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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133019
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】3次元メッシュ構造体及び組立方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20240920BHJP
   B29C 48/05 20190101ALI20240920BHJP
【FI】
B29C65/08
B29C48/05
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024040402
(22)【出願日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】63/452,914
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/587,726
(32)【優先日】2024-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】599094510
【氏名又は名称】リア・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Lear Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】リサ スウィコスキー
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム バレンズエラ
(72)【発明者】
【氏名】カーティス ハドソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック レプケ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル エー.ブルジンスキー
【テーマコード(参考)】
4F207
4F211
【Fターム(参考)】
4F207AA05
4F207AA07
4F207AD05
4F207AD08
4F207AG03
4F207KA01
4F207KA17
4F207KL64
4F207KW41
4F211AA05
4F211AA07
4F211AD16
4F211AG01
4F211AG03
4F211AH17
4F211AR12
4F211TA01
4F211TC08
4F211TD11
4F211TN22
(57)【要約】
【課題】3次元メッシュ構造体及びその組立方法を提供する。
【解決手段】無作為に接続されて第1の3次元メッシュ構造体を形成する複数の押出ポリマーフィラメントを含む本体から形成され、第1の3次元メッシュ構造体が押出ポリマーフィラメントによって形成された座席クッション。押出ポリマーフィラメントの一部分を修正する超音波工具を用いて本体の領域を加熱することによって本体が形成されて、第1の形状とは異なる第2の形状を含む第2の3次元構造体を形成する。押出ポリマーフィルムの表層は、押出ポリマーフィラメントの本体に溶接される。押出ポリマーフィラメントによって形成された第2の3次元メッシュ構造体を形成するように無作為に接続された複数の押出ポリマーフィラメントの第2の本体は、第1の本体に溶接される。本体を成形又は溶接するために超音波工具を用いて本体を修正する方法が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無作為に接続されて第1の形状の3次元構造体を形成する複数の押出ポリマーフィラメントを含む本体を提供することと、
前記押出ポリマーフィラメントの部分を超音波工具で加熱することと、
前記押出ポリマーフィラメントの前記部分のうちの少なくともいくつかを前記超音波工具で溶接して前記押出ポリマーフィラメントの前記部分を第2の形状に形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
フィルムを前記第2の形状の前記本体に組み付けることと、
前記フィルム及び前記押出ポリマーフィラメントの少なくとも一部分を加熱し、前記フィルムを前記押出ポリマーフィラメントに溶接して前記本体上に表層を形成することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の押出ポリマーフィラメントは、前記フィルムが架け渡される複数の空間を前記本体に画定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記本体は、第1の外面を含む第1の本体であり、
前記方法は、
無作為に接続されて第2の3次元構造体を形成する第2の複数の押出ポリマーフィラメントを含む第2の本体であって、前記第2の3次元構造体が前記第2の複数の押出ポリマーフィラメントによって形成された第2の外面を含む、前記第2の本体を提供することと、
前記第1の本体の前記第1の外面を前記第2の本体の前記第2の外面に接触させて組み立てることと、
前記第1の本体の前記第1の外面の第1の領域及び前記第2の本体の前記第2の外面の第2の領域を加熱することと、
前記第1の本体の前記第1の外面の前記第1の領域を前記第2の本体の前記第2の外面の前記第2の領域に溶接して前記第1の本体を前記第2の本体に接合させることと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記本体を形成するために、超音波切削工具を用いて、前記押出ポリマーフィラメントの前記本体の部分を切削することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記押出ポリマーフィラメントの第1の部分を溶接することによって形成される第1の壁と前記押出ポリマーフィラメントの第2の部分を溶接することによって形成される第2の壁とからなる溝を形成するために、前記本体の少なくとも一部分に前記超音波工具を挿入することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
超音波溶接工具である前記超音波工具を前記本体の局所領域に接触させることと、
