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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132956
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/647 20110101AFI20240920BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20240920BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20240920BHJP
   H03F 1/02 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
H04N21/647
H04N21/442
H03F3/24
H03F1/02 144
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035911
(22)【出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2023043305
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 剛
【テーマコード(参考)】
5C164
5J500
【Fターム(参考)】
5C164FA03
5C164GA10
5C164TA02S
5C164TA22S
5C164TB44P
5C164UB43P
5C164UB51S
5C164YA21
5J500AA01
5J500AA41
5J500AA50
5J500AA54
5J500AC36
5J500AC81
5J500AF10
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH19
5J500AH25
5J500AH39
5J500AK01
5J500AK17
5J500AK32
5J500AK42
5J500AK49
5J500AM20
5J500AS09
5J500AT01
5J500LV08
5J500PF07
(57)【要約】
【課題】 増幅装置と配信先との間にDCブロッカーが接続されていても、配信先に同軸端末がない場合に、増幅装置を不動作にすること。
【解決手段】 RF電力増幅器10から出力される伝送信号はRFケーブル15を介して同軸端末17に伝送される。同軸端末17のいずれかが接続されていると、増幅装置1の出力端子OUTから入力される反射電力が小さくされる。反射電力の大きさがRF電力検出器13で検出されて、反射電力が小さいときは電源スイッチ11がオンされRF電力増幅器10へ電源が供給される。同軸端末17のいずれも接続されていないと、増幅装置1の出力端子OUTから入力される反射電力が大きくなる。反射電力の大きさがRF電力検出器13で検出されて、反射電力が大きいときは電源スイッチ11がオフされRF電力増幅器10への電源供給が停止される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送信号を増幅して有線を介して配信先に出力する増幅手段と、
該増幅手段と前記有線との間に設けられ、前記増幅手段から前記有線に出力された伝送信号の反射成分を検出する方向性結合器と、
該方向性結合器で検出された前記反射成分が所定のレベル以上か否かを検出する電力検出手段と、
該電力検出手段の検出結果に応じて前記増幅手段への動作電源の供給を制御する電源スイッチと、
を備え、
前記反射成分が所定のレベル以上と前記電力検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源の供給を停止し、前記反射成分が所定のレベル未満と前記電力検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源を供給することを特徴とする増幅装置。
【請求項2】
伝送信号を増幅して有線を介して配信先に出力する増幅手段と、
該増幅手段と前記有線との間に設けられ、前記増幅手段から前記有線に出力された伝送信号の反射成分を検出する方向性結合器と、
該方向性結合器で検出された前記反射成分のレベルを、該レベルに応じたDC電圧に変換するRF検出手段と、
該RF検出手段で変換された前記DC電圧とされた検出電圧が所定の電圧以上か否かを検出する電圧検出手段と、
該電圧検出手段の検出結果に応じて前記増幅手段への動作電源の供給を制御する電源スイッチと、
を備え、
前記検出電圧が所定の電圧以上と前記電圧検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源の供給を停止し、前記検出電圧が所定の電圧以上でないと前記電圧検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源を供給することを特徴とする増幅装置。
【請求項3】
伝送信号を増幅して有線を介して配信先に出力する増幅手段と、
該増幅手段と前記有線との間に設けられ、前記増幅手段から前記有線に出力された伝送信号の反射成分を検出する方向性結合器と、
該方向性結合器で検出された前記反射成分のレベルを、対数増幅器で増幅して前記レベルに応じたDC電圧に変換するRF検出手段と、
該RF検出手段で変換された前記DC電圧とされた検出電圧が所定の電圧以上か否かを検出する電圧検出手段と、
該電圧検出手段の検出結果に応じて前記増幅手段への動作電源の供給を制御する電源スイッチと、
を備え、
前記検出電圧が所定の電圧以上と前記電圧検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源の供給を停止し、前記検出電圧が所定の電圧以上でないと前記電圧検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源を供給することを特徴とする増幅装置。
【請求項4】
さらに、数十分の1以下のデューティ比のタイミング信号を発生するパルス発振器を備え、
該パルス発振器が発生する前記タイミング信号を前記電源スイッチに入力して、前記タイミング信号の期間は前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源を供給することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信先に伝送信号を受け取れる端末がない場合に不動作にして消費電力を低減することができる増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CATVネットワークは伝送信号を増幅装置で増幅して有線を介して配信先に配信しているので、CATVネットワークを例に挙げて説明する。CATVネットワークでは、CATV局からCATVネットワークを構築している幹線にCATV信号が送出され、CATV信号は幹線に所定間隔で設置されている増幅装置で増幅されて幹線に伝送されていく。幹線は同軸ケーブルで構成されており、CATV信号は幹線に挿入されている分配器などにより分岐され、さらに、タップオフおよび保安器を介して集合住宅や個別の住戸に配信される。CATV信号には、地上デジタル放送や衛星デジタル放送が含まれている。
【0003】
CATVネットワークを利用している住戸DmにCATV信号が配信されている様子を図8に示す。
図8に示すように、CATVネットワークで伝送されてきたCATV信号は、同軸ケーブルとされるRFケーブル100を介して住戸Dmに設置された保安器101に入力される。保安器101の出力側には、例えば2本のRFケーブルが接続されて、住戸Dm内に引き込まれている。一方のRFケーブルは増幅器(AMP1)に接続されてCATV信号が所定レベルになるよう増幅される。AMP1で増幅されたCATV信号は、分配器(DV1)に入力されて複数に分配される。DV1で分配された1つのCATV信号はセットトップボックス(STB)112に入力される。STB112は、地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送や動画配信サービスに対応したケーブルテレビ専用チューナーである。STB112の出力はテレビ受像機(TV)113に入力され、地上デジタル放送や衛星デジタル放送または配信された動画がTV113で視聴可能とされる。また、DV1で分配された他のCATV信号はテレビ受像機(TV)114に入力され、地上デジタル放送や衛星デジタル放送などがTV114で視聴可能とされる。
さらに、保安器101の出力側の他のRFケーブルはインターネットに接続するためのモデム110に接続され、モデム110の出力側がパーソナルコンピュータ(PC)111に接続されて、PC111はCATVネットワークを利用してインターネットに接続することができるようになる。
【0004】
PC111がインターネットに接続されている場合は、PC111はインターネットを介して画像信号やデータ信号を送受信することができる。この場合、PC111が受信する画像信号やデータ信号は、モデム110から下り信号としてPC111に送られ、PC111が送信する画像信号やデータ信号は、モデム110から上り信号としてCATVネットワークおよびインターネットを介して送信される。モデム110には、上り信号を増幅して送出する上り増幅器が設けられている。特許文献1には、上り増幅器の消費電力を低減するために、上り信号が送信されているタイミングだけ上り増幅器を動作させるようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004-533147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CATVネットワークをはじめとする有線放送網では、伝送信号を増幅装置で増幅して有線を介して配信先に配信している。具体的には、伝送信号は同軸ケーブル(RFケーブル)で伝送されており、増幅装置で必要なレベルまで増幅された伝送信号がRFケーブルに送出されている。伝送信号には、地上デジタル放送や衛星デジタル放送などが含まれている場合が多くされており、増幅装置は配信先に必要なレベルの伝送信号を常時配信している。
