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特開2024-13300画像撮影装置、基準画像生成方法及び基準画像生成プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013300
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】画像撮影装置、基準画像生成方法及び基準画像生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/76 20230101AFI20240125BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240125BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240125BHJP
   H04N 1/195 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H04N5/243
H04N5/222 300
G03B17/56 E
H04N1/195
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115277
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】折戸 昭良
【テーマコード(参考)】
2H105
5C072
5C122
【Fターム(参考)】
2H105CC25
5C072AA01
5C072BA08
5C072LA02
5C072LA04
5C122DA04
5C122DA28
5C122EA30
5C122FH01
5C122GA23
5C122GA31
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA88
5C122HB05
5C122HB06
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】画像撮影装置によって撮影された画像に対するシェーディング補正を精度良く行うこと。
【解決手段】画像撮影装置1において、載置台2には、撮影対象媒体が載置され、撮影部41は、載置台2に対向して配置され、載置台2に載置された撮影対象媒体の画像を撮影対象媒体の上方から撮影し、記憶部52は、撮影部41によって撮影された基準画像である第一基準画像が、撮影部41の撮影範囲の全体に基準媒体が存在すると仮定したときに撮影部41によって撮影されると推定される画像である第二基準画像を用いて補正されることにより取得された第三基準画像を記憶し、補正部53は、撮影部41によって撮影された撮影対象媒体の画像の階調を第三基準画像の階調に基づいて補正する。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象媒体が載置される載置台と、
前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体の画像を前記撮影対象媒体の上方から撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された基準画像である第一基準画像が、前記撮影部の撮影範囲の全体に基準媒体が存在すると仮定したときに前記撮影部によって撮影されると推定される画像である第二基準画像を用いて補正されることにより取得された第三基準画像を記憶する記憶部と、
前記撮影部によって撮影された前記撮影対象媒体の画像の階調を前記第三基準画像の階調に基づいて補正する補正部と、
を具備する画像撮影装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記第一基準画像の画素の階調が補正されることにより取得された前記第三基準画像を記憶する、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項3】
複数の前記第一基準画像の各画素の階調値が複数の前記第一基準画像の間において互いに対応する画素同士で平均された階調値を有する基準画像が前記第一基準画像として用いられる、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項4】
前記載置台と前記撮影部との間に配置され、前記撮影対象媒体を前記載置台の方へ押さえつけるとともに、前記撮影対象媒体の上面の一部分を前記撮影対象媒体の上方から覆い隠す押さえ部、をさらに具備し、
前記第二基準画像は、前記撮影範囲に前記押さえ部が存在しないと仮定したときに前記撮影部によって撮影されると推定される画像である、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項5】
前記載置台に対して直立して設置される壁部、をさらに具備し、
前記第二基準画像は、前記撮影範囲に前記壁部が存在しないと仮定したときに前記撮影部によって撮影されると推定される画像である、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項6】
撮影対象媒体が載置される載置台と、
前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体の画像を前記撮影対象媒体の上方から撮影する撮影部と、
を具備する画像撮影装置において使用される基準画像の生成方法であって、
前記撮影部によって撮影された基準画像である第一基準画像を取得し、
前記第一基準画像を、前記撮影部の撮影範囲の全体に基準媒体が存在すると仮定したときに前記撮影部によって撮影されると推定される画像である第二基準画像を用いて補正することにより、前記撮影部によって撮影される前記撮影対象媒体の画像の階調の補正に用いられる第三基準画像を生成する、
基準画像生成方法。
【請求項7】
撮影対象媒体が載置される載置台と、
前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体の画像を前記撮影対象媒体の上方から撮影する撮影部と、
を具備する画像撮影装置において使用される基準画像の生成プログラムであって、
前記撮影部によって撮影された基準画像である第一基準画像を取得し、
前記第一基準画像を、前記撮影部の撮影範囲の全体に基準媒体が存在すると仮定したときに前記撮影部によって撮影されると推定される画像である第二基準画像を用いて補正することにより、前記撮影部によって撮影される前記撮影対象媒体の画像の階調の補正に用いられる第三基準画像を生成する、
処理をコンピュータに実行させるための基準画像生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像撮影装置、基準画像生成方法及び基準画像生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パスポートに例示される冊子媒体の券面の画像(以下では「券面画像」と呼ぶことがある)を撮影することにより本人確認を行う画像撮影装置がある。また、撮影された券面画像に対してシェーディング補正を行う画像撮影装置がある。また、券面画像は冊子媒体の上方から撮影されるため、券面画像の撮影時の冊子媒体の浮きを抑えることにより券面画像の歪みを防止するために、冊子媒体を上方から押さえつける機能を有するガイド部材を備える画像撮影装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-013807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シェーディング補正は、冊子媒体が画像撮影装置の撮影範囲に存在しないときに画像撮影装置によって撮影される画像を基準にして行われる。シェーディング補正の基準となる画像(以下では「基準画像」と呼ぶことがある)は、通常、白色の画像、または、黒色の画像である。
