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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133034
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/45 20140101AFI20240920BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20240920BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20240920BHJP
【FI】
A63F13/45
A63F13/52
A63F13/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041421
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2023043399
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523045995
【氏名又は名称】株式会社EENE
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐野 太紀
(72)【発明者】
【氏名】中谷 将
(57)【要約】
【課題】繰り返し楽しめるゲームシステムを提供する。
【解決手段】主人公が横方向に移動する横スクロール型のゲームシステム1であって、スクロール画面の進行を制御する進行制御部2と、スクロール画面で発生したイベントを経過時間と関連付けて記憶する記憶部3と、スクロール画面の表示を制御する表示制御部4と、を備え、進行制御部2は、ゲームを再開するとき、記憶部3に記憶された主人公に起因するイベントを再生させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主人公が横方向に移動する横スクロール型のゲームシステムであって、
スクロール画面の進行を制御する進行制御部と、
前記スクロール画面で発生したイベントを経過時間と関連付けて記憶する記憶部と、
前記スクロール画面の表示を制御する表示制御部と、を備え、
前記進行制御部は、ゲームを再開するとき、前記記憶部に記憶された前記主人公に起因する前記イベントを再生させるゲームシステム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記スクロール画面として暗闇を基調とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記記憶部は、光を生む出す前記イベントを記憶しており、
前記表示制御部は、前記進行制御部が前記イベントを再生するとき、前記光を連続的に表示させる請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記表示制御部は、倒された敵に種子を与える前記イベントがあるとき、光を表示させる請求項1から3のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横スクロール型のゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横スクロール型のアクションゲームが知られている(例えば、特許文献1参照)。横スクロール型のアクションゲームは、左側から右側に向けて主人公が進み、右側から現れた敵を倒していくレトロなゲームである。
【0003】
特許文献1に記載のゲームシステムは、主人公が指導を受けることにより上達したか否かを判定し、上達度に応じて所定の特典を付与する特典付与制御手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-137398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の横スクロール型のアクションゲームは、新たなゲームステージの開放等のために特典が付与されるため、同一のゲームステージでゲームオーバーになった場合、一からゲームをスタートする必要があった。また、同一のステージで特典が付与されて主人公がレベルアップを図った場合でも、一からゲームをクリアする必要があり、ユーザにとって苦痛に感じることが多い。
【0006】
