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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133039
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】分析システム及び分析方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/22 20060101AFI20240920BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B18/22
A61N5/067
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041624
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】63/490,686
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケスター ジェイ. バチェラー
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ エー. ブケソフ
(72)【発明者】
【氏名】クルト ジー. シェルトン
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ベイカー
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
【Fターム(参考)】
4C026AA04
4C026BB08
4C026FF17
4C026GG06
4C082RA02
4C082RA10
4C082RC09
4C082RE17
4C082RE34
4C082RJ06
(57)【要約】
【課題】レーザ処置を適切に行うこと。
【解決手段】分析システムを構成する第1の光源エミッタは、第1のスペクトルを有する第1の信号を放射する。分析システムを構成する第2の光源エミッタは、第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルを有する第2の信号を放射する。第1の光源エミッタまたは第2の光源エミッタの各々は、外科用スコープに結合されるかまたは外科用スコープ内に含まれ得る。分析システムは、放射された第2の信号に応答して物体の表面から返された第3の信号を検出する光センサと、第3の信号のスペクトルシグネチャまたは第3の信号の反射強度のうち少なくとも1つを少なくとも1つの基準と比較し、少なくとも1つの基準が満たされるとき、ユーザに警告を送信することまたは第1の光源エミッタの設定を調整することのうちの少なくとも1つを引き起こすコントローラ回路とをさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ処置中に物体の特性を決定するための分析システムであって、
外科用スコープと、
第1のスペクトルを有する第1の信号を放射するように構成可能な、前記外科用スコープに結合されたまたは前記外科用スコープ内に含まれる第1の光源エミッタと、
前記第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルを有する第2の信号を放射するように構成可能な、前記外科用スコープに結合されたまたは前記外科用スコープ内に含まれる第2の光源エミッタと、
前記放射された第2の信号に応答して前記物体の表面から返された第3の信号を検出するように構成可能な光センサと、
(i)前記第3の信号のスペクトルシグネチャまたは前記第3の信号の反射強度のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの基準と比較し、前記少なくとも1つの基準が満たされるとき、(ii)ユーザに警告を送信することまたは前記第1の光源エミッタの設定を調整することのうちの少なくとも1つを引き起こすように構成された、前記光センサに結合されたコントローラ回路と
を備える、分析システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの基準は、前記第1の光源エミッタから前記物体への放射が望ましくない損傷をもたらすという、前記スペクトルシグネチャ中の指示を含む、請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの基準は、前記第3の信号の前記反射強度が下限閾値を下回るかまたは上限閾値を超えるという決定を含む、請求項1に記載の分析システム。
【請求項4】
前記第3の信号の前記反射強度が前記上限閾値を超えることが、前記物体が、酸化マグネシウム(MgO)、ステンレス鋼、ニチノール、フルオロポリマー、ポリマー、またはプラスチックのうちの1つまたは複数から構成されることに対応する、請求項3に記載の分析システム。
【請求項5】
前記警告が視覚的警告を含み、前記視覚的警告が、前記第2の光源エミッタに前記第2の信号を点滅させること、または前記第2の光源エミッタに前記第2の信号の色を変更させることのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の分析システム。
【請求項6】
前記外科用スコープが内視鏡であり、前記第2の光源エミッタが、前記内視鏡に接続されたまたは前記内視鏡上に含まれる可視光源である、請求項1に記載の分析システム。
【請求項7】
前記第2の光源エミッタが、400nmから750nmの間の範囲内の波長を有する光を放射するように構成される、請求項6に記載の分析システム。
【請求項8】
前記第1の光源エミッタが、前記外科用スコープに接続された外科用ファイバを通して放射されるレーザ光源または照準ビーム光源のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の分析システム。
【請求項9】
前記第1の光源エミッタが、青色光レーザまたは緑色光レーザのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の分析システム。
【請求項10】
前記第2の光源エミッタは、前記第2の信号が前記外科用ファイバを通して放射されるように前記外科用ファイバに接続された可視光源または赤外線(IR)光源のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の分析システム。
【請求項11】
前記第1の光源エミッタが、800nmから900nmの間の範囲内の波長を有する光を放射するように構成される、請求項8に記載の分析システム。
【請求項12】
前記第1の光源エミッタの設定を調整することが、前記第1の信号の強度を変更することまたは前記第1の光源エミッタを無効にすることのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の分析システム。
【請求項13】
前記第3の信号の分光分析を実行するように構成された分光計であって、前記第3の信号の前記反射強度が前記少なくとも1つの基準を満たすことに応答して、前記コントローラ回路が、前記分光計に前記第3の信号のスペクトル分析を中断または終了させる、分光計を備える、請求項1に記載の分析システム。
【請求項14】
レーザ処置中に物体の特性を決定するための分析方法であって、
外科用スコープに結合されたまたは前記外科用スコープ内に含まれる第1の光源エミッタから、第1のスペクトルを有する第1の信号を放射することと、
前記外科用スコープに結合されたまたは前記外科用スコープ内に含まれる第2の光源エミッタから、前記第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルを有する第2の信号を放射することと、
前記外科用スコープに接続された光センサにおいて、前記放射された第2の信号に応答して、前記物体の表面から返された第3の信号を受信することと、
前記光センサを使用して、前記受信された第3の信号のスペクトルシグネチャまたは反射強度のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの基準と比較することと、
前記少なくとも1つの基準が満たされるとき、ユーザへの警告を送信することまたは前記第1の光源エミッタの設定を調整することのうちの少なくとも1つと
を含む、分析方法。
【請求項15】
前記第1の光源エミッタの設定を調整することが、前記第1の信号の強度を変更することまたは前記第1の光源エミッタを無効にすることのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の分析方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの基準は、前記第1の光源エミッタから前記物体への放射が望ましくない損傷をもたらすという、前記スペクトルシグネチャ中の指示を含む、請求項14に記載の分析方法。
【請求項17】
前記第1の信号または前記第2の信号のうちの少なくとも1つを放射することが、ある期間、前記第1の光源エミッタまたは前記第2の光源エミッタのうちの少なくとも1つをパルス化することを含む、請求項14に記載の分析方法。
【請求項18】
レーザ処置中に物体の特性を決定するための分析システムであって、
プロセッサと、
ユーザインターフェース(UI)と、
命令を含むメモリと
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
外科用スコープに結合されたまたは前記外科用スコープ内に含まれる第1の光源エミッタから、第1のスペクトルを有する第1の信号を放射することと、
前記外科用スコープに結合されたまたは前記外科用スコープ内に含まれる第2の光源エミッタから、前記第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルを有する第2の信号を放射することと、
