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特開2024-132942素子アレイ回路、素子アレイ回路ユニット、電磁波センサ、温度センサ、および歪センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132942
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】素子アレイ回路、素子アレイ回路ユニット、電磁波センサ、温度センサ、および歪センサ
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/44 20060101AFI20240920BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240920BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20240920BHJP
   G01J 5/22 20060101ALI20240920BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20240920BHJP
   G01K 7/16 20060101ALI20240920BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01J1/44 E
G01J1/02 Q
G01J1/42 B
G01J5/22
G01J5/48 A
G01K7/16 Z
G01L5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034796
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2023040366
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千里内 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】原 晋治
(72)【発明者】
【氏名】青木 進
(72)【発明者】
【氏名】太田 尚城
【テーマコード(参考)】
2F051
2G065
2G066
【Fターム(参考)】
2F051AB07
2F051AB09
2F051AC01
2F051BA07
2G065AA04
2G065AA08
2G065AA11
2G065AB02
2G065BA12
2G065BA34
2G065BC01
2G066BA09
2G066CA02
(57)【要約】
【課題】高い精度で抵抗値などに関連する測定値が得られる素子アレイ回路を提供する。
【解決手段】本発明の一実施態様に係る素子アレイ回路は、第1部分をそれぞれが含む複数の第1配線と、複数の第1部分のそれぞれと異なる方向に延在する第2部分をそれぞれが含む複数の第2配線と、複数のインピーダンス素子とを備える。複数のインピーダンス素子は、複数の第1配線のうちの1つと複数の第2配線のうちの1つとの双方にそれぞれが接続される。複数の第2配線のそれぞれは、複数の第2配線のそれぞれに接続される複数のインピーダンス素子のそれぞれの状態を示す信号が流れる読み出し線である。複数の第1部分のそれぞれの単位長あたりの抵抗値が、複数の第2部分のそれぞれの単位長あたりの抵抗値よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分をそれぞれが含む複数の第1配線と、
複数の前記第1部分のそれぞれと異なる方向に延在する第2部分をそれぞれが含む複数の第2配線と、
前記複数の第1配線のうちの1つと前記複数の第2配線のうちの1つとの双方にそれぞれが接続される複数のインピーダンス素子と
を備え、
前記複数の第2配線のそれぞれは、前記複数の第2配線のそれぞれに接続される前記複数のインピーダンス素子のそれぞれの状態を示す信号が流れる読み出し線であり、
前記第1部分は、前記複数の第1配線のそれぞれにおける前記複数のインピーダンス素子が接続されている区間部分であり、
前記第2部分は、前記複数の第2配線のそれぞれにおける前記複数のインピーダンス素子が接続されている区間部分であり、
前記複数の第1部分のそれぞれの単位長あたりの抵抗値が、前記複数の第2部分のそれぞれの単位長あたりの抵抗値よりも小さい
素子アレイ回路。
【請求項2】
それぞれが、正入力端子と、前記複数の第2配線のうちの1つに接続可能な負入力端子と、出力端子とを有する1以上のオペアンプとをさらに備え、
前記複数の第1配線から選択される1つの選択第1配線の前記第1部分に印加される電圧とは値の異なる電圧が、前記複数の第1配線のうちの前記選択第1配線以外の非選択第1配線の前記第1部分と前記1以上のオペアンプの前記正入力端子との双方に印加される
請求項1記載の素子アレイ回路。
【請求項3】
第1配線選択部をさらに備え、
前記第1配線選択部は、前記複数の第1配線のうちの1つを前記選択第1配線として選択する
請求項2記載の素子アレイ回路。
【請求項4】
それぞれが、前記負入力端子および前記出力端子と接続され、前記負入力端子に接続される前記複数の第2配線のうちの1つを流れる電流を電圧に変換する1以上の変換素子をさらに備える
請求項2記載の素子アレイ回路。
【請求項5】
前記複数の第2配線の本数は、前記複数の第1配線の本数よりも少ない
請求項1記載の素子アレイ回路。
【請求項6】
請求項1記載の素子アレイ回路を複数有し、
複数の前記素子アレイ回路が、前記複数の第1部分が延在する方向に並んで配置されている
素子アレイ回路ユニット。
【請求項7】
正入力端子と、複数の前記素子アレイ回路に含まれる前記複数の第2の配線のうちの1つに接続可能な負入力端子と、出力端子とを有する1つのオペアンプと、
前記複数の素子アレイ回路に含まれる前記複数の第2配線のうちの1つを1つの選択第2配線として選択し、前記1つの選択第2配線を前記負入力端子と接続する1つの第2配線選択部と
をさらに備え、
前記複数の素子アレイ回路のそれぞれにおいて、前記複数の第1配線から選択される1つの選択第1配線に印加される電圧とは値の異なる電圧が、前記複数の第1配線のうちの前記選択第1配線以外の非選択第1配線と前記1つのオペアンプの前記正入力端子との双方に印加される
請求項6記載の素子アレイ回路ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の素子アレイ回路を有する電磁波センサ。
【請求項9】
請求項6または請求項7に記載の素子アレイ回路ユニットを有する電磁波センサ。
【請求項10】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の素子アレイ回路を有する温度センサ。
【請求項11】
請求項6または請求項7に記載の素子アレイ回路ユニットを有する温度センサ。
【請求項12】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の素子アレイ回路を有する歪センサ。
【請求項13】
請求項6または請求項7に記載の素子アレイ回路ユニットを有する歪センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のインピーダンス素子を含む素子アレイ回路、ならびにそれを備えた素子アレイ回路ユニット、電磁波センサ、温度センサ、および歪センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マトリックス状に配列された複数の抵抗素子を有する抵抗素子アレイ回路が開示されている。このような抵抗素子アレイ回路は、例えば赤外線検知回路として利用されている(例えば特許文献1参照)。このような赤外線検知回路では、温度変化に応じて自身の抵抗値が変化するサーミスタなどの赤外線感応抵抗体が複数配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-94443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような赤外線検知回路などの素子アレイ回路では、高い精度で抵抗値などに関連する測定値が得られることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施態様に係る素子アレイ回路は、第1部分をそれぞれが含む複数の第1配線と、複数の第1部分のそれぞれと異なる方向に延在する第2部分をそれぞれが含む複数の第2配線と、複数の第1配線のうちの1つと複数の第2配線のうちの1つとの双方にそれぞれが接続される複数のインピーダンス素子とを備える。複数の第2配線のそれぞれは、複数の第2配線のそれぞれに接続される複数のインピーダンス素子のそれぞれの状態を示す信号が流れる読み出し線である。第1部分は、複数の第1配線のそれぞれにおける複数のインピーダンス素子が接続されている区間部分である。第2部分は、複数の第2配線のそれぞれにおける複数のインピーダンス素子が接続されている区間部分である。複数の第1部分のそれぞれの単位長あたりの抵抗値が、複数の第2部分のそれぞれの単位長あたりの抵抗値よりも小さい。
【0006】
本開示の一実施態様に係る素子アレイ回路では、複数の第1部分のそれぞれの単位長あたりの抵抗値が、複数の第2部分のそれぞれの単位長あたりの抵抗値よりも小さい。このため、第1配線の第1部分が有する抵抗に起因する電圧降下が抑制される。すなわち、複数の第1配線のそれぞれに接続される複数のインピーダンス素子のそれぞれに印加される電圧同士の差が小さくなる。したがって、複数のインピーダンス素子のそれぞれのインピーダンスに起因する測定値の誤差が小さくなる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施態様に係る素子アレイ回路によれば、高い精度で測定値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の第1の実施の形態に係る素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
図2図2は、参考例としての素子アレイ回路における、接続点の位置と、複数の抵抗素子のそれぞれに印加される電圧との関係を模式的に表した特性図である。
図3図3は、参考例としての素子アレイ回路について、並列接続される抵抗素子の数の増加と、降下電圧の増大との関係を表す説明図である。
図4図4は、本開示の第2の実施の形態に係る素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
図5図5は、本開示の第3の実施の形態に係る素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
図6図6は、本開示の第4の実施の形態に係る素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
図7図7は、本開示の第5の実施の形態に係る素子アレイ回路ユニットの構成例を表す回路図である。
図8図8は、本開示の第6の実施の形態に係る素子アレイ回路ユニットの構成例を表す回路図である。
図9図9は、本開示の第7の実施の形態に係る素子アレイ回路ユニットの構成例を表す回路図である。
図10図10は、本開示の第8の実施の形態に係る素子アレイ回路ユニットの構成例を表す回路図である。
図11図11は、本開示の第9の実施の形態に係る電磁波センサの構成例を表す平面図である。
図12図12は、図11に示した線分A-Aに沿った電磁波センサの断面図である。
図13図13は、図11に示した線分B-Bに沿った電磁波センサの断面図である。
図14図14は、図11に示した線分C-Cに沿った電磁波センサの断面図である。
図15図15は、図11に示した線分D-Dに沿った電磁波センサの断面図である。
図16図16は、図11に示した線分E-Eに沿った電磁波センサの断面図である。
図17図17は、本開示のその他の第1変形例としての素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
図18図18は、本開示のその他の第2変形例としての素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
図19図19は、本開示のその他の第3変形例としての素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(複数の給電線、複数の読み出し線、複数のオペアンプ、を備える素子アレイ回路の第1の例)
2.第2の実施の形態(複数の給電線、複数の読み出し線、複数のオペアンプ、を備える素子アレイ回路の第2の例)
3.第3の実施の形態(複数の給電線、複数の読み出し線、複数のオペアンプ、を備える素子アレイ回路の第3の例)
4.第4の実施の形態(読み出し線選択部を備えた素子アレイ回路の第1の例)
5.第5の実施の形態(複数の素子アレイ回路を備えた素子アレイ回路ユニットの第1の例)
6.第6の実施の形態(複数の素子アレイ回路を備えた素子アレイ回路ユニットの第2の例)
7.第7の実施の形態(複数の素子アレイ回路を備えた素子アレイ回路ユニットの第3の例)
8.第8の実施の形態(複数の素子アレイ回路を備えた素子アレイ回路ユニットの第4の例)
9.第9の実施の形態(素子アレイ回路を備えたセンサデバイスの例)
10.変形例
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[素子アレイ回路1の全体構成例]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る素子アレイ回路1の構成例を模式的に表した回路図である。素子アレイ回路1は、例えば赤外線サーモグラフィに搭載され、素子アレイ回路1に照射される赤外線の強度に応じた出力電圧を出力するように構成されている。
【0011】
