(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133020
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】半導体材料の少なくとも1つの単結晶を成長させる昇華システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C30B 23/06 20060101AFI20240920BHJP
C30B 29/36 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C30B23/06
C30B29/36 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024040412
(22)【出願日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】23161965
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519167232
【氏名又は名称】サイクリスタル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ミューラー
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルド エッカー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ シュー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ストックマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フォーゲル
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BE08
4G077DA02
4G077EG18
4G077EG25
4G077HA06
(57)【要約】
【課題】本発明は、バルク半導体単結晶を成長させるためのシステム及び方法、より具体的には、物理的気相輸送に基づいて、バルク半導体単結晶、例えば、炭化ケイ素を成長させるためのシステム及び方法に関する。
【解決手段】昇華システムは、長手方向軸(212)と、長手方向軸(212)に沿って延在する側壁(218)とを有するるつぼ(202)であって、少なくとも1つの種結晶(210)のための固定手段と、原材料(208)を収容するための少なくとも1つの原材料区画(204)とを含むるつぼ(202)と、るつぼ(202)の長手方向軸(212)に沿ってるつぼ(202)の周囲に温度場を発生させるための加熱系と、るつぼ(202)の側壁(218)において原材料区画(204)内に配置された断熱ユニット(214)とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇華成長工程によって半導体材料の少なくとも1つの単結晶を成長させるための昇華システム(200)であって、前記昇華システム(200)は、
長手方向軸(212)と、前記長手方向軸(212)に沿って延在する側壁(218)とを有するるつぼ(202)であって、少なくとも1つの種結晶(210)のための固定手段と、原材料(208)を収容するための少なくとも1つの原材料区画(204)とを備える、るつぼ(202)と、
前記るつぼ(202)の前記長手方向軸(212)に沿って前記るつぼ(202)の周囲に温度場を発生させるための加熱系と、
前記るつぼ(202)の前記側壁(218)において前記原材料区画(204)内に配置された断熱ユニット(214)と、
を備える、昇華システム(200)。
【請求項2】
断熱材料は、動作中に温度が前記原材料区画(204)の前記側壁(218)の残りの部分よりも高い領域に隣接して配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、前記るつぼ(202)を囲む外側絶縁ユニットをさらに備える、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも1つのピラーが、前記原材料区画(204)内に前記長手方向軸(212)に沿って配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記原材料区画(204)は、前記長手方向軸(212)を横切って延在するバリアによって2つの別個の区画に分割され、
