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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013298
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】処理剤タンク装置及び食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/44 20060101AFI20240125BHJP
   A47L 15/46 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A47L15/44
A47L15/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115272
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】林 潤哉
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082CC02
3B082CC04
3B082DB00
3B082DB02
3B082DC06
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性がよく、しかも長期間安定して処理剤の量を精度高く検出できる処理剤タンク装置及びそのような処理剤タンク装置を備えた食器洗浄機を提供する。
【解決手段】タンク収容部70と、タンク収容部70に着脱可能に装着され、処理剤を貯蔵する貯蔵タンク80と、タンク収容部70の収容部壁71のうちセンサ設置壁である右内面71dにおけるセンサ位置に設けられ、タンク収容部70に装着された貯蔵タンク内80の処理剤の量を検出する静電容量センサ90とを備える。右内面71dに第1磁石72a及び第2磁石72bが配置され、センサ対向壁である右外面83dに第1磁石72a及び第2磁石72bに磁着される強磁性体84が配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク収容部と、
前記タンク収容部に着脱可能に装着され、処理剤を貯蔵する貯蔵タンクと、
前記タンク収容部の収容部壁のうちセンサ設置壁におけるセンサ位置に設けられ、前記タンク収容部に装着された前記貯蔵タンク内の前記処理剤の量を検出する静電容量センサと、
前記センサ設置壁において前記センサ位置と異なる位置に設定された第1収容部位置と、前記貯蔵タンクのタンク周壁のうち前記タンク収容部に前記貯蔵タンクが装着された時に前記センサ設置壁に対向するセンサ対向壁において前記第1収容部位置と対向する第1タンク位置との一方に配置された第1磁石と、前記第1収容部位置と前記第1タンク位置との他方に配置され、前記第1磁石に磁着される第1強磁性体と、を備えていることを特徴とする処理剤タンク装置。
【請求項2】
前記第1磁石は永久磁石であり、
前記第1強磁性体は、軟磁性体又は磁化される前の硬磁性体である請求項1記載の処理剤タンク装置。
【請求項3】
前記収容部壁のうち前記センサ設置壁に対向する収容部壁を除く収容部壁において前記センサ位置及び前記第1収容部位置とは異なる位置に設定された第2収容部位置と、前記タンク収容部に前記貯蔵タンクが装着された時に前記第2収容部位置が設定された前記収容部壁に対向する前記タンク周壁において前記第2収容部位置と対向する第2タンク位置との一方に配置された第2磁石と、前記第2収容部位置と前記第2タンク位置との他方に配置され、前記第2磁石に磁着される第2強磁性体と、をさらに備える請求項1記載の処理剤タンク装置。
【請求項4】
前記貯蔵タンクは、前記タンク収容部に対し上方から挿入する構成であって、
前記収容部壁のうち前記センサ設置壁において前記センサ位置及び前記第1収容部位置とは異なる位置であって、かつ前記第1収容部位置に対して前記タンク収容部の深さ方向に離れた位置に第2収容部位置が設定され、
前記第1磁石及び前記第1強磁性体は互いに磁着する永久磁石であり、
前記第2収容部位置及び前記第2タンク位置には互いに磁着する永久磁石が配置され、
前記収容部壁に配置された2つの前記永久磁石は極性が異なる請求項3記載の処理剤タンク装置。
【請求項5】
前記第1磁石は、前記第1収容部位置に配置された電磁石である請求項1記載の処理剤タンク装置。
【請求項6】
前記タンク収容部に設けられ、前記タンク収容部に前記貯蔵タンクが着脱されたことを検出する着脱検出部と、
前記着脱検出部の検出結果に基づいて、前記電磁石への通電を制御する制御部と、をさらに備えている請求項5記載の処理剤タンク装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の処理剤タンク装置を備えることを特徴とする食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は処理剤タンク装置及び食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の処理剤タンク装置の一例が開示されている。この処理剤タンク装置では、タンク収容部に貯蔵タンクが着脱可能に装着されている。貯蔵タンクは液状の処理剤を貯蔵する。
【0003】
タンク収容部に装着された貯蔵タンクのタンク外側面に対面するタンク収容部の第1側壁には、静電容量センサが設けられている。静電容量センサは、タンク収容部に装着された貯蔵タンク内の処理剤の量を検出する。
【0004】
タンク収容部の側壁であって、静電容量センサが設けられた第1側壁に対向する第2側壁の内面には、押圧部が設けられている。この押圧部は、タンク収容部に装着された貯蔵タンクを静電容量センサが設けられた第1側壁に押し付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-33692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、静電容量センサは、貯蔵タンク内における処理剤の静電容量と貯蔵タンク内における空気の静電容量との差を利用することで、貯蔵タンク内における処理剤の液位、すなわち処理剤の量を検出する。このため、仮に静電容量センサと貯蔵タンクとの間に空気層が存在すると、その空気層によって静電容量センサの検出精度が低下するおそれがある。
