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特開2024-132909相補的なアレイ構成を使用した狭幅MIMO横並びアレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132909
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】相補的なアレイ構成を使用した狭幅MIMO横並びアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024024607
(22)【出願日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】18/121,588
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523412463
【氏名又は名称】コミュニケーション コンポーネンツ アンテナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナスリン ホジャット
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA03
5J021AA04
5J021AA06
5J021AB03
5J021AB06
5J021GA04
5J021GA05
5J021HA05
5J021JA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水平行および垂直列内に配設される素子の少なくとも1つの第1のアレイと、水平行及び垂直列内に配設される素子の少なくとも1つの第2のアレイを伴うセルラ用アンテナを提供する。
【解決手段】セルラ用アンテナにおいて、第1のアレイ及び第2のアレイは、アンテナ上において少なくとも部分的に横並びで配設される。第1のアレイの素子は、第1のアレイの素子専用の少なくとも1つの垂直素子列内に配設される。第2のアレイの素子は、第2のアレイの素子専用の少なくとも1つの垂直素子列内に配設される。第1のアレイの素子専用の少なくとも1つの垂直素子列と、第2のアレイの素子専用の少なくとも1つの垂直素子列の間に、別の少なくとも1つの中央垂直素子列を含む。中央垂直素子列は、第1のアレイ内のいくつかの素子および第2のアレイ内のいくつかの素子を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラ用アンテナであって、
水平行および垂直列内に配設される素子の少なくとも1つの第1のアレイと、
水平行および垂直列内に配設される素子の少なくとも1つの第2のアレイと、
を包含し、
前記第1のアレイおよび前記第2のアレイは、前記アンテナ上において少なくとも部分的に横並びで配設され、
前記第1のアレイの前記素子は、前記第1のアレイの素子専用の少なくとも1つの垂直素子列内に配設され、
前記第2のアレイの前記素子は、前記第2のアレイの素子専用の少なくとも1つの垂直素子列内に配設され、
前記アンテナは、前記第1のアレイの素子専用の前記少なくとも1つの垂直素子列と、前記第2のアレイの素子専用の前記少なくとも1つの垂直素子列の間に、別の少なくとも1つの中央垂直素子列を含み、前記中央垂直素子列は、前記第1のアレイ内のいくつかの素子および前記第2のアレイ内のいくつかの素子を含む、
セルラ用アンテナ。
【請求項2】
前記アンテナは、垂直素子列を3つ有し、前記第1のアレイは左側アレイであり、前記第1のアレイの素子専用の前記少なくとも1つの垂直素子列は、左垂直列であり、前記第2のアレイは右側アレイであり、前記第2のアレイの素子専用の前記少なくとも1つの垂直素子列は、右垂直列であり、前記中央垂直素子列は、これらの間である、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記アンテナは、前記左垂直列、前記中央垂直列、および前記右垂直列にわたって、水平素子行を少なくとも2つ有し、前記アンテナの垂直の長さにわたり下方に向かって交番する素子行のそれぞれにおいて、前記中央垂直列内の素子は、前記左アレイに属し、垂直方向に次に続く行内の素子は、前記右アレイに属する、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
任意の水平素子行内において、前記左アレイまたは前記右アレイのいずれかが2つの素子を有するときは、前記素子の間において電力が均等に分割される、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
任意の水平素子行内において、前記左アレイまたは前記右アレイのいずれかが2つの素子を有するときは、前記素子の間において電力が不均等に分割される、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項6】
任意の水平素子行内において、前記左アレイまたは前記右アレイのいずれかが2つの素子を有するときは、前記アンテナからの方位角のビーム幅を広幅化するために、前記左アレイの前記左垂直列または前記右アレイの前記右垂直列のいずれかの素子に対してより多くの電力が提供されるように、前記素子の間において電力が不均等に分割される、請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
任意の水平素子行内において、前記左アレイまたは前記右アレイのいずれかが2つの素子を有するときは、前記アンテナからの方位角のビーム幅を狭幅化するために、前記中央垂直列内の前記左アレイまたは前記右アレイの素子に対してより多くの電力が提供されるように、前記素子の間において電力が不均等に分割される、請求項5に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記左素子列と前記中央垂直素子列の間の水平距離は、奇数の水平素子行が存在するときであって、前記左アレイが前記右アレイより多くの素子を有するとき、前記中央素子列と前記右垂直素子列の間の水平距離より小さい、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記右素子列と前記中央垂直素子列の間の水平距離は、奇数の水平素子行が存在するときであって、前記右アレイが前記左アレイより多くの素子を有するとき、前記中央素子列と前記左垂直素子列の間の水平距離より小さい、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記左側アレイおよび前記右側アレイは、全体で4×4 MIMOアンテナを形成する、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記4×4 MIMOアンテナは、約45度の方位角の帯域幅を有する、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記左側垂直素子列と前記中央垂直素子列の間の水平距離および前記中央垂直素子列と前記右垂直素子列の間の水平距離は、約215mmである、請求項11に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記4×4 MIMOアンテナは、約65度の方位角の帯域幅を有する、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記左側垂直素子列と前記中央垂直素子列の間の水平距離および前記中央垂直素子列と前記右垂直素子列の間の水平距離は、約165mmである、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項15】
