(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133029
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】リレー接触子の磁気シールド構造およびリレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/38 20060101AFI20240920BHJP
H01H 50/54 20060101ALI20240920BHJP
H01H 9/44 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01H50/38 H
H01H50/54 B
H01H9/44 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041263
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】202310264399.3
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518215954
【氏名又は名称】シァメン ホンファ エレクトリック パワー コントロールズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Xiamen Hongfa Electric Power Controls Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.93 Yinong Road, Haicang District, Xiamen, Fujian 361027,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ウェングアン ダイ
(72)【発明者】
【氏名】フォンジュ シエ
(72)【発明者】
【氏名】リジ ス
(72)【発明者】
【氏名】ソンシェン チェン
(72)【発明者】
【氏名】モン ワン
【テーマコード(参考)】
5G027
【Fターム(参考)】
5G027AA03
5G027BA10
5G027BB03
5G027BC06
(57)【要約】
【課題】 本発明は、リレー接触子の磁気シールド構造及びリレーを提供し、電力機器の技術分野に関する。
【解決手段】 リレー接触子の磁気シールド構造は、接点アセンブリと、第1の磁気シールド部材と、耐短絡アセンブリと、永久磁石と、を備え、接点アセンブリは、可動接触子と、一対の固定接点引出端と、を含み、可動接触子は、一対の固定接点引出端と接触または離間されるように構成され、耐短絡アセンブリは、可動接触子の固定接点引出端に向かう側に少なくとも設置され、可動接触子に故障大電流が発生した場合に吸引力を発生して、可動接触子と固定接点引出端との間の電動反発力に抵抗するように構成され、永久磁石は、接点アセンブリの周囲に設置され、永久磁石によって形成される磁界を利用して消弧を実現し、第1の磁気シールド部材は、固定接点引出端の外部に設置され、固定接点引出端が通電時に発生する磁界をシールドするとともに、永久磁石から耐短絡アセンブリに伝達される磁界を吸収するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点アセンブリと、第1の磁気シールド部材と、耐短絡アセンブリと、永久磁石とを含むリレー接触子の磁気シールド構造であって、
前記接点アセンブリは、可動接触子と一対の固定接点引出端とを含み、前記可動接触子は、一対の前記固定接点引出端と接触または離間されるように構成され、
前記耐短絡アセンブリは、前記可動接触子の前記固定接点引出端に向かう側に少なくとも設置され、前記可動接触子に故障大電流が発生した場合に吸引力を発生して、前記可動接触子と前記固定接点引出端との間の電動反発力に抵抗するように構成され、
前記永久磁石は、前記接点アセンブリの周囲に設置され、前記永久磁石によって形成される磁界を利用して消弧を実現し、
前記第1の磁気シールド部材は、前記固定接点引出端の外部に設置され、前記固定接点引出端が通電時に発生する磁界をシールドするとともに、前記永久磁石から前記耐短絡アセンブリに伝達される磁界を吸収するように構成される
ことを特徴とするリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項2】
前記永久磁石は、前記可動接触子の幅方向に沿って設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項3】
前記永久磁石の数は2つであり、2つの前記永久磁石は、前記可動接触子の長さ方向に沿って前記可動接触子の両側にそれぞれ設置され、2つの前記第1の磁気シールド部材に対応して設置され、前記可動接触子の長さ方向に沿って、2つの前記永久磁石のうちの1つ、2つの前記第1の磁気シールド部材のうちの1つ、前記耐短絡アセンブリ、2つの前記第1の磁気シールド部材のうちの他の1つ、2つの前記永久磁石のうちの他の1つの順に配置され、各前記永久磁石の磁極方向は、前記可動接触子の長さ方向に沿って設置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項4】
前記固定接点引出端の外壁には、規制部が設置され、前記規制部は、前記第1の磁気シールド部材の規制に用いられている
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項5】
前記固定接点引出端の前記可動接触子に向かう側には、固定部が設置され、前記固定部は、前記固定接点引出端に対して前記可動接触子から離れる方向に反転しつつ、前記第1の磁気シールド部材に当接可能に配置され、前記第1の磁気シールド部材を固定するのに用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項6】
前記固定部は、前記固定接点引出端の前記可動接触子に向かう側に設置されたフランジである
ことを特徴とする請求項5に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項7】
前記固定接点引出端と前記第1の磁気シールド部材との間は、溶接またはねじ止めまたはスナップ止めにより固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項8】
