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特開2024-132900積層型キャパシタおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132900
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】積層型キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 517
H01G4/30 311E
H01G4/30 201F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022938
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0034339
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ドヨン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジェオンモ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、インキュン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AC10
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH03
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC14
5E082BC33
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE35
5E082FG03
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
5E082GG28
5E082PP04
5E082PP09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)特性を確保しながらも、曲げ強度特性を強化した積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】積層型キャパシタは、誘電体層111及び内部電極121、122を含むキャパシタボディと、キャパシタボディの外側に配置される外部電極131、132とを含み、外部電極131、132は、第1導電性金属からなり、外側表面に表面粗さを有する金属層1311、1321と、樹脂と第2導電性金属を含む導電性樹脂層1312、1322とを含む。第1導電性金属及び第2金属層は、Cu、Ni、Ag、Pd、Au、Pt、W、Ti及びこれらの合金又はこれらの組み合わせを含む。第1導電性金属と第2導電性金属は、同一の金属を使用してもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディと、
前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極とを含み、
前記外部電極は、
前記キャパシタボディの外側に配置され、第1導電性金属からなる金属層と、
前記金属層の外側に配置され、樹脂、第2導電性金属、前記第2導電性金属より融点が低い低融点金属、および前記第2導電性金属と前記低融点金属との合金を含む導電性樹脂層とを含む、
積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記積層型キャパシタは、前記誘電体層および前記内部電極が積層される方向である第1方向と、前記第1方向に垂直であり互いに垂直な第2方向および第3方向とを有し、
前記キャパシタボディは、前記第1方向に互いに対向する第1面および第2面と、前記第2方向に互いに対向する第3面および第4面と、前記第3方向に互いに対向する第5面および第6面とを有する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記金属層は、外側表面に表面粗さを有する、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第2方向の中央で前記第2方向と垂直に前記第1方向および前記第3方向に切断した断面において、
前記金属層の平均表面粗さ(Ra)は、0.2~1である、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記金属層は、ガラスおよびバインダー樹脂を含まない、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記第2方向の中央で前記第2方向と垂直に前記第1方向および前記第3方向に切断した断面において、
前記金属層は、前記金属層の単位面積に対して、前記単位面積に含まれている前記ガラスの面積比率が2%以下であり、前記バインダー樹脂の面積が1%以下である、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記第1導電性金属または前記第2導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記低融点金属は、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、銅(Cu)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記第2方向の中央で前記第2方向と垂直に前記第1方向および前記第3方向に切断した断面において、
前記導電性樹脂層は、前記導電性樹脂層の単位面積に対する、前記単位面積に含まれている前記樹脂の面積比率が5%~30%であり、前記第2導電性金属、前記低融点金属、および前記第2導電性金属と前記低融点金属との合金の面積比率が5%~30%である、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記外部電極は、前記導電性樹脂層の外側に配置されるメッキ層をさらに含む、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記外部電極は、前記キャパシタボディの前記第3面および第4面の外側に配置される接続部と、前記接続部から前記キャパシタボディの第1面および第2面上に延びて配置されるバンド部とを有する、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記金属層、前記導電性樹脂層、および前記メッキ層は、前記接続部および前記バンド部に位置する、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記金属層は、前記接続部および前記バンド部に位置し、
前記導電性樹脂層は、前記バンド部に位置し、
前記メッキ層は、前記接続部および前記バンド部に位置する、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディを製造する段階と、
前記キャパシタボディの外側に外部電極を形成する段階とを含み、
前記外部電極を形成する段階は、
第1導電性金属からなる金属層を形成する段階と、
第2導電性金属の粉末、前記第2導電性金属より融点が低い低融点金属、および樹脂を含む導電性樹脂層用ペーストを前記金属層の外側に塗布した後、硬化させて、導電性樹脂層を形成する段階とを含む、積層型キャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記金属層を形成する段階は、焼結法、スパッタリング法、またはメッキ法を用いて行われる、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記金属層を形成する段階は、前記第1導電性金属の粉末およびバインダー樹脂を含む金属層用ペーストをキャパシタボディの外側に塗布した後、前記バインダー樹脂の硬化温度より400℃以上高い温度で熱処理して前記バインダー樹脂を除去しながら、前記第1導電性金属の粉末を焼結させて金属層を形成する、請求項15に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記金属層用ペーストは、前記第1導電性金属の100重量部に対して、前記バインダー樹脂を30重量部~60重量部含む、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記金属層を形成する段階において、前記熱処理の温度は、600℃~900℃である、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記導電性樹脂層用ペーストは、前記第2導電性金属の100重量部に対して、前記樹脂を5重量部~30重量部含み、前記低融点金属を5重量部~30重量部含む、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項20】
