(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133018
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】柱状接続体の基板ボンディング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240920BHJP
H01L 23/50 20060101ALI20240920BHJP
H01L 23/12 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
H01L21/60 301N
H01L23/50 P
H01L21/92 602R
H01L21/92 604H
H01L23/12 P
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040377
(22)【出願日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】10-2023-0033603
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】504115688
【氏名又は名称】プロテック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PROTEC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コ ヨン スン
(72)【発明者】
【氏名】アン グンシク
【テーマコード(参考)】
5F044
5F067
【Fターム(参考)】
5F044KK16
5F044KK17
5F044KK19
5F067AA01
5F067AB07
(57)【要約】
【課題】柱状接続体の基板ボンディング方法に係り、さらに詳細には、柱状に形成され、基板と半導体チップの電極とを接続して半導体チップを基板に接続させる柱状接続体を基板にボンディングする、柱状接続体の基板ボンディング方法を提供する。
【解決手段】本発明の柱状接続体の基板ボンディング方法は、アスペクト比の大きい柱状接続体も基板上に垂直に方向を維持しながら正確な位置にボンディングすることができるという利点がある。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状接続体を基板にボンディングする柱状接続体の基板ボンディング方法であって、
(a)複数の電極パッドにそれぞれ金属接続膜が形成された基板を設けるステップと、
(b)前記基板の複数の電極パッドの金属接続膜にフラックスを塗布するステップと、
(c)前記フラックスの塗布された基板の各金属接続膜の上面にそれぞれ柱状接続体を搭載するステップと、
(d)前記柱状接続体が搭載された前記基板を回転させて上下反転させるステップと、
(e)前記基板の金属接続膜が溶融するように前記基板と柱状接続体との組立体を加熱するステップと、
(f)前記(e)ステップを完了した後、前記基板の溶融した金属接続膜が硬化するように前記基板と柱状接続体との組立体を冷却するステップと、
を含む、柱状接続体の基板ボンディング方法。
【請求項2】
前記(d)ステップは、
(d-1)加圧プレートで前記柱状接続体を前記基板の上面に対して加圧するステップと、
(d-2)前記加圧プレートと前記基板とを同時に反転させるステップと、を含む、
請求項1に記載の柱状接続体の基板ボンディング方法。
【請求項3】
前記(d)ステップは、
(d-3)前記(d-2)ステップを完了した後、前記加圧プレートを除去するステップを含む、請求項2に記載の柱状接続体の基板ボンディング方法。
【請求項4】
前記(a)ステップは、前記基板の複数の電極パッドに金属材料をコーティングして前記金属接続膜を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の柱状接続体の基板ボンディング方法。
【請求項5】
前記(c)ステップは、前記基板の複数の電極パッドに対応する位置に搭載孔が形成されたマスクを前記基板の上面に配置して前記柱状接続体を前記基板に搭載する、請求項1から3のいずれか一項に記載の柱状接続体の基板ボンディング方法。
【請求項6】
前記(c)ステップは、ピックアンドプレース方法によって前記柱状接続体をそれぞれ前記基板の複数の電極パッドにそれぞれ搭載する、請求項1から3のいずれか一項に記載の柱状接続体の基板ボンディング方法。
【請求項7】
前記(e)ステップは、
前記基板または前記柱状接続体に対してレーザーを照射して加熱する、請求項1から3のいずれか一項に記載の柱状接続体の基板ボンディング方法。
【請求項8】
前記(e)ステップは、
前記基板と柱状接続体との組立体をリフローを経由させて加熱する、請求項1から3のいずれか一項に記載の柱状接続体の基板ボンディング方法。
【請求項9】