【0005】
一方で、ガイド部材が存在する領域(以下では「ガイド部材存在領域」と呼ぶことがある)ではガイド部材による遮蔽により基準画像を撮影することが困難であるため、券面画像においてガイド部材によって遮蔽される領域(以下では「遮蔽領域」と呼ぶことがある)に対してシェーディング補正を行うことが困難であった。
【0006】
そこで、本開示では、画像撮影装置によって撮影された画像に対するシェーディング補正を精度良く行うことができる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の画像撮影装置は、載置台と、撮影部と、記憶部と、補正部とを有する。前記載置台には、撮影対象媒体が載置される。前記撮影部は、前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体の画像を前記撮影対象媒体の上方から撮影する。前記記憶部は、前記撮影部によって撮影された基準画像である第一基準画像が、前記撮影部の撮影範囲の全体に基準媒体が存在すると仮定したときに前記撮影部によって撮影されると推定される画像である第二基準画像を用いて補正されることにより取得された第三基準画像を記憶する。前記補正部は、前記撮影部によって撮影された前記撮影対象媒体の画像の階調を前記第三基準画像の階調に基づいて補正する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、画像撮影装置によって撮影された画像に対するシェーディング補正を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の画像撮影装置の外観の一例を示す図である。
図2図2は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す斜視図である。
図3図3は、本開示の左側ガイド部材の一例を示す斜視図である。
図4図4は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す正面断面図である。
図5図5は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す正面断面図である。
図6図6は、本開示のパスポートの一例を示す図である。
図7図7は、本開示のICAOパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。
図8図8は、本開示のICAOパスポートの券面を示す平面図である。
図9図9は、本開示のドイツパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。
図10図10は、本開示の薄手部分の奥側の先端が左側接続部分に接触したときのICAOパスポートを示す斜視図である。
図11図11は、本開示の薄手部分の先端が薄手部分対向領域に接近したときのICAOパスポートを示す斜視図である。
図12図12は、本開示の薄手部分が左側押さえ部分と載置台本体との間に配置されたときのICAOパスポートを示す斜視図である。
図13図13は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのICAOパスポートを示す斜視断面図である。
図14図14は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。
図15図15は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。
図16図16は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。
図17図17は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときに撮影部により撮影された画像を示す図である。
図18図18は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのドイツパスポートを示す斜視断面図である。
図19図19は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。
図20図20は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。
図21図21は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。
図22図22は、本開示の画像処理システムの構成例を示す図である。
図23図23は、本開示の画像撮影装置の構成例を示す図である。
図24図24は、本開示の拡張基準画像の生成例の説明に供する図である。
図25図25は、本開示の拡張基準画像の生成例の説明に供する図である。
図26図26は、本開示の拡張基準画像の生成例の説明に供する図である。
図27図27は、本開示の拡張基準画像の生成例の説明に供する図である。
図28図28は、本開示の拡張基準画像の生成例の説明に供する図である。
図29図29は、本開示の拡張基準画像の生成例の説明に供する図である。
図30図30は、本開示の拡張基準画像の生成例の説明に供する図である。
図31図31は、本開示のシェーディング補正例の説明に供する図である。
図32図32は、本開示のシェーディング補正例の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。図面において同一の構成には同一の符号を付す。
【0011】
[実施例]
<画像撮影装置の構造>
図1は、本開示の画像撮影装置の外観の一例を示す図である。図1において、画像撮影装置1は、載置台2と、筐体3と、左側ガイド部材5と、右側ガイド部材6とを有する。筐体3は、光が透過しにくい材料から形成され、箱状に形成されている。筐体3は、載置台2の上に配置され、載置台2に固定されている。筐体3の内部には、載置台2と筐体3とに囲まれる内部空間7が形成されている。筐体3の手前側の部分には、開口部8が形成されている。内部空間7は、開口部8を介して筐体3の外部に接続されている。
【0012】
図2は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す斜視図である。載置台2は、載置台本体11と、突き当て部分12とを有する。載置台本体11は、板状に形成されている。載置台本体11には、平坦である載置面14が形成されている。載置面14は、薄手部分対向領域15と、厚手部分対向領域16とを含んでいる。薄手部分対向領域15と厚手部分対向領域16とは、載置面14が沿う平面に平行である挿入方向18に並び、厚手部分対向領域16は、薄手部分対向領域15の手前側に配置されている。筐体3は、薄手部分対向領域15が内部空間7に配置されるように、かつ、厚手部分対向領域16の一部が開口部8を介して筐体3の外部に配置されるように、載置台本体11に対して配置されている。
