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特開2024-132999モジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションを認識するための方法およびシステム
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  • 特開-モジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションを認識するための方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132999
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】モジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションを認識するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G05B9/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024039341
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】10 2023 106 495.9
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518050263
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Pilz GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】ロッツィンガー,フロリアン
【テーマコード(参考)】
5H209
【Fターム(参考)】
5H209AA05
5H209JJ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、モジュール式安全制御装置(1)のコンフィギュレーションを認識するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、モジュール式安全制御装置(1)のコンフィギュレーションを認識するための方法に関し、モジュール式安全制御装置(1)のモジュールブロック(2)のデジタル画像(200)が生成され、デジタル画像(200)評価装置(101)によって画像認識によって評価される。論理コードが生成され、モジュール式安全制御装置(1)の現在のコンフィギュレーションを決定するために複数のコンフィギュレーションコードと比較される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式安全制御装置(1)のコンフィギュレーションを認識するための方法であって、モジュール式安全制御装置は、中央制御モジュール(3)を有し、かつ、n個(n≧1)のパラメータ設定可能な電子モジュール(4a~4c)を有するモジュールブロック(2)を含み、電子モジュールは、複数の利用可能なモジュールタイプから選択され、モジュール式安全制御装置(1)のコンフィギュレーションは、モジュールブロック(2)内の電子モジュールのタイプおよび電子モジュール(4a~4c)の位置によって確定することができ、モジュール式安全制御装置(1)の機能は、電子モジュール(4a~4c)の少なくとも一部の、制御要素および/またはスイッチング要素の設定によってパラメータ設定することができる、方法において、
多数の異なるモジュール式安全制御装置(1)の異なるコンフィギュレーションとパラメータ設定とを表す、多数の固有のコンフィギュレーションコードを提供する工程と、
画像生成装置(102)のカメラ装置(107)によって生成されたモジュールブロック(2)の1つまたは複数の、画像または画像シーケンスに基づいて、カメラベースの画像生成装置(102)によってモジュール式安全制御装置(1)のモジュールブロック(2)のデジタル画像(200)を生成する工程と、
デジタル画像(200)を評価装置(101)へ転送する工程であって、評価アルゴリズムが評価装置(101)によって実行され、評価アルゴリズムは、画像認識によって、選択されたモジュールタイプ、モジュールブロック(2)内の中央制御モジュール(3)および電子モジュール(4a~4c)の位置、ならびに、電子モジュール(4a~4c)および中央制御モジュール(3)の、それぞれの制御要素(400a,401a,400b,401b,400c,401c)および/またはスイッチング要素の設定を、認識および処理し、そこから得られた情報から、モジュール式安全制御装置(1)のモジュールブロック(2)の現在のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定を表す1対1の論理コードを生成する、工程と、
モジュール式安全制御装置(1)のモジュールブロック(2)の現在のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定を識別するために、前の工程で生成された1対1の論理コードと、予め定められた1対1のコンフィギュレーションコードとを比較する工程であって、論理コードがコンフィギュレーションコードのいずれかと一致する場合には識別データセットが生成され、論理コードがコンフィギュレーションコードのいずれとも一致しない場合にはエラーコードが生成される、工程と、
論理コードがいずれかのコンフィギュレーションコードと一致する場合には、識別データセット、および/または識別データセットから得られた画像を出力し、論理コードがいずれのコンフィギュレーションコードとも一致しない場合には、エラーコードを出力する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
好ましくは、デジタル画像(200)の生成工程中に解析軸が検出されることが提案され、この解析軸によって、モジュールブロック(2)の個々のモジュール(3,4a~4c)が水平方向において互いに隣接して配置されているか、または垂直方向において他のモジュールの上に1つずつ配置されているかを確定することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
解析軸は、モジュールブロック(2)内の中央制御モジュール(3)の設置位置を決定することによって検出されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
