(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132996
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】改善された流体保持力を有する親水性発泡体
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B41J2/175 141
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039096
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】18/183,979
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー・ショーン ティー.
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056KB27
2C056KC12
2C056KC21
(57)【要約】
【課題】流体吐出カートリッジの輸送及び保管の間の発泡材の流体保持力を改善すること。
【解決手段】流体吐出カートリッジは、内部のキャビティと、キャビティの反対側の外面に取り付けられた吐出ヘッドとを含むカートリッジ本体を備える。親水性連続気泡発泡材製の円柱状又は直方柱状本体がカートリッジ本体のキャビティ内に設けられる。円柱状又は直方柱状本体は、少なくとも1つの無被覆親水性表面と、疎水性材料で被覆された2つ以上の表面とを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部のキャビティと、前記キャビティとは反対側の外面に取り付けられた吐出ヘッドとを含む、カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の前記キャビティ内に設けられた、親水性連続気泡発泡材を含む円柱状本体又は直方柱状本体と
を含み、
前記円柱状本体又は前記直方柱状本体は、少なくとも1つの無被覆親水性表面と、疎水性材料で完全に被覆された2つ以上の被覆表面とを含む、
流体吐出カートリッジ。
【請求項2】
前記親水性連続気泡発泡材はメラミン発泡材を含む、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項3】
前記疎水性材料は、前記メラミン発泡材を含む前記円柱状本体又は前記直方柱状本体の2つ以上の前記被覆表面と反応性がある、
請求項2に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項4】
前記疎水性材料は、前記メラミン発泡材の繊維を架橋して封入する、
請求項3に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項5】
前記疎水性材料は、フッ素化炭化水素、シロキサン、炭素数6~20の炭化水素、及び90度よりも大きい接触角を提供する被覆用化合物からなる群から選択される、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項6】
前記直方柱状本体は、1つの無被覆親水性表面と、前記疎水性材料で完全に被覆された5つの前記被覆表面とを有する、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項7】
前記直方柱状本体は、前記疎水性材料で部分的に被覆された1つの部分的被覆表面と、前記疎水性材料で完全に被覆された5つの前記被覆表面とを含み、前記部分的被覆表面は毎分約0.1~約19mLの範囲の流体流量を前記吐出ヘッドに提供するよう構成される、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項8】
前記円柱状本体又は前記直方柱状本体は、1つの前記無被覆親水性表面のみを有する、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項9】
2つ以上の前記被覆表面は、約2nm~約500μmの範囲の疎水性塗厚を有する、
請求項1に記載の流体吐出カートリッジ。
【請求項10】
流体吐出カートリッジのための連続気泡発泡体内の流体保持力を改善するための方法であって、
円柱状親水性連続気泡発泡体又は直方柱状親水性連続気泡発泡体の少なくとも1つの表面が非被覆のままとなるよう、前記円柱状親水性連続気泡発泡体又は前記直方柱状親水性連続気泡発泡体の2つ以上の表面を疎水性材料で被覆することと、
前記円柱状親水性連続気泡発泡体又は前記直方柱状親水性連続気泡発泡体の前記2つ以上の表面上に疎水性表面を提供するため、前記2つ以上の表面上で前記疎水性材料を硬化させることと