前記(e)ステップは真空状態で行う、請求項1から3のいずれか一項に記載の柱状接続体の基板ボンディング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱状接続体の基板ボンディング方法に係り、さらに詳細には、柱状に形成され、基板と半導体チップの電極とを接続して半導体チップを基板に接続させる柱状接続体を基板にボンディングする、柱状接続体の基板ボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップを積層してパッケージオンパッケージ(PoP、Package on Package)やチップオンチップ(CoC、Chip on Chip)などの形態で半導体チップを基板または他の半導体チップ上にボンディングする場合、銅ピラー(Cu Pillar)、銅ピン(Cu Pin)などの名称で呼ばれる柱状接続体を使用する。高さの差が比較的大きい上下の半導体チップまたは基板を電気的に接続する場合、半田ボールを用いることは適切ではない。半田ボールを使用する場合、ファインピッチ(fine pitch)で電極を配置することが難しいため、半導体装置の小型化には適さない。
【0003】
したがって、銅ピラーなどのアスペクト比の大きい柱状接続体を用いて、上下の半導体チップまたは基板の電極を電気的に接続する用途に用いられる。
【0004】
このような柱状接続体は、100μm以下の幅を有する小さいサイズであるほど、従来の半田ボールを用いて半田バンプを形成する工程を適用することに困難がある。サイズが小さく重量が軽いほど、クリーム半田または半田ペーストの溶融過程で粘性液体の特性により柱状接続体の位置と角度が変化して不良の発生可能性が高くなる。特に、柱状接続体のアスペクト比が高いほど、半田ペーストまたはフラックスの粘性により加熱過程で柱状接続体が傾く現象が発生しやすい。
【0005】
かかる問題点を解決するために、従来、加圧プレートを用いて基板に対して柱状接続体を加圧して固定した状態で温度を高めてボンディングする方法が試みられた。しかし、細い柱状接続体の長さに偏差があり、基板の表面高さも一定でない場合が多いため、多数の柱状接続体が全て均一に加圧されないという問題点があった。
【0006】
このような問題点を解決し、アスペクト比の大きい柱状接続体を垂直に基板の正確な位置にボンディングすることができる技術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した要求を満たすために案出されたもので、その目的は、基板と半導体素子とを電気的に接続するための柱状接続体を正確な位置と方向に基板にボンディングする柱状接続体の基板ボンディング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、柱状接続体を基板にボンディングする柱状接続体の基板ボンディング方法であって、(a)複数の電極パッドにそれぞれ金属接続膜が形成された基板を設けるステップと、(b)前記基板の複数の電極パッドの金属接続膜にフラックスを塗布するステップと、(c)前記フラックスの塗布された基板の各金属接続膜の上面にそれぞれ柱状接続体を搭載するステップと、(d)前記柱状接続体の搭載された前記基板を回転させて上下反転させるステップと、(e)前記基板の金属接続膜が溶融するように前記基板と柱状接続体との組立体を加熱するステップと、(f)前記(e)ステップを完了した後、前記基板の溶融した金属接続膜が硬化するように前記基板と柱状接続体との組立体を冷却するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の柱状接続体の基板ボンディング方法は、アスペクト比の大きい柱状接続体も基板上に垂直に方向を維持しながら正確な位置にボンディングすることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法を行う過程を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法を行う過程を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法を行う過程を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法を行う過程を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法を行う過程を説明するための図である。
【
図6】本発明の他の実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法を行う過程を説明するための図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法を行う過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法について説明する。
【0012】
図1~
図5は、本発明の一実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法を行う過程を説明するための図である。
【0013】
