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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132918
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 201F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024028340
(22)【出願日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0033556
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、ソ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒュン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨー ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、クワン イェウン
(72)【発明者】
【氏名】スン、ウー キュン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ビュン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュル セウン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AJ01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FG03
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
(57)【要約】
【課題】外部電極のめっき層形成時に発生する水素によって積層型電子部品の耐湿信頼性が低下する問題を解決する。
【解決手段】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結されてCuを含む電極層、上記電極層上に配置される第1めっき部及び上記第1めっき部上に配置される第2めっき部を含み、上記第1めっき部は、上記電極層と接してNiを含むNi層、上記Ni層上に配置されてNi及びSnの少なくとも一つを含む金属間化合物を含む金属間化合物層を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、前記内部電極と連結され、Cuを含む電極層、前記電極層上に配置される第1めっき部及び前記第1めっき部上に配置される第2めっき部を含み、
前記第1めっき部は、前記電極層と接し、Niを含むNi層、及び前記Ni層上に配置され、Ni及びSnの少なくとも一つを含む金属間化合物を含む金属間化合物層を含み、
前記第2めっき部は、前記第1めっき部と接し、Niを含むNi層を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記金属間化合物は、NiSn、NiSn及びNiSnの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1めっき部の平均厚さは0.3μm以上5μm以下である、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第2めっき部は、前記第2めっき部のNi層上に配置されてSnを含むSn層をさらに含む、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1めっき部に含まれるNi層の平均厚さは、前記第2めっき部に含まれるNi層の平均厚さよりも小さい、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記電極層はガラスをさらに含む、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記電極層はガラスを含まない、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
誘電体層、及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、前記内部電極と連結されてCuを含む電極層、前記電極層上に配置される第1めっき部、及び前記第1めっき部上に配置される第2めっき部を含み、
前記第1めっき部は、前記電極層と接してNiを含むNi層、前記Ni層上に配置されてNi及びSnの少なくとも一つを含む金属間化合物を含む金属間化合物層、及び前記金属間化合物層上に配置されてSnを含むSn層を含み、
前記第2めっき部は、前記第1めっき部と接してNiを含むNi層を含む、積層型電子部品。
【請求項9】
前記金属間化合物は、NiSn、NiSn及びNiSnの少なくとも一つを含む、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1めっき部の平均厚さは0.5μm以上5μm以下である、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第2めっき部は、前記第2めっき部のNi層上に配置されてSnを含むSn層をさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1めっき部のNi層の平均厚さは、前記第2めっき部のNi層の平均厚さよりも小さく、前記第1めっき部のSn層の平均厚さは、前記第2めっき部のSn層の平均厚さよりも小さい、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記電極層はガラスをさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記電極層はガラスを含まない、請求項8から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
電子製品の小型化、スリム化、多機能化により、チップ部品も小型化が求められており、電子部品の実装も高集積化されている。このような傾向に応じて実装される電子部品に関するものである。
【0004】