前記るつぼ(202)は、少なくとも2つの種結晶(210)のための固定手段を備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記加熱系は、動作中に前記長手方向軸(212)を横切って延在する前記バリアにおける温度が、前記原材料区画(204)の前記側壁(218)の残りの部分よりも高くなるように配置される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記断熱ユニット(214)の熱伝導率は、前記原材料(208)の熱伝導率及び/又は前記側壁(218)の材料の熱伝導率よりも低い、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記断熱ユニット(214)の気孔率は、前記原材料(208)の気孔率及び/又は前記外側絶縁ユニットの材料の気孔率よりも高い、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記断熱ユニット(214)の体積は、前記るつぼ(202)の体積の10%~50%であり、好ましくは、前記断熱ユニット(214)の体積は、前記るつぼ(202)の体積の35%である、請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記断熱ユニット(214)の熱伝導率は、前記るつぼ(202)の材料の熱伝導率よりも少なくとも20%小さい、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記断熱ユニット(214)の気孔率は、前記るつぼ(202)を構築するために使用される黒鉛の気孔率の50%~90%であり、好ましくは、前記断熱ユニット(214)の気孔率は、前記るつぼ(202)を構築するために使用される前記黒鉛の気孔率の70%である、請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記断熱ユニット(214)は、多孔質黒鉛、黒鉛フェルト、及び黒鉛粉末のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から11のいずれか1記載のシステム。
【請求項13】
前記断熱ユニット(214)は、前記るつぼ(202)の前記側壁(218)に沿ってリングを形成する、請求項1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記断熱ユニット(214)の内壁が漏斗形状を形成するか、又は
前記断熱ユニット(214)の前記内壁は凹状円筒を形成する、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
昇華成長工程によって半導体材料の少なくとも1つの単結晶を成長させる方法であって、前記方法は、
長手方向軸(212)と、前記長手方向軸(212)に沿って延在する側壁(218)とを有するるつぼ(202)を提供し、少なくとも1つの種結晶(210)を前記るつぼ(202)の固定手段に固定し、原材料(208)を少なくとも1つの原材料区画(204)に充填するステップと、成長工程の少なくとも一部の間、断熱ユニット(214)が、前記るつぼ(202)の前記側壁(218)において前記原材料区画(204)内に存在し、
加熱系によって、前記るつぼ(202)の周囲に、かつ前記るつぼ(202)の前記長手方向軸(212)に沿って温度場を発生させるステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルク半導体単結晶を成長させるためのシステム及び方法、より具体的には、物理的気相輸送に基づいて、バルク半導体単結晶、例えば、炭化ケイ素を成長させるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は、広範囲の用途、例えば、パワーエレクトロニクス、無線周波数、及び発光半導体部品における電子部品のための半導体基板材料として広く使用されている。
【0003】
物理的気相輸送(PVT)は、一般に、バルクSiC単結晶を成長させるために、特に商業目的のために使用される。SiC基板は、(例えばワイヤソーを使用して)バルクSiC結晶からスライスを切断し、一連の研磨ステップでスライス面を仕上げることによって製造される。仕上げられたSiC基板は、半導体部品の製造、例えば、適切な半導体材料(例えば、SiC、GaN)の薄い単結晶層がSiC基板上に堆積されるエピタキシャル工程に使用される。堆積した単層及びそこから生成される成分の特性は、下地基板の品質及び均一性に決定的に依存する。このために、SiCの優れた物理的、化学的、電気的及び光学的特性は、パワーデバイス用途のための好ましい半導体基板材料となる。
【0004】
PVTは、適切な原材料の昇華と、それに続く、単結晶の形成が起こる種結晶での再凝縮とを本質的に含む結晶成長方法である。原材料及び種結晶は、成長構造の内部に配置され、そこで原材料は加熱によって昇華される。その後、昇華した蒸気は、原材料と種結晶との間に確立された勾配を有する温度場により制御された様式で拡散し、種上に堆積して、単結晶として成長する。
【0005】
従来のPVTベースの成長システムは、一般に、原材料を昇華させるために誘導加熱系又は抵抗加熱系のいずれかを使用する。いずれの場合も、PVTベースの成長システムの核心は、いわゆる反応器である。るつぼと種結晶のための固定手段とを本質的に含み、従来は黒鉛及び炭素材料から作製される成長構造は、反応器の内部に配置され、反応器の外側に配置された誘導コイルによって、又は反応器の外側若しくは内側に配置された抵抗加熱器によって加熱される。成長構造内の温度は、1つ若しくはそれ以上の高温計、又は成長構造の導入部の近くに設置された1つ若しくはそれ以上の熱電対によって測定される。真空封止された反応器は、1つ又はそれ以上の真空ポンプによって排気され、1つ又はそれ以上のガス供給部を介して不活性ガス又はドーピングガスが供給され、制御されたガス(ガス混合物雰囲気)が生成される。すべてのプロセスパラメータ(圧力、温度、ガス流量など)は、すべての関連するコンポーネント(例えば、インバータ、高温計、真空制御弁、質量流量制御(MFC)、及び圧力計)と通信するコンピュータ作動システムコントローラによって調節、制御、及び記憶されることができる。
