IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスティー1 カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-透過膜サポート 図1
  • 特開-透過膜サポート 図2
  • 特開-透過膜サポート 図3
  • 特開-透過膜サポート 図4
  • 特開-透過膜サポート 図5
  • 特開-透過膜サポート 図6
  • 特開-透過膜サポート 図7
  • 特開-透過膜サポート 図8
  • 特開-透過膜サポート 図9
  • 特開-透過膜サポート 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132952
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】透過膜サポート
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035612
(22)【出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】10-2023-0034705
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524090437
【氏名又は名称】エスティー1 カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヨン チョン
(72)【発明者】
【氏名】コ、ピョン チョン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029AA21
4B029BB11
4B029CC11
4B029GB01
4B029GB09
(57)【要約】
【課題】透過膜の着脱が可能な透過膜サポートを得る。
【解決手段】透過膜サポートは中空シリンダー110で、両端に第1開口を有する上端部と第2開口を有する下端部、前記第1開口と第2開口との間で延長され、その間に開放チャンネルを形成する内壁、及び前記内壁の下端部から内側へ延長され、前記開放チャンネルを形成するために中央開口を含む支持面を含む下部サポート、前記下部サポートに一部収容される円筒状下部部材、プレートウェルの上部にかけられるように対向する一対の翼及び前記円筒状下部部材の上側円周部分から上方へ延長された対向する2つの前記翼をそれぞれ連結するビーム変形支持部を含む上部サポート、及び透過膜を含み、前記下部サポートの内壁及び前記上部サポートのビーム変形支持部は、夫々掛け部および溝、又は溝及び掛け部を含み、スナップフィット結合時に、上部サポートが下部サポートの内部に重ねられて安定的に結合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートのウェルに収容されるようにウェルよりも小径の中空シリンダー110で、両端に第1開口を有する上端部および第2開口を有する下端部、前記第1開口と第2開口との間で延長され、その間に開放チャンネルを形成する内壁および前記第2開口の前記内壁の下端部から内側へ延長され、前記開放チャンネルを形成するために中央開口を含む支持面を含む、下部サポート、
前記下部サポートに一部収容される円筒状下部部材、プレートウェルの上部にかけられるように対向する一対の翼、および前記円筒状下部部材の上側円周部分から上方へ延長された対向する2つの前記翼をそれぞれ連結するビーム変形支持部を含む、上部サポート、
前記下部サポートの内壁および前記上部サポートのビーム変形支持部は、スナップフィット結合のためにそれぞれ掛け部および溝、またはそれぞれ溝および掛け部を含み、
前記下部サポートの内側支持面と前記上部サポートの円筒状下部部材の下面との間の透過膜として、前記透過膜は、多孔性薄膜および前記多孔性薄膜の周りに接合されたシーリングパターンを含む透過膜、および
前記シーリングパターンは、前記上部サポートと前記下部サポートとの前記スナップフィット結合締結時に、前記円筒状下部部材の開口の下と前記下部サポートの支持面の内面との間に重ねられ、前記シーリングパターンは、前記円筒状下部部材の開口の下と前記下部サポートの支持面の内面との間に重ねられてシーリングを提供する、透過膜の着脱が可能な透過膜サポート。
【請求項2】
プレートのウェルに収容されるようにウェルよりも小径の中空シリンダー110で、両端に第1開口を有する上端部および第2開口を有する下端部、前記第1開口と第2開口との間で延長され、その間に開放チャンネルを形成する内壁および前記第2開口の前記内壁の下端部から内側へ延長され、前記開放チャンネルを形成するために中央開口を含む支持面を含む、下部サポート、