隣接する素子の間の交差偏波および共偏波結合を防止するように、前記中央垂直素子列内の素子は、各水平行内において前記左および右の垂直素子列内の素子に対して垂直方向に約50mmオフセットされている、、請求項13に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件出願は、2020年9月3日に提出された米国特許仮出願第63/074,332号の優先権を主張して2021年4月21日に提出された17/236,964からの一部継続出願であり、それらの文献は、その全体が参照によりこれに援用される。
【0002】
本発明は、アンテナに関する。より詳細には、本発明は、セルラ用アンテナのためのアンテナ素子およびアレイ構成に関する。
【背景技術】
【0003】
図1に、セルラ用アンテナの分野における先行技術の、1つの(4×4)低帯域MIMO(マルチ入力マルチ出力)構成および2つ(4×4)または1つ(8×8)の中帯域構成MIMOをバイセクタ・ビーム毎に伴う、横並び20ポート・ハイブリッドBSA(バイセクタ・アレイ)を図解する。
【0004】
図1は、ポート1および2が組み合わせによるビームフォーマ回路網を通じて低帯域アンテナ素子A(10個のダイポール)に給電し、ポート3および4が多様なビームフォーマ回路を通じて低帯域アンテナ素子B(10個のダイポール)に給電する先行技術の例示的な構成を図解している。これらの素子AおよびBは、例示的な(4×4)低帯域構成を表す。
【0005】
中帯域素子に目を転ずると、ポート5および6をはじめ、ポート13および14は、中帯域アンテナ素子C(40個のパッチ)に給電し;ポート7および8をはじめ、ポート15および16は、中帯域素子D(40個のパッチ)に給電し;ポート9および10をはじめ、ポート17および18は、中帯域素子E(40個のパッチ)に給電し;ポート11および12をはじめ、ポート19および20は、中帯域素子F(40個のパッチ)に給電する。これらの素子C-Fは、2つの(8×8)中帯域MIMO構成を表す。
【0006】
このため、図1に図解されている構成は、素子C-Fによって示されるとおり、4つの中帯域構成、すなわちそれぞれが40個のパッチ素子の4つのバイセクタの独立アンテナアレイであり、全体で8列の中帯域素子の垂直列を有する。同一アンテナ上にある低帯域構成は、低帯域ダイポールAおよびBの2つの千鳥状列になっている。この構成は、たとえば、参照によって援用される特許文献1に基づいており、低帯域素子AおよびBは、ダイポールアンテナであり、中帯域素子C-Fは、パッチ・アンテナである。この種のアンテナが組み込まれたパネルの全体の幅は、アンテナの中帯域素子の8列構成に起因して600mmを超える。
【0007】
しかしながら、4G/5G通信のための新しい傾向を考えると、より小さい、特により狭い幅を伴うアンテナ寸法を利用し、互いに隣接させてタワー内に多くの基地局アンテナを配置する必要性がこれまで以上に増加する。アンテナの幅を減少させるための1つの選択肢は、1列を取り除き、4列に代えて3列の中帯域アレイだけを採用することであるが、このアプローチは、方位角のサイドローブについてのアンテナの性能および利得特性を相当に減ずる。
【0008】
別のバージョンの類似する先行技術構成は、図2に示されているとおり、3列と4列の低帯域ダイポール素子の混合を使用する(参照によってこれに援用される特許文献1から採用したものであり、段落[0052-0053]の関連セクションに説明されている)。しかしながら、これの幅にわたって8列の物理的な列を中帯域パッチ素子が占有したままであり、したがって、図1の先行技術の構成と同様にアンテナの幅が600mmを超える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許公開第2018/0301801A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本構成は、アンテナの幅を、方位角のサイドローブおよび利得性能を損なうことなく、その幅を600mmより有意に小さくすることによって減少させることに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの実施態様において、本構成は、前記性能を顕著に損なうことなく、アンテナの幅を狭くするために、絡み合ったアレイを伴う新しい構成を提供する。この構成において、中帯域アレイの交番する行(または、行のペア)が異なる列数を有する。左および右のアレイのための列の数は、アレイの幅が全体で8列に代わり垂直7列となるように相補的なフォーマットで割り当てられる。
【0012】
以下は、織り合わせアレイ構成の簡単な概要である。さらなる詳細および説明は、アレイの番号も含めて、この後に続くこの出願の図面および詳細な説明のセクションの中に見つけることが可能である。
【0013】
1つの実施態様において、1つの(4×4)低帯域MIMOおよび1つ(8×8)または2つ(4×4)の中帯域MIMOをバイセクタ・ビーム毎に伴う20ポート・ハイブリッドBSA(バイセクタ・アレイ)のためのアンテナ構成が提供される。前記中帯域は、1695-2690MHzにおいて方位角ビーム幅が33度であり、前記低帯域は、698-960MHzにおいて方位角ビーム幅が65度である。前記中帯域アレイは、少なくとも2つの横並びアレイで配設され、それにおいて前記2つのアレイは、アンテナの上部および下部の両方において、列の数に関して相補的なフォーマットにより互いに絡み合わされる。これは、横並びの構成における垂直列の数を1列分減ずることになり、したがって、先行技術と比較したときのアンテナの幅を減ずる。たとえば、このアンテナの幅は、図1および2の先行技術にあるような600mmを超える幅に代えて、約500mmの幅とすることができる。
【0014】
この配置において、アンテナ構成は、2段の中帯域素子の横並びバイセクタ・アレイおよび2列の低帯域素子であり、20ポート・アンテナ・アレイを形成する。アンテナ構成は、上左側のアレイのための3、3、4、4、3、3・・・、上右側のアレイのための4、4、3、3、4、4・・・とするパッチの構成を伴う2つの横並びバイセクタ・アレイである。これについては、たとえば図3Aを用いてより詳細な説明を後述するが、簡潔に述べれば、これは、前記アンテナの上左から開始するアレイについて、素子のうちの水平の行1および2が3つのパッチ素子(垂直列1から3までの最上端部分)を有し、上右のアレイが、水平行1および2に4つのパッチ素子(垂直列4から7までの最上端部分)を有することを意味する。水平行3および4については、このパターンが逆になり、上左のアレイが4つのパッチ素子を有し、上右のアレイが3つのパッチ素子を有し、このパターンが下方にアンテナの垂直の長さにわたって繰り返される。
【0015】
このパターンを使用する本発明の例示的な実施態様は、アンテナの上左のアレイを3、3、4、4、3、3、4、4、上右を4、4、3、3、4、4、3、3とする8行のアレイを伴うが、垂直列が8列ではなく、合計で7列にしか及ばないアンテナとすることが可能である。列の番号付けについては、後述する詳細な説明の中でより詳細に説明する。たとえば、図3Aの説明を参照されたい。