前記積層型キャパシタは、前記誘電体層および前記内部電極が積層される方向である第1方向と、前記第1方向に垂直であり互いに垂直な第2方向および第3方向とを有し、
前記キャパシタボディは、前記第1方向に互いに対向する第1面および第2面と、前記第2方向に互いに対向する第3面および第4面と、前記第3方向に互いに対向する第5面および第6面とを有し、
前記外部電極は、前記キャパシタボディの前記第3面および第4面の外側に配置される接続部と、前記接続部から前記キャパシタボディの第1面および第2面上に延びて配置されるバンド部とを有し、
前記導電性樹脂層用ペーストは、前記バンド部にのみ位置するように塗布される、請求項14から19のいずれか一項に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、積層型キャパシタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタ(multi-layer ceramic capacitor、MLCC)は、小型高容量の実現が可能で様々な電子機器に用いられている。最近は、自律走行および電気自動車への関心が高まるにつれ、自動車内の電力駆動システムが増加しており、これによって自動車用積層型キャパシタの需要も増加している。
【0003】
自動車用積層型キャパシタは、高い水準の電気的信頼性および耐衝撃性を要求する。特に、実装された基板の変形による耐久性、つまり、曲げ強度特性に優れた積層型キャパシタが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一側面は、等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)特性を確保しながらも、曲げ強度特性を強化した積層型キャパシタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディと、キャパシタボディの外側に配置される外部電極とを含み、外部電極は、キャパシタボディの外側に配置され、第1導電性金属からなる金属層と、金属層の外側に配置され、樹脂、第2導電性金属、第2導電性金属より融点が低い低融点金属、および第2導電性金属と低融点金属との合金を含む導電性樹脂層とを含む。
【0006】
積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極が積層される方向である第1方向と、第1方向に垂直であり互いに垂直な第2方向および第3方向とを有することができる。
【0007】
キャパシタボディは、第1方向に互いに対向する第1面および第2面と、第2方向に互いに対向する第3面および第4面と、第3方向に互いに対向する第5面および第6面とを有することができる。
【0008】
金属層は、外側表面に表面粗さを有することができる。
【0009】
第2方向の中央で第2方向と垂直に第1方向および第3方向に切断した断面において、金属層の平均表面粗さ(Ra)は、0.2~1であってもよい。
【0010】
金属層は、ガラスおよびバインダー樹脂を含まなくてもよい。
【0011】
第2方向の中央で第2方向と垂直に第1方向および第3方向に切断した断面において、金属層は、金属層の単位面積に対して、単位面積に含まれているガラスの面積比率が2%以下であってもよい。
【0012】
第2方向の中央で第2方向と垂直に第1方向および第3方向に切断した断面において、金属層は、金属層の単位面積に対して、単位面積に含まれているバインダー樹脂の面積比率が1%以下であってもよい。
【0013】
第1導電性金属または第2導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0014】
低融点金属は、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、銅(Cu)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0015】
第2方向の中央で第2方向と垂直に第1方向および第3方向に切断した断面において、導電性樹脂層は、導電性樹脂層の単位面積に対する、単位面積に含まれている樹脂の面積比率が5%~30%であってもよい。
【0016】
第2方向の中央で第2方向と垂直に第1方向および第3方向に切断した断面において、導電性樹脂層は、導電性樹脂層の単位面積に対する、単位面積に含まれている第2導電性金属、低融点金属、および第2導電性金属と低融点金属との合金の面積比率が5%~30%であってもよい。
【0017】
外部電極は、導電性樹脂層の外側に配置されるメッキ層をさらに含むことができる。
【0018】
外部電極は、キャパシタボディの第3面および第4面の外側に配置される接続部と、接続部からキャパシタボディの第1面および第2面上に延びて配置されるバンド部とを有することができる。
【0019】
金属層、導電性樹脂層、およびメッキ層は、接続部およびバンド部に位置することができる。
【0020】
金属層は、接続部およびバンド部に位置し、導電性樹脂層は、バンド部に位置し、メッキ層は、接続部およびバンド部に位置することができる。
【0021】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディを製造する段階と、キャパシタボディの外側に外部電極を形成する段階とを含む。
【0022】
外部電極を形成する段階は、第1導電性金属からなる金属層を形成する段階と、第2導電性金属粉末、第2導電性金属より融点が低い低融点金属、および樹脂を含む導電性樹脂層用ペーストを金属層の外側に塗布した後、硬化させて、導電性樹脂層を形成する段階とを含む。
【0023】
金属層を形成する段階は、焼結法、スパッタリング法、またはメッキ法を用いて行われる。
【0024】
金属層を形成する段階は、第1導電性金属粉末およびバインダー樹脂を含む金属層用ペーストをキャパシタボディの外側に塗布した後、バインダー樹脂の硬化温度より400℃以上高い温度で熱処理してバインダー樹脂を除去しながら、第1導電性金属粉末を焼結させて金属層を形成することができる。
【0025】
金属層用ペーストは、ガラスフリット(glass frit)を含まなくてもよい。
【0026】
金属層用ペーストは、第1導電性金属100重量部に対して、バインダー樹脂を30重量部~60重量部含むことができる。
【0027】
金属層を形成する段階において、熱処理温度は、600℃~900℃であってもよい。
【0028】
導電性樹脂層用ペーストは、第2導電性金属100重量部に対して、樹脂を5重量部~30重量部含むことができる。
【0029】
導電性樹脂層用ペーストは、第2導電性金属100重量部に対して、低融点金属を5重量部~30重量部含むことができる。
【0030】
導電性樹脂層用ペーストは、バンド部にのみ位置するように塗布される。
【0031】
外部電極を形成する段階は、導電性樹脂層の外側にメッキ法を用いてメッキ層を形成する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0032】
一側面による積層型キャパシタによれば、等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)特性を確保しながらも、曲げ強度特性を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一側面による積層型キャパシタを示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った積層型キャパシタの断面図である。
図3図1のキャパシタボディにおける内部電極の積層構造を示す分離斜視図である。
図4図2におけるIII部分を拡大した断面図である。
図5】一側面による積層型キャパシタの変形例に関する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付した図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳細に説明する。図面にて本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付した図面は本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むことが理解されなければならない。
