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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133058
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】給電制御装置及び給電制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 55/00 20190101AFI20240920BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240920BHJP
   B60L 58/14 20190101ALI20240920BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60L55/00
B60L50/60
B60L58/14
H02J7/00 302D
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024088074
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2023040562の分割
【原出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 麻世
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA02
5G503DA13
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC15
5H125BC24
5H125CA18
5H125CC07
5H125CD01
5H125EE27
5H125EE55
5H125EE64
(57)【要約】
【課題】車載バッテリから車両外部へ外部給電を行う際に、外部給電の停止条件として車載バッテリの給電可能電力の下限値を適切に設定する。
【解決手段】給電制御装置は、車載バッテリから車両外部への給電である外部給電を制御し、外部給電中に車載バッテリの給電可能残量が予め設定された下限値未満となったときに上記外部給電を停止する給電制御部と、入力装置から入力される上記下限値を取得して、取得した下限値を給電制御部に設定する設定管理部と、を備え、設定管理部は、入力された下限値が、車載バッテリの現在の給電可能残量を超える値であるときは、給電制御部に上記取得した下限値を設定しない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載バッテリから前記車両の外部への給電である外部給電を制御し、前記車載バッテリの給電可能残量が予め設定された下限値未満となったときに前記外部給電を停止する給電制御部と、
入力装置から入力される前記下限値を取得して、取得した前記下限値を前記給電制御部に設定する設定管理部と、
を備え、
前記設定管理部は、前記入力された前記下限値が、前記車載バッテリの現在の給電可能残量を超える値であるときは、前記給電制御部に前記取得した前記下限値を設定しない、
給電制御装置。
【請求項2】
前記設定管理部は、
前記車両のユーザが前記入力装置により入力した前記下限値が、現在の給電可能残量以上の値であるときは、前記入力された前記下限値の設定を受け付けない旨の通知を、前記ユーザに向けて通知する、
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記設定管理部は、
前記車両のユーザが前記入力装置により入力した前記下限値が、所定の限界値未満の値であるときは、前記入力された前記下限値の設定を受け付けない旨の通知を、前記ユーザに向けて通知する、
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記設定管理部は、
前記車両が現在位置から目的地までの距離を走行するのに必要な前記車載バッテリの給電可能残量を算出し、前記算出した給電可能残量の値を前記限界値として決定する、
請求項3に記載の給電制御装置。
【請求項5】
前記設定管理部は、
前記車両が現在位置から最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離を走行するのに必要な前記車載バッテリの給電可能残量を算出し、前記算出した給電可能残量の値を前記限界値として決定する、
請求項3に記載の給電制御装置。
【請求項6】
前記設定管理部は、
前記車両の現在位置がある地域の気温を含む環境情報に基づき、前記環境情報が示す環境における前記車両の電費を推定し、前記推定した電費を用いて、前記必要な前記車載バッテリの給電可能残量を算出する、
請求項4又は5に記載の給電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電制御装置及び給電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する研究開発が行われている。
【0003】
特許文献1には、車両バッテリから車両外部へ給電する際にバッテリ残容量の下限値を設け、この下限値を下回る場合に外部給電を停止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-278776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する技術においては、自車両に搭載されたバッテリから車両外部へ外部給電を行う際に、外部給電後のバッテリの給電可能電力が自車両の走行等に必要な電力を下回らないように、外部給電の停止条件として上記バッテリの給電可能電力の下限値を適切に設定することが課題である。
【0006】
本願は、上記課題の解決のため、車載バッテリから車両外部へ外部給電を行う際に、外部給電の停止条件として車載バッテリの給電可能電力の下限値を適切に設定することを目的としたものである。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様は、車両に搭載された車載バッテリから前記車両の外部への給電である外部給電を制御し、前記車載バッテリの給電可能残量が予め設定された下限値未満となったときに前記外部給電を停止する給電制御部と、入力装置から入力される前記下限値を取得して、取得した前記下限値を前記給電制御部に設定する設定管理部と、を備え、前記設定管理部は、前記入力された前記下限値が、前記車載バッテリの現在の給電可能残量を超える値であるときは、前記給電制御部に前記取得した前記下限値を設定しない、給電制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車載バッテリから車両外部へ外部給電を行う際に、外部給電の停止条件として車載バッテリの給電可能電力の下限値を適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る給電制御装置を備える車両が用いられるシーンの一例を示す図である。