【0016】
別の実施態様において、前記パターン指定と同じコンセプトが使用され、アンテナ構成は、バイセクタ・アレイを伴う2つの横並びアレイであるが、列の数が3、4、3、4、3、4・・・、および4、3、4、3、4、3・・・となる。したがって、例示的なアンテナを、上右に3、4、3、4、3、4、3、4のアンテナ素子配置パターンを伴い、上左アレイのために4、3、4、3、4、3、4、3のアンテナ素子配置パターンを有する8行のアレイとすることが可能であるが、たとえば図3Bに示され、かつより詳細に後述するとおり、この場合においても合計の垂直列が7列である。
【0017】
類似する構成のパターンを、2つの横並びアレイを有するほかのサイズのアンテナに使用可能であることが理解される。たとえば、別の実施態様において、通常は6列の幅になる33度アンテナのために合計で5列の垂直列を伴うアンテナ構成を実装することが可能であり、それの(5列構成における)列数は、2、2、3、3、2、2・・・、および3、3、2、2、3、3・・・である。したがって、例示的なアンテナを、アンテナの左側に2、2、3、3、2、2、3、3、2、2のアンテナ素子配置パターンを伴い、右アレイのために3、3、2、2、3、3、2、2、3、3のアンテナ素子配置パターンを有する、合計で5列の垂直列を伴う10行のアレイとすることが可能である。これは、3100-4200MHzの高帯域周波数において実装されるアレイについて、約300mmから約240mmにアレイの幅を減ずる。
【0018】
別の実施態様において、2つのバイセクタ・アレイを伴うアンテナ構成が、部分的に横並びであり、かつ共通エリア内においてのみ、相補的な列の数を使用して列の数が1つ減じられる。前記アンテナ構成は、これについてもより詳細に後述するが、12ポートのアレイ構成内に4、4、4、4、4、4、4、4、3、3、および3、3、4、4、4、4、4、4、4、4の列を有する2つの部分的な横並びアレイを有することが可能である。この実装において、アンテナ幅が570mmから496mmに減じられ、また、異なる構成および2つの絡み合った行の追加に起因して高帯域の利得も約0.8dB増加した。
【0019】
別の実施態様において、この構成を使用して改善された4×4 MIMOアンテナ(65度または45度)を提供することができる。たとえば、65度の4×4 MIMOアンテナのための先行技術の構成は、一般に、たとえば図11(先行技術)に示されているとおり、2つの千鳥状の素子列を使用して形成される。しかしながら、2つの列を千鳥状にして方位角の帯域幅を65度にコントロールしていることから、列当たりの素子の数が制限され(たとえば、図11において列当たり8素子)、そのためこのアンテナからの利得が制限される。45度の4×4 MIMOアンテナに関して、通常、4列のアンテナを使用して作られ、設計された方位角45度が達成される。たとえば、先行技術の図12を参照されたい。これにおいて、各アレイ(左および右)が5行2列の中に10個の素子を有し、したがって、アンテナ利得は十分であるが、フットプリント(占有面積)が過剰に広くなる。
【0020】
本構成は、改善された65度または45度の4×4 MIMOアンテナを提供し、それにおいて3列の素子が使用され、左アレイは、素子の左1列を有し、右アレイは、素子の右1列を使用し、中央列の素子は、左および右のアレイの両方によって共有される。列の間の距離を適切に設定し、かつアンテナ素子の間の電力の分割を調整することによって、先行技術より大きな利得を伴い、かつより小さい(幅)フットプリントを伴う4×4 MIMOアンテナを達成することが可能である。
【0021】
本発明は、以下の説明および次に列挙する添付図面を通じてもっとも良好に理解することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】8列の中帯域素子を伴う横並び中帯域バイセクタ・アレイおよび2列の低帯域65度アレイのための先行技術のアンテナ構成を図解した平面図である。
図2】8列の中帯域素子を伴う横並び中帯域バイセクタ・アレイおよびバイセクタ低帯域アレイのための別の先行技術のアンテナ構成を図解した斜視図である。
図3A】1つの実施態様に従った、7列および共通の中点ラインを伴う絡み合った相互接続中帯域アレイを伴った横並びバイセクタ・アレイのための2つの異なるアンテナ構成を図解した平面図である。
図3B】1つの実施態様に従った、7列および共通の中点ラインを伴う絡み合った相互接続中帯域アレイを伴った横並びバイセクタ・アレイのための2つの異なるアンテナ構成を図解した平面図である。
図4】別の実施態様に従った、5列および共通の中点ラインを伴う絡み合った織り合わせ中帯域アレイを伴ったブロードサイド33度の2つの横並びアレイのための例示的なアンテナ構成を図解した平面図である。
図5】別の実施態様に従った、10列および共通の中点ラインを伴う絡み合った織り合わせ中帯域アレイを伴った横並びマルチビーム・アレイのための例示的なアンテナ構成を図解した平面図である。
図6】別の実施態様に従った、アレイの織り合わせ構造の一部を図解した平面図である。
図7】1つの実施態様に従った、図3Aからの例示的な部分的アレイ構成を図解した平面図である。
図8A】1つの実施態様に従った、図3Aからの部分的アレイを図解した斜視図である。
図8B】1つの実施態様に従った、ABFN(方位角ビームフォーミング網-図8B)を図解した平面図である。
図9A】先行技術と例示的なアレイの方位角(図9A)のカバレッジ・パターンを比較した4つのチャートである。
図9B】先行技術と例示的なアレイの俯仰角(図9B)のカバレッジ・パターンを比較した4つのチャートである。
図10】先行技術と例示的なアレイの指向性を比較したグラフである。
図11】先行技術の4×4 MIMOの65度アンテナを示した平面図である。
図12】先行技術の4×4 MIMOの45度アンテナを示した平面図である。
図13】1つの実施態様に従った、共有される中央列を伴う3列4×4 MIMOアンテナを示した平面図である。
図14A】2つの列内に素子を伴う行に使用するための図13に示されているアンテナ内の均等方位角スプリッタを実装する第1の構成を示した説明図である。
図14B】2つの列内に素子を伴う行に使用するための図13に示されているアンテナ内の不均等方位角スプリッタを実装する追加の構成を示した説明図である。
図14C】2つの列内に素子を伴う行に使用するための図13に示されているアンテナ内の不均等方位角スプリッタを実装する追加の構成を示した説明図である。
図15】1つの実施態様に従った、3方向方位角/俯仰角スプリッタを使用する図13からの代替の3列4×4 MIMOアンテナを示した説明図である。
図16】1つの実施態様に従った、素子の数が減じられた図13からの3列4×4 MIMOアンテナの代替構成を示した説明図である。
図17】1つの実施態様に従った、奇数の素子行数およびシフトした中央列を伴う図13からの3列4×4 MIMOアンテナの代替構成を示した説明図である。
図18】1つの実施態様に従った、垂直にシフトした中央列を伴う65度における3列4×4 MIMOアンテナの具体的な実装を示した平面図である。
図19】1つの実施態様に従った、図11の先行技術のアンテナの方位角パターンと比較して図18のアンテナ(65度)の方位角パターンを示したチャートである。
図20】1つの実施態様に従った、より広い間隔を列間に伴う45度における3列4×4 MIMOアンテナの具体的な実装を示した平面図である。