前記下部サポートに一部収容される円筒状下部部材、プレートウェルの上部にかけられるように対向する一対の翼および前記円筒状下部部材の上側円周部分から上方へ延長された対向する2つの前記翼をそれぞれ連結するビーム変形支持部を含む、上部サポート、
前記下部サポートの内壁は、垂直方向に内側へ延長され、上方へ傾斜した複数の鋸刃を含み、
前記上部サポートのビーム変形支持部は、垂直方向に外側へ延長され、下方へ傾斜した複数の鋸刃を含み、
前記鋸刃は互いに噛み合って結合するように構成され、
前記下部サポートの内側支持面と前記上部サポートの円筒状下部部材の下面との間の透過膜として、前記透過膜は、多孔性薄膜および前記多孔性薄膜の周りに接合されたシーリングパターンを含む透過膜、および
前記シーリングパターンは、前記上部サポートと前記下部サポートとの前記スナップフィット結合締結時、前記円筒状下部部材の開口の下と前記下部サポートの支持面の内面との間に重ねられ、前記シーリングパターンは、前記円筒状下部部材の開口の下と前記下部サポートの支持面の内面との間に重ねられてシーリングを提供する、透過膜の着脱が可能な透過膜サポート。
【請求項3】
前記下部サポートの内壁および前記上部サポートの円筒状下部部材は、スナップフィット結合のために、それぞれ長さ方向に形成された2つ以上の溝および突出部、またはそれぞれ突出部および溝をさらに含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の透過膜の着脱が可能な透過膜サポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランズウェル(transwell)とも呼ばれる透過膜サポート(Permeable Membrane Support、以下PMS)に関する。
【背景技術】
【0002】
トランズウェルまたは透過膜サポートは、組織工学(tissue engineering)で、組職および器官の体外培養およびその機能性評価;薬物/毒性物質の伝達目的で(潜在的)薬物または毒性物質を透過膜を介して透過させて細胞の反応を観察;細胞の移動および侵入(Cell migration & invasion)分野で、細胞の走化性反応を利用して薬物、環境などに対する細胞反応研究;および細胞共培養分野で、透過膜の上層面と下層面に互いに異なる細胞を付着するか、上層面に層状で互いに異なる2つ以上の細胞を培養して機能性を有するようにするなどの用途で用いられている。
【0003】
例えば、透過膜の上下に細胞生物学(cell biology)的側面で互いに異なる環境を形成して、細胞が透過膜を透過するか否か(cell migrationと称する。走化性(chemotaxis)とも称する)を評価して、細胞の対象環境への反応または選好度を評価するために用いられる。この場合、透過膜の孔隙は細胞が意志によって透過するのに適切な大きさ(孔隙直径は3~8μm)を有する。
【0004】
また、PMSは、透過膜を基準として、上層部または下層部の培養ディッシュの一方に細胞を培養し、残り一方に特定物質(薬物、毒素など非常に多様)を置いて、この物質が透過膜を透過して細胞に伝達されるに時に細胞の反応を見る用途で用いられる。この場合、透過膜の孔隙の大きさは細胞が透過できない水準(孔隙直径は3μm以下、通常1~0.4μm)であってもよい。
【0005】
最近には、ヒドロゲル(hydrogel)をPMSの透過膜上でゲル化(gelation)させて、その応用研究(ゲル内部に細胞または薬物をカプセル化(encapsulation)させる)を行ったりする。
【0006】
一般的なPMSは、PS構造の透明なサポートの下部にPC、PET、PTFE材質の透過性薄膜が接合によって付着されており、これにより、各種細胞の培養後に培養細胞を分離する際にたくさんの変形が加えられて、完全な層への分離が困難になるという問題点がある。
【0007】
また、ヒドロゲルを利用する場合、当該培養サンプルを引き離しにくく、一般的にスプーンを利用して一部を取り出して用いたりする問題があり、分離せずに用いる場合、その大きさなどによって顕微鏡などを利用して直接測定することが困難になるという問題もある。
【0008】
最近、様々な条件を順次適用したり、PMS上で培養された組職を他の研究にそのまま利用しようとする試みがあるが、この場合、分離が難しいため、異なる環境での順次試験に困難な実状である。
【0009】
