(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013304
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】突板化粧材
(51)【国際特許分類】
B27N 3/00 20060101AFI20240125BHJP
B27M 3/00 20060101ALI20240125BHJP
B27D 5/00 20060101ALI20240125BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B27N3/00 C
B27N3/00 D
B27M3/00 N
B27D5/00
B32B15/08 H
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115288
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】西部 俊
(72)【発明者】
【氏名】岩竹 淳裕
(72)【発明者】
【氏名】吉原 幸平
【テーマコード(参考)】
2B002
2B250
2B260
4F100
【Fターム(参考)】
2B002AA02
2B002AA05
2B002AA10
2B002AA11
2B002AA13
2B002BB07
2B002BB08
2B250BA03
2B250BA07
2B250CA11
2B250DA04
2B250EA02
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2B250FA26
2B250FA29
2B250FA31
2B250FA33
2B250FA46
2B250GA03
2B250HA01
2B260AA02
2B260AA11
2B260BA13
2B260BA18
2B260BA19
2B260BA20
2B260BA23
2B260CB01
2B260CB04
2B260DA07
2B260DA08
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2B260EA05
2B260EB11
2B260EB16
2B260EB19
4F100AA19D
4F100AB33B
4F100AG00B
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CB00D
4F100DB07A
4F100DG06B
4F100DG10B
4F100HB00
4F100JJ07B
(57)【要約】
【課題】様々な機能が付与できるのはもとより、施工の際に継手見切りや目透かし施工、目地テープなどが不要となることで、施工性や意匠性にも優れた突板化粧材を提供する。
【解決手段】本発明の突板化粧材は、対向する辺に実加工を施された基材(12)と、その基材(12)の片面に積層された突板シート(14)であって、突板(14a)の裏面に裏打ち材(14b)が積層一体化された突板シート(14)とを具備する。上記の突板シート(14)は、上記の基材(12)に設けられた実部(12a)の裏面側まで巻き込まれていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する辺に実加工を施された基材(12)と、その基材(12)の片面に積層された突板シート(14)であって、突板(14a)の裏面に裏打ち材(14b)が積層一体化された突板シート(14)とを具備すると共に、
上記の突板シート(14)は、上記の基材(12)に設けられた実部(12a)の裏面側まで巻き込まれている、ことを特徴とする突板化粧材。
【請求項2】
請求項1の突板化粧材において、
前記の裏打ち材(14b)が、金属箔,ガラス繊維紙,不燃紙からなる群より選ばれる何れかで構成されることを特徴とする突板化粧材。
【請求項3】
請求項1又は2の突板化粧材において、
前記の突板(14a)と前記の裏打ち材(14b)とが、水酸化アルミニウムを添加した接着剤(16)で接合されることを特徴とする突板化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な機能が付与された突板化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の突板化粧材には、従来では、下記の特許文献1(日本国・特開2012-201035号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