【0013】
突き当て部分12は、帯状に形成されている。突き当て部分12には、平坦である突き当て面17が形成されている。突き当て部分12は、突き当て面17が沿う平面が挿入方向18に垂直であるように、かつ、突き当て面17が手前側を向くように、載置面14の奥側に配置されている。突き当て部分12は、載置台本体11と一体に形成され、載置台本体11に固定されている。
【0014】
左側ガイド部材5は、載置面14の幅方向19の左側の端に配置されている。右側ガイド部材6は、載置面14の幅方向19の右側の端に配置されている。幅方向19は、載置面14が沿う平面に平行であり、かつ、挿入方向18に垂直である。
【0015】
図3は、本開示の左側ガイド部材の一例を示す斜視図である。左側ガイド部材5は、左側サイドガイド部分21と、左側押さえ部分22と、左側上側ガイド部分23と、左側接続部分24とを有する。左側サイドガイド部分21には、平坦である左側サイドガイド面25が形成されている。左側サイドガイド部分21は、左側サイドガイド面25が右側を向くように、かつ、左側サイドガイド面25が沿う平面が幅方向19に垂直であるように、内部空間7の左端の下端に配置されている。左側サイドガイド部分21は、載置台本体11に固定されている。
【0016】
左側押さえ部分22は、板状に形成されている。左側押さえ部分22には、平坦である左側押さえ面26が形成されている。左側押さえ部分22は、左側押さえ面26が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、載置面14が沿う平面に平行である他の平面に左側押さえ面26が沿うように、薄手部分対向領域15の上に配置されている。左側押さえ部分22は、さらに、左側押さえ部分22の奥側の端と突き当て部分12の突き当て面17との間の距離が長さLに等しくなるように突き当て面17から手前側に離れ、載置面14の薄手部分対向領域15の左側に配置されている。左側押さえ部分22は、左側サイドガイド面25から突出するように左側サイドガイド部分21に一体に形成され、左側サイドガイド部分21に固定され、左側サイドガイド部分21を介して載置台本体11に固定されている。
【0017】
左側上側ガイド部分23は、平坦である帯状に形成されている。左側上側ガイド部分23には、平坦である左側上側ガイド面27が形成されている。左側上側ガイド部分23は、左側上側ガイド面27が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、載置面14が沿う平面に平行である他の平面に左側上側ガイド面27が沿うように、左側押さえ部分22の手前側に配置されている。左側上側ガイド部分23は、さらに、左側上側ガイド面27と薄手部分対向領域15との間の距離が、左側押さえ面26と薄手部分対向領域15との間の距離より長くなるように、左側押さえ部分22より上側に配置されている。左側上側ガイド部分23の手前側の端は、開口部8の近傍に配置されている。左側上側ガイド部分23は、左側サイドガイド面25から突出するように左側サイドガイド部分21に一体に形成され、左側サイドガイド部分21に固定され、左側サイドガイド部分21を介して載置台本体11に固定されている。
【0018】
左側接続部分24は、屈曲している帯状に形成されている。左側接続部分24は、左側接続部分24の奥側の端が左側押さえ部分22の手前側の端に繋がるように、かつ、左側接続部分24の手前側の端が左側上側ガイド部分23の奥側の端に繋がるように、左側押さえ部分22と左側上側ガイド部分23との間に配置されている。左側接続部分24には、左側曲面28が形成されている。左側曲面28の一端は、左側押さえ面26に隣接し、左側曲面28の他端は、左側上側ガイド面27に隣接している。左側曲面28は、さらに、左側押さえ部分22から離れるにつれて左側曲面28と載置面14との間の距離が単調に長くなるように形成されている。左側曲面28は、さらに、左側曲面28と左側押さえ面26との境界で角張らないように、かつ、左側曲面28と左側上側ガイド面27との境界で角張らないように、緩やかな曲面に形成されている。左側接続部分24は、左側サイドガイド面25から突出するように左側サイドガイド部分21に一体に形成され、左側サイドガイド部分21に固定され、左側サイドガイド部分21を介して載置台本体11に固定されている。
【0019】
左側ガイド部材5の左側サイドガイド部分21の下端は、載置面14から離れ、左側サイドガイド部分21の載置面14に近い側の端には、左側表紙用スリット29がさらに形成されている。左側表紙用スリット29は、左側サイドガイド面25から窪むように形成されている。
【0020】
図4及び図5は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す正面断面図である。
【0021】
図4において、右側ガイド部材6は、左側ガイド部材5と鏡像対称に形成されている。すなわち、右側ガイド部材6は、右側サイドガイド部分31と、右側押さえ部分32と、右側上側ガイド部分33と、右側接続部分34とを有する。右側サイドガイド部分31には、右側サイドガイド面35が形成されている。右側押さえ部分32には、右側押さえ面36が形成されている。右側上側ガイド部分33には、右側上側ガイド面37が形成されている。右側接続部分34には、右側曲面38が形成されている。
【0022】
右側ガイド部材6は、右側サイドガイド面35が左側サイドガイド面25と向かい合うように、すなわち、幅方向19に垂直である鏡映面40に対して左側ガイド部材5と対称になるように配置され、載置台2の載置台本体11に固定されている。鏡映面40は、幅方向19に垂直である。右側ガイド部材6の右側サイドガイド部分31の載置面14に近い側の端には、右側表紙用スリット39が形成されている。右側表紙用スリット39は、右側サイドガイド面35から窪むように形成されている。
【0023】
つまり、左側押さえ部分22及び右側押さえ部分32は、載置台2と撮影部41との間に配置され、載置台2に載置される撮影対象媒体は、左側押さえ部分22及び右側押さえ部分32によって載置台2の方へ押さえつけられる。よって、左側押さえ部分22を有する左側ガイド部材5、及び、右側押さえ部分32を有する右側ガイド部材6は、撮影対象媒体の上面の一部分を撮影対象媒体の上方から覆い隠すことになる。また、左側サイドガイド部分21及び右側サイドガイド部分31は、載置台2に対して直立して設置される。
【0024】
画像撮影装置1は、撮影部41と、左側照明10Aと、右側照明10Bとをさらに有する。撮影部41は、撮影対象媒体の画像を撮影するカメラから形成されている。左側照明10A及び右側照明10Bの一例としてLED(Light Emitting Diode)照明が挙げられる。撮影部41は、内部空間7のうちの薄手部分対向領域15の上に配置され、鏡映面40に交差している。すなわち、撮影部41は、載置台2に対向して配置され、載置台2に載置された撮影対象媒体の画像を撮影対象媒体の上方から撮影する。左側照明10A及び右側照明10Bは、内部空間7のうちの薄手部分対向領域15の上に配置され、鏡映面40に対して互いに対称になるように配置されている。撮影部41、左側照明10A及び右側照明10Bは、筐体3に固定され、筐体3を介して載置台2に固定されている。撮影部41は、さらに、載置台本体11に載置されて薄手部分対向領域15の近傍に配置される撮影対象媒体の画像が撮影されるように、薄手部分対向領域15に向けられている。撮影部41は、左側照明10Aまたは右側照明10Bが点灯した状態で、撮影対象媒体の画像を撮影する。