図21】1つの実施態様に従った、図12の先行技術のアンテナの方位角パターンと比較して図20のアンテナ(45度)の方位角パターンを示したチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の1つの実施態様において、図3Aに示されているとおり、1つの4×4 MIMO構成および2つの(4×4)または1つの8×8 MIMO構成を伴う20ポートのハイブリッドBSA(バイセクタ・アレイ)10が示され、バイセクタ・ビーム当たり、中帯域が1695-2690MHzにおいて動作し(2つの8×8 MIMO)、低帯域が65度および698-960MHz(1つの4×4 MIMO)において動作する。
【0024】
この例において、低帯域ダイポール素子の第1の垂直列12がアンテナ10の一方の側に配設され、それとは別の低帯域ダイポール素子の第2の垂直列14がアンテナ10の他方の側に配設されている。低帯域素子12は、20個のポートのうちのポート1および2に接続することが可能であり、低帯域素子14は、20個のポートのうちのポート3および4に接続することが可能であり、低帯域(698-960MHz)の4×4 MIMOを形成する。
【0025】
アンテナ10上には、4つの中帯域素子のアレイがあり、各アレイには合計で28個の素子がある。第1のセットの中帯域素子16は、20個のポートのうちのポート5、6、13、および14に接続することが可能である。第2のセットの中帯域素子18は、20個のポートのうちのポート7、8、15、および16に接続することが可能である。第3のセットの中帯域素子20は、20個のポートのうちのポート9、10、17、および18に接続することが可能である。第4のセットの中帯域素子22は、20個のポートのうちのポート11、12、19、および20に接続することが可能である。これらのセットの素子16、18、20、および22は、1つのまとまりとして中帯域(1695-2690MHz)のための2つの8×8 MIMO(マルチ入力マルチ出力)を形成し、第1の8×8 MIMOが左のビームに、第2の8×8 MIMOが右のビームに関わる。各セットの28個の素子(16、18、20、および22)は、右および左ビームの両方を生成する。
【0026】
図3Aに示されているとおり、中帯域素子16、18、20、および22の4つのセットは、素子16および18がアンテナ10の上部に2つの横並びアレイとして配設され、素子20および22がアンテナ10の下部に横並びに配設される。アンテナ10の上部において、素子16および18のアレイが、8つの水平行(上部の行1から8まで)内に配設され、アンテナの下部において、素子20および22が、8つの追加の水平行(下部の行1から8まで)内に配設される。
【0027】
上部の素子16および18のアレイ、および下部の素子20および22のアレイの両方について、合計で7つの垂直列しか存在しない(列1から7まで)。
【0028】
アンテナ10の上端の行にわたって3つの素子18および4つの素子16が存在する。同じことが行2にも当て嵌まる。行3および4については、これが逆になり、4つの素子18および3つの素子16が存在する。それぞれの場合において、各行にわたり、列1から7までのそれぞれに1つ、合計で7つの素子が存在する。アンテナ10の上半分の行5から8までにおいても、素子16および18のアレイについてこのパターンが反復される。
【0029】
このことは、列ベースでアンテナ10の上半分の素子18および16のアレイを見たときに、素子18が、行1および2において3列(たとえば、列1、2、および3)を、行3および4において4列(たとえば、列1、2、3、および4)を、行5および6において3列を、行7および8において4列を形成することを意味する。したがって、アンテナ10の左上部において、行1から8までのそれぞれの中の素子18の数を指定するパターン3、3、4、4、3、3、4、4を用いて素子18の中帯域MIMOアレイに注釈を施すことが可能である。素子16の中帯域MIMOアレイは、関連して、アンテナ10の左上部において、行1から8までのそれぞれの中の素子18の数を指定するパターン4、4、3、3、4、4、3、3、の注釈を施すことが可能である。図3Aに示されているとおり、このパターンが再び、アンテナ10の下半分の素子22および20のアレイのそれぞれについて反復される。この構成に基づけば、列1、2、および3内の素子は、素子18だけであり、列5、6、および7内の素子は、素子16だけである。
【0030】
しかしながら、図3Aを見てわかるとおり、中心線の列4は、両方のアレイからの素子16および18を有する。たとえば、行1および2において、列4が上右アレイからの素子16を有するが、行3および4において、列4が上左アレイからの素子18を有する。このパターンが、中央の列4を下に向かって反復される。図3Aに示されているとおり、ここで上右および上左のアレイが互いに『インターロック(かみ合う)』している。
【0031】
別の関連実施態様において、図3Bに示されているが、アンテナ10の第1行にわたって4つの素子16および3つの素子20が存在する。行2にはその逆が当て嵌まり、3つの素子16および4つの素子20を有する。それぞれの場合において、各行にわたって合計で7つの素子があり、列1から7までの上端を形成する。素子16および20のアレイについてのこのパターンが、再びアンテナ10の上部の行3から8まで反復される。同じパターンが、アンテナ10の下部においても素子18および素子22のアレイについて保たれる。
【0032】
図3Bは、図3Aと、1つの素子16の次に1つの素子20を有するという形のパターンがアンテナ10の垂直下方に向かって続く中央の列4を除けば基本的に類似する。このことは、列4が、2行毎の交番ではなく、1行毎に交番することを意味する。
【0033】
このことは、列ベースでアンテナ10の上半分の素子16および20のアレイを見たときに、7列の垂直列の上半分が開始する行1内に4つの素子16および3つの素子20があることを意味する。行2においてこれが逆になり、3つの素子16だけと4つの素子20が、次の7列の行を形成する。このパターンが、アンテナ10の上部において行3から8まで反復される。したがって、中帯域MIMOの素子16のアレイは、4、3、4、3、4、3、4、3のパターンとして注釈を施すことが可能である。中帯域MIMOの素子20のアレイは、3、4、3、4、3、4、3、4のパターンとして注釈を施すことが可能である。図3Bに示されているとおり、このパターンが再び、アンテナ10の下部の素子18および22のアレイのそれぞれについて反復される。
【0034】
図3Bに見られるとおり、中心線の列4は、素子16および素子20からの素子を有する。たとえば、行1において、列4が上左のアレイからの素子16を有するが、行2において、列4が上右のアレイからの素子20を有する。このパターンが、中央の列4の下に向かって反復される。図3Bに示されているとおり、ここで上右および上左のアレイが互いに『インターロック』している。図3Aの構成と比較すると、図3Bの構成は、改善された俯仰角のパターンの提供に使用できるが、中央の列のためにわずかにより複雑な給電構造を有し、それは、2つの素子サブアレイを使用し、各素子を独立して給電することで取り組むことが可能である。図3Aとの比較において改善される図3Bの実施態様における俯仰角のパターンは、左および右のアレイのそれぞれのための列4内の素子の間の垂直間隔がより小さいことに起因する。たとえば、図3Aを見てわかるとおり、最大垂直間隔は、任意の2つの素子16の間の3行であるが、図3Bにおいて、最大垂直間隔が、任意の2つの素子16の間の2行である(列4内の素子16、18、20、および22のうちのいずれか2つについて同じである)。