【0035】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0036】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」または「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたり、接続されていたり、または対向していてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいことが理解されなければならない。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」または「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないことが理解されなければならない。
【0037】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0038】
図1は、一側面による積層型キャパシタを示す斜視図であり、図2は、図1のI-I'線に沿った積層型キャパシタの断面図であり、図3は、図1のキャパシタボディにおける内部電極の積層構造を示す分離斜視図である。
【0039】
本側面を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸は、それぞれキャパシタボディ110の長手方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよく、一例として、誘電体層111が積層される積層方向と同じ概念で使用できる。長手方向(L軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に並んで延びる方向に厚さ方向(T軸方向)に略垂直な方向になり、一例として、両側に第1外部電極131および第2外部電極132が位置する方向であってもよい。幅方向(W軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に並んで延びる方向に厚さ方向(T軸方向)および長手方向(L軸方向)に略垂直な方向であってもよく、シート形状の構成要素の長手方向(L軸方向)の長さは、幅方向(W軸方向)の長さより長い。
【0040】
したがって、誘電体層111および第1内部電極121および第2内部電極122が積層される方向である第1方向は、厚さ方向(T軸方向)であってもよく、第1方向に垂直であり互いに垂直な第2方向および第3方向は、それぞれ長手方向(L軸方向)および幅方向(W軸方向)、または幅方向(W軸方向)および長手方向(L軸方向)であってもよい。
【0041】
図1図3を参照すれば、積層型キャパシタ100は、キャパシタボディ110と、キャパシタボディ110の長手方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1外部電極131および第2外部電極132とを含むことができる。
【0042】
キャパシタボディ110は、一例として、略六面体形状であってもよい。
【0043】
本開示では、説明の便宜のために、キャパシタボディ110において厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1面および第2面、第1面および第2面に連結され長手方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面および第4面、第1面および第2面に連結され第3面および第4面に連結され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面および第6面と定義する。一例として、下面の第1面が実装方向を向く面になってもよい。また、第1面~第6面は、平らであってもよいが、これに限定されるものではなく、例えば、中央部が凸の曲面であってもよく、各面の境界である角は、ラウンド(round)になっていてもよい。
【0044】
キャパシタボディ110の形状、寸法および誘電体層111の積層数が本実施例の図面に示されたことに限定されるものではない。
【0045】
キャパシタボディ110は、複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後に焼成したものであって、複数の誘電体層111と、誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される複数の第1内部電極121および第2内部電極122とを含む。この時、第1内部電極121および第2内部電極122は、互いに異なる極性を有することができる。
【0046】
この時、キャパシタボディ110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が難しい程度に一体化される。
【0047】
また、キャパシタボディ110は、アクティブ領域と、カバー領域112、113とを含むことができる。
【0048】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121および第2内部電極122がオーバーラップ(overlap)された領域であってもよい。
【0049】
カバー領域112、113は、マージン部として、厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面および第2面側にそれぞれ位置することができる。このようなカバー領域112、113は、単一誘電体層111または2つ以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであってもよい。
【0050】
また、キャパシタボディ110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。側面カバー領域は、マージン部として、幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5面および第6面側にそれぞれ位置することができる。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシートの表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両側面には、導電性ペースト層を塗布しない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成される。
【0051】
カバー領域112、113と側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極121および第2内部電極122の損傷を防止する役割を果たす。
【0052】
一例として、誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これらの成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶した(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1, 0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などを含むことができる。
【0053】
また、誘電体層111には、セラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤などがさらに添加される。セラミック添加剤は、例えば、遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などが使用できる。
【0054】
一例として、誘電体層111の平均厚さは、0.5μm~10μmであってもよい。
【0055】
第1内部電極121および第2内部電極122は、互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディ110の第3面および第4面を介してそれぞれ露出できる。
【0056】
第1内部電極121および第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁できる。
【0057】
キャパシタボディ110の第3面および第4面を介して交互に露出する第1内部電極121および第2内部電極122の端部は、第1外部電極131および第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に連結可能である。