増幅装置で消費される電力は少なくないことから、特許文献1に開示されている上り信号が送信されているタイミングだけ上り増幅器を動作させることで上り増幅器の消費電力を低減する従来技術を用いて消費電力を低減することが考えられるが、増幅装置は配信先に必要なレベルの伝送信号を常時配信していることから、特許文献1に開示されている従来技術を用いても、増幅装置の消費電力を低減することはできない。
【0007】
ただし、配信先において、TVおよびモデムなどの同軸端末がない場合は、その配信先に伝送信号を配信する必要はなく、同軸端末のない配信先へ伝送信号を送出している増幅装置を不動作にすれば、増幅装置の消費電力を低減できることになる。この場合には、同軸端末のない配信先を増幅装置側において検出する必要がある。例えば、同軸端末では、同軸端末に接続されている電子機器を動作させるための直流電圧(DC電圧)をRFケーブルを通じて電子機器に供給しており、このDC電圧を増幅装置側において検出することで、配信先における同軸端末の有無を検出できるようになる。すなわち、増幅装置側において、DC電圧が検出される場合は配信先において同軸端末がRFケーブルに接続されており、DC電圧が検出されない場合は配信先において同軸端末がRFケーブルに接続されていないと検出することができる。
【0008】
しかしながら、DC電圧の供給が不要な場合はDC電圧をブロックするDCブロッカーを増幅装置と配信先とを接続しているRFケーブルの中途に設けることが行われている。すると、DCブロッカーが設けられている場合は、DC電圧が検出されないことから配信先において同軸端末がRFケーブルに接続されていないと検出されて、増幅装置が不動作にされることから、当該配信先で必要とされる伝送信号が配信されなくなってしまうことになる。このように、DC電圧を増幅装置側において検出することでは、配信先における同軸端末の有無を確実に検出することができないことから、増幅装置は配信先に必要なレベルの伝送信号を常時配信しなければならず、増幅装置の消費電力を低減することができないという問題点があった。
そこで、本発明は、伝送信号を増幅装置で増幅して有線を介して配信先に配信する際に、増幅装置と配信先との間にDCブロッカーが接続されていても、配信先に伝送信号を受け取れる端末がない場合に、不動作にすることができる増幅装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成することができる本発明の増幅装置は、伝送信号を増幅して有線を介して配信先に出力する増幅手段と、該増幅手段と前記有線との間に設けられ、前記増幅手段から前記有線に出力された伝送信号の反射成分を検出する方向性結合器と、該方向性結合器で検出された前記反射成分が所定のレベル以上か否かを検出する電力検出手段と、該電力検出手段の検出結果に応じて前記増幅手段への動作電源の供給を制御する電源スイッチとを備え、前記反射成分が所定のレベル以上と前記電力検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源の供給を停止し、前記反射成分が所定のレベル未満と前記電力検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源を供給することを主要な特徴としている。
また、上記した目的を達成することができる本発明の他の増幅装置は、伝送信号を増幅して有線を介して配信先に出力する増幅手段と、該増幅手段と前記有線との間に設けられ、前記増幅手段から前記有線に出力された伝送信号の反射成分を検出する方向性結合器と、該方向性結合器で検出された前記反射成分のレベルを、該レベルに応じたDC電圧に変換するRF検出手段と、該RF検出手段で変換された前記DC電圧とされた検出電圧が所定の電圧以上か否かを検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段の検出結果に応じて前記増幅手段への動作電源の供給を制御する電源スイッチとを備え、前記検出電圧が所定の電圧以上と前記電圧検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源の供給を停止し、前記検出電圧が所定の電圧以上でないと前記電圧検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源を供給することを主要な特徴としている。
さらに、上記した目的を達成することができる本発明のさらに他の増幅装置は、伝送信号を増幅して有線を介して配信先に出力する増幅手段と、該増幅手段と前記有線との間に設けられ、前記増幅手段から前記有線に出力された伝送信号の反射成分を検出する方向性結合器と、該方向性結合器で検出された前記反射成分のレベルを、対数増幅器で増幅して前記レベルに応じたDC電圧に変換するRF検出手段と、該RF検出手段で変換された前記DC電圧とされた検出電圧が所定の電圧以上か否かを検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段の検出結果に応じて前記増幅手段への動作電源の供給を制御する電源スイッチとを備え、前記検出電圧が所定の電圧以上と前記電圧検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源の供給を停止し、前記検出電圧が所定の電圧以上でないと前記電圧検出手段が検出した時には、前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源を供給することを主要な特徴としている。
本発明にかかる増幅装置において、さらに、数十分の1以下のデューティ比のタイミング信号を発生するパルス発振器を備え、該パルス発振器が発生する前記タイミング信号を前記電源スイッチに入力して、前記タイミング信号の期間は前記電源スイッチが前記増幅手段への動作電源を供給するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の増幅装置では、有線に出力された伝送信号の反射成分を検出し、反射成分の大きさが大きいと検出した時に、配信先に伝送信号を受け取れる同軸端末がないと判断し、反射成分の大きさが小さいと検出した時に、配信先に伝送信号を受け取れる同軸端末があると判断している。このように判断できるのは、配信先に同軸端末がある場合はインピーダンスが整合し、配信先に同軸端末がない場合はインピーダンスが不整合となるからである。従って、本発明の増幅装置は、DCブロッカーを超えて伝達するRF反射波を検出していることから、DCブロッカーが設けられていても配信先の同軸端末の有無を確実に検出できるようになる。
そして、本発明の増幅装置では、反射成分のレベルの大きさが大きいと検出した時に、増幅手段への動作電源の供給を電源スイッチが停止し、反射成分のレベルの大きさが小さいと検出した時に、増幅手段への動作電源を電源スイッチが供給するようにしている。これにより、増幅装置の不要な消費電力をなくして消費電力を低減することができるようになる。なお、本発明の増幅装置は、有線に伝送信号を出力している一般の電力増幅器における消費電力の低減に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施例の増幅装置の構成を示す機能ブロック図、同軸端末の構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1実施例の増幅装置の各部の動作を示すタイミング図である。
図3】本発明の第2実施例の増幅装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の第3実施例の増幅装置の構成を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の第3実施例の増幅装置の各部の動作を示すタイミング図である。
図6】本発明の第4実施例の増幅装置の構成を示す機能ブロック図である。
図7】本発明の第5実施例の増幅装置の構成を示す機能ブロック図である。
図8】CATVネットワークを利用している住戸DmにCATV信号が配信されている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本発明の第1実施例の増幅装置>
本発明の第1実施例の増幅装置について説明する。図1(a)に本発明の第1実施例の増幅装置1の構成を示す機能ブロック図を示し、図1(b)に増幅装置1における同軸端末17の構成の一例を示し、図2に増幅装置1の各部の動作を示すタイミング図を示している。
図1(a)に示す本発明の第1実施例の増幅装置1は、有線通信網に複数設けられており、伝送信号を必要なレベルまで増幅して有線通信網を構成するRFケーブル15に送出している。第1実施例の増幅装置1は、入力端子INから入力された伝送信号を所定のレベルに増幅するRF電力増幅器10を備え、RF電力増幅器10で増幅されたRF信号である伝送信号を方向性結合器12を介して出力端子OUTから出力している。出力端子OUTには同軸ケーブルとされるRFケーブル15の一端が接続されており、RFケーブル15を通じて伝送信号が伝送されていく。RFケーブル15は所定の距離を有しており、RFケーブル15の他端はコンデンサとされるDCブロッカー16を介して配信先の同軸端末17に接続されている。配信先は、例えば図8に示す住戸Dmとされる。伝送信号には、地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送や動画配信される動画データなどが含まれている。同軸端末17は入力用の同軸端子18を有しており、同軸端子18にRFケーブル15の他端が接続されている。