【0006】
誘導加熱PVTシステムの場合、反応器は、通常、1つ又はそれ以上の複数のガラス管を含み、ガラス管は、任意選択により水で冷却され、反応器の内部を大気に対して封止するために両端にフランジが設けられる。このような誘導加熱PVTシステムの例は、米国特許第8,865,324B2号明細書に記載されている。
図13は、このような従来の誘導加熱PVTシステム1300を示す。
【0007】
成長装置1300は、SiC供給領域1304と結晶成長領域1306とを含む成長るつぼ1302を含む。SiC供給領域1304には、例えば、成長工程の開始前の予め仕上げられた出発材料として成長るつぼ1302のSiC供給領域1304に注入される粉末状のSiC原材料1308が配置される。原材料1308はまた、原材料1308の密度を高めるために、高密度化されてもよく、又は少なくとも部分的に固体材料からなってもよい。
【0008】
結晶成長領域1306において、成長るつぼ1302のSiC供給領域1304に対向する内壁上、例えば、そのるつぼ蓋1312上には、種結晶1310が設けられている。成長されるバルクSiC単結晶は、結晶成長領域1306内に形成されるSiC成長気相からの堆積によって種結晶1310上に成長する。成長バルクSiC単結晶及び種結晶1310は、ほぼ同じ直径を有することができる。
【0009】
るつぼ蓋1312を含む成長るつぼ1302は、電気的及び熱的に伝導性の黒鉛るつぼ材料から製造され得る。その周りには、断熱材(図示せず)が配置され、これは、例えば、フォーム状の黒鉛断熱材料を含むことができ、その気孔率は、特に、黒鉛るつぼ材料の気孔率よりも高い。
【0010】
断熱された成長るつぼ1302は、石英ガラス管として構成されてもよく、オートクレーブ又は反応器を形成する管状容器1314の内側に配置される。加熱コイル1316の形態の誘導加熱デバイスは、成長るつぼ1302を加熱するために容器1314の周りに配置される。成長るつぼ1302は、加熱コイル1316によって2000℃を超える成長温度まで、特に約2200℃まで加熱される。加熱コイル1316は、成長るつぼ1302の導電性るつぼ壁(いわゆるサセプタ)に電流を誘導結合する。この電流は、実質的に循環電流として、円形で中空円筒形のるつぼ壁内を周方向に流れ、その過程で成長るつぼ1302を加熱する。サセプタは、黒鉛、TaC、WC、Ta、W、又は他の高融点金属から作製することができる。サセプタの主な目的は、るつぼ1302の内部に熱源を提供することである。サセプタが誘導加熱されると、サセプタの表面は高温になり、その温度は伝導及び/又は放射によってるつぼ1302の内部に伝達される。
【0011】
上述したように、誘導コイル1316は、ガラス管1314の外側に取り付けられ、通常、電磁放射を遮蔽するための電磁シールドを形成するファラデーケージ(図示せず)によって囲まれる。
図13の例に示すように、誘導コイル1316は、等距離の巻線で巻かれ得る。
【0012】
さらに、従来の抵抗加熱されたPVTシステムでは、加熱抵抗素子は反応器の内部に取り付けられる。反応器が金属、高融点金属及び/又は黒鉛で作製される場合、水又は空気によって冷却することができる。抵抗加熱されたPVTシステムの例は、米国特許出願公開第2016/0138185A1号明細書及び米国特許出願公開第2017/0321345 A1号明細書に記載されている。
【0013】
高品質の結晶の成長には、半径方向における成長るつぼへの熱の均一な結合が非常に重要であると考えられる。熱を可能な限り均一に結合させることによって、結晶も可能な限り均一かつ対称的に成長するはずである。とりわけ、これは、不均一で非対称な熱分布及び関連する不均一で非対称な成長によって形成が促進される、ステップ転位とも呼ばれる、貫通らせん転位(TSD)及び貫通刃状転位(TED)の形成を防止するはずである。
【0014】
その結果、PVT成長システムは、種及び成長単結晶に移動する昇華ガス種のための駆動力を設定するために、半径方向に可能な限り均一であり、軸方向に規定の温度勾配を提供する温度場でるつぼの内部を加熱しなければならない。公知のPVTシステムでは、通常、黒鉛又は同等の材料で作製される反応器構造は、壁領域から加熱され、るつぼの外部から内部への温度勾配を形成する。その結果、SiC原料の変換は外側から内側に向かって低下する。
【0015】
それによって、温度が完全な変換にもはや十分ではなく、原材料の再結晶化のみが起こり、したがって結晶成長にもはや何も寄与しない領域が、原料区画内に作り出される。この効果は、ケイ素及び炭素リッチガス種の異なる分圧によって引き起こされる、焼結SiC粉末の炭素スポンジへの変態によって増強される。炭素スポンジは、成長時間の増加とともにその熱伝導率を減少させ、加熱器と原材料との間の絶縁体としてますます作用する。この効果を打ち消すために、原材料は、さらなる成長のためにより強く加熱されなければならない。それにもかかわらず、未反応材料の残留物がしばしば残る。したがって、未反応の又は断熱された原材料は、歩留まりを大幅に低下させ、したがってコストを増大させる。