PMS上で培養された細胞群または組職、ヒドロゲルが含まれたサンプルをそのまま分離したり、付着状態で多様な試験および測定、実験に使用することが困難であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した問題点を克服することができる、透過性薄膜を容易に分離することができる、新型構造の透過膜サポートを提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による透過膜サポートは、プレートのウェルに収容されるように、ウェルよりも小径の中空シリンダーで、この両端に第1開口を有する上端部および第2開口を有する下端部、前記第1開口と第2開口との間で延長され、その間に開放チャンネルを形成する内壁および前記内壁の下端部から内側へ延長され、前記開放チャンネルを形成するために中央開口を含む支持面を含む、下部サポート;前記下部サポートに一部収容される円筒状下部部材、プレートウェルの上部にかけられるように対向する一対の翼、および前記円筒状下部部材の上側円周部分から上方へ延長された対向する2つの前記翼をそれぞれ連結するビーム変形支持部を含む、上部サポート;前記下部サポートの内壁および前記上部サポートのビーム変形支持部は、スナップフィット結合のためにそれぞれ掛け部および溝、またはそれぞれ溝および掛け部を含み、前記下部サポートの内側支持面と前記上部サポートの円筒状下部部材の下面との間に透過膜として、前記透過膜は、多孔性薄膜および前記多孔性薄膜の周りに接合されたシーリングパターンを含む透過膜;および前記シーリングパターンは、前記上部サポートと前記下部サポートが前記スナップフィット結合締結時に、前記円筒状下部部材の開口の下と前記下部サポートの支持面の内面との間に重ねられ、前記シーリングパターンは、前記円筒状下部部材の開口の下と前記下部サポートの支持面の内面との間に重ねられて、シーリングを提供することを含む。
【0012】
本発明の他の実施形態による透過膜サポートは、プレートのウェルに収容されるように、ウェルよりも小径の中空シリンダーで、この両端に第1開口を有する上端部および第2開口を有する下端部、前記第1開口と第2開口との間で延長されて、その間に開放チャンネルを形成する内壁、および前記内壁の下端部から内側へ延長され、前記開放チャンネルを形成するために中央開口を含む支持面を含む、下部サポート;前記下部サポートに一部収容される円筒状下部部材、プレートウェルの上部にかけられるように対向する一対の翼、および前記円筒状下部部材の上側円周部分から上方へ延長された対向する2つの前記翼をそれぞれ連結するビーム変形支持部を含む、上部サポート;前記下部サポートの内壁はこの垂直方向に内側へ延長され、上方へ傾斜した複数の鋸刃を含み、前記上部サポートのビーム変形支持部は、この垂直方向に外側へ延長され、下方へ傾斜した複数の鋸刃を含み、前記鋸刃は互いに噛み合って結合するように構成され、前記下部サポートの内側支持面と前記上部サポートの円筒状下部部材の下面との間に透過膜として、前記透過膜は、多孔性薄膜および前記多孔性薄膜の周りに接合されたシーリングパターンを含む透過膜;および前記シーリングパターンは、前記上部サポートと前記下部サポートが前記スナップフィット結合締結時に、前記円筒状下部部材の開口の下と前記下部サポートの支持面の内面との間に重ねられ、前記シーリングパターンは、前記円筒状下部部材の開口の下と前記下部サポートの支持面の内面との間に重ねられて、シーリングを提供することを含む。
【0013】
前記透過膜は、多孔性を有する薄膜、例えばナノ纎維層による薄膜であってもよく、前記多孔性薄膜と接合されたシーリングパターンを含むことを特徴とする。前記シーリングパターンは、前記多孔性薄膜の周りを囲む円形パターンであってもよく、前記上部サポートと前記下部サポートが前記スナップフィット結合締結時に、前記シーリングパターンは、前記円筒状下部部材の開口の下と前記下部サポートの支持面の内面との間に重ねられてシーリングの役割、すなわち、透過膜だけで細胞、薬物、化学物質、代謝物質、代謝廃棄物、粒子、などを通過するようにすることができる。透過膜の孔隙の大きさによって透過膜を透過する物質の種類は決められる。
【0014】
ナノ纎維層は、高分子ナノ纎維で形成されて、多孔性を有する。ナノ纎維層は、ナノ纎維が不規則に配列された不織布型纎維マットであるか、ナノ纎維が一方向に整列された方向性纎維マットであってもよい。また、ナノ纎維層は、互いに交差する2つの方向のみに整列されたナノ纎維を含む織物型纎維マットであってもよい。
【0015】
シーリングパターンは、多孔性薄膜と接合されてもよい。ここで、「接合」は、別途の接着部材なしに互いに異なる2つの構成要素が物理的/機械的に結合している状態に定義する。シーリングパターンは、溶融堆積によって接合されてもよい。この材質には制限がないが、下部サポートおよび上部サポートをシーリングできる材質、例えばシリコンまたはウレタンなどであってもよい。
【0016】
一実施例において、前記下部サポートの内壁および前記上部サポートの円筒状下部部材は、スナップフィット結合のために、それぞれ長さ方向に形成された2つ以上の溝および突出部、またはそれぞれ突出部および溝をさらに含むことを特徴とする。