好ましくは、デジタル画像(200)の生成工程中に、モジュールブロック(2)内のモジュール(3,4a~4c)の数を決定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
モジュールブロック(2)のモジュール(3,4a~4c)の数を決定するために、モジュールブロック(2)の個々のモジュール(3,4a~4c)間の定義された距離を検出することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
デジタル画像(200)の生成工程中に、モジュールブロック(2)内のモジュール(3,4a~4c)の複数の特定の認識特徴およびモジュール(3,4a~4c)のすべてのパラメータ設定が検出されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
モジュールブロック(2)内のモジュール(3,4a~4c)の特定の認識特徴およびパラメータ設定の検出が、モジュールブロック(2)全体について単一工程で実行されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
モジュールブロック(2)内のモジュール(3,4a~4c)の特定の認識特徴およびパラメータ設定の検出が、モジュールごとに複数の工程で実行されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
画像認識は、デジタル画像(200)と、検索可能な方法、特にデータベースに格納されている複数の画像との画像比較によって実施されることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
画像認識は、デジタル画像の複数の画像とのモジュール毎の画像比較によって実行されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
画像認識を、シミュレーションによって、および/またはデジタル画像(200)の画像セグメントに基づく計算によって実行されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
論理コードがコンフィギュレーションコードの1つと一致する場合、識別データセットおよび/または識別データセットから得られた画像が、または論理コードがコンフィギュレーションコードのいずれとも一致しない場合、エラーコードが、表示装置(103)によって視覚化されることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
モジュール式安全制御装置(1)のコンフィギュレーションを認識するためのシステム(100)であって、評価装置(101)、カメラベースの画像生成装置(102)、および表示装置(103)を含み、システムは、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行することを特徴とするシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央制御モジュールを有するモジュールブロックを有し、n個(n≧1)の、パラメータ設定可能な電子モジュールを有するモジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションを認識するための方法およびシステムに関し、モジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションは、異なるタイプの電子モジュールおよびモジュールブロック内の電子モジュールの異なる位置によって決定することができ、モジュール式安全制御装置の機能は、モジュールの少なくとも一部の制御要素および/またはスイッチング要素を設定することによってパラメータ設定することができる。
【背景技術】
【0002】
EN IEC 61508、EN IEC 62061、ISO 13849の規格に準拠したモジュール式安全制御装置は、様々な実施形態において、従来技術から知られている。これらのモジュール式安全制御装置は、特に、危険な状況が発生した場合に、技術システムまたは機械を安全かつエラーなしで、人間にとって安全な状態に移行させる目的で使用される。この目的のために、入力側では、複数の安全入力によって、たとえば非常オフスイッチ、非常停止スイッチ、ライトグリッド、ライトカーテン、セーフティマット、セーフティゲートポジションスイッチ、3Dレーザスキャナなどである信号発信器または信号装置からの安全入力に対応する入力信号が受信され、制御ユニットによって安全に評価される。出力側では、出力回路の対応する安全出力が作動する。危険な状況が発生した場合、コンタクタ、バルブなどのアクチュエータは、これらの安全出力を介して出力信号で制御され、これらのアクチュエータに接続された機械または技術システムを、人々にとって安全な状態に切り替えることができる。
【0003】
モジュール式安全制御装置の重要な要素は、中央制御モジュールであり、この中央制御モジュールは、制御ユニットと不揮発性メモリ手段とを含み、特に、モジュール式安全制御装置の動作のためのソフトウェアが検索可能な方法で格納されており、動作中に制御ユニットによって実行される。
【0004】
モジュール式安全制御装置は、複数の電子モジュールも含んでおり、これらの電子モジュールは、少なくとも1つのモジュール列に中央制御モジュールと共に配置され、特定の機能、特に安全関連機能を提供する。中央制御モジュールと電子モジュールは、組立時に適切な方法で互いに電気的および機械的に接続され、モジュールブロックを形成し、中央制御モジュールはモジュール列の頭部を形成するので、しばしば頭部モジュールとも呼ばれる。
【0005】
複数の電子モジュールが個別に組み立てられ、相互に配線されること、そして、所望の機能、特に安全機能を提供できるように構成されて、パラメータ設定されることによって、安全制御装置のモジュール構造は、アプリケーション固有のコンフィギュレーションの可能性を有利に生み出す。非常に異なる安全機能を持つモジュール式安全制御装置を構築するために使用できる電子モジュールの例としては、センサや緊急指令装置からの入力信号のような1つ以上の信号装置からの入力信号を受信し、必要に応じて処理することができる入力モジュール、接続された1つ以上のアクチュエータに出力信号を出力することができる出力モジュール、入力モジュールと出力モジュールを組み合わせたモジュール(いわゆるI/Oモジュール)、入力モジュールと出力モジュールとの割り当てを制御することができる制御モジュール、さらにインターフェースモジュール、通信モジュール、フィールドバス制御装置、フィールドバスカプラなどがある。モジュール式安全制御装置の製造時に、電子モジュールは、少なくとも1つのモジュール列にまとめられ、それに従って配線され、特に安全性の観点から、特定のアプリケーション目的に必要な機能を提供できるように構成され、パラメータ設定される。
