で第１のピンを介して前記第１中間節の一端側と回動自在に連結され、
前記第２アーム部は、アーム他端側に前記支軸が位置し、前記アーム一端側と前記支軸の間の位置で第２のピンを介して前記第２中間節の一端側と回動自在に連結される
請求項１に記載の内視鏡的縫合装置。
【請求項8】
前記リンク機構を覆うカバーをさらに備える
請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
【請求項9】
前記アーム部は、前記長手方向に延びる本体部と、前記アーム一端側で前記本体部から前記管状挿入部の径方向内側に向けて突出する突出端部とを有する
請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
【請求項10】
前記内視鏡は、前記管状挿入部の遠位端から長手方向に進退する鉗子をさらに有し、
前記保持部は、前記アーム部が閉じた状態で前記鉗子の動線上に配置される
請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
前記保持部は、前記アーム部が閉じた状態で前記鉗子の動線上に配置される
請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
【請求項11】
前記内視鏡的縫合装置は、前記内視鏡の管状挿入部に着脱可能である
請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡的縫合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切開後の偶発症の発生リスクを抑制するために切開部の縫合を内視鏡下で行う手技が知られており、内視鏡下で切開部の縫合を行うための内視鏡的縫合装置も提案されている。例えば、特許文献１には、先端部で縫合針を保持する一対のアーム部を有し、開閉時に縫合針を保持するアーム部を切り替えて縫合を行う縫合装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開２０１９－１０７４４２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、粘膜下層などの病変部位を全層切除した後に全層縫合を行う手技では、内視鏡下で生体組織の深くまで縫合針を通す必要が生じるため、この種の縫合装置としてより高い縫合力を有する装置が要望されている。一方で、手技を容易にする観点からは縫合装置の操作が簡易であることが好ましい。
【0005】
そこで、本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであって、簡易な操作で高い縫合力を生じさせることができる内視鏡的縫合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、内視鏡の管状挿入部の遠位端に設けられる内視鏡的縫合装置である。内視鏡的縫合装置は、アーム一端側にて縫合針の保持部をそれぞれ有する一対のアーム部を有し、アーム一端側を開閉させて組織を縫合する際に縫合針を保持するアーム部を交互に切り替え可能に構成される。内視鏡的縫合装置は、管状挿入部に沿って配置される操作線と、装置本体部に対する操作線の近位側への牽引で管状挿入部の長手方向に相対的に変位する原動節を有し、原動節の変位をアーム部の一端側の開閉動作に変換するリンク機構と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、簡易な操作で高い縫合力を生じさせることができる内視鏡的縫合装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第１実施形態に係る縫合装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【図4】第１アーム部の構造例を示す図である。
【図5】第１アーム部と第２アーム部の開閉動作の例を示す図である。
【図6】第１実施形態の開閉機構部の構成例を示す図である。
【図7】原動節の摺動範囲の例を示す図である。
【図8】第２実施形態の開閉機構部の構成例を示す図である。
【図9】第３実施形態の開閉機構部の構成例を示す図である。
【図10】第４実施形態の開閉機構部の構成例を示す図である。
【図11】第５実施形態の開閉機構部の構成例を示す図である。
【図12】第６実施形態の開閉機構部の構成例を示す図である。
【図13】第６実施形態の開閉機構部を近位側から見た図である。
【図14】縫合装置の変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施形態に係る内視鏡的縫合装置（以下、縫合装置とも称する）の構成例について説明する。なお、図面における各部の形状、寸法等は模式的に示したもので、実際の形状や寸法等を示すものではない。
【0010】
また、以下の説明では、内視鏡のオペレータからみて遠い方を遠位側と称し、オペレータからみて近い方を近位側と称する。図面では、内視鏡の長手方向（軸方向）を適宜矢印Ａｘで示す。また、長手方向に略直交する方向を径方向と定義し、長手方向を中心とする回転方向を周方向と定義する。
【0011】
【0012】
縫合装置１は、内視鏡において生体管腔に挿入される管状挿入部２の遠位端に着脱可能に設けられる。縫合装置１は、内視鏡の管状挿入部２に対して着脱可能であるため、交換や殺菌消毒などのメンテナンスが容易である。なお、縫合装置１は、ディスポーザブルの製品として供給されてもよい。
【0013】
例えば、内視鏡は管状挿入部２が屈曲可能な軟性鏡であり、近位側からオペレータによって操作される。また、内視鏡の管状挿入部２の遠位端には、撮像部の対物レンズ３と、照明部４と、鉗子口５が設けられている。
【0014】
内視鏡は、広角の対物レンズ３を介して撮像部で生体管腔内を撮像し、生体管腔内の映像を不図示の表示装置にリアルタイムで表示出力できる。また、照明部４は、光ファイバーにより光源から導かれた光で生体管腔内を照らす。また、鉗子口５は、鉗子６などの処置具の出し入れや処置具による生体組織の採取のために設けられている。内視鏡は、図３に示すように、管状挿入部２の鉗子口５から長手方向に鉗子６を進退させて、生体組織を鉗子６で把持することが可能である。
【0015】
縫合装置１は、取付部１１と、第１アーム部１２および第２アーム部１３からなる一対のアーム部と、開閉機構部１４と、操作線１５とを備えている。取付部１１、第１アーム部１２、第２アーム部１３および開閉機構部１４は、管状挿入部２の遠位端に配置される。操作線１５は、管状挿入部２に沿って長手方向に配置され、遠位側が開閉機構部１４に接続されている。縫合装置１は、操作線１５を近位側に牽引操作することで、開閉機構部１４を介して縫合針１６を保持する第１アーム部１２および第２アーム部１３を開閉させることができる。
【0016】
取付部１１、第１アーム部１２、第２アーム部１３および開閉機構部１４の材料としては、それぞれ生体適合性を有する金属などを適用することができ、例えばステンレスやチタン、ニチノールなどが挙げられる。また、操作線１５は、例えば、ステンレスやチタン、銅、ニチノールなどの金属細線のほか、高分子ファイバーの細線、フッ素チューブ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどを用いることができる。
【0017】
取付部１１は、管状挿入部２の外径に対応する環状の部材である。取付部１１の内側には、管状挿入部２の遠位端が着脱可能に挿入されて取付部１１に保持される。また、取付部１１の外周には、開閉機構部１４を介して第１アーム部１２および第２アーム部１３が取り付けられる。
【0018】
第１アーム部１２および第２アーム部１３は、取付部１１の遠位側に突出するようにＶ字状に開閉機構部１４に支持され、内視鏡外周の接線方向と略平行な方向に開閉可能である。図３に示すように、縫合装置１を管状挿入部２に取り付けたときには、第１アーム部１２および第２アーム部１３の先端は管状挿入部２よりも遠位側に位置する。また、図３に示すように、各アーム部の先端は、各アーム部が閉じた状態で鉗子６の動線上に配置されている。