【0013】
配信先が備える同軸端末17は、図1(b)に示すように、テレビ受像機17aやセットトップボックス(STB)17b、ケーブルモデム17cなどとされる。テレビ受像機では、有線放送網で配信された地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送を視聴することができる。STB17bは、地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送や動画配信サービスに対応したケーブルテレビ専用チューナーであり、STB17bの出力側にTV受像器やディスプレイを接続することにより、地上デジタル放送および衛星デジタル放送や動画配信された動画を視聴することができる。ケーブルモデム17cは、有線通信網を介してインターネットに接続するためのモデムであり、ケーブルモデム17cの出力側に図示しないパーソナルコンピュータ(PC)を接続することにより、PCは有線通信網を介してインターネットに接続することができるようになる。
【0014】
配信先において、図1(b)に示される同軸端末17のいずれも接続されていない場合は、RFケーブル15の他端において不整合が生じるため、RFケーブル15の他端において伝送信号が反射される。この伝送信号の反射成分はRFケーブル15を通じて増幅装置1まで戻ってくる。図1(a)に示す方向性結合器12は、伝送信号の反射成分を反射電力として検出してRF電力検出器13に供給している。RF電力検出器13は、入力された反射電力のレベルに応じてL(Low)信号あるいはH(High)信号を出力し、L/H信号は電源スイッチ11に供給される。具体的には、RF電力検出器13は、入力された反射電力のレベルが所定のレベル以上の時にL信号を出力し、入力された反射電力のレベルが所定のレベル未満の時にH信号を出力する。電源スイッチ11は、例えばMOSFETを使用した電子スイッチとされて、RF電力検出器13からの信号がH信号の時にオンになり、電源Vccを供給電力としてRF電力増幅器10に供給する。これにより、RF電力増幅器10は動作状態となって、必要なレベルに増幅された伝送信号がRFケーブル15から配信先へ伝送されていく。また、電源スイッチ11は、RF電力検出器13からの信号がL信号の時にオフになり、電源VccのRF電力増幅器10への供給は停止される。これにより、RF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。この場合は、配信先において同軸端末17のいずれも接続されていないことから、伝送信号が配信されなくても不都合は生じない。
【0015】
ここで、図2を参照しながら第1実施例の増幅装置1の動作を説明する。図2(a)は同軸端末17のいずれかがRFケーブル15の他端側に接続されている場合を「有」、いずれも接続されていない場合を「無」として示している。ここでは、時間t4のタイミングで1つ以上の同軸端末17が接続されたことが示されていると共に、時間t8のタイミングで同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったことが示されている。図2(b)は、RF電力検出器13から電源スイッチ11へ出力される信号の波形を示しており、図2(c)は電源スイッチ11からRF電力増幅器10へ供給される供給電力の波形を示している。
【0016】
図2(a)に示すように時間t4まではいずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない。この場合は、伝送信号がRFケーブル15から配信先へ伝送されている状態では、入力された反射電力のレベルが所定のレベル以上となることから、RF電力検出器13はL信号を出力するので、電源スイッチ11はオフに転じられる。すると、電源VccのRF電力増幅器10への供給は停止されてRF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。そうすると、入力された反射電力のレベルが下降していくので、RF電力検出器13からの出力信号は図2(b)に示すように上昇していき所定のレベル(thA)以上となると、電源スイッチ11は遅延時間(Pon-Dly)だけ遅れた時間t1でオンするようになる。所定のレベル(thA)は、電子スイッチ11がオンする閾値である。これにより、RF電力増幅器10には図2(c)に示す波形の電力が供給されて、RF電力増幅器10は供給電力が所定のレベル(thB)を超えた時間t2から駆動され始めて伝送信号を出力し始めるようになる。すると、RFケーブル15を介して戻ってくる反射電力がRF電力検出器13で検出されるようになるので、RF電力検出器13からの出力信号は図2(b)に示すように下降していき時間t2から時間Δt後の時間t3で所定のレベル(thA)未満となると、電源スイッチ11はオフするようになる。これにより、電源VccのRF電力増幅器10への供給は図2(c)に示すように停止されてRF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。この場合、RF電力検出器13からの出力信号は図2(b)に示すようにさらに下降していくが、入力された反射電力のレベルが下降していくので、RF電力検出器13からの出力信号は図2(b)に示すように時間t0から上昇していき所定のレベル(thA)以上となると、電源スイッチ11は遅延時間(Pon-Dly)だけ遅れた時間t1でオンするようになる。
いずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない場合には、以上説明した動作が図2(b)(c)に示すように繰り返し行われる。この場合、RF電力増幅器10から伝送信号が出力され始めるとRF電力検出器13が反射成分を検出して、RF電力増幅器10をオフするように動作するため、第1実施例の増幅装置1の消費電力がわずかな消費電力しか消費しないことが確かめられた。
【0017】
次いで、時間t4で1つ以上の同軸端末17が接続されたとすると、時間t4の状態では、RF電力増幅器10は不動作状態となっており、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されていない。この場合、入力された反射電力のレベルが下降していくので、RF電力検出器13からの出力信号は図2(b)に示すように上昇していき時間t5で所定のレベル(thA)以上となると、電源スイッチ11は遅延時間(Pon-Dly)だけ遅れた時間でオンするようになる。これにより、RF電力増幅器10には図2(c)に示す波形の電力が供給されて、RF電力増幅器10は供給電力が所定のレベル(thB)を超えた時間t6から伝送信号を出力し始めるようになる。この場合は、1つ以上の同軸端末17が接続されていることから、RFケーブル15を介して戻ってくる反射電力は小さく、RF電力検出器13からの出力信号は図2(b)に示すようにさらに上昇していき時間t7からRF電力検出器13が出力するH信号により電源スイッチ11はオンを持続するようになる。すなわち、RF電力増幅器10からは所定の伝送信号レベルまで増幅された伝送信号がRFケーブル15に出力され、RFケーブル15から所定の伝送信号レベルの伝送信号が配信先へ伝送され続けるようになる。
【0018】
そして、時間t8で同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったとする。すると、RFケーブル15を介して戻ってくる反射電力がRF電力検出器13で検出されるようになるので、RF電力検出器13からの出力信号は図2(b)に示すように時間t8から下降していき時間t9で所定のレベル(thA)未満となると、電源スイッチ11は時間t9でオフするようになる。これにより、電源VccのRF電力増幅器10への供給は図2(c)に示すように停止されてRF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。この場合、RF電力検出器13からの出力信号は図2(b)に示すようにさらに下降していくが、入力された反射電力のレベルが下降していくので、RF電力検出器13からの出力信号は図2(b)に示すように上昇していき所定のレベル(thA)以上となると、電源スイッチ11は遅延時間(Pon-Dly)だけ遅れた時間でオンするようになる。以下の動作は上記したとおりであるので省略するが、いずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない場合には、上記説明した動作が図2(b)(c)に示すように繰り返し行われる。この場合、RF電力増幅器10から伝送信号が出力され始めるとRF電力検出器13が反射成分を検出して、RF電力増幅器10をオフするように動作するため、第1実施例の増幅装置1の消費電力がわずかな消費電力しか消費しないことになる。従って、第1実施例の増幅装置1の消費電力を低減することができる。
【0019】
<本発明の第2実施例の増幅装置>
本発明の第2実施例の増幅装置について説明する。図3に本発明の第2実施例の増幅装置2の構成を示す機能ブロック図を示している。
図3に示す本発明の第2実施例の増幅装置2は、有線通信網に複数設けられており、伝送信号を必要なレベルまで増幅して有線通信網を構成するRFケーブル15に送出している。第2実施例の増幅装置2は、入力端子INから入力された伝送信号を所定のレベルに増幅するRF電力増幅器10を備え、RF電力増幅器10で増幅されたRF信号である伝送信号を方向性結合器12を介して出力端子OUTから出力している。出力端子OUTには同軸ケーブルとされるRFケーブル15の一端が接続されており、RFケーブル15を通じて伝送信号が伝送されていく。RFケーブル15は所定の距離を有しており、RFケーブル15の他端はコンデンサとされるDCブロッカー16を介して配信先の同軸端末17に接続されている。配信先は、例えば図8に示す住戸Dmとされる。伝送信号には、地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送や動画配信される動画データなどが含まれている。同軸端末17は入力用の同軸端子18を有しており、同軸端子18にRFケーブル15の他端が接続されている。