【0058】
第1内部電極121および第2内部電極122は、導電性金属を含み、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pd)、または金(Au)などの金属やこれらの合金、例えば、Ag-Pd合金を含むことができる。
【0059】
また、第1内部電極121および第2内部電極122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0060】
第1内部電極121および第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを用いて形成される。導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができる。
【0061】
一例として、第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは、0.1μm~2μmであってもよい。
【0062】
第1外部電極131および第2外部電極132は、互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結可能である。
【0063】
上記の構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、アクティブ領域において厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに重なる第1内部電極121および第2内部電極122のオーバーラップされた面積に比例する。
【0064】
第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディ110の第3面および第4面にそれぞれ配置されて、第1内部電極121および第2内部電極122に接続される第1接続部および第2接続部と、キャパシタボディ110の第3面および第4面と、第1面および第2面または第5面および第6面との出会う角に配置される第1バンド部および第2バンド部とをそれぞれ含むことができる。
【0065】
第1バンド部および第2バンド部は、第1接続部および第2接続部からキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面の一部までそれぞれ延びることができる。第1バンド部および第2バンド部は、第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0066】
図4は、図2のIII領域を拡大した断面図であって、第2外部電極132を拡大して模式的に示す断面図である。図4には、第2外部電極132についてのみ示しているが、第1外部電極131も、図4と類似の特徴を有している。以下、図4を参照して、本側面による第1外部電極131および第2外部電極132について詳しく説明する。
【0067】
一例として、第1外部電極131および第2外部電極132は、それぞれキャパシタボディ110と接触する金属層1311、1321と、金属層1311、1321を覆うように配置される導電性樹脂層1312、1322と、選択的に、導電性樹脂層1312、1322を覆うように配置されるメッキ層1313、1323とを含むことができる。
【0068】
金属層1311、1321は、キャパシタボディ110と直接接触し、キャパシタボディ110の第3面および第4面にそれぞれ配置されて、第1内部電極121および第2内部電極121に連結される。金属層1311、1321は、第1接続部および第2接続部と第1バンド部および第2バンド部に位置することができる。つまり、金属層1311、1321は、第1面、第2面、第3面、第4面、第5面、および第6面に位置することができる。
【0069】
金属層1311、1321は、第1導電性金属からなる。
【0070】
金属層1311、1321は、第1導電性金属として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば、銅(Cu)は、銅(Cu)合金を含むことができる。第1導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は、銅100モル部に対して5モル部以下で含まれる。
【0071】
一例として、金属層1311、1321は、実質的に第1導電性金属のみからなり、ガラス(glass)およびバインダー樹脂を含まなくてもよい。金属層1311、1321が第1導電性金属のみからなることによって、ガラスおよびバインダー樹脂をさらに含む場合に比べて等価直列抵抗特性を向上させることができる。
【0072】
ここで、ガラスは、例えば、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された1つ以上であってもよい。遷移金属は、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選択され、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選択された1つ以上であってもよい。
【0073】
また、バインダー樹脂は、例えば、エポキシ、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などであってもよい。
【0074】
後述のように、ガラスおよびバインダー樹脂を含まず、第1導電性金属のみからなる金属層1311、1321は、第1導電性金属粉末およびバインダー樹脂を含む金属層用ペーストをキャパシタボディ110の外側に塗布した後、バインダー樹脂の硬化温度より400℃以上高い温度で熱処理してバインダー樹脂を除去しながら、第1導電性金属粉末を焼結させることによって製造される。これによって、金属層1311、1321は、外側表面に表面粗さを有することができる。ただし、本側面がこれに限定されるものではなく、第1導電性金属のみからなる金属層1311、1321は、スパッタリング、またはメッキなどの方法でも製造可能である。
【0075】
以下、金属層1311、1321の平均表面粗さ(Ra)、金属層1311、1321と導電性樹脂層1312、1322の平均面積、および各成分の平均面積と種類などは、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)の中央(1/2地点)で幅方向(W軸方向)に垂直に長手方向および積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向の断面)、または長手方向(L軸方向)の中央(1/2地点)で長手方向(L軸方向)と垂直に幅方向(W軸方向)および積層方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「断面」という)を、走査電子顕微鏡(SEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)などによって観察することによって分析できる。
【0076】
積層型キャパシタ100の断面サンプルは、例えば、積層型キャパシタ100をエポキシ(epoxy)モールドに実装した後、断面が露出するように積層型キャパシタ100を研磨(Polishing)し、Pt coaterに10秒コーティングして用意できる。
【0077】
走査電子顕微鏡(SEM)は、例えば、thermofisher scientific社のVerios G4製品を用い、測定条件は10kV、分析倍率は3000倍であってもよく、第1外部電極131および第2外部電極132と誘電体層111との界面から外側方向に約70μm程度に第1外部電極131および第2外部電極132が出られるように測定できる。
【0078】
金属層1311、1321の平均表面粗さ(Ra)は、SEMまたはSTEMなどの断面観察によって得られた断面写真をZygo Corporation社のNew Viewを用いて測定できる。New Viewは、代表的な干渉計の1つであって白色光を用いたスキャン方式の装置である。XRDのような非破壊分析が試料に損傷を与えないのと同じく、非接触式粗さ測定器も表面の形状を測定するが、試料に損傷を与えずに表面粗さを測定できる。測定原理は、最も上部にCCDカメラが位置しており、中間位置に白色光源が位置して試料に照射される。白色光源の場合、短波長のレーザと異なり、波長が固定されておらず波長が多くて偏光干渉を起こすという特徴がある。干渉縞収集のために干渉計を垂直方向に駆動させる。この時に用いられるものがPZTである。Beam Spliterにより干渉がさらに増大すれば、補強干渉をする部分は白色、相殺干渉を起こす部分は黒色で現れる。この干渉縞を試料の置かれているステージを動かして広く広げながら焦点を合わせると高さ情報が検出されながら表面粗さの測定が可能になる。
