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特開2024-132940固定装置を備えた移動式クレーンのアウトリガ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132940
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】固定装置を備えた移動式クレーンのアウトリガ
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/78 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B66C23/78 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024034574
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】23161955.2
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】524088179
【氏名又は名称】マニトワック クレーン グループ フランス エスエーエス
【氏名又は名称原語表記】Manitowoc Crane Group France SAS
【住所又は居所原語表記】66 chemin du Moulin Carron-C60236 69574 Dardilly France
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ディーター シュトゥール ヴォルト
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205FA01
3F205FA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クレーン動作のために支持部材の位置を確実に画定する従来の解決策と比べて改善された方法を提供する。
【解決手段】移動式クレーンの支持装置であって、第1の支持セグメント1と、第2の支持セグメント2と、第1の支持セグメント1および第2の支持セグメント2にそれぞれ割り当てられ、第1の支持セグメント1と第2の支持セグメント2との間の任意の相対位置において位置変更移動Tを阻止するために互いの当接状態に移動され得る接触部分5、6を備える固定装置4とを具備する、移動式クレーンの支持装置において、第2の支持セグメントが、水平方向Hであって位置変更移動Tに対する横断方向に延在する軸線Aを中心に第1の支持セグメント1内において第1の支持セグメント1に対して回転することができ、したがって接触部分5、6を選択的に互いの当接状態に移動させるまたは互いから分離することができる、移動式クレーンの支持装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式クレーンの支持装置であって、
- 前記移動式クレーンの車台に締結され得る、第1の支持セグメント(1)と、
- 前記第1の支持セグメント(1)内で前記第1の支持セグメント(1)に対して移動することができる第2の支持セグメント(2)であって、垂直方向(V)に移動することができる支持脚部(3)を備える、第2の支持セグメント(2)と、
- 前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)にそれぞれ割り当てられ、前記第1の支持セグメント(1)と前記第2の支持セグメント(2)との間の任意の相対位置において前記第1の支持セグメント(1)の位置変更移動(T)を阻止するために互いの当接状態に移動され得る接触部分(5、6)を備える、固定装置(4)と
を具備する、移動式クレーンの支持装置において、
前記第2の支持セグメントが、水平方向(H)であって前記位置変更移動(T)に対する横断方向に延在する軸線(A)を中心に前記第1の支持セグメント(1)内において前記第1の支持セグメント(1)に対して回転することができ、したがって前記接触部分(5、6)を選択的に互いの当接状態に移動させるまたは互いから分離することができることを特徴とする、
移動式クレーンの支持装置。
【請求項2】
前記支持脚部(3)に面する前記第1の支持セグメント(1)の端部領域が、
- 特に少なくとも1つの転動要素(7)を備える下側支持支承部(8)であり、それにより前記第2の支持セグメント(2)が移動中に前記第1の支持セグメント(1)で支持され得る、下側支持支承部(8)と/または、
- 特に少なくとも1つの押圧要素(9)を備える上側支持支承部(10)であり、それにより前記第2の支持セグメント(2)が回転中に前記第1の支持セグメント(1)で支持され得る、上側支持支承部(10)と
を備える、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項3】
- 前記支持脚部(3)から離れた方を向く前記第2の支持セグメント(2)の端部領域が、特に少なくとも1つの押圧要素(11)を備える上側支持支承部(12)であり、それにより前記第2の支持セグメント(2)が移動中に前記第1の支持セグメント(1)で支持され得る、上側支持支承部(12)を備える、および/または、
- 前記第2の支持セグメント(2)が、その重心(S)が常に前記第1の支持セグメント(1)の前記下側支持支承部(8)を越えて、特に前記第1の支持セグメント(1)の外に配置されるように具現化される、