前記第1の磁気シールド部材は、前記固定接点引出端にリング状に設置されたクローズリング構造であり、または、
前記第1の磁気シールド部材は、前記固定接点引出端の周囲にリング状に間隔を置いて配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項9】
前記第1の磁気シールド部材の導磁率は、前記固定接点引出端の導磁率よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項10】
前記永久磁石の外部には、ヨーククランプが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項11】
前記耐短絡アセンブリは、
前記可動接触子の前記固定接点引出端に近い側に設置された上部導磁体と、
前記可動接触子の前記固定接点引出端から離れた側に設置された下部導磁体と、を含み、
前記上部導磁体と前記下部導磁体との間には、導磁回路が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項12】
前記可動接触子には、貫通孔が設置され、前記下部導磁体の少なくとも一部は、前記貫通孔に穿設されている
ことを特徴とする請求項11に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項13】
前記上部導磁体と前記下部導磁体の数は、複数であり、複数の前記上部導磁体と複数の前記下部導磁体とが対応して設置され、隣接する2つの前記下部導磁体の互いに近接する側は、前記貫通孔を穿設されている
ことを特徴とする請求項12に記載のリレー接触子の磁気シールド構造。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のリレー接触子の磁気シールド構造を含む
ことを特徴とするリレー。
【請求項15】
接触容器をさらに含み、
前記固定接点引出端は、前記接触容器に設置され、少なくとも一部が前記接触容器内に設置され、前記リレー接触子の磁気シールド構造の前記第1の磁気シールド部材は、前記接触容器の内部に設置され、前記永久磁石は、前記接触容器の外部に設置されている
ことを特徴とする請求項14に記載のリレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電力機器の技術分野に関し、特に、リレー接触子の磁気シールド構造およびリレーに関する。
【背景技術】
【0002】
リレーは、通常、自動制御回路に適用される電子制御装置である。リレーは制御システムと被制御システムとを含み、制御システムは入力回路とも呼ばれ、被制御システムは出力回路とも呼ばれ、リレーは、本質的に小さい電流を使用して大きい電流を制御する「自動スイッチ」であり、回路の自動調節、安全保護、回路の変換などの役割を果たしている。
【0003】
高圧直流リレーはリレーの一種で、既存の高圧直流リレーのほとんどは可動接触子の直動式構造を採用している。新エネルギー自動車の航続距離の要求の向上に伴い、通常の場合に高圧直流リレーの熱損失の減少が要求され、電池パックが短絡した場合、電池容量がより高いため、リレーの耐短絡電流、電圧をさらに上昇することが要求されている。短絡負荷が非常に大きい場合、短絡電流による電動反発力により高圧直流リレーの接触子が弾かれ、接点アークが発生し、負荷の短絡電流と電圧が非常に高いため、接触子間で瞬間的に激しくアーク燃焼を引き起こす。
【0004】
この問題を解決するために、従来はコイルのサイズを大きくして、可動鉄心の保持力を向上させるしかなかったが、ユーザーの小型、低消費電力のフレームワークの要求の下で、コイルのアンペアターン値の向上を実現することができず、接点の圧力を増加させるだけでは、接点の接触抵抗の低減と大きな電動反発力への対抗を達成できなかった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、安全性と軽量化のニーズを満足するリレー接触子の磁気シールド構造及びリレーを提供する。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、接点アセンブリと、第1の磁気シールド部材と、耐短絡アセンブリと、永久磁石とを含むリレー接触子の磁気シールド構造が提供され、
前記接点アセンブリは、可動接触子と一対の固定接点引出端とを含み、前記可動接触子は、一対の前記固定接点引出端と接触または離間されるように構成され、
前記耐短絡アセンブリは、前記可動接触子の前記固定接点引出端に向かう側に少なくとも設置され、前記可動接触子に故障大電流が発生した場合に吸引力を発生して、前記可動接触子と前記固定接点引出端との間の電動反発力に抵抗するように構成され、
前記永久磁石は、前記接点アセンブリの周囲に設置され、前記永久磁石によって形成される磁界を利用して消弧を実現し、
前記第1の磁気シールド部材は、前記固定接点引出端の外部に設置され、前記固定接点引出端が通電時に発生する磁界をシールドするとともに、前記永久磁石から前記耐短絡アセンブリに伝達される磁界を吸収するように構成されている。
【0007】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記永久磁石は、前記可動接触子の幅方向に沿って設置されている。
【0008】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記永久磁石の数は2つであり、2つの前記永久磁石は、前記可動接触子の長さ方向に沿って前記可動接触子の両側にそれぞれ設置され、2つの前記第1の磁気シールド部材に対応して設置され、2つの前記永久磁石のうちの1つ、2つの前記第1の磁気シールド部材のうちの1つ、前記耐短絡アセンブリ、2つの前記第1の磁気シールド部材のうちの他の1つ、2つの前記永久磁石のうちの他の1つの順に配置され、各前記永久磁石の磁極方向は、前記可動接触子の長さ方向に沿って設置されている。
【0009】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記固定接点引出端の外壁には、規制部が設置され、前記規制部は、前記第1の磁気シールド部材の規制に用いられる。
【0010】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記固定接点引出端の前記可動接触子に向かう側には、固定部が設置され、前記固定部は、前記固定接点引出端に対して前記可動接触子から離れる方向に反転しつつ、前記第1の磁気シールド部材に当接可能に配置され、前記第1の磁気シールド部材を固定するのに用いられる。
