(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133033
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】エネルギー吸収間柱
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20240920BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E04H9/02 301
E04B2/56 605Z
E04B2/56 643A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041390
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】112110134
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】503416331
【氏名又は名称】國立臺灣科技大學
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】蕭 博謙
(72)【発明者】
【氏名】李 俊毅
【テーマコード(参考)】
2E002
2E139
【Fターム(参考)】
2E002MA12
2E139AA01
2E139AB00
(57)【要約】
【課題】エネルギー吸収間柱を提供する。
【解決手段】エネルギー吸収間柱は、境界梁に垂直に接続される境界柱翼板と、境界柱翼板の第1の側に位置する境界柱腹板を有する中間部、及び、水平方向に沿って延びる隙間を有し、中間部とともに境界柱翼板で境界梁に接続され、水平と垂直の力を伝達するように配置され、中間部の一端に位置する少なくとも1つの刀板接続部を含む少なくとも1つの境界柱と、境界柱翼板の境界柱腹板と反対側の第2の側に位置し、剪断力塑性挙動を発展させてエネルギーを吸収するように配置され、一側に境界柱が位置するエネルギー吸収板と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー吸収間柱であって、
境界梁に垂直に接続される境界柱翼板と、
前記境界柱翼板の第1の側に位置する境界柱腹板を有する中間部、及び、水平方向に沿って延びる隙間を有し、前記中間部とともに前記境界柱翼板で前記境界梁に接続され、水平と垂直の力を伝達するように配置され、前記中間部の一端に位置する少なくとも1つの刀板接続部を含み、エネルギー吸収板の一側に位置する少なくとも1つの境界柱と、
前記境界柱翼板の前記境界柱腹板と反対側の第2の側に位置し、均一な剪断力変形を形成するように配置され、一側に前記境界柱が位置する、エネルギー吸収板と、を備えるエネルギー吸収間柱。
【請求項2】
前記エネルギー吸収板の幅は前記エネルギー吸収板の高さより小さく、且つ前記エネルギー吸収板の前記高さは前記境界柱の高さの半分より大きい請求項1に記載のエネルギー吸収間柱。
【請求項3】
前記境界柱の幅と前記エネルギー吸収板の前記幅の半分は実質に同じか、それ以下である請求項2に記載のエネルギー吸収間柱。
【請求項4】
前記エネルギー吸収板、前記刀板接続部及び前記境界梁の間に窓がある請求項1に記載のエネルギー吸収間柱。
【請求項5】
前記窓における前記境界柱翼板との前記第2の側に位置し、前記刀板接続部の強度を強化するように配置される板カバーをさらに備える請求項4に記載のエネルギー吸収間柱。
【請求項6】
前記窓内に位置し且つ前記板カバーと前記エネルギー吸収板に隣接する境界板をさらに備える請求項5に記載のエネルギー吸収間柱。
【請求項7】
前記エネルギー吸収板の第1の表面に位置し且つ垂直方向に沿って配置される第1の補強板と、
前記エネルギー吸収板の端部に位置し、水平方向に沿って配置され且つ前記第1の補強板に接合される境界板と、をさらに備える請求項1に記載のエネルギー吸収間柱。
【請求項8】
前記エネルギー吸収板の前記第1の表面に対する第2の表面に位置し、且つ水平方向に沿って配置される第2の補強板をさらに備える請求項7に記載のエネルギー吸収間柱。
【請求項9】
前記境界柱腹板の表面に位置し且つ水平方向に沿って配置される水平補強板をさらに備える請求項1に記載のエネルギー吸収間柱。
【請求項10】
2つの前記境界柱を備え、前記エネルギー吸収板は2つの前記境界柱の間にあり、且つ2つの前記境界柱のそれぞれは2つの前記刀板接続部を含み、前記中間部は2つの前記刀板接続部の間に位置する請求項1に記載のエネルギー吸収間柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はエネルギー吸収間柱に関する。