請求項1または2に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項4】
前記接触部分(5、6)がそれぞれ前記第1の支持セグメント(1)の内壁(13)および前記第2の支持セグメント(2)の外壁(14)に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項5】
それぞれの前記接触部分(5、6)が、ポジティブ・フィットで噛み合い、前記接触部分(5、6)の少なくとも一方が、特に歯付きプロファイルを呈する、請求項1から4のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項6】
前記固定装置(4)が、前記接触部分(5、6)が互いの当接状態に移動するとすぐに付勢され、付勢されると前記接触部分(5、6)を互いに再び分離する傾向がある解放装置(15)を備え、前記解放装置(15)が、特に弾性ばね(16)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項7】
前記第1の支持セグメント(1)に対する前記第2の支持セグメント(2)の前記位置変更移動(T)が、油圧シリンダまたは機械駆動装置によって生成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項8】
前記支持脚部(3)が、油圧支持シリンダ(17)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項9】
前記第1の支持セグメント(1)が、支持ボックスによって形成され、前記支持ボックスが、移動することができそれぞれが第2の支持セグメント(2)を形成する支持部材を前記支持ボックスの両側で備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の支持装置を備える移動式クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対して移動することができる2つの支持セグメント間の任意の相対位置が固定装置によって画定される、移動式クレーンの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン動作中に移動式クレーンに十分な傾き安定性をもたらすために、それらの車台は一般に、車台の長手方向軸に対する横断方向に伸長され得る、および/または枢動され得る4つの支持部材を含むアウトリガを備える。支持部材はそれぞれ、車台から離れた方を向くそれらの端部に支持シリンダを備える。支持シリンダは、垂直方向に伸長され得、支持ディスクによって地面上で支持される。一般に、互いに反対方向に伸長され得る2つの支持部材は、車台の前部領域および後部領域のそれぞれに配置される。クレーン動作中の変形および荷重変化は、支持部材内に長手方向力を引き起こし、それが支持部材のずれを生じさせる場合がある。支持部材の意図的でない長手方向の移動は、一般に、支持部材を機械的にボルト締めすることによって防止される。しかし、構造上の理由から、可能なボルト締めの位置の数は限定される。
【0003】
近年の設計のクレーンは、荷重トルクリミッタを備える。この荷重トルクリミッタは、原理上、支持部材のあらゆる位置のアプローチを可能にし、したがって難しいスペースでのクレーン動作が簡素化されるか、または荷重トルクリミッタを使う場合にのみ可能な難しいスペースでのクレーン動作を可能にさえする。しかし、上述の理由から、支持部材のすべての位置において機械的なボルト締めを行うことは不可能であり、したがって、支持部材の位置を確実に画定することは不可能である。したがって、クレーンを安全に動作するために、支持部材の現在位置が連続的に監視される必要があり、支持部材がその目標位置を離れた場合にはあるクレーン機能が無効化される必要がある。DE102020212687では、ブレーキ・レールおよびブレーキ・レールに係合するブレーキ係合要素を用いて支持部材の位置を画定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE102020212687
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、クレーン動作のために支持部材の位置を確実に画定する従来の解決策と比べて改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立特許請求項1の主題によって達成される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を定義し、同等の特許請求項10は、本発明を備える移動式クレーンを定義する。
【0007】
本発明による移動式クレーンの支持装置は、移動式クレーンの車台に締結され得る第1の支持セグメントと、第1の支持セグメント内で第1の支持セグメントに対して移動することができる第2の支持セグメントであって、垂直方向に移動することができる支持脚部を備える第2の支持セグメントと、第1の支持セグメントおよび第2の支持セグメントにそれぞれ割り当てられ第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとの間の任意の相対位置において第1の支持セグメントの位置変更移動を阻止するために互いの当接状態に移動され得る接触部分を備える、固定装置とを具備する。本発明によれば、第2の支持セグメントが、水平方向であって位置変更移動に対する横断方向に延在する軸線を中心に第1の支持セグメント内において第1の支持セグメントに対して回転することができ、したがって接触部分を選択的に互いの当接状態に移動させるまたは互いから分離することができる。
