(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133022
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】大規模逆相HPLC精製のための新規の固定相
(51)【国際特許分類】
C01B 33/18 20060101AFI20240920BHJP
B01J 20/281 20060101ALI20240920BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20240920BHJP
C07K 1/16 20060101ALI20240920BHJP
B01J 20/287 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C01B33/18 E
B01J20/281 G
G01N30/88 J
B01J20/281 X
C07K1/16
B01J20/287
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024040625
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】23162706
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】ヌーリオン ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Nouryon Chemicals International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】テレーセ レ ビン トラン
(72)【発明者】
【氏名】ベリエ シグヴァード ペルソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョアキム エリック パトリック ホグブロム
【テーマコード(参考)】
4G072
4H045
【Fターム(参考)】
4G072AA25
4G072BB05
4G072DD04
4G072DD05
4G072GG01
4G072HH11
4G072HH14
4G072JJ39
4G072JJ42
4G072JJ47
4G072LL15
4G072MM23
4G072MM31
4G072QQ06
4G072RR12
4G072TT01
4G072TT08
4G072UU11
4H045AA20
4H045AA50
4H045EA20
4H045GA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大規模逆相HPLC精製、特に、GLP-1受容体作動薬及びGLP-2類似体などの、修飾複合ペプチドの精製のための、新規の固定相を開示する。特に、本発明は、大規模逆相HPLC精製のための固定相として使用され得る、シリカ粒子を提供する。
【解決手段】微細孔径が1~250オングストローム(Å)、粒子径が0.1μm~100μmのシリカ粒子であり、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から各々独立して選択される2つの基を含む。当該シリカ粒子は、GLP-1作動薬又はGLP-2類似体などの、修飾複合ペプチドの精製に適する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1~250オングストローム(Å)の微細孔径を有し、以下の一般式に従うシラン基を含むシリカ粒子であって:
【化1】
式中、R
1及びR
2は、各々独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から選択され、
Rは、水素又はシリカであり、及び
SiO
2は、シリカである、シリカ粒子。
【請求項2】
前記微細孔径が、50~150オングストローム(Å)である、請求項1に記載のシリカ粒子。
【請求項3】
R1及びR2が、同一である、請求項1又は2に記載のシリカ粒子。
【請求項4】
R1及びR2が、アルキル、好ましくは、C2~C20分岐又は非分岐アルキルである、請求項1~3のいずれかに記載のシリカ粒子。
【請求項5】
R1及びR2が、C2~C10非分岐アルキル、好ましくは、C4~C8非分岐アルキルである、請求項1~4のいずれかに記載のシリカ粒子。
【請求項6】
前記シリカ粒子が、0.1~100μm、好ましくは、1~50μmの平均粒子径を有する、請求項1~5のいずれかに記載のシリカ粒子。
【請求項7】
シリカ粒子を調製するための方法であって、
(i)1~250オングストローム(Å)の微細孔径を有する、シリカ粒子を提供する工程と、及び
(ii)シリカ粒子を、次式の化合物で修飾する工程であって、
【化2】
式中、R
1及びR
2は、各々独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から選択され、及び
X
1及びX
2は、各々独立して、ハロゲン又はアルコキシ基である、工程とを含む、方法を記載する。
【請求項8】
前記微細孔径が、50~150オングストローム(Å)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
R1及びR2が、同一である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
R1及びR2が、アルキル、好ましくは、C2~C20分岐又は非分岐アルキル、より好ましくは、C2~C10非分岐アルキル、更により好ましくは、C4~C8非分岐アルキルである、請求項7~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
X1及びX2が、塩素である、請求項7~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項7~11のいずれかに記載の方法によって得られる、シリカ粒子。
【請求項13】
請求項1~6のいずれかに記載のシリカ粒子、又は請求項7~11のいずれかに記載の方法によって得られるシリカ粒子を含む、クロマトグラフィー用の分離カラム。
【請求項14】
