(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133041
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ガス漏洩監視装置及びガス漏洩監視システム
(51)【国際特許分類】
G01M 3/00 20060101AFI20240920BHJP
F17D 5/02 20060101ALI20240920BHJP
F16K 15/03 20060101ALI20240920BHJP
F16K 1/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01M3/00 C
F17D5/02
F16K15/03 F
F16K15/03 D
F16K1/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041717
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2023042287
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】傳寳 暁士
(72)【発明者】
【氏名】宮藤 章
(72)【発明者】
【氏名】藤田 智
【テーマコード(参考)】
2G067
3H052
3H058
3J071
【Fターム(参考)】
2G067AA01
2G067CC04
2G067DD04
3H052AA01
3H052BA02
3H052BA11
3H052CA01
3H052CC03
3H052CD03
3H052EA01
3H058AA07
3H058BB03
3H058BB14
3H058CA04
3H058CC02
3H058CD08
3H058CD09
3H058CD23
3H058CD28
3H058EE05
3J071AA02
3J071BB14
3J071CC07
3J071CC14
3J071EE05
3J071EE25
3J071FF03
(57)【要約】
【課題】ガス漏洩監視装置及びガス漏洩監視システムにおいて、ガスの圧力損失を小さくすること、及び、ガス漏れ検査の精度を向上させることを目的としている。
【解決手段】上流部10と下流部14とに亘って接続されたバイパス通路及びガス量検出部と、上流部10と下流部14とを接続する連通部に設けられた弁座19を開閉可能な弁体32とが備えられる。弁体32は、軸芯P11周りに揺動可能に支持され、弁座19を閉じて上流部10と下流部14とを遮断する閉位置、及び、弁座19を開いて上流部10と下流部14とを連通させる開位置に亘って揺動可能な蓋部33と、蓋部33における軸芯P11の近傍部分に取り付けられ、弁座19から離れる側に向けて突出したウェイト部36とを有している。弁体32は、蓋部33の重量及びウェイト部36の重量により閉位置に向けて揺動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが供給される上流部と、ガスが消費される複数のガス消費部に接続される下流部と、前記上流部と前記下流部とを接続する連通部と、前記上流部と前記下流部とに亘って接続されたバイパス通路と、前記バイパス通路を流れるガスの量を検出するガス量検出部と、前記連通部に設けられた弁座を開閉可能な弁体とが備えられ、
前記弁体は、前記弁座の上方に位置して水平方向に沿った軸芯周りに揺動可能に支持され、前記弁座に接近する側に揺動して前記弁座に接触することにより前記弁座を閉じて、前記上流部と前記下流部とを遮断する閉位置、及び、前記弁座から離れる側に揺動することにより前記弁座を開いて、前記上流部と前記下流部とを連通させる開位置に亘って揺動可能な蓋部と、前記蓋部における前記軸芯の近傍部分に取り付けられ、前記弁座から離れる側に向けて突出したウェイト部とを有しており、
前記弁体は、前記蓋部の重量及び前記ウェイト部の重量により、前記閉位置に向けて揺動するガス漏洩監視装置。
【請求項2】
可変絞り部が前記バイパス通路に設けられている請求項1に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項3】
前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で、前記弁体の重心が、前記軸芯を通る仮想の鉛直線に対して前記弁座から離れる側に位置している請求項1に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項4】
前記蓋部が前記開位置に位置した状態で、前記弁体の重心が、前記軸芯を通る仮想の鉛直線に対して前記弁座から離れる側に位置している請求項3に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項5】
前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で、前記蓋部が鉛直方向に沿った姿勢となる請求項3に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項6】
前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で、前記ウェイト部の重心が前記軸芯の位置よりも上側に位置している請求項3に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項7】
前記弁体が前記開位置に位置した状態で、前記上流部でのガスの流れ方向と、前記下流部でのガスの流れ方向と、前記連通部でのガスの流れ方向とが沿うように、前記上流部及び前記下流部、前記連通部が設けられている請求項1に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項8】
前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で前記弁座の内周部に近接する環状の内近接部と、前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で前記弁座の外周部に近接する環状の外近接部とのうちの少なくとも一方が、前記蓋部における前記弁座側の部分に設けられている請求項1に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項9】
前記蓋部における前記軸芯周りの微揺動に対して抵抗を与えるブレーキ機構が備えられている請求項1に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項10】
前記ブレーキ機構は、
前記軸芯周りに前記蓋部と一体で揺動可能な磁性体と、
前記軸芯に沿った方向で前記磁性体から所定の間隔だけ一方に離れた第1磁極と、
前記軸芯に沿った方向で前記磁性体から所定の間隔だけ他方に離れた第2磁極とを有している請求項9に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項11】
前記蓋部における前記軸芯周りの微揺動に対して逆位相で振動可能に前記蓋部に取り付けられた防振体が備えられている請求項1に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項12】
前記防振体は、前記蓋部に取り付けられた取付部と、前記蓋部から所定の間隔だけ離れるように前記取付部に取り付けられた防振ゴムとを有している請求項11の記載のガス漏洩監視装置。
【請求項13】
前記蓋部に取り付けられ、前記弁座から離れる側に延出された蓋支持部と、
前記軸芯周りに揺動可能に取り付けられ、前記蓋支持部に揺動可能に取り付けられた第1リンクと、
前記軸芯に対して前記弁座から離れる側に位置し、前記軸芯と平行な上部軸芯と、
前記上部軸芯周りに揺動可能に取り付けられ、前記蓋支持部における前記第1リンクが取り付けられた部分よりも前記弁座から離れる側の部分に、揺動可能に取り付けられた第2リンクとが備えられている請求項1に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項14】
前記第1リンク及び前記第2リンクが、側面視で、前記蓋部から離れる側に突出するように屈曲されている請求項13に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項15】
前記蓋支持部と前記第1リンクと前記第2リンクとが、前記ウェイト部である請求項13に記載のガス漏洩監視装置。
【請求項16】
請求項1~15のうちのいずれか一項に記載された前記ガス漏洩監視装置と、
前記ガス消費部の各々に設けられ、前記ガス消費部が消費するガスの量を検出する消費ガス量検出部と、
前記ガス量検出部の検出値と前記消費ガス量検出部の検出値とを取得し、前記ガス量検出部の検出値と前記消費ガス量検出部の検出値とに基づいて、前記ガス漏洩監視装置と前記消費ガス量検出部との間の経路でのガス漏れを検出する監視部とが備えられているガス漏洩監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅や商業施設等においてガス漏れを検出するガス漏洩監視装置及びガス漏洩監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の住宅(ガス消費部に相当)が集まる集合住宅や、多数の飲食店舗(ガス消費部に相当)が集まる商業施設では、ガス基地からの本管から第1枝管が分岐し、第1枝管から多数の第2枝管が分岐して、第2枝管が住宅(飲食店舗)の各々に接続される。
この場合、開閉弁を有するガス漏洩監視装置が第1枝管に設けられ、開閉弁が閉操作されることにより、ガス漏洩監視装置と住宅(飲食店舗)との間の第1枝管及び第2枝管のガス漏れ検査が、定期的に行われる。
【0003】
前述のガス漏洩監視装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1のガス漏洩監視装置では、上流部と下流部との間に開閉弁が設けられ、開閉弁にリング状の弁座とボール状の弁体が設けられている。本管からのガスは、上流部を流れ、開閉弁の弁体を押し上げ、開閉弁の弁座から下流部に流れて、第2枝管から住宅(飲食店舗)に流れる。
【0004】
特許文献1のガス漏洩監視装置では、上流部と下流部とに亘ってバイパス通路が設けられており、ガス量検出部がバイパス通路に設けられている。