図2図2は、給電制御装置の構成を示す図である。
図3図3は、給電制御装置と協働する携帯端末の構成を示す図である。
図4図4は、給電制御装置における動作の手順を示すフロー図である。
図5図5は、給電制御装置における動作の手順を示すフロー図である。
図6図6は、図5のフロー図に示す前回下限値判断処理の手順を示すフロー図である。
図7図7は、表示制御部が表示する確認画面の一例を示す図である。
図8図8は、表示制御部が表示する下限値設定画面の一例を示す図である。
図9図9は、表示制御部が下限値設定画面に表示する注意通知の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[1.実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る給電制御装置1を備える車両3が用いられるシーンの一例を示す図である。車両3は、車載バッテリ2からの給電により駆動モータ4を駆動して走行する車両であり、本実施形態では、例えば電気自動車である。
【0011】
給電制御装置1は、車載バッテリ2から車両3の外部への給電である外部給電を制御する。例えば、車両3のユーザUは、車両3により移動した旅行先において、電力会社等の給電網からの給電を受けていないログハウス等の建物5の建物バッテリ6へ、車両3の車載バッテリ2からの外部給電を行う。なお、建物バッテリ6への外部給電は一例であって、車両3の車載バッテリ2は、電気的条件が合致する限り、車両3の外部にある任意の装置又は機器に対して外部給電を行い得る。
【0012】
給電制御装置1は、また、車両3の外部の通信ネットワーク7を介して、車両3のユーザUの携帯端末8と通信することができる。給電制御装置1は、ユーザUが所持する携帯端末8との間で、外部給電動作についての情報の授受を行う。これにより、ユーザUは、建物バッテリ6への外部給電を開始した後に車両3から離れた位置に移動した場合でも、給電制御装置1に対して外部給電動作についての指示(具体的には、後述する下限値Lvの設定)を行うことができる。
【0013】
[1.1 給電制御装置]
図2は、給電制御装置1の構成を示す図である。
給電制御装置1は、車載の第1タッチパネル10、通信ユニット11、ナビゲーション装置12、給電回路14、給電センサ15、及び残量センサ16と接続されている。車載バッテリ2は、車両制御装置17を介して駆動モータ4に給電して、車両3を駆動する。給電回路14は、車両3外部の外部機器(不図示)が外部給電コネクタ18に接続されて給電スイッチ141がオンされたときに、車載バッテリ2から上記外部機器へ外部給電を開始する。また、給電回路14は、給電スイッチ141がオフされたとき、又は給電制御装置1から外部給電の停止を指示されたときに、車載バッテリ2から外部機器へ外部給電を終了する。
【0014】
給電制御装置1は、給電回路14の外部給電の出力ラインに設けられた給電センサ15により、外部給電の開始及び終了を検知する。給電センサ15は、例えば、電流センサである。
【0015】
通信ユニット11は、給電制御装置1が通信ネットワーク7を介して携帯端末8等の外部装置と通信するための無線通信装置である。
【0016】
残量センサ16は、車載バッテリ2の給電可能残量を検知する。本実施形態では、車載バッテリ2は、例えば、燃料口19から補充される水素燃料により動作する水素燃料電池であり、残量センサ16は、水素燃料の残量を車載バッテリ2の給電可能残量として検知する。
【0017】
これに代えて、車載バッテリ2は、車両3の外部から直接的に充電される蓄電池(二次電池)であってもよい。この場合には、残量センサ16は、蓄電池である車載バッテリ2の充電残量(SOC、State Of Charge)を給電可能残量として検知するセンサであり得る。
【0018】
ナビゲーション装置12は、プロセッサとメモリとを有するコンピュータを備え、車両3のユーザが設定した目的地までの経路案内を行う。ナビゲーション装置12は、従来技術に従い、GNSSセンサ(不図示)により車両3の現在位置の情報を取得し、メモリに記憶した地図情報13に基づいて、上記目的地までの経路案内を行う。本実施形態では、地図情報13は、エネルギ補充ステーション(本実施形態では、水素ステーション)の位置情報を含むものとする。
【0019】
給電制御装置1は、給電回路14に指示して車載バッテリ2の外部給電動作を制御する。
給電制御装置1は、第1プロセッサ20と、第1メモリ21と、を備える。第1メモリ21は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ、及び又はハードディスク装置等により構成される。第1メモリ21には、車両3の電費特性の情報である電費情報22が予め記憶されている。ここで、電費とは、車載バッテリ2からの給電量当たりの車両3の走行距離をいう。あるいは、本実施形態のように車載バッテリ2が水素燃料電池であるときは、水素燃料の消費量当たりの車両3の走行距離を電費として用いてもよい。本実施形態では、また、電費特性は、車両3の環境温度に対する電費の依存性についての情報を含む。
【0020】
第1プロセッサ20は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第1プロセッサ20は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第1プロセッサ20は、機能要素又は機能ユニットとして、検知部23と、給電制御部24と、表示制御部25と、設定管理部26と、を備える。
【0021】
第1プロセッサ20が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第1プロセッサ20が、第1メモリ21に保存されたプログラムを実行することにより実現される。なお、プログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。これに代えて、第1プロセッサ20が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
【0022】
検知部23は、車載バッテリ2から車両3の外部への外部給電の開始及び終了を検知する。例えば、検知部23は、給電センサ15からのセンサ出力に基づいて、上記外部給電の開始及び終了を検知する。
【0023】