前記外科用スコープに接続された光センサにおいて、前記放射された第2の信号に応答して、前記物体の表面から返された第3の信号を受信することと、
前記光センサを使用して、前記第3の信号のスペクトルシグネチャまたは反射強度のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの基準と比較することと、
前記少なくとも1つの基準が満たされるとき、警告が前記UIに送信されることまたは前記第1の光源エミッタの設定が調整されることを引き起こすことと
を行うための動作を実行させ、
前記少なくとも1つの基準は、前記第1の光源エミッタからの放射が望ましくない損傷をもたらすという、前記スペクトルシグネチャ中の指示を含む、分析システム。
【請求項19】
前記第1の光源エミッタが、前記外科用スコープに接続された外科用ファイバを通して放射されるレーザ光源または照準ビーム光源を含み、前記第2の光源エミッタは、前記第2の信号が前記外科用ファイバを通して放射されるように前記外科用ファイバに接続された可視光源または赤外線(IR)光源のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の分析システム。
【請求項20】
前記第1の光源エミッタが、青色光レーザまたは緑色光レーザのうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診断または治療レーザ処置中の反射信号を分析する分析システム及び分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ砕石術などのレーザ処置は、可視光と非可視光の両方を用いて患者の身体内の腫瘍もしくは結石(calculus)(「結石(stone)」)、または組織などの標的を照射および/または治療し得るレーザシステムを使用する。処置中のレーザエネルギーの使用は、漂遊レーザエネルギーが非標的組織に影響を及ぼす可能性に関する懸念によって、制限され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レーザエネルギーは、医療処置中に使用され得る。レーザ砕石術の処置では、結石からの断片または粉が自然に身体から排出されることを可能にするか、あるいは結石断片が吸引または回収デバイスなどを介して身体から除去されることを可能にするように、腎臓結石などの標的が縮小または切除され得る。他の処置では、組織を切断すること、部位を焼灼することなどによって組織を治療するために、レーザエネルギーが使用され得る。切断、焼灼、または他の方法で治療されるべき結石または標的組織などの標的は、漂遊レーザエネルギーによって影響を及ぼされ得る健康な非標的組織の近くに位置するか、またはそれによって取り囲まれていることがある。
【0004】
多くの外科的処置は、酸化マグネシウム(MgO)、テフロン(登録商標)などのフルオロポリマー、ステンレス鋼、ニチノールとも呼ばれるニッケルチタン、ポリマー、プラスチック、または別の同様の(尿管組織、膀胱組織などの組織と比較した場合、または結石と比較した場合)光沢のあるもしくは高光反射材料などの材料から作製されたガイドワイヤなど、他の医療デバイスを用いることもできる。同様に、外科用ステントまたは外科用スクリューなどのデバイスは、高反射材料から形成され得、患者の身体の一部に埋め込まれ得る。高反射材料から作製されたデバイスまたは他の物体が、レーザファイバと同じ環境、領域、または身体の一部に位置するとき、レーザファイバを使用することは、漂遊レーザエネルギーが高反射表面に反射され、健康な非標的組織に影響を及ぼす可能性を高めることがある。
【0005】
本発明の目的は、レーザ処置を適切に行うことができる分析システム及び分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、とりわけ、物体の表面から返された信号を検出および分析するために、レーザファイバを含むインビボ挿入可能な治療または診断内視鏡などの外科用スコープに結合された光センサまたは光トランスデューサおよび分析器が使用され得ることを認識した。
具体的には、光センサは、以下でさらに説明されるように、信号の絶対もしくは相対反射強度または絶対もしくは相対スペクトルシグネチャ(例えば、反射強度またはスペクトルシグネチャの絶対値または相対値)、あるいは物体の表面から返されたスペクトル反射の任意の特性を検出および分析するように構成可能であり得る。例えば、物体の表面から返された信号の反射強度が少なくとも1つの基準を満たす(例えば、下限閾値を下回るかまたは上限閾値を超える)とき、光センサに結合されたコントローラは、応答して、警告または通知が(例えば、ユーザインターフェース上で)提供されることを引き起こすことができるか、あるいは、コントローラは、レーザ放射を調整する(例えば、レーザ照射の強度を変更する、またはレーザエミッタを無効にする)ことができる。同様に、物体の表面から返されたスペクトルシグネチャは、対象とする特定の波長におけるいくつかのスペクトル強度を構成することができる。そのようなスペクトルシグネチャが(例えば、そのようなスペクトル・シグネチャ・テンプレートのライブラリ内の既知の合成標的のスペクトル・シグネチャ・テンプレートとの)類似性基準を満たすとき、光センサに結合されたコントローラは、応答して、警告または通知が(例えば、ユーザインターフェース上で)提供されることを引き起こすことができるか、あるいは、コントローラは、レーザ放射を調整する(例えば、レーザ照射の強度を変更する、またはレーザエミッタを無効にする)ことができる。
【0007】
レーザ処置中に反射信号を分析するための分析システムが、内視鏡などの外科用スコープを含むことができる。第1の光源エミッタが、外科用スコープに結合されるかまたは外科用スコープ内に含まれ得る。第1の光源エミッタは、レーザダイオード、あるいは診断または治療放射線を提供することが可能な非可視スペクトルまたは波長を有する第1の信号を放射することが可能な任意の放射源を含むことができる。分析システムは、外科用スコープに結合されたまたは外科用スコープ内に含まれる第2の光源エミッタをさらに含むことができる。一例では、第2の光源エミッタは、内視鏡光源、あるいは可視スペクトルまたは波長を有する第2の信号を放射することが可能な任意の放射源を含むことができる。別の例では、第2の光源エミッタは、レーザ光源の放射波長に近い放射波長を有する赤外線(IR)光源であり得る。したがって、分析システムは、診断または治療レーザ処置を実行することが可能な波長において、レーザファイバからまたはレーザファイバを通してなど、非可視放射線または光を放射するためのレーザエミッタ、標的、解剖学的構造の部分、手術野などを照射するための可視光を放射するためにスコープに取り付けられた光などの可視光源、および/またはIR光源を含むことができる。
【0008】
分析システムは、光センサをも含むことができる。光センサは、スコープに結合され得るなど、機械またはコンピュータ、分光計などの一部として含まれ得る。光センサは、放射された第2のまたは可視光信号に応答して物体の表面から返された第3の信号(例えば、戻り信号)を検出および分析するように構成可能であり得る。光センサに結合されたコントローラ回路は、第3の信号の反射強度が下限閾値を下回るかまたは上限閾値を超えるとき、ユーザに警告し、および/または第1の信号もしくはレーザ信号を調整するように構成可能であり得る。一例では、戻り信号に対するスペクトル分析を実行するために、分光計が含まれ得る。戻り信号の反射強度が上限閾値を超えるとき、コントローラ回路は、分光計に、戻り信号のスペクトル分析を中断または終了させることができる。
【0009】
本開示では、第1の信号、非可視光信号、レーザ信号、またはレーザ照射という用語は、互換的に使用され得る。さらに、第2の信号、内視鏡光信号、および可視光信号という用語は、第3の信号および戻り信号という用語がそうであるように、互換的に使用され得る。また、第1の光源、照準ビーム光源、第1の光源エミッタ、およびレーザエミッタという用語は、互換的に使用され得る。最後に、第2の光源エミッタ、可視光源、内視鏡光源、および可視光エミッタという用語は、互換的に使用され得る。および、いくつかの例では、第2の光源エミッタおよびIR光源エミッタという用語は互換的に使用され得、IR光源は、可視光源に取って代わるか、または可視光源に追加される。
【0010】
必ずしも縮尺通りに描かれていない図面では、同様の符号は、異なる図における同様の構成要素を表し得る。異なる接尾字を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なる例を表し得る。図面は、一般に、限定ではなく例として、本明細書で説明される様々な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】レーザシステム内の構成要素の一例を示す図である。
図2】異なる材料タイプからの反射信号の反射スペクトルのグラフの一例を示す図である。
図3】インビボ挿入可能な医療処置中の反射信号の分析方法の例示的な図である。
図4】1つまたは複数の実施形態が実装され得る機械の一例を示すブロック図である。