積層型電子部品の密閉性及び実装性を確保するための方案として、Cu電極層上にNiめっき層及びSnめっき層を順次形成する試みがあった。高信頼性を要求する積層型電子部品の場合、めっき層の切れまたはめっき層内のボイド形成などの欠陥のないめっき層を形成することが積層型電子部品の耐湿信頼性の改善に大きな影響を及ぼすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の様々な目的の一つは、外部電極のめっき層形成時に発生する水素によって積層型電子部品の耐湿信頼性が低下する問題を解決することである。
【0006】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結され、Cuを含む電極層、上記電極層上に配置される第1めっき部及び上記第1めっき部上に配置される第2めっき部を含み、上記第1めっき部は、上記電極層と接し、Niを含むNi層及び上記Ni層上に配置され、Ni及びSnの少なくとも一つを含む金属間化合物を含む金属間化合物層を含む。
【0008】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結され、Cuを含む電極層、上記電極層上に配置される第1めっき部及び上記第1めっき部上に配置される第2めっき部を含み、上記第1めっき部は、上記電極層と接し、Niを含むNi層、上記Ni層上に配置され、Ni及びSnの少なくとも一つを含む金属間化合物を含む金属間化合物層、及び上記金属間化合物層上に配置され、Snを含むSn層を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な効果の一つは、外部電極にめっき層形成時に発生する可能性がある水素または水分が本体の内部に浸透することを遮断して積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させたことである。
【0010】
本発明の様々な効果の一つは、外部電極にめっき層形成時に発生する可能性がある水素が本体の内部に浸透した場合、これを別途の熱処理によって除去することで、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させたことである。
【0011】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3図1のII-II'線に沿った断面図である。
図4】一実施形態による本体を分解して示した分解斜視図である。
図5図2のP領域拡大図である。
図6】本発明の他の一実施形態による積層型電子部品において、図1のI-I'線に沿った断面図に対応する断面図である。
図7図6のQ領域拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0014】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
図面において、第1方向は、誘電体層を挟んで第1及び第2内部電極が交互に配置される方向または厚さ(T)方向、上記第1方向と垂直な方向である第2方向及び第3方向のうち、上記第2方向は長さ(L)方向、上記第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1のI-I'線に沿った断面図であり、図3は、図1のII-II'線に沿った断面図であり、図4は、一実施形態による本体を分解して示した分解斜視図であり、図5は、図2のP領域拡大図である。
【0017】
以下では、図1図5を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極121、122を含む本体110と、上記本体上に配置される外部電極130、140を含み、上記外部電極は上記内部電極と連結され、Cuを含む電極層131、上記電極層上に配置される第1めっき部、及び上記第1めっき部上に配置される第2めっき部133を含み、上記第1めっき部は上記電極層と接し、Niを含むNi層132a、上記Ni層上に配置されるNi及びSnの少なくとも1つを含む金属間化合物を含む金属間化合物層132bを含む。
【0019】
本体110は、誘電体層111、及び誘電体層111と交互に配置される内部電極121、122を含む。本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができ、誘電体層111と内部電極121、122が積層されている方向を第1方向とみなすことができる。
【0020】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程において本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。
【0021】
図2を参照すると、本体110は、第1方向に互いに向かい合う第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5及び第6面5、6を有することができる。
【0022】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0023】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0024】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0025】
一方、誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はない。例えば、誘電体層111の平均厚さtdは0.2μm以上2μm以下であることができ、積層型電子部品100の高容量化及び小型化をより容易に達成するために誘電体層111の平均厚さtdは0.35μm以下であることができる。
【0026】
上記誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向の平均大きさを意味することができる。一方、本体110が複数の誘電体層111を含む場合、誘電体層111の平均厚さtdは、複数の誘電体層111の少なくとも1つの平均厚さを意味することができる。
【0027】
誘電体層111の平均厚さtdは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて一つの誘電体層を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0028】
図2図3を参照すると、本体110は本体110の内部に配置され、第1及び第2内部電極121、122が第1方向に重なる領域である容量形成部Acを含むことができる。
【0029】