【背景技術】
【0002】
台湾は環太平洋地震帯に位置しているため、近年、様々な防振、制振設計が絶えず発展して、人民の生命財産の安全を保障している。耐震間柱式金属エネルギー吸収器はその体積が小さく、耐震建築構造に広く応用されている。一般的に、耐震間柱は曲げモーメント降伏型及び剪断力降伏型の2種類に分けられ、剪断力降伏型耐震間柱はエネルギー吸収鋼板と上下両端の接続段から、三段式設計を採用して構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の剪断力降伏型耐震間柱は、そのエネルギー吸収鋼板の高さが総柱高さの3分の1以下であり、剪断力の変形需要は床の変位の3倍以上であるため、座屈が生じないように補強するために多くの補剛板が必要である。また、エネルギー吸収鋼板の剪断力塑性ヒンジの発生を確保するために、上下弾性部は非常に硬く、一定の高さを占有しなければならず、そのため、全体のロッド効率が低下した。それに加えて、従来のエネルギー吸収鋼板が必要とする低降伏強度鋼材は高価で入手が困難であり、特殊な加工が必要であるため、コストアップにつながる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一技術態様はエネルギー吸収間柱である。
【0005】
本開示の一実施形態によれば、エネルギー吸収間柱であって、境界梁に垂直に接続される境界柱翼板と、境界柱翼板の第1の側に位置する境界柱腹板を有する中間部、及び、水平方向に沿って延びる隙間を有し、中間部とともに境界柱翼板で境界梁に接続され、水平と垂直の力を伝達するように配置され、中間部の一端に位置する少なくとも1つの刀板接続部を含む少なくとも1つの境界柱と、境界柱翼板の境界柱腹板と反対側の第2の側に位置し、剪断力塑性挙動を発展させてエネルギーを吸収するように配置され、一側に境界柱が位置するエネルギー吸収板と、を備える。
【0006】
本開示の一実施形態において、エネルギー吸収板の幅はエネルギー吸収板の高さより小さく、且つエネルギー吸収板の高さは境界柱の高さの半分より大きい。
【0007】
本開示の一実施形態において、境界柱の幅はエネルギー吸収板の幅の半分と実質に同じかそれ以下である。
【0008】
本開示の一実施形態において、エネルギー吸収板、刀板接続部及び境界梁の間に窓がある。
【0009】
本開示の一実施形態において、エネルギー吸収間柱は、窓における該境界柱翼板との第2の側に位置し、刀板接続部の強度を増加するように配置される板カバーを備えてよい。
【0010】
本開示の一実施形態において、エネルギー吸収間柱は、窓内に位置し且つ板カバーとエネルギー吸収板に隣接する境界板をさらに備える。
【0011】
本開示の一実施形態において、エネルギー吸収間柱は、エネルギー吸収板の第1の表面に位置し且つ垂直方向に沿って配置される第1の補強板と、エネルギー吸収板の端部に位置し、水平方向に沿って配置され且つ第1の補強板に接合する境界板と、をさらに備える。
【0012】
本開示の一実施形態において、エネルギー吸収間柱は、エネルギー吸収板の第1の表面に対する第2の表面に位置し、且つ水平方向に沿って配置される第2の補強板をさらに備える。
【0013】
本開示の一実施形態において、エネルギー吸収間柱は、境界柱の表面に位置し且つ水平方向に沿って配置される水平補強板をさらに備える。
【0014】
本開示の一実施形態において、エネルギー吸収間柱は、2つの境界柱を備え、エネルギー吸収板が2つの境界柱の間に位置し、且つ2つの境界柱のそれぞれは2つの刀板接続部を含み、中間部は2つの刀板接続部の間に位置する。
【0015】
本開示の上述実施形態において、刀板接続部の隙間により、刀板接続部はこの隙間の位置で境界柱の中間部と建築物の境界梁とを枢着などの手段により接続することができ、隙間での刀板は水平と垂直の力を伝達するために使用できるため、中央エネルギー吸収板には単純な剪断力変形のみがある。さらに、エネルギー吸収板は境界柱を介して境界梁に接続され、エネルギー吸収板のアスペクト比を低下させるため、エネルギー吸収板の変形が剪断力を主とすることがより保証される。また、エネルギー吸収板の高さは総柱高さの半分より大きくできるため、床の剪断力変形需要とエネルギー吸収板の剪断力変形需要の比が1倍に近くなり、エネルギー吸収間柱のロッド効率が大幅に向上する。また、低降伏強度鋼材を使用する必要がないため、境界柱と同じ加工方法と材料を採用することができ、その施工コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図を参照すると、後述の実施形態から本開示内容の態様を最もよく理解することができる。この業界の標準的な実務によると、さまざまな特徴が縮尺通りに描かれていないことを注意されたい。実際に、論述の明確性のために、各特徴のサイズを任意に増減することができる。