を含む、
方法。
【請求項11】
前記円柱状親水性連続気泡発泡体又は前記直方柱状親水性連続気泡発泡体は、1つの疎水性表面のみを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記2つ以上の表面は、前記2つ以上の表面をロールコーティングすること、前記2つ以上の表面を浸漬コーティングすること、前記2つ以上の表面を吹き付けコーティングすること、前記2つ以上の表面をブラシコーティングすること、及び前記2つ以上の表面をスタンプコーティングすることからなる群から選択される方法を用いて前記疎水性材料で被覆される、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記円柱状親水性連続気泡発泡体又は前記直方柱状親水性連続気泡発泡体はメラミン発泡材を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記硬化ステップは、前記疎水性材料を前記メラミン発泡材を含む前記円柱状親水性連続気泡発泡体又は前記直方柱状親水性連続気泡発泡体の前記2つ以上の表面と反応させることを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化ステップは、前記メラミン発泡材の繊維を前記疎水性材料で架橋して封入することを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記直方柱状親水性連続気泡発泡体の5つの表面が前記疎水性材料で被覆される、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
親水性流体を含む流体吐出カートリッジ内の流体保持力を改善するための方法であって、
円柱状連続気泡発泡体又は直方柱状連続気泡発泡体を提供することと、
前記円柱状連続気泡発泡体又は前記直方柱状連続気泡発泡体の1つの表面以外の全ての表面を疎水性材料で被覆することと、
前記円柱状連続気泡発泡体又は前記直方柱状連続気泡発泡体の被覆表面上の前記疎水性材料を硬化させることと、
前記円柱状連続気泡発泡体又は前記直方柱状連続気泡発泡体を前記流体吐出カートリッジ内に挿入することと、
前記円柱状連続気泡発泡体又は前記直方柱状連続気泡発泡体を流体で満たすことと、
前記流体吐出カートリッジ内の前記円柱状連続気泡発泡体又は前記直方柱状連続気泡発泡体を封止することと
を含む、
方法。
【請求項18】
前記円柱状連続気泡発泡体又は前記直方柱状連続気泡発泡体はメラミン発泡材を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記硬化ステップは、前記疎水性材料を前記メラミン発泡材と反応させることを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化ステップは、前記メラミン発泡材の繊維を前記疎水性材料で架橋して封入することを含む、
請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体吐出カートリッジのための改善された発泡材、及び流体吐出カートリッジの輸送及び保管の間の発泡材の流体保持力を改善するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
流体吐出カートリッジは、吐出ヘッドからの流体の垂れを防止するため、及び、吐出のための流体の供給源を提供するため、発泡材といった背圧装置を含むことが多い。流体カートリッジに用いられる一般的な発泡材は、親水性であるメラミン発泡材である。メラミン発泡体はメラミンとホルムアルデヒドの縮合物であり、下記の典型的な化学構造を有する。
【0003】
【0004】
ここで、RはH又はアルキル基である。
【0005】
メラミン発泡体の親水性は流体格納と吐出の面で高い効率を実現する。親水性発泡体からの流体送達効率は約90~約92%の範囲である。メラミン発泡体は約99.8%の流体の自由体積を有することから、メラミン発泡体の親水性によってポリウレタン発泡体よりも高い流体充填容量が可能となる。残念ながら、メラミン発泡体の親水性は輸送及び長期保管の間の問題も引き起こす。流体吐出カートリッジの輸送及び保管の間の発泡体外への流体の移動は、特に流体カートリッジ内に高い流体レベルを有する場合に問題である。保管の間の流体吐出カートリッジの向きによっては発泡体からの流体の漏れも顕著である。従って、特に発泡体を内包する流体吐出カートリッジの輸送及び保管の間に、内部の高い流体レベルを維持する親水性発泡材が必要とされる。
【0006】