【0019】
図４は、第１アーム部１２の構造例を示す図である。図５は、第１アーム部１２と第２アーム部１３の開閉動作の例を示す図である。なお、第１アーム部１２および第２アーム部１３の構造は共通であるため、以下の説明では、第１アーム部１２の構造について説明し、第２アーム部１３に関する重複説明は省略する。
【0020】
第１アーム部１２の先端（遠位側の端部）の内側面には、縫合針１６の保持部２０が設けられている。ここで、縫合針１６は、両端に針先１６ａが形成され、中央部に縫合糸（不図示）を通す穴１６ｂを有する。また、縫合針１６の両側には、針先１６ａよりも内側の位置に、縫合針１６の延長方向と交差方向に延びる溝１６ｃがそれぞれ形成されている。
【0021】
一方、保持部２０は、第１アーム部１２内で縫合針１６を受ける凹部２１と、縫合針１６の溝１６ｃと係合する保持片２２とを有する。保持片２２は、第１アーム部１２の内部に配置され、第１アーム部１２の延長方向に摺動可能である。また、保持片２２は、縫合針１６の溝１６ｃと係合する係合部２２ａと、縫合針１６の通過を許容する穴２２ｂとを有する。保持片２２は、第１アーム部１２の延長方向に摺動することで、凹部２１に係合部２２ａが位置するロック状態と、凹部２１に穴２２ｂが位置する非ロック状態を切り換えることが可能である。
【0022】
ここで、生体管腔の切開部を縫合する際、一方のアーム部に縫合針１６が片持ちで保持される。図５（ａ）の例では、最初に第１アーム部１２の保持部２０に縫合針１６が保持されている状態を示している。図５（ａ）において、第１アーム部１２の保持部２０内では縫合針１６の溝１６ｃに保持片２２の係合部２２ａが係合し、縫合針１６は第１アーム部１２にロックされている。
【0023】
図５（ｂ）に示すように、図５（ａ）の状態から第１アーム部１２と第２アーム部１３を閉状態にすると、露出している縫合針１６の針先１６ａが他方のアーム部（第２アーム部１３）の保持部２０に収容される。このとき、第２アーム部１３の保持部２０は、凹部２１に保持片２２の穴２２ｂが位置する非ロック状態にあるものとする。
【0024】
その後、図５（ｃ）に示すように、第２アーム部１３では保持片２２が摺動することで縫合針１６の溝１６ｃに保持片２２の係合部２２ａが係合し、縫合針１６が第２アーム部１３にロックされる。また、第１アーム部１２では保持片２２が摺動することで縫合針１６の溝１６ｃから保持片２２の係合部２２ａが退避し、第１アーム部１２での縫合針１６のロックが解除される。これにより、縫合針１６を保持するアーム部が切り替わる。なお、上記のロック状態と非ロック状態の切り替えは、２つのアーム部で同時に行われてもよく、縫合針１６を受けたアーム部がロック状態に変更された後に、縫合針１６を保持していたアーム部が時間差をおいてロック状態に変更されてもよい。
【0025】
図５（ｃ）の状態から第１アーム部１２および第２アーム部１３を開状態にすると、図５（ｄ）に示すように、第１アーム部１２の保持部２０から縫合針１６が離れ、第２アーム部１３の保持部２０に縫合針１６が片持ちで保持された状態となる。縫合装置１では、生体管腔内の切開部を挟んで第１アーム部１２および第２アーム部１３を開閉し、上記の動作を繰り返す。これにより、縫合針１６を保持するアーム部を交互に切り替えて切開部の縫合を行うことができる。
【0026】
図３に戻って、各アーム部は、近位側よりも遠位側が径方向内側に向けて傾いて取り付けられている。例えば、各アーム部は、長手方向と略平行な位置から径方向内側に０．５°から５０°、より好ましくは３°から３５°傾けて取り付けられる。各アーム部を内向きに傾けて取り付けることで、縫合装置１が径方向外側のものと干渉しにくくなり、内視鏡をオーバーチューブや体内に挿入するときの通過性を向上させることができる。また、各アーム部を内向きに傾けて取り付けることで、内視鏡の撮像部の視野角中心に各アーム部の先端が近づき、縫合時の視認性を向上させることができる。また、内視鏡が動いたり屈曲部に位置したり、アーム位置が挿入後に少しズレたりしてもアーム部が視野の中心に映りやすくなり、内視鏡下でアーム部全体の確認が容易となる。
【0027】
また、各アーム部の先端に設けられる保持部２０は、内視鏡の撮像部の視野角中心から１００％の範囲内に配置される。具体的には、管状挿入部２の遠位端を基準として、撮像部の視野角をθ１とし、視野角中心から各アーム部の先端が配置される範囲をθ２としたときに、θ２はθ１の９０％以内にあることが好ましく、またθ２はθ１の８０％以内にあることがより好ましく、さらにθ２はθ１の７０％以内であることが特に好ましい。上記の条件で各アーム部の先端を配置することで、縫合箇所が撮像部の視野角から外れることや、撮像部の収差の影響で縫合時の視認性が低下することを抑制できる。
【0028】
また、例えば全層縫合のように生体組織を大きく巻き込んで縫合を行う場合、内視鏡の鉗子６で縫合する生体組織を内視鏡側に十分に引き込む必要が生じる。そのため、管状挿入部２の遠位端から保持部２０までの長手方向寸法にある程度のマージンが必要となる。
【0029】
かかる観点から、例えば、管状挿入部２の遠位端から各アーム部の先端までの長手方向寸法は、例えば１ｍｍ以上８０ｍｍ以下とすることが好ましく、３ｍｍ以上６０ｍｍ以下とすることがより好ましい。例えば、管状挿入部２の遠位端から各アーム部の先端までを３ｍｍ以上とすることで、アーム部の先端が内視鏡の視野に入るため内視鏡下での縫合がより容易となる。また、管状挿入部２の遠位端から各アーム部の先端までを６０ｍｍ以下とすることで、アームの先端をオーバーチューブに引っ掛けずに挿入することが容易となる。
【0030】
図６は、第１実施形態の開閉機構部１４の構成例を示す図である。
第１実施形態の開閉機構部１４は、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２と、第１中間節３３と、第２中間節３４とを有する。開閉機構部１４のリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。なお、中心軸線Ｃは、管状挿入部２の長手方向に対し径方向に傾く成分を含む。
第１実施形態の開閉機構部１４は、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２と、第１中間節３３と、第２中間節３４とを有する。開閉機構部１４のリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。なお、中心軸線Ｃは、管状挿入部２の長手方向に対し径方向に傾く成分を含む。
【0031】
本体部３１は、第１アーム部１２および第２アーム部１３を回動可能に支持するとともに、リンク機構の要素を収容する薄箱状の筐体である。本体部３１は、リンク機構の要素を覆うカバーとしても機能する。本体部３１でリンク機構が覆われることで、縫合糸の絡まりや、体液などの付着によってリンク機構に動作不良が生じる可能性を抑制できる。なお、図６では、開閉機構部１４の構造を理解しやすくするため、本体部３１を平板状に描画している。
【0032】
本体部３１の全体形状は、遠位側の辺が近位側の辺よりも長い台形状に形成され、本体部３１の近位側が取付部１１に固定される。上記のように、本体部３１は、近位側よりも遠位側が径方向内側（図６の紙面奥行側）に向けて傾くように取付部１１に固定されている。
【0033】
また、本体部３１の遠位側には、第１アーム部１２が一方の端部（図６の左側）に取り付けられ、第１アーム部１２に対して間隔をあけて他方の端部（図６の右側）に第２アーム部１３が取り付けられている。第１アーム部１２は、アームの基端側が第１支軸４１で本体部３１に回動自在に支持される。また、第２アーム部１３は、アームの基端側が第２支軸４２で本体部３１に回動自在に支持される。なお、第１アーム部１２および第２アーム部１３は、不図示のばねにより開方向に付勢されている。