【0007】
しかしながら、上記従来の処理剤タンク装置では、押圧部が設けられたタンク収容部の側壁の弾性力を利用して、貯蔵タンクを静電容量センサに押し付けている。この場合、繰り返し負荷や応力集中により側壁の疲労破壊や押圧部の摩耗が発生したり、あるいは材料自体が経時変化したりすることで、押圧部による押付力が低下するおそれがある。その結果、この処理剤タンク装置は、貯蔵タンクと静電容量センサとの間に空気層が介在し易くなって、長期間安定して処理剤の量を精度高く検出することが難しくなるおそれがある。
【0008】
他方、貯蔵タンク内の液位を検出する方式として、フロート式を採用することもできる。フロート式では、貯蔵タンク内で揺動可能となるように支持されたアームにフロートが接続される。そして、液面に連動して上下動するフロートに設けられた強磁性体の動きを磁気センサで検出する。しかしこの場合、長期間の使用によりアームの支持部分等に処理剤が固着すると、アームの揺動不良により検出誤差が生じ易い。このため、処理剤の固着を防ぐべく、タンクの清掃頻度を高める必要がある。また、タンクにアーム等の機構部が付属していると、貯蔵タンクを丸洗いする際にその機構部が邪魔になり易い。よって、フロート式では、タンクの清掃が面倒であり、ユーザの利便性が良いとは言い難い。
【0009】
また、例えば液体洗剤等の処理剤の自動投入機構を備えた食器洗浄機にあっては、清掃が容易で、ユーザの利便性がよく、しかも長期間安定して処理剤の量を精度高く検出することができる処理剤タンク装置が望まれる。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ユーザの利便性がよく、しかも長期間安定して処理剤の量を精度高く検出できる処理剤タンク装置及びそのような処理剤タンク装置を備えた食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の処理剤タンク装置は、タンク収容部と、
前記タンク収容部に着脱可能に装着され、処理剤を貯蔵する貯蔵タンクと、
前記タンク収容部の収容部壁のうちセンサ設置壁におけるセンサ位置に設けられ、前記タンク収容部に装着された前記貯蔵タンク内の前記処理剤の量を検出する静電容量センサと、
前記センサ設置壁において前記センサ位置と異なる位置に設定された第1収容部位置と、前記貯蔵タンクのタンク周壁のうち前記タンク収容部に前記貯蔵タンクが装着された時に前記センサ設置壁に対向するセンサ対向壁において前記第1収容部位置と対向する第1タンク位置との一方に配置された第1磁石と、前記第1収容部位置と前記第1タンク位置との他方に配置され、前記第1磁石に磁着される第1強磁性体と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の処理剤タンク装置では、タンク収容部に貯蔵タンクが着脱可能に装着される。タンク収容部の収容部壁のうちセンサ設置壁におけるセンサ位置に、静電容量センサが設けられている。静電容量センサは、タンク収容部に装着された貯蔵タンク内の処理剤の量を検出する。収容部壁は、貯蔵タンクが収容される収容空間を区画する複数の壁を有する。
【0013】
静電容量センサは、貯蔵タンク内における空気の静電容量と貯蔵タンク内における処理剤の静電容量との差を利用して、貯蔵タンク内における処理剤の液位、すなわち処理剤の量を検出する。このため、静電容量センサと貯蔵タンクとの間に空気層が存在すると、静電容量センサの検出誤差が生じ易くなる。
【0014】
この処理剤タンク装置では、タンク収容部のセンサ設置壁に静電容量センサが設けられるとともに、そのセンサ設置壁においてセンサ位置と異なる第1収容部位置に、第1磁石又は第1強磁性体が配置されている。また、タンク周壁のうちタンク収容部に貯蔵タンクが装着された時にセンサ設置壁に対向するセンサ対向壁における、第1収容部位置に対向する第1タンク位置に、第1収容部位置に配置された第1磁石に磁着される第1強磁性体又は第1収容部位置に配置された第1強磁性体を磁着する第1磁石が配置されている。
【0015】
この構成により、タンク収容部に貯蔵タンクが装着された時、第1磁石と第1強磁性体とが互いに磁着することにより、静電容量センサが設けられたタンク収容部のセンサ設置壁と貯蔵タンクのセンサ対向壁との密着性が高まる。その結果、静電容量センサと貯蔵タンクとの間に介在する空気層が排除され易くなり、静電容量センサによる検出精度を高めることができる。
【0016】
また、タンク収容部のセンサ設置壁と貯蔵タンクのセンサ対向壁との密着性を高めるために磁力を利用しているため、弾性材料の弾性力を利用する場合と異なり、繰り返し負荷や応力集中による弾性変形部の疲労破壊や、材料自体の経時変化等の影響を受け難い。その結果、静電容量センサと貯蔵タンクとの間に介在する空気層を排除する効果が低下するおそれが小さい。
【0017】
したがって、本発明の処理剤タンク装置は、ユーザの利便性がよく、しかも長期間安定して処理剤の量を精度高く検出することができる。
【0018】
第1磁石は永久磁石であることが好ましい。また、第1強磁性体は、軟磁性体又は磁化される前の硬磁性体であることが好ましい。
【0019】
軟磁性体又は磁化される前の硬磁性体は、磁力の極性に関係なく第1磁石に引き寄せられて磁着される。このため、収容部壁又はタンク周壁に第1磁石を取り付ける製造工程において、磁力の極性を気にすることなく第1磁石を取り付けることができる。
【0020】