給電制御部24は、車載バッテリ2から車両3の外部への外部給電を制御する。給電制御部24は、外部給電中において車載バッテリ2の給電可能残量が予め設定された下限値Lv未満となったときに、外部給電を停止する。上記下限値Lvは、後述する設定管理部26により設定される。
【0024】
給電制御部24は、設定管理部26により設定された下限値Lvを記憶する。
例えば、給電制御部24は、検知部23により外部給電の開始が検知されたあとに設定管理部26から下限値Lvが新たに設定されないときは、前回の外部給電の際に設定管理部26により設定され記憶した下限値Lvを読み出す。そして給電制御部24は、今回の外部給電において車載バッテリ2の給電可能残量が上記読み出した下限値Lv未満となったときに外部給電を停止する。これにより、ユーザUが外部給電の開始時に下限値Lvを設定しない場合であっても、前回の外部給電動作の際の下限値Lvを用いて外部給電が停止されるので、外部給電後に車載バッテリ2の給電可能残量が枯渇して車両3を走行させることができなくなってしまう、という事態を避けることができる。
【0025】
また、例えば、給電制御部24は、前回の外部給電動作の終了後、検知部23により新たな外部給電の開始が検知されるまでに、設定管理部26から下限値Lvが設定されたときに、上記設定された下限値Lvを記憶する。そして、給電制御部24は、検知部23により新たな外部給電(すなわち、今回の外部給電)の開始が検知されたときに、設定管理部26から新たな下限値Lvが設定されないときは、上記記憶した下限値Lvを読み出し、上記読み出した下限値Lvを今回の外部給電動作の停止条件として用いる。すなわち、給電制御部24は、今回の外部給電において車載バッテリ2の給電可能残量が上記読み出した下限値Lv未満となったときに外部給電を停止する。これにより、ユーザは、外部給電が開始される前に、予め適切な下限値を設定しておくことができるので、ユーザにとって利便性が向上する。
【0026】
また、給電制御部24は、外部給電を停止したときは、給電停止の通知を車両3のユーザUの携帯端末8へ送信する。これにより、給電制御装置1では、ユーザUは、車両3から離れていても外部給電動作が停止したことを知ることができるので、ユーザUにとっての利便性が向上する。例えば、観光地などにおいて、車両3からログハウス等の建物5の建物バッテリ6に外部給電を開始した後に、外部給電の時間を利用してユーザUが車両3から離れて散策するような場合でも、ユーザUは、散策途中で外部給電の停止を知ることができるので、散策に不要に長く時間を費やすことなく、建物5へ戻ってくることができる。
【0027】
表示制御部25は、下限値Lvを設定するための画面である下限値設定画面を、第1タッチパネル10表示する。ここで、第1タッチパネル10は、本開示における、車両3に搭載された車載表示装置に相当する。
【0028】
例えば、表示制御部25は、従来技術に従い、車両3の種々の機能を起動するための起動ボタンを配したメニュー画面を第1タッチパネル10に表示し、ユーザUが所定の起動ボタンを操作したときに、下限値設定画面を第1タッチパネル10表示するものとすることができる。
【0029】
本実施形態では、また、表示制御部25は、検知部23により外部給電の開始が検知されたときに、下限値設定画面を表示するか否かを問う確認画面を、第1タッチパネル10に表示する。表示制御部25は、ユーザUが上記確認画面への応答として下限値設定画面を表示を指示したときに、下限値設定画面を表示する。これにより、ユーザUは、車載バッテリ2から車両3外部へ外部給電を行う際に、外部給電の停止条件である下限値Lvの設定を忘れずに行うことができる。このため、例えば、下限値Lvの設定忘れにより外部給電後に車載バッテリ2の給電可能残量が枯渇して車両3を走行させることができなくなってしまう、という事態を避けることができる。
【0030】
なお、確認画面は、例えば、「設定画面を表示しますか?」等の下限値設定画面の表示の要否を直接的に問うメッセージを表示する画面のほか、「下限値を設定しますか?」等の下限値設定画面への画面移行の要否を質問するような、下限値設定画面の表示の要否を間接的に問うメッセージであってもよい。
【0031】
ただし、表示制御部25は、予め定めた所定の通知画面のいずれかを第1タッチパネル10に表示している間は、外部給電の開始が検知されたときであっても上記確認画面を第1タッチパネル10に表示しない。すなわち、表示制御部25は、外部給電の開始が検知されたときは、予め定めた所定の通知画面を第1タッチパネル10に表示していないときに、上記確認画面を第1タッチパネル10に表示する。上記通知画面は、例えば、油圧異常やシステム異常などの故障を通知する故障通知画面、あるいは、パーキングブレーキのかけ忘れなどの未実施操作を警告する警告通知画面であり得る。これにより、確認画面の表示により優先度の高い通知がユーザUに伝達されなくなってしまう、という事態を避けることができる。
【0032】
例えば、表示制御部25は、車両3に搭載された図示しない種々の電子制御装置からの情報に基づいて、上記通知画面を表示し得る。上記電子制御装置は、例えば、車両3のアクセル、ブレーキ、パーキングブレーキ、ステアリングハンドなどのユーザ操作を検知する種々の操作制御装置、あるいは、車両3の走行に必要な油圧機構制御、モータ制御、バッテリ制御などを行う種々の走行制御装置であり得る。
【0033】
表示制御部25は、上記所定の通知画面を第1タッチパネル10に表示しているときに、検知部23において外部給電の開始が検知されたときは、上記所定の通知画面の表示が終了したときに、上記確認画面を第1タッチパネル10に表示する。例えば、通知画面は、表示制御部25が上記通知画面に表示した確認ボタンが操作されたとき、あるいは、上記通知画面により通知した未実施操作が実行されたときに(上記の例では、パーキングブレーキがロック操作されたとき)に終了し得る。これにより、通知画面を表示しておく必要がなくなったときに確認画面が表示されるので、ユーザUへの優先度の高い通知の伝達を確実に行いつつ、外部給電の停止条件である下限値Lvの入力忘れを防止することができる。
【0034】
設定管理部26は、入力装置から入力される下限値Lvを取得して、取得した下限値Lvを給電制御部24に設定する。入力装置は、車両3に搭載された第1タッチパネル10、又は、ユーザUの携帯端末8が備える入力デバイスとしての第2タッチパネル9であり得る。例えば、設定管理部26は、表示制御部25が第1タッチパネル10に表示した下限値設定画面において、車両3のユーザUが下限値Lvを入力したときに、入力された下限値Lvを取得する。
【0035】
あるいは、設定管理部26は、通信ユニット11を介してユーザUの携帯端末8から下限値設定指示を受信したときに、受信した下限値設定指示に含まれる下限値Lvを取得する。後述するように、携帯端末8は、例えば、車両管理アプリにより第2タッチパネル9に表示される設定画面からユーザUが下限値Lvを入力したときに、上記下限値Lvを含む下限値設定指示を、車両3へ送信する。これにより、ユーザUは、車両3から離れた場所でも下限値Lvを入力できるので、ユーザUにとっての利便性が向上する。