【0034】
原動節３２は、細長の矩形状部材であり、中心軸線Ｃに沿って本体部３１内に配置されている。原動節３２の近位側端部には操作線１５が接続されている。また、原動節３２の遠位側端部には、第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部がそれぞれ連結されている。原動節３２は、操作線１５の牽引により中心軸線Ｃに沿って本体部３２内を摺動し、これにより管状挿入部２の長手方向に相対的に変位する。
【0035】
図７（ａ）に示すように、原動節３２は、開閉機構部１４のうち長手方向に対して径方向内側に傾いた領域内で摺動する構成であってもよい。あるいは、図７（ｂ）に示すように、原動節３２を屈曲可能に弾性変形する部材で形成し、原動節３２が開閉機構部１４のうち、長手方向に沿った領域から径方向内側に傾いた領域にわたって摺動する構成としてもよい。
【0036】
第１中間節３３および第２中間節３４は、それぞれ細長の矩形状部材である。第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部は、いずれも原動節３２の遠位側端部にピン３２ａにより回動自在に支持されている。
【0037】
また、第１中間節３３の遠位側端部は、第１アーム部１２にピン４３を介して回動自在に連結されている。第１アーム部１２のピン４３の位置は、アームの先端側と第１支軸４１の間に配置され、アームの先端側よりも第１支軸４１に近い位置にある。
【0038】
同様に、第２中間節３４の遠位側端部は、第２アーム部１３にピン４４を介して回動自在に連結されている。第２アーム部１３のピン４４の位置は、アームの先端側と第２支軸４２の間に配置され、アームの先端側よりも第２支軸４２に近い位置にある。
【0039】
ここで、上記のように第１アーム部１２と第２アーム部１３は不図示のばねの力で開方向に付勢されている。操作線１５が牽引されていない状態では、第１アーム部１２および第２アーム部１３には閉方向の力が作用しないため、縫合装置１はアーム部が開いた状態を保つ（図６（ａ））。
【0040】
上記の状態から操作線１５が牽引されると、開閉機構部１４の原動節３２は長手方向の近位側に変位する。すると、原動節３２の変位に伴って第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部の位置が近位側に移動し、第１中間節３３および第２中間節３４がそれぞれ近位側に引き込まれる。
【0041】
本体部３１に第１支軸４１で回動自在に支持された第１アーム部１２は、第１中間節３３の変位により、第１支軸４１を中心として閉方向に回動する。同様に、本体部３１に第２支軸４２で回動可能に支持された第２アーム部１３は、第２中間節３４の変位により、第２支軸４２を中心として閉方向に回動する。
以上のようにして、縫合装置１のアーム部は、操作線１５の牽引によって開いた状態から閉じた状態に変化する（図６（ｂ））。
以上のようにして、縫合装置１のアーム部は、操作線１５の牽引によって開いた状態から閉じた状態に変化する（図６（ｂ））。
【0042】
第１実施形態の縫合装置１は、操作線１５の運動を開閉機構部１４のリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第１実施形態によれば、開閉機構部１４が力の損失を抑制しつつアーム部を強い力で開閉でき、例えば全層縫合に適した縫合装置１を実現することができる。また、第１実施形態によれば、操作線１５の牽引による簡易な操作でアーム部の開閉を切り替えることができる。
【0043】
（第２実施形態）
図８は、第２実施形態の開閉機構部１４Ａの構成例を示す図である。
なお、以下の実施形態において縫合装置１の基本構成は第１実施形態と同様であり、開閉機構部の構成がそれぞれ相違する。また、以下の実施形態の説明では、第１実施形態と共通の要素には同じ符号を付して重複説明を適宜省略する。
図８は、第２実施形態の開閉機構部１４Ａの構成例を示す図である。
なお、以下の実施形態において縫合装置１の基本構成は第１実施形態と同様であり、開閉機構部の構成がそれぞれ相違する。また、以下の実施形態の説明では、第１実施形態と共通の要素には同じ符号を付して重複説明を適宜省略する。
【0044】
第２実施形態の開閉機構部１４Ａは、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２とを有する。また、開閉機構部１４Ａのリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。
【0045】
第２実施形態の本体部３１は、第１支軸４１を摺動可能に保持する第１ガイド部５１と、第２支軸４２を摺動可能に保持する第２ガイド部５２と、を有する。例えば、第１ガイド部５１は、本体部３１の遠位側において一方の端部（図８の左側）に形成された溝であり、第２ガイド部５２は、本体部の遠位側において他方の端部（図８の右側）に形成された溝である。また、第１ガイド部５１および第２ガイド部５２は、近位側から遠位側に向けて互いの間隔が開くように直線状に延びている。
【0046】
第２実施形態での第１アーム部１２および第２アーム部１３は、それぞれ先端部のアーム本体１２ａ，１３ａに対して基端部１２ｂ，１３ｂが屈曲して接続された折れ曲がり形状の部材である。各アーム部においてアーム本体１２ａ，１３ａの長さは、基端部１２ｂ，１３ｂの長さよりも十分に長く設定されている。
【0047】
また、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、屈曲部を外側にしてアーム本体１２ａ，１３ａおよび基端部１２ｂ，１３ｂの各端部が内側に向くように本体部３１に取り付けられる。なお、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、不図示のばねにより開方向に付勢されている。
【0048】
第１アーム部１２は、屈曲部に挿通された第１支軸４１により本体部３１に回動自在に支持されている。第１支軸４１は、本体部３１の第１ガイド部５１に挿入され、第１ガイド部５１の延長方向に摺動可能である。また、第１アーム部１２の基端部１２ｂは、原動節３２に連結されている。
【0049】
第２アーム部１３は、屈曲部に挿通された第２支軸４２により本体部３１に回動自在に支持されている。第２支軸４２は、本体部３１の第２ガイド部５２に挿入され、第２ガイド部５２の延長方向に摺動可能である。また、第２アーム部１３の基端部１３ｂは、原動節３２に連結されている。
【0050】
原動節３２は、細長の矩形状部材であり、中心軸線Ｃに沿って本体部３１内に配置されている。原動節３２の近位側端部には操作線１５が接続されている。また、原動節３２の遠位側端部には、第１アーム部１２の基端部１２ｂおよび第２アーム部１３の基端部１３ｂがピン３２ａを介してそれぞれ回動自在に連結されている。原動節３２は、操作線１５の牽引により中心軸線Ｃに沿って本体部３１内で摺動し、これにより管状挿入部２の長手方向に相対的に変位する。
【0051】
ここで、上記のように第１アーム部１２と第２アーム部１３は不図示のばねの力で開方向に付勢されている。操作線１５が牽引されていない状態では、第１アーム部１２と第２アーム部１３に閉方向の力が作用しないため、縫合装置１はアーム部が開いた状態を保つ（図８（ａ））。
【0052】
また、第１アーム部１２と第２アーム部１３には、ばねの開方向への付勢力によって本体部の外側に向かう力がそれぞれ作用する。これにより、第１アーム部１２の第１支軸４１は第１ガイド部５１の遠位側に移動した状態となり、第２アーム部１３の第２支軸４２は第２ガイド部５２の遠位側に移動した状態となる。
【0053】
上記の状態から操作線１５が牽引されると、開閉機構部１４Ａの原動節３２は長手方向の近位側に変位する。すると、原動節３２の変位に伴って、第１アーム部１２および第２アーム部１３がそれぞれ近位側に引き込まれる。このとき、第１アーム部１２の第１支軸４１は第１ガイド部５１に沿って遠位側から近位側に移動し、第２アーム部１３の第２支軸４２は第２ガイド部５２に沿って遠位側から近位側に移動する。