【発明の效果】
【0017】
本発明に係る透過膜サポートを利用すると、透過膜を独立的に安全に分離することができるので、各種細胞を培養した後に培養細胞を分離する時、透過膜の変形なしに完全な層に分離可能になり、分離された透過膜を顕微鏡の載物台に載せて顕微鏡を利用して透過膜上の培養サンプルを直接測定することができるという利点がある。
【0018】
また、上部サポートと下部サポートとの間のスナップフィット結合構造が結合および分離が容易な構造を有するので、上部サポートと下部サポートとの間の結合および分離が簡単に行われることができるという利点がある。
【0019】
さらに、高さ調節が可能で、厚い透過膜や、複数重に重ねられた透過膜を用いる場合にも、全部安定的に締結することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施例または第3実施例による透過膜サポートの分離斜視図である。
図2】本発明の第1実施例または第3実施例による透過膜サポートの下部サポート、上部サポート、および透過膜の構成をそれぞれ説明するための図面である。
図3】本発明の第1実施例または第3実施例による透過膜サポートの下部サポート、上部サポート、および透過膜の構成をそれぞれ説明するための図面である。
図4】本発明の第1実施例または第3実施例による透過膜サポートの下部サポート、上部サポート、および透過膜の構成をそれぞれ説明するための図面である。
図5】本発明の第1実施例による透過膜サポートの組み立ておよび分離を説明するための図面である。
図6】本発明の第1実施例または第3実施例による透過膜サポートが結合された状態を示す図面である。
図7】本発明の第1実施例または第3実施例による透過膜サポートが結合された状態を示す図面である。
図8】本発明の第3実施例による透過膜サポートを説明するための図面である。
図9】本発明の第3実施例による透過膜サポートを説明するための図面である。
図10】本発明の第3実施例による透過膜サポートを説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について詳しく説明する。本発明は多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示して本文に詳細に説明する。しかしながら、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。各図面の説明において、類似する参照符号は類似する構成要素を示す。
【0022】
本出願で用いた用語は単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0023】
異なって定義されない限り、技術的または科学的用語を含んでここで用いられるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解析されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解析されない。
【0024】
第1実施例
図1~4を参照すると、本発明の第1実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜サポートは、下部サポート100、上部サポート200、および透過膜300を含む。
下部サポート100は、プレートのウェルに収容されるようにウェルよりも小径の中空シリンダー110形状に備えられてもよい。
【0025】
前記中空のシリンダー形状は、両端に第1開口110aを有する上端部および第2開口110bを有する下端部、前記第1開口110aおよび第2開口110bとの間で延長され、その間に開放チャンネルを形成する内壁120を含んでもよい。
【0026】
また、下部サポート100は、前記第2開口の前記内壁120の下端部から内側方向に延長され、前記開放チャンネルを形成するために、中央開口を含む支持面130を含んでもよい。
【0027】
上部サポート200は、円筒状下部部材210、翼部230、およびビーム変形支持部220を含んでもよい。
【0028】
円筒状下部部材210は、上部サポート200の全体高さの中で下部に形成されるもので、下部サポート100に一部収容されることができるように形成されてもよい。言い換えれば、円筒状下部部材210は、下部サポート100の内部に挿入される大きさを有してもよい。
【0029】
翼部230は、上部サポート200の全体高さの中で最上部に形成されるもので、プレートウェルの上部にかけられるようにする対向する一対の翼を含む。このような翼部230は、前記プレートウェルの上部に支持されて、透過膜サポートが前記プレートウェルの上部にかけられるようにする。また、翼部230は上部サポート200を下部サポート100から挿入および着脱を容易にするようにする構造物として用いられてもよい。