【0008】
第1の支持セグメントは、この場合、クレーン車台において恒久的または取り外し可能に固定位置をとるいわゆる支持ボックスによって形成され得る。しかし、第1の支持セグメントは、クレーン車台および/または支持ボックスに対して並進的に移動または回転的に枢動され得る支持部材によって同様に形成されてもよい。したがって、本発明による支持装置は、互いに対しておよび/またはクレーン車台に対して回転的または並進的に移動することができる任意の数の支持セグメントから構築され得、その並進位置変更移動は、本発明による固定装置によって阻止され得る。
【0009】
本発明によれば、第2の支持セグメントは、第1の支持セグメントに対して並進的に移動する、すなわち伸長し再び引っ込むことができるだけではない。そうではなく、第2の支持セグメントは、第2の支持セグメントが第1の支持セグメントから外に伸長され再び引っ込められる方向に対する横断方向、特に垂直方向に延在する水平軸線を中心に、第1の支持セグメント内において枢動または傾くことも可能である。以下にさらに詳細に説明するように、この回転移動は、第2の支持セグメントの自由端の支持シリンダを作動させることによって引き起こされる。というのも、クレーンのアウトリガを介した地面に対するクレーンの荷重により引き起こされる力の消散は、結果的に支持セグメント上にかかる横断方向力荷重になり、そのため支持セグメントの端部部分がいずれの場合も他方の支持セグメントに当接するからである。本発明は、この効果およびそれぞれの支持セグメントの接触部分間に作用する力を用いて、第1の支持セグメントに対する第2の支持セグメントの位置変更移動を効果的に阻止する。支持シリンダが引っ込められるとき、支持セグメントにかかる横断方向力荷重、したがってやはりまた支持セグメント間の接触部分に作用する力も打ち消され、それによって、再び、第1の支持セグメント内の第2の支持セグメントの位置変更移動が可能になる。
【0010】
本発明による支持装置において、2つの支持セグメント間の相対位置は、こうして、別個のアクチュエータの必要なくして、クレーンの重さによる支持装置における垂直荷重に応じて定められる。
【0011】
一実施形態によれば、支持脚部に面する第1の支持セグメントの端部領域が、
- 特に少なくとも1つの転動要素を備える下側支持支承部であり、それにより第2の支持セグメントが移動中に第1の支持セグメントで支持され得る、下側支持支承部と/または、
- 特に少なくとも1つの押圧要素を備える上側支持支承部であり、それにより第2の支持セグメントが回転中に第1の支持セグメントで支持され得る、上側支持支承部と
を備える。
【0012】
上述したような第1の支持セグメントの支持支承部は、支持セグメントが支持装置の個々の荷重状態において互いに接触する位置を画定する。並進的な相対移動が第2の支持セグメントの下に配置される支持支承部の領域内の互いに接触する支持セグメント間で行われるので、この領域における摩耗を回避するために、1つもしくは複数の適当な転動要素または少なくとも摩擦を低減させる摺動要素を設けることが有利である。移動式クレーンが支持されるとき、第2の支持セグメントの上に配置される支持支承部は、いわば支点として働き、過剰な材料応力を回避するために第2の支持セグメントのための対応する大きな支承面をもたらさなければならない。この支持支承部の位置は、第1の支持セグメント内に残された第2の支持セグメントの部分の長さと相まって、接触部分に作用する力、したがって結果的に、対応する接触部分によってもたらされる能力であって第1の支持セグメントに対する第2の支持セグメントの位置を画定する能力に大きな影響を及ぼす。
【0013】
他の態様によれば、
- 支持脚部から離れた方を向く第2の支持セグメントの端部領域が、特に少なくとも1つの押圧要素を備える上側支持支承部であり、それにより第2の支持セグメントが移動中に第1の支持セグメントで支持され得る、上側支持支承部を備える、および/または、
- 第2の支持セグメントが、その重心が常に第1の支持セグメントの下側支持支承部を越えて特に第1の支持セグメントの外に配置されるように具現化される。
【0014】
上述した支持支承部は、第2の支持セグメントが第1の支持セグメント内で移動しているときの摩擦および摩耗を低減させる働きをし、第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとの間で第2の支持セグメントの下に配置される支持支承部のように、1つもしくは複数の転動要素または少なくとも摩擦を低減させることで摩耗を低減させる摺動要素を備えることができる。
【0015】
第2の支持セグメントの重心が、常に、すなわちすべての相対位置において、第2の支持セグメントの下に配置される支持支承部より、クレーン車台から離れた方を向く側に置かれることも有利であり、それによって、支持装置が荷重に曝されないとき、第1の支持セグメント内に配置された第2の支持セグメントの部分がいわば自動的に持ち上げられ、それによってそれぞれの接触部分が互いから分離される。
【0016】