【0006】
モジュール式安全制御装置のアプリケーション固有のコンフィギュレーションは、たとえばソフトウェアベースのコンフィギュレーションツールを使用して作成できる。コンフィギュレーションツールのグラフィカルユーザインタフェースは、コンフィギュレーションツールの簡単で直感的な操作を可能にする。ユーザは、相互作用的なユーザエントリを作成し、モジュール式安全制御装置に配置される対応する論理要件を決定することができる。コンフィギュレーションプロセスの間、たとえば、ユーザは、制御される装置または機械の領域に存在する特定の信号装置または信号機器、たとえば、非常オフまたは非常停止のボタン、安全ドア、ライトグリッドなど、または入力信号について安全上の評価をする必要があるセンサ、および安全上の制御をする必要があるアクチュエータを選択することもできる。つまり、特にモジュール式安全制御装置の安全入力と安全出力とは、コンフィギュレーションツールを使用して構成することができる。
【0007】
中央制御モジュールおよび電子モジュールの特性は、機械的に作動する制御要素のハードウェア設定によって定義することができるので、中央制御モジュールおよび電子モジュールの機能をそれに応じてパラメータ設定することができる。これらの制御要素は、好ましくはロータリエンコーダであり、特にポテンショメータとして設計することができる。ハードウェア設定には、たとえば、中央制御モジュールおよび電子モジュールの1つまたは複数のロータリエンコーダの、特にポテンショメータの回転位置の設定が含まれる。特に、電子モジュールのロータリエンコーダの回転位置は、当該電子モジュールに接続されたアクチュエータのスイッチオンおよび/またはスイッチオフ遅延を設定するために使用することができる。さらに、ハードウェア設定には、中央制御モジュールおよび/または電子モジュールの1つまたは複数のスイッチング要素のスイッチング位置の設定も含めることができ、この場合スイッチング要素はロータリエンコーダとして設計されていない。中央制御モジュールおよび電子モジュールをパラメータ設定するために使用できる、そのようなスイッチング要素の非網羅的な例として、DIPスイッチが挙げられる。
【0008】
ユーザは、機械的に作動可能な制御要素およびスイッチング要素のスイッチング位置、特にロータリエンコーダの回転位置およびDIPスイッチの位置を、コンフィギュレーションを特定する時に指定できるので、よって、これらのスイッチング位置は、モジュール式安全制御装置の製造時にメーカ側で予め設定しておくことができる。このため、モジュール式安全制御装置の立上げ時に追加設定を行う必要がない。
【0009】
特定の安全アプリケーションのためのモジュール式安全制御装置の個別のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定は、選択されたモジュールタイプ、モジュールブロックの少なくとも1つのモジュール列での順序、および各パラメータ設定に基づいて、実行される。モジュール式安全制御装置のこのようにして得られたコンフィギュレーションのために、機械読み取り可能な構成コードが生成され、データセットとして不揮発性記憶媒体に保存される。この固有のコンフィギュレーションコードは、モジュール式安全制御装置の電子文書や、不具合が発生した場合の交換のための注文コードとして使用することができる。
【0010】
モジュール式安全制御装置の利点は、そのコンフィギュレーションが、1つまたは複数の電子モジュールを交換したり、1つまたは複数の電子モジュールを追加するなどして、非常に簡単に変更できることである。したがって、全ライフサイクルの間、モジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションに対する実際の変更と、また、場合によってはパラメータ設定に対する実際の変更とが、モジュール式安全制御装置のデジタル文書にも記録されることが不可欠である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような変更を誤りなくデジタル文書に転送するためには、可能な限り自動化されたワークフローに、変更のチェックを組み込むことが望ましい。この場合、エラーの主な原因は、モジュール式安全制御装置の変更されたコンフィギュレーションおよびパラメータ設定の正確な決定にある。このために、モジュール式安全制御装置の、現在のコンフィギュレーション、ならびにすべてのコンフィギュレーションおよびパラメータ設定の変更を、ユーザによってできるだけ効率よく、エラーのないように決定され、文書化されることができるようにするにはどうすればよいかという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するために、本発明は、請求項1の特徴を有するモジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションを認識する方法、および請求項13の特徴を有するシステムを提案する。従属請求項は、本発明の有利なさらなる実施形態に関する。
【0013】
モジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションを認識するための本発明に従った方法であって、モジュール式安全制御装置は、中央制御モジュールを有し、かつ、n個(n≧1)のパラメータ設定可能な電子モジュールを有するモジュールブロックを含み、電子モジュールは、複数の利用可能なモジュールタイプから選択され、モジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションは、モジュールブロック内の電子モジュールのタイプおよび電子モジュールの位置によって確定することができ、モジュール式安全制御装置の機能は、電子モジュールの少なくとも一部の、制御要素および/またはスイッチング要素の設定によってパラメータ設定することができる、方法において、
多数の異なるモジュール式安全制御装置の異なるコンフィギュレーションとパラメータ設定とを表す、多数の固有のコンフィギュレーションコードを提供する工程と、
画像生成装置のカメラ装置によって生成されたモジュールブロックの1つまたは複数の、画像または画像シーケンスに基づいて、カメラベースの画像生成装置によってモジュール式安全制御装置のモジュールブロックのデジタル画像を生成する工程と、