【0025】
図5において、薄手部分対向領域15は、左側非撮影領域42と右側非撮影領域43とを含んでいる。
【0026】
画像撮影装置1は、例えば、パスポートのうちの予め定められたページの画像を撮影するために利用される。パスポートは、画像撮影装置1の撮影対象となる冊子媒体の一例である。図6は、本開示のパスポートの一例を示す図である。図6には、パスポートの一例としてICAOパスポートを示す。ICAOパスポート61は、国際民間航空機関(ICAO:International Civil Aviation Organization)により定められた仕様で製本された冊子から形成されている。ICAOパスポート61は、複数のシート62が綴じ部63により綴じられている。綴じ部63は、直線状に形成されている。ICAOパスポート61には、券面64が形成されている。ICAOパスポート61は、ICAOパスポート61が閉じられたときに、券面64が露出しないように形成されている。複数のシート62は、券面64が露出するようにICAOパスポート61が開かれたときに、薄手部分65と厚手部分66とに区別される。薄手部分65は、複数のシート62のうちの1つのシートから形成されている。厚手部分66は、複数のシート62のうちの薄手部分65を除く複数のシートから形成されている。厚手部分66は、綴じ部63を介して薄手部分65に接合されている。券面64は、薄手部分65に形成されている。ICAOパスポート61の幅は、綴じ部63が沿う直線に垂直である2つの平面にICAOパスポート61が挟まれたときに、その2つの平面の距離に等しく、幅Wに等しい。
【0027】
図7は、本開示のICAOパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。図7において、厚手部分66の厚さは、薄手部分65の厚さより厚い。厚手部分66には、右側端面67が形成されている。右側端面67は、綴じ部63が沿う直線に垂直である平面に沿うように形成されている。厚手部分66の右側端面67が形成されている側の反対側には、左側端面が形成されている。左側端面は、右側端面67が向いている方向の反対方向を向いている。左側端面が沿う平面は、右側端面67が沿う平面に平行である。
【0028】
図8は、本開示のICAOパスポートの券面を示す平面図である。券面64は、VIZ(Visual Inspection Zone)68とMRZ(Machine Readable Zone)69とを有する。VIZ68には、ICAOパスポート61が身分証明する人物に関する情報を示す文字列が記載され、ICAOパスポート61が身分証明する人物の写真がさらに記載されている。MRZ69には、文字列が記載されている。MRZ69は、VIZ68の綴じ部63から遠い側に配置されている。VIZ68の長さは、MRZ69とVIZ68とが隣接する境界線75から綴じ部63までの距離に等しく、長さL1に等しい。MRZ69の長さは、薄手部分65のうちの綴じ部63と反対側の先端77から境界線75までの距離に等しく、長さL2に等しい。MRZ69の長さL2は、VIZ68の長さL1より短い。
【0029】
パスポートには、ICAOパスポートの他に、2017年以前にドイツで発行されたドイツパスポートがある。図9は、本開示のドイツパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。図9において、ドイツパスポート71は、上記のICAOパスポート61に表紙72が追加されたものであり、表紙72以外の部分は、上記のICAOパスポート61と同じである。すなわち、券面64が露出するようにドイツパスポート71が開かれたときに、ICAOパスポート61と同様に、ドイツパスポート71には、薄手部分65と厚手部分66とが形成される。
【0030】
表紙72は、薄手部分側表紙73と厚手部分側表紙74とを有する。薄手部分側表紙73は、券面64が露出するようにドイツパスポート71が開かれたときに、薄手部分65に沿っている。薄手部分側表紙73は、薄手部分65より大きく、薄手部分側表紙73の辺縁は、薄手部分65の辺縁から外側に突出している。厚手部分側表紙74は、券面64が露出するようにドイツパスポート71が開かれたときに、厚手部分66に沿っている。厚手部分側表紙74は、厚手部分66より大きく、厚手部分側表紙74の辺縁は、薄手部分65の辺縁から外側に突出している。すなわち、厚手部分側表紙74の1つの辺縁は、右側端面67が沿う平面から外側に突出し、厚手部分側表紙74の他の1つの辺縁は、同様に、左側端面が沿う平面から外側に突出している。
【0031】
これに対し、画像撮影装置1の左側ガイド部材5は、左側押さえ部分22の奥側の端と突き当て部分12の突き当て面17との間の長さLがMRZ69の長さL2と等しくなるように、または、長さLが長さL2より若干長くなるように配置されている。右側ガイド部材6は、右側押さえ部分32の奥側の端と突き当て部分12の突き当て面17との間の距離が長さL2と等しくなるように、または、右側押さえ部分32と突き当て面17との間の距離が長さL2より若干長くなるように配置されている。画像撮影装置1は、左側サイドガイド面25と右側サイドガイド面35との間の距離がパスポートの幅Wと等しくなるように、または、左側サイドガイド面25と右側サイドガイド面35との間の距離が幅Wより若干長くなるように形成されている。画像撮影装置1は、左側表紙用スリット29の幅が表紙72の厚さより大きくなるように、かつ、左側表紙用スリット29の幅が厚手部分66の厚さより小さくなるように形成されている。画像撮影装置1は、さらに、左側表紙用スリット29の深さが、表紙72が左側端面から突出する長さより長くなるように形成されている。画像撮影装置1は、右側表紙用スリット39の幅が表紙72の厚さより大きくなるように、かつ、右側表紙用スリット39の幅が厚手部分66の厚さより小さくなるように形成されている。画像撮影装置1は、さらに、右側表紙用スリット39の深さが、表紙72が右側端面67から突出する長さより長くなるように形成されている。
【0032】
<画像撮影装置へのパスポートの配置>
ユーザは、ICAOパスポート61の券面64の券面画像を画像撮影装置1に撮影させたいときに、券面64が上を向くようにICAOパスポート61を開く。ユーザは、さらに、薄手部分65が厚手部分66の奥側に配置されるように薄手部分65を画像撮影装置1の奥側に向け、開口部8を介して薄手部分65を画像撮影装置1に挿入する。ユーザは、さらに、薄手部分65が左側上側ガイド部分23と載置台本体11との間に配置されるように、かつ、薄手部分65が右側上側ガイド部分33と載置台本体11との間に配置されるように、薄手部分65を配置する。ユーザは、薄手部分65が左側上側ガイド部分23と載置台本体11との間に配置され、かつ、薄手部分65が右側上側ガイド部分33と載置台本体11との間に配置された後に、ICAOパスポート61を奥側に移動させる。
【0033】