前記超音波溶接工具によって接触された前記局所領域の前記押出ポリマーフィラメントを溶接して前記局所領域の前記押出ポリマーフィラメントを結合し、前記第1の形状の前記3次元構造体を前記第1の形状とは異なる第2の形状に形成することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
超音波溶接工具である前記超音波工具で前記本体の外面の局所領域において前記本体を貫通し、前記超音波溶接工具で前記本体の内側の場所において前記押出ポリマーフィラメントを圧縮することと、
前記超音波溶接工具によって圧縮された前記押出ポリマーフィラメントを溶接して前記本体の内側の前記場所において前記押出ポリマーフィラメントを結合し、前記本体の内側の前記場所に取付け固定部を形成することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記押出ポリマーフィラメントは、直鎖状低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンから形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
直鎖状低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンから形成されるフィルムを前記本体に組み付けることと、
前記フィルム及び前記押出ポリマーフィラメントの少なくとも一部分を加熱し、前記フィルムを前記押出ポリマーフィラメントに溶接して前記本体上に表層を形成することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記押出ポリマーフィラメントの第1の部分を溶接することによって形成される第1の壁と前記押出ポリマーフィラメントの第2の部分を溶接することによって形成される第2の壁とからなる溝を形成するために、前記本体の少なくとも一部分に前記超音波工具を挿入することを更に含み、
前記本体に前記超音波工具を挿入することは、前記本体に前記超音波工具を部分的に又は完全に挿入することによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記超音波工具は、ロボットによって操作される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
無作為に接続されて第1の3次元構造体を形成する複数の押出ポリマーフィラメントを含む本体であって、前記第1の3次元構造体が前記押出ポリマーフィラメントによって形成された第1の形状を含む、前記本体と、
前記押出ポリマーフィラメントの一部分を修正する超音波工具を用いて前記本体の領域を加熱することによって前記本体を形成して前記第1の形状とは異なる第2の形状を含む第2の3次元構造体を形成することと、
を備える、装置。
【請求項14】
前記第2の形状を含む前記第2の3次元構造体の前記押出ポリマーフィラメントに溶接された押出ポリマーフィルムの表層を更に備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記本体は、第2の形状を含む第1の本体であり、
無作為に接続されて第2の3次元構造体を形成する複数の押出ポリマーフィラメントを含む第2の本体であって、前記第2の3次元構造体が前記押出ポリマーフィラメントによって形成される、前記第2の本体と、
前記第1の本体と前記第2の本体との間に形成される少なくとも1つの溶接部と、
を更に備える、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記本体は、互いに対向する少なくとも第1の壁と第2の壁とを備える少なくとも1つの内部溝を画定し、前記第1の壁及び前記第2の壁は、前記第1の壁における前記押出ポリマーフィラメントの第1の部分を溶接し、前記第2の壁における前記押出ポリマーフィラメントの第2の部分を溶接することによって形成される、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記本体は、前記本体の第1の外周から前記本体内の場所まで延在する開口部を画定し、前記本体内の前記場所において、前記押出ポリマーフィラメントのうちの少なくともいくつかが溶接されて取付け固定部を形成する、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記本体の内側の前記場所に形成される前記取付け固定部は、
締結具受け部と、
クリップと、
平面状部材と、
ループと、
を含む群から選択される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の形状を含む前記3次元構造体の前記押出ポリマーフィラメントに溶接された押出ポリマーフィルムの表層を更に備え、
前記押出ポリマーフィルムの表層は、直鎖状低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンから形成される、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、3次元メッシュ構造体及び組立方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的の1つは、3次元メッシュ構造体及びその組立方法を提供することである。
【0003】
本発明の一態様によれば、無作為に接続されて第1の形状の3次元構造体を形成する複数の押出ポリマーフィラメントを含む本体を提供することと、押出ポリマーフィラメントの部分を超音波工具で加熱することと、押出ポリマーフィラメントの部分のうちの少なくともいくつかを超音波工具で溶接して押出ポリマーフィラメントの部分を第2の形状に形成することとを含む、方法が提供される。
【0004】
本発明の別の態様によれば、無作為に接続されて第1の3次元構造体を形成する複数の押出ポリマーフィラメントを含み、第1の3次元構造体が押出ポリマーフィラメントによって形成された第1の形状を含む、本体を備える装置であって、本体は、押出ポリマーフィラメントの一部分を修正する超音波工具を用いて本体の領域を加熱し、第1の形状とは異なる第2の形状を含む第2の3次元構造体を形成することによって形成される、装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】3次元フィラメントメッシュ構造体を部分的に備える座席アセンブリの一例の斜視図である。
図2】フィラメントメッシュ構造体を作製する製造システムの一例の概略図である。
図3】無作為にループ状にされて結合されたフィラメントから形成された3次元メッシュ構造体の概略図であり、3次元メッシュ構造体の外面にフィルムが当てられる。
