(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132908
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】熱交換器およびそれを備えた空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F28F 9/22 20060101AFI20240920BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20240920BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20240920BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F28F9/22
F28F1/02 A
F28D1/053 A
F25B39/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024484
(22)【出願日】2024-02-21
(62)【分割の表示】P 2023548223の分割
【原出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 七海
(72)【発明者】
【氏名】尾中 洋次
(72)【発明者】
【氏名】足立 理人
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065DA14
3L103AA50
3L103BB42
3L103CC17
3L103CC18
3L103CC23
3L103DD08
3L103DD32
3L103DD42
3L103DD82
3L103DD85
(57)【要約】
【課題】ヘッダレスの熱交換器において空気の流路の設計の自由度を高める。
【解決手段】熱交換器は、第1方向に配列され、それぞれが第1方向と交差する第2方向に延伸した複数の扁平管を備えた熱交換器である。扁平管は、内部空間に流体が流通する伝熱流路が設けられた管壁を有し、管壁は、第1方向で向かい合う平板状の管側壁部を有し、管側壁部には貫通穴が形成されている。隣り合う扁平管は、管壁同士を接続し、且つ管壁の内部の伝熱流路同士を連通させる連結部を有し、連結部は、隣り合う扁平管の対向する管側壁部の少なくとも一方に形成された、貫通穴の周縁部から第1方向へ突出する連結突起部により構成されたものであって、貫通穴及び連結部は、扁平管の長手方向において両側の開口端よりも内側に形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配列され、それぞれが前記第1方向と交差する第2方向に延伸した複数の扁平管を備えた熱交換器であって、
前記扁平管は、内部空間に流体が流通する伝熱流路が設けられた管壁を有し、
前記管壁は、前記第1方向で向かい合う平板状の管側壁部を有し、前記管側壁部には貫通穴が形成されており、
隣り合う前記扁平管は、前記管壁同士を接続し、且つ前記管壁の内部の前記伝熱流路同士を連通させる連結部を有し、
前記連結部は、隣り合う前記扁平管の対向する前記管側壁部の少なくとも一方に形成された、前記貫通穴の周縁部から前記第1方向へ突出する連結突起部により構成されたものであって、
前記貫通穴及び前記連結部は、前記扁平管の長手方向において両側の開口端よりも内側に形成されている
熱交換器。
【請求項2】
複数の前記扁平管の前記第2方向の少なくとも一端に配置され、複数の前記扁平管の前記伝熱流路の一端を覆う板状の管封止部を備え、
前記管封止部には、一定のピッチで前記扁平管の前記一端が固定されている
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記連結部は、隣り合う前記扁平管の対向する前記管側壁部の双方に形成された前記連結突起部により構成されたものである
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
隣り合う前記扁平管の対向する前記管側壁部の双方に形成された前記連結突起部は、前記第1方向において少なくとも一部が重なる
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記扁平管は、前記管壁の前記内部空間に配置され、前記第2方向に延伸し、前記内部空間を前記第1方向及び前記第2方向とそれぞれ直交する第3方向に分割する第1仕切りを有し、
前記第1仕切りの前記第2方向の少なくとも一端は、前記扁平管の前記長手方向である前記第2方向の両側の前記開口端よりも内側に位置する
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
複数の前記扁平管のうち少なくとも1組の隣り合う前記扁平管の前記管壁間に設けられ、前記連結部を介した前記伝熱流路間の前記流体の流れを遮断する第2仕切りを備える
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
隣り合う前記扁平管の対向する前記管側壁部の少なくとも一方には、前記管壁同士の距離を規制する位置規制突起部が設けられている
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項8】
圧縮機と、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が冷媒配管を介して接続され、前記流体が循環する冷媒回路を備えた
空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッダレスの熱交換器およびそれを備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器において、複数の熱交換部材を積層して成り、冷媒等の第1流体と空気等の第2流体との熱交換を行う熱交換器がある。このような熱交換器において、ヘッダレスの熱交換器を開示したものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の熱交換器は、第1流体の流路として、略長方形状の熱交換部材の積層方向に複数設けられ、それぞれが熱交換部材の長手方向に延伸する伝熱流路と、熱交換部材の積層方向に延伸し、複数の伝熱流路を連通させるヘッダ流路と、を有する。特許文献1の熱交換器では、熱交換部材がプレートであり、プレートに設けた凹凸によって、プレートと、積層方向一方側の隣のプレートとの間には冷媒の伝熱流路が形成され、また、プレートと、積層方向他方側の隣のプレートとの間には空気の流路が形成される。また、プレートと、積層方向他方側の隣のプレートとが接合された部分に貫通穴を設けることで冷媒の伝熱流路同士が連通する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の熱交換器は、プレートを積層することで構成され、プレートに設けた凹凸によって冷媒の伝熱流路と空気の流路とが形成され、プレートの接合部分に設けた貫通穴によって冷媒のヘッダ流路が形成されているので、プレートの凹凸の大きさ(すなわち溝の深さ又は突起の高さ)によって、プレートのピッチ、及び、プレート積層方向における冷媒の伝熱流路と空気の流路との合計の幅が決まってしまう。