容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0030】
上記容量形成部Acの第1方向の一面には上部カバー部112が配置されることができ、上記容量形成部Acの第1方向の他面には下部カバー部113が配置されることができる。
【0031】
上記上部カバー部及び下部カバー部は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0032】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0033】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0034】
一方、カバー部112、113の平均厚さtcは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の平均厚さtcは15μm以下であることができる。ここで、カバー部112、113の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味することができる。
【0035】
カバー部112、113の平均厚さtcは第1方向の大きさを意味することができ、容量形成部Acの上部または下部で等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0036】
図2を参照すると、容量形成部Acの第3方向の一面及び他面には、マージン部114、115が配置されることができる。
【0037】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置されたマージン部114と、第6面6に配置されたマージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両側面に配置されることができる。
【0038】
マージン部114、115は、図3に示されたように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面において、第1及び第2内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0039】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0040】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することで形成されたものであることができる。
【0041】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に幅方向に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0042】
一方、マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均幅は15μm以下であることができる。
【0043】
マージン部114、115の平均幅は、マージン部114、115の第3方向の平均大きさを意味することができ、容量形成部Acの側面で等間隔の5個の地点で測定したマージン部114、115の第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0044】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置される。このとき、上記内部電極及び誘電体層は第1方向に交互に配置されることができる。
【0045】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ連結されることができる。具体的には、第1内部電極121の一端は第3面に連結され、第2内部電極122の一端は第4面に連結されることができる。すなわち、一実施形態において、内部電極121、122は、第3面3または第4面4と接することができる。
【0046】
図2に示されたように、第1内部電極121は第4面4から離隔し、第3面3を介して露出して、第2内部電極122は第3面3から離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極130が配置され、第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極140が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0047】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極140とは連結されず、第1外部電極130と連結され、第2内部電極122は第1外部電極130とは連結されず、第2外部電極140と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4から一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3から一定距離離隔して形成されることができる。このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0048】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金の少なくとも1つを含むことができる。
【0049】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金の少なくとも一つを含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0050】
一方、内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はない。例えば、内部電極121、122の平均厚さteは0.2μm以上2μm以下であることができ、積層型電子部品100の高容量化及び小型化をより容易に達成するために内部電極121、122の平均厚さteは0.35μm以下であることができる。
【0051】
上記内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の第1方向の平均大きさを意味することができる。一方、本体110が複数の内部電極121、122を含む場合、内部電極121、122の平均厚さtdは、複数の内部電極121、122の少なくとも1つの平均厚さを意味することができる。
