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特開2024-132939異なる水透過性の断面を有する海底電力ケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132939
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】異なる水透過性の断面を有する海底電力ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/14 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01B7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024034557
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】23161846
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フリーベリ, ペータル
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン, エリク
【テーマコード(参考)】
5G311
【Fターム(参考)】
5G311FB01
5G311FB05
5G311FC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】絶縁システムを保護する半径方向の水バリアとして、鉛フリーの半径方向の気密封止された水バリア設計に移行する傾向があり、最新のケーブル設計の要求に対応する海底電力ケーブルを提供する。
【解決手段】導体と、導体の周りに配置された内部半導電層、内部半導電層の周りに配置された絶縁層及び絶縁層の周りに配置された外部半導電層を備える絶縁システムと、絶縁システムの周りに配置された機械的に可撓性のシースと、可撓性のシースの周りに配置されたポリマーシースとを備える海底電力ケーブル(1)であって、機械的に可撓性のシースは、第2の区間(1a、1b)において、絶縁システムの外側に配置された任意の層の半径方向の水透過性より低い半径方向の水透過性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体(3)と、前記導体(3)の周りに配置された絶縁システム(5)であって、内部半導電層(7)と、前記内部半導電層(7)の周りに配置された絶縁層(9)と、前記絶縁層(9)の周りに配置された外部半導電層(11)とを備える絶縁システム(5)と、前記絶縁システム(5)の周りに配置されたポリマーシース(15)とを備える海底電力ケーブル(1)であって、前記海底電力ケーブル(1)が、2つの第2の区間(1a,1b)の間に軸方向に配置された第1の区間(1c)を有し、前記第1の区間(1c)が、前記絶縁システム(5)の周りに配置された機械的に可撓性のシースを有し、前記機械的に可撓性のシースが、前記第2の区間(1a,1b)において前記絶縁システム(5)の外側に配置された任意の層の半径方向の水透過性より低い半径方向の水透過性を有する、海底電力ケーブル(1)。
【請求項2】
前記機械的に可撓性のシースが、前記第1の区間(1c)全体に沿ってなど、前記第1の区間(1c)の長さの少なくとも20%に沿って前記絶縁システム(5)の周りに配置された遮水層(13)である、請求項1に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項3】
前記遮水層が、金属製遮水層である、請求項2に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項4】
前記金属製遮水層が、長手方向に溶接された金属シース、押出金属シース、または長手方向に接合された積層シースである、請求項3に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項5】
前記2つの第2の区間(1a,1b)の各々が、前記第1の区間(1c)よりも長い、請求項1または2に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項6】
前記第1の区間(1c)が、少なくとも1m、例えば少なくとも2m、例えば少なくとも3mである、請求項1から5のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項7】
前記第1の区間(1c)が、高々200m、例えば高々150m、例えば高々100m、例えば高々50mである、請求項1から6のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項8】