この処理剤タンク装置は、第2磁石と、第2磁石に磁着される第2強磁性体とをさらに備えることが好ましい。第2磁石は、第2収容部位置と第2タンク位置との一方に配置され、第2強磁性体は、第2収容部位置と第2タンク位置との他方に配置され得る。第2収容部位置は、収容部壁のうちセンサ設置壁に対向する収容部壁を除く収容部壁においてセンサ位置及び第1収容部位置とは異なる位置に設定され得る。第2タンク位置は、タンク収容部に貯蔵タンクが装着された時に第2収容部位置が設定された収容部壁に対向するタンク周壁において、第2収容部位置と対向する位置とされ得る。
【0021】
この構成により、第1磁石と第1強磁性体との磁着及び第2磁石と第2強磁性体との磁着により、タンク収容部に装着された貯蔵タンクの姿勢安定性を高めたり、静電容量センサが設けられたセンサ設置壁とセンサ対向壁との密着性を高めたりすることができる。その結果、静電容量センサと貯蔵タンクとの間に存在する空気層をより一層排除し易くなる。
【0022】
この処理剤タンク装置では、貯蔵タンクは、タンク収容部に対し上方から挿入する構成であることが好ましい。収容部壁のうちセンサ設置壁においてセンサ位置及び第1収容部位置とは異なる位置であって、かつ第1収容部位置に対してタンク収容部の深さ方向に離れた位置に第2収容部位置が設定され得る。そして、第1磁石及び第1強磁性体は互いに磁着する永久磁石であることが好ましい。また、第2収容部位置及び第2タンク位置には互いに磁着する永久磁石が配置されることが好ましい。そして、収容部壁に配置された2つの永久磁石は極性が異なることが好ましい。
【0023】
この構成により、タンク収容部に貯蔵タンクが装着された時、収容部壁とタンク周壁とにおいて互いに対向する永久磁石同士が磁着する。収容部壁に配置された永久磁石同士はタンク収容部の深さ方向(タンク収容部への貯蔵タンクの挿入方向)に離れている。このため、タンク収容部の深さ方向に離れた2か所において、磁力によりタンク周壁と収容部壁とを密着させることができる。その結果、タンク収容部に装着された貯蔵タンクの姿勢安定性をより一層高めたり、静電容量センサが設けられたセンサ設置壁とセンサ対向壁との密着性をより高めたりすることができる。よって、静電容量センサと貯蔵タンクとの間に存在する空気層をより一層排除し易くなる。
【0024】
また、この構成では、タンク収容部に貯蔵タンクを装着する際に、収容部壁に配置された永久磁石のうちタンク収容部の深さ方向に浅い側に配置された永久磁石と、最初に接近するタンク周壁の底部寄りに配置された永久磁石とが、互いに反発し合う極性になる。このため、タンク収容部に対する貯蔵タンクの着脱作業がし易くなる。
【0025】
第1磁石は、第1収容部位置に配置された電磁石であることが好ましい。
【0026】
この場合、貯蔵タンク内の処理剤の量を検出したい時のみ、電磁石を励磁させればよい。このため、例えば貯蔵タンクの着脱時に電磁石を消磁させることにより、タンク収容部に対する貯蔵タンクの着脱作業がし易くなる。
【0027】
この処理剤タンク装置は、着脱検出部と、制御部とをさらに備えることが好ましい。着脱検出部は、タンク収容部に設けられ、タンク収容部に貯蔵タンクが着脱されたことを検出し得る。制御部は、着脱検出部の検出結果に基づいて、電磁石への通電を制御し得る。
【0028】
この場合、着脱検出部によりタンク収容部における貯蔵タンクの着脱状況を把握できるため、制御部によって、貯蔵タンクの着脱状況に合わせた適切なタイミングで電磁石を励磁又は消磁させることができる。
【0029】
本発明の食器洗浄機は、本発明の処理剤タンク装置を備えることを特徴とする。
【0030】
例えば、洗剤やリンス等の処理剤を自動投入できる処理剤自動投入機構を備える食器洗浄機において、ユーザの利便性がよく、しかも長期間安定して処理剤の量を精度高く検出することができる、着脱可能な処理剤タンクを搭載することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の処理剤タンク装置は、ユーザの利便性がよく、しかも長期間安定して処理剤の量を精度高く検出することができる。
本発明の食器洗浄機は、ユーザの利便性がよく、しかも長期間安定して処理剤の量を精度高く検出することができる処理剤タンク装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施例1の洗剤タンク装置を備えた食器洗浄機の模式断面図である。
図2図2は、実施例1の洗剤タンク装置を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、実施例1の洗剤タンク装置を示す部分断面図である。
図4図4は、実施例2の洗剤タンク装置を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、実施例3の洗剤タンク装置を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、実施例4の洗剤タンク装置を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、実施例5の洗剤タンク装置を模式的に示す斜視図である。
図8図8は、実施例6の洗剤タンク装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を具体化した実施例1~6を図面を参照しつつ説明する。
【0034】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の食器洗浄機1は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の一例であり、本発明の処理剤タンク装置の一例である実施例1の洗剤タンク装置60を備えている。食器洗浄機1は、システムキッチンの天板CT1の下方に設置された前面引き出し式のものである。
【0035】