ガス漏れ検査は、住宅(飲食店舗)でのガスの消費が停止する深夜等に行われることが多い。住宅(飲食店舗)でのガスの消費が停止して、ガス漏洩監視装置のガスの流れが停止すると、ガス漏洩監視装置において、開閉弁の弁体が自重で下降して開閉弁の弁座が閉操作されるので、上流部のガスは微小量でもバイパス通路に流れ易くなる。
この状態で、ガス量検出部によりバイパス通路を流れるガスの量を検出することによって、ガス漏洩監視装置と住宅(飲食店舗)との間の第1枝管及び第2枝管のガス漏れを検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のガス漏洩監視装置では、本管からのガスが上流部に供給されると、開閉弁の弁体は、ガスにより押し上げられて開閉弁の弁座から完全に離れる。これにより、ガスは、上流部から開閉弁の弁体の全周に沿って前後左右のあらゆる方向に分かれて流れ、開閉弁の弁体を通過すると再び集まって下流部に流れるので、特に大流量のガスが流れる場合に、ガスの圧力損失が大きくなると考えられる。
【0007】
特許文献1のガス漏洩監視装置では、開閉弁の弁体が自重で下降して開閉弁の弁座を閉操作する場合、開閉弁の弁体が弁座の全周に亘って接触しなければ、開閉弁の弁座が十分に閉操作されたとは言えないので、開閉弁の弁座が水平に維持されていることが必要である。
【0008】
しかしながら、ガス漏洩監視装置の埋設工事の際に開閉弁の水平が確保されていなかった場合や、ガス漏洩監視装置の埋設後の地盤沈下等により開閉弁が水平から傾斜する場合等が考えられるので、特許文献1のガス漏洩監視装置では、開閉弁の弁体が自重で下降しても、開閉弁の弁座が十分に閉じられたとは言えない状態になることが懸念される。
ガス漏洩監視装置において、開閉弁の弁座が十分に閉じられないと、バイパス通路にガスが流れ難くなるので、ガス量検出部によるバイパス通路を流れるガスの量の検出が適切に行われず、ガス漏れ検査の精度の低下が懸念される。
【0009】
本発明は、ガス漏洩監視装置及びガス漏洩監視システムにおいて、ガスの圧力損失を小さくすること、及び、ガス漏れ検査の精度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガス漏洩監視装置は、ガスが供給される上流部と、ガスが消費される複数のガス消費部に接続される下流部と、前記上流部と前記下流部とを接続する連通部と、前記上流部と前記下流部とに亘って接続されたバイパス通路と、前記バイパス通路を流れるガスの量を検出するガス量検出部と、前記連通部に設けられた弁座を開閉可能な弁体とが備えられ、前記弁体は、前記弁座の上方に位置して水平方向に沿った軸芯周りに揺動可能に支持され、前記弁座に接近する側に揺動して前記弁座に接触することにより前記弁座を閉じて、前記上流部と前記下流部とを遮断する閉位置、及び、前記弁座から離れる側に揺動することにより前記弁座を開いて、前記上流部と前記下流部とを連通させる開位置に亘って揺動可能な蓋部と、前記蓋部における前記軸芯の近傍部分に取り付けられ、前記弁座から離れる側に向けて突出したウェイト部とを有しており、前記弁体は、前記蓋部の重量及び前記ウェイト部の重量により、前記閉位置に向けて揺動する。
【0011】
本発明によると、上流部と下流部とを接続する連通部において、連通部に設けられた弁座の上方に位置して水平方向に沿った軸芯周りに揺動可能に弁体が支持されているので、弁体は、軸芯の部分において弁座との位置関係が維持されながら、軸芯周りの一方向に沿って揺動する。
弁体は蓋部とウェイト部とを有しており、弁体の重量と、弁体の重心と軸芯との間の水平方向での間隔(モーメントアーム)とにより、下方に向くモーメントが生じることによって、弁体は閉位置に操作される。
【0012】
これにより、弁体が開位置から閉位置に向けて揺動する場合、弁体は、軸芯の部分で弁座に接続されていることにより、姿勢を乱すことなく閉位置に案内されるので、弁体の蓋部は閉位置において弁座の全周に亘って接触し易い。
【0013】
弁体の蓋部が閉位置において弁座の全周に亘って接触し易いことにより、弁座が十分に閉じられた状態(上流部と下流部とが遮断された状態)が得やすくなり、上流部のガスが微小量でもバイパス通路に流れ易くなるので、ガス量検出部によるバイパス通路を流れるガスの量の検出が適切に行われる。
以上のように、ガス量検出部によるバイパス通路を流れるガスの量の検出が適切に行われるようにすることによって、ガス漏れ検査の精度が向上する。
【0014】
本発明によると、弁体が軸芯周りに揺動可能に支持されることにより、弁体が閉位置から開位置に操作されても、弁体の重量の一部は軸芯に支持されている。
これにより、ガスが弁体を閉位置から開位置に向けて操作する場合、弁体の重量の一部が軸芯に支持され、ガスは弁体の全ての重量を支持しなくてもよいので、弁体を開位置に向けて操作する際にガスに掛かる負荷が小さくなり、ガスの圧力損失を抑えることができる。
【0015】
本発明において、可変絞り部が前記バイパス通路に設けられていると好適である。
【0016】
本発明によると、ガス消費部の数やガス消費部でのガスの消費量の大小等に応じて、可変絞り部が開放側及び絞り側に操作されることにより、バイパス通路を流れるガスの量をガス量検出部の検出にとって適正な値に設定することが、容易に行われるようになるので、ガス漏れ検査の精度の向上の面で有利である。
【0017】
本発明において、前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で、前記弁体の重心が、前記軸芯を通る仮想の鉛直線に対して前記弁座から離れる側に位置していると好適である。
【0018】
本発明によると、弁体が閉位置に位置していても、弁体を閉位置に操作するモーメントが発生しているので、弁体を閉位置に操作するモーメントにより、弁体の蓋部は弁座に押圧される。
これにより、弁体が閉位置に操作された状態での気密性が高められ、バイパス通路を流れずに弁体の蓋部と弁座との間の隙間を流れるガスが少なくなるので、ガス漏れ検査の精度の向上の面で有利である。
【0019】
本発明において、前記蓋部が前記開位置に位置した状態で、前記弁体の重心が、前記軸芯を通る仮想の鉛直線に対して前記弁座から離れる側に位置していると好適である。
【0020】
本発明によると、弁体が開位置に大きく操作されていても、弁体を閉位置に操作するモーメントが発生している。これにより、弁体が開位置(全開位置)から閉位置に向けて揺動する場合、弁体が無理なく閉位置に操作される。
【0021】
本発明において、前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で、前記蓋部が鉛直方向に沿った姿勢となると好適である。
【0022】
本発明によると、ガスが閉位置の弁体を開位置に向けて操作する過程において、弁体が閉位置から操作され始めた前半では、弁体の重心は軸芯から離れていくので、モーメントアームが長くなっていき、弁体を閉位置に操作するモーメントが大きくなっていく。
これにより、弁体が閉位置から操作され始めた前半において、弁体が上下に振動するような状態が抑えられて、弁体が上下に振動することによるガスの圧力損失が抑えられるので、ガス漏洩監視装置のガスの圧力損失を小さくするという面で有利である。
【0023】
本発明において、前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で、前記ウェイト部の重心が前記軸芯の位置よりも上側に位置していると好適である。
【0024】
本発明によると、弁体の重心を弁体の上部(軸芯に近い位置)に位置させる場合、弁体が閉位置に位置した状態で、ウェイト部の重心が軸芯の位置よりも上側に位置するように構成することにより、弁体の重心を弁体の上部(軸芯に近い位置)に位置させることが容易に行える。
【0025】
本発明において、前記弁体が前記開位置に位置した状態で、前記上流部でのガスの流れ方向と、前記下流部でのガスの流れ方向と、前記連通部でのガスの流れ方向とが沿うように、前記上流部及び前記下流部、前記連通部が設けられていると好適である。
【0026】
本発明によると、ガスが上流部に入り上流部を連通部に向けて流れると、ガスは、上流部からあまり向きを変えずに連通部に入ることができる。次にガスは、連通部を下流部に向けて流れると、連通部からあまり向きを変えずに下流部に入ることができる。
これにより、ガスが上流部から連通部及び下流部を流れる際のガスの圧力損失を抑えることができるので、ガス漏洩監視装置のガスの圧力損失を小さくするという面で有利である。
【0027】
本発明において、前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で前記弁座の内周部に近接する環状の内近接部と、前記蓋部が前記閉位置に位置した状態で前記弁座の外周部に近接する環状の外近接部とのうちの少なくとも一方が、前記蓋部における前記弁座側の部分に設けられていると好適である。
【0028】
小流量のガスが上流部から下流部に流れる場合、弁体が閉位置から開位置に向けて少しだけ揺動し、ガスが、弁体の蓋部と弁座との間に生じた小さな隙間を通って流れる状態となる。
これにより、ガスの渦流が隙間の外方の領域に発生することが考えられ、弁体の蓋部がガスの渦流により軸芯周りに微揺動(振動)することが考えられるので、弁体の蓋部の振動によるガスの圧力損失が懸念される。
【0029】
本発明によると、内近接部(外近接部)が弁体の蓋部に設けられているので、前述のように、弁体が閉位置から開位置に向けて少しだけ揺動しても、内近接部は弁座の内周部に近接している(外近接部は弁座の外周部に近接している)。上流部から下流部に流れるガスの流量が大きくなり、弁体が開位置に向けてさらに揺動すると、内近接部は弁座から離れる(外近接部は弁座から離れる)。
【0030】
本発明によると、小流量のガスが上流部から下流部に流れる場合(弁体が閉位置から開位置に向けて少しだけ揺動した場合)、ガスは、内近接部と弁座の内周部との間(外近接部と弁座の外周部との間)を通り、内近接部と弁座の内周部との間(外近接部と弁座の外周部との間)による絞り作用を受けながら、下流部に流れる。
【0031】
これにより、小流量のガスが上流部から下流部に流れる場合、ガスの渦流の発生が抑えられ、弁体の蓋部における軸芯周りの微揺動(振動)が抑えられるので、弁体の蓋部の振動によるガスの圧力損失が抑えられる。
【0032】
本発明において、前記蓋部における前記軸芯周りの微揺動に対して抵抗を与えるブレーキ機構が備えられていると好適である。
【0033】