そこで、繰り返し楽しめるゲームシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るゲームシステムの特徴構成は、主人公が横方向に移動する横スクロール型のゲームシステムであって、スクロール画面の進行を制御する進行制御部と、前記スクロール画面で発生したイベントを経過時間と関連付けて記憶する記憶部と、前記スクロール画面の表示を制御する表示制御部と、を備え、前記進行制御部は、ゲームを再開するとき、前記記憶部に記憶された前記主人公に起因する前記イベントを再生させる点にある。
【0008】
本構成における進行制御部は、ゲームを再開するとき、記憶部に記憶された主人公に起因するイベントを再生させる幻影システムを採用している。このため、同一のゲームステージでゲームオーバーになった場合、ゲームを再開しても以前のイベントが再生されるため、ユーザは苦痛を感じることなく、繰り返し楽しむことができる。
【0009】
他の特徴構成は、前記表示制御部は、前記スクロール画面として暗闇を基調とする点にある。
【0010】
本構成のように暗闇を基調とした場合、ユーザが防衛ゲームのような錯覚を覚えるが、上述した幻影システムによってゲームを再開したい欲望を高めることができる。
【0011】
他の特徴構成は、前記記憶部は、光を生む出す前記イベントを記憶しており、前記表示制御部は、前記進行制御部が前記イベントを再生するとき、前記光を連続的に表示させる点にある。
【0012】
本構成のように、イベントを再生するときに光を連続的に表示させれば、暗闇を基調とした場合に臨場感が生まれ、ユーザの好奇心を刺激することができる。
【0013】
他の特徴構成は、前記表示制御部は、倒された敵に種子を与える前記イベントがあるとき、光を表示させる点にある。
【0014】
本構成のように、倒された敵に種子を与えるイベントがあるとき光を表示させれば、敵が味方になった感覚が得られ、ユーザの好奇心をより刺激することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ゲームシステムの実行環境の一例を示す図である。
図2】ゲームシステムのブロック図である。
図3】ゲームシステムの概要の一例を説明する図である。
図4】ゲームシステムの基盤及びゲーム起動の一例を説明する図である。
図5】ゲームの起動後のフローを示す図である。
図6】ゲームの進行(流れ)の概要を説明する図である。
図7A】NPCによる第一処理の一例を説明する図である。
図7B】NPCによる第二処理の一例を説明する図である。
図8】ゲームシステムに登場するキャラクター等の一例を説明する図である。
図9】ゲームシステムに用いられる機能等の一例を説明する図である。
図10】ゲームシステムに用いられるアイテム等の一例を説明する図である。
図11】NPCによる処理の一例を説明する図である。
図12】ゲーム設定画面の一例を示す図である。
図13】スクロール画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るゲームシステムの実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0017】
本実施形態に係るゲームシステム1は、図面に詳細が開示されている。このゲームシステム1(図2参照)は、コンピュータにより実行される。図1に示されるように、コンピュータにより実行されるゲームシステム1は、インターネット回線を介してサーバー10と携帯端末やパーソナルコンピュータ等の端末20とが接続されて、ユーザが端末20からゲームを操作することができる。
【0018】
本実施形態に係るゲームシステム1は、主人公が横方向に移動する横スクロール型のゲームシステムである。図2に示されるように、ゲームシステム1は、スクロール画面の進行を制御する進行制御部2と、スクロール画面で発生したイベントを経過時間と関連付けて記憶する記憶部3と、スクロール画面の表示を制御する表示制御部4と、を備える。進行制御部2は、ゲームを再開するとき、記憶部3に記憶された主人公に起因するイベントを再生させる。また、表示制御部4は、スクロール画面として暗闇を基調とする。また、記憶部3は、光を生む出すイベントを記憶しており、表示制御部4は、進行制御部2がイベントを再生するとき、記憶部3に記憶された光を連続的に表示させる。表示制御部4は、倒された敵に種子を与えるイベントがあるとき、光を表示させる。
【0019】
以下、主人公が横方向に移動する横スクロール型のゲームシステム1の詳細について説明する。図13にスクロール画面の一例を示す。
【0020】
(ゲームの概要)
ゲームの概要は以下の通りである。ゲームの概要は図3にも示されている。