修飾複合ペプチド、好ましくは、GLP-1作動薬又はGLP-2類似体を、精製するための固定相としての、請求項1~6のいずれかに記載のシリカ粒子、又は請求項7~11のいずれかに記載の方法によって得られるシリカ粒子の使用。
【請求項15】
前記修飾複合ペプチドが、セマグルチド又はリラグルチドである、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1~250オングストローム(Å)の微細孔径を有し、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から各々独立して選択される2つの基を含む、シラン基を含むシリカ粒子に関する。本発明は更に、こうしたシリカ粒子を調製する方法、並びにGLP-1作動薬又はGLP-2類似体などの、修飾複合ペプチドを精製するための固定相としての、こうしたシリカ粒子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
逆相HPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、所与の混合物中に含有される全ての成分を、分離、特定、及び定量化するために、一般的に使用される技術である。医薬分野では、HPLCは、医薬、特に、修飾複合ペプチドなどの、より高い分子量を有する医薬の、必要な高グレードの精製を達成するのに特に好適である。HPLCの基本原理は、精製される混合物が、一般的にシリカ系材料である固体吸着材料で充填されたカラム、いわゆる固定相を通して、圧力下で液体溶媒と共にポンプ注入されることである。分離される混合物の各構成要素は、通常、構成要素と、吸収材料の表面及び/又は吸収材料の細孔径との、多かれ少なかれ顕著な物理的化学的相互作用に起因して、吸着材料とわずかに異なる相互作用をする。この相互作用は、異なる構成要素に対して異なる流速を引き起こし、混合物構成要素の分離をもたらす。次いで、異なる構成要素は、カラムから流出する時、異なる画分で収集されてもよい。
【0003】
HPLCカラムには、多くの異なる吸着材料が利用可能である。分離結果から、コスト、原材料の可用性の観点から非常に好適であることが判明しているシリカ粒子には、特に注意が払われている。これらのシリカ粒子をHPLC使用のために最適化する際の特定の焦点は、粒子径及び粒子の細孔径にも置かれている。しかしながら、固定相における吸収材料と、分離される混合物中の任意の潜在的な構成要素との、物理的化学的相互作用を微調整するために、官能基でシリカ粒子を修飾するいくつかの取組みがなされてきた。例えば、米国特許第9,670,067 B2号は、ハロヒドリン基を含む有機基を用いた、シリカ粒子の修飾を記載している。同様に、米国特許第10,690,6365 B2号は、C8基又はC18基で修飾された、シリカ粒子を開示している。米国特許第7,537,703 B2号では、シリカ粒子は、n-ブチル基で修飾されている。
【0004】
修飾複合ペプチドは、その精製に関して困難であることが見出されている。これは、その比較的高い分子量のためであり、これは、所望のペプチドを、いくらか類似した分子量の不純物ペプチドから分離するのを煩雑にすると想定される。こうした複合ペプチドの精製には、通常、2つ以上の精製工程が必要である。しかしながら、商業的観点からは、精製工程の数は、理想的には2つのみに限定され、同時に、高度に精製された複合ペプチドの、商業的に許容可能な収率を達成するべきである。医薬領域では、通常、少なくとも>99.5%の純度、すなわち選択性が標的とされる。したがって、固定相に好適な市販のシリカは、混合物の構成要素を、理想的には、1つの純粋な構成要素(すなわち、少なくとも>99.5%の純度を有する)を含有する画分のみに分離するのに好適であるべきであり、その結果、同一の高い選択性及び高い回収率、すなわち、この1つの純粋な化合物の全体的な収率が達成される。換言すれば、市販の好適なHPLC固定相については、一部の画分が高純度の化合物を含有することでは、十分ではない場合がある。むしろ、高純度を有するこの化合物の全体的な収率も、重要な因子である。商業的に関連する全収率は、例えば、少なくとも70%であり、好ましくは、少なくとも75%、更により好ましくは、少なくとも80%である。
【0005】
薬学的に関心のある、複合ペプチドの例は、例えば、GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)受容体作動薬、及びGLP-2(グルカゴン様ペプチド2)類似体である。これらのタイプの複合ペプチドは、肥満治療に使用される。商業的に関連するGLP-1受容体作動薬は、例えば、2型糖尿病の治療に使用される抗糖尿病薬であり、長期体重管理のための抗肥満薬である、セマグルチドである。別の商業的に関連するGLP-1受容体作動薬は、リラグルチド(N-ε-(γ-Glu(N-α-ヘキサデカノイル)))-Lys26Arg34-GLP-1(7-37)であり、NN2211としても知られる。リラグルチドは、2型糖尿病の治療及び成人における肥満の治療のために承認されている。
【0006】
しかしながら、複合ペプチドを精製する際に、既に上述した概して遭遇する問題に加えて、グルカゴン様ペプチドの精製は、特に酸性pHで凝集体を形成する傾向があるため、特に困難であることが見出されている。
【0007】
要約すると、HPLC用途、特に、高分子量分子などの医薬、例えば、GLP-1受容体作動薬及びGLP-2類似体などの修飾複合ペプチド、特に、リラグルチド及びセマグルチドの精製のための、改善された固定相に対する必要性が依然として存在する。特に、選択性(すなわち、純度)及び回収率(すなわち、収率)に関して改善された分離性能を有し、同時に、理想的には容易にアクセス可能であり、容易に利用可能であり、かつ環境的に無害である、HPLC用途のための改善されたシリカ粒子に対する必要性が存在する。更に、GLP-1受容体作動薬及びGLP-2類似体などの修飾複合ペプチドの、成功的かつ効率的な精製のために、HPLC用途で使用され得る、こうした改善されたシリカ粒子を調製するための方法を提供する必要性も存在する。
【0008】