図1に示したように、素子アレイ回路1は、例えば複数の給電線A(図1ではA1~Amと表記)と、複数の読み出し線B(図1ではB1~Bnと表記)と、複数の抵抗素子Z(図1ではZ(1,1)~Z(m,n)と表記)と、複数のオペアンプOP(図1ではOP1~OPnと表記)と、複数の抵抗素子RE(図1ではRE1~REnと表記)と、給電線選択部SAと、制御部CTRLとを備えている。なお、図1ではm本の給電線Aが配設された状態を例示しているが、複数の給電線Aの数mは2以上の整数から任意に選択可能である。同様に、図1ではn本の読み出し線Bが配設された状態を例示しているが、複数の読み出し線Bの数nは2以上の整数から任意に選択可能である。図1では、m本の給電線A1~Amのうちのa(aはm以下の自然数)番目の給電線Aaと、n本の読み出し線B1~Bnのうちのb(bはn以下の自然数)番目の読み出し線Bbとの双方に接続される抵抗素子ZをZ(a,b)と表記する。図1以降の図面においても同様の表記とする。また、複数の給電線Aと複数の読み出し線Bとは直接的に接していない。さらに、図1では、m本の給電線A1~Amのうちのa番目の給電線Aaと、抵抗素子Z(a,b)との接続点PをP(a,b)と表記する。また、図1では、n本の読み出し線B1~Bnのうちのb番目の読み出し線Bbと、抵抗素子Z(a,b)との接続点KをK(a,b)と表記する。
【0012】
(給電線A)
給電線Aは、本開示の「第1配線」に対応する一具体例である。
複数の給電線A(図1のA1~Am)のそれぞれは、後出の直流電源PS1から接続点P(a,n)に至るまで延在する導線である。複数の給電線Aのそれぞれは、第1の方向に延在する第1部分PA(図1ではPA1~PAmと表記)を含んでいる。第1部分PA1~PAmのそれぞれは、給電線A1~Amのうちの対応する1つの一部分であり、長さLA1~LAmを有する。なお、図1に示した構成例では、説明を簡素化するため、複数の第1部分PAの全てが同じ長さLAを有するものとするが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、複数の第1部分PAのそれぞれの長さは任意に設定可能である。複数の第1部分PAは、第1の方向とは異なる第2の方向において互いに隣り合うように並んでいる。図1の例では、m本の第1部分PAのそれぞれはX軸方向に延在すると共に、m本の第1部分PAはX軸方向と直交するY軸方向において互いに隣り合うように並んでいる。第1部分PA1は、給電線A1のうちの接続点P(1,1)から接続点P(1,n)までの部分である。第1部分PA2は、給電線A2のうちの接続点P(2,1)から接続点P(2,n)までの部分である。第1部分PAmは、給電線Amのうちの接続点P(m,1)から接続点P(m,n)までの部分である。すなわち、第1部分PAaは、給電線Aaのうちの接続点P(a,1)から接続点P(a,n)までの部分である。つまり、第1部分PAは、複数の給電線Aのそれぞれにおける複数のインピーダンス素子Zが接続されている区間部分である。
【0013】
図1に示したように、複数の給電線A(A1~Am)のそれぞれの第1端部は、直流電源PS1に接続されている。複数の給電線A(A1~Am)のそれぞれは、接続部分WA(図1ではWA1~WAmと表記)をさらに含んでいる。給電線A1のうち、直流電源PS1から接続点P(1,1)までの部分が接続部分WA1であり、給電線A2のうち、直流電源PS1から接続点P(2,1)までの部分が接続部分WA2であり、給電線Amのうち、直流電源PS1から接続点P(m,1)までの部分が接続部分WAmである。すなわち、接続部分WAaは、給電線Aaのうちの直流電源PS1から接続点P(a,1)までの部分である。また、複数の接続部分WA(WA1~WAm)のそれぞれには、接続配線WB(図1ではWB1~WBmと表記)が接続されている。具体的には、接続部分WA1には接続点J1において接続配線WB1の第2端部が接続されており、接続部分WA2には接続点J2において接続配線WB2の第2端部が接続されており、接続部分WAmには接続点Jmにおいて接続配線WBmの第2端部が接続されている。すなわち、接続部分WAaには、接続点Jaにおいて接続配線WBaの第2端部が接続されている。ただし、接続配線WBaの第2端部は、接続点P(a,1)において接続部分WAaに接続されていてもよい。すなわち、接続点Jaと接続点P(a,1)とが一致していてもよい。さらに、接続配線WBaうち、第2端部と反対側の第1端部は、直流電源PS2に接続されている。図1に示したように、複数の接続部分WA(WA1~WAm)は、それぞれの一部分を互いに共有していてもよいし、複数の接続部分WA(WA1~WAm)のそれぞれが独立して個別に直流電源PS1に接続されていてもよい。直流電源PS1は、素子アレイ回路1の内部に設けられていてもよいし、素子アレイ回路1の外部に設けられていてもよい。同様に直流電源PS2は、素子アレイ回路1の内部に設けられていてもよいし、素子アレイ回路1の外部に設けられていてもよい。複数の給電線A(A1~Am)のそれぞれの第1端部には、直流電源PS1により第1の電圧V1が印加できるようになっている。複数の接続配線WB(WB1~WBm)のそれぞれの第1端部には直流電源PS2により第2の電圧V2が印加できるようになっている。
【0014】
給電線Aaのうち直流電源PS1と接続点P(a,1)との間の部分には、スイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)が設けられている。例えば給電線A1のうちの直流電源PS1と接続点P(1,1)との間の部分には、スイッチSWA1-1が設けられ、給電線A2のうちの直流電源PS1と接続点P(2,1)との間の部分には、スイッチSWA1-2が設けられ、給電線Amのうちの直流電源PS1と接続点P(m,1)との間の部分には、スイッチSWA1-mが設けられている。また、接続配線WBaには、スイッチSWAw(SWAw-1~SWAw-m)が設けられている。例えば接続配線WB1には、スイッチSWA2-1が設けられ、接続配線WB2には、スイッチSWA2-2が設けられ、接続配線WBmには、スイッチSWA2-mが設けられている。
【0015】
また、複数の給電線Aのそれぞれに対し、複数の抵抗素子Zの第1端部が接続されている。図1の例では、m本の給電線Aのそれぞれに対しn個の抵抗素子Zが並列に接続されている。具体的には、X軸方向に延びる給電線A1に対し、抵抗素子Z(1,1)からZ(1,n)のそれぞれの第1端部が接続されている。詳細には、給電線A1と抵抗素子Z(1,1)とは接続点P(1,1)において互いに接続されている。給電線A1と抵抗素子Z(1,2)とは接続点P(1,2)において互いに接続されている。給電線A1と抵抗素子Z(1,n)とは接続点P(1,n)において互いに接続されている。すなわち、接続点P(1,1)から数えてb番目のZ(1,b)は、接続点P(1,1)から数えてb番目の接続点P(1,b)において給電線A1と接続されている。
【0016】
同様に、X軸方向に延びる給電線A2に対し、抵抗素子Z(2,1)からZ(2,n)のそれぞれの第1端部が接続されている。詳細には、給電線A2と抵抗素子Z(2,1)とは接続点P(2,1)において互いに接続されている。給電線A2と抵抗素子Z(2,2)とは接続点P(2,2)において互いに接続されている。給電線A2と抵抗素子Z(2,n)とは接続点P(2,n)において互いに接続されている。すなわち、接続点P(2,1)から数えてb番目のZ(2,b)は、接続点P(2,1)から数えてb番目の接続点P(2,b)において給電線A2と接続されている。
【0017】
さらに、X軸方向に延びる給電線Amに対し、抵抗素子Z(m,1)からZ(m,n)のそれぞれの第1端部が接続されている。詳細には、給電線Amと抵抗素子Z(m,1)とは接続点P(m,1)において互いに接続されている。給電線Amと抵抗素子Z(m,2)とは接続点P(m,2)において互いに接続されている。給電線Amと抵抗素子Z(m,n)とは接続点P(m,n)において互いに接続されている。すなわち、接続点P(m,1)から数えてb番目のZ(m,b)は、接続点P(m,1)から数えてb番目の接続点P(m,b)において給電線A2と接続されている。
【0018】
このように、X軸方向に延びる給電線Aaに対し、抵抗素子Z(a,1)からZ(a,n)のそれぞれの第1端部が接続されている。図1の例では、m本の給電線Aのそれぞれにおける第1端部と反対側の第2端部である接続点P(1,n)からP(m,n)には、Y軸方向に並ぶ抵抗素子Z(1,n)からZ(m,n)のそれぞれの第1端部が接続されている。
【0019】
図1の例において、給電線Aaの第1部分PAaにおける接続点P(a,b)から接続点P(a,b+1)までの部分の電気抵抗値をR(a,b)としたとき、接続点P(a,1)から接続点P(a,n)までの全体の電気抵抗値、すなわち給電線Aaの第1部分PAaの電気抵抗値は
{R(a,1)+R(a,2)+・・・・+R(a,n-1)}=Σ{R(a,i)}
となる。但し、iは1からn-1までの整数である。
また、接続点P(a,1)から接続点P(a,n)までの長さをLAaとする。その場合、給電線Aaの第1部分PAaの単位長さあたりの電気抵抗値(以下、単にRPAaと記載する。)は下記の式(1)で表される。
【0020】
RPAa={R(a,1)+R(a,2)+・・・・+R(a,n-1)}/LAa=Σ{R(a,i)}/LAa ……(1)
但し、iは1からn-1までの整数である。
【0021】
また、給電線Aaのうちの接続部分WAaの電気抵抗値をRWA(a)とし、給電線Aaのうちの接続部分WAaの長さをLWAaとしたとき、接続部分WAaの単位長さ当たりの電気抵抗値(以下、単にRWAaと記載する。)は下記の式(2)で表される。
RWAa=RWA(a)/LWAa ……(2)
【0022】
したがって、給電線Aaの単位長さ当たりの電気抵抗値(以下、単にRAaと記載する。)は下記の式(3)で表される。
RAa=[Σ{R(a,i)}+RWA(a)]/(LAa+LWAa) ……(3)
【0023】
素子アレイ回路1では、接続部分WAaの単位長さ当たりの電気抵抗値RWAaのほうが、第1部分PAaの単位長さあたりの電気抵抗値RPAaよりも小さくてもよい。
RWAa<RPAa ……(4)
【0024】
(給電線選択部SA)
給電線選択部SAは、本開示の「第1配線選択部」に対応する一具体例である。
給電線選択部SAは、複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)と、複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)とを有する。複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)および複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)のそれぞれは、導通状態と非導通状態との切り替え動作が可能である。複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)のそれぞれは、対応する給電線Aaのうち直流電源PS1と接続点P(a,1)との間の部分に設けられている。複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)のそれぞれは、対応する接続配線WB(WB1~WBm)に設けられている。
【0025】
給電線選択部SAは、複数の給電線Aのうちの1つの給電線A(便宜上、選択給電線ASという)を選択し、その選択給電線ASの第1部分PAを直流電源PS1に接続すると共に、複数の給電線Aのうちの選択給電線AS以外の全ての給電線A(便宜上、非選択給電線AUと呼ぶ。)の第1部分PAを直流電源PS2に接続する。選択給電線ASの第1端部には、直流電源PS1によって第1の電圧V1が印加される。ただし、選択給電線ASでは、選択給電線ASの有する配線抵抗および選択給電線ASを流れる電流に起因して電圧降下が生じる。非選択給電線AUの第1部分PAには、直流電源PS2によって第2の電圧V2が印加される。第2の電圧V2は第1の電圧V1と異なる。選択給電線ASの第1部分PAに印加される電圧は、非選択給電線AUの第1部分PAに印加される電圧(第2の電圧V2)と異なる。給電線選択部SAの動作は、制御部CTRLにより制御されるようになっている。すなわち、給電線選択部SAにおける複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)および複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)のそれぞれの切り替え動作は、制御部CTRLからの指令に基づいて実行されるようになっている。
【0026】
(制御部CTRL)
制御部CTRLは、例えばマイクロコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)が制御プログラムを実行することで予め定められた制御処理を行うようになっている。制御部CTRLは、例えば、複数のスイッチSWの切り替え動作の制御を行うものである。
【0027】
具体的には、制御部CTRLは、給電線選択部SAの切り替え動作を制御するものである。すなわち制御部CTRLは、選択給電線ASに対応する一のスイッチSWA1を導通状態とし、非選択給電線AUに対応するその他のスイッチSWA1を非導通状態とする。併せて、制御部CTRLは、選択給電線ASに対応する一のスイッチSWA2を非導通状とし、非選択給電線AUに対応するその他のスイッチSWA2を導通状態とする。ここで、選択給電線ASは、選択抵抗素子ZSに対応する一の給電線Aである。非選択給電線AUは、選択給電線AS以外の他の全ての給電線Aである。
【0028】
制御部CTRLは、選択給電線ASとそれぞれの読み出し線Bとの双方に接続されている選択抵抗素子ZS(複数の抵抗素子Zから選択される抵抗素子であって、便宜上、選択抵抗素子ZSという。)に起因する、それぞれの読み出し線Bに対応する一のオペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧を測定するようになっている。素子アレイ回路2では、複数の給電線Aから選択される1つの選択給電線ASの第1端部に印加される第1の電圧V1とは値の異なる第2の電圧V2が、非選択給電線AUの第1部分PAとオペアンプOPの正入力端子T3との双方に印加されるようになっている。つまり、非選択給電線AUの第1部分PAとオペアンプOPの正入力端子T3との双方には同じ電圧(第2の電圧V2)が印加されるようになっている。