【0011】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記固定部は、前記固定接点引出端の前記可動接触子に向かう側に設置されたフランジである。
【0012】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記固定接点引出端と前記第1の磁気シールド部材との間は、溶接またはねじ止め(留め)またはスナップ止め(留め)により固定されている。
【0013】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記第1の磁気シールド部材は、前記固定接点引出端にリング状に設置されたクローズリング構造であり、または、
前記第1の磁気シールド部材は、前記固定接点引出端の周囲にリング状に間隔を置いて配置されている。
【0014】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記第1の磁気シールド部材の導磁率は、前記固定接点引出端の導磁率よりも大きい。
【0015】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記永久磁石の外部には、ヨーククランプが設けられている。
【0016】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記耐短絡アセンブリは、
前記可動接触子の前記固定接点引出端に近い側に設置された上部導磁体と、
前記可動接触子の前記固定接点引出端から離れた側に設置された下部導磁体と、を含み、
前記上部導磁体と前記下部導磁体との間には、導磁回路が形成されている。
【0017】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記可動接触子には、貫通孔が設置され、前記下部導磁体の少なくとも一部は、前記貫通孔に穿設されている。
【0018】
これらの実施形態のいくつかにおいて、前記上部導磁体と前記下部導磁体の数は、複数であり、複数の前記上部導磁体と複数の前記下部導磁体とが対応して設置され、隣接する2つの前記下部導磁体の互いに近接する側は、前記貫通孔を穿設されている。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、前記リレー接触子の磁気シールド構造を含むリレーをさらに提供している。
【0020】
これらの実施形態のいくつかにおいて、接触容器をさらに含み、
前記固定接点引出端は、前記接触容器に設置され、少なくとも一部が前記接触容器内に設置され、前記リレー接触子の磁気シールド構造の前記第1の磁気シールド部材は、前記接触容器の内部に設置され、前記永久磁石は、前記接触容器の外部に設置されている。
【0021】
本発明の一実施例は、以下の利点または有益な効果を有する:
本発明の一実施例によって提供されるリレー接触子の磁気シールド構造は、固定接点引出端の外側に第1の磁気シールド部材を設置し、第1の磁気シールド部材は、固定接点引出端が通電されたときに発生する磁界をシールドすることができるため、可動接触子に対するアンペア力の影響を低減し、これにより、固定接点引出端と可動接触子との間の電動反発力が低減され、可動接触子が弾かれ、アーキングが発生して爆発を引き起こすリスクが効果的に回避され、リレーの安全性能が向上し、リレーは、負荷に大きな短絡電流が流れる作業環境での使用に適し、リレーの寿命が向上する。同時に、第1の磁気シールド部材は、短絡電流により容易に磁化され、耐短絡構造における上部導磁体に相当し、可動接触子に上向きの吸引力を発生させることができ、可動接触子が固定接点引出端に近い方向に移動することを容易にし、固定接点引出端と可動接触子との間の確実な接触を維持し、耐短絡の効果を達成する。
【0022】
耐短絡アセンブリは、可動接触子の前記固定接点引出端に向かう側に少なくとも設置され、可動接触子が耐短絡アセンブリの内部に介在され、可動接触子に短絡リング構造が追加され、可動接触子が発生する磁界の一部をある程度磁気シールドすることができる。可動接触子に故障大電流が発生した場合、耐短絡アセンブリは、導磁回路を形成して吸引力を生成することができ、該吸引力は、可動接触子を吸引して引っ張る役割を果たし、故障電流により可動接触子と固定接点引出端との間に発生する電動反発力に抵抗するために使用され、これにより、可動接触子と固定接点引出端とが互いに脱け出され、アークを引き伸ばして爆発が発生する事態を回避し、可動接触子と固定接点引出端との接触の信頼性と安全性を確保する。
【0023】
第1の磁気シールド部材は、永久磁石から耐短絡アセンブリへの磁界を吸収することができ、それにより永久磁石の耐短絡アセンブリへの影響を低減させ、耐短絡の効果を向上させる。また、第1の磁気シールド部材自体が磁化されるだけでなく永久磁石の磁界も吸収することになり、短絡電流が流れる時に可動接触子に及ぼす第1の磁気シールド部材の吸引力もそれに応じて増大し、したがって耐短絡の効果がさらに向上する。
【0024】
本発明の実施例によって提供されるリレーは、第1の磁気シールド部材、永久磁石及び耐短絡アセンブリの設定位置を最適化して設置し、第1の磁気シールド部材が永久磁石から耐短絡アセンブリへの磁界を吸収することができるため、永久磁石から耐短絡部材への影響を低減することができ、耐短絡の効果を向上させる。また、第1の磁気シールド部材自体が磁化されるだけでなく永久磁石の磁界も吸収することによって、短絡電流が流れる時に可動接触子に及ぼす第1の磁気シールド部材の吸引力がそれに応じて増大し、したがって耐短絡の効果をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明をより良く理解するために、以下の添付図面に示される実施例を参照することができる。添付図面の部品は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の技術的特徴を強調し明確に説明するために、関連する要素が省略されている場合がある。また、関連する要素または部品は、当該技術分野において知られているように、異なる設定を有していてもよい。さらに、添付図面において、同一の添付符号は、様々な添付図面において同一または類似の構成要素を示す。本発明の上記および他の特徴および利点は、添付図面を参照してその例示的な実施形態を詳細に説明することにより、より明らかになるであろう。