図4図3の円で囲まれた部分からの3次元メッシュ構造体の断面図であり、無作為にループ状にされて結合されたフィラメントにポリマーフィルム表層が結合された状態を示す図である。
図5】超音波工具及び組み立てられた2つの3次元メッシュ構造体の概略正面図であり、超音波工具が各3次元メッシュ構造体の接合面を加熱してそれらを溶接する状態を示す図である。
図6】3次元メッシュ構造体の概略斜視図であり、超音波工具が3次元メッシュ構造体に溝を形成している状態を示す図である。
図7】超音波工具が3次元メッシュ構造体に溝を形成している状態を示す概略断面図である。
図8A】3次元メッシュ構造体に4つの異なるタイプの溝を形成する、工具の4つの代替的な実施形態の概略断面図である。
図8B】3次元メッシュ構造体に4つの異なるタイプの溝を形成する、工具の4つの代替的な実施形態の概略断面図である。
図8C】3次元メッシュ構造体に4つの異なるタイプの溝を形成する、工具の4つの代替的な実施形態の概略断面図である。
図8D】3次元メッシュ構造体に4つの異なるタイプの溝を形成する、工具の4つの代替的な実施形態の概略断面図である。
図9】外周を成形し、表面特徴部の浅い深さを向上させる超音波成形工具の概略斜視図である。
図10】3次元メッシュ構造体の概略斜視図であり、その初期形状を実線で示し、図9に示されている超音波成形工具によって形成された形状を破線で示す図である。
図11】外周を成形し、表面特徴部の浅い深さを向上させる超音波成形工具の代替的な実施形態の概略斜視図である。
図12】超音波成形工具が2つの3次元メッシュ構造体の上方に配置された状態を示す概略斜視図である。
図13】超音波成形工具が2つの3次元メッシュ構造体のうちの一方を貫通してその中に開口部を形成している状態を示す概略斜視図である。
図14】2つの3次元メッシュ構造体のうちの一方を貫通してその中に開口部を形成した後に超音波成形工具が取り外された状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
次に、実施形態を詳細に参照する。その例が添付図面に示されている。以下の詳細な説明において、様々な記載の実施形態の十分な理解を提供するために、数多くの特定の詳細を述べる。しかしながら、当業者には、様々な記載の実施形態をこれらの特定の詳細なしで実施されることが明白であろう。他の事例において、既知の方法、手順、構成要素、回路、及びネットワークについては、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように詳細には説明していない。
【0007】
開示される実施形態は例示にすぎず、様々な代替形態が可能であることを理解されたい。図面は、必ずしも正確な縮尺比で描かれているとは限らず、いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張又は最小化される場合がある。したがって、本明細書に開示される特定の構造的及び機能的な詳細は、限定するものと解釈されるべきではなく、単に、本開示に係る実施形態を様々に採用するために当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0008】
「1つ以上の」は、機能が1つの要素によって行われること、機能が例えば分散方式で2つ以上の要素によって行われること、複数の機能が1つの要素によって行われること、複数の機能が複数の要素によって行われること、又は上記の任意の組合せを含む。
【0009】
また、第1の、第2の、等の用語が、いくつかの事例において、様々な要素を説明するために本明細書において使用されるが、これらの要素はこれらの用語によって制限されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、或る要素を別の要素から区別するために使用されるにすぎない。例えば、様々な記載の実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の接点を第2の接点と称してもよく、同様に、第2の接点を第1の接点と称してもよい。第1の接点及び第2の接点は、どちらも接点であるが、同じ接点ではない。
【0010】
本明細書の様々な記載の実施形態の説明において使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的でしかなく、限定することを意図したものではない。様々な記載の実施形態の説明及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上明らかに別段の指定がなされていない限り、単数形(“a”, “an” and “the”)は、複数形も含むことを意図したものである。また、「及び/又は」という用語は、本明細書において使用される場合、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる可能な組合せを指し、これを包含するために使用されることを理解されるであろう。さらに、「~を備える」又は「~を含む」という用語は、本明細書において使用される場合、明記された特徴、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外するものではないことを理解されるであろう。
【0011】
本明細書において使用される場合、「~する場合」という用語は、任意選択で、文脈に応じて、「~するとき」、又は「~するとすぐに」、又は「判断することに応じて」、又は「検出することに応じて」を意味するものと解釈される。同様に、「判断される場合」又は「[明記された条件又は事象]が検出される場合」という言い回しは、任意選択で、文脈に応じて、「判断するとすぐに」、又は「判断することに応じて」、又は「[明記された条件又は事象]を検出するとすぐに」、又は「[明記された条件又は事象]を検出することに応じて」を意味するものと解釈される。
【0012】
図1及び図3を参照して、座席アセンブリ10の3次元メッシュ構造体110の一例が示されている。いくつかの実施形態においては、座席アセンブリ10は、例えば、自動車、トラック、バスのような陸上車両用、又は航空機若しくは船舶のような非陸上車両用の車両座席アセンブリである。例えば、陸上車両用の座席アセンブリ10は、前列の運転席又は助手席、第2列、第3列、又は他の後列の座席として成形及びサイズ決定することができ、図示されているようなバケット型座席、ベンチ型座席、又は他の座席の型を含むことができる。さらに、座席アセンブリ10は、非収納式座席であってもよいし、車両の床の空洞内に折畳み可能かつ収納可能な収納式座席であってもよい。加えて、座席アセンブリ10は、家具等の非車両用途のために構成されてもよい。