各第2の区間(1a,1b)が、少なくとも500mの長さ、例えば少なくとも1000mの長さ、例えば少なくとも5000mの長さである、請求項1から7のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項9】
前記第1の区間(1c)に配置された接合部(21)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項10】
前記接合部(21)が、導体接合部(23)と、前記導体接合部(23)の周りに配置された接合部絶縁システム(25)とを備える、請求項9に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項11】
前記接合部絶縁システム(25)が、加硫接合部絶縁システムであるか、または組立て式のエラストマースリーブを備える、請求項10に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項12】
前記第2の区間(1a,1b)全体に沿って前記絶縁システム(5)と前記ポリマーシース(15)との間に配置された水膨潤性テープを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項13】
前記第1の区間(1c)全体に沿って前記絶縁システム(5)と前記ポリマーシース(15)との間に配置された水膨潤性テープを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項14】
前記海底電力ケーブル(1)が、AC電力ケーブルか、またはDC電力ケーブルである、請求項1から13のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項15】
前記海底電力ケーブル(1)の最外層である外部シースまたは外部サービング(19)を備え、前記外部シースまたは外部サービング(19)が、前記第1の区間(1c)の長さの大部分または全長に沿って延在する、請求項1から14のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、海底電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
海底電力ケーブルは、従来、絶縁システムを保護する半径方向の水バリアとして機能する鉛被を有していた。鉛フリーの半径方向の気密封止された水バリア設計に移行する傾向がある。この点に関して、最新のケーブル設計の要求に対応する、例えば銅、様々な銅合金、アルミニウム、およびステンレス鋼の金属製の水バリアに達するために多くの努力がなされてきた。
【発明の概要】
【0003】
海底電力ケーブルは、特定の条件下では、半径方向の浸水から絶縁システムを保護することに関してより低い要件で設計することができる。そうとしても、そのような海底電力ケーブルに沿って、半径方向の浸水に対してより良好な保護があることから恩恵を受ける1つ以上の区間が存在し得る。
【0004】
上記に鑑みて、本開示の目的は、先行技術の問題を解決または少なくとも軽減する海底電力ケーブルを提供することである。
【0005】
したがって、導体と、導体の周りに配置された絶縁システムであって、内部半導電層と、内部半導電層の周りに配置された絶縁層と、絶縁層の周りに配置された外部半導電層とを備える絶縁システムと、絶縁システムの周りに配置されたポリマーシースとを備える海底電力ケーブルであって、海底電力ケーブルが、2つの第2の区間の間に軸方向に配置された第1の区間を有し、第1の区間が、絶縁システムの周りに配置された機械的に可撓性のシースを有し、機械的に可撓性のシースが、第2の区間において絶縁システムの外側に配置された任意の層の半径方向の水透過性より低い半径方向の水透過性を有する、海底電力ケーブルが提供される。
【0006】
第2の区間よりも水に対する半径方向の透過性が低い第1の区間を設けることにより、海底電力ケーブル内の感湿領域は、第1の区間に沿った水分侵入からより良好に保護され得る。さらに、半径方向の水透過性に関する要件が低い第2の区間のために、海底電力ケーブルの材料使用量および/または重量を低減することができる。第2の区間では、特に半径方向の浸水を防止するためのバリアを完全に廃棄することができるか、または低い要件の簡単なバリア解決策を使用することができる。
【0007】
ポリマーシースは、第2の区間に沿い、また第1の区間に沿って、絶縁システムの周りに延在する。
【0008】
一実施形態によれば、機械的に可撓性のシースは、第1の区間全体に沿ってなど、第1の区間の長さの少なくとも20%に沿って絶縁システムの周りに配置された遮水層を備える。
【0009】