【
図1】本発明の実施例において提供されるリレー接触子の磁気シールド構造の上面図である。
【
図3】本発明の実施例において提供されるリレー接触子の磁気シールド構造の分解概略図である。
【
図4】本発明の実施例において提供されるリレー接触子の磁気シールド構造における固定接点引出端および第1の磁気シールド部材の分解概略図である。
【
図5】本発明の実施例において提供されるリレー接触子の磁気シールド構造における固定接点引出端および第1の磁気シールド部材の構造の概略図である。
【
図6】本発明の実施例において提供されるリレーの構造の概略図である。
【
図7】本発明の実施例において提供されるリレーの構造の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の例示的な実施例における技術的解決策を、本発明の例示的な実施例における添付図面と併せて明確かつ完全に説明する。本明細書で説明する例示的な実施例は、説明を目的とするものであり、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではなく、したがって、本発明の保護範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に様々な修正および変更を加えることができることを理解されたい。
【0027】
本発明の説明において、特に明示的に規定および限定されない限り、用語「第1の」、「第2の」は、説明の目的のためにのみ使用され、相対的な重要性を示す又は暗示すると理解することはできない。用語「複数」は、2つまたは2つ以上を意味する。用語「及び/又は」には、1つまたは複数の関連して列挙されたアイテムの任意の組合せとすべての組合せが含まれる。特に、「該/前記」オブジェクトまたは「1つの」オブジェクトに言及することは、可能な複数のそのようなオブジェクトのうちの1つを表すことも意図されている。
【0028】
特に規定および限定されない限り、「接続」、「固定」などの用語は広義に理解されなければならない。例えば、「接続」は固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的に接続してもよいし、電気的接続または信号的接続であってもよい。「接続」は、直接接続してもよいし、中間媒体を介して間接的に接続してもよい。本発明における上記用語の具体的な意味は、当業者にとっては、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0029】
さらに、本発明の説明において、本発明の例示的な実施例の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」などの方向用語は、添付の図面に示された観点から記載されており、本発明の例示的な実施例を限定するものとして理解されるべきではない。また、文脈上、要素または特徴が他の要素の「上」、「下」、または「内」、「外」に接続していると言及される場合、他の要素の「上」、「下」、または「内」、「外」に直接接続してもよいし、中間媒体を介して他の要素の「上」、「下」、または「内」、「外」に間接的に接続してもよい。
【0030】
例示的な実施形態について、添付図面を参照してより詳細に説明する。しかしながら、例示的な実施形態は、様々な形態で実施可能であり、本明細書に記載された実施形態に限定されると理解されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態を提供することにより、本発明が包括的かつ完全なものとなり、当業者に例示的な実施形態のアイデアを包括的に伝えることができる。図面において同一の添付(参照)符号は、同一または類似の構造を示すので、これらの詳細な説明は省略する。
【0031】
本実施例は、主に高圧直流リレーに用いられるリレー接触子の磁気シールド構造を提供するものである。
図1~
図3に示すように、リレー接触子の磁気シールド構造は、接点アセンブリ2を含み、接点アセンブリ2は、可動接触子22と、一対の固定接点引き出し部21とを含み、固定接点引き出し部21は、接触容器1に設置され、少なくとも一部が接触容器1内に入り込み、可動接触子22は、接触容器1内に設置され、可動接触子22は、一対の固定接点引き出し部21と接触または離間するために使用される。
【0032】
本発明の実施形態のリレー接触子の磁気シールド構造において、固定接点引出端21は、接触容器1に設置され、少なくとも一部が接触容器1内に入り込み、接触容器1は、固定接点引出端21の固定位置を提供する一方で、接触容器1は、接点アセンブリ2の可動接触子22および固定接点引出端21の少なくとも一部に絶縁環境も提供する。可動接触子22は、一対の固定接点引出端21と接触または離間するために使用され、可動接触子22と一対の固定接点引出端21の底部の固定接点が接触すると、電流が一方の固定接点引出端21から流入し、可動接触子22を通過した後に他方の固定接点引出端21から流出することが実現され、負荷の接続が達成される。
【0033】
ここで、一対の固定接点引出端21の分布の方向、可動接触子22の長さ方向を第1の方向とし、固定接点引出端21と可動接触子22が接触・離間する方向を第3の方向とし、第1の方向および第3の方向に直交する方向を第2の方向として定義する。ここで、第1の方向、第2の方向および第3の方向のうちの2つは、互いに垂直であり、第1の方向、第2の方向および第3の方向は、単に空間的な方向を表すだけであり、実質的な意味はない。
【0034】
一実施例では、
図2-
図3に示すように、接触容器1は、絶縁カバー11とフランジ部材12とを含み、絶縁カバー11とヨーク板は囲んで接触キャビティを成し、絶縁カバー11とヨーク板の両者は、フランジ部材12によって接続され、接触キャビティは、可動接触子22と固定接点引出端21との間の接触に絶縁環境を提供する。
【0035】
短絡負荷が非常に大きい場合、短絡電流の作用の下で、可動接触子22と固定接点引出端21との間に電動反発力が発生して接触子が弾かれ、接点アークが発生して激しく燃焼し、さらには爆発が発生する可能性もある。
【0036】
この問題を解決するために、
図2~
図3に示すように、本実施例で提供するリレー接触子の磁気シールド構造は、第1の磁気シールド部材5をさらに備え、第1の磁気シールド部材5は、固定接点引出端21の外部に設置され、固定接点引出端21が通電時に発生する磁界をシールドするのに用いられる。