[タイトル]:「誓いの淵(チカイノフチ)」である。
[ジャンル]:2D横スクロールアクションゲームである。
[メインターゲット層]:18から35歳までの年代層である。レトロゲームを遊んでいた世代がゲームを懐かしみつつ楽しんでもらえることを期待する。
[クリア想定時間]:チャプター画面の1周あたり20~40分である。1周あたりのクリア時間が短いことで、繰り返してゲームをして遊んでもらうことを期待する。全てのエンディングを回収するまでにかかる時間は、ゲームをやり続けて2日程度を想定する。
[エンディング]:例えばED1からED8まで、複数のエンディングが用意されたマルチエンディング形式である。主人公(ルツ)及び進行役(トレア)の行動に応じてエンディングが移行する。
[クリア条件]:マップ(左右領域)の右端(エンディング)まで到達し、ラスボスを討伐することで1つのエンディングがクリアとなる。
[敗北条件]:マップ(左右領域)の左端まで敵に侵入されてしまう、または、主人公(ルツ)が倒されると、敗北となる。
マップ(左右領域)の全域幅がゲーム画面(スクロール画面の一例)の上部に表示される。本ゲームは、表示されたマップの全域幅に示される現在位置によって主人公(ルツ)がどこまで到達したかが直感できる新しい防衛ゲームである。
【0021】
登場人物(登場キャラクター)は以下の通りである。
[ルツ]:主人公であり、物語の中心人物である。人々の使命を背負い、それを叶えるために行動する。喋ることはない。
[トレア]:物語の進行役である。ルツの後を常に付きまとう少女である。ルツ(主人公)が人の大事なモノを手に入れたとき、少女トレアはそのモノを欲する人へ届ける。
[シロナ]:テイミング用シードショップであり、獣人の女性である。様々な種となる原料をルツに集めてもらい、種を植えてもらうためにルツ(主人公)へと種を渡し続ける謎の少女である。
[デック]:武器強化の鍛冶屋である。
【0022】
[ゼスト]:武器変質の錬金屋である。
[エンチャ屋]:モジュールの生成屋である。
[ルーニャ]:ラスボスの傍で横たわる聖女である。
[ダラサンテン]:ラスボスであって、娘ルーニャの父である。
【0023】
ゲームにおいて基盤となるシステムは以下の通りである。基盤となるシステムについては図4にも示される。
[幻影システム]
ルツ(主人公)が死亡するまでのゲームの記録が新しいゲームに反映される。例えば、前回のゲームにおいてルツが死亡するまでの間(例えば、ゲーム開始から20秒)に取得したアイテムが、新しく始めたゲームでもゲーム開始から20秒となる時点で手持ちに加えられる。
【0024】
幻影システムによって、過去の自分(主人公)が、継続されるゲームにおける現在の自分(主人公)を助けてくれる。具体的には以下の通りである。ゲームシステム1の記憶部3に「アイテム収集の蓄積データ」が保存される。「アイテム収集の蓄積データ」として、アイテムを集めたときのタイムラインが記憶され、新しいゲームで同じ時間に反映される。「アイテム収集の蓄積データ」には、「光と生産されるお金」や「熟練度」も含まれる。蓄積された「光と生産されるお金」については、花を植えたときの記録が残り、新しいゲームで花を植えた記憶が反映される。「熟練度」については、過去に行った行動がそれぞれの熟練度ステータスに経験値として蓄積され、熟練度が1v上昇すると様々な恩恵を得ることができる。
【0025】
ゲームが起動される際の動作(ゲーム起動想定)の概要は以下の通りである(図4参照)。初回起動からの流れにおいて、初回起動後には、ゲーム画面の右側が真っ黒であり、ルツ(主人公)はゲーム画面の右側には進み難い。このため、本ゲームは普通の防衛ゲームであると一時的に錯覚する。しかし、実際にはゲームには上述の幻影システム等を備えるため、普通の防衛ゲームとは全く異なる。ゲーム中は、敵がゲーム画面の右から左に向かって拠点を攻めてくる。
【0026】
ゲームでは、「花光を使う冒険」が行われる。ゲーム画面の暗闇では、断続的にドットダメージが入る(例えば1%ずつ)。そこで、暗闇において花を植えると花の周りの場所が光り、暗闇の一部が明るくなる。ルツ(主人公)がゲーム画面を効率よく右に進むには花を植える必要があり、花を植えなければルツが通る道は過酷になる。花による光なしでも道を進むことは可能ではあるが、敵に迅速に対応できない。ゲームプレイヤーが操作するルツが種を植えると、暗闇に花が咲いたり、敵が蘇生されて味方になったりする。
【0027】
(ゲーム起動)