【0013】
図1に示されている構成においては、座席アセンブリ10は、座席底部20と座席背部22とを備える。座席アセンブリ10がオートバイの座席すなわち腰掛として構成される場合等、いくつかの構成においては座席背部22を省略してもよいことが企図される。
【0014】
座席底部20は、着座者を受けて、着座者の骨盤及び大腿部を支持するように構成される。座席底部20は、座席底部フレーム30と、クッション32と、トリムカバー34とを備える。
【0015】
座席底部フレーム30は、クッション32を支持する構造体である。座席底部フレーム30は、1つ以上の構造部材を含み、金属合金、ポリマー材料、繊維強化ポリマー材料、又はそれらの組合せ等の任意の好適な材料から作製することができる。いくつかの構成においては、座席底部フレーム30は、クッション32が配設されるパネル、座席パン、懸架マット、又は懸架ワイヤを含む。
【0016】
クッション32は、座席底部フレーム30上に配設される。クッション32は、着座者を支持し、着座者からの荷重力を座席底部フレーム30に分散させるコンプライアント材料(弾力性材料)から作製される。クッション32及び関連する製造方法については、以下でより詳細に説明する。
【0017】
トリムカバー34は、クッション32の少なくとも一部を覆う。加えて、トリムカバー34は、座席背部22の1つ以上の視認可能な外面を提供する。着座者は、座席アセンブリ10に着座したときにトリムカバー34上に配置され得る。トリムカバー34は、任意の好適な単数又は複数の材料、例えば、布、皮革、合成皮革、ビニール、又はそれらの組合せから作製される。トリムカバー34は、融着又は縫合等の任意の好適な方法で組み立てられた複数のトリムパネルを含むことができる。トリムカバー34は、座席底部フレーム30、クッション32、又はその両方に取り付けられる。例えば、トリムカバー34は、トリムカバー34が外れることを阻止し、トリムカバー34を座席底部フレーム30、クッション32、又はその両方の輪郭に適合させるのを助けるために、座席底部フレーム30、クッション32、又はその両方に取り付けられるトリム取付け特徴部を備えることができる。トリムカバー34は、また、以下でより詳細に説明するように、取付けパッドに取り付けられてもよい。
【0018】
座席背部22は、着座者の背中を支持するように構成される。座席背部22は、座席底部20に隣接して配設される。例えば、座席背部22は、座席底部20の上方かつ座席底部20の後側近傍に配設され得る。座席背部22は、座席底部20から離れるように略上方向に延在する。いくつかの構成においては、座席背部22は、座席底部20に取り付けられ、座席底部20に対して枢動可能とすることができる。他の構成において、座席背部22は、座席底部20に取り付けられない。例えば、車両座席背部は、いくつかの第2列座席アセンブリのように、車体構造に取り付けられてもよい。座席背部22は、座席背部フレーム40と、クッション42と、トリムカバー44と、任意選択のヘッドレスト46とを備える。
【0019】
座席背部フレーム40は、クッション42を支持する構造体である。座席背部フレーム40は、1つ以上の構造部材を含み、金属合金、ポリマー材料、繊維強化ポリマー材料、又はそれらの組合せ等の任意の好適な材料から作製することができる。いくつかの構成においては、座席背部フレーム40は、クッション42が配設されるパネル、パン、懸架マット、又は懸架ワイヤを含む。座席背部フレーム40は、いくつかの構成においては、座席底部フレーム30と一体的に形成されてもよいことも企図される。
【0020】
クッション42は、座席背部フレーム40上に配設される。クッション42は、着座者を支持し、着座者からの荷重力を座席背部フレーム40に分散させるコンプライアント材料から作製される。クッション42は、座席底部20のクッション32と一体的に形成されてもよいか、又は座席底部20のクッション32とは別個であってもよいことが企図される。クッション42及び関連する製造方法については、以下でより詳細に説明する。
【0021】
トリムカバー44は、クッション42の少なくとも一部を覆う。加えて、トリムカバー44は、座席背部22の1つ以上の視認可能な外面を提供する。着座者は、座席アセンブリ10に着座したときにトリムカバー44上に配置され得る。トリムカバー44は、任意の好適な単数又は複数の材料、例えば、布、皮革、合成皮革、ビニール、又はそれらの組合せから作製される。トリムカバー44は、1つのトリムパネル、又は融着若しくは縫合等の任意の好適な方法で組み立てられた複数のトリムパネルを含むことができる。トリムカバー44は、座席背部フレーム40、クッション42、又はその両方に取り付けられる。例えば、トリムカバー44は、トリムカバー44が外れることを阻止し、トリムカバー44を座席背部フレーム40、クッション42、又はその両方の輪郭に適合させるのを助けるために、座席背部フレーム40、クッション42、又はその両方に取り付けられるトリム取付け特徴部を備えることができる。トリムカバー44は、また、以下でより詳細に説明するように、取付けパッドに取り付けられてもよい。
【0022】
ヘッドレスト46が設けられる場合、ヘッドレスト46は、着座者の頭部を支持するように構成される。ヘッドレスト46は、座席背部22の頂部に、すなわち座席底部20の反対側に配置された座席背部22の端部に配設される。ヘッドレスト46は、座席背部22に対して1つ以上の方向に移動可能とすることができるか、又は座席背部22と一体的に形成することができる。
【0023】
クッションすなわちフィラメントメッシュ構造体を作製する製造システム60の一例を図2に示す。この例において、製造システム60は、材料供給部70、押出機72、及び漏斗74を備える。製造システム60は、また、冷却タンク76及びマテリアルハンドリングサブシステム78を備える。
【0024】
図2及び図3を参照すると、材料供給部70は、材料の固体ビーズ、フレーク、顆粒、ペレット、又は粉末等の、押し出される原材料を保持する。いくつかの構成においては、材料供給部70は、容器又はホッパーとして構成される。材料供給部70は、原材料を押出機72へ供給する。
【0025】