【0036】
設定管理部26は、入力装置である第1タッチパネル10又は第2タッチパネル9から入力され又は取得された下限値Lvが、車載バッテリ2の現在の給電可能残量を超える値であるときは、上記取得された下限値Lvを給電制御部24に設定しない。すなわち、設定管理部26は、上記入力され取得された下限値Lvが、車載バッテリ2の現在の給電可能残量以下であることを条件として、上記取得された下限値Lvを給電制御部24に設定する。ここで、車載バッテリ2の現在の給電可能残量は、残量センサ16からのセンサ情報に基づいて取得され得る。これにより、設定された下限値Lvが車載バッテリ2の現在の給電可能残量を超えていて、外部給電動作が即座に停止してしまう、というような不都合な状況を回避することができる。
【0037】
また、設定管理部26は、ユーザUが第1タッチパネル10に表示された下限値設定画面において入力した下限値Lv又は携帯端末8が実行する車両管理アプリにおいて第2タッチパネル9に入力した下限値Lvが、現在の給電可能残量を超える値であるときは、表示制御部25に指示して、上記入力された下限値の設定を受け付けない旨の注意通知を、上記入力に用いられた第1タッチパネル10又は第2タッチパネル9に表示して、ユーザUに通知する。携帯端末8の第2タッチパネル9への注意通知の表示は、例えば、設定管理部26が注意通知を携帯端末8へ送信することにより行われる。
【0038】
これにより、給電制御装置1は、ユーザUが入力した下限値Lvが不適切なものであることをユーザに通知するので、例えば、ユーザによる下限値の入力誤りを防止することができ、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0039】
また、設定管理部26は、車両3のユーザUが第1タッチパネル10に表示された下限値設定画面において入力した下限値Lv又は携帯端末8が実行する車両管理アプリにおいて第2タッチパネル9に入力した下限値Lvが、所定の限界値Cv未満の値であるあるか否かを判断する。そして、設定管理部26は、上記入力された下限値Lvが限界値Cv未満の値であるときは、上記取得された下限値Lvを給電制御部24に設定しない。すなわち、設定管理部26は、上記入力され取得された下限値Lvが上記限界値以上であることを条件として、上記取得された下限値Lvを給電制御部24に設定する。また、設定管理部26は、表示制御部25に指示して、上記入力された下限値の設定を受け付けない旨の注意通知を、上記入力に用いられた第1タッチパネル10又は第2タッチパネル9に表示して、ユーザUに通知する。
【0040】
これにより、給電制御装置1では、ユーザUが入力した下限値Lvが小さすぎたために、外部給電後に車載バッテリの給電可能残量が殆ど残っておらず、その後に予定していた場所まで車両3を走行させることができなくなってしまう、という事態を避けることができる。
【0041】
限界値Cvの一例として、設定管理部26は、目的地までの距離を走行するのに必要な車載バッテリ2の給電可能残量を算出し、算出した給電可能残量の値を限界値Cvとして決定する。これにより、ユーザは、外部給電後において車両3を目的地まで走行させるのに必要な給電可能残量を確保することができるように、適切な下限値Lvを設定することができる。
【0042】
具体的には、設定管理部26は、車両3の現在位置からナビゲーション装置12に設定されている目的地までの距離の情報を、ナビゲーション装置12から取得する。そして、設定管理部26は、ナビゲーション装置12から取得した上記距離と、第1メモリ21に保存されている車両3の電費情報22と、に基づいて、上記目的地までの距離を走行するのに必要な車載バッテリ2の給電可能残量を算出する。
【0043】
限界値Cvの他の一例として、設定管理部26は、車両3が現在位置から最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離を走行するのに必要な車載バッテリ2の給電可能残量を算出し、算出した給電可能残量の値を限界値Cvとして決定する。ここで、エネルギ補充ステーションとは、車載バッテリ2が水素燃料電池であるときは水素ステーションであり、二次電池であるときは充電ステーションであり得る。これにより、ユーザUは、外部給電後において車両3を最寄りのエネルギ補充ステーションまで走行させるのに必要な車載バッテリ2の給電可能残量を確保することができるように、適切な下限値を設定することができる。
【0044】
具体的には、設定管理部26は、車両3の現在位置から最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離の情報を、ナビゲーション装置12から取得する。例えば、ナビゲーション装置12は、地図情報13に含まれるエネルギ補充ステーションの位置情報から、上記最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離を算出する。そして、設定管理部26は、ナビゲーション装置12から取得した上記距離と、第1メモリ21に保存されている車両3の電費情報22と、に基づいて、上記最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離を走行するのに必要な車載バッテリ2の給電可能残量を算出する。
【0045】
例えば、設定管理部26は、第1タッチパネル10を介して予めユーザUが入力した設定に基づき、目的地までの距離又は最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離のいずれかに基づいて、限界値Cvを決定するものとすることができる。あるいは、設定管理部26は、現在の給電可能量が目的地までの距離を走行するのに必要な給電可能残量を超えているときには、当該目的地までの距離を走行するのに必要な給電可能残量を限界値Cvとして決定し、そうでないときは、最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離に基づいて限界値Cvを決定するものとすることができる。
【0046】
また、設定管理部26は、限界値Cvの決定に際し、車両3の現在位置がある地域の環境情報に基づき、その環境情報が示す環境における車両3の電費を推定する。そして設定管理部26は、上記推定した電費を用いて、上記目的地又は最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離を走行するのに必要な車載バッテリ2の給電可能残量を算出する。
【0047】