【0016】
結晶直径が増大するにつれて、反応器サイズ及び導入されたるつぼの連続的な増大も必要である。上述した効果により、反応器の直径が増大するため、導入された原材料の有効な有用性がさらに低下する。
【0017】
Si及びCを含むガス種の異なる分圧により、結晶成長に寄与する原材料の化学組成が変化する。上述の工程が、新たな材料がもはや結晶成長に利用できないことを意味する場合、気相の化学組成も変化し、これは結晶成長に影響を及ぼし、したがって結晶品質の損失をもたらす。
【0018】
SiC単結晶の経済的な製造に使用されるPVT工程では、大きな直径又は対応する長さを有する結晶を製造するために、原材料の熱伝導率の低下又は黒鉛化は不可避である。SiC含有原料の非変換の負の効果の低減は、例えば、局所加熱素子の導入によって達成することができる。
【0019】
例えば、中国実用新案第210974929U号公報から、この目的のために原料リザーバ内に中実ロッドを挿入することが知られている。
【0020】
この局所加熱素子の挿入は、るつぼ底部の下端での原材料の再結晶化を防止するとともに、原料リザーバの中心に向かう熱伝導を増加させることを意図している。その結果、より大きな体積が均一に加熱され、原料の黒鉛化が局所的に低減される。この文献では、るつぼの加熱は、誘導コイルによって可能になる。したがって、最も高温の点はるつぼの外縁部にあり、リザーバ内部のロッドは、るつぼの壁から粉末リザーバの中心へと軸方向及び半径方向に熱を輸送することによって、熱伝導によって加熱素子の延長部として機能する。
【0021】
このような追加の伝導加熱器の形状はまた、日本特許第6859800B2号公報に示されるように、様々であり得る。この文献に示されている幾何学的変形は、中国実用新案第210974929U号公報と同じ原理に対応している。日本特許第6859800B2号公報によれば、少なくとも底部の中心部分に位置する下端部に凹部を有する、一方の側が開いたシリンダが提案されている。さらに、相補的な円錐形部品がこの凹部に導入される。
【0022】
日本特許第6859800B2号公報によれば、外筒壁のみが誘導加熱又は抵抗加熱を介して加熱され、熱は追加の円錐形部品を介して粉末体積内に伝導される。
【0023】
このような構成の別の利点は、るつぼの底部で再結晶化された原材料を除去することが可能であり、したがって、るつぼ材料の寿命が延びることである。
【0024】
原材料の反応を最適化するための別の公知の手法は、日本特許第6501494B2号公報に記載されている。ここで、2つの追加の円板状の部品(発熱部材及び加熱補助部)の組み合わせが、原材料で充填された構造の下に配置される。発熱部材の直径は、加熱補助部分の直径よりも著しく小さいため、断熱材料を設置することによって、結果として生じる直径差が補償される。発熱部材の直径が増加したことにより、誘導コイルは、より効率的に結合することができ、したがって補助加熱部材及びるつぼよりも多く加熱する。熱伝導により、発熱部材は、したがって、抵抗加熱器として機能し、温度を局所的に中心に輸送し、したがって、原材料の再結晶化を低減又は防止さえする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許第8,865,324B2号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0138185A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0321345A1号明細書
【特許文献4】中国実用新案第210974929U号公報
【特許文献5】日本特許第6859800B2号公報
【特許文献6】日本特許第6501494B2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
しかしながら、物理気相輸送(PVT)によって半導体材料の単結晶を成長させるためのシステム、及び単結晶品質を向上させ、費用効果の高い方法であって、使用される原材料をより効率的に利用して、半導体材料の単結晶を製造する方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0028】
本開示は、るつぼの側壁のいくつかの領域を原材料容器から断熱することにより、るつぼ内の半径方向における温度分布がより均一になるという考えに基づく。
【0029】
るつぼの長手方向軸に沿った温度差が望ましい。しかしながら、半径方向では、温度は均一であるべきである。しかしながら、断熱ユニットのない従来の昇華システムでは、長手方向軸を横切って延在する等温線は、強い曲がりを示す。これは、温度が半径方向にも変化することを示しており、これは上述したように望ましくない効果である。断熱ユニットがるつぼの側壁に隣接して原材料区画の内側に存在する場合、これらの等温線は曲がりが少なくなり、したがって望ましくない温度不均一性を軽減することができる。
【0030】
より均一な温度分布は、成長工程中に利用可能な原材料をより効率的に使用することを可能にする。別の重要な利点は、気相組成を成長工程のより長い時間にわたって一定に保つことができることである。