【0052】
内部電極121、122の平均厚さteは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて一つの内部電極を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0053】
本体110上には外部電極130、140が配置される。
【0054】
外部電極130、140は、本体110の第3面3上に配置される第1外部電極130及び第4面4上に接する第2外部電極140を含むことができる。
【0055】
以下では、第1外部電極130を基準に本発明の外部電極130、140の構造について詳細に説明する。但し、第1外部電極130に対する説明は、第2外部電極140にも同様に適用されることができる。また、本実施形態においては、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0056】
図5を参照すると、本発明の一実施形態による外部電極130は、内部電極121と連結され、Cuを含む電極層131、上記電極層上に配置される第1めっき部132、上記第1めっき部132上に配置される第2めっき部133を含む。このとき、上記第1めっき部は、上記電極層と接してNiを含むNi層132a及び上記Ni層上に配置され、Ni及びSnの少なくとも1つを含む金属間化合物を含む金属間化合物層132bを含む。
【0057】
電極層131は内部電極121と連結されてCuを含む。電極層131は、外部電極130において内部電極121との電気的連結性を確保する役割を果たすことができる。電極層131は、目的に応じてCu以外の導電性金属元素及び合金の少なくとも一つをさらに含むことができる。具体的には、電極層131は、Cuの他にも、Ni、Pd、Cr及びこれらの合金の少なくとも1つを含むことができる。
【0058】
電極層131を形成する方法は特に制限されない。電極層131は、Cu粒子とガラスを含む導電性ペーストを本体110の第3面3及び第4面4に塗布し、乾燥及び焼成過程を経て形成されることができるが、これに制限されるものではなく、Cuを本体110の第3面3及び第4面4に電解めっきまたは無電解めっきによって形成することもできる。すなわち、電極層131は、ガラスをさらに含む焼成電極であるか、ガラスを含まないめっき電極であることができるが、これに制限されるものではない。
【0059】
一般的に、積層型電子部品に含まれる外部電極のめっき層は電解めっき法で形成されることができる。電界めっき法でめっき層を形成する場合、水素が発生し易く、このように発生した水素は本体110の内部に浸透して積層型電子部品100の全体の電気的特性を低下させることができる。
【0060】
従来の場合、めっき層形成時に発生した水素が本体110に浸透することを防止するための手段として、Cuを含む電極層上にNi-Sn合金層を形成する試みがあった。
【0061】
しかしながら、Cu電極層上にNi-Sn合金層を直接形成する場合、CuとSnの拡散速度差による界面void欠陥が発生することがある。このような欠陥は、水分及び水素の主な浸透経路となることがあり、積層型電子部品の耐湿信頼性を低下させる原因となり得る。
【0062】
本発明では、Cuを含む電極層131上にNi-Sn合金層を直接形成するのではなく、電極層131とNi-Sn合金層との間に別途の層を配置して、CuとSnの拡散速度差による界面void欠陥の発生を抑制しながらも、水分及び水素が本体110の内部に拡散することを防止して積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させる。
【0063】
具体的には、本発明の一実施形態による第1めっき部132は、内部電極121と連結され、Cuを含む電極層131とNiを含むNi層132aが接するように配置し、Ni層132a上にNi及びSnの少なくとも1つを含む金属間化合物を含む金属間化合物層132bを配置することで、電極層131と金属間化合物層132bが直接接することを防止してCuとSnの拡散速度差によるvoid欠陥の発生を根本的に遮断することができる。これにより、本体110の内部への水素及び水分の浸透を効果的に抑制することができるだけでなく、電極層131と第1めっき部132との間のvoid欠陥の発生を遮断することができる。これにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性が顕著に向上することができる。
【0064】
第1めっき部132を形成する方法は特に制限されない。例えば、電極層131上に電解めっき法または無電解めっき法でNi層132aをめっきした後、合金めっき法を介して金属間化合物層132bめっきして形成することができる。このとき、Ni層132aを電解めっき法で形成する場合に発生する可能性がある水素は、金属間化合物層132bを形成した後に別途の熱処理を進行することで除去されることができる。
【0065】
金属間化合物層132bが含まれるNi及びSnの少なくとも1つを含む金属間化合物の種類は特に制限されない。例えば、上記金属間化合物は、NiSn、NiSn及びNiSnの少なくとも1つを含むことができる。
【0066】
第1めっき部132の平均厚さT1は特に制限されない。但し、電極層131の表面を十分に覆うことができるように、第1めっき部132の平均厚さT1は0.3μm以上であることが好ましい。一方、第1めっき部132の平均厚さT1の上限は特に制限されないが、積層型電子部品100の小型化のために5μm以下であることが好ましい。
【0067】
第2めっき部133は、第1めっき部132上に配置される。第2めっき部133は、外部電極130のシーリング特性をさらに向上させるか、実装特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0068】
一実施形態において、第2めっき部133は、第1めっき部132と接してNiを含むNi層133a及び第2めっき部133のNi層133a上に配置され、Snを含むSn層133bを含むことができる。これにより、積層型電子部品100のシーリング特性がさらに向上することができ、実装特性も向上することができる。
【0069】
一方、第2めっき部133を形成する方法は特に制限されず、無電解めっき法、電解めっき法などの様々なめっき法を用いて形成されることができる。
【0070】