例えば、上記環境情報には、その地域の気温が含まれ、設定管理部26は、電費情報22が示す電費特性の環境温度に対する依存性の情報に基づいて、上記電費の推定を行うものとすることができる。あるいは、環境情報には、気候状態や道路渋滞についての情報が含まれ、設定管理部26は、気候の状態(例えば、雨天や強風など)及び又は道路渋滞に依存する電費悪化の程度を表す補正係数により、電費情報22が示す電費を補正して、上記電費の推定を行うものとしてもよい。上記補正係数は、上記気候状態や渋滞の程度に応じて予め定めておくものとすることができる。
【0048】
これにより、給電制御装置1では、限界値として用いる給電可能残量(すなわち、外部給電後において必要な給電可能残量)を、車両の電費に影響を与え得る気温等の環境条件に基づいて算出するので、上記限界値を適切に設定することができる。その結果、給電制御装置1では、ユーザが限界値以上の下限値Lvを設定したにも関わらず、目的地又は最寄りのエネルギ補充ステーションまで車両を走行させることができない、という事態が生じてしまうのを回避することができる。
【0049】
なお、上記環境情報は、例えば、通信ユニット11を介して、図示しない車両3の外部の気象データサーバや交通情報サーバから取得されるものとすることができる。
【0050】
設定管理部26は、また、携帯端末8から情報要求を受信することに応じて、現在の給電可能残量及び又は限界値Cvの情報を携帯端末8へ送信する。
【0051】
図7は、外部給電の開始が検知されたときに表示制御部25が第1タッチパネル10に表示する確認画面の一例を示す図である。図7に示す例では、第1タッチパネル10の表示スクリーンに、確認メッセージ40と、YESボタン41及びNOボタン42が表示されている。確認メッセージ40は、「外部給電の後に残したい給電可能残量の下限値を設定しますか?」という、下限値設定画面の表示の要否を間接的に問うメッセージが表示されている。ユーザUは、下限値設定画面を表示させて下限値Lvを設定したいときはYESボタン41を操作して応答することができる。あるいは、ユーザUが、今回は下限値Lvを設定せず、下限値設定画面を表示する必要がないときは、NOボタン42を操作して応答することができる。
【0052】
図8は、表示制御部25が第1タッチパネル10に表示する下限値設定画面の一例を示す図である。図8に示す例では、下限値Lvの設定を促すメッセージ43と、下限値Lvを調整して設定するための下限値調整バー44と、車載バッテリ2の現在の給電可能残量を示す残量表示バー45と、画面表示を他の種々の機能に関する画面へ移行させるためのボタン群50が表示されている。
【0053】
下限値調整バー44は、下限値Lvの設定値の大きさを表すゲージ46と、下限値Lvを減少させるマイナスボタン47と、下限値Lvを増加させるプラスボタン48が表示されている。例えば、下限値調整バー44のゲージ46のスケールは、残量表示バー45のスケールと同じであり得る。ユーザUは、マイナスボタン47及び又はプラスボタン48を用いて、下限値Lvを所望の値に設定する(すなわち、下限値Lvを入力する)ことができる。例えば、設定管理部26は、ユーザUがマイナスボタン47及びプラスボタン48を用いて下限値Lvを増減する毎に、増減後の下限値Lvを取得する。入力された下限値Lvは、ユーザUが、ボタン群50のいずれかのボタン(例えば、図示左端の「Home」ボタン)を操作することで確定し得る。
【0054】
図9は、下限値設定画面において設定した下限値Lvが、車載バッテリ2の現在の給電可能残量以上である場合に、設定管理部26が表示制御部25に指示して第1タッチパネル10に表示させる注意通知の一例を示す図である。なお、図9に示す画面構成要素のうち、図8に示す画面構成要素と同じ要素については、図8における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した図8についての説明を援用する。
【0055】
図9では、図8に示す下限値設定画面に追加して、注意通知49が表示されている。このような注意通知49は、例えば、ユーザUが下限値調整バー44のマイナスボタン47及びプラスボタン48を用いて、残量表示バー45が示す現在の給電可能残量を超える値範囲において下限値Lvを増減させたときに表示される。
【0056】
なお、ユーザUが下限値調整バー44のマイナスボタン47及びプラスボタン48を用いて、上述した限界値Cv未満の値範囲において下限値Lvを増減させた場合にも、設定管理部26により、注意通知49と同様の態様の注意通知が第1タッチパネル10に表示され得る。この場合の注意通知は、「目的地等への走行に必要な限界値よりも下の下限値は設定できません」等のメッセージを含むものであり得る。
【0057】
[1.2 携帯端末の構成]
図3は、携帯端末8の構成を示す図である。
携帯端末8は、第2プロセッサ30と、第2メモリ31と、通信装置32と、第2タッチパネル9と、を有する。
【0058】
第2メモリ31は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリにより構成される。通信装置32は、携帯端末8が通信ネットワーク7を介して車両3の給電制御装置1等の装置と通信するための無線通信装置である。
【0059】
第2タッチパネル9は、第2プロセッサ30により制御されてユーザに情報を表示し及びユーザからの入力を取得する。第2タッチパネル9は、本開示における、携帯端末が備える入力デバイスに相当する。
【0060】
第2プロセッサ30は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第2プロセッサ30は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第2プロセッサ30は、機能要素又は機能ユニットとして、入力部35と、通知部36と、を備える。
【0061】
第2プロセッサ30が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第2プロセッサ30が、第2メモリ31に保存されたプログラム34を実行することにより実現される。プログラム34は、通信ネットワーク7に接続されたサーバ装置(不図示)からダウンロードされるものとすることができる。なお、プログラム34は、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。
【0062】
プログラム34は、例えば、アプリケーションプログラムである。ここで、プログラム34が実行されることにより起動されるアプリケーションを車両管理アプリと称するものとする。第2プロセッサ30は、従来技術に従い、車両管理アプリの起動アイコンを第2タッチパネル9に表示し、対応する起動アイコンが操作されたときに、プログラム34を実行して、車両管理アプリの機能を実行するための入力部35と通知部36とを、第2プロセッサ30内で実現する。