【
図1】本開示の一実施形態によるエネルギー吸収間柱を示す正面図である。
【
図2】
図1のエネルギー吸収間柱の変形時の正面図である。
【
図3】本開示の他の実施形態によるエネルギー吸収間柱を示す正面図である。
【
図4】
図3のエネルギー吸収間柱の剪断力変形時の剪断力対床変形量を示す図である。
【
図5】
図3のエネルギー吸収間柱の20回の最大剪断力変形時の剪断力対床変形量を示す図である。
【
図6】本開示のさらなる実施形態によるエネルギー吸収間柱を示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下で開示した実施形態内容は、提供された目的を実施するための異なる特徴の数多くの異なる実施形態、または実例を提供する。以下、本開示を簡素化するように、素子と布置の特定の実例を説明する。勿論、これらの実例は、実例だけで、且つ制限することを意図しない。なお、本開示は、各実例では素子符号及び/又は文字を繰り返すことができる。この繰り返しは、簡単で明瞭な目的のために使用され、それ自体は論じた各実施形態及び/又は配置間の関係を指定しない。
【0018】
「……の下方にある」、「……の下にある」、「下部」、「……の上にある」、「上部」などの空間的相対用語は、図面に示されるように、1つの素子または特徴と他の素子または特徴の関係を説明するように、本明細書で説明の便宜のために使用することができる。空間的相対用語は、図面に示された方向以外の使用又は操作中の装置の異なる方向をカバーすることを意図している。装置は、他の形態で方向付けされてもよく(90度回転または他の方向)且つ本明細書で使用される空間的相対説明用語は同様に対応的に解釈されることができる。
【0019】
図1は本開示の一実施形態によるエネルギー吸収間柱100を示す正面図である。
図1を参照し、エネルギー吸収間柱100は境界柱翼板110、少なくとも1つの境界柱120及びエネルギー吸収板130を備える。境界柱翼板110は境界梁200に垂直に接続される。境界柱120は中間部124及び少なくとも1つの刀板接続部122を備える。中間部124は境界柱翼板110の第1の側に位置する境界柱腹板129を備える。刀板接続部122は中間部124の一端に位置し、刀板接続部122、126は水平方向に沿って延びる隙間128を有し、刀板接続部122と中間部124は境界柱翼板110で境界梁200に接続される。エネルギー吸収板130は境界柱翼板110の境界柱腹板129と反対側の第2の側に位置する。境界柱120はエネルギー吸収板130の一側に位置する。本実施形態において、エネルギー吸収間柱100は2つの境界柱120を備え、エネルギー吸収板130は2つの境界柱120の間に位置し、且つ2つの境界柱120のそれぞれは2つの刀板接続部122、126を備え、中間部124は2つの刀板接続部122、126の間に位置する。刀板接続部122を例として、隙間128において、境界柱翼板110と配置可能な板カバー150が接続される刀板接続部122の上下2つの部分のみがあり、このような設計により、隙間128での境界柱翼板110は材料の延性と弾性を十分に利用することができ、枢着のような役割を果たすことができる。幾つかの実施形態において、エネルギー吸収板130、境界柱120及び境界柱翼板110の材質は鋼材を含み、且つエネルギー吸収板130、境界柱120及び境界柱翼板110の材質が同じであってもよく、H型鋼や複合鋼であってもよいが、これに限定されない。
【0020】
エネルギー吸収板130の幅W1はエネルギー吸収板130の高さH1より小さい。エネルギー吸収板130と直接接触するのは非境界梁200ではなく、境界柱120である。このような設計により、エネルギー吸収板130のアスペクト比を幅W1と高さH1の比と等価にすることができる(一般的に、土木工学でいう壁幅は剪断力を付与する接触部分の長さである。本開示において、エネルギー吸収板130に剪断力を直接付与するのは、境界柱120であるため、壁幅は高さH1に等価する)。エネルギー吸収板130の幅W1がエネルギー吸収板130の高さH1より小さく、このアスペクト比が1より小さく、アスペクト比が小さい場合、エネルギー吸収板130に作用する主な作用力は剪断力によって支配される。このような設計により、エネルギー吸収板130のロッド力学が簡素化され、エネルギー吸収板130は単純な剪断力で地震の発生時のエネルギーを変形吸収できるようにする。