【0031】
結果として生じる利点は、結晶の成長のための原材料の有効に使用可能な質量の著しい増加であり、したがって成長した単結晶の長さ及び品質の可能な増加である。
【0032】
これらの利点は、SiC単結晶を成長させるために特に良好に達成され得る。しかしながら、他の半導体結晶の昇華成長も、本開示による原理から利益を得ることができることは明らかである。
【0033】
特に、長手方向軸と、長手方向軸に沿って延在する側壁とを有するるつぼであって、少なくとも1つの種結晶のための固定手段と、原材料を収容するための少なくとも1つの原材料区画とを含むるつぼと、るつぼの長手方向軸に沿ってるつぼの周囲に温度場を発生させるための加熱系とを含む、昇華システムが提供される。断熱ユニットが、るつぼの側壁において原材料区画内に配置される。
【0034】
有利な例によれば、断熱ユニットは、動作中に温度が原材料区画の側壁の残りの部分よりも高い領域に隣接して配置される。このような配置構成は、るつぼの半径方向における均一な温度分布をもたらす。
【0035】
本システムはまた、外側絶縁ユニットを含んでもよい。このようなユニットは、るつぼの環境への熱流を減少させ、したがってエネルギー消費を減少させる。
【0036】
さらに、本システムは、原材料区画内に長手方向軸に沿って配置された少なくとも1つのピラーを含んでもよい。このバリアは、原材料区画の中心部分に熱を伝導する。したがって、半径方向における温度分布の均一性が高まる。
【0037】
別の有利な例では、原材料区画は、長手方向軸を横切って延在するバリアによって2つの別個の区画に分割され、るつぼは、少なくとも2つの種結晶のための固定手段を含む。このようなシステムの利点は、2つの結晶成長領域が同時に供給されることである。これにより、加速された製造工程、並びに空間及びエネルギーの最適化された利用が可能になる。
【0038】
前の例のシステムでは、加熱系は、動作中に長手方向軸を横切って延在するバリアにおける温度が、原材料区画の側壁の残りの部分よりも高くなるように配置されてもよい。このようなシステムは、加熱系によって発生される熱が、分割された原材料区画の両方の区画をほぼ等しく加熱し、したがって全体的なエネルギー消費を低減するという利点を有する。
【0039】
断熱ユニットの熱伝導率は、原材料の熱伝導率及び/又は側壁の材料の熱伝導率よりも低くてもよい。その結果、断熱ユニットは、原材料及び/又は側壁の材料よりも低い速度で熱を伝導する。したがって、側壁~絶縁ユニット~原材料の経路上の熱流量は、側壁~原材料の経路上の熱流量よりも小さい。これは、るつぼの半径方向における熱のより均一な分布をもたらす。
【0040】
さらなる有利な例では、断熱ユニットの気孔率は、原材料の気孔率及び/又は外側絶縁ユニットの材料の気孔率よりも高い。このような構成は、るつぼの半径方向における熱の均一な分布を可能にするように、熱伝導及び熱放射の両方が影響を受けるという利点を有する。
【0041】
さらに、断熱ユニットの体積は、るつぼの体積の10%~35%であってもよく、好ましくは、断熱ユニットの体積は、るつぼの体積の35%であってもよい。このような構成の利点は、るつぼの半径方向における熱の分布がより均一であり得ることである。
【0042】
別の有利な例では、断熱ユニットの熱伝導率は、るつぼの材料の熱伝導率よりも少なくとも20%小さくてもよい。断熱ユニットのためにこのような材料を選択することは、るつぼの半径方向における熱のより均一な分布をもたらす。
【0043】
さらなる有利な例では、断熱ユニットの気孔率は、るつぼを構築するために使用される黒鉛の気孔率の50%~90%であってもよく、好ましくは、断熱ユニットの気孔率は、るつぼを構築するために使用される黒鉛の気孔率の70%であってもよい。このような構成は、るつぼの半径方向における熱の均一な分布を可能にするように、熱伝導及び熱放射の両方が影響を受けるという利点を有する。
【0044】
さらに、断熱ユニットは、多孔質黒鉛、黒鉛フェルト、及び黒鉛粉末のうちの少なくとも1つを含むことができる。これらの材料は、るつぼの半径方向における均一な熱分布を向上させると同時に、原材料に悪影響を及ぼさないことが示された。断熱ユニットがるつぼの側壁と同じ材料から形成される場合、断熱ユニットはるつぼと一体的に形成することができ、したがって昇華システムの製造が容易になる。
【0045】
別の有利な例では、断熱ユニットは、るつぼの側壁に沿ってリングを形成することができる。したがって、断熱ユニットは、側壁の周囲領域よりも高温である側壁のすべての領域に隣接することが可能である。この配置構成は、るつぼの半径方向における熱のより均一な分布を可能にする。
【0046】
さらなる有利な例では、断熱ユニットの内壁が、漏斗形状又は凹状円筒を形成することができる。両方の形態は、るつぼの半径方向における熱の特に均一な分布をもたらす。
【0047】
本開示は、昇華成長工程によって半導体材料の少なくとも1つの単結晶を成長させる方法をさらに含み、本方法は、
長手方向軸と、長手方向軸に沿って延在する側壁とを有するるつぼを提供し、少なくとも1つの種結晶をるつぼの固定手段に固定し、原材料を少なくとも1つの原材料区画に充填するステップと、