押出機72は、原材料を溶融し、原材料を押し出して複数のフィラメント112にする。押出機72は、任意の好適な構成を有することができる。いくつかの構成においては、押出機72は、回転可能なスクリュー及び加熱要素を収容するバレルを備える。スクリューの回転は、バレルの中を通して材料を移動させ、スクリューが回転するときに発生する摩擦により材料を加熱するのを助ける。材料は、加圧下で溶融状態でバレルを出て、加圧下で押出機72のダイ80へ輸送される。
【0026】
ダイプレート又は押出ダイとも称され得るダイ80は、溶融材料が通過する複数の貫通孔すなわちフィラメント形成開口部を有する。単一のフィラメント112が各貫通孔から押し出される。フィラメント112は、重力下でダイ80から漏斗74へと下向きに落下する。
【0027】
漏斗74は、フィラメントが曲がるか、カール状となるか、又はループ状となり、フィラメント112が少なくとも1つの他のフィラメント112に接触及び結合する、よりコンパクトな配列にフィラメント112を統合すなわちグループ化する。漏斗74は、入口開口部すなわち漏斗入口と、漏斗入口よりも小さい出口開口部すなわち漏斗出口とを有する。個々の分離されたフィラメント112は、漏斗入口に入る。フィラメント112は、曲がるか、カール状となるか、又はループ状となり、蓄積するにつれて移動して接触する。フィラメント112は、漏斗74を通って漏斗出口へ向かって移動する。いくつかのフィラメントは、フィラメントが漏斗出口へ向かって移動するにつれて、漏斗74又は漏斗74に配置される介在シートに沿って摺動し得る。結合部が、接触点においてフィラメント112間に形成され、一方、フィラメント112間の開口部すなわち空隙が、1つのフィラメント112が別のフィラメント112に接触又は結合しない他の場所に存在する。絡み合って結合したフィラメント112は、漏斗74の漏斗出口を通過し、冷却タンク76に入る。参照の便宜上、結合されたフィラメント112は、メッシュ部材又はフィラメントメッシュ構造体110と称される。
【0028】
冷却タンク76は、水又は水と別の流体との混合物等の液体を保持する。冷却タンク76内の液体は、絡み合って結合したフィラメント112を支持して、フィラメント112が開口部すなわち孔がより少ない配置に更に圧縮すなわち圧密化されるのを制限するのに役立ち、フィラメントメッシュ構造体110の所望の多孔性及び密度を維持する。したがって、液体は、フィラメントメッシュ構造体110を更に構築するように、液体の表面に隣接して又は漏斗74内でフィラメント112が更に曲がるか、カール状となるか、又はループ状となり得る、或る程度の浮力又は抵抗を提供する。液体は、また、フィラメント112が液体中にあるときにフィラメント112を冷却する。例えば、液体は、フィラメント112を外側から冷却してフィラメント112を凝固させ、フィラメント112が更なる場所で結合するのを防止する。この時点で、フィラメント112は、比較的堅くなり、もはや塑性状態ではなくなることで、概して、形状を維持し、再加熱されることなくしては成形可能又は再成形可能ではなくなっている。
【0029】
マテリアルハンドリングサブシステム78は、冷却タンク76を通してフィラメントメッシュ構造体110を輸送する。マテリアルハンドリングサブシステム78は、液体を通して液体の外にフィラメントメッシュ構造体110を移動させるのを助ける様々なローラー及びコンベヤを備える。いくつかの構成においては、牽引コンベヤ92が、冷却タンク76内に設けられ、フィラメントメッシュ構造体110を漏斗74から引き離すことに役立ち、フィラメント112の浮力に対抗する。
【0030】
ローラー94等の1つ以上の他のローラーは、フィラメントメッシュ構造体110を液体中に浸漬された状態に保ち、冷却タンク76を通してフィラメントメッシュ構造体110を誘導する。例えば、ローラー94は、フィラメントメッシュ構造体110を、冷却タンク76の外側に配設されたコンベヤベルト96及び振とう機テーブル98へ向けて誘導することができる。振とう機テーブル98は、液体を除去するために、フィラメントメッシュ構造体110がコンベヤベルト96上にある間にフィラメントメッシュ構造体110を振とうさせる。代替的に、又は加えて、フィラメントメッシュ構造体110は、液体を除去するために圧搾されてもよく、空気が、フィラメントメッシュ構造体110から液体を除去することに役立つように、フィラメントメッシュ構造体110に向かって吹き付けられてもよく、又は両方であってもよい。また、フィラメントメッシュ構造体110は、そのまま干して乾かしたり、周囲空気中で乾燥させたりできることが企図される。
【0031】
上記の製造システム60は、フィラメント押出しが中断されない場合にフィラメントメッシュ構造体110が連続的な構造体として形成される連続フロープロセスである。フィラメントメッシュ構造体110を個々のクッション用の個々の部品すなわち素材に切断する、フィラメントメッシュ構造体110の更なる処理が冷却タンク76を出た後に提供される。このような処理は、製造システム60の切断サブシステムによって行われる。切断システムは、任意の好適なタイプのものとすることができる。例えば、切断システムは、ブレード、ナイフ、ホットナイフ、鋸、流体ジェット等を用いて、フィラメントメッシュ構造体110のフィラメント112を切断して素材(ブランク)にすることができる。切断システムは、素材を成形又は輪郭形成するために使用することができる。素材は、素材全体又はその一部の成形等の他の製造プロセスによって更に成形又は輪郭形成されてもよいことも企図される。
【0032】
図1及び図3を参照すると、3次元メッシュ構造体110の一例が示されている。3次元メッシュ構造体110は、車両座席用のクッション等のクッションとすることができる。車両座席用の3次元メッシュ構造体110には、座席背部22、座席底部20、又はこれらの組合せを設けることができる。3次元メッシュ構造体110は、トリムカバー34によって少なくとも部分的に隠されてもよく、座席底部フレーム30、座席背部フレーム40、パネル、支持ワイヤ等の座席アセンブリの支持構造体によって直接的又は間接的に支持されてもよい。代替的に、3次元メッシュ構造体110は、他の内装トリム部品のためのパッドとして使用することができる。
【0033】