デジタル画像を評価装置へ転送する工程であって、評価アルゴリズムが評価装置によって実行され、評価アルゴリズムは、画像認識によって、選択されたモジュールタイプ、モジュールブロック内の中央制御モジュールおよび電子モジュールの位置、ならびに、電子モジュールおよび中央制御モジュールの、それぞれの制御要素および/またはスイッチング要素の設定を、把握して処理し、そこから得られた情報から、モジュール式安全制御装置のモジュールブロックの現在のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定を表す1対1の論理コードを生成する、工程と、
モジュール式安全制御装置のモジュールブロックの現在のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定を識別するために、前の工程で生成された1対1の論理コードと、予め定められた1対1のコンフィギュレーションコードとを比較する工程であって、論理コードがコンフィギュレーションコードのいずれかと一致する場合には識別データセットが生成され、論理コードがコンフィギュレーションコードのいずれとも一致しない場合にはエラーコードが生成される、工程と、
論理コードがいずれかのコンフィギュレーションコードと一致する場合には、識別データセット、および/または識別データセットから得られた画像を出力し、論理コードがいずれのコンフィギュレーションコードとも一致しない場合には、エラーコードを出力する工程とを含む方法。
【0014】
本発明に従った方法は、モジュール式安全制御装置のモジュールブロック内の異なるモジュールタイプ、設置された個々のモジュールの数および順序、ならびに設置状態でのそれらのパラメータ設定を自動認識することを有利に可能にする。電子モジュールの選択および配置は、基本的な機能原理(回路構造)を記述し、電子モジュールのパラメータ設定と、場合によっては中央制御モジュールのパラメータ設定とは、動作モードを記述する。
【0015】
本発明に従った方法の助けを借りて実行されるコンフィギュレーション認識は、ユーザにとって多くの利点を提供する。特に、コンフィギュレーションおよびパラメータ設定の情報の最新性が挙げられる。モジュール式安全制御装置のデジタル画像および文書は常に最新である。モジュール式安全制御装置のデジタル文書のエラーを排除するために、コンフィギュレーション認識およびコンフィギュレーション情報の送信は、有利なことに自動化されたプロセスで実行される。これにより、効率および使いやすさの面でも利点がある。
【0016】
常に最新で、標準化され、追跡可能で、エラー防止されたモジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定の変更の文書化は、特にエラー防止および/または労働安全に関して、コンプライアンス要件および/または品質管理要件を指向または満たすことができる。
【0017】
ここに示す方法は、単一のモジュールブロックのみが検出されるようにするためにも使用できる。各モジュールブロックの開始は、一意に識別可能な中央制御モジュール(頭部モジュール)によって定義される。各モジュールブロックの終りは、設置時に個々のモジュールブロックが真横に並んでいないので、明確に認識できる。下側および上側のシステム境界も、個々のモジュールの幾何学的形状に基づいて明確に識別できる。新しいモジュールブロックの開始は、そのブロックに割り当てられた中央制御モジュールによって示される。
【0018】
実施形態では、好ましくは、デジタル画像の生成工程中に解析軸が検出されることが提案され、この解析軸によって、モジュールブロックの個々のモジュールが水平方向において互いに隣接して配置されているか、または垂直方向において他のモジュールの上に1つずつ配置されているかを確定することが可能である。好ましくは、解析軸は、モジュールブロック内の中央制御モジュールの設置位置を決定することによって検出することができる。方向軸は、解析軸から定義することができ、モジュール式安全制御装置の順次モジュール構造の方向を確定する。
【0019】
実施形態では、好ましくは、デジタル画像の生成工程中に、モジュールブロック内のモジュールの数を決定することが可能である。好ましくは、モジュールブロックのモジュールの数を決定するために、モジュールブロックの個々のモジュール間の定義された距離を検出することができる。
【0020】
有利な実施形態では、デジタル画像の生成工程中に、モジュールブロック内のモジュールの複数の特定の認識特徴およびモジュールのすべてのパラメータ設定が検出される。これらの具体的な認識特徴には、特に、モジュールブロック内のモジュール列によって与えられるモジュール式安全制御装置の幾何学的構造のほか、配色、符号化、パターン、ならびに、特定のタイミングまたは点滅パターンおよび/または色の変化を有する点滅LEDなどの光信号コードなどの視覚的に検出可能な記述的表現が含まれ、さらにまた、制御要素の位置(ロータリエンコーダの位置、特にポテンショメータの位置)、スイッチング要素および他のボタンなどの位置などがある。モジュールブロックによってすべての特定の認識特徴が確実に検出されるようにするには、最終的なデジタル画像上ですべてのシステム境界が認識できるように、全体として検出する必要がある。個々の具体的な認識特徴が明確に認識できない場合は、たとえば、カメラ装置を使用してモジュールブロックの詳細を示す詳細画像を追加生成し、これをデジタル画像の作成に含めることが可能である。
【0021】
実施形態では、モジュールブロック内のモジュールの特定の認識特徴およびパラメータ設定の検出が、モジュールブロック全体について単一工程で実行されることが提供され得る。
【0022】
代替実施形態では、モジュールブロック内のモジュールの特定の認識特徴およびパラメータ設定の検出が、モジュールごとに複数の工程で実行され、カスケード接続することが可能である。
【0023】
実施形態では、画像認識は、デジタル画像と、検索可能な方法、特にデータベースに格納されている複数の画像との画像比較によって実施される。
【0024】
好ましくは、画像認識は、デジタル画像の複数の画像とのモジュール毎の画像比較によって実行することができる。画像比較は、個々のモジュールの多数のコンフィギュレーションオプションおよびパラメータ設定オプションのために非常に複雑であるので、したがって、有利には、カスケード接続を許容し、したがってモジュールごとの画像比較を可能にする評価方法が使用される。好ましくは、たとえば、確認が1つまたは複数の支配的な認識特徴について行われることによって、変種の数を減らすプロセスも実施できる。一般的に、モジュール式安全制御装置の特定の特徴的な領域の1つまたは複数の詳細画像を検証に使用することが可能である。