上記を鑑み、本発明の1つの実施形態は、内部のキャビティと、カートリッジ本体のキャビティとは反対側の外面に取り付けられた吐出ヘッドとを有するカートリッジ本体を有する流体吐出カートリッジを提供する。カートリッジ本体のキャビティ内には親水性連続気泡発泡材製の円柱状又は直方柱状本体が設けられる。円柱状又は直方柱状本体は、少なくとも1つの無被覆親水性表面と、疎水性材料で被覆された2つ以上の被覆表面とを含む。
【0007】
もう1つの実施形態は、流体吐出カートリッジのための連続気泡発泡体内の流体保持力を改善するための方法を提供する。該方法は、円柱状又は直方柱状親水性連続気泡発泡体の2つ以上の表面を疎水性材料で被覆することを含み、円柱状又は直方柱状親水性連続気泡発泡体の少なくとも1つの表面は被覆されないままである。円柱状又は直方柱状親水性連続気泡発泡体の2つ以上の表面に疎水性表面を提供するため、2つ以上の表面上で疎水性材料を硬化させる。
【0008】
もう1つの実施形態は、親水性流体を含む流体吐出カートリッジ内の流体保持力を改善する方法を提供する。該方法は、円柱状又は直方柱状連続気泡発泡体を提供することと、円柱状又は直方柱状連続気泡発泡体の1つの表面を除く全ての表面を疎水性材料で被覆することと、円柱状又は直方柱状連続気泡発泡体の被覆表面上の疎水性材料を硬化させることと、円柱状又は直方柱状連続気泡発泡体を流体吐出カートリッジ内に挿入することと、円柱状又は直方柱状連続気泡発泡体を流体で満たすことと、流体吐出カートリッジ内の円柱状又は直方柱状連続気泡発泡体を封止することとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、親水性連続気泡発泡材はメラミン発泡材である。
【0010】
いくつかの実施形態において、疎水性材料はメラミン発泡材を含む円柱状又は直方柱状本体の2つ以上の被覆表面と反応性がある。
【0011】
いくつかの実施形態において、疎水性材料はメラミン発泡材の繊維を架橋して封入する。
【0012】
いくつかの実施形態において、疎水性材料は、フッ素化炭化水素、シロキサン、炭素数6~20の炭化水素、及び90度よりも大きい接触角を提供する被覆用化合物から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態において、直方柱状親水性連続気泡発泡体は、1つの無被覆親水性表面と、疎水性材料で被覆された5つの被覆表面とを有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、円柱状又は直方柱状発泡体は、1つの無被覆親水性表面のみを有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、2つ以上の表面は、2つ以上の表面をロールコーティングすること、2つ以上の表面を浸漬コーティングすること、2つ以上の表面を吹き付けコーティングすること、2つ以上の表面をブラシコーティングすること、及び2つ以上の表面をスタンプコーティングすることから選択される方法を用いて疎水性材料で被覆される。
【0016】
いくつかの実施形態において、2つ以上の被覆表面は、約2nm~約500μmの範囲の疎水性塗厚を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、直方柱状発泡体は、疎水性材料で部分的に被覆された1つの部分的被覆表面と、疎水性材料で完全に被覆された5つの被覆表面とを有し、部分的被覆表面は吐出ヘッドへの毎分約0.1~約19mLの範囲の流体流量を提供するよう構成される。
【0018】
ここで開示する実施形態の利点は、疎水性被覆発泡材を含む流体カートリッジは、無被覆発泡材を含む従来の流体カートリッジよりも流体を良好に且つ長時間にわたり保持することができる点にある。従って、ここで開示する改善された流体カートリッジは、輸送及び保管の間のカートリッジからの目立った液漏れなしに、そして流体カートリッジの向きを気にする必要なく、輸送及び保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の1つの実施形態による発泡体が挿入された流体カートリッジの、縮尺通りでない断面図である。
【
図2】
図1の流体カートリッジの断面2-2の、縮尺通りでない断面図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態による発泡体挿入の、縮尺通りでない分解斜視図である。
【
図4】疎水性被覆を含む
図3の発泡体挿入の、縮尺通りでない斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示において、用語「メラミン発泡体」は、以下の一般的構造を有するメラミンとホルムアルデヒドとの間の縮合反応で製造された親水性連続気泡発泡体を意味する。