【0020】
配信先が備える同軸端末17は、前記した図1(b)に示すように、テレビ受像機17aやSTB17b、ケーブルモデム17cなどとされる。配信先において、図1(b)に示される同軸端末17のいずれも接続されていない場合は、RFケーブル15の他端において不整合が生じるため、RFケーブル15の他端において伝送信号が反射される。この伝送信号の反射成分はRFケーブル15を通じて増幅装置2まで戻ってくる。図3に示す方向性結合器12は伝送信号の反射成分を反射電力として検出して、RF検出部23に供給している。第2実施例の増幅装置2では、RF検出部23と電圧検出部24とからRF電力検出器が構成されている。RF検出部23は、入力された反射電力を反射レベルに応じた直流(DC)電圧に変換し、変換されたDC電圧を検出電圧として電圧検出部24に供給している。RF検出部23は、2つのオペアンプOP1,OP2を備えている。オペアンプOP1のフィードバックパスには2つのダイオード接続トランジスタDETが接続されており、オペアンプOP1は対数増幅器(Logアンプ)として動作している。また、オペアンプOP2のフィードバックパスにはコンデンサが接続されており、オペアンプOP2は低域通過フィルタとして動作している。以上のように構成されることにより、RF検出部23は入力ダイナミックレンジが広くされ、入力された反射レベルの対数に応じたDC電圧とされる検出電圧が出力されるようになる。
【0021】
RF検出部23で変換された検出電圧が入力される電圧検出部24は、オペアンプからなる比較器(COMP)24aを備え、COMP24aの出力はオープンドレインのNチャンネルのMOSFET24bのゲートに供給されている。そして、MOSFET24bのドレインには一端が電源Vccに接続されたプルアップ抵抗Rpの他端が接続されている。COMP24aはVrefとして示された閾値電圧と入力された検出電圧のレベルとを比較して、入力された検出電圧がVref未満の時はMOSFET24bがオフして電圧検出部24からH信号が出力され、入力された検出電圧がVref以上となるとMOSFET24bがオンして電圧検出部24からL信号が出力される。電圧検出部24から出力されるL/H信号は電源スイッチ25に供給される。以上のように、電圧検出部24からは、入力された反射電力のレベルに応じた検出電圧のレベルがVref以上の時にL信号が出力され、入力された反射電力のレベルに応じた検出電圧のレベルがVref未満の時にH信号が出力される。
【0022】
電源スイッチ25は、NチャンネルのMOSFETからなる電子スイッチ(SW)25から構成されている。ここで、電圧検出部24からH信号が出力されるとSW25がオンとなり、電源Vccが供給電力としてRF電力増幅器10に供給される。これにより、RF電力増幅器10が動作状態となって、必要なレベルに増幅された伝送信号がRFケーブル15から配信先へ伝送されていく。また、電圧検出部24からL信号が出力されるとSW25bがオフとなって、電源VccのRF電力増幅器10への供給が停止される。これにより、RF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。この場合は、配信先において同軸端末17のいずれも接続されていないことから、伝送信号が配信されなくても不都合は生じない。
【0023】
第2実施例の増幅装置2の動作は、前述した図2に示すようになるので、図2を参照しながら第2実施例の増幅装置2の動作を説明する。図2(a)は同軸端末17のいずれかがRFケーブル15の他端側に接続されている場合を「有」、いずれも接続されていない場合を「無」として示している。ここでは、時間t4のタイミングで1つ以上の同軸端末17が接続されたことが示されていると共に、時間t8のタイミングで同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったことが示されている。図2(b)は、RF電力検出器を構成する電圧検出部24から電源スイッチ25へ出力される信号の波形を示しており、図2(c)は電源スイッチ25からRF電力増幅器10へ供給される供給電力の波形を示している。
【0024】
図2(a)に示すように時間t4まではいずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない。この場合は、伝送信号がRFケーブル15から配信先へ伝送されている状態では、同軸端末17のいずれも接続されていないことから、方向性結合器12で検出された反射電力が大きくなり、RF検出部23から出力される検出電圧のレベルは大きくなる。そして、RF検出部23から出力される検出電圧が入力される電圧検出部24では検出電圧が所定のレベル(Vref)以上と検出されてL信号が出力される。これにより、電源スイッチ25はオフに転じられて電源VccのRF電力増幅器10への供給は停止されるので、RF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。
【0025】
そうすると、RF検出部23に入力される反射電力のレベルが下降していくので、RF検出部23から出力されて電圧検出部24のCOMP24aに入力される検出電圧のレベルが下降していく。そして、検出電圧が所定のレベル(Vref)未満となると、MOSFET24bがオフに向かうので電圧検出部24からの出力信号は図2(b)に示すように上昇していく。次いで、電圧検出部24からの出力信号が所定のレベル(thA)以上となると、電源スイッチ25は遅延時間(Pon-Dly)だけ遅れた時間t1でオフからオンに転じるようになる。これにより、RF電力増幅器10には図2(c)に示す波形の電力が供給されて、RF電力増幅器10は供給電力が所定のレベル(thB)を超えた時間t2から伝送信号を出力し始めるようになる。すると、RFケーブル15を介して戻ってくる反射電力がRF検出部23で検出されるようになるので、RF検出部23に入力される反射電力のレベルが上昇していく。これにより、RF検出部23から出力されて電圧検出部24のCOMP24aに入力される検出電圧のレベルが上昇していき、検出電圧が所定のレベル(Vref)以上となると、MOSFET24bがオンに向かうので電圧検出部24からの出力信号は図2(b)に示すように下降していく。そして、時間t2から時間Δt後の時間t3で所定のレベル(thA)未満となると、電源スイッチ25は時間t3でオフするようになる。これにより、電源VccのRF電力増幅器10への供給は図2(c)に示すように停止されてRF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。この場合、電圧検出部24からの出力信号は図2(b)に示すようにさらに下降していくが、入力された反射電力のレベルが下降していくので、上記述べたように電圧検出部24からの出力信号は図2(b)に示すように時間t0から上昇していき所定のレベル(thA)以上となると、電源スイッチ25は遅延時間(Pon-Dly)だけ遅れた時間t1でオンするようになる。
いずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない場合には、以上説明した動作が図2(b)(c)に示すように繰り返し行われる。この場合、RF電力増幅器10から伝送信号が出力され始めるとRF検出部23が反射成分を検出して、電圧検出部24はRF電力増幅器10をオフするように動作するため、第2実施例の増幅装置2の消費電力がわずかな消費電力しか消費しないことが確かめられた。
【0026】
ここで、時間t4で1つ以上の同軸端末17が接続されたとすると、時間t4の状態では、RF電力増幅器10は不動作状態となっており、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されていない。この場合、入力された反射電力のレベルが下降していくので、RF検出部23から出力される検出電圧の下降に応じて電圧検出部24の出力は図2(b)に示すように上昇していき時間t5で所定のレベル(Vref)以上となると、電源スイッチ25は時間t5から遅延時間(Pon-Dly)だけ遅れた時間でオンするようになる。これにより、RF電力増幅器10には図2(c)に示す波形の電力が供給されて、RF電力増幅器10は供給電力が所定のレベル(thB)を超えた時間t6から伝送信号を出力し始めるようになる。この場合は、1つ以上の同軸端末17が接続されていることから、RFケーブル15を介して戻ってくる反射電力は小さく、RF検出部23から出力される下降したままの検出電圧に応じて電圧検出部24からの出力は図2(b)に示すように上昇していき時間t7から電圧検出部24が出力するH信号により電源スイッチ25はオンを持続するようになる。すなわち、RF電力増幅器10からは所定の伝送信号レベルまで増幅された伝送信号がRFケーブル15に出力され、RFケーブル15から所定の伝送信号レベルの伝送信号が配信先へ伝送され続けるようになる。
【0027】