【0025】
代替実施形態では、画像認識を、シミュレーションによって、および/またはデジタル画像の画像セグメントに基づく計算によって実行することが可能である。
【0026】
有利な実施形態では、識別データセットおよび/または識別データセットから得られた画像(論理コードがコンフィギュレーションコードの1つと一致する場合)、またはエラーコード(論理コードがコンフィギュレーションコードのいずれとも一致しない場合)が、表示装置によって視覚化されることが提供され得る。
【0027】
モジュール式安全制御装置のデジタル画像に基づいて、ここで紹介する方法は、モジュール式安全制御装置のモジュールブロック全体のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定を識別する。好ましくは、モジュールブロックの現在のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定、ならびにモジュールブロックの現在のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定の工場出荷時の設定からのあり得る逸脱、および全体の変更履歴の両方が、出力され、表示装置によって視覚化される。好ましくは、可能性のあるコンフィギュレーションミスおよび/またはコンフィギュレーション変更(すでに行われたコンフィギュレーション変更またはまだ行われるコンフィギュレーション変更のいずれか)についての言及が出力され、表示装置によって可視化することも可能である。
【0028】
モジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションを認識するための本発明に従ったシステムは、評価装置、カメラベースの画像生成装置、および表示装置を含み、システムは、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行するように設計されている。
【0029】
カメラベースの画像生成装置は、モジュール式安全回路のモジュールブロックのデジタル画像を生成するように設計されており、モジュールブロックの1つまたは複数の画像または画像シーケンス、特にビデオシーケンスを生成することができるカメラ装置で構成される。画像生成装置は、たとえば、携帯電話、タブレットPC、産業用画像処理用スマートカメラ、またはVRメガネとすることができる。
【0030】
表示装置は、好ましくは、画像形成装置に統合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施形態のさらなる特徴および利点を、図面を参照して以下に説明する。
図1】モジュール式安全制御装置のコンフィギュレーションを認識するための方法を実行するシステムの高度に単純化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
モジュール式安全制御装置1は、中央制御モジュール3を有し、かつ、n個(n≧1)のパラメータ設定可能な電子モジュール4a~4cを有するモジュールブロック2を含む。以下の説明を簡単にするために、モジュール式安全制御装置1は、パラメータ設定可能な電子モジュール4a~4cの数nを、n=3と仮定する。モジュール式安全制御装置1は、EN IEC 61508、EN IEC 62061、ISO 13849の規格に準拠するように設計されている。
【0033】
モジュール式安全制御装置1のコンフィギュレーションは、利用可能な電子モジュールの異なるタイプによって確定することができ、その中から特定のアプリケーションに応じて電子モジュール4a~4cを選択することができ、モジュールブロック2内の電子モジュール4a~4cの異なる位置によって確定することができる。モジュール式安全制御装置1の機能は、たとえば、電子モジュール4a~4cの制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401c、特にロータリエンコーダを設定することによって、また、電子モジュール4a~4cのスイッチング要素を設定することによって、パラメータ設定することができる。中央制御モジュール3が、対応する制御要素400a,401a,400b,401b,400c、401cおよび/またはスイッチング要素を有することも可能である。簡略化の理由から、以下では、電子モジュール4a~4cの各々が2つの機械的に操作可能な制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401cを有すると仮定し、これらの制御要素は、好ましくはロータリエンコーダ、特にポテンショメータとして設計される。
【0034】
中央制御モジュール3は、プロセッサベースの制御ユニット30と、ここでは明示的に図示されていない不揮発性メモリ手段とを含み、不揮発性メモリ手段には、特に、モジュール式安全制御装置1の動作のためのソフトウェアが検索可能な方法で記憶され、そのソフトウェアは、モジュール式安全制御装置の動作中に制御ユニット30によって実行される。
【0035】
電子モジュール4a~4cは、中央制御モジュール3と共に少なくとも1つのモジュール列に配置され、それによってモジュールブロック2を形成する。制御モジュール3と電子モジュール4a~4cとは、組立時に適切な方法で互いに電気的および機械的に接続され、これにより中央制御モジュール3はモジュールブロック2の頭部を形成し、そのことからしばしば頭部モジュールとも呼ばれる。
【0036】
ここに示す安全制御装置1のモジュール構造は、電子モジュール4a~4cが、利用可能な複数の異なる電子モジュール4a~4cから個々に組み立てられ、一緒に配線され、所望の機能、特に安全関連の機能も提供できるようにパラメータ設定されるという点で、アプリケーション固有の構成の可能性を有利に生み出す。
【0037】
モジュール式安全制御装置1に全く異なる機能、特に安全志向の機能を持たせることができる電子モジュール4a~4cの例としては、特に、センサや緊急指令装置からの入力信号など、1つまたは複数の信号装置からの入力信号を受信し、必要に応じて処理することができる安全入力付き入力モジュール、安全接続された1つまたは複数のアクチュエータに出力信号を出力することができる出力付き出力モジュール、安全入力と安全出力とを備えた入出力モジュール(いわゆるI/Oモジュール)、入力モジュールと出力モジュールとの割り当てを制御する制御モジュール、インターフェースモジュール、通信モジュール、フィールドバス制御装置、フィールドバスカプラなどがある。ここに挙げたものが全てを網羅するものではない。