【0063】
入力部35は、入力装置である第2タッチパネル9から入力される下限値Lvを取得して、下限値設定指示を給電制御装置1へ送信する。具体的には、入力部35は、給電制御装置1の表示制御部25が第1タッチパネル10に表示する下限値設定画面(例えば、図8に示す画面)と同様の設定画面を第2タッチパネル9に表示する。その際、入力部35は、情報要求を給電制御装置1へ送信し、給電制御装置1から車載バッテリ2の現在の給電可能残量及び限界値Cvの情報を取得して、取得した上記現在の給電可能残量及び限界値Cvを設定画面に表示するものとすることができる。
【0064】
車両3のユーザUは、上記設定画面が表示された第2タッチパネル9を操作することにより下限値Lvを入力する。入力部35は、上記下限値Lvを取得し、取得した下限値Lvを含む下限値設定指示を給電制御装置1へ送信する。
【0065】
上述したように、下限値設定指示を受信した給電制御装置1の設定管理部26は、下限値設定指示に含まれる下限値Lvを抽出して取得し、取得した下限値Lvを給電制御部24に設定する。その際、給電制御装置1の設定管理部26は、ユーザUが第2タッチパネル9に入力した下限値Lvが、車載バッテリ2の現在の給電可能残量を超えているとき及び又は限界値Cv未満であるときは、携帯端末8に注意通知を送信する。
【0066】
入力部35は、給電制御装置1から注意通知を受信したときは、受信した注意通知を第2タッチパネル9に表示する。
【0067】
通知部36は、給電制御装置1から外部給電の給電停止の通知を受信したときに、当該受信した給電停止の通知を、第2タッチパネル9に表示する。
【0068】
[1.3 給電制御装置の動作]
次に、給電制御装置1の動作について説明する。図4及び図5は、給電制御装置1における動作の手順を示すフロー図である。図4及び図5に示す処理は繰り返し実行される。
【0069】
図4を参照し、処理を開始すると、給電制御装置1の検知部23は、給電センサ15からのセンサ出力に基づき、外部給電が開始したか否かを判断する(S100)。そして、外部給電が開始していないときは(S100、NO)、検知部23は、ステップS100に戻って処理を繰り返し、外部給電が開始するのを待機する。
【0070】
一方、外部給電が開始したときは(S100、YES)、設定管理部26は、ナビゲーション装置12に設定されている車両3の目的地までの距離又は最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離に基づいて、外部給電の終了時に残しておくべき給電可能残量である限界値Cvを算出する(S102)。
【0071】
次に、表示制御部25は、車載の第1タッチパネル10に所定の通知画面が表示中であるか否かを判断する(S104)。上述したように、上記通知画面は、例えば、警告通知画面や故障通知画面などであり得る。そして、通知画面が表示中であるときは(S104、YES)、表示制御部25は、通知画面の表示が終了したか否かを判断する(S106)。
【0072】
そして、通知画面が終了していないときは(S106、NO)、表示制御部25は、ステップS106に戻って処理を繰り返し、通知画面の表示が終了するのを待機する。一方、通知画面の表示が終了したときは(S106、YES)、表示制御部25は、下限値設定画面を表示するか否かを問う確認画面(図7)を第1タッチパネル10に表示する(S108)。ユーザUは、確認画面において、下限値設定画面を表示するか否かの指示を入力する。
【0073】
また、一方、ステップS104において所定の通知画面が表示中でないときは(S104、NO)、表示制御部25は、ステップS108に処理を移す。
【0074】
続いて、図5を参照し、表示制御部25は、上記確認画面において、下限値設定画面の表示指示が入力されたか否かを判断する(S110)。そして、下限値設定画面の表示指示が入力されたときは(S110、YES)、表示制御部25は、下限値設定画面を第1タッチパネル10に表示する(S112)。表示された下限値設定画面に対し、ユーザUは、下限値Lvを入力する。設定管理部26は、入力された下限値Lvを取得する(S114)。以下、入力された下限値Lvを、入力下限値Lvという。
【0075】
続いて、設定管理部26は、入力下限値Lvが車載バッテリ2の現在の給電可能残量(以下、現在残量ともいう)より小さく且つ限界値Cv以上であるか否かを判断する(S116)。そして、入力下限値Lvが現在残量未満であって且つ限界値Cv以上であるときは(S116、YES)、設定管理部26は、入力下限値Lvを、今回の外部給電動作に用いる下限値Lv(以下、今回下限値Lvともいう)として給電制御部24に設定する(S118)。給電制御部24は、上記設定された下限値Lvを第1メモリ21に記憶する(S120)。その後は、表示制御部25は、車両3の種々の機能を起動するための起動ボタンを配したメニュー画面を第1タッチパネル10に表示する。
【0076】
次に、表示制御部25は、ユーザUが上記メニュー画面の所定の起動ボタンを操作して下限値設定画面の表示指示を入力したか否かを判断する(S122)。そして、下限値設定画面の表示指示が入力されたときは(S122、YES)、表示制御部25は、ステップS112に戻って処理を繰り返す。
【0077】
一方、下限値設定画面の表示指示が入力されないときは(S122、NO)、設定管理部26は、携帯端末8から下限値設定指示を受信したか否かを判断する(S124)。そして、下限値設定指示を受信しないときは(S124、NO)、給電制御部24は、車載バッテリ2の給電可能残量が今回下限値Lv未満になったか否かを判断する(S126)。そして、給電可能残量が今回下限値Lv未満になったときは(S126、YES)、給電制御部24は、給電回路14に給電の停止を指示する(S128)。また、給電制御部24は、給電停止の通知を携帯端末8へ送信して(S130)、本処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS124において携帯端末8より下限値設定指示を受信したときは(S124、YES)、設定管理部26は、受信した下限値設定指示に含まれる下限値Lv(以下、指示下限値Lvともいう)が、車載バッテリ2の現在残量未満であって且つ限界値Cv以上であるか否かを判断する(S136)。そして、指示下限値Lvが車載バッテリ2の現在残量未満であって且つ限界値Cv以上であるときは(S136、YES)、設定管理部26は、指示下限値Lvを今回下限値Lvとして給電制御部24に設定して(S138)、ステップS120に処理を移す。
【0079】