そして、時間t8で同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったとする。すると、RFケーブル15を介して戻ってくる反射電力がRF検出部23で検出されるようになるので、RF検出部23から出力される上昇する検出電圧に応じて電圧検出部24からの出力信号は図2(b)に示すように時間t8から下降していき時間t9で所定のレベル(thA)未満となると、電源スイッチ25は時間t9でオフするようになる。これにより、電源VccのRF電力増幅器10への供給は図2(c)に示すように停止されてRF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。この場合、電圧検出部24からの出力信号は図2(b)に示すようにさらに下降していくが、入力された反射電力のレベルが下降していくので、RF検出部23から出力される下降する検出電圧に応じて電圧検出部24からの出力信号は図2(b)に示すように上昇していき所定のレベル(thA)以上となると、電源スイッチ25は遅延時間(Pon-Dly)だけ遅れた時間でオンするようになる。以下の動作は上記したとおりであるので省略するが、いずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない場合には、上記説明した動作が図2(b)(c)に示すように繰り返し行われる。この場合、RF電力増幅器10から伝送信号が出力され始めるとRF検出部23が反射成分を検出して、電圧検出部24はRF電力増幅器10をオフするように動作するため、第2実施例の増幅装置2の消費電力がわずかな消費電力しか消費しないことになる。従って、第2実施例の増幅装置2の消費電力を低減することができる。
【0028】
<本発明の第3実施例の増幅装置>
本発明の第3実施例の増幅装置について説明する。第1実施例の増幅装置1および第2実施例の増幅装置2では、上記説明したようにいずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない場合には、RF電力増幅器10に供給される電力が振動するようになるが、第3実施例の増幅装置3では、いずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない場合でも、RF電力増幅器10に供給される電力が振動しないようになる。図4(a)に本発明の第3実施例の増幅装置3の構成を示す機能ブロック図を示し、図4(b)に増幅装置3における同軸端末の構成の一例を示し、図5に増幅装置3の各部の動作を示すタイミング図を示している。
図4(a)に示す本発明の第3実施例の増幅装置3は、有線通信網に複数設けられており、伝送信号を必要なレベルまで増幅して有線通信網を構成するRFケーブル15に送出している。第3実施例の増幅装置3は、入力端子INから入力された伝送信号を所定のレベルに増幅するRF電力増幅器10を備え、RF電力増幅器10で増幅されたRF信号である伝送信号を方向性結合器12を介して出力端子OUTから出力している。出力端子OUTには同軸ケーブルとされるRFケーブル15の一端が接続されており、RFケーブル15を通じて伝送信号が伝送されていく。RFケーブル15は所定の距離を有しており、RFケーブル15の他端はコンデンサとされるDCブロッカー16を介して配信先の同軸端末17に接続されている。配信先は、例えば図8に示す住戸Dmとされる。伝送信号には、地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送や動画配信される動画データなどが含まれている。同軸端末17は入力用の同軸端子18を有しており、同軸端子18にRFケーブル15の他端が接続されている。
【0029】
配信先が備える同軸端末17は、図4(b)に示すように、テレビ受像機17aやセットトップボックス(STB)17b、ケーブルモデム17cなどとされる。テレビ受像機では、有線放送網で配信された地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送を視聴することができる。STB17bは、地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送や動画配信サービスに対応したケーブルテレビ専用チューナーであり、STB17bの出力側にTV受像器やディスプレイを接続することにより、地上デジタル放送および衛星デジタル放送や動画配信された動画を視聴することができる。ケーブルモデム17cは、有線通信網を介してインターネットに接続するためのモデムであり、ケーブルモデム17cの出力側に図示しないパーソナルコンピュータ(PC)を接続することにより、PCは有線通信網を介してインターネットに接続することができるようになる。
【0030】
配信先において、図4(b)に示される同軸端末17のいずれも接続されていない場合は、RFケーブル15の他端において不整合が生じるため、RFケーブル15の他端において伝送信号が反射される。この伝送信号の反射成分はRFケーブル15を通じて増幅装置3まで戻ってくる。図4(a)に示す方向性結合器12は、伝送信号の反射成分を反射電力として検出してRF電力検出器13に供給している。RF電力検出器13は、入力された反射電力のレベルに応じてL(Low)信号あるいはH(High)信号を出力し、L/H信号は電源スイッチ11に供給される。具体的には、RF電力検出器13は、入力された反射電力のレベルが所定のレベル以上の時にL信号を出力し、入力された反射電力のレベルが所定のレベル未満の時にH信号を出力する。電源スイッチ11は、例えばMOSトランジスタを使用した電子スイッチとされて、RF電力検出器13からの信号がH信号の時にオンになり、電源Vccを供給電力としてRF電力増幅器10に供給する。これにより、RF電力増幅器10は動作状態となって、必要なレベルに増幅された伝送信号がRFケーブル15から配信先へ伝送されていく。また、電源スイッチ11は、RF電力検出器13からの信号がL信号の時にオフになり、電源VccのRF電力増幅器10への供給は停止される。これにより、RF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。この場合は、配信先において同軸端末17のいずれも接続されていないことから、伝送信号が配信されなくても不都合は生じない。
【0031】
パルス発振器34は、所定の周期のパルス信号をタイミング信号として発生するパルス発振器であり、パルス発振器34から出力されるタイミング信号が図5(b)に示されており、タイミング信号はL(Low)レベルがアクティブとされるパルス信号とされている。図5(b)に示すようにタイミング信号は周期T毎にΔTのパルス幅のデューティ比が小さくされたタイミング信号とされている。例えば、周期Tは1secとされΔTは1msとされて、デューティ比は1/1000とされる。このようにデューティ比の小さいタイミング信号は、電源スイッチ11に供給されてΔTの期間は電源スイッチ11がオンされて電源Vccが供給電力としてRF電力増幅器10に供給される。
【0032】
ここで、図5を参照しながら第3実施例の増幅装置3の動作を説明する。図5(a)は同軸端末17のいずれかが接続されている場合を「有」、いずれも接続されていない場合を「無」として示している。ここでは、t2のタイミングで1つ以上の同軸端末17が接続されたことが示されていると共に、t7のタイミングで同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったことが示されている。
図5(b)はタイミング信号を示しており、t0からt1まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号により図5(d)に示すように電源スイッチ11がオン(ON)して、t0からt1までの期間はRF電力増幅器10に電源Vccが供給されてRF電力増幅器10からは伝送信号が出力される。t0からt1までの期間では図5(a)に示すように同軸端末17のいずれも接続されていないことから、方向性結合器12で検出された反射電力が大きくなり、RF電力検出器13では所定のレベル以上と検出されて図5(c)に示すようにL信号の出力が継続される。これにより、RF電力増幅器10にはt2のタイミングで電源Vccの供給が停止される。
【0033】
t2のタイミングの後に発生されるt3からt4まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号により再び電源スイッチ11がオン(図5(d)参照)して、t3からt4までの期間はRF電力増幅器10に電源Vccが供給されてRF電力増幅器10からは伝送信号が出力される。t2のタイミングで1つ以上の同軸端末17が接続されたことから、t2のタイミングより後のt3からt4までの期間は、方向性結合器12で検出された反射電力が小さくなり、RF電力検出器13では所定のレベル未満と検出されてH信号が出力される。H信号は、図5(c)に示すようにt3のタイミングよりd1だけ遅れたタイミングでHレベルに遷移する。d1は、RF電力増幅器10からは伝送信号が出力されてRFケーブル15を伝送されていき、伝送信号が同軸端末17で反射されて反射波がRFケーブル15を伝送されて増幅装置3まで戻り、方向性結合器12で反射電力が検出されると共に、RF電力検出器13で反射電力の大きさが検出されるまでの遅れ時間である。これにより、図5(d)に示すように電源スイッチ11はt3のタイミング以降はオンを継続するので、t3のタイミング以降はRF電力増幅器10に電源Vccの供給が継続されるようになる。これにより、RF電力増幅器10から出力された伝送信号は、RFケーブル15を伝送されていき接続されている同軸端末17に供給されるようになる。
【0034】
t4のタイミングの後に発生されるt5からt6まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号は電源スイッチ11に供給されるが、このタイミングではRF電力検出器13はH信号を継続して出力し、電源スイッチ11はオンを継続しているので、RF電力検出器13および電源スイッチ11の状態は継続されるようになる。これにより、RF電力増幅器10から出力された伝送信号は、RFケーブル15を伝送されていき接続されている同軸端末17に供給され続けるようになる。