【0038】
モジュール式安全制御装置1の製造において、中央制御モジュール3および電子モジュール4a~4cは、少なくとも1つのモジュール列において互いに接続され、それに応じて配線され、安全性の観点から特定のアプリケーションの目的に必要な機能、特に安全関連の機能を提供できるようにパラメータ設定される。
【0039】
中央制御モジュール3と電子モジュール4a~4cとの間の双方向通信のために、通信接続5が設けられ、これは好ましくはシリアルバス接続として実現される。バス接続は、独自のソリューションでもよい。しかし、多くの場合、CAN-BUS、PROFIBUS、IO-Linkなどの標準化されたバス接続を使用するのが有利である。また、通信接続5をフェイルセーフに設計することも特に有利である。電子モジュール4a~4cはそれぞれ、通信接続5を介した通信に参加できるように、独自の制御ユニット40a,40b,40cを備えている。好ましくは、制御ユニット40a,40b,40cは、特定の評価タスクを自ら引き受けることができるように設計される。制御ユニット40a,40b,40cは、たとえば、マイクロプロセッサまたは論理モジュールとすることができる。
【0040】
モジュール式安全制御装置1は、特に、危険な状況が発生した場合に、それに接続された少なくとも1つの機械を、エラーなく安全に、人間にとって安全な状態に移行させるという目的を果たす。この目的のために、入力側では、複数の多数の安全入力41a,42a,41b,42b,41c,42cによって、信号発信器または信号装置からの対応する入力信号が受信され、安全に評価される。信号発信器または信号装置には、たとえば非常オフスイッチ、非常停止スイッチ、ライトグリッド、ライトカーテン、安全マット、安全ドアポジションスイッチ、3Dレーザスキャナ等がある。出力側では、出力回路の対応する安全出力44a,45a,44b,45b,44c,45cが制御される。これらの安全出力44a,45a,44b,45b,44c,45cを介して、危険な状況が発生した場合、たとえばコンタクタ、バルブなどの対応するアクチュエータが、これらのアクチュエータに接続された少なくとも1つの機械が人間にとって安全な状態に移行できるように、出力信号で制御される。
【0041】
モジュール式安全制御装置1は、EN IEC 61508、EN IEC 62061およびISO 13849規格に準拠するように設計されている。特に、中央制御モジュール3の制御ユニット30、安全入力41a,42a,41b,42b,41c,42c、および安全出力44a,45a,44b,45b,44c,45cは、フェイルセーフに設計されている。
【0042】
さらなる説明を簡略化するため、以下では、図1に示すモジュール式安全制御装置1の3つの電子モジュール4a,4b,4cはそれぞれ、2つの安全入力41a,42a,41b,42b,41c,42cと、2つの安全出力44a,45a,44b,45b,44c,45cとを有すると仮定する。
【0043】
ここに示すモジュール式安全制御装置1のアプリケーション固有のコンフィギュレーションは、たとえば、ソフトウェアベースのコンフィギュレーションツールを使用して作成することができる。コンフィギュレーションツールのグラフィカルユーザインタフェースにより、コンフィギュレーションツールの簡単で直感的な操作が可能になる。ユーザは、インタラクティブなユーザ入力を行い、たとえば、モジュール式安全制御装置1に配置される対応する論理要件を確定することができる。コンフィギュレーションプロセスの間、たとえば、ユーザは、制御される装置または機械の領域に存在する特定の信号装置、特に非常停止または非常停止ボタン、安全ドア、ライトグリッドなどの信号装置、または入力信号が安全に評価されなければならないセンサ、および出力信号によって安全に制御されなければならないアクチュエータを選択することもできる。つまり、モジュール式安全制御装置1の安全入力41a,42a,41b,42b,41c,42cおよび安全出力44a,45a,44b,45b,44c,45cは、設定ツールを使用して設定することができる。電子モジュール4a~4c、場合によっては中央制御モジュール3の機能特性は、機械的に作動する制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401cおよび/または機械的に作動するスイッチング要素のハードウェア設定によって定義することができる。
【0044】
パラメータ設定のために行うことができるハードウェア設定は、特に、電子モジュール4a~4cおよび中央制御モジュール3の機械的に操作可能な制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401cの回転位置の設定を含む。制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401c(ロータリエンコーダ、特にポテンショメータ)の回転位置は、たとえば、関連する電子モジュール4a~4cに接続されたアクチュエータの開始条件、スイッチング時間、スイッチオンおよび/またはスイッチオフ遅延、ならびにセンサタイプおよびそれらの特性を機能パラメータとして設定し、したがってそれらをパラメータ設定するために使用することができる。さらに、ハードウェア設定には、電子モジュール4a~4cおよび場合によっては中央制御モジュール3の1つまたは複数のスイッチング要素のスイッチング位置の設定も含めることができ、その場合、これらのスイッチング要素はロータリエンコーダとして設計されていない。このようなスイッチング要素の例としては、これに限られるとして理解されるものではないが、DIPスイッチが、電子モジュール4a~4cおよび場合によっては中央制御モジュール3のパラメータ設定に使用することができる。ユーザは、機械的に操作可能な制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401cおよびスイッチング要素の位置をコンフィギュレーション時に指定できるので、モジュール式安全制御装置1の製造時に、対応する設定を製造者が既に行うことができる。これにより、モジュール式安全制御装置1の試運転時に追加設定を行う必要がなくなる。
【0045】
モジュール式安全制御装置1のソフトウェアベースのコンフィギュレーションの場合、1対1のコンフィギュレーションコードが生成され、データセットとして不揮発性メモリデバイスに適切な方法で検索可能に格納され、このコンフィギュレーションコードは、モジュールブロック2の構成と実行されたすべてのパラメータ設定とを表している。好ましくは、モジュール式安全制御装置1のシリアル番号も固有のコンフィギュレーションコードに割り当てられる。この固有のコンフィギュレーションコードが後で読み出され、解読された場合、コンフィギュレーションとモジュール式安全制御装置1に対して行われた全てのパラメータ設定とが復元され、シリアル番号を介して関連するモジュール式安全制御装置1に割り当てられる。