3次元メッシュ構造体110は、無作為にループ状にされ結合されたフィラメント112で形成された3次元メッシュ構造体110である。図面において、3次元メッシュ構造体110のフィラメント112は、3次元メッシュ構造体110の断面図を表すために、無作為に描かれた線によって絵で表されている。フィラメント112は、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、又はこれらの組合せである熱可塑性樹脂等の熱可塑性材料から作製された押出フィラメントとすることができる。フィラメント112は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)から作製されてもよい。したがって、3次元メッシュ構造体110及びそのフィラメント112は、ウレタン又はポリウレタンフォーム等の発泡体から作製されず、3次元メッシュ構造体110は、部分的又は完全に、従来の発泡体座席クッションに取って代わり得る。フィラメント112が強化繊維を含む場合、強化繊維は、熱可塑性ポリマーから作製される必要はなく、有機材料、無機材料、又は熱硬化性ポリマーであってもよいことも企図される。
【0034】
押出フィラメント112は、無作為にループ状にされるか、カール状にされるか、又は絡み合わされてもよく、1つのフィラメント112が別のフィラメントと接触する場所で結合されてもよく、それによって、フィラメント112間の開口部すなわち空隙を画定する軽量の通気性クッションがもたらされる。押出フィラメントメッシュクッションを作製する方法は、米国特許出願第17/555,875号に開示されており、その全体がこの引用により本明細書の一部をなす。
【0035】
図1及び図3を参照すると、クッション32を含む3次元メッシュ構造体110の一例が示されている。クッション32は、参照の便宜上、全体的に参照符号32で示される。クッション32の構造及び説明は、座席底部20のクッション32、座席背部22のクッション42、又はその両方に適用可能であることを理解されたい。
【0036】
クッション32は、非発泡構成要素であるか、又は少なくとも1つの非発泡構成要素を含む。非発泡構成要素は、主に、メッシュ部材と称されるが、撚り部材、ループ状部材、絡合部材、フィラメントメッシュ構造体、メッシュ構造体、撚りメッシュ、ループ状メッシュ、絡合メッシュ、又はメッシュクッションとも称され得る。クッション32は、ウレタン又はポリウレタンフォーム等の発泡構成要素すなわち発泡材料を含まない、非発泡構成要素として描かれるが、クッション32は、また、非発泡構成要素に加えて、発泡構成要素すなわち発泡材料を含み、付加的なクッション性又は局所的なクッション性を着座者に提供し得ることが企図される。例えば、発泡材料は、クッション32とトリムカバー(例えば、トリムカバー34、44)との間に設けることができ、トリムカバーは、クッション32の上に、クッション32内に、又はそれらの組合せで配置される。クッション32に提供される発泡材料の量を低減すること、又はクッション32から発泡材料を排除することにより、重量を低減し、着座者の支持及び快適性を向上させることができる。加えて、発泡材料を排除することにより、クッション32のリサイクルを容易にすることができる。
【0037】
クッション32については、以下、クッション32が発泡材料を含んでいないという状況で説明する。この状況において、3次元メッシュ構造体110は、以下でより詳細に説明するように、無作為にループ状にされ、曲げられ、カール状にされ、又は絡み合わされ、結合されたポリマー材料のフィラメント112から作製される。フィラメント112の一例を図3及び図4に示す。フィラメント112は、樹脂又は他の中間材料で間接的に結合されるのではなく、別のフィラメント112に直接的に結合される。
【0038】
ストランド又はスレッドとも称され得るフィラメント112は、任意の適切な単数又は複数の材料から作製される。いくつかの構成においては、フィラメント112は、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリイミド系、ポリオレフィン系(例えば、ポリプロピレン系、ポリエチレン系等)、ポリスチレン系、又はそれらの組み合わせである熱可塑性樹脂等のポリマー材料又は熱可塑性材料から作製される。1つの例として、ポリエチレン系フィラメントは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPDE)から作製されてもよい。フィラメント材料は、発泡材料とは異なりリサイクル可能であり得るか、又は発泡材料よりも容易にリサイクルされ得る。フィラメント112が強化繊維を含んでもよく、強化繊維が熱可塑性材料で作製されていなくてもよいことも企図される。
【0039】
いくつかの構成において、フィラメント112は、単一の材料から作製されるモノフィラメントであってもよい。いくつかの構成において、フィラメント112は、複数の材料から作製される。一例として、複数の材料から作製されたフィラメント112は、第1の熱可塑性材料から作製されたコア(芯)と、コアを取り囲み、第1の熱可塑性材料とは異なる第2の熱可塑性材料から作製されたシース(外被)とを含み得る。クッション32は、モノフィラメントと、複数の材料から作製され、モノフィラメントではないフィラメントとの組合せを含んでもよいことが企図される。
【0040】
無作為にループ状にされ、曲げられ、輪状にされ、カール状にされ、又は絡み合わされたフィラメント112は、1つのフィラメント112が別のフィラメント112に接触する場所で結合され、それによって、フィラメント112間の開口部すなわち空隙を画定する軽量の通気性クッション(例えば、クッション32及び/又は42)すなわちメッシュ構造体がもたらされる。
【0041】
3次元メッシュ構造体110を作製するために使用されるプロセスは、長方形断面等の略均一な断面を有する、3次元メッシュ構造体110をもたらし得る。さらに、3次元メッシュ構造体110のフィラメント112は、フィラメント112が比較的堅くなり、もはや塑性状態でなくなることで成形可能又は形成可能ではなくなるように、冷却及び硬化されてもよい。略均一な断面は、所望の座席プロファイル又は他の部品プロファイルを提供しない場合がある。3次元メッシュ構造体110の断面は、1つ以上の窪み、突出領域、湾曲領域等を提供するために、その元の略均一な断面プロファイルから変更される。
【0042】
