(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133007
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】スクリーン支援ツール測定によるツールプリセッティング
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20240920BHJP
G01B 21/02 20060101ALI20240920BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01B11/02 Z
G01B21/02 Z
B23Q17/00 C
B23Q17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024039586
(22)【出願日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】10 2023 106 788.5
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503019925
【氏名又は名称】フランツ・ハイマー・マシーネンバウ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シュトッフェルス,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ニサール,シャキール
【テーマコード(参考)】
2F065
2F069
3C029
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065CC10
2F065SS01
2F065SS14
2F069AA02
2F069GG01
2F069GG07
2F069GG63
2F069QQ01
2F069QQ07
3C029EE08
3C029EE20
3C029FF01
3C029FF04
(57)【要約】
【課題】 スクリーン支援ツール測定によるツールプリセッティングを提供する。
【解決手段】 本発明は、ツールの測定方法、ツールをツールホルダに取り付ける方法、スクリーン、このようなスクリーンを備えるコンピューティングユニット、及びこのようなスクリーンを備えるプリセッティング装置及び/又はシュリンキング装置、並びにスクリーンの、ツールを測定するための使用に関する。ツールをできるだけ容易且つ費用対効果の高い方法で測定できるようにするために、ツールはスクリーンを測定手段として使用して測定されることが提案される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン(2)を使用したツール(1)の測定方法において、
前記ツール(1)は前記スクリーン(2)を測定手段として使用して測定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スクリーン(2)は測定スケール(3)を有し、特に測定スケール(3)は前記スクリーン(2)上に配置され、及び/又は仮想測定スケール(3)が前記スクリーン(2)上に表示され、それを使って前記ツール(1)が測定されることを特徴とする、
請求項1に記載のツール(1)の測定方法。
【請求項3】
前記スクリーン(2)はノギス(4)を有し、それを使って前記ツール(1)が測定されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のツール(1)の測定方法。
【請求項4】
前記ノギス(4)は前記スクリーン(2)上に表示される、及び/又は対話式に操作される仮想ノギス(4)であり、又は前記ノギス(4)は機械的に移動可能なノギス(4)であることを特徴とする、
請求項1~3の何れか1項に記載のツール(1)の測定方法。
【請求項5】
前記スクリーン(2)は、特に物理的なストッパ(5)を有し、それを使って前記ツール(1)を前記測定のために位置決めできることを特徴とする、
請求項1~4の何れか1項に記載のツール(1)の測定方法。
【請求項6】
前記スクリーン(2)のスクリーン表面(6)は、センサシステム(7)、特に接触感知式センサシステム(7)を用いて、前記ツール(1)が前記スクリーン表面(6)と接触させられると、前記ツール(1)が自動的に測定されるように構成されていることを特徴とする、
請求項1~5の何れか1項に記載のツール(1)の測定方法。
【請求項7】
前記測定中、前記ツール(1)は前記スクリーン(2)と、特にスクリーン表面(6)と接触させられ、及び/又は前記ツール(1)は前記測定中、前記スクリーン(2)、特にスクリーン表面(6)と接触していることを特徴とする、