【0021】
図2は
図1のエネルギー吸収間柱100の変形時の正面図である。
図2を参照し、エネルギー吸収間柱100の上下の境界梁200に横変位Sがある場合、刀板接続部122、126は、横変位Sによる隙間128での垂直力Vkpと水平力Hkp、及び刀板接続部122、126内の曲げモーメント及び軸力を吸収するように配置される。いわゆる曲げモーメントは、水平力Hkpにより刀板接続部122、126内部を曲げるモーメントであり、いわゆる軸力は、垂直力Vkpによる刀板接続部122、126内の軸力であり、作用力の方向によって圧力(Compression、矢印がエネルギー吸収板130に向かう)と張力(Tension、矢印がエネルギー吸収板130から離れる)に分けることができる。なお、横変位Sによる歪力にも水平方向の水平力Hkpがあり、この水平力Hkpがエネルギー吸収板130内の剪断力を形成し、平行四辺形の変形を形成し、このように塑性に達して地震震動エネルギーを吸収する。変形時に、刀板接続部122、126がそれぞれ上下境界梁200に接続される部分は変形しなく、刀板接続部122、126の隙間128の間の部分が変形し、且つエネルギー吸収板130の高さH1は境界柱120の高さH2の半分(
図1参照)より大きく、このようにして、エネルギー吸収間柱100の変形に関与する部分の高さH3は境界柱の高さH2の大きな割合、例えば80%~95%の範囲を占めることができる。小角度θの場合、角度θの正弦関数値は角度θそのもの(即ち)に近似できるので、床の剪断力変形需要とエネルギー吸収間柱100の剪断力変形需要の比は、床の高さ(即ち境界柱高さH2、
図1参照)とエネルギー吸収間柱100の変形可能領域の高さH3の比に近似できる。変形可能領域の高さH3が境界柱の高さH2に近いため、このような設計により、床の剪断力変形需要とエネルギー吸収間柱100の剪断力変形需要比を1:1に近くし、つまり、境界柱高さH2と変形可能領域の高さH3の比が1に近く、エネルギー吸収間柱100のロッド効率を大幅に向上させる。
【0022】
図1を参照し、境界柱120の幅W2とエネルギー吸収板130の幅W1の半分は実質に同じか、それ以下である。エネルギー吸収板130、刀板接続部122及び境界梁200の間に窓140がある。
図1の上側の2つの刀板接続部122、境界梁200及びエネルギー吸収板130は窓140を取り囲むことができる。エネルギー吸収間柱100は板カバー150をさらに備える。板カバー150は窓140における境界柱翼板110との第2の側に位置し、板カバー150は、境界柱翼板110の強度を強化するように配置される。例えば、窓140のこの部分の境界柱翼板110に板カバー150を溶接することで、境界柱翼板110が耐えられる歪力強度を増加することができ、境界柱翼板110全体の厚さを増加する必要がない。幾つかの実施形態において、刀板接続部122の隙間128の幅は境界柱翼板110に板カバー150の厚さを加えたものの約1~2倍である。
【0023】
エネルギー吸収間柱100は第1の補強板170と境界板160をさらに備える。第1の補強板170はエネルギー吸収板130の第1の表面132に位置し且つ垂直方向に沿って配置される。境界板160は窓140内及びエネルギー吸収板130の端部に位置し、境界板160は板カバー150とエネルギー吸収板130に隣接する。境界板160は水平方向に沿って配置され且つ第1の補強板170に接合される。本実施形態において、第1の補強板170の数は1枚示されるが、必要に応じて、より多くの第1の補強板170を増設することができる。第1の補強板170の増設の実施形態について、後述及び
図3で説明する。第1の補強板170と境界板160の役割は、エネルギー吸収板130の座屈(buckling)を遅らせ、エネルギー吸収板130がより大きな横変位に耐えられ、回復不可能な変形を遅らせるようにすることである。
【0024】
本実施形態において、エネルギー吸収間柱100は水平補強板174をさらに備える。水平補強板174は境界柱腹板129の表面上に位置し且つ水平方向に沿って配置される。注意すべきなのは、水平補強板174が境界柱腹板129の1つの表面のみに配置されなく、
