(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133002
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240920BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 201C
H01G4/30 201F
H01G4/30 201M
H01G4/30 201N
H01G4/228 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039442
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0035231
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ベオムジョーン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AF02
5E001AF03
5E082AB03
5E082BC19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】接続電極を利用して複数の内部電極を電気的に接続する構成において、外部の湿気が接続電極を通して内部に浸透しないようにすることで、耐湿信頼性を向上させることができる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品100は、キャパシタボディー110、接続電極140、150および外部電極160、170を含む。キャパシタボディーは、誘電体層112及び誘電体層を間において互いに離隔し、積層方向に配置された複数の内部電極120、130を含み、積層方向に互いに向き合う第1面110a及び第2面を含む。接続電極は、キャパシタボディーの内部で複数の内部電極と接続され、端部が第1面に露出する。外部電極は、第1面に位置し、接続電極と接続される。接続電極は、積層方向に延び、複数の内部電極を貫通するメイン接続部141、151と、メイン接続部と繋がり、誘電体層の内部から平面方向に延びる迂回部142、152を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と、前記誘電体層を間において互いに離隔して積層方向に配置された複数の内部電極を含み、前記積層方向に互いに向き合う第1面と第2面を有するキャパシタボディーと、
前記キャパシタボディーの内部で前記複数の内部電極と接続され、前記第1面に露出される端部を含む接続電極と、
前記第1面に位置し、前記接続電極と接続する外部電極と、を備え、
前記接続電極は、
前記積層方向に延び、前記複数の内部電極を貫通するメイン接続部と、
前記メイン接続部と繋がり、前記誘電体層の内部から平面方向に延びる迂回部と、を含む、電子部品。
【請求項2】
前記キャパシタボディーは、前記第1面と接する最下段の誘電体層を含み、
前記迂回部は、前記最下段の誘電体層の内部に位置する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記最下段の誘電体層は、前記複数の内部電極の間に位置する前記誘電体層より大きい厚さを有する、請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記接続電極は、前記迂回部と接続される導電部をさらに含み、
前記導電部は、前記最下段の誘電体層の内部から前記積層方向に延び、前記第1面に露出され、前記外部電極と接触する、請求項2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記平面方向は、互いに直交する第1方向と第2方向を含み、
前記キャパシタボディーは、前記第1方向に向き合う第3面と第4面を含み、
前記複数の内部電極は、前記積層方向に一つずつ交互に位置する複数の第1内部電極と複数の第2内部電極を含み、
前記複数の第1内部電極の端端は前記第3面に露出され、前記複数の第2内部電極の端端は前記第4面に露出される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記迂回部は、前記第2方向に延びて位置する、請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記接続電極は、前記複数の第1内部電極と接続する第1接続電極と、前記複数の第2内部電極と接続する第2接続電極と、を含み、
前記複数の第1内部電極は、前記第4面と距離をおいて位置し、前記複数の第2内部電極は、前記第3面と距離をおいて位置し、
前記第1接続電極の前記メイン接続部は、前記第3面と前記複数の第2内部電極との間に位置し、