請求項1~6の何れか1項に記載のツール(1)の測定方法。
【請求項8】
前記ツール(1)を測定する際、視差が追加的に回避され、及び/又は補正されることを特徴とする、
請求項1~7の何れか1項に記載のツール(1)の測定方法。
【請求項9】
前記測定手段(2)は、特に参照ボディ(8)を使って較正されることを特徴とする、
請求項1~8の何れか1項に記載のツール(1)の測定方法。
【請求項10】
ツールプリセッティング及び/又は、ツールホルダ(9)内へのツール(1)のクランピング、特に焼き嵌め中に実行され、前記クランピングは前記方法により測定された前記ツール(1)の長さを使って行われる、
請求項1~9の何れか1項に記載のツール(1)の測定方法。
【請求項11】
ツール(1)をツールホルダ(9)に取り付ける方法であって、
前記ツール(1)は請求項1~10の何れか1項にしたがって測定され、特に前記ツール(1)の軸方向ツール長さ(tl)が測定され、前記ツールホルダ内の停止要素(5)は前記測定の結果、特に前記軸方向長さ(tl)を使って位置決めされ、前記ツール(1)は前記ツールホルダ(9)の中に、それが前記停止要素に当たって停止するまで挿入され、前記ツール(1)は前記ツールホルダ(9)内の挿入位置に固定される方法。
【請求項12】
スクリーン(2)、特に対話式スクリーン(2)において、
前記スクリーン(2)は、ツール(1)を測定するための測定手段として構成されていることを特徴とする、
スクリーン(2)、特に対話式スクリーン(2)。
【請求項13】
前記スクリーン(2)は測定スケール(3)を有し、特に測定スケール(3)が前記スクリーン(2)に配置され、及び/又は仮想測定スケール(3)が前記スクリーン(2)上に表示され、これを使って前記ツール(1)を測定できることを特徴とする、
請求項12に記載のスクリーン(2)。
【請求項14】
前記スクリーン(2)はノギス(4)を有し、それを使って前記ツール(1)を測定できることを特徴とする、
請求項12又は13に記載のスクリーン(2)。
【請求項15】
前記ノギス(4)は前記スクリーン(2)に表示され、対話式に操作できる仮想ノギス(4)であり、又は前記ノギス(4)は機械的に移動可能なノギス(4)であることを特徴とする、
請求項12~14の何れか1項に記載のスクリーン(2)。
【請求項16】
特に物理的なストッパ(5)を有し、それを使って前記ツール(1)を前記測定のために位置決めできることを特徴とする、
請求項12~15の何れか1項に記載のスクリーン(2)。
【請求項17】
前記スクリーン(2)のスクリーン表面(6)は、センサシステム(7)、特に接触感知式センサシステム(7)を用いて、前記ツール(1)が前記スクリーン表面(6)と接触させられると、前記ツール(1)を自動的に測定できるように構成されていることを特徴とする、
請求項12~16の何れか1項に記載のスクリーン(2)。
【請求項18】
それを用いて、前記ツール(1)の測定時に視差を追加的に回避及び/又は補正できる手段が提供されることを特徴とする、
請求項12~17の何れか1項に記載のスクリーン(2)。
【請求項19】
それを用いて、前記測定システム(2)の較正を実行できる参照ボディ(8)を特徴とする、
請求項12~18の何れか1項に記載のスクリーン(2)。
【請求項20】
請求項12~19の何れか1項に記載のスクリーン(2)の、特にツールプリセッティング及び/又は、ツール(1)のツールホルダ(9)への焼き嵌め中に実行されるツール(1)の測定のための使用であって、前記焼き嵌めは、前記測定により測定された前記ツール(1)の大きさ、特に前記ツール(1)の測定された軸方向長さを使って実行される使用。
【請求項21】
請求項12~19の何れか1項に記載のスクリーン(2)を含むコンピューティングユニット(12)。
【請求項22】
請求項12~19の何れか1項に記載のスクリーン(2)を備えるプリセッティング装置及び/又はシュリンキング装置(11)。
【請求項23】
特にツールプリセッティング及び/又は、ツール(1)のツールホルダ(9)への焼き嵌め中に実行されるツール(1)の測定のための測定手段としてのスクリーン(2)の使用であって、前記焼き嵌めは、前記測定によって測定された前記ツール(1)の大きさ、特に前記ツール(1)の測定された軸方向長さを使って実行される使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンを用いてツールを測定する方法、ツールホルダにツールを取り付ける方法、スクリーン、このようなスクリーンを備えるコンピューティングユニット、並びにこのようなスクリーンを用いたプリセッティング装置及び/又はシュリンキング装置、さらにスクリーンの、ツールを測定するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ツール又は/及び旋削ツール、特にフライス又は穿孔ツール等のツールをツールホルダ内の指定された標的位置にクランプすることが知られており、その場合、このツールはツールホルダに関して特定の(軸方向の)クランプされない長さを有するか、又は有することが意図される。