ゲーム起動後の表示画面の流れは、図5に示す通りである。所持アイテム等の実績リストはゲーム設定画面(図12参照)から確認可能である。実績の進行によりゼスト(錬金屋)のセリフが変動する。この挙動がゲーム全体通してのフラグのセーブデータとなる。
【0028】
ゲーム起動後の表示画面の推移について、以下詳述する。ゲームが起動(ステップ#1)されると、タイトル画面が表示される(ステップ#2)。タイトル画面(ステップ#2)において、何かボタンが押されたかが確認(ステップ#3)され、ボタンが押されなければ(ステップ#3,No)、オープニングムービーが再生(ステップ#4)され、ボタンが押されれば(ステップ#3,Yes)、ゲーム選択肢が表示される(ステップ#5)。
【0029】
ゲーム選択肢は、具体的には、「new game」(ステップ#10)、「continue」(ステップ#20)、「progress」(ステップ#30)、「setting」(ステップ#40)、「exit」(ステップ#6)の5つである。初回起動時には、「new game」「progress」は選択不可として設定されている。初回起動時に「continue」を選択すると、ムービーが流れてゲームが開始する。
【0030】
「new game」(ステップ#10)を選択した場合には、クリアしたチャプターがチャックされ(ステップ#11)、開始するチャプターに適したムービーが再生されて(ステップ#12)、ゲームが開始される(ステップ#13)。
【0031】
「continue」(ステップ#20)を選択した場合には、セーブデータがチェックされ(ステップ#21)、セーブデータが一覧表示されて(ステップ#22)、ゲームが開始される(ステップ#23)。
【0032】
「progress」(ステップ#30)を選択した場合には、進行状況確認画面が表示され(ステップ#31)、その後タイトル画面に戻る(ステップ#32)。「setting」(ステップ#40)を選択した場合には、設定画面が表示され(ステップ#41)、その後タイトル画面に戻る(ステップ#42)。「exit」(ステップ#6)を選択するとゲームを終了する(ステップ#7)。
【0033】
ゲームの進行(流れ)の概要を図6に示す。
スタート(S)から始まり、第1エンド(ED1)から第4エンド(ED4)までが一連の流れとなる。第5エンド(ED5)には、第4エンド(ED4)をクリア後にチャプター画面4-2(ch4-2)を経由して到達可能となる。第5エンド(ED5)をクリアすると、スタート(S)から、チャプター画面1-2(ch1-2)、第6エンド(ED6)、チャプター画面4-3(ch4-3)、第8エンド(ED8:最終END)の順にゲームを続行できる。
【0034】
スタート(S)と第1エンド(ED1)との間はチャプター画面1-1(ch1-1)が流れる。第1エンド(ED1)と第2エンド(ED2)との間はチャプター画面2-1(ch2-1)が流れる。第2エンド(ED2)と第3エンド(ED3)との間はチャプター画面3(ch3)が流れる。第3エンド(ED3)と第4エンド(ED4)との間はチャプター画面4-1(ch4-1)が流れる。第3エンド(ED3)と第5エンド(ED5)との間はチャプター画面4-2(ch4-2)が流れる。チャプター画面2-1(ch2―1)には、分岐するチャプター画面2-2(ch2―2)が用意されている。チャプター画面2-2(ch2―2)は、チャプター画面4-1(ch4―1)へのショートカット画面である。チャプター画面2-2(ch2―2)の途中に第7エンド(ED7)が設定されている。第7エンド(ED7)をクリアすると、第7エンド(ED7)からチャプター画面4-1(ch4-1)に向けてゲームを続行できる。
【0035】
第3エンドED3において、シロナ(テイミング用シードショップ)が登場する。第4エンドED4において、ダラサンテン(ラスボス)が登場する。第5エンドED5において、トレア(進行役)によって発見可能な宝箱が登場する。チャプター画面2-1(ch2―1)から分岐するチャプター画面2-2(ch2―2)は、後述の「氷牢」に相当する。チャプター画面2-2(ch2―2)の途中の第7エンド(ED7)にもダラサンテン(ラスボス)が存在する。第7エンド(ED7)においてダラサンテン(ラスボス)を撃破すると、氷牢から出てチャプター画面4-1(ch4-1)に出ることができる。
【0036】