前記第2接続電極の前記メイン接続部は、前記第4面と前記複数の第1内部電極との間に位置する、請求項5に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第1接続電極と前記第2接続電極のそれぞれは、複数備えられ、
複数の前記第1接続電極は、前記第2方向に沿って互いに距離をおいて位置し、
複数の前記第2接続電極は、前記第2方向に沿って互いに距離をおいて位置する、請求項7に記載の電子部品。
【請求項9】
前記キャパシタボディーは、前記第3面と前記第4面を覆う絶縁層をさらに含む、請求項7に記載の電子部品。
【請求項10】
誘電体層と、前記誘電体層を間において互いに離隔して積層方向に配置された複数の内部電極を含み、前記積層方向に互いに向き合う第1面と第2面を有するキャパシタボディーと、
前記複数の内部電極を貫通し、前記複数の内部電極と接続され、前記キャパシタボディーの内部で少なくとも一つの折曲部を有し、前記第1面に露出される端部を含む接続電極と、
前記第1面に位置し、前記接続電極と接続する外部電極と、を備える、電子部品。
【請求項11】
前記接続電極は、
前記積層方向に延び、前記複数の内部電極を貫通するメイン接続部と、
第1折曲部によって前記メイン接続部と繋がり、前記誘電体層の内部から平面方向に延びる迂回部と、を含む、請求項10に記載の電子部品。
【請求項12】
前記接続電極は、第2折曲部によって前記迂回部と繋がる導電部を含み、
前記導電部は、前記誘電体層の内部から前記積層方向に延び、前記第1面に露出し、前記外部電極と接触する、請求項11に記載の電子部品。
【請求項13】
前記キャパシタボディーは、前記第1面と接する最下段の誘電体層を含み、
前記迂回部と前記導電部は、前記最下段の誘電体層の内部に位置する、請求項12に記載の電子部品。
【請求項14】
前記最下段の誘電体層は、前記複数の内部電極の間に位置する前記誘電体層より大きい厚さを有する、請求項13に記載の電子部品。
【請求項15】
前記接続電極は、互いに距離をおいて複数備えられる、請求項11から14のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品に関し、より詳しくは積層型セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
積層型セラミックキャパシタ(Multi-Layered Ceramic Capacitor:MLCC)は、各種電子製品の回路基板に装着され、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ状のコンデンサであり、誘電体層(セラミック層)を間において互いに反対極性の内部電極が一つずつ交互に積層された構造で構成することができる。
【0003】
近年、電子製品の高性能および多機能化の傾向により積層型セラミックキャパシタの使用量も増加しており、電子部品の小型化および集積化が進み、積層型セラミックキャパシタの小型化と高容量化の要求も持続的に増加している。しかし、静電容量を高めることができる代表的な方法である内部電極の積層数の増加や誘電体層の薄形化技術は、徐々に技術的限界に近づき、改善速度が鈍化している。
【0004】
これにより、別の側面から静電容量を増やすための方案として、積層型セラミックキャパシタの構成要素のうち、容量の実現に関係ない要素の体積を減らし、減少した体積分だけ容量増加に寄与する部分の体積を増やす方案が提案されている。例えば、誘電体層と複数の内部電極を貫通する接続電極を提供する構成が代表的である。
【0005】
接続電極は、誘電体層と複数の内部電極に貫通ホールを作り、貫通ホールに導電物質を充填した後、焼結する過程で製作することができる。ところが、この場合、誘電体層と内部電極および導電物質の焼結収縮率の差により、接続電極と貫通ホールの間に隙間が発生することがあり、この隙間を通して外部の湿気が浸透して耐湿信頼性が低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施例の一側面は、接続電極を利用して複数の内部電極を電気的に接続する構成において、外部の湿気が接続電極を通して内部に浸透しないようにすることで、耐湿信頼性を向上させることができる電子部品を提供することを目的とする。
【0007】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で様々に拡張することができる。
【0008】
一実施例による電子部品は、キャパシタボディーと接続電極および外部電極を含む。キャパシタボディーは、誘電体層と、誘電体層を間において互いに離隔し、積層方向に配置された複数の内部電極を含み、積層方向に互いに向き合う第1面と第2面を含む。接続電極は、キャパシタボディーの内部で複数の内部電極と接続され、第1面に露出する端部を含む。外部電極は、第1面に位置し、接続電極と接続される。接続電極は、積層方向に延び、複数の内部電極を貫通するメイン接続部と、メイン接続部と繋がり、誘電体層の内部から平面方向に延びる迂回部を含む。