したがって、本発明は、こうした改善されたシリカ粒子、及びシリカ粒子を生成するための方法を見出すことを対象とする。上記の問題は、1~250オングストローム(Å)の微細孔径を有し、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から各々独立して選択される2つの基を含む、シラン基を含む改善されたシリカ粒子によって解決され得ることが見出された。
【発明の概要】
【0009】
第一の態様では、本発明は、1~250オングストローム(Å)の微細孔径を有し、次式によるシラン基を含む、シリカ粒子を対象とし、
【化1】
式中、R
1及びR
2は、各々独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から選択され、Rは、水素又はシリカであり、SiO
2は、シリカである。
【0010】
第二の態様では、本発明は、シリカ粒子を調製するための方法であって、
(i)1~250オングストローム(Å)の微細孔径を有する、シリカ粒子を提供する工程と、及び
(ii)シリカ粒子を、次式の化合物で修飾する工程であって、
【化2】
式中、R
1及びR
2は、各々独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から選択され、及び、X
1及びX
2は、独立して、ハロゲン又はアルコキシ基である、工程とを含む、方法を対象とする。
【0011】
本発明は更に、第一の態様によるシリカ粒子、又は第二の態様による方法によって得られたシリカ粒子を、修飾複合ペプチド、好ましくは、GLP-1作動薬又はGLP-2類似体を、精製するための固定相として使用することを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1a】
図1aは、実施例2a)の第一の精製工程で得られた、クロマトグラムを示す。
【
図1b】
図1bは、実施例2a)の第二の精製工程で得られた、クロマトグラムを示す。
【
図2a】
図2aは、実施例2b)の第一の精製工程で得られた、クロマトグラムを示す。
【
図2b】
図2bは、実施例2b)の第二の精製工程で得られた、クロマトグラムを示す。
【
図3a】
図3aは、実施例3の第一の精製工程で得られた、クロマトグラムを示す。
【
図3b】
図3bは、実施例3の第二の精製工程で得られた、クロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第一の態様では、本発明は、大規模逆相HPLC精製、特に、GLP-1受容体作動薬及びGLP-2類似体などの、修飾複合ペプチドの精製のための、新規の固定相を開示する。特に、本発明は、大規模逆相HPLC精製のための固定相として使用され得る、シリカ粒子を提供する。
【0014】
本発明による新規の固定相は、1~250オングストローム(Å)の微細孔径を有し、次式によるシラン基を含む、シリカ粒子を含む:
【化3】
式中、R
1及びR
2は、各々独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から選択され、Rは、水素又はシリカであり、SiO
2は、シリカである。
【0015】
驚くべきことに、このような修飾シリカ粒子は、HPLC用途の固定相に使用可能であり、特に、修飾複合ペプチド、例えば、GLP-1受容体作動薬及びGLP-2類似体、特に、リラグルチド及びセマグルチドなどの、修飾複合ペプチドについて、改善された分離特性を達成できることが見出された。これらの新規な修飾シリカ粒子がHPLC用途の固定相にあることで、リラグルチド及びセマグルチドなどの粗活性医薬成分中の特定の困難な不純物は、例えば、アルカリ条件下で、第一のクロマトグラフ工程で、既に首尾よく除去されてもよい。これによって、サイクル当たり及び1時間当たり、既により精製された活性医薬成分を、第二のクロマトグラフ工程に送達することができ、これは次いで、第二のHPLC精製工程において、既に>99.5%の医薬産業の純度要求、及び<0.1%の単一不純物量を、同時に、商業的に許容可能な全収率で満たす可能性を増加させる。換言すれば、本発明の修飾シリカ粒子は、選択性並びに回収性を著しく増加させ、全体的に、有意に改善された分離生産性をもたらす。
【0016】
上記の式Iでは、残りのR1及びR2は、各々独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から選択される。
【0017】
「アルキル」という用語は、1~30個(例えば、1~20個、又は1~4個)の炭素原子を有する、直鎖状、分岐鎖状、及び/又は環状(「シクロアルキル」)炭化水素を指す。1~4個の炭素を有するアルキル部分は、「低級アルキル」と呼ばれる。アルキル部分の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4-ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4-トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、及びドデシルが挙げられる。シクロアルキル部分としては、単環式又は多環式であってもよく、例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びアダマンチルが挙げられる。アルキル部分の追加の例としては、直鎖状、分岐鎖状、及び/又は環状部分(例えば、1-エチル-4-メチル-シクロヘキシル)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、飽和炭化水素及び不飽和炭化水素、好ましくは、飽和炭化水素を含む。
【0018】
「アリール」という用語は、炭素原子及び水素原子から構成される、芳香族環、又は芳香族若しくは部分的芳香族環系を指す。アリール部分は、共に結合又は融合された、複数の環を含んでもよい。アリール部分の例としては、アントラセニル、アズレニル、ビフェニル、フルオレニル、インダン、インデニル、ナフチル、フェナントレニル、フェニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン、及びトリルが挙げられる。
【0019】
「アルキルアリール」という用語は、少なくとも1つのアルキル基及び少なくとも1つのアリール基を含む部分、例えば、アリール部分に結合されたアルキル部分を指し、ここで、「アルキル」及び「アリール」という用語は、上記に定義した通りである。