なお、凹凸の大きさによってプレート積層方向における空気の流路の幅を変えることができるが、プレートに直接凹凸加工しているから凹凸の大きさの変更には制限があり、また、空気の流路の幅を広げようとすると冷媒の伝熱流路の幅が狭くなってしまう。このように、特許文献1の熱交換器は、空気の流路の設計の自由度が低いものとなっていた。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ヘッダレスの熱交換器において空気の流路の設計の自由度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る熱交換器は、第1方向に配列され、それぞれが前記第1方向と交差する第2方向に延伸した複数の扁平管を備えた熱交換器であって、前記扁平管は、内部空間に流体が流通する伝熱流路が設けられた管壁を有し、前記管壁は、前記第1方向で向かい合う平板状の管側壁部を有し、前記管側壁部には貫通穴が形成されており、隣り合う前記扁平管は、前記管壁同士を接続し、且つ前記管壁の内部の前記伝熱流路同士を連通させる連結部を有し、前記連結部は、隣り合う前記扁平管の対向する前記管側壁部の少なくとも一方に形成された、前記貫通穴の周縁部から前記第1方向へ突出する連結突起部により構成されたものであって、前記貫通穴及び前記連結部は、前記扁平管の長手方向において両側の開口端よりも内側に形成されている。
【0007】
また、本開示に係る空気調和装置は、圧縮機と、上記の熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が冷媒配管を介して接続され、流体が循環する冷媒回路を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る熱交換器およびそれを備えた空気調和装置では、扁平管の管壁内に流体の伝熱流路が設けられ、隣り合う扁平管は、管壁同士を接続し且つ伝熱流路同士を連通させる連結部を有し、連結部は、管側壁部の貫通穴の周縁部から第1方向へ突出するものであって、貫通穴及び連結部は、扁平管の長手方向において両側の開口端よりも内側に形成されている。したがって、連結部の長さの変更により、連結部の外側の空気の流路の第1方向の幅を変更できるので、流体の伝熱流路の第1方向の幅を狭めることなく空気の流路の第1方向の幅を広げることができる。よって、ヘッダレスの熱交換器において空気の流路の設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の熱交換器を搭載した空気調和装置の冷媒回路図である。
【
図3】
図1の熱交換器の扁平管の構成を示す斜視図である。
【
図5】
図4の楕円で囲った部分のA-A断面を示す部分断面図である。
【
図6】実施の形態2に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【
図8】
図7の四角で囲った連結部の一構成例を示す図である。
【
図9】実施の形態3に係る熱交換器の構成を示す斜視図である。
【
図10】実施の形態4に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【
図12】
図10の熱交換器の平面Bにおける断面を上側から視た横断面図である。
【
図13】
図10の熱交換器の平面Cにおける断面を上側から視た横断面図である。
【
図14】実施の形態5に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【
図15】実施の形態6に係る熱交換器の扁平管の位置規制部の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態1に係る熱交換器について図面等を参照しながら説明する。なお、
図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは部品の配置及び向きを限定するものではない。明細書中において、各構成部材同士の位置関係、各構成部材の延伸方向、及び各構成部材の配列方向は、原則として、熱交換器が使用可能な状態に設置されたときのものである。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
図1に示されるように、熱交換器101は、第1方向D1に配列され互いに連結された複数の扁平管10を有する。扁平管10は、管軸Axが延びる方向(以下、管軸方向ともいう)に延伸し、管軸Axと垂直な断面において一方向に長い扁平形状を呈する。以下では、複数の扁平管10が配列する第1方向D1を積層方向といい、扁平管10の管軸方向を第2方向D2あるいは扁平管10の長手方向といい、扁平管10の断面の長手方向を第3方向D3あるいは扁平管10の短手方向という場合がある。また、以下では、
図1に示されるように、熱交換器101は、扁平管10の積層方向(第1方向D1)が左右方向となるように設置されているものと定義する。そして、各扁平管10は、その管軸Axが、積層方向(第1方向D1)と直交する上下方向となり、その短手方向(第3方向D3)が、管軸方向及び積層方向と直交する前後方向となるように配置されているものと定義する。
【0012】
なお、熱交換器101の配置、あるいは、熱交換器101における扁平管10の積層方向(第1方向D1)と各扁平管10の管軸方向(第2方向D2)との角度は、上記の場合に限定されない。例えば、各扁平管10の管軸方向が上下方向に対して傾斜した方向となるように、熱交換器101が傾いて配置されてもよい。あるいは、扁平管10の積層方向(第1方向D1)が左右方向となるように熱交換器101が設置された場合において各扁平管10の管軸方向が上下方向に対して傾斜した方向となるように、熱交換器101を構成してもよい。
【0013】
積層方向(第1方向D1)において隣り合う扁平管10の管壁11間には、空気の流路P2である隙間が形成されており、熱交換器101において各隙間には、扁平管10の短手方向(第3方向D3)に沿って空気が流通する。
【0014】
複数の扁平管10のうち積層方向の一端に配置された扁平管10には、熱交換器101における流体(例えば冷媒等)の出入口となる第1配管a及び第2配管bが設けられている。ここで、扁平管10内に流通する流体は、冷媒でもよいし、水又はブライン等でもよい。熱交換器101において第1配管aと第2配管bとの間には、流体の流路が設けられている。流体の流路は、複数の扁平管10内に設けられている。熱交換器101は、空気と流体との熱交換を行うものである。以下では、複数の扁平管10内を流通する流体が冷媒であるものと定義して説明する。
【0015】
隣り合う扁平管10は、互いの管壁11を連結するための連結部19を有する。各扁平管10は、管壁11と、管壁11から外側の第1方向D1に延びた、連結部19を構成する連結突起部19a、19b(後述の
図3参照)とを有する。扁平管10は、その長手方向(第2方向D2)にわたり、すなわち管壁11の上端から下端まで、冷媒が流通する内部空間が保たれた管構造を有する。扁平管10の詳しい構造については後述する。
【0016】