【0021】
【0022】
ここで、RはHとアルキル基から選択される。
【0023】
メラミン発泡体の形状は特に限定されない、又は、開示する実施形態にとって重要ではなく、よって流体カートリッジにおける使用に適する任意の形状を有してよい。特に有用な発泡体形状には円柱状発泡体と直方柱状発泡体を含む。メラミン発泡体が挿入された典型的な流体カートリッジの断面図を
図1と
図2に表す。流体カートリッジ10は、インクといった流体を含浸させたメラミン発泡材14を保持するためのカートリッジ本体12を含む。カートリッジ本体は、カートリッジ10から流体を分注するよう起動される流体吐出ヘッド16も含む。発泡体14は吐出ヘッド16に流体を供給するための濾過塔構造20に設けられたフィルタ18と流体接触し、発泡体14は流体が吐出ヘッド16から垂れることを防ぐためにカートリッジ本体12内に背圧を誘起する。カートリッジ10内に流体を保持するため、カートリッジ本体12にカバー22が取り付けられる。
【0024】
メラミン発泡体14は、典型的に、水性インク、溶剤系インク、又は他の水性又は溶剤系の流体といった液体で充填される。発泡体内の空隙又は細孔を満たす流体の量は、発泡体の流体保持容量の約50~約100%の範囲であってよい。流体の量が発泡体の容量の100%に近づくにつれ、流体が発泡体14から漏れてカートリッジ本体12の空隙領域又は空間に蓄積する傾向がある。発泡体14は発泡体の空隙内にない流体、即ち発泡体から漏れ出た流体に背圧を維持することができないことから、流体はカートリッジ本体12の開口又は未封止部分から漏れる可能性がある。
【0025】
発泡体14から漏れ出す流体の量を低減させるための、及び、発泡体14内の流体保持力を改善するための、本発明の1つの実施形態による1つの方法は、発泡体14の1つ以上の外面に疎水性被覆を施すことである。水性系又は溶剤系流体を含む発泡体において、疎水性被覆は、発泡体内の流体の表面張力が疎水性被覆の表面エネルギーよりも高い限り発泡体14内の流体が発泡体14の被覆外表面を超えて移動することを妨げる、バリアのような役割を果たす。疎水性被覆バリアは、流体カートリッジ10の輸送又は長期保管の間に発泡体14内の流体の保持を補助する。
【0026】
いくつかの実施形態において、発泡体14は、少なくとも1つの無被覆親水性表面と、疎水性材料で被覆された2つ以上の表面とを有する円柱状又は直方柱状発泡体14である。いくつかの実施形態において、発泡体14は、1つの無被覆親水性表面と、疎水性材料で被覆された5つの表面とを有する直方柱状親水性連続気泡発泡体14である。他の実施形態において、発泡体は、1つのみの無被覆親水性表面を有する円柱状又は直方柱状親水性連続気泡発泡体である。
図3と
図4は、本発明による疎水性材料40で被覆された側面30、32、34、36、38を有し且つ1つの側面42のみが被覆されていない発泡体14の、幾分概略的な図示である。無被覆側面42はカートリッジ本体内でフィルタ18と接触し、流体は流体吐出シーケンスの間に発泡体14から濾過塔構造20内へと流れて吐出ヘッド16から放出されることができる。このようにして、疎水性材料40は側面30、32、34、36、38によって流体が発泡体14から漏れ出すことを抑制するか防止する。
【0027】
いくつかの実施形態において、側面42は部分的に被覆され、無被覆領域はやはりフィルタ18に隣接する。発泡体14の側面42の無被覆領域からフィルタ18への流れは、発泡体14とフィルタ18の材料との間の接触の領域における発泡体14とフィルタ18を介した毛管作用によって提供される。発泡体14とフィルタ18との間の流体接触が損なわれた場合、吐出ヘッドは流体フローの欠如によってプライミングされなくなる。流体流量は、発泡体の表面エネルギー、発泡体密度、発泡体の単位面積毎の孔数、及び発泡体の自由体積によって決定される。流体流量に影響する他の要因としては、フィルタ孔サイズとフィルタ層数、流体の粘度、流体の表面張力、及び流体吐出ヘッドに対する流体の柱高を含む。上記に基づき、発泡体の側面42の無被覆領域は、流量吐出ヘッド16への毎分0.1~約19mLの範囲の流体流量を提供するよう選択される。さもなくば、流体吐出ヘッド16はプライミングされなくなり流体を吐出できなくなる。
【0028】
発泡体14の側面30、32、34、36、38を被覆するため、フッ素化炭化水素、シロキサン、炭素数6~20の炭化水素化合物、及び発泡体14の側面に被覆されたとき90度よりも大きい水接触角を提供する他の化合物を含むがこれらに限定されない、多様な疎水性材料が用いられてよい。
【0029】