図5】例示的なコンピュータベース臨床意思決定支援システム(clinical decision support system:CDSS)の概略図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本分析システムおよび分析方法は、診断または治療レーザ処置中に検出された反射信号を分析することによって、レーザエネルギーまたはレーザ照射を安全に使用するのに役立つことができる。レーザ砕石術などの外科用レーザ処置は、レーザエネルギーを使用して、結石を縮小または破壊すること、組織を切断、焼灼、または他の方法で治療すること、腫瘍を除去することなどを行う。レーザエネルギーは、結石などの標的の近くにあり得るか、あるいは処置中に治療されるべき標的組織の隣にあるかまたはそれを取り囲む可能性がある他の健康な組織に潜在的な問題をもたらし得る。緑色光レーザまたは青色光レーザなどの特定のタイプのレーザは、そのようなレーザが、水によって吸収されない波長においてエネルギーを放出し、したがって、エネルギーが非標的組織に接触する場合に意図しない組織効果を引き起こす可能性があるため、特に困難であり得る。実際、緑色光レーザおよび青色光レーザは、通常、側面発射レーザとして知られる特別な(および非常に高価な)レーザファイバに含まれ、側面発射レーザは、レーザエネルギーがどこに照準を定めるかをより良好に制御するために、90度の角度でエネルギーが放出されることのみを可能にする。非緑色光レーザまたは非青色光レーザでも、漂遊エネルギーが非標的組織と接触する場合に非標的組織に影響を及ぼす可能性がある。外科用のステンレス鋼、テフロン(登録商標)などのフルオロポリマー、MgOなど、高反射材料から作製されることが多い、結石捕捉デバイス(例えば、バスケット)、ガイドワイヤ、クランプなどの他の医療デバイスを含む処置では、漂遊レーザ照射は、物体を偏向させるかまたは物体に跳ね返り、周囲の非標的組織に衝突する可能性がある。
【0013】
レーザ処置中に反射信号を分析するための分析システムが、レーザ光エミッタおよび可視光エミッタを含むことができる、内視鏡などの外科用スコープを備えることができる。レーザ光エミッタは、内視鏡システムに結合するレーザファイバに結合され得、レーザ光エミッタは、標的診断または治療のために非可視波長またはスペクトル(例えば、800ナノメートル(nm)から900nmの間の範囲内の波長)を有する第1の信号を放射するように構成され得る。可視光エミッタは、内視鏡上に含まれるかまたは内視鏡に取り付けられ、可視光スペクトルまたは波長(例えば、400nmから750nmの間の範囲内の波長)を有する第2の信号を放射するように構成可能であり得る。いくつかの実施形態では、レーザ光源の放射波長に近い放射波長を有するIR光源が、任意選択的に内視鏡に結合され得る。可視光エミッタおよび/または(IR)光源は、例えばレーザ光エミッタの近くに、例えばレーザファイバを通して放射されるように、位置することができる。可視光エミッタおよび/またはIR光源は、医療処置が行われるべきである標的、解剖学的構造の一部、または手術野を照射するために使用され得る。可視光源および/またはIR光源は、対象とする標的または物体を照射するために使用され得、それに応答した標的または物体からの反射は、例えば、標的組成、標的サイズなどの1つまたは複数の標的特性を決定するために、分光学的にまたは他の方法で分析され得る。
【0014】
外科用ファイバ、レーザ光エミッタ、可視光エミッタ、または内視鏡のうちの少なくとも1つに結合された光センサは、放射された第2のまたは可視光信号に応答して物体(例えば、標的、医療デバイス、埋め込まれた物体など)の表面から返された第3の信号を検出するように構成可能であり得る。
物体からの第3の信号は、反射信号、(例えば、ラマン散乱を介した)散乱信号、蛍光などであり得る。光センサに結合されたコントローラまたはコントローラ回路は、第3の信号の反射絶対もしくは相対強度が基準を満たすとき、および/または第3の信号の絶対もしくは相対スペクトルシグネチャの分析が基準を満たすとき、医師などのユーザに警告するように、第3の信号を分析し、その分析に基づいて、警告が放出または伝送されることを引き起こすように構成可能であり得る。例えば、第3の信号の反射強度が下限閾値を下回るかまたは上限閾値を超えるとき、警告がトリガされ得る。下限閾値を下回る反射強度は、可視光を反射する物体の欠如に対応することができ、上限閾値を上回る反射強度は、光が高反射表面または物体(例えば、結石回収デバイス)に反射されることに対応することができる。別の例では、第3の信号のスペクトル強度またはスペクトルシグネチャ分析が、標的の組成に関する情報または標的の組成の変化に関する情報を明らかにしたとき、警告がトリガされ得る。上述したように、これは、後の比較のためにライブラリに記憶され得る(例えば、異なる組成に対応する)1つまたは複数のテンプレートのスペクトルシグネチャと比較して、対象とする標的のスペクトルシグネチャの類似度スコアを計算することを含むことができる。
【0015】
一例では、警告は、分析システムに接続されたグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)またはモニタに表示される、内視鏡上の発光ダイオード(LED)またはボタン(例えば、ハンドピース上のボタンまたはLED)を照らす、可視光信号を点滅させるかまたは色を変更させる、あるいはそれらの何らかの組合せなど、視覚的であり得る。別の例では、警告は、内視鏡のハンドピースを振動させるなど、触覚的であり得るか、または、警告は、ハンドピース上のスピーカ、GUIなどを通して音を発するなど、可聴であり得る。追加または代替として、警告は、要望に応じて、1つまたは複数の視覚的警告、1つまたは複数の触覚的警告、および/または1つまたは複数の可聴警告として送信され得る。
【0016】
医師への警告は、レーザ強度を調整すること、レーザ放射をオフにすること、レーザ放射の変更された設定を受け入れることなどを行うオプションを医師に提供する。代替的に、いくつかの例では、コントローラ回路は、反射強度に基づいてレーザエミッタの自動調整を引き起こすことができる。例えば、コントローラ回路は、反射強度が下限閾値と上限閾値との間に入るまで、レーザ放射の強度の変更を引き起こすか、レーザエミッタを無効にするまたはロックするか、あるいは他の方法でレーザ放射を抑止または防止することができる。
【0017】
そのような分析システムは、意図しない組織効果を低減または防止することによって、より安全な医療処置をもたらすことができ、それは、より良好なおよび/またはより速い患者の回復をもたらすことができる。さらに、標的または物体が検出されないときに医師に警告するかまたはレーザ放射をロックすることによって、適切なまたは意図した標的が可視光を反射していない限りレーザ照射が放射されず、それによりレーザファイバのコストが削減されるため、青色光レーザおよび緑色光レーザが非側面発射レーザファイバにおいて使用され得る。さらに、人工知能(AI)または機械学習(ML)駆動システムがレーザ出力を制御する全自動システムを使用することは、システムが人間のユーザよりも速く反応することができるため、より効率的な医療処置をもたらすことができる。
【0018】
図1は、レーザシステム100内の構成要素の一例を示す。レーザシステム100は、本発明に係る分析システムに相当し、患者の診断または治療を実行するための、インビボ挿入可能な治療または診断内視鏡システムなどの内視鏡システムに結合され得る。レーザシステム100が内視鏡システムにどのように接続され得るかに関する例の説明は、その内容全体が組み込まれる米国特許出願第16/984,447号に見出すことができる。図1に示されている例では、レーザシステム100は、本発明に係る第1の光源エミッタに相当する光源118(例えば、レーザモジュールまたは構成要素)を含むことができ、光源118は、組織を切除するか、結石(例えば、腎臓結石または胆石)を破壊するか、あるいは任意の適切な治療または診断処置を実行するために、レーザ照射などの信号を放射することができ、可視スペクトルまたは非可視スペクトルにおける信号を放射することができる。光源118は、レーザファイバ120に接続され、レーザファイバ120を通してレーザ照射を放射することができ、レーザファイバ120は、様々な光学構成要素(以下で説明されるものなど)が含まれ得る光カプラまたは他のハウジングに接続され得る。
【0019】
任意選択的に、照準ビーム放射源116(本発明に係る第2の光源エミッタに相当)から放射された照準ビーム104は、(例えば、照準ビームからの光または照射が可視スペクトルにおいて放射されるとき)光源118からの光が照準を定める(または照準を定めるべきである)ロケーション、放射されるロケーション、伝送されるロケーションなどを、示す、マークすることなどを行うことができる。第1の光学構成要素102(例えば、フィルタ)は、照準ビーム放射源116の出力に位置することができ、照準ビーム104の直径と少なくとも等しいか、それよりもわずかに大きいことがある。第1の光学構成要素102は、ノイズ(例えば、照準ビーム104の主周波数/波長のスペクトル拡散)の源を除去することができ、これは、標的または物体106から検出される信号を大幅に改善することができる。
【0020】
したがって、図1の例では、照準ビーム放射源116から放射された信号は、所望の波長および強度の信号のみが外科用ファイバ108から放射され、物体106に到達するように、第1の光学構成要素102によって、フィルタリング、減衰、遮断、偏光されるか、または他の方法で影響を及ぼされ得る。一例では、外科用ファイバ108から放射された信号の少なくとも一部は、(矢印によって示されるように)物体106から反射されて戻り得る。レーザシステム100は、物体106とフィードバック構成部品114に位置する分光計および/または分析器との間の光路に位置する1つまたは複数のノッチフィルタ110および112(または任意の適切なフィルタ)など、1つまたは複数の追加の光学構成要素(例えば、第2の光学構成要素)をさらに含むことができる。ノッチフィルタ110および112は、照準ビーム104の周波数または波長の周りの、その付近の、または実質的にそれに近い周波数または波長で物体106から反射されて戻る反射信号を除去するために使用され得る。
【0021】