【0054】
また、第１アーム部１２は、中心軸線Ｃに対する基端部１２ｂの傾きが小さくなるように第１支軸４１を中心として回動する。これにより、第１アーム部１２の先端側が閉方向に移動する。同様に、第２アーム部１３は、中心軸線Ｃに対する基端部１３ｂの傾きが小さくなるように第２支軸４２を中心として回動する。これにより、第２アーム部１３の先端側が閉方向に移動する。
【0055】
以上のようにして、縫合装置１のアーム部は、操作線１５の牽引によって開いた状態から閉じた状態に変化する（図８（ｂ））。
第２実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ａのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第２実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。
第２実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ａのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第２実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
（第３実施形態）
図９は、第３実施形態の開閉機構部１４Ｂの構成例を示す図である。
第３実施形態の開閉機構部１４Ｂは、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２と、第１中間節３３と、第２中間節３４とを有する。また、開閉機構部１４Ｂのリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。
図９は、第３実施形態の開閉機構部１４Ｂの構成例を示す図である。
第３実施形態の開閉機構部１４Ｂは、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２と、第１中間節３３と、第２中間節３４とを有する。また、開閉機構部１４Ｂのリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。
【0057】
本体部３１は、第１アーム部１２および第２アーム部１３を回動可能に支持する。本体部３１の全体形状は、遠位側の辺が近位側の辺よりも長い台形状に形成され、本体部３１の近位側が取付部１１に固定されている。
【0058】
第３実施形態の第１アーム部１２および第２アーム部１３は、先端側のアーム本体１２ａ，１３ａに対して基端部１２ｂ，１３ｂが屈曲して接続された折れ曲がり形状の部材である。各アーム部においてアーム本体１２ａ，１３ａの長さは、基端部１２ｂ，１３ｂの長さよりも十分に長く設定されている。
【0059】
また、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、屈曲部を外側にしてアーム本体１２ａ，１３ａおよび基端部１２ｂ，１３ｂの各端部が内側に向くように本体部３１に取り付けられる。なお、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、不図示のばねにより開方向に付勢されている。
【0060】
第１アーム部１２は、屈曲部に挿通された第１支軸４１により本体部３１に回動自在に支持されている。第１支軸４１は、本体部３１における遠位側の一方の端部（図９の左側）に配置されている。
同様に、第２アーム部１３は、屈曲部に挿通された第２支軸４２により本体部３１に回動自在に支持されている。第２支軸４２は、第１支軸４１とは間隔をあけて、本体部３１における遠位側の他方の端部（図９の右側）に配置されている。
同様に、第２アーム部１３は、屈曲部に挿通された第２支軸４２により本体部３１に回動自在に支持されている。第２支軸４２は、第１支軸４１とは間隔をあけて、本体部３１における遠位側の他方の端部（図９の右側）に配置されている。
【0061】
原動節３２は、細長の矩形状部材であり、中心軸線Ｃに沿って本体部３１内に配置されている。原動節３２の近位側端部には操作線１５が接続されており、原動節３２は、操作線１５の牽引により長手方向に相対的に変位するように本体部３１内を摺動可能である。また、原動節３２の遠位側端部には、第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部がそれぞれ連結されている。
【0062】
第１中間節３３および第２中間節３４は、それぞれ細長の矩形状部材である。第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部は、いずれも原動節３２の遠位側端部にピン３２ａにより回動自在に支持されている。また、第１中間節３３の遠位側端部は、第１アーム部１２の基端部１２ｂにピン４３で回動自在に連結されている。同様に、第２中間節３４の遠位側端部は、第２アーム部１３の基端部１３ｂにピン４４で回動自在に連結されている。
【0063】
ここで、上記のように第１アーム部１２と第２アーム部１３は不図示のばねの力で開方向に付勢されている。操作線１５が牽引されていない状態では、第１アーム部１２および第２アーム部１３には閉方向の力が作用しないため、縫合装置１はアーム部が開いた状態を保つ（図９（ａ））。
【0064】
上記の状態から操作線１５が牽引されると、開閉機構部１４Ｂの原動節３２は長手方向の近位側に変位する。すると、原動節３２の変位に伴って第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部の位置が近位側に移動し、第１中間節３３および第２中間節３４がそれぞれ近位側に引き込まれる。
【0065】
第１中間節３３の変位に伴って、第１中間節３３にピン４３で連結された第１アーム部１２の基端部１２ｂは、第１支軸４１とピン３２ａを結ぶ線に対してピン４３が近づくように変位する。これにより、第１アーム部１２は基端部１２ｂの変位に応じて第１支軸４１を中心として回動し、アーム本体１２ａの先端側が閉方向に移動する。
【0066】
同様に、第２中間節３４の変位に伴って、第２中間節３４にピン４４で連結された第２アーム部１３の基端部１３ｂは、第２支軸４２とピン３２ａを結ぶ線に対してピン４４が近づくように変位する。これにより、第２アーム部１３は基端部１３ｂの変位に応じて第２支軸４２を中心として回動し、アーム本体１３ａの先端側が閉方向に移動する。
【0067】
以上のようにして、縫合装置１のアーム部は、操作線１５の牽引によって開いた状態から閉じた状態に変化する（図９（ｂ））。
第３実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ｂのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第３実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。
第３実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ｂのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第３実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
（第４実施形態）
図１０は、第４実施形態の開閉機構部１４Ｃの構成例を示す図である。
第４実施形態の開閉機構部１４Ｃは、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２と、第１中間節３３と、第２中間節３４とを有する。開閉機構部１４Ｃのリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。
図１０は、第４実施形態の開閉機構部１４Ｃの構成例を示す図である。