【0035】
図3Bにおける16、18、20、および22の素子の構成には、この実施態様において、異なるポート割り当てを指定することが可能であるが、8×8 MIMOアンテナを生成する任意の有効なポート割り当てを使用できることに注意する。ポート割り当ては、所望のビームに基づき、したがって、代替のポート実装としてカスタマがその種の実施態様を2つの4×4 MIMOとして実装してもよいことに注意する。
【0036】
上に説明されているとおり、図3Aおよび3Bに示されている実施態様は、両方ともに、中央の交互配置した列を有していない図1の先行技術の実装より狭幅である。具体的な一例として、図1に示されている先行技術のアンテナは、幅が662mmであるが、図3Aおよび3Bに示されている実施態様は、幅が496mmしかなく、166mmの幅の低減が得られる。幅の低減の大部分は、左および右側のアレイの両方からの素子を共有する交互配置した中央の列が関わる。また、その種の構成は、方位角の千鳥化の除去、横並びのアレイの全般的な間隔の低減、およびいくらかの機械的なマージン等を含め、一層のさらなる幅の低減のためのそのほかの改善された構造を可能にする。たとえば、図3Aおよび3Bの例において、166mmの幅の低減は、1つの列の低減からの70mm、隣接するアレイの間における30mmの間隔の低減、千鳥化の除去による35mm、およびそのほかの許容可能な機械的な変更の31mmで説明することが可能である。いずれの場合においても、両方の横並びのアレイからの素子を含む中央の列および全体の列における1列の低減は、先行技術に対する幅フットプリントを大きく改善する。
【0037】
まとめると、図3Aおよび3Bに示されている素子16、18、20、および22の4つの8行アレイを伴うアンテナ10の構成は、幅方向に合計で7列を有し、図3Aには、4、4、3、3、4、4、3、3パターン(素子16および20)のアレイが絡み合った3、3、4、4、3、3、4、4パターン(素子18および22)のアレイが示され、図3Bには、3,4、3,4、3,4、3,4パターン(素子18および22)のアレイが絡み合った4、3、4、3、4、3、4、3パターン(素子16および18)のアレイが示されている。上に説明されている構成は、例示的なものであることが意図されている。その種の特徴は、そのほかの異なる数の列、行を伴う、異なる周波数帯域のためのアンテナ構成に対しても等しく適用することができる。
【0038】
たとえば、図3Aおよび3Bに示されている両方のアンテナ10は、いずれも、アレイ毎に8行ではなく、10行の素子を有するアレイを含むことができる。これは、単純に、アレイ毎により多くの合計の素子を伴った、図3Aおよび3Bに示されているアンテナのより大きなバージョンとなる。図3Aおよび3Bは、それぞれ、素子16、18、20、および22のそれぞれが28素子を有する。しかしながら、アレイ毎に10行を伴う代替構成は、アレイ毎に34または36のいずれかの数の素子16、18、20、および22を有することになるか(中央の列に2素子毎の交番がある場合)またはアレイ毎に35の素子16、18、20、および22を有することになり(中央の列に素子毎の交番がある場合)、すべてが、アンテナ10の垂直の長さにわたって下方に繰り返される同じ反復インターロック・パターンを伴う。
【0039】
図3Aおよび3Bにおいて、アンテナ素子16、18、20、および22がパッチ素子として図解されているが、本発明がこの点に限定されないことへの理解に注意する。たとえば、類似するアレイ/アレイ素子の構成およびインターロックを、たとえば次に説明する図4および5の例に示されように、ダイポール素子、またはアンテナ上において使用することが可能な任意のそのほかのタイプの放射素子を用いて達成することができ、低減した幅による利益をもたらし得る。
【0040】
また、図4に示されている別の実施態様において、合計して(先行技術の6列に代わり)5つの垂直列を伴うブロードサイド33度のアンテナ10を配設することが可能であり、それにおいて、たとえば、10個の行に配設される素子16の各アレイが3、3、2、2、3、3、2、2、3、3のパターン(たとえば、行1および2が3つの素子を有し、行3および4が2つの素子を有するといったパターン)を伴うアレイを左側に有することが可能であり、アンテナ10の右側のインターロックする素子18のアレイが2、2、3、3、2、2、3、3、2、2のパターン(たとえば、行1および2が2つの素子を有し、行3および4が3つの素子を有するといったパターン)になる。この構成において、左側のアレイからの素子が垂直列1および2のすべてを満たすことになり、右側のアレイからの素子が垂直列4および5のすべてを満たすことになり、中央の列3は、各アレイが2行毎に交番する左および右アレイ両方からの素子を有する。図3Aおよび3Bの実施態様における図1の先行技術に対する幅の低減と同様に、この実施態様もまた、結果として約60mmの低減(先行技術の幅300mmから240mmに低減)をもたらす。
【0041】
図5に示されているさらに別の実施態様において、その種の織り合わせ設計が、使用された絡み合いコンセプトと同じコンセプトを使用することによって、12列から10列へというように、1を超える列数のさらなる低減を含むことが可能である。たとえば、それぞれが6つの行、すなわち行1から6までを有する2つの横並びアレイを伴うアンテナは、1から10までの10個の垂直列(先行技術の12個の列に代えて)で配設することが可能である。図3Aおよび3Bの実施態様における図1の先行技術に対する幅の低減と同様に、この実施態様もまた、結果として約100mmの低減(先行技術の幅560mmから460mmに低減)をもたらす。
【0042】
素子16のこの構成は、左側のアレイについて6、5、4、6、5、4パターンとすることが可能であり、これに4、5、6、4、5、6パターンの素子18の右側のアレイが交互配置する。これは、アンテナの行1が左側のアレイからの6つの素子16および右側のアレイからの4つの素子18を有することを意味する。行2は、左および右側のアレイの両方からの5つの素子16および18を有することになる。行3は、左側のアレイからの4つの素子16および右側のアレイからの6つの素子18を有することになる。このパターンが行4、5、および6について反復される。これは、垂直列1、2、3、および4が左側のアレイからの素子だけを有することになり、列7、8、9、および10が右側のアレイからの素子だけを有することになり、列5および6が両方のアレイからの素子を行に応じて有することを意味する。
【0043】
図6に示されている別の実施態様において、2つの重複する中帯域グループ52および54を伴う2つの4×4 MIMOアレイ50が図解されている。このアレイは、ビーム当たり1つの4×4 MIMOを提供する。図に示されているとおり、上部のグループ52は、アレイ50の右側にオフセットされ、下部のグループ54は左側にオフセットされている。上部のグループ52は、4、4、4、4、3のパターンとして配設される一連のパッチ素子56から作られ、下部のグループ54は、3、4、4、4、4のパターンとして配設される一連のパッチ素子58から作られる。その種の実施態様は、低帯域4×4 MIMOを形成する2つの千鳥状のダイポール60および62の垂直列を支持することも可能である。これは、先行技術における560mmの幅を496mmまで減ずる。