木質材からなる基材の片面に突板が接合され、該突板の表面に、木目の視認性を損なわない表面塗装が施されている。前記表面塗装の塗膜の表面に防カビ剤が塗布されると共に、突板化粧材の木口面にシアノアクリレート系接着剤が塗布されている。また、下記の特許文献2(日本国・特開2008-80637号公報)には、基材と化粧単板(突板)との間に、アルミニウム箔及び不燃化シートを挿入して積層一体化してなり、発熱性試験において試験時間20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であることを特徴とする化粧不燃材が開示されている。
【0003】
これらの技術によれば、特許文献1では表面の黒変防止、また、特許文献2では不燃性と言ったように、突板化粧材に様々な機能を付与することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-201035号公報
【特許文献2】特開2008-80637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術には次の問題がある。すなわち、従来のいずれの突板化粧材においても、基材の表面に突板を貼り合わせた後に実加工や幅方向の切断を行なっているため、突板は基材の表面にのみ貼られており、実の部分には別途の塗装や目地テープを貼るなどの対応を行なわなければならなかった。
それゆえに、本発明の主たる課題は、様々な機能が付与できるのはもとより、施工の際に継手見切りや目透かし施工、目地テープなどが不要となることで、施工性や意匠性にも優れた突板化粧材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するため、本発明は、例えば、
図1~3に示すように、突板化粧材を次のように構成した。
すなわち、対向する辺に実加工を施された基材12と、その基材12の片面に積層された突板シート14であって、突板14aの裏面に裏打ち材14bが積層一体化された突板シート14とを具備する。上記の突板シート14は、上記の基材12に設けられた実部12aの裏面側まで巻き込まれていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、突板14aの裏面に裏打ち材14bが積層一体化されて引張強度の増した突板シート14が形成されており、この突板シート14は基材12の実部12aの凹凸に沿ってその裏面側まで巻き込むことができる。そして、このような突板シート14を実部12aの裏面側まで巻き込んで置くことによって、施工の際に継手見切りや目透かし施工、目地テープの取り付けなどが不要となる。
【0008】
本発明においては、前記の裏打ち材14bを、金属箔,ガラス繊維紙,不燃紙からなる群より選ばれる何れかで構成するのが好ましい。又、前記の突板14aと上記の裏打ち材14bとを、水酸化アルミニウムが添加された接着剤16で接合するのが好ましい。
これらの場合、突板化粧材に不燃性を付与することができるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、様々な機能が付与できるのはもとより、施工の際に継手見切りや目透かし施工、目地テープの取り付けなどが不要となることで、施工性や意匠性にも優れた突板化粧材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明における一実施形態の突板化粧材を示す要部を拡大した説明図である。
【
図2】本発明の突板化粧材の製造方法の一例を示すフロー図である。
【
図3】本発明における他の実施形態の突板化粧材を示す要部を拡大した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明における一実施形態の突板化粧材10を示す要部を拡大した説明図である。この図が示すように、本実施形態の突板化粧材10は、基材12と、その基材の片面に積層された突板シート14とで大略構成される。
【0012】
基材12は、突板化粧材10のベースとなる板材であり、例えば、無垢の木材(ブロックボード),木質繊維板(MDF等),パーティクルボード(PB),OSB(Oriented Strand Board),集成材,合板,単板積層材(LVL)等の木質板状基材や、ロックウール板,火山性ガラス質複層板(火山性ガラス質材料と鉱物繊維が主原料),ケイカル板,メラミン化粧板などの無機質板状基材を、目的に応じて単独で或いは積層して形成することができる。
図示実施形態では、不燃性能を確保するため、この基材12として、厚さ6mmの火山性ガラス質複層板を使用している。
【0013】
ここで、本発明の突板化粧材10では、基材12の対向する辺(長辺側)に実加工が施されており、予め実部12aが設けられている。