一例によれば、海底電力ケーブルは、剛性海中ジョイントを備えることができ、剛性海中ジョイントは、少なくとも部分的に第1の区間に沿って配置される。遮水層は、この場合、第1の区間全体に沿って延在しない。剛性海中ジョイントは、内部水密ケーシングを備えることができ、この内部水密ケーシングに対して遮水層を終端させ、内部水密ケーシングの両端から封止することができる。この場合、第1の区間は、内部水密ケーシングと、内部水密ケーシングから軸方向に延在する遮水層の2つの部分とから構成される。海底電力ケーブルが設置されたときに水を含む剛性外部ケーシングは、内部水密ケーシングの周りおよび遮水層の2つの部分の周りに配置されてもよい。
【0010】
一実施形態によれば、遮水層は金属製遮水層である。
【0011】
一実施形態によれば、金属製遮水層は、長手方向に溶接された金属シース、押出金属シース、または長手方向に接合された積層シースである。接合は、例えば、接着剤またははんだを用いてもよい。
【0012】
金属製遮水層は、例えば、銅材料、オーステナイト系ステンレス鋼などのステンレス鋼、アルミニウム、または鉛を含むことができる。
【0013】
一実施形態によれば、2つの第2の区間の各々は、第1の区間よりも長い。
【0014】
一実施形態によれば、第1の区間は、少なくとも1m、例えば少なくとも2m、例えば少なくとも3m、例えば少なくとも5m、または少なくとも10mである。
【0015】
一実施形態によれば、第1の区間は、高々200m、例えば高々150m、例えば高々100m、例えば高々50mである。
【0016】
一実施形態によれば、各第2の区間は、少なくとも500mの長さ、例えば少なくとも1000mの長さ、例えば少なくとも5000mの長さである。
【0017】
一実施形態は、第1の区間に配置された接合部を備える。
【0018】
一実施形態によれば、接合部は、導体接合部と、導体接合部の周りに配置された接合部絶縁システムとを備える。したがって、導体接合部および接合部絶縁システムは、第1の区間に沿った半径方向の浸水から保護される。
【0019】
一実施形態によれば、接合部絶縁システムは、加硫接合部絶縁システムであるか、または組立て式のエラストマースリーブを備える。
【0020】
一実施形態は、第2の区間全体に沿って絶縁システムとポリマーシースとの間に配置された水膨潤性テープを備える。
【0021】
一実施形態は、第1の区間全体に沿って絶縁システムとポリマーシースとの間に配置された水膨潤性テープを備える。
【0022】
一実施形態によれば、海底電力ケーブルは、AC電力ケーブルまたはDC電力ケーブルである。
【0023】
海底電力ケーブルは、33kV以上の電圧定格を有するAC電力ケーブルであってもよい。電圧定格は、例えば、66kV以上、例えば132kV以上であってもよい。
【0024】
一実施形態によれば、海底電力ケーブルは、海底電力ケーブルの最外層である外部シースまたは外部サービングを備え、外部シースまたは外部サービングは、第1の区間の長さの大部分または全長に沿って延在する。
【0025】
海底電力ケーブルは、アレイケーブルまたは洋上風力発電用途のための送電ケーブルであってもよい。
【0026】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの/その要素、装置、構成要素、手段」などへのすべての言及は、特に明記しない限り、その要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0027】
ここで、以下の添付の図面を参照して、本発明の概念の具体的な実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】海底電力ケーブルの一例の側面図を概略的に示す。
図2】線A-Aに沿った図1の海底電力ケーブルの断面を概略的に示す。
図3】線B-Bに沿った図1の海底電力ケーブルの断面を概略的に示す。
図4図1の海底電力ケーブルの第1の区間の縦断面を概略的に示すクローズアップ図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで、例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、これ以降さらに詳しく本発明の概念を説明する。しかし、本発明の概念は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同じ番号は同じ要素を指す。
【0030】
図1は、海底電力ケーブル1の一例の側面図を示す。海底電力ケーブル1は、半径方向の浸水保護に関してハイブリッド設計を有する。海底電力ケーブル1は、海底電力ケーブル1の軸方向に延在する区間である第2の区間1aおよび1bを備える。さらに、海底電力ケーブル1は、2つの第2の区間1aと1bとの間に軸方向に配置された第1の区間1cを備える。したがって、第1の区間1は、海底電力ケーブル1の軸方向に延在する区間でもある。第1の区間1cは、2つの第2の区間1a、1bに直接隣接している。したがって、第1の区間1cは、2つの第2の区間1aおよび1bに移行する。