小流量のガスが上流部から下流部に流れる場合、弁体が閉位置から開位置に向けて少しだけ揺動し、ガスが、弁体の蓋部と弁座との間に生じた小さな隙間を通って流れる状態となる。
これにより、ガスの渦流が隙間の外方の領域に発生することが考えられ、弁体の蓋部がガスの渦流により軸芯周りに微揺動(振動)することが考えられるので、弁体の蓋部の振動によるガスの圧力損失が懸念される。
【0034】
本発明によると、弁体の蓋部における軸芯周りの微揺動に対して、ブレーキ機構により抵抗が与えられることによって、弁体の蓋部における軸芯周りの微揺動(振動)が抑えられるので、弁体の蓋部の振動によるガスの圧力損失が抑えられる。
【0035】
本発明において、前記ブレーキ機構は、前記軸芯周りに前記蓋部と一体で揺動可能な磁性体と、前記軸芯に沿った方向で前記磁性体から所定の間隔だけ一方に離れた第1磁極と、前記軸芯に沿った方向で前記磁性体から所定の間隔だけ他方に離れた第2磁極とを有していると好適である。
【0036】
本発明によると、弁体の蓋部が軸芯周りに微揺動(振動)すると、第1磁極及び第2磁極の間に位置する磁性体が、弁体の蓋部と一体で軸芯周りに微揺動(振動)するので、磁性体に渦電流が発生する。磁性体に渦電流が発生すると、弁体の蓋部における軸芯周りの微揺動(振動)を抑える力が発生するので、この力によって弁体の蓋部における軸芯周りの微揺動(振動)が抑えられる。
これにより、弁体の蓋部における軸芯周りの微揺動(振動)を抑える確実性の高いブレーキ機構が得られる。
【0037】
本発明において、前記蓋部における前記軸芯周りの微揺動に対して逆位相で振動可能に前記蓋部に取り付けられた防振体が備えられていると好適である。
【0038】
小流量のガスが上流部から下流部に流れる場合、弁体が閉位置から開位置に向けて少しだけ揺動し、ガスが、弁体の蓋部と弁座との間に生じた小さな隙間を通って流れる状態となる。
これにより、ガスの渦流が隙間の外方の領域に発生することが考えられ、弁体の蓋部がガスの渦流により軸芯周りに微揺動(振動)することが考えられるので、弁体の蓋部の振動によるガスの圧力損失が懸念される。
【0039】
本発明によると、弁体の蓋部が軸芯周りに微揺動(振動)した場合、弁体の蓋部に取り付けられた防振体が、弁体の蓋部と異なる振動数で振動し易く、弁体の蓋部の軸芯周りの微揺動(振動)に対して逆位相で振動し易いので、弁体の蓋部の振動と防振体の振動とが互いに相殺する状態となる。
これにより、弁体の蓋部における軸芯周りの微揺動(振動)が抑えられるので、弁体の蓋部の振動によるガスの圧力損失が抑えられる。
【0040】
本発明において、前記防振体は、前記蓋部に取り付けられた取付部と、前記蓋部から所定の間隔だけ離れるように前記取付部に取り付けられた防振ゴムとを有していると好適である。
【0041】
本発明によると、防振ゴムが、弁体の蓋部に少し離れて取り付けられているので、弁体の蓋部に対して振動し易い状態となっている。
これにより、防振ゴムが、弁体の蓋部と異なる振動数で振動し易くなり、弁体の蓋部の軸芯周りの微揺動(振動)に対して逆位相で振動し易くなるので、確実性の高い防振体が得られる。
【0042】
本発明において、前記蓋部に取り付けられ、前記弁座から離れる側に延出された蓋支持部と、前記軸芯周りに揺動可能に取り付けられ、前記蓋支持部に揺動可能に取り付けられた第1リンクと、前記軸芯に対して前記弁座から離れる側に位置し、前記軸芯と平行な上部軸芯と、前記上部軸芯周りに揺動可能に取り付けられ、前記蓋支持部における前記第1リンクが取り付けられた部分よりも前記弁座から離れる側の部分に、揺動可能に取り付けられた第2リンクとが備えられていると好適である。
【0043】
本発明によると、蓋支持部、第1リンク及び第2リンクにより弁体が支えられており、弁体は、閉位置での弁体の蓋部の弁座に対する姿勢を維持しながら、閉位置及び開位置に亘って揺動可能となる。
本発明によると、弁体が開位置から閉位置に向けて揺動する場合、弁体は、閉位置での弁体の蓋部の弁座に対する姿勢を維持しながら閉位置に揺動するので、弁体の蓋部は閉位置において弁座の全周に亘って接触し易い。
これにより、ガス量検出部によるバイパス通路を流れるガスの量の検出が適切に行われるようにするという面で有利であり、ガス漏れ検査の精度の向上の面で有利である。
【0044】
小流量のガスが上流部から下流部に流れる場合、弁体が閉位置から開位置に向けて少しだけ揺動し、ガスが、弁体の蓋部と弁座との間に生じた小さな隙間を通って流れる状態となる。
これにより、ガスの渦流が隙間の外方の領域に発生することが考えられ、弁体の蓋部がガスの渦流により軸芯周りに微揺動(振動)することが考えられるので、弁体の蓋部の振動によるガスの圧力損失が懸念される。
【0045】
本発明によると、弁体は、閉位置での弁体の蓋部の弁座に対する姿勢を維持しながら、閉位置から開位置に向けて揺動するので、弁体の蓋部の全周部と弁座の全周部との間に比較的均一な隙間が生じながら、弁体は閉位置から開位置に向けて揺動する。
これにより、小流量のガスが上流部から下流部に流れる場合、ガスの渦流の発生が抑えられ、弁体の蓋部における軸芯周りの微揺動(振動)が抑えられるので、弁体の蓋部の振動によるガスの圧力損失が抑えられる。
【0046】
本発明において、前記第1リンク及び前記第2リンクが、側面視で、前記蓋部から離れる側に突出するように屈曲されていると好適である。
【0047】
本発明によると、第1リンク及び第2リンクが屈曲していることにより、蓋支持部における第1リンクの接続部分が弁体の蓋部に近い位置に設けられても、弁体が閉位置から開位置に向けて揺動した際に、弁体の蓋部と第1リンクとが干渉することは少ない。
これにより、蓋支持部における第1リンクの接続部分を、弁体の蓋部に近い位置に設けることが可能になり、第1リンク及び第2リンクを弁座に接近して設けることが可能になるので、蓋支持部、第1リンク及び第2リンクのコンパクト化を図ることができる。
【0048】
本発明において、前記蓋支持部と前記第1リンクと前記第2リンクとが、前記ウェイト部であると好適である。
【0049】
本発明によると、蓋支持部、第1リンク及び第2リンクが、弁体の蓋部に対して弁座から離れる側に設けられることにより、ウェイト部としての機能を発揮する。
これにより、蓋支持部、第1リンク及び第2リンクがウェイト部として兼用されることによって、部材の兼用化による構造の簡素化を図ることができる。
【0050】
本発明のガス漏洩監視システムは、前記ガス漏洩監視装置と、前記ガス消費部の各々に設けられ、前記ガス消費部が消費するガスの量を検出する消費ガス量検出部と、前記ガス量検出部の検出値と前記消費ガス量検出部の検出値とを取得し、前記ガス量検出部の検出値と前記消費ガス量検出部の検出値とに基づいて、前記ガス漏洩監視装置と前記消費ガス量検出部との間の経路でのガス漏れを検出する監視部とが備えられている。
【0051】
ガス消費部(住宅や飲食店舗等)でのガスの消費が停止する深夜等にガス漏れ検査が行われる場合、一部のガス消費部でガスが消費されていることがある。
本発明によると、消費ガス量検出部がガス消費部の各々に設けられており、監視部は、消費ガス量検出部の検出値を取得することにより、ガスを消費しているガス消費部が存在しているか否かを認識することができる。
【0052】
本発明によると、ガス漏れ検査では、ガス漏洩監視装置において、弁体が閉位置に操作され、ガス量検出部によりバイパス通路を流れるガスの量が検出されるのであり、監視部はガス量検出部の検出値を取得する。
【0053】
これにより、監視部は、ガスを消費しているガス消費部が存在していない状態で、ガス量検出部の検出値が微小値以下であると、ガス漏洩監視装置と消費ガス量検出部との間の経路に、ガス漏れは発生していないと判断することができる。
監視部は、ガスを消費しているガス消費部が存在していない状態で、ガス量検出部の検出値が微小値よりも大きな値であると、ガス漏洩監視装置と消費ガス量検出部との間の経路に、ガス漏れが発生していると判断することができる。
【0054】
監視部は、ガスを消費しているガス消費部が存在している状態で、ガス量検出部の検出値が消費ガス量検出部の検出値に相当する値であると、ガス漏洩監視装置と消費ガス量検出部との間の経路に、ガス漏れは発生していないと判断することができる。
監視部は、ガスを消費しているガス消費部が存在している状態で、ガス量検出部の検出値が消費ガス量検出部の検出値よりも大きな値であると、ガス漏洩監視装置と消費ガス量検出部との間の経路に、ガス漏れが発生していると判断することができる。
以上のように、ガス漏れ検査が行われる際に、ガスを消費しているガス消費部が存在しているか否かを認識することにより、ガス漏れ検査の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図3】ガス漏洩監視装置における上流部の第2フランジ部の付近の縦断正面図である。
【
図4】
図3におけるIV-IVの方向から視た断面図である。
【
図5】
図3におけるV-Vの方向から視た断面図である。
【
図6】ガス漏洩監視装置における弁体の付近の縦断正面図である。
【
図7】ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図8】ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置と開位置との間に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図9】ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が開位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図10】発明の実施の第1別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図11】発明の実施の第3別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図12】発明の実施の第8別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図13】発明の実施の第8別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置から開位置に向けて揺動した状態を示す縦断側面図である。
【
図14】発明の実施の第9別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図15】発明の実施の第9別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置から開位置に向けて揺動した状態を示す縦断側面図である。