一例では、物体106は、医療処置中に治療されるべき結石(calculus)または結石(stone)であり得る。いくつかの場合には、物体106は、患者内の医療デバイスまたは埋め込みデバイス、非標的組織の一部などであり得る。照準ビーム104、および/または1つまたは複数の発光ダイオードもしくはキセノン光源(図示せず)などの内視鏡光源からの光の少なくとも一部は、物体106に反射され得る。そのような反射光信号122は、外科用ファイバ108およびレーザファイバ120に向かって進み、その中に戻ることができ、ここで、反射光信号122は、1つまたは複数の光学構成要素(例えば、レンズ、フィルタなど)によって偏向、屈折、分散されるか、あるいは他の方法で誘導または調整され、最終的にフィードバック構成部品114に誘導され得、フィードバック構成部品114は、光トランスデューサ、光センサ、分光計、分析器、あるいは反射光信号122を検出および/または分析することが可能な他の回路もしくは構成要素のうちの1つまたは複数を含むか、またはそれらに接続され得る。フィードバック構成部品114は、以下で図4に関して説明されるものなど、機械またはコンピュータに含まれるかまたはそれに接続され得る。
【0022】
物体106からの反射光信号122は、反射光信号122のスペクトルシグネチャを決定するために分析され得る。例えば、スペクトルシグネチャは、スペクトルにおける異なる特定の光または信号波長の各々における反射強度を含むことができ、代替的に、スペクトルシグネチャは、異なる波長における波長強度の比、スペクトルにおけるスペクトル信号の形状などを含むことができる。一例では、フィードバック構成部品114に結合されたコントローラ回路は、反射光信号122のピーク強度の絶対値または相対値を使用して、反射強度の値が下限閾値を下回るまたは上限閾値を上回るなどの基準を満たすかどうかを決定することができる。これらの決定の一方または両方に応答して、コントローラ回路は、警告などの通知を医師に提供することができるか、あるいは、レーザ信号の強度を調整すること、レーザエミッタを無効にするまたはロックすること、新しいレーザ設定を医師に推奨すること、あるいはそれらの組合せを行うことができる。
【0023】
そのような例では、上限閾値を超える反射光信号122の反射強度は、酸化マグネシウム(MgO)、金属、ステンレス鋼、ニチノール、テフロン(登録商標)などのフルオロポリマー、ポリマー、プラスチック、またはそれらの組合せなどの材料から構成されるなど、高反射性である物体106に対応することができる。物体106が医療デバイス(例えば、バスケット)である例では、レーザシステム100は、レーザ放射を停止するかまたはレーザ放射を開始しないように医師に警告するか、あるいは、医師がレーザ放射を停止するかまたはレーザ放射を開始しないことを推奨することができる。追加または代替として、そのような例では、レーザシステム100は、反射光の強度の対応する低下によって示され得るように、例えば、レーザファイバ120および/または外科用ファイバ108が物体106の外側に向けられるまで、レーザ放射を無効にする、終了する、または防止することができる。一方、外科用メッシュの除去などの特定の医療処置では、物体106が切断されるべきであると決定された場合、レーザシステム100は、レーザ放射の強度を調整することができるか、あるいは、周囲組織への損傷を引き起こすリスクを低減または最小化しながらレーザを使用して物体106を切断するために、レーザ放射の特定の強度値または範囲をユーザに推奨することができる。
【0024】
反射光信号122の反射強度が下限閾値を下回る(または反射信号がない)ことは、照準ビーム104および/または内視鏡光源(図示せず)からの光信号が、水、または低い反射強度を有する組織によって反射されているときなど、標的または物体が検出されないことに対応することができる。そのような場合、レーザファイバ120および/または外科用ファイバ108が再配置され得るまで、レーザシステム100によって、1つまたは複数のレーザ放射源(例えば、緑色光レーザエミッタもしくは青色光レーザエミッタ、または水によって吸収されないもしくは吸収されにくい波長を有する信号を放射する任意のレーザのエミッタ)118を、ロックすること、無効にすること、止めることなどを行うことができる。したがって、一例では、レーザシステム100は、戻り信号の反射強度を監視し、レーザ光の経路における高反射物体(例えば、バスケット)または低反射物体(例えば、水)の存在を医師またはレーザシステム100の他のユーザに警告すること、通知することなどを行うことができるという点で、部分的に自動で動作するように設定され得る。任意選択的に、レーザシステム100は、追加または代替として、医師に一連の行動を推奨することができる。代替的に、レーザシステム100は、反射強度が上限閾値を上回るかまたは下限閾値を下回るときに適切に応答することができるように、全自動で動作するように設定され得る。レーザシステム100のこの応答は、レーザ放射の強度または出力を低減すること、レーザ放射をロックする、無効にする、または防止すること、内視鏡、レーザファイバ、および/または外科用ファイバが再配置されることを引き起こすこと、あるいは任意の他の適切な是正行動をとることであり得る。レーザシステム100は、内視鏡システムに含まれ得、1つまたは複数のレーザエミッタ(例えば、レーザダイオード)、1つまたは複数の照準ビーム光源、および/または1つまたは複数の可視光エミッタを備えることができる。したがって、レーザもしくは非可視光エミッタおよび/または可視光エミッタからの信号は、レーザファイバ120および外科用ファイバ108を通して物体106に向かって伝送され得る。
【0025】
図2は、異なる材料タイプからの反射信号の反射スペクトルのグラフ200の一例を示す。グラフ200に示されているように、可視波長(例えば、400nm~750nm)における光が、MgOから形成された物体など、高反射材料から反射されるとき、はるかに高い強度の反射スペクトルが存在する。図2では、これは、尿管組織反射スペクトル204、膀胱組織反射スペクトル206、およびシュウ酸カルシウム一水和物(COM)結石反射スペクトル208とは対照的に、高反射材料反射スペクトル202によって示される通りである。一例では、上限閾値および下限閾値は、処置のタイプによって決定され得、既知の反射スペクトルシグネチャ(例えば、強度値)に基づき得る。例えば、処置が、膀胱において実行される膀胱式の処置であるとき、上限閾値は、膀胱組織反射スペクトル206のピークに対して設定され得る。その場合、上限閾値は、膀胱組織反射スペクトル206のピーク値を上回る反射強度の任意の値がユーザへの警告または通知をトリガすることができるか、あるいはレーザエミッタの調整または無効化を引き起こすことができるように、設定され得る。グラフ200では、尿管組織反射スペクトル204は、膀胱組織反射スペクトル206よりも高いピーク強度を有する。したがって、尿管を含む処置についての上限閾値は、膀胱のみを含む処置についての上限閾値よりも高くなるように調整され得る。
【0026】
したがって、光センサを使用して識別された結石と組織フィードバックとの間の差異と同様に、光沢のあるまたは高反射物体の「シグネチャ」または反射周波数フィードバックも、処理ユニットまたは処理回路によって観察および分析され得る。レーザシステム100がそのようなスペクトル反射シグネチャ(例えば、図2に示された高反射材料)を識別したとき、レーザからのエネルギー出力は、レーザシステム100によって自動的に停止もしくは低減され得、または、上記で説明されたように、ユーザに注意喚起する警告(例えば、可聴、視覚的、および/または知覚的)が発信され得、あるいは、それらの任意の組合せが実行または着手され得る。いくつかの例では、レーザの調整は、医師の判断で覆され得る。ただし、いかなる警告および/または調整も、安全性の追加のレイヤを提供し、漂遊、反射エネルギー漏れによって引き起こされ得る非標的に対する影響を大幅に低減することができる。
【0027】
図3は、インビボ挿入可能な医療処置中に反射信号を分析するための分析方法300の図の一例を示す。分析方法300は、いくつかの動作またはステップ(302~310)を含むことができる。これらの動作は例示的なものであり、実行される方法は、必要または要望に応じて、列挙された動作のうちの1つまたは複数を省略することができ、動作を繰り返すことができ、他の動作を含むことができ、あるいは動作を同時に、実質的に同時に、または別の順序で実行することができる。
【0028】
302において、内視鏡などの外科用スコープ内に含まれる第1の光源エミッタ(例えば、レーザ源)から、第1のスペクトル(例えば、非可視スペクトル)または波長を有する第1の信号を放射することができる。例えば、第1の光源エミッタは、800nmから900nmの間の範囲内の波長(あるいは任意の適切なもしくは所望の波長、または波長範囲)における光を放射するように構成され得る。第1の信号は、例えば、インビボ挿入可能な医療処置中に患者の身体内にある腎臓結石もしくは胆石、腫瘍、組織片、または任意の同様の標的などの物体であり得る標的に向かって、医療スコープに結合されたレーザおよび/または外科用ファイバを通して放射され得る。標的はまた、ガイドワイヤ、クランプなどの医療デバイスに対応することができるか、または、ステント、スクリューなどの埋め込みデバイスに対応することができる。第1の光源エミッタは、レーザ光(例えば、緑色光または青色光レーザ)を放射することができるレーザを含むことができる。レーザ光は、医療処置中に治療レーザ(例えば、アブレーションレーザ)として使用され得るレーザダイオードから放射され得る。
【0029】
304において、外科用スコープ内に含まれる、外科用スコープに取り付けられる、または外科用スコープに結合され得る第2の光源エミッタから、第2のスペクトル(例えば、可視スペクトル)または波長を有する第2の信号を放射することができる。一例では、第2の光源エミッタは、400nmから750nmの間の範囲内の波長、または任意の適切な可視波長を有する光を放射するように構成され得る。第2の光源エミッタは、第2の信号が(レーザファイバの照準ビームチャネルを通してなど)レーザおよび/または外科用ファイバを通して放射され得るように、外科用ファイバおよび/またはレーザファイバに接続され得る。代替的に、第2の光源エミッタは、物理的スコープに結合されたまたは取り付けられた(内視鏡光源などの)外科用スコープの光源であり得る。したがって、第1の信号(レーザ信号)および第2の信号(可視光信号)は、互いに独立して放射される(例えば、可視光信号は、レーザ信号が放射される前に放射され得る)、互いに同時に放射される、または交互に放射され得る。例えば、可視光信号は、レーザがパルス「オフ」されたときなど、レーザ光信号がパルス化されている間に放射され得る。したがって、レーザ信号および可視光信号は、医療処置中の所望のまたは適切なときにいつでも放射され得、レーザ光および可視光の放射のシーケンスは、異なる医療処置中では異なり得る。