【0029】
(読み出し線B)
読み出し線Bは、本開示の「第2の配線」に対応する一具体例である。
複数の読み出し線B(図1のB1~Bn)のそれぞれは、接続点K(1,b)からオペアンプOPbに至るまで延在する導線である。複数の読み出し線Bのそれぞれは、第1の方向と異なる第2の方向に延在する第2部分PB(図1ではPB1~PBnと表記)を含んでいる。第2部分PB1~PBnのそれぞれは、読み出し線B1~Bnのうちの対応する1つの一部分であり、長さLB1~LBnを有する。なお、本実施の形態では、説明を簡素化するため、複数の第2部分PBの全てが同じ長さLBを有するものとするが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、複数の第2部分PBのそれぞれの長さは任意に設定可能である。複数の第2部分PBは、第2の方向とは異なる第1の方向において互いに隣り合うように並んでいる。図1の例では、n本の第2部分PBのそれぞれはY軸方向に延在すると共に、n本の第2部分PBはX軸方向において互いに隣り合うように並んでいる。第2部分PB1は、読み出し線B1のうちの接続点K(1,1)から接続点K(m,1)までの部分である。第2部分PB2は、読み出し線B2のうちの接続点K(1,2)から接続点K(m,2)までの部分である。第2部分PBnは、読み出し線Bnのうちの接続点K(1,n)から接続点K(m,n)までの部分である。すなわち、第2部分PBbは、読み出し線Bbのうちの接続点K(1,b)から接続点K(m,b)までの部分である。つまり、第2部分PBは、複数の読み出し線Bのそれぞれにおける複数のインピーダンス素子Zが接続されている区間部分である。
【0030】
読み出し線Bbの第1端部は、抵抗素子Z(1,b)の第2端部に接続されている。抵抗素子Z(1,b)の第2端部とは、抵抗素子Z(1,b)における、給電線A1と接続される第1端部と反対側の端部である。図1の例では、読み出し線Bbに対しm個の抵抗素子Zが接続されている。具体的には、Y軸方向に延びる読み出し線B1の第1端部に対し、抵抗素子Z(1,1)の第2端部が接続されている。読み出し線B1と抵抗素子Z(1,1)とは接続点K(1,1)において互いに接続されている。読み出し線B1には、さらに、接続点K(2,1)において抵抗素子Z(2,1)が接続され、接続点K(m,1)において抵抗素子Z(m,1)が接続されている。また、Y軸方向に延びる読み出し線B2の第1端部に対し、抵抗素子Z(1,2)の第2端部が接続されている。読み出し線B2と抵抗素子Z(1,2)とは接続点K(1,2)において互いに接続されている。読み出し線B2には、さらに、接続点K(2,2)において抵抗素子Z(2,2)が接続され、接続点K(m,2)において抵抗素子Z(m,2)が接続されている。さらに、Y軸方向に延びる読み出し線Bnの第1端部に対し、抵抗素子Z(1,n)の第2端部が接続されている。読み出し線Bnと抵抗素子Z(1,n)とは接続点K(1,n)において互いに接続されている。読み出し線Bnには、さらに、接続点K(2,n)において抵抗素子Z(2,n)が接続され、接続点K(m,n)において抵抗素子Z(m,n)が接続されている。
【0031】
また、複数の読み出し線Bのそれぞれの第2端部は、複数のオペアンプOPのうちの対応する一のオペアンプOPに接続されている。複数の読み出し線Bのそれぞれの第2端部とは、複数の読み出し線Bのそれぞれにおける、複数の抵抗素子Z(1,b)のそれぞれと接続される第1端部と反対側の端部である。具体的には、読み出し線B1の第2端部はオペアンプOP1の負入力端子T2に接続され、読み出し線B2の第2端部はオペアンプOP2の負入力端子T2に接続され、読み出し線Bnの第2端部はオペアンプOPnの負入力端子T2に接続されている。それぞれの読み出し線Bには、それぞれの読み出し線Bに接続される抵抗素子Zのそれぞれの状態を示す信号が流れる。
【0032】
図1の例では、読み出し線B1のうち、接続点K(1,1)から接続点K(m,1)まで延在する第2部分PB1の電気抵抗値はr(1)である。読み出し線B2のうち、接続点K(1,2)から接続点K(m,2)まで延在する第2部分PB2の電気抵抗値はr(2)である。読み出し線Bnのうち、接続点K(1,n)から接続点K(m,n)まで延在する第2部分PBnの電気抵抗値はr(n)である。また、複数の読み出し線B1~Bnのうちの第2部分PB1~PBnのそれぞれの長さはLB1~LBnである。よって、第2部分PB1の単位長さあたりの電気抵抗値(以下、単にRPB1と記載する。)は下記の式(5.1)で表される。同様に、第2部分PB2の単位長さあたりの電気抵抗値(以下、単にRPB2と記載する。)は下記の式(5.2)で表され、第2部分PBnの単位長さあたりの電気抵抗値(以下、単にRPBnと記載する。)は下記の式(5.3)で表される。
【0033】
RPB1=r(1)/LB1 ……(5.1)
RPB2=r(2)/LB2 ……(5.2)
RPBn=r(n)/LBn ……(5.3)
【0034】
すなわち、b番目の読み出し線Bbの第2部分PBbの単位長さあたりの電気抵抗値(以下、単にRPBbと記載する。)は下記の式(5.4)で表される。
RPBb=r(b)/LBb ……(5.4)
【0035】
本実施の形態の素子アレイ回路1では、RPAaが、RPBbよりも小さい。すなわち、素子アレイ回路1は、
RPAa<RPBb ……(6)
の関係を有する。
【0036】
さらに、素子アレイ回路1では、接続部分WAaの単位長さ当たりの電気抵抗値RWAaが、読み出し線Bbの第2部分PBbの単位長さあたりの電気抵抗値RPBbよりも小さいとよい。
RWAa<RPBb ……(7)
また、素子アレイ回路1では、直流電源PS1から接続点P(a,n)に至る給電線Aaの単位長さ当たりの電気抵抗値(RAa)が、接続点K(1,b)からオペアンプOPbに至る読み出し線Bbの単位長あたりの電気抵抗値(RBbとする)よりも小さいとよい。
RAa<RBb ……(8)
【0037】
(抵抗素子Z)
抵抗素子Zは、本開示の「インピーダンス素子」に対応する一具体例である。
複数の抵抗素子Zのそれぞれは、複数の給電線Aのうちの1つと複数の読み出し線Bのうちの1つとの双方に接続されている。複数の抵抗素子Rのそれぞれは、給電線Aと接続される第1端部と、読み出し線Bと接続される第2端部とを有する。先に述べたように、図1の例では、複数の給電線Aのそれぞれに対してn個の抵抗素子Zが接続され、複数の読み出し線B1~Bnのそれぞれに対してm個の抵抗素子Zが接続されている。複数の給電線Aのうちの一の給電線Aと複数の読み出し線Bのうちの一の読み出し線Bとの双方に接続される抵抗素子Zは1つである。したがって、複数の給電線Aから一の給電線Aを選択すると共に複数の読み出し線Bから一の読み出し線Bを選択することにより、一の抵抗素子Zを特定することができる。
【0038】
給電線A1と接続されるn個の抵抗素子Zについて、具体的には、抵抗素子Z(1,1)の第1端部が接続点P(1,1)において給電線A1と接続されると共に抵抗素子Z(1,1)の第2端部が接続点K(1,1)において読み出し線B1の第1端部と接続される。また、抵抗素子Z(1,2)の第1端部が接続点P(1,2)において給電線A1と接続されると共に抵抗素子Z(1,2)の第2端部が接続点K(1,2)において読み出し線B2の第1端部と接続される。さらに、抵抗素子Z(1,n)の第1端部が接続点P(1,n)において給電線A1と接続されると共に抵抗素子Z(1,n)の第2端部が接続点K(1,n)において読み出し線Bnの第1端部と接続される。給電線A1以外のその他の複数の給電線Aのそれぞれと接続されるn個の抵抗素子Zについても同様である。
【0039】
抵抗素子Zは、例えばレンズ等により集光された赤外線を電気信号に変換する赤外線の受光素子の一部であり、具体的には例えば温度変化により抵抗変化を発現する抵抗変化層を有する。抵抗変化層は例えばサーミスタ膜である。サーミスタ膜は、例えば酸化バナジウム、非晶質シリコン、多結晶シリコン、マンガンを含むスピネル型結晶構造の酸化物、酸化チタン、又はイットリウム-バリウム-銅酸化物などを含んでいる。また、赤外線を吸収して発熱する赤外線吸収層がサーミスタ膜に隣接して設けられている。赤外線吸収層は、例えば酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、窒化シリコン(Si)又は窒化アルミニウム(AlN)などを含んでいる。受光する赤外線の強度に応じて赤外線吸収層の温度変化および抵抗変化層の温度変化が生じ、その結果、抵抗素子Rの抵抗変化層の抵抗値が変化するようになっている。
【0040】
選択抵抗素子ZSについての測定を行う際には、選択抵抗素子ZSが接続された一の給電線A(選択給電線AS)の第1端部に対し直流電源PS1から第1の電圧V1が印加されるように、選択給電線ASに対応する一のスイッチSWA1が導通状態とされる。また、選択抵抗素子ZSについての測定を行う際には、選択給電線AS以外の全ての給電線A(非選択給電線AU)の第1部分PAに対し、非選択給電線AUに対応する導通状態のスイッチSWA2を介して第2の電圧V2(≠V1)が印加されるようになっている。
【0041】
なお、図1は、一例として、抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)が選択されている状態を表している。すなわち、図1は、スイッチSWA1-1が導通状態とされることで、選択抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)に対応する選択給電線ASとしての給電線A1の第1端部に対し直流電源PS1から第1の電圧V1が印加されている状態を表している。さらに、図1は、スイッチSWA2-2~SWA2-mが導通状態とされることで、給電線A1以外の全ての非選択給電線AUとしての給電線A2~Amの第1部分PAに対し第2の電圧V2(≠V1)が印加されている状態を表している。その際、非選択給電線AUとしての給電線A2~Amに設けられたスイッチSWA1-2~SWA1-mはいずれも非導通状態であり、選択給電線としての給電線A1に対応するスイッチSWA2-1も非導通状態である。なお、第1の電圧V1と第2の電圧V2とは互いに異なっていればよい。第1の電圧V1および第2の電圧V2のいずれか一方は、0Vでもよい。
【0042】
(オペアンプOP)
複数のオペアンプOPのそれぞれは、複数の読み出し線Bのうちの対応する一の読み出し線Bと接続されている。複数のオペアンプOP(図1ではOP1~OPnと表記)のそれぞれは、正入力端子T1と負入力端子T2と出力端子T3とを含んでいる。複数のオペアンプOPのそれぞれの正入力端子T1は、例えば直流電源PS2と接続されており、それぞれの正入力端子T1には第1の電圧V1と異なる第2の電圧V2が印加されている。第2の電圧V2は例えば0Vである。複数のオペアンプOPの負入力端子T2のそれぞれは、対応する一の読み出し線Bと接続されている。それぞれのオペアンプOPは、正入力端子T1と負入力端子T2とが同電位となるように動作するため、負入力端子T2の電位は概ね第2の電圧V2となる。複数のオペアンプOPのそれぞれの出力端子T3は、対応する一の抵抗素子REを介してそれぞれの負入力端子T2と接続されている。
【0043】
(抵抗素子RE)
抵抗素子REは、本開示の「変換素子」に対応する一具体例である。抵抗素子REは、例えば所定の固有抵抗を有する金属材料からなる抵抗体を含んでいる。複数の抵抗素子REのそれぞれは、対応する一のオペアンプOPの負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、負入力端子T2に接続される読み出し線Bを流れる電流を電圧に変換するものである。具体的には、図1の例では、抵抗素子RE1は、オペアンプOP1の負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、読み出し線B1を流れる電流を電圧に変換する。同様に、抵抗素子RE2は、オペアンプOP2の負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、読み出し線B2を流れる電流を電圧に変換し、抵抗素子REnは、オペアンプOPnの負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、読み出し線Bnを流れる電流を電圧に変換する。
【0044】
[素子アレイ回路1における測定動作]
素子アレイ回路1では、赤外線の照射がなされる測定環境下において、例えば以下のようにして複数の抵抗素子Zのそれぞれに対応した出力電圧の測定を行うことができる。なお、以下の測定動作は制御部CTRLからの指令により行われる。
【0045】
まず、測定対象とする選択抵抗素子ZSに対応する選択給電線ASを選択する。具体的には、選択抵抗素子ZSが接続されている選択給電線ASのスイッチSWA1を導通状態とし、選択給電線ASの第1端部に対して第1の電圧V1を印加する。非選択給電線AUに対応するスイッチSWA1については非導通状態とする。さらに、非選択給電線AUに対応するスイッチSWA2を導通状態とし、非選択給電線AUの第1部分PAに対して第2の電圧V2を印加する。選択給電線ASに対応するスイッチSWA2については非導通状態とする。図1の例は、選択抵抗素子ZSとして抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)が選択された状態を表している。すなわち、選択給電線ASとしての給電線A1に対応するスイッチSWA1-1を導通状態とし、給電線A1の第1端部に対して第1の電圧V1を印加する。一方、非選択給電線AUとしての給電線A2~Amに対応するスイッチSWA1-2~SWA1-mについては非導通状態とする。さらに、非選択給電線AUとしての給電線A2~Amに対応するスイッチSWA2-2~SWA2-mを導通状態とし、給電線A2~Amの第1部分PA2~PAmに対して第2の電圧V2を印加する。一方、選択給電線ASとしての給電線A1に対応するスイッチSWA2-1については非導通状態とする。また、オペアンプOP1~OPnのそれぞれの正入力端子T1にも第2の電圧V2が印加されている。その結果、選択抵抗素子ZSとしての抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)以外の他の抵抗素子Zに印加される電圧は0となるので、抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)以外の他の抵抗素子Zには電流が流れない。