【
図16】発明の実施の第11別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断正面図である。
【
図17】発明の実施の第11別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図18】発明の実施の第13別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断正面図である。
【
図19】発明の実施の第13別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図20】発明の実施の第15別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が閉位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【
図21】発明の実施の第15別形態において、ガス漏洩監視装置における弁体の付近を示し、弁体が開位置に位置した状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1にガス漏洩監視システム1が示され、
図2~
図11にガス漏洩監視装置2が示されており、
図2~
図21において、Uは上方向を示し、Dは下方向を示している。
【0057】
(ガス漏洩監視システムの全体構成)
図1に示すように、多数の住宅3(ガス消費部に相当)が集まる集合住宅4では、ガス基地(図示せず)からの本管5から、第1枝管6が分岐して集合住宅4に接続され、第1枝管6から多数の第2枝管7が分岐して、第2枝管7の各々が住宅3の各々に接続されている。
【0058】
ガス漏洩監視システム1は、ガス漏洩監視装置2と、ガスメータ8(消費ガス量検出部に相当)と、監視部9とを有している。
ガス漏洩監視装置2は、第1枝管6に設けられて、第1枝管6を連通及び遮断可能であり、通常時では連通状態となっている。ガス漏洩監視装置2の連通状態において、本管5からのガスは、ガス漏洩監視装置2及び第1枝管6を通って第2枝管7に流れ、ガスメータ8を通って住宅3に流れる。
【0059】
後述のように、ガス漏洩監視装置2は、第1枝管6を遮断して、第1枝管6が遮断された状態で第1枝管6の上流側(本管5側)から下流側(第2枝管7側)へのガスの量を検出し、ガスの量の検出値を無線で監視部9に送信する。ガスの量の検出値の監視部9への送信は、常時連続して又は所定時間の経過ごとに行われる。
【0060】
ガスメータ8は、第2枝管7の各々に設けられており、住宅3が消費するガスの量を検出するのであり、ガスの量の検出値を監視部9に無線で送信する。ガスの量の検出値の監視部9への送信は、常時連続して又は所定時間の経過ごとに行われる。
【0061】
監視部9は、集合住宅4から離れた監視センター(図示せず)に設けられており、ガス漏洩監視装置2によるガスの量の検出値、及びガスメータ8によるガスの量の検出値を取得する。
【0062】
(ガス漏洩監視装置の全体構成)
図1及び
図2に示すように、ガス漏洩監視装置2は、上流部10と、下流部14と、接続部18(連通部に相当)と、弁座19(連通部に相当)と、バイパス通路25,26,27,28と、ガス量検出センサー29(ガス量検出部に相当)と、可変絞り部30と、弁体32と、ガイド部材40とを有している。
【0063】
上流部10と下流部14とが、接続部18を介して連結されている。弁座19が上流部10に連結されて、接続部18の内部に設けられている。弁体32が接続部18の内部に設けられており、弁座19における接続部18の内部に臨む部分が、弁体32により開操作及び閉操作される。
第1枝管6の上流側(本管5側)の部分が、上流部10に連結され、第1枝管6の下流側(第2枝管7側)の部分が、下流部14に連結される。
【0064】
以上の構成により、ガス漏洩監視装置2において、ガスが供給される上流部10と、ガスが消費される複数のガス消費部(住宅3)に接続される下流部14と、上流部10と下流部14とを接続する連通部(接続部18及び弁座19)とが備えられている。
【0065】
(ガス漏洩監視装置の上流部、下流部及び接続部の構成)
図2に示すように、上流部10は、第1フランジ部11と、第2フランジ部12と、円筒状の中間部13とを有しており、第1フランジ部11と第2フランジ部12とが中間部13を介して連結されている。
図1に示す第1枝管6において、第1枝管6の上流側(本管5側)の部分が、第1フランジ部11に連結される。
【0066】
図2及び
図3に示すように、上流部10において、中間部13(第1フランジ部11)の内部の半径R1に対して、半径R1よりも大きな半径R2を有する開口部12aが、第2フランジ部12に開口されている。中間部13(第1フランジ部11)の内部の中心軸P1に対して、第2フランジ部12の開口部12aの中心軸P2が少し下側に位置するように、中間部13(第1フランジ部11)の内部に対して、第2フランジ部12の開口部12aがオフセットして設けられている。
【0067】
図2に示すように、下流部14は、第1フランジ部15と、第2フランジ部16と、円筒状の中間部17とを有しており、第1フランジ部15と第2フランジ部16とが中間部17を介して連結されている。
図1に示す第1枝管6において、第1枝管6の下流側(第2枝管7側)の部分が、第2フランジ部16に連結される。
【0068】
図2及び
図3に示すように、接続部18は円筒状に構成されており、上流部10の第2フランジ部12と下流部14の第1フランジ部15とに亘って、接続部18が連結されている。
【0069】
図2に示すように、下流部14の内部の半径R3と、上流部10の中間部13(第1フランジ部11)の内部の半径R1とが、同じに設定されている。接続部18の内部の半径R4が、上流部10の半径R1,R2及び下流部14のR3よりも大きなものに設定されている。下流部14の内部の中心軸P3と接続部18の内部の中心軸P4とが同芯状になるように、下流部14と接続部18とが設けられている。
【0070】
(ガス漏洩監視装置の弁座の構成)
図2及び
図7に示すように、弁座19は、本体部20と、フランジ部21と、リング部22とを有している。
【0071】
本体部20は円筒状に構成されており、フランジ部21が本体部20の外周部に連結されている。本体部20が上流部10(第2フランジ部12)の開口部12aに挿入され、フランジ部21が上流部10(第2フランジ部12)に連結されて、弁座19が上流部10に連結されている。
【0072】
リング部22は、弁座19における接続部18の内部に臨む部分に設けられている。リング部22における接続部18の内部に臨む端部が、全周に亘って断面横V字形状(先細り形状)に構成されている。
【0073】
弁座19(本体部20)の内部の半径R5が、上流部10の半径R1,R2(下流部14の半径R3及び接続部18の半径R4)よりも少し小さいものに設定されており、弁座19(本体部20)の中心軸P5と上流部10の中心軸P2とが、同芯状となっている。
【0074】
上流部10、下流部14、接続部18及び弁座19において、上流部10の中心軸P1,P2、下流部14の中心軸P3、接続部18の中心軸P4及び弁座19の中心軸P5が水平となるように、ガス漏洩監視装置2が埋設される。
【0075】
上流部10の中心軸P1と下流部14の中心軸P3と接続部18の中心軸P4とが、同芯状に設けられている。上流部10の中心軸P2及び弁座19の中心軸P5が、上流部10の中心軸P1と下流部14の中心軸P3と接続部18の中心軸P4とに対して、少し下側にオフセットして設けられている。
【0076】
弁座19のリング部22の全周に亘って接する仮想平面(図示せず)は、弁座19の中心軸P5に対して直交している。前述のように、弁座19の中心軸P5が水平となるように、ガス漏洩監視装置2が埋設されることにより、弁座19のリング部22の全周に亘って接する仮想平面は、鉛直方向UD1に沿っている。
【0077】
(ガス漏洩監視装置のバイパス通路、ガス量検出センサー及び可変絞り部の構成)
図3,4,5に示すように、上流部10の下部において、第2フランジ部12の開口部12aの内面と第2フランジ部12の外面とに亘って、バイパス通路25が開口されている。バイパス通路25における第2フランジ部12の外面の部分に、接続プラグ23が取り付けられている。
【0078】
上流部10の上部において、第2フランジ部12の接続部18側の端面12bから上流部10の中心軸P1,P2と平行にバイパス通路26が開口され、バイパス通路26の端部と第2フランジ部12の外面とに亘って、バイパス通路27が開口されている。バイパス通路27における第2フランジ部12の外面の部分に、接続プラグ24が取り付けられている。
【0079】
パイプ状のバイパス通路28が設けられており、バイパス通路28の一方の端部が接続プラグ23に接続され、バイパス通路28の他方の端部が接続プラグ24に接続されている。
図2及び
図6に示すように、支持台31が、上流部10の上部に連結されており、バイパス通路28の途中部分が支持台31に配置されている。
【0080】
図2~
図5に示すように、バイパス通路25は、第2フランジ部12の開口部12aの内面に開口されていることにより、上流部10(弁体32に対して上流側)に連通する。
バイパス通路26は、第2フランジ部12の接続部18側の端面12bに開口されていることにより、接続部18の内部を介して下流部14(弁体32に対して下流側)に連通する。これにより、バイパス通路25~28は、弁座19を迂回して、上流部10と下流部14とに亘って接続される。
【0081】
図1及び
図2に示すように、バイパス通路28を流れるガスの量を検出するガス量検出センサー29が、バイパス通路28の途中部分に接続されて、支持台31に設けられている。可変絞り部30が、バイパス通路28におけるガス量検出センサー29よりも上流側(本管5側)の部分に接続されて、支持台31に設けられている。
【0082】
支持台31が地面の近くに位置するように、ガス漏洩監視装置2が埋設される。開閉可能な検査蓋(図示せず)が、支持台31の上方の地面に設けられるので、検査員は検査蓋を開けることにより、ガス量検出センサー29を目視することができ、可変絞り部30を操作することができる。
【0083】