図3及び図4を参照すると、3次元メッシュ構造体110は、フィルム114の層が3次元メッシュ構造体110の外面に取り付けられた状態で示されている。フィルム114及びフィラメント112は、1つの実施形態においては、両方とも、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)等の熱可塑性材料から形成される。フィルム114は、3次元メッシュ構造体110の外面の周りに巻き付けられ、熱がフィルム114及び3次元メッシュ構造体110に加えられて、フィルム114を溶融させ、フィルム114をフィラメント112に溶接する。
【0043】
図5を参照すると、超音波工具116は、ロボット119のエンドエフェクターとして操作される。超音波工具116は、2つの3次元メッシュ構造体110’及び110’’の間に挿入された状態で示されている。超音波工具116は、2つの3次元メッシュ構造体110’及び110’’を、それらが溶接されるべき場所で超音波により加熱する。代替として、工具116が抵抗性加熱システムを備えるものであるか、又は2つの3次元メッシュ構造体110’及び110’’を加熱してそれらを溶接するためにレーザー加熱システムを使用することができる。
【0044】
図6及び図7を参照すると、内部溝加工システムが開示されており、超音波溝加工工具118が、3次元メッシュ構造体110に溝120を形成している状態で示されている。超音波溝加工工具118は、溝加工工具118の一方の側で押出ポリマーフィラメント112の一部分を溶接することによって第1の壁122Aを形成し、溝加工工具118の別の側で押出ポリマーフィラメント112の第2の部分を溶接することによって第2の壁122Bを形成して、2つの壁122A及び122Bを含む溝120を形成する。図7を参照すると、溝加工工具118は、逃がし開口部126を画定する支持部材124によって裏打ちされた3次元メッシュ構造体110を完全に貫通している状態で示されている。
【0045】
図8A図8Dを参照すると、上記の溝加工工具118を使用する4つの異なる用途の例が示されている。図8Aにおいては、メッシュ構造体110’及び110’’によって画定される溝穴(スロット)120は、2つの3次元メッシュ構造体110’及び110’’を完全に貫通して延在する。図8Bにおいて、メッシュ構造体110’及び110’’によって画定される溝穴120は、第1の3次元メッシュ構造体110’を完全に貫通し、第2の3次元メッシュ構造体110’’を部分的に通して延在する。図8Cにおいては、メッシュ構造体110’及び110’’によって画定される溝穴120は、単一の3次元メッシュ構造体110を部分的に通して延在する。図8Dにおいては、メッシュ構造体110’及び110’’によって画定される溝穴120は、図8Aのように、2つの3次元メッシュ構造体110を完全に貫通して延在する。溝加工工具118(図7に示されている)は、また、溝加工工具118が溝120をプランジ切削するのと同時に、逃がし領域128を形成する。逃がし領域128は、溝加工工具118の上部によって形成される。
【0046】
図9及び図10を参照すると、超音波成形工具132が示されており、超音波成形工具132は、成形工具132の超音波出力を調整及び平衡化する対称形状を有する。工具132は、図10に示されている3次元メッシュ構造体110と係合するように移動される。3次元メッシュ構造体110は、図10の実線で示されているように、初めに、長方形ブロックとして提供される。3次元メッシュ構造体110は、成形工具132によって成形された後、図10の破線で示されているように、丸みを帯びた外周を有するように形成される。超音波エネルギーを用いてフィラメント112(図3及び図4に示されている)を加熱することにより、成形工具132によって圧力が印加されている間に、フィラメント112が溶融してフィラメント112の融点に近づく。成形工具132が後退すると、フィラメント112は冷却され、成形工具132によってプレスされた形状を保持する。成形工具132は、浅い深さの表面特徴部を形成するために使用することもできる。
【0047】
図11を参照すると、成形工具134の代替的な実施形態が示されており、これは、成形工具134の超音波出力を調整及び平衡化するために逆対称である2つの半体として提供される。工具134は、図9の工具と同様の方法で使用される。
【0048】
図12図14を参照すると、3次元メッシュ構造体110’及び110’’に板状部138又は受け部136を形成するプロセスが開示されている。受け部136は、座席カバー、トリム部品、又は他の付属品を3次元メッシュ構造体110に取り付けるために様々な締結具が固定されるクリップ、棒状部、又は板状部138の一部を含む。図12においては、溶接ホーン又は音波発生器等の超音波工具116は、2つの3次元メッシュ構造体110’及び110’’の上方に配設される。図13においては、超音波工具116は、(図示されているように)頂部の3次元メッシュ構造体110’を貫通した状態で示されている。「頂部」のメッシュ構造体110’と称するのは、図12に図示されている向きを指すものであり、本開示を何らかの特定の向きに限定するものではない。次いで、超音波工具116は、図13の矢印によって示されているように、下部3次元メッシュ構造体110’’に対して前後に移動され、2つのメッシュ構造体110’及び110’’の間に超音波振動及び摩擦を生成し、2つの3次元メッシュ構造体110’及び110’’の間に溶融ポリマーの図14に示されるような板状部138を形成する。
【0049】
本開示の1つの態様によれば、無作為に接続されて第1の形状の3次元構造体を形成する複数の押出ポリマーフィラメント112を含む本体110を提供するステップと、押出ポリマーフィラメント112の部分を超音波工具116で加熱するステップと、押出ポリマーフィラメント112の部分のうちの少なくともいくつかを超音波工具116で溶接して押出ポリマーフィラメント112の部分を第2の形状に形成するステップとを含む方法が開示される。
【0050】
この方法の別の態様は、フィルム114を第2の形状の本体110に組み付けるステップと、フィルム114及び押出ポリマーフィラメント112の少なくとも一部分を加熱し、フィルム114を押出ポリマーフィラメント112に溶接して本体110上に表層(スキン)を形成するステップとを更に含む。
【0051】
本方法の別の態様によれば、複数の押出ポリマーフィラメント112は、フィルム114が架け渡される複数の空間を本体110に画定する。
【0052】