【0030】
ビーム変形支持部220は、円筒状下部部材210と翼部230とを連結する。具体的には、ビーム変形支持部220は、円筒状下部部材210の上側円周部分の末端から翼部230に向かって上へ垂直するように延長されて、円筒状下部部材210と翼部230の一対の翼をそれぞれ連結する。したがって、ビーム変形支持部220の水平断面は、弧(Arc)形態であってもよい。すなわち、内側(円筒状部分部材の中心方向)の弧の長さが外側の弧の長さよりも短い形態で、内側への曲げは容易に行われ、外側への曲げは抑制される。外側への曲げが抑制されて、下部サポート100とのスナップフィット結合が保持される。使用者の内側への曲げによってスナップフィット結合は解除され、上部サポート200と下部サポート100との分離が容易になる。
【0031】
例えば、ビーム変形支持部220は、ビーム曲げ(beam deflection)の変形が実行されることができるように、比較的薄板またはこれと類似の形状を有してもよい。また、ビーム変形支持部220は、ビーム曲げ(beam deflection)変形が実行されることができるように、弾性素材で形成されてもよい。したがって、外力の方向に沿って容易に動くことができる。また、翼部230が外へ広がらないようにある程度硬い物性を有する素材で形成されてもよい。それにより、外力がない場合には、本来の状態を保持することができる。すなわち、ビーム変形支持部220は、外力がない状態では翼部230を固定および支持することができる物性を有し、外力がある状態で外力の方向に容易に動くことができるように弾性物質で形成されてもよい。ビーム変形支持部220は、翼部230によって動くことができる。例えば、翼部230の一対の翼を取って外から内側へ力を加える場合、ビーム変形支持部220が内側へ動くことができる。
【0032】
透過膜300は、下部サポート100と上部サポート200との間に配置されてもよく、多孔性薄膜310および前記多孔性薄膜310の周りに配置されたシーリングパターン320を含んでもよい。
【0033】
多孔性薄膜310は、ナノ纎維層による薄膜であってもよく、ナノ纎維層は、高分子ナノ纎維で形成されて、高分子を有してもよい。ナノ纎維層は、ナノ纎維が不規則に配列された不織布型纎維マット、または、ナノ纎維が一方向に整列された方向性纎維マットであってもよい。また、ナノ纎維層は互いに交差する2つの方向のみに整列されたナノ纎維を含む織物型纎維マットであってもよい。
【0034】
シーリングパターン320は、多孔性薄膜310の一面または両面に接合されるか、多孔性薄膜310と接合されず、多孔性薄膜310の表面に接するように位置してもよい。または、シーリングパターン320は、多孔性薄膜の辺縁の一面または両面に全部位置することができるように、多孔性薄膜の辺縁を囲む形態であってもよい。例えば、シーリングパターン320は、シリコン素材であってもよい。
【0035】
このような透過膜300は、下部サポート100の内側支持面130と上部サポート200の円筒状下部部材210の下面との間に配置されてもよい。言い換えれば、透過膜は、スナップフィット結合時に、下部サポート100の内側支持面130と円筒状下部部材210の開口の下面との間に重ねられてもよい。この時、透過膜は、下部サポート100の内側支持面130の開口を覆う。
【0036】
一方、上部サポート200と下部サポート100は、互いにスナップフィット(snap-fit)結合されてもよい。このために、下部サポート100の内壁120および上部サポート200のビーム変形支持部220のそれぞれは、それぞれ掛け部(図示しない)および溝(図示しない)、またはそれぞれ溝150および掛け部240を含んでもよい。
【0037】
この時、下部サポート100は、中空シリンダー110の第1開口110aを有する上端から上方へ延長される2つの対向する突出部140を含んでもよく、この突出部140にビーム変形支持部220の掛け部240または溝(図示しない)に対応する溝150または掛け部(図示しない)を含んでもよい。例えば、突出部140は、弾性素材で形成されてもよく、上部サポート200の結合過程で、外側方向へやや広がることがある。しかしながら、スナップフィット締結後には原状態に戻ることができる。
【0038】
一実施例において、下部サポート100の内壁120は溝150を含んでもよく、上部サポート200のビーム変形支持部220は掛け部140を含んでもよい。この場合、ビーム変形支持部220の掛け部140は、上部サポート200の外側に突出された係止突起フックを含む。掛け部140および溝150が結合される位置は、透過膜300が上部サポート200の円筒状下部部材210の開口の下および下部サポート100の支持面130の内面との間に重ねられることができるように設定されてもよく、これは、透過膜300およびシーリングパターン320の厚さによって当業者が任意に設定してもよい。