扁平管10の長手方向(第2方向D2)両側の端部は封止されている。具体的には、熱交換器101は、扁平管10の長手方向(第2方向D2)両側の各開口端1eを閉塞する管封止部20を備える。
図1の例では、管封止部20は、扁平管の上側及び下側の2箇所に、扁平管10毎に設けられる。管封止部20は、扁平管10の開口端1eにロウ付け又は接着剤等の接合手段により接合されている。
【0017】
図2は、
図1の熱交換器101を搭載した空気調和装置100の冷媒回路図である。
図2に示されるように、熱交換器101は、空気調和装置100において冷媒が循環する冷媒回路100cの一部を構成する。
【0018】
空気調和装置100は、圧縮機102、熱交換器101、膨張弁105、室内熱交換器104及び四方弁103を有している。
図2では、圧縮機102、熱交換器101、膨張弁105及び四方弁103が室外機ユニット100Aに設けられ、室内熱交換器104が室内機ユニット100Bに設けられている。熱交換器101の冷媒の出入口となる第1配管a及び第2配管b(
図1参照)は、冷媒回路100cの四方弁103及び膨張弁105に接続される。
【0019】
圧縮機102、熱交換器101、膨張弁105、室内熱交換器104及び四方弁103は、冷媒配管を介して互いに接続されることにより、冷媒が循環可能な冷媒回路100cを構成している。空気調和装置100では、圧縮機102が動作することにより、圧縮機102、熱交換器101、膨張弁105及び室内熱交換器104を冷媒が相変化しながら循環する冷凍サイクルが行われる。
【0020】
室外機ユニット100Aには、熱交換器101に室外の空気を強制的に通過させる室外ファン107が設けられている。熱交換器101は、室外ファン107の動作によって生じた室外の空気の気流と冷媒との間で熱交換を行う。室内機ユニット100Bには、室内熱交換器104に室内の空気を強制的に通過させる室内ファン106が設けられている。室内熱交換器104は、室内ファン106の動作によって生じた室内の空気の気流と冷媒との間で熱交換を行う。
【0021】
空気調和装置100の運転は、冷房運転と暖房運転との間で切り替えることができる。
図2では、冷房運転時の冷媒の流れの方向を破線矢印で示し、暖房運転時の冷媒の流れの方向を実線矢印で示している。四方弁103は、空気調和装置100の冷房運転及び暖房運転の切り替えに応じて冷媒流路を切り替える電磁弁である。四方弁103は、冷房運転時に、圧縮機102からの冷媒を熱交換器101へ導くとともに室内熱交換器104からの冷媒を圧縮機102へ導き、暖房運転時に、圧縮機102からの冷媒を室内熱交換器104へ導くとともに熱交換器101からの冷媒を圧縮機102へ導く。
【0022】
空気調和装置100の冷房運転時には、圧縮機102で圧縮された冷媒が熱交換器101へ送られる。熱交換器101では、冷媒が室外の空気へ熱を放出して凝縮される。この後、冷媒は、膨張弁105へ送られ、膨張弁105で減圧された後、室内熱交換器104へ送られる。この後、冷媒は、室内熱交換器104で室内の空気から熱を取り込んで蒸発した後、圧縮機102へ戻る。したがって、空気調和装置100の冷房運転時には、熱交換器101が凝縮器として機能し、室内熱交換器104が蒸発器として機能する。
【0023】
空気調和装置100の暖房運転時には、圧縮機102で圧縮された冷媒が室内熱交換器104へ送られる。室内熱交換器104では、冷媒が室内の空気へ熱を放出して凝縮される。この後、冷媒は、膨張弁105へ送られ、膨張弁105で減圧された後、熱交換器101へ送られる。この後、冷媒は、熱交換器101で室外の空気から熱を取り込んで蒸発した後、圧縮機102へ戻る。したがって、空気調和装置100の暖房運転時には、熱交換器101が蒸発器として機能し、室内熱交換器104が凝縮器として機能する。
【0024】
図3は、
図1の熱交換器101の扁平管10の構成を示す斜視図である。
図4は、
図1の熱交換器101の縦断面図である。
図5は、
図4の楕円で囲った部分のA-A断面を示す部分断面図である。以下、
図1~
図5を用いて、熱交換器101の冷媒の流路及び扁平管10の構造について詳しく説明する。
図1、
図4及び
図5では、熱交換器101が凝縮器として用いられる場合における、冷媒の流れの方向を実線の白抜き矢印で示している。また、
図5では、空気の流れの方向を破線の白抜き矢印で示している。
【0025】
図3~
図5に示されるように、管壁11は、第1方向D1で向かい合う略平板状の管側壁部10a及び10bと、管側壁部10a及び10bの第3方向D3両側の各端部において管側壁部10aと管側壁部10bとを接続する曲面状の接続壁部10c及び10dと、を有する。管側壁部10a及び管側壁部10bはそれぞれ、扁平管10の長手方向(第2方向D2)に長辺が延び、扁平管10の短手方向(第3方向D3)に短辺が延びた長方形状を有する。管側壁部10a及び10bはそれぞれ平板状であるが、本願でいう「平板状」は完全に平面で構成された面でなくてもよく、全体として平面的に広がって見える構造であれば良い。例えば、平面的に広がる領域の一部に窪み、突起、波形が形成されていてもよい。
図4では、管壁11の左側の壁部が管側壁部10aであり、管壁11の右側の壁部が管側壁部10bである。
図4に示されるように、左側の管側壁部10aには、第1方向D1に貫通する貫通穴h1aが形成され、右側の管側壁部10bには、第1方向D1に貫通する貫通穴h1bが形成されている。
【0026】
隣り合う扁平管10の連結部19は、第1方向D1に貫通する中空部Sgが形成された筒形状を有する。連結部19は、隣り合う扁平管10において対向する管側壁部10a及び10bのうち少なくとも一方の管側壁部10a又は10bにおける貫通穴h1a又はh1bの周縁部から、対向する管側壁部10b又は10aの側へ延びた
連結突起部19a又は19bで構成される。
図4では、連結部19は、隣り合う扁平管10において対向する管側壁部10a及び10bの双方の管側壁部に形成された円筒形状の
連結突起部19a及び19bで構成されている。このような貫通穴h1a、h1bと連結突起部19a、19bとは、たとえば扁平管10の平板部分に穴をあけ、その周縁の平板部分を筒状に立ち上げるように変形するバーリング加工によって形成することができる。
【0027】
図4に示されるように、連結部19は、管側壁部10a及び10bに設けられた貫通穴h1aと貫通穴h1bとを中空部Sgによって接続することで隣り合う管壁11の内部空間同士を連通させる。また、連結部19は、その内側の中空部Sgと、連結部19の外側の空間である空気の流路P2とを区画する機能を有する。
【0028】
図4に示されるように、貫通穴h1a、貫通穴h1b及び連結部19は、扁平管10の長手方向(第2方向D2)において両側の開口端1eよりも内側に形成される。具体的には、
図1のように配置された熱交換器101では、各扁平管10の貫通穴h1a、貫通穴h1b、
連結突起部19a及び連結突起部19bは、扁平管10の上側の開口端1eよりも下側且つ扁平管10の下側の開口端1eよりも上側に形成されている。
【0029】