一方、第1めっき部132のNi層132aの平均厚さT1aは、第2めっき部133のNi層133aの平均厚さT2aよりも大きいことができる。これにより、第1めっき部132が外部電極130から占める比重を最小化して、積層型電子部品100の単位体積当たりの静電容量を向上させることができる。
【0071】
第1めっき部132の平均厚さT1、第1めっき部132のNi層132aの平均厚さT1a、及び第2めっき部133のNi層133aの平均厚さT2aを測定する方法は特に制限されない。例えば、積層型電子部品100の第3方向の中心部までFIB Millingして第1及び第2方向の断面を露出させた後、内部電極121、122の第1方向の最上端から最下端まで領域を第1方向に5等分した後、各領域の任意の地点でSEM-EDX(Energy dispersive X-ray spectrometry)Ionモードで測定した第2方向の大きさを平均した値であることができる。このとき、各層の区分はSEM-EDX分析して組成を確認して進むことができ、特にNi及びSnの少なくとも1つを含む金属間化合物が存在するか否かは、SEM-EDX分析と共にXRD(X-Ray Diffraction)分析によって確認することができる。
【0072】
図6は、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品において、図1のI-I'線に沿った断面図に対応する断面図であり、図7は、図6のQ領域拡大図である。
【0073】
以下では、図6及び図7を参照して、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100'及び様々な実施形態について詳細に説明するが、本発明の一実施形態による積層型電子部品100と重複する説明は省略する。
【0074】
図6及び図7を参照すると、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100'は、第1めっき部132の構造を除くと、本発明の一実施形態による積層型電子部品100と実質的に同じ構成を有することができる。
【0075】
具体的には、図7を参照すると、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100'は、誘電体層111、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極121、122を含む本体110と、上記本体上に配置される外部電極130、140と、を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結され、Cuを含む電極層131、上記電極層上に配置される第1めっき部132及び上記第1めっき部上に配置される第2めっき部132を含み、上記第1めっき部は、上記電極層と接してNiを含むNi層132a、上記Ni層上に配置され、Ni及びSnの少なくとも一つを含む金属間化合物を含む金属間化合物層132b、及び上記金属間化合物層上に配置され、Snを含むSn層132cを含む。
【0076】
このとき、第1めっき部132は、電極層131上にNiを含むNi層132a及びSnを含むSn層132cを順に形成した後、別途の熱処理を介してNi層132aとSn層132cの界面にNi及びSnを含む金属間化合物を含む金属間化合物層132bが形成された構造であることができる。これにより、金属間化合物層132bを形成する過程でNi層132a及びSn層132cを電解めっきで形成した場合に発生した水素を除去することができるため、積層型電子部品100'の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0077】
第1めっき部132の平均厚さT1'は、特に制限されない。但し、電極層131の表面を十分に覆うことができるように、第1めっき部132の平均厚さT1'は0.5μm以上であることが好ましい。一方、第1めっき部132の平均厚さT1'の上限は特に制限されないが、積層型電子部品100の小型化のために5μm以下であることが好ましい。
【0078】
一方、第1めっき部132のNi層132aの平均厚さT1a'は、第2めっき部133のNi層133aの平均厚さT2a'よりも小さいことができる。これにより、第1めっき部132が外部電極130から占める比重を最小化して、積層型電子部品100の単位体積当たりの静電容量を向上させることができる。
【0079】
これと類似した観点から、第1めっき部132のSn層132cの平均厚さT1b'は、第2めっき部133のSn層133bの平均厚さT2b'よりも小さいことができる。
【0080】
第1めっき部132の平均厚さT1'、第1めっき部132のNi層132aの平均厚さT1a'、第1めっき部132のSn層132cの平均厚さT1b'、第2めっき部133のNi層133aの平均厚さT2a'、及び第2めっき部133のSn層133bの平均厚さT2b'を測定する方法は、特に制限されない。例えば、積層型電子部品100'の第3方向の中心部までFIB Millingして第1及び第2方向の断面を露出させた後、内部電極121、122の第1方向の最上端から最下端まで領域を第1方向に5等分した後、各領域の任意の地点でSEM-EDX(Energy dispersive X-ray spectrometry)Ionモードで測定した第2方向の大きさを平均した値であることができる。このとき、各層の区分はSEM-EDX分析により組成を確認して進むことができ、特にNi及びSnの少なくとも1つを含む金属間化合物が存在するか否かは、SEM-EDX分析と共にXRD(X-Ray Diffraction)分析によって確認することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0082】
また、本開示で用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0083】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0084】
100、100' 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
121、122 内部電極
130、140 外部電極
131 電極層
132 第1めっき部
131a、131b、131c Ni層、金属間化合物層、Sn層
133 第2めっき部
133a Ni層、Sn層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7