【0009】
キャパシタボディーは、第1面と接する最下段の誘電体層を含むことができ、迂回部は、最下段の誘電体層の内部に位置することができる。最下段の誘電体層は、複数の内部電極の間に位置する誘電体層より大きい厚さを有することができる。
【0010】
接続電極は、迂回部と連結される導電部をさらに含むことができる。導電部は、最下段の誘電体層の内部から積層方向に延びることができ、第1面に露出して外部電極と接触することができる。
【0011】
平面方向は、互いに直交する第1方向と第2方向を含むことができ、キャパシタボディーは、第1方向に向き合う第3面と第4面を含むことができる。複数の内部電極は、積層方向に一つずつ交互に位置する複数の第1内部電極と複数の第2内部電極を含むことができる。複数の第1内部電極の端は第3面に露出することができ、複数の第2内部電極の端は第4面に露出することができる。
【0012】
迂回部は、第2方向に延びて位置することができる。接続電極は、複数の第1内部電極と接続する第1接続電極と、複数の第2内部電極と接続する第2接続電極を含むことができる。複数の第1内部電極は、第4面と距離をおいて位置することができ、複数の第2内部電極は、第3面と距離をおいて位置することができる。第1接続電極のメイン接続部は、第3面と複数の第2内部電極との間に位置することができ、第2接続電極のメイン接続部は、第4面と複数の第1内部電極との間に位置することができる。
【0013】
第1接続電極と第2接続電極のそれぞれは複数で備えることができる。複数の第1接続電極は、第2方向に沿って互いに距離をおいて位置することができ、複数の第2接続電極は、第2方向に沿って互いに距離をおいて位置することができる。キャパシタボディーは、第3面と第4面を覆う絶縁層をさらに含むことができる。
【0014】
他の一実施例による電子部品は、キャパシタボディーと接続電極および外部電極を含む。キャパシタボディーは、誘電体層と、誘電体層を間において互いに離隔して積層方向に配置された複数の内部電極を含み、積層方向に互いに向き合う第1面と第2面を含む。接続電極は、複数の内部電極を貫通して複数の内部電極と接続され、キャパシタボディーの内部で少なくとも一つの折曲部を有し、第1面に露出する端部を含む。外部電極は、第1面に位置し、接続電極と接続される。
【0015】
接続電極は、積層方向に延び、複数の内部電極を貫通するメイン接続部と、第1折曲部によってメイン接続部と繋がり、誘電体層の内部から平面方向に延びた迂回部を含むことができる。第1折曲部は、直角に折り曲げられた形状と丸く折り曲げられた形状のいずれか一つの形状を有することができる。
【0016】
接続電極は、第2折曲部によって迂回部と連結される導電部を含むことができる。導電部は、誘電体層の内部から積層方向に延びることができ、第1面に露出して外部電極と接触することができる。第2折曲部は、直角に折り曲げられた形状と丸く折り曲げられた形状のいずれか一つの形状を有することができる。
【0017】
キャパシタボディーは、第1面と接する最下段の誘電体層を含むことができ、迂回部と導電部は、最下段の誘電体層の内部に位置することができる。接続電極は、互いに距離をおいて複数で備えることができる。
【0018】
実施例による電子部品では、外部から接続電極の内部に水分が浸透しようとしても、キャパシタボディー内部の迂回経路で水分の浸透が遮断される。従って、一実施例の電子部品は、メイン接続部への水分の浸透を効果的に遮断し、耐湿信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施例による電子部品の外形を示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II'線に沿って切開した電子部品の断面図である。
【
図3】
図1のIII-III'線に沿って切開した電子部品の断面図である。
【
図4】
図1のIV-IV'線に沿って切開した電子部品の断面図である。
【
図5】
図1に示した電子部品のうち、キャパシタボディーの分解斜視図である。
【
図6】他の実施例による電子部品の内部を示した断面図である。
【
図7】他の実施例による電子部品の内部を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳細に説明する。図面で本発明を明確に説明するために説明上不要な部分は省略し、明細書全体で同一または類似の構成要素については、同じ参照符号を付けた。また、添付図面で一部構成要素は誇張されたり、省略されたり、または概略的に示され、各構成要素の大きさは実際大きさを全面的に反映していない。
【0021】