本実施例では、システムキッチンを利用するユーザが食器洗浄機1と対向する側、すなわち図1の紙面左側を食器洗浄機1の前方と規定し、その反対側である図1の紙面右側を食器洗浄機1の後方と規定する。また、ユーザが食器洗浄機1に対向する状態で左に来る側、すなわち図1の奥側を食器洗浄機1の左方と規定し、右に来る側、すなわち図1の紙面手前側を食器洗浄機1の右方と規定する。そして、図2以降の各図に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、全て図1に対応させて表示する。
【0036】
図1に示すように、食器洗浄機1はシステムキッチン100に組み込まれており、システムキッチン100の天板CT1の下方に設置されている。食器洗浄機1は、筐体3と、洗浄槽5と、洗浄手段7と、食器かご9とを備えている。
【0037】
筐体3は、略箱状に形成されている。筐体3は、筐体3の内部と外部とを連通させる筐体開口3hを有している。また、筐体3の内部には、洗浄槽5の洗浄空間5hを開閉する蓋体35が設けられている他、洗浄槽5に水を供給する給水管P1と、洗浄槽5内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する排水管P2とが設けられている。また、給水管P1には、給水管P1を開閉する給水電磁弁37が設けられている。
【0038】
洗浄槽5は、略箱状に形成されている。洗浄槽5には、洗浄空間5hが形成されている。洗浄空間5hは、上部が開放されている他、排気通路5aによって洗浄槽5の外部、すなわち食器洗浄機1の外部と連通している。さらに、洗浄空間5hには給水管P1が接続されている。
【0039】
また、洗浄槽5には貯水室51及びヒータ室52が形成されている。貯水室51は、洗浄空間5hの下部と連通しており、洗浄水を貯留可能となっている。また、貯水室51は排水管P2と接続している。ここで、洗浄水は、給水管P1から洗浄空間5hに給水された水のみで構成される場合の他、給水管P1から洗浄空間5hに給水された水に対して洗剤等の処理剤が混合されることで構成される。
【0040】
さらに、貯水室51には洗浄手段7が設けられている。洗浄手段7は、ノズル53、フィルタ54及びポンプ55によって構成されている。ノズル53は、複数の吐出孔53aを有しており、各吐出孔53aから洗浄空間5h内に洗浄水を噴射可能である。ポンプ55は、貯水室51内でフィルタ54を通過した洗浄水をノズル53に供給する他、反転駆動することにより洗浄水を排水管P2に流通させる。
【0041】
ヒータ室52は、洗浄空間5hよりも下方に位置している。ヒータ室52の内部には、洗浄水や洗浄空間5h内の空気を加熱可能なヒータ52aが設けられている。
【0042】
さらに、洗浄槽5には、水位検知槽56及び乾燥ファン57が設けられている。水位検知槽56は、内部に洗浄水の一部が流入可能となっている。また、水位検知槽56には、水位センサ56aが設けられている。水位センサ56aは、水位検知槽56内の洗浄水を通じて洗浄空間5h内の洗浄水の水位を検知する。乾燥ファン57は、食器洗浄機1の外部の空気を洗浄空間5h内に供給する。
【0043】
また、洗浄槽5の前部の上端には、把持部5gが設けられている他、操作部40及び報知部41が設けられている。ユーザは、操作部40により、食器洗浄機1の操作を行う。具体的には、ユーザは操作部40を通じて、洗浄運転の種類の選択や洗浄運転の時間の選択等を行う。報知部41は、ユーザが選択した洗浄運転の種類や時間等を表すLEDを点灯して表示する。
【0044】
さらに、洗浄槽5の前部には、洗剤自動投入装置59と、洗剤タンク装置60と、制御部C1とが設けられている。洗剤タンク装置60は、洗剤自動投入装置59の上部に位置し、逆止弁(図示略)を介して洗剤自動投入装置59と接続されている。洗剤タンク装置60の内部には洗剤が貯留されており、洗剤自動投入装置59は、洗剤タンク装置60に貯留された洗剤を所定のタイミングで洗浄空間5hに自動で投入する。制御部C1は、食器洗浄機1の作動制御を行うための制御プログラムを記憶している。制御部C1は、操作部40、報知部41、洗浄手段7、洗剤自動投入装置59及び洗剤タンク装置60等と電気的に接続されている。制御部C1は、制御プログラムに基づいて洗浄手段7及び洗剤自動投入装置59等の制御を行い、食器洗浄機1を作動させる。
【0045】
洗浄槽5は、筐体3に対して前後方向に移動可能となっている。洗浄槽5は、筐体3に対して前方に移動することにより、筐体開口3hを経て筐体3の外部に露出する。一方、洗浄槽5は、筐体3に対して後方に移動することにより、図1に示すように、筐体開口3hを経て筐体3の内部に進入する。なお、図1では、洗浄槽5が筐体3に対して最も後方に移動した状態を図示している。また、蓋体35は、洗浄槽5が筐体3の内部に位置しているときには、下方に移動して洗浄空間5hの上部を閉鎖する。なお、制御部C1は、洗浄槽5が筐体3に対して最も後方に位置した洗浄位置に位置していることを位置センサ(図示略)により検知可能となっている。
【0046】
食器かご9は、洗浄槽5の洗浄空間5h内に設けられている。食器かご9は、食器類TWを載置可能となっている。ここで、食器類TWには、皿、茶碗及び汁椀等の食器の他、箸等の飲食用具等が含まれる。さらに、食器類TWには、調理に用いるフライパン、鍋等の調理容器等の他、コップや湯飲み等が含まれる。
【0047】
この食器洗浄機1では、食器かご9に対する食器類TWの載置が完了した後、ユーザは、操作部40の操作を行う。そして、図1に示すように、洗浄槽5を後方に移動させて、洗浄槽5を筐体3の内部に位置させる。制御部C1は、洗浄槽5が洗浄位置に位置したことを検知すると、制御プログラムに基づき、洗浄手段7等の作動制御を行い、洗浄運転を開始する。
【0048】
洗浄運転が開始されることにより、給水電磁弁37が開弁し、給水管P1を介して洗浄空間5h内に水が供給される。さらに、洗剤自動投入装置59によって、洗剤が洗浄空間5h内に適宜投入される。また、洗浄手段7では、ポンプ55によって洗浄水がノズル53に供給されることで、ノズル53の各吐出孔53aから洗浄水が洗浄空間5h内に噴射される。これにより、洗浄空間5h内において、洗浄水による食器類TWの洗浄が所定の時間で行われる。