また、この基材12の表面には、接着剤18を用いて突板シート14が貼着されると共に、同基材12の裏面には、接着剤20を用いて厚さ0.02以上mmの防湿紙22が貼着されている。
【0014】
突板シート14は、基材12の表面を木目の美しい模様で装飾するために使用するシート部材であり、天然木を薄くスライスして形成された突板14aと、その突板14aの裏面に積層一体化された裏打ち材14bとで構成される。
【0015】
上記の突板14aの厚さは特に限定されるものではないが、実部12aの形状への追従性などを考慮すると0.4mm以下であることがこと好ましく、より好ましくは0.3mm未満である。
【0016】
裏打ち材14bは、突板14aを補強すると共に、突板シート14ひいては突板化粧材10全体に様々な機能を付与するシート部材である。この裏打ち材14bは、和紙や不織布など突板14aと接着可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、突板化粧材10に不燃性を付与したい場合には、この裏打ち材14bを、アルミ箔などの金属箔,ガラス繊維紙,ケイ酸マグネシウムなどを主原料とした不燃紙からなる群より選ばれる何れかで構成するのが好ましい。
さらに裏打ち材は基材の抽出成分等の基材側への溶出または滲出を防ぐ遮蔽層としての機能を持ち合わせていればよく、金属箔が最適である。
【0017】
上記の突板14aと裏打ち材14bとは接着剤16を介して積層一体化される。この突板14aと裏打ち材14bとを接着させる接着剤16は、酢酸ビニル樹脂系、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)系のエマルジョン型接着剤,SBR(スチレン・ブタジエンゴム)系等の水性樹脂や溶剤系接着材が使用できる。ここで、突板シート14に不燃性を付与する場合には、この接着剤16に添加剤として水酸化アルミニウムを混合するが、その水酸化アルミニウムとの親和性から、マトリックスとしてはSBR系接着剤を用いるのが望ましい。なお、接着剤16に水酸化アルミニウムを添加することによって突板シート14の不燃性能を向上させることができる。
【0018】
また、上述した基材12の表面に突板シート14を貼着する接着剤18及び基材12の裏面に防湿紙22を貼着する接着剤20についても、接着剤16と同様に、酢酸ビニル樹脂系、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)系のエマルジョン型接着剤,SBR(スチレン・ブタジエンゴム)系等の水性樹脂や溶剤系接着材が使用できるし、不燃性を付与する必要が有る場合には、それらの接着剤18及び20に添加剤として水酸化アルミニウムを混合させることもできる。
【0019】
次に、以上のように構成された突板化粧材10を製造する際には、
図2に示すようなフローで実施される。
すなわち、先ず始めに、厚さ6mmの火山性ガラス質複層板を所定の寸法に切断して得た基材12の裏面に、合成ゴム系水性エマルジョン形の接着剤を塗布し、防湿紙22を積層してホットプレスする「防湿紙裏貼り加工」工程S1が実行される。「防湿紙裏貼り加工」工程S1が完了した基材12は、続く「基材加工」工程S2が実行される。
【0020】
「基材加工」工程S2は、裏面に防湿紙22を貼着させた基材12を製品幅に小割すると共に、小割した基材12の長辺側に実加工を行って所定形状の実部12aを形成する工程である。
【0021】
ここで、基材12に対する「防湿紙裏貼り加工」工程S1及び「基材加工」工程S2と並行して「突板アルミ貼り加工」工程S3が実行される。この「突板アルミ貼り加工」工程S3は、突板14aの裏面に裏打ち材14bとなるアルミ箔(金属箔)を積層一体化させて突板シート14を形成する工程である。具体的には、厚さ0.4mmの突板の裏面に水酸化アルミニウムを配合したSBR系接着剤を塗布した後、厚さ20μm以上のアルミ箔を重ね合わせてホットプレスで積層一体化させる。そして、裏打ち材14bが積層一体化された突板14aの表面を、その突板14aの厚さが0.4mm以下となるまでサンディングして突板シート14が完成する。なお、上述のように、突板14aの厚さを0.4mm以下までサンディングすることによって、突板シート14の曲面や段差面への追従性を向上させることができる。
【0022】
以上のように基材12と突板シート14の準備か完了すると、続く「突板シート貼り加工」工程S4が実行される。この「突板シート貼り加工」工程S4では、基材12の表面から実部12aの裏面にかけてPUR(ポリウレタン)系ホットメルトからなる接着剤18を塗布した後、突板シート14を重ね合わせてラミネーターでラッピングする。この「突板シート貼り加工」工程S4で基材12と突板シート14とが積層一体化されたものは、続く「塗装(表面仕上げ加工)」工程S5が実行される。