ゲームシステム1は、チャプター画面(例えばチャプター画面1-1(ch1-1))の途中においてゲームオーバーとなった場合でも、ゲームを再開するときに、記憶部3に記憶されたルツ(主人公)に起因するイベントを再生させる幻影システムを採用している。このため、同一のチャプター画面(ゲームステージ)でゲームオーバーになった場合でも、ゲームを再開した際に以前のイベントが記憶部3に記憶されたセーブデータに基づいて再生される。このため、ユーザは自身が同じプレイを繰り返す苦痛を感じることなく、次のゲーム画面に進むことができる。その結果、ゲームを快適に繰り返し楽しむことができる。
【0037】
チャプター画面1―1(ch1-1)が終わり次第、ゲーム起動画面に、「new game」が表示されて選択可能となり、「continue」は非表示となって選択不可となる。「new game」を選択すると、チャプター画面1―1(ch1-1)と異なる新たなムービーとしてチャプター画面2-1(ch2-1)が流れる。すなわち、チャプター画面別でムービーのセーブデータが異なり、後述のウェーブ(WAVE)別にセーブデータが保存される。その他、全体のゲームデータを通して保存されるフラグがいくつか存在する(全チャプタークリア等)。
【0038】
(チャプター画面)
表示制御部4は、スクロール画面として暗闇を基調とする。チャプター画面1-1(ch1-1)等は例えば洞窟内の移動をイメージして形成される。本構成のようにスクロール画面として暗闇を基調とした場合には、ユーザが防衛ゲームのような錯覚を覚えつつ、上述した幻影システムを用いゲームを再開することで、ゲームステージを早期にクリアしたいという欲望を高めることができる。
【0039】
ゲームにおいて、暗闇では断続的にドットダメージが入る。暗闇の任意の場所に花を植えるとその場所が光り、暗闇が開ける。記憶部3は、光を生む出すイベントを記憶しており、表示制御部4は、進行制御部2がイベントを再生するとき、光を連続的に表示させる。このように、イベントを再生するときに光を連続的に表示させれば、暗闇を基調とした場合に臨場感が生まれ、ユーザの好奇心を刺激することができる。
【0040】
(ウェーブの進行方法と法則)
「ウェーブ」とは、波のように押し寄せることを意味し、ゲームではその名の通り次々と押し寄せる敵(障害物)のことである。最大ウェーブ、例えばチャプター画面の最後に出現する最大ウェーブにおいては、ラスボスクラスの敵が多く含まれる。最大ウェーブは、強化を最大限行うことでクリア可能である。チャプター画面ではスポナーから敵が出現(スポーン)する(図8参照)。ここで、「スポナー」とは、敵を出現(スポーン)させるための部位である。スポナーは、予め設定された部位の場合と、ルツ(主人公)の剣等により封印された洞窟のうち一定のダメージが与えられて破壊された部位(新たな部位)の場合とがある。すなわち、チャプター画面においてスポナーの数は任意で増やすことができる。
【0041】
モンスターが出現するタイミングはタイムライン式である。出現するモンスターはIDによって管理されている。スポナーからのウェーブに含まれるモンスターについては、完全ランダム形式で出現する。例えば4箇所のスポナーがマップ上に存在する。例えばスポナーから出現(スポーン)するクリーチャーは左へと進行し続ける。「クリーチャー」は、「創造された生命体」のことである。元々配置されているクリーチャーのみがプレイヤーや蘇生されたクリーチャーを追尾して攻撃を仕掛けてくる。このクリーチャーはプレイヤーが画面の右に位置していても追尾してくる。ルツ(主人公)は、進行してくるクリーチャーを通り抜けすることができない。
【0042】
ゲームのマップ上に4か所以上の敵拠点が点在しており、お邪魔敵キャラであれば無数に存在する。スポナーとは別でモンスターが拠点範囲内で左右に往復している。敵拠点には強力なモンスターが数匹存在する。強力なモンスターは、一度標的を設定すると標的が視界外に行くまでは追いかけて攻撃してくる。最終的な防衛設備兼、守るべき城となるのは怪物ヤマヒメである。ヤマヒメに殺された敵は、死体として残らないしドロップアイテムもない。ドロップアイテムとは、ゲームにおいて、戦闘で勝利したときに入手できるアイテム等の通称である。ヤマヒメは攻撃された際は殴り返す。攻撃力強化は主人公(ルツ)とヤマヒメが比例で上昇する。
【0043】
(ウェーブ終了後)
次のウェーブ(WAVE)への準備フェイズに移行する。ウェーブ(WAVE)とウェーブ(WAVE)との合間が準備フェイズであり、準備フェイズにおいてマップの時が止まる。しかし、本拠地に存在するNPC達の動きは止まらない。
【0044】
(追憶の出現と氷牢に入る条件)