成長工程の少なくとも一部の間、断熱ユニットが、るつぼの側壁において原材料区画内に存在し、
加熱系によって、るつぼの周囲に、かつるつぼの長手方向軸に沿って温度場を発生させるステップと、
を含む。
【0048】
上述したように、るつぼの側壁のいくつかの領域を原材料容器から断熱することにより、るつぼ内の半径方向における温度分布がより均一になる。断熱ユニットがるつぼの側壁に隣接して原材料区画の内側に存在する場合、成長工程中の等温線は曲がりが少なくなり、したがって望ましくない温度不均一性を軽減することができる。この効果は、成長工程を開始する前に挿入された断熱ユニットを提供することによって、又はるつぼ側壁の内側に適切に形成された黒鉛フォームの形成を引き起こす、単結晶の成長中の温度プロファイルを使用することによって達成され得る。
【0049】
結果として生じるより均一な温度分布は、成長工程中に利用可能な原材料をより効率的に使用することを可能にする。別の重要な利点は、気相組成を成長工程のより長い時間にわたって一定に保つことができることである。
【0050】
結果として生じる利点は、結晶の成長のための原材料の有効に使用可能な質量の著しい増加であり、したがって成長した単結晶の長さ及び品質の可能な増加である。
【0051】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本発明のいくつかの実施形態を示すために本明細書の一部を形成する。これらの図面は、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、本発明をどのように作成し、使用することができるかの好ましい例及び代替例を単に示すためのものであり、本発明を図示及び説明した実施形態のみに限定するものと解釈されるべきではない。さらに、実施形態のいくつかの態様は、個々に又は異なる組み合わせで、本発明による解決策を形成することができる。したがって、以下に記載される実施形態は、単独で、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかで考慮され得る。さらなる特徴及び利点は、添付の図面に示されるように、本発明の様々な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになり、図面において、同様の参照符号が同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】最新技術による昇華システムの概略断面側面図である。
【0053】
【
図2】第1の例による昇華システムの概略断面側面図である。
【0054】
【
図3】最新技術による昇華システムの概略断面上面図である。
【0055】
【
図4】第1の例による昇華システムの概略断面上面図である。
【0056】
【
図5】さらなる例による昇華システムの概略断面側面図である。
【0057】
【
図6】さらなる例による昇華システムの概略断面側面図である。
【0058】
【
図7】さらなる例による昇華システムの概略断面側面図である。
【0059】
【
図8】さらなる例による昇華システムの概略断面側面図である。
【0060】
【
図9】さらなる例による昇華システムの概略断面側面図である。
【0061】
【
図10】さらなる例による昇華システムの概略断面側面図である。
【0062】
【
図11】さらなる例による昇華システムの概略断面側面図である。
【0063】
【
図12】さらなる例による昇華システムの概略断面側面図である。
【0064】
【
図13】公知の昇華システムの概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、図を参照しながら、まず
図1~
図4を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0066】
本開示の効果をより良く理解するために、
図1及び
図3は、最新技術による昇華システム100を示す。このシステムは、
図2及び
図4に関連して説明されるように断熱ユニットを含まない。昇華システムという用語は、昇華成長工程によって半導体材料の少なくとも1つの単結晶を成長させるためのあらゆるシステムを包含することを意図していることに留意されたい。好ましくは、この用語は、
図13を参照して説明するように炭化ケイ素(SiC)体積単結晶を成長させるための物理的気相輸送(PVT)システムを指す。さらに、加熱系は、その特定の構造が本開示の要旨に関連しないため、
図1~
図12には示されていない。
【0067】
公知の昇華システムは、原材料区画、特にSiC供給領域104と結晶成長領域106とを含む成長るつぼ102を含む。SiC供給領域104には、例えば、成長工程の開始前の予め仕上げられた出発材料として成長るつぼ102のSiC供給領域104に注入される粉末状のSiC原材料108が配置される。原材料108は、原材料108の密度を高めるために、高密度化されてもよく、又は少なくとも部分的に固体材料からなってもよい。
【0068】