薄手部分65の奥側の先端77の左側の部分は、薄手部分65が左側上側ガイド部分23と載置台本体11との間に配置された後で、ICAOパスポート61が奥側に移動したときに、図10に示されているように、左側接続部分24に接触することがある。図10は、本開示の薄手部分の奥側の先端が左側接続部分に接触したときのICAOパスポートを示す斜視図である。薄手部分65の先端77は、先端77が左側接続部分24に接触した後にICAOパスポート61が奥側にさらに移動することにより、左側曲面28に沿って移動し、図11に示されているように、載置面14の薄手部分対向領域15に接近する。図11は、本開示の薄手部分の先端が薄手部分対向領域に接近したときのICAOパスポートを示す斜視図である。薄手部分65は、先端77が薄手部分対向領域15に接近した後にICAOパスポート61が奥側にさらに移動することにより、図12に示されているように、左側押さえ部分22と載置台本体11との間にスムーズに配置される。図12は、本開示の薄手部分が左側押さえ部分と載置台本体との間に配置されたときのICAOパスポートを示す斜視図である。
【0034】
薄手部分65の奥側の先端77の右側の部分は、ICAOパスポート61が奥側に移動したときに、薄手部分65の奥側の先端77の左側の部分と同様に、右側押さえ部分32と載置台本体11との間に配置される。すなわち、画像撮影装置1は、薄手部分65が反っていたときでも、薄手部分65を左側押さえ部分22と右側押さえ部分32との下に誘導することができ、薄手部分65を左側押さえ部分22と右側押さえ部分32との下に配置させるユーザの操作を容易化することができる。
【0035】
ユーザは、図13に示されているように、ICAOパスポート61の先端77が突き当て部分12の突き当て面17に沿うまで、ICAOパスポート61を奥側にさらに移動させる。図13は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのICAOパスポートを示す斜視断面図である。ICAOパスポート61は、先端77が突き当て部分12の突き当て面17に沿うことにより、載置台本体11に適切に載置される。ICAOパスポート61は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分65が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、厚手部分66が厚手部分対向領域16に対向するように配置される。薄手部分65は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、予め定められた撮影位置に配置される。
【0036】
薄手部分65は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とにより上から押さえつけられている。すなわち、画像撮影装置1は、薄手部分65が反っていた場合でも、薄手部分65が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられることにより、薄手部分65が載置面14から大きく離れることを防止することができる。
【0037】
ICAOパスポート61の厚手部分66の右側端面67は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、図14に示されているように、右側サイドガイド部分31の右側サイドガイド面35に対向している。図14は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。ICAOパスポート61は、厚手部分66が右側にずれるときに、右側端面67が右側サイドガイド面35に接触することにより、適切な位置から右側にずれないように制限される。ICAOパスポート61の厚手部分66の左側端面は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側サイドガイド部分21の左側サイドガイド面25に対向している。ICAOパスポート61は、厚手部分66が適切な位置から左側にずれるときに、左側端面が左側サイドガイド面25に接触することにより、適切な位置から左側にずれないように制限される。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、ICAOパスポート61が幅方向19に移動しないように厚手部分66を支持することができる。
【0038】
薄手部分65の左側の端面は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、図15に示されているように、何にも接触しない。図15は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。薄手部分65の右側の端面は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分65の左側の端面と同様に、何にも接触しない。薄手部分65は、薄手部分65の左側の端面と右側の端面とに接触する部材が存在しない場合でも、ICAOパスポート61が幅方向19に移動しないように厚手部分66が支持されていることにより、撮影位置から幅方向19に移動しないように支持されている。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分65が撮影位置から幅方向19に移動しないようにICAOパスポート61を支持することができる。
【0039】
図16は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。図16に示すように、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、先端77が突き当て面17に沿うことにより、ICAOパスポート61は傾斜した状態から傾斜していない状態に矯正され、ICAOパスポート61が傾斜しないようにICAOパスポート61の移動が制限される。
【0040】
薄手部分65のうちのVIZ68が配置されている部分は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられている。MRZ69は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とが突き当て部分12から長さLだけ離れていることにより、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられていない。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、MRZ69の一部が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに隠されないように、MRZ69の全部を露出させることができる。
【0041】
撮影部41は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されたときに、左側照明10Aまたは右側照明10Bが点灯した状態で、券面64の券面画像を撮影する。ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されたときに撮影部41により撮影された画像81には、図17に示されているように、MRZ像82と、VIZ像83と、左側ガイド部材像84と、右側ガイド部材像85とが写し出される。図17は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときに撮影部により撮影された画像を示す図である。MRZ像82には、券面64のMRZ69の全部が写し出される。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されたときに、MRZ69が左側ガイド部材5と右側ガイド部材6とで隠されないことにより、MRZ69の全部の画像81を撮影することができる。