準備フェイズにおいてのみ、追憶によるイベント条件が満たされていると、氷牢(チャプター画面2-2)に入ることができ、別世界へと飛ばされ、様々な短編イベントが開催される。キーアイテムを所持していると、固まっている追憶に、氷牢に入るためのゲートが出現する。キーアイテムを所持していない場合は、氷牢に入ることができないし氷牢に入るためのゲートも出現しない。
【0045】
追憶は、一通りその人物の悲惨な最後を遂げるまでの紙芝居が繰り広げられる。その悲惨な過去を改変することが氷牢に入る目的となる。氷牢内の演出表現方法は以下である。まず氷牢に入ると背景も2Dの世界になる。動物の手前に影が表示される。これは、氷牢に入る前の世界で流れていた追憶の影と同じ物語の流れになっている。しかし、その影の奥のレイヤーに、ルツ(主人公)の近くの影を除いて動物が全て一匹ずつ配置されている。そして、動物達の手前に追憶の影が表示されている人々は、ルツ(主人公)の行動の制限が解かれると同時に吸収されるような演出になる。追憶はWAVE進行中自動で紙芝居としてシルエットのキャラクター達が吹き出しによって会話している(声はなく、アニメーションを持たない)。
【0046】
(氷牢から出る条件)
氷牢から出る条件は例えば以下の4つである。(1)操作キャラクター(主人公:ルツ)が死んだとき、(2)会話が終了したとき、(3)時間切れのとき(イベントが防衛フェイズでの内容と変化が無くバットエンドとなる)、(4)モンスターを討伐したとき等である。これらの条件(1)~(4)のうちいずれかが成立したときに、氷牢から出て氷牢に入る前の元の世界へ戻ることができる。氷牢ステージをクリアすると報酬が得られる。ただし、氷牢では、暗闇のダメージとして、HP(ヒットポイント)が減少する(例えば毎秒HPの最大値の1%が減少する)。HPが0になると金銭へのダメージに移行する。金銭ダメージは、1、2、4、8、16、32・・・と順に倍になる。暗闇の中ではトレア(進行役)は追従しない。ルツ(主人公)が強化や購買等を行ったとき、ウィンドウが現れて作業できる。その後であたかもトレアが作業したようなアニメーションや会話が流れる。作業終わりにトレア(進行役)がルツに完成品や購入したモノを届ける演出が流れる。ただし、トレアがそのような行為をしなくても、ルツに所持品や強化は適応されている。
【0047】
図7A及び図7Bに、ゲーム中の「シロナ」の動作の概要が示されている。図8に、敵キャラクター「エネミー」、「テイムされたモンスター」「鉱脈」の概要が示されている。図9に、攻撃力等の「強化」、「花」の概要が示されている。図10に「アイテム」「ゴーストイベント」「幻覚兵士イベント」が示されている。図11に、トレア(進行役)の武器及び挙動の概要が示されている。
【0048】
図12に、ゲーム設定画面の一例が示されている。図12に示されるように、所持アイテムの詳細を表示可能なメイン画面100、設定画面101、強化用画面102、テイム用画面103等が設けられる。設定画面101では、会話内容を確認する会話ボタンや、データのセーブ用ボタン、マップ進行状況の確認用ボタン等が設けられている。強化用画面102では、デック(鍛冶屋)及びゼスト(錬金屋)の夫々に対応するボタンが設けられ、テイム用画面103では、種の購入用ボタンが設けられている。
【0049】
(剣墓)
剣墓は、「石の墓剣」、「錆びた墓剣」、及び「青銅の墓剣」を備える。鍵の種類として、「鉄の鍵」、「金の鍵」、「血濡れの鍵」、「黄緑の鍵」が存在する。「鉄の鍵」は、レア度が1であり見た目も鉄の鍵である。「金の鍵」は、レア度が2であり見た目も金の鍵である。「血濡れの鍵」は、レア度が3であり見た目は「赤い鍵」である。「黄緑の鍵」は、レア度が4であり見た目は「緑の鍵」である。
【0050】
夫々の鍵の用途は以下の通りである。「鉄の鍵」の用途は、ルツ(主人公)の攻撃力強化とトレア(進行役)の強化である。「金の鍵」の用途は、ゼスト(錬金屋)の強化施設の使用権限である。「血濡れの鍵」(赤い鍵)の用途は、他のオプションのランダム選択権限である。「黄緑の鍵」(緑の鍵)の用途は、他のオプションのランダム選択権限である。
【0051】
(トレアの動作)
トレア(進行役)の動作の概要については図11に示されている。トレアは、ルツ(主人公)の後ろから追従して自動で矢を放ってくれる。トレアは、デック(鍛冶屋)で強化が可能である。トレアは、氷牢の終わりに獲得した特定のイベントアイテムを、該当のNPC(ノンプレイキャラクター)まで自動で輸送しイベントが自動的に進行してゆく。
【0052】