添付図面は、本明細書に開示された実施例を簡単に理解できるように提供されたものであり、添付図面によって本明細書に開示された技術的な思想が限定されるものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更と均等物および代替物を含むものと理解しなければならない。
【0022】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用されることができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0023】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるという時、これは他の部分の「真上に」ある場合とその中間にまた他の部分がある場合も含まれる。逆にある部分が他の部分の「真上に」あるという時には、中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」または「上に」あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ず重力反対方向に向かって「の上に」または「上に」位置することを意味しない。
【0024】
明細書全体において、「含む」または「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。従って、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0025】
明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象の部分を上から見た時のことを意味し、「断面上」とする時、これは対象の部分を垂直に切開した断面を横から見た時のことを意味する。
【0026】
明細書全体において「接続される」という時、これは二つ以上の構成要素が直接的に接続されることだけを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素によって間接的に接続されること、物理的に接続されることだけでなく、電気的に接続されること、または位置や機能によって異なる名称で呼ばれているが一体であることを意味することができる。
【0027】
本明細書で電子部品を説明するにあたり、電子部品の主要構成が積層される方向を「積層方向」に定義するが、これは「厚さ方向」である場合もある。また、積層方向に垂直な平面と並んだ方向を「平面方向」と定義することができ、平面方向は互いに直交する「第1方向」と「第2方向」を含むことができる。
【0028】
図1は、一実施例による電子部品の外形を示す斜視図であり、
図2は、
図1のII-II'線に沿って切開した電子部品の断面図である。
図3は、
図1のIII-III'線に沿って切開した電子部品の断面図であり、
図4は、
図1のIV-IV'線に沿って切開した電子部品の断面図である。
【0029】
図1~
図4を参照すると、一実施例による電子部品100は積層型セラミックキャパシタであり、具体的にキャパシタボディー110と、第1接続電極140および第2接続電極150と、第1外部電極160および第2外部電極170を含む。
【0030】
キャパシタボディー110は、複数の誘電体層112と、一つの誘電体層112を間において互いに離隔して積層方向(図面のz軸方向)に配置された複数の内部電極120、130を含むことができる。複数の内部電極120、130は、積層方向に交互に位置する第1内部電極120と第2内部電極130を含むことができる。
【0031】
キャパシタボディー110は、概ね六面体形状であることができ、積層方向に向き合う第1面110aと第2面110b、第1方向(図面のx軸方向)に向き合う第3面110cと第4面110d、第2方向(図面のy軸方向)に向き合う第5面110eと第6面110fを含むことができる。第1面110aと第2面110bは、それぞれキャパシタボディー110の下面と上面であってもよい。第3面110cと第4面110dは、それぞれキャパシタボディー110の左側面と右側面であってもよい。第5面110eと第6面110fは、それぞれキャパシタボディー110の前面と裏面であってもよい。
【0032】
図5は、
図1に示した電子部品のうち、キャパシタボディーの分解斜視図である。
【0033】
図5を参照すると、複数の誘電体層112が積層方向に配置され、それぞれの誘電体層112上に第1内部電極120と第2内部電極130のいずれか一つが位置する。第1内部電極120と第2内部電極130は、積層方向に沿って一つずつ交互に位置することができ、誘電体層112より小さい面積を有することができる。
【0034】