【0020】
「ヘテロアルキル」という用語は、窒素、酸素、リン、硫黄、及び/又はホウ素原子などの、少なくとも1つのヘテロ原子も含有するアルキル基を指し、ここで、「アルキル」という用語は、上記に定義した通りである。
【0021】
「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、リン、硫黄、及び/又はホウ素原子などの、少なくとも1つのヘテロ原子も含有するアリール基を指し、ここで、「アリール」という用語は、上記に定義した通りである。例えば、「ヘテロアリール」という用語は、好ましくは、その炭素原子の少なくとも1つが、窒素、酸素、又は硫黄で置換された、アリール基を指す。ヘテロアリール部分の例としては、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾキナゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、イミダゾリル、インドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、フタラジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、及びトリアジニルが挙げられる。
【0022】
「ヘテロアルキルアリール」という用語は、少なくとも1つのアルキル基、少なくとも1つのアリール基、及び窒素、酸素、リン、硫黄、及び/又はホウ素原子などの、少なくとも1つのヘテロ原子を含む部分を指し、ここで、「アルキル」及び「アリール」という用語は、上記に定義した通りである。
【0023】
上記の基、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールのいずれもが、非置換であってもよく、又は更に置換されてもよい。
【0024】
「置換」という用語は、 化学構造又は部分を記載するために使用される場合、その構造又は部分の誘導体を指し、その水素原子の1つ以上が、原子、化学的部分、又は官能性部分、例えば、以下に限定されないが、アルコール、アルデヒルデ、アルコキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t-ブチル)、アルキニル、アルキルカルボニルオキシ(-OC(O)アルキル)、アミド(-C(O)NH-アルキル-、又は-アルキル-NHC(O)アルキル)、アミジニル(-C(NH)NH-アルキル、又は-C(NR)NH2)、アミン(一級、二級、及び三級、例えば、アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ)、アロイル、アリール、アリールオキシ、アゾ、カルバモイル(-NHC(O)O-アルキル-、又は-OC(O)NH-アルキル)、カルバミル(例えば、CONH2、並びにCONH-アルキル、CONH-アリール、及びCONH-アリールアルキル)、カルボニル、カルボキシル、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物、シアノ、エステル、エポキシド、エーテル(例えば、メトキシ、 エトキシ)、グアニジノ、ハロ、ハロアルキル(例えば、-CCl3、-CF3、-C(CF3)3)、ヘテロアルキル、ヘミアセタール、イミン(一級、及び二級)、ケトン、ニトリル、ニトロ、酸素(すなわち、オキソ部分を提供する)、ホスホジエステル、硫化物、スルホンアミド(例えば、SO2NH2)、スルホン、スルホニル(アルキルスルホニル、アリールスルホニル、及びアリールアルキルスルホニルを含む)、スルホキシド、チオール(例えば、スルフヒドリル、 チオエーテル)、及び尿素(-NHCONH-アルキル-)で置換される。
【0025】
いくつかの実施形態では、R1及びR2は、両方とも独立して、2~20個の炭素原子を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、R1及びR2は、好ましくは、両方とも独立して、アルキル及びヘテロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R1及びR2は、両方とも独立して、アルキルであり、例えば、C2~C20分岐又は非分岐アルキル、好ましくは、C2~C10-分岐又は非分岐アルキル、例えば、C3~C10-分岐若しくは非分岐アルキル、又はC3~C8-分岐若しくは非分岐アルキル、及び、更により好ましくは、C4~C8-分岐又は非分岐アルキル、例えば、C4-分岐アルキル又は非分岐アルキル、C5-分岐又は非分岐アルキル、C6-分岐又は非分岐アルキル、C7-分岐又は非分岐アルキル、又はC8-分岐若しくは非分岐アルキル、又は、例えば、C4~C6-分岐又は非分岐アルキルである。特に好ましくは、非分岐アルキルであり、例えば、C2~C20-非分岐アルキル、C2~C10-非分岐アルキル、C3~C10-非分岐アルキル、C3~C8-非分岐アルキル、又は、更に、C4~C8-非分岐アルキル、例えば、C4-非分岐アルキル、C5-非分岐アルキル、C6-非分岐アルキル、C7-非分岐アルキル、若しくはC8-非分岐アルキル、又は、例えば、C4~C6-非分岐アルキルである。特に好ましい実施形態では、R1及びR2は、両方とも独立して、C4-、C6-、及び/又はC8-分岐若しくは非分岐アルキルであり、更により好ましくは、C4-、C6-、及び/又はC8-非分岐アルキルである。別の好ましい実施形態では、R1及びR2は、両方とも同一である。例えば、いくつかの実施形態では、R1及びR2は、両方とも、C4-、C6-、又はC8-分岐若しくは非分岐アルキル、例えば、C4-又はC8-分岐若しくは非分岐アルキルであり、及び更により好ましくは、C4-、C6-、又はC8-非分岐アルキル、例えば、C4-又はC8-非分岐アルキルである。
【0027】
上記の式Iの「SiO2」は、シリカを意味する。これは、式Iのシラン基が、O-Si結合を介して、シリカ構造、すなわち、シリカ粒子に結合していることを意味する。
【0028】
シリカ又はシリカの粒子は、例えば、沈降シリカ、マイクロシリカ(シリカヒューム)、焼成シリカ(フュームドシリカ)、シリカゾル又はシリカゲル、及びそれらの混合物に由来してもよい。シリカの粒子は、多孔質粒子の形態であってもよい。