以上の構成により、ガス漏洩監視装置2において、上流部10と下流部14とに亘って接続されたバイパス通路25~28と、バイパス通路25~28を流れるガスの量を検出するガス量検出部(ガス量検出センサー29)とが備えられている。可変絞り部30がバイパス通路25~28に設けられている。
【0084】
(ガス漏洩監視装置の弁体の構成)
図6及び
図7に示すように、弁体32は、蓋部33と、シール部34と、支持アーム35と、ウェイト部36とを有している。
【0085】
支持アーム35は、棒状の第1部分35aと、第1部分35aに対して直角に第1部分35aの上部に連結された一対の第2部分35bと、第1部分35aの上部に設けられた一対の支点部分35cとを有している。
【0086】
蓋部33は、平板状で四角形状に構成されており、支持アーム35の第1部分35aに連結されている。シール部34は、オイルシールゴム等により構成され、平板状で四角形状に構成されており、蓋部33に接着されている。ウェイト部36が、支持アーム35の第2部分35bに連結されており、支持アーム35の支点部分35cの近傍に位置している。
【0087】
支持部材37が、上流部10の第2フランジ部12の端面12bの上部(弁座19の上方の部分)に連結されている。一対の支持部材38が支持部材37に連結されており、軸部材39が、一対の支持部材38に亘って連結されている。
【0088】
支持アーム35の支点部分35cが、軸部材39に揺動可能に取り付けられており、弁体32(蓋部33及びシール部34)は、閉位置A1と開位置A2(
図9参照)とに亘って、軸部材39の軸芯P11周りに揺動可能に支持されている。
【0089】
軸部材39が水平となるように、ガス漏洩監視装置2が埋設されるので、軸部材39(軸芯P11)は、弁座19の上方に位置に水平方向に沿って支持される。軸部材39(軸芯P11)は、上流部10の中心軸P1,P2、下流部14の中心軸P3、接続部18の中心軸P4及び弁座19の中心軸P5に対して直交する方向に沿って支持される。
【0090】
弁体32及び軸部材39(軸芯P11)は、支持部材37,38及び上流部10の第2フランジ部12を介して、弁座19の上部に支持されており、接続部18の内部に設けられている。
【0091】
弁体32は、弁座19に接近する側に揺動することにより、閉位置A1に達するのであり、蓋部33の重量及びウェイト部36の重量に加えて、シール部34の重量及び支持アーム35の重量により、閉位置A1に向けて揺動する。
【0092】
閉位置A1において、弁体32の蓋部33及びシール部34が、弁座19のリング部22の全周に亘って接触することにより、弁座19が弁体32により閉じられて、上流部10と下流部14とが遮断される。
【0093】
弁体32の蓋部33及びシール部34が弁座19のリング部22から離れる側に揺動することにより、弁座19が開かれるのであり、弁体32の蓋部33及びシール部34は、
図9に示す開位置A2にまで揺動可能である。弁体32により弁座19が開かれることによって、上流部10と下流部14とが連通する。
【0094】
以上の構成により、ガス漏洩監視装置2において、連通部(接続部18及び弁座19)に設けられた弁座19を開閉可能な弁体32が備えられている。
弁体32は、弁座19の上方に位置して水平方向に沿った軸芯P11周りに揺動可能に支持され、弁座19に接近する側に揺動して弁座19に接触することにより弁座19を閉じて、上流部10と下流部14とを遮断する閉位置A1、及び、弁座19から離れる側に揺動することにより弁座19を開いて、上流部10と下流部14とを連通させる開位置A2に亘って揺動可能な蓋部33と、蓋部33における軸芯P11の近傍部分に取り付けられ、弁座19から離れる側に向けて突出したウェイト部36とを有している。
弁体32は、蓋部33の重量及びウェイト部36の重量により、閉位置A1に向けて揺動する。
【0095】
(ガス漏洩監視装置のガイド部材の構成)
図2,6,7に示すように、ガイド部材40が、上流部10の第2フランジ部12の端面12bに連結されて、接続部18の内部に設けられている。
【0096】
ガイド部材40は、平板状で水平方向に沿った上面部40aと、上面部40aの両側の端部から下方に延出された一対の側面部40bとを有して、チャンネル状に構成されており、ガイド部材40の下部は開放されている。
【0097】
弁体32及び弁座19がガイド部材40の一対の側面部40bの間に設けられている。
弁体32のウェイト部36が入り込む切り欠き部40cが、ガイド部材40の上面部40aに設けられており、弁体32が閉位置A1と開位置A2とに亘って揺動する際に、弁体32(ウェイト部36)がガイド部材40に接触することはない。
【0098】
図9に示すように、弁体32が上方に向けて揺動した場合、弁体32の支持アーム35の第1部分35aがガイド部材40の上面部40aに当たって止まる位置が、開位置A2のうちの最上位の開位置A2(全開位置)であり、弁体32はこれ以上に上方に揺動することができない。
【0099】
(ガス漏洩監視装置の弁体の重心)
図7に示すように、弁体32において、蓋部33及びシール部34、支持アーム35の第1部分35aの重心G1は、側面視で
図7に示す位置に在る。
【0100】
重心G1について、支持アーム35の第1部分35aの上部が、支持アーム35の第1部分35aの下部よりも大きく、且つ、支持アーム35の第1部分35aが蓋部33の下端部に達していないことにより、重心G1は支持アーム35の第1部分35aの上部(軸芯P11に近い部分)に在る。
【0101】
弁体32において、ウェイト部36及び支持アーム35の第2部分35bの重心G2は側面視で
図7に示す位置にある。
重心G2について、ウェイト部36及び支持アーム35の第2部分35bが弁座19から離れる側に向けて突出していることにより、重心G2は軸芯P11を通る仮想の鉛直線UD2に対して、弁座19に対して離れる側に在る。
【0102】
重心G2について、ウェイト部36及び支持アーム35の第2部分35bが蓋部33における軸芯P11の近傍部分に取り付けられていること、及び、ウェイト部36が支持アーム35の第2部分35bから上方に出ていることにより、重心G2は、弁体32が閉位置A1に位置した状態で、軸芯P11を通る仮想の水平線H1よりも上側に在る。
図9に示すように、重心G2は、弁体32が開位置A2に位置した状態で、鉛直線UD2に対して弁座19の側に在る。
【0103】
図7に示すように、重心G1,G2の位置により、弁体32の重心G3は、弁体32(蓋部33)から弁座19に対して離れる側に位置しており、弁体32の上部(軸芯P11に近い位置)に位置している。
【0104】
これにより、弁体32が閉位置A1に位置した状態で、弁体32の重心G3は鉛直線UD2に対して弁座19から離れる側に位置している(
図7参照)。弁体32が開位置A2に位置した状態で、弁体32の重心G3は鉛直線UD2に対して弁座19から離れる側に位置している(
図9参照)。
【0105】
弁体32の重心G3と軸芯P11との水平方向で軸芯P11と直交する方向での間隔であるモーメントアームMAとにより、下方(
図7,8,9の反時計方向)に向くモーメントが発生するのであり、この下方に向くモーメントが弁体32を閉位置A1に操作するモーメントとなる。弁体32を閉位置A1に操作するモーメントにより、弁体32が開位置A2(
図9参照)から閉位置A1(
図7参照)に向けて操作される。
【0106】
(ガス漏洩監視装置の弁体が閉位置に操作される状態)
図1に示すように、集合住宅4の全ての住宅3においてガスの消費が停止されて、第1枝管6でのガスの流れが停止すると、ガス漏洩監視装置2において、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントにより、弁体32が閉位置A1に操作されるのであり、弁体32により弁座19が閉じられる。
【0107】
弁体32が開位置A2(
図9参照)から閉位置A1(
図7参照)に向けて操作される場合、弁体32が、軸部材39、支持部材37,38及び上流部10の第2フランジ部12を介して、弁座19に接続されていることにより、弁体32は姿勢を乱すことなく揺動して閉位置A1に案内される。これにより、弁体32の蓋部33及びシール部34は、閉位置A1において弁座19のリング部22の全周に亘って接触し易い。
【0108】
図2及び
図7に示すように、弁体32が閉位置A1に位置した状態で、弁体32の蓋部33及びシール部34は、弁座19のリング部22の全周に亘って接して鉛直方向UD1に沿った姿勢となり、弁体32により弁座19が閉じられる。
【0109】
弁体32が閉位置A1に操作されても、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントは消失しないので、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントにより、弁体32の蓋部33及びシール部34が、弁座19のリング部22の全周に亘って押圧される。
【0110】
これにより、閉位置A1において、弁体32の蓋部33及びシール部34が弁座19のリング部22の全周に亘って接触し易いこと、及び、弁体32の蓋部33及びシール部34が弁座19のリング部22の全周に亘って押圧されることによって、弁体32により弁座19が閉じられた状態での気密性が高められる。
【0111】
弁体32の重心G3が鉛直線UD2に位置するまでは、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントは消失しない。これにより、ガス漏洩監視装置2の埋設工事の際に、ガス漏洩監視装置2の水平が確保されていなかった場合や、ガス漏洩監視装置2の埋設後の地盤沈下等により、ガス漏洩監視装置2が水平から傾斜した場合等においても、弁体32は閉位置A1に操作される。
【0112】
以上の構成により、ガス漏洩監視装置2において、蓋部33が閉位置A1に位置した状態で、弁体32の重心G3が、軸芯P11を通る仮想の鉛直線UD2に対して弁座19から離れる側に位置している。
蓋部33が閉位置A1に位置した状態で、蓋部33が鉛直方向UD1に沿った姿勢となる。
蓋部33が閉位置A1に位置した状態で、ウェイト部36の重心G2が軸芯P11の位置よりも上側に位置している。
蓋部33が閉位置A1に位置した状態で、弁体32の重心G3が、軸芯P11を通る仮想の鉛直線UD2に対して弁座19から離れる側に位置している。
蓋部33が開位置A2に位置した状態で、弁体32の重心G3が、軸芯P11を通る仮想の鉛直線UD2に対して弁座19から離れる側に位置している。