このような扁平管10は、例えば、扁平管10の元になる部材に予め貫通穴h1a及びh1bと連結突起部19a及び19bとを形成しておき、その部材をロールフォーミングにより成形することで製造することができる。また、連結突起部19a及び19bは、扁平管10の元になる部材において貫通穴h1a及びh1bを形成する際に穴周縁部を起こすことで形成するようにしてもよい。扁平管10には、例えば、アルミニウム、銅又は真鍮等の高い熱伝導性を有する金属材料が用いられる。
【0030】
熱交換器101における冷媒の流路は、各扁平管10の管壁11内に設けられ、扁平管10の長手方向(第2方向D2)に延伸する伝熱流路P1aと、複数の扁平管10の積層方向(第1方向D1)に延伸し、複数の扁平管10の伝熱流路P1aを連通させるヘッダ流路P1bと、を有する。第1方向D1に延伸するヘッダ流路P1bの一端は、第1配管a(
図1参照)に接続されている。
【0031】
上述した貫通穴h1a、貫通穴h1b及び連結部19の中空部Sg等は、ヘッダ流路P1bを構成するものであり、中空部Sgには冷媒が流通する。熱交換器101において、連結部19は扁平管10の一部で構成され、そして、ヘッダ流路P1bのうち扁平管10の管壁11間に配置される部分は、連結部19の内側の中空部Sgである。したがって、熱交換器101では、熱交換部材である扁平管10にヘッダ流路P1bが形成されるので、複数の扁平管10の他にヘッダ管を備える必要が無く、ヘッダレスの構成となっている。
【0032】
図5の例では、各扁平管10の内部に、扁平管10の長手方向(第2方向D2、上下方向)に延伸し、扁平管10の管壁11の内部空間を扁平管10の短手方向(第3方向D3、前後方向)に分割する第1仕切り30が設けられている。そして、第1仕切り30の上端30eは、扁平管10の上側の開口端10eよりも下側に設けられている。これにより、管壁11の内部空間の上部には、冷媒が前後方向(第3方向D3)に流通できる折り返し流路P1atが形成されている。すなわち、
図5の例では、冷媒の伝熱流路P1aは、折り返し流路P1atを含む逆U字形状を有している。
【0033】
図1、
図3~
図5の例では、
図4に示されるように、熱交換器101の冷媒の流路は、複数の伝熱流路P1aと、熱交換器101の下部に前後に並列して設けられたヘッダ流路P1b及びヘッダ流路P1c(
図3参照)と、により構成されている。ヘッダ流路P1bは、熱交換器101の下部において前側に設けられた複数の連結部19の中空部Sg等で構成される。また、
図3に示されるように、ヘッダ流路P1cは、熱交換器101の下部において後側に設けられた複数の連結部18の中空部(不図示)等で構成されている。
図1及び
図4に示されるように、前側のヘッダ流路P1bの右端が第1配管aと接続されており、後側のヘッダ流路P1cの右端が第2配管bと接続されている。
【0034】
なお、
図1、
図3~
図5に示した熱交換器101は、本開示の熱交換器101の一例であり、伝熱流路P1aの形状、扁平管10における第1仕切り30の有無、数及び配置、並びに、熱交換器101における第1配管a及び第2配管bの配置等は、適宜変更できる。
【0035】
次に、
図1~
図2及び
図4~
図5を用いて、熱交換器101が凝縮器として用いられる場合における、熱交換器101の動作の一例について説明する。
図1に白抜き矢印で示されるように、高温高圧のガス状態の冷媒が、第1配管aから熱交換器101内に流入する。
図4に示されるように、熱交換器101において高温高圧のガス状態の冷媒は、まず、複数の扁平管10の下部前側を左右方向に貫通するヘッダ流路P1bに流入し、ヘッダ流路P1bを、右から左へ流れる。その過程で、高温高圧のガス状態の冷媒は、複数の扁平管10のそれぞれの管壁11内に設けられた伝熱流路P1aに分配され流入する。各伝熱流路P1aに流入した高温高圧のガス状態の冷媒は、管壁11の内部空間の前側を上方へ流れ、管壁11の内部空間の上部において折り返し流路P1at(
図5参照)を後方へ流れた後、管壁11の内部空間の後側を下方へ流れる。このとき、高温高圧のガス状態の冷媒は、扁平管10の管壁11同士の隙間(すなわち空気の流路P2)を流通する空気と、管壁11を介して熱交換することによって空気に放熱して凝縮し、高圧の気液二相状態の冷媒となる。複数の伝熱流路P1aからの高圧の気液二相状態の冷媒は、複数の扁平管10の下部後側を貫通するヘッダ流路P1c(
図3参照)に流入し、ヘッダ流路P1cにおいて合流する。
図1及び
図3に示されるように、ヘッダ流路P1cにおいて合流した高圧の気液二相状態の冷媒は、ヘッダ流路P1cに接続された第2配管bから熱交換器101の外部(例えば、
図2に示した冷媒回路100cの膨張弁105)へ流出する。
【0036】
図4に示されるように、隣り合う扁平管10の管壁11同士を連結する連結部19は、伝熱流路P1a同士を連通させるものであり、管壁11間の隙間において冷媒の流路(特に、ヘッダ流路P1b)と外側の空気の流路P2とを区画するものである。そして、連結部19は、扁平管10の一部である連結突起部19a、19bで構成されている。
【0037】
したがって、本開示の熱交換器101では、所望の管ピッチLpに応じて連結部19の長さを設定すればよく、冷媒の伝熱流路P1aの第1方向D1の幅を狭めることなく、管ピッチLp及び空気の流路P2の第1方向D1の幅を変更することができる。よって、従来のプレートを積層して成る熱交換器と比べ、空気の流路の設計の自由度が高い熱交換器101が提供できる。
【0038】
また、従来のように積層したプレート間に冷媒の伝熱流路と空気の流路とを設ける構成では、本開示の構成と比べて、熱交換部材同士(従来の構成ではプレート同士)の接合部分の面積が大きくなってしまい、通風抵抗の増大、結露水の排水性の悪化、あるいは霜による空気の流路P2の閉塞といった課題が生じる。また、通風抵抗の増大、結露水の排水性の悪化、あるいは霜による空気の流路P2の閉塞によって、熱交換性能が低下する。
【0039】
一方、本開示の熱交換器101では熱交換部材同士(すなわち扁平管10同士)の接合部分の面積を最小限にでき、また、空気の流路P2の第1方向D1の幅を広げる場合でも連結部19の長さを変更するだけでよいので部品の変更が少なくて済む。
【0040】
連結部19を構成する連結突起部19aと連結突起部19bとは、例えば嵌まり合う構成となっている。このような構成について、具体的な例を挙げて説明する。第1方向D1に隣り合う扁平管10のうち左側の扁平管10における右側の管側壁部10bには、右側へ突出した円筒状の連結突起部19bが形成され、右側の扁平管10における左側の管側壁部10aには、左側へ突出した円筒状の連結突起部19aが形成される。連結突起部19aの内径Diaは、連結突起部19bの外径Dobと略同じ大きさとされ、扁平管10を積層した際に、連結突起部19aに連結突起部19bの右側の先端部が嵌入されることで扁平管10同士が連結する。この場合において、嵌入の深さ、及び各連結突起部19a、19bの第1方向D1の長さは、管ピッチLを所望の長さとした場合において各連結突起部19a、19bの先端が、対向する扁平管10の伝熱流路P1a内にはみ出ないように、適宜決定するとよい。
【0041】
なお、連結突起部19aと連結突起部19bとが嵌まり合う構成でなくともよい。例えば、連結突起部19bの外径Dobを連結突起部19aの内径Diaよりも若干小さくし、管ピッチLpが所望の長さとなるように連結突起部19aに連結突起部19bの右側の先端部を挿入した後、ロウ付け又は接着剤等の接合手段により連結突起部19aと連結突起部19bとを接合する構成でもよい。