結晶成長領域106において、成長るつぼ102のSiC供給領域104に対向する内壁、例えばるつぼの上部には、種結晶110が設けられている。成長されるバルクSiC単結晶は、結晶成長領域106内に形成されるSiC成長気相からの堆積によって種結晶110上に成長する。成長バルクSiC単結晶及び種結晶110は、ほぼ同じ直径を有することができる。バルクSiC単結晶はまた、結晶チャネルの直径が種結晶110よりも大きい場合、種結晶110よりも大きい直径を有してもよい。しかしながら、成長したバルクSiC単結晶の使用可能な低欠陥直径は、通常、種結晶110の直径と同じ大きさである。
【0069】
成長るつぼ102は、電気的及び熱的に伝導性の黒鉛るつぼ材料から製造され得る。それは、断熱材(図示せず)によって囲まれており、これは、例えば、フォーム状の黒鉛断熱材料を含むことができ、その気孔率は、黒鉛るつぼ材料の気孔率よりも高い。以下では、この断熱材を外側絶縁ユニットと呼ぶ。
【0070】
誘導加熱の場合、断熱された成長るつぼ102は、石英ガラス管として構成されてもよく、オートクレーブ又は反応器を形成する管状容器(
図1には図示せず)の内側に配置される。加熱コイル(図示せず)の形態の誘導加熱デバイスは、成長るつぼ102を加熱するために容器の周りに配置される。加熱コイルは、成長るつぼ102の導電性るつぼ壁(サセプタ)に電流を誘導結合することによって、必要な温度場を発生させる。この電流は、実質的に循環電流として、円形で中空円筒形のるつぼ壁内を周方向に流れ、その過程で成長るつぼ102を加熱する。サセプタは、黒鉛、TaC、WC、Ta、W、又は他の高融点金属から作製することができ、るつぼ102の一体部分であってもよく、又はるつぼ壁に近い別個の部分であってもよい。サセプタの主な目的は、るつぼ102の内部に熱源を提供することである。サセプタが誘導加熱されると、サセプタの表面は高温になり、その温度は伝導及び/又は放射によってるつぼ102の内部に伝達される。
【0071】
上述したように、コイルは、誘導加熱の場合にはガラス管の外側に取り付けられ、通常、電磁放射を遮蔽するためにファラデーケージ(
図1では見えない)によって囲まれる。抵抗加熱の場合、コイルは、反応器内に取り付けられ、断熱材内にも取り付けられ、したがって、るつぼ102に密接に接触する。本開示の原理は、両方の加熱技術に適用可能である。したがって、コイルは、より一般的には加熱手段と呼ばれ、以下では誘導加熱及び抵抗加熱(又はそれらの組み合わせ)を包含する。
【0072】
るつぼ102の内側に形成される温度場は、中心軸120を中心に半径方向に対称であり、中心軸120に沿った方向に単結晶の成長を駆動する勾配を有する。
【0073】
加熱系は、るつぼの側壁118内のより高温の領域116をもたらす。これらの領域116は、それらの温度が側壁118の周囲領域の温度よりも高いことを特徴とする。
【0074】
図1は、軸方向熱流128及び半径方向熱流122をさらに示す。原材料108の熱伝導率及びるつぼの幾何学的形状により、半径方向熱流は、軸方向熱流よりも著しく大きい。
【数1】
【0075】
これは、著しく曲がった等温線124A~Nをもたらす。これらの強く曲がった等温線124A~Nは、るつぼの半径方向における不均一な温度分布を示す。るつぼの基部に平行な等温線は、完全に均一な温度分布を示すであろう。
図3は、システム100の上面図を示す。等温線124A、B、C、Dは、原材料にいくつかの異なる温度レベルが存在することを表しており、したがって半径方向における不均一な温度分布を示している。
【0076】
この公知の成長システムと比較して、
図2は、本発明による昇華システム200を示す。システム200は、少なくとも1つの断熱ユニットをさらに含むという点で、
図1のシステム100とは異なる。断熱ユニット214は、るつぼ218の側壁に直接隣接して原材料区画204内に配置される。本発明の一実施形態によれば、断熱ユニット214は、るつぼ218の側壁内の高温の領域216に隣接して配置されてもよい。
【0077】
図2のシステムのすべての他の特徴は、
図1を参照して説明したものと同一であり、簡潔にするために再度説明しないことに留意されたい。
【0078】
断熱ユニット214は、るつぼ218の側壁に沿ってリングを形成することができる。
【0079】
図2は、軸方向熱流220及び半径方向熱流222をさらに示す。
図1及び
図2の矢印
【数2】
の大きさによって表すように、(断熱ユニット214を有する)
図2の半径方向熱流は、
図2の公知の配置構成と比較して低減される。その結果、半径方向熱流と軸方向熱流との間の差は、システム200において低減される。これにより、等温線224A~Nは、
図2に示す等温線124A~Nよりも曲がりが少なくなる。上で指摘したように、これは、るつぼ202内の半径方向におけるより均一な温度分布を示す。
【0080】
図4は、断熱ユニット214を含むシステム200の上面図を示す。等温線224A、Bは、システム100(
図3に示す)よりも少ない明確な温度レベルが原材料208に存在することを示す。
【0081】
断熱ユニット214は、原材料208よりも低い熱伝導率を有する材料を含むことができる。さらに又はあるいは、断熱ユニット214の材料は、るつぼ218の側壁の材料よりも低い熱伝導率を有することができる。
【0082】
さらに、断熱ユニット214の材料は、原材料208よりも高い気孔率を有することができる。さらに又はあるいは、断熱ユニット214の材料は、外側絶縁ユニット(