【0044】
図6に示されている構成には、アレイ50の上端から開始して、上部の行1から10までだけを上部のグループ52の素子56が占有し、下部のグループ54の素子58が下部の行8から17までを占有する17の水平行が存在する。したがって、行1にわたって、垂直列1から3までは空(別々の低帯域素子60および62を除く)であり、列4から7までは素子56を有する。同じことが、行2から7までに当て嵌まる。行8から10までにおいて、素子56が列5から7までだけを占有し、素子58は、列1から3までを占有する。行9内の列4には、素子56または58が存在しない。下部のグループ54に関して、行8および9内の素子58が列1から3までを占有する。行10から17までは、素子58が列1から4までを占有する。
【0045】
図3Aおよび3Bと同様に、中央の列4は、上部および下部のグループ52および54の両方によって共有され、行1から8までは列4内に素子56を伴い、行10から17までは素子58が列4を占有する(行9の列4は空である)。
【0046】
この種のアンテナ50は、狭い幅とともに12個のポートのアレイを有することが可能であり、8行に代わって10行を有することによって各アレイの利得が増加される。ポート5から12までがグループ52および54に給電して中帯域の8×8 MIMOを形成し、ポート1から4までがダイポール60および62の2つの千鳥状の垂直列に給電して低帯域の4×4 MIMOを形成する。
【0047】
1つの実施態様において、3/4列アンテナ構成のための例示的な新しい方位角のビームフォーマが、たとえばアンテナアレイ10および50からのこの種のテスト・アレイへの信号供給に使用するために設計されたことに言及する。図8Aは、たとえば、図6の上部の素子54のグループと類似の33、44、44、44、44アンテナ50を図解した部分的な描写である。3列ビームフォーマ40が図8Bに略図的に示されており、それが、図8Aにおいて素子54の隣に配置されている。
【0048】
ビームフォーマ40は、列の間に90度/-90度の位相差および0.7、1、0.7の励起振幅を導入することによって2つのバイセクタ・ビームを生成する3出力BFN(ビームフォーミング網)として実装され得る。ビームフォーマ40の入力ポートは、4つの列を伴う行内において使用される4列ビームフォーマとの絶対位相整合を生成するような方法で割り当てることができる。たとえば、所望の俯仰角のパターンのための正しい位相整合を有するために、位相中心を3つの列を伴う行と4つの列を伴う行で整合させる必要がある。この位相中心は、省かれる列が最右翼となるか、または最左翼の列となるかに依存する。
【0049】
パターンの有効性をはじめ、方位角のサイドローブおよび利得性能を確認するために、上記のコンセプトを証明する少なくとも2つのプロトタイプをこの設計の左アレイに類似するアレイを用いて作成し、テストし、パターンおよび指向性に対する効果を調べた。
【0050】
これらのプロトタイプのために、素子58の1つのアレイには、3、3、4、4、4、4、4、4、4、4パターンを用い(図6のアンテナ50の下部のグループに類似)、図7に示されている素子18の別のアレイは、3、3、4、4、3、3、4、4、3、3構成(すなわち、図7は、図3Aのアンテナ10の上左に類似である)を用いて作成した。
【0051】
図9Aおよび9Bは、比較対象の先行技術の10行4、4、4、4、4、4、4、4、4、4(先行技術の図1)および同じく先行技術の8行4、4、4、4、4、4、4、4(先行技術、図示せず)構成と、1695-2690MHzをカバーする中帯域タイプのパッチ素子である素子(たとえば、58または18)を用いた10行3、3、4、4、4、4、4、4、4、4パターン(たとえば、図6)および10行の3、3、4、4、3、3、4、4、3、3(図7/3Aに示されている構成に類似)の本発明の2つの実施態様の方位角および俯仰角のパターンの比較である。方位角の比較を図9Aに示し、俯仰角のパターンの比較を図9Bに示す。
【0052】
図9Aおよび9Bを見てわかるとおり、方位角および俯仰角のパターンの形状における変化はわずかでしかなく、図6および7の本発明の7列のアンテナ10が、先行技術の図1に示されている先行技術の8列アンテナと本質的に同じ性能およびパターンを有することが示される一方、幅は、物理的に約100mm狭い。また、期待されたとおり、10行構成のアンテナのすべてが、8行構成と比較してより狭い俯仰角のビーム幅を有する(10行の6.6度と比較して8行は8.4度)。
【0053】
図10は、図9Aおよび9Bにおいて比較された、上述のサンプル構成のアレイ指向性の比較である(すなわち、アンテナの損失を考慮しない、アンテナの放射パターンによってのみ決定されるアンテナの指向性利得の最大値)。見てわかるとおり、3、3、4、4、4、4、4、4、4、4パターンの本実施態様(たとえば、図6)は、図1に図解されているもの等の先行技術の4、4、4、4、4、4、4、4、4、4パターンと殆ど同じ指向性を有する。完全に絡み合わせた/織り合わせた3、3、4、4、3、3、4、4、3、3パターンの本実施態様(たとえば、図7)もまた良好な指向性を有し、8行4、4、4、4、4、4、4、4の先行技術の構成と比較すると0.5dB良好である。
【0054】
別の実施態様において、この構成を使用して改善された4×4 MIMOアンテナ(65度または45度)を提供することができる。上述のとおり、先行技術の65度の4×4 MIMOアンテナは、一般に、たとえば図11(先行技術)に示されているとおり、2つの千鳥状の素子列を使用して形成される。しかしながら、2つの列を千鳥状にして方位角の帯域幅を65度にコントロールしていることから、列当たりの素子の数が制限され(たとえば、図11において列当たり8素子)、そのためこのアンテナからの利得が制限される。
【0055】
45度の4×4 MIMOアンテナに関して、通常、先行技術の図12に示されているとおり、4列のアンテナを使用して作られ、設計された方位角45度が達成される。ここでは、2つの素子列が45度の信号パターンを達成する必要があることから(たとえば、列の間に約200mmの間隔を伴う)各アレイ(左および右)は、5行2列の中に10個の素子を有し、したがって、アンテナ利得は十分であるが、フットプリントが過剰に広くなる。
【0056】
先行技術の図11および12の両方において、特定されている左および右のアレイが、表示されているとおり低帯域ダイポールのためのものであることに注意する。同じ反射器上の残りの中帯域のより小さいダイポールは、多くの場合において、考察されている4×4 MIMOが、複数周波数帯域のアレイを有するアンテナ上に実際的に実装され得る状況のためにだけ示されている。
【0057】
図13に図解されているとおりの本構成は、改善された65度または45度の4×4 MIMOアンテナを提供し、それにおいて3列の素子が使用され、左アレイは、素子の左1列を有し、右アレイは、素子の右1列を使用し、中央列の素子は、左および右のアレイの両方によって共有される。以下の図13-21の説明全体を通じて使用されるときの『65度』および『45度』は、近似的(たとえば、実質的に45度および実質的に65度)であることに注意する。この種の方位角の角度の表記が、通常、正確に45または65度であることはなく、これらが方位角のビーム幅を近似するために使用されること、また45および65度が、ここでは過剰な冗語を回避するために『近似的に』の反復なしに使用されることは、この分野の当業者によって理解されよう。