【0003】
ツールの(正確な)軸方向長さを知ることがこのために有益又は必要である。
【0004】
最新技術において、ツールを測定するための、特にツールの軸方向長さを測定する各種の方法と装置が知られている。
【0005】
例えば(特許文献1)には、それを利用して回転ツールの(軸方向)長さを(クランプする前に)測定することのできる長さ測定モジュールが記載されている。この目的のために、長さ測定モジュールは、ガイド上で移動可能な機械的測定要素を有する測定スタンドを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10317576A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、それによってツール、特にその軸方向長さを容易に、且つ費用対効果の高い方法で測定できる方法及び/又は装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、それぞれの独立特許請求項の特徴を有する、スクリーンを用いてツールを測定する方法、ツールホルダ内にツールを取り付ける方法、スクリーン、このようなスクリーンを有するコンピューティングユニット、並びにこのようなスクリーンを有するプリセッティング装置及び/又はシュリンキング装置、さらにスクリーンの、ツールを測定するための使用によって達成される。
【0009】
本発明の有利な発展型は、従属特許請求項及び以下の説明の主題であり、方法及び装置の両方のほか、使用にも関する。
【0010】
上、下、前、後、左、右等の使用用語は何れも、明確な別段の定義がないかぎり、通常の理解にしたがって、また本願の図面に関して理解されるものとする。半径方向及び軸方向等の用語は、使用され、別段の明確な定義がないかぎり、本明細書に記載のコンポーネントの中心又は対称軸に関して、また本願の図面に関して理解されるものとする。
【0011】
「本質的に(essentially)」という用語は、それが使用される場合に、(最高裁判所の理解にしたがって)「現実的でありながら顕著な程度に」を意味すると理解できる。したがって、この用語によってこのように黙示される正確さからの逸脱が、製造又は組立公差その他により意図せず(すなわち、いかなる機能的根拠にもよらずに)生じる可能性がある。
【0012】
スクリーンを使用したツールの測定方法は、測定手段としてスクリーンを用いてツールが測定されるようになされる。
【0013】
スクリーン、特に対話式スクリーンは、上記に対応して、スクリーンがツールを測定するための測定手段として構成されるようになされる。
【0014】
この場合、「測定手段としてのスクリーン」とは、スクリーン、又はその1つ以上の部分が、測定の直接的な測定手段であることを意味する。
【0015】
換言すれば、スクリーン、又はその1つ以上の部分は、「測定手段として」測定の直接的又は実際の部分である。
【0016】
その結果、これには、単に(測定)結果の表示手段である、及び/又は測位を行うための制御/操作用インタフェースを形成するスクリーンは特に含まれない。
【0017】
ここで、含まれないこのようなスクリーン(単純な表示/操作用スクリーン)の場合、測定は他の、別の測定手段、例えばカメラや測定モジュール((特許文献1)参照)によって実行されることになる。このスクリーンはここでは測定手段ではない。
【0018】
特に明確にすれば、必然的に組み込まれるが別部品ではない、(画像技術によって)ツールを記録するカメラを備えるスクリーンも含まれず、この場合ツールは、カメラ画像を使用する画像処理手段、又はスクリーンに隣接して配置される(別の)測定スタンド((特許文献1)参照)によって測定される。ここでも、スクリーンは実際の測定手段ではない。
【0019】
「スクリーン」とは特に、コンピュータスクリーン/ディスプレイ、ラップトップスクリーン/ディスプレイ、タブレットディスプレイ、又はこれらに対応する同様の表示装置と理解できる。
【0020】
「対話式スクリーン」とは特に、スクリーンと「その相手」、例えばオペレータとの間の相互反応が可能なスクリーン、例えばいわゆる「タッチスクリーン」と理解できる。
【0021】
「(ツールを)測定する」とは、ツールの幾何情報の少なくとも1つの項目が測定プロセスによって取得されることを意味すると理解できる。特に、ここでは、ツールの軸方向長さが測定されるようになされる。ツールの場合に、直径、半径、その他も測定できる。