【0113】
(ガス漏洩監視装置の弁体が閉位置から開位置に操作される前半の状態)
集合住宅4の住宅3においてガスの消費が開始されて、ガスが第1枝管6を流れ始めると、
図7から
図8に示すように、ガス漏洩監視装置2において、弁体32は、ガスにより
図7及び
図8の左方に押し操作され、閉位置A1から開位置A2に向けて操作される。
【0114】
図8に示すように、弁体32が閉位置A1から開位置A2に向けて操作される途中において、弁体32の蓋部33及びシール部34が斜め下向きの姿勢となる。
これにより、多くのガスは、弁座19から弁体32の蓋部33及びシール部34に沿って案内されて斜め下向きの略一方向に流れ易くなるのであり、接続部18の下部とガイド部材40の上面部40a及び側面部40bとの間を流れて、あまり分かれることなく、向きを大きく変えることなく、下流部14に流れる。
【0115】
ガスにより弁体32が開位置A2に向けて操作される過程において、
図7から
図8に示すように、ガスにより弁体32が閉位置A1から操作され始めた前半では、弁体32の重心G3は軸芯P11から離れていくので、モーメントアームMAが長くなっていき、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントが次第に大きくなる。
【0116】
これにより、ガスにより弁体32が開位置A2に向けて操作され始めた前半において、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントが次第に大きくなることにより、弁体32が上下に振動するような状態が抑えられる。弁体32の重心G3が軸芯P11を通る仮想の水平線H1に位置すると、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントが最大値となる。
【0117】
本発明によると、弁体32が閉位置A1から開位置A2(全開位置)に向けて揺動する場合、ガスが上流部10から閉位置A1の弁体32を開位置A2に向けて押していく途中で、弁体32の蓋部33は斜め下向きの姿勢となる。
これにより、多くのガスは、弁座19から弁体32の蓋部33に沿って案内されて斜め下向きの略一方向に流れ易くなり、あまり分かれることなく、向きを大きく変えることなく、弁体32を通過して下流部14に流れる。弁体32が開位置A2に移動すると、弁体32は弁座19から上方に離れるので、開位置A2の弁体32がガスの流れに干渉することは少ない。
【0118】
(ガス漏洩監視装置の弁体が閉位置から開位置に操作される後半の状態)
図8から
図9に示すように、弁体32の重心G3が軸芯P11を通る仮想の水平線H1に位置した状態から、ガスにより弁体32が開位置A2に向けて操作されると、弁体32の重心G3は軸芯P11に接近していくので、モーメントアームMAが短くなっていき、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントが最大値から次第に小さくなる。
【0119】
これにより、ガスにより弁体32が開位置A2に向けて操作される後半において、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントが次第に小さくなることによって、ガスにより弁体32が無理なく開位置A2に操作されるのであり、弁体32が開位置A2に無理なく維持される。
【0120】
図9に示すように、弁体32が開位置A2に維持されると、多くのガスは、弁座19から弁体32の蓋部33及びシール部34に対して下側を流れ、接続部18の下部とガイド部材40の上面部40a及び側面部40bとの間を流れ、あまり分かれることなく、向きを大きく変えることなく、下流部14に流れる。弁体32が開位置A2に維持されると、弁体32は弁座19から上方に離れるので、開位置A2の弁体32がガスの流れに干渉することは少ない。
【0121】
以上の構成により、ガス漏洩監視装置2において、弁体32が開位置A2に操作された状態で、上流部10でのガスの流れ方向と、下流部14でのガスの流れ方向と、連通部(接続部18及び弁座19)でのガスの流れ方向とが沿うように、上流部10及び下流部14、連通部(接続部18及び弁座19)が設けられている。
【0122】
本発明によると、ウェイト部36が弁座19から離れる側に向けて突出していることにより、弁体32の重心G3は弁体32から弁座19に対して離れる側に位置している。ウェイト部36が蓋部33における軸芯P11の近傍部分に取り付けられていることによって、弁体32の重心G3は弁体32の上部(軸芯P11に近い位置)に位置している。
【0123】
これによって、弁体32が閉位置A1から開位置A2(全開位置)に向けて揺動する場合、ガスが閉位置A1の弁体32を開位置A2に向けて操作する過程において、弁体32が開位置A2に近くなる後半で、弁体32の重心G3が軸芯P11に接近していくので、開位置A2付近では、モーメントアームMAが短くなり、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントが小さくなる。
上流部10から連通部(接続部18)及び下流部14に流れるガスにより弁体32が開位置A2に維持される場合、開位置A2付近では弁体32を閉位置A1に操作するモーメントが小さくなることによって、弁体32を開位置A2に維持する為に生じるガスの圧力損失を抑えることができる。
【0124】
以上のように、弁体32が閉位置A1から開位置A2(全開位置)に向けて揺動する場合、多くのガスが、あまり分かれることなく、向きを大きく変えることなく、弁体32を通過して下流部14に流れる点、開位置A2の弁体32がガスの流れに干渉することが少ない点、弁体32を開位置A2に維持する為に生じるガスの圧力損失を抑えることができる点により、ガス漏洩監視装置2のガスの圧力損失を小さくすることができる。特に大流量のガスが流れる場合に、ガスの圧力損失を小さくすることができる。
【0125】
(ガス漏洩監視システムによるガス漏れ検査)(その1)
図1に示すように、集合住宅4の第1枝管6及び第2枝管7において、ガス漏洩監視装置2とガスメータ8との間の経路のガス漏れ検査は、ガス漏洩監視システム1により、以下の説明のように行われる。
【0126】
深夜等において住宅3でのガスの消費が停止すると、第1枝管6(ガス漏洩監視装置2)において、ガスの流れが停止する。又は微小量のガスの流れが生じる。
このような状態になると、前述の説明及び
図9から
図8及び
図7に示すように、ガス漏洩監視装置2において、弁体32が閉位置A1に操作される。
【0127】
図1に示すように、ガス漏洩監視装置2において、弁体32が閉位置A1に操作された場合、第1枝管6(ガス漏洩監視装置2)に微小量のガスの流れが生じていると、ガス漏洩監視装置2において、弁体32が閉位置A1に位置した状態で、上流部10の微小量のガスが、バイパス通路25及び接続プラグ23(
図4参照)、バイパス通路28、接続プラグ24及びバイパス通路26,27(
図5参照)を通って、接続部18の内部に流れ、下流部14に流れる。
【0128】
前述のように、ガス量検出センサー29によりバイパス通路28を流れるガスの量が検出されており、ガス量検出センサー29の検出値が監視部9に無線で送信されている。これと同時に、ガスメータ8により住宅3に流れるガスの量(消費されるガスの量)が検出されており、ガスメータ8の検出値が監視部9に無線で送信されている。
【0129】
この場合、検査員は、地面の検査蓋を開けることにより、ガス量検出センサー29を目視することができ、可変絞り部30を操作して可変絞り部30の開度を適切な状態に設定することができる。
【0130】
ガスメータ8の検出値に基づいて、全ての住宅3においてガスの消費が停止しているのか、又は、ガスを消費している住宅3が存在しているのかが、監視部9において認識される。
【0131】
(ガス漏洩監視システムによるガス漏れ検査)(その2)
図1に示すように、ガスを消費している住宅3が存在していない状態で、ガス量検出センサー29の検出値が微小値(例えば、3L/h)以下であると、ガス漏洩監視装置2とガスメータ8との間の経路にガス漏れは発生していない状態であると、監視部9において判断される。
【0132】
ガスを消費している住宅3が存在していない状態で、ガス量検出センサー29の検出値が微小値よりも大きな値であると、ガス漏洩監視装置2とガスメータ8との間の経路にガス漏れが発生している状態であると、監視部9において判断される。
【0133】
ガスを消費している住宅3が存在している状態で、ガス量検出センサー29の検出値がガスメータ8の検出値(複数の住宅3がガスを消費している場合、ガスメータ8の検出値に合計値)に相当する値であると、ガス漏洩監視装置2とガスメータ8との間の経路にガス漏れは発生していない状態であると、監視部9において判断される。
【0134】
ガスを消費している住宅3が存在している状態で、ガス量検出センサー29の検出値がガスメータ8の検出値(複数の住宅3がガスを消費している場合、ガスメータ8の検出値に合計値)よりも大きな値であると、ガス漏洩監視装置2とガスメータ8との間の経路にガス漏れが発生している状態であると、監視部9において判断される。
【0135】
監視部9によりガス漏洩監視装置2とガスメータ8との間の経路にガス漏れが発生している状態であると判断されると、監視部9は、第1枝管6に設けられた遮断弁(図示せず)を遠隔操作によって閉操作する。
【0136】
以上の構成により、ガス漏洩監視システム1において、ガス漏洩監視装置2と、ガス消費部(住宅3)の各々に設けられ、ガス消費部(住宅3)が消費するガスの量を検出する消費ガス量検出部(ガスメータ8)と、ガス量検出部(ガス量検出センサー29)の検出値と消費ガス量検出部(ガスメータ8)の検出値とを取得し、ガス量検出部(ガス量検出センサー29)の検出値と消費ガス量検出部(ガスメータ8)の検出値とに基づいて、ガス漏洩監視装置2と消費ガス量検出部(ガスメータ8)との間の経路でのガス漏れを検出する監視部9とが備えられている。
【0137】
(発明の実施の第1別形態)
図10に示すように、ガス漏洩監視装置2の弁座19において、リング部22が本体部20から斜め上方に向けて延出されるように構成してもよい。
図10に示す構成によると、弁体32が閉位置A1に位置した状態で、弁体32の蓋部33及びシール部34は鉛直方向UD1に対して斜めの姿勢となる。
【0138】