第４実施形態の開閉機構部１４Ｃは、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２と、第１中間節３３と、第２中間節３４とを有する。開閉機構部１４Ｃのリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。
【0069】
第４実施形態の本体部３１は、中心軸線Ｃに沿って延び、第１アーム部１２および第２アーム部１３を回動可能に支持する枠体である。本体部３１の近位側は取付部１１に固定され、本体部３１の遠位側は、第１アーム部１２および第２アーム部１３を回動自在に支持する。なお、本体部３１には、リンク機構の要素を覆うカバーが取り付けられていてもよい。
【0070】
第４実施形態の第１アーム部１２および第２アーム部１３は、先端側のアーム本体１２ａ，１３ａに対して基端部１２ｂ，１３ｂが屈曲して接続された折れ曲がり形状の部材である。各アーム部においてアーム本体１２ａ，１３ａの長さは、基端部１２ｂ，１３ｂの長さよりも十分に長く設定されている。
【0071】
また、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、屈曲部を外側にしてアーム本体１２ａ，１３ａおよび基端部１２ｂ，１３ｂの各端部が内側に向き、互いの基端部１２ｂ，１３ｂを交差させた状態で本体部３１に取り付けられている。そして、第１アーム部１２および第２アーム部１３は、基端部１２ｂ，１３ｂの交差した部分で支軸４５により本体部３１に回動自在に支持されている。各アーム部での支軸４５の位置は、基端部１２ｂ，１３ｂの近位端と屈曲部の中間に位置している。なお、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、不図示のばねにより開方向に付勢されている。
【0072】
一方、原動節３２は、中心軸線Ｃに沿って本体部３１に配置された矩形状部材である。原動節３２の近位側端部には操作線１５が接続されている。また、原動節３２の遠位側端部には、第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部がそれぞれ連結されている。原動節３２は、操作線１５の牽引により中心軸線Ｃに沿って本体部３１内で摺動し、これにより管状挿入部２の長手方向に相対的に変位する。
【0073】
第１中間節３３および第２中間節３４は、それぞれ細長の矩形状部材である。第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部は、いずれも原動節３２の遠位側端部にピン３２ａにより回動自在に支持されている。
【0074】
また、第１中間節３３の遠位側端部は、第１アーム部１２の基端部１２ｂの近位端にピン４３を介して回動自在に連結されている。同様に、第２中間節３４の遠位側端部は、第２アーム部１３の基端部１３ｂの近位端にピン４４を介して回動自在に連結されている。
【0075】
ここで、上記のように第１アーム部１２と第２アーム部１３は不図示のばねの力で開方向に付勢されている。操作線１５が牽引されていない状態では、第１アーム部１２および第２アーム部１３には閉方向の力が作用しないため、縫合装置１はアーム部が開いた状態を保つ（図１０（ａ））。
【0076】
上記の状態から操作線１５が牽引されると、開閉機構部１４Ｃの原動節３２は長手方向の近位側に変位する。すると、原動節３２の変位に伴って第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部の位置が近位側に移動し、第１中間節３３および第２中間節３４がそれぞれ近位側に引き込まれる。
【0077】
第１中間節３３の変位に伴って、第１中間節３３にピン４３で連結された第１アーム部１２の基端部１２ｂは中心軸線Ｃに対する傾きが小さくなるように変位する。これにより、第１アーム部１２は基端部１２ｂの変位に応じて支軸４５を中心として回動し、アーム本体１２ａの先端側が閉方向に移動する。
【0078】
同様に、第２中間節３４の変位に伴って、第２中間節３４にピン４４で連結された第２アーム部１３の基端部１３ｂは中心軸線Ｃに対する傾きが小さくなるように変位する。これにより、第２アーム部１３は基端部１３ｂの変位に応じて支軸４５を中心として回動し、アーム本体１３ａの先端側が閉方向に移動する。
【0079】
以上のようにして、縫合装置１のアーム部は、操作線１５の牽引によって開いた状態から閉じた状態に変化する（図１０（ｂ））。
第４実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ｃのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第４実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。
第４実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ｃのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第４実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
（第５実施形態）
図１１は、第５実施形態の開閉機構部１４Ｄの構成例を示す図である。
第５実施形態の開閉機構部１４Ｄは、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２と、第１中間節３３と、第２中間節３４とを有する。開閉機構部１４Ｄのリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。
図１１は、第５実施形態の開閉機構部１４Ｄの構成例を示す図である。
第５実施形態の開閉機構部１４Ｄは、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２と、第１中間節３３と、第２中間節３４とを有する。開閉機構部１４Ｄのリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。
【0081】
本体部３１は、第１アーム部１２および第２アーム部１３を回動自在に支持する枠体であり、近位側は取付部に固定される。本体部３１は、中心軸線Ｃに沿って延びる開口からなるガイド部５３を有している。なお、本体部３１には、リンク機構の要素を覆うカバーが取り付けられていてもよい。
【0082】
第５実施形態の第１アーム部１２および第２アーム部１３は、先端部１２ａ１，１３ａ１に対して基端部１２ｂ１，１３ｂ１が屈曲した折れ曲がり形状の部材である。また、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、屈曲部を外側にして先端部１２ａ１，１３ａ１および基端部１２ｂ１，１３ｂ１の各端部が内側に向くように本体部３１に取り付けられている。そして、第１アーム部１２の基端部１２ｂ１および第２アーム部１３の基端部１３ｂ１は、本体部３１の遠位側で支軸４５により回動自在に支持されている。なお、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、不図示のばねにより閉方向に付勢されている。
【0083】
一方、原動節３２は、中心軸線Ｃに沿って本体部３１に配置される矩形状部材である。原動節３２の近位側端部には操作線１５が接続されている。また、原動節３２の遠位側端部には、第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部がそれぞれ連結されている。原動節３２は、操作線１５の牽引により本体部３１のガイド部５３に沿って摺動し、これにより管状挿入部２の長手方向に相対的に変位する。
【0084】
第１中間節３３および第２中間節３４は、それぞれ細長の矩形状部材である。第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部は、いずれも原動節３２の遠位側端部にピン３２ａにより回動自在に支持されている。