氷牢自体は、時間の停止した世界である。トレアは、ウェーブ別でヤマヒメから幻影を召喚する事ができる。トレアは、準備フェイズ中にヤマヒメと話をすることで1ウェーブだけ召喚する権限を購入することができる。ウェーブが一回終わると、次のウェーブでは幻影のトレアは出現しない。したがって、次のウェーブも幻想のトレアの出現を希望する場合には、再度ヤマヒメから権利を購入する必要がある。幻影のトレアを召喚したとしても、実体のトレアは今まで通りに行動する。
【0053】
(デックの動作)
ルツ(主人公)とトレア(進行役)の攻撃力の初期値は「10」である。デック(鍛冶屋)は、ルツ及びトレアの攻撃力を強化する(図9参照)。たとえば、攻撃力は、10×1500%=150となる。すなわち、初期値(10)に対して1500%(1500回強化)加算されて攻撃力が150になる。
【0054】
剣墓特攻力は、デック(鍛冶屋)によって強化された攻撃力に対して%で剣墓のみに対するダメージを上昇させる。例えば、剣墓特攻力は、150×200%=300となる。すなわち、攻撃力が剣墓特攻の加算値(200%)で強化されて剣墓特攻力が300になる。デック(鍛冶屋)の強化は一回につき、成功確率が1%下がる(最低1%)。1回強化につき必要な経費は、強化が成功した際の前回の強化費用に更に10%が加算される。
【0055】
各鍵の成功確率は、以下に区分されている。「鉄の鍵」は成功確率が100%であり、「金の鍵」は成功確率が10%又は50%であり、「赤い鍵」は成功確率が5%又は50%であり、「緑の鍵」は成功確率が3%、5%、又は10%である。
【0056】
(シロナの動作)
シロア(テイミング用シードショップ)の動作の概要については、図7A図7Bに示されている。さらに、シロナは、花として、「ダチュラ」、「白い菜の花」、「ホオズキ」、「黄色いユリ」等を咲かせることができる。「ダチュラ」は光確保の為と生産だけの花であり毎秒1生産する。「白い菜の花」は光と拠点を繋ぐワープポイントの花である。「ホオズキ」は蘇生させたモンスターにだけ経験値を毎秒1獲得させることができる。「黄色いユリ」はマップ全体のクリーチャーに経験値を毎秒1獲得させて、経験値を毎秒20消費する。
【0057】
(花の生え方)
図9に花の概要が示されている。一例として、死体(倒された敵)に対して種子を与えて(種を植えて)交流(インタラクト)すると、その死体から花が生える。他例として、指定地帯に死体が条件数集まれば、種を植えることで花が生え、その中の死体の中から一体をテイムモンスターで選んで蘇生させる。花が生える際に通貨消費量が毎秒生産する通貨量を超える選択はできない。死体(倒された敵)に対して種子を与えて花が咲くとき、花が光を放つように設定できる。ゲームシステム1では、倒された敵に種子を与えるイベントがあるとき、表示制御部4が光を表示させる。
【0058】
(クリーチャー合成)
複数のクリーチャーを合成した場合において、複数の成長補正は、高いほうが引き継がれる。スキル保持は最大3つで入れ替えるか選択可能である。複数のクリーチャーの合成は、クリーチャーのベースと素材を決めて行う。合成されたクリーチャーのレベルは、素材及びベースのいずれも高いほうが引き継がれる。
【0059】
(エンチャ屋)
エンチャ屋(モジュール生成屋)は、複数のモジュールを発動する。モジュールにおける一番目のスキルについては、「発動周期」及び「発動距離」が両方満たされた時に発動が適応される。2番目以降のスキルは接続モジュール(条件)に依存する。このセットは最大3つまで装備できる。
【0060】
発動されるモジュールの種類としては例えば以下が存在する。
・奔流ビーム(範囲攻撃)
・ソニックWAVE(範囲攻撃)
・サンダー:貫通数(範囲内確定ダメージ)
・死神鎌:範囲及び硬直時間(幻の刃を乗せる)
・追尾するソウル:個数(一度空中に浮遊してから手前優先攻撃する。全範囲一発ずつ)
・連射弾:個数(手前一体に対して連続で攻撃する小さな玉)
・火炎ボム;個数及び範囲(着弾地点で爆破)
・地震:スタン継続時間及び範囲
・氷結:範囲及び継続時間
・地雷:上限個数及び範囲
・後退石:後退距離及び飛距離
・燃える地面:範囲及び継続時間
・魔法の雨矢:範囲及び距離
・雷雨:個数及び距離(効果範囲距離に雲が現れ数回、HPの最も高い敵に落ちる。確定ダメージ)
・発火:範囲
・毒霧ボム:個数及び範囲(着弾地点で爆破)
【0061】
モジュールのスキルパラメーターとして、距離、発動周期秒数、効果範囲、射程距離、断続時間、効果時間、貫通数、発射個数等が設けられている。
【0062】
接続モジュールの種類は、例えば以下の通りである。接続モジュールは、発動し終わった時は10%であり、敵に当たった時は30%であり、敵が死んだ時は100%である。
【0063】
(テイムAI)