【0037】
固定接点引出端21の外側には、第1の磁気シールド部材5が設置されており、第1の磁気シールド部材5は、固定接点引出端21が通電されたときに発生する磁界をシールドして、可動接触子22に作用するアンペール力を低減することができ、これにより、固定接点引出端21と可動接触子22との間の電動反発力を低減することができ、可動接触子22が弾かれ、アークが発生して爆発を引き起こすリスクが効果的に回避され、リレーの安全性能が向上し、リレーが負荷に大きな短絡電流が通過する作業環境に適することができ、耐用年数が向上する。同時に、第1の磁気シールド部材5は、短絡電流により容易に磁化され、可動接触子22に上向きの吸引力を発生させることができ、可動接触子22が固定接点引出端21に近づく方向に移動しやすくなり、固定接点引出端21と可動接触子22との間の接触が確実に維持され、耐短絡の効果を得ることができる。
【0038】
図2~
図3に示すように、本実施例で提供されるリレー接触子の磁気シールド構造は、耐短絡アセンブリ3をさらに含み、耐短絡アセンブリ3は、可動接触子22の固定接点引出端21に向かう側に少なくとも設置され、可動接触子22が、故障大電流が発生したときに吸引力を発生し、耐短絡アセンブリ3は、可動接触子22と固定接点引出端21との間の電動反発力に抵抗するために使用される。
【0039】
耐短絡アセンブリ3は、少なくとも固定接点引出端21の軸方向に沿って可動接触子22の上側、例えば、耐短絡アセンブリ3を第3の方向に沿って可動接触子22の両側に設けられて、耐短絡アセンブリ3の内部で可動接触子22を介在することで、可動接触子22に短絡リング構造を付加することに該当し、可動接触子22に発生する磁界の一部をある程度磁気的にシールドすることができる。可動接触子22に故障大電流が発生した場合、耐短絡アセンブリ3は、導磁回路を形成して吸引力を発生させることができ、該吸引力は、可動接触子22を吸引して引っ張る役割を果たし、固定接点引出端21と可動接触子22との間の磁界の反発を減少させ、故障電流により可動接触子22と固定接点引出端21との間に発生する電動反発力に抵抗するために使用され、これにより、可動接触子22と固定接点引出端21とが互いに脱け出され、アークを引き伸ばして爆発が発生する事態を回避し、可動接触子22と固定接点引出端21との接触の信頼性と安全性を確保する。
【0040】
図2~
図3に示すように、本実施形態で提供されるリレー接触子の磁気シールド構造は、永久磁石6をさらに含み、永久磁石6は、接点アセンブリ2の周囲に設置され、永久磁石6によって形成される磁界を利用して消弧を実現する。
【0041】
第1の磁気シールド部材5は、永久磁石6から耐短絡アセンブリ3への磁界を吸収することができ、すなわち、永久磁石6によって発生する磁界は、まず第1の磁気シールド部材5によって吸収され、それにより、耐短絡アセンブリ3に対する永久磁石6の影響を低減し、耐短絡の効果を向上させることができる。また、第1の磁気シールド部材5自体が磁化されるだけでなく永久磁石6が発生する磁界も吸収することで、短絡電流が流れたときの可動接触子22に対する第1の磁気シールド部材5の吸引力もそれに伴って増大するため、耐短絡の効果がさらに向上する。
【0042】
一実施形態において、
図2~
図3に示すように、永久磁石6が可動接触子22の幅方向に沿って設置されている。
【0043】
永久磁石6は、可動接触子22の幅方向に沿って設置され、このとき、永久磁石6、第1の磁気シールド部材5、および耐短絡アセンブリ3は、第1の方向に沿って間隔をあけて設置され、第1の磁気シールド部材5は、永久磁石6と耐短絡アセンブリ3との間に設置されるので、永久磁石6によって発生する磁界は、第1の磁気シールド部材5によって優先的に吸収され、第1の磁気シールド部材5は、効果的な隔離の役割を果たすことで、耐短絡アセンブリ3に対する永久磁石6の影響を低減し、耐短絡の効果を向上する。第1の磁気シールド部材5自体が磁化され、永久磁石6から吸収される磁界が追加されるため、大きな短絡電流が発生した場合に可動接触子22に対する吸引力を増大させ、耐短絡の効果をさらに向上させることができる。
【0044】
一実施形態において、
図2~
図3に示すように、永久磁石6の数は2つであり、2つの永久磁石6は、可動接触子22の長さ方向に沿って可動接触子22の両側に設置され、2つの第1の磁気シールド部材5に対応して設置され、永久磁石6、第1の磁気シールド部材5、および耐短絡アセンブリ3は、可動接触子22の長さ方向に沿って設置され、2つの永久磁石6のうちの1つ、2つの第1の磁気シールド部材5のうちの1つ、および耐短絡アセンブリ3、2つの第1の磁気シールド部材5のうちの他の1つ、および2つの永久磁石6のうちの他の1つの順で分布される。
【0045】
このような形態を採用し、2つの永久磁石6が可動接触子22の第1の方向に沿った両側に設置され、すなわち、2つの永久磁石6が前後ではなく左右に設置されることで、一対の固定接点引出端21が左右に設置される永久磁石6により近づき、2つの永久磁石6と2つの第1の磁気シールド部材5とが対応して設置され、このとき、永久磁石6のうちの1つと、第1の磁気シールド部材5のうちの1つと、耐短絡アセンブリ3と、第1の磁気シールド部材5のうちの他の1つと、永久磁石6のうちの他の1つとが、ほぼ一字形(一直線上)に配列されるので、各永久磁石6の磁場を一つの第1の磁気シールド5で吸収することができ、短絡アセンブリ3に対する影響を低減することができる。
【0046】
一実施形態において、各永久磁石6の磁極方向は、可動接触子22の長さに沿って設置されている。すなわち、各永久磁石6のN極とS極は、可動接触子22の長さ方向に沿って分布しており、消弧の空間がより大きくなる。
【0047】
一実施形態において、永久磁石6は、消弧磁石鋼とも呼ばれることがある。
【0048】
2つの永久磁石6は、対向して設置され、N極とS極とが対向し、2つの永久磁石6の互いに対向する面の極性は互いに反対する。すなわち、絶縁カバー11の左側に位置する永久磁石6の左面はS極であり、右面はN極であり、絶縁カバー11の右側に位置する永久磁石6の左面はS極であり、右面はN極である。もちろん、2つの永久磁石6の互いに対向する面の極性を同じに設計することも可能であり、例えば、絶縁カバー11の左側に位置する永久磁石6の左面はS極であり、右面はN極であり、絶縁カバー11の右側に位置する永久磁石6の左面はN極であり、右面はS極である。
【0049】