【0022】
したがって、特に、このような測定中、ツールがスクリーン、特にスクリーン表面と接触させられる、及び/又は測定中にツールがスクリーン、特にスクリーン表面と接触しているようになされ得る。スクリーン又はそのスクリーン表面と近接していることもまた、測定に十分であり得る。
【0023】
1つの設計によれば、スクリーンは測定スケールを有するように、特に測定スケールがスクリーン上に配置されるように、及び/又は仮想測定スケールがスクリーン上に表示されるようになされ、それを用いてツールが測定される。
【0024】
測定スケールは、測定可変値、例えば長さを測定するための参照系、例えばメートル系であると理解され得る。
【0025】
測定スケールはまた、目盛り付き領域、特に(規定された)長さ範囲を有するようにもなされ得て、それに基づいて測定対象ツールは、測定中に範囲ごとに分類される((長さ)の範囲のスケーリングと分類)。
【0026】
例えば、したがって(測定スケールの)特定の領域がツール測定時にツールに割り当てられると、長さ範囲(又は長さ)等のその他の測定情報を割り当てられた領域の定義から取得できる。
【0027】
さらに、スクリーンはノギスを有するようにもなされ得て、それを使ってツールが測定される。
【0028】
ノギスは、ツールに表示され、及び/又は(スクリーン上で、若しくはそれを介して)対話的に操作され仮想ノギスであり得、又はノギスは機械的に移動可能なノギスである。
【0029】
スクリーンは、特に物理的なストッパを有するようになされ、それを使ってツールを、例えばスクリーンの仮想又は物理ノギスと共に、測定のために位置決めすることができる。特に、このようなストッパはまた、測定スケールと共に、特にそこにおける参照又は参照点も形成し得る。
【0030】
ここでは特に、特に物理的ストッパが位置決めエラーを排除又は縮小できるように設計されていれば好都合である。
【0031】
例えば、ここでは(位置決め)ストッパの十分な深さは、例えば(位置決め)ストッパに当たるように配置されたツールの斜面によって、ツールがストッパに正しく位置決めされず、測定エラーにつながるのを回避するのに役立つ。また、このような(位置決め)ストッパは所定の幾何学形状を有し得て、これによってツールがそこに当たって安全に「停止」し、又は位置決めされることが確実となる。
【0032】
最も単純な設計では、このようなストッパは例えばスクリーンフレーム上の表面であり得る。
【0033】
測定中の測定対象ツールの位置決めを容易にする、(スクリーン上の、又はスクリーンにおける)追加的な別の物理的及び仮想ストッパ及び/又は位置決め表面もまた提供され得る。例えば、測定スケールにしたがって配列された(平行な)(物理的)座面であり、測定中、ツールをその上に置くことができる。
【0034】
さらに、スクリーンのスクリーン表面が、タッチスクリーンの場合のように、センサシステム、特に接触感知式センサシステムを用いて、ツールがスクリーン表面と接触させられると(又はそれに近接すると)ツールが自動的に測定されるように構成されるようにもなされ得る。
【0035】
さらに、ツールの測定時に視差が回避及び/又は補正されることも好都合であり得る。
【0036】
そのために、ミラー等の適切な手段がスクリーン上に提供され得る。適切な仮想手段もまた提供され得て、視差の補正は通常、ここで計算される。
【0037】
さらに、測定手段を、特に参照ボディを使って較正されることも好都合であり得る。
【0038】
さらに、特にツールを測定する方法がツールプリセッティング及び/又はクランプ中、特にコレット若しくは油圧膨張チャックへのクランプ中、又はツールホルダへのツールの焼き嵌め中に実行されれば好都合であり、クランピングは測定によって測定されるツールの大きさ、特にツールの測定された軸方向長さを使って実行される。
【0039】
特に、スクリーン(測定手段としての)が、特にツールプリセッティング及び/又はクランピング、特にコレット若しくは油圧膨張チャックへのクランピング、又はツールホルダへのツールの焼き嵌め中に実行される測定のため、又はツールを測定する方法のために使用されると同様に好都合であり、クランピングは方法により測定されたツールの大きさ、特にツールの測定された軸方向長さを使って実行される。
【0040】
換言すれば、プリセッティング装置及び/又はシュリンキング装置にはスクリーンが備えられ得る。
【0041】
さらに、例えばプリセッティング及び/又はシュリンキング装置内のコンピューティングユニットを提供することも好都合であり、このコンピューティングユニットはスクリーンを有し、そのコンピューティングユニットの中で方法のための実行可能なプログラムが実行される。