本発明は、銅柱(Cu PillarまたはCu Column)または銅ピン(Cu Pin)などのアスペクト比の大きい柱状接続体200を基板100に接続するためのものである。このような柱状接続体200は、概ね100μm以内の幅を有し、幅の1.5倍以上の高さを有することが多い。このようにアスペクト比が大きくサイズが小さい柱状接続体200を用いると、ファインピッチ間隔で半導体チップを基板100に接続することが可能である。
【0014】
このような高アスペクト比の柱状接続体200を用いて半導体チップを基板100にボンディングするために、本発明は、柱状接続体200を基板100の電極に正確な位置と方向にボンディングするためのものである。
【0015】
まず、
図1に示すように、複数の電極パッド110に金属接続膜120が形成された基板100を設ける((a)ステップ)。このような過程を、通常、プレコート基板100を設けるという。このようなプレコートとは、プリント回路基板100(PCB)の銅線回路の酸化を防止し且つ搭載部品との接続を容易にするために基板100の銅露出部位をコーティングすることを意味する。本実施形態の場合、柱状接続体200がボンディングされる位置の電極パッド110にこのようなプレコートを施して金属接続膜120を形成する。このようなPCB表面処理方式は、PCBの表面にIC及び電子部品を配置するために開放させておいた銅箔層の銅露出部位の酸化を防止し、電子部品表面実装接合力を強化させる役割を果たす。通常、金、銀、錫、パラジウムまたはこれらの金属の合金を用いて基板100に対するプレコートを行う。場合によっては、半田ペーストを塗布した後、リフローを経由してプレコートすることにより、金属接続膜120を形成することも可能である。
【0016】
次に、
図2に示すように、基板100の電極パッド110の金属接続膜120にフラックス101を塗布する((b)ステップ)。マスク印刷方式またはディスペンサを用いて基板100の金属接続膜120の上面にフラックス101を塗布する。
【0017】
次に、
図3に示すように、フラックス101が塗布された基板100の各金属接続膜120の上面にそれぞれ柱状接続体200を搭載する((c)ステップ)。このように柱状接続体200を基板100に搭載(mounting)する工程は、公知の様々な方法によって行われることができる。個別の柱状接続体200または複数の柱状接続体200をグリッパーなどのツールを用いてクランプした後、基板100を所定の位置に載せるピックアンドプレース(pick and place)方式で柱状接続体200を基板100に搭載することも可能である。場合によっては、基板100の複数の電極パッド110に対応する位置にそれぞれ搭載孔が形成されたマスクを前記基板100の上面に配置し、マスクの搭載孔に柱状接続体200が挿入されるようにする方法で柱状接続体200を搭載することも可能である。このとき、サイクロンヘッドなどの装置を用いて、柱状接続体200を高速で基板100に搭載することもできる。このように柱状接続体200を基板100に搭載した場合、
図3に示すように、柱状接続体200が基板100の上面に垂直に立てられないことがある。柱状接続体200が非常に小さく軽いため、フラックス101の粘性や表面張力等の原因により、柱状接続体200が
図3に示すように傾いた形態で搭載される場合が時々発生するおそれがある。本発明は、このように傾いた柱状接続体200の場合であっても上下に垂直整列されるようにして基板100にボンディングされるようにすることに特徴がある。
【0018】
このような状態で、本実施形態の柱状接続体の基板ボンディング方法は、柱状接続体200が搭載された基板100を回転させて、
図4に示すように上下反転した状態となるようにする((d)ステップ)。フラックス101の粘性に比べて、柱状接続体200は非常に軽いので、フラックス101の粘着力により、柱状接続体200は基板100に仮接着された状態となり、
図4に示すように上下がひっくり返った状態でも、柱状接続体200は基板100から落下しなくなる。
【0019】
このような状態で基板100の金属接続膜120が溶融するように、基板100と柱状接続体200との組立体を加熱する((e)ステップ)。このように基板100と柱状接続体200を加熱すると、フラックス101の助けを借りて金属接続膜120が溶融しながら柱状接続体200が基板100にボンディングされる。このとき、金属接続膜120が溶融し、フラックス101も加熱されながら、柱状接続体200を基板100に仮接着するフラックス101または金属接続膜120の粘度が低くなる。このとき、柱状接続体200を粘着する物質の粘度が低くなり、表面張力も弱くなりながら、柱状接続体200は重力の方向に合わせて垂直に整列される。特に、柱状接続体200のアスペクト比が大きいほど、柱状接続体200を垂直に整列する重力の影響が増加する。
【0020】
このように(e)ステップを行うために基板100および柱状接続体200を加熱する工程は、公知の様々な方法によって行われることができる。基板100と柱状接続体200との組立体がリフローを経由するようにする方法で(e)ステップを行うこともできる。或いは、(d)ステップによってひっくり返った状態の基板100が上面または下面にレーザーを照射する方法で金属接続膜120を加熱することもできる。