【0049】
そして、食器類TWの洗浄が終了した後には、ポンプ55を反転駆動させることによって、排水管P2を介して洗浄水が食器洗浄機1の外部に排出されるとともに、乾燥ファン57によって、食器類TWの乾燥が行われる。こうして、食器洗浄機1では洗浄運転が終了する。なお、洗浄運転が終了した後、ユーザは、洗浄槽5を前方に移動させることによって、洗浄空間5hの食器かご9から食器類TWを取り出すことができる。
【0050】
図2及び図3に示すように、洗剤タンク装置60は、タンク収容部70と、貯蔵タンク80とを備えている。タンク収容部70には、貯蔵タンク80が着脱可能に装着される。貯蔵タンク80は、液状の洗剤61を貯蔵する。洗剤61は、本発明の処理剤の一例である。
【0051】
タンク収容部70は、上方が開口した直方体形状の収容空間を有する。タンク収容部70の収容空間は、5つの収容部内面71により区画されている。収容部内面71は、前内面71a、後内面71b、左内面71c、右内面71d及び底内面71eよりなる。収容部内面71は、本発明の収容部壁の一例である。
【0052】
貯蔵タンク80は、タンク収容部70の収容空間に対応した直方体形状を有する箱状体よりなる。貯蔵タンク80は、内部に洗剤61を貯蔵する貯蔵空間を有する上方が開口したタンク本体81と、タンク本体81の開口を閉鎖する蓋82とを有している。タンク本体81は、5つのタンク外面83を有する。タンク外面83は、前外面83a、後外面83b、左外面83c、右外面83d及び底外面83eよりなる。タンク外面83は、本発明のタンク周壁の一例である。
【0053】
タンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時、収容部内面71の各内面と、タンク外面83の各外面とが対面する。すなわち、前内面71aと前外面83aとが対面し、後内面71bと後外面83bとが対面し、左内面71cと左外面83cとが対面し、右内面71dと右外面83dとが対面し、底内面71eと底外面83eとが対面する。
【0054】
収容部内面71のうち右内面71dには、静電容量センサ90が設けられている。静電容量センサ90は、タンク収容部70に装着された貯蔵タンク80内の洗剤61の量を検出する。静電容量センサ90は、右内面71dの後部において上下方向に長く延びて設けられている。静電容量センサ90は、制御部C1に電気的に接続されている。この実施例では、収容部内面71のうち右内面71dが、静電容量センサ90が設けられたセンサ設置内面となる。センサ設置内面は、本発明のセンサ設置壁の一例である。
【0055】
収容部内面71のうちセンサ設置内面としての右内面71dには、第1永久磁石72aと、第2永久磁石72bとが設けられている。第1永久磁石72aの極性と第2永久磁石72bの極性は同じである。第1永久磁石72aは本発明の第1磁石の一例である。第2永久磁石72bは本発明の第2磁石の一例である。
【0056】
第1永久磁石72aは、センサ設置内面において静電容量センサ90が配置されたセンサ位置と異なる位置に配置されている。具体的には、第1永久磁石72aは、センサ設置内面である右内面71dの前部における上端部に配置されている。この右内面71dの前部における上端部が第1収容部位置となる。
【0057】
第2永久磁石72bは、収容部内面71においてセンサ位置及び第1収容部位置とは異なる位置に配置されている。具体的には、第2永久磁石72bは、収容部内面71のうちセンサ設置内面である右内面71dの前部における下端部に配置されている。この右内面71dの前部における下端部が第2収容部位置となる。
【0058】
タンク外面83のうちタンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時にセンサ設置内面に対面するセンサ対向外面において第1収容部位置と対向する第1タンク位置に第1強磁性体としての軟磁性体が配置されている。具体的には、タンク外面83のうちタンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時にセンサ設置内面としての右内面71dに対面するセンサ対向外面としての右外面83dにおいて、第1収容部位置と対向する第1タンク位置に第1強磁性体としての軟磁性体が配置されている。センサ対向外面は、本発明のセンタ対向壁の一例である。
【0059】
また、タンク外面83のうちタンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時に第2収容部位置が設定された収容部内面71に対面するタンク外面83において第2収容部位置と対向する第2タンク位置に第2強磁性体としての軟磁性体が配置されている。具体的には、タンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時に第2収容部位置が設定された収容部内面71である右内面71dに対面するタンク外面83である右外面83dにおいて、第2収容部位置と対向する第2タンク位置に第2強磁性体としての軟磁性体が配置されている。
【0060】
この洗剤タンク装置60では、第1タンク位置に配置された第1強磁性体としての軟磁性体と、第2タンク位置に配置された第2強磁性体としての軟磁性体は、1枚の帯状の金属板84により一体に形成されている。金属板84は、第1永久磁石72a及び第2永久磁石72bに磁着される強磁性体としてのフェライト系ステンレスよりなる。金属板84は、右外面83dの前部において、第1タンク位置及び第2タンク位置を含むように上下方向の略全体に連続して延びている。
【0061】
このように、タンク収容部70の収容部内面71のうちセンサ設置内面である右内面71dに、静電容量センサ90と、第1永久磁石72a及び第2永久磁石72bとが設けられるとともに、貯蔵タンク80のタンク外面83のうちセンサ対向外面である右外面83dに、第1永久磁石72a及び第2永久磁石72bに磁着される金属板84が設けられている。