【0023】
「塗装(表面仕上げ加工)」工程S5は、突板14a表面への塗装や研磨などを繰り返すことによって意匠性や表面の耐久性などを向上させる工程である。この「塗装(表面仕上げ加工)」工程S5で突板14a表面への塗装が完了したものは、続く「長さ切断加工」工程S6が実行される。
【0024】
「長さ切断加工」工程S6では、突板14a表面への塗装が完了したものを所定の長さに切断すると共に、短辺木口の面取り加工と着色塗装を行って突板化粧材10を完成させる工程である。この「長さ切断加工」工程S6で完成させた突板化粧材10は、続く「検査・梱包」工程S7で検品され、品質基準をクリアしたものが梱包されて製品として出荷される。
【0025】
本実施形態の突板化粧材10によれば、突板14aの裏面に裏打ち材14bが積層一体化されて引張強度の増した突板シート14が形成されており、この突板シート14は基材12の実部12aの凹凸に沿ってその裏面側まで巻き込むことができる。そして、このような突板シート14を実部12aの裏面側まで巻き込んで置くことによって、施工の際に継手見切りや目透かし施工、目地テープの取り付けなどが不要となった施工性や意匠性に優れた突板化粧材を提供することができる。また、突板14aと裏打ち材14bとを水酸化アルミニウムが添加された接着剤16で接合すると共に、裏打ち材14bをアルミ複合紙で構成しているので、突板化粧材に不燃性を付与することができるようになる。
【0026】
なお、上述の実施形態では、突板化粧材10に不燃性を付与するため、基材12として火山性ガラス質複層板を用いると共に、突板シート14を形成する裏打ち材14bとしてアルミ箔を用いる場合を示している。しかしながら、突板化粧材10に不燃性を付与する構成はこれに限定されるものではなく、例えば、
図3に示すように、基材12として火山性ガラス質複層板を用い、突板シート14を形成する裏打ち材14bとして一般的な和紙や不織布を用いると共に、基材12の表面にアルミ箔などの金属箔24を直接貼着させるようにしてもよい。
【0027】
また、上述の実施形態では、その製造方法において、「突板アルミ貼り加工」工程S3で、裏打ち材14bが積層一体化された突板14aの表面をサンディングして突板14aの厚さが0.22mmとなるように調整しているが、例えば、裏打ち材14bとして金属箔などよりも柔軟な和紙や不織布を使用している場合には、「塗装(表面仕上げ加工)」工程S5において塗装を行う直前に突板14aをサンディングして所定の厚さに調整するようにしてもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
10:突板化粧材,12:基材,12a:実部,14:突板シート,14a:突板,14b:裏打ち材,16:接着剤.
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火山性ガラス質複層板からなり、対向する辺に実加工を施された基材(12)と、その基材(12)の表面に積層された突板シート(14)であって、突板(14a)の裏面に裏打ち材(14b)が積層一体化された突板シート(14)とを具備すると共に、
上記の突板シート(14)は、上記の基材(12)に設けられた実部(12a)の裏面側まで巻き込まれており、
上記の基材(12)の裏面には、防湿紙(22)が貼着される、ことを特徴とする突板化粧材。
【請求項2】
請求項1の突板化粧材において、
前記の裏打ち材(14b)が、金属箔,ガラス繊維紙,不燃紙からなる群より選ばれる何れかで構成されることを特徴とする突板化粧材。
【請求項3】
請求項1又は2の突板化粧材において、
前記の突板(14a)と前記の裏打ち材(14b)とが、水酸化アルミニウムを添加した接着剤(16)で接合されることを特徴とする突板化粧材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記の課題を達成するため、本発明は、例えば、
図1~3に示すように、突板化粧材を次のように構成した。
すなわち、
火山性ガラス質複層板からなり、対向する辺に実加工を施された基材12と、その基材12の片面に積層された突板シート14であって、突板14aの裏面に裏打ち材14bが積層一体化された突板シート14とを具備する。上記の突板シート14は、上記の基材12に設けられた実部12aの裏面側まで巻き込まれて
おり、上記の基材12の裏面には、防湿紙22が貼着される、ことを特徴とする。