【0030】
別の例では、レーザ信号および/または可視光信号は、「チェックパルス」として放射され得る。例えば、そのようなチェックパルスは、レーザ信号の低出力、またはレーザ信号と可視光信号との組合せを含むことができる。チェックパルスは、さらなる全出力が反射される可能性がないことを確実にするのを助けるために発信され、使用され得る。これは、反射エネルギーからの潜在的な損傷をさらに制限するのを助け得る。チェックパルスは、数十マイクロ秒、数百ミリ秒、ナノ秒、または任意の所望のもしくは適切な時間の長さなど、1秒未満持続することができる。追加または代替として、標的の反射をチェックするために、レーザエミッタの放射強度または波長に近い放射強度または波長を有する追加の赤外線(IR)光源が使用され得る。IR光放射は、漂遊レーザ放射が非標的組織に影響を及ぼすリスクなしに、任意のレーザ出力の前に実行され得る。
【0031】
306において、物体の表面から第3の信号を返すことができる。物体からの第3の信号は、反射信号、(例えば、ラマン散乱を介した)散乱信号、蛍光信号などを含むことができる。例えば、302において放射された第1の信号および/または304において放射された第2の信号の少なくとも一部は、物体から反射されて戻ることができる。物体は、結石、患者の解剖学的構造の一部からの組織、医療処置において使用されている医療デバイス(例えば、ガイドワイヤ)、ステントなどの埋め込みデバイス、または処置中に遭遇し得る任意の物体もしくは標的など、標的を含むことができる。
【0032】
308において、第3の信号のスペクトルシグネチャまたは反射強度のうちの少なくとも1つを基準と比較することができる。一例では、返された第3の信号は、第3の信号の反射相対または絶対強度を決定するために分析され得る。追加または代替として、物体の材料組成などの物体の1つまたは複数の特性を決定するために、第3の信号の様々なスペクトル波長にわたる絶対もしくは相対スペクトル強度またはスペクトルシグネチャが分析され得る。310において、少なくとも、第1の光源エミッタから物体への放射が望ましくない損傷または影響をもたらすことをスペクトルシグネチャが示すこと、あるいは第3の信号の反射強度が下限閾値を下回るかまたは上限閾値を超えることなど、少なくとも1つの基準を満たすことに応答して、ユーザインターフェースなどを通して、医師もしくは他のユーザに警告を通信することができ、および/またはレーザ信号に対する調整を行うことができる。例えば、医師への警告は、可聴アラームまたは信号などの音声警告を含むことができ、警告は、照準ビームまたは他の可視光を点滅させること、照明光、照準光、または他の可視光の色を変更すること、テキスト警告を、モニタ、ディスプレイなどのグラフィカル・ユーザ・インターフェースに通信することなどによる、視覚的警告を含むことができる。追加または代替として、警告は、医療スコープのハンドピースを振動させることなどによって触覚的であり得るか、または、可聴警告、視覚的警告、もしくは触覚的警告の組合せであり得る。
【0033】
警告に加えて、または警告と併せて、レーザ信号は、第3の信号の反射強度に基づき得るように、調整され得る。例えば、上記で説明されたように、可視光信号が高反射物体に反射されることに対応することができる、第3の信号の反射強度が上限閾値を超えるとき、レーザ信号の強度が変更(低下または低減)され得、またはレーザエミッタが完全に無効にされ得る。これは、ユーザ入力または確認を必要としないなど、自動的に、任意選択的に行われ得る。一例では、調整は、ユーザがレーザ強度を低減することを提案するようにとの、ユーザに通信されるべき推奨を提供することを含むことができる。例えば、そのような推奨は、レーザエミッタが変更されるための1つまたは複数の推奨設定を含むことができ、ユーザは、要望に応じて、これを受け入れるかまたは拒否することができ、そのような設定は、そのようなユーザ入力に従って変更され得る。そのような例では、推奨設定は、チャイム、ビープ音、または他の音と共にユーザインターフェース上にポップアップする、表示された通知ボックスなどを通して、視覚的警告の一部として、または可聴警告と組み合わせて含まれ得る。別の例では、レーザシステム100は、図4に関して以下で説明されるように、コントローラ回路、またはコンピュータもしくは機械の他の構成部品を使用することなどによって、自動的に変更を実施することができる。いくつかの外科的処置では、例えば以前に埋め込まれた外科用メッシュの除去では、高い反射強度を有する反射信号は、レーザによって切断されるべき物体の存在を示すことができる。そのような場合、レーザエミッタは、例えば、そのようなレーザ切断を実行するために適切な量または強度のレーザ光または照射が標的に対して放射されることを引き起こすように、起動されるか、または有効にされ得る。したがって、反射信号の強度値は、ユーザの介入を必要とせずに自動的に実施されるのか、コントローラ回路によって実施されるのか、ユーザが受け入れるまたは拒否するようにとの推奨として実施されるのかにかかわらず、レーザ放射を有効にすべきか無効にすべきか、および/またはレーザ照射がどの強度で放射されるべきであるかを決定するために使用され得る。
【0034】
図4は、本明細書で説明される技法(例えば、方法論)のうちの任意の1つまたは複数が機能することができる機械400の一例のブロック図である。機械400は、本発明に係る分析システムに相当し、スタンドアロンデバイスとして動作することができるか、または他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)され得る。例えば、機械400は、コントローラ回路および/または光センサに上記で説明された動作のうちの1つまたは複数を実行させるために、光センサおよび/またはコントローラ回路に結合または接続され得る。別の例では、機械400は、そのアーキテクチャの一部としてコントローラ回路または光センサを含むことができる。ネットワーク接続配備では、機械400は、サーバ-クライアントネットワーク環境におけるサーバ機械、クライアント機械、またはその両方の能力において動作することができる。一例では、機械400は、ピアツーピア(P2P)(または他の分散)ネットワーク環境におけるピア機械として機能することができる。機械400は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはその機械によって行われるべき動作を指定する命令(順次またはそれ以外)を実行することが可能な任意の機械であり得る。さらに、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語はまた、クラウドコンピューティング、サービス型ソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成など、本明細書で説明される方法論のうちの任意の1つまたは複数を実行するために、命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行する機械の任意の集合を含むと解釈されるものである。
【0035】
本明細書で説明される例は、論理またはいくつかの構成要素、あるいは機構を含むことができるか、またはそれらによって動作することができる。回路セットは、ハードウェア(例えば、単純な回路、ゲート、論理など)を含む有形のエンティティにおいて実装された回路の集合である。回路セットメンバーシップは、経時的にフレキシブルであり得、ハードウェア変動性の下にあり得る。回路セットは、単独でまたは組み合わせて、動作するときに指定された動作を実行することができるメンバーを含む。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作(例えば、ハードワイヤ化)を行うように不変に設計され得る。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するように物理的に修正された(例えば、不変の集結した粒子の磁気的に、電気的に、移動可能な配置など)コンピュータ可読媒体を含む、可変に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路など)を含むことができる。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成の基礎となる電気的特性は、例えば絶縁体から導体に、またはその逆に変更される。命令は、埋め込みハードウェア(例えば、実行ユニットまたはローディング機構)が、動作中に特定の動作の一部を行うために可変接続を介してハードウェアにおいて回路セットのメンバーを作成することを可能にする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているときに回路セットメンバーの他の構成要素に通信可能に結合される。一例では、物理的構成要素のいずれも、2つ以上の回路セットの2つ以上のメンバーにおいて使用され得る。例えば、動作下で、実行ユニットは、ある時点において第1の回路セットの第1の回路において使用され、第1の回路セット中の第2の回路によって、または異なる時点において第2の回路セット中の第3の回路によって再使用され得る。
【0036】