【0046】
モジュール式安全制御装置1のコンフィギュレーションを認識する方法を実行できるシステム100は、評価装置101、カメラベースの画像生成装置102、および表示装置103を含む。
【0047】
カメラベースの画像生成装置102は、モジュール式安全回路1のモジュールブロック2のデジタル画像200を生成するように設計されている。この画像200が生成される画像生成装置102は、モジュールブロック2の1つまたは複数の画像または画像シーケンス、特にビデオシーケンスを生成することができるカメラ装置107で構成される。画像生成装置102は、たとえば、携帯電話、またはタブレットPC、または産業用画像処理用のスマートカメラ、またはVRめがねとすることができる。原理的には、モジュールブロック2の画像200は、画像生成装置102によって検出される音響信号を処理することによっても生成することができる。
【0048】
表示装置103は、好ましくは(必ずしも必要ではないが)画像生成装置102に一体化されている。
【0049】
モジュールブロック2の画像200を生成するために使用される画像生成装置102の画像検出ソフトウェアは、カメラ装置107によって生成(記録)される1つまたは複数の画像または画像シーケンス、特にビデオシーケンスに基づいて、モジュールブロック2を幾何学的に検出することができるように、好ましくは、カスケード接続された、特にモジュールごとの検出によって、モジュールブロック2のすべての構成特徴およびすべてのパラメータ設定を認識することができるように設計されている。
【0050】
モジュールブロック2の構成およびパラメータ設定の認識を保証することは、本質的に、特に論理的な依存関係をマッピングする、相互に非依存的な特定の認識特徴セットに依存する。これらの特定の認識特徴とは、たとえば、モジュールブロック2内の中央制御モジュール3および他の電子モジュール4a~4cの配置によって与えられるモジュール式安全制御装置1の幾何学的構造であり、また、視覚的に検出可能な追加の説明的表現であり、たとえば、特別な配色、コーディング、パターン、光学的信号コードなどであり、光学的信号コードには、たとえば、異なるタイミングおよび/または点滅パターンおよび/または色の変化を有することができる点滅LEDがあり、またそれぞれのパラメータ設定を表す制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401cおよびスイッチング要素の位置などである。
【0051】
画像生成装置102の画像検出ソフトウェアは、カメラ装置107の、1もしくは複数の画像または画像シーケンスに基づいて、デジタル画像200を作成するために、およびモジュールブロック2の特定の認識特徴を確実に検出するために必要な記録方法を提供し、それによってデジタル画像200を作成することができる。その後、デジタル画像200は、画像生成装置102から、好ましくは無線で実行される通信リンク104を介して評価装置101に送信される。
【0052】
評価装置101は、プロセッサ手段109、不揮発性メモリ手段105および揮発性メモリ手段106を有する。不揮発性メモリ手段105内には、評価アルゴリズムが記憶されており、その評価アルゴリズムは、この方法が実行されるときに揮発性メモリ手段106に記憶されており、プロセッサ手段109によって実行される。
【0053】
以下において、モジュール式安全制御装置1のコンフィギュレーションを認識する方法のさらなる詳細について、さらに詳しく説明する。
【0054】
この方法を実施する場合、まずは、異なるモジュール式安全制御装置1の複数の1対1のコンフィギュレーションコードが予め設定され、その場合、コンフィギュレーションコードは、複数の異なる安全コントローラ1の異なるコンフィギュレーションおよびパラメータ設定を表す。これらの1対1のコンフィギュレーションコードは、評価装置101がアクセス可能な不揮発性メモリ装置にデータセットとして格納される。この不揮発性メモリ装置は、たとえば、評価装置101自体の不揮発性メモリ手段105とすることができ、よって、コンフィギュレーションコードの格納は、一元的に行われる。代替的または追加的に、構成コードの格納は、分散方式、特にクラウドメモリ108またはサーバ装置に行うことも可能である。
【0055】
次の工程では、モジュール式安全制御装置1のモジュールブロック2のデジタル画像200が、カメラ装置107の1つまたは複数の画像または画像シーケンスに基づいて、画像生成装置102によって生成される。画像生成装置102の画像検出ソフトウェアの助けを借りて、好ましくは、最初に解析軸が検出され、この解析軸によって、モジュールブロック2の個々のモジュールが水平方向において互いに隣接して配置されているか、あるいは、垂直方向において他のモジュールの上に1つずつ配置されているかが確定される。好ましくは、このために、1対1で認識できる中央制御モジュール3の位置が検出される。これにより、モジュール式安全制御装置1の全モジュールの設置方向を決定することができる。
【0056】
その後、画像生成装置102の画像検出ソフトウェアによって、モジュールブロック2内のモジュールの数が特定される。これは、たとえば、モジュールブロック2の個々のモジュール間の定義された距離(ギャップ)を検出することによって行うことができる。
【0057】
次に、モジュールブロック2内のモジュール3,4a~4cの特定の認識特徴およびモジュールブロック2内のモジュール3,4a~4cのすべてのパラメータ設定が検出され、モジュールブロック2のデジタル画像200を作成することができる。認識特徴およびパラメータ設定の検出は、モジュールブロック2全体について単一の工程で行うことができる。しかし、有利な態様では、モジュールブロック2内のモジュール3,4a~4cの認識特徴およびパラメータ設定のモジュールごとの、カスケード検出が可能である。
【0058】
モジュールブロック2の個々の領域は、生成された画像200に基づいて、1対1で識別または割り当てることができない可能性がある。この問題を改善し、補正を可能にするために、ユーザに、画像200が表示装置103によって表示される。その場合、画像200中に。1対1で評価できない各領域が視覚化される、またはマークされる。その後、ユーザは、これらの領域から、画像生成装置102のカメラ装置107を使用して、追加の詳細画像を生成することができ、この詳細画像がさらなる評価に差し込まれる。