【0031】
第1の区間1cは、第2の区間1aおよび1bよりも良好な半径方向の浸水保護を有する。
【0032】
海底電力ケーブル1が沖合に設置されている場合、第2の区間1aおよび1bの大部分または全体、ならびに第1の区間1cは、海面下、すなわち水中に配置される。
【0033】
第1の区間1cは、一例によれば、第1の区間1cの軸方向の小区間が隣接する第2の区間1aおよび1bの各々から十分に遠くに位置し、第2の区間1a、1bのうちの1つから軸方向の小区間に達するまでの長手方向の浸水が海底電力ケーブル1の動作寿命全体を占めるか、または少なくとも浸水が、海底電力ケーブル1の動作寿命の間、軸方向の小区間の絶縁システム内の相対湿度が、水トリーが発生し得る閾値を下回るような少量であるほど長くてもよい。
【0034】
第1の区間1cは、少なくとも1m、例えば少なくとも2m、例えば少なくとも3m、例えば少なくとも5m、または少なくとも10mであってもよい。第1の区間1cは、典型的には、高々200m、例えば高々150m、例えば高々100m、例えば高々50mであってもよい。
【0035】
各第2の区間1a、1bは、少なくとも500mの長さ、例えば少なくとも1000mの長さ、例えば少なくとも5000mの長さであってもよい。
【0036】
典型的には、第2の区間1aおよび1bの各々は、第1の区間1cよりも少なくとも1桁長い。
【0037】
図2は、図1の線A-Aに沿った、すなわち第1の区間1cに沿った海底電力ケーブル1の一例の断面を概略的に示す。
【0038】
例示した海底電力ケーブル1は、シングルコア海底電力ケーブルを示しているが、海底電力ケーブル1は、代わりにマルチコア海底電力ケーブルであってもよい。
【0039】
海底電力ケーブル1は、AC海底電力ケーブルであってもよいか、またはDC海底電力ケーブルであってもよい。
【0040】
海底電力ケーブル1は、導体3と、導体3の周りに配置された絶縁システム5とを備える。
【0041】
絶縁システム5は、導体3の周りに配置された内部半導電層7と、内部半導電層7の周りに配置された絶縁層9と、絶縁層9の周りに配置された外部半導電層11とを備える。
【0042】
絶縁システム5は、油などの絶縁流体を含浸させた押出絶縁システムまたは紙ベースの絶縁システムであってもよい。
【0043】
絶縁システム5が押出絶縁システムである場合、絶縁システムは、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム(EPR)またはエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)などのポリマー材料を備える。
【0044】
例示した海底電力ケーブル1はまた、絶縁システム5の周りに設けられた機械的に可撓性のシース13を備える。機械的に可撓性のシース13は、遮水層13、特に半径方向の遮水層13である。遮水層13である、機械的に可撓性のシース13は、金属製遮水層であってもよい。
【0045】
機械的に可撓性のシース13 13は、第1の区間1c全体に沿って連続的に延在してもよい。第1の区間1cに沿って絶縁システム5の周りに設けられた機械的に可撓性のシース13は、海底電力ケーブル1の第1の区間1cに沿ってのみ延在する。したがって、第2の区間1aおよび1bに沿って、機械的に可撓性のシース13または異なるタイプの機械的に可撓性のシースは存在せず、第1の区間1cに沿った機械的に可撓性のシースよりも高い水に対する半径方向の透過性が提供される。
【0046】
機械的に可撓性のシース13は、例えば、鉛、無酸素銅などの銅材料、または銅-ニッケル合金などの銅合金、オーステナイト系ステンレス鋼などのステンレス鋼、またはアルミニウムを含むことができる。
【0047】
機械的に可撓性のシース13は、長手方向の溶接継目を有してもよく、またははんだ付けされてもよく、または押出金属シースであってもよい。溶接は、自溶的に、すなわち、いかなる溶加剤も利用することなく行われていてもよい。あるいは、機械的に可撓性のシース13は、対向する縁部が接着剤によって接合された積層シースであってもよい。積層シースは、1つ以上のポリマー層と、アルミニウム層などの金属層とを備えていてもよい。
【0048】
金属製遮水層13は、平坦な、すなわち、波形でなくてもよく、または波形であってもよい。
【0049】
海底電力ケーブル1は、一例によれば、第1の区間1cに沿って絶縁システムと機械的に可撓性のシース13との間に配置された遮水または水膨潤性テープを備えることができる。一例によれば、水膨潤性テープは、第1の区間1cの全長に沿って配置されてもよい。水膨潤性テープは、例えば、第2の区間1a、1bから第1の区間1cへの長手方向の浸水を低減または制限する。