テイムAI(テイムクリーチャー)は、花に魂をセットでき、セットされた魂に準じたAIである(図8参照)。テイムAIは、以下の動作を行う。魂を救えなかったときに棒立ちになる。鉱夫として鉱石を採掘する。鉱夫は真面目であり働き者である。鉱夫は奴隷でもある。鉱石をドロップ収集する。すなわち、鉱石のコレクターや探究者であり強欲である。花の生産効率を高める。例えば、モンスターが花に触れることで生産効率が上昇する。これは家庭的且つ献身的な動作である。花に蓄積された通貨を収集する。すなわち、商人であり金好きである。兵士、軍隊、待ち人として拠点を防衛する。狂人となり襲撃する。好きなルツ(主人公)を護衛する。テイムAIはセリフを発し、そのセリフは吹き出しに表示される。戦闘が始まると、テイムAIは瀕死又は死亡することがある。その際には、2つのカメラによる映像がゲーム画面(スクロール画面)の右上か左上に映し出される。
【0064】
(全マップにおけるテイムAI強化用オブジェクト)
指定範囲内の死体の数が必要数まで集まると花を植えられるようになる。花を植えると周囲が照らされ、暗闇によるダメージを受けずに先に進む手段となる。植えられた花は種類があり、種類によって得られる効果が異なる。
【0065】
必要死体数に達する毎に星が溜まり、例えば最大で5回まで強化できる。必要死体数は、例えば10体~50体に設定されている。それ以上の死体が溜まっている場合は、その死体受付範囲内で死亡したテイムAIの新たな死体は残らずに消える。死体の数が多ければ多いほど経験値倍率が上昇する。
【0066】
家(n個)は、例えば花連鎖コンボでオブジェクト出現する。建築物が建てられるとマップ上に存在するテイムAI全てに効果を反映する。どの建物であっても毎秒経験値を1アカウントもらうことができる。建築物には強化要素があり、最大2段階まで強化できる。1アカウントで藁、2アカウントで木、3アカウントで石の建築物となる。強化すれば経験値は1、3、7を毎秒得ることができる。
【0067】
民家では、テイムモンスター(テイムされた敵モンスター)に経験値を一定量増加させる。屋台では、秒間HPの回復が1回行われる。武器屋では、攻撃速度を一定量強化する。鍛冶屋では、攻撃力を一定量強化する。馬小屋では、移動速度を一定量強化する。協会では、復活クールタイムを一定量軽減する。キャンプファイヤーでは、一定量のダメージを軽減する。
【0068】
(リザルト画面)
宝箱チャンスとして、複数の宝箱の何れかを開けることができる。戦績評価スコア基準は、以下の通りである。所持している鍵については、種類に応じて評価される。その他、倒した敵の個別スコア、生存したウェーブ(WAVE)、倒した敵の拠点の数等である。
【0069】
宝箱は10個同時に開けることができる。システム上において、リザルト画面で開ける事のできる上限は例えば100個までに設定できる。宝箱の開放に際し、レアリティ(希少性)の高い鍵から適応される。一番価値の高い鍵箱がいちばん最後に開けられる。「鉄の鍵」で宝箱を開けることはできない。宝箱から出現するモジュールのオプション付与率はスコアによって変動する。スコアが高ければ高いほどオプションが3つ付与される確率が高まる。宝箱の中には空箱も存在する。希少性は、「金の鍵」が1倍、「赤い鍵」が3倍、「緑の鍵」が20倍である。
【0070】
(クリーチャーのパラメータ)
クリーチャーのパラメータは、レベル当たりで上昇するパラメータである。レベル1当たり全てのステータス元値の1%が上昇する。個体差によるA~Eでレベル上昇によるステータス上昇の補正がかかる。Aでは200%、Bでは150%、Cでは100%、Dでは50%、Eでは25%となり、Fでは上昇適正はない。サイズについては、レベル値に対して100%上昇する。
【0071】
(その他)
氷牢は、戦闘等のアニメーション付きで入る狭い別世界である。紙芝居は、マップ(スクロール画面)上に配置されたアニメーションを持たないキャラクター達の動作を示すものであり、時間経過によって絵が順次変化する時限イベントである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、横スクロール型のゲームシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 :ゲームシステム
2 :進行制御部
3 :記憶部
4 :表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
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図13