t7のタイミングで同軸端末17のいずれも接続が外されると伝送信号が同軸端末17で反射されて反射波がRFケーブル15を伝送されて増幅装置3まで戻り、方向性結合器12で検出される反射電力が大きくなる。これにより、RF電力検出器13では反射電力の大きさが所定のレベル以上と検出されて、図5(c)に示すようにd2の遅れ時間をもってH信号からL信号に遷移する。これにより、電源スイッチ11はd3の遅れ時間をもってオフとなり、RF電力増幅器10への電源Vccの供給が停止される。なお、d2の遅れ時間は、伝送信号が同軸端末17で反射されて反射波がRFケーブル15を伝送されて増幅装置3まで戻り、方向性結合器12で反射電力が検出されると共に、RF電力検出器13で反射電力の大きさが検出されるまでの遅れ時間である。d3の遅れ時間は、RF電力検出器13から遷移したL信号が出力されて電源スイッチ11がオフになるまでの遅れ時間である。
【0035】
t7のタイミングの後に発生されるt8からt9まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号により電源スイッチ11がオン(図5(d)参照)して、t8からt9までの期間はRF電力増幅器10に電源Vccが供給されてRF電力増幅器10からは伝送信号が出力される。t8からt9までの期間では図5(a)に示すように同軸端末17のいずれも接続されていないことから、方向性結合器12で検出された反射電力が大きくなり、RF電力検出器13では所定のレベル以上と検出されて図5(c)に示すようにL信号の出力が継続される。これにより、RF電力増幅器10にはt9のタイミングで電源Vccの供給が停止される。
【0036】
上記したように、配信先において、図4(b)に示される同軸端末17のいずれかが接続されている場合は、RF電力検出器13からの信号がH信号となって電源スイッチ11がオンとなり、電源VccがRF電力増幅器10へ供給されることから、RF電力増幅器10は必要なレベルに伝送信号を増幅し、増幅された伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されていくようになる。そして、配信先において、図4(b)に示される同軸端末17のいずれも接続されていない場合は、RF電力検出器13からの信号がL信号となって電源スイッチ11がオフとなり、電源VccのRF電力増幅器10への供給は停止される。この場合、配信先に伝送信号を配信する必要はないことから、RF電力増幅器10は無駄な電力を消費しないようになる。従って、増幅装置1の消費電力を低減することができる。
【0037】
<本発明の第4実施例の増幅装置>
本発明の第4実施例の増幅装置について説明する。図6に本発明の第4実施例の増幅装置4の構成を示す機能ブロック図を示している。
図6に示す本発明の第4実施例の増幅装置4は、有線通信網に複数設けられており、伝送信号を必要なレベルまで増幅して有線通信網を構成するRFケーブル15に送出している。第4実施例の増幅装置4は、入力端子INから入力された伝送信号を所定のレベルに増幅するRF電力増幅器10を備え、RF電力増幅器10で増幅されたRF信号である伝送信号を方向性結合器12を介して出力端子OUTから出力している。出力端子OUTには同軸ケーブルとされるRFケーブル15の一端が接続されており、RFケーブル15を通じて伝送信号が伝送されていく。RFケーブル15は所定の距離を有しており、RFケーブル15の他端はコンデンサとされるDCブロッカー16を介して配信先の同軸端末17に接続されている。配信先は、例えば図8に示す住戸Dmとされる。伝送信号には、地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送や動画配信される動画データなどが含まれている。同軸端末17は入力用の同軸端子18を有しており、同軸端子18にRFケーブル15の他端が接続されている。
【0038】
配信先が備える同軸端末17は、前記した図4(b)に示すように、テレビ受像機17aやSTB17b、ケーブルモデム17cなどとされる。配信先において、図4(b)に示される同軸端末17のいずれも接続されていない場合は、RFケーブル15の他端において不整合が生じるため、RFケーブル15の他端において伝送信号が反射される。この伝送信号の反射成分はRFケーブル15を通じて増幅装置4まで戻ってくる。図6に示す方向性結合器12は、伝送信号の反射成分を反射電力として検出してRF検出器43に供給している。RF検出器43は、入力された反射電力を反射レベルに応じた直流(DC)電圧に変換し、変換されたDC電圧を検出電圧として電圧検出器44に供給している。電圧検出器44は、入力された検出電圧のレベルに応じてL信号あるいはH信号を出力し、L/H信号は電源スイッチ11に供給される。具体的には、電圧検出器44は、入力された反射電力のレベルに応じた検出電圧のレベルが所定のレベル以上の時にL信号を出力し、入力された反射電力のレベルに応じた検出電圧のレベルが所定のレベル未満の時にH信号を出力する。電源スイッチ11は、例えばMOSトランジスタを使用した電子スイッチとされて、電圧検出器44からの信号がH信号の時にオンになり、電源Vccを供給電力としてRF電力増幅器10に供給する。これにより、RF電力増幅器10は動作状態となって、必要なレベルに増幅された伝送信号がRFケーブル15から配信先へ伝送されていく。また、電源スイッチ11は、電圧検出器44からの信号がL信号の時にオフになり、電源VccのRF電力増幅器10への供給は停止される。これにより、RF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。この場合は、配信先において同軸端末17のいずれも接続されていないことから、伝送信号が配信されなくても不都合は生じない。
【0039】
パルス発振器45は、第3実施例の増幅装置3のパルス発振器34と同様とされ、所定の周期のパルス信号をタイミング信号として発生するパルス発振器であり、パルス発振器45から出力されるタイミング信号は図5(b)に示されるようになり、タイミング信号はL(Low)レベルがアクティブとされるパルス信号とされている。図5(b)に示すようにタイミング信号は周期T毎にΔTのパルス幅のデューティ比が小さくされたタイミング信号とされている。例えば、周期Tは1secとされΔTは1msとされて、デューティ比は1/1000とされる。このようにデューティ比の小さいタイミング信号は、電源スイッチ11に供給されてΔTの期間は電源スイッチ11がオンされて電源Vccが供給電力としてRF電力増幅器10に供給される。
【0040】
第4実施例の増幅装置4の動作は、前述した図5に示すようになるので、図5を参照しながら第4実施例の増幅装置4の動作を説明する。図5(a)は同軸端末17のいずれかが接続されている場合を「有」、いずれも接続されていない場合を「無」として示している。ここでは、t2のタイミングで同軸端末17のいずれかが接続されたことが示されていると共に、t7のタイミングで同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったことが示されている。
図5(b)はタイミング信号を示しており、t0からt1まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号により図5(d)に示すように電源スイッチ11がオンして、t0からt1までの期間はRF電力増幅器10に電源Vccが供給されてRF電力増幅器10からは伝送信号が出力される。t0からt1までの期間では図5(a)に示すように同軸端末17のいずれも接続されていないことから、方向性結合器12で検出された反射電力が大きくなり、RF検出器43から出力される検出電圧のレベルは大きくなる。そして、RF検出器43から出力される検出電圧が入力される電圧検出器44では検出電圧が所定のレベル以上と検出されて図5(c)に示すようにL信号の出力が継続される。これにより、RF電力増幅器10にはt2のタイミングで電源Vccの供給が停止される。
【0041】
t2のタイミングの後に発生されるt3からt4まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号により再び電源スイッチ11がオン(図5(d)参照)して、t3からt4までの期間はRF電力増幅器10に電源Vccが供給されてRF電力増幅器10からは伝送信号が出力される。t2のタイミングで同軸端末17のいずれかが接続されたことから、t2のタイミングより後のt3からt4までの期間は、方向性結合器12で検出された反射電力が小さくなり、RF検出器43から出力される検出電圧のレベルは小さくなる。そして、RF検出器43から出力される検出電圧が入力される電圧検出器44では検出電圧が所定のレベル未満と検出されてH信号が出力される。H信号は、図5(c)に示すようにt3のタイミングよりd1だけ遅れたタイミングでHレベルに遷移する。d1は、RF電力増幅器10からは伝送信号が出力されてRFケーブル15を伝送されていき、伝送信号が同軸端末17で反射されて反射波がRFケーブル15を伝送されて増幅装置4まで戻り、方向性結合器12で反射電力が検出されると共に、RF検出器43で反射電力がDC電圧とされ、電圧検出器44でDC電圧とされた検出電圧の大きさが検出されるまでの遅れ時間である。これにより、図5(d)に示すように電源スイッチ11はt3のタイミング以降はオンを継続するので、t3のタイミング以降はRF電力増幅器10に電源Vccの供給が継続されるようになる。
【0042】
t4のタイミングの後に発生されるt5からt6まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号は電源スイッチ11に供給されるが、このタイミングでは電圧検出器44はH信号を継続して出力し、電源スイッチ11はオンを継続しているので、RF電力検出器13および電源スイッチ11の状態は継続されるようになる。