【0046】
次に、それぞれの選択抵抗素子ZSに対応する出力電圧を測定する。具体的には、選択給電線ASとそれぞれの読み出し線Bとの双方に接続されている選択抵抗素子ZSに起因する、それぞれの読み出し線Bに対応する一のオペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧を測定する。図1の例では、給電線A1と読み出し線B1との双方に接続されている抵抗素子Z(1,1)を選択抵抗素子ZSとしたとき、抵抗素子Z(1,1)に対応するオペアンプOP1の出力端子T3からの出力電圧Voutを測定する。給電線A1と読み出し線B2との双方に接続されている抵抗素子Z(1,2)を選択抵抗素子ZSとしたとき、抵抗素子Z(1,2)に対応するオペアンプOP2の出力端子T3からの出力電圧Voutを測定する。給電線A1と読み出し線Bnとの双方に接続されている抵抗素子Z(1,n)を選択抵抗素子ZSとしたとき、抵抗素子Z(1,n)に対応するオペアンプOPnの出力端子T3からの出力電圧Voutを測定する。給電線A1におけるそれぞれの接続点P(P(1,1)~P(1,n))の電位Vf(Vf1~Vfn))は、それぞれの接続点Pに対応する接続点K(K(1,1)~K(1,n)のうちの対応する1つ)の電位(それぞれの接続点Pに対応する読み出し線B(読み出し線B1~Bnのうちの対応する1つ)の電位)とは異なる。つまり、選択給電線ASにおけるそれぞれの接続点Pの電位(選択抵抗素子ZSが接続されたそれぞれの接続点Pの電位)は、それぞれの接続点Pに対応する接続点Kの電位(それぞれの接続点Pに対応する読み出し線Bの電位)とは異なる。接続点Kの電位(読み出し線Bの電位)は、負入力端子T2の電位である第2の電圧V2とほぼ等しい。抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)のそれぞれには、それぞれに対応する接続点P(1,1)~P(1,n)の電位Vf1~Vfnと、それぞれに対応する読み出し線B1~Bnの電位との差に相当する電圧が印加され、抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)のそれぞれの電気抵抗値に対応した電流が流れる。抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)のそれぞれを流れる電流は、読み出し線B1~Bnのそれぞれに流れる。読み出し線B1~Bnのそれぞれを流れる電流は、抵抗素子RE1~REnのそれぞれにより電圧に変換され、抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)のそれぞれに対応するオペアンプOP1~OPnのそれぞれの出力端子T3からの出力電圧Voutとして出力される。出力電圧Voutは以下の式(9)のように記載することができる。
【0047】
Vout=-(re/z)×(Vf-V2) ……(9)
re:それぞれの選択抵抗素子ZSに対応するオペアンプOPに接続された一の抵抗素子REの電気抵抗値である。
z:それぞれの選択抵抗素子ZSの電気抵抗値である。
Vf:それぞれの選択抵抗素子ZSに対応する接続点Pの電位である。
V2:直流電源PS2における第2の電圧である。
【0048】
ここで、電位Vfは、理想としては直流電源PS1の電源電圧である第1の電圧V1に等しい。しかしながら、実際には、給電線A自身の有する配線抵抗による電圧降下が生じることから、電位Vfは第1の電圧V1よりも小さくなる(Vf<V1)。図2は、n=600の場合の参考例としての素子アレイ回路101における、給電線A上の接続点P(1,1)~P(1,n)のそれぞれの位置と、接続点P(1,1)~P(1,n)のそれぞれの位置の電位Vfとの関係を模式的に表した特性図である。ここでいう参考例としての素子アレイ回路101は、第1部分PAaの単位長さあたりの電気抵抗値(RPAa)が第2部分PBbの単位長さあたりの電気抵抗値(RPBb)と同等以上(RPAa≧RPBb)であることを除き本実施の形態の素子アレイ回路1の構成と同じ構成を有する。図2の横軸が給電線A上の接続点P(1,1)~P(1,n)のそれぞれの位置を表し、図2の縦軸が電位Vfを表している。図2に示したように、第1部分PAの第1端部である接続点P(1,1)から遠ざかるほど、電位Vfは降下し、第1の電圧V1から乖離することとなる。例えば第1部分PAの第1端部から数えて200番目の抵抗素子Z(1、200)が接続される接続点P(1,200)での電位Vf200は、接続点P(1,1)での電位Vf1よりも低くなっている。また、第1部分PAの第1端部から数えて400番目の抵抗素子Z(1、400)が接続される接続点P(1,400)での電位Vf400は電位Vf200よりもさらに低くなっている。第1部分PAの第1端部から数えて600番目の抵抗素子Z(1、600)が接続される接続点P(1,600)での電位Vf600は電位Vf400よりもさらに低くなっている。電位Vf600は、電位Vf1よりもΔVだけ降下している。ここで、接続点P(1,1)から接続点P(1,600)に至るまでの複数の区間のうち、b番目の区間を流れる電流をI(1,b)とすると共にb番目の区間の電気抵抗値をR(1,b)とすると、降下電圧ΔVは、ΔV=Σ{I(1,b)×R(1,b)}となる。但し、bは、1からn-1までの整数である。
【0049】
このような降下電圧ΔVは、並列接続される抵抗素子Zの数が増加すればするほど大きくなる。図3は、参考例の素子アレイ回路101における、並列接続される抵抗素子Zの数の増加と、降下電圧ΔVの増大との関係を表す説明図である。ここで、接続点P(1,n)での電位をVf(n)とすれば、区間S(n-1)で生じる降下電圧ΔV(n-1)はVf(n-1)-Vf(n)となり、区間S(n-2)で生じる降下電圧ΔV(n-2)はVf(n-2)-Vf(n-1)となり、区間S(1)で生じる降下電圧ΔV(1)はVf(1)-Vf(2)となる。なお、区間S(n-1)は、給電線A1のうち、接続点P(1,n)と、その手前の接続点P(1,n-1)との間の部分である。接続点P(1,n-1)は、給電線A1と抵抗素子Z(1,n-1)との接続点である。同様に、区間S(n-2)は、給電線A1のうち、接続点P(1,n-1)と、その手前の接続点P(1,n-2)との間の部分である。また、区間S(1)は、給電線A1のうち、接続点P(1,2)と、その手前の接続点P(1,1)との間の部分である。
【0050】
したがって、直流電源PS1と接続点P(1,1)との間の部分で生じる降下電圧をΔV(0)とすれば、接続点P(1,1)の電位Vf(1)はV1よりもΔV(0)だけ低い値となる。すなわち、
Vf(1)=V1-ΔV(0)
である。
同様に、接続点P(1,2)の電位Vf(2)は
Vf(2)=V1-{ΔV(0)+ΔV(1)}
となり、
接続点P(1,n-1)の電位Vf(n-1)は
Vf(n-1)=V1-{ΔV(0)+ΔV(1)+・・・+ΔV(n-2)}
となり、
接続点P(1,n)の電位Vf(n)は
Vf(n)=V1-{ΔV(0)+ΔV(1)+・・・+ΔV(n-2)+ΔV(n-1)}
となる。
よって、接続点P(1,1)~P(1,n)のうち、第1部分PAの第1端部から最も遠くに位置する接続点P(1,n)の電位Vf(n)のV1に対する降下電圧ΔVは、並列接続される抵抗素子Zの数nが増加すればするほど大きくなる。
【0051】
また、図3に示したように、第1部分PAの第1端部である接続点P(1,1)から最も遠い抵抗素子Z(1,n)には接続点P(1,n)を経由する電流I(n)のみが流れる。すなわち、第1部分PAのうち区間S(n-1)には電流I(n)のみが流れる。電流I(n)は、抵抗素子Z(1,n)を流れる電流である。また、第1部分PAのうち区間S(n-2)には電流I(n)に加えて電流I(n-1)も流れる。電流I(n-1)は、抵抗素子Z(1,n-1)を流れる電流である。また、区間S(1)には、抵抗素子Z(1,2)~Z(1,n)のそれぞれに流れる電流I(2)~I(n)の全てが流れる。さらに、直流電源PS1と接続点P(1,1)との間の部分には、抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)のそれぞれに流れる電流I(1)~I(n)の全てが流れる。隣り合う接続点P同士に挟まれた区間Sにおける降下電圧は、その区間Sの電気抵抗値と、その区間Sを流れる電流との積に比例して大きくなる。第1部分PAの第1端部である接続点P(1,1)に近い区間ほど流れる電流Iの総量が大きくなるので、接続点P(1,1)に近い区間ほど当該区間で生ずる降下電圧は大きくなり易い。
【0052】
このような降下電圧の発生により、給電線Aに対する複数の抵抗素子Zのそれぞれの接続位置によって電位Vfが異なる値となってしてしまうことから、当然ながら出力電圧Voutの測定値の精度は低いものとなる。例えば、複数の抵抗素子Zのそれぞれに対して同じ強度の赤外線が照射された場合であっても、給電線Aに対する複数の抵抗素子Zのそれぞれの接続位置によって出力電圧Voutが異なる値となってしまい、検出される赤外線の強度が異なってしまうこととなる。すなわち、測定誤差が生じることとなる。したがって、降下電圧に応じた検出値の補正を行うなどの措置を要することとなる。しかしながら、降下電圧は複数の抵抗素子Zのそれぞれに流れる複数の電流Iの影響を受けて変化する。すなわち、複数の抵抗素子Zのそれぞれの電気抵抗値の変化により降下電圧も変動するので、上記のような測定誤差を補正することは容易ではない。
【0053】
[素子アレイ回路1の作用効果]
そこで、本実施の形態の素子アレイ回路1では、読み出し線Bの第2部分PBの単位長さあたりの電気抵抗値よりも給電線Aの第1部分PAの単位長さあたりの電気抵抗値を小さくし、第1部分PAの配線抵抗値を低減することで電位Vfの降下そのものを低減するようにしている。そのため、上記の式(9)で算出される出力電圧Voutの誤差を低減することができる。すなわち、素子アレイ回路1によれば、それぞれの抵抗素子Zの電気抵抗値に関連する出力電圧Voutを高い精度で測定することができる。
【0054】
読み出し線Bの第2部分PBには、当該読み出し線Bに対応する一の選択抵抗素子ZSを流れる電流Iのみが流れる。一方、上述したように、給電線Aの第1部分PAには、複数の抵抗素子Zを流れる電流が流れる。このため、第2部分PB自身の有する配線抵抗による電圧降下は、第1部分PA自身の有する配線抵抗による電圧降下と比較して十分に小さくなる。したがって、第2部分PBの単位長さあたりの電気抵抗値よりも第1部分PAの単位長さあたりの電気抵抗値を小さくし、第1部分PAの配線抵抗値を低減することで、出力電圧Voutの測定精度を高くする効果が大きくなる。また、出力電圧Voutは、当該読み出し線Bに対応する一の選択抵抗素子ZSの電気抵抗値に読み出し線Bの電気抵抗値を加算した電気抵抗値を反映したものとして観測される。すなわち、読み出し線Bの選択抵抗素子ZSが接続された接続点Kから第2端部までの部分の電気抵抗値をrBとすれば、出力電圧Voutは以下の式(10)で算出できる。
Vout=-(re/(z+rB))×(Vf-V2) ……(10)
re:それぞれの選択抵抗素子ZSに対応するオペアンプOPに接続された一の抵抗素子REの電気抵抗値である。
z:それぞれの選択抵抗素子ZSの電気抵抗値である。
Vf:それぞれの選択抵抗素子ZSに対応する接続点Pの電位である。
V2:直流電源PS2における第2の電圧である。
rB:それぞれの読み出し線Bの選択抵抗素子ZSが接続された接続点Kから第2端部までの部分の電気抵抗値である。
例えば赤外線の照射による温度変動に対する電気抵抗値rBの変動幅は、抵抗素子Zの電気抵抗値の変動幅よりも十分に小さくほぼ一定とみなせるので、出力電圧Voutの電気抵抗値rBに起因する測定誤差の補正は容易に行うことができる。
【0055】
さらに、本実施の形態の素子アレイ回路1では、複数のオペアンプOPを備え、複数の読み出し線Bのそれぞれに対応する一のオペアンプOPを設けるようにしたので、例えば一のオペアンプOPに対し複数の読み出し線Bのそれぞれを選択的に接続して出力電圧Voutを測定する場合と比較して、速やかに出力電圧Voutを測定することができる。
【0056】
<2.第2の実施の形態>
[素子アレイ回路2の全体構成例]
図4は、本開示の第2の実施の形態に係る素子アレイ回路2の全体構成例を模式的に表した回路図である。図1に示した素子アレイ回路1では、直流電源PS2を設け、複数のオペアンプOPのそれぞれの正入力端子T1および非選択給電線AUの第1部分PAに対して、第1の電圧V1と異なる第2の電圧V2を印加するようにしている。これに対し、本実施の形態の素子アレイ回路2では、直流電源PS2を設けずに、複数のオペアンプOPのそれぞれの正入力端子T1および非選択給電線AUの第1部分PAを接地端子に接続し、複数のオペアンプOPのそれぞれの正入力端子T1および非選択給電線AUの第1部分PAに対して接地電圧VGを印加するようにしている。素子アレイ回路2の構成は上記の点を除き、図1に示した第1の実施の形態の素子アレイ回路1の構成と実質的に同じである。
【0057】
[素子アレイ回路2の作用効果]