【0079】
金属層1311、1321の第1導電性金属、導電性樹脂層1312、1322の樹脂、第2導電性金属、低融点金属、および第2導電性金属と低融点金属との合金の平均面積、および成分などは、SEMまたはSTEMなどの断面観察によって得られた断面写真を電子線マイクロアナライザ(EPMA)で分析することによって測定できる。電子線マイクロアナライザ(EPMA)で成分分析などを行う場合、X線分光器として、EDS(エネルギー分散型分光器)、またはWDS(波長分散型分光器)などを用いることができる。あるいは、SEMの反射電子像やSTEMのHAADF像などで第1外部電極131および第2外部電極132の断面を観察した場合、金属結合を有する第1導電性金属、第2導電性金属、低融点金属、または第2導電性金属と低融点金属との合金などは、コントラストの明るい部分と認識することができ、樹脂、または気孔などの非金属成分は、コントラストの暗い部分と認識することができる。したがって、金属層1311、1321の第1導電性金属、導電性樹脂層1312、1322の樹脂、第2導電性金属、低融点金属、または第2導電性金属と低融点金属との合金などの平均面積は、断面写真を二進化するなど、測定視野全体の面積に対する、コントラストが異なる部分の面積比率で算出できる。
【0080】
金属層1311、1321の平均表面粗さ(Ra)は、0.2~1、例えば、0.3~0.4であってもよい。
【0081】
金属層1311、1321は、ガラスを実質的に含まなくてもよい。例えば、前記断面において、金属層1311、1321の単位面積に対する、単位面積に含まれているガラスの面積比率は、2%以下、1%以下、0.1%以下、または0%以上であってもよい。
【0082】
また、金属層1311、1321は、バインダー樹脂を実質的に含まなくてもよい。例えば、前記断面において、金属層1311、1321の単位面積に対する、単位面積に含まれているバインダー樹脂の面積比率は、1%以下、0.1%以下、または0%以上であってもよい。
【0083】
ここで、金属層1311、1321が有するガラスまたはバインダー樹脂の面積比率は、金属層1311、1321の単位面積に対する、金属層1311、1321の単位面積が有するガラスまたはバインダー樹脂の占める面積の百分率(%)であってもよい。
【0084】
また、金属層1311、1321が有するガラスまたはバインダー樹脂の面積比率は、前記SEMまたはSTEMなどの断面写真において金属層1311、1321内に位置する横1μm~100μmおよび縦1μm~100μm、例えば、10μm×2μmの大きさの単位面積内で測定できる。
【0085】
ここで、金属層1311、1321が第1接続部および第2接続部に位置する場合、単位面積は、厚さ方向(T軸方向)の長さの中央(1/2)地点が金属層1311、1321、導電性樹脂層1312、1322、およびメッキ層1313、1323をすべて含む第1外部電極131および第2外部電極132の厚さ(つまり、L軸方向の長さ)が最も厚い地点に位置することができる。
【0086】
一方、金属層1311、1321が第1バンド部および第2バンド部に位置する場合、単位面積は、長手方向(L軸方向)の長さの中央(1/2)地点が金属層1311、1321、導電性樹脂層1312、1322、およびメッキ層1313、1323をすべて含む第1外部電極131および第2外部電極132の厚さ(つまり、T軸方向の長さ)が最も厚い地点に位置することができる。
【0087】
ただし、単位面積全体は、すべて金属層1311、1321内に位置するように配置される。
【0088】
導電性樹脂層1312、1322は、金属層1311、1321の外側に配置される。
【0089】
導電性樹脂層1312、1322は、キャパシタボディ110の第3面および第4面に位置し、キャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面に延びることができる。つまり、導電性樹脂層1312、1322は、第1接続部および第2接続部と第1バンド部および第2バンド部に位置することができる。
【0090】
導電性樹脂層1312、1322がキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面に延びて配置された領域(つまり、第1バンド部および第2バンド部)での長さは、金属層1311、1321がキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面に延びて配置された領域(つまり、第1バンド部および第2バンド部)での長さより長い。つまり、導電性樹脂層1312、1322は、金属層1311、1321上に形成され、金属層1311、1321を完全に覆う形態に形成される。
【0091】
導電性樹脂層1312、1322は、樹脂および第2導電性金属を含む。
【0092】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる樹脂は、接合性および衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作れるものであれば特に制限されず、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0093】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる第2導電性金属は、金属層1311、1321またはメッキ層1313、1323と電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0094】
一例として、第2導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。第1導電性金属と第2導電性金属は、同一の金属を使用してもよい。
【0095】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる第2導電性金属は、球状、フレーク状、またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。つまり、第2導電性金属は、フレーク状のみからなるか、球状のみからなってもよく、フレーク状と球状とが混合された形態であってもよい。
【0096】
ここで、球状は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸との長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粉末は、平らでかつ細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるわけではないが、例えば、長軸と短軸との長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。
【0097】
一方、金属層1311、1321が第1導電性金属のみからなり、ガラスおよびバインダー樹脂を含まない場合、実装された基板の変形による応力解消が困難で曲げクラック(crack)が発生しうる。このため、導電性樹脂層1312、1322は、樹脂および第2導電性金属と共に、低融点金属、および第2導電性金属と低融点金属との合金をさらに含むことによって、金属層1311、1321によって等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)特性を確保しながらも、金属層1311、1321によって低下する曲げ強度特性を補完することができる。
【0098】
一例として、低融点金属は、第2導電性金属より融点が低い金属である。
【0099】
低融点金属は、第2導電性金属より融点が低い金属であれば制限なく使用可能であり、例えば、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、銅(Cu)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0100】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる第2導電性金属と低融点金属は、合金形態で存在することができる。例えば、第2導電性金属が銅(Cu)であり、低融点金属がスズ(Sn)である場合、第2導電性金属と低融点金属との合金は、例えば、CuSnまたはCuSであってもよく、第2導電性金属が銀(Ag)であり、低融点金属がスズ(Sn)である場合、第2導電性金属と低融点金属との合金は、例えば、AgSnであってもよい。