t7のタイミングで同軸端末17のいずれも接続が外されると伝送信号が同軸端末17で反射されて反射波がRFケーブル15を伝送されて増幅装置4まで戻り、方向性結合器12で検出される反射電力が大きくなる。これにより、RF検出器43から出力される検出電圧のレベルは大きくなって、検出電圧が入力される電圧検出器44では検出電圧が所定のレベル以上と検出されて図5(c)に示すようにd2の遅れ時間をもってH信号からL信号に遷移する。さらに、電源スイッチ11はd3の遅れ時間をもってオフとなり、RF電力増幅器10への電源Vccの供給が停止される。なお、d2の遅れ時間は、伝送信号が同軸端末17で反射されて反射波がRFケーブル15を伝送されて増幅装置4まで戻り、方向性結合器12で反射電力が検出されると共に、RF検出器43で反射電力がDC電圧とされ、電圧検出器44でDC電圧とされた検出電圧の大きさが検出されるまでの遅れ時間である。d3の遅れ時間は、RF電力検出器13から遷移したL信号が出力されて電源スイッチ11がオフになるまでの遅れ時間である。
【0043】
t7のタイミングの後に発生されるt8からt9まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号により電源スイッチ11がオン(図5(d)参照)して、t8からt9までの期間はRF電力増幅器10に電源Vccが供給されてRF電力増幅器10からは伝送信号が出力される。t8からt9までの期間では図5(a)に示すように同軸端末17のいずれも接続されていないことから、方向性結合器12で検出された反射電力が大きくなり、RF検出器43から出力される検出電圧のレベルは大きくなって、検出電圧が入力される電圧検出器44では検出電圧が所定のレベル以上と検出されて図5(c)に示すようにL信号の出力が継続される。これにより、RF電力増幅器10にはt9のタイミングで電源Vccの供給が停止される。
【0044】
上記したように、配信先において、図4(b)に示されるような同軸端末17のいずれかが接続されている場合は、電圧検出器44からの信号がH信号となって電源スイッチ11がオンとなり、電源VccがRF電力増幅器10へ供給されることから、RF電力増幅器10は必要なレベルに伝送信号を増幅し、増幅された伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されていくようになる。そして、配信先において、図4(b)に示されるような同軸端末17のいずれも接続されていない場合は、電圧検出器44からの信号がL信号となって電源スイッチ11がオフとなり、電源VccのRF電力増幅器10への供給は停止される。この場合、配信先に伝送信号を配信する必要はないことから、RF電力増幅器10は無駄な電力を消費しないようになる。従って、第4実施例の増幅装置4の消費電力を低減することができる。
【0045】
<本発明の第5実施例の増幅装置>
本発明の第5実施例の増幅装置について説明する。図7に本発明の第5実施例の増幅装置5の構成を示す機能ブロック図を示している。
図7に示す本発明の第5実施例の増幅装置5は、有線通信網に複数設けられており、伝送信号を必要なレベルまで増幅して有線通信網を構成するRFケーブル15に送出している。第5実施例の増幅装置5は、入力端子INから入力された伝送信号を所定のレベルに増幅するRF電力増幅器10を備え、RF電力増幅器10で増幅されたRF信号である伝送信号を方向性結合器12を介して出力端子OUTから出力している。出力端子OUTには同軸ケーブルとされるRFケーブル15の一端が接続されており、RFケーブル15を通じて伝送信号が伝送されていく。RFケーブル15は所定の距離を有しており、RFケーブル15の他端はコンデンサとされるDCブロッカー16を介して配信先の同軸端末17に接続されている。配信先は、例えば図8に示す住戸Dmとされる。伝送信号には、地上デジタル放送およびBS/CSデジタル放送とされる衛星デジタル放送や動画配信される動画データなどが含まれている。同軸端末17は入力用の同軸端子18を有しており、同軸端子18にRFケーブル15の他端が接続されている。
【0046】
配信先が備える同軸端末17は、前記した図4(b)に示すように、テレビ受像機17aやSTB17b、ケーブルモデム17cなどとされる。配信先において、図4(b)に示される同軸端末17のいずれも接続されていない場合は、RFケーブル15の他端において不整合が生じるため、RFケーブル15の他端において伝送信号が反射される。この伝送信号の反射成分はRFケーブル15を通じて増幅装置5まで戻ってくる。図7に示す方向性結合器12は、伝送信号の反射成分を反射電力として検出してRF検出部53に供給している。RF検出部53は、入力された反射電力を反射レベルに応じた直流(DC)電圧に変換し、変換されたDC電圧を検出電圧として電圧検出部54に供給している。RF検出部53は、2つのオペアンプOP1,OP2を備えている。オペアンプOP1のフィードバックパスには2つのダイオード接続トランジスタDETが接続されており、オペアンプOP1は対数増幅器(Logアンプ)として動作している。オペアンプOP2のフィードバックパスにはコンデンサが接続されており、オペアンプOP2は低域通過フィルタとして動作している。以上のように構成されることにより、RF検出部53は入力ダイナミックレンジが広くされ、入力された反射レベルの対数に応じたDC電圧とされる検出電圧が出力されるようになる。
【0047】
RF検出部53で変換された検出電圧が入力される電圧検出部54は、オペアンプからなる比較器(COMP)54aを備え、COMP54aはVrefとして示された閾値電圧と入力された検出電圧のレベルとを比較して、入力された検出電圧がVref未満の時はL信号、入力されたDC電圧がVref以上となるとH信号を出力している。COMP54aの出力はインバーター(INV)54bに入力されてL信号とH信号とが反転される。INV54bはPチャンネルとNチャンネルのMOSFETが直列に接続されており、COMP54aの出力がH信号の時はL信号に反転され、COMP54aの出力がL信号の時はH信号に反転される。電圧検出部54から出力されるL/H信号は電源スイッチ55に供給される。以上のように、電圧検出部54からは、入力された反射電力のレベルに応じた検出電圧のレベルがVref以上の時にL信号が出力され、入力された反射電力のレベルに応じた検出電圧のレベルがVref未満の時にH信号が出力される。
【0048】
電源スイッチ55は、NチャンネルのMOSFETからなる電子スイッチ(SW)55bと制御部55aとから構成されている。制御部55aはパルス発振器56で発生されるタイミング信号と電圧検出部54から出力されるL/H信号とでSW55bを制御している。ここで、タイミング信号がアクティブ状態になると制御部55aはSW55bがオンとなるよう制御して、電源Vccが供給電力としてRF電力増幅器10に供給される。また、制御部55aは電圧検出部54からの信号がH信号の時にはSW55bがオンとなるよう制御して、電源Vccが供給電力としてRF電力増幅器10に供給される。そして、SW55bがオンになると、RF電力増幅器10が動作状態となって、必要なレベルに増幅された伝送信号がRFケーブル15から配信先へ伝送されていく。また、制御部55aは電圧検出部54からの信号がL信号の時にはSW55bがオフとなるよう制御して、電源VccのRF電力増幅器10への供給が停止される。これにより、RF電力増幅器10は不動作状態となり、伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されないようになる。この場合は、配信先において同軸端末17のいずれも接続されていないことから、伝送信号が配信されなくても不都合は生じない。
【0049】
パルス発振器56は、第3実施例の増幅装置3のパルス発振器34と同様とされ、所定の周期のパルス信号をタイミング信号として発生するパルス発振器であり、パルス発振器56から出力されるタイミング信号は図5(b)に示されるようになり、タイミング信号はL(Low)レベルがアクティブとされるパルス信号とされている。図5(b)に示すようにタイミング信号は周期T毎にΔTのパルス幅のデューティ比が小さくされたタイミング信号とされている。例えば、周期Tは1secとされΔTは1msとされて、デューティ比は1/1000とされる。このようにデューティ比の小さいタイミング信号は、電源スイッチ55の制御部55aに供給されてΔTの期間はSW55bがオンされて電源Vccが供給電力としてRF電力増幅器10に供給される。
【0050】
第5実施例の増幅装置5の動作は、前述した図5に示すようになるので、図5を参照しながら第5実施例の増幅装置5の動作を説明する。図5(a)は同軸端末17のいずれかが接続されている場合を「有」、いずれも接続されていない場合を「無」として示している。ここでは、t2のタイミングで同軸端末17のいずれかが接続されたことが示されていると共に、t7のタイミングで同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったことが示されている。
図5(b)はタイミング信号を示しており、t0からt1まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号により図5(d)に示すようにSW55bがオンして、t0からt1までの期間はRF電力増幅器10に電源Vccが供給されてRF電力増幅器10からは伝送信号が出力される。t0からt1までの期間では図5(a)に示すように同軸端末17のいずれも接続されていないことから、方向性結合器12で検出された反射電力が大きくなり、RF検出部53から出力される検出電圧のレベルは大きくなる。そして、RF検出部53から出力される検出電圧が入力される電圧検出部54では検出電圧が所定のレベル以上と検出されて図5(c)に示すようにL信号の出力が継続される。これにより、RF電力増幅器10にはt2のタイミングで電源Vccの供給が停止される。
【0051】