【0042】
ツールをツールホルダに取り付ける方法において、ツールは前記方法により測定され、特にツールの軸方向のツール長が測定され、ツールホルダ内のストッパ要素が測定結果、特に軸方向長さを使って位置決めされ、ツールはツールホルダ内に、それがストッパ要素に当たって停止するまで挿入され、ツールはツールホルダ内の挿入された位置に固定されるようになされる。
【0043】
ここで、特に取付方法がツールプリセッティング及びシュリンキング複合装置内で実行されると好都合であるように思われる。
【0044】
本発明は、特に、特に(例えば)プリセッティング装置及び/又はシュリンキング装置内に既に存在するスクリーンに組み込むことによって容易に実装できる点において優れており、したがって(例えば)プリセッティング及び/又はツール焼き嵌め動作中に、単純で費用対効果の高い、又は費用対効果の高い方法で実行可能な、効率的で有効なツール測定につながる。
【0045】
特に、ツール測定のための、本来は必要なその他の機器、例えば追加の測定モジュールや測定スタンド((特許文献1)参照)は本発明によって不要とすることができる。
【0046】
本発明の有利な設計に関する上述の説明は、個々の従属特許請求項の中で、場合によってはそれらの組合せの中で再現される様々な特徴を含む。しかしながら、これらの特徴は、好都合な点として、個別に考慮されても、適切な別の組合せにとなるように組み合わせてもよい。
【0047】
説明文及び/又は特許請求項の中で幾つかの用語はそれぞれのケースで単数又は数字と組み合わせて使用されているが、本発明の範囲はその単数又はこれらの用語についてのそれぞれの数字に限定されないものとする。さらに、「a」又は「an」という単語は数詞ではなく、不定冠詞として理解されるものとする。
【0048】
前述の本発明の特性、特徴、及び利点と、これらが実現される方法は、本発明の例示的実施形態の以下の説明によってより明確となり、より明瞭に理解可能であり、これらは図面に関連してより詳しく説明される(図中、同じコンポーネント及び機能には同じ指示記号が付されている)。
【0049】
例示的実施形態は、本発明を説明するために使用され、本発明を機能的特徴に関するものを含めて、その中に明記されている特徴の組合せに限定しようとするものではない。さらに、このために、各例示的実施形態の適当な特徴を明示的に個別に考え、1つの実施形態から取り出し、他の例示的実施形態に組み込んで、それを補足し、特許請求項の何れの1つと組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】1つの設計による、ツールを測定するための、仮想測定システムを有する(仮想ノギスを備える)対話式スクリーンを有するプリセッティング及びシュリンキング複合装置を示す。
【
図2】
図1の設計による、ツールを測定するための(仮想ノギスを備える)仮想測定システムを有する対話式スクリーンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
仮想ノギスを用いたツールプリセッティング(
図1及び2)
図1は、ツール1を測定するための、仮想測定システムを備える(仮想ノギス4を備える)対話式スクリーンを有するプリセッティング及びシュリンキング複合装置11を示す。
図2は、ツール1を測定するための(仮想ノギス4を備える)仮想測定システムを有する対話式スクリーン2を詳細に示す。
【0052】
図1は、その基本的機能である「プリセッティング」及び「シュリンキング」において、一般的に見られる(既知の)プリセッティング及びシュリンキング複合装置11(例えば、https://www.haimer.de/produkte/voreinstelltechnik/voreinstellgaraete-der-vio-baureihe/vio-linear-toolshrink.htmlからの、2023年2月7日にそこで入手可能なもの)を示す。
【0053】
このプリセッティング及びシュリンキング複合装置11(簡略化するために以下では単にプリセッティング装置11と呼ばれる)は、(プリセッティング装置11の)別の機能として、ツール1の測定を(例えば、プリセッティング装置11によるツール1のプリセッティング及び/又はツールホルダ9への焼き嵌めの前に)実行できるツール測定を提供する。
【0054】
この測定において、ツール1、ここではフライスツール1等の回転ツール1の軸方向長さを測定でき、その後、ツール1の測定された軸方向長さをプリセッティングにおいて、又は(測定されたツール1のツールホルダ9への)焼き嵌めにおいて使用できる。
【0055】
図1及び特に