他の実施形態では、接触部分がそれぞれ第1の支持セグメントの内壁および第2の支持セグメントの外壁に配置される。しかし、接触部分のうちの少なくとも一方が、それが割り当てられた支持セグメント上に直接配置されるのではなく、むしろ、接触部分と支持セグメントとの間に配置され接触部分と支持セグメントとの間において現行の力を伝達する1つまたは複数の構造体を介して間接的にのみ配置されることも同様に考えることができる。
【0017】
原理上、支持装置が荷重に曝されることによって当接状態へ移動される接触部分が、2つの支持セグメントを摩擦嵌合で互いに対して固定することが考えられる。しかし、それぞれの接触部分がポジティブ・フィット(positive fit)で噛み合うことも同様に可能であり、そこにおいて、特に接触部分のうちの少なくとも一方が、接触部分間にポジティブ・フィットを確立することに適した歯付きプロファイルまたは同等のプロファイルを呈する。
【0018】
他の実施形態では、固定装置が、接触部分が互いの当接状態に移動されるとすぐに付勢され、付勢されると接触部分を互いから再び分離する傾向がある解放装置を備え、解放装置が、特に弾性ばねを備える。第1の支持セグメントの外に位置する重心を有する第2の支持セグメントの代替として、またはそれに加えて、そのような解放装置は、支持装置が荷重に曝されないときに第2の支持セグメントが動けるように機能する。解放装置は、例えば弾性ばねなどの付勢要素によって生成される付勢力を第1の支持セグメントに導入するために、例えば、第1の支持セグメントの内壁および/またはその接触部分に接触する支承要素を備えることができ、ここで、支承要素は、摩耗を回避するために、部分的または全体的に摩擦低減材料から作られ得る。
【0019】
他の実施形態によれば、第1の支持セグメントに対する第2の支持セグメントの位置変更移動が、油圧シリンダによって生成される。原理上、歯車システムを備える機械駆動装置などの任意の適当な装置がこの目的のために考えられる。
【0020】
他の実施形態によれば、支持脚部が、例えば支持ディスクを介して地面上で支持される油圧支持シリンダを備えることができる。
【0021】
他の実施形態では、第1の支持セグメントが、支持ボックスによって形成され、支持ボックスが、支持ボックスの両側において伸縮しそれぞれが第2の支持セグメントを形成する支持部材を備える。
【0022】
本発明の他の態様は、上述した実施形態のうちの1つによる支持装置を備える移動式クレーンに関する。
【0023】
本発明は、好ましい実施形態に基づいて、添付の図面を参照して、以下により詳細に説明される。本発明は、本明細書に開示されるいかなるの特徴をも、個別に、および任意の適当な組合せで含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】荷重に曝されていないときの、本発明による支持装置の図である。
図2】荷重に曝されているときの、図1からの支持装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、第1の支持セグメントまたは支持ボックス1と第2の支持セグメントまたは支持部材2との個々の対に基づいた本発明による支持装置の構造および機能を概略的に示す。支持部材2は、支持ボックス1内に延在し、油圧シリンダ(図示せず)によって、水平方向Tに、右に向けて支持ボックス1から外に伸長され得、かつ、左に向けて支持ボックス1内に再び引っ込められ得る。両側において移動式クレーンを支持するために、支持ボックス1はさらに、第1の支持部材2と同一の方法で、左に向けて支持ボックス1から外に伸長され得、かつ、右に向けてその中へと引っ込められ得る第2の支持部材(図示せず)をも収容する。
【0026】
支持ボックス1およびクレーン車台から離れた方を向いた支持部材2の自由端は、支持脚部3を備える。支持脚部3は、垂直方向Vに移動することができ、支持ディスク、および継ぎ手でそれに連結される油圧シリンダ17のピストン・ロッドを備える。
【0027】
図1に示されるように、支持装置が荷重に曝されていないとき、油圧シリンダ(図示せず)は、支持ボックス1に対して移動方向Tに支持部材2を移動させることができる。支持部材2は、摺動要素として具現化されるその支持支承部12により、および少なくとも1つの転動要素7を備える支持ボックス1の支持支承部8により、静止し、また、支承部12および/または8により支持ボックス1の内面上を摺動またはロール・オフ(roll off)する。支持部材2の重心Sは、支持支承部8を越えておよび/または支持ボックス1の外に位置し、したがって時計回りの傾動トルクが生成され、それによって接触部分5および6の間隔が開いたままにされる。
【0028】
支持部材2が所望の長さだけ支持ボックス1から出て伸長される(左手側の支持部材(図示せず)が任意の他の長さだけ支持ボックス1から出て伸長され得る)とすぐに、支持脚部3は、移動式クレーンを支持するために、油圧シリンダ17によって垂直方向に下方に伸長される。支持脚部が地面と接触したときに発生する接触力によって、支持部材2は、支持支承部8および10の領域において支持ボックス1に対して軸線Aを中心に反時計回りに回転する、および/または傾く。次いで、支持部材2は、支持支承部10を介して支持ボックス1で支持され、そこにおいて、支持部材2の外面14に配置された接触面6と支持ボックス1の内面13に配置された接触面5とが当接状態に移動する。図示の例において、接触面5、6は、対応する歯付きプロファイルとして具現化され、ポジティブ・フィットで噛み合う。接触面6が支持部材2の移動範囲全体にわたって係合できるようにするために、接触面5は、支持ボックス1の内部においてこの目的のために必要な長さに延在する。接触面5と接触面6との間のポジティブ・フィット係合により、支持部材2は、移動方向Tに移動することがもはや不可能になる。