誘電体層112は、誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはGaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、セラミック材料は、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO3系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3、またはBa(Ti1-yZry)O3などを含むことができる。
【0035】
第1および第2内部電極120、130は、金属を含む導電性ペーストを誘電体層112上にプリントする過程で製作することができる。第1および第2内部電極120、130は、Ni、Cu、Pd、およびAgなどを主成分として含むことができる。
【0036】
第1内部電極120の一側(左側)端は、第1方向による誘電体層112の両側端のうち一側(左側)端と積層方向に重なることができ、第2内部電極130の他側(右側)端は、第1方向による誘電体層112の両側端のうち他側(右側)端と積層方向に重なることができる。必要に応じて積層方向による両側端(最上段および最下段)に誘電体層112が追加配置されることができる。
【0037】
キャパシタボディー110は、複数の誘電体層112と第1および第2内部電極120、130を前述した構成で配置した後、焼成過程を経て製作することができる。焼成過程を経たキャパシタボディー110において、複数の誘電体層112は互いに境界を確認できないほど一体化することができる。
【0038】
再び
図1から
図4を参照すると、第1内部電極120の端は、キャパシタボディー110の第3面110cに露出することができ、第2内部電極130の端は、キャパシタボディー110の第4面110dに露出することができる。キャパシタボディー110は、少なくとも第3面110cと第4面110dに位置する絶縁層180を含むことができる。絶縁層180は、少なくとも第3面110cと第4面110dを覆い、第1および第2内部電極120、130の端がキャパシタボディー110の外側に露出しないようにする。
【0039】
絶縁層180は、第1面110aを除いたキャパシタボディー110の残りの面、即ち、第2面~6面110b、110c、110d、110e、110fに位置することができる。絶縁層180は、例えば、キャパシタボディー110の第2面~第6面110b、110c、110d、110e、110fに絶縁性樹脂を塗布した後、乾燥過程を経て製作することができ、キャパシタボディー110の耐久性と信頼性を高める機能をする。
【0040】
第1接続電極140は、キャパシタボディー110の内部で複数の第1内部電極120と接続され、第2接続電極150は、キャパシタボディー110の内部で複数の第2内部電極130と接続される。第1接続電極140と第2接続電極150は、第1方向に沿って互いに距離をおいて位置し、第1および第2接続電極140、150のそれぞれの端部は、キャパシタボディー110の第1面110aに露出することができる。
【0041】
第1接続電極140は、積層方向に延び、複数の第1内部電極120を貫通するメイン接続部141と、メイン接続部141と連結され、誘電体層112の内部で平面方向に延びる迂回部142を含むことができる。第2接続電極150は、積層方向に延び、複数の第2内部電極130を貫通するメイン接続部151と、メイン接続部151と連結され、誘電体層112の内部で平面方向に延びる迂回部152を含むことができる。
【0042】
第1接続電極140のメイン接続部141は、第2内部電極130と接しないようにキャパシタボディー110の第3面110cに近く位置することができる。即ち、第1接続電極140のメイン接続部141は、第1方向に沿って第2内部電極130の端と距離をおいて位置することができ、キャパシタボディー110の第3面110cと第2内部電極130の端との間に位置することができる。
【0043】
第2接続電極150のメイン接続部151は、第1内部電極120と接しないようにキャパシタボディー110の第4面110dに近く位置することができる。即ち、第2接続電極150のメイン接続部151は、第1方向に沿って第1内部電極120の端と距離をおいて位置することができ、キャパシタボディー110の第4面110dと第1内部電極120の端との間に位置することができる。
【0044】
第1接続電極140のメイン接続部141は、積層方向に複数の第1内部電極120と複数の誘電体層112を貫通することができ、複数の第1内部電極120と接触し、これらと電気的に接続される。第2接続電極150のメイン接続部151は、積層方向に複数の第2内部電極130と複数の誘電体層112を貫通することができ、複数の第2内部電極130と接触し、これらと電気的に接続される。
【0045】
メイン接続部141、151の一端(下端)は、キャパシタボディー110の第1面110aと距離をおいて位置することができる。具体的に、メイン接続部141、151の一端(下端)は、キャパシタボディー110を構成する複数の誘電体層112のうち、第1面110aと接する最下段の誘電体層(