【0039】
他の実施例において、下部サポート100の内壁120は、掛け部(図示しない)を含んでもよく、上部サポート200のビーム変形支持部220は、溝(図示しない)を含んでもよい。この場合、下部サポート100の内壁120の掛け部(図示しない)は、下部サポート100の内側に突出された係止突起フックを含む。(該実施例の構造は、図面に図示しない)
【0040】
以下では、図5~7を参照して、本発明の第1実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜サポートの下部サポート100、上部サポート200、および透過膜300が組み立ておよび分離される過程を説明する。
【0041】
第1実施例による組み立て過程
まず、透過膜300を下部サポート100の第1開口110aを介して下部サポート100の内部に挿入して支持面130上に位置させる。
【0042】
次に、上部サポート200の円筒状下部部材210を下部サポート100の第1開口110aを介して下部サポート100の内部に挿入する方向である第1方向に挿入する。この時、上部サポート200のビーム変形支持部220の2つの溝または掛け部240が下部サポート100の内面の2つの掛け部または溝150にそれぞれ対応されるように位置させながら挿入する。ビーム変形支持部220は、下部サポート100の内部に挿入するほど第2方向へ動くことができる。これをより容易にするためには、追加的に上部サポート200の翼部230の一対の翼を互いに対向する方向である第2方向へも力を加えて挿入することができる。
【0043】
上部サポート200の円筒状下部部材210の下端部が透過膜300と接触する深さまで挿入されると、すなわち、実験者が所望の深さまで挿入すると、上部サポート200と下部サポート100は、上部サポート200のビーム変形支持部220の溝または掛け部240が下部サポート100の掛け部または溝150に結合されることができるように対応する位置にあるので、これらがスナップフィット結合して安定的に組み立てられる。
【0044】
このように、上部サポート200と下部サポート100が締結されると、図6および7に示すように、透過膜300は、下部サポート100の支持面130の上部面および上部サポート200の円筒状下部部材210の開口の下に重ねられることができる。
【0045】
第1実施例による分離過程
上部サポート200と下部サポート100との分離は、まず、上部サポート200の翼部230の一対の翼を互いに対向する方向である第2方向に力を加えて、上部サポート200のビーム変形支持部220に位置する2つの溝または掛け部240を下部サポート100の内面の2つの掛け部または溝150からそれぞれ分離させる。その後、第1方向の逆方向に引いて上部サポート200を下部サポート100から取り外すと、上部サポート200は下部サポート100の内部から容易に分離されることができる。
【0046】
このように分離すると、下部サポート100の支持面130上には透過膜300のみが収容された状態になり、収容された透過膜300のみを独立的に下部サポート100内で分離することができる。
【0047】
第2実施例
図8を参照すると、本発明の第2実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜サポートは、下部サポート100、上部サポート200、および透過膜300を含む。
本発明の第2実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜の構成は、溝および掛け部の構成を除いては、第1実施例による透過膜と一部同一または類似する構成を含んでいるので、これらに対する重複された詳細な説明は省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0048】
第2実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜は、溝および掛け部の構成によって上部サポート200と下部サポート100を互いにスナップフィット(snap-fit)結合する第1実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜と異なって、鋸刃(または鋸歯ねじ)構成160、250を利用して、上部サポート200と下部サポート100をスナップフィット結合することを特徴とする。
【0049】