【0085】
また、第１中間節３３の遠位側端部は、第１アーム部１２の屈曲部にピン４３を介して回動自在に連結されている。同様に、第２中間節３４の遠位側端部は、第２アーム部１３の屈曲部にピン４４を介して回動自在に連結されている。
【0086】
ここで、上記のように第１アーム部１２と第２アーム部１３は不図示のばねの力で閉方向に付勢されている。操作線１５が牽引されていない状態では、第１アーム部１２および第２アーム部１３には開方向の力が作用しないため、縫合装置１はアーム部が閉じた状態を保つ（図１１（ａ））。
【0087】
上記の状態から操作線１５が牽引されると、開閉機構部１４Ｄの原動節３２は長手方向の近位側に変位する。すると、原動節３２の変位に伴って第１中間節３３の近位側端部および第２中間節３４の近位側端部の位置がガイド部５３に案内されて中心軸線Ｃに沿って近位側に移動し、第１中間節３３および第２中間節３４がそれぞれ近位側に引き込まれる。
【0088】
第１中間節３３にピン４３で連結された第１アーム部１２は、支軸４５を中心として開方向に回動する。同様に、第２中間節３４にピン４４で連結された第２アーム部１３は、支軸４５を中心として開方向に回動する。これにより、第１アーム部１２および第２アーム部１３の先端部１２ａ１，１３ａ１がそれぞれ開方向に移動する。
【0089】
以上のようにして、縫合装置１のアーム部は、操作線１５の牽引によって閉じた状態から開いた状態に変化する（図１１（ｂ））。
第５実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ｄのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第５実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第５実施形態の構成では、操作線１５を牽引したときにアーム部を閉じるように動作させることができる。
第５実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ｄのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第５実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第５実施形態の構成では、操作線１５を牽引したときにアーム部を閉じるように動作させることができる。
【0090】
（第６実施形態）
図１２は、第６実施形態の開閉機構部１４Ｅの構成例を示す図である。図１３は、図１２（ａ）に示すアーム開状態の開閉機構部１４Ｅを近位側から見た図である。第６実施形態の開閉機構部１４Ｅは、第２実施形態もしくは第３実施形態の変形例であって、原動節３２に溝状のカムを形成した例である。
図１２は、第６実施形態の開閉機構部１４Ｅの構成例を示す図である。図１３は、図１２（ａ）に示すアーム開状態の開閉機構部１４Ｅを近位側から見た図である。第６実施形態の開閉機構部１４Ｅは、第２実施形態もしくは第３実施形態の変形例であって、原動節３２に溝状のカムを形成した例である。
【0091】
第６実施形態の開閉機構部１４Ｅは、第１アーム部１２および第２アーム部１３を駆動させるリンク機構であり、本体部３１と、原動節３２とを有する。また、開閉機構部１４Ｅのリンク機構は、中心軸線Ｃを基準とする平面上で線対称である。
【0092】
第６実施形態の本体部３１は、第１アーム部１２および第２アーム部１３を回動可能に支持するとともに、リンク機構の要素を収容する薄箱状の筐体である。本体部３１の全体形状は、遠位側の辺が近位側の辺よりも長い台形状に形成され、本体部３１の近位側が取付部１１に固定される。
また、本体部３１の遠位側には、第１アーム部１２が一方の端部（図１２の左側）に取り付けられ、第１アーム部１２に対して間隔をあけて他方の端部（図１２の右側）に第２アーム部１３が取り付けられている。
また、本体部３１の遠位側には、第１アーム部１２が一方の端部（図１２の左側）に取り付けられ、第１アーム部１２に対して間隔をあけて他方の端部（図１２の右側）に第２アーム部１３が取り付けられている。
【0093】
原動節３２は、細長の矩形状部材であり、中心軸線Ｃに沿って本体部３１内に配置されている。原動節３２の近位側端部には操作線１５が接続されている。原動節３２は、操作線１５の牽引により中心軸線Ｃに沿って本体部３１内で摺動し、これにより管状挿入部２の長手方向に相対的に変位する。
【0094】
また、原動節３２の遠位側端部には、第１アーム部１２および第２アーム部１３に連結されるカムプレート部３２ｂが設けられている。カムプレート部３２ｂは、本体部３１内に収容される薄板状の部位であり、第１ガイド部６１と第２ガイド部６２とを有する。例えば、第１ガイド部６１は、カムプレート部３２ｂの一方側（図１２の左側）に形成された溝であり、第２ガイド部６２は、カムプレート部３２ｂの他方側（図１２の右側）に形成された溝である。また、第１ガイド部６１および第２ガイド部６２は、近位側から遠位側に向けて互いの間隔が開くように直線状に延びている。
【0095】
第６実施形態での第１アーム部１２および第２アーム部１３は、それぞれ先端部のアーム本体１２ａ，１３ａに対して基端部１２ｂ，１３ｂが屈曲して接続された折れ曲がり形状の部材である。各アーム部においてアーム本体１２ａ，１３ａの長さは、基端部１２ｂ，１３ｂの長さよりも十分に長く設定されている。
【0096】
また、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、屈曲部を外側にしてアーム本体１２ａ，１３ａおよび基端部１２ｂ，１３ｂの各端部が内側に向くように本体部３１に取り付けられる。なお、第１アーム部１２と第２アーム部１３は、不図示のばねにより開方向に付勢されている。
【0097】
第１アーム部１２は、屈曲部に挿通された第１支軸４１により本体部３１に回動自在に支持されている。また、第１アーム部１２の基端部１２ｂには、第１アーム部１２とカムプレート部３２ｂを回動自在に連結する第１ピン６３が挿入されている。第１ピン６３は、カムプレート部３２ｂの第１ガイド部６１に挿入され、第１ガイド部６１の延長方向に摺動可能である。
【0098】
第２アーム部１３は、屈曲部に挿通された第１支軸４２により本体部３１に回動自在に支持されている。また、第２アーム部１３の基端部１３ｂには、第２アーム部１３とカムプレート部３２ｂを回動自在に連結する第２ピン６４が挿入されている。第２ピン６４は、カムプレート部３２ｂの第２ガイド部６２に挿入され、第２ガイド部６２の延長方向に摺動可能である。
【0099】
また、図１３に示すように、第１アーム部１２の基端部１２ｂと、第２アーム部１３の基端部１３ｂはそれぞれ厚さ方向（図１３の上下方向）に部分的に切り欠かれている。第１アーム部１２の切り欠きと第２アーム部１３の切り欠きは、厚さ方向に互い違いに形成されている。そのため、第１アーム部１２の切り欠きと第２アーム部１３の切り欠きが重なるように第１アーム部１２と第２アーム部１３を配置することが可能である。また、原動節３２のカムプレート部３２ｂは、第１アーム部１２の切り欠きおよび第２アーム部１３の切り欠きと重なる位置に配置され、厚さ方向において第１アーム部１２の基端部１２ｂと第２アーム部１３の基端部１３ｂの間に挟まれている。
【0100】
これにより、第１アーム部１２の基端部１２ｂと第２アーム部１３の基端部１３ｂを干渉させずに、第１アーム部１２の基端部１２ｂ、第２アーム部１３の基端部１３ｂおよび原動節３２のカムプレート部３２ｂを本体部３１内にコンパクトに収容することが可能となる。
【0101】
ここで、上記のように第１アーム部１２と第２アーム部１３は不図示のばねの力で開方向に付勢されている。操作線１５が牽引されていない状態では、第１アーム部１２と第２アーム部１３に閉方向の力が作用しないため、縫合装置１はアーム部が開いた状態を保つ（図１２（ａ））。
【0102】