【0042】
なお、連結部19を構成する連結突起部19a及び連結突起部19bの形状は、上記の形状に限定されず、連結突起部19aと連結突起部19bとにより、冷媒のヘッダ流路P1bと空気の流路P2とを区画できればよい。また、連結突起部19aと連結突起部19bとは、第1方向D1において一部が重なるように形成されてもよいし(
図4参照)、あるいは、第1方向D1において重なることなく先端同士が接合されてもよい。連結突起部19aと連結突起部19bとが第1方向D1において一部重なる構成では、連結部19の第1方向D1の一部が二重壁構造となるので、先端同士が接合される構成と比べ、連結部19の強度を高めることができる。
【0043】
以上のように、本開示の実施の形態1に係る熱交換器101は、第1方向D1に配列され、それぞれが第1方向D1と交差する第2方向D2に延伸した複数の扁平管10を備えた熱交換器101である。扁平管10は、内部空間に流体が流通する伝熱流路P1aが設けられた管壁11を有する。管壁11は、第1方向D1で向かい合う平板状の管側壁部10a、10bを有し、管側壁部10a、10bには貫通穴h1a、h1bが形成されている。また、隣り合う扁平管10は、管壁11同士を接続し、且つ管壁11の内部の伝熱流路P1a同士を連通させる連結部19を有する。そして、連結部19は、隣り合う扁平管10の対向する管側壁部10a、10bの少なくとも一方に形成された、貫通穴h1a、h1bの周縁部から第1方向D1へ突出する連結突起部19a、19bにより構成されたものである。
【0044】
熱交換器101において、扁平管10の管壁11内に伝熱流路P1aが設けられ、隣り合う扁平管10は、管壁11同士を接続し且つ伝熱流路P1a同士を連通させる連結部19を有し、連結部19は、管側壁部10a、10bの貫通穴h1a、h1bの周縁部から第1方向D1へ突出する連結突起部19a、19bにより構成されたものである。従来の熱交換器では、プレートに直接凹凸加工して冷媒の伝熱流路と空気の流路とが形成され、且つプレート同士の接合部分に設けた貫通穴により伝熱流路同士が連通されるので、空気の流路の幅を広げようとすると冷媒の伝熱流路の幅が狭くなってしまう。一方、本開示の熱交換器101では、扁平管10内に流体の伝熱流路P1aが設けられ、伝熱流路P1a同士を連通させる連結部19は管側壁部10a、10bから第1方向D1へ突出する構成となっている。したがって、連結部19の長さの変更により空気の流路P2(すなわち管壁11間の隙間)の第1方向D1の幅を変更できるので、流体の伝熱流路P1aの第1方向D1の幅を狭めることなく空気の流路P2の第1方向D1の幅を広げることができる。よって、ヘッダレスの熱交換器101において空気の流路の設計の自由度を高めることができる。
【0045】
また、連結部19は、隣り合う扁平管10の対向する管側壁部10a、10bの双方に形成された連結突起部19a及び19bにより構成されたものである。これにより、連結部19が一方の連結突起部19a又は19bで構成される場合と比べて、管壁11内へ連結突起部19a又は19bが侵入し難い。
【0046】
また、隣り合う扁平管10の対向する管側壁部10a、10bの双方に形成された連結突起部19a及び19bは、第1方向D1において少なくとも一部が重なる。これにより、連結部19の一部を二重壁構造にでき、連結部19の強度を高めることができる。
【0047】
また、扁平管10は、管壁11の内部空間に配置され、第2方向D2に延伸し、内部空間を第1方向D1及び第2方向D2とそれぞれ直交する第3方向D3に分割する第1仕切り30を有する。そして、第1仕切り30の第2方向D2の少なくとも一端(例えば、上端30e)は、扁平管10の第2方向D2の両側の端(両側の開口端10e)よりも内側に位置する。
【0048】
これにより、流体の流路の自由な変更ができるので、例えば、流体の出入口の位置に合わせて伝熱流路Pa1を上下に折り返す形状とする場合に、扁平管10を2列配置して列渡しヘッダを設ける、といったことが不要になる。
【0049】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る熱交換器101bの概略構成を示す斜視図である。
図7は、
図6の熱交換器101bの縦断面図である。
図8は、
図7の四角で囲った連結部19の一構成例を示す図である。
図6及び
図8では、熱交換器101bが凝縮器として用いられる場合における、冷媒の流れの方向を実線の白抜き矢印で示している。
図6~
図8に基づき、実施の形態2に係る熱交換器101bについて説明する。実施の形態2の熱交換器101bは、実施の形態1の熱交換器101における管封止部20の構成を変更したものである。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
実施の形態1の熱交換器101では、管封止部20が、扁平管10の上側及び下側の2箇所に、扁平管10毎に設けられていたが、実施の形態2の熱交換器101bでは、複数の扁平管10の上側及び下側の2箇所に、複数の扁平管10に対して共通の管封止部120が設けられる。
【0051】
図6に示されるように、管封止部120は、複数の扁平管10の開口端1eを覆う略矩形の板状部材で構成される。複数の扁平管10の開口端1eは一定のピッチで管封止部120に固定されている。詳しくは、
図7に示されるように、管封止部120は、複数の溝部120rと、溝部120r間の平面部120pと、を有する。管封止部120において、溝部120rは、扁平管10の積層方向(第1方向D1)に一定のピッチLrで形成され、扁平管10の開口端1eに沿うように扁平管10の短手方向(第3方向D3)に延伸している。管封止部120における溝部120rのピッチLrと、扁平管10の管ピッチLpは同じである。管封止部120の各溝部120rには、扁平管10の開口端10eを含む端部が配置される。溝部120rの第1方向D1の幅は、扁平管10の第1方向D1の厚みと略同じ大きさであり、同じ又は若干広くなっている。
【0052】
下側の管封止部120において、扁平管10の下側の開口端10eを閉塞する部分(すなわち溝部120r)以外の平面部120pには、扁平管10等で生じた、結露水又は霜の融解水といった水を排水するための排水穴120hが形成されている。
【0053】
熱交換器101bの製造時において扁平管10が積層される際、隣り合う扁平管10の対向する連結突起部19a及び19b同士を係り合わせた状態で、各扁平管10の長手方向の端部が管封止部120の各溝部120rに挿入される。これにより、複数の扁平管10が、第1方向D1に一定の管ピッチLpで配置される。その後、管封止部120の各溝部120rと各扁平管10の長手方向の端部とが、また、隣り合う扁平管10の連結突起部19aと連結突起部19bとが、ロウ付け又は接着剤等の接合手段により接合される。そして、接合手段によって複数の扁平管10の開口端1eが管封止部20に固定されることにより、扁平管10の長手方向の端の開口端1eの閉塞の強度を高めることができる。
【0054】