【0101】
一例として、前記断面において、導電性樹脂層1312、1322の単位面積に対する、単位面積に含まれている樹脂の面積比率は、5%~30%、例えば、5%~20%、または5%~12%であってもよい。導電性樹脂層1312、1322に含まれている樹脂の面積比率が5%未満の場合、曲げ強度特性が低下し、30%を超える場合、ESR特性が低下しうる。
【0102】
前記断面において、導電性樹脂層1312、1322の単位面積に対する、単位面積に含まれている第2導電性金属、低融点金属、第2導電性金属と低融点金属との合金、またはこれらの組み合わせの面積比率は、5%~30%、例えば、5%~20%、または8%~15%であってもよい。導電性樹脂層1312、1322に含まれている第2導電性金属、低融点金属、第2導電性金属と低融点金属との合金、またはこれらの組み合わせの面積比率が5%未満の場合、ESR特性が低下し、30%を超える場合、曲げ強度特性が低下しうる。
【0103】
ここで、導電性樹脂層1312、1322に含まれている樹脂と第2導電性金属などの面積比率は、導電性樹脂層1312、1322の単位面積に対する、導電性樹脂層1312、1322の単位面積が有する樹脂と第2導電性金属などの占める面積の百分率(%)であってもよい。
【0104】
また、導電性樹脂層1312、1322が有する樹脂と第2導電性金属などの面積比率は、前記SEMまたはSTEMなどの断面写真において導電性樹脂層1312、1322内に位置する横1μm~100μmおよび縦1μm~100μm、例えば、10μm×2μmの大きさの単位面積内で測定できる。
【0105】
ここで、導電性樹脂層1312、1322が第1接続部および第2接続部に位置する場合、単位面積は、厚さ方向(T軸方向)の長さの中央(1/2)地点が金属層1311、1321、導電性樹脂層1312、1322、およびメッキ層1313、1323をすべて含む第1外部電極131および第2外部電極132の厚さ(つまり、L軸方向の長さ)が最も厚い地点に位置することができる。
【0106】
一方、導電性樹脂層1312、1322が第1バンド部および第2バンド部に位置する場合、単位面積は、長手方向(L軸方向)の長さの中央(1/2)地点が金属層1311、1321、導電性樹脂層1312、1322、およびメッキ層1313、1323をすべて含む第1外部電極131および第2外部電極132の厚さ(つまり、T軸方向の長さ)が最も厚い地点に位置することができる。
【0107】
ただし、単位面積全体は、すべて導電性樹脂層1312、1322内に位置するように配置される。
【0108】
図5は、一側面による積層型キャパシタの変形例に関する断面図である。
【0109】
本変形例による積層型キャパシタ100は、上記の積層型キャパシタ100と類似しているので、重複する説明は省略し、差異点を中心に説明する。
【0110】
図2には、導電性樹脂層1312、1322がキャパシタボディ110の第1面、第2面、第3面、第4面、第5面、および第6面、つまり、接続部およびバンド部に位置し、金属層1311、1321を完全に覆う形態に形成されたことを示す。
【0111】
これに対し、図5には、導電性樹脂層1312、1322がキャパシタボディ110の第3面および第4面には位置せず、第1面、第2面、第5面、および第6面にのみ位置することを示す。つまり、導電性樹脂層1312、1322は、接続部には位置せず、バンド部にのみ位置することができる。
【0112】
導電性樹脂層1312、1322がバンド部にのみ位置する場合、金属層1311、1321によって等価直列抵抗特性を確保しながらも、金属層1311、1321によって低下する曲げ強度特性をさらに強化することができる。
【0113】
選択的に、第1外部電極131および第2外部電極132は、導電性樹脂層1312、1322の外側に配置されるメッキ層1313、1323をさらに含むことができる。
【0114】
メッキ層1313、1323は、キャパシタボディ110の第3面および第4面に位置し、キャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面に延びることができる。つまり、メッキ層1313、1323は、第1接続部および第2接続部と第1バンド部および第2バンド部に位置することができる。メッキ層1313、1323がキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面に延びて配置された領域(つまり、第1バンド部および第2バンド部)における長さは、導電性樹脂層1312、1322がキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面に延びて配置された領域(つまり、第1バンド部および第2バンド部)における長さより長い。つまり、メッキ層1313、1323は、導電性樹脂層1312、1322上に形成され、金属層1311、1321および導電性樹脂層1312、1322を完全に覆う形態に形成される。
【0115】
メッキ層1313、1323は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)または鉛(Pb)などの単独、またはこれらの合金を含むメッキ層であってもよい。一例として、メッキ層1313、1323は、ニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層1313、1323は、複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0116】
メッキ層1313、1323は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗を改善することができる。
【0117】
他の実施例による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディを製造する段階と、キャパシタボディの外側に外部電極を形成する段階とを含む。
【0118】
まず、キャパシタボディの製造について説明する。キャパシタボディの製造工程では、焼成後に誘電体層になる誘電体用ペーストと、焼成後に内部電極になる導電性ペーストとを用意する。
【0119】
誘電体用ペーストは、例えば、次の方法で製造する。セラミック材料を湿式混合などの手段によって均一に混合し、乾燥させた後、所定の条件で熱処理することによって、可塑粉末を得る。得られた可塑粉末に、有機ビヒクルまたは水系ビヒクルを追加して混練し、誘電体用ペーストを調製する。
【0120】
得られた誘電体用ペーストをドクターブレード法などの手法によってシート化することによって、誘電体グリーンシートを得る。また、誘電体用ペーストには、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、またはガラスなどから選択される添加物が含まれていてもよい。
【0121】
内部電極用導電性ペーストは、導電性金属またはその合金からなる導電性粉末とバインダーや溶剤を、混練して調製する。内部電極用導電性ペーストには、必要に応じて、共材としてセラミック粉末(例えば、チタン酸バリウム粉末)が含まれる。共材は、焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用を果たすことができる。
【0122】
誘電体グリーンシートの表面に、スクリーン印刷などの各種印刷法や転写法によって、内部電極用導電性ペーストを所定のパターンに塗布する。そして、内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にわたって積層した後、積層方向にプレスすることによって、誘電体グリーンシート積層体を得る。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には、誘電体グリーンシートが位置するように、誘電体グリーンシートと内部電極パターンとを積層できる。
【0123】
選択的に、得られた誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどによって所定の寸法に切断することができる。
【0124】