また、第１アーム部１２と第２アーム部１３には、ばねの開方向への付勢力によって本体部の外側に向かう力がそれぞれ作用する。これにより、第１アーム部１２に挿通されている第１ピン６３は、カムプレート部３２ｂの第１ガイド部６１の近位側に移動した状態となる。同様に、第２アーム部１３に挿通されている第２ピン６４は、カムプレート部３２ｂの第２ガイド部６２の近位側に移動した状態となる。
【0103】
上記の状態から操作線１５が牽引されると、開閉機構部１４Ｅの原動節３２は長手方向の近位側に変位する。すると、原動節３２のカムプレート部３２ｂに連結された第１アーム部１２および第２アーム部１３がそれぞれ近位側に引き込まれる。このとき、第１アーム部１２に挿通されている第１ピン６３は第１ガイド部６１に沿って近位側から遠位側に移動し、第２アーム部１３に挿通されている第２ピン６４は第２ガイド部６２に沿って近位側から遠位側に移動する。
【0104】
また、第１アーム部１２は、中心軸線Ｃに対する基端部１２ｂの傾きが小さくなるように第１支軸４１を中心として回動する。これにより、第１アーム部１２の先端側が閉方向に移動する。同様に、第２アーム部１３は、中心軸線Ｃに対する基端部１３ｂの傾きが小さくなるように第２支軸４２を中心として回動する。これにより、第２アーム部１３の先端側が閉方向に移動する。
【0105】
以上のようにして、縫合装置１のアーム部は、操作線１５の牽引によって開いた状態から閉じた状態に変化する（図１２（ｂ））。
第６実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ｅのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第６実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。
第６実施形態の縫合装置１も、操作線１５の運動を開閉機構部１４Ｅのリンク機構を介してアーム部に直接的に伝達し、操作線１５の牽引による原動節３２の変位をアーム部の先端側の開閉動作に変換できる。そのため、第６実施形態においても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0106】
また、第６実施形態の開閉機構部１４Ｅは、原動節３２に形成した一対のガイド部に各アーム部の基端側をそれぞれ連結し、第１アーム部、第２アーム部および原動節でリンク機構を構成している。これにより、第６実施形態では、開閉機構部１４Ｅの部品点数を削減することができる。また、第６実施形態の開閉機構部１４Ｅはサイズの小型化が容易であり、患部に送達しやすく侵襲性の低い縫合装置１の実現に適している。
【0107】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
【0108】
上記実施形態では、縫合装置１の各アーム部を径方向内側に向けて傾けて取り付けた構成例を説明した。しかし、各アーム部の構成は上記実施形態の構成には限定されず、例えば以下の構成であってもよい。
【0109】
図１４は、縫合装置１の変形例の側面図である。図１４に示す縫合装置１のアーム部（第２アーム部１３のみを示す）は、長手方向に延びる本体部１３ｃと、本体部１３ｃの先端側に形成された突出端部１３ｄとを有する。突出端部１３ｄは、本体部１３ｃから管状挿入部２の径方向内側に向けて突出している。なお、変形例において、第１アーム部１２の形状も第２アーム部１３と同様である。
【0110】
図１４の構成例によれば、アーム部および開閉機構部１４をいずれも長手方向に沿って配置できるので、操作線１５が擦れにくくなる。そのため、操作線１５を牽引する力の損失をより少なくできる。
【0111】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0112】
なお、上記の実施形態の開示は以下の技術的思想を包含する。
（１）内視鏡の管状挿入部の遠位端に設けられる内視鏡的縫合装置であって、アーム一端側にて縫合針の保持部をそれぞれ有する一対のアーム部を有し、前記アーム一端側を開閉させて組織を縫合する際に前記縫合針を保持するアーム部を交互に切り替え可能に構成され、前記管状挿入部に沿って配置される操作線と、装置本体部に対する前記操作線の近位側への牽引で前記管状挿入部の長手方向に相対的に変位する原動節を有し、前記原動節の前記変位を前記アーム部の前記一端側の開閉動作に変換するリンク機構と、を備える内視鏡的縫合装置。
（２）前記リンク機構は、それぞれの他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節をさらに有し、前記アーム部は、前記第１中間節と連結される第１アーム部と、前記第２中間節と連結される第２アーム部と、を有し、前記第１アーム部は、アーム他端側に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム一端側と前記第１支軸の間の位置で第１のピンを介して前記第１中間節の一端側と回動自在に連結され、前記第２アーム部は、アーム他端側に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム一端側と前記第２支軸の間の位置で第２のピンを介して前記第２中間節の一端側と回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（３）前記アーム部は、それぞれ前記原動節と回動自在に連結される第１アーム部および第２アーム部と、を有し、前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結され、前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（４）前記原動節は、前記第１アーム部のアーム他端側と連結される第１のピンを受け、アーム部の開閉時に前記第１のピンを移動可能に案内する第１ガイド部と、前記第２アーム部のアーム他端側と連結される第２のピンを受け、アーム部の開閉時に前記第２のピンを移動可能に案内する第２ガイド部と、を有する上記（３）に記載の内視鏡的縫合装置。
（５）前記リンク機構は、それぞれの他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節をさらに有し、前記アーム部は、前記第１中間節と連結される第１アーム部と、前記第２中間節と連結される第２アーム部と、を有し、前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記第１中間節の一端側と第１のピンで回動自在に連結され、前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記第２中間節の一端側と第２のピンで回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（６）前記リンク機構は、それぞれの他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節をさらに有し、前記アーム部は、共通の支軸を中心に回動し、互いに交差する第１アーム部および第２アーム部を有し、前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に前記支軸が位置し、前記アーム他端側が前記第１中間節の一端側と第１のピンで回動自在に連結され、前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に前記支軸が位置し、前記アーム他端側が前記第２中間節の一端側と第２のピンで回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（７）前記リンク機構は、他端側が互いに前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節と、前記第１中間節と前記第２中間節の連結部分を受け、前記原動節とともに変位する前記連結部分を前記長手方向に案内するガイド部と、をさらに有し、前記アーム部は、共通の支軸を中心に回動する第１アーム部および第２アーム部を有し、前記第１アーム部は、アーム他端側に前記支軸が位置し、前記アーム一端側と前記支軸の間の位置で第１のピンを介して前記第１中間節の一端側と回動自在に連結され、前記第２アーム部は、アーム他端側に前記支軸が位置し、前記アーム一端側と前記支軸の間の位置で第２のピンを介して前記第２中間節の一端側と回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（８）前記リンク機構を覆うカバーをさらに備える上記（１）から上記（７）のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