【0062】
図3に示すように、第1永久磁石72a及び第2永久磁石72b並びに静電容量センサ90は、それらの表面が右内面71dと面一状態で露出するように右内面71dに埋設されている。同様に、金属板84は、金属板84の表面が右外面83dと面一状態で露出するように右外面83dに埋設されている。このため、タンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時、第1永久磁石72a及び第2永久磁石72b並びに静電容量センサ90と金属板84とが干渉することはなく、これらの干渉により右内面71dと右外面83dとの密着性が低下するようなことはない。
【0063】
この洗剤タンク装置60では、タンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時、第1永久磁石72a及び第2永久磁石72bと金属板84とが互いに磁着することにより、静電容量センサ90が設けられたタンク収容部70の右内面71dと貯蔵タンク80の右外面83dとの密着性が高まる。しかも、第1永久磁石72a及び第2永久磁石72bは、タンク収容部70の深さ方向に大きく離れて配置されているため、タンク収容部70に装着された貯蔵タンク80の姿勢安定性を高めたり、静電容量センサ90が設けられた右内面71dと右外面83dとの密着性をより一層高めたりすることができる。その結果、静電容量センサ90と貯蔵タンク80との間に介在する空気層が排除され易くなり、静電容量センサ90による検出精度を高めることができる。
【0064】
また、タンク収容部70のセンサ設置内面と貯蔵タンク80のセンサ対向外面との密着性を高めるために磁力を利用しているため、弾性材料の弾性力を利用する場合と異なり、繰り返し負荷や応力集中による弾性変形部の疲労破壊や、材料自体の経時変化等の影響を受け難い。その結果、静電容量センサ90と貯蔵タンク80との間に介在する空気層を排除する効果が低下するおそれが小さい。
【0065】
さらに、タンク収容部70に対して着脱可能な貯蔵タンク80は、電極、回路部品や揺動部等の機構部を有していない。このため、貯蔵タンク80の清掃が一層容易になる。
【0066】
したがって、実施例の洗剤タンク装置60は、ユーザの利便性がよく、しかも長期間安定して処理剤の量を精度高く検出することができる。
【0067】
この洗剤タンク装置60では、第1強磁性体及び第2強磁性体として軟磁性体である金属板84を採用している。このため、収容部内面71に第1永久磁石72a及び第2永久磁石72bを取り付ける製造工程において、磁力の極性を気にすることなく第1永久磁石72a及び第2永久磁石72bを取り付けることができる。さらに、軟磁性体である金属板84であるので、板厚の設定や曲げ加工等の加工が容易である。このため、タンク収容部70や貯蔵タンク80の構造的制約が少なくなり、設計が容易になる。
【0068】
よって、この食器洗浄機1は、ユーザの利便性がよく、しかも長期間安定して処理剤の量を精度高く検出することができる、着脱可能な貯蔵タンク80を搭載することができる。
【0069】
(実施例2)
実施例2の食器洗浄機1は、実施例1の食器洗浄機1において、洗剤タンク装置60の構成を変更している。
【0070】
図4に示すように、実施例2の洗剤タンク装置60では、収容部内面71のうちの底内面71eの前部における右端部に第2永久磁石72bを配置している。この底内面71eの前部における右端部が収容部内面71において第1収容部位置と異なる位置に設定された第2収容部位置となる。
【0071】
第1永久磁石72aは、実施例1の洗剤タンク装置60と同様、センサ設置内面である右内面71dの前部における上端部に配置されている。
【0072】
また、タンク外面83に設けられた金属板84は、右外面83dの前部において上下方向の略全体に連続して延びる本体部84aと、本体部84aの下端に接続されつつ底外面83e側に折り曲げられた折り曲げ部84bとを有するL状をなしている。
【0073】
タンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時、第1永久磁石72aと金属板84の本体部84aの上部とが対向するとともに、第2永久磁石72bと金属板84の折り曲げ部84bとが対向する。
【0074】
この洗剤タンク装置60では、第1永久磁石72aと第2永久磁石72bとが、タンク収容部70の深さ方向に大きく離れて配置されている。しかも、第永久1磁石72aと第2永久磁石72bとは、収容部内面71のうち異なる2面である右内面71d及び底内面71eのそれぞれに配置されている。このため、タンク収容部70に装着された貯蔵タンク80の姿勢安定性や、静電容量センサ90が設けられた右内面71dと右外面83dとの密着性をより一層高めることができる。
【0075】
(実施例3)
実施例3の食器洗浄機1は、実施例1の食器洗浄機1において、洗剤タンク装置60の構成を変更している。
【0076】
図5に示すように、実施例3の洗剤タンク装置60では、収容部内面71のうちの前内面71aの下部における右端部に第2永久磁石72bを配置している。この前内面71aの前部における右端部が収容部内面71において第1収容部位置と異なる位置に設定された第2収容部位置となる。
【0077】
第1永久磁石72aは、実施例1の洗剤タンク装置60と同様、センサ設置内面である右内面71dの前部における上端部に配置されている。
【0078】
また、タンク外面83に設けられた金属板84は、右外面83dの前部において上下方向の略全体に連続して延びる本体部84aと、本体部84aの下端部に接続されつつ前外面83a側に横折りされた横折り部84cとを有している。
【0079】
タンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時、第1永久磁石72aと金属板84の本体部84aの上部とが対向するとともに、第2永久磁石72bと金属板84の横折り部84cとが対向する。