このように、対向して設置された2つの永久磁石6を設置することで、接点アセンブリ2の周囲に磁界を形成することができる。磁界中のローレンツ力によって荷電粒子が偏向される原理により、アークを伸長させてアークを消滅させることができ、磁気吹き(magnetic blow)による消弧の効果を得ることができる。また、2つの永久磁石6の磁界の作用により、2つの固定接点引出端21と可動接触子22の分離により発生したアークは、それぞれ対応する方向に速やかに引き離される。具体的には、2つの永久磁石6の極性が同一で対向する場合、2つの固定接点引出端21と可動接触子22の分離によって発生したアークは、同じ側に吹かれ、2つの永久磁石6の極性が同一で対向しない場合、2つの固定接点引出端21と可動接触子22の分離によって発生したアークは、異なる側に吹かれる。
【0050】
一実施形態において、永久磁石6の外部には、ヨーククランプ7を備え、ヨーククランプ7は、導磁の役割を果たす。
【0051】
具体的には、ヨーククランプ7は軟磁性材料で作られており、軟磁性材料としては、鉄、コバルト、ニッケルおよびそれらの合金を含むが、これらに限定されない。2つのヨーククランプ7は、2つの永久磁石6の位置に対応して設置されており、2つのヨーククランプ7は、絶縁カバー11および2つの永久磁石6を取り囲んでいる。ヨーククランプ7が永久磁石6を取り囲んでいるため、永久磁石6に発生する磁界が外部に拡散して、消弧効果に影響を与えることを回避できる。
【0052】
一実施例において、第1の磁気シールド部材5の導磁率は、固定接点引出端21の導磁率よりも大きい。ここで、固定接点引出端21は銅、銅合金などの金属材料を使用し、第1の磁気シールド部材5は、電気純鉄などの導磁材料で作製されている。固定接点引出端21は、通電時に誘導磁界を発生し、磁気誘導線が空気から第1の磁気シールド部材5に進入すると、磁気誘導線には大きな偏差が発生し、強く収束することにより、より優れた磁気シールド効果を形成する。
【0053】
第1の磁気シールド部材5は、固定接点引出端21にスリーブ化され、第1の磁気シールド部材5は、円筒形状、楕円筒形状、角筒形状、多角筒形状を含むが、これらに限定されないことを理解されたい。
【0054】
一実施形態において、第1の磁気シールド部材5は、固定接点引出端21にリング状に設置されたクローズリング構造であり、あるいは、第1の磁気シールド部材5は、固定接点引出端21の周囲にリング状に間隔をあけて分布されている。
【0055】
具体的には、第1の磁気シールド部材5は、一体構造であってもよく、例えば、第1の磁気シールド部材5は、固定接点引出端21の外部に一体の円筒状又はリング状にスリーブ化され、一体成型構造を採用し、部品の組み立ての工程を減らし、製造コストが比較的低い。
【0056】
具体的には、第1の磁気シールド部材5は、分割構造でもよく、第1の磁気シールド部材5は、複数の磁気シールド単一体を含み、複数の磁気シールド単一体は、固定接点引出端21の周方向に沿って設置され、首尾を接合して円筒状、多角筒状などの構造を形成することができる。また、他の幾つかの実施形態において、複数の磁気シールド単一体は、固定接点引出端21の外側を取り囲んで、リング状に間隔を置いて分布することも可能であり、単一の磁気シールド単一体を固定接点引出端21の外部に設定することも可能であり、磁気シールド効果が得られる限り、本実施例は、本明細書において限定されない。
【0057】
一実施形態において、
図4~
図5に示すように、固定接点引出端21の外壁には、規制部が設置されており、この規制部は、第1の磁気シールド部材5の規制に用いる。
【0058】
固定接点引出端21の外壁には、規制部が設置されており、規制部は、第1の磁気シールド部材5が固定接点引出端21に装着される際に、第1の磁気シールド部材5に対して初期位置決めを行うことができ、第1の磁気シールド部材5の装着の精度を向上させることができる。同時に、規制部は、第1の磁気シールド部材5に対して規制を行い、第1の磁気シールド部材5の落下を防止することができる。
【0059】
ここで、規制部は、固定接点引出端21に設置される止め段差やリング状の位置決め溝や位置決め突起等であってもよく、固定接点引出端21に対する第1の磁気シールド部材5の位置決めを実現できる限り、本実施例の保護範囲に属する。勿論、他の幾つかの実施において、規制部を接触容器1の頂部の内壁に設けてもよく、固定接点引出端21が部分的に接触容器1内に延在されることによって、第1の磁気シールド部材5の規制を実現してもよい。
【0060】
一実施形態において、固定接点引出端21は、可動接触子22に面する側に固定部を設けており、固定部は、固定接点引出端21に対して可動接触子22から離れる方向に反転しつつ第1の磁気シールド部材5に当接可能に配置され、第1の磁気シールド部材5を固定するのに用いられる。
【0061】
固定接点引出端21は、可動接触子22に面する側に固定部が設置されており、固定接点引出端21の底部に固定部を設けたことに該当し、固定部を固定接点引出端21に対して固定的に設けると、サイズが大きい固定部により第1の磁気シールド部材5が固定接点引出端21に装着されるのが制限されたり、サイズが小さい固定部により第1の磁気シールド部材5が固定接点引出端21に装着されるのが制限されないものの、固定効果が不安定になる事態が存在する可能性がある。
【0062】
このため、本実施例で提供している固定部は、固定接点引出端21に対して移動可能に設置されており、第1の磁気シールド部材5が装着される前に、固定部は、固定接点引出端21の軸方向に沿って延び、または固定接点引出端21の軸方向とのなす角度が比較的小さく、第1の磁気シールド部材5が固定部を通過して固定接点引出端21の外部にスリーブ化され易くなっている。第1の磁気シールド部材5を固定接点引出端21にスリーブ化した後、拡大リベッティングにより固定部を可動接触子22から離れる方向に反転させることで、固定部を上向きに折り曲げ、固定部と第1の磁気シールド部材5が接触した後、固定部を第1の磁気シールド部材5に押し付けることにより、第1の磁気シールド部材5の固定を実現することができる。このカシメ方式により、固定部は、第1の磁気シールド部材5が固定接点引出端21に装入されることを制限せず、同時に、第1の磁気シールド部材5と固定接点引出端21との間の固定効果を確保し、接続はより便利で確実なものにすることができる。
【0063】