また、誘電体グリーンシート積層体は、必要に応じて、可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に、水平遠心バレル機などを用いてバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体をメディアおよび研磨液と共に、バレル容器内に投入し、そのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することによって、切断時に発生したバリなどの不要部分を研磨することができる。また、バレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は、水などの洗浄液で洗浄して乾燥できる。
【0125】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理および焼成処理してキャパシタボディを得る。
【0126】
脱バインダー処理の条件は、誘電体層の主成分の組成や内部電極の主成分の組成に応じて適切に調節可能である。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間~300℃/時間、支持温度は180℃~400℃、温度維持時間は0.5時間~24時間であってもよい。脱バインダー雰囲気は、空気または還元性雰囲気であってもよい。
【0127】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分の組成や内部電極の主成分の組成に応じて適切に調節可能である。例えば、焼成時の温度は、1200℃~1350℃、または1220℃~1300℃であってもよく、時間は、0.5時間~8時間、または1時間~3時間であってもよい。焼成雰囲気は、還元性雰囲気であってもよく、例えば、窒素ガス(N)と水素ガス(H)との混合ガスを加湿した雰囲気であってもよい。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、1.0×10-14MPa~1.0×10-10MPaであってもよい。
【0128】
焼成処理後には、必要に応じて、アニーリングを実施できる。アニーリングは、誘電体層を再酸化させるための処理であり、焼成処理を還元性雰囲気で実施した場合には、アニーリングを実施できる。アニーリング処理の条件も、誘電体層の主成分の組成などに応じて適切に調節可能である。例えば、アニーリング時の温度は、950℃~1150℃であってもよく、時間は、0時間~20時間であってもよく、昇温速度は、50℃/時間~500℃/時間であってもよい。アニーリング雰囲気は、加湿した窒素ガス(N)雰囲気であってもよく、酸素分圧は、1.0×10-9MPa~1.0×10-5MPaであってもよい。
【0129】
脱バインダー処理、焼成処理、またはアニーリング処理において、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには、例えば、ウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は、5℃~75℃であってもよい。脱バインダー処理、焼成処理、およびアニーリング処理は、連続して行ってもよく、独立して行ってもよい。
【0130】
選択的に、得られたキャパシタボディの第3面および第4面に対して、サンドブラスティング処理、レーザ照射、またはバレル研磨などの表面処理を実施できる。このような表面処理を実施することによって、第3面および第4面の最表面に第1内部電極および第2内部電極の端部が露出し、これによって、第1外部電極および第2外部電極と第1内部電極および第2内部電極との電気的接合が良好になり、合金部が形成されやすくなる。
【0131】
得られたキャパシタボディの外面に、金属層用ペーストを塗布した後、焼結させて、金属層を形成することができる。ただし、本側面がこれに限定されるものではなく、金属層は、スパッタリング法、またはメッキ法などの方法でも製造できる。
【0132】
金属層用ペーストは、第1導電性金属粉末とバインダー樹脂とを含むことができる。この時、金属層用ペーストは、ガラスフリット(glass frit)を含まない。第1導電性金属、バインダー樹脂、およびガラスに関する説明は、上述したものと同一であるので、繰り返しの説明は省略する。
【0133】
また、金属層用ペーストは、選択的に、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0134】
一例として、金属層用ペーストは、第1導電性金属100重量部に対して、バインダー樹脂を30重量部~60重量部、例えば、40重量部~50重量部含むことができる。金属層用ペーストにおけるバインダー樹脂の含有量が30重量部未満の場合、焼結時に金属の緻密度が低下して電気的特性および耐湿信頼性が低下し、60重量部を超える場合、脱バインダーが完璧でないことがあり、この場合、ESR特性が低下しうる。
【0135】
金属層用ペーストをキャパシタボディの外面に塗布する方法としては、ディップ法、またはスクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサなどを用いた塗布法、またはスプレーを用いた噴霧法などを使用することができる。金属層用ペーストは、少なくともキャパシタボディの第3面および第4面に塗布され、選択的に、第1外部電極および第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面、または第6面の一部にも塗布される。
【0136】
以後、金属層用ペーストが塗布されたキャパシタボディを乾燥させ、バインダー樹脂の硬化温度より400℃以上高い温度で熱処理してバインダー樹脂を除去しながら、第1導電性金属粉末を焼結させて金属層を形成する。例えば、バインダー樹脂の硬化温度は、200℃~240℃であってもよく、これによって、熱処理温度は、600℃~900℃、または630℃~850℃であってもよく、熱処理時間は、70分~160分、または70分~120分であってもよい。
【0137】
熱処理温度が600℃未満の場合、焼結が完璧でなくて緻密度が低下し、熱処理温度の上限は、キャパシタボディに影響を与えない温度であれば制限されず、例えば、900℃以下であってもよい。
【0138】
これによって、ガラスおよびバインダー樹脂を含まず、第1導電性金属のみからなり、外側表面に表面粗さを有する金属層を製造することができる。
【0139】
得られた金属層の外面に、導電性樹脂層用ペーストを塗布した後、硬化させて、導電性樹脂層を形成することができる。
【0140】
導電性樹脂層用ペーストは、樹脂および第2導電性金属粉末を含むことができる。また、導電性樹脂層用ペーストは、第2導電性金属より融点が低い低融点金属をさらに含むことができる。樹脂、第2導電性金属、および低融点金属に関する説明は、上述したものと同一であるので、繰り返しの説明は省略する。
【0141】
また、導電性樹脂層用ペーストは、選択的に、バインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーは、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0142】
一例として、導電性樹脂層用ペーストは、第2導電性金属100重量部に対して、樹脂を5重量部~30重量部、例えば、5重量部~13重量部含むことができる。導電性樹脂層用ペーストにおける樹脂の含有量が5重量部未満の場合、曲げ強度が低下し、30重量部を超える場合、ESR特性が低下しうる。
【0143】
導電性樹脂層用ペーストは、第2導電性金属100重量部に対して、低融点金属を5重量部~30重量部、例えば、10重量部~15重量部含むことができる。導電性樹脂層用ペーストにおける低融点金属の含有量が5重量部未満の場合、ESR特性が低下し、30重量部を超える場合、曲げ強度特性が低下しうる。
【0144】
一例として、導電性樹脂層の形成方法は、導電性樹脂層用ペーストにキャパシタボディ110をディッピングして形成した後、硬化させるか、導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディ110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷するか、導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディ110の表面に塗布した後、硬化させて形成することができる。
【0145】
この時、導電性樹脂層用ペーストは、金属層の一部を覆い、他の一部を露出させるように塗布される。例えば、第1接続部および第2接続部には位置せず、第1バンド部および第2バンド部にのみ位置するように、導電性樹脂層用ペーストを塗布することができる。
【0146】