【0059】
モジュール式安全制御装置1の、画像生成装置102によって作成されたモジュールブロック2のデジタル画像200は、純粋な画像情報に加えて、好ましくは、デジタル画像200の作成中に得られた付加的なメタデータも含むことができ、その後、通信リンク104を介して評価装置101に送信され、揮発性メモリ手段106に格納される。
【0060】
評価アルゴリズムが評価装置101によって実行され、この評価装置101は、画像認識を使用して、モジュールブロック2内の中央制御モジュール3および電子モジュール4a~4cの位置、使用されているモジュールタイプ、およびデジタル画像200内の各電子モジュール4a~4cおよび中央制御モジュール3のすべてのパラメータ設定を検出および評価し、このプロセスで生成された情報から、モジュール式安全制御装置1のモジュールブロック2全体の現在のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定を表す1対1の論理コードを生成する。
【0061】
画像認識は、たとえば、評価装置101の不揮発性メモリ手段105内のデータベースに、またはクラウドメモリ108に、検索可能に記憶されている複数の画像との画像比較によって実行することができる。モジュールブロック2の画像200全体の画像比較は、可能なコンフィギュレーションおよびパラメータ設定が多いために比較的複雑になるので、画像比較をモジュールごとに、したがってカスケードで実施することが有利である。モジュールブロック2のデジタル画像200を評価するために、中央制御モジュール3からスタートして、モジュールごとに、中央制御モジュール3および電子モジュール4a~4cの認識特徴の配置に基づいて、モジュールブロック2のコンフィギュレーションまたは配線論理が、画像比較を使用して分析される。続いて、中央制御モジュール3および電子モジュール4a~4cのそれぞれのパラメータ設定もまた、画像200から得られる、制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401cおよび存在するスイッチング要素の位置に基づいて、画像比較によって特定される。中央制御モジュール3および電子モジュール4a~4cのパラメータ設定も、好ましくはモジュールごとに検出される。
【0062】
画像認識は、画像比較の代りに、シミュレーションによって、および/またはデジタル画像200の画像セグメントに基づく計算によって実行することもできる。
【0063】
あるいは、画像生成装置102の計算能力がこれに十分であることを条件として、上述した画像認識動作を画像生成装置102によって予め実行することも可能である。
【0064】
既に述べたように、モジュールブロック2のデジタル画像200の解析後、得られた情報は、モジュール式安全制御装置1のモジュールブロック2の現在のコンフィギュレーションと現在のパラメータ設定とを表す1対1の論理コードに変換され、評価装置の不揮発性メモリ手段105に格納される。
【0065】
さらなる方法工程では、次に、論理コードが、モジュール式安全制御装置1のモジュールブロック2の現在のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定を識別するために予め設定されたコンフィギュレーションコードと比較され、この比較によって、論理コードが記憶されたコンフィギュレーションコードの1つと一致する場合には、識別データセットが生成され、論理コードが記憶されたコンフィギュレーションコードのいずれとも一致しない場合には、エラーコードが生成される。
【0066】
続いて、識別データセットおよび/または識別データセットから生成された画像が、表示装置103によって表示される。論理コードがいずれのコンフィギュレーションコードとも一致しない場合、表示装置103によってエラーコードが表示される。好ましくは、モジュールブロック2の予想画像と実際のデジタル画像200との比較を識別データセットから視覚化することができる。代替的または付加的に、モジュール式安全回路1のモジュールブロック2の構成およびパラメータ設定の経時的変化の経過も決定可能であり、表示装置103によって視覚化できる。
【0067】
論理コードは、好ましくは、文書化の目的で、デジタル画像200およびモジュール式安全制御装置1の関連するシリアル番号と共に、評価装置101の不揮発性メモリ手段105、および/またはクラウドメモリ108、および/またはサーバ装置に格納し、検索できるようにすることができる。
【0068】
ここに示されたコンフィギュレーション認識は、モジュール式安全回路1のモジュールブロック2の実際の既存のコンフィギュレーションおよびパラメータ設定が、デジタル画像200およびそこから生成された論理コードの形態の「デジタルツイン」に常に整合的にマッピングされることを有利に保証する。
【0069】
ここに示した方法は、たとえば、モジュールの交換、元のコンフィギュレーションの変更、定期的なチェックの実施、故障や欠陥の診断の際に、多くの利点を提供する。
【0070】
モジュールの交換
・デジタル画像200の形の「デジタルツイン」が現実に対応しているかどうかをチェックする、
・操作中に行われたパラメータ設定が、交換モジュールでも考慮されていることを確認する。
【0071】
最初に設定されたコンフィギュレーションの変更
・ユーザが特定の再構成を実行する権限があるかどうかをチェックする、
・再コンフィギュレーションの文書化(特に、タイプ、ユーザ、時間、正当性)、
・デジタル画像200の形式で「デジタルツイン」を更新する、
・必要であれば、より上位の/補完的な安全システム/安全設計に対する妥当性チェック、
・エンジニアリングフェーズのための現場でのモジュールの再コンフィギュレーション/交換からの「学習」、または現場での同様の安全制御装置のための指示としての「学習」。
【0072】
定期点検の実施
・現在の構造/実態が、モジュール式安全制御装置1に印字された型式コードに対応しているか確認。
【0073】
故障および欠陥の診断
・制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401cおよび/またはスイッチング要素の認識された設定と、関連する制御機能との間の偏差の識別(たとえば、ロータリエンコーダが係合されていないか、または欠陥がある)、
・制御要素400a,401a,400b,401b,400c,401cおよび/またはスイッチング要素の重要な設定の識別(たとえば、ロータリエンコーダが安全上または関連/補完オブジェクトにとって重要な値に設定されている)。
図1
【外国語明細書】