【0029】
好適には、シリカの粒子は、20~1500、好ましくは、50~900、最も好ましくは、70~800m2/gの比表面積を有する。比表面積は、Sears in Analytical Chemistry 28(1956), 12, 1981-1983、及び米国特許第 第5,176,891号に記載されている、水酸化ナトリウムによる滴定によって、測定されてもよい。したがって、所与の面積は、粒子の平均比表面積を表す。
【0030】
上記の式の残りのRは、水素又はシリカのいずれかである。「シリカ」は、この文脈において、式Iのシラン基が、更なるO-Si結合を介して、シリカ又はシリカ粒子に結合していることを意味する。
【0031】
本発明のシリカ粒子は、1~250オングストローム(Å)の微細孔径、例えば、10~200Å、又は50~250Å、又は60~200Å、又は、更に70~180Åなどを有する。特に好ましくは、80~150Åの微細孔径、例えば、100~130Å、特に、約100Å、又は約120Åの微細孔径である。250Åを超える微細孔径は、HPLCカラム内のシリカ粒子の全体的な分離生産性を著しく損ない、すなわち、精製された構成要素の全体的な収率が低い傾向があることが見出された。本明細書で使用される微細孔径への全ての言及は、平均微細孔径を指す。シリカ粒子の微細孔径を決定するための方法は、当業者に一般的に知られており、例えば、Micromeritics社製の装置、TriStar II Plusを使用することによる、例えば、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)法を含む。
【0032】
本発明のシリカ粒子の粒子径は、特に限定されない。例えば、本発明のシリカ粒子は、0.1~100μm、好ましくは、1~50μmの平均粒子径を有してもよい。いくつかの実施形態では、それは更に、1.8~25μmの範囲の平均粒子径を有してもよい。シリカ粒子の平均粒子径を決定するための方法は、当業者に一般的に知られている。例えば、粒子径は、比表面積、及びllerにおける粒子径に関連する式から計算されてもよい(The Chemistry of Silica, Wiley, 1979)。シリカ化学において従来的なように、粒子径は一次粒子の平均径を指す。粒子径はまた、Beckman Coulter社製のMultisizer 4e Coulter Counterにおける、コールター原理を介して測定されてもよい。
【0033】
修飾シリカの粒子の細孔容積は、好適には、0.1~4ml/g、好ましくは、0.2~2ml/g、最も好ましくは、0.3~1.2ml/gである。
【0034】
修飾シリカ含有粒子の比表面積(BET法)は、好適には、1~1000m2/g、好ましくは、25~700m2/g、最も好ましくは、50~500m2/gである。
【0035】
表面積、細孔容量、及び平均微細孔径(表面積 及び細孔容量から)を測定する好適な方法は、これも窒素吸着/脱着に基づく、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)法によるものであり、表面積は、典型的には、等温線の直線部分から計算される。こうした方法の例は、ISO9277:2010(BETの場合)、及びISO15901-2:2006(ガス吸着/脱着の場合)に提供されている。好ましくは、表面積、細孔容量、及び平均微細孔径は、ISO9277:2010を使用して測定される。
【0036】
別の態様では、本発明は、シリカ粒子を調製するための方法であって、
(i)1~250オングストローム(Å)の微細孔径を有する、シリカ粒子を提供する工程と、及び
(ii)シリカ粒子を、次式の化合物で修飾する工程であって、
【化4】
式中、R
1及びR
2は、各々独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から選択され、及び
X
1及びX
2は、各々独立して、ハロゲン又はアルコキシ基である、工程とを含む、方法を記載する。
【0037】
この方法では、上述の本発明の第一の態様による、シリカ粒子を得ることが可能である。したがって、本発明はまた、本発明のこの態様による上述の方法によって得られる、シリカ粒子を対象とする。
【0038】
本発明の第二の態様による方法の工程(i)で提供されるシリカ粒子は、上述の通りでもよく、本発明の第一の態様の文脈で上述したものと同一の、好ましい微細孔径を有してもよい。
【0039】
シリカ粒子を修飾するために、本発明の第二の態様による方法の工程(i)iで使用される、式IIに記載の化合物は、アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアルキルアリールからなる群から各々独立して選択される、2つの基R1及びR2、並びにハロゲン又はアルコキシ基である、2つの更なる基X1及びX2を含む、シランである。
【0040】
基R1及びR2は、本発明の第一の態様の文脈において上述したものと、同一であってもよい。
【0041】
基X1及びX2は、各々独立して、ハロゲン又はアルコキシ基、好ましくは、ハロゲンである。
【0042】
ハロゲンには、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が含まれ、塩素が特に好ましい。
【0043】
「アルコキシ基」という用語は、-O-アルキル部分を指し、アルキル基は、本発明の第一の態様の文脈において上記に定義した通りであってもよい。好ましくは、アルキル部分が、1~4個の炭素原子など、1~8個の炭素原子を有する、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ部分の例としては、-OCH3、-OCH2CH3、-O(CH2)2CH3、-O(CH2)3CH3、-O(CH2)4CH3、及び-O(CH2)5CH3が挙げられる。
【0044】
このように修飾反応は、当業者に既知であり、必要に応じて調整されてもよい。例えば、式IIの化合物とシリカ粒子との反応は、反応を実施するのに好適な温度、好ましくは、40~180、より好ましくは、60~160、最も好ましくは、80~140℃で実施される。
【0045】