導電性樹脂層用ペーストを第1バンド部および第2バンド部にのみ位置するように塗布する方法は特に限定せず、例えば、キャパシタボディに金属層を形成した後、金属層上に導電性樹脂層用ペーストを塗布し、多孔性不織布などを用いて第1接続部および第2接続部に塗布された導電性樹脂層用ペーストを除去することによって、バンド部にのみ導電性樹脂層用ペーストが塗布されるようにする。
【0147】
次に、金属層と導電性樹脂層の外側にメッキ層を形成する。
【0148】
一例として、第4層は、メッキ法によって形成され、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)によって形成されてもよい。
【0149】
以下、発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記記載の実施例は発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が制限されてはならない。
【0150】
[製造例:積層型キャパシタの製造]
(実施例)
チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布した後、乾燥して誘電体グリーンシートを複数製造する。
【0151】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を用いて誘電体グリーンシート上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0152】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重なるようにしながら、誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0153】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で230℃、60時間維持して脱バインダーを進行させ、1200℃で焼成してキャパシタボディを製造する。
【0154】
次に、第1導電性金属として銅(Cu)とバインダー樹脂(硬化温度:230℃)とを含む金属層用ペーストをキャパシタボディの外面にディップ法で塗布し、乾燥させた後、630℃で70分間焼結して金属層を形成する。
【0155】
次に、エポキシ樹脂、第2導電性金属として銅(Cu)、および低融点金属としてスズ(Sn)を含む導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディの外面にディップ法で塗布し、乾燥させた後、硬化させて、導電性樹脂層を形成する。
【0156】
以後、ニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを進行させて、積層型キャパシタを製造する。
【0157】
(比較例)
チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布した後、乾燥して誘電体グリーンシートを複数製造する。
【0158】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を用いて誘電体グリーンシート上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0159】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重なるようにしながら、誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0160】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で230℃、60時間維持して脱バインダーを進行させ、1200℃で焼成してキャパシタボディを製造する。
【0161】
次に、ガラスフリットと、導電性金属として銅(Cu)とを含む金属層用ペーストをキャパシタボディの外面にディップ法で塗布し、乾燥させた後、焼結して金属層を形成する。
【0162】
次に、エポキシ樹脂と、導電性金属として銅(Cu)粉末とを含む導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディの外面にディップ法で塗布し、乾燥させた後、硬化させて、導電性樹脂層を形成する。
【0163】
導電性樹脂層が形成されたキャパシタボディにニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを進行させて、積層型キャパシタを製造する。
【0164】
[実験例:積層型キャパシタの性能]
実施例および比較例で製造された積層型キャパシタに対して、金属層の表面粗さ、曲げ強度、および等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)を測定する。
【0165】
1)金属層の表面粗さの測定方法
製造された積層型キャパシタ各5個をエポキシモールドに実装し、L軸方向およびT軸方向の面(例えば、第5面)をW軸方向に沿って約1/2程度の深さに研磨した後、Pt coaterに10秒コーティングして断面サンプルを用意する。
【0166】
用意された断面サンプルにおいて、第1外部電極または第2外部電極と誘電体層との界面からメッキ層方向に70μm程度に第1電極または第2電極がすべて見える位置を、UHR-SEM(Scanning Electron Microscope)で、加速電圧10kV、分析倍率3000倍、つまり、金属層と導電性樹脂層との界面および導電性樹脂層の多孔性構造がすべて見える倍率で測定する。
【0167】
得られた断面写真をZygo Corporation社のNew viewを用いて金属層の平均表面粗さ(Ra)を測定する。
【0168】
2)曲げ強度の測定方法
実施例および比較例による積層型キャパシタをそれぞれ30個用意する。曲げ強度基板(PCB)に積層型キャパシタを実装(soldering)した後、リフロー(Reflow)して基板に固定させる。
【0169】
曲げ強度測定装置は、一例として、Tira社のTT28025S、Keithely6485*4、Keithely6487*1であってもよい。
【0170】
曲げ強度は、3点曲げ形態の実験であって、90mm間隔の2つの支持台の間に積層型キャパシタが真ん中にくるように基板を置き、初期電荷充電と評価中のリーク電流を測定するために計測器と連結する。連結が完了した後、曲げ強度測定設備を用いて基板を押してベンディング(bending)させ、同時に3mm押された時、積層型キャパシタに充電された電荷がリークされたかを電流測定の方法で確認する。以後、積層型キャパシタの断面を観察して不良モードを判別する。
【0171】
3)等価直列抵抗(ESR)の測定方法
実施例および比較例による積層型キャパシタをそれぞれ200個用意する。積層型キャパシタを400個実装できる基板(PCB)に実装(soldering)した後、ピーク(Peak)温度が290℃のリフロー(Reflow)設備に1回入れる。リフローを進行させた基板をImpedence analyzer装置に入れて、温度Frequency1MHzの環境でESRを測定する。
【0172】
ESR測定装置は、一例として、JK tech社のImpedance Analyzerを用いることができる。
【0173】
実施例および比較例で製造された積層型キャパシタに対して、金属層の外側表面での平均表面粗さ(Ra)、曲げ強度、および等価直列抵抗を測定した結果を表1に示す。
【0174】
【表1】
表1を参照すれば、実施例で製造された積層型キャパシタの金属層の外側表面での平均表面粗さ(Ra)は0.4であるのに対し、比較例で製造された積層型キャパシタの金属層の外側表面での平均表面粗さ(Ra)は0.1であることを確認できる。
【0175】
また、実施例で製造された積層型キャパシタは不良が発生せず、曲げ強度特性が確保されたことを確認できる。
【0176】
さらに、実施例で製造された積層型キャパシタは、比較例で製造された積層型キャパシタに比べて曲げ強度特性に優れていながらも、等価直列抵抗特性を確保できることが分かる。
【0177】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0178】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディ
111:誘電体層
112、113:カバー領域
121:第1内部電極
122:第2内部電極
131:第1外部電極
132:第2外部電極
1311、1321:金属層
1312、1322:導電性樹脂層
1313、1323:メッキ層
図1
図2
図3
図4
図5