図7に示すように管封止部120によって積層方向(第1方向D1)における複数の扁平管10の位置が決まる構成では、扁平管10の積層時に、隣り合う扁平管10の管壁11同士の距離の調整が容易にできるように、連結突起部19aに連結突起部19bを嵌入させる構成よりも、軽く係り合う構成とすることが好ましい。
【0055】
このような構成の一例について、
図8を用いて説明する。
図8では、隣り合う扁平管10において連結部19を構成する連結突起部19b及び19aは、それぞれ、基端よりも先端において開口径が大きくなるように湾曲した筒形状とされている。連結突起部19bは、管側壁部10bの貫通穴h1bの周縁部に形成され、連結突起部19aは、管側壁部10aの貫通穴h1aの周縁部に形成されている。貫通穴h1bは、貫通穴h1aよりも小さい。扁平管10の積層時において、連結突起部19a内に連結突起部19bが挿入されると、連結突起部19bの先端が連結突起部19aの内面に引っ掛かる構成となっている。
【0056】
これにより、連結部19を構成する連結突起部19bと連結突起部19bとが嵌まり合う構成と比べ、軽く係り合う構成では、連結突起部19bと連結突起部19bとの接触面積を小さくして摩擦力を小さくすることができる。よって、複数の扁平管10を管封止部120に設置する際、隣り合う扁平管10の管壁11同士の距離の調整が容易となる。
【0057】
図8の連結突起部19a及び19bも、
図4に示した連結突起部19a及び19bと同様、例えば、扁平管10の元になる部材において貫通穴h1a及びh1bを形成する際に穴周縁部を起こすことで形成することができる。
【0058】
以上のように、実施の形態2の熱交換器101bは、実施の形態1の熱交換器101の構成に加え、複数の扁平管10の第2方向D2の少なくとも一端(開口端10e)に配置され、複数の扁平管10の伝熱流路Pa1の一端を覆う板状の管封止部120を備える。そして、扁平管10の一端(開口端1e)が、一定のピッチLrで管封止部120に形成された溝部120rに固定されている。なお、上記では扁平管10の端部が溝部120rに挿入されるので、強度の点で優れる。なお、扁平管10の端部と結合する管封止部120側の凹凸構造として溝部120rのかわりに凸部(図示しない)が形成されてもよい。一定のピッチLrで凸部が形成されている管封止部120を用いて、各凸部が扁平管10の端部の内部に挿入されるようにしてもよい。
【0059】
これにより、熱交換面積を確保しつつ、管封止部120により扁平管10を一定の管ピッチLpで配置できる。
【0060】
実施の形態3.
図9は、実施の形態3に係る熱交換器101cの構成を示す斜視図である。
図9では、熱交換器101cが凝縮器として用いられる場合における、冷媒の流れの方向を実線の白抜き矢印又は破線の白抜き矢印で示している。
図9に基づき、実施の形態3に係る熱交換器101cについて説明する。実施の形態3の熱交換器101cは、実施の形態2の熱交換器101bに、伝熱フィン50を追加したものである。なお、実施の形態2と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0061】
実施の形態3の熱交換器101cは、伝熱フィン50として、例えば、複数の扁平管10の各隙間すなわち空気の流路P2に、隣り合う扁平管10の対向する管側壁部10a、10b同士を接続するコルゲートフィンを備える。この場合において、隣り合う扁平管10の対向する各管側壁部10a、10bと伝熱フィン50とは、互いにろう付け接合される。これにより、冷媒と空気との熱交換が促進され、熱交換器101cの熱交換性能が向上する。
【0062】
また、実施の形態3の熱交換器101cは、実施の形態1の熱交換器101と同様、空気の流路P2の設計の自由度が高いので、伝熱フィン50の追加が容易である。ここで、管封止部120の溝部120rのピッチLrは、所望の管ピッチLpに応じて設定すればよい。
【0063】
以上のように、実施の形態3の熱交換器101cは、伝熱フィン50を追加することで伝熱面積が増加し、熱交換性能の図ることができる。
【0064】
実施の形態4.
図10は、実施の形態4に係る熱交換器101dの概略構成を示す斜視図である。
図11は、
図10の熱交換器101dの縦断面図である。
図12は、
図10の熱交換器101dの平面Bにおける断面を上側から視た横断面図である。
図13は、
図10の熱交換器101dの平面Cにおける断面を上側から視た横断面図である。
図10~
図12では、熱交換器101dが凝縮器として用いられる場合における、冷媒の流れの方向を実線の白抜き矢印で示している。また、
図12~
図13では、空気の流れの方向を破線の白抜き矢印で示している。
図10~
図13に基づき、実施の形態4に係る熱交換器101dについて説明する。実施の形態4の熱交換器101dは、実施の形態2の熱交換器101bにおいて第1配管a及び第2配管bの位置を変更したものであり、その変更に伴い冷媒の流路も変更される。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図10に示されるように、実施の形態4の熱交換器101dでは、複数の扁平管110のうち積層方向の一端に配置された扁平管110に第2配管bが設けられ、積層方向の他端に配置された扁平管110に第1配管aが設けられている。具体的には、第1配管aは、最も左側の扁平管110の下部且つ前後方向の中央に設けられ、第2配管bは、最も右側の扁平管110の下部且つ前後方向の中央に設けられている。
【0066】
熱交換器101dにおいて、扁平管110の管壁111内に第1仕切り30(実施の形態2の
図6参照)は設けられていない。一方、熱交換器101dは、
図11に示されるように、扁平管110の積層方向(第1方向D1)においてヘッダ流路P1bを分割する第2仕切り40を備える。第2仕切り40は、隣り合う伝熱流路P1a間において冷媒の第1方向D1の進行を遮断するものである。具体的には、連結部119、管側壁部110aの貫通穴h1a、あるいは管側壁部110bの貫通穴h1b等に設けられる。
【0067】
図11の例では、第1配管aと接続されたヘッダ流路P1bに1つの第2仕切り40が設けられ、ヘッダ流路P1bは、第1配管aと接続された左側のヘッダ流路部P1b1と、右側のヘッダ流路部P1b2とに分割されている。第2仕切り40は、左側の扁平管110の連結突起部119bと右側の扁平管110の連結突起部119aとの間に、外部から見えるように設けられている。すなわち、第2仕切り40を設ける位置では、連結突起部119a及び連結突起部119bの各先端が第2仕切り40に接合されている。
【0068】
図10及び
図11に示されるように、熱交換器101dの冷媒の流路は、複数の伝熱流路P1aと、熱交換器101dの前後方向の中央において下部と上部とに並列して設けられたヘッダ流路P1b及びヘッダ流路P1dと、により構成されている。ヘッダ流路P1bは、熱交換器101dの下部に設けられた複数の連結部119の中空部Sg等で構成され、ヘッダ流路P1dは、熱交換器101dの上部に設けられた複数の連結部117の中空部(不図示)等で構成されている。下側のヘッダ流路P1bの左端が第1配管aと接続されており、下側のヘッダ流路P1bの右端が第2配管bと接続されている。
【0069】