【0050】
海底電力ケーブル1は、一例によれば、金属製遮水層13の半径方向内側に、絶縁システム5の周りに螺旋状に配置された銅線などの複数の金属線を備えたスクリーン層を備えることができる。
【0051】
海底電力ケーブル1は、機械的に可撓性のシース13の周りに配置されたポリマーシース15を備えてもよい。ポリマーシース15は、第1の区間1cに沿って機械的に可撓性のシース13上に押し出されてもよい。
【0052】
海底電力ケーブル1は、複数の細長い外装要素17を備える装甲層を備えることができる。装甲層は、ポリマーシース15の周りに配置される。
【0053】
さらに、海底電力ケーブル1は、装甲層の周りに配置された外部シースまたは外部サービング19を備えることができる。外部シースまたは外部サービング19は、海底電力ケーブル1の最外層を形成することができる。
【0054】
海底電力ケーブルがマルチコア海底電力ケーブルである例では、各コアは、第1の区間1cに沿ってポリマーシース15まで上述した一般的な構造を有する。コアは、任意選択の装甲層がすべてのコアの周りに配置されて、撚り合わせた構成で配置される。
【0055】
図3は、図1の線B-Bに沿った、すなわち第2の区間1aに沿った海底電力ケーブル1の一例の断面を概略的に示す。第2の区間1bは、第2の区間1aと同一または同様であってもよい。
【0056】
一般に、第2の区間1aにおいて、海底電力ケーブル1は、導体3から外部半導電層11までは、第1の区間1cと同様の構造を有する。しかし、第2の区間1aは、機械的に可撓性のシース13が無くてもよく、または、代替として、第1の区間1cの機械的に可撓性のシース13よりも高い径方向の水透過性を有する機械的に可撓性のシースを有してもよい。この点に関して、いくつかの例によれば、ポリマーシース15は、外部半導電層11の外側に直接配置されてもよい。あるいは、いくつかの例によれば、海底電力ケーブル1は、第1の区間1cにスクリーン層が設けられ、ポリマーシース15がスクリーン層の周りに配置され得る場合、第1の区間1cのスクリーン層の延長であり得る複数の金属線を備える、例えば、スクリーン層を備えてもよい。一例によれば、スクリーン層は、第1の区間1cにスクリーン層が無い場合に、海底電力ケーブル1の全長に沿った障害電流を処理することができるように、第1の区間1cの機械的に可撓性のシース13に、それが金属製遮水層である場合、電気的に接続されてもよい。
【0057】
第1の区間1cの機械的に可撓性のシース13が積層シースである場合、第2の区間1aおよび1bは、積層シースを含まず、また、金属押し出しされたまたは長手方向に溶接されたまたははんだ付けされた機械的に可撓性のシースも含まない。第1の区間1cの機械的に可撓性のシース13が、押し出しされた、もしくは長手方向に溶接された、もしくははんだ付けされた機械的に可撓性のシースである場合、第2の区間1aおよび1bは、積層シースを有さなくてもよく、積層シースは接着剤によって接合された縁部を有し、金属押し出しされた、もしくは長手方向に溶接された、もしくははんだ付けされた機械的に可撓性のシースよりも接合領域において低い半径方向の水透過性を有するため積層シースを有してもよく、または絶縁システム5の周りに巻き付けられた金属製テープを有してもよい。
【0058】
一例によれば、海底電力ケーブル1は、絶縁システムとポリマーシース15との間に配置された水膨潤性テープを有することができる。
【0059】
海底電力ケーブルがマルチコア海底電力ケーブルである例では、各コアは、第2の区間1aおよび1bに沿ってポリマーシース15まで上述した一般的な構造を有する。コアは、任意選択の装甲層がすべてのコアの周りに配置されて、撚り合わせた構成で配置される。
【0060】
図4は、第1の区間1cに沿った海底電力ケーブル1の一部の縦断面を概略的に示す。この例によれば、海底電力ケーブル1は、導体接合部23と、導体接合部23の周りに配置された接合部絶縁システム25とを含む接合部21を備える。したがって、導体接合部23、および導体接合部23上の絶縁システム5の復元である接合部絶縁システム25は、海底電力ケーブル1の第1の区間1c内に含まれる。一例によれば、導体接合部23および接合部絶縁システム25は、前述の軸方向の小区間内に含まれていてもよい。
【0061】
接合部絶縁システム25は、加硫接合部絶縁システムであってもよく、すなわち、接合部21は、図4に示すように工場接合であってもよく、または組立て式のエラストマースリーブを備えてもよく、すなわち、接合部21は、現場接合であってもよい。
【0062】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して上述されている。しかし、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】