【0021】
このように(e)ステップを行って基板100を加熱する温度及び時間による温度変化は、柱状接続体200の大きさ及び形状とフラックス101、金属接続膜120の材質の特性に応じて多様に最適な方法で調節できる。このように工程条件を調節することにより、柱状接続体200は、基板100から落下せずに、柱状接続体200の傾き程度が解消され、上下垂直方向に効果的に整列されるようにすることができる。また、(b)ステップ~(d)ステップを行う過程で柱状接続体200の位置が電極パッド110の位置から一部外れても、金属接続膜120とフラックス101が溶融する過程で、溶融金属の粘性により、柱状接続体200は自然に電極パッド110の中央部に移動する。
【0022】
一方、このような(d)ステップを行う上で、真空雰囲気状態で加熱すると、金属接続膜120とフラックス101の溶融状態でボイドが発生することを防止して工程の品質を高めることができるという利点がある。
【0023】
次に、溶融した金属接続膜120が硬化するように前記基板100と柱状接続体200との組立体を冷却すると、基板100に対する柱状接続体200のボンディングが完了する((f)ステップ)。
【0024】
このように、本発明は、非常にサイズが小さくアスペクト比が大きいため扱いやすくなく、位置と方向を正確かつ精巧に調整することで、実装し難い柱状接続体200を正確かつ正しい姿勢で基板100にボンディングすることができるという利点がある。特に、発相の切り替えによって基板100を覆して柱状接続体200がフラックス101によって基板100に逆さまに吊り下げられている状態で加熱してボンディングすることにより、本発明は、別途の複雑な構成や装置を使用せずに重力の特性を利用して、微細な柱状接続体200を正確な位置と方向に整列して基板100にボンディングすることができるという利点がある。
【0025】
以上、本発明について好適な例を挙げて説明したが、本発明の範囲は、前述した形態に限定されるものではない。
【0026】
例えば、(e)ステップおよび(f)ステップは、リフローまたはレーザーを使用する方法以外に、他の様々な方法によって加熱および冷却する過程を行うことができる。
【0027】
また、以下に説明する方法のように、本発明による柱状接続体の基板ボンディング方法を行うことも可能である。
【0028】
本実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法は、先に
図1~
図5を参照して説明した実施形態とほとんどの過程が同じであるが、(d)ステップを行う際に加圧プレート300を使用するという点において違いがある。
【0029】
本実施形態による柱状接続体の基板ボンディング方法も、
図1~
図3に示すように、金属接続膜120が形成された基板100を設けるステップ((a)ステップ)と、フラックス101を塗布するステップ((b)ステップ)と、柱状接続体200を基板100に搭載するステップ((c)ステップ)とを同一に行う。
【0030】
次に、
図6に示すように、平板状の加圧プレート300を用いて柱状接続体200を基板100の上面に対して加圧する((d-1)ステップ)。このように加圧プレート300を用いて柱状接続体200を加圧すると、場合によってはフラックス101の粘性を克服しながら、柱状接続体200が基板100上に正確な位置と方向に整列されるのを助けることができる。
【0031】
このような状態で加圧プレート300を除去することもでき、
図7に示すように、加圧プレート300で柱状接続体200を加圧した状態で加圧プレート300と基板100を同時に回転させて上下反転させることもできる((d-2)ステップ)。
【0032】
このような状態で加圧プレート300を除去する((d-3)ステップ)。
【0033】
図5に示すように、基板100および柱状接続体200を加熱するステップ((e)ステップ)と、基板100と柱状接続体200との組立体を冷却するステップ((f)ステップ)を行うと、柱状接続体200の基板100に対するボンディングが完了する。
【0034】
場合によっては、加圧プレート300を除去した後に(e)ステップ及び(f)ステップを行うのではなく、(e)ステップ又は(f)ステップを行う途中で加圧プレート300を除去するステップ((d-3)ステップ)を行うこともできる。
【0035】
本実施形態も、先に
図1~
図5を参照して説明した実施形態と同一または類似の効果を有することができる。また、上述したように、加圧プレート300を追加的に使用することにより、柱状接続体200を基板100に対して整列したり傾き程度を減少させたりする追加効果を得ることができる。
【0036】
加圧プレート300の形状は、平板状に限定されるものではない。基板100上の複数の柱状接続体200を均一に加圧することが可能な構造であれば、様々な形態の加圧プレートを構成することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
100 基板
110 電極パッド
120 金属接続膜
200 柱状接続体
101 フラックス
300 加圧プレート