上側の連結部117も、下側の連結部119同様、隣り合う扁平管110において対向する管側壁部110a及び110bのうち少なくとも一方の管側壁部110a又は110bにおける貫通穴h2a又はh2bの周縁部から、対向する管側壁部110b又は110aの側へ延びた連結突起部117a又は117bで構成される。
【0070】
熱交換器101dにおいて、扁平管110の管壁111内には第1仕切り30(実施の形態2の
図6参照)が設けられていないので、管壁111の内部空間は1つのI字状の伝熱流路P1aとなっている。
【0071】
なお、第2仕切り40は、下側のヘッダ流路P1b内において、複数の扁平管110のうち少なくとも1組の隣り合う扁平管110の管壁111間に設けられる。すなわち、下側のヘッダ流路P1bには、複数の第2仕切り40が設けられてもよい。この場合、上側のヘッダ流路P1dにも1つ以上の第2仕切り40を設けることで、蛇行状の冷媒の流路を形成することができる。
【0072】
次に、
図2、
図10~
図13を用いて、熱交換器101dが凝縮器として用いられる場合における、熱交換器101dの動作の一例について説明する。
図10に示されるように、高温高圧のガス状態の冷媒が、第1配管aから熱交換器101d内に流入する。
図11に示されるように、熱交換器101dにおいて高温高圧のガス状態の冷媒は、まず、複数の扁平管110の下部を貫通するヘッダ流路P1bにおける左側のヘッダ流路部P1b1に流入し、このヘッダ流路部P1b1を、左から右へ流れる。その過程で、高温高圧のガス状態の冷媒は、複数の扁平管110のうち左側のいくつかの扁平管110のそれぞれの管壁111内に設けられた伝熱流路P1aに分配され流入する。左側のいくつかの扁平管110の各伝熱流路P1aに流入した高温高圧のガス状態の冷媒は、管壁111の内部空間を上方へ流れ、その後、複数の扁平管110の上部を貫通するヘッダ流路P1d(
図12参照)で合流した後、ヘッダ流路P1dを右側へ流れる過程で、複数の扁平管110のうち右側のいくつかの扁平管110の各伝熱流路P1aに分配され流入し、下方へ流れる。
図13に示されるように、左側のいくつかの扁平管110の各伝熱流路P1aを上方へ流れるとき、及び、右側のいくつかの扁平管110の各伝熱流路P1aを下方へ流れるとき、高温高圧のガス状態の冷媒は、扁平管110の管壁111同士の隙間(すなわち空気の流路P2)を流通する空気と、管壁111を介して熱交換することによって空気に放熱して凝縮し、高圧の気液二相状態の冷媒となる。
図11に示されるように、その後、右側のいくつかの扁平管110の各伝熱流路P1aからの高圧の気液二相状態の冷媒は、ヘッダ流路P1bにおける右側のヘッダ流路部P1b2に流入し、このヘッダ流路部P1b2において合流し、第2配管bから熱交換器101dの外部(例えば、
図2に示した冷媒回路100cの膨張弁105)へ流出する。
【0073】
以上のように、実施の形態4に係る熱交換器101dは、複数の扁平管110のうち少なくとも1組の隣り合う扁平管110の管壁111間に設けられ、連結部119を介した伝熱流路間の前記流体の流れを遮断する第2仕切り40を備える。
【0074】
これにより、簡易的な方法でヘッダ流路P1bを仕切ることができ、また、第2仕切り40を連結部119に設けることで、第2仕切り40の密閉性等を外部から確認できる構成とすることができる。
【0075】
実施の形態5.
図14は、実施の形態5に係る熱交換器101eの概略構成を示す斜視図である。
図14では、熱交換器101eが凝縮器として用いられる場合における、冷媒の流れの方向を実線の白抜き矢印又は破線の白抜き矢印で示している。
図14に基づき、実施の形態5に係る熱交換器101eについて説明する。実施の形態5は、第2仕切り40を設けた実施の形態4の熱交換器101dにおいて、実施の形態1の第1仕切り30を追加した実施の形態である。なお、実施の形態4と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0076】
図14に示されるように、実施の形態5の熱交換器101eでは、複数の扁平管210のうち積層方向の一端に配置された扁平管210に第2配管bが設けられ、積層方向の他端に配置された扁平管210に第1配管aが設けられている。詳しくは、第1配管aは、最も左側の扁平管210の下部且つ前側に設けられ、第2配管bは、最も右側の扁平管210の下部且つ前側に設けられている。
【0077】
図14の例では、熱交換器101eの冷媒の流路は、複数の伝熱流路P1aと、熱交換器101eの下部に前後に並列して設けられたヘッダ流路P1b及びヘッダ流路P1cと、により構成されている。ヘッダ流路P1bは、熱交換器101eの下部において前側に設けられた複数の連結部219の中空部Sg(
図4参照)等で構成される。また、ヘッダ流路P1cは、熱交換器101eの下部において後側に設けられた複数の連結部18(
図3参照)の中空部(不図示)等で構成されている。前側のヘッダ流路P1bの左端が第1配管aと接続され、右端が第2配管bと接続されている。
【0078】
熱交換器101eにおいて、各扁平管210の管壁211内には、実施の形態1の場合と同様、第1仕切り30が設けられ、管壁211の内部空間の上部には冷媒が前後方向に流通する折り返し流路P1atが形成されている。すなわち、冷媒の伝熱流路P1aは、折り返し流路P1atを含む逆U字形状を有している。
【0079】
また、前側のヘッダ流路P1bは、第2仕切り40によって、第1配管aに接続された左側のヘッダ流路部P1b1と、第2配管bに接続された右側のヘッダ流路部P1b2とに分割されている。
【0080】
次に、
図14用いて、熱交換器101eが凝縮器として用いられる場合における、熱交換器101eの動作の一例について説明する。高温高圧のガス状態の冷媒が、第1配管aから熱交換器101e内に流入する。熱交換器101eにおいて高温高圧のガス状態の冷媒は、まず、前側のヘッダ流路P1bにおける左側のヘッダ流路部P1b1に流入し、このヘッダ流路部P1b1を左から右へ流れる過程で、複数の扁平管210のうち左側のいくつかの扁平管210の各伝熱流路P1aに分配され流入する。左側のいくつかの扁平管210の各伝熱流路P1aに流入した高温高圧のガス状態の冷媒は、管壁211の内部空間を上方、後方、下方の順に流れ、その後、後側のヘッダ流路P1dで合流した後、このヘッダ流路P1dを右側へ流れる過程で、複数の扁平管210のうち右側のいくつかの扁平管210の各伝熱流路P1aに分配され流入し、上方、前方、下方の順に流れる。左側のいくつかの扁平管210の各伝熱流路P1aを流れるとき、及び、右側のいくつかの扁平管210の各伝熱流路P1aを流れるとき、高温高圧のガス状態の冷媒は、扁平管210の管壁211同士の隙間(すなわち空気の流路P2)を流通する空気と、管壁211を介して熱交換することによって空気に放熱して凝縮し、高圧の気液二相状態の冷媒となる。その後、右側のいくつかの扁平管210の各伝熱流路P1aからの高圧の気液二相状態の冷媒は、前側のヘッダ流路P1bにおける右側のヘッダ流路部P1b2に流入し、このヘッダ流路部P1b2において合流し、第2配管bから熱交換器101eの外部(例えば、
図2に示した冷媒回路100cの膨張弁105)へ流出する。
【0081】
実施の形態6.