機械400(例えば、コンピュータシステム)は、ハードウェアプロセッサ402(例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ハードウェア・プロセッサ・コア、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはそれらの任意の組合せ)、メインメモリ404、およびスタティックメモリ406を含むことができ、それらの一部または全部は、インターリンク(例えば、バス)430を介して互いに通信することができる。機械400は、ディスプレイユニット410、英数字入力デバイス412(例えば、キーボード)、およびユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス414(例えば、マウス)をさらに含むことができる。一例では、ディスプレイデバイス410、入力デバイス412およびUIナビゲーションデバイス414は、タッチ・スクリーン・ディスプレイであり得る。機械400は、マスストレージ408(例えば、駆動ユニット)、信号生成デバイス418(例えば、スピーカ)、ネットワーク・インターフェース・デバイス420、および全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサなどの1つまたは複数のセンサ416をさらに含むことができる。機械400は、1つまたは複数の周辺デバイス(例えば、プリンタ、カードリーダなど)と通信するかまたはそれを制御するために、直列(例えば、ユニバーサル・シリアル・バス(USB))接続、並列接続、または他の有線もしくは無線(例えば、赤外線(IR)、近距離通信(NFC)など)接続など、出力コントローラ428を含むことができる。
【0037】
マスストレージ408は、本明細書で説明される技法または機能のうちのいずれか1つまたは複数を具現化するか、またはそれによって使用される、データ構造または命令424(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットが記憶される機械可読媒体422を含むことができる。命令424はまた、機械400によるその実行中に、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ404内、スタティックメモリ406内、またはハードウェアプロセッサ402内に存在することができる。一例では、ハードウェアプロセッサ402、メインメモリ404、スタティックメモリ406、またはマスストレージ408のうちの1つまたは任意の組合せが、機械可読媒体を構成することができる。
【0038】
機械可読媒体422は単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたは複数の命令424を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むことができる。
【0039】
「機械可読媒体」という用語は、機械400による実行のための命令を記憶、符号化、または搬送することが可能であり、機械400に本開示の技法のいずれか1つまたは複数を実行させる、あるいは、そのような命令によって使用されるかまたはそれに関連するデータ構造を記憶、符号化、または搬送することが可能である、任意の媒体を含むことができる。非限定的な機械可読媒体例は、ソリッドステートメモリ、ならびに光および磁気媒体を含むことができる。一例では、集結した機械可読媒体は、不変(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を有する機械可読媒体を含む。したがって、集結した機械可読媒体は、一時的な伝搬信号ではない。集結した機械可読媒体の具体的な例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM))およびフラッシュ・メモリ・デバイスなどの不揮発性メモリ、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含むことができる。
【0040】
命令424は、さらに、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のいずれか1つを利用するネットワーク・インターフェース・デバイス420を介して、伝送媒体を使用して通信ネットワーク426を介して伝送または受信され得る。例示的な通信ネットワークは、とりわけ、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、パケット・データ・ネットワーク(例えば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、基本電話サービス(POTS)ネットワーク、および無線データネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として知られている米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格ファミリー、IEEE802.16規格ファミリー)、IEEE802.15.4規格ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークを含むことができる。一例では、ネットワーク・インターフェース・デバイス420は、通信ネットワーク426に接続するための1つまたは複数の物理ジャック(例えば、イーサネット、同軸、または電話ジャック)または1つまたは複数のアンテナを含むことができる。一例では、ネットワーク・インターフェース・デバイス420は、単入力多出力(SIMO)技法、多入力多出力(MIMO)技法、または多入力単出力(MISO)技法のうちの少なくとも1つを使用して無線で通信するために複数のアンテナを含むことができる。「伝送媒体」という用語は、機械400による実行のための命令を記憶、符号化、または搬送することが可能である任意の有形媒体を含むと解釈されるものであり、そのようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタルまたはアナログ通信信号あるいは他の有形媒体を含む。
【0041】
図5は、物体から返された信号の反射強度に基づいてその物体に関する情報または特性を決定するように構成され得る、例示的なコンピュータベースの臨床意思決定支援システム(CDSS)500の概略図を示す。物体の情報または特性は、材料組成(物体が、ステンレス鋼、酸化マグネシウム、ポリマーなどの材料から作製されているかどうかなど)を含むことができ、その組成に基づいて、レーザ処置中に使用されているレーザの推奨される、最適な、または理想的な設定(理想的なレーザ強度、レーザエミッタが無効にされるべきであるかどうかなど)などを決定することができる。CDSS500はまた、1つまたは複数の設定を調整するか、または、レーザの1つまたは複数の設定の調整を医師に推奨することができる。CDSS500は、外科用ファイバのサイズ、光源に関する情報、光学構成要素に関する情報、および/または患者の処置に固有であるスコープに関する情報などのパラメータが、入力特徴として人工知能(AI)モデル504に提供され得る、入力インターフェース502と、物体の組成および1つまたは複数の調整されたレーザ設定の決定を生成するためにパラメータがAIモデルに適用される推論動作を実行するプロセッサと、決定された組成および調整された設定が、ユーザ、例えば臨床医に通信され得る出力インターフェース508とを含むことができる。
【0042】
入力インターフェース502は、CDSS500と、入力特徴の少なくともいくつかを生成する1つまたは複数の医療デバイスとの間の直接データリンクを含むことができる。例えば、入力インターフェース502は、光源および/または光学構成要素に関する情報(例えば、光源または照準ビーム放射源からの信号の周波数または波長)、あるいは治療および/または診断医療処置中に物体からCDSS500に直接返される信号に関する情報を伝送することができる。一例では、処置中に使用される光源および/または光学構成要素、スコープなどに関する情報は、データベース506に記憶され得る。追加または代替として、入力インターフェース502は、ユーザとCDSS500との間の対話を容易にする古典的なユーザインターフェースであり得る。例えば、入力インターフェース502は、ユーザが、外科用ファイバ、スコープ、光学構成要素、遮断または許可するための信号、反射強度閾値などに関する情報を手動で入力することができる、ユーザインターフェースを容易にすることができる。追加または代替として、入力インターフェース502は、1つまたは複数の入力特徴が抽出され得る、電子患者記録または処置中に使用されている構成要素へのアクセスを、CDSS500に提供することができる。これらの場合のいずれでも、入力インターフェース502は、入力特徴を査定するためにCDSS500が使用される時間に、またはその時間が起こる前に、特定の患者、医療処置のタイプ、スコープのタイプ、反射強度閾値などのうちの1つまたは複数に関連して以下の入力特徴のうちの1つまたは複数を収集するように構成され得る。
【0043】
入力特徴の一例は、処置中に使用されるべき外科用ファイバのタイプを含むことができる。
【0044】
入力特徴の一例は、光またはレーザ源のタイプを含むことができる。
【0045】
入力特徴の一例は、処置中に使用されているスコープのタイプを含むことができる。
【0046】
入力特徴の一例は、光および/またはレーザ源の波長または周波数を含むことができる。
【0047】
入力特徴の一例は、反射強度上限閾値を含むことができる。
【0048】
入力特徴の一例は、反射強度下限閾値を含むことができる。
【0049】
入力特徴の一例は、標的または物体から光センサ510において受信された戻り信号512の信号情報を含むことができる。
【0050】