好ましくは、式IIの化合物は、好適な量の式IIの化合物が添加されるまで、攪拌下で、制御された速度で、シリカ粒子に添加されてもよい。反応時間は、1~24時間であってもよい。
【0046】
式IIの化合物とシリカ粒子との反応は、有機溶媒中で、好ましくは、撹拌下で行われてもよい。こうした有機溶媒は、好ましくは、非プロトン性溶媒である。こうした非プロトン性溶媒の例としては、アセトニトリル、アセトン、キシレン、又はトルエン、好ましくは、トルエン、又はそれらの混合物であってもよい。
【0047】
シリカ粒子は溶媒に添加されてもよく、その後、存在する任意の水を蒸発させる、任意選択的な工程が続く。次いで、式IIの化合物を溶媒に添加し、その後、それを、シリカ粒子及び溶媒の分散液に添加してもよい。
【0048】
式IIの化合物の比率は、シリカ表面の粒子1m2当たり、4~8μモルであってもよい。溶媒の量は、好ましくは、分散液中のシリカ粒子の量が、5~20重量%となるように選択される。
【0049】
シリカ粒子上のシラノール表面部分は、式IIの化合物と反応して、シリカと式IIの化合物との間に共有結合を形成する。
【0050】
修飾シリカ粒子の分散液が形成された時、分散液は、例えば、限外濾過によって、又は例えば、トルエン、エタノール、若しくはギ酸を使用することにより洗浄することによって、冷却及び精製されてもよい。次いで、分散液は、例えば、40~100℃で、好ましくは、60~90℃で、2~30時間、好ましくは、10~25時間乾燥されてもよい。
【0051】
なお更なる態様によれば、本発明は、本発明のシリカ粒子、すなわち、本発明の第一の態様によるシリカ粒子、又は本発明の第二の態様による方法によって得られるシリカ粒子を含む、クロマトグラフィーのための分離カラムに関する。この態様では、本発明のシリカ粒子は、分離カラムに充填されている。したがって、この態様では、本発明のシリカ粒子は、クロマトグラフィーの固定相に使用される。したがって、シリカ粒子は、HPLC、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、及び移動床(SMB)のシミュレーションなどの、任意のタイプのクロマトグラフィー分離方法のための、分離カラムで使用されてもよい。
【0052】
なお更なる態様によれば、本発明は、本発明の第一の態様によるシリカ粒子、又は本発明の第二の態様による方法によって得られたシリカ粒子を、修飾複合ペプチド、好ましくは、GLP-1作動薬又はGLP-2類似体を、精製するための固定相として使用することに関する。本発明の第一の態様によるシリカ粒子、又は本発明の第二の態様による方法によって得られたシリカ粒子は、セマグルチド又はリラグルチドを精製するための固定相として使用されることが、特に好ましい。
【実施例0053】
実施例1:修飾シリカ粒子の調製
以下の市販のKromasil(登録商標)粒子(Nouryon B.V.社製)を出発材料として使用して、異なる修飾シリカ粒子を調製した。
【0054】
平均粒子径5μm、平均細孔径100Å、比表面積315m2/gを有する、シリカ粒子(Nouryon B.V.社製、Kromasil(登録商標)KR-100-5 SIL)。
【0055】
平均粒子径10μm、平均細孔径100Å、比表面積320m2/gを有する、シリカ粒子(Nouryon B.V.社製、Kromasil(登録商標)KR-100-10 SIL)。
【0056】
平均粒子径5μm、平均細孔径200Å、比表面積195m2/gを有する、シリカ粒子(Nouryon B.V.社製、Kromasil(登録商標)KR-200-5 SIL)。
【0057】
平均粒子径10μm、平均細孔径300Å、比表面積105m2/gを有する、シリカ粒子(Nouryon B.V.社製、Kromasil(登録商標)KR-300-10 SIL)。
【0058】
実施例1a)
20gのKR-100-5 SIL、及び10.3gのイミダゾールを、175gのトルエンに添加した。得られた分散液を加熱して、20gのトルエンを蒸発させた。加熱後、分散液を80℃に冷却した。8gのジブチルジクロロシランを、撹拌下で、トルエン、シリカ、及びイミダゾールの分散液に添加した。温度を上昇させ、分散液を一晩還流させた。反応物を70℃に冷却し、32gのエタノールを添加して、シランを不活性化した。分散液を、87gのトルエン、及び2×79gのエタノールで洗浄した。シリカを、実験室オーブン内で、90℃で一晩乾燥させた。得られた粉末は白色であり、本明細書では、更に、Kromasil(登録商標)100-5-diC4と呼ばれる。炭素の元素分析により、8.3重量%のCを得た。
【0059】
実施例1b)
KR-100-10 SILを、KR-100-5 SILについて実施例1a)で上述した同一の方法で、ジブチルジクロロシランで修飾した。得られた粉末は白色であり、本明細書では、更に、Kromasil(登録商標)100-10-diC4と呼ばれる。炭素の元素分析により、8.4重量%のCを得た。
【0060】
実施例1c)
KR-100-10 SILを、5.7gのブチルジメチルクロロシラン及び4.1gのトリメチルクロロシランを、ジブチルジクロロシランの代わりに、表面修飾として添加したことを除いて、実施例1a)で上述した同一の方法で修飾した。得られた粉末は白色であり、本明細書では、更に、Kromasil(登録商標)100-10-C4と呼ばれる。炭素の元素分析により、7.7重量%のCを得た。
【0061】
実施例1d)
KR-200-5 SILを、KR-100-5 SILについて実施例1a)で上述した同一の方法で、5.0gのジブチルジクロロシランで修飾した。得られた粉末は白色であり、本明細書では、更に、Kromasil(登録商標)200-5-diC4と呼ばれる。炭素の元素分析により、5.2重量%のCを得た。
【0062】
実施例1e)
KR-100-5 SILを、12.4gのジオクチルジクロロシランを、ジブチルジクロロシランの代わりに使用したことを除いて、実施例1a)で上述した同一の方法で修飾した。得られた粉末は白色であり、本明細書では、更に、Kromasil(登録商標)100-5-diC8と呼ばれる。炭素の元素分析により、14.8重量%のCを得た。
【0063】
実施例1f)