【0058】
たとえば、図13に図解されているとおり、アンテナ100は、左から右に列1、列2、および列3としてラベル付けされた3つの垂直列内に配設されたアンテナ素子101の行を8行有する。ここには、4×4 MIMOアレイを形成する2つのアレイ102(左)および103(右)が存在する。左アレイ102は、左列#1内のすべてに素子を、また中央の列#2内に1つおきに素子101を含む。右アレイ103は、右列#3内のすべてに素子を、また中央の列#2内に1つおきに素子101を含む。簡単のために左アレイ102用の信号供給網だけを示しているが、右アレイ103用も同じであることが企図されている。
【0059】
方位角スプリッタ104は、列#1と#2の間において単一の行内の2つの素子101と、左アレイ102がその行内に2つの素子を有する場合に接続し、俯仰角スプリッタ105は、行#1および#2からの素子101の両方と接続する。これが、各ペアの行(たとえば、#1と#2、#3と#4等)について反復される。図13に示されているとおり、俯仰角スプリッタ105は、アンテナ100からのビームを傾斜させる位相シフタを含む4方向俯仰角ビームフォーマ106に接続される。最後に、ビームフォーマ106は、アンテナ100の1つの入力ポート107に接続され、それにより左アレイ102のための素子給電網が完成する。
【0060】
この構成は、本配置に従った45度および65度両方の4×4 MIMOアンテナ100のための基本形式である。その種の構成が45度応用と65度応用のためにどのように実装されるかに関しての具体的な考察については、より詳細に後述する。
【0061】
図14Aに示されているとおり、俯仰角スプリッタ105が、例示的な1Wの信号電力を垂直方向および水平(??)方向(行#1と行#2の間において)の3つの素子101に等しく0.5Wで分割することがさらに企図されている。俯仰角スプリッタ105に結合された方位角スプリッタ104は、均等スプリッタとして構成され、行#2内の、列#1内の素子101と列#2内の素子101の間において再び信号を半分に分割する。これが、左アレイ102内の各ペアの行について列#1および#2において下方に反復される。ここでの同じ水平(方位角)の行内の素子101の間における分割は、それぞれ0.25Wである。
【0062】
しかしながら、別の配置において、均等方位角スプリッタ104の使用に代えて、同じ水平行の2つの素子101(たとえば、左アレイ102の状況において、行#2に、列#1(左)内の1つおよび列#2(中央)内の1つ)の間における方位角の電力分割を調整することが可能な不均等方位角スプリッタ104aが使用される。図14Bに示されているとおり、左列#1内の素子101は0.35Wの電力を受け取るが、左側のアレイ102の同じ行#2内の中央の列#2内の素子101は0.15Wを受け取る。この場合において、外側の垂直列素子101に対してより多くの電力が供給されることから、この列が左アレイ102の主要な列であるために、方位角のビーム幅がより広くなる。このアプローチは、4×4 MIMOアンテナ100の角度調整が必要なときに使用することができる。
【0063】
それに代えて、図14Cに示されているとおり、左アレイ102の状況において、左列#1内の素子101が0.15Wの電力を受け取り、同じ左アレイ102内の中央列#2内の素子101が0.35Wを受け取るように、不均等方位角スプリッタ104bが同じ水平行#2の2つの素子101の間の方位角の電力分割の調整に使用される。この場合において、より少ない電力が主要な垂直列素子101に対して供給されることから、方位角のビーム幅がより狭くなる。これにおいても、これが、アンテナ100の基本的な構成を変更することなく、Az-BWをわずかに調整する方法を提供する。
【0064】
明瞭性のために、図14Bおよび14Cの構成は、アンテナ100のための本構成において、より多くの電力が、左アレイ102内の素子が2つある行のうちの外側の主要な垂直列(たとえば、左列#1)の素子101に供給された場合に、左アレイ102の方位角のビーム幅がより広くなり、外側の垂直列の素子101の方が共有される中央列#2内の素子101より供給される電力が少ない場合には、方位角のビーム幅がより狭くなることを実証する。不均等な0.35および0.15の重みは、例示的であり、これに対するそのほかの変量が、必要な広幅化または狭幅化の程度に応じて使用できることに注意する。
【0065】
図15に示されているアンテナ100のための別の実施態様において、2方向方位角スプリッタ104および2方向俯仰角スプリッタ105を、所望の方位角のビーム幅の調整も含め、適切な電力分割比を用いて両方の構成要素を置き換えることが可能な単一の3方向スプリッタ108に置き換えることができる。
【0066】
図16に示されているアンテナ100のための別の実施態様において、中央の列#2に素子101を部分的にのみ埋めて方位角のビーム幅をコントロール(左外側の列#1に対するより多くの信号(?)の重み付けを用いてより広くする)すること、また、より高い帯域のアレイのためといった同一反射器上におけるそのほかの応用のために空間を空けることもできる。上記のように、これは、アンテナ100の方位角のビーム幅を調整する別の方法である。中央の列#2内の素子101を省略することによって、アレイ102と103の間において共有される中央の素子101を有する行の数が相応じて減じられ、両方のアレイの方位角のビーム幅がより広くなるという結果がもたらされる。理想的には、4×4 MIMOアンテナ100応用のために、中央の列#2内の素子101の省略は、好ましくはペア(偶数の行数)として行われ、したがって、左側および右側のアレイ102および103の両方が同じ数の素子101を有する。
【0067】
たとえば、図16において、8行構成の列#2の上部および下部から4つの素子101が省かれ、それらのうちの2つは、それぞれ(図13の完全な構成のように)左および右のアレイ102および103に属する。偶数を有することは、素子101を省いたときに、アンテナ100からのすべてのMIMOビームについて方位角のビーム幅を同じ値に保つ補助となる。しかしながら、いくつかの応用において左および右のアレイ102および103のために異なるビーム幅が必要とされる場合には、所望に応じて中央の列#2、左アレイ102、または右アレイ103のいずれかから単一の素子101を省くことが可能である。
【0068】
別の実施態様において、列#1と列#2の間の間隔D1と、列#2と列#3の間の間隔D2が異なることが可能である。奇数の行数(たとえば、行#1-#8ではなく#1-#7)を伴うアンテナ100の構成の場合には、たとえば左アレイ102が右アレイ103より多くの素子101を有する。たとえば、図17において、左アレイ102が11個の素子101を有し(行#1-#7のそれぞれに2、1、2、1、2、1、2で配設される)、右アレイ103が10個の素子101を有する(行#1-#7のそれぞれに1、2、1、2、1、2、1で配設される)。列#1-#2および#2-#3のそれぞれの間が等距離であれば、これは、右アレイ103と比較して左アレイ102の方位角のビーム幅がより狭くなるという結果をもたらす。図17に示されているとおりに列#1と#2の間の距離D1を列#2と#3の間の距離D2より小さくして列間隔を不均等にすることによって、右アレイ103のビーム幅が減少し、左アレイ102のビーム幅が増加して、左アレイ102内の追加の素子101の上記の効果を補償することが可能である。