上記の入力特徴のうちの1つまたは複数に基づいて、プロセッサは、反射強度に基づく信号が返される物体の決定された組成と、決定された理想的または最適なレーザ設定とを生成するために、AIモデル504を使用して推論動作を実行し、レーザの現在の設定に必要な任意の調整を実行することができる。例えば、入力インターフェース502は、AIモデル504を通して出力レイヤにこれらの入力特徴を伝搬するAIモデル504の入力レイヤに、上記で列挙された入力特徴のうちの1つまたは複数を配信することができる。AIモデル504は、データの分析において見つかったパターンに基づいて推論を行うことによって、明示的にプログラムされることなくタスクを実行する能力をコンピュータシステムに提供することができる。AIモデル504は、既存のデータから学習し、新しいデータに関する予測を行うことができる、アルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)の研究および構築を探索する。そのようなアルゴリズムは、出力または査定として表されるデータ駆動予測または決定を行うために、例示的な訓練データからAIモデルを構築することによって動作する。
【0051】
機械学習(ML)のための2つのモードの例は、教師ありMLおよび教師なしMLを含むことができる。教師ありMLは、事前知識(例えば、入力を出力または結果に相関させる例)を使用して、入力と出力との間の関係を学習する。教師ありMLの目的は、ある訓練データが与えられると、訓練入力と訓練出力との間の関係を最もよく近似する関数を学習することであり、その結果、MLモデルは、対応する出力を生成するために入力が与えられたときに同じ関係を実装することができる。教師なしMLは、分類もラベル付けもされていない情報を使用するMLアルゴリズムの訓練であり、これは、アルゴリズムが案内なしにその情報に作用することを可能にしている。教師なしMLは、データにおける構造を自動的に識別することができるため、探索的分析に有用である。
【0052】
教師ありMLのためのタスクは、分類問題および回帰問題を含むことができる。カテゴリ分類問題とも呼ばれる、分類問題は、項目をいくつかのカテゴリ値(例えば、この物体はリンゴかオレンジか?)のうちの1つに分類することを目的とする。回帰アルゴリズムは、(例えば、何らかの入力の値にスコアを提供することによって)いくつかの項目を定量化することを目的とする。教師付きMLアルゴリズムのいくつかの例は、ロジスティック回帰(LR)、ナイーブベイズ、ランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(NN)、ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)、行列因数分解、およびサポート・ベクター・マシン(SVM)である。
【0053】
教師なしMLのためのいくつかの可能なタスクは、クラスタリング、表現学習、および密度推定を含む。教師なしMLアルゴリズムのいくつかの例は、K平均クラスタリング、主成分分析、およびオートエンコーダである。
【0054】
別のタイプのMLは、データを交換することなく、ローカルデータを保持する複数の非集中型デバイスにわたってアルゴリズムを訓練する(協調学習としても知られる)連合学習である。この手法は、すべてのローカルデータセットが1つのサーバにアップロードされる従来の集中型機械学習技法、ならびに、ローカル・データ・サンプルが同一に分散されることをしばしば仮定するより古典的な非集中型手法とは対照的である。連合学習は、複数の当事者がデータを共有することなく共通の堅牢な機械学習モデルを構築することを可能にし、したがって、データプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権、および異種データへのアクセスなどの重要な問題に対処することを可能にする。
【0055】
いくつかの例では、AIモデル504は、プロセッサによる推論動作の実行前に連続的または定期的に訓練され得る。次いで、推論動作中に、AIモデル504に提供された患者固有の入力特徴は、入力レイヤから、1つまたは複数の隠れレイヤを通して、最終的には物体に関する情報に対応する出力レイヤに伝搬され得る。例えば、標的からの信号の反射強度を評価するとき、システムは、物体の1つまたは複数の特性を決定し、1つまたは複数の特性に基づいて使用および/または調整されるべきであるレーザ設定を決定することができる。
【0056】
推論動作の間に、および/または推論動作に続いて、物体に関する情報は、出力インターフェース508(例えば、ユーザインターフェース(UI))を介してユーザに通信され得、および/または、プロセッサに接続された外科用レーザに所望の動作を自動的に実行させることができる。したがって、例えば、物体の組成に基づいて、物体が腎臓結石であるとシステムが決定した場合、システムは、外科用レーザにエネルギーを放出させて、結石を切除すること、切除エネルギーの量を調整すること、スコープの一部を移動させることなどを行うができる。逆に、物体が非標的(例えば、医療処置の一部ではない)または非標的組織を表すガイドワイヤまたは医療器具であるとシステムが決定した場合、システムはレーザエミッタを無効にし、外科用ファイバが再配置されることを引き起こすことができ、あるいは、漂遊照射エネルギーが物体に接触する可能性を制限または低減するために任意の他の適切なステップを取ることができる。
【0057】
追加の注釈および実施例
実施例1は、レーザ処置中に物体の特性を決定するための分析システムであり、分析システムは、外科用スコープと、第1のスペクトルを有する第1の信号を放射するように構成可能な、外科用スコープに結合されたまたは外科用スコープ内に含まれる第1の光源エミッタと、第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルを有する第2の信号を放射するように構成可能な、外科用スコープに結合されたまたは外科用スコープ内に含まれる第2の光源エミッタと、放射された第2の信号に応答して物体の表面から返された第3の信号を検出するように構成可能な光センサと、(i)第3の信号のスペクトルシグネチャまたは第3の信号の反射強度のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの基準と比較し、少なくとも1つの基準が満たされるとき、(ii)ユーザに警告を送信することまたは第1の光源エミッタの設定を調整することのうちの少なくとも1つを引き起こすように構成された、光センサに結合されたコントローラ回路とを備える。
【0058】
実施例2では、実施例1の主題は、少なくとも1つの基準が、第1の光源エミッタから物体への放射が望ましくない損傷をもたらすという、スペクトルシグネチャ中の指示を含むことを、任意選択的に含む。
【0059】
実施例3では、実施例1から2のいずれか1つまたは複数の主題は、少なくとも1つの基準が、第3の信号の反射強度が下限閾値を下回るかまたは上限閾値を超えるという決定を含むことを、任意選択的に含む。
【0060】
実施例4では、実施例3の主題は、第3の信号の反射強度が上限閾値を超えることが、物体が、酸化マグネシウム(MgO)、ステンレス鋼、ニチノール、フルオロポリマー、ポリマー、またはプラスチックのうちの1つまたは複数から構成されることに対応することを、任意選択的に含む。
【0061】
実施例5では、実施例1から4のいずれか1つまたは複数の主題は、警告が視覚的警告を含み、視覚的警告が、第2の光源エミッタに第2の信号を点滅させること、または第2の光源エミッタに第2の信号の色を変更させることのうちの少なくとも1つを含むことを、任意選択的に含む。
【0062】
実施例6では、実施例1から5のいずれか1つまたは複数の主題は、外科用スコープが内視鏡であり、第2の光源エミッタが、内視鏡に接続されたまたは内視鏡上に含まれる可視光源であることを、任意選択的に含む。
【0063】
実施例7では、実施例6の主題は、第2の光源エミッタが、400nmから750nmの間の範囲内の波長を有する光を放射するように構成されることを、任意選択的に含む。
【0064】
実施例8では、実施例1から7のいずれか1つまたは複数の主題は、第1の光源エミッタが、外科用スコープに接続された外科用ファイバを通して放射されるレーザ光源または照準ビーム光源のうちの少なくとも1つを含むことを、任意選択的に含む。
【0065】
実施例9では、実施例8の主題は、第1の光源エミッタが、青色光レーザまたは緑色光レーザのうちの少なくとも1つを含むことを、任意選択的に含む。
【0066】
実施例10では、実施例8から9のいずれか1つまたは複数の主題は、第2の光源エミッタが、第2の信号が外科用ファイバを通して放射されるように外科用ファイバに接続された可視光源または赤外線(IR)光源のうちの少なくとも1つを含むことを、任意選択的に含む。
【0067】
実施例11では、実施例8から10のいずれか1つまたは複数の主題は、第1の光源エミッタが、800nmから900nmの間の範囲内の波長を有する光を放射するように構成されることを、任意選択的に含む。
【0068】
実施例12では、実施例1から11のいずれか1つまたは複数の主題は、第1の光源エミッタの設定を調整することが、第1の信号の強度を変更することまたは第1の光源エミッタを無効にすることのうちの少なくとも1つを含むことを、任意選択的に含む。
【0069】
実施例13では、実施例1から12のいずれか1つまたは複数の主題は、第3の信号の分光分析を実行するように構成された分光計であって、第3の信号の反射強度が少なくとも1つの基準を満たすことに応答して、コントローラ回路が、分光計に第3の信号のスペクトル分析を中断または終了させる、分光計を任意選択的に含む。
【0070】
実施例14は、レーザ処置中に物体の特性を決定するための分析方法であり、分析方法は、外科用スコープに結合されたまたは外科用スコープ内に含まれる第1の光源エミッタから、第1のスペクトルを有する第1の信号を放射することと、外科用スコープに結合されたまたは外科用スコープ内に含まれる第2の光源エミッタから、第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルを有する第2の信号を放射することと、外科用スコープに接続された光センサにおいて、放射された第2の信号に応答して、物体の表面から返された第3の信号を受信することと、光センサを使用して、受信された第3の信号のスペクトルシグネチャまたは反射強度のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの基準と比較することと、少なくとも1つの基準が満たされるとき、ユーザへの警告を送信することまたは第1の光源エミッタの設定を調整することのうちの少なくとも1つとを含む。