図1の境界柱120の裏面にも水平補強板174を配置してもよく、
図6で説明する。幾つかの実施形態において、第1の補強板170、水平補強板174の材質は鋼材を含み、第1の補強板170、水平補強板174の厚さは1.0センチ~2.5センチの範囲にあり、例えば約2センチである。
【0025】
図3は本開示の他の実施形態によるエネルギー吸収間柱100aの正面図である。
図3を参照し、エネルギー吸収間柱100aは境界柱翼板110、少なくとも1つの境界柱120、エネルギー吸収板130及び第1の補強板170aを備える。本実施形態と
図1の実施形態との違いは、エネルギー吸収間柱100aが3枚の第1の補強板170aがあることにある。このようにして、増設された第1の補強板170aにより、エネルギー吸収間柱100aが
図1の実施形態より大きいな歪力とより大きな横変位に耐えられる。
【0026】
図4は
図3のエネルギー吸収間柱100aの剪断力変形時の剪断力対床変形量を示す図である。
図4では、一次変形のサイクルでは、横変位が5%(即ち垂直方向に各メートルごとに5センチの横変位が発生する)に達しても、その力と変位の関係曲線は緩やかな曲線であり、
図3のエネルギー吸収間柱100aに座屈が発生しないことを示す。
図5は
図3のエネルギー吸収間柱100aの20回の最大剪断力変形時の剪断力対床変形量を示す図である。
図5では、
図4の横変位サイクルを20回繰り返したとしても、その力と変位の関係曲線の重複性が依然として非常に高く、
図3のエネルギー吸収間柱100aには、この20回のサイクルの中で、金属疲労による構造劣化の現象が発生しないことを示す。
【0027】
図6は本開示のさらなる実施形態によるエネルギー吸収間柱100bの後面図である。
図6を参照し、エネルギー吸収間柱100bは境界柱翼板110、少なくとも1つの境界柱120及びエネルギー吸収板130を備える。
図6の実施形態と
図3の実施形態の違いは、
図6のエネルギー吸収間柱100bが第2の補強板172をさらに備えることにある。第2の補強板172はエネルギー吸収板130の第1の表面132に対する第2の表面134に位置し、且つ第2の補強板172が水平方向に沿って配置される。第2の補強板172を増設することによって、エネルギー吸収間柱100bのエネルギー吸収板130の構造がさらに強化される。幾つかの実施形態において、第2の補強板172の材質は鋼を含み、第2の補強板172の厚さは約1.0センチ~2.5センチの範囲にあり、例えば2センチである。
【0028】
以上のように、刀板接続部の隙間により、刀板はこの隙間の位置で境界柱の中間部と建築物の境界梁とを枢着などの手段により接続することができ、隙間での刀板接続部は水平と垂直の力を伝達することができるため、中央エネルギー吸収板には単純な剪断力変形のみがある。さらに、エネルギー吸収板は境界柱を介して境界梁に接続され、エネルギー吸収板のアスペクト比を低下させるため、エネルギー吸収板の変形が剪断力を主とすることがより保証される。また、エネルギー吸収板の高さは総柱高さの半分より大きくできるため、床の剪断力変形需要とエネルギー吸収板の剪断力変形需要の比が1倍に近くなり、エネルギー吸収間柱のロッド効率が大幅に向上する。また、低降伏強度鋼材を使用する必要がないため、境界柱と同じ加工方法と材料を採用することができ、その施工コストを低減することができる。
【0029】
以上、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説した。当業者は、本開示をその他の過程と構造を設計または修正する基礎として容易に使用して、本明細書で説明した実施形態と同じ目的を実現し、及び/又は同じ利点を実現ができることを理解すべきである。当業者は、さらに、このような等価構造が本開示の精神や範囲を逸脱しなく、且つ本開示の精神と範囲を逸脱しない限り、ここで様々な改変、置き換え及び変更を行ってもよいことを認識すべきである。
【符号の説明】
【0030】
100,100a,100b:エネルギー吸収間柱
110:境界柱翼板
120:境界柱
122,126:刀板接続部
124:中間部
128:隙間
129:境界柱腹板
130:エネルギー吸収板
132:第1の表面
134:第2の表面
140:窓
150:板カバー
160:境界板
170,170a:第1の補強板
172:第2の補強板
174:水平補強板
200:境界梁
H1,H2,H3:高さ
W1,W2:幅
Vkp:垂直力
Hkp:水平力
S:横変位
θ:角度