KR-100-5 SILを、10.2gのジヘキシルジクロロシランを、ジブチルジクロロシランの代わりに使用したことを除いて、実施例1a)で上述した同一の方法で修飾した。得られた粉末は白色であり、本明細書では、更に、Kromasil(登録商標)100-5-diC6と呼ばれる。炭素の元素分析により、11.9重量%のCを得た。
【0064】
実施例1g)
KR-300-10 SILを、KR-100-5 SILについて実施例1a)で上述した同一の方法で、2.7gのジブチルジクロロシランで修飾した。得られた粉末は白色であり、本明細書では、更に、Kromasil(登録商標)300-10-diC4と呼ばれる。炭素の元素分析により、3.1重量%のCを得た。
【0065】
実施例2:リラグルチドの二段階精製
以下の全ての実施例では、精製される試料は、5.0mgmL-1の粗リラグルチド(純度≦10%)を含有する混合物であり、これは、80mgの粗リラグルチドを、16mLのNH4HCO3緩衝液(0.1molL-1、pH7.0)/アセトニトリル(95:5)中に溶解することによって調製し、0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過し、カラム内に直接注入した。
【0066】
実施例2a):Kromasil(登録商標)100-10-diC4上の、リラグルチドの二段階精製
第一の精製工程を、炭酸水素アンモニウムを用いてpH7で実施し、第二の精製を、pH8で酢酸アンモニウムを緩衝液として実施し、両方の系で、アセトニトリルを有機修飾剤として使用した。精製は、自動分取装置を備えた、Agilent 1260システム上で実施された。両方の精製工程を、実施例1b)からの、Kromasil(登録商標)100-10-diC4を充填した、4.6×250mmカラム上で行った。
【0067】
第一の精製工程:粗リラグルチド試料(純度≦10%)を、カラム(32mg/gの固定相)上に装填し、移動相は、0.1Mの炭酸水素アンモニウム(pH7)及びアセトニトリルからなる。精製を、以下の配列に従って、勾配溶出下で実施した。5%アセトニトリルを、5分間、5分~138分の間に装填する工程で、アセトニトリル濃度を、29.4%~39.8%に直線的に増加させた。128分後、アセトニトリル濃度を、80%に、11分間増加させて、強く吸着した成分を溶出し、カラムを洗浄した後、アセトニトリル濃度を5%に減少させて、カラムを平衡化した。リラグルチドを、105分~115分の間に収集し、プールした画分は、97.1%の純度を示し、81%の回収率を示した。得られたクロマトグラムを、
図1aに示す。
【0068】
第二の精製工程:第一の精製からのプールした画分を、約10%アセトニトリルに希釈し、Kromasil(登録商標)100-10-diC4を含有するカラムに装填し、移動相は、0.1Mの酢酸アンモニウム緩衝液(pH8)及び有機修飾剤としてのアセトニトリルからなる。精製を勾配溶出下で実施し、以下の配列Aに従って、5%アセトニトリルを、5分間、5分~95分の間に装填する工程で、アセトニトリル濃度を、30.5%~41.3%に直線的に増加させた。95分後、アセトニトリル濃度を、80%に、11分間で増加させて、強く吸着した成分を溶出し、カラムを洗浄した後、アセトニトリル濃度を5%に減少させて、カラムを平衡化した。リラグルチドを、79分~86分の間に収集し、プールした画分は、≧99.5%の純度を示し、98.2%の回収率を示した。したがって、両方の精製工程にわたる総回収率は、79.6%であった。得られたクロマトグラムを、
図1bに示す。
【0069】
実施例2b):Kromasil(登録商標)100-5-diC8上の、リラグルチドの二段階精製
第一の精製工程を、炭酸アンモニウムを用いてpH7で実施し、第二の精製を、pH8で酢酸アンモニウムを緩衝液として実施し、両方の系で、アセトニトリルを有機修飾剤として使用した。精製は、自動分取装置を備えた、Agilent 1260システム上で実施された。両方の精製工程を、上記実施例1e)からの、Kromasil(登録商標)100-5-diC8を充填した、4.6×150mmカラム上で行った。
【0070】
第一の精製工程:粗リラグルチド試料(純度≦10%)を、カラム(12mg/gの固定相)上に装填し、移動相は、0.1Mの炭酸水素アンモニウム(pH7)及びアセトニトリルからなる。精製を、以下の配列に従って、勾配溶出下で実施した。5%アセトニトリルを、5分間、5分~45分の間に装填する工程で、アセトニトリル濃度を、29.8%~40.2%に直線的に増加させた。45分後、アセトニトリル濃度を、70%に、11分間で増加させて、強く吸着した成分を溶出し、カラムを洗浄した後、アセトニトリル濃度を5%に減少させて、カラムを平衡化した。リラグルチドを、37分~40分の間に収集し、プールした画分は、96.4%の純度を示し、96%の回収率を示した。得られたクロマトグラムを、
図2aに示す。
【0071】
第二の精製工程:第一の精製からのプールした画分を、約10%のアセトニトリルに希釈し、Kromasil(登録商標)100-5-diC8を含有するカラムに装填し、移動相は、0.1Mの酢酸アンモニウム緩衝液(pH8)及び有機修飾剤としてのアセトニトリルからなる。精製を、以下の配列に従って、勾配溶出下で実施した。5%アセトニトリルを、5分間、5分~45分の間に装填する工程で、アセトニトリル濃度を、29.8%~40.2%に直線的に増加させた。45分後、アセトニトリル濃度を、70%に、11分間で増加させて、強く吸着した成分を溶出し、カラムを洗浄した後、アセトニトリル濃度を5%に減少させて、カラムを平衡化した。リラグルチドを、43分~45分の間に収集し、プールした画分は、99.6%の純度を示し、両方の精製工程にわたって、79%の総回収率であった。得られたクロマトグラムを、
図2bに示す。得られたクロマトグラムを、
図2bに示す。
【0072】
実施例2c):Kromasil(登録商標)100-10-C4上の、リラグルチドの二段階精製(比較例)
上記の実施例1c)からの、Kromasil(登録商標)100-10-C4上の、リラグルチド試料の二段階精製を、同一溶媒勾配及び装置パラメータを使用して、Kromasil(登録商標)100-10-diC4上の、リラグルチドの二段階精製のために、実施例2a)で上述した同一の方法で実施した。
【0073】