図15は、実施の形態6に係る熱交換器101fの扁平管310の位置規制部315の構成を示す縦断面図である。
図15に基づき、実施の形態6に係る熱交換器101fについて説明する。熱交換器101fは、実施の形態1に係る熱交換器101の扁平管10の形状を変更したものである。実施の形態6の熱交換器101fは、隣り合う扁平管310の管壁311間の距離を規制する位置規制部315を有する点で、実施の形態1の場合と異なる。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0082】
隣り合う扁平管310は、互いの管壁311間の距離を一定にするための位置規制部315を有する。各扁平管310は、実施の形態1の場合と同様、管壁311と、管壁311から外側の第1方向D1に延びた、連結部319を構成する連結突起部319a、319bと、を有する。また、実施の形態6では、各扁平管310は、位置規制部315を構成するものとして、管壁311から外側の第1方向D1に延びた位置規制突起部315a、315bを有する。
【0083】
具体的には、管壁311において第1方向D1で向かい合う略平板状の管側壁部310a及び310bのうち、管側壁部310aに位置規制突起部315aが設けられ、管側壁部310bに位置規制突起部315bが設けられる。そして、隣り合う扁平管310のそれぞれに設けた位置規制突起部315a、315b同士が接触することで、互いの管壁311間の距離が規制される。すなわち、位置規制部315は、扁平管310の管壁311に設けられたスペーサーである。
【0084】
各位置規制突起部315a、315bは、熱交換器101fを正面から見た場合に、例えば、四角形の枠形状を有する。なお、各位置規制突起部315a、315bの形状は、上記の形状に限定されず、例えば、台形又は三角形の枠形状でもよい。位置規制突起部315a及び315bを設けることにより、熱交換器101fにおける伝熱面積が拡大し、熱交換性能が向上する。ここで、各位置規制突起部315a、315bを枠形状としたのは、通風抵抗を小さくするためである。
【0085】
図15の例では、位置規制部315は、隣り合う扁平管310のそれぞれに設けた位置規制突起部315a、315bにより構成されるが、特にこの構成に限定されない。位置規制部315は、隣り合う扁平管310において対向する管側壁部310a及び310bのうち一方(管側壁部310a又は310b)に設けられた1つ位置規制突起部で構成されたものでもよい。この場合、扁平管310に設けられた位置規制突起部は、隣の扁平管310の管壁311と接触する。
【0086】
図15に示されるように、位置規制突起部315a、315bは、扁平管310と一体的に設けることができる。具体的には、扁平管310を構成している部材の一部で形成される。例えば、扁平管310が板状の部材から作られる場合、貫通穴h1a等を形成するのと同時に管壁311になる部分に加えて余白部を含む部材で扁平管310を成形し、余白部の一部に切り込みを入れ、折り曲げる等して位置規制突起部315a、315bを形成すればよい。
【0087】
なお、位置規制突起部315a、315bは、扁平管310とは別の部材で形成されたものでもよい。
【0088】
以上のように、実施の形態6の熱交換器101fにおいて、隣り合う扁平管310の対向する管側壁部310a、310bの少なくとも一方には、管壁311同士の距離を規制する位置規制突起部315a、315bが設けられている。これにより、伝熱面積の拡大を図るとともに、隣り合う扁平管310の管壁311同士の距離を規定できる。
【0089】
実施の形態について説明したが、本開示は上述した実施の形態のみに限定されるものではない。例えば、各実施の形態を組み合わせて構成されていてもよい。実施の形態3では、伝熱フィン50を、実施の形態2の熱交換器101bに適用した場合について説明したが、実施の形態3の伝熱フィン50は、実施の形態1、4、5又は6の熱交換器101に適用してもよい。なお、実施の形態6の熱交換器101fに伝熱フィン50を設ける場合、空気の流路P2において連結部319及び位置規制部315が設けられる以外の部分に、伝熱フィン50が配置される。
【符号の説明】
【0090】
1e 開口端、10 扁平管、10a 管側壁部、10b 管側壁部、10c 接続壁部、10d 接続壁部、10e 開口端、11 管壁、18 連結部、19 連結部、19a 連結突起部、19b 連結突起部、20 管封止部、30 第1仕切り、30e 上端、40 第2仕切り、50 伝熱フィン、100 空気調和装置、100A 室外機ユニット、100B 室内機ユニット、100c 冷媒回路、101 熱交換器、101b 熱交換器、101c 熱交換器、101d 熱交換器、101e 熱交換器、101f 熱交換器、102 圧縮機、103 四方弁、104 室内熱交換器、105 膨張弁、106 室内ファン、107 室外ファン、110 扁平管、110a 管側壁部、110b 管側壁部、111 管壁、117 連結部、117a 連結突起部、117b 連結突起部、119 連結部、119a 連結突起部、119b 連結突起部、120 管封止部、120h 排水穴、120p 平面部、120r 溝部、210 扁平管、211 管壁、219 連結部、310 扁平管、310a 管側壁部、310b 管側壁部、311 管壁、315 位置規制部、315a 位置規制突起部、315b 位置規制突起部、319 連結部、319a 連結突起部、319b 連結突起部、Ax 管軸、B 平面、C 平面、D1 第1方向、D2 第2方向、D3 第3方向、Dia 内径、Dob 外径、L 管ピッチ、Lp 管ピッチ、Lr ピッチ、P1a 伝熱流路、P1at 折り返し流路、P1b ヘッダ流路、P1b1 ヘッダ流路部、P1b2 ヘッダ流路部、P1c ヘッダ流路、P1d ヘッダ流路、P2 流路、Pa1 伝熱流路、Sg 中空部、a 第1配管、b 第2配管、h1a 貫通穴、h1b 貫通穴、h2a 貫通穴。