t2のタイミングの後に発生されるt3からt4まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号により再びSW55bがオン(図5(d)参照)して、t3からt4までの期間はRF電力増幅器10に電源Vccが供給されてRF電力増幅器10からは伝送信号が出力される。t2のタイミングで同軸端末17のいずれかが接続されたことから、t2のタイミングより後のt3からt4までの期間は、方向性結合器12で検出された反射電力が小さくなり、RF検出部53から出力される検出電圧のレベルは小さくなる。そして、RF検出部53から出力される検出電圧が入力される電圧検出部54では検出電圧が所定のレベル未満と検出されてH信号が出力される。H信号は、図5(c)に示すようにt3のタイミングよりd1だけ遅れたタイミングでHレベルに遷移する。d1は、RF電力増幅器10からは伝送信号が出力されてRFケーブル15を伝送されていき、伝送信号が同軸端末17で反射されて反射波がRFケーブル15を伝送されて増幅装置5まで戻り、方向性結合器12で反射電力が検出されると共に、RF検出部53で反射電力がDC電圧とされ、電圧検出部54でDC電圧とされた検出電圧の大きさが検出されるまでの遅れ時間である。これにより、図5(d)に示すように電源スイッチ11はt3のタイミング以降はオンを継続するので、t3のタイミング以降はRF電力増幅器10に電源Vccの供給が継続されるようになる。
【0052】
t4のタイミングの後に発生されるt5からt6まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号はSW55bに供給されるが、このタイミングでは電圧検出部54はH信号を継続して出力し、SW55bはオンを継続しているので、電圧検出部54およびSW55bの状態は継続されるようになる。
t7のタイミングで同軸端末17のいずれも接続が外されると伝送信号が同軸端末17で反射されて反射波がRFケーブル15を伝送されて増幅装置5まで戻り、方向性結合器12で検出される反射電力が大きくなる。これにより、RF検出部53から出力される検出電圧のレベルは大きくなって、検出電圧が入力される電圧検出部54では検出電圧が所定のレベル以上と検出されて図5(c)に示すようにd2の遅れ時間をもってH信号からL信号に遷移する。さらに、SW55bはd3の遅れ時間をもってオフとなり、RF電力増幅器10への電源Vccの供給が停止される。なお、d2の遅れ時間は、伝送信号が同軸端末17で反射されて反射波がRFケーブル15を伝送されて増幅装置5まで戻り、方向性結合器12で反射電力が検出されると共に、RF検出部53で反射電力がDC電圧とされ、電圧検出部54でDC電圧とされた検出電圧の大きさが検出されるまでの遅れ時間である。d3の遅れ時間は、電圧検出部54から遷移したL信号が出力されてSW55bがオフになるまでの遅れ時間である。
【0053】
t7のタイミングの後に発生されるt8からt9まで立ち下がるΔTのパルス幅のタイミング信号によりSW55bがオン(図5(d)参照)して、t8からt9までの期間はRF電力増幅器10に電源Vccが供給されてRF電力増幅器10からは伝送信号が出力される。t8からt9までの期間では図5(a)に示すように同軸端末17のいずれも接続されていないことから、方向性結合器12で検出された反射電力が大きくなり、RF検出部53から出力される検出電圧のレベルは大きくなって、検出電圧が入力される電圧検出部54では検出電圧が所定のレベル以上と検出されて図5(c)に示すようにL信号の出力が継続される。これにより、RF電力増幅器10にはt9のタイミングで電源Vccの供給が停止される。
【0054】
上記したように、配信先において、図4(b)に示されるような同軸端末17のいずれかが接続されている場合は、電圧検出部54からの信号がH信号となってSW55bがオンとなり、電源VccがRF電力増幅器10へ供給されることから、RF電力増幅器10は必要なレベルに伝送信号を増幅し、増幅された伝送信号はRFケーブル15から配信先へ伝送されていくようになる。そして、配信先において、図4(b)に示されるような同軸端末17のいずれも接続されていない場合は、電圧検出部54からの信号がL信号となってSW55bがオフとなり、電源VccのRF電力増幅器10への供給は停止される。この場合、配信先に伝送信号を配信する必要はないことから、RF電力増幅器10は無駄な電力を消費しないようになる。従って、第5実施例の増幅装置5の消費電力を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明した本発明の第1実施例の増幅装置1および第2実施例の増幅装置2において、いずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない場合には、RF電力増幅器10は駆動しかかるが完全には駆動されないという周期的な動作が繰り返される。これにより、いずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない場合には、RF電力増幅器10に供給される電力は無視できる程度となることが確かめられた。
以上説明した本発明の第2実施例の増幅装置2において、プルアップ抵抗Rpは20kΩ~10MΩとすることができる。プルアップ抵抗Rpを22kΩとすると、電源スイッチ供給電力が振動する周期が約0.67msとなり、プルアップ抵抗Rpを1MΩとすると、電源スイッチ供給電力が振動する周期が約0.02sとなり、プルアップ抵抗Rpを10MΩとすると、電源スイッチ供給電力が振動する周期が約0.2sとなる。このように、電源スイッチ供給電力が振動する周期はプルアップ抵抗Rpの抵抗値に応じて変化するようになり、電源スイッチ供給電力が振動する周期が長いほど第2実施例の増幅装置2の消費電力は低減されるが、いずれにしてもRF電力増幅器10に供給される電力は無視できる程度に低減されている。そこで、プルアップ抵抗Rpは20kΩ~10MΩの所望の値とすることができる。
以上説明した本発明にかかる増幅装置において、RF電力増幅器10に電力を供給する電源スイッチは、例えばMOSトランジスタを使用した電子スイッチとされるが、これに限ることはなく、一般的な電子スイッチを用いることができる。
また、本発明にかかる増幅装置においては、増幅装置が異常信号を発生しても、その反射波を検出できる場合は増幅装置の電源が停止されるため同軸端末に障害を与えるリスクを低減することができる。
さらに、本発明にかかるパルス発振器を備える第3実施例ないし第5実施例の増幅装置3ないし増幅装置5においては、いずれの同軸端末17もRFケーブル15の他端側に接続されていない場合でも、RF電力増幅器10に供給される電力が振動しないようになる。また、増幅装置3ないし増幅装置5においては、パルス発振器が発生するタイミング信号のデューティ比は1/1000と例示したが、これに限ることはなくデューティ比を数十分の1以下のデューティ比とすることが好適とされる。また、タイミング信号はハイ・レベルがアクティブとされるパルス信号としてもよい。この場合は、タイミング信号において図5(b)に示すタイミング信号のロウ・レベルとハイ・レベルとが反転される。
【0056】
本発明の第3実施例の増幅装置3において、RF電力検出器13に供給する電源をオン/オフする図示しない第2電源スイッチを設けて、この第2電源スイッチをタイミング信号の期間だけオンするようにしてもよい。このようにすると、第3実施例の増幅装置3の消費電力をより低減することができるようになる。この場合は、同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったt7のタイミングでは、RF電力検出器13が動作していないため電源スイッチ11はオフしないが、t7のタイミングの後に発生されるタイミング信号の期間において電源スイッチ11はオフするようになる。
【0057】
本発明の第4実施例の増幅装置4において、RF検出器43および電圧検出器44に供給する電源をオン/オフする図示しない第2電源スイッチを設けて、この第2電源スイッチをタイミング信号の期間だけオンするようにしてもよい。このようにすると、第4実施例の増幅装置4の消費電力をより低減することができるようになる。この場合は、同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったt7のタイミングでは、RF検出器43および電圧検出器44が動作していないため電源スイッチ11はオフしないが、t7のタイミングの後に発生されるタイミング信号の期間において電源スイッチ11はオフするようになる。
【0058】
本発明の第5実施例の増幅装置5において、RF検出部53および電圧検出部54に供給する電源をオン/オフする図示しない第2電源スイッチを設けて、この第2電源スイッチをタイミング信号の期間だけオンするようにしてもよい。このようにすると、第5実施例の増幅装置5の消費電力をより低減することができるようになる。この場合は、同軸端末17のいずれもが外されて接続されなくなったt7のタイミングでは、RF検出部53および電圧検出部54が動作していないため電源スイッチ11はオフしないが、t7のタイミングの後に発生されるタイミング信号の期間において電源スイッチ11はオフするようになる。
【符号の説明】
【0059】
1,2,3,4,5 増幅装置、10 RF電力増幅器、11 電源スイッチ、12 方向性結合器、13 RF電力検出器、15 RFケーブル、16 DCブロッカー、17 同軸端末、17a テレビ受像機、17b STB、17c ケーブルモデム、18 同軸端子、34 パルス発振器、43 RF検出器、44 電圧検出器、45 パルス発振器、53 RF検出部、54 電圧検出部、54a COMP、54b INV、55 電源スイッチ、55a 制御部、55b SW、56 パルス発振器、100 ケーブル、101 保安器、110 モデム、111 PC、112 STB、113 TV、Dm 住戸、IN 入力端子、OUT 出力端子
図1
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