【0071】
実施例15では、実施例14の主題は、第1の光源エミッタの設定を調整することが、第1の信号の強度を変更することまたは第1の光源エミッタを無効にすることのうちの少なくとも1つを含むことを、任意選択的に含む。
【0072】
実施例16では、実施例14から15のいずれか1つまたは複数の主題は、少なくとも1つの基準が、第1の光源エミッタから物体への放射が望ましくない損傷をもたらすという、スペクトルシグネチャ中の指示を含むことを、任意選択的に含む。
【0073】
実施例17では、実施例14から16のいずれか1つまたは複数の主題は、第1の信号または第2の信号のうちの少なくとも1つを放射することが、ある期間、第1の光源エミッタまたは第2の光源エミッタのうちの少なくとも1つをパルス化することを含むことを、任意選択的に含む。
【0074】
実施例18は、レーザ処置中に物体の特性を決定するための分析システムであり、分析システムは、プロセッサと、ユーザインターフェース(UI)と、命令を含むメモリとを備え、命令は、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに、外科用スコープに結合されたまたは外科用スコープ内に含まれる第1の光源エミッタから、第1のスペクトルを有する第1の信号を放射することと、外科用スコープに結合されたまたは外科用スコープ内に含まれる第2の光源エミッタから、第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルを有する第2の信号を放射することと、外科用スコープに接続された光センサにおいて、放射された第2の信号に応答して、物体の表面から返された第3の信号を受信することと、光センサを使用して、第3の信号のスペクトルシグネチャまたは反射強度のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの基準と比較することと、少なくとも1つの基準が満たされるとき、警告がUIに送信されることまたは第1の光源エミッタの設定が調整されることを引き起こすこととを行うための動作を実行させ、少なくとも1つの基準は、第1の光源エミッタからの放射が望ましくない損傷をもたらすという、スペクトルシグネチャ中の指示を含む。
【0075】
実施例19では、実施例18の主題は、第1の光源エミッタが、外科用スコープに接続された外科用ファイバを通して放射されるレーザ光源または照準ビーム光源を含み、第2の光源エミッタが、第2の信号が外科用ファイバを通して放射されるように外科用ファイバに接続された可視光源または赤外線(IR)光源のうちの少なくとも1つを含むことを、任意選択的に含む。
【0076】
実施例20では、実施例18から19のいずれか1つまたは複数の主題は、第1の光源エミッタが、青色光レーザまたは緑色光レーザのうちの少なくとも1つを含むことを、任意選択的に含む。
【0077】
上記の発明を実施するための形態は、発明を実施するための形態の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、例として、実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ばれる。そのような例は、図示または説明されたものに加えて要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、図示または説明された要素のみが提供される例をも企図する。さらに、本発明者らは、特定の例(または、その1つまたは複数の態様)に関して、あるいは本明細書で図示または説明された他の例(または、その1つまたは複数の態様)に関してのいずれかで、図示または説明された要素(または、その1つまたは複数の態様)の任意の組合せまたは置換を使用する例をも企図する。
【0078】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許文献は、参照により個々に組み込まれるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書と参照によりそのように組み込まれたそれらの文書との間に矛盾する使用がある場合、組み込まれた参考文献における使用は、本明細書の使用を補足するものと見なされるべきであり、一致しない矛盾については、本明細書における使用が統制する。
【0079】
本明細書では、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つの(at least one)」または「1つまたは複数の(one or more)」の任意の他の事例または使用とは無関係に、1つまたは2つ以上を含むように使用される。本明細書では、「または」という用語は、非排他的を指すために使用され、あるいは、別段に明記しない限り、「AまたはB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AおよびB」を含むように使用される。添付の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「そこにおいて(in which)」という用語は、それぞれ「備える、含む(comprising)」および「ここにおいて(wherein)」という用語の平易な英語の同義語として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「備える、含む(comprising)」という用語はオープンエンドであり、すなわち、特許請求の範囲においてそのような用語の後に列挙される要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、またはプロセスは、依然として、その特許請求の範囲内にあると見なされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象に数値的な要件を課すことを意図しない。
【0080】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、上記で説明された例(または、その1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記の説明を検討すると、当業者などによって、他の実施形態が使用され得る。要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするものであり、特許請求の範囲またはその意味を解釈または限定するために使用されないという理解の下に提出される。また、上記の発明を実施するための形態では、本開示を合理化するために様々な特徴が一緒にグループ化され得る。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の請求項に必須であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にあり得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって、発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立している。実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と共に、決定されるべきである。
【符号の説明】
【0081】
100 レーザシステム
102 第1の光学構成要素
104 照準ビーム
106 物体
108 外科用ファイバ
110 ノッチフィルタ
112 ノッチフィルタ
114 フィードバック構成部品
116 照準ビーム放射源
118 光源、1つまたは複数のレーザ放射源
120 レーザファイバ
122 反射光信号
200 グラフ
202 高反射材料反射スペクトル
204 尿管組織反射スペクトル
206 膀胱組織反射スペクトル
208 結石反射スペクトル
300 方法
302 内視鏡などの外科用スコープ内に含まれる第1の光源(例えば、レーザ源)から、第1のスペクトル(例えば、非可視スペクトル)または波長を有する第1の信号を放射する
304 外科用スコープ内に含まれる、外科用スコープに取り付けられる、または外科用スコープに結合され得る第2の光源エミッタから、第2のスペクトル(例えば、可視スペクトル)または波長を有する第2の信号を放射することができる。
306 物体の表面から第3の信号を返す
308 第3の信号のスペクトルシグネチャまたは反射強度のうちの少なくとも1つを基準と比較する
310 少なくとも1つの基準を満たすことに応答して、ユーザインターフェースなどを通して、医師もしくは他のユーザに警告を通信し、および/またはレーザ信号に対する調整を行う
400 機械
402 ハードウェアプロセッサ
404 メインメモリ
406 スタティックメモリ
408 マスストレージ
410 ディスプレイデバイス
412 英数字入力デバイス、入力デバイス
414 ユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス、UIナビゲーションデバイス
416 1つまたは複数のセンサ
418 信号生成デバイス
420 ネットワーク・インターフェース・デバイス
422 機械可読媒体
424 命令
426 通信ネットワーク
428 出力コントローラ
430 インターリンク
500 臨床意思決定支援システム(CDSS)、CDSS
502 入力インターフェース
504 人工知能(AI)モデル、AIモデル
506 データベース
508 出力インターフェース
510 光センサ
512 戻り信号
図1
図2
図3
図4
図5