【0042】
VIZ像83には、券面64のVIZ68うちの左側ガイド部材5と右側ガイド部材6とに覆われていない部分が写し出される。左側ガイド部材像84には、左側押さえ部分22と、左側接続部分24とが写し出される。右側ガイド部材像85には、右側押さえ部分32と、右側接続部分34とが写し出される。
【0043】
一方で、ユーザは、ドイツパスポート71の券面64の券面画像を画像撮影装置1に撮影させたいときに、ICAOパスポート61のときと同様に、ドイツパスポート71を載置台本体11に適切に載置する。すなわち、ユーザは、券面64が上を向くようにドイツパスポート71を開き、薄手部分65の綴じ部63と反対側の先端77が突き当て部分12の突き当て面17に接触するまで、開口部8を介してドイツパスポート71を画像撮影装置1に挿入する。ドイツパスポート71は、ドイツパスポート71の先端が突き当て部分12の突き当て面17に沿うことにより、載置台本体11に適切に載置される。
【0044】
図18は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのドイツパスポートを示す斜視断面図である。ドイツパスポート71は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、ICAOパスポート61と同様に、薄手部分65が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、厚手部分66が厚手部分対向領域16に対向するように配置される。薄手部分65は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに撮影位置に配置される。
【0045】
薄手部分65は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とにより上から押さえつけられている。すなわち、画像撮影装置1は、薄手部分65が反っていた場合でも、薄手部分65が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられることにより、薄手部分65が載置面14から大きく離れることを防止することができる。
【0046】
ドイツパスポート71の厚手部分側表紙74の右側端面67から突出した部分は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、図19に示されているように、右側表紙用スリット39に配置される。図19は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。厚手部分側表紙74の左側端面から突出した部分は、右側端面67から突出した部分と同様に、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側表紙用スリット29に配置される。
【0047】
ドイツパスポート71の厚手部分66の右側端面67は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、右側サイドガイド部分31の右側サイドガイド面35に対向している。ドイツパスポート71の厚手部分66の左側端面は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、厚手部分66の右側端面67と同様に、左側サイドガイド部分21の左側サイドガイド面25に対向している。すなわち、厚手部分側表紙74は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に配置されるときに、厚手部分66の左側端面が左側サイドガイド面25に沿うことを邪魔しない。このため、画像撮影装置1は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に配置されるときに、ドイツパスポート71が幅方向19に移動しないように厚手部分66を支持することができる。
【0048】
ドイツパスポート71の薄手部分側表紙73の薄手部分65から左側に突出した部分は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、図20に示されているように、左側表紙用スリット29に配置される。図20は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。ドイツパスポート71の薄手部分側表紙73の薄手部分65から右側に突出した部分は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分側表紙73の薄手部分65から左側に突出した部分と同様に、右側表紙用スリット39に配置される。すなわち、画像撮影装置1は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分側表紙73が干渉することなく、薄手部分65を撮影位置に適切に配置させることができる。
【0049】
図21は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。図21に示すように、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、先端77が突き当て面17に沿うことにより、ドイツパスポート71は傾斜した状態から傾斜していない状態に矯正され、ドイツパスポート71が傾斜しないようにドイツパスポート71の移動が制限される。
【0050】
薄手部分65のうちのVIZ68が配置されている部分は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられている。MRZ69は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とが突き当て部分12から長さLだけ離れていることにより、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられていない。すなわち、画像撮影装置1は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、MRZ69の一部が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに隠されないように、MRZ69の全部を露出させることができる。
【0051】
すなわち、画像撮影装置1では、ドイツパスポート71が開口部8を介して挿入された場合でも、薄手部分65が撮影位置に適切に配置される。画像撮影装置1は、ドイツパスポート71の薄手部分65が撮影位置に適切に配置されることにより、ドイツパスポート71の券面64の券面画像を適切に撮影することができる。
【0052】
<画像処理システムの構成>