【0069】
図13の基本構成を使用した65度4×4 MIMOアンテナ100の具体的な実装を振り返ると、低い周波数範囲(たとえば、617-896MHz)における広帯域65度4×4 MIMOアンテナ100が図18に示されている。図18に示されているそのほかのより小さい素子は、ほかの周波数範囲のほかのアレイが同一反射器上に存在し得る状況だけのためのものであることに注意する。
【0070】
通常、単一列のクロスダイポール・アンテナ素子は、65度を超える、一般に75度から90度までの範囲内の方位角のビーム幅を有する。図11等の先行技術において、アレイの方位角のビーム幅を望ましい65度まで減ずるために、列内における素子の千鳥化(たとえば、図13の左および右の『列』参照)が使用される。しかしながら、この先行技術の千鳥化アプローチは、軸外れのグレーティング・ローブを生成する結果となる千鳥化によって生じる素子の間に高い空間的距離が必要とされることに起因して利得値の増加に限界を有する。
【0071】
左アレイ102と右アレイ103の間において中央の列#2の素子101が共有される素子101の3列構成を使用する図18に示されている本構成において、方位角のビーム幅を減少させる一方、利得の増加の制限は存在しない。
【0072】
素子101の垂直列#1-#2と列#2-#3の間の間隔が、必要とされる周波数帯域およびアンテナ100の利用可能なビーム幅に依存し、通常、低帯域(614-960MHz)については約160mmから200mmまで変化が可能であることに注意する。図18に示されている65度4×4 MIMOのための構成において、垂直列#1-#2の間と#2-#3の間の列間隔が(等しく)165mmに設定される。列#1と#2(左アレイ102)の素子101と列#2と#3(右アレイ103)の素子101の近さから、必要な場合には、左および右の列に関して中央の列#2内の素子を垂直にシフトし、素子間の交差偏波(cross polar)および共偏波(co-polar)結合を減ずることができる。たとえば、図18に示されているアンテナ100の構成において、列#2内の素子101に対して50mmの垂直シフトが使用される
【0073】
前述のとおり、中央の列#2の素子101は、中央の列#2の1番目の行#1の素子101が左アレイ102において使用され、中央の列#2の2番目の行#2の素子101が右アレイ103において使用されるという交番形式が下方に行#8まで続く方法で左アレイ102と右アレイ103の間において共有される。中央の列#2からのこれらの追加の素子101を左アレイ102(列#1)または右アレイ103(列#3)のいずれかにおける残りの素子101に加えることは、グレーティング・ローブを導入することなく、両方のアレイ102/103の方位角のビーム幅を減じ、その一方で先行技術(たとえば、図11)と同じアンテナ100の物理的な幅を維持する。これは、図11の先行技術に示されているような標準の65度に関してアンテナ100の(65度における)利得を約0.7dB改善する。
【0074】
図19は、図11の先行技術の構成と比較した図18からの65度方位角パターンのアンテナ100の比較を示しており、方位角の帯域幅が、先行技術からのより広い74度(より広い)から63度(より狭い)に、アンテナ100のための同じ500mmの全幅の中に収まるにもかかわらず改善されることが示されている。たとえば、図19に示されているこの周波数(低帯域)において、13.6dBから14.3dBへの利得の増加(0.7dBの増加)が獲得され、正規化後のパターンは、狭幅化された方位角のビーム幅を示す(利得の増加に対応する)。
【0075】
別の実施態様における例示的な45度4×4 MIMOアンテナ100を図20に示す。図20において、素子101および左および右のアレイ102および103が、低い周波数範囲(たとえば、698-960MHz)の45度での4×4 MIMOを形成する。アンテナ100は、周波数範囲(たとえば、1695-2690MHz)の8×8 MIMO(たとえば、12ポート・アンテナ)のために使用することが可能な中帯域素子200も有することに注意する。それにおいて、中帯域素子200の6つの列およびそれらから形成される、別々の中帯域8×8 MIMOを生成するためのアレイが、本構成に類似するアプローチを使用できることが理解される(中央の列(1つ以上)内の素子が共有されるが、要点を図解するために低帯域素子101および左および右のアレイ102および103のみを詳細に考察する)。
【0076】
図18の65度の実施態様と同様に、図20に示されているこの低帯域45度構成において、素子101の中央の垂直列#2は、左(列#1)および右(列#3)のアレイ102および103の両方と素子を共有する。この配置において、結合問題はおそらくないことから、素子101の中央の垂直列#2が上にシフトされないが、垂直列#1と#2の間をはじめ垂直列#2と#3の間の間隔は、アンテナ100の方位角のビーム幅が45度となるように約215mmである。図12等の先行技術において、45度ビームを生成するためにそれぞれのアレイ毎に2つの列が使用される。したがって、先行技術の45度4×4 MIMO構成は、組み合わせ後の左および右のアレイが合計して4列のアレイを有し、それが、全体的なアンテナの物理的な幅を2倍に(たとえば、2ポート(2×2 MIMO)45度アレイ--たとえば、図12の左側--と比較して)増加させる。図20の本構成を使用すれば、アンテナ100の合計幅の増加は、4つのポートを取り扱う2つの完全なアレイを有するにもかかわらず、単一の2ポート・アレイの約1.54倍にしかならない。それにもかかわらず、利得性能の方位角のビーム幅は、ほぼ同じである。
【0077】
たとえば、図21に、図12の先行技術のアンテナの方位角のパターンと、1つの実施態様に従った図20のアンテナ(45度)の方位角のパターンの比較を示す。
【0078】
ここでは、本発明の特定の特徴のみを図解し、説明してきたが、これによりこの分野の当業者は、多くの修正、代用、変更、または均等を思いつくことになるであろう。したがって、この出願に、本発明の真の精神に含まれるその種のすべての修正および変更の保護が意図されていることは理解されるものとする。
【符号の説明】
【0079】
10 アンテナ
12 第1の垂直列、低帯域素子
14 第2の垂直列、低帯域素子
16 第1のセットの中帯域素子、素子
18 第2のセットの中帯域素子、素子
20 第3のセットの中帯域素子、素子
22 第4のセットの中帯域素子、素子
40 ビームフォーマ
50 4×4 MIMOアレイ、アレイ、アンテナ
52 グループ、上部のグループ
54 グループ、下部のグループ、素子
56 パッチ素子、素子
58 パッチ素子、素子
100 アンテナ
101 アンテナ素子、素子
102 左アレイ
103 右アレイ
104 均等方位角スプリッタ
104a 不均等方位角スプリッタ
104b 不均等方位角スプリッタ
105 俯仰角スプリッタ
106 4方向俯仰角ビームフォーマ、ビームフォーマ
107 入力ポート
108 3方向スプリッタ
200 中帯域素子
60および62 ダイポール
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【外国語明細書】