図2が示すように、この測定を行う測定装置2はプリセッティング装置11自体のスクリーン2である。
【0056】
この目的のために、スクリーン2は、一方で、それを介して(ユーザ(図示せず)が)測定を実行できる対話式スクリーン2として構成されており、他方で、スクリーン2自体が、仮想測定命令による、直接測定手段2として設計されており、したがって(測定手段として)相応にイネーブルされている。
【0057】
図2からわかるように、スクリーン2又はスクリーン表面6の下端には、(表示された)仮想測定スケール3、すなわち長さスケール3と共に仮想ノギス4があり、これは仮想測定スケール3の平面内に配置され、ユーザが、タッチスクリーンの場合のようにスクリーン表面6をタッチすることによって仮想(の、表示された)測定スケール3上で移動可能である。
【0058】
測定スケール3は、そこの(仮想)スケール区画13が所定の(実際の)長さ区画(例えば、5mm)に対応するように較正されている。
【0059】
仮想ノギス4が測定スケール3の平面内にあ(り、そこで移動でき)ることは、(ポインタが測定スケールからある空間距離に配置される他の物理的ポインタシステムのように、ポインタとスケールとの間に)この点で生じ得る視差が回避されることを意味する。
【0060】
それに加えて、仮想測定スケール3はスクリーン2上に、その左側の始点(ゼロ地点)がスクリーン2上に配置されたストッパ5上にくるように位置付けられ、又は表示されている。
【0061】
端的且つ簡単且つ説明的に言えば、スクリーン2上のストッパ5は測定スケール3の、したがって「測定距離」の始点/ゼロ地点14も形成する。
【0062】
スクリーン表面6の背後にあるセンサシステム7は、(仮想)ノギス4の位置を検出し、コンピュータユニット12内に実装されるロジックが、(仮想)測定スケール3のゼロ地点14及び(仮想)ノギス4の位置から、測定対象のツール1の(軸方向)長さを計算する。
【0063】
ツール1を測定する際、これはユーザによってその第一の端、すなわちシャフト端が測定スケール3に平行にストッパ5に当たるようにセットされる。ユーザは仮想ノギス4を、例えば指でそれにタッチすることによって、ツール1の第二の端、すなわち切刃端へと、ノギス4の仮想先端15がツール1の切刃先端と一致するまで移動させる。
【0064】
測定対象ツール1の(軸方向)長さは、(仮想)測定スケール3の(既知の)ゼロ地点14及び(仮想)ノギス4(又はその先端15)の位置から計算される。
【0065】
測定値、すなわち測定されたツール1の(軸方向)長さは、インタフェースを介して保存され、表示され、それ以外に利用可能とされる。
【0066】
スクリーン2の右上領域に表示されたツール/ツールホルダユニット10の簡略化表現16は、ツール/ツールホルダユニット10の場合の重要な長さ/寸法情報を示しており、これは例えば(軸方向の)クランプされない長さ(el(exposed length))、A寸法(gl(gauge length))、挿入深さ(id(insert length))、及び(測定された(軸方向)ツール長さ(tl(tool length))である。
【0067】
図1により示されているように、測定されたツール1の測定された(軸方向)長さはしたがって、ツール1をツールホルダ9の中に(所定の標的位置に、又は所定の標的寸法に)焼き嵌めするときにプリセッティング装置11上で使用できる。
【0068】
例えば、ツール1の焼き嵌めの前に、ツールホルダ9内部のストッパ要素は、ツール長さtlを考慮して、焼き嵌め動作の後に所定のクランプされない長さelが得られるように位置決めされ得る。
【0069】
本発明は、好ましい例示的実施形態によってより具体的に図示され、より詳しく説明されているが、本発明は開示された例に限定されず、そこから、本発明の保護範囲を逸脱せずに他の変形型も導き出され得る。
【符号の説明】
【0070】
指示符号一覧
1 ツール、回転ツール、フライス/穿孔ツール
2 (対話式)スクリーン、測定手段/システム
3 (仮想)測定スケール、長さスケール
4 (仮想)ノギス
5 (物理的)ストッパ
6 スクリーン表面
7 センサシステム
8 参照ボディ(図示せず)
9 ツールホルダ
10 ツール/ツールホルダユニット
11 プリセッティング/シュリンキング装置
12 コンピューティングユニット
13 スケール区画
14 ゼロ地点、左側始点
15 (4の)(仮想)先端
16 (10の)表現
el (exposed length) (軸方向の)クランプされない長さ
gl (gauge length) A寸法
id (insert length) 挿入深さ
tl (tool length) 測定対象の(軸方向の)ツール長さ
【外国語明細書】