第一の精製工程では、画分を、100~125分の間、毎分収集した。画分番号12~17を、第二の精製工程のために共にプールした。プールされた画分は、96.5%の純度を示し、回収率は87.4%であった。
【0074】
第二の精製工程では、画分を30秒毎に、77~87分の間に収集した。プールされた画分番号12~16は、99.5%の純度を示し、回収率は65.6%であった。したがって、両方の精製工程にわたる総回収率は、わずか57.3%であった。これは、例えば、79.6%の総回収率が達成された、Kromasil(登録商標)100-10-diC4(上記実施例2a)を参照)を使用することによって達成される総回収率よりもかなり低い。
【0075】
実施例2d):Kromasil(登録商標)300-10-diC4上の、リラグルチドの二段階精製(比較例)
上記の実施例1g)からの、Kromasil(登録商標)300-10-diC4上の、リラグルチド試料の二段階精製を、同一溶媒勾配及び装置パラメータを使用して、Kromasil(登録商標)100-10-diC4上の、リラグルチドの二段階精製のために、実施例2a)で上述した同一の方法で行った。
【0076】
第一の精製工程では、画分を、92~109分の間、毎分収集した。画分番号3~7を、第二の精製工程のために共にプールした。プールされた画分は、94.5%の純度を示し、回収率は73.8%であった。
【0077】
第二の精製工程では、画分を30秒毎に、71~86分の間に収集した。画分番号16のみが、99.5%の許容可能な純度を示し、回収率は4.7%であった。したがって、両方の精製工程にわたる総回収率は、わずか3.4%であった。これは、例えば、79.6%の総回収率が達成された、Kromasil(登録商標)100-10-diC4(上記実施例2a)を参照)を使用することによって達成される総回収率よりもかなり低い。
【0078】
実施例3:Kromasil(登録商標)100-10-diC4上の、セマグルチドの二段階精製
第一の精製工程を、炭酸水素アンモニウムを用いてpH7で実施し、第二の精製を、pH8で酢酸アンモニウムを緩衝液として実施し、両方の系で、アセトニトリルを有機修飾剤として使用した。精製は、自動画分収集器を備えた、Agilent 1260システム上で実施した。両方の精製工程を、実施例1c)からの、Kromasil(登録商標)100-10-diC4を充填した、4.6×250mmカラム上で行った。精製されるセマグルチド試料は、5.0mgmL-1の粗セマグルチド(純度≦60%)を含有する混合物であり、これは、80mgのセマグルチドを、16mLのNH4HCO3緩衝液(0.1molL-1、pH7.0)/アセトニトリル(95:5)中に溶解することによって調製し、0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過し、カラム内に直接注入した。
【0079】
第一の精製工程:粗セマグルチド試料(純度≦60%)を、カラム(34mg/gの固定相)上に装填し、移動相は、0.1Mの炭酸水素アンモニウム(pH7)及びアセトニトリルからなる。精製を、以下の配列に従って、勾配溶出下で実施した。5%アセトニトリルを、5分間、5分~138分の間に装填する工程で、アセトニトリル濃度を、30%~40.5%に直線的に増加させた。128分後、アセトニトリル濃度を、80%に、11分間増加させて、強く吸着した成分を溶出し、カラムを洗浄した後、アセトニトリル濃度を5%に減少させて、カラムを平衡化した。セマグルチドを、50分~70分の間に収集し、プールされた画分は、98.1%の純度を示し、回収率は95%であった。得られたクロマトグラムを、
図3aに示す。
【0080】
第二の精製工程:第一の精製からのプールした画分を、約10%アセトニトリルに希釈し、Kromasil(登録商標)100-10-diC4を含有するカラムに装填し、移動相は、0.1Mの酢酸アンモニウム緩衝液(pH8)及び有機修飾剤としてのアセトニトリルからなる。精製を、以下の配列に従って、勾配溶出下で実施した。5%アセトニトリルを、5分間、5分~95分の間に装填する工程で、アセトニトリル濃度を、30.5%~41.3%に直線的に増加させた。95分後、アセトニトリル濃度を、80%に、11分間で増加させて、強く吸着した成分を溶出し、カラムを洗浄した後、アセトニトリル濃度を5%に減少させて、カラムを平衡化した。リラグルチドを、40分~65分の間に収集し、プールした画分は、99.6%の純度を示し、両方の精製工程にわたって、総回収率は76%であった。得られたクロマトグラムを、
図3bに示す。
【0081】
実施例4:リラグルチドの更なる一工程精製試験
本発明の様々なシリカ粒子が、少なくとも70%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%など、少なくとも95%のリラグルチドの第一の精製工程純度レベルにおいて、第一の精製工程について、商業的に許容可能な収率で、既に達成するのに好適であることを確認するために、更なる実験を行った。精製されるリラグルチド試料、溶媒勾配、及び装置パラメータは、実施例2a)について上述したものと同一であった。単に、HPLCカラムで固定相として使用されるシリカ粒子が、変更された。実施例4a)では、上記の実施例1a)からの、Kromasil(登録商標)100-5-diC4を使用した。実施例4b)では、上記の実施例1d)からの、Kromasil(登録商標)200-5-diC4を使用した。実施例4c)では、上記の実施例1f)からの、Kromasil(登録商標)100-5-diC6を使用した。
【0082】
表1は、結果を要約し、上記の実施例2及び3の結果も組み込む。
【表1】
【0083】
本発明のシリカ粒子は、少なくとも70%の商業的に許容可能な収率で、第一の精製工程で95%を超える純度を既に達成するのに特に好適であることが、上記の表1から明らかである。更に、本発明のシリカ粒子はまた、少なくとも99.5%という医薬的に関連する純度で、75%を遥かに超える全回収率(すなわち、収率)を達成する。
修飾複合ペプチド、好ましくは、GLP-1作動薬又はGLP-2類似体を、精製するための固定相としての、請求項1~6のいずれかに記載のシリカ粒子、又は請求項7~11のいずれかに記載の方法によって得られるシリカ粒子の使用。