本実施の形態の素子アレイ回路2においても、上記第1の実施の形態の素子アレイ回路1と同様の効果が期待できる。すなわち、本実施の形態の素子アレイ回路2では、それぞれの読み出し線B1~Bnの第2部分PB1~PBnの単位長さあたりの電気抵抗値よりもそれぞれの給電線A1~Amの第1部分PA1~PAmの単位長さあたりの電気抵抗値を小さくし、給電線Aの第1部分PAの配線抵抗値を低減することで電位Vfの降下そのものを低減するようにしている。そのため、上記の式(9)または式(10)で算出される出力電圧Voutの誤差を低減することができる。なお、本実施の形態では、直流電源PS2における第2の電圧V2を接地電圧VGに読み替えるものとする。すなわち、素子アレイ回路2によれば、それぞれの選択抵抗素子ZSの電気抵抗値に関連する出力電圧Voutを高い精度で測定することができる。
【0058】
<3.第3の実施の形態>
図5は、本開示の第3の実施の形態に係る素子アレイ回路3の全体構成例を模式的に表した回路図である。図5に示した素子アレイ回路3では、複数の読み出し線Bの本数が複数の給電線Aの本数よりも少ない。具体的には、図5に示した素子アレイ回路3の構成例では、複数の給電線Aの数が3であり、複数の読み出し線Bの数が2である場合を示している。素子アレイ回路4の構成は上記の点を除き、図1に示した第1の実施の形態の素子アレイ回路1の構成と実質的に同じである。
【0059】
素子アレイ回路3では、複数の読み出し線Bの本数を複数の給電線Aの本数よりも少なくしている。このような構成を採用することにより、複数の第1部分PAのそれぞれにおける降下電圧を小さく抑えることができ、複数の給電線Aのそれぞれにおける降下電圧ΔVを小さく抑えることができる。例えば、図5の素子アレイ回路3の構成例では、3つの給電線A1~A3のそれぞれに対して2つの抵抗素子Zを設置し、読み出し線Bを2つとすることで、全体として6つの抵抗素子Zを備えるようにしている。これに対し、例えば2つの給電線A1~A2のそれぞれに対して3つの抵抗素子Zを設置し、読み出し線Bを3つとすることで、全体として6つの抵抗素子Zを備える素子アレイ回路も考えられるが、その場合には、本実施の形態の素子アレイ回路3と比較すると2つの給電線A1~A2のそれぞれに生ずる降下電圧ΔVは大きくなってしまう。本実施の形態の素子アレイ回路3は、複数の給電線Aのそれぞれに並列接続される複数の抵抗素子Zの数を少なくすることで複数の第1部分PAのそれぞれの長さを短くし、複数の第1部分PAのそれぞれにおける降下電圧を低減するのに適した構成となっている。
【0060】
<4.第4の実施の形態>
[素子アレイ回路4の全体構成例]
図6は、本開示の第4の実施の形態に係る素子アレイ回路4の全体構成例を模式的に表した回路図である。図6に示した素子アレイ回路4の構成は、複数の読み出し線Bに対し1つのオペアンプOPおよび1つの抵抗素子REを備えるようにしたことと、読み出し線選択部SBをさらに備えるようにしたこととが、図1の素子アレイ回路1の構成と異なっている。素子アレイ回路4では、複数の読み出し線Bが、それぞれの第2部分PBとオペアンプOPとを繋ぐ部分の一部分を互いに共有している。したがって、以下の説明では、読み出し線選択部SBに関する説明を主に行い、その他の構成要素についての説明を適宜省略する。なお、図6ではm本の給電線Aが配設された状態を例示しているが、複数の給電線Aの数は任意に設定可能である。同様に、図6ではn本の読み出し線Bが配設された状態を例示しているが、複数の読み出し線Bの数は任意に設定可能である。また、図6に示した例では、n本の読み出し線Bに対して抵抗素子REおよびオペアンプOPの組を1つ設けるようにしているが、n本の読み出し線Bに対して抵抗素子REおよびオペアンプOPの組を2以上設けるようにしてもよい。また、図6の素子アレイ回路4においても、複数の読み出し線Bの本数nが複数の給電線Aの本数mよりも少ない形態としてもよい。
【0061】
(読み出し線選択部SB)
読み出し線選択部SBは、図6に示したように複数のスイッチSWB1(SWB1-1~SWB1-n)と、複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)とを有する。複数のスイッチSWB1(SWB1-1~SWB1-n)および複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)のそれぞれは、導通状態と非導通状態との切り替え動作が可能である。複数のスイッチSWB1(SWB1-1~SWB1-n)のそれぞれは、対応する一の読み出し線B(B1~Bn)のうちオペアンプOPの負入力端子T2と接続点K(m,b)との間の部分に設けられている。複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)のそれぞれは、直流電源PS1と接続点K(m,b)との間に設けられている。
【0062】
読み出し線選択部SBは、複数の読み出し線Bのうちの1つの読み出し線B(便宜上、選択読み出し線BSと呼ぶ)を選択し、その選択読み出し線BSの第2部分PBをオペアンプOPの負入力端子T2と接続する。また、読み出し線選択部SBは、選択読み出し線BS以外の他の読み出し線B(便宜上、非選択読み出し線BUと呼ぶ)の第2部分PBを、複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)を介して直流電源PS1に接続する。読み出し線選択部SBの動作は、制御部CTRLにより制御されるようになっている。すなわち、読み出し線選択部SBにおける複数のスイッチSWB1(SWB1-1~SWB1-n)および複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)のそれぞれの切り替え動作は、制御部CTRLからの指令に基づいて実行されるようになっている。
【0063】
[素子アレイ回路4における測定動作]
素子アレイ回路4では、例えば以下のようにして複数の抵抗素子Zのそれぞれについての測定を行うことができる。なお、以下の測定動作は制御部CTRLからの指令により行われる。
【0064】
まず、測定対象とする選択抵抗素子ZSに対応する選択給電線ASを選択する。具体的には、上記第1の実施の形態で説明した素子アレイ回路1における測定動作と同様に行う。
【0065】
次に、測定対象とする選択抵抗素子ZSに対応する選択読み出し線BSを選択する。具体的には、選択抵抗素子ZSが接続されている選択読み出し線BSに接続されているスイッチSWB1を導通状態とし、選択読み出し線BSの第2部分PBをオペアンプOPと接続する。非選択読み出し線BUに対応するスイッチSWB1については非導通状態とする。さらに、非選択読み出し線BUに対応するスイッチSWB2を導通状態とし、非選択読み出し線BUの第2部分PBに対して第1の電圧V1を印加する。選択読み出し線BSに対応するスイッチSWB2については非導通状態とする。図6の例は、選択抵抗素子ZSとして抵抗素子Z(1,1)が選択された状態を表している。すなわち、選択読み出し線BSとしての読み出し線B1に対応するスイッチSWB1-1を導通状態とし、読み出し線B1の第2部分PB1をオペアンプOPと導通させる。一方、非選択読み出し線BUとしての読み出し線B2~Bnに対応するスイッチSWB1-2~SWB1-nについては非導通状態とする。さらに、非選択読み出し線BUとしての読み出し線B2~Bnに対応するスイッチSWB2-2~SWB2-nを導通状態とし、読み出し線B2~Bnの第2部分PB2~PBnに対して第1の電圧V1を印加する。一方、選択読み出し線BSとしての読み出し線B1に対応するスイッチSWB2-1については非導通状態とする。選択抵抗素子ZS(抵抗素子Z(1,1))が接続された接続点P(P(1,1))の電位Vf(Vf1)は、接続点P(1,1)に対応する、選択抵抗素子ZSが接続された接続点K(K(1,1))の電位(選択読み出し線BSの電位)とは異なる。選択抵抗素子ZSが接続された接続点Kの電位(選択読み出し線BSの電位)は、負入力端子T2の電位である第2の電圧V2とほぼ等しい。
【0066】
次に、それぞれの選択抵抗素子ZSに対応する出力電圧を測定する。具体的には、選択給電線ASと選択読み出し線BSとの双方に接続されている選択抵抗素子ZSに起因する、オペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧を測定する。図6の例では、給電線A1
と読み出し線B1との双方に接続されている抵抗素子Z(1,1)に起因する、オペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧Voutを測定する。出力電圧Voutは第1の実施の形態で説明した式(9)または式(10)のように記載することができる。
【0067】
[素子アレイ回路4の作用効果]
本実施の形態の素子アレイ回路4においても、上記第1の実施の形態の素子アレイ回路1と同様の効果が期待できる。
【0068】
さらに、本実施の形態の素子アレイ回路4では、読み出し線選択部SBを用いて複数の読み出し線Bのそれぞれを選択的に一のオペアンプOPに接続するようにしたので、複数のオペアンプOPを備える上記第1の実施の形態の素子アレイ回路1と比較して、よりコンパクト化を図ることができる。
【0069】
<5.第5の実施の形態>
図7は、本開示の第5の実施の形態に係る素子アレイ回路ユニットU1の全体構成例を模式的に表した回路図である。図7に示した素子アレイ回路ユニットU1は、第1部分PAが延在する方向であるX軸方向に並ぶ複数の素子アレイ回路3を備えている。図7に示した素子アレイ回路ユニットU1の構成例は、図5に示した素子アレイ回路3を2つ備えている。なお、素子アレイ回路ユニットU1は、X軸方向に並ぶ3以上の素子アレイ回路3を備えるようにしてもよい。また、図7に示した素子アレイ回路ユニットU1の構成例では、直流電源PS1および直流電源PS2を素子アレイ回路3の内部に設けるようにしたが、直流電源PS1および直流電源PS2を素子アレイ回路3の外部に設けるようにしてもよい。さらに、素子アレイ回路ユニットU1は、素子アレイ回路3に限定されず、素子アレイ回路1~2のいずれかを複数備えるものであってもよい。
【0070】
<6.第6の実施の形態>
図8は、本開示の第6の実施の形態に係る素子アレイ回路ユニットU2の全体構成例を模式的に表した回路図である。図8に示した素子アレイ回路ユニットU2は、第1部分PAが延在する方向であるX軸方向に並ぶ複数の素子アレイ回路5を備えている。図8に示した素子アレイ回路ユニットU2の構成例では、図6に示した素子アレイ回路4を2つ備えている。ただし、図8に示した素子アレイ回路ユニットU2の素子アレイ回路4では、複数の読み出し線Bの本数が複数の給電線Aの本数よりも少ない。具体的には、複数の給電線Aの数が3であり、複数の読み出し線Bの数が2である。なお、素子アレイ回路ユニットU2は、X軸方向に並ぶ3以上の素子アレイ回路4を備えるようにしてもよい。また、図8に示した素子アレイ回路ユニットU2の構成例では、直流電源PS1および直流電源PS2を素子アレイ回路4の内部に設けるようにしたが、直流電源PS1および直流電源PS2を素子アレイ回路4の外部に設けるようにしてもよい。
【0071】
<7.第7の実施の形態>
図9は、本開示の第7の実施の形態に係る素子アレイ回路ユニットU3の全体構成例を模式的に表した回路図である。図9に示した素子アレイ回路ユニットU3は、第1部分PAが延在する方向であるX軸方向に並ぶ複数の素子アレイ回路5を備えている。図9の構成例では、素子アレイ回路ユニットU3が2つの素子アレイ回路5A,5Bを備えている。なお、素子アレイ回路ユニットU3は、X軸方向に並ぶ3以上の素子アレイ回路5を備えるようにしてもよい。
【0072】
素子アレイ回路ユニットU3では、素子アレイ回路5Aと素子アレイ回路5Bとが一のオペアンプOPおよび一の抵抗素子REを共有している。そのため、素子アレイ回路5A,5Bのそれぞれは、回路選択部SCをさらに備えている。これらの点を除き、素子アレイ回路5A,5Bの構成は、図8に示した素子アレイ回路ユニットU2を構成する素子ア
レイ回路4の構成と実質的に同じである。したがって、図9に示した素子アレイ回路ユニットU3の素子アレイ回路5A,5Bでは、複数の読み出し線Bの本数が複数の給電線Aの本数よりも少ない。具体的には、複数の給電線Aの数が3であり、複数の読み出し線Bの数が2である。回路選択部SCは、一のスイッチSWC1と、一のスイッチSWC2とを有する。一のスイッチSWC1および一のスイッチSWC2のそれぞれは、導通状態と非導通状態との切り替え動作が可能である。一のスイッチSWC1は、一のオペアンプOPの正入力端子T1と直流電源PS2との間に設けられている。一のスイッチSWC2は、読み出し線選択部SBと一のオペアンプOPの負入力端子T2との間に設けられている。
なお、回路選択部SCと、その前段の読み出し線選択部SBとを合わせたものが、本開示の「第2配線選択部」に対応する一具体例である。
【0073】
回路選択部SCは、複数の素子アレイ回路のうちの1つの素子アレイ回路(便宜上、選択回路CSという)を選択し、その選択回路CSをオペアンプOPの負入力端子T2と接続すると共に、選択回路CSの非選択給電線AUの第1部分PAに第2の電圧V2を印加する直流電源PS2をオペアンプOPの正入力端子T1と接続する。なお、図9では、素子アレイ回路5Aでは直流電源PS1の電圧を第1の電圧V1とすると共に直流電源PS2の電圧を第2の電圧V2(V2≠V1)とし、素子アレイ回路5Bにおいて直流電源PS1の電圧を第3の電圧V3とすると共に直流電源PS2の電圧を第4の電圧V4(V4≠V3)としている。但し、素子アレイ回路6Bにおいて直流電源PS1の電圧を第1の電圧V1とすると共に直流電源PS2の電圧を第2の電圧V2としてもよい。回路選択部SCの動作は、制御部CTRLにより制御されるようになっている。すなわち、回路選択部SCにおけるスイッチSWC1およびスイッチSWC2のそれぞれの切り替え動作は、制御部CTRLからの指令に基づいて実行されるようになっている。
【0074】
このように、素子アレイ回路ユニットU3では、複数の素子アレイ回路において一のオペアンプOPおよび一の抵抗素子REをそれぞれ共有するようにしたので、例えば図7の素子アレイ回路ユニットU1と比較して、オペアンプOPの数を減らすことができる。よって、よりコンパクト化を図ることができる。