一方、指示下限値Lvが車載バッテリ2の現在残量未満でないか又は限界値Cv以上でないときは(S136、NO)、設定管理部26は、携帯端末8へ注意通知を送信したのち(S140)、ステップS126に処理を移す。上記注意通知を受信した携帯端末8の入力部35は、受信した注意通知を第2タッチパネルに9に表示し、下限値Lvを取得する処理を継続する。
【0080】
また、一方、ステップS116において入力下限値Lvが車載バッテリ2の現在残量未満でないか又は限界値Cv以上でないときは(S116、NO)、表示制御部25は、注意通知を第1タッチパネル10に表示したのち(S134)、ステップS114に処理を移す。
【0081】
また、一方、ステップS110において下限値設定画面の表示指示が入力されないとき、例えば、下限値設定画面の表示不要の指示が入力されたときは(S110、NO)、第1プロセッサ20は、前回下限値判断処理を実行したのち(S132)、ステップS120に処理を移す。
【0082】
図6は、図5のステップS132に示す前回下限値判断処理の処理の手順を示すフロー図である。
処理を開始すると、給電制御部24は、前回の外部給電の際のステップS120(図5)において第1メモリ21に記憶した下限値Lv(以下、前回下限値Lvともいう)を第1メモリ21から読み出す(S200)。設定管理部26は、上記読み出された前回下限値Lvが、車載バッテリ2の現在残量未満であって且つ限界値Cv以上であるか否かを判断する(S202)。
【0083】
そして、前回下限値Lvが車載バッテリ2の現在残量未満であって且つ限界値Cv以上であるときは(S202、YES)、設定管理部26は、前回下限値Lvを今回下限値Lvとして給電制御部24に設定して(S204)、本処理を終了する。
【0084】
一方、前回下限値Lvが車載バッテリ2の現在残量未満でないか又は限界値Cv以上でないときは(S202、NO)、設定管理部26は、ステップS102(図4)において算出した限界値Cvを今回下限値Lvとして給電制御部24に設定して(S206)、本処理を終了する。
【0085】
ここで、図4ないし図6において、ステップS100は、本開示における検知ステップに相当する。また、ステップS108及びS112は、本開示における表示制御ステップに相当する。また、ステップS126及びS128は、本開示における給電ステップに相当する。
【0086】
なお、本発明は上記の実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0087】
[2.上記実施形態によりサポートされる構成]
上述した実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0088】
(構成1)車両に搭載された車載バッテリから前記車両の外部への給電である外部給電を制御し、外部給電中において前記車載バッテリの給電可能残量が予め設定された下限値未満となったときに前記外部給電を停止する給電制御部と、前記下限値を設定するための画面である下限値設定画面を、前記車両に搭載された車載表示装置に表示する表示制御部と、前記外部給電の開始を検知する検知部と、を備え、前記表示制御部は、前記外部給電の開始が検知されたときに、前記下限値設定画面を表示するか否かを問う確認画面を前記車載表示装置に表示する、給電制御装置。
構成1の給電制御装置によれば、ユーザは、車載バッテリから車両外部へ外部給電を行う際に、外部給電の停止条件として車載バッテリの給電可能電力の下限値を忘れずに適切に設定することができる。このため、例えば、下限値の設定忘れにより外部給電後に車載バッテリの給電可能残量が枯渇して車両を走行させることができなくなってしまう、という事態を避けることができる。
【0089】
(構成2)前記表示制御部は、予め定めた所定の通知画面のいずれかを前記車載表示装置に表示しているときは、前記外部給電の開始が検知されたときであっても前記確認画面を前記車載表示装置に表示しない、構成1に記載の給電制御装置。
構成2の給電制御装置によれば、例えば、ユーザへ優先的に通知すべき警告通知の画面や故障通知の画面を所定の通知画面として定めておくことで、確認画面の表示により優先度の高い通知がユーザに伝達されなくなってしまう、という事態を避けることができる。
【0090】
(構成3)前記表示制御部は、前記所定の通知画面を前記車載表示装置に表示しているときに前記外部給電の開始が検知されたときは、前記所定の通知画面の表示が終了したときに、前記確認画面を前記車載表示装置に表示する、構成2に記載の給電制御装置。
構成3の給電制御装置によれば、例えば、故障通知画面や警告通知画面などの所定の通知画面を表示しておく必要がなくなったときに確認画面が表示されるので、ユーザへの優先度の高い通知の伝達を確実に行いつつ、外部給電の停止条件である下限値の入力忘れを防止することができる。
【0091】
(構成4)車両に搭載された車載バッテリから前記車両の外部への給電である外部給電を制御し、前記車載バッテリの給電可能残量が予め設定された下限値未満となったときに前記外部給電を停止する給電制御部と、前記外部給電の開始を検知する検知部と、入力装置から入力される前記下限値を取得して、取得した前記下限値を前記給電制御部に設定する設定管理部を備え、を備え、前記給電制御部は、前記設定管理部から設定された前記下限値を記憶し、前記外部給電の開始が検知されたあとに前記設定管理部から前記下限値が新たに設定されないときは、前回の外部給電の際に前記設定管理部により設定され記憶した下限値を読み出し、前記車載バッテリの給電可能残量が前記読み出した下限値未満となったときに前記外部給電を停止する、給電制御装置。
構成4の給電制御装置によれば、ユーザが外部給電の開始時に下限値を設定しない場合であっても、前回の外部給電動作の際の下限値を用いて外部給電が停止されるので、外部給電後に車載バッテリの給電可能残量が枯渇して車両を走行させることができなくなってしまう、という事態を避けることができる。
【0092】
(構成5)車両に搭載された車載バッテリから前記車両の外部への給電である外部給電を制御し、前記車載バッテリの給電可能残量が予め設定された下限値未満となったときに前記外部給電を停止する給電制御部と、入力装置から入力される前記下限値を取得して、取得した前記下限値を前記給電制御部に設定する設定管理部を備え、前記設定管理部は、前記入力された前記下限値が、前記車載バッテリの現在の給電可能残量を超える値であるときは、前記給電制御部に前記取得した前記下限値を設定しない、給電制御装置。
構成5の給電制御装置によれば、設定された下限値が車載バッテリの現在の給電可能残量を超えていて、外部給電動作が即座に停止してしまう、というような不都合な状況を回避することができる。
【0093】