選択された使用すべき疎水性化合物は低沸点有機溶媒に可溶であることが理想的である。低沸点溶剤は、乾燥処理の間に発泡体14の側面30、32、34、36、38上の疎水性被覆の一定量を残してフラッシュ蒸留されてよい。いくつかの実施形態において、メラミン発泡体の表面上で反応するおよび/またはメラミン発泡体の繊維を架橋して封入することのできる疎水性材料が用いられてよい。疎水性材料が親水性流体と混合する可能性を排除することから、メラミン発泡材と反応又は架橋する疎水性材料が好ましい。いくつかの実施形態において、疎水性材料は、気体堆積法を用いた約2nmから浸漬塗布法を用いた約500μmの範囲の厚さを有するメラミン発泡体上の被覆を提供する。
【0030】
メラミン発泡体の表面を疎水性被覆材料で被覆するために様々な方法が用いられてよい。方法は、発泡体の表面を疎水性材料で浸漬すること、発泡体を疎水性材料で吹き付けコーティングすること、発泡体の表面上に疎水性材料をロールコーティングすること、発泡体の表面上に疎水性材料をブラシコーティングすること、疎水性材料の気体堆積、及び発泡体の表面を疎水性材料に浸漬したスタンプパッドでスタンプすることを含んでよいが、これらに限定されない。次いで、被覆された疎水性材料は、疎水性材料に用いられている溶剤に応じて約100℃~約120℃の範囲の温度で5~20分間乾燥されてよい。
【0031】
本発明の様態を例示する目的で、以下に非限定的な実施例を提供する。
(実施例1)
【0032】
本実施例において、メラミン発泡体の1つの表面を、75~95重量%の3-エトキシ-1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6-ドデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘキサンと、5~45重量%の商品名ACULON NANOPROOF 5.0で販売されている専有金属錯体ブレンドとを含む、6~9μmの市販の疎水性溶液で被覆した。被覆は、疎水性被覆材料を保持する容器内で表面を浸漬コーティングすることにより施した。発泡体を浸漬コーティングした後、発泡体を110℃で10分間ベークした。発泡体の被覆側の水接触角は約118°であり、油接触角は約75°であった。次いで、発泡体を~50mLの水で満たし、ペーパータオルに接触させて2つの異なる向きで配置した。第1の向きでは、発泡体の無被覆表面をペーパータオルに接触させて配置し、これはペーパータオルへの水の吸湿をもたらした。第2の向きでは、発泡体の被覆表面をペーパータオルに接触させて配置した。被覆表面がペーパータオルに接触したとき、ペーパータオルへの水の吸湿は見られなかった。
(実施例2)
【0033】
本実施例において、メラミン発泡体の6つの表面のうちの5つを、50~52重量%のエタノールと、商品名ACULON AL-Bで市販の42~46重量%の2-(ジフルオロメトキシメチル)-1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンと4-メトキシ-1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロブタンとの混合物とを含む、2~4nmの疎水性被覆溶液で被覆した。被覆した発泡体を110℃で10分間乾燥させた。発泡体の被覆側の水接触角は約116°であり、油接触角は約80°であった。次いで、発泡体を50mLまでの水で満たした。無被覆表面をフィルタに接触させて配置した。発泡体の5つの被覆表面のいずれにおいても水の吸湿は見られなかった。
【0034】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のため、特記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる量、百分率、又は割合を表す全ての数値及び他の数値は、全ての場合において用語「約」によって修飾されると理解されたい。従って、特記しない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記述される数値パラメータは、本発明により得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みではなく、各数値パラメータは少なくとも、記載された有効桁数を考慮して、そして通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
【0035】
特定の実施形態について説明したが、現在予見していない又は予見できない代替、改変、変形、改善、及び実質的な均等物を出願人又は当業者が想到する可能性がある。従って、出願時の及び補正時の添付の特許請求の範囲は、そのような及び代替、改変、変形、改善、及び実質的な均等物の全てを包含することを意図している。