【0075】
<8.第8の実施の形態>
図10は、本開示の第8の実施の形態に係る素子アレイ回路ユニットU4の全体構成例を模式的に表した回路図である。図10に示した素子アレイ回路ユニットU4は、第1部分PAが延在する方向であるX軸方向に並ぶ複数の素子アレイ回路6を備えている。図10に示した素子アレイ回路ユニットU4の構成例では、2つの素子アレイ回路6、すなわち素子アレイ回路6Aと素子アレイ回路6Bとを備えている。なお、素子アレイ回路ユニットU4は、X軸方向に並ぶ3以上の素子アレイ回路6を備えるようにしてもよい。
【0076】
素子アレイ回路ユニットU4では、隣り合う2つの素子アレイ回路6A,6Bが、1つの読み出し線選択部SB、1つのオペアンプOP、1つの直流電源PS1、および1つの直流電源PS2を互いに共有している。素子アレイ回路6A,6Bの構成は上記の点を除き、他の構成は図6に示した素子アレイ回路4の構成と実質的に同じである。ただし、図10に示した素子アレイ回路ユニットU4の素子アレイ回路6A,6Bでは、複数の読み出し線Bの本数が複数の給電線Aの本数よりも少ない。具体的には、複数の給電線Aの数が3であり、複数の読み出し線Bの数が2である。なお、図10に示した素子アレイ回路ユニットU3の構成例では、直流電源PS1,PS2およびオペアンプOPを素子アレイ回路6Aの内部に設けるようにしたが、直流電源PS1,PS2およびオペアンプOPを素子アレイ回路6Bの内部に設けるようにしてもよい。あるいは、直流電源PS1,PS2を素子アレイ回路6A,6Bの外部に設けるようにしてもよい。
読み出し線選択部SBは、本開示の「第2配線選択部」に対応する一具体例である。
【0077】
このように、本実施の形態の素子アレイ回路ユニットU3によれば、1つの読み出し線選択部SBを用いて複数の素子アレイ回路6のそれぞれにおける複数の読み出し線Bのそれぞれを選択的に一のオペアンプOPに接続するようにしたので、例えば図8の素子アレイ回路ユニットU2と比較して、よりコンパクト化を図ることができる。
【0078】
<9.第9の実施の形態>
本開示の第9の実施の形態として、例えば図11図16に示す電磁波センサ100Aについて説明する。電磁波センサ100Aは、本開示の素子アレイ回路を備えたセンサデバイスである。
【0079】
図11は、電磁波センサ100Aの構成を示す平面図である。図12は、図11中に示す線分A-Aに沿った電磁波センサ100Aの断面図である。図13は、図11中に示す線分B-Bに沿った電磁波センサ100Aの断面図である。図14は、図11中に示す線分C-Cに沿った電磁波センサ100Aの断面図である。図15は、図11中に示す線分D-Dに沿った電磁波センサ100Aの断面図である。図16は、図11中に示す線分E-Eに沿った電磁波センサ100Aの断面図である。
【0080】
本実施形態の電磁波センサ100Aは、測定対象から放出される赤外線を検出することによって、この測定対象の温度分布を二次元的に検出(撮像)する赤外線撮像素子(赤外線イメージセンサ)である。
【0081】
赤外線は、波長が0.75μm以上、1000μm以下である電磁波である。赤外線イメージセンサは、赤外線カメラとして屋内や屋外の暗視などに利用されるほか、非接触式の温度センサとして人や物の温度測定などに利用されている。
【0082】
具体的に、電磁波センサ100Aは、図11図16に示したように、互いに対向して配置された第1の基板102及び第2の基板103と、第1の基板102と第2の基板103との間に配置された複数のサーミスタ素子104とを備えている。
【0083】
第1の基板102及び第2の基板103は、ある特定の波長の電磁波、具体的には10μmの波長を含む波長帯域を有する赤外線(本実施形態では波長8~14μmの長波長赤外線)IRに対して透過性を有するシリコン基板からなる。また、赤外線IRに対して透過性を有する基板としては、ゲルマニウム基板などを用いることができる。
【0084】
本実施形態の電磁波センサ100Aは、測定対象から放出された検知対象の電磁波(測定対象から放出された赤外線IR)が第1の基板102側から入射するように構成されている。すなわち、第1の基板102は、検知対象の電磁波が透過する基板である。
【0085】
第1の基板102及び第2の基板103は、互いに対向する面の周囲をシール材(図示せず。)により封止することによって、その間に密閉された内部空間Kを構成している。また、内部空間Kは減圧されている。
【0086】
これにより、本実施形態の電磁波センサ100Aでは、内部空間Kでの対流による熱の影響を抑制し、サーミスタ素子104に対して測定対象から放出される赤外線IR以外の熱による影響を排除している。
【0087】
なお、本実施形態の電磁波センサ100Aは、上述した密閉された内部空間Kを減圧した構成に必ずしも限定されるものではなく、大気圧のまま密閉又は開放された内部空間Kを有する構成であってもよい。
【0088】
第1の基板102の基板面は、第1の方向X及び第2の方向Yを含むXY面と平行になっている。すなわち、第1の方向Xは、第1の基板102の基板面に対して平行な方向であり、第2の方向Yは、第1の基板102の基板面に対して平行な方向である。
【0089】
サーミスタ素子104は、赤外線IRを検出する電磁波検出部であり、温度検知素子としてのサーミスタ膜105と、サーミスタ膜105の少なくとも一部(本実施形態では全部)を覆う電磁波吸収体としての絶縁膜106とを有している。
【0090】
サーミスタ膜105としては、例えば、酸化バナジウム、非晶質シリコン、多結晶シリコン、マンガンを含むスピネル型結晶構造の酸化物、酸化チタン、又はイットリウム-バリウム-銅酸化物などを用いることができる。
【0091】
絶縁膜106としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウムマグネシウム、ホウ化ケイ素、窒化ホウ素、又はサイアロン(ケイ素とアルミニウムとの酸窒化物)などを用いることができる。
【0092】
サーミスタ素子104は、サーミスタ膜105の面直方向に電流が流れるCPP(Current-Perpendicular-to-Plane)構造を有している。すなわち、このサーミスタ素子104は、図示を省略するものの、サーミスタ膜105の一方の面に接触して設けられた一対の第1の電極と、サーミスタ膜105の他方の面に接触して設けられた第2の電極とを有し、一方の第1の電極から第2の電極に向けてサーミスタ膜105の面直方向に電流を流すと共に、第2の電極から他方の第1の電極に向けてサーミスタ膜105の面直方向に電流を流すことが可能な構成となっている。
【0093】
一方、サーミスタ素子104は、このようなCPP構造に限らず、第2の電極を省略することで、一対の第1の電極の間でサーミスタ膜105の面内方向に電流が流れるCIP(Current-In-Plane)構造を有する構成としてもよい。
【0094】
絶縁膜106は、少なくともサーミスタ膜105の少なくとも一部を覆うように設けられた構成であればよい。本実施形態では、サーミスタ膜105の両面を覆うように、絶縁膜106が設けられている。
【0095】
複数のサーミスタ素子104は、互いに同じ大きさで形成されている。また、複数のサーミスタ素子104は、第1の基板102の基板面と平行な面内(以下、「特定の面内」という。)に二次元アレイ状に配列されている。すなわち、これら複数のサーミスタ素子104は、第1の基板102の基板面に垂直な方向(第3の方向Z)からの平面視において、特定の面内において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとにマトリックス状に並んで配置されている。なお、第1の方向Xと第2の方向Yとは、特定の面内において必ずしも直交していなくてもよい。
【0096】
また、各サーミスタ素子104は、第1の方向Xを行方向とし、第2の方向Yを列方向として、第1の方向Xに一定の間隔で並んで配置されると共に、第2の方向Yに一定の間隔で並んで配置されている。
【0097】
なお、上記サーミスタ素子104の行列数としては、例えば640行×480列、1024行×768列などが挙げられるが、これら行列数に必ずしも限定されるものではなく
、適宜変更することが可能である。
【0098】
各サーミスタ膜105と第1の基板102の厚さ方向において対向する領域(平面視で重なる領域)には、第1の基板102とサーミスタ膜105との間で赤外線IRを透過させる窓部Wが存在している。なお、窓部Wでは、後述する第1の基板102の基板面上に設けられた第1の絶縁体層108の一部が除去されている。すなわち、窓部Wには、各サーミスタ素子104と平面視で重なる領域において第1の絶縁体層108を貫通する孔部8aが設けられている。
【0099】
各サーミスタ素子104には、サーミスタ膜105と電気的に接続された一対のアーム部107a,107bが連結されている。一対のアーム部107a,107bは、上述した一対の第1の電極と電気的に接続される線状の配線層107と、この配線層107の両面を覆うように設けられた絶縁膜106とを有している。
【0100】
配線層107は、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、タングステン、チタン、タンタル、クロム、シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化クロム、窒化タングステン及び窒化ジルコニウムの中から選ばれる少なくとも1種からなる導電膜からなる。
【0101】
一対のアーム部107a,107bは、第3の方向Zから見た平面視において、サーミスタ素子104を挟んだ両側に位置している。また、各アーム部107a,107bは、少なくともサーミスタ素子104の周囲に沿って延在する部分と、サーミスタ素子104と連結される部分とを有している。
【0102】
具体的に、本実施形態のアーム部107a,107bは、第2の方向Yに延在する複数(本実施形態では2つ)の部分が第1の方向Xに並んで配置されると共に、互いに隣り合う部分の一端と他端とが第1の方向Xに延在する部分を介して連結された構造を有している。すなわち、本実施形態のアーム部107a,107bは、第2の方向Yに延在する複数の部分が、第1の方向Xに延在する部分において折り返された構造を有している。
【0103】
また、一対のアーム部107a,107bは、第1の方向Xに延在する部分を介してサーミスタ素子104を挟む位置にてサーミスタ素子104と連結されている。配線層107は、サーミスタ膜105を挟んだ両側に位置している導電層107cと連結されている。導電層107cとしては、上記配線層107で例示したものと同じものを用いることができる。図示を省略するものの、アーム部107aが有する配線層107は、導電層107c及び上述した一対の第1の電極のうちの一方の第1の電極を介してサーミスタ膜105と電気的に接続され、アーム部107bが有する配線層107は、導電層107c及び上述した一対の第1の電極のうちの他方の第1の電極を介してサーミスタ膜105と電気的に接続されている。本実施形態では、導電層107cがサーミスタ素子104の一部を構成している。
【0104】
第1の基板102の第2の基板103と対向する面側には、第1の絶縁体層108と、複数の第2の配線109とが設けられている。
【0105】
第1の絶縁体層108は、第1の基板102の一方の面(第2の基板103と対向する面)側に形成された絶縁膜からなる。絶縁膜としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウムマグネシウム、ホウ化ケイ素、窒化ホウ素、サイアロン(ケイ素とアルミニウムの酸窒化物)などを用いることができる。
【0106】
複数の第2の配線109のそれぞれは、例えば銅や金などの導電膜からなり、第2部分P109を含んでいる。複数の第2部分P109のそれぞれは、第1の基板102の基板面に垂直な方向(第3の方向Z)からの平面視において、基板面に対して平行な第2の方向Yに延在している。また、複数の第2部分P109は、第1の方向Xに一定の間隔で並んで設けられている。第2部分P109は、第2の配線109のうち、第2の方向Yにおける1番目のサーミスタ素子104に対応する第3の支柱113の接続箇所109J1から第2の方向Yにおけるm番目のサーミスタ素子104に対応する第3の支柱113の接続箇所109Jmまでの部分である(図11参照)。
【0107】
本実施形態では、第2の配線109が第1の絶縁体層108の層内に位置している。なお、第2の配線109は、少なくとも表面が第1の絶縁体層108から露出していてもよい。
【0108】
本実施形態の電磁波センサ100Aにおいて、複数の第2の配線109は、第3の方向Zにおいてサーミスタ素子104よりも第1の基板102側に位置している。複数の第2の配線109の第3の方向Zの位置は、サーミスタ素子104の第3の方向Zの位置と第1の基板102の第3の方向Zの位置との間にある。
【0109】
一方、第3の方向Zにおいてサーミスタ素子104よりも第1の基板102とは反対側には、複数の第1の配線110が設けられている。サーミスタ素子104の第3の方向Zの位置は、複数の第1の配線110の第3の方向Zの位置と第1の基板102の第3の方向Zの位置との間にある。複数の第1の配線110は、第1の基板102と第2の基板103との間に配置されている。すなわち、第2の基板103は、第3の方向Zにおいて、複数の第1の配線110よりも第1の基板102とは反対側に位置している。
【0110】
複数の第1の配線110は、例えば銅や金などの導電膜からなり、第1部分P110を含んでいる。複数の第1部分P110のそれぞれは、第3の方向Zからの平面視において、第1の基板102の基板面に対して平行な第1の方向Xに延在している。また、複数の第1部分P110は、第2の方向Yに一定の間隔で並んで設けられている。第1部分P110は、第1の配線110のうち、第1の方向Xにおける1番目のサーミスタ素子104に対応する第4の支柱114の接続箇所110J1から第1の方向Xにおけるn番目のサーミスタ素子104に対応する第4の支柱114の接続箇所110Jnまでの部分である(図11参照)。