図2に図示せず)の材料よりも高い気孔率を有することができる。
【0083】
さらにまた、断熱ユニット214の体積は、るつぼ202の体積の10%~50%であってもよい。好ましくは、断熱ユニット214の体積は、るつぼの体積の35%であってもよい。
【0084】
さらに、断熱ユニット214の熱伝導率は、るつぼの材料の熱伝導率よりも少なくとも20%小さくてもよい。
【0085】
加えて、断熱ユニット214の材料の気孔率は、るつぼ202を構築するために使用される黒鉛の気孔率の50%~90%である。好ましくは、断熱ユニット214の気孔率は、るつぼ202を構築するために使用される黒鉛の気孔率の70%である。
【0086】
断熱ユニット214の有益な効果は、成長工程を開始する前に挿入された断熱ユニットを提供することによって、又はるつぼ側壁の内側に適切に形成された黒鉛フォームの形成を引き起こす、単結晶の成長中の温度プロファイルを使用することによって達成され得る。後者の場合、断熱ユニット214は、成長工程全体の一部の間のみ存在する。
【0087】
図5は、本開示によるシステム200の別の例を示す。断熱ユニット218は、原材料区画204の底部に直接隣接するように配置される。
【0088】
図6は、本開示によるシステム200のさらなる例を示す。システム200は、原材料区画204内に配置された少なくとも1つのピラー228を含む。ピラーは、るつぼ202の底部に隣接しており、るつぼ202の中心軸212に沿って配置される。ピラー228は、原材料区画204の中心への熱伝導による熱流を提供する。
【0089】
図7及び
図8は、断熱ユニット214が特に有利な幾何学的形状を有するシステム200の2つの例を示す。
図7では、断熱ユニット214は、その内壁が原材料区画204内に漏斗を形成するように形成される。
【0090】
図8では、断熱ユニット214は、その内壁が原材料区画204内に凹状円筒を形成するように形成される。
【0091】
図9~
図12は、昇華システム900が2つの成長領域906A及び906Bを包含する有利な例を示す。
【0092】
図9では、昇華システム900は、単一の原材料区画904を含む。単一の加熱系(
図9には図示せず)が設置され、るつぼ918の側壁内に1つの高温の領域916を形成する。この高温の領域916は、原材料区画904の周囲にリングを形成する。断熱ユニット914が、高温の領域916に隣接する原材料区画904内にリングを形成する。
【0093】
図10は、2つの成長領域906A及び906Bを有する昇華システム900を示す。このシステムは、原材料区画904を2つの別個の原材料区画904A及び904Bに分割するバリア926をさらに含む。単一の加熱系(
図10には図示せず)が設置され、バリア926に隣接するるつぼ918の側壁内に1つのより高温の領域916を形成する。この高温の領域916は、原材料区画904内にリングを形成する。2つの断熱ユニット914A及び914Bが、原材料区画904A及び904B内にそれぞれ配置される。両方の断熱ユニット914A及び914Bは、高温の領域916に最も近い領域において、それぞれの原材料区画904A及び904B内にリングを形成する。
【0094】
図11は、2つの成長領域906A及び906Bを有する昇華システム900を示す。システム900は、
図9で既に説明したように、単一の原材料区画904を含む。断熱ユニット914は、その内壁が凹状円筒を形成するように配置される。
【0095】
図12は、2つの成長領域906A及び906Bを有する昇華システム900を示す。本システムは、
図10に関連して既に説明したように、2つの別個の原材料区画904A及び904Bを含む。さらに、昇華システム900は、
図6に開示されているのと同様に原材料区画904A及び904B内に配置された、少なくとも2つのピラー928A及び928Bを含むことができる。この場合も、ピラー928A、928Bは、原材料区画904A、904Bの中心への熱伝導による熱流を提供する。
【符号の説明】
【0096】
100 昇華システム、PVTシステム
102 るつぼ
104 SiC供給領域、原材料区画
106 結晶成長領域
108 原材料
110 種結晶
112 中心軸
116 高温の領域
118 るつぼの側壁
120 軸方向熱流
122 半径方向熱流
124A~N 等温線
200 昇華システム、PVTシステム
202 るつぼ
204 SiC供給領域、原材料区画
206 結晶成長領域
208 原材料
210 種結晶
212 中心軸
214 断熱ユニット
216 高温の領域
218 るつぼの側壁
220 軸方向熱流
222 半径方向熱流
224A~N 等温線
228 ピラー
900 昇華システム、PVTシステム
902 るつぼ
904,904A,904B SiC供給領域、原材料区画
906A,906B 結晶成長領域
908 原材料
910A,910B 種結晶
912 中心軸
914,914A,914B 断熱ユニット
916 高温の領域
918 るつぼの側壁
926 バリア
928A,928B ピラー
1300 PVTシステム
1302 るつぼ
1304 SiC供給領域
1306 結晶成長領域
1308 原材料
1310 種結晶
1312 るつぼ蓋
1314 容器、反応器
1316 誘導加熱コイル
【外国語明細書】