下部サポート100の内壁120は、この垂直方向に内側へ延長され、上方へ傾斜した複数の第1鋸刃160を含む。第1鋸刃160は、複数の第1係止部160aおよび第1係止溝部160bを含み、断面は非対称形状に形成されてもよい。
【0050】
上部サポート200のビーム変形支持部220は、この垂直方向に外側へ延長され、下方へ傾斜した複数の第2鋸刃250を含む。第2鋸刃250は第2係止部250aおよび第2係止溝部250bを含み、断面は第1鋸刃160と互いに噛み合って結合される非対称形状に形成されてもよい。
【0051】
第1鋸刃160および第2鋸刃250は互いに噛み合って堅固に結合されるように構成されることを特徴とする。具体的には、複数の第1鋸刃160の第1係止溝部160bに第2鋸刃250の第2係止部250aが係止され、第1鋸刃160の第1係止部160aが第2鋸刃250の第2係止溝部250bに係止されて、互いに堅固に固定および結合されることができる。これは、第1鋸刃160の一部のみが第2鋸刃250に結合されるとしても強い結合力を提供することができるので、多様な厚さの透過膜を利用したり、または複数重に重ねられた透過膜のような場合、何れも安定的に締結することができるという長所を有する。したがって、本発明は、鋸刃の結合を制御して透過膜使用厚さにかかわらず全部締結することができるという利点がある。
【0052】
特に、第1鋸刃160および第2鋸刃250の構造は、それぞれ断面が非対称形状に構成されたことを他の特徴とする。このような構造によって上部サポート200の円筒状下部部材210を下部サポート100の第1開口110aを介して下部サポート100の内側に挿入する方向である第1方向に比べて、第1方向の逆方向への取り出しは相対的に難しい構造を有することを特徴とする。ここで、取り出しとは、上部サポート200が下部サポート100から分離されること、言い換えれば、下部サポート100の内側から上部サポート200が抜け出ることを意味する。すなわち、第1鋸刃160および第2鋸刃250の構造はそれぞれ鋸歯傾斜を有しているので、下部サポート100の内側で上部サポート200が挿入する第1方向では簡単に挿入されて結合されることができるが、これと逆方向では簡単に抜け出ないように構成される。
【0053】
以下、図8を参照して、本発明の第2実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜サポートの下部サポート100、上部サポート200および透過膜300が組み立ておよび分離される過程を説明する。
【0054】
第2実施例による組み立て過程
まず、透過膜300を下部サポート100の第1開口110aを介して下部サポート100の内部に挿入して支持面130上に位置させる。
【0055】
次に、上部サポート200の円筒状下部部材210を下部サポート100の第1開口110aを介して下部サポート100の内部に挿入する方向である第1方向に挿入する。この時、第1鋸刃160と第2鋸刃250とが互いに噛み合って結合できるように位置を合わせながら挿入する。ビーム変形支持部220は挿入するほど第2方向に動くことができ、この場合、第1鋸刃160は第1鋸刃160の傾斜面に沿って挿入方向に容易に移動して挿入されることができる。これをより容易にするためには、追加的に上部サポート200の翼部230の各翼を互いに対向する方向である第2方向にも力を加えて挿入することができる。
【0056】
上部サポート200の円筒状下部部材210が透過膜と接触する深さまで挿入され、実験者が所望の深さだけ挿入すると、下部サポート100の内壁120に位置する第1鋸刃160と上部サポート200のビーム変形支持部220に位置する第1鋸刃160が互いに噛み合って堅固に組み立てられて、上部サポート200と下部サポート100と安定的に組み立てられた状態になる。
このような鋸刃による結合は、上部サポート200が異なる方向に移動することが難しくて、安定的に下部サポート100に組み立てられた状態を提供する。
【0057】
このように、上部サポート200と下部サポート100が締結されると、透過膜300は下部サポート100の支持面130の上部面および上部サポート200の円筒状下部部材210の開口の下に重ねられることができる。
【0058】
第2実施例による分離過程
上部サポート200と下部サポート100との分離は、まず、上部サポート200の翼部230の各翼を互いに対向する方向である第2方向に力を加えて、上部サポート200のビーム変形支持部220に位置する第2鋸刃250を下部サポート100の内壁120の第1鋸刃160から所定距離だけ離隔させる。ここで言う所定距離は、前記第2鋸刃250の第2係止部250aが第1鋸刃160の第1係止溝部160bから係止されて固定できない距離、すなわち、第2鋸刃250が第1鋸刃160に影響を受けないで第1および/または第2方向へ動くことができる程度を意味する。その次、第1方向の逆方向に引いて上部サポート200を取り外すと、上部サポート200は下部サポート100の内部から容易に分離されることができる。