【0111】
したがって、複数の第2の配線109と複数の第1の配線110とは、第3の方向Zの異なる位置に、立体的に交差するように配置されている。すなわち、それぞれの第2の配線109は、第3の方向Zに間隔が設けられて、複数の第1の配線110と立体的に交差するように配置されている。また、それぞれの第1の配線110は、第3の方向Zに間隔が設けられて、複数の第2の配線109と立体的に交差するように配置されている。
【0112】
第1の配線110は、第3の方向Zから平面視したときに、サーミスタ素子104と重なる部分を有している。これにより、サーミスタ素子104を透過した測定対象の電磁波(赤外線IR)が第1の配線110で反射してサーミスタ素子104に再度照射されることによる電磁波吸収効率の向上が可能になる。
【0113】
また、第1の配線110の第1部分P110は、第3の方向Zから平面視したときに、第2の配線109の第2部分P109よりも大きい幅を有している。これにより、上述の電磁波吸収効率の向上効果を大きくすることができると共に、第1の配線110の第1部分P110の単位長当たりの電気抵抗値を第2の配線109の第2部分P109の単位長当たりの電気抵抗値よりも小さくすることができる。また、第1部分P110の第3の方向Zの厚さは、第2部分P109の第3の方向Zの厚さよりも大きくなっている。これにより、第1部分P110の単位長当たりの電気抵抗値を第2部分P109の単位長当たりの電気抵抗値よりも小さくすることができる。
【0114】
本実施形態の電磁波センサ100Aは、少なくとも第3の方向Zの成分を含む方向(本実施形態では第3の方向Z)に延在する第1の支柱111、第2の支柱112、第3の支柱113及び第4の支柱114を備えている。
【0115】
第1の支柱111は、例えば銅、金、FeCoNi合金又はNiFe合金(パーマロイ)などの導電体からなる。第1の支柱111の少なくとも一部は、第3の方向Zにおける第1の基板102とサーミスタ素子104との間に位置して、第3の方向Zの成分を含む方向(本実施形態では第3の方向Z)に延在した断面円形状の導電性支柱により形成されている。
【0116】
第1の支柱111は、その延在方向(本実施形態では第3の方向Z)における一端(本実施形態では上端)が第2の配線109を覆う第1の絶縁体層108と接続され、その延在方向における他端(本実施形態では下端)がアーム部107bを構成する配線層107の先端と接続されている。
【0117】
第1の支柱111の少なくとも一端(本実施形態では上端)は、絶縁体(本実施形態では第1の絶縁体層108)と接続されている。これにより、第1の支柱111の一端から他端までの第1の支柱111の中を通る経路において、サーミスタ素子104(サーミスタ膜105)は、第3の方向Zからの平面視において第1の支柱111と重なる第2の配線109と電気的に絶縁されている。1
【0118】
第2の支柱112は、例えば銅、金、FeCoNi合金又はNiFe合金(パーマロイ)などの導電体からなる。第2の支柱112の少なくとも一部は、第3の方向Zにおける第1の配線110とサーミスタ素子104との間に位置して、第3の方向Zの成分を含む方向(本実施形態では第3の方向Z)に延在した断面円形状の導電性支柱により形成されている。
【0119】
第2の支柱112は、その延在方向(本実施形態では第3の方向Z)における一端(本実施形態では下端)が第1の配線110と接続され、その延在方向における他端(本実施形態では上端)がアーム部107aを構成する配線層107の下面に設けられた絶縁膜106と接続されている。
【0120】
第2の支柱112の少なくとも一端(本実施形態では上端)は、絶縁体(本実施形態では絶縁膜106)と接続されている。これにより、第2の支柱112の一端から他端までの第2の支柱112の中を通る経路において、サーミスタ素子104(サーミスタ膜105)は、第1の配線110と電気的に絶縁されている。
【0121】
第3の支柱113は、例えば銅、金、FeCoNi合金又はNiFe合金(パーマロイ)などの導電体からなる。第3の支柱113の少なくとも一部は、第3の方向Zにおける第1の基板102とサーミスタ素子104との間に位置して、第3の方向Zの成分を含む方向(本実施形態では第3の方向Z)に延在した断面円形状の導電性支柱により形成されている。
【0122】
第2の支柱112と第3の支柱113とは、第3の方向Zから平面視したときに、少なくとも一部(本実施形態では全部)が互いに重なる位置にある。また、第3の支柱113
は、その延在方向(本実施形態では第3の方向Z)における一端(本実施形態では上端)が第2の配線109と接続され、その延在方向における他端(本実施形態では下端)がアーム部107aの配線層107の先端と接続されている。これにより、サーミスタ素子104は、少なくとも第3の支柱113を介して第1の基板102と繋がっている。本実施形態では、アーム部107a、第3の支柱113、第2の配線109及び第1の絶縁体層108を介してサーミスタ素子104が第1の基板102と繋がっている。
【0123】
なお、第1の絶縁体層108は、第3の支柱113と第2の配線109とが電気的に接続されるように部分的に除去されている。また、アーム部107aを構成する配線層107の上面に設けられた絶縁膜106は、第3の支柱113とアーム部107aの配線層107とが電気的に接続されるように部分的に除去されている。
【0124】
サーミスタ素子104及び一対のアーム部107a,107bは、第3の方向Zから平面視においてサーミスタ素子104の対角方向に位置する第1の支柱111と第3の支柱113とにより、第1の基板102から第3の方向Zに吊り下げられた状態で支持されている。サーミスタ素子104及びアーム部107a、107bは、第1の支柱111と第3の支柱113との2本の支柱により第1の基板102から支持されているので、この支持構造の機械的強度が高くなっている。また、サーミスタ素子104と第1の絶縁体層108との間(サーミスタ素子104と第1の基板102との間)には、空間G1が設けられている。
【0125】
第3の支柱113は、導電性を有し、第2の配線109及びサーミスタ素子104と電気的に接続されている。すなわち、サーミスタ素子104(サーミスタ膜105)は、少なくとも第3の支柱113を介して第2の配線109と電気的に接続されている。
【0126】
第4の支柱114は、例えば銅、金、FeCoNi合金又はNiFe合金(パーマロイ)などの導電体からなる。第4の支柱114の少なくとも一部は、第3の方向Zにおける第1の配線110とサーミスタ素子104との間に位置して、第3の方向Zの成分を含む方向(本実施形態では第3の方向Z)に延在した断面円形状の導電性支柱により形成されている。
【0127】
第1の支柱111と第4の支柱114とは、第3の方向Zから平面視したときに、少なくとも一部(本実施形態では全部)が互いに重なる位置にある。また、第4の支柱114は、その延在方向(本実施形態では第3の方向Z)における一端(本実施形態では下端)が第1の配線110と接続され、その延在方向における他端(本実施形態では上端)がアーム部107bの配線層107の先端と接続されている。これにより、第1の配線110は、少なくとも第4の支柱114を介してサーミスタ素子104と繋がっている。本実施形態では、第4の支柱114及びアーム部107bを介して第1の配線110がサーミスタ素子104と繋がっている。なお、アーム部107bを構成する配線層107の下面に設けられた絶縁膜106は、第4の支柱114とアーム部107bの配線層107とが電気的に接続されるように部分的に除去されている。
【0128】
第1の配線110は、第2の支柱112と第4の支柱114との2本の支柱により、アーム部107a,107bを介してサーミスタ素子104と繋がって支持されているので、この支持構造の機械的強度が高くなっている。
【0129】
第1の配線110は、第3の方向Zから平面視においてサーミスタ素子104の対角方向に位置する第2の支柱112及び第3の支柱113と第1の支柱111及び第4の支柱114とにより、第1の基板102から第3の方向Zに吊り下げられた状態で支持されている。また、サーミスタ素子104と第1の配線110との間には、空間G2が設けられ
ている。
【0130】
第4の支柱114は、導電性を有し、第1の配線110及びサーミスタ素子104と電気的に接続されている。すなわち、サーミスタ素子104(サーミスタ膜105)は、少なくとも第4の支柱114を介して第1の配線110と電気的に接続されている。
【0131】
本実施形態の電磁波センサ100Aでは、第3の方向Zから平面視したときに、第2の支柱112と第3の支柱113とは、少なくとも一部が互いに重なる位置にあり、第1の支柱111と第4の支柱114とは、少なくとも一部(本実施形態では全部)が互いに重なる位置にある。これにより、サーミスタ素子104及びアーム部107a,107b又は第1の配線110を支持する構造の機械的強度が高くなっている。
【0132】
本実施形態の電磁波センサ100Aでは、複数のサーミスタ素子104のそれぞれが、複数の第2の配線109のうちの対応する1つと第3の支柱113を介して電気的に接続されると共に、複数のサーミスタ素子104のそれぞれが、複数の第1の配線110のうちの対応する1つと第4の支柱114を介して電気的に接続されている。
【0133】
本実施形態の電磁波センサ100Aは、複数の第3の配線115、複数の第4の配線116及び複数の第5の配線117と、少なくとも第3の方向Zの成分を含む方向(本実施形態では第3の方向Z)に延在する第5の支柱118、第6の支柱119及び第7の支柱120とを備えている。
【0134】
複数の第3の配線115は、例えば銅や金などの導電膜からなり、第1の基板102の第2の基板103と対向する面側に設けられている。すなわち、複数の第3の配線115は、第3の方向Zにおいて、第1の配線110よりも第1の基板102側に位置している。複数の第3の配線115の第3の方向Zの位置は、第1の配線110の第3の方向Zの位置と第1の基板102の第3の方向Zの位置との間にある。
【0135】
本実施形態では、第3の配線115が第1の絶縁体層108の層内に位置している。なお、第3の配線115は、少なくとも表面が第1の絶縁体層108から露出していてもよい。
【0136】
複数の第3の配線115のそれぞれは、複数の第1の配線110のうちの対応する1つと電気的に接続されている。複数の第3の配線115は、第3の方向Zからの平面視において、第1の方向Xに延在し、且つ、第2の方向Yに一定の間隔で並んで設けられている。
【0137】
図11及び図13に示す例において、各第3の配線115は、第3の方向Zから平面視したときに、対応する1つの第1の配線110よりも小さい幅を有している。また、図11及び図13に示す例において、各第3の配線115は、対応する1つの第1の配線110よりも第3の方向Zの厚みが小さくなっている。各第3の配線115は、第3の方向Zから平面視したときに、対応する1つの第1の配線110の一端側又は他端側と重なる部分を有している。さらに、各第3の配線115は、第3の方向Zから平面視したときに、対応する1つの第1の配線110と重なる部分から第1の配線110とは離間する方向に向かって延在している。
【0138】
本実施形態では、第3の方向Zからの平面視において、第1の配線110の一端側と重なる第3の配線115と、第1の配線110の他端側と重なる第3の配線115とが、第2の方向Yに交互に並んで設けられている。なお、このような構成に限らず、第1の配線110の一端側と重なる第3の配線115のみが第2の方向Yに並ぶ構成や、第1の配線
110の他端側と重なる第3の配線115のみが第2の方向Yに並ぶ構成とすることも可能である。
【0139】
第5の支柱118は、例えば銅、金、FeCoNi合金又はNiFe合金(パーマロイ)などの導電体からなる。第5の支柱118の少なくとも一部は、第3の方向Zにおける第1の配線110と第1の基板102との間に位置して、第3の方向Zの成分を含む方向(本実施形態では第3の方向Z)に延在した断面円形状の導電性支柱により形成されている。本実施形態において、第5の支柱118は、第1の配線110と第3の配線115との間に位置している。
【0140】
第5の支柱118は、その延在方向(本実施形態では第3の方向Z)における一端(本実施形態では下端)が第1の配線110と接続され、その延在方向における他端(本実施形態では上端)が第3の配線115と接続されている。これにより、第1の配線110は、少なくとも第5の支柱118を介して第1の基板102と繋がっている。本実施形態では、第5の支柱118、第3の配線115及び第1の絶縁体層108を介して第1の配線110が第1の基板102と繋がっている。第1の配線110は、第5の支柱118により、第1の基板102から第3の方向Zに吊り下げられた状態で支持されている。本実施形態では、第5の支柱118は、第1の配線110の一端側又は他端側と接続されている。なお、第1の絶縁体層108は、第5の支柱118と第3の配線115とが電気的に接続されるように部分的に除去されている。
【0141】
第5の支柱118は、導電性を有し、第1の配線110及び第3の配線115と電気的に接続されている。すなわち、第1の配線110は、少なくとも第5の支柱118を介して第3の配線115と電気的に接続されている。これにより、サーミスタ素子104(サーミスタ膜105)は、少なくとも第4の支柱114を介して第1の配線110と電気的に接続され、少なくとも第4の支柱114、第1の配線110及び第5の支柱118を介して第3の配線115と電気的に接続されている。
【0142】
複数の第4の配線116は、例えば銅や金などの導電膜からなり、第2の基板103の第1の基板102と対向する面側に設けられている。すなわち、複数の第4の配線116は、第3の方向Zにおいて、第1の配線110よりも第1の基板102とは反対側(第2の基板103側)に位置している。
【0143】