図10に示す構成によると、弁体32が閉位置A1に位置した状態において、弁体332の重心G3が、軸芯P11を通る仮想の水平線H1に接近する。又は、弁体332の重心G3が、水平線H1に位置したり、水平線H1よりも上側に位置する。
【0139】
これにより、ガスが閉位置A1の弁体32を開位置A2に向けて操作する過程の前半において、弁体32の重心G3は軸芯P11から離れてモーメントアームMAが長くなる状態が少なくなり(又は消失し)、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントが次第に大きくなる状態が少なくなる(又は消失する)。
【0140】
(発明の実施の第2別形態)
図2~
図9に示すガス漏洩監視装置2において、軸部材39が水平となるようにガス漏洩監視装置2を埋設するのではなく、下流部14が上流部10に対して高位置となるように、ガス漏洩監視装置2を埋設してもよい。
【0141】
前述の構成によると、
図2~
図9に示すガス漏洩監視装置2において、
図7に示すように、弁体32が閉位置A1に位置した状態で、弁体32の蓋部33及びシール部34を鉛直方向UD1に対して斜めの姿勢となるようにすることができる。
【0142】
(発明の実施の第3別形態)
図11に示すように、ガス漏洩監視装置2の弁体32及び弁座19において、弁体32の蓋部33に取り付けられるシール部34を廃止し、リング状のシール部34を弁座19のリング部22に被覆するように取り付けてもよい。
【0143】
(発明の実施の第4別形態)
ガス漏洩監視装置2において、上流部10の中心軸P1,P2と、下流部14の中心軸P3と、接続部18の中心軸P4と、弁座19の中心軸P5とが同芯状となるように、構成してもよい。
【0144】
(発明の実施の第5別形態)
ガス漏洩監視装置2の弁体32において、支持部材37,38を弁座19の上部に連結することにより、弁体32及び軸部材39が弁座19の上部に直接に支持されるように構成してもよい。支持アーム35を廃止して、ウェイト部36を蓋部33に直接に連結してもよい。
【0145】
(発明の実施の第6別形態)
ガス漏洩監視装置2において、バイパス通路26,27(
図5参照)を廃止して、接続プラグ24を下流部14に取り付けてもよい。
この構成によると、バイパス通路28が接続プラグ23,24に接続されることによって、バイパス通路28が接続部18を介さずに上流部10と下流部14とに亘って接続される。
【0146】
(発明の実施の第7別形態)
ガス漏洩監視装置2において、バイパス通路25(
図4参照)が弁座19の本体部20の内部に開口されるように構成してもよい。
この構成によると、バイパス通路28が接続プラグ23に接続されることによって、バイパス通路28が弁座19(本体部20)を介して上流部10に接続される。
【0147】
(発明の実施の第8別形態)
図12及び
図13に示すように、環状の内近接部41が、弁体32の蓋部33における弁座19側の部分に設けられてもよい。
【0148】
内近接部41は、円板部41aと、円板部41aの外周部に設けられた円環状のリング部41bとを有しており、リング部41bの外周部の半径R7は、弁座19(本体部20)の内部の半径R5よりも、僅かに小径に設定されている。
【0149】
内近接部41の円板部41aが、ボルト42により、弁体32の支持アーム35(第1部分35a)に取り付けられており、内近接部41のリング部41bが、弁体32の蓋部33から弁座19のリング部22に向けて突出している。シール部34は、蓋部33と内近接部41との間に挟まれている。
【0150】
図12に示す状態は、弁体32(蓋部33)が閉位置A1に位置した状態であり、内近接部41のリング部41bが弁座19のリング部22の内部に入り込んだ状態である。
図12に示す状態において、内近接部41のリング部41bの外周部が、弁座19のリング部22の内周部に近接しており、内近接部41のリング部41bの外周部と弁座19のリング部22の内周部との間に、リング状の隙間43が形成されている。
【0151】
図12から
図13に示すように、小流量のガスが上流部10から下流部14に流れて、弁体32(蓋部33)が閉位置A1から開位置A2に向けて少しだけ揺動した場合、内近接部41のリング部41bは弁座19のリング部22の内周部に近接して、隙間43は維持されている。ガスは、上流部10から隙間43を通って下流部14に流れるのであり、隙間43を通ることによる絞り作用を受けながら流れる。
【0152】
これにより、小流量のガスが上流部10から下流部14に流れる場合において、ガスの渦流の発生が抑えられ、弁体32の蓋部33における軸芯P11周りの微揺動(振動)が抑えられる。
【0153】
上流部10から下流部14に流れるガスの流量が大きくなり、
図12から
図13に示すように、弁体32が開位置A2に向けてさらに揺動すると、内近接部41のリング部41bが弁座19のリング部22から離れて、隙間43は消失する。
【0154】
この場合、内近接部41のリング部41bの外周部の半径R7が弁座19(本体部20)の内部の半径R5よりも小径であることにより(隙間43が存在することにより)、内近接部41のリング部41bが弁座19のリング部22に接触することなく、弁体32(蓋部33)は開位置A2に向けて円滑に揺動する。
【0155】
前述と同様に、弁体32(蓋部33)が開位置A2から閉位置A1に揺動する際、内近接部41のリング部41bは、弁座19のリング部22に接触することなく、弁座19のリング部22の内部に入り込み、弁体32(蓋部33)が閉位置A1に達する。
【0156】
(発明の実施の第9別形態)
図14及び
図15に示すように、環状の外近接部44が、弁体32の蓋部33における弁座19側の部分に設けられてもよい。
【0157】
外近接部44は、円環状(リング状)に構成されており、弁体32の蓋部33から弁座19のリング部22に向けて突出している。外近接部44の内周部の半径R8は、弁座19(本体部20)の外部の半径R6よりも、僅かに大径に設定されている。
【0158】
図14に示す状態は、弁体32(蓋部33)が閉位置A1に位置した状態であり、外近接部44の内部に弁座19のリング部22が入り込んだ状態である。
図14に示す状態において、外近接部44の内周部が、弁座19のリング部22の外周部に近接しており、外近接部44の内周部と弁座19のリング部22の外周部との間に、リング状の隙間45が形成されている。
【0159】
弁体32(蓋部33)が閉位置A1から開位置A2に揺動する場合、及び、弁体32(蓋部33)が開位置A2から閉位置A1に揺動する場合、前述の(発明の実施の第8別形態)及び
図12,13に記載の状態と同じ状態が生じる。
【0160】
(発明の実施の第10別形態)
内近接部41及び外近接部44の両方が、弁体32に設けられてもよい。
複数個所の切り欠き部分が内近接部41のリング部41bに形成されて、弁座19のリング部22の内周部に近接しない部分が、内近接部41のリング部41bに設けられてもよい。
複数個所の切り欠き部分が外近接部44に形成されて、弁座19のリング部22の外周部に近接しない部分が、外近接部44に設けられてもよい。
【0161】
以上の構成により、蓋部33が閉位置A1に位置した状態で弁座19の内周部に近接する環状の内近接部41と、蓋部33が閉位置A1に位置した状態で弁座19の外周部に近接する環状の外近接部44とのうちの少なくとも一方が、蓋部33における弁座19側の部分に設けられている。
【0162】
(発明の実施の第11別形態)
図16及び
図17に示すように、ブレーキ機構46が弁体32(蓋部33)に対して設けられてもよい。
ブレーキ機構46は、磁性体47と、第1磁極48と、第2磁極49と、磁石50(ネオジウムマグネット)とを有している。
【0163】
第1磁極48が、弁座19に取り付けられている。磁石50が第1磁極48と第2磁極49との間に挟まれるようにして、第2磁極49と磁石50とが第1磁極48に取り付けられている。第1磁極48と第2磁極49とは、軸芯P11に沿って並ぶように設けられている。磁石50が第1磁極48と第2磁極49との間に挟まれることにより、第1磁極48と第2磁極49とは磁力を有している。
この場合、第1磁極48及び第2磁極49、磁石50は、接続部18に取り付けられてもよい。
【0164】
磁性体47は、円板状に構成されており、蓋部33の上部の端部に連結された取付部51に取り付けられている。磁性体47の中心が側面視で軸部材39(軸芯P11)の位置に位置しており、弁体32(蓋部33)と磁性体47とが一体で軸芯P11周りに揺動する。
【0165】
磁性体47は、第1磁極48と第2磁極49との間に配置されており、第1磁極48と第2磁極49とに接触していない。弁体32(蓋部33)が軸芯P11周りに揺動することにより、磁性体47は、第1磁極48と第2磁極49との間で揺動する。
【0166】
弁体32(蓋部33)が軸芯P11周りに微揺動(振動)すると、磁性体47が第1磁極48及び第2磁極49の間で軸芯P11周りに微揺動(振動)するので、磁性体47に渦電流が発生する。磁性体47に渦電流が発生すると、弁体32(蓋部33)における軸芯P11周りの微揺動(振動)を抑える力が発生するので、この力によって弁体32(蓋部33)における軸芯P11周りの微揺動(振動)が抑えられる。
【0167】
(発明の実施の第12別形態)
前述の(発明の実施の第11別形態)及び
図16,17に示すブレーキ機構46に代えて、磁性体47に接触する摩擦体(図示せず)が設けられた摩擦式のブレーキ機構46が設けられてもよい。
【0168】
摩擦式のブレーキ機構46では、磁性体47に代えて、合成樹脂製の円板が使用されてもよい。
摩擦式のブレーキ機構46では、円板板に代えて、半円状又は1/4円状等の被接触部材(図示せず)と摩擦体(図示せず)とが設けられてもよい。これにより、弁体32(蓋部33)が閉位置A1の付近に位置していると、被接触部材が摩擦体に接触し、弁体32(蓋部33)が閉位置A1の付近に位置から開位置A2側に揺動すると、被接触部材が摩擦体から離れて摩擦力が発生しないように構成されるとよい。
【0169】
以上の構成により、蓋部33における軸芯P11周りの微揺動に対して抵抗を与えるブレーキ機構46が備えられている。
ブレーキ機構46は、軸芯P11周りに蓋部33と一体で揺動可能な磁性体47と、軸芯P11に沿った方向で磁性体47から所定の間隔だけ一方に離れた第1磁極48と、軸芯P11に沿った方向で磁性体47から所定の間隔だけ他方に離れた第2磁極49とを有している。
【0170】
(発明の実施の第13別形態)
図18及び