図22は、本開示の画像処理システムの構成例を示す図である。図22において、画像処理システム100は、画像撮影装置1と、コンピュータ20とを有する。画像撮影装置1は、左側照明10Aと、右側照明10Bと、撮影部41と、制御部51と、記憶部52と、補正部53と、通信IF(interface)54とを有する。画像撮影装置1は、通信IF54を用いて、有線または無線にてコンピュータ20に接続される。制御部51及び補正部53を実現するハードウェアの一例としてプロセッサが挙げられる。また、制御部51及び補正部53を実現するプロセッサの一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Device)が挙げられる。記憶部52を実現するハードウェアの一例として、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等のメモリが挙げられる。
【0053】
図23は、本開示の画像撮影装置の構成例を示す図である。図23には、画像撮影装置1の正面断面図を示す。図23において、画像撮影装置1は、載置台本体11及び載置面14を有する載置台2、左側ガイド部材5、右側ガイド部材6、左側照明10A、右側照明10B、及び、撮影部41に加え、左側遮蔽部30A及び右側遮蔽部30Bを有する。
左側遮蔽部30Aは、左側ガイド部材5と左側照明10Aとの間に設置され、右側遮蔽部30Bは、右側ガイド部材6と右側照明10Bとの間に設置される。
【0054】
左側照明10Aは照射角IAAを有し、右側照明10Bは照射角IABを有する。一方で、左側照明10Aによる照射は左側遮蔽部30Aによって遮られ、右側照明10Bによる照射は右側遮蔽部30Bによって遮られる。よって、載置面14に対する左側照明10Aの実際の照射角は照射角IRAに制限され、載置面14に対する右側照明10Bの実際の照射角は照射角IRBに制限される。
【0055】
また、撮影部41は、画角AVを有する。一方で、画角AVは左側ガイド部材5及び右側ガイド部材6により制限されるため、ガイド部材存在領域では、シェーディング補正のための基準画像を撮影部41によって撮影することが困難である。そこで、本開示では、以下のようにして、ガイド部材存在領域まで拡張された基準画像(以下では「拡張基準画像」と呼ぶことがある)を生成する。
【0056】
<拡張基準画像の生成>
図24図30は、本開示の拡張基準画像の生成例の説明に供する図である。なお、左側照明10Aと右側照明10Bとは鏡映面40に対して互いに対称に配置され、かつ、左側ガイド部材5と右側ガイド部材6とは鏡映面40に対して互いに対称に配置されるため、以下の説明では、右側照明10Bの点灯時の鏡映面40から左側の範囲についてのみ説明し、左側照明10Aの点灯時の鏡映面40から右側の範囲についての詳細な説明を省略する。
【0057】
まず、載置面14の全面を覆う白色の基準媒体が載置台2に載置された状態で、制御部51は、右側照明10Bを点灯させた状態で、図24に示すように、鏡映面40から左側の基準媒体の画像(以下では「左側基準媒体画像」と呼ぶことがある)RI1を画角AVを有する撮影部41に撮影させる。制御部51は、撮影部41によって撮影された左側基準媒体画像RI1を通信IF54を用いてコンピュータ20へ送信し、コンピュータ20は、左側基準媒体画像RI1を受信する。
【0058】
ここで、図24に示すように、左側基準媒体画像RI1には、左側サイドガイド部分21、左側押さえ部分22、左側上側ガイド部分23及び左側接続部分24を有する左側ガイド部材5の画像(以下では「左側ガイド画像」と呼ぶことがある)が写り込むため、右側照明10Bが点灯した状態で鏡映面40から左側の範囲において撮影部41によって撮影された券面画像(以下では「左側券面画像」と呼ぶことがある)に対して、左側基準媒体画像RI1のうちの左側ガイド画像以外の画像を用いてシェーディング補正を行うことは可能である一方で、左側基準媒体画像RI1のうちの左側ガイド画像を用いてシェーディング補正を行うことは困難である。
【0059】
そこで、コンピュータ20は、まず、図25に示すように、撮影部41の画角AVの全体(つまり、撮影部41の撮影範囲の全体)に白色の基準媒体が存在すると仮定したときに撮影部41によって撮影されると推定される画像(以下では「推定基準画像」と呼ぶことがある)RI2、つまり、左側ガイド画像の写り込みがない基準画像を生成する。コンピュータ20は、例えば、撮影部41、左側照明10A及び右側照明10Bの各々と載置面14との間の距離、画角AV、及び、照射角IRA,IRBに基づいて推定基準画像RI2を生成する。
【0060】
次いで、コンピュータ20は、推定基準画像RI2によって左側基準媒体画像RI1をシェーディングすることにより、図26に示すように、左側基準媒体画像RI1において左側ガイド画像が強調された画像(以下では「左側ガイド強調画像」と呼ぶことがある)GIを生成する。
【0061】
次いで、コンピュータ20は、左側ガイド強調画像GIを用いて、左側基準媒体画像RI1において左側ガイド画像が存在する領域(以下では「左側ガイド画像存在領域」と呼ぶことがある)を検出する。そして、コンピュータ20は、検出した左側ガイド画像存在領域に従って、左側基準媒体画像RI1において、左側ガイド画像が存在しない領域(以下では「左側ガイド画像非存在領域」と呼ぶことがある)の画像(以下では「左側ガイド画像非存在領域画像」と呼ぶことがある)を用いて左側ガイド画像を補正することにより、図27に示すような、鏡映面40から左側の拡張基準画像(以下では「左側拡張基準画像」と呼ぶことがある)RI3を取得する。
【0062】
例えば、コンピュータ20は、左側基準媒体画像RI1において、左側ガイド画像非存在領域画像を形成する複数の画素のうち左側ガイド画像存在領域に隣接する画素(以下では「隣接画素」と呼ぶことがある)によって左側ガイド画像の画素を置換することにより、隣接画素の階調が左側ガイド画像存在領域まで拡張された左側拡張基準画像RI3を取得する。
【0063】
以上のよう、コンピュータ20は、推定基準画像RI2を用いて左側基準媒体画像RI1を補正することにより左側拡張基準画像RI3を取得する。そして、コンピュータ20は、以上のようにして取得した左側拡張基準画像RI3を画像撮影装置1へ送信し、制御部51は、通信IF54を用いて左側拡張基準画像RI3を受信し、受信した左側拡張基準画像RI3を記憶部52に記憶させる。
【0064】
そして、撮影部41によって撮影された左側券面画像に対してシェーディング補正が行われる際には、制御部51は、左側券面画像及び左側拡張基準画像RI3を補正部53へ出力し、補正部53は、左側券面画像の階調を左側拡張基準画像RI3に基づいて補正することにより左側券面画像に対するシェーディング補正を行う。
【0065】
ここで、左側基準媒体画像RI1(図24)の参照ラインA1におけるトーンカーブTC1を図28に示す。左側基準媒体画像RI1には左側ガイド画像が含まれるため、トーンカーブTC1における階調値は、左側ガイド画像存在領域と左側ガイド画像非存在領域との境界B1で大きく変化する。
【0066】
コンピュータ20は、図29に示すように、トーンカーブTC1における階調値のうち隣接画素の階調値を左側ガイド画像存在領域まで拡張することにより、図30に示すようなトーンカーブTC3を有する左側拡張基準画像RI3を取得する。
【0067】