図2で便宜上「112a」と表示する)の内部に位置することができる。最下段の誘電体層112aは、複数の内部電極120、130のうち、最下段内部電極と第1面110aとの間に位置する誘電体層であり、第1内部電極120と第2内部電極130との間に位置する誘電体層112より大きい厚さを有することができる。
【0046】
迂回部142、152は、最下段の誘電体層112aの内部でメイン接続部141、151の一端(下端)と連結され、平面方向に延びて位置することができる。迂回部142、152は、平面方向のうち第2方向(図面のy軸方向)に延びることができる。
【0047】
迂回部142、152が平面方向のうち第1方向(図面のx軸方向)に延びる場合を仮定すると、第1および第2接続電極140、150の迂回部142、152の間の距離が近くなり、後述する第1および第2外部電極160、170の間の距離も近くなる可能性がある。この場合、第1接続電極140と第2接続電極150との間に干渉が発生することができる。迂回部142、152は、平面方向のうち第2方向に延びることができ、第1および第2接続電極140、150の間の干渉を防止することができる。
【0048】
メイン接続部141、151は、積層方向に延び、迂回部142、152は第2方向に延びるので、メイン接続部141、151と迂回部142、152との間に第1折曲部144、154が存在する。第1折曲部144、154は、直角に折り曲げられた形状であったり、所定の曲率を有して丸く折り曲げられた形状であったりするなど、様々な形状に構成することができる。
図3と
図4では、第1の場合を例に挙げて示したが、第1折曲部144、154の形状は示した例示に限定されない。
【0049】
第1および第2接続電極140、150は、迂回部142、152の端部と連結される導電部143、153を含むことができる。導電部143、153は、最下段の誘電体層112aの内部から積層方向に延びることができ、キャパシタボディー110の第1面110aに露出することができる。即ち、導電部143、153の端部が第1および第2接続電極140、150の端部となることができる。
【0050】
迂回部142、152は、第2方向に延び、導電部143、153は積層方向に延びるので、迂回部142、152と導電部143、153との間に第2折曲部145、155が存在する。第2折曲部145、155は、直角に折り曲げられた形状であったり、所定の曲率を有して丸く折り曲げられた形状であったりするなど、様々な形状で構成することができる。
図3と
図4では、第1の場合を例に挙げて示したが、第2折曲部145、155の形状は示した例示に限定されない。
【0051】
このように第1および第2接続電極140、150は、メイン接続部141、151を利用して複数の内部電極120、130と接続するが、メイン接続部141、151は、キャパシタボディー110の第1面110aに直接露出されることなく、迂回部142、152および導電部143、153と接続することができる。第1および第2接続電極140、150は、迂回部142、152と導電部143、153によってキャパシタボディー110の内部で拡張された長さを有し、キャパシタボディー110の内部で二つの折曲部144、145、154、155を有することができる。
【0052】
第1外部電極160と第2外部電極170は、キャパシタボディー110の第1面110aに位置し、第1方向に沿って互いに距離をおいて位置することができる。第1外部電極160は、第1接続電極140の端部と接触して第1接続電極140と接続することができ、第2外部電極170は、第2接続電極150の端部と接触して第2接続電極150と接続することができる。第1および第2外部電極160、170は、電子製品の回路基板(図示せず)に実装され、複数の内部電極120、130と回路基板を電気的に接続することができる。
【0053】
第1および第2接続電極140、150は、キャパシタボディー110に貫通ホールを作り、貫通ホールに導電物質を充填し、焼結する過程を経て製作することができる。例えば、キャパシタボディー110にレーザなどを利用して貫通ホールを作り、貫通ホールに金属を含む導電物質を充填した後、焼結する過程を経て製作することができる。
【0054】
一方、焼結過程でキャパシタボディー110の構成物質と第1および第2接続電極140、150の構成物質間の収縮率の差により、第1および第2接続電極140、150の周りに微細な隙間が発生することがあるが、このような隙間の発生程度は、メイン接続部141、151と迂回部142、152で異なる結果を示すことがある。
【0055】