第2の基板103の第1の基板102と対向する面側には、第2の絶縁体層121が設けられている。第2の絶縁体層121は、第2の基板103の一方の面(第1の基板102と対向する面)側において形成された絶縁膜からなる。絶縁膜としては、上記第1の絶縁体層108で例示したものと同じものを用いることができる。
【0144】
本実施形態では、第4の配線116が第2の絶縁体層121の層内に位置している。なお、第4の配線116は、少なくとも表面が第2の絶縁体層121から露出していてもよい。
【0145】
複数の第4の配線116のそれぞれは、複数の第3の配線115のうちの対応する1つと電気的に接続されている。複数の第4の配線116は、第3の方向Zからの平面視において、第1の方向Xに延在し、且つ、第2の方向Yに一定の間隔で並んで設けられている。
【0146】
また、各第4の配線116は、第3の方向Zから平面視したときに、対応する1つの第3の配線115の第5の支柱118と接続された側とは反対側と重なる部分を有している。さらに、各第4の配線116は、第3の方向Zから平面視したときに、対応する1つの
第3の配線115と重なる部分から第3の配線115とは離間する方向に向かって延在している。
【0147】
第6の支柱119は、例えば銅、金、FeCoNi合金又はNiFe合金(パーマロイ)などの導電体からなる。第6の支柱119は、第3の配線115と第4の配線116との間に位置して、第3の方向Zの成分を含む方向(本実施形態では第3の方向Z)に延在した断面円形状の導電性支柱により形成されている。
【0148】
第6の支柱119は、その延在方向(本実施形態では第3の方向Z)における一端(本実施形態では上端)が第3の配線115と接続され、その延在方向における他端(本実施形態では下端)が第4の配線116と接続されている。なお、第2の絶縁体層121は、第6の支柱119と第4の配線116とが電気的に接続されるように部分的に除去されている。
【0149】
第6の支柱119は、導電性を有し、第3の配線115及び第4の配線116と電気的に接続されている。すなわち、第3の配線115は、少なくとも第6の支柱119を介して第4の配線116と電気的に接続されている。これにより、サーミスタ素子104(サーミスタ膜105)は、少なくとも第4の支柱114を介して第1の配線110と電気的に接続され、少なくとも第4の支柱114、第1の配線110及び第5の支柱118を介して第3の配線115と電気的に接続され、少なくとも第4の支柱114、第1の配線110、第5の支柱118、第3の配線115及び第6の支柱119を介して第4の配線116と電気的に接続されている。
【0150】
複数の第5の配線117は、例えば銅や金などの導電膜からなり、第2の基板103の第1の基板102と対向する面側に設けられている。すなわち、複数の第5の配線117は、第3の方向Zにおいて、第1の配線110よりも第1の基板102とは反対側(第2の基板103側)に位置している。
【0151】
本実施形態では、第5の配線117が第2の絶縁体層121の層内に位置している。なお、第5の配線117は、少なくとも表面が第2の絶縁体層121から露出していてもよい。
【0152】
複数の第5の配線117のそれぞれは、複数の第2の配線109のうちの対応する1つと電気的に接続されている。複数の第5の配線117は、第3の方向Zからの平面視において、第2の方向Yに延在し、且つ、第1の方向Xに一定の間隔で並んで設けられている。
【0153】
また、各第5の配線117は、第3の方向Zから平面視したときに、対応する1つの第2の配線109の一端側又は他端側と重なる部分を有している。さらに、各第5の配線117は、第3の方向Zから平面視したときに、対応する1つの第2の配線109と重なる部分から第2の配線109とは離間する方向に向かって延在している。
【0154】
本実施形態では、第3の方向Zからの平面視において、第2の配線109の一端側と重なる第5の配線117と、第2の配線109の他端側と重なる第5の配線117とが、第1の方向Xに交互に並んで設けられている。なお、このような構成に限らず、第2の配線109の一端側と重なる第5の配線117のみが第1の方向Xに並ぶ構成や、第2の配線109の他端側と重なる第5の配線117のみが第1の方向Xに並ぶ構成とすることも可能である。
【0155】
第7の支柱120は、例えば銅、金、FeCoNi合金又はNiFe合金(パーマロイ
)などの導電体からなる。第7の支柱120は、第2の配線109と第5の配線117との間に位置して、第3の方向Zの成分を含む方向(本実施形態では第3の方向Z)に延在した断面円形状の導電性支柱により形成されている。
【0156】
第7の支柱120は、その延在方向(本実施形態では第3の方向Z)における一端(本実施形態では上端)が第2の配線109と接続され、その延在方向における他端(本実施形態では下端)が第5の配線117と接続されている。なお、第2の絶縁体層121は、第7の支柱120と第5の配線117とが電気的に接続されるように部分的に除去されている。
【0157】
第7の支柱120は、導電性を有し、第2の配線109及び第5の配線117と電気的に接続されている。すなわち、第2の配線109は、少なくとも第7の支柱120を介して第5の配線117と電気的に接続されている。これにより、サーミスタ素子104(サーミスタ膜105)は、少なくとも第3の支柱113を介して第2の配線109と電気的に接続され、少なくとも第3の支柱113、第2の配線109及び第7の支柱120を介して第5の配線117と電気的に接続されている。
【0158】
複数の第4の配線116及び複数の第5の配線117は、第2の基板103の第1の基板102と対向する面側に設けられた回路部(図示せず。)の一部を構成している。回路部は、各サーミスタ素子104から出力される電気信号の変化を検出して輝度温度に変換するものであり、読み出し集積回路(ROIC:Read Out Integrated Circuit)やレギ
ュレータ、A/Dコンバータ(Analog-to-Digital Converter)、マルチプレクサなどか
らなる。読み出し集積回路には、オペアンプが含まれる。
【0159】
以上のような構成を有する本実施形態の電磁波センサ100Aでは、測定対象から放出された赤外線IR(検知対象の電磁波)が第1の基板102側から入射する。図12~15に示す例では、測定対象から放出された赤外線IR(検知対象の電磁波)が第1の基板102側から窓部Wを通過してサーミスタ素子104に入射する。
【0160】
サーミスタ素子104では、サーミスタ膜105の近傍に形成された絶縁膜106に入射した赤外線IRが絶縁膜106に吸収されること、並びに、サーミスタ膜105に入射した赤外線IRがサーミスタ膜105に吸収されることによって、このサーミスタ膜105の温度が変化する。また、サーミスタ素子104では、サーミスタ膜105の温度変化に対して、このサーミスタ膜105の電気抵抗値が変化する。本実施形態の電磁波センサ100Aでは、サーミスタ素子104がボロメータ素子として機能する。
【0161】
本実施形態の電磁波センサ100Aでは、測定対象から放出される赤外線IRを複数のサーミスタ素子104により平面的に検出した後、各サーミスタ素子104(各サーミスタ膜105)に対応する出力電圧を輝度温度に変換することによって、測定対象の温度分布(温度画像)を二次元的に検出(撮像)することが可能である。
【0162】
ところで、本実施形態の電磁波センサ100Aでは、上述した第3の方向Zにおいて、サーミスタ素子104よりも第1の基板102側に第2の配線109が位置し、サーミスタ素子104よりも第1の基板102とは反対側に第1の配線10が位置している。
【0163】
これにより、本実施形態の電磁波センサ100Aでは、第3の方向Zにおける第2の配線109と第1の配線110との間隔をスペース効率良く広げることができ、これら第2の配線109と第1の配線110との間に生じる寄生容量を低減することが可能である。
【0164】
したがって、本実施形態の電磁波センサ100Aでは、高い動作速度及び高い検出精度
を得ることが可能である。
【0165】
電磁波センサ100Aにおいて、例えばサーミスタ膜105、導電層107c、配線層107、第3の支柱113及び第4の支柱114を合わせたものが上記第1~第4の実施の形態の素子アレイ回路1~4における抵抗素子Zに対応する。また、第1の配線110が給電線Aの一部に対応し、第1部分P110が第1部分PAに対応する。また、第2の配線109が読み出し線Bの一部に対応し、第2部分P109が第2部分PBに対応する。さらに、上記第1~第4の実施の形態の素子アレイ回路1~4におけるオペアンプOPは読み出し集積回路に含まれている。
【0166】
なお、本開示の電磁波センサの構成は、本実施の形態の電磁波センサ100Aの構成に限定されるものではない。
【0167】
<10.変形例>
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0168】
例えば、上記第1~4の実施の形態の素子アレイ回路1~4を記載した図面では、複数の第1配線のそれぞれの第1部分の延在方向が互いに平行である場合を例示しているが、本開示はこれに限定されるものではなく、複数の第1部分が互いに非平行であってもよい。また、複数の第1配線は、一直線状に延在する場合に限定されるものではなく、全体的に曲線状に延在するものであってもよいし、一部に曲線部分や屈曲部分を含む形状であってもよい。同様に、素子アレイ回路1~4を記載した図面では、複数の第2配線のそれぞれの第2部分の延在方向が互いに平行である場合を例示しているが、本開示はこれに限定されるものではなく、複数の第2部分が互いに非平行であってもよい。また、本開示は複数の第1部分と複数の第2部分とが互いに直交する方向に延在する場合に限定されるものではない。さらに、複数の第2配線は、一直線状に延在する場合に限定されるものではなく、全体的に曲線状に延在するものであってもよいし、一部に曲線部分や屈曲部分を含む形状であってもよい。
【0169】
また、上記第1~5の実施の形態の素子アレイ回路1~5は、複数のインピーダンス素子として複数の抵抗素子Zを有するようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば図17に示した素子アレイ回路1Aは、複数の半導体素子SEを有する。素子アレイ回路1Aの構成は、複数の抵抗素子Zの代わりに複数の半導体素子SEを有することを除き、素子アレイ回路1の構成と実質的に同じである。半導体素子SEは、例えば、電気特性が温度によって変化するものであり、例えばダイオードである。例えば、第1の実施の形態で抵抗素子Zの例として挙げたサーミスタ膜にかえて、温度によってインピーダンス値が変化するダイオードを用い、ダイオードにおける温度をダイオードのインピーダンス値に起因する出力電圧として検出するようにして、赤外線などの電磁波の強度を検出する電磁波センサや、面内における温度分布を検出可能な温度センサに適用してもよい。
【0170】
また、上記第1~5の実施の形態の素子アレイ回路1~5は、1以上の変換素子として1以上の抵抗素子REを有するようにしたが、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば1以上の半導体素子を採用してもよい。例えば図18に示した素子アレイ回路1Bのように、複数の変換素子として複数のダイオードDを有するようにしてもよい。図18に示す例では、抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)のそれぞれの抵抗値に依存した電流が、抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)のそれぞれに流れ、読み出し線B1~Bnのそれぞれを流れて、ダイオードD1~Dnのそれぞれに流れる。読み出し線B1~Bnのそれぞれを流れる電流は、ダイオードD1~Dnのそれぞれにより、ダイオードD1~Dn
のそれぞれの電流電圧特性に応じて電圧に変換され、抵抗素子Z(1,1)~Z(1,n)のそれぞれに対応するオペアンプOP1~OPnの出力端子T3からの出力電圧Voutとして出力される。
【0171】
また、例えば図19に示した素子アレイ回路1Cのように、1以上の変換素子として1以上の容量素子CP(CP1~CPn)を採用してもよい。
【0172】
また、上記第9の実施の形態では、インピーダンス素子が、赤外線などの電磁波を電気信号に変換する受光素子である場合を例示したが、本実施の形態のセンサデバイスはその場合に限定されるものではない。
【0173】
例えば素子アレイ回路のインピーダンス素子として、サーミスタ材料や感温性導電インク材料などを用いた感温性抵抗体を採用してもよい。そのような感温性抵抗体は、温度の高低に応じて電気抵抗値が変化するようになっている。その場合、センサデバイスは、面内における温度分布を検出可能な温度センサとなる。
【0174】
あるいは、素子アレイ回路のインピーダンス素子として、感圧導電インク材料などを用いた感圧素子を採用してもよい。そのような感圧素子は、印加される圧力の強度に応じて電気抵抗値が変化するようになっている。感圧素子をインピーダンス素子として用いたセンサデバイスは、面内における圧力分布を検出可能な圧力センサとなる。
【0175】
さらには、素子アレイ回路のインピーダンス素子として、歪ゲージを採用してもよい。そのような歪ゲージは、印加される応力の強度に応じて電気抵抗値が変化するようになっている。歪ゲージをインピーダンス素子として用いたセンサデバイスは、面内における応力分布を検出可能な歪センサとなる。
【0176】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0177】
1~4…素子アレイ回路、U1~U3…素子アレイ回路ユニット、A(A1~Am)…給電線、B(B1~Bn)…読み出し線、CTRL…制御部、CP(CP1~CPn)…容量素子、OP(OP1~OPn)…オペアンプ、PS1,PS2…直流電源、SA…給電線選択部、SW(SW1~SWn)…スイッチZ(Z(1,1)~Z(m,n))…抵抗素子。
図1
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