この方法の別の態様は、無作為に接続されて第2の3次元構造体を形成する第2の複数の押出ポリマーフィラメント112を含む第2の本体110’’であって、第2の3次元構造体が押出ポリマーフィラメント112によって形成された第2の外面を含む、第2の本体110’’を提供するステップと、第1の本体110’の第1の外面を第2の本体の第2の外面に接触させて組み立てるステップと、第1の本体110’の第1の外面の第1の領域及び第2の本体110’’の第2の外面の第2の領域を加熱するステップと、第1の本体110’の第1の外面の第1の領域を第2の本体110’’の第2の外面の第2の領域に溶接して第1の本体110’を第2の本体110’’に接合させるステップとを更に含む。
【0053】
本開示の1つの態様によれば、本体110を形成するために、超音波切削工具116を用いて、押出ポリマーフィラメント112の本体の部分が切削される。
【0054】
この方法の別の態様は、押出ポリマーフィラメント112の第1の部分を溶接することによって形成される第1の壁122Aと押出ポリマーフィラメントの第2の部分を溶接することによって形成される第2の壁122Bとを含む溝120を形成するために、本体110の少なくとも一部分に超音波工具116を挿入するステップを更に含む。
【0055】
この方法の別の態様は、超音波溶接工具である超音波工具116を本体110の局所領域に接触させるステップと、超音波溶接工具116によって接触された局所領域の押出ポリマーフィラメント112を溶接して局所領域の押出ポリマーフィラメント112を結合し、第1の形状の3次元構造体を第1の形状とは異なる第2の形状に形成するステップとを更に含む。
【0056】
この方法の別の態様は、超音波溶接工具である超音波工具116で本体110の外面の局所領域において本体110を貫通し、超音波溶接工具116で本体110の内側の場所において押出ポリマーフィラメント112を圧縮するステップと、超音波溶接工具116によって圧縮された押出ポリマーフィラメント112を溶接して本体110の内側の場所において押出ポリマーフィラメント112を結合するステップとを更に含む。
【0057】
本方法の別の態様によれば、押出ポリマーフィラメント112は、直鎖状低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンから形成される。
【0058】
この方法の別の態様は、直鎖状低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンから形成されるフィルム114を本体110に組み付けるステップと、フィルム114及び押出ポリマーフィラメント112の少なくとも一部分を加熱し、フィルム114を押出ポリマーフィラメント112に溶接して本体110上に表層を形成するステップとを更に含む。
【0059】
この方法の別の態様は、押出ポリマーフィラメントの第1の部分を溶接することによって形成される第1の壁122Aと押出ポリマーフィラメントの第2の部分を溶接することによって形成される第2の壁122Bとからなる溝120を形成するために、本体110の少なくとも一部分に超音波工具116を挿入するステップを更に含み、本体110に超音波工具116を挿入するステップは、本体110に超音波工具116を部分的に又は完全に挿入することによって実行される。
【0060】
本方法の別の態様によれば、超音波工具116は、ロボット119によって操作される。
【0061】
本開示の1つの態様によれば、無作為に接続されて第1の3次元構造体を形成する複数の押出ポリマーフィラメント112を含む本体110であって、第1の3次元構造体が押出ポリマーフィラメント112によって形成された第1の形状を含む、本体110と、押出ポリマーフィラメント112の一部分を修正する超音波工具116を用いて本体110の領域を加熱することによって本体110を形成して第1の形状とは異なる第2の形状を含む第2の3次元構造体を形成することとを備える、装置が開示される。
【0062】
本装置の別の態様によれば、押出ポリマーフィルム114の表層は、第2の形状を含む第2の3次元構造体上の押出ポリマーフィラメント112に溶接されている。
【0063】
本装置の別の態様によれば、本体110は、第2の形状を含む第1の本体110’であり、本装置は、無作為に接続されて第2の3次元構造体を形成する複数の押出ポリマーフィラメント112を含む第2の本体であって、第2の3次元構造体が押出ポリマーフィラメント112によって形成される、第2の本体110’’と、第1の本体と第2の本体との間に形成される少なくとも1つの溶接部とを更に備える。
【0064】
本装置の別の態様によれば、本体は、互いに対向する少なくとも第1の壁122Aと第2の壁122Bとを備える少なくとも1つの内部溝120を画定し、第1の壁122A及び第2の壁122Bは、第1の壁122Aにおける押出ポリマーフィラメントの第1の部分を溶接し、第2の壁122Bにおける押出ポリマーフィラメントの第2の部分を溶接することによって形成される。
【0065】
本装置の別の態様によれば、本体110は、本体110の第1の外周から本体110内の場所まで延在する開口部120を画定し、本体110内の場所において、押出ポリマーフィラメント112のうちの少なくともいくつかが溶接されて取付け固定部136を形成する。
【0066】
本装置の別の態様によれば、本体110の内側の場所に形成される取付け固定部136は、締結具受け部、クリップ、平面状部材138、又はループを含む群から選択される。
【0067】
本装置の別の態様によれば、第2の形状を含む3次元構造体の押出ポリマーフィラメント112に溶接された押出ポリマーフィルム114の表層は、直鎖状低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンから形成される。
【0068】
例示的な実施形態を上述したが、これらの実施形態が本開示による全ての可能な形態を表すことは意図されていない。その点で、本明細書に使用されている文言は、限定ではなく記述のための文言であり、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが理解される。加えて、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、本開示による更なる実施形態を形成することができる。
【0069】
本出願は、2023年3月17日に出願された米国仮特許出願第63/452,914号の利益を主張し、その出願の開示内容は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】