【0080】
この洗剤タンク装置60では、実施例2の洗剤タンク装置60と同様、第1永久磁石72aと第2永久磁石72bとがタンク収容部70の深さ方向に大きく離れて配置されている。しかも、第1永久磁石72aと第2永久磁石72bとは、収容部内面71のうち異なる2面である右内面71d及び前内面71aのそれぞれに配置されている。このため、タンク収容部70に装着された貯蔵タンク80の姿勢安定性や、静電容量センサ90が設けられた右内面71dと右外面83dとの密着性をより一層高めることができる。
【0081】
(実施例4)
実施例4の食器洗浄機1は、実施例1の食器洗浄機1において、洗剤タンク装置60の構成を変更している。
【0082】
図6に示すように、実施例4の洗剤タンク装置60では、実施例1の洗剤タンク装置60と同様、センサ設置内面である右内面71dの前部における上端部に第1永久磁石72aが配置されている。
【0083】
また、収容部内面71のうちの前内面71aの下部における右端部に第3永久磁石72cが配置されている。第1永久磁石72aの極性と第3永久磁石72cの極性は異なる。収容部内面71のうちの前内面71aの下部における右端部が第2収容部位置となる。第3永久磁石72cは本発明の第2磁石の一例である。第1永久磁石72aの極性と第3永久磁石72cの極性は同一であってもよい。
【0084】
タンク外面83の右外面83dの前部における上端部には、第4永久磁石85aが配置されている。右内面71dに配置された第1永久磁石72aと、右外面83dに配置された第4永久磁石85aとは互いに磁着する。タンク外面83の右外面83dの前部における上端部が第1タンク位置となる。第4永久磁石85aは本発明の第1強磁性体の一例である。
【0085】
また、タンク外面83の前外面83aの前部における下端部には、第5永久磁石85bが配置されている。前内面71aに配置された第3永久磁石72cと、前外面83aに配置された第5永久磁石85bとは互いに磁着する。タンク外面83の前外面83aの前部における下端部が第2タンク位置となる。第5永久磁石85bは本発明の第2強磁性体の一例である。
【0086】
この構成により、タンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時、収容部内面71とタンク外面83との間で互いに対向する永久磁石同士が磁着する。すなわち、収容部内面71の右内面71dに配置された第1永久磁石72aと、タンク外面83の右外面83dに配置された第4永久磁石85aとが磁着する。また、収容部内面71の前内面71aに配置された第3永久磁石72cと、タンク外面83の前外面83aに配置された第5永久磁石85bとが磁着する。そして、収容部内面71に配置された第1永久磁石72aと第3永久磁石72cとはタンク収容部70の深さ方向(タンク収容部70への貯蔵タンク80の挿入方向)に大きく離れている。しかも、第1永久磁石72aと第3永久磁石72cとは、収容部内面71のうち異なる2面である右内面71d及び前内面71aのそれぞれに配置されている。このため、タンク収容部70に装着された貯蔵タンク80の姿勢安定性をより一層高めたり、静電容量センサ90が設けられたセンサ設置内面とセンサ対向外面との密着性をより高めたりすることができる。よって、静電容量センサ90と貯蔵タンク80との間に存在する空気層をより一層排除し易くなる
【0087】
また、互いに対向する永久磁石同士が磁着する構成とすることにより、磁力を補完しあうことができるため、各個別の磁力が強くない永久磁石や小型の永久磁石等の、より安価な永久磁石を採用し得る。
【0088】
(実施例5)
実施例5の食器洗浄機1は、実施例1の食器洗浄機1において、洗剤タンク装置60の構成を変更している。
【0089】
図7に示すように、実施例5の洗剤タンク装置60では、実施例1の洗剤タンク装置60と同様、センサ設置内面である右内面71dの前部における上端部に第1永久磁石72aが配置されている。
【0090】
また、収容部内面71のうちの右内面71dの前部における下端部に第3永久磁石72cが配置されている。第1永久磁石72aの極性と第3永久磁石72cの極性は異なる。収容部内面71のうちの右内面71dの前部における下端部が第2収容部位置となる。
【0091】
タンク外面83の右外面83dの前部における上端部には、第4永久磁石85aが配置されている。右内面71dに配置された第1永久磁石72aと、右外面83dに配置された第4永久磁石85aとは互いに磁着する。タンク外面83の右外面83dの前部における上端部が第1タンク位置となる。
【0092】
また、タンク外面83の右外面83dの前部における下端部には、第5永久磁石85bが配置されている。右内面71dに配置された第3永久磁石72cと、右外面83dに配置された第5永久磁石85bとは互いに磁着する。タンク外面83の右外面83aの前部における下端部が第2タンク位置となる。
【0093】
この構成により、実施例4と同様、タンク収容部70に装着された貯蔵タンク80の姿勢安定性をより一層高めたり、静電容量センサ90が設けられたセンサ設置内面とセンサ対向外面との密着性をより高めたりすることができる。よって、静電容量センサ90と貯蔵タンク80との間に存在する空気層をより一層排除し易くなる。
【0094】
また、この構成では、第1永久磁石72aの極性と第5永久磁石85bの極性とが異なる。このため、タンク収容部70に貯蔵タンク80を装着する際、タンク収容部70へ貯蔵タンク80を上方から挿入する時に、右内面71dの上端部に配置された第1永久磁石72aと右外面83dの下端部に配置された第5永久磁石85bとが、互いに反発し合う。その結果、タンク収容部70に対する貯蔵タンク80の着脱作業が容易になる。
【0095】
(実施例6)
実施例6の食器洗浄機1は、実施例1の食器洗浄機1において、洗剤タンク装置60の構成を変更している。
【0096】