図19に示すように、防振体52が弁体32(蓋部33)に設けられてもよい。防振体52は、取付部53と、防振ゴム54とを有している。
【0171】
取付部53は、支持アーム35の第1部分35aにおける中心軸P2,P5の位置に取り付けられており、支持アーム35の第1部分35aに対して弁座19から離れる側に突出している。
【0172】
防振ゴム54は、平板状に構成され、蓋部33とほぼ同じ大きさの四角形状に構成されており、防振ゴム54の中心部が取付部53に取り付けられている。防振ゴム54は、蓋部33に対して弁座19から所定の間隔だけ離れており、取付部53から上下及び左右方向に片持ち状に延出されている。
【0173】
弁体32(蓋部33)が軸芯P11周りに微揺動(振動)すると、防振ゴム54も振動する。この場合、防振ゴム54が弁体32(蓋部33)と異なる材質である点、及び、防振ゴム54が蓋部33から離れている点により、弁体32(蓋部33)と防振ゴム54とは互いに異なる振動数で振動し易く、防振ゴム54は弁体32(蓋部33)の軸芯P11周りの微揺動(振動)に対して逆位相で振動し易い。
これにより、弁体32(蓋部33)の振動と防振ゴム54の振動とが互いに相殺する状態となって、弁体32(蓋部33)における軸芯P11周りの微揺動(振動)が抑えられる。
【0174】
(発明の実施の第14別形態)
前述の(発明の実施の第13別形態)及び
図18,19に示す取付部53及び防振ゴム54を有する防振体52に代えて、支持アーム35の支点部分35cに取り付けられたアーム(図示せず)と、アームに取り付けられたウェイト(図示せず)とを有する防振体52が設けられてもよい。
【0175】
この構成によると、弁体32(蓋部33)が軸芯P11周りに微揺動(振動)した場合に、アームが振動することにより、ウェイトが逆位相で振動して、弁体32(蓋部33)における軸芯P11周りの微揺動(振動)が抑えられる。
【0176】
以上の構成により、蓋部33における軸芯P11周りの微揺動に対して逆位相で振動可能に蓋部33に取り付けられた防振体52が備えられている。
防振体52は、蓋部33に取り付けられた取付部53と、蓋部33から所定の間隔だけ離れるように取付部53に取り付けられた防振ゴム54とを有している。
【0177】
(発明の実施の第15別形態)
図2~
図9に示す支持アーム35、ウェイト部36,支持部材38及び軸部材39等が廃止されて、以下に説明する構造により弁体32が支持されるように構成されてもよい。
【0178】
図20及び
図21に示すように、蓋支持部56が、弁体32の蓋部33における中心軸P2,P5の位置に取り付けられて、弁座19から離れる側に延出されている。前述の(発明の実施の第8別形態)及び
図12,13に示す内近接部41が、弁体32の蓋部33に取り付けられている。
【0179】
一対の支持部材55が、支持部材37に連結されて、弁座19から離れる側に延出されている。支持部材55において、軸芯P11が設定され、軸芯P11に対して弁座19から離れる側の部分に、軸芯P11と平行な軸芯P12(上部軸芯に相当)が設定されている。
【0180】
第1リンク57及び第2リンク58が設けられており、第1リンク57の上部が軸芯P11周りに揺動可能に、一対の支持部材55の間に取り付けられている。第1リンク57の下部が、軸芯P11と平行な軸芯P13周りに揺動可能に蓋支持部56に取り付けられている。
【0181】
第2リンク58の上部が軸芯P12周りに揺動可能に、一対の支持部材55の間に取り付けられており、第2リンク58の下部が、軸芯P12と平行な軸芯P14周りに揺動可能に、蓋支持部56に取り付けられている。
【0182】
第1リンク57の上下中間部57a及び第2リンク58の上下中間部58aが、側面視で弁体32の蓋部33から離れる側に突出するように、第1リンク57及び第2リンク58が屈曲している。
【0183】
蓋支持部56、第1リンク57及び第2リンク58を含んだ場合の弁体32の重心G3(
図7参照)は、側面視で、第1リンク57の下部(上下中間部57aと軸芯P13との間)の付近と考えられる。これにより、蓋支持部56、第1リンク57及び第2リンク58は、ウェイト部36(
図7参照)としての機能を発揮すると考えられる。
【0184】
以上の構成により、前記蓋部33に取り付けられ、弁座19から離れる側に延出された蓋支持部56が備えられている。軸芯P11周りに揺動可能に取り付けられ、蓋支持部56に揺動可能に取り付けられた第1リンク57が備えられている。
軸芯P11に対して弁座19から離れる側に位置し、軸芯P11と平行な上部軸芯(軸芯P12)が備えられている。上部軸芯(軸芯P12)周りに揺動可能に取り付けられ、蓋支持部56における第1リンク57が取り付けられた部分よりも弁座19から離れる側の部分に、揺動可能に取り付けられた第2リンク58が備えられている。
【0185】
第1リンク57及び第2リンク58が、側面視で、蓋部33から離れる側に突出するように屈曲されている。蓋支持部56と第1リンク57と第2リンク58とが、ウェイト部である。
【0186】
(発明の実施の第15別形態における弁体の作動状態)
図20に示す状態は、弁体32(蓋部33)が閉位置A1に位置した状態である。この状態において、重心G3(
図7参照)は、軸芯P11の下方に位置していると考えられるので、モーメントアームMA(
図7参照)は小さく、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントは小さいと考えられる。
【0187】
第1リンク57及び第2リンク58が、軸芯P11,P12周りに揺動して
図20に示す位置から時計方向に揺動することにより、弁体32(蓋部33)が閉位置A1から開位置A2に向けて操作される。閉位置A1での弁体32の蓋部33の弁座19に対する姿勢(
図20参照)が維持されながら(弁体32の蓋部33と弁座19のリング部22とが、側面視で平行な状態に維持されながら)、弁体32(蓋部33)は閉位置A1から開位置A2に向けて操作される。
【0188】
第1リンク57及び第2リンク58が、軸芯P11,P12周りに揺動して
図20に示す位置から時計方向に揺動することにより、弁体32(蓋部33)が閉位置A1から開位置A2に向けて少しだけ移動した場合、内近接部41のリング部41bが、弁座19のリング部22の内周部の全周に亘りほぼ均等に近接して、隙間43(
図12参照)が維持される。
【0189】
図21に示す状態は、弁体32(蓋部33)が開位置A2に位置した状態である。前述のように、第1リンク57及び第2リンク58が屈曲していることにより、弁体32(蓋部33)が開位置A2に位置しても、第1リンク57が蓋部33に干渉することはなく、第2リンク58が第1リンク57に干渉することはない。
【0190】
これにより、蓋支持部56における第1リンク57の接続部分(軸芯P13)を、弁体32の蓋部33に近い位置に設けることが可能になり、第1リンク57及び第2リンク58を弁座19に接近して設けることが可能になる。
【0191】
弁体32(蓋部33)が閉位置A1から開位置A2に向けて操作されることに伴って、モーメントアームMA(
図7参照)が次第に大きくなり、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントが次第に大きくなると考えられる。弁体32(蓋部33)が開位置A2に位置すると、モーメントアームMAは最大となり、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントは最大となる。
【0192】
第1リンク57及び第2リンク58が、
図21に示す位置から反時計方向に揺動することによって、弁体32(蓋部33)が開位置A2から閉位置A1に向けて操作されるのであり、閉位置A1での弁体32の蓋部33の弁座19に対する姿勢(
図20参照)が維持されながら、弁体32(蓋部33)は閉位置A1に操作される。
【0193】
(発明の実施の第16別形態)
前述の(発明の実施の第15別形態)及び
図20,21において、内近接部41が廃止され、前述の(発明の実施の第9別形態)及び
図14,15に示す外近接部44が、弁体32の蓋部33に設けられてもよい。
前述の(発明の実施の第15別形態)及び
図20,21において、内近接部41及び外近接部44の両方が、弁体32の蓋部33に設けられてもよい。
【0194】
(発明の実施の第17別形態)
前述の(発明の実施の第15別形態)及び
図20,21において、アーム(図示せず)が、第1リンク57(第2リンク58)の上端部から支持部材37に接近する側に延出され、アームの先端部にバランスウェイト(図示せず)が取り付けられてもよい。
【0195】
前述の構成によると、バランスウェイトによるモーメントは、弁体32を開位置A2に操作するモーメントとなるので、弁体32を閉位置A1に操作するモーメントを小さいものにすることができる。
【0196】
(発明の実施の第18別形態)
前述の(発明の実施の第15別形態)及び
図20,21において、第1リンク57及び第2リンク58が、屈曲されるのではなく、軸芯P11(軸芯P12)と軸芯P13(軸芯P14)とに亘って、直線状に構成されてもよい。
【0197】
前述の構成によると、弁体32(蓋部33)が開位置A2に操作された際の第1リンク57と蓋部33との干渉を避ける為に、蓋支持部56における第1リンク57の接続部分(軸芯P13)を、弁体32の蓋部33から離れた位置に設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明は、多数の住宅3が集まる集合住宅4ばかりではなく、多数の飲食店舗(ガス消費部に相当)が集まる商業施設に対しても適用できる。
【符号の説明】
【0199】
1 ガス漏洩監視システム
2 ガス漏洩監視装置
3 住宅(ガス消費部)
8 ガスメータ(消費ガス量検出部)
9 監視部
10 上流部
14 下流部
18 接続部(連通部)
19 弁座(連通部)
25 バイパス通路
26 バイパス通路
27 バイパス通路
28 バイパス通路
29 ガス量検出センサー(ガス量検出部)
30 可変絞り部
32 弁体
33 蓋部
36 ウェイト部
41 内近接部
44 外近接部
46 ブレーキ機構
47 磁性体
48 第1磁極
49 第2磁極
52 防振体
53 取付部
54 防振ゴム
56 蓋支持部(ウェイト部)
57 第1リンク(ウェイト部)
58 第2リンク(ウェイト部)
A1 閉位置
A2 開位置
G2 重心
G3 重心
P11 軸芯
P12 軸芯(上部軸芯)
UD1 鉛直方向
UD2 鉛直線