【0059】
このように分離すると、下部サポート100の支持面130上には透過膜300のみが収容された状態になり、収容された透過膜300のみを独立的に下部サポート100内で分離することができる。
【0060】
第3実施例
図1~4、6、7、9および10を参照すると、本発明の第3実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜サポートは、下部サポート100、上部サポート200、および透過膜300を含む。
【0061】
本発明の第2実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜の構成は、第1実施例による透過膜または第2実施例による透過膜と一部同じ構成を含んでいるので、これらに対する重複された詳細な説明は省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0062】
第3実施例による透過膜の着脱が可能な透過膜は、スナップフィット結合のために、下部サポート100の内壁120および上部サポート200の円筒状下部部材210は、それぞれ長さ方向に形成された2つ以上の溝170および突出部260、またはそれぞれ突出部(図示しない)および溝(図示しない)をさらに含む。これは、上部サポート200と下部サポート100との結合時に安定的な結合のために追加的に備えられる構成であり得る。このような突出部および溝は、スナップフィット結合時に、上部サポート200が下部サポート100に挿入される時に正確で平行な結合のためのガイド構造物として利用され得る。それにより、本発明は、透過膜に捻れ(twisting)変形なしに下部サポート100および上部サポート200の組み立ておよび分離が可能な利点がある。
【0063】
具体的な一例として、下部サポート100の内壁120に長さ方向に2つ以上の溝170を含む場合、上部サポート200の円筒状下部部材210は、長さ方向に2つ以上の突出部260を含み、下部サポート100の内壁120に長さ方向に2つ以上の突出部(図示しない)を含む場合、上部サポート200の円筒状下部部材210は、長さ方向に2つ以上の溝(図示しない)を含んでもよい。
【0064】
第3実施例による組み立て過程
まず、透過膜300を下部サポート100の第1開口110aを介して下部サポート100の内部で挿入して支持面130上に位置させる。
【0065】
次に、下部サポート100の内壁120に長さ方向に形成された2つ以上の溝170と下部サポート100の円筒状下部部材210に長さ方向に形成された2つ以上の突出部260が互いに結合することができるように下部サポート100と上部サポート200との位置を合わせた後、上部サポート200の円筒状下部部材210を下部サポート100の第1開口110aを介して下部サポート100の挿入する方向である第1方向に力を加えて挿入する。より容易にするためには、追加的に上部サポート200の翼部230の一対の翼を互いに対向する方向である第2方向にも力を加えて挿入することができる。
【0066】
上部サポート200の円筒状下部部材210が透過膜300と接触する深さまで挿入され、実験者が所望の深さだけ挿入すると、上部サポート200は下部サポート100と安定的に組み立てられた状態になる。
【0067】
このような追加構造物による結合は、上部サポート200が異なる方向に移動することが難しくて、安定的に下部サポート100に組み立てられた状態を提供する。
【0068】
第3実施例による分離過程
上部サポート200と下部サポート100との分離は、上部サポート200の翼部230の一対の翼を互いに対向する方向である第2方向に力を加えた後、第1方向の逆方向に引いて上部サポート200を取り外すと、上部サポート200は下部サポート100の内部から容易に分離されることができる。
【0069】
このように分離すると、下部サポート100の支持面130上には透過膜300のみが収容された状態になり、収容された透過膜300のみを独立的に下部サポート100内で分離することができる。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野における熟練された当業者は、添付された特許請求範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更させることができることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10