【0029】
クレーンの使用後、支持脚部3が油圧シリンダ17によって再び垂直方向に上方に上げられるとすぐに、支持装置は荷重から解放される。重心Sの位置により、およびばね16が摺動ブロック15を介して伸縮ボックス1上に及ぼす付勢力により、軸線Aを中止とした時計回り回転移動が支持支承部8および10の領域内で発生し、接触部分5および6が互いから再び分離され、図1に示される状態を呈する。支持装置が荷重に曝されないとき、支持部材2は再び移動することが可能になる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式クレーンの支持装置であって、
- 前記移動式クレーンの車台に締結され得る、第1の支持セグメント(1)と、
- 前記第1の支持セグメント(1)内で前記第1の支持セグメント(1)に対して移動することができる第2の支持セグメント(2)であって、垂直方向(V)に移動することができる支持脚部(3)を備える、第2の支持セグメント(2)と、
- 前記第1の支持セグメント(1)および前記第2の支持セグメント(2)にそれぞれ割り当てられ、前記第1の支持セグメント(1)と前記第2の支持セグメント(2)との間の任意の相対位置において前記第1の支持セグメント(1)の位置変更移動(T)を阻止するために互いの当接状態に移動され得る接触部分(5、6)を備える、固定装置(4)と
を具備する、移動式クレーンの支持装置において、
前記第2の支持セグメントが、水平方向(H)であって前記位置変更移動(T)に対する横断方向に延在する軸線(A)を中心に前記第1の支持セグメント(1)内において前記第1の支持セグメント(1)に対して回転することができ、したがって前記接触部分(5、6)を選択的に互いの当接状態に移動させるまたは互いから分離することができることを特徴とする、
移動式クレーンの支持装置。
【請求項2】
前記支持脚部(3)に面する前記第1の支持セグメント(1)の端部領域が、
- 特に少なくとも1つの転動要素(7)を備える下側支持支承部(8)であり、それにより前記第2の支持セグメント(2)が移動中に前記第1の支持セグメント(1)で支持され得る、下側支持支承部(8)と/または、
- 特に少なくとも1つの押圧要素(9)を備える上側支持支承部(10)であり、それにより前記第2の支持セグメント(2)が回転中に前記第1の支持セグメント(1)で支持され得る、上側支持支承部(10)と
を備える、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項3】
- 前記支持脚部(3)から離れた方を向く前記第2の支持セグメント(2)の端部領域が、特に少なくとも1つの押圧要素(11)を備える上側支持支承部(12)であり、それにより前記第2の支持セグメント(2)が移動中に前記第1の支持セグメント(1)で支持され得る、上側支持支承部(12)を備える、および/または、
- 前記第2の支持セグメント(2)が、その重心(S)が常に前記第1の支持セグメント(1)の前記下側支持支承部(8)を越えて、特に前記第1の支持セグメント(1)の外に配置されるように具現化される、
請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項4】
前記接触部分(5、6)がそれぞれ前記第1の支持セグメント(1)の内壁(13)および前記第2の支持セグメント(2)の外壁(14)に配置される、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項5】
それぞれの前記接触部分(5、6)が、ポジティブ・フィットで噛み合い、前記接触部分(5、6)の少なくとも一方が、特に歯付きプロファイルを呈する、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項6】
前記固定装置(4)が、前記接触部分(5、6)が互いの当接状態に移動するとすぐに付勢され、付勢されると前記接触部分(5、6)を互いに再び分離する傾向がある解放装置(15)を備え、前記解放装置(15)が、特に弾性ばね(16)を備える、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項7】
前記第1の支持セグメント(1)に対する前記第2の支持セグメント(2)の前記位置変更移動(T)が、油圧シリンダまたは機械駆動装置によって生成される、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項8】
前記支持脚部(3)が、油圧支持シリンダ(17)を備える、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項9】
前記第1の支持セグメント(1)が、支持ボックスによって形成され、前記支持ボックスが、移動することができそれぞれが第2の支持セグメント(2)を形成する支持部材を前記支持ボックスの両側で備える、請求項1に記載の移動式クレーンの支持装置。
【請求項10】
請求項1に記載の支持装置を備える移動式クレーン。
【外国語明細書】