例えば、コンピュータ20は、式(1)に従って左側ガイド画像存在領域の階調値を算出することにより、隣接画素の階調値を左側ガイド画像存在領域まで拡張する。
・左側ガイド画像存在領域の階調値=
境界B1の右側の数画素におけるトーンカーブTC1の傾き
×トーンカーブTC1の左端から境界B1までの画素数
+隣接画素の階調値 …(1)
【0068】
また、左側照明10Aの点灯時の鏡映面40から右側の範囲についても上記と同様に、画像撮影装置1は、鏡映面40から右側の基準媒体の画像(以下では「右側基準媒体画像」と呼ぶことがある)RI1’を撮影し、撮影した右側基準媒体画像RI1’をコンピュータ20へ送信し、コンピュータ20は、推定基準画像RI2を用いて右側基準媒体画像RI1’を補正することにより、鏡映面40から右側の拡張基準画像(以下では「右側拡張基準画像」と呼ぶことがある)RI3’を取得する。そして、コンピュータ20は、左側拡張基準画像RI3と同様にして取得した右側拡張基準画像RI3’を画像撮影装置1へ送信し、制御部51は、通信IF54を用いて右側拡張基準画像RI3’を受信し、受信した右側拡張基準画像RI3’を記憶部52に記憶させる。そして、左側照明10Aが点灯した状態で鏡映面40から右側の範囲において撮影部41によって撮影された券面画像(以下では「右側券面画像」と呼ぶことがある)に対してシェーディング補正が行われる際には、制御部51は、右側券面画像及び右側拡張基準画像RI3’を補正部53へ出力し、補正部53は、右側券面画像の階調を右側拡張基準画像RI3’に基づいて補正することにより右側券面画像に対するシェーディング補正を行う。
【0069】
なお、制御部51は、複数の左側基準媒体画像RI1を撮影部41に撮影させ、コンピュータ20は、複数の左側基準媒体画像RI1の各画素の階調値を複数の左側基準媒体画像RI1間において互いに対応する画素同士で平均し、平均後の階調値を有する各画素を含む基準媒体画像を推定基準画像RI2を用いて補正することにより左側拡張基準画像RI3を取得しても良い。同様に、制御部51は、複数の右側基準媒体画像RI1’を撮影部41に撮影させ、コンピュータ20は、複数の右側基準媒体画像RI1’の各画素の階調値を複数の右側基準媒体画像RI1’間において互いに対応する画素同士で平均し、平均後の階調値を有する各画素を含む基準媒体画像を推定基準画像RI2を用いて補正することにより右側拡張基準画像RI3’を取得しても良い。
【0070】
また、コンピュータ20による拡張基準画像の生成に係る各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムをコンピュータ20に実行させることによって実現しても良い。例えば、コンピュータ20での各処理に対応するプログラムがコンピュータ20に記憶されていても良い。また例えば、コンピュータ20での各処理に対応するプログラムが、任意のネットワークを介してコンピュータ20に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバからコンピュータ20にダウンロードされて実行されても良い。また例えば、コンピュータ20での各処理に対応するプログラムが、コンピュータ20が読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。
【0071】
<シェーディング補正>
図31及び図32は、本開示のシェーディング補正例の説明に供する図である。図31及び図32に示すように、補正部53は、式(2)に従って、シェーディング補正前の左側券面画像である左側元画像OIの階調を左側拡張基準画像RI3の階調に基づいて補正することにより左側元画像OIに対するシェーディング補正を行って、左側元画像OIに対するシェーディング補正後の画像である左側補正後画像CIを取得する。
・左側補正後画像CIの階調値=
(左側元画像OIの階調値-黒色基準画像BRの階調値)
×白色ターゲットWTの階調値
÷(左側拡張基準画像RI3の階調値-黒色基準画像BRの階調値) …(2)
【0072】
また、補正部53は、左側元画像OIに対するシェーディング補正と同様にして、シェーディング補正前の右側券面画像である右側元画像OI’の階調を右側拡張基準画像RI3’の階調に基づいて補正することにより右側元画像OI’に対するシェーディング補正を行って、右側元画像OI’に対するシェーディング補正後の画像である右側補正後画像CI’を取得する。
【0073】
そして、補正部53は、鏡映面40を中心にして左側補正後画像CIと右側補正後画像CI’とを合成することにより、撮影部41の撮影範囲の全体でシェーディング補正が為された券面画像を取得する。
【0074】
以上、本開示の実施例について説明した。
【0075】
以上のように、本開示の画像撮影装置(実施例の画像撮影装置1)は、載置台(実施例の載置台2)と、撮影部(実施例の撮影部41)と、記憶部(実施例の記憶部52)と、補正部(実施例の補正部53)とを有する。載置台には、撮影対象媒体が載置される。撮影部は、載置台に対向して配置され、載置台に載置された撮影対象媒体の画像を撮影対象媒体の上方から撮影する。記憶部は、撮影部によって撮影された基準画像である第一基準画像(実施例の基準媒体画像)が、撮影部の撮影範囲の全体に基準媒体が存在すると仮定したときに撮影部によって撮影されると推定される画像である第二基準画像(実施例の推定基準画像)を用いて補正されることにより取得された第三基準画像(実施例の拡張基準画像)を記憶する。補正部は、撮影部によって撮影された撮影対象媒体の画像の階調を第三基準画像の階調に基づいて補正する。
【0076】
例えば、本開示の画像撮影装置は、載置台と撮影部との間に配置され、撮影対象媒体を載置台の方へ押さえつけるとともに、撮影対象媒体の上面の一部分を撮影対象媒体の上方から覆い隠す押さえ部(実施例の左側ガイド部材5及び右側ガイド部材6)を有する。そして、第二基準画像は、撮影範囲に押さえ部が存在しないと仮定したときに撮影部によって撮影されると推定される画像である。
【0077】
また例えば、本開示の画像撮影装置は、載置台に対して直立して設置される壁部(実施例の左側サイドガイド部分21及び右側サイドガイド部分31)を有する。そして、第二基準画像は、撮影範囲に壁部が存在しないと仮定したときに撮影部によって撮影されると推定される画像である。
【0078】
このように、撮影対象媒体の画像の階調を第三基準画像の階調に基づいて補正することで、撮影対象媒体の画像に対するシェーディング補正を精度良く行うことができる。
【0079】
また、記憶部は、第一基準画像の画素の階調が補正されることにより取得された第三基準画像を記憶する。
【0080】
こうすることで、効率良く第一基準画像から第三基準画像を取得することができる。
【0081】
また、複数の第一基準画像の各画素の階調値が複数の第一基準画像の間において互いに対応する画素同士で平均された階調値を有する基準画像が第一基準画像として用いられる。
【0082】
こうすることで、第一基準画像におけるホワイトノイズを低減することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 画像撮影装置
2 載置台
5 左側ガイド部材
6 右側ガイド部材
21 左側サイドガイド部分
31 右側サイドガイド部分
41 撮影部
52 記憶部
53 補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32