(構成6)前記設定管理部は、前記車両のユーザが前記入力装置により入力した前記下限値が、現在の給電可能残量以上の値であるときは、前記入力された前記下限値の設定を受け付けない旨の通知を、前記ユーザに向けて通知する、構成5に記載の給電制御装置。
構成6の給電制御装置によれば、ユーザが入力した下限値が不適切なものであることをユーザに通知するので、例えば、ユーザによる下限値の入力誤りを防止することができ、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0094】
(構成7)前記設定管理部は、前記車両のユーザが前記入力装置により入力した前記下限値が、所定の限界値未満の値であるときは、前記入力された前記下限値の設定を受け付けない旨の通知を、前記ユーザに向けて通知する、構成5又は6に記載の給電制御装置。
構成7の給電制御装置によれば、例えば、ユーザが入力した下限値が小さすぎたために、外部給電後に車載バッテリの給電可能残量が殆ど残っておらず、その後に予定していた場所まで車両を走行させることができなくなってしまう、という事態を避けることができる。
【0095】
(構成8)前記設定管理部は、前記車両が現在位置から目的地までの距離を走行するのに必要な前記車載バッテリの給電可能残量を算出し、前記算出した給電可能残量の値を前記限界値として決定する、構成7に記載の給電制御装置。
構成8の給電制御装置によれば、ユーザは、外部給電後において車両を目的地まで走行させるのに必要な車載バッテリの給電可能残量を確保することができるように、適切な下限値を設定することができる。
【0096】
(構成9)前記設定管理部は、前記車両が現在位置から最寄りのエネルギ補充ステーションまでの距離を走行するのに必要な前記車載バッテリの給電可能残量を算出し、前記算出した給電可能残量の値を前記限界値として決定する、構成7に記載の給電制御装置。
構成9の給電制御装置によれば、ユーザは、外部給電後において車両を最寄りのエネルギ補充ステーションまで走行させるのに必要な車載バッテリの給電可能残量を確保することができるように、適切な下限値を設定することができる。
【0097】
(構成10)前記設定管理部は、前記車両の現在位置がある地域の気温を含む環境情報に基づき、前記環境情報が示す環境における前記車両の電費を推定し、前記推定した電費を用いて、前記必要な前記車載バッテリの給電可能残量を算出する、構成8又は9に記載の給電制御装置。
構成10の給電制御装置によれば、限界値を決定する際に、外部給電後において必要な給電可能残量を、車両の電費に影響を与え得る気温等の環境条件に基づいて算出するので、上記必要な給電可能残量を適切に算出することができる。これにより、構成10の給電制御装置では、ユーザが限界値以上の下限値を設定したにも関わらず、目的地又は最寄りのエネルギ補充ステーションまで車両を走行させることができない、という事態を回避することができる。
【0098】
(構成11)車両に搭載された車載バッテリから前記車両の外部への給電である外部給電を制御し、前記車載バッテリの給電可能残量が予め設定された下限値未満となったときに前記外部給電を停止する給電制御部と、前記外部給電の開始を検知する検知部と、入力装置から入力される前記下限値を取得して、取得した前記下限値を前記給電制御部に設定する設定管理部と、を備え、前記給電制御部は、前記設定管理部から新たに前記下限値が設定されるまでは、前記車載バッテリの給電可能残量が現在設定されている下限値未満となったときに前記外部給電を停止する、給電制御装置。
構成11の給電制御装置によれば、例えば、ユーザは、外部給電が開始される前に予め適切な下限値を設定しておくことができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0099】
(構成12)前記入力装置は、前記車両のユーザの携帯端末が備える入力デバイスである、構成4ないし11のいずれかに記載の給電制御装置。
構成12の給電制御装置によれば、ユーザが携帯端末の入力デバイスから入力した下限値を用いて、外部給電動作を停止させることができる。これにより、ユーザは、車両から離れた場所でも下限値を入力できるので、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0100】
(構成13)前記給電制御部は、前記外部給電を停止したときに、給電停止の通知を前記車両のユーザの携帯端末へ送信する、構成1ないし12のいずれかに記載の給電制御装置。
構成13の給電制御装置によれば、ユーザは、車両から離れていても外部給電動作が停止したことを知ることができるので、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0101】
(構成14)給電制御装置のコンピュータが行う給電制御方法であって、車両に搭載された車載バッテリから前記車両の外部への給電である外部給電を制御し、外部給電中において前記車載バッテリの給電可能残量が予め設定された下限値未満となったときに前記外部給電を停止する給電ステップと、前記下限値を設定するための画面である下限値設定画面を、前記車両に搭載された車載表示装置に表示する表示制御ステップと、前記外部給電の開始を検知する検知ステップと、を有し、前記表示制御ステップでは、前記検知ステップにおいて前記外部給電の開始が検知されたときに、前記下限値設定画面を表示するか否かを問う確認画面を前記車載表示装置に表示する、給電制御方法。
構成14の給電制御方法によれば、ユーザは、車載バッテリから車両外部へ外部給電を行う際に、外部給電の停止条件として車載バッテリの給電可能電力の下限値を忘れずに適切に設定することができる。このため、例えば、下限値の設定忘れにより外部給電後に車載バッテリの給電可能残量が枯渇して車両を走行させることができなくなってしまう、という事態を避けることができる。
【符号の説明】
【0102】
1…給電制御装置、2…車載バッテリ、3…車両、4…駆動モータ、5…建物、6…建物バッテリ、7…通信ネットワーク、8…携帯端末、9…第2タッチパネル、10…第1タッチパネル、11…通信ユニット、12…ナビゲーション装置、13…地図情報、14…給電回路、141…給電スイッチ、15…給電センサ、16…残量センサ、17…車両制御装置、18…外部給電コネクタ、19…燃料口、20…第1プロセッサ、21…第1メモリ、22…電費情報、23…検知部、24…給電制御部、25…表示制御部、26…設定管理部、30…第2プロセッサ、31…第2メモリ、32…通信装置、34…プログラム、35…入力部、36…通知部、40…確認メッセージ、41…YESボタン、42…NOボタン、43…メッセージ、44…下限値調整バー、45…残量表示バー、46…ゲージ、47…マイナスボタン、48…プラスボタン、49…注意通知、50…ボタン群。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9