一実施例において、固定部は、固定接点引出端21の可動接触子22に面する側に設置されたフランジである。ここで、フランジは、側縁、波形縁などとも呼ぶことができ、固定接点引出端21は、折り返し可能なフランジを使用することにより、第1の磁気シールド部材5の固定を実現することができ、構造が簡単で、便利であり、製造コストが比較的低い。
【0064】
一実施例において、固定接点引出端21と第1の磁気シールド部材5との間は、溶接またはねじ止めまたはスナップ止めによって固定される。
【0065】
具体的には、固定接点引出端21の外壁には、雄ねじが設置され、第1の磁気シールド部材5の内壁には、雌ねじが設置され、すなわち、第1の磁気シールド部材5は、ナット構造であり、雄ねじが雌ねじにねじ止めされ、固定接点引出端21と第1の磁気シールド部材5との間の取り外し可能な接続を実現することができる。
【0066】
具体的には、固定接点引出端21の外壁と第1の磁気シールド部材5の内壁の一方には、スナップ突起を設け、他方には、スナップ溝を設け、スナップ突起をスナップ溝にスナップ止めすることで、固定接点引出端21と第1の磁気シールド部材5との間のスナップ止め固定を実現している。
【0067】
具体的には、固定接点引出端21と第1の磁気シールド部材5との間をロウ付け等の溶接により固定することも可能であり、工程が簡単で、製造コストも比較的低い。
【0068】
一実施例において、
図2~
図3に示すように、耐短絡アセンブリ3は、上部導磁体31と、下部導磁体32とを含み、上部導磁体31は、可動接触子22の固定接点引出端21に近い側に設置され、下部導磁体32は、可動接触子22の固定接点引出端21から離れた側に設置され、導磁回路は、上部導磁体31と下部導磁体32との間に形成され、可動接触子22に故障大電流が発生したときに吸引力を発生させ、可動接触子22と固定接点引出端21との間の電動反発力に抵抗するのに用いられる。ここで、上部導磁体31と下部導磁体32は、鉄、コバルト、ニッケル及びこれらの合金等の材料を用いて作られることができる。
【0069】
下部導磁体32は、可動接触子22の下方に固定されており、下部導磁体32は可動接触子22とともに固定接点引出端21に近い方向に移動されることにより、上部導磁体31と下部導磁体32との間に導磁回路を形成することができ、可動接触子22に故障大電流が発生した場合、上部導磁体31が可動接触子22の上方に位置し、下部導磁体32が可動接触子22の下方に位置し、可動接触子22が上部導磁体31と下部導磁体32の2つの磁石の間に挟まれたことに相当するため、上部導磁体31が下部導磁体32に吸引力を発生させると、該吸引力が、可動接触子22を吸引して引っ張る役割を果たし、可動接触子22と固定接点引出端21との間の故障電流によって発生する電動反発力に抵抗するのに用いられ、これにより、可動接触子22と固定接点引出端21とが互いに離脱してアークを引き伸ばして爆発に至る事態を回避し、可動接触子22と固定接点引出端21との接触の信頼性と安全性を確保することができる。
【0070】
他の幾つかの実施例において、上部導磁体31は、一字型の構造であってもよく、上部導磁体31は、可動接触子22の2つの可動接点の間の位置に対応して設置され、上部導磁体31と下部導磁体32とをマッチングさせて対応させるために、上部導磁体31は、可動接触子22の幅方向に沿って延びていてもよい。下部導磁体32は、U字型構造であり、下部導磁体32の開口は、可動接触子22に向けて設けられ、下部導磁体32の2つのサイドアームが上部導磁体31の方向に延びるようにし、これにより、下部導磁体32の2つのサイドアームは、上部導磁体31の2つの端部にそれぞれ近接又は接触することで、可動接触子22にその幅方向に沿って周囲の導磁リングを形成することができる。可動接触子22の長さ方向に沿った両端は、可動接点であるため、可動接触子22の幅方向に沿って形成された周囲の導磁リングと干渉せず、可動接触子22に故障大電流が発生した場合、可動接点の押圧方向に電磁吸引力を発生させることで、故障電流によって可動接触子22と固定接点引出端21との間で発生する電動反発力に対抗する。
【0071】
一実施例において、
図2~
図3に示すように、可動接触子22には、貫通孔221が設置され、下部導磁体32は、少なくとも一部が貫通孔221に穿設されている。
【0072】
この方法により、可動接触子22は、下部導磁体32の取付と固定位置を提供することで、可動接触子22と下部導磁体32との間の固定効果を向上させる。下部導磁体32は、U字型構造に似ているため、下部導磁体32の開口は、可動接触子22に向かって設けられ、下部導磁体32の一方のサイドアームは、可動接触子22の長辺に包まれ、他方のサイドアームは貫通孔221に穿設されている。
【0073】
一実施例において、上部導磁体31と下部導磁体32の数は、複数であり、複数の上部導磁体31と複数の下部導磁体32とは対応して設置され、隣接する2つの下部導磁体32の互いに近接する側は、貫通孔221に穿設されている。
【0074】
複数の上部導磁体31と複数の下部導磁体32とが対応して設置されることで、上部導磁体31と下部導磁体32との間の磁気吸引効果を高めて、可動接触子22を吸引して引っ張る役割をさらに向上させることで、故障電流によって可動接触子22と固定接点引出端21との間で発生する電動反発力に対抗する。
【0075】
例えば、上部導磁体31と下部導磁体32の数は、2つであり、2つの下部導磁体32の互いに近接するサイドアームは、同時に貫通孔221に貫通して設けることで、2つの下部導磁体32の取り付けを同一の貫通孔221を用いて実現し、製造コストと組み立ての難易度を低減している。
【0076】
また、
図6~
図8に示すように、本実施例では、上述したリレー接触子の磁気シールド構造を含むリレーをさらに提供する。
【0077】
本実施例で提供するリレーは、第1の磁気シールド部材5、永久磁石6、耐短絡アセンブリ3の設定位置を最適化して設置したものであり、第1の磁気シールド部材5は、永久磁石6から耐短絡アセンブリ3への磁界を吸収することができ、すなわち、永久磁石6に発生する磁界は、まず第1の磁気シールド部材5によって吸引され、これにより、永久磁石6の耐短絡アセンブリ3への影響を低減することで、耐短絡の効果を向上させる。また、第1の磁気シールド部材5自体が磁化されるだけでなく永久磁石6の磁界も吸着することになり、短絡電流が流れたときの第1の磁気シールド部材5の可動接触子22への吸引力もそれに伴って増大し、したがって耐短絡の効果をさらに向上させる。
【0078】
一実施例において、
図6~