（９）前記アーム部は、前記長手方向に延びる本体部と、前記アーム一端側で前記本体部から前記管状挿入部の径方向内側に向けて突出する突出端部とを有する上記（１）から上記（８）のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
（１０）前記内視鏡は、前記管状挿入部の遠位端から長手方向に進退する鉗子をさらに有し、前記保持部は、前記アーム部が閉じた状態で前記鉗子の動線上に配置される上記（１）から上記（９）のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
（１１）前記内視鏡的縫合装置は、前記内視鏡の管状挿入部に着脱可能である上記（１）から上記（１０）のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
（１）内視鏡の管状挿入部の遠位端に設けられる内視鏡的縫合装置であって、アーム一端側にて縫合針の保持部をそれぞれ有する一対のアーム部を有し、前記アーム一端側を開閉させて組織を縫合する際に前記縫合針を保持するアーム部を交互に切り替え可能に構成され、前記管状挿入部に沿って配置される操作線と、装置本体部に対する前記操作線の近位側への牽引で前記管状挿入部の長手方向に相対的に変位する原動節を有し、前記原動節の前記変位を前記アーム部の前記一端側の開閉動作に変換するリンク機構と、を備える内視鏡的縫合装置。
（２）前記リンク機構は、それぞれの他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節をさらに有し、前記アーム部は、前記第１中間節と連結される第１アーム部と、前記第２中間節と連結される第２アーム部と、を有し、前記第１アーム部は、アーム他端側に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム一端側と前記第１支軸の間の位置で第１のピンを介して前記第１中間節の一端側と回動自在に連結され、前記第２アーム部は、アーム他端側に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム一端側と前記第２支軸の間の位置で第２のピンを介して前記第２中間節の一端側と回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（３）前記アーム部は、それぞれ前記原動節と回動自在に連結される第１アーム部および第２アーム部と、を有し、前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結され、前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（４）前記原動節は、前記第１アーム部のアーム他端側と連結される第１のピンを受け、アーム部の開閉時に前記第１のピンを移動可能に案内する第１ガイド部と、前記第２アーム部のアーム他端側と連結される第２のピンを受け、アーム部の開閉時に前記第２のピンを移動可能に案内する第２ガイド部と、を有する上記（３）に記載の内視鏡的縫合装置。
（５）前記リンク機構は、それぞれの他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節をさらに有し、前記アーム部は、前記第１中間節と連結される第１アーム部と、前記第２中間節と連結される第２アーム部と、を有し、前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第１支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記第１中間節の一端側と第１のピンで回動自在に連結され、前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に設けられる第２支軸を中心に回動し、前記アーム他端側が前記第２中間節の一端側と第２のピンで回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（６）前記リンク機構は、それぞれの他端側が前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節をさらに有し、前記アーム部は、共通の支軸を中心に回動し、互いに交差する第１アーム部および第２アーム部を有し、前記第１アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に前記支軸が位置し、前記アーム他端側が前記第１中間節の一端側と第１のピンで回動自在に連結され、前記第２アーム部は、前記アーム一端側とアーム他端側の間に前記支軸が位置し、前記アーム他端側が前記第２中間節の一端側と第２のピンで回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（７）前記リンク機構は、他端側が互いに前記原動節の一端側と回動自在に連結される第１中間節および第２中間節と、前記第１中間節と前記第２中間節の連結部分を受け、前記原動節とともに変位する前記連結部分を前記長手方向に案内するガイド部と、をさらに有し、前記アーム部は、共通の支軸を中心に回動する第１アーム部および第２アーム部を有し、前記第１アーム部は、アーム他端側に前記支軸が位置し、前記アーム一端側と前記支軸の間の位置で第１のピンを介して前記第１中間節の一端側と回動自在に連結され、前記第２アーム部は、アーム他端側に前記支軸が位置し、前記アーム一端側と前記支軸の間の位置で第２のピンを介して前記第２中間節の一端側と回動自在に連結される上記（１）に記載の内視鏡的縫合装置。
（８）前記リンク機構を覆うカバーをさらに備える上記（１）から上記（７）のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
（９）前記アーム部は、前記長手方向に延びる本体部と、前記アーム一端側で前記本体部から前記管状挿入部の径方向内側に向けて突出する突出端部とを有する上記（１）から上記（８）のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
（１０）前記内視鏡は、前記管状挿入部の遠位端から長手方向に進退する鉗子をさらに有し、前記保持部は、前記アーム部が閉じた状態で前記鉗子の動線上に配置される上記（１）から上記（９）のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
（１１）前記内視鏡的縫合装置は、前記内視鏡の管状挿入部に着脱可能である上記（１）から上記（１０）のいずれか一項に記載の内視鏡的縫合装置。
【符号の説明】
【0113】
１…縫合装置、２…管状挿入部、３…対物レンズ、４…照明部、５…鉗子口、６…鉗子、１１…取付部、１２…第１アーム部、１３…第２アーム部、１４，１４Ａ，１４Ｂ，１４Ｃ，１４Ｄ，１４Ｅ…開閉機構部、１５…操作線、１６…縫合針、２０…保持部、３１…本体部、３２…原動節、３２ａ…ピン、３３…第１中間節、３４…第２中間節、４１…第１支軸、４２…第２支軸、４３，４４…ピン、４５…支軸、５３…ガイド部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】