具体的に、メイン接続部141、151は、積層方向に誘電体層112および内部電極120、130と交互に接触する構成を有し、メイン接続部141、151と誘電体層112および内部電極120、130を含む3つ構成要素が機構的に相互作用して様々な収縮率の変化を見せる可能性がある。一方、迂回部142、152と導電部143、153は、単一物質、即ち、誘電体層112と接触する。従って、メイン接続部141、151よりも迂回部142、152と導電部143、153で隙間発生が抑制され、迂回部142、152と導電部143、153は、誘電体層112と非常に緻密な接触面を実現することができる。
【0056】
その結果、電子部品100の外部からメイン接続部141、151に向かって水分が浸透しようとしても、導電部143、153と迂回部142、152を含む迂回経路で水分の浸透が遮断される。従って、実施例の電子部品100は、メイン接続部141、151に向かった水分の浸透を効果的に遮断し、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0057】
図6と
図7は、他の実施例による電子部品の内部を示した断面図である。
【0058】
図6と
図7を参照すると、本実施例による電子部品200は、第1接続電極140と第2接続電極150のそれぞれが複数で備えられることを除いて、
図1~
図4を参照して説明した一実施例による電子部品100と同じ基本構成を含むことができる。
【0059】
複数の第1接続電極140は、キャパシタボディー110の第3面110c(
図1参照)と複数の第2内部電極130との間に位置することができ、第2方向に沿って互いに距離をおいて位置することができる。複数の第2接続電極150は、キャパシタボディー110の第4面110d(
図1参照)と複数の第1内部電極120との間に位置することができ、第2方向に沿って互いに距離をおいて位置することができる。
【0060】
複数の第1接続電極140は、第1外部電極160に接続することができ、複数の第2接続電極150は、第2外部電極170に接続することができる。
図6と
図7では、二つの第1接続電極140と二つの第2接続電極150が配置された場合を示したが、第1および第2接続電極140、150の数は、示した例示に限定されない。
【0061】
本実施例の電子部品200では、いずれか一つの第1接続電極140またはいずれか一つの第2接続電極150がキャパシタボディー110の内部で切れる現象が発生しても、他の一つの第1接続電極140または他の一つの第2接続電極150が複数の内部電極120、130を接続する諸機能を行うので、断線による危険が減少する効果を実現することができる。
【0062】
次に、実施例1と実施例2および比較例の電子部品に対する耐湿信頼性の評価実験について説明する。
【0063】
実施例1の電子部品は、
図1~
図4を参照して説明した一実施例による電子部品であり、実施例2の電子部品は、
図6と
図7を参照して説明した他の一実施例による電子部品であり、二つの第1接続電極と二つの第2接続電極を備える。実施例2の電子部品は、第1および第2接続電極の数を除いて、実施例1の電子部品と同じ基本構成を含む。比較例の電子部品は、第1および第2接続電極が積層方向に平行な直線状であることを除いて、実施例1の電子部品と同じ基本構成を含む。
【0064】
実施例1と実施例2および比較例の電子部品をそれぞれ40個ずつ準備した後、回路基板に実装し、ESPEC(PR-3J)装備を利用して85℃、相対湿度(R.H.)85%、2Vr(正格電圧の2倍)、および300時間条件で耐湿信頼性を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0065】
【0066】
第1および第2接続電極が直線型で構成された比較例の電子部品では、水分浸透による絶縁抵抗不良が半分程度発生したことを確認することができる。一方、実施例1と実施例2の電子部品では、水分浸透による絶縁抵抗不良が発生しないことを確認することができる。実施例1と実施例2の電子部品は、接続電極に迂回経路を提供することにより、水分浸透による絶縁抵抗不良を防止することができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の概要および添付図面の範囲内で様々に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0068】
100、200 電子部品
110 キャパシタボディー
110a、110b 第1面、第2面
110c、110d 第3面、第4面
110e、110f 第5面、第6面
112 誘電体層
112a 最下段の誘電体層
120 第1内部電極
130 第2内部電極
140 第1接続電極
150 第2接続電極
141、151 メイン接続部
142、152 迂回部
143、153 導電部
144、154 第1折曲部
145、155 第2折曲部
160 第1外部電極
170 第2外部電極
180 絶縁層