図8に示すように、該リレーは、接触容器1をさらに含み、リレー接触子の磁気シールド構造の第1の磁気シールド部材5は、接触容器1の内部に設置され、永久磁石6は、接触容器1の外部に設置され、永久磁石6は、ヨーククランプ7と接触容器1との間に設置されている。
【0079】
第1の磁気シールド部材5は、接触容器1の内部に設置され、すなわち、第1の磁気シールド部材5は、固定接点引出端部21の接触容器1の内部に位置する部分の外部にスリーブ化され、第1の磁気シールド部材5と永久磁石6とが接触容器1の内部と外部とにそれぞれ対応して設置されているので、接触容器1は、ある程度永久磁石6と耐短絡アセンブリ3とを隔離する役割を果たす。
【0080】
一実施例において、
図6~
図8に示すように、該リレーは、プッシュアセンブリ4をさらに含み、プッシュアセンブリ4は、プッシュロッド411と、ベース412と、弾性部材43と、U字形ブラケット42とを含む。ベース412およびプッシュロッド411の上部は、一体射出成形によりプッシュロッドユニット41を形成することができ、U字形ブラケット42の底部は、ベース412に固定的に連結され、U字形ブラケット42とベース412は囲んでフレーム構造を成し、可動接触子22と弾性部材43は、U字形ブラケット42とベース412が囲んで成すフレーム構造内に取り付けられ、弾性部材43の一端はベース412に当接し、他端は可動接触子22に当接し、弾性部材43は、可動接触子22がベース412から離れて固定接点引出端21に近づく傾向を有するように弾性力を与えることができる。
【0081】
リレーは、電磁石ユニット44をさらに含み、電磁石ユニット44は、ヨーク板の絶縁カバー11から離れた側に設置され、金属カバーを取り囲んでいる。プッシュロッドユニット41は、電磁石ユニット44に駆動可能に接続されており、プッシュロッドユニット41は、電磁石ユニット44内に移動可能に設置され、ヨーク板のビアホールを貫通して可動接触子22に接続されている。電磁石ユニット44が通電されると、プッシュロッドユニット41を駆動して移動させることができ、その結果、可動接触子22を駆動して移動させることで、固定接点引出端21と接触または固定接点引出端21から離間させることができる。
【0082】
電磁石ユニット44は、コイルボビン441と、コイル442と、固定鉄心444と、および可動鉄心443とを含む。コイルボビン441は、中空筒状であり、絶縁材料を用いて形成されている。金属カバーは、コイルボビン441を穿設されており、コイル442は、コイルボビン441を取り囲んでいる。固定鉄心444は、金属カバー内に固定設置され、固定鉄心444の一部は、ビアホールに延び込んでいる。固定鉄心444は、第1の穿孔を有し、第1の穿孔は、ビアホールの位置に対応して設置され、プッシュロッドユニット41が穿設されるのに用いられる。可動鉄心443は、金属カバー内に移動可能に設置され、固定鉄心444に対向して設置され、可動鉄心443は、コイル442が通電されたとき、固定鉄心444に吸引されるように、プッシュロッドユニット41に接続されている。可動鉄心443とプッシュロッドユニット41とは、ねじ止め、カシメ、溶接または他の手段により接続することができる。
【0083】
本実施例によって提供されるリレーは、以下のように動作する:
コイル442が通電されると、可動鉄心443が上方に移動し、可動鉄心443がプッシュロッドユニット41を駆動して上方に移動させ、プッシュロッドユニット41のプッシュ作用により、可動接触子22の両端の可動接点が2つの固定接点引出端21のそれぞれに接触する。
【0084】
コイル442の電流が切断されると、可動鉄心443がプッシュロッドユニット41を下方に移動させるように駆動し、可動接触子22の両端の可動接点が2つの固定接点引出端21から離間する。
【0085】
ここで注意すべきことは、添付図面に図示され、本明細書に記載されているリレーは、本発明の原理の使用例に過ぎないということである。本発明の原理は、添付図面に図示されまたは本明細書に記載されている装置のいかなる細部またはいかなる構成要素にも限定されないことが、当業者によって明確に理解されるべきである。
【0086】
本発明は、本明細書に示された部材の詳細な構造および設置形態にその適用を限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態を有することが可能であり、様々な方法で実現および実行することができる。前述の変形形態および修正形態は、本発明の範囲に含まれる。本明細書において開示および限定される本発明は、本明細書および/または添付図面において言及または明らかな2つまたは二つ以上の個々の特徴のすべての代替的な組み合わせに及ぶことを理解されたい。これらの様々な組み合わせの全てが、本発明の複数の代替可能的な態様を構成する。本明細書に記載された実施形態は、本発明を実現するための公知の最良の方法を示すものであり、当業者が本発明を利用することを可能にする。
【0087】
本発明の他の実施形態は、本明細書を考慮し、本明細書に開示された創造を実践した後、当業者に容易に思い浮かぶであろう。本発明は、本発明の一般的な原理に従い、本明細書に開示されていない当該技術分野における公知常識または慣用技術の手段を含む、本発明のあらゆる変形、用途、または適応的な変化をカバーすることを意図している。本明細書および例示的な実施形態は、例示的なものとしてのみみなされ、本発明の真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【0088】
本発明は、上記に記載され添付図面に図示した正確な構造に限定されるものではなく、その範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が可能であることを理解されたい。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0089】
1、接触容器、2、接点アセンブリ、3、耐短絡アセンブリ、4、プッシュアセンブリ、5、第1の磁気シールド部材、6、永久磁石、7、ヨーククランプ、
11、絶縁カバー、12、フランジ部材、
21、固定接点引出端
22、可動接触子、221、貫通孔、
31、上部導磁体、32、下部導磁体、
41、プッシュロッドユニット、411、プッシュロッド、412、ベース、
42、U字型ブラケット
43、弾性部材、
44、電磁石ユニット、441、コイルボビン、442、コイル、443、可動鉄心、444、固定鉄心。