図8に示すように、実施例6の洗剤タンク装置60では、センサ設置内面である右内面71dの前部における下端部に電磁石73が配置されている。電磁石73は制御部C1に電気的に接続されている。
【0097】
タンク外面83の右外面83dの前部における下端部には、タンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時に電磁石73と対向するように、金属板84が配置されている。
【0098】
また、センサ設置内面である右内面71dの前部における上端部にリミットスイッチ74が配置されている。リミットスイッチ74は、制御部C1に電気的に接続されている。そして、タンク外面83の右外面83dの前部における上端部には、タンク収容部70に貯蔵タンク80が装着された時にリミットスイッチ74と対向するように、第6永久磁石86が配置されている。リミットスイッチ74及び第6永久磁石86は、タンク収容部に貯蔵タンクが着脱されたことを検出する。リミットスイッチ74及び第6永久磁石86は、本発明の着脱検出部の一例である。
【0099】
この構成により、貯蔵タンク80内の洗剤61の量を検出したい時のみ、電磁石73を励磁させればよい。このため、例えば貯蔵タンク80の着脱時に電磁石73を消磁させることにより、タンク収容部70に対する貯蔵タンク80の着脱作業がし易くなる。
【0100】
また、リミットスイッチ74及び第6永久磁石86により、タンク収容部70における貯蔵タンク80の着脱状況を把握できる。このため、制御部C1が、リミットスイッチ74及び第6永久磁石86による検出結果に基づいて、電磁石73への通電を制御することにより、貯蔵タンク80の着脱状況に合わせた適切なタイミングで、電磁石73を励磁又は消磁させることができる。
【0101】
以上において、本発明を実施例1~6に即して説明したが、本発明は上記実施例1~6に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0102】
実施例では、静電容量センサ90は、タンク収容部70の収容部内面71に設けるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、静電容量センサ90は、タンク収容部70の収容空間を形成する収容部壁の外面に設けるようにしてもよい。静電容量センサ90を収容部壁の外面に設けることにより、貯蔵タンク80の着脱時に貯蔵タンク80が静電容量センサ90に接触することを防ぐことができる。また、第1収容部位置、第2収容部位置は収容部壁の外面や壁内であってもよく、第1タンク位置、第2タンク位置は貯蔵タンク80の内面や壁内であってもよい。第1収容部位置、第2収容部位置を収容部壁の外面や壁内とし、第1タンク位置、第2タンク位置を貯蔵タンクの内面や壁内とすることによっても、それぞれ対向する第1永久磁石、第2永久磁石と第1強磁性体、第2強磁性体とが壁面を押圧するように作用させることができる。
【0103】
実施例では、第1強磁性体や第2強磁性体として軟磁性体や永久磁石を採用するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、磁化される前の硬磁性体として、銅亜鉛フェライトやニッケル亜鉛フェライト等のセラミックス材料を第1強磁性体や第2強磁性体に採用してもよい。
【0104】
実施例では、軟磁性体としてフェライト系ステンレスよりなる金属板を採用するが、本発明はこの構成に限定されず、強磁性を有する他の金属材料を適宜採用することができる。
【0105】
実施例では、タンク収容部70の収容部内面71に第1磁石及び第2磁石を配置するが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、貯蔵タンク80のタンク外面83に第1磁石や第2磁石を配置してもよい。また、収容部内面71に第1磁石を配置するとともにタンク外面83に第2磁石を配置してもよい。また収容部内面71又はタンク外面83に第1磁石のみを設けて第2磁石を設けない構成としてもよい。さらに、収容部内面71又はタンク外面83に、3個以上の磁石を設けてもよい。
【0106】
実施例では、貯蔵タンク80をタンク収容部70に対し上方から挿入するが、この構成に限定されない。例えば、センサ設置壁に対向する側を開口し、横方向から挿入する構成としてもよい。
【0107】
実施例では、処理剤タンク装置として洗剤タンク装置を採用するが、食器洗浄機においては処理剤としてのリンスを貯蔵するリンスタンク装置に適用してもよい。また、処理剤タンク装置は、食器洗浄機以外の装置、例えば洗濯機や浴槽洗浄機等に適用してもよい。
【0108】
本発明を適用した食器洗浄機その他の装置は、静電容量センサ90が検知する洗剤61の量が、タンク上限に達している、あるいはタンク下限に下回っている等の検知に基づいて、表示もしくは音によって報知する機能を備えても良く、また、運転を開始しない等の製品動作と関連付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は例えば、食器類を洗浄する食器洗浄機、食器洗浄乾燥機、厨房設備等や、物品類を洗浄する洗浄装置、工場設備等に利用可能である。
【符号の説明】
【0110】
1…食器洗浄機
60…洗剤タンク装置(処理剤タンク装置)
61…洗剤(処理剤)
70…タンク収容部
71…収容部内面(収容部壁)
71d…右内面(センサ設置壁)
72a…第1永久磁石(第1磁石)
72b…第2永久磁石(第2磁石)
72c…第3永久磁石(第2磁石)
73…電磁石(第1磁石)
74…リミットスイッチ(着脱検出部)
80…貯蔵タンク
83…タンク外面(タンク周壁)
83d…右外面(タンク対向壁)
84…金属板(第1強磁性体、第2強磁性体、軟磁性体)
85a…第4永久磁石(第1強磁性体)
85b…第5永久磁石(第2強磁性体)